JP7149508B2 - 光学フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 平成28年8月29日、 http://dx.doi.org/10.1016/j.carbpol.2016.08.093
本発明は、光学フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、環境負荷の小さい樹脂として生物由来の成分を原料とする樹脂が注目されている。植物由来の成分を原料とする樹脂としては、例えば、多糖類であるセルロースを原料としたトリアセチルセルロース(以下、TACとも記す。)が知られている。TACフィルムは、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足することから、例えば、小さい位相差(レタデーション)、高い透明性および高い耐熱性が求められる光学フィルム(画像表示装置の偏光板における偏光子保護フィルム、位相差フィルムにおける等方性透明樹脂基板等)等として用いられている(特許文献1の段落[0002]~[0005]参照)。
特許第3827268号公報
しかし、TACは、熱可塑性を有さない。そのため、TACフィルムは、溶液キャスト法によって製膜される(特許文献1の特許請求の範囲参照)。溶液キャスト法は、ハロゲン系有機溶媒等の有機溶媒を大量に必要とするため、環境への配慮の点から好ましい製膜方法とはいえない。
セルロース以外の生物由来の多糖類としては、藻類、菌類等によって生産される多糖類(β-1,3-グルカン等)が知られている。しかし、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とした、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足する光学フィルムはいまのところ知られていない。
本発明は、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とでき、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足し、かつ溶液キャスト法で製造できることは勿論、溶液キャスト法以外の方法でも製造できる光学フィルムおよびその製造方法を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>β-1,3-グルカンに炭素数が異なる2種以上のアシル基を導入したβ-1,3-グルカン誘導体を含む材料からなり、下記式(I)から求めた面配向係数ΔPが、-0.005以上0.15以下である、光学フィルム。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz (I)
ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
<2>前記光学フィルムの下記式(II)から求めた複屈折Δnが、-0.005以上0.1以下である、前記<1>の光学フィルム
Δn=Nx-(Ny+Nz)/2 (II)
ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
<3>前記β-1,3-グルカン誘導体が、炭素数が1以上5以下の炭化水素基(A)を有するアシル基と、炭素数が2以上でありかつ炭化水素基(A)よりも炭素数が大きい炭化水素基(B)を有するアシル基とを有する、前記<1>または<2>の光学フィルム。
<4>前記<1>~<3>のいずれかの光学フィルムを製造する方法であり、前記β-1,3-グルカン誘導体を含む材料を製膜してフィルムを得る、光学フィルムの製造方法。
<5>製膜方法が、溶融キャスト法または溶液キャスト法である、前記<4>の光学フィルムの製造方法。
<6>前記フィルムを延伸して延伸フィルムを得る、前記<4>または<5>の光学フィルムの製造方法。
本発明の光学フィルムは、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とでき、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足し、かつ溶液キャスト法で製造できることは勿論、溶液キャスト法以外の方法でも製造できる。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とでき、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足する光学フィルムを溶液キャスト法で製造できることは勿論、溶液キャスト法以外の方法でも製造できる。
実施例1~4の光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例5~7の光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例8~9の光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例10~11の光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 製造例12~14のβ-1,3-グルカン誘導体の熱重量分析(TGA)の結果を示すグラフである。 実施例12~14の光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、β-1,3-グルカンに炭素数が異なる2種以上のアシル基を導入したβ-1,3-グルカン誘導体を含む材料からなる。
β-1,3-グルカン誘導体を含む材料は、β-1,3-グルカン誘導体のみからなる材料であってもよく、必要に応じて他の成分(フィラー、酸化防止剤、離形剤、着色剤、分散剤、難燃助剤、難燃剤等の各種添加剤、ポリビニルアルコール等の他の樹脂等)をさらに含んでもよい。
(β-1,3-グルカン)
β-1,3-グルカンは、主に藻類、菌類等によって生産される多糖類である。
β-1,3-グルカンは、β-1,3-結合によってグルコースが連結されている点で、β-1,4-結合によってグルコースが連結されているセルロースと、グルコースの結合様式が類似する。また、熱流動性がないことも共通する。しかし、β-1,3-グルカンは、高分子鎖が三重らせん構造をとることができ、シート状の構造をとるセルロースとは高分子鎖の構造が異なっている。この構造の違いによって、β-1,3-グルカンは、セルロースとは異なる独自の物性と反応特性を有している。
β-1,3-グルカンは、精製が容易であり、精製工程はセルロースよりも温和な条件で行うことができる。すなわち、植物のセルロースは、リグニンやヘミセルロースと強固に結びついた形で存在しており、セルロースを単離するためには複雑でかつ強酸等を用いる苛烈な精製工程を必要とする。これに対して、藻類や菌類のβ-1,3-グルカンは、多くの場合、それ単独で存在しているため精製は容易であり、強酸等を用いる必要もない。そのため、β-1,3-グルカンは、精製工程を経ても解重合しにくく、天然高分子特有の、分子鎖長の分布が狭い単分散状態をおおよそ保って単離することができる。
