[1]実施例
図1は実施例に係る保険料決定システム1の全体構成の一例を表す。保険料決定システム1は、ユーザの操作により飛行する飛行体に対する保険料を算出するシステムである。ここでいう保険料は、保険会社が飛行体を対象として提供する保険に関するものであればよく、例えば賠償保険(人の怪我及び物の破損等に対する保険)及び機体保険(飛行体自体の破損等に対する保険)等が含まれる。
保険料決定システム1は、本実施例では、飛行体であるドローンに対する保険料を算出する。保険料決定システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、ドローン20と、プロポ30とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。
ネットワーク2には、サーバ装置10が有線通信によりアクセスし(無線通信でもよい)、ドローン20及びプロポ30が無線通信によりアクセスしている。ドローン20は、上述した保険の対象となる飛行体である。ドローン20は、撮影、監視、検査及び搬送等の様々な用途で用いられる。
ドローン20は、本実施例では、1以上の回転翼を備え、それらの回転翼を回転させて飛行する回転翼機型の飛行体である。ドローン20は、定められた飛行経路を自律的に飛行することもできるが、本実施例では、操作者の操作によって飛行する。プロポ30は、プロポーショナル式の制御(比例制御)を行う装置であり、操作者がドローン20の操作に用いる。
サーバ装置10は、ドローン20に対する保険料を決定するための各種処理を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。サーバ装置10は、本実施例では、操作者による操作履歴と、ドローン20の飛行履歴に応じて保険料を決定する。サーバ装置10は、例えばユーザが新規に保険に入るとき、又は、加入済みの保険の料金を定期的に見直すときに、保険料を決定する。
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。図2では、サーバ装置10のハードウェア構成が表されている。サーバ装置10は、物理的には、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。
また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
例えば、ベースバンド信号処理部等は、プロセッサ11によって実現されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
上述の各種処理は、1つのプロセッサ11によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ11は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ12は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及びストレージ13の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。
通信装置14は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置14は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
例えば、上述の送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置14によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。また、プロセッサ11、メモリ12などの各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
図3はドローン20のハードウェア構成の一例を表す。ドローン20は、物理的には、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、飛行装置25と、センサ装置26と、バッテリー27と、カメラ28と、バス29などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。これらのうち図2に同名のハードウェアが表されているものは、性能及び仕様等の違いはあるがそれらと同種のハードウェアである。
通信装置24は、ネットワーク2との通信に加え、プロポ30との通信を行う機能(例えば2.4GHz帯の電波による無線通信機能)を有する。飛行装置25は、モータ及びローター等を備え、自機を飛行させる装置である。飛行装置25は、空中において、あらゆる方向に自機を移動させたり、自機を静止(ホバリング)させたりすることができる。
センサ装置26は、飛行制御に必要な情報を取得するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、例えば、自機の位置(緯度及び経度)を測定する位置センサと、自機が向いている方向(ドローンには自機の正面方向が定められており、その正面方向が向いている方向)を測定する方向センサと、自機の高度を測定する高度センサとを備える。
また、センサ装置26は、自機の速度を測定する速度センサと、3軸の角速度及び3方向の加速度を測定する慣性計測センサ(IMU(Inertial Measurement Unit))とを備える。バッテリー27は、電力を蓄積し、ドローン20の各部に電力を供給する装置である。カメラ28は、イメージセンサ及び光学系の部品等を備え、レンズが向いている方向にある物体を撮影する。
図4はプロポ30のハードウェア構成の一例を表す。プロポ30は、物理的には、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、入力装置35と、出力装置36と、バス37などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。これらのうち図2に同名のハードウェアが表されているものは、性能及び仕様等の違いはあるがそれらと同種のハードウェアである。
入力装置35は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えばスイッチ、ボタン及びセンサ等)である。特に、入力装置35は、左スティック351及び右スティック352を備え、これらのスティックへの操作をドローン20の前後方向、上下方向、左右方向、回転方向への移動操作として受け付ける。出力装置36は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えばモニター361、スピーカー及びLED(Light Emitting Diode)ランプ等)である。なお、入力装置35及び出力装置36は、一体となった構成(例えばモニター361がタッチスクリーン)であってもよい。
