以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、貯蔵ピットの斜視図である。
貯蔵ピット101は、原子力発電プラントにおいて原子炉にて使用された使用済みの燃料集合体や、未使用の燃料集合体が貯蔵される。燃料集合体は、複数の燃料棒である核燃料が矩形状に束ねられた集合体である。従って、燃料集合体は、いわゆる核燃料である。燃料集合体は、例えば、加圧水型軽水炉に使用する場合は、矩形状の1辺が約0.2mの正方形状で、長さが4mを超える細長い角柱形をなす。沸騰水型軽水炉に使用する場合は、矩形状の1辺が約0.15mの正方形状で、長さが約4.5mの細長い角柱形をなす。
貯蔵ピット101は、矩形状で上部が開放されたコンクリート躯体のプールとして構成されている。貯蔵ピット101は、矩形状の床面101a、および床面101aの4方向を囲む側壁の縦壁面101bを有している。この貯蔵ピット101において、床面101aに核燃料貯蔵用ラック1が配置される。核燃料貯蔵用ラック1は、詳細を後述するが、上部が開放されて上方から核燃料が挿入されるように構成されている。そして、貯蔵ピット101は、内部に冷却水103が貯留された状態で、核燃料貯蔵用ラック1に核燃料が立てられた状態で収納されて貯蔵される。
なお、貯蔵ピット101は、図には明示しないが、床面101aおよび縦壁面101bの内面であるコンクリート面にライニングが張り付けられている。ライニングは、厚さ3mmから5mm程度のオーステナイト系ステンレス鋼からなり、貯蔵ピット101の床面101aおよび縦壁面101bの内面を保護するものである。
図2は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの斜視図である。図3は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの分解斜視図である。
核燃料貯蔵用ラック1は、ラック本体11と、ラック本体11に配置されて核燃料が挿入される収納セル12と、を有する。
ラック本体11は、ステンレス鋼で形成され、基盤11Aと、外枠11Bと、支持格子(支持部材)11Cと、補強部材11Dと、脚部11Eと、を含み構成されている。これらの接合は、溶接またはボルトやネジで行う。
基盤11Aは平面視で矩形状に形成されラック本体11の基部をなす。
外枠11Bは、矩形の板材として形成され、基盤11Aの各辺から上方に立ち上がって設けられて平面視で矩形状の筒を形成し、ラック本体11の外周部をなす。外枠11Bは、後述する上部、中央部、下部の支持格子11Cを支持する。なお、図には明示しないが、外枠11Bは、後述する上部、中央部、下部の支持格子11Cを支持するように各支持格子11Cの周りを囲む構成として、矩形の板材以外に帯状の板材の組み合わせにて形成されていてもよいし、図は省略するが、外枠11Bに代えて、帯鋼による筋交い状(X形状、V形状)などの斜材で構成してもよい。
支持格子11Cは、収納セル12を支持する。支持格子11Cは、収納セル12において後述する複数のセル組立体13を支持する複数の格子11Caが形成されている。本実施形態において、格子11Caは、矩形状に形成され、1つの支持格子11Cにおいて、セル組立体13を挿入するために、3×3の区画11Cbが整列して設けられている。支持格子11Cは、ラック本体11の外枠11Bがなす筒内において、例えば、上部、中央部、下部の3箇所に設けられている。上部、中央部、下部の3箇所の支持格子11Cは、平面視で格子11Caが上下方向に連通するように設けられている。
補強部材11Dは、上下の支持格子11Cを繋ぐもので、平面視で、支持格子11Cの格子11Caを形成する枠に重なるように設けられている。補強部材11Dは、平面視で、支持格子11Cの複数の枠に重なりつつ複数が上下方向に斜めに配置されている。複数の補強部材11Dは、交差して設けられ、交差部で互いに溶接などで接合されている。
脚部11Eは、基盤11Aの底面に複数設けられている。脚部11Eは、床面101aに対して摺動することが可能に設けられている。ラック本体11は、脚部11Eにより床面101aに自立して支持され、床面101aに対して相対移動が可能とされている。従って、本実施形態にて説明する核燃料貯蔵用ラック1は、いわゆるフリースタンディング方式のラックである。なお、核燃料貯蔵用ラック1は、ラック本体11が床面101aや縦壁面101bに固定されたものであってもよい。
ラック本体11は、好ましくは直方体形状の外形をなし、貯蔵ピット101の周りを矩形状に囲む4面の縦壁面101bから所定距離を隔てた状態で複数(図1では12個)が平面視の4方向に矩形状に整列して床面101aに配置されている。
図3に示すように、収納セル12は、複数のセル組立体13を含み構成されている。各セル組立体13は、ラック本体11の各支持格子11Cにおいて上下方向に連通する上部、中央部、下部の格子11Caに沿って挿入され、基盤11Aの上面に下端が置かれて支持される。セル組立体13は、支持格子11Cの9個の格子11Caにより仕切られた区画11Cbにそれぞれ挿入される。セル組立体13は、四角形の筒状に形成されて核燃料が挿入される収納領域15が複数設けられている。本実施形態では、収納領域15は、1つのセル組立体13において9個が3×3で整列して設けられている。
なお、図3では、9個のセル組立体13をラック本体11に配置した例を示すが、これに限るものではなく、例えば、図には明示しないが、ラック本体11の支持格子11Cが4×4の16個の格子11Caを有し、16個のセル組立体13を配置してもよい。また、収納領域15も、1つのセル組立体13において9個の例に限るものではなく、例えば、図には明示しないが4×3の12個が整列して設けられていてもよい。収納セル12の詳細な構成については後述する。
従って、核燃料貯蔵用ラック1では、収納セル12の複数のセル組立体13の各収納領域15に挿入された核燃料は、基盤11Aの上面により下端が支持され、収納セル12および支持格子11Cにより周囲が支持され、外枠11Bにより周りを囲まれて耐震強度を確保された形態で、貯蔵ピット101の冷却水103の中で貯蔵される。
また、核燃料貯蔵用ラック1では、収納セル12の複数のセル組立体13は、支持部材である支持格子11Cの各格子11Caに上方から挿入され、上部、中央部、下部の周囲が格子11Caの枠に囲まれて支持されている。このため、複数のセル組立体13の間に支持格子11Cの格子11Caの枠が存在することで、セル組立体13の間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な冷却領域(第三冷却領域)が確保される。これにより、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去できる。