β-1,3-グルカンを樹脂の原料として用いる場合、この単分散性が大きな特徴となる。すなわち、この単分散性はアシル化反応を通じて維持されるため、得られるβ-1,3-グルカン誘導体は、融点の差に起因する欠陥が生じにくい。また、β-1,3-グルカンは、セルロースよりも高純度で単離できるため、得られるβ-1,3-グルカン誘導体はTACよりも透過率等が高い傾向にある。
β-1,3-グルカンは、側鎖を有していてもよく側鎖を有していなくてもよい。側鎖を有するβ-1,3-グルカンとしては、シゾフィラン、レンチナン等が挙げられる。側鎖を有さないβ-1,3-グルカンとしては、カードラン、パラミロン等が挙げられる。
β-1,3-グルカンは、生物由来のものであってもよく、合成品であってもよい。環境負荷低減の点から、生物由来のものが好ましく、植物由来のものがより好ましい。中でも、β-1,3-グルカンの単離精製が容易である点から、細胞内でβ-1,3-グルカンを合成する微細藻類から分離したβ-1,3-グルカンが好ましい。微細藻類としては、ユーグレナ(ユーグレナ植物門に属する微細藻類)が好ましい。ユーグレナは、培養が容易であり、成長サイクルも速いことに加えて、光合成産物としてパラミロン粒子を細胞内に大量に蓄積するためである。ユーグレナが合成および蓄積するパラミロンは、通常1500~2000個のグルコースがβ-1,3-結合してなるβ-1,3-グルカンである。なお、パラミロン等のβ-1,3-グルカンの微細藻類からの分離は、常法により行うことができる。
(β-1,3-グルカン誘導体)
β-1,3-グルカン誘導体は、β-1,3-グルカンの主鎖を構成するグルコース中の一部の水酸基が、炭素数が異なる2種以上のアシル基でアシル化されている。すなわち、β-1,3-グルカン誘導体は、炭素数が異なる2種以上のアシル基を有する。炭素数が異なる2種以上のアシル基を有するため、(i)分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められるとともに、(ii)水酸基による主鎖間水素結合の形成がなくなることによって分子鎖間相互作用が弱められる。その結果、熱可塑性に優れている。このβ-1,3-グルカン誘導体は、それ自体が熱可塑性を有するので、可塑剤を添加しなくとも成形性に優れている。
β-1,3-グルカン誘導体としては、下記式(1)で表されるβ-1,3-グルカン混合エステルが挙げられる。
Figure 0007149508000001
ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、RおよびRの炭素数は異なる。nは、自然数である。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環構造を有していてもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基またはアルキニル基)であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、合成のしやすさ、RおよびRの自由度の高さ等の点から、アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐状のアルキル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基等が挙げられる。
β-1,3-グルカン誘導体は、炭素数が1以上5以下の炭化水素基(A)を有するアシル基と、炭素数が2以上でありかつ炭化水素基(A)よりも炭素数が大きい炭化水素基(B)を有するアシル基とを有することが好ましい。炭化水素基(A)の炭素数が1以上であれば、β-1,3-グルカンの主鎖間の水素結合やファン・デル・ワールス力による相互作用を低減できる。炭化水素基(A)の炭素数が5以下であれば、アシル基の置換度を高くしやすい。炭化水素基(B)の炭素数が2以上であれば、β-1,3-グルカンの主鎖間の水素結合やファン・デル・ワールス力による相互作用をさらに低減できる。炭化水素基(B)の炭素数が炭化水素基(A)の炭素数よりも大きければ、分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められる。
炭化水素基(B)の炭素数は、嵩高い炭化水素基の方が主鎖間の相互作用を弱める効果が高い点から、11以上が好ましく、13以上がより好ましい。炭化水素基(B)の炭素数は、アシル基をβ-1,3-グルカンの主鎖中に導入しやすい点から、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、17以下がさらに好ましい。
アシル基の置換度は、1.0以上3.0以下が好ましく、2.0以上3.0以下がより好ましく、2.5以上3.0以下がさらに好ましい。アシル基の置換度が前記範囲内であれば、分子鎖間の相互作用を弱める効果をより高めて、熱可塑性がより優れたβ-1,3-グルカン誘導体とすることができる。
アシル基の置換度は、後述する一段階合成法で用いたカルボン酸由来のアシル基の置換度が、グルコースユニット1つあたり0.05以上1.5以下であり、後述する一段階合成法で用いた酸無水物由来のアシル基の置換度が、グルコースユニット1つあたり1.0以上2.8以下であることが好ましい。アシル基の置換度が、それぞれ前記範囲内であれば、分子鎖間の相互作用を弱める効果をより高めて、熱可塑性がより優れたβ-1,3-グルカン誘導体とすることができる。カルボン酸由来のアシル基の置換度は、0.3以上1.2以下がより好ましい。酸無水物由来のアシル基の置換度は、1.3以上2.6以下がより好ましい。
アシル基の置換度は、原料のβ-1,3-グルカンのグルコースユニット1つあたりに結合したアシル基の割合である。例えば、アシル基の置換度が1.0とは、グルコースユニット1個につき1個の置換基が導入されていることを意味している。理論上、アシル基の置換度の上限値は3.0である。アシル基の置換度は、核磁気共鳴分光法(NMR法)等によって測定できる。例えば、H-NMRによって、グルコースユニットの炭素に直接結合している水素(メチレンおよびメチン基の水素)とアシル基の水素の積分値に基づいてアシル基の置換度を求めることができる。
β-1,3-グルカン誘導体の、温度240℃、荷重37.26Nまたは98.07Nで測定したメルトボリュームレート(MVR)は、1cm/10分以上が好ましい。上限値は、特に限定されず、45cm/10分以下とすることができる。MVRが前記範囲内であれば、β-1,3-グルカン誘導体は、熱可塑性を有し、成形性が優れている。MVRを荷重37.26Nまたは98.07Nのいずれで測定するかは、β-1,3-グルカン誘導体の熱可塑性に応じて適宜選択する。例えば、熱可塑性が高いβ-1,3-グルカン誘導体については、荷重37.26Nで測定することができ、熱可塑性がやや低いβ-1,3-グルカン誘導体については、荷重98.07Nで測定する。
β-1,3-グルカン誘導体の質量平均分子量Mwは、3.0×10Da以7.0×10Da以下が好ましく、3.0×10~6.0×10Daがより好ましい。β-1,3-グルカン誘導体の数平均分子量Mnは、1.0×10Da以上5.5×10Da以下が好ましく、2.0×10Da以上4.0×10Da以下がより好ましい。β-1,3-グルカン誘導体の分子量が前記範囲内であれば、分子量の低下による機械的強度の低下を防ぐことができる。
