JP7152228B2 - 金属水酸化物の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属水酸化物の製造装置及び製造方法に関し、より詳しくは、金属酸化物ターゲットの作製に用いられる金属水酸化物を製造するものに関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイにおいては、電極としてIGZO膜等の透明導電膜が用いられている。透明電極膜の成膜には、量産性等を考慮してスパッタリング装置が広く利用され、この種のスパッタリング装置としては、IGZOターゲット等の金属酸化物ターゲットに高周波電力を投入して透明電極膜を成膜するものがある。
このような金属酸化物ターゲットの作製に用いられる金属水酸化物の製造装置は例えば特許文献1で知られている。このものは、電解槽と、電解槽内に設置されるガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽内に収納される電解液と、電解液中に設置される陽極と、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える。陽極を金属インジウムとし、電解液を硝酸アンモニウムとし、水酸化インジウムを析出させる場合を例に説明すると、電解中、陽極からインジウムイオンが溶出し、この溶出したインジウムイオンが電解液中の水酸化物イオンと反応して水酸化インジウムが析出する。析出した水酸化インジウムを焼成して酸化インジウムとし、この酸化インジウムを粉末化して他の金属酸化物の粉末と混合し、混合粉末を所定形状に成形した後に焼結することにより、金属酸化物ターゲットが製造される。
ところで、上記従来例の製造装置における陽極として金属ガリウムを用いる場合、電解中に電解液の温度が金属ガリウムの融点よりも高くなると、金属ガリウムが液状化する。この場合、析出した水酸化ガリウムの粒径が所望の粒径よりも大きくなり、スパッタリングターゲットの製造に適さなくなる。他方で、電解中の電解液の温度が金属ガリウムの融点よりも常時低くなるように、電解液を冷却する冷却装置を設けることも考えられるが、これでは製造装置が大掛かりとなってコスト高を招来する。
国際公開第2013/179553号
本発明は、以上の点に鑑み、スパッタリングターゲットの製造に適した粒径を持つ金属水酸化物を得ることが可能な低コストの金属水酸化物の製造装置及び製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するために、電解槽と、電解槽内に設置される、疎水性のガス拡散層とこのガス拡散層に積層される親水性の反応層とを有するガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽の反応層が面する部分に収納される電解液と、電解液中に設置される陽極と、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える本発明の金属水酸化物の製造装置は、前記陽極として30℃で液状化する金属を含有する金属含有物を用い、電解液が収納される電解槽の部分にフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と金属含有物が設置される陽極室とを区画し、この陽極室の電解液のpHが酸性に維持されるようにフィルター板の通気度を設定したことを特徴とする。
本発明によれば、金属含有物としてガリウム含有物を用いて水酸化ガリウムを製造する場合を例に説明すると、フィルター板により析出室と陽極室とを区画することで、電解中に液状化したガリウムが析出室に滲み出すことを防止できる。この陽極室の電解液のpHが所定範囲(例えば酸性側)に維持されるようにフィルター板の通気度を設定することで、陽極室にて液状化したガリウムが溶出したガリウムイオンがフィルター板を介して析出室に移動するため、析出室で析出する水酸化ガリウムの粒径は大きくならず、スパッタリングターゲットの製造に適したものとなる。しかも、電解液を冷却する設備を設ける必要がないため、低コストである。
本発明において、前記金属含有物がガリウム含有物である場合、前記フィルター板は、0.3~150cc/cm/secの範囲の通気度を有するものであることが好ましい。通気度が0.3cc/cm/sec未満である場合、イオン伝導度(インピーダンス)に影響を及ぼし、電圧が上昇し、電力消費量が増加する虞がある。一方で、通気度が150cc/cm/secを超える場合、陽極室で液状化したガリウムが析出室に滲み出し、フィルター板のフィルター効果が無くなる虞がある。さらに、フィルター板の液抵抗効果が無くなり、析出室よりも陽極室の硝酸イオン濃度を高くすることが難しく、両室間のpH差が生じ難くなり、その結果、陽極室内で金属水酸化物が析出してしまい、析出室における金属水酸化物の回収ロスが多くなる虞もある。尚、ガリウム含有物には、金属ガリウム、ガリウム合金のほか、ガリウムを含有する導電酸化物が含まれるものとする。