また、核燃料貯蔵用ラック1では、各セル組立体13を並設して配置するラック本体11は、その内部において、複数のセル組立体13を支持する支持格子11Cが、上部と中央部、および中央部と下部の格子11Caの枠が補強部材11Dにより連結されている。補強部材11Dは、ラック本体11の構造強度を補強し耐震性を高める。これにより、耐震強度を向上し、核燃料を保護することができる。なお、補強部材11Dは、上述したセル組立体13を並設して配置するラック本体11に適用されることに限らない。例えば、収納セルが各々核燃料を挿入する収納領域を有するように複数設けられ、ラック本体11は、その内部において、各収納セルを並設して配置するように収納領域への核燃料の挿入方向に支持部材である支持格子を複数配置し、収納セルの間で各支持部材を連結するように補強部材11Dを有する構成としてもよい。このような構成においても、補強部材11Dは、ラック本体11の構造強度を補強し耐震性を高め、耐震強度を向上し、核燃料を保護することができる。
また、核燃料貯蔵用ラック1は、基盤11Aに貫通孔11Aaが設けられている。貫通孔11Aaは、収納セル12において複数のセル組立体13の各収納領域15の略中央に設けられている。貫通孔11Aaは、各収納領域15の内部であって、各収納領域15に挿入された核燃料に対し貯蔵ピット101の冷却水103を送る。これにより、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去できる。
以下、収納セル12の詳細な構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る収納セル12における小セル組立体14およびセル組立体13の斜視図である。図5は、本実施形態に係る小セル組立体14の分解斜視図である。図6は、本実施形態に係る小セル組立体14の部品図である。図7は、図6のA-A断面拡大図、および図8のB-B断面拡大図である。図8は、本実施形態に係る小セル組立体14の部品図である。図9は、本実施形態に係る小セル組立体14の部品図である。図10は、図9のC-C断面拡大図である。図11は、本実施形態に係る小セル組立体14の部分拡大斜視図である。図12は、本実施形態に係る小セル組立体14の分解斜視図である。図13は、本実施形態に係る小セル組立体14の部品図である。図14は、図13のD-D断面拡大図である。図15は、本実施形態に係る小セル組立体14の部分拡大斜視図である。図16は、本実施形態に係る小セル組立体14の分解斜視図である。図17は、本実施形態に係る小セル組立体14の部品図である。図18は、図17のE-E断面拡大図である。図19は、本実施形態に係る小セル組立体14の部分拡大斜視図である。図20~図22は、本実施形態に係る小セル組立体14の部分拡大図である。図23は、本実施形態に係るセル組立体13の部分拡大斜視図である。なお、図4~図23では、セル組立体13や小セル組立体14を横に倒し、収納領域15が横方向に延びるように示している。
上述したように、収納セル12は、複数のセル組立体13を含み構成されている(図3参照)。各セル組立体13は、図4に示すように、複数の小セル組立体14を含み構成されている。即ち、収納セル12は、複数の小セル組立体14と、この複数の小セル組立体14を含む複数のセル組立体13と、を含み構成されている。
小セル組立体14は、中性子吸収材からなる板材で形成されている。中性子吸収材は、ボロン、ガドリニウムの少なくとも一方を添加したステンレス鋼や、ボロン化合物(好ましくは炭化ホウ素)、ガドリニウムの少なくとも一方を含有するアルミニウム複合材からなる。従って、複数の小セル組立体14を含むセル組立体13も同様に中性子吸収材からなる板材で形成されている。
本実施形態のセル組立体13は、図4に示すように、3個の小セル組立体14が組み合わされて構成されている。セル組立体13をなす小セル組立体14を組み合わせる個数は、これに限定されない。
図4において、3個の小セル組立体14を、それぞれ小セル組立体14A、小セル組立体14B、小セル組立体14Cとする。小セル組立体14Aは、セル組立体13において、一方の側部に設けられる。小セル組立体14Bは、セル組立体13において、中央に設けられる。小セル組立体14Cは、セル組立体13において、他方の側部に設けられる。このように、小セル組立体14A、小セル組立体14B、小セル組立体14Cを重ねて組み合わせることでセル組立体13が構成される。
図5に示すように、小セル組立体14Aは、2枚の側板16A,16Bと、6枚の仕切板16Cと、で構成される。
一方の側板16Aは、図6および図7に示すように、核燃料の長さよりも例えば20mm~400mm程度長い長さを有し、核燃料を複数収納できるように核燃料複数(本実施形態では3本)分の幅よりも広い幅を有している。ここで、核燃料の長さ寸法に応じた方向を長さ方向とし、核燃料の幅寸法に応じた方向を幅方向とする。
なお、側板16Aは、中性子吸収材を添加した材料の製作の容易性を考慮すれば、好ましくは、幅方向の最大寸法を1m以内とすることが推奨される。上述した中性子吸収材は、製造する過程の圧延時において、幅方向の端部に耳割れが生じるため、これを生じさせない特殊な製造方法によるか、もしくは、耳割れを切断して除去する必要があるなど、幅方向に広い板の製造は、容易ではない。このため、側板16Aは、幅方向の最大寸法を、製造が比較的容易な1m以内とすることが好ましい。小セル組立体14A,14B,14Cにおいて、核燃料を貯蔵する本数、すなわち、核燃料の収納領域15の個数は、この側板16Aの幅方向の最大寸法に基づいて決定される。
側板16Aは、幅方向の両端に、凸部16Aaと凹部16Abが設けられている。凸部16Aaと凹部16Abは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の側板16Aは、長さ方向の両端側に凸部16Aaが設けられ、ここから凹部16Abと凸部16Aaが交互に設けられている。凸部16Aaと凹部16Abは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凸部16Aaのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Aaと凹部16Abは、少なくとも仕切板16Cの厚さ分を挿入できる寸法で形成されている。