β-1,3-グルカン誘導体の分散度Mw/Mnは、1.2以上1.6以下が好ましい。分散度Mw/Mnが前記範囲内であれば、原料として用いるβ-1,3-グルカンの単分散性がより維持されて、融点の差に起因する欠陥がより生じにくいβ-1,3-グルカン誘導体とすることができる。
β-1,3-グルカン誘導体は、主鎖の少なくとも一部に炭素数が異なる2種以上のアシル基を有していればよく、側鎖を有するβ-1,3-グルカン誘導体の場合、側鎖の一部にもアシル基を有していてよい。また、アシル基は、2種以上であればよく、例えば、2種、3種または4種等とすることができる。
(β-1,3-グルカン誘導体の製造方法)
β-1,3-グルカン誘導体の製造方法としては、2種以上のアシル基を2段階以上で導入する多段階合成法、2種以上のアシル基を同時に導入する一段階合成法がある。
(多段階合成法)
多段階合成法としては、β-1,3-グルカンを構成するグルコース中の水酸基の一部を脂肪酸でアシル化した後、残存している水酸基の一部を炭素数の異なる脂肪酸でアシル化する二段階合成法(特許第6029155号公報)が挙げられる。
二段階合成法としては、例えば、β-1,3-グルカンを溶解させた溶液中で、塩化リチウム等のルイス酸またはピリジン等の塩基の存在下、アシル化剤として脂肪酸の塩化物、脂肪酸の無水物、または脂肪酸のビニル化合物を順次反応させる方法が挙げられる。
二段階合成法における反応温度、反応時間等の条件は、アシル化剤の種類、置換度等を考慮して適宜設定される。
脂肪酸の塩化物としては、例えば、酢酸クロリド、ブチル酸クロリド、ラウリン酸クロリド、ミリスチン酸クロリド、パルミチン酸クロリド、ステアリン酸クロリド、ヘキサデセン酸クロリド、オレイン酸クロリド、リノール酸クロリド、リノレン酸クロリド等が挙げられる。
脂肪酸の無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブチル酸等が挙げられる。
脂肪酸のビニル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ヘキサデセン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノール酸ビニル、リノレン酸ビニル等が挙げられる。
(一段階合成法)
一段階合成法としては、例えば、β-1,3-グルカンを、互いに炭化水素基の炭素数が異なるカルボン酸および酸無水物を含むアシル化剤を用いて溶媒中でアシル化させて、β-1,3-グルカン誘導体を得る方法が挙げられる。
一段階合成法におけるアシル化剤は、カルボン酸と酸無水物との反応物を含み、カルボン酸の炭化水素基の炭素数と酸無水物の炭化水素基の炭素数とが異なる。炭化水素基の炭素数とは、エステル結合を切断した場合の炭素数であり、下記式(2)、式(3)中のRおよびRの炭素数のことである。
Figure 0007149508000002
ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、RおよびRの炭素数は異なる。RおよびRのいずれか一方または両方が水素原子の場合、カルボン酸および酸無水物のいずれか一方または両方の炭化水素基の炭素数は0である。
アシル化剤が、カルボン酸と酸無水物との反応物を含み、カルボン酸の炭化水素基の炭素数と酸無水物の炭化水素基の炭素数とが異なるため、β-1,3-グルカンの主鎖中に、一工程(ワンポット)で炭素数の異なるアシル基を導入できる。炭素数の異なるアシル基は、グルコースユニットが有する3つの水酸基にランダムに導入されて、分子鎖のコンホメーションを乱す。コンホメーションが乱れた分子鎖は、必然的に整然と並ぶことができないため、熱可塑性が発現するものと考えられる。
カルボン酸および酸無水物の反応物は、下記式(4)に示すように、炭化水素基の炭素数が互いに異なるカルボン酸と酸無水物とを混合した後、加熱して得られる反応物であり、カルボン酸、ホモ酸無水物、および混合酸無水物の複数種の混合酸無水物を含む。この反応物中に含まれるホモ酸無水物と混合酸無水物とが、後述するアシル化反応において、β-1,3-グルカンのグルコースユニットが有する水酸基をアシル化すると考えられる。ホモ酸無水物とは、炭化水素基の炭素数が同じカルボン酸が脱水縮合した構造を有する酸無水物である。混合酸無水物とは、炭化水素基の炭素数が異なる2種類のカルボン酸が脱水縮合した構造を有する酸無水物である。
Figure 0007149508000003
ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、RおよびRの炭素数は異なる。RおよびRのいずれか一方または両方が水素原子の場合、カルボン酸および酸無水物のいずれか一方または両方の炭化水素基の炭素数は0である。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸無水物としては、上述したカルボン酸の無水物が挙げられる。酸無水物としては、コストの点から、無水酢酸が好ましい。酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸と酸無水物との使用割合は、モル比として、1:1~1:3程度とすることができる。カルボン酸と酸無水物との反応は、通常、常圧下、50℃以上100℃以下に加熱して行われる。
一段階合成法におけるアシル化反応は、β-1,3-グルカンを、上述したアシル化剤を用いて溶媒中でアシル化させる反応である。例えば、下記式(5)に示すように、β-1,3-グルカンを溶媒中に溶解させた溶液中で、塩基の存在下で反応させて、β-1,3-グルカン誘導体(パラミロン混合エステル等)を得ることができる。
Figure 0007149508000004
ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、RおよびRの炭素数は異なる。nは、自然数である。
一段階合成法においては、上述したアシル化剤を用いるため、β-1,3-グルカン誘導体を一工程で得ることができる。また、得られるβ-1,3-グルカン誘導体は、グルコースユニットの2位、4位または6位の水酸基に、炭素数が異なるアシル基がランダムに導入される。その結果、分子鎖の並びに乱れが生じて分子鎖間相互作用がより弱くなり、熱可塑性をより高めることができる。
一段階合成法における溶媒としては、非フッ素系溶媒が好ましい。非フッ素系溶媒を用いれば、腐食性の強い中間体を形成するトリフルオロ酢酸無水物を用いる必要がない。そのため、工業的規模で大量生産するのに適した方法にすることができる。
非フッ素系溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド-リチウムクロライド系溶媒、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾキジノン-リチウムクロライド系溶媒等が挙げられる。
塩基としては、4-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の公知のものを用いることができる。