本発明において、前記陽極室に前記金属ガリウム又はその合金と導通するPtメッキ電極を設置することが好ましい。これによれば、Ptの酸化力によって陽極室の電解液の酸性が強くなり、陽極室にて液状ガリウムを電解液に効率よく溶解させることができ、有利である。
上記課題を解決するために、電解槽内に、疎水性のガス拡散層と親水性の反応層とを積層して構成されるガス拡散電極を設置してこの電解槽内を区画し、この区画された電解槽の反応層に面する部分に電解液を収納し、電解液中にガリウム含有物からなる陽極を浸漬し、ガス拡散電極を陰極として両電極間に電圧を印加すると共に、区画された電解槽のガス拡散層に面する部分に酸素を供給して電解し、電解液中に金属水酸化物を析出させる本発明の金属水酸化物の製造方法は、電解液中に所定の通気度を有するフィルター板を設けて、金属酸化物が析出する析出室と、前記ガリウム含有物が液状化する陽極室とに区画し、電解中、陽極室内が酸性に維持されるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、陽極を構成するガリウム含有物として金属ガリウムを用いる場合を例に説明すると、電解中、ジュール熱により電解液の温度が金属ガリウムの融点よりも高い温度(例えば30℃)に上昇するため、陽極室で金属ガリウムが液状化する。本発明では、所定の通気度を有するフィルター板のフィルター効果により、陽極室で液状化したガリウムがフィルター板を介して析出室に滲み出すことが防止できる。しかも、フィルター板の液抵抗効果により、陽極室が所定のpH(酸性側)に維持されるため、陽極室でガリウムイオンを効率よく溶出することができ、ガリウムイオンを析出室に効率よく供給できる。これにより、析出室で析出した水酸化ガリウムの粒径が大きくなり過ぎず、スパッタリングターゲットの製造に適したものとなる。
尚、本発明において、ガス拡散層に面する部分に酸素を供給するとは、この部分にガス供給管を通じて酸素含有ガスを積極的に供給する場合だけでなく、ガス拡散電極のガス拡散層を大気に曝して反応層に形成される気液界面に常に酸素が供給される場合を含むものとする。
本発明において、電解中、析出室のpHが8~9の範囲に維持されるように析出室にアンモニア水を供給することが好ましい。
本発明の実施形態の金属水酸化物の製造装置を示す模式図。 (a)及び(b)は、イオンクロマト分析の測定結果を示すグラフ。 (a)及び(b)は、イオンクロマト分析の測定結果を示すグラフ。 本発明の変形例の金属水酸化物の製造装置を示す模式図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る金属水酸化物の製造装置である電解装置について説明する。図1に示すように、電解装置EMは、電解槽1を備える。電解槽1は、空気槽10と沈殿槽11とで構成されている。これら空気槽10及び沈殿槽11は、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂等、後述する電解液Sに対して耐性を有する絶縁性材料で構成されている。このため、後述する陰極2と陽極4との間を絶縁する絶縁部材を別途設ける必要はない。これら空気槽10及び沈殿槽11は、上面と一側面とが開口となっており、この一側面の周囲にはフランジ部10a、11aが形成されている。このフランジ部10a、11aに形成された凹溝にはパッキン10b、11bが嵌め込まれており、後述する保持板21との間で電解液をシールできるようになっている。
電解槽1内には陰極2が設置されており、この陰極2により電解槽1内が区画されている。陰極2は、ガス拡散電極20と、このガス拡散電極20を挟持する2枚のチタン製の保持板21とで構成される。保持板21は、ガス拡散電極20に効率よく通電する役割を果たす。ガス拡散電極20は、疎水性のガス拡散層20aと親水性の反応層20bとが積層されてなる。ガス拡散電極20としては、ガス拡散層20aが疎水性カーボンと基材たるPTFE(フッ素系樹脂)とで構成され、反応層20bが白金もしくは銀からなる触媒を担持した親水性カーボンと疎水性カーボンと基材たるPTFEとで構成されたものを用いることができる。各保持板21にはガス拡散電極20の輪郭と略一致する外形を有し、かつ、ガス拡散電極20全体の厚さの略半分の深さを有する凹部21aが形成され、この凹部21aにガス拡散電極20が嵌め込まれるようになっている。両保持板21でガス拡散電極20を挟持した状態で、空気槽10のフランジ部10a、保持板21及び沈殿槽11のフランジ部11aとの位置合わせをし、ボルトとナットで固定することにより、電解槽1内でガス拡散電極20が位置決め保持される。各保持板21には、凹部21aに通じ、凹部21aよりも一回り小さい開口21bが夫々開設されている。これにより、各開口21bを介してガス拡散層20aが空気槽10内に面すると共に、反応層20bが沈殿槽11内に面する。空気槽10内にはガス供給管3の先端が挿入され、空気槽10内に所定圧力に加圧した空気(酸素含有ガス)を導入でき、さらに、この空気をガス拡散電極20のガス拡散層20aに供給できるようになっている。沈殿槽11内には電解液Sが収納され、この電解液S中に陽極4を浸漬させている。