また、上記の各装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよい。また、上記の各装置は、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
保険料決定システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図5は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、操作履歴取得部101と、飛行履歴取得部102と、期間特定部103と、技量判定部104と、保険料決定部105と、保険料出力部106とを備える。ドローン20は、動作制御部201と、センサ測定部202と、飛行履歴通知部203とを備える。プロポ30は、操作受付部301と、動作指示部302と、操作履歴通知部303とを備える。
プロポ30の操作受付部301は、操作者がドローン20に対して行う操作を受け付ける。ドローン20に対して行う操作とは、例えば、左スティック351及び右スティック352をそれぞれ動かす(傾ける)操作である。各スティックを動かす操作が、上昇、下降、前進、後退、右移動、左移動、右転回及び左転回という基本的な移動の操作に対応付けられている。
また、操作受付部301は、自動離陸、自動帰還及び自動追尾等のドローン20に自動的に所定の飛行を行わせる操作及びカメラ28を用いた撮影の操作も受け付ける。操作受付部301は、受け付けた操作内容を示す操作データを動作指示部302及び操作履歴通知部303に供給する。操作内容とは、操作された操作子の種類(スティック又はボタン等)、操作の量(スティックを動かした量等)、操作の速度(スティックを動かす速度等)及び操作の方向(スティックを動かす方向等)等である。
動作指示部302は、供給された操作データが示す操作内容に応じた動作をドローン20に対して指示する。動作指示部302は、動作の指示と操作者であるユーザを識別するユーザID(Identification)とを示す動作指示データを生成してドローン20に送信することで、操作内容に応じた動作を指示する。このユーザIDは、ユーザによるプロポ30の入力装置35を用いた入力又は外部装置からの入力によって予めプロポ30に記憶されているものとする。
ドローン20の動作制御部201は、送信されてきた動作指示データを受信すると、その動作指示データが示す動作を行うよう自機の各部を制御する。動作制御部201は、各部の制御を行うために、センサ測定部202に対してセンサによる測定結果を要求する。センサ測定部202は、図3に表すセンサ装置26が備える各センサ(位置センサ、方向センサ、高度センサ、速度センサ、慣性計測センサ)を用いて測定を行う。
センサ測定部202は、各センサにより自機の位置、方向、高度、速度、角速度、加速度を所定の時間間隔で繰り返し測定し、それらの測定結果を動作制御部201及び飛行履歴通知部203に供給する。動作制御部201は、供給された測定結果に基づいて自機の各部を制御して自機を飛行させる。
プロポ30の操作履歴通知部303は、操作受付部301から供給された操作データが示す操作内容と、その操作が行われた操作時刻(例えば現在時刻)と、その操作を行うユーザのユーザIDとを示す操作履歴データを生成する。操作履歴通知部303は、生成した操作履歴データをサーバ装置10に送信することで、操作履歴(操作内容及び操作時刻)をサーバ装置10に通知する。
サーバ装置10の操作履歴取得部101は、送信されてきた操作履歴データが示す操作履歴(操作内容及び操作時刻)を、その操作履歴データが示すユーザIDにより識別されるユーザによるドローン20の操作履歴として取得する。操作履歴取得部101は本発明の「操作履歴取得部」の一例である。操作履歴取得部101は、取得した操作履歴をユーザIDに対応付けて記憶しておく。
ドローン20の動作制御部201は、受信した動作指示データが示すユーザIDを飛行履歴通知部203に供給する。飛行履歴通知部203は、センサ測定部202から供給された測定結果に基づいて自機の飛行履歴をサーバ装置10に通知する。飛行履歴通知部203は、本実施例では、ドローン20が飛行中に通過した飛行経路と、その飛行経路上の各位置を通過した時刻(通過時刻)と、それらの位置における飛行速度とを飛行履歴として通知する。
このうちの飛行経路及び飛行速度は、測定結果が示す位置、高度、速度によって示される。飛行履歴通知部203は、測定結果が供給される度に、それらの飛行経路及び飛行速度を示す測定結果と、通過時刻(例えば現在時刻)と、動作制御部201から供給されたユーザIDとを示す飛行履歴データを生成する。飛行履歴通知部203は、生成した飛行履歴データをサーバ装置10に送信する。
サーバ装置10の飛行履歴取得部102は、送信されてきた飛行履歴データを受信すると、その飛行履歴データが示すドローン20の飛行履歴、すなわち、その飛行履歴データが示すユーザIDのユーザにより操作されたドローン20の飛行履歴を取得する。飛行履歴取得部102は本発明の「飛行履歴取得部」の一例である。飛行履歴取得部102は、取得した飛行履歴をユーザIDに対応付けて記憶しておく。
サーバ装置10の期間特定部103は、飛行履歴取得部102により取得された飛行履歴から、定められた特定の事象が生じている特定事象期間を特定する。特定事象期間は本発明の「事象期間」の一例であり、期間特定部103は本発明の「特定部」の一例である。特定の事象とは、例えば強風、突風、混線及び部品の故障等である。これらの事象は、いずれも、ドローン20の制御を困難にすると考えられる事象である。これらの事象には、操作者の技量が高くても一時的にドローン20が制御不能になることが避けようのない事象も含まれる。
期間特定部103は、本実施例では、操作履歴取得部101により取得された操作履歴及び飛行履歴取得部102により取得された飛行履歴に基づいて特定事象期間を特定する。具体的には、期間特定部103は、取得された飛行履歴が示す経路をドローン20が通常の飛行性能を発揮して飛行したと仮定した場合に推定される操作内容と取得された操作履歴が示す操作内容との差分が閾値以上である期間を特定事象期間として特定する。
ドローン20が通常の飛行性能を発揮して飛行するとは、ドローン20の水平飛行速度性能、上昇速度性能、下降速度性能、加速度性能、旋回性能及び姿勢維持性能等の飛行に関係する性能が部品の不具合等の影響を受けることなく普通に発揮される状況であると共に、風、雨、雪、高温及び低温等の飛行に影響しやすい気象条件による影響も受けずに飛行可能な状況で飛行することを意味している。
これらの状況で飛行したと仮定するということは、例えば、時速30kmの速度で真っすぐ水平飛行させる操作が行われたらドローン20も時速30kmで真っすぐ水平飛行し、90度右旋回させる操作が行われたらドローン20も90度右旋回すると仮定するということである。従って、時速30kmの速度で真っすぐ水平飛行させる操作が行われた場合に、モータの出力は通常どおりに出ているのに向かい風のため時速20kmしか出ない状況は、通常の飛行性能を発揮しているとは言えない。