一段階合成法における反応温度、反応時間等の条件は、アシル化剤の種類、置換度等を考慮して適宜設定される。反応温度は、例えば、50℃以上120℃以下とすることができる、反応時間は、例えば、0.5時間以上6時間以下とすることができる。反応終了後、反応液をアルコール等の貧溶媒および水のいずれか一方または両方に添加して、生成物を沈殿物として得ることができる。
一段階合成法においては、上述した反応工程に加えて、さらに他の工程を有していてもよい。例えば、アシル化剤の準備工程、精製工程、分離工程等を有することができる。アシル化剤の準備工程としては、上述したアシル化剤の調製方法にしたがって、カルボン酸および酸無水物を加熱しながら混合する工程が挙げられる。精製工程としては、特に限定されず、例えば、水またはアルコール中で撹拌する工程が挙げられる。分離工程としては、例えば、精製工程で得られた沈殿物を吸引濾過等して分離する工程が挙げられる。
一段階合成法は、混合酸無水物(アシル化剤)を準備した後、一工程で生成物を得ることができる簡便な方法である。反応生成物の分離についても、粗反応生成物を簡便な吸引濾過で反応混合物から分離するだけでよく、複雑な分離する工程が不要である。例えば、グラムスケールの合成であれば、数分の吸引濾過で分離することができる。
(光学フィルムの光学特性)
本発明の光学フィルムの下記式(I)から求めた面配向係数ΔPは、-0.005以上0.15以下であり、-0.005以上0.8以下が好ましい。面配向係数ΔPが前記範囲の下限値以上であれば、光学的に等方性を担保することができる。面配向係数ΔPが前記範囲の上限値以下であれば、光学的に等方性を担保することができる。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz (I)
ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
本発明の光学フィルムの下記式(II)から求めた複屈折Δnは、-0.005以上0.1以下が好ましく、-0.005以上0.08以下がより好ましい。複屈折Δnが前記範囲の下限値以上であれば、光学的に等方性を担保することができる。面配向係数ΔPが前記範囲の上限値以下であれば、光学的に等方性を担保することができる。
Δn=Nx-(Ny+Nz)/2 (II)
ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
本発明の光学フィルムの下記式(III)から求めた面内位相差R0は、0nm以上20nm以下が好ましく、0nm以上10nm以下がより好ましい。面内位相差R0が前記範囲内であれば、複屈折が十分に少なく、光学フィルムとして好適である。
R0=(Nx-Ny)×d (III)
ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、dは光学フィルムの厚さ(nm)である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
本発明の光学フィルムの下記式(IV)から求めた厚さ方向位相差Rthは、-20nm以上20nm以下が好ましく、-10nm以上10nm以下がより好ましい。面内位相差R0が前記範囲内であれば、複屈折が十分に少なく、光学フィルムとして好適である。
Rth=ΔP×d (IV)
ただし、ΔPは面配向係数であり、dは光学フィルムの厚さ(nm)である。
本発明の厚さdは、特に限定されず、例えば、5μm以上500μm以下である。
本発明の光学フィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムのL*a*b*表色系におけるb*は、6以下が好ましく、5以下がよりより好ましく、4以下がさらに好ましい。
(光学フィルムの製造方法)
本発明の光学フィルムは、β-1,3-グルカン誘導体を含む材料を製膜することによって得られる。製膜は、常法によって行うことができる。
製膜方法としては、低複屈折のフィルムが得られやすい点から、溶融キャスト法または溶液キャスト法が好ましく、環境への配慮の点から、溶融キャスト法がより好ましい。
溶融キャスト法としては、熱プレス法、押出成形法(Tダイ法、インフレーション法等)等が挙げられる。
熱プレス法における加熱温度は、β-1,3-グルカン誘導体の融点以上であり、β-1,3-グルカン誘導体の融点以上5%重量減少温度以下が好ましい。
熱プレス法における圧力は、熱プレス法によるフィルムの製造の際に通常設定される範囲内であればよい。
押出成形法における押出時の温度は、β-1,3-グルカン誘導体の融点以上であり、β-1,3-グルカン誘導体の融点以上5%重量減少温度以下が好ましい。
溶液キャスト法は、β-1,3-グルカン誘導体を含む材料を有機溶媒に溶解した溶液を、平坦な表面に流延させ、有機溶媒を揮発させてフィルムを形成する方法である。
有機溶媒としては、ハロゲン系有機溶媒、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
β-1,3-グルカン誘導体を含む材料を製膜して得られたフィルムは、そのまま光学フィルムとして用いてもよい。ただし、キャストフィルム(無延伸フィルム)は、位相差が小さいものの、機械的強度が不十分である。よって、フィルムを延伸して延伸フィルムとすることが好ましく、光学特性に異方性が生じにくい点から、フィルムを二軸延伸して二軸延伸フィルムとすることがより好ましい。延伸は、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法によって行うことができる。
(作用効果)
以上説明した本発明の光学フィルムにあっては、藻類、菌類等によって生産される多糖類であるβ-1,3-グルカンを原料とできるため、環境負荷が小さい。
また、本発明の光学フィルムにあっては、β-1,3-グルカンに炭素数が異なる2種以上のアシル基を導入したβ-1,3-グルカン誘導体を含む材料からなり、かつ面配向係数ΔPが-0.005以上0.15以下であるため、高耐熱性、高透明性および低複屈折をバランスよく満足する。
また、β-1,3-グルカンに炭素数が異なる2種以上のアシル基を導入したβ-1,3-グルカン誘導体は、(i)分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められるとともに、(ii)水酸基による主鎖間水素結合の形成がなくなることによって分子鎖間相互作用が弱められるため、熱可塑性に優れている。そのため、β-1,3-グルカン誘導体を含む材料からなる本発明の光学フィルムは、溶液キャスト法で製造できることは勿論、溶液キャスト法以外の方法でも製造できる。
このような光学フィルムは、画像表示装置等の製造工程における高温にも十分に耐えることから、画像表示装置等に好適な高透明性および低複屈折を兼ね備えた光学フィルムとなる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例4、10~14は参考例である。
<測定・評価>
H-NMR)
製造例1~14のβ-1,3-グルカン誘導体のH-NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、AVANCE500spectrometer)を用いて測定した。