陽極4としては、ガリウム含有物を用いることができ、このガリウム含有物には、金属ガリウム、In-Gaのようなガリウム合金や、IGZOのようなガリウムを含有する導電酸化物が含まれる。また、後述の如く液状化したガリウム40と導通するように、電解液Sに対して不溶解性を有するPtメッキ電極41が設置されている。このPtメッキ電極41としては、例えば、PtメッキTi電極を用いることができる。また、Ptメッキ電極41は電解液S中の上部領域まで存在することが好ましい。これによれば、電解液Sとの接触面積が増加し、水素イオンを効率的に供給し、後述する正極室11b内のpHを所定範囲(酸性側)に維持することができる。
電解液Sとしては、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム及び硫酸カリウムから選択された少なくとも1種を用いることができる。ここで、析出する金属水酸化物に含まれる不純物(窒素)の量を少なくでき、しかも、その不純物を比較的低温での熱処理で容易に除去可能である点を考慮すると、硝酸アンモニウムを用いることが好適である。水酸化ガリウムが効率よく析出するように、pH制御手段5により電解液SのpHが8~9に制御されている。この場合、pH制御手段5は、図示省略するpHセンサにより電解液SのpHを測定し、例えば、pH測定値が8未満になると、後述する析出室11aにアンモニア水(pH10)を所定量投入する。
電解装置EMは、直流電源6を更に備え、陰極2と陽極4との間に所定の電圧を印加できるようになっている。印加電圧は、所定の電流密度(例えば、2.5A/dm )となるように適宜設定できる。例えば、電解液Sとして硝酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を3.0~10.0Vの範囲内で設定できる。電解液Sとして塩化アンモニウムや硫酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を2.5~10.0Vの範囲内で設定できる。また、電解液Sとして酢酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を8.5~15.0Vの範囲内で設定できる。
電解温度(電解液Sの温度)を室温(25℃)に設定すれば、電解液Sの温度制御手段が不要となり、装置コスト上好ましいが、電解中、ジュール熱により電解液Sの温度が約30℃に上昇する。この場合、低融点の金属ガリウム又はその合金は液状化し、液状化した金属ガリウム又はその合金40が底部に溜まることとなる。この状態で水酸化ガリウムを析出させると、析出した水酸化ガリウムの粒径が所望の粒径よりも大きくなり、スパッタリングターゲットの製造に適さなくなる。
そこで、本実施形態では、電解液Sが収納される電解槽1の部分に所定の通気度を有するフィルター板7を設けて、水酸化ガリウムが析出する析出室11aと、陽極4が設置される陽極室11bとを区画した。フィルター板7は、ポリプロピレンメッシュのような樹脂製メッシュや、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルターを用いることができる。フィルター板7は、例えば、図示省略するPVC板で挟持した状態で設置することができる。フィルター板7としては、125Paで0.3~150cc/cm/secの範囲の通気度を有するものを用いることができる。これにより、陽極室11bの電解液SのpHを所定範囲(例えば、酸性側)に維持できる。通気度は、JISの通気性試験(L1096 6.27.1A 法)に準拠するものである。通気度が0.3cc/cm/sec未満である場合には、イオン伝導度(インピーダンス)に影響を及ぼし、電圧が上昇し、電力消費量が増加する虞がある。一方で、通気度が150cc/cm/secを超える場合、陽極室11bで液状化したガリウム40が析出室11aに滲み出し、陽極室11bのフィルター効果が無くなる虞がある。さらに、析出室11aと陽極室11bとの間で硝酸イオンの濃度差を保ち難く、pH差が生じ難くなり、その結果、陽極室11b内で金属水酸化物が析出してしまい、金属水酸化物の回収ロスが多くなる虞もある。液抵抗効果がほとんどなくなり、その結果として、析出室11aに比べて陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態を維持することができず、陽極室11bの電解液SのpHを酸性側に維持する効果が低下する。
以下、本実施形態の金属水酸化物の製造方法について、上記電解装置EMを用い、電解液Sを硝酸アンモニウムとし、陽極4を金属ガリウム又はその合金とし、水酸化ガリウムを析出させる場合を例に説明する。