また、側板16Aは、スリット16Acが設けられている。スリット16Acは、仕切板16Cの厚さと同等であり、仕切板16Cを挿入できる寸法で形成されている。スリット16Acは、側板16Aの長さ方向に延在し、長さ方向で所定間隔をおいて複数設けられている。スリット16Acの長さ方向の配置は、凹部16Abの長さ方向の配置と同じく設けられている。また、スリット16Acは、側板16Aの幅方向に複数(本実施形態では4個)設けられている。幅方向の両側に配置されたスリット16Acは、凹部16Abとの間に核燃料の幅を包含する間隔aをおいて配置されている。この幅方向の両側のスリット16Acに対して幅方向で隣り合うスリット16Acは、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水103が流動可能な間隔bをおいて配置されている。また、幅方向の両側のスリット16Acに対して幅方向で隣り合うスリット16Ac同士は、核燃料の幅を包含する間隔aをおいて配置されている。従って、4個のスリット16Acは、幅方向において3個の間隔aをおいて配置されていると共に、2箇所の間隔aの間でそれぞれ間隔bをおいて配置されている。側板16Aのスリット16Acには、図9に示す仕切板16Cの凸部16Caが、間隔aならびに間隔bを跨いで嵌装される。間隔aは、核燃料の収納領域15を形成させるための間隔であり、間隔bは、第一冷却領域17を形成するための間隔である。
他方の側板16Bは、図8に示すように、核燃料の長さよりも長い長さを有し、核燃料を複数収納できるように核燃料複数(本実施形態では3本)分の幅よりも広い幅を有している。他方の側板16Bは、一方の側板16Aと同様の長さおよび幅に形成されている。ここで、核燃料の長さ寸法に応じた方向を長さ方向とし、核燃料の幅寸法に応じた方向を幅方向とする。
なお、側板16Bは、中性子吸収材を添加した材料の製作の容易性を考慮すれば、好ましくは、幅方向の最大寸法を1m以内とすることが推奨される。上述した中性子吸収材は、製造する過程の圧延時において、幅方向の端部に耳割れが生じるため、これを生じさせない特殊な製造方法によるか、もしくは、耳割れを切断して除去する必要があるなど、幅方向に広い板の製造は、容易ではない。このため、側板16Bは、側板16Aと同様に、幅方向の最大寸法を、1m以内とすることが好ましい。小セル組立体14A,14B,14Cにおいて、核燃料を貯蔵する本数すなわち、核燃料の収納領域15の個数は、この側板16Bの幅方向の最大寸法に基づいて決定される。
側板16Bは、幅方向の両端に、凸部16Baと凹部16Bbが設けられている。凸部16Baと凹部16Bbは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の側板16Bは、長さ方向の両端側に凹部16Bbが設けられ、ここから凸部16Baと凹部16Bbが交互に設けられている。凸部16Baと凹部16Bbは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凹部16Bbのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Baと凹部16Bbは、少なくとも仕切板16Cの厚さ分を挿入できる寸法で形成されている。
また、側板16Bは、スリット16Bcが設けられている。スリット16Bcは、仕切板16Cの厚さと同等であり、仕切板16Cを挿入できる寸法で形成されている。スリット16Bcは、側板16Bの長さ方向に延在し、長さ方向で所定間隔をおいて複数設けられている。スリット16Bcの長さ方向の配置は、凹部16Bbの長さ方向の配置と同じく設けられている。また、スリット16Bcは、側板16Bの幅方向に複数(本実施形態では4個)設けられている。幅方向の両側に配置されたスリット16Bcは、凹部16Bbとの間に核燃料の幅を包含する間隔aをおいて配置されている。この幅方向の両側のスリット16Bcに対して幅方向で隣り合うスリット16Bcは、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水が流動可能な間隔bをおいて配置されている。また、幅方向の両側のスリット16Bcに対して幅方向で隣り合うスリット16Bc同士は、核燃料の幅を包含する間隔aをおいて配置されている。従って、4個のスリット16Bcは、幅方向において3個の間隔aをおいて配置されていると共に、2箇所の間隔aの間でそれぞれ間隔bをおいて配置されている。側板16Bのスリット16Bcには、図9に示す仕切板16Cの凸部16Caが、間隔aならびに間隔bを跨いで嵌装される。間隔aは、核燃料の収納領域15を形成させるための間隔であり、間隔bは、第一冷却領域17を形成するための間隔である。
仕切板16Cは、図9および図10に示すように、核燃料の長さよりも長い長さを有し、核燃料を複数収納できるように核燃料1本分の幅よりも広い幅を有している。仕切板16Cは、側板16A,16Bと同様の長さに形成されている。ここで、核燃料の長さ寸法に応じた方向を長さ方向とし、核燃料の幅寸法に応じた方向を幅方向とする。
仕切板16Cは、幅方向の一側に、凸部(突出片)16Caと凹部16Cbが設けられている。凸部16Caと凹部16Cbは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Cは、長さ方向の両端側に凹部16Cbが設けられ、ここから凸部16Caと凹部16Cbが交互に設けられている。凸部16Caと凹部16Cbは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凹部16Cbのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Caと凹部16Cbは、一方の側板16Aの厚さに、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水が流動可能な間隔bを加えた寸法cで形成されている。
また、仕切板16Cは、幅方向の他側に、凸部16Ccと凹部16Cdが設けられている。凸部16Ccと凹部16Cdは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Cは、長さ方向の両端側に凸部16Ccが設けられ、ここから凹部16Cdと凸部16Ccが交互に設けられている。凸部16Ccと凹部16Cdは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凸部16Ccのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Ccと凹部16Cdは、他方の側板16Bの厚さ分の寸法dまたはそれ以上で形成されている。