(FT-IR)
製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体のFT-IRスペクトルは、ZnSeプリズム(日本分光社製、ATR Pro400-S)を備えたフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR-480ST)を用いて測定した。
(置換度)
製造例1~14のβ-1,3-グルカン誘導体における置換度DSは、グルコースユニット1つに結合した置換基の平均数である。置換度DSは、炭素数が異なる2種以上のアシル基のH-NMRスペクトルにおけるメチルプロトンの積分値を、それぞれ、グルコースプロトンの積分値と比較して、炭素数が多い方のアシル基の置換度を「DSmc」とし、炭素数が少ない方のアシル基の置換度を「DSace」として得た。
なお、製造例1~4の「DSace」は「カルボン酸由来のアシル基の置換度」に相当し、「DSmc」は「酸無水物由来のアシル基の置換度」に相当する。また、製造例5~9の「DSace」は「酸無水物由来のアシル基の置換度」に相当し、「DSmc」は「カルボン酸由来のアシル基の置換度」に相当する。
(分子量)
製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体の質量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを、多角度光散乱検出器を有するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALLS)を用いて測定した。SEC-MALLS測定は、多角度レーザー光度計(Wyatt Technology社製、miniDAWN)、動的光散乱モジュール(Wyatt Technology社製、QELS)およびゲルパーミエーションクロマトグラフィーカラム(KD-805)を備えた、示差屈折率検出器(Wyatt Technology社製、Optilab rEX、移動相:クロロホルム、1.0mL/min、40℃)を用いて行った。溶液は、0.20μmフィルターで精製した。注入量は、約4.0mg/mLの濃度で100μLとした。dn/dc値は、0.0372を用いた。
(ガラス転移温度Tgおよび融点mp)
製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体について、示差走査熱量計(DSC)(リガク社製、Thermo plus EVO II DSC8230)を用いて熱分析を行った。サンプルを走査速度10.0℃/分で25℃から230℃まで加熱した後、230℃で3分間保持した。230℃から25℃まで冷却し、5分間その温度で保持した後、同じ走査速度で250℃まで加熱した。2回目の加熱時に得られたサーモグラムを、ガラス転移温度Tgおよび融点mpの測定に用いた。
融点mpは、吸熱ピークから決定した。表中、mpにおける「-」は融点に相当する明瞭なピークが観測されなかったことを示す。Tgにおける「-」はガラス転移温度が観測されなかったことを示す。
(5%重量減少温度Td5)
製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体について、熱重量分析計(リガク社製、Thermo plus EVO II TG8120)を用いて熱重量分析(TGA)を行い、5%重量減少温度Td5を測定した。窒素を100mL/分で流しながら、走査速度10.0℃/minで試料を25℃から500℃まで加熱した。
(熱重量分析)
製造例12~14のβ-1,3-グルカン誘導体について、熱重量測定装置(TA Instruments社製、TGA Q50)を用いて熱重量分析(TGA)を行った。
(MVR)
melt indexer(井元製作所社製、IMC-E0F0)を用いて、165℃、210℃、または240℃に加熱した製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体の溶融サンプルについて、一定荷重(37.26Nまたは98.07N)でオリフィスダイ(直径1mm)から押し出し、ピストンが12.5mm移動する時間(t)を測定した。MVRを、以下の式から算出した。
MVR(cm/10min)=(A×tref×L)/t
ただし、Aは、ピストンの横断面積(0.407cm)であり、trefは、基準時間(600秒)であり、Lは、移動長(1.25cm)であり、tは、測定時間(秒)である。測定に際しては、試料を240℃で4分間加熱した。
製造例4(165℃)、製造例1(240℃)は、荷重98.07Nで測定し、他は荷重37.26Nで測定した。表中、N/Aは熱可塑性を示さないことを表す。
(厚さ)
実施例1~9の光学フィルムの厚さは、高精度デジマチックマイクロメータ(ミツトヨ社製、MDH-25M)を用いて測定した。
実施例10~14の光学フィルムの厚さは、ディジタルリニアゲージ(小野測器製、DG-525H)を用いて測定した。
(ヘーズ)
実施例10~14の光学フィルムのヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH 5000)にて測定し、3つのサンプルの平均値を求めた。
(全光線透過率)
実施例10~14の光学フィルムの全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定し、3つのサンプルの平均値を求めた。
(カラー)
実施例10~14の光学フィルムについて、JIS Z 8781-4:2013に準拠し、測色色差計(日本電色工業社製、Color Meter ZE2000)を用いてL*a*b*表色系におけるL*、a*、b*を測定し、3つのサンプルの平均値を求めた。
(屈折率)
実施例1~14の光学フィルムの屈折率(Nx、Ny、Nz)は、位相差測定装置(王子計測機器社製、KOBRA-HBR)を用いて波長588nmで測定した。
実施例1~14の光学フィルムの屈折率から、面配向係数ΔP、複屈折Δnを求め、光学フィルムの屈折率および厚さから、サンプル傾斜角0゜のときの位相差(面内位相差)R0、サンプル傾斜角40゜のときの位相差R40、厚さ方向位相差Rthを求めた。
(分光透過率)
実施例1~9の光学フィルムの分光透過率は、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)を用いて測定した。
実施例10~14の光学フィルムの分光透過率は、分光光度計(島津製作所社製、UV-3150)を用いて測定した。
<一段階合成法>
(製造例1)
酢酸および無水プロピオン酸からのパラミロンアセテートプロピオネートの合成:
パラミロン(3.00g,18.39mmol)、塩化リチウム(LiCl,2.367g,55.84mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、150mL)の混合物を窒素雰囲気下、90℃で1.5時間、撹拌しながら加熱した。得られた均一溶液に、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,428mg,3.50mmol)を一括添加した。次いで、この溶液に、窒素雰囲気下90℃で1.5時間加熱した酢酸(3.302g,54.99mmol)およびプロピオン酸無水物(14.462g,111.12mmol)の混合物を滴下した。混合物滴下後、徐々に加熱して108℃まで温度させながら4時間撹拌した後、反応混合物中に、メタノール150mLを添加し、次いで、混合物を水300mLに滴下して白色沈殿物を得た。この沈殿物を、吸引濾過で分離した後、フィルター上で、水100mLで洗浄した。この白色固体をメタノール350mL中で撹拌し、吸引濾過して分離した。この精製工程を3回繰り返した。得られた固体を、クロロホルム150mLに溶解した均一溶液を、メタノール500mL中に滴下して、細い繊維状の沈殿物を得た。この沈殿物をメタノール150mL中で撹拌した。吸引濾過後、空気中で一晩風乾させ、引き続き70℃で7時間真空乾燥して、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートプロピオネート)を白色固体として得た(4.483g,13.97mmol,収率75.9%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.87(brs),4.30(brs)4.02(brs),3.72(brs),3.60(brs),2.40-1.99(m),1.61(s),1.18-1.09(s)
FT-IR(cm-1):945,1737,1386,1389,1365,1155,1051,871,806
(製造例2)
酢酸および無水酪酸からのパラミロンアセテートブチレートの合成:
プロピオン酸無水物に替えて無水酪酸を用いた以外は、製造例1と同様の方法で、パラミロン(3.014g,18.47mmol)、酢酸(3.323g,55.34mmol)および無水酪酸(17.608g,111.30mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートブチレート)を得た(1.204g,3.34mmol,収率18.1%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.80(brs),4.35(brs),4.24(brs),4.05(brs),3.72-3.59(m),2.47-2.10(m),1.62-1.52(m),0.94-0.80(m)
FT-IR(cm-1):2963,2874,1739,1457,1391,1369,1219,1154,1041,893,793,750
(製造例3)
酢酸および無水ペンタン酸からのアセテートペンタノエートの合成:
プロピオン酸無水物に替えてペンタン酸無水物を用いた以外は、製造例1と同様の方法で、パラミロン(2.534g,15.53mmol)、酢酸(2.813g,46.84mmol)およびペンタン酸無水物(17.447g,93.68mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(アセテートペンタノエート)を得た(収率35.4%、2.145g,5.49mmol)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.81(brs),4.38(brs),4.23(brs),3.73(brs),3.57(brs),2.31-1.99(m),1.61-1.34(m),0.96-0.92(m)
FT-IR(cm-1):2957,2871,1741,1456,1389,1370,1173,1151,1046,892,754,734,594
(製造例4)
酢酸および無水ヘキサン酸からのパラミロンアセテートヘキサノエートの合成:
プロピオン酸無水物に替えてヘキサン酸無水物を用いた以外は、製造例1と同様の方法で、パラミロン(3.005g,18.42mmol)、酢酸(3.336g,55.55mmol)およびヘキサン酸無水物(23.501g,109.65mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートヘキサノエート)を得た(6.185g,14.78mmol、収率80.2%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.86(brs),4.79(brs),4.33(brs),4.25(brs),3.76(brs),3.60(brs),3.55(brs),2.35-1.99(m),1.60(s),1.38(s),1.31(s),0.94-0.90(m)
FT-IR(cm-1):2955,2930,2862,1743,1457,1390,1371,1217,1149,1045,889,732,597
(製造例5)
無水酢酸および酪酸からのパラミロンアセテートブチレートの合成:
パラミロン(3.009g,18.44mmol)、塩化リチウム(LiCl,0.783g,18.47mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、50mL)の混合物を、窒素雰囲気下、90℃で1時間撹拌しながら加熱した。得られた均一溶液に、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,146mg,1.20mmol)を一括添加した。次いで、この溶液に、窒素雰囲気下100℃で1.25時間加熱した無水酢酸(11.298g,105.09mmol)および酪酸(4.986g,55.57mmol)の混合物を滴下した。室温から102℃まで昇温させながら3.5時間撹拌した後、反応混合物を水500mL中に滴下して加え、透明な沈殿物を得た。この沈殿物を、吸引濾過で分離した後、水400mL中で1時間撹拌した。沈殿物をクロロホルム500mL中に溶解した後、不透明溶液をメタノール500mL中に注いだ。溶媒を段階的に除去して不均一溶液を得た。吸引濾過により、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートブチレート)を得た(収率78.8%、4.450g,14.72mmol)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.89(brs),4.83(brs),4.36(brs),4.32(brs),4.04(brs),3.74(brs),3.65(brs),2.12-2.00(m),1.64(s),1.02-0.93(m)
FT-IR(cm-1):2920,2852,1739,1647,1368,1211,1030,892,597
(製造例6)
無水酢酸およびヘキサン酸からのパラミロンアセテートヘキサノエートの合成:
酪酸に替えてヘキサン酸を用いた以外は、製造例5と同様の方法で、パラミロン(3.002g,18.40mmol)、無水酢酸(10.809g,105.88mmol)およびヘキサン酸(6.500g,55.96mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートヘキサノエート)を得た(4.355g,13.93mmol、収率75.7%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.88(brs),4.83(brs),4.36(brs),4.04(brs),3.74(brs),3.49(brs),2.24-2.00(m),1.62(s),1.44-1.32(m),0.97-0.93(m)