上記の仮定に基づき操作内容から飛行経路を推定することはドローンのシミュレータ等において行われているので、期間特定部103は、それらのシミュレータ等において用いられている技術を用いて反対に飛行経路から操作内容を推定する。
図6は特定事象期間の特定の一例を表す。図6(a)では、ドローン20が東向き、南向き、西向き、北向きの順に長方形の飛行経路を計画し、実際に飛行したときの飛行経路R1が表されている。
飛行経路R1において、ドローン20は、まず南向きに飛行し(飛行期間T1における経路RT1)、次に西向きに転回して飛行し(飛行期間T2、T3における経路RT2、RT3)、次に北向きに転回して飛行する(飛行期間T4、T5における経路RT4、RT5)。ドローン20は、この北向きの飛行中に突風によって機体が東向きに流されたので西向きに移動する操作を繰り返し行うことで東向きの移動を食い止めている(飛行期間T6における経路RT6)。
ドローン20は、さらに少しずつ西に向けて飛行し(飛行期間T7における経路RT7)、元の計画していた飛行経路に戻っている。ドローン20は、計画していた飛行経路に戻ると再び北向きに飛行し(飛行期間T8における経路RT8)、最後に東向きに転回して飛行して(飛行期間T9、T10における経路RT9、RT10)、出発地点に戻っている。
図6(b)では、飛行経路R1を飛行する際に上記のとおり推定される操作内容(推定操作内容)が表されている。推定操作内容は、飛行期間T1、T3、T5においては正面前進(正面方向への前進)、飛行期間T2、T4においては右90度転回となっている。また、推定操作内容は、飛行期間T6においては、機体を転回させることなく東向きに流されているため右斜め前進となり、飛行期間T7においては西向きに戻っているので左斜め前進となっている。
そして、推定操作内容は、飛行期間T8、T9、T10においては、これまでのように正面前進、右90度転回、正面前進となっている。これに対し、図6(c)では、飛行経路R1を飛行する際の実際の操作内容が表されている。この実際の操作内容は、機体が突風で流されてから元の経路に戻る飛行期間T6、T7において「正面前進」と「左右切り返し×10」となっている他は、推定操作内容と同じになっている。
ここで、プロポ30の操作内容について説明する。本実施例では、例えば左スティック351を前後方向に傾けることで機体も前後方向に移動(エレベーター)し、右スティック352を左右方向に傾けることで機体も左右方向に移動(エルロン)し、左スティック351を左右方向に傾けることで左右に転回(ラダー)するものとする。その場合、左スティック351だけを前に倒すことで正面前進が行われる。
また、左スティック351を前に倒しつつ右スティック352を左右に倒すことで斜め方向への前進が行われる。また、右スティック352を左右に倒した後にすぐに戻すこと(右スティック352をそのまま反対側まで倒してもよいし、中央の位置で止めてもよい)で左右への切り返しが行われる。期間特定部103は、操作内容の差分として、例えば、各スティックの操作量の差分と、操作速度の差分と、操作方向を変化させた回数(切り返しの回数)の差分とを算出する。
飛行期間T6、T7においては、ドローン20は前進を続けているので、左スティック351に対する操作量、操作速度及び切り返しの回数には、推定操作内容及び実際の操作内容で差分がない。一方、左右方向(東西方向)への移動はわずかであるため、推定操作内容における操作量、操作速度及び切り返しの回数は少ない。しかし、実際の操作内容では、突風に対処するため、左右への切り返しが10回も行われている。そのため、切り返しの回数はもちろん、操作量も大きくなり、操作速度も速くなっている。
その結果、飛行期間T6、T7における操作内容の差分は閾値以上になっているものとする。この場合、期間特定部103は、飛行期間T6、T7を特定事象期間として特定する。期間特定部103は、操作内容が異なる飛行期間が存在したとしてもその飛行期間における操作量の差分が閾値未満である場合には、それは特定の事象により生じた差分ではなく微風又はセンサの測定誤差等に起因する差分だと判断し、その期間を特定事象期間として特定しない。
期間特定部103は、例えば飛行履歴取得部102により飛行履歴が取得される度に特定事象期間の特定を行う。期間特定部103は、特定事象期間を特定した場合は、特定した特定事象期間を示す期間情報(例えば期間の開始時刻及び終了時刻を示す情報)を、特定に用いた飛行履歴及びユーザIDに対応付けて記憶しておく。期間特定部103が記憶したこれらの情報は、技量判定部104によって読み出される。
技量判定部104は、操作履歴取得部101により取得された操作履歴と、期間特定部103により特定された特定事象期間とに基づいて操作者の技量を判定する。技量判定部104は本発明の「判定部」の一例である。ここでいう操作者の技量とは、ドローンを操作して飛行させる技量のことであり、技量が高いほどドローンを操作者の意図したとおりに飛行させることができることを意味する。
技量判定部104は、例えば定期的に各ユーザの技量判定を行う。技量判定部104は、まず、操作履歴取得部101に記憶されている操作履歴からユーザIDが共通する操作履歴を読み出し、期間特定部103に記憶されているそのユーザIDに対応付けられた特定事象期間を読み出す。技量判定部104は、本実施例では、左スティック351及び右スティック352に対する操作量、操作速度及び切り返し操作の回数に基づいて技量を判定する。
操作量とは、各スティックを動かす量であり、例えば各スティックを動かす角度で表される。操作速度とは、各スティックを動かす速さであり、例えば各スティックが動かされた角度を動かされた時間で除算した値で表される。切り返し操作の回数とは、各スティックを動かす方向を反転させる操作の回数である。操作者の技量が高いほど、操作量、操作速度及び切り返し操作の回数は小さくなりやすい。
ただし、飛行時間が長くなれば操作量及び切り返し操作の回数は大きくなるので、単位時間当たりの値を算出してから比較することが望ましい。そこで、技量判定部104は、操作量の平均値(単位時間当たりの操作量)、操作速度の平均値及び切り返し操作の回数の平均値(単位時間当たりの切り返し操作の回数)が大きいほど技量が低いと判定する。技量判定部104は、これらの情報と技量ポイント(この値が大きいほど技量が高いことを示す)とを対応付けた技量テーブルを用いて判定を行う。
図7は技量テーブルの一例を表す。図7(a)では、「Th11未満」、「Th11以上Th12未満」及び「Th12以上」という操作量の平均値に、「3」、「2」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられている。図7(b)では、「Th21未満」、「Th21以上Th22未満」及び「Th22以上」という操作速度の平均値に、「3」、「2」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられている。