先ず、電解槽1内に設置される陰極2により区画される沈殿槽11内に電解液Sを収納し、さらに沈殿槽11内に設置されるフィルター板7により、水酸化ガリウムが析出される析出室11aと、陽極室11bとに区画され、この陽極室11bの電解液S中に金属ガリウム又はその合金4を浸漬させる。ガス拡散電極20を陰極、金属ガリウム又はその合金4を陽極とし、これら両極間に電源6から電圧を印加する。このように電圧を印加すると、ジュール熱により電解液Sの温度が上昇し、金属ガリウム又はその合金4が液状化し、液状化したガリウム40が陽極室11bの底部に溜まる。ここで、フィルター板7の通気度を適宜設定することで、フィルター板7のフィルター効果により、陽極室11bで液状化したガリウム40は、フィルター板7を介して析出室11aに滲み出すことがない。さらに、フィルター板7の液抵抗効果により、析出室11aに比べて陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い(リッチな)状態となり、Ptメッキ電極41によって水素イオンが効率良く供給されることで、陽極室11bのpHが酸性側に維持されるため、陽極室11bにてガリウムイオンの溶出が効果的に行われる。その結果として、陽極室11bからフィルター板7を介して析出室11aにガリウムイオンが効率よく供給される。析出室11aにて、ガリウムイオンが電解液S中の水酸化物イオンと反応することで水酸化ガリウムが析出し、析出した水酸化ガリウムが析出室11aの底部に沈殿する。
尚、電解中、空気槽10内にガス供給管3から空気を導入することで、ガス拡散層20aを介して反応層20bに酸素が供給される。これにより、反応層20bの内部に気液界面が形成され、この気液界面にて酸素の還元反応が起こり、電解液S中に水酸化物イオンが供給される。
以上説明した実施形態によれば、析出室11aと陽極室11bとをフィルター板7で区画し、このフィルター板7の通気度を適宜設定することで、電解中に液状化したガリウム40が析出室11aに滲み出すことを防止できる。このとき、フィルター板7の液抵抗効果により、析出室11aと陽極室11bとの間でpH差を生じさせることができ、つまり、陽極室11bの電解液Sを酸性にすることができるため、陽極室11bにて液状化したガリウム40からガリウムイオンが効率よく溶出する。その結果として、陽極室11bからフィルター板7を介して析出室11aにガリウムイオンが効率よく供給され、析出室11aで析出する水酸化ガリウムの粒径は大きくならず、スパッタリングターゲットの製造に適したものとなる。しかも、液状化を防止するために電解液Sを冷却する設備を設ける必要がないため、低コストである。
次に、上記実施形態を更に具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
陽極4を50at%のIn-Ga合金(30g)とし、このIn-Ga合金は室温で液状(ゲル状)であるため、PtメッキTi電極41によりIn-Ga合金4(液状化したガリウム40)との導通をとれるようにした。フィルター板7として濾過精度10μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は17.6cc/cm/sec)を用い、陰極2とPtメッキTi電極41(陽極4)との間に、電流密度が2.5A/dmとなるように電圧を印加し、析出室11aにpH10のアンモニア水を適宜追加しながら析出室11aの電解液SのpHを8~9の範囲に調整して電解を行ったところ、液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しがないことが確認された。そして、24時間電解を行った後、陽極室11bに残留する液状化したガリウム40の重量を測定すると約5gであった。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図2(a)に示す。これによれば、フィルター板7の液抵抗効果により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から1時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。本実施例1によれば、陽極室11bで液状化したガリウム40を効果的に溶出でき、それにより生じたガリウムイオンをフィルター板7を介して析出室11aに供給できることが判った。
(実施例2)
本実施例2では、陽極4を板状の金属ガリウム(30g)とした点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行ったところ、電圧印加により陽極室11bでガリウムが液状化したものの、この液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しがないことが確認された。そして、24時間電解を行った後、陽極室11bに残留する液状化したガリウム40の重量を測定すると約5gであった。また、上記実施例1と同様に、フィルター板7の液抵抗効果により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となることが確認された。本実施例2によれば、上記実施例1と同様に、陽極室11bで液状化したガリウム40を効果的に溶出でき、それにより生じたガリウムイオンをフィルター板7を介して析出室11aに供給できることが判った。