なお、本実施形態では、側板16A,16Bおよび仕切板16Cは、同じ厚さで形成されている。
小セル組立体14Aは、図5および図11に示すように、側板16A,16Bの2枚を互いに板面を対向して平行に配置し、6枚の仕切板16Cを側板16A,16Bの間に側板16A,16Bに対して垂直に設ける。具体的には、図6~図10において、一方の側板16Aの幅方向の両端部では、凸部16Aaと仕切板16Cの凹部16Cbを嵌め合わせると共に、凹部16Abと仕切板16Cの凸部16Caを嵌め合わせる。また、一方の側板16Aのスリット16Acに仕切板16Cの凸部16Caを挿入して嵌め合わせる。他方の側板16Bの幅方向の両端部では、凸部16Baと仕切板16Cの凹部16Cdを嵌め合わせると共に、凹部16Bbと仕切板16Cの凸部16Ccを嵌め合わせる。また、他方の側板16Bのスリット16Bcに仕切板16Cの凸部16Ccを挿入して嵌め合わせる。そして、各嵌め合わせの部分を溶接にて接合する。
これにより、仕切板16Cによって側板16A,16Bの間に核燃料が挿入される間隔aが確保され、各仕切板16Cの間に核燃料が挿入される間隔aが確保されることで、小セル組立体14Aにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Cで囲まれた収納領域15が幅方向に複数(本実施形態では3個)並設される。また、各仕切板16Cの間に冷却水が流動可能な間隔bが確保されることで、小セル組立体14Aにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Cで囲まれた収納領域15の間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な第一冷却領域17が形成される。また、小セル組立体14Aは、一方の側板16Aの外側に、各仕切板16Cの凸部16Caが突出する。
図12に示すように、小セル組立体14Bは、2枚の側板16A,16Bと、6枚の仕切板16Dと、で構成される。
側板16A,16Bは、小セル組立体14Aの側板16A,16Bと同じ構成であり、説明を省略する。
仕切板16Dは、図13および図14に示すように、核燃料の長さよりも長い長さを有し、核燃料を複数収納できるように核燃料1本分の幅よりも広い幅を有している。仕切板16Dは、側板16A,16Bと同様の長さに形成されている。ここで、核燃料の長さ寸法に応じた方向を長さ方向とし、核燃料の幅寸法に応じた方向を幅方向とする。
仕切板16Dは、幅方向の一側に、凸部(突出片)16Daと凹部16Dbが設けられている。凸部16Daと凹部16Dbは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Dは、長さ方向の両端側に凹部16Dbが設けられ、ここから凸部16Daと凹部16Dbが交互に設けられている。凸部16Daと凹部16Dbは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凹部16Dbのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Daと凹部16Dbは、一方の側板16Aの厚さに、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水が流動可能な間隔bを加えた寸法cで形成されている。
また、仕切板16Dは、幅方向の他側に、凸部(突出片)16Dcと凹部16Ddが設けられている。凸部16Dcと凹部16Ddは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Dは、長さ方向の両端側に凸部16Dcが設けられ、ここから凹部16Ddと凸部16Dcが交互に設けられている。凸部16Dcと凹部16Ddは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凸部16Dcのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Dcと凹部16Ddは、他方の側板16Bの厚さに、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水が流動可能な間隔bを加えた寸法cで形成されている。
なお、本実施形態では、側板16A,16Bおよび仕切板16Dは、同じ厚さで形成されている。
小セル組立体14Bは、図12および図15に示すように、2枚の側板16A,16Bを互いに板面を対向して平行に配置し、6枚の仕切板16Dを側板16A,16Bの間に側板16A,16Bに対して垂直に設ける。具体的には、図6~図8、図13~図14において、一方の側板16Aの幅方向の両端部では、凸部16Aaと仕切板16Dの凹部16Dbを嵌め合わせると共に、凹部16Abと仕切板16Dの凸部16Daを嵌め合わせる。また、一方の側板16Aのスリット16Acに仕切板16Dの凸部16Daを挿入して嵌め合わせる。他方の側板16Bの幅方向の両端部では、凸部16Baと仕切板16Dの凹部16Ddを嵌め合わせると共に、凹部16Bbと仕切板16Dの凸部16Dcを嵌め合わせる。また、他方の側板16Bのスリット16Bcに仕切板16Dの凸部16Dcを挿入して嵌め合わせる。そして、各嵌め合わせの部分を溶接にて接合する。
これにより、仕切板16Dによって側板16A,16Bの間に核燃料が挿入される間隔aが確保され、各仕切板16Dの間に核燃料が挿入される間隔aが確保されることで、小セル組立体14Bにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Dで囲まれた収納領域15が幅方向に複数(本実施形態では3個)並設される。また、各仕切板16Dの間に冷却水が流動可能な間隔bが確保されることで、小セル組立体14Bにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Dで囲まれた収納領域15の間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な第一冷却領域17が形成される。また、小セル組立体14Bは、一方の側板16Aの外側に、各仕切板16Dの凸部16Daが突出する。また、小セル組立体14Bは、他方の側板16Bの外側に、各仕切板16Dの凸部16Dcが突出する。
図16に示すように、小セル組立体14Cは、2枚の側板16A,16Bと、6枚の仕切板16Eと、で構成される。