図7(c)では、「Th31未満」、「Th31以上Th32未満」及び「Th32以上」という切り返し操作回数の平均値に、「3」、「2」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられている。技量判定部104は、ユーザの操作履歴から操作量の平均値、操作速度の平均値及び切り返し操作の回数の平均値を算出する。技量判定部104は、特定事象期間における操作履歴に基づき算出した値よりも、特定事象期間ではない通常期間における操作履歴に基づき算出した値に対して重みを付与する。
値に対する重みの付与(「重み付け」とも言う)とは、その値を用いた計算が行われる場合に、他の値よりも計算結果に対する影響を大きくすることをいう。本実施例では、特定事象期間における操作履歴に基づき算出した値がXだけ増えるよりも、通常期間における操作履歴に基づき算出した値が同じXだけ増えた方が、計算結果(操作量の平均値等)が大きく変動するということである。技量判定部104は、通常期間及び特定事象期間における重み係数を対応付けた重みテーブルを用いてこの重み付けを行う。
図8は重みテーブルの一例を表す。図8の例では、通常期間の重み係数が「1.0」で、特定事象期間の重み係数が「0.1」となっている。技量判定部104は、例えば、操作履歴が示す操作量及び切り返し操作の回数の合計を操作履歴が示す操作時間で除算することで、操作量の平均値及び切り返し操作の回数の平均値を算出する。その際に、技量判定部104は、特定事象期間の操作量及び切り返し操作の回数には「0.1」を乗じてから合計することで、上記の重み付けを反映する。
また、技量判定部104は、操作履歴が示す操作速度(操作がされたときだけ履歴が残っている)については、例えば通常期間の操作速度は母数が10倍になったものとして平均値を算出することで、上記の重み付けを反映する。技量判定部104は、例えば通常期間の操作速度がv1で特定事象期間の操作速度がv2であった場合、(v1×10+v2)÷11=平均速度と算出する。なお、技量判定部104は、反対に特定事象期間の操作速度の母数を10分の1にして平均値を算出してもよい((v1+v2÷10)÷1.1=平均速度)。
技量判定部104は、上記のとおり算出した各値に対応付けられた技量ポイントを合計する。図8に表す重み係数により特定事象期間の値は通常期間の値の10分の1の重みしかないものとして扱われるので、特定事象期間には大きくなりやすい操作量の平均値、操作速度の平均値及び切り返し操作回数の平均値が小さくなり、技量ポイントが大きくなる(技量が高く判定される)ように作用する。
なお、図8に表す重み係数は一例であり、これ以外の重み係数が用いられてもよい。ただし、いずれの場合も、通常期間の重み係数よりも特定事象期間の重み係数の方が小さくなっていればよい。いずれの場合も、技量判定部104は、期間特定部103により特定された特定事象期間における操作履歴の重みを他の期間(通常期間)の操作履歴に比べて小さくして技量を判定することになる。
技量判定部104は、合計した技量ポイント(図7の例では3から9までの値となる)が大きいほど技量が高いと判定する。技量判定部104は、算出した技量ポイントをユーザIDに対応付けて記憶しておく。技量判定部104が記憶したこれらの情報は、保険料決定部105によって読み出される。
保険料決定部105は、技量判定部104により判定されたユーザの技量に基づいて、そのユーザが操作するドローン20の保険料を決定する。保険料決定部105は、具体的には、判定されたユーザの技量が高いほど小さな額をドローン20の保険料として決定する。保険料決定部105は、例えば、ユーザの技量と、基準となる保険料に対する掛け率とを対応付けた保険料テーブルを用いて保険料を決定する。
図9は保険料テーブルの一例を表す。図9の例では、「3、4」、「5~7」及び「8、9」というユーザの技量ポイントに、「1.0」、「0.9」及び「0.8」という掛け率が対応付けられている。保険料決定部105は、例えば或るユーザの保険料を算出する際に、そのユーザのユーザIDに対応付けられた技量ポイントを技量判定部104から読み出す。保険料決定部105は、そのユーザについての保険料を、読み出した技量ポイントに対応付けられた掛け率を基準となる保険料に乗じた金額に決定する。
保険料決定部105は、例えばユーザの技量ポイントが「5」であれば基準となる保険料を0.9倍した金額をそのユーザについてのドローンの保険料として決定する。また、保険料決定部105は、ユーザの技量ポイントが「8」であれば基準となる保険料を0.8倍した金額をそのユーザについてのドローンの保険料として決定する。保険料決定部105は、決定した保険料を保険料出力部106に通知する。
保険料出力部106は、通知された保険料を所定の表示装置又は外部装置に対して出力する。例えば保険契約の更新時に保険料をユーザに提示するシステムがあった場合、保険料出力部106は、そのシステムに対して保険料を出力する。保険料決定システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、ユーザ毎のドローンの技量を判定する判定処理と、その判定結果に基づいて保険料を決定する決定処理とを行う。
図10は判定処理における動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザがドローン20の飛行操作を始めることを契機に開始される。まず、プロポ30(操作受付部301)は、操作者がドローン20に対して行った操作を受け付ける(ステップS11)。続いて、プロポ30(動作指示部302)は、受け付けられた操作の内容に応じた動作をドローン20に対して指示する動作指示データを生成し(ステップS12)、生成した動作指示データをドローン20に送信する(ステップS13)。
ドローン20(センサ測定部202)は、自機が備える各センサによる測定を繰り返し行う(ステップS14)。次に、ドローン20(動作制御部201)は、ステップS14における測定結果に基づき、ステップS13において受信した動作指示データが示す動作を行うよう自機の各部を制御する(ステップS15)。続いて、ドローン20(飛行履歴通知部203)は、ステップS14の測定結果に基づいて自機の飛行履歴を示す飛行履歴データを生成し(ステップS16)、サーバ装置10に送信する(ステップS17)。
サーバ装置10(飛行履歴取得部102)は、送信されてきた飛行履歴データが示すドローン20の飛行履歴を取得する(ステップS18)。プロポ30(操作履歴通知部303)は、ステップS11で受け付けられた操作内容、操作時刻及びユーザIDを示す操作履歴データを生成し(ステップS21)、サーバ装置10に送信する(ステップS22)。ステップS21、S22の動作は、ステップS12からS18までの動作の前に行われてもよいし、それらの動作に並行して行われてもよい。
サーバ装置10(操作履歴取得部101)は、送信されてきた操作履歴データが示す操作履歴を取得する(ステップS23)。次に、サーバ装置10(期間特定部103)は、ステップS18において取得された飛行履歴から上述した特定事象期間(ドローン20の制御を困難にする特定の事象が生じている期間)を特定する(ステップS24)。そして、(技量判定部104)は、ステップS18において取得された飛行履歴と、ステップS23において取得された操作履歴と、ステップS24において特定された特定事象期間とに基づいて操作者の技量を判定する(ステップS25)。