FT-IR(cm-1):2958,2918,2864,1738,1394,1369,1210,1030,891,597
(製造例7)
無水酢酸およびヘキサン酸からのパラミロンアセテートヘキサノエートの合成:
酪酸に替えてヘキサン酸を用いた以外は、製造例5と同様の方法で、パラミロン(3.002g,18.40mmol)、無水酢酸(10.809g,105.88mmol)およびヘキサン酸(6.500g,55.96mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートヘキサノエート)を得た(4.355g,13.93mmol、収率75.7%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.89(brs),4.83(brs),4.36(brs),4.32(brs),4.03(brs),3.74(brs),3.65(brs),2.49-2.00(m),1.63-1.38(m),1.38-1.31(m),0.94-0.91(m)
FT-IR(cm-1):2928,2917,2850,1739,1368,1209,1086,1031,892,839,658,596
(製造例8)
酢酸および無水ヘキサン酸からのカードランアセテートヘキサノエートの合成:
パラミロンに替えてカードランを用い、プロピオン酸無水物に替えてヘキサン酸無水物を用いた以外は、製造例1と同様の方法で、カードラン(3.007g,18.55mmol)、酢酸(3.301g,54.97mmol)およびヘキサン酸無水物(23.785g,111.00mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(カードランアセテートヘキサノエート)を得た(5.133g,11.55mmol、収率62.7%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.77(brs),4.29(brs),4.00(brs),3.70(brs),3.54(brs),2.23-1.98(m),1.58(m),1.30(m),0.89(m)
FT-IR(cm-1):2937,1739,1646,1434,1370,1216,1119,1022,952,895
(製造例9)
無水酢酸およびヘキサン酸からのカードランアセテートヘキサノエートの合成:
パラミロンに替えてカードランを用い、酪酸に替えてヘキサン酸を用いた以外は、実施例5と同様の方法で、カードラン(3.010g,18.44mmol)、無水酢酸(11.239g,110.09mmol)及びヘキサン酸(6.468g,55.68mmol)から、反応生成物であるβ-1,3-グルカン誘導体(カードランアセテートヘキサノエート)を得た(3.240g,10.31mmol、収率55.9%)。
H-NMRスペクトルおよびFT-IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。DSace、DSmc、Mw、Mn、Mw/Mn、mp、Tg、Td5、MVRを表1および表2に示す。
H-NMRスペクトル(CDCl):δ4.88(brs),4.82(brs),4.32(brs),4.03(brs),3.73(brs),3.64(brs),2.09-2.00(m),1.70-1.59(m),1.38-1.31(m),0.94-0.89(m)
FT-IR(cm-1):2928,2920,2851,1740,1635,1368,1210,1167,1031,891,597
Figure 0007149508000005
Figure 0007149508000006
<熱プレス法による光学フィルムの作製>
(実施例1~9)
製造例1~9のβ-1,3-グルカン誘導体を用いて、熱プレス法によって光学フィルムを作製した。熱プレス法は、次のように行った。
コンパクト熱プレス(井元製作所社製、IMC-180C)を用いて、β-1,3-グルカン誘導体(約100mg)を、1分間、20MPaの圧力で50mm×50mm×約0.05mmの四角形の薄膜に溶融プレスした。加熱温度は、融点mpより10℃程度高い温度とした。
光学フィルムの評価結果を表3に示す。光学フィルムの分光透過率を図1、図2および図3に示す。
Figure 0007149508000007
<二段階合成法>
(製造例10)
パラミロンアセテートミリステートの合成:
パラミロン(36.4g,224.6mmol)を100℃、24時間にて減圧加熱乾燥し、塩化リチウム(28.6g,676.1mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc,1820mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃にて1時間撹拌し、パラミロンを溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、トリエチルアミン(34.1g,336.6mmol)、DMAc(163mL)で希釈したミリスチン酸クロリド(27.7g,112.2mmol,パラミロンのグルコースユニットに対し0.5当量)を滴下し、120℃まで昇温し、3時間撹拌した。当該反応液に対し、メタノールを加えて、白色沈殿物を析出させた。得られた沈殿物をメタノール/クロロホルム(2/1=v/v,3L)で撹拌洗浄し、続いて、遠心分離を行い、白色固体としてミリストイル化パラミロンを得た(収量56.2g)。
ミリストイル化パラミロン(25.1g)、塩化リチウム(1.6g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc,3.7L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃にて1時間撹拌し、ミリストイル化パラミロンを溶解させた。当該溶液を70℃まで冷却し、ピリジン(420mL)、無水酢酸(600mL)を加え、70℃で5時間撹拌し、続いて、室温で17時間撹拌した。当該反応液に対し、蒸留水を加えていき、白色沈殿を析出させ、吸引濾過により、沈殿物を回収した。得られた沈殿物をメタノール(3L)で撹拌洗浄し、続いて、吸引濾過を行い、白色固体として、β-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートミリステート)を得た(収量25.1g)。H-NMRスペクトルから求めたDSace、DSmcを表4に示す。
(製造例11)
パラミロンアセテートミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を0.5当量から1.0当量に変更した以外は、製造例10の同様の方法でβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートミリステート)を得た(収量21.0g)。H-NMRスペクトルから求めたDSace、DSmcを表4に示す。
<延伸法による光学フィルムの作製>
(実施例10~11)