(実施例3)
本実施例3では、フィルター板7として目開き1μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は0.3cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例2と同様に電解を行ったところ、電圧印加により陽極室11bで液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しがないことが確認された。そして、24時間電解を行った後、陽極室11bに残留する液状化したガリウム40の重量を測定すると約5gであった。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図2(b)に示す。これによれば、上記実施例1及び2と同様に、フィルター板7の液抵抗効果により、析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から1時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。本実施例3によれば、上記実施例1及び2と同様に、陽極室11bで液状化したガリウム40を効果的に溶出でき、それにより生じたガリウムイオンをフィルター板7を介して析出室11aに供給できることが判った。
(実施例4)
本実施例4では、フィルター板7として目開き100μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は136cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例2と同様に電解を行ったところ、電圧印加により陽極室11bで液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しがないことが確認された。そして、24時間電解を行った後、陽極室11bに残留する液状化したガリウム40の重量を測定すると約5gであった。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図3(a)に示す。これによれば、上記実施例1-3と同様に、フィルター板7の液抵抗効果により、析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から2時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。本実施例4によれば、上記実施例1-3と同様に、陽極室11bで液状化したガリウム40を効果的に溶出でき、それにより生じたガリウムイオンをフィルター板7を介して析出室11aに供給できることが判った。
次に、上記実施例に対する比較例について説明する。
(比較例1)
本比較例1では、フィルター板7として濾過精度150μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は150.3cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例2と同様に電解を行ったところ、フィルター板7のフィルター効果が無く、電圧印加により陽極室11bで液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図3(b)に示す。これによれば、フィルター板7の液抵抗効果が無く、析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態とならず、電解開始から24時間経過後も陽極室11b内のpHが中性(7~8)であることが確認された。
(比較例2)
フィルター板7として目開き150μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は155cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例2と同様に電解を行ったところ、電圧印加により陽極室11bで液状化したガリウム40の析出室11aへの滲み出しが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図2(d)に示す。これによれば、上記比較例1と同様に、フィルター板7の液抵抗効果が無く、析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態とならないことが確認された。