図11は決定処理における動作手順の一例を表す。この動作手順は、例えば、保険会社のシステム等からユーザについての保険料が要求されることを契機に開始される。まず、サーバ装置10(保険料決定部105)は、保険料が要求されたユーザを対象ユーザ(保険料を決定する対象のユーザ)として決定し(ステップS31)、そのユーザの技量(本実施例では技量ポイント)を読み出す(ステップS32)。
次に、サーバ装置10(保険料決定部105)は、読み出した技量に基づいて保険料を決定する(ステップS33)。そして、サーバ装置10(保険料出力部106)は、ステップS33において決定された保険料を所定のシステム等に対して出力する(ステップS34)。サーバ装置10は、保険料が要求される度にこの動作手順を行い、要求されたユーザの保険料を出力する。
本実施例では、上記のとおり特定事象期間における操作履歴の重みを他の操作履歴に比べて小さくして技量が判定される。特定事象期間においては、例えば突風で飛行位置が流されたりバランスが崩れたりするので、正常な飛行状態に戻すために通常よりも多くの操作が行われることになりやすい。その場合に上記重み付けがないと、技量が高いユーザでも特定事象期間における操作のために技量が低く判定されてしまう。
本実施例では、そのように特定事象期間においてやむを得ず行われた操作の重みが小さくなるので、上記重み付けを行わない場合に比べて、ドローンの操作者の技量の判定精度を高めること(本来の技量により近い技量を判定すること)ができる。また、本実施例では、特定事象期間を特定する際に、操作履歴及び飛行履歴のみを用いるので、特定事象期間の特定にそれら以外の情報を不要とすることができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。その際は、各変形例について優先順位を付けて(各変形例を実施すると競合する事象が生じる場合にどちらを優先するかを決める順位付けをして)実施してもよい。
また、具体的な組み合わせ方法として、例えば共通する値(例えば保険料)を求めるために異なるパラメータを用いる変形例を組み合わせて、それらのパラメータを共に用いて共通する値等を求めてもよい。また、個別に求めた値等を何らかの規則に従い合算して1つの値等を求めてもよい。また、それらの際に、用いられるパラメータ毎に異なる重み付けをしてもよい。
[2-1]風の情報
期間特定部103は、実施例とは異なる方法で特定事象期間を特定してもよい。
図12は本変形例において実現される機能構成の一例を表す。図12では、図5に表す各部に加えて風速情報取得部107を備えるサーバ装置10aが表されている。風速情報取得部107は、ドローン20の周囲の風速を示す風速情報を取得する。風速情報取得部107は本発明の「風速取得部」の一例である。
本変形例では、例えば、飛行履歴取得部102が、飛行履歴及びユーザID(操作者のユーザID)を記憶すると、その飛行履歴及びユーザIDを風速情報取得部107に供給する。風速情報取得部107は、供給された飛行履歴が示す飛行可能空域を含む地域における気象情報を天気予報サービス等の提供事業者のシステムから取得し、気象情報に含まれる風速情報を取得する。
取得される風速情報としては、できるだけ時間間隔が短く(1~5分間隔程度)、対象地域が狭いものが望ましい。風速情報取得部107は、取得した風速情報を取得された時刻(その風速の風が吹いた時刻)及び供給されたユーザIDに対応付けて記憶しておく。期間特定部103は、例えば風速情報取得部107により風速情報が取得される度に特定事象期間の特定を行う。
期間特定部103は、風速情報取得部107により取得された風速情報により風速が閾値以上(つまり強風)であることが示される期間を特定事象期間として特定する。この場合の閾値としては、技量が高いユーザでもドローンの飛行が難しくなるとされる風速が用いられ、例えば秒速10m程度の値が用いられる。飛行開始時は風が弱くても、途中から強風になることがある。その場合、技量が高いユーザでも、操作量、操作速度及び切り返しの回数が大きくなり、判定される技量が低くなりやすい。
本変形例では、強風時の操作履歴の重みが小さくなるので、やむを得ず強風時にドローンを飛行させることになった操作者の技量が本来の技量よりも低く判定されることを防ぐことができる。また、ドローン20の操作者が風速計を用いることで、飛行空域のより詳細な風速を測定することができる。そこで、風速情報取得部107は、測定した風速情報をリアルタイムに送信する機能を有する風速計によって測定された風速情報を取得してもよい。
その場合、期間特定部103は、風速情報取得部107により取得された風速情報により風速の単位時間における変化が閾値以上(つまり突風)であることが示される期間を特定事象期間として特定してもよい。突風が吹いた場合も、強風時と同様に判定される技量が低くなりやすい。上記のとおり突風が吹いた期間を特定事象期間として特定することで、ドローンの飛行中に突風が吹いた場合に操作者の技量が本来の技量よりも低く判定されることを防ぐことができる。
[2-2]混線
ドローンは、他の操作者が用いるプロポの信号を誤って受信して動作することがある(いわゆる混線)。期間特定部103は、この混線が発生した期間を特定事象期間として特定してもよい。本変形例では、プロポ30の動作指示部302が、自装置を識別するプロポIDを示す動作指示データをドローン20に送信する。
そして、ドローン20の飛行履歴通知部203が、受信した動作指示データが示すプロポIDを示す飛行履歴データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の飛行履歴取得部102は、ドローン20が受信する操作用のデータ(動作指示データ)の送信元を識別する送信元情報として、このプロポIDを取得する。本変形例の飛行履歴取得部102は本発明の「送信元情報取得部」の一例である。
期間特定部103は、飛行履歴取得部102により取得された送信元情報(プロポID)が示す送信元が飛行開始時と異なるものになっている期間を特定事象期間として特定する。送信元が飛行開始時と異なるということは、飛行を開始させた操作者とは別の操作者(第三者)が混線によりドローン20を操作していることになる。このような第三者による操作履歴が含まれていると、第三者の技量が高くても低くても、操作者の本来の技量とは異なる技量と判定されるおそれがある。
そこで、本変形例では、特定事象期間の重み係数が小さいほどよく、さらに言えば「0」にすることが望ましい。このように混線時の操作履歴の重みを小さくすることで、判定される技量が第三者の操作履歴により変動すること(本来の技量よりも低くなったり高くなったりすること)を防ぐことができる。
[2-3]不具合の発生
