JP7155544B2 - ポリカルボン酸誘導体 - Google Patents
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Description
1. ポリカルボン酸のカルボキシル基に、下記一般式(1)のプロパルギルアミノ酸が付加された水溶性のポリカルボン酸誘導体を含む、架橋剤。
(式中のRは、水素または炭素数1から6の直鎖型または分鎖型のアルキル基又はアリール基を示し、それぞれ同じものであっても異なったものであってもよい。また、式中のnは、1から3の整数を示す)
2. 前記ポリカルボン酸がポリペプチドである、1に記載の架橋剤。
3. 前記ポリカルボン酸がポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸である、1または2に記載の架橋剤。
4. 前記プロパルギルアミノ酸がプロパルギルグリシンである、1~3のいずれかに記載の架橋剤。
5. 前記ポリカルボン酸誘導体においてプロパルギルアミノ酸の置換率が10~55%である、1~4のいずれかに記載の架橋剤。
6. 主剤溶液と1~5のいずれかに記載の架橋剤を含む溶液とからなる、2液型接着剤。
7. 前記主剤が生体高分子である、6に記載の2液型接着剤。
8. 前記主剤がゼラチンである、6または7に記載の2液型接着剤。
9. 前記主剤と前記架橋剤とを1:0.01~1:1の重量比で混合して使用する、6~8のいずれかに記載の2液型接着剤。
10. 医療用の接着剤として用いられる、6~9のいずれかに記載の2液型接着剤。
ポリカルボン酸誘導体を構成するカルボキシル基に対するプロパルギルアミノ酸の修飾率は、DMSO-d6中の1H-NMRスペクトル(BRUKER、MR400)を測定することにより決定した。修飾率の算出は、プロパルギルアミノ酸が修飾されたカルボキシル基と修飾されていないカルボキシル基のα水素(図1)の積分強度比を測定し、下記の式により求めた。
修飾率(%)=[修飾されたカルボキシル基のα水素]/[(未修飾のカルボキシル基のα水素)+(修飾されたカルボキシル基のα水素)]×100
得られた試験片をテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・エー、RTG-1310)を用いて、引張せん断接着強度(JIS K6850)を測定した。なお、測定時の温度は23℃、湿度は50%Rh、引張速度は10mm/minとした。得られた歪み-応力曲線より引張せん断接着強度を求めた。なお、引張せん断接着強度は、4回の測定の平均値とした。
グリシン(2.1g)と2-プロピン-1-オール(30mL)の混合液を調製し、室温で塩化チオニル(2.4mL)を添加した。反応液を室温で2時間撹拌し、更に50℃で2時間撹拌した。反応液を5℃まで冷却し、酢酸エチル(90mL)を添加することにより、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により分離し、更に酢酸エチルで洗浄し、乾燥することにより、グリシン,2-プロピン-1-イル,エステル(GPE)を収率84%で得た。
東洋紡製ポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA)(0.5g)とDMSO(8mL)を入れ、60℃で1時間撹拌し溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対し、0.15等量のグリシン,2-プロピン-1-イル,エステル(GPE)及び、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N´,N´-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)を添加した。さらに、2等量のトリエチルアミンを添加し、室温で24時間撹拌し反応させた。反応後、アセトン(35mL)を添加し、ポリマーを析出させた。得られたポリマーをアセトンで洗浄し、乾燥させた。乾燥後、粗ポリマーを水(5.5mL)に溶解し、アセトン(60mL)を添加して、再び沈殿させ、ろ過により分取した。60℃で12時間真空乾燥し、目的のGPE化γ-PGAを得た。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、10%であることを確認した。本製造例1により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(10)とした。
原料の仕込量として、0.25等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、15%であることを確認した。本製造例2により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(15)とした。
原料の仕込量として、0.5等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、25%であることを確認した。本製造例3により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(25)とした。
原料の仕込量として、0.75等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、45%であることを確認した。本製造例4により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(45)とした。
原料の仕込量として、0.9等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、50%であることを確認した。本製造例5により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(50)とした。
原料の仕込量として、1.0等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。しかし、水に対する溶解性が悪く、水を用いた精製は断念した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、55%であることを確認した。本製造例6により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(57)とした。
γ-PGAの代わりに、ポリアスパラギン酸(PAA)、原料の仕込量として、0.15等量のGPE及びHBTUを用いた以外は、製造例2記載の方法により行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、PAAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、25%であることを確認した。本製造例7により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化PAA(25)とした。
NHS(N-ヒドロキシスクシンイミジル)化γ-PGAの製造は、ネットワークポリマー,Vol.36,No.6(2015),p.282-287.の記載の方法により、製造した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率は、50%であることを確認した。本製造例8により得られたポリカルボン酸誘導体をNHS化γ-PGA(50)とした。
製造例8と同様にして、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が25%であるNHS化γ-PGA(25)を製造した。
製造例8と同様にして、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が7%であるNHS化γ-PGA(7)を製造した。
製造例1-10において得られた各ポリカルボン酸誘導体について、水への溶解性を調べた結果を表1に示す。水への溶解性試験は、純水に各ポリカルボン酸誘導体を20wt%になるように添加し、25℃で350rpm、1時間撹拌した後に、目視にて溶解具合を確認した。液中のポリカルボン酸誘導体が完全に溶解した状態を「溶」とし、溶け残りがある状態を「不溶」とした。
和光純薬製ウシ骨由来のゼラチンを温水(50℃)に溶解し、20wt%水溶液を作製した(以下、主剤溶液と称する)。また、製造例1-10において得られた各ポリカルボン酸誘導体を水に溶解して表1に示す濃度の水溶液を作製した(以下、架橋剤溶液と称する)。幅1cm、長さ5cm、厚み188μmのPETフィルムの端部(1cm×1cm)に1cm×1cm×5mmの豚皮をシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)、東亞合成社、型番201)で接着固定した試験片(図2)を2枚準備した。前記準備した1枚の豚皮部分に前記主剤溶液の25μLを滴下し、続いて架橋剤溶液の25μLを滴下し、均一になるように混合した。豚皮全面に混合した接着剤を塗布した後、他の試験片を豚皮同士が重なるように貼り合わせ、クロスピンで挟んで室温で1時間おいた。得られた試験片(図3)を用いて引張せん断接着強度を測定した。これらの結果を表1および図4に示す。
2 豚皮
3 接着剤
Claims (10)
- 前記ポリカルボン酸がポリペプチドである、請求項1に記載の架橋剤。
- 前記ポリカルボン酸がポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸である、請求項1または2に記載の架橋剤。
- 前記プロパルギルアミノ酸がプロパルギルグリシンである、請求項1~3のいずれかに記載の架橋剤。
- 前記ポリカルボン酸誘導体においてプロパルギルアミノ酸の置換率が10~55%である、請求項1~4のいずれかに記載の架橋剤。
- 主剤溶液と請求項1~5のいずれかに記載の架橋剤を含む溶液とからなる、2液型接着剤。
- 前記主剤が生体高分子である、請求項6に記載の2液型接着剤。
- 前記主剤がゼラチンである、請求項6または7に記載の2液型接着剤。
- 前記主剤と前記架橋剤とを1:0.01~1:1の重量比で混合して使用する、請求項6~8のいずれかに記載の2液型接着剤。
- 医療用の接着剤として用いられる、請求項6~9のいずれかに記載の2液型接着剤。
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