尚、上記実施例1,2及び比較例1においてフィルター板7として用いたポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルターの濾過精度及び通気度と、陽極室11bで液状化したガリウムの析出室11aの滲み出しの有無との関係を下表1に示す。また、上記実施例3,4及び比較例2においてフィルター板7として用いたポリプロピレンメッシュの目開き及び通気度と、陽極室11bで液状化したガリウムの析出室11aの滲み出しの有無との関係を下表2に示す。
(表1)
Figure 0007152228000001
(表2)
Figure 0007152228000002
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態及び実施例では、陽極4として金属ガリウム又はその合金を用いる場合を例に説明したが、図3に示すように、陽極4をIGZOのようなガリウムを含有する導電酸化物(例えば、ガリウムを含有するターゲットスクラップ)を用いることができる。この場合も液状化したガリウム40が陽極室11bに溜まるため、フィルター板7の通気度を上記範囲に設定することで、上記実施形態及び実施例と同様の効果を得ることができる。この場合、電解により陽極(IGZO)4の表面が酸化されたり、溶け落ちたりすることで導電性が低下するが、陽極4に隣接配置されたPtメッキ電極41により導通が維持されて電解が継続し、陽極4に通電されていなくても、陽極室11bの酸性溶液によって溶解され続けるという効果を奏する。
また、上記実施形態では、電解液Sとして硝酸アンモニウムを用いる場合について説明したが、金属水酸化物の粒径に応じて、例えば、上記例示した塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を用いることができる。この場合、析出した金属水酸化物に塩素、硫黄、炭素等が不純物として混入し、これらの不純物を除去するには、窒素を除去する場合に比べてより高温の熱処理を行う必要がある。
また、フィルター板7の目詰まりを可及的に抑制すると共に、析出室11a内のpHを調整を行うためには、析出室11a内にスターラー等の撹拌手段を設け、電解液Sを撹拌することが好ましい。撹拌手段としては、公知のものを用いることができるため、詳細な説明を省略する。
また、上記実施形態では、陽極4としてIn-Ga合金や金属ガリウム等のガリウム含有物を用いる場合を例に説明したが、陽極4として30℃で液状化する金属を含有する金属含有物を用いる場合に本発明を適用することができる。
1…電解槽、2…陰極、11a…析出室、11b…陽極室、20…ガス拡散電極、20a…ガス拡散層、20b…反応層、S…電解液、4…陽極,ガリウム含有物、41…Ptメッキ電極、6…電源、7…フィルター板。

Claims (5)

  1. 電解槽と、電解槽内に設置される、疎水性のガス拡散層とこのガス拡散層に積層される親水性の反応層とを有するガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽の反応層が面する部分に収納される電解液と、電解液中に設置される陽極と、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える金属水酸化物の製造装置において、
    前記陽極として30℃で液状化する金属を含有する金属含有物を用い、電解液が収納される電解槽の部分にフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と金属含有物が設置される陽極室とを区画し、この陽極室の電解液のpHが酸性に維持されるようにフィルター板の通気度を設定したことを特徴とする金属水酸化物の製造装置。
  2. 請求項1記載の金属水酸化物の製造装置であって、前記金属含有物がガリウム含有物であるものにおいて、
    前記フィルター板の通気度は、0.3~150cc/cm/secの範囲であることを特徴とする請求項1記載の金属水酸化物の製造装置。
  3. 前記陽極室に前記ガリウム含有物と導通するようにPtメッキ電極を設置したことを特徴とする請求項記載の金属水酸化物の製造装置。
  4. 電解槽内に、疎水性のガス拡散層と親水性の反応層とを積層して構成されるガス拡散電極を設置してこの電解槽内を区画し、この区画された電解槽の反応層に面する部分に電解液を収納し、電解液中にガリウム含有物からなる陽極を浸漬し、ガス拡散電極を陰極として両電極間に電圧を印加すると共に、区画された電解槽のガス拡散層に面する部分に酸素を供給して電解し、電解液中に金属水酸化物を析出させる金属水酸化物の製造方法であって、
    電解液中に所定の通気度を有するフィルター板を設けて、金属酸化物が析出する析出室と、前記ガリウム含有物が液状化する陽極室とに区画すると共に、電解中、陽極室内が酸性に維持されるようにしたことを特徴とする金属水酸化物の製造方法。
  5. 電解中、析出室のpHが8~9の範囲に維持されるように析出室にアンモニア水を供給することを特徴とする請求項4記載の金属水酸化物の製造方法
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