ドローンにおいて不具合が発生した場合、操作者の技量に関係なく操作量等が大きくなることがある。そこで、期間特定部103は、ドローンに不具合が発生した後の期間を特定事象期間として特定してもよい。本変形例では、ドローン20のセンサ装置26が、部品の不具合を検出するセンサ(不具合検出センサ)を備えているものとする。
不具合検出センサとしては、例えば、異常な高温を検出するための温度センサ、モータの異常回転を検出するための回転数センサ及び断線を検出するための断線検出センサ等が用いられる。ドローン20の飛行履歴通知部203は、それらの不具合検出センサの測定結果を示す飛行履歴データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の飛行履歴取得部102は、受信した飛行履歴データが示す測定結果を、ドローン20の部品の不具合の有無を示す不具合情報として取得する。
本変形例の飛行履歴取得部102は本発明の「不具合情報取得部」の一例である。期間特定部103は、飛行履歴取得部102により取得された不具合情報によりドローン20の部品に所定の不具合があることが示された場合、その不具合情報が取得された後の期間を特定事象期間として特定する。所定の不具合とは、例えば、複数あるモータのうち一部の回転が停止する不具合及びセンサ装置26が備えるセンサの一部に繋がる配線が断線する不具合である。
また、回路が設けられた空間の温度が閾値以上になり回路が正常に稼働しなくなる不具合等が所定の不具合として含まれてもよい。いずれの不具合が発生した場合でも、通常の操作では意図したとおりに飛行しないため、頻繁に姿勢及び飛行経路を修正する操作が必要になる。その結果、技量が高くても操作量等が大きくなるので、判定される技量が低くなる。本変形例では、不具合が発生した後の操作履歴の重みが小さくなるので、ドローンに不具合が発生したときの操作者の技量が本来の技量よりも低く判定されることを防ぐことができる。
[2-4]視界悪化
ドローンの飛行中に雨が降り始めたり霧が発生したりして視界が悪化することがある。視界が悪化すると、操作者からドローンが見えにくくなり、ドローンの向き、傾き及び速度等を把握しにくくなるため、操作者の技量に関係なく操作量等が大きくなりやすい。そこで、期間特定部103は、ドローンの飛行空域の視界が悪化した期間を特定事象期間として特定してもよい。
図13は本変形例において実現される機能構成の一例を表す。図13では、図5に表す各部に加えて視界情報取得部108を備えるサーバ装置10bが表されている。視界情報取得部108は、ドローン20の周囲の視界の状態を示す視界情報を取得する。視界情報取得部108は本発明の「視界情報取得部」の一例である。本変形例では、例えば、飛行履歴取得部102が、飛行履歴及びユーザID(操作者のユーザID)を記憶すると、その飛行履歴及びユーザIDを視界情報取得部108に供給する。
視界情報取得部108は、供給された飛行履歴が示す飛行可能空域を含む地域における気象情報を天気予報サービス等の提供事業者のシステムから取得し、気象情報に含まれる降水量情報及び霧情報(濃霧注意報が出ている地域の情報等)を視界情報として取得する。また、操作者が霧センサ(レーザー光を照射して水平方向に見通し可能な距離を測定するセンサ)を用いて現地の霧の状況を測定してもよい。
その場合、視界情報取得部108は、その霧センサにより測定された見通し可能な距離を視界情報として取得する。視界情報取得部108は、取得した視界情報を取得された時刻(その視界情報が示す視界の状態になっている時刻)及び供給されたユーザIDに対応付けて記憶しておく。期間特定部103は、例えば視界情報取得部108により視界情報が取得される度に特定事象期間の特定を行う。
期間特定部103は、視界情報取得部108により取得された視界情報により視界が所定のレベルよりも悪くなったことを示す期間を特定事象期間として特定する。期間特定部103は、例えば、降水量情報が視界情報として取得された場合に、降水量が閾値(例えば10mmなど)以上である場合に視界が所定のレベルよりも悪くなったと判断する。
また、期間特定部103は、霧情報が視界情報として取得された場合は、その霧情報が示す濃霧注意報が出ている地域に飛行空域が含まれている場合に視界が所定のレベルよりも悪くなったと判断する。また、期間特定部103は、見通し可能な距離が視界情報として取得された場合は、その距離が閾値(例えば50mなど)未満である場合に視界が所定のレベルよりも悪くなったと判断する。
飛行開始時は視界が良くても、途中から視界が悪くなることがある。その場合、技量が高いユーザでも、操作量、操作速度及び切り返しの回数が大きくなり、判定される技量が低くなりやすい。本変形例では、視界が悪化したときの操作履歴の重みが小さくなるので、やむを得ず悪い視界の中でドローンを飛行させることになった操作者の技量が本来の技量よりも低く判定されることを防ぐことができる。
[2-5]飛行状態の復旧
上述した特定の事象が生じると、ドローンは一時的に操作者が意図していた飛行状態ではなくなるため、操作者は、再び意図していた飛行状態を復旧させようとする。意図していた飛行状態とは、例えば、ドローン20の飛行ルート(撮影対象周辺の飛行ルート、検査対象周辺の飛行ルート及び監視対象周辺の飛行ルート等)が定められていてその飛行ルートに戻って飛行する状態である。
本変形例では、期間特定部103は、飛行履歴取得部102により取得された飛行履歴から、特定事象期間を終えてからドローン20の飛行がその特定事象期間の開始前の状態となるまでの復旧期間を特定する。具体的には、期間特定部103は、特定した特定事象期間を終えてから定められた飛行ルートに戻るまでの期間を復旧期間として特定する。
本変形例では、例えば、プロポ30が定められた飛行ルートを記憶しておき、操作履歴と共に飛行ルートを示す操作履歴データを送信する。操作履歴取得部101は、操作履歴と共に飛行ルートを取得する。期間特定部103は、操作履歴取得部101から飛行ルートを読み出し、特定した特定事象期間が終わった時刻から、読み出した飛行ルート上の位置を飛行するようになった時刻までの期間を復旧期間として特定する。
なお、飛行ルートの取得方法は上記方法に限らない。例えば飛行履歴と共に取得されてもよいし、飛行履歴、操作履歴とは別に例えばユーザのパソコン等からサーバ装置10に送信されてきたものが取得されてもよい。期間特定部103は、特定した復旧期間を示す期間情報をユーザIDに対応付けて記憶しておく。技量判定部104は、技量の判定対象のユーザのユーザIDに対応付けられている期間情報を読み出す。
技量判定部104は、期間特定部103により特定された復旧期間における操作履歴の重みを大きくして、操作者の技量を判定する。例えば、復旧期間は、普通は他の期間(通常期間及び特定事象期間を合わせた期間)に比べて短い期間であるが、本変形例では、復旧期間における値と他の期間における値を同等に扱う(復旧期間及び他の期間が同じ長さと仮定して扱う)ことで、復旧期間における操作履歴の重みを大きくする。