製造例10~11のβ-1,3-グルカン誘導体を用いて、熱プレス法によってプレスフィルムを作製した。熱プレス法は、次のように行った。
天板を230℃に加熱し、天板の上で厚さ2mmのステンレス板を予熱した。ステンレス板を取り出し、天板の上で0.1tのテトラフルオロエチレンシートを予熱した。ステンレス板の上に、テトラフルオロエチレンシート、製造例10のβ-1,3-グルカン誘導体、テトラフルオロエチレンシートの順番にのせ、プレス機に置いた。天板間を2cmに保って1分間加熱し、25MPaで1分間プレスし、厚さ200~250μmの実施例10のプレスフィルムを得た。
製造例11のβ-1,3-グルカン誘導体については、加熱温度を200℃に変更した以外は同様にプレスし、厚さ200~250μmの実施例11のプレスフィルムを得た。
実施例10のホットプレスシートを、延伸機設定温度155℃、予備時間20秒にセットした同時二軸延伸装置を用いて、延伸温度140℃、延伸倍率約2倍にて同時二軸延伸し、二軸延伸フィルムからなる実施例10-1の光学フィルムを得た。同様にして実施例10-2の光学フィルムを得た。
実施例11のホットプレスシートを、延伸機設定温度130℃、予備時間20秒にセットした同時二軸延伸装置を用いて、延伸温度120℃、延伸倍率約2倍にて同時二軸延伸し、二軸延伸フィルムからなる実施例11-1の光学フィルムを得た。同様にして実施例11-2の光学フィルムを得た。
光学フィルムの評価結果を表4に示す。光学フィルムの分光透過率を図4に示す。
Figure 0007149508000008
<二段階合成法>
(製造例12~14)
パラミロンアセテートミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を変更した以外は、製造例10の同様の方法で製造例12~14のβ-1,3-グルカン誘導体(パラミロンアセテートミリステート)を得た。H-NMRスペクトルから求めたDSace、DSmcを表5に示す。熱重量分析(TGA)の結果を図5に示す。
<溶液キャスト法による光学フィルムの作製>
(実施例12~14)
製造例12~14のβ-1,3-グルカン誘導体を用いて、溶液キャスト法によって実施例12~14の光学フィルムを作製した。溶液キャスト法は、次のように行った。
クロロホルムに溶解させたβ-1,3-グルカン誘導体(約250mg)の均一溶液を、皿(75×100mm)上に置き、8つの孔(直径約0.5mm)を有するアルミニウム箔で覆った。室温で一晩、段階的に溶媒を除去して、透明薄膜を得た。
光学フィルムの評価結果を表5に示す。光学フィルムの分光透過率を図6に示す。
Figure 0007149508000009
本発明の光学フィルムは、小さい位相差(レタデーション)、高い透明性および高い耐熱性が求められる、光学用保護フィルム(画像表示装置の偏光板における偏光子保護フィルム、光ディスク基板の保護フィルム等)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、位相差フィルム等として有用である。

Claims (12)

  1. β-1,3-グルカンに炭素数が異なる2種以上のアシル基を導入したβ-1,3-グルカン誘導体のみからなる材料からなり、
    下記式(I)から求めた面配向係数ΔPが、-0.005以上0.15以下であり、
    下記式(III)から求めた面内位相差R0が、0nm以上20nm以下であり、
    前記β-1,3-グルカン誘導体の分散度Mw/Mnが、1.2以上1.6以下である、光学フィルム。
    ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz (I)
    R0=(Nx-Ny)×d (III)
    ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率であり、dは光学フィルムの厚さ(nm)である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
  2. 前記光学フィルムの下記式(II)から求めた複屈折Δnが、-0.005以上0.1以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
    Δn=Nx-(Ny+Nz)/2 (II)
    ただし、Nxは光学フィルムの面内における入射直線偏光の遅相軸の屈折率であり、Nyは光学フィルムの面内における入射直線偏光の進相軸の屈折率であり、Nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。また、屈折率は、波長588nmの光に対する屈折率である。
  3. 前記光学フィルムの下記式(IV)から求めた厚さ方向位相差Rthが、-20nm以上20nm以下である、請求項1または2に記載の光学フィルム。
    Rth=ΔP×d (IV)
    ただし、ΔPは前記面配向係数であり、dは光学フィルムの厚さ(nm)である。
  4. 前記アシル基が、カルボン酸由来のアシル基と、酸無水物由来のアシル基を含み、前記カルボン酸由来のアシル基の置換度が0.3以上1.2以下であり、前記酸無水物由来のアシル基の置換度が1.3以上2.6以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記β-1,3-グルカン誘導体が、炭素数が1以上5以下の炭化水素基(A)を有するアシル基と、炭素数が2以上でありかつ炭化水素基(A)よりも炭素数が大きい炭化水素基(B)を有するアシル基とを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記炭化水素基(B)の炭素数が11以上20以下である、請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 前記β-1,3-グルカン誘導体の質量平均分子量Mwが、3.0×10Da以上7.0×10Da以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  8. 前記β-1,3-グルカン誘導体の数平均分子量Mnが、1.0×10Da以上5.5×10Da以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  9. 前記β-1,3-グルカン誘導体の温度240℃、荷重37.26Nまたは98.07Nで測定したメルトボリュームレート(MVR)が、1cm/10分以上45cm/10分以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する方法であり、
    前記β-1,3-グルカン誘導体のみからなる材料を製膜してフィルムを得る、光学フィルムの製造方法。
  11. 製膜方法が、溶融キャスト法または溶液キャスト法である、請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. 前記フィルムを延伸して延伸フィルムを得る、請求項10または11に記載の光学フィルムの製造方法。
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