側板16A,16Bは、小セル組立体14A,14Bの側板16A,16Bと同じ構成であり、説明を省略する。
仕切板16Eは、図17および図18に示すように、核燃料の長さよりも長い長さを有し、核燃料を複数収納できるように核燃料1本分の幅よりも広い幅を有している。仕切板16Eは、側板16A,16Bと同様の長さに形成されている。ここで、核燃料の長さ寸法に応じた方向を長さ方向とし、核燃料の幅寸法に応じた方向を幅方向とする。
仕切板16Eは、幅方向の一側に、凸部16Eaと凹部16Ebが設けられている。凸部16Eaと凹部16Ebは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Eは、長さ方向の両端側に凹部16Ebが設けられ、ここから凸部16Eaと凹部16Ebが交互に設けられている。凸部16Eaと凹部16Ebは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凹部16Ebのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Eaと凹部16Ebは、一方の側板16Aの厚さ分の寸法dで形成されている。
また、仕切板16Eは、幅方向の他側に、凸部(突出片)16Ecと凹部16Edが設けられている。凸部16Ecと凹部16Edは、長さ方向に交互に設けられている。本実施形態の仕切板16Eは、長さ方向の両端側に凸部16Ecが設けられ、ここから凹部16Edと凸部16Ecが交互に設けられている。凸部16Ecと凹部16Edは、長さ方向の寸法が同じに形成され、長さ方向の両端側の凸部16Ecのみがその半分程度の寸法に形成されている。また、凸部16Ecと凹部16Edは、他方の側板16Bの厚さに、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去し得るように冷却水が流動可能な間隔bを加えた寸法cで形成されている。
なお、本実施形態では、側板16A,16Bおよび仕切板16Eは、同じ厚さで形成されている。
小セル組立体14Cは、図16および図19に示すように、2枚の側板16A,16Bを互いに板面を対向して平行に配置し、6枚の仕切板16Eを側板16A,16Bの間に側板16A,16Bに対して垂直に設ける。具体的には、図6~図8、図17~図18において、一方の側板16Aの幅方向の両端部では、凸部16Aaと仕切板16Eの凹部16Ebを嵌め合わせると共に、凹部16Abと仕切板16Eの凸部16Eaを嵌め合わせる。また、一方の側板16Aのスリット16Acに仕切板16Eの凸部16Eaを挿入して嵌め合わせる。他方の側板16Bの幅方向の両端部では、凸部16Baと仕切板16Eの凹部16Edを嵌め合わせると共に、凹部16Bbと仕切板16Eの凸部16Ecを嵌め合わせる。また、他方の側板16Bのスリット16Bcに仕切板16Eの凸部16Ecを挿入して嵌め合わせる。そして、各嵌め合わせの部分を溶接にて接合する。
これにより、仕切板16Eによって側板16A,16Bの間に核燃料が挿入される間隔aが確保され、各仕切板16Eの間に核燃料が挿入される間隔aが確保されることで、小セル組立体14Cにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Eで囲まれた収納領域15が幅方向に複数(本実施形態では3個)並設される。また、各仕切板16Eの間に冷却水が流動可能な間隔bが確保されることで、小セル組立体14Cにおいて、側板16A,16Bおよび仕切板16Eで囲まれた収納領域15の間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な第一冷却領域17が形成される。また、小セル組立体14Cは、他方の側板16Bの外側に、各仕切板16Eの凸部16Ecが突出する。
ここで、小セル組立体14の接合に際し、図20に示すように、仕切板16C,16D,16Eが、側板16A,16Bの内側に位置する部分にレ形(片側)開先16Fを形成して開先溶接21により接合する方法がある。また、小セル組立体14の接合に際し、図21に示すように、側板16A,16Bの幅方向寸法を大きくし、凸部16Aa,16Baと凹部16Ab,16Bbの寸法を仕切板16C,16D,16Eの厚さ分を超える寸法とし、側板16A,16Bと仕切板16C,16D,16Eとの間に入隅を形成して隅肉溶接22により接合する方法もある。また、小セル組立体14の接合に際し、図22に示すように、側板16A,16Bの外側に突出する仕切板16Dの凸部16Da,16Dcに楔部材16Gを差し込むための開口(好ましくは、矩形開口、なお図は省略。)を設け、この開口に楔部材16Gを差し込み、楔部材16Gに抜止部材16Hを溶接して抜け止めする方法がある。楔部材16Gに抜止部材16Hを溶接固定すれば、側板16A,16Bや仕切板16Dの溶接ひずみを回避できるため、小セル組立体14を精度よく製造できる。なお、図22において、側板16A,16Bの外側に突出する仕切板16Dの凸部16Da,16Dc,16Ecに楔部材16Gを差し込んで楔部材16Gを側板16A,16Bや仕切板16Dに溶接により固定してもよい。この溶接は、楔部材16Gが抜け出ないための微量な溶接であることから、側板16A,16Bや仕切板16Dに生じる溶接ひずみは無視できる程度の微量なものである。溶接ひずみは、最も軟弱な楔部材16Gにのみ発生し、側板16A,16Bや仕切板16Dには影響を与えない。
なお、小セル組立体14Aにおいて、側板16Aのスリット16Acから外側に突出した仕切板16Cの凸部16Caと側板16Aとの溶接や、側板16Bのスリット16Bcから外側に突出した仕切板16Cの凸部16Ccと側板16Bとの溶接は行わないことが好ましい。また、小セル組立体14Bにおいて、側板16Aのスリット16Acから外側に突出した仕切板16Dの凸部16Daと側板16Aとの溶接や、側板16Bのスリット16Bcから外側に突出した仕切板16Dの凸部16Dcと側板16Bとの溶接は行わないことが好ましい。また、小セル組立体14Cにおいて、側板16Aのスリット16Acから外側に突出した仕切板16Eの凸部16Eaと側板16Aとの溶接や、側板16Bのスリット16Bcから外側に突出した仕切板16Eの凸部16Ecと側板16Bとの溶接は行わないことが好ましい。このようにすることで、側板16A,16Bや仕切板16Dへの溶接ひずみが無視できる程度の微量なものとなる。