図14は本変形例の技量テーブルの一例を表す。図14(a)では、「Th11未満」、「Th11以上Th12未満」及び「Th12以上」という操作量の平均値に、他期間については「3」、「2」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられているが、復旧期間については「5」、「3」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられている。
操作速度の平均値(図14(b))及び切り返し操作回数の平均値(図14(c))においても、他期間では「3」、「2」及び「1」のところ復旧期間については「5」、「3」及び「1」という技量ポイントがそれぞれ対応付けられている。技量判定部104は、ユーザの操作履歴から、他期間における操作量の平均値、操作速度の平均値及び切り返し操作の回数の平均値と、復旧期間におけるそれらの値をそれぞれ算出する。
技量判定部104は、例えば操作量の平均値であれば、他期間について算出した値に対応付けられた技量ポイントと復旧期間について算出した値に対応付けられた技量ポイントとの平均値を技量ポイントとして算出する。例えば他期間及び復旧期間の両方が「Th11未満」であれば、技量判定部104は、「3」及び「5」の平均値である「4」を技量ポイントとして算出する。
また、他期間が「Th11未満」だが復旧期間は「Th12以上」であれば、技量判定部104は、「3」及び「1」の平均値である「2」を技量ポイントとして算出する。技量判定部104は、操作速度及び切り返し操作の回数についても同様に技量ポイントを算出し、その合計を算出する。本変形例では、こうして算出される技量ポイントに合った保険料テーブルが用いられる。
図15は本変形例の保険料テーブルの一例を表す。図15の例では、「3以上5未満」、「5以上8未満」、「8以上11未満」及び「11以上」というユーザの技量ポイントに、「1.0」、「0.9」、「0.8」及び「0.7」という掛け率が対応付けられている。図14及び図15の例では、復旧期間における技量が高く判定されると図7に表す例に比べて技量ポイントが大きくなるため、算出され得る技量ポイントの幅が広がった。
そこで、図15の例では、掛け率の幅も広げて、特定の事象が発生した場合でも高い技量により少ない操作(的確な操作)で意図していた飛行状態を復旧させることができるユーザに対しては保険料を下げるようにした。安定した飛行状態における操作よりも、問題が発生してからそれを復旧させる際の操作の方が技量の違いが現れるので、上記の重み付けを行うことで、その重み付けを行わない場合に比べて、ユーザの技量をより正確に判定することができる。
なお、意図していた飛行状態への復旧は、上記飛行ルートへの復旧に限らない。例えば、ホバリングする位置が定められている場合であれば、その位置にホバリングする状態になることが復旧を意味することになる。また、より単純に、特定事象期間においてドローン20の姿勢(向き、傾き及び高度等)が乱れた場合に、その姿勢が安定することが復旧を意味するものとしてもよい。
その場合、技量判定部104は、期間特定部103により特定された特定事象期間が終わってからドローン20の姿勢が安定する状態に戻るまでの期間を復旧期間として特定する。本変形例では、飛行履歴通知部203が、飛行姿勢を示すセンサの測定結果(自機の正面が向いている方位、自機の前後方向の水平方向に対する傾き及び自機の左右方向の水平方向に対する傾き等)を飛行履歴として通知する。
飛行履歴取得部102は、通知されたそれらの飛行履歴を取得する。技量判定部104は、特定された特定事象期間が終わった時刻以降の飛行履歴を参照し、例えば前述した方位及び傾きの変動が所定の範囲に収まる期間が閾値以上続いたときに、ドローン20の姿勢が安定する状態に戻ったと判断する。なお、この判断においては、前述した方位及び傾きを必ず全て用いるという必要はなく、それらのうちの少なくとも1つが用いられればよい。
技量判定部104は、特定事象期間が終わった時刻からその判断をした時刻までの期間を復旧期間として特定する。この特定方法を用いれば、前述した例のように飛行ルートが特に決まっていない場合でも復旧期間を特定することができ、ユーザの技量をより正確に判定することができる。
なお、特定事象期間が終わった後にドローン20の飛行が継続される場合、飛行目的によってはドローン20が頻繁に傾いたり方位を変えたりするため姿勢としては安定しない場合がある。そこで、技量判定部104は、期間特定部103により特定された特定事象期間が終わってからドローン20の飛行が安定する状態に戻るまでの期間を復旧期間として特定してもよい。
その場合、飛行履歴通知部203は、飛行状態を示すセンサの測定結果(自機の速度、加速度及び角速度等)を飛行履歴として通知する。飛行履歴取得部102は、通知されたそれらの飛行履歴を取得する。飛行が安定していないと、飛行速度、加速度及び角速度が急激に変化することになりやすいが、飛行が安定してくると、それらの変化が操作者の操作に基づいて滑らかに行われることになる。
そこで、技量判定部104は、特定された特定事象期間が終わった時刻以降の飛行履歴を参照し、飛行速度、加速度及び角速度の変化率が所定の範囲に収まる期間が閾値以上続いたときに、ドローン20の姿勢が安定する状態に戻ったと判断する。なお、この判断においては、飛行速度、加速度及び角速度を必ず全て用いるという必要はなく、それらのうちの少なくとも1つが用いられればよい。
技量判定部104は、特定事象期間が終わった時刻からその判断をした時刻までの期間を復旧期間として特定する。この特定方法を用いれば、特定事象期間が終わった後すぐに飛行方向が頻繁に変わるような飛行を開始した場合でも復旧期間を特定することができ、ユーザの技量をより正確に判定することができる。
[2-6]復旧期間
上述した復旧期間は、短いほど技量が高いことを表す。そこで、技量判定部104は、復旧期間の短さを技量に反映してもよい。本変形例の技量判定部104は、期間特定部103により特定された復旧期間が短いほどその復旧期間における操作履歴の重みを大きくする。
特定の事象が複数回発生すれば、復旧期間も複数特定されることになる。そこで、技量判定部104は、例えば、復旧期間の平均値(平均復旧期間)と重み係数とを対応付けた重みテーブルを用いてこの重み付けを行う。
図16は本変形例の重みテーブルの一例を表す。図16の例では、「T11未満」、「T11以上T12未満」及び「T12以上」という平均復旧期間に、「1.4」、「1.2」及び「1.0」という重み係数がそれぞれ対応付けられている。
技量判定部104は、例えば、或るユーザについて特定された復旧期間の平均値を算出し、算出した平均復旧期間に重みテーブルにおいて対応付けられている重み係数を特定する。技量判定部104は、図14において説明した復旧期間の技量ポイントに特定した重み係数を乗じて、技量ポイントを算出する。例えば平均復旧期間が「T11以上T12未満」であり、単操作量の平均値、操作速度の平均値及び切り返し操作の回数の平均値の技量ポイントが他期間では「1」、「2」、「1」で復旧期間では「5」、「3」、「3」であったとする。
その場合、技量判定部104は、重み係数を「1.2」と特定し、特定した重み係数を復旧期間の技量ポイントに乗じて「6」、「3.6」、「3.6」を算出する。そして、技量判定部104は、他期間と復旧期間の技量ポイントの平均値である(1+6)÷2=3.5、(2+3.6)÷2=2.8、(1+3.6)÷2=2.3を合計した3.5+2.8+2.3=8.6を技量ポイントの合計値として算出する。
本変形例の重み付けを行わない場合、各技量ポイントの平均値は(1+5)÷2=3、(2+3)÷2=2.5、(1+3)÷2=2を合計した3+2.5+2=7.5となる。この場合、図15に表す保険料テーブルが用いられると、重み付けの有無によって掛け率も異なることになる(重み付けなしだと「0.9」、重み付けありだと「0.8」)。以上のとおり、本変形例では、復旧期間が短いほど、その復旧期間の操作履歴が表す技量ポイントを大きくしてその操作履歴が表す技量が全体の技量により強く反映されるようにしている。
なお、重み付けの仕方は上記方法に限らない。例えば図16に表すように復旧期間が短いほど大きくなる重み係数を用いるのであれば、操作量の平均値、操作速度の平均値及び切り返し操作の回数の平均値を重み係数で除算してもよい。その場合も、復旧期間が短いほど技量ポイントが大きくなる。いずれの方法を用いた場合でも、上記重み付けを行わない場合に比べて、安定した飛行状態への復旧を迅速にできる操作者の技量を反映し、ユーザの技量をより正確に判定することができる。
[2-7]重み付け
重み付けの方法として、例えば平均値を算出する場合は、その計算に用いる値(操作速度等)の母数を重み係数に応じて増やす方法が用いられた。また、上記変形例では、計算の途中で算出される値(技量ポイント等)に重み係数を乗算する(重みが大きいほど値を大きくする)方法が用いられた。
これ以外にも、例えば計算の途中で算出される値に重み係数に応じた値を加算し又は減算する方法が用いられてもよい。また、計算の途中で算出される値を重み係数で除算する方法が用いられてもよい。いずれの方法においても、重みが大きい値の方が、重みが小さい値よりも、同じ大きさだけ変化したときの計算結果に対する影響が大きくなるように重み付けがされていればよい。
[2-8]飛行体
実施例では、自律飛行を行う飛行体として回転翼機型の飛行体が用いられたが、これに限らない。例えば飛行機型の飛行体であってもよいし、ヘリコプター型の飛行体であってもよい。要するに、ユーザから与えられた指示(プロポからのリアルタイムな指示又は予め定められた飛行経路を飛行させる指示等)に従い飛行する飛行体であればよい。
[2-9]各機能を実現する装置
図5等に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する技量判定の機能(操作履歴取得部101から技量判定部104までの機能)をプロポ30が実現してもよいし、ユーザが利用するユーザ端末等が実現してもよい。その場合はそれらの装置(プロポ30又はユーザ端末)が本発明の「情報処理装置」の一例となる。また、プロポ30が実現する機能をスマートフォン等のドローンを操作する機能を持たせることが可能な装置が実現してもよい。要するに、保険料決定システム1の全体で図5等に表す各機能が実現されていればよい。
[2-10]テーブルを用いた動作
上記の各例では、図7等に表すテーブルを用いた動作を説明したが、これに限らない。例えば図7等のテーブルとは異なるテーブル(行数が異なるもの及び各行の値が異なるもの等)が用いられてもよい。また、テーブルではなく何らかのアルゴリズムが用いられてもよい。例えば図7の例であれば、操作量の平均値等から技量ポイントを算出する関数が用いられてもよい。このように、何らかの値(操作量の平均値等)に応じて別の値(技量ポイント等)が導き出されるのであれば、どのような方法が用いられてもよい。
[2-11]発明のカテゴリ
本発明は、サーバ装置10等の情報処理装置の他、その情報処理装置、ドローン20のような飛行体及びプロポ30のような操作用の装置を備える情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、それらの装置(ドローン20を含む)が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2-12]機能ブロック
なお、上記実施例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。
すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
[2-13]入出力の方向
情報等(※「情報、信号」の項目参照)は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
[2-14]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2-15]判定方法
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
[2-16]情報の通知、シグナリング
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施例に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
[2-17]処理手順等
本開示において説明した各態様/実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2-18]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2-19]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2-20]情報、信号
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
[2-21]システム、ネットワーク
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
[2-22]パラメータ、チャネルの名称
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
[2-23]「判断」、「決定」
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。
また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
[2-24]「に基づいて」の意味
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2-25]「異なる」
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
[2-26]「及び」、「又は」
本開示において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2-27]態様のバリエーション等
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。