そして、このように構成した各小セル組立体14(14A,14B,14C)を、図4に示すように接合し、セル組立体13を構成する。図4では、小セル組立体14Aの一方の側板16Aと、小セル組立体14Bの他方の側板16Bとの板面を対向させ、対向する各小セル組立体14A,14B同士を溶接によって接合する。また、小セル組立体14Bの一方の側板16Aと、小セル組立体14Cの他方の側板16Bとの板面を対向させて、対向する各小セル組立体14B,14C同士を溶接によって接合する。
具体的に、小セル組立体14Aと小セル組立体14Bとの接合では、小セル組立体14Aにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部の凸部16Aaと、小セル組立体14Bにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部に位置する仕切板16Dの凸部16Dcと、を溶接により接合する。また、小セル組立体14Aにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部に位置する仕切板16Cの凸部16Caと、小セル組立体14Bにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部の凸部16Baと、を溶接により接合する。また、小セル組立体14Aにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部に位置する仕切板16Cと、小セル組立体14Bにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部に位置する仕切板16Dと、を溶接により接合する。小セル組立体14Bと小セル組立体14Cとの接合では、小セル組立体14Bにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部の凸部16Aaと、小セル組立体14Cにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部に位置する仕切板16Eの凸部16Ecと、を溶接により接合する。また、小セル組立体14Bにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部に位置する仕切板16Dの凸部16Daと、小セル組立体14Cにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部の凸部16Baと、を溶接により接合する。また、小セル組立体14Bにおける一方の側板16Aの幅方向の両端部に位置する仕切板16Dと、小セル組立体14Cにおける他方の側板16Bの幅方向の両端部に位置する仕切板16Eと、を溶接により接合する。このようにして、セル組立体13が構成される。
図23に示すように、セル組立体13は、小セル組立体14Aと小セル組立体14Bと小セル組立体14Cとの接合により、9個の収納領域15が3×3で整列して設けられる。また、小セル組立体14Aと小セル組立体14Bとの接合において、小セル組立体14Aにおける一方の側板16Aの外側に突出した各仕切板16Cの凸部16Caと、小セル組立体14Bにおける他方の側板16Bの外側に突出した各仕切板16Dの凸部16Dcと、により、小セル組立体14Aの一方の側板16Aの外面と、小セル組立体14Bの他方の側板16Bの外面との間に冷却水が流動可能な間隔bを有する第二冷却領域18が形成される。また、小セル組立体14Bと小セル組立体14Cとの接合において、小セル組立体14Bにおける一方の側板16Aの外側に突出した各仕切板16Dの凸部16Daと、小セル組立体14Cにおける他方の側板16Bの外側に突出した各仕切板16Eの凸部16Ecと、により、小セル組立体14Bの一方の側板16Aの外面と、小セル組立体14Cの他方の側板16Bの外面との間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な間隔bを有する第二冷却領域18が収納領域15の周りを囲むように形成される。
なお、側板16A,16Bおよび仕切板16C,16E,16Dの厚さは、収納領域15に収納される核燃料を臨界未満に保持するに必要な厚さとするが、中性子吸収材を添加した材料は、薄板への圧延が困難であることと、厚くし過ぎると2枚割れを生じさせるおそれがあることから、これら製作の容易性を考慮して、2mm~10mm程度にすることが望ましい。
図24および図15は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大断面図である。
上述のように構成された収納セル12の複数のセル組立体13は、図2および図3で示したように、ラック本体11の各支持格子11Cにおいて上下方向に連通する上部、中央部、下部の格子11Caに沿って挿入され、基盤11Aの上面に下端が置かれて支持される。そして、図24および図25に示すように、複数のセル組立体13の間に支持格子11Cの格子11Caの枠が存在することで、セル組立体13の間に貯蔵ピット101の冷却水103が流動可能な第三冷却領域19が確保される。これにより、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去できる。
なお、図2および図3において、支持格子11Cは、上部、中央部、下部の3箇所に設置した実施例を示したが、必ずしも3箇所に限定するものではなく、上部と下部の2箇所、またはこれよりも多い適宜な個数を設置してもよい。
ここで、支持格子11Cの格子11Caの枠とセル組立体13との間に隙間が生じる場合、図24および図25に示すように、支持格子11Cの格子11Caの枠とセル組立体13との間にシムまたは楔からなる位置決部材20を設けてもよい。これにより、セル組立体13の間に第三冷却領域19を確保すると共に、支持格子11Cの格子11Caの枠にセル組立体13を位置決めして固定できる。なお、図24では、位置決部材20は、板状(または楔状)に形成されて支持格子11Cの格子11Caの枠とセル組立体13との間に挿入され、支持格子11Cの格子11Caの枠に引っ掛かる止具20aが上下端部に溶接固定されることで、支持格子11Cに取り付けられている。また、図25では、位置決部材20は、板状(または楔状)に形成されて支持格子11Cの格子11Caの枠とセル組立体13との間に挿入され、上端部の折曲部20bが支持格子11Cの格子11Caの枠に引っ掛かり、下端部に止具20aが溶接固定されることで、支持格子11Cに取り付けられている。または、支持格子11Cの格子11Caの枠とセル組立体13との間に位置決部材20を挿入して配置した状態で、セル組立体13と位置決部材20と格子11Caの枠とを貫通するボルト20cにより、セル組立体13を格子11Caの枠に固定してもよい。なお、セル組立体13の質量は、数百kg相当となることが想定されることから、セル組立体13は、ラック本体11の、セル組立体13を挿入するための区画11Cbに挿入するのみとしてもよい。
上述したように、本実施形態の収納セル12は、複数の小セル組立体14から成るセル組立体13を含み、小セル組立体14は、対向する一対の側板16A,16Bと、対向する一対の側板16A,16Bどうしを接続するように配置された複数の仕切板16C(16D,16E)と、を有し、対向する一対の側板16A,16Bと複数の仕切板16C(16D,16E)とにより核燃料が挿入可能に構成された収納領域15が複数並設され、且つ各収納領域15の間に冷却水103が流動可能な第一冷却領域17が形成され、セル組立体13は、隣合う小セル組立体14において側板16A,16Bが対向するように複数の小セル組立体14が並べられて構成されており、隣合う小セル組立体14の間に冷却水103が流動可能な第二冷却領域18が形成される。
この収納セル12によれば、複数の板材(側板16A,16B、仕切板16C(16D,16E))の組み合わせで、複数の収納領域15を並設して配置し且つ各収納領域15の間に第一冷却領域17や第二冷却領域18が設けられている。この結果、核燃料を挿入する収納領域15の間に冷却領域17,18を確保できる。
また、本実施形態の収納セル12では、小セル組立体14A(14B,14C)は、仕切板16C(16D,16E)の一部が側板16A,16Bの外側に貫通する突出片としての凸部16Ca(16Da,16Dc,16Ec)を有し、セル組立体13として接合された状態で凸部16Ca(16Da,16Dc,16Ec)により第二冷却領域18が規定されていることが好ましい。
従って、各小セル組立体14A,14B,14Cの間の第二冷却領域18が仕切板16C,16D,16Eの凸部16Ca,16Da,16Dc,16Ecで規定されるため、第二冷却領域18を容易に規定できる。
また、本実施形態の収納セル12では、凸部16Ca,16Da,16Dc,16Ecは、断続的に側板16A,16Bの外側に貫通して設けられ、複数の小セル組立体14A,14B,14Cがセル組立体13として接合された状態で、一方の小セル組立体14A(14B)の凸部16Ca(16Da)と、他方の小セル組立体14B(14C)の凸部16Dc(16Ec)とが交互に配置されることが好ましい。
従って、一方の小セル組立体14A(14B)の凸部16Ca(16Da)と、他方の小セル組立体14B(14C)の凸部16Dc(16Ec)とが交互に配置されることで、一方の小セル組立体14A(14B)と他方の小セル組立体14B(14C)との接合強度を向上でき、且つ、第二冷却領域18を容易に規定できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1は、上述した収納セル12と、収納セル12におけるセル組立体13を複数支持して貯蔵ピット101の床面101aに載置されるラック本体11と、を含み、ラック本体11は、各セル組立体13を並設して支持し且つ各セル組立体13の間に冷却水が流動可能な第三冷却領域19を形成する支持部材としての支持格子11Cを有する。
この核燃料貯蔵用ラック1によれば、支持格子11Cが各セル組立体13を支持すると共に、各セル組立体13の間に第三冷却領域19を確保することで、個々の核燃料を挿入する収納領域15を容易に構成することができると共に、収納領域15の間に冷却水103を配置する冷却領域17,18,19を確保できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、ラック本体11は、収納領域15への核燃料の挿入方向に支持格子11Cを複数配置し、セル組立体13の間で各支持格子11Cを連結する補強部材11Dを有することが好ましい。
従って、支持格子11Cの間に補強部材11Dを設けることで、ラック本体11の強度を向上できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、支持格子11Cとセル組立体13との間に配置されて支持格子11Cに対してセル組立体13の位置を固定する位置決部材20を有することが好ましい。
従って、位置決部材20により、支持格子11Cに対してセル組立体13の位置を規定することで、第三冷却領域19を規定できる。
本実施形態の収納セル12の製造方法は、対向する一対の側板16A,16Bと、対向する一対の側板16A,16Bどうしを接続するように配置される複数の仕切板16C(16D,16E)とにより、核燃料が挿入可能に構成された収納領域15を複数並設し、且つ各収納領域15の間に冷却水103が流動可能な第一冷却領域17を形成する小セル組立体14を複数構成する工程と、隣合う小セル組立体14において側板16A,16Bが対向するように複数の小セル組立体14を並べて、隣合う小セル組立体14の間に冷却水103が流動可能な第二冷却領域18を形成するセル組立体13を構成する工程と、を含む。
この収納セル12の製造方法によれば、複数の板材(側板16A,16B、仕切板16C(16D,16E))の組み合わせで、複数の収納領域15を並設して配置し且つ各収納領域15の間に第一冷却領域17や第二冷却領域18が設けられる。この結果、核燃料を挿入する収納領域15の間に冷却領域17,18を確保できる。
また、本実施形態の収納セル12の製造方法では、小セル組立体14A(14B,14C)は、仕切板16C(16D,16E)の一部が側板16A,16Bの外側に貫通する突出片としての凸部16Ca(16Da,16Dc,16Ec)を有し、凸部16Ca(16Da,16Dc,16Ec)を介してセル組立体13として接合し第二冷却領域18を規定する。
従って、各小セル組立体14A,14B,14Cの間の第二冷却領域18が仕切板16C,16D,16Eの凸部16Ca,16Da,16Dc,16Ecで規定されるため、第二冷却領域18を容易に規定できる。
また、本実施形態の収納セル12の製造方法では、側板16A,16Bの外側に貫通した凸部16Ca(16Da,16Dc,16Ec)に楔部材16Gを挿入し、楔部材16Gを抜け止めする抜止部材16Hを楔部材16Gに溶接することが好ましい。
従って、各小セル組立体14A,14B,14Cの組み立て時に、楔部材16Gで組み付けを行い、抜止部材16Hを楔部材16Gに溶接して楔部材16Gを固定する。この結果、側板16A,16Bや仕切板16C(16D,16E)の溶接箇所を低減でき溶接ひずみを回避できるため、小セル組立体14A,14B,14Cを精度よく製造できる。
本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法は、対向する一対の側板16A,16Bと、対向する一対の側板16A,16Bどうしを接続するように配置される複数の仕切板16C(16D,16E)とにより、核燃料が挿入可能に構成された収納領域15を複数並設し、且つ各収納領域15の間に冷却水103が流動可能な第一冷却領域17を形成する小セル組立体14を複数構成する工程と、隣合う小セル組立体14において側板16A,16Bが対向するように複数の小セル組立体14を並べて、隣合う小セル組立体14の間に冷却水103が流動可能な第二冷却領域18を形成するセル組立体13を複数構成する工程と、貯蔵ピット101の床面101aに載置されるラック本体11に、複数のセル組立体13を並設するように配置し且つ各セル組立体13の間に冷却水103が流動可能な第三冷却領域19を形成する工程と、を含む。
この核燃料貯蔵用ラック1の製造方法によれば、個々の核燃料を挿入する収納領域15を容易に構成することができると共に、収納領域15の間に冷却水103を配置する冷却領域17,18,19を確保できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法では、ラック本体11は、各セル組立体13を並設して支持し且つ各セル組立体13の間に第三冷却領域19を確保する支持部材としての支持格子11Cを有し、支持格子11Cを介して各セル組立体13を固定することが好ましい。
従って、支持格子11Cが各セル組立体13を支持すると共に、各セル組立体13の間に第三冷却領域19を確保することで、個々の核燃料を挿入する収納領域15を容易に構成することができると共に、収納領域15の間に冷却水103を配置する冷却領域17,18,19を確保できる。
ところで、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1は、地震発生時に作用する水平力を冷却水103の流体付加減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。その反面、地震レベルが大きくなると、移動方向の片側がロックされて移動方向の反対側の片側が浮き上がるロッキング事象が発生し、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突したり、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面101bに接近したりすることが課題となっている。核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突すると、ラック本体11および収納セル12に荷重が伝わり応力が過大となるおそれがある。核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の床面101aや縦壁面101bに衝突すると、床面101aや縦壁面101bのライニングが損傷した場合に当該床面101aや縦壁面101bの保護ができなくなるおそれがある。核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット101の縦壁面101bに接近すると、貯蔵ピット101の壁の向こう側に存在する通路などに核燃料が近くなり放射線の影響が生じるおそれがある。
ここで、転倒モーメントと安定モーメントの相関について検討する。核燃料貯蔵用ラック1の質量M、重力加速度G、水平方向地震加速度FH、鉛直方向地震加速度FV、核燃料貯蔵用ラック1の重心位置から床面101aまでの高さH、核燃料貯蔵用ラック1の重心位置から核燃料貯蔵用ラック1のロッキング時の回転軸心(最も転倒方向に近い脚部11E)までの水平距離L、とする。
核燃料貯蔵用ラック1の水平方向地震力F=M×FH
核燃料貯蔵用ラック1の鉛直方向の地震力P=M×(G±FV)
核燃料貯蔵用ラック1への浮き上がる方向への地震力P=M×(G-FV)
核燃料貯蔵用ラック1の転倒モーメントMt=F×H
核燃料貯蔵用ラック1の安定モーメントMa=P×L
核燃料貯蔵用ラック1の最小安定モーメントMamin=M×(G-FV)×L
そして、転倒モーメントMtよりも安定モーメントMaが大きければ(Mt<Ma)核燃料貯蔵用ラック1は転倒せず、転倒モーメントMtよりも安定モーメントMaが小さければ(Mt>Ma)核燃料貯蔵用ラック1は転倒する。従って、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1において床面101aに安定して載置するには、核燃料の高さ(核燃料貯蔵用ラック1の重心位置から床面101aまでの高さH)が決められていることから、回転軸芯から重心位置までの水平距離Lを大きくすることが望ましい。
しかし、上述したように、中性子吸収材は、製造する過程の圧延時において、幅方向の端部に耳割れが生じるため、これを生じさせない特殊な製造方法によるか、もしくは、耳割れを切断して除去する必要があるなど、幅方向に広い板の製造は、容易ではない。このため、中性子吸収材は、幅方向の最大寸法を、製造が可能な1m以内とすることが望ましく、これでは、水平距離Lを大きくすることが難しい。
本実施形態では、収納セル12が、対向する二枚の側板16A,16Bと、側板16A,16Bの間に設けられた仕切板16C(16D,16E)とで、各側板16A,16Bの間の複数の仕切板16C(16D,16E)により核燃料が挿入される収納領域15が複数並設され且つ各収納領域15の間に冷却水103が流動可能な第一冷却領域17を有する小セル組立体14と、複数の小セル組立体14A,14B,14Cの側板16A,16Bを対向させた間に冷却水が流動可能な第二冷却領域18を形成するように各小セル組立体14A,14B,14Cが接合されたセル組立体13と、を含む。
このため、本実施形態の収納セル12によれば、小セル組立体14において、側板16A,16Bの幅方向の最大寸法を小さくしても、複数の小セル組立体14A,14B,14Cを接合したセル組立体13を構成することから、セル組立体13の水平距離Lを大きくでき、転倒モーメントMtよりも安定モーメントMaを大きくできる。また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1によれば、複数の収納セル12をラック本体11に配置するため、ラック本体11の水平距離Lを大きくでき、転倒モーメントMtよりも安定モーメントMaを大きくできる。