JP7147408B2 - 半導体微粒子組成物、該組成物を用いてなる塗工液、インキ組成物、及びインクジェットインキ、塗工物、印刷物、波長変換フィルム、カラーフィルター、発光素子 - Google Patents
半導体微粒子組成物、該組成物を用いてなる塗工液、インキ組成物、及びインクジェットインキ、塗工物、印刷物、波長変換フィルム、カラーフィルター、発光素子 Download PDFInfo
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Description
量子ドットは、人体を透過しやすい波長に蛍光を調整でき、体内のあらゆる場所に送達できることより発光材料として生体イメージング用途(非特許文献1)、褪色の恐れがない波長変換材料として太陽電池用途(特許文献1)、鮮明な発光材料、波長変換材料としてエレクトロニクス・フォトニクス用途(特許文献2,3)への展開検討が行われている。
レジスト化しない方法としてはインクジェット法が知られているが、これまでインクジェット法に用いることのできる実用的な量子ドットインキは作成されていない。
X1~X4は、各々独立して、N、S、O、NR1、NR2R3、OR4又はSR5であり、
Y1~Y5は、各々独立して、C又はNであり、
R1~R5は、各々独立して、水素原子又は置換基を有してもよい1価のアルキル基である。
X1Y1Y2X2間及びX3Y3Y4Y5X4間はπ共役し、
X1~X4及びY1~Y5は、隣り合う基を含む環構造Ar1~Ar7を形成していてもよく、
環構造Ar1~Ar7を形成する場合は、
Ar1~Ar7は、各々独立して、置換基を有してもよい2価のπ共役ユニットであり、
X1は、Ar1の構成原子団又はAr2と直接結合する基であり、
X2は、Ar3の構成原子団又はAr2と直接結合する基であり、
X3は、Ar4の構成原子団又はAr5と直接結合する基であり、
X4は、Ar7の構成原子団又はAr6と直接結合する基である。]
本発明の主要構成をなす量子ドットは、特定の半導体微粒子からなる組成物であり、半導体微粒子は、無機物を成分とする半導体であり、一般的には、単一組成でも、コアシェル型でも、3層以上の複数層になっていてもよい。
本発明の半導体は、2族元素、10属元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素で示される元素の群から選ばれる単体、又は2種以上の元素を含む化合物からなる半導体である。前記のうち好ましくは化合物半導体である。化合物半導体は、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、S,Se,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。さらに好ましくは、人に対する安全性が懸念される元素を除いた、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、S,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。可視光を発光する用途では、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、さらに好ましい。
一般式(7): AB(Hal)3
[一般式(7)において、Aはメチルアンモニウム(CH3NH2)、及び、ホルムアミジニウム(NH2CHNH)から選ばれる少なくとも1つであるアミン化合物の1価陽イオンであるか、又は、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、及び、フランシウム(Fr)から選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属元素の1価陽イオンであり、Bは鉛(Pb)及び錫(Sn)から選ばれる少なくとも1つである金属元素の2価陽イオンであり、Halはヨウ素(I)、臭素(Br)、及び塩素(Cl)から選ばれる少なくとも1つのハロゲン元素の1価陰イオンである。]
また、微粒子のシェル成分としては、ZnS、CdS、ZnSe等が良く用いられるが、この中でも微粒子のコア成分がInを構成元素として含む半導体微粒子の場合、ZnSが元素毒性がなく、量子ドットとしての励起子閉じ込め等の特性的にも特に優れており、好適に使用される。
本発明の半導体微粒子は無機材料部分が剥き出しで用いることも可能であるが、微粒子作成時に必要であったり、塗工液やインキとしたときの安定性や、塗工、印刷適性、さらに塗工物や印刷物として最終形態になった時の特性発揮や経時安定性等の環境耐性を向上させるために、有機物で被覆処理されていることが好ましい。これらの有機物は被覆材料又は保護材料と称されたり、特に合成時には微粒子表面の処理剤、さらには量子ドットの場合には、リガンド又は配位子と呼ばれることも多い。
X1~X4は、各々独立して、N、S、O、NR1、NR2R3、OR4又はSR5であり、
Y1~Y5は、各々独立して、C又はNであり、
R1~R5は、各々独立して、水素原子又は置換基を有してもよい1価のアルキル基である。
X1Y1Y2X2間及びX3Y3Y4Y5X4間はπ共役し、
X1~X4及びY1~Y5は、隣り合う基を含む環構造Ar1~Ar7を形成していてもよく、
環構造Ar1~Ar7を形成する場合は、
Ar1~Ar7は、各々独立して、置換基を有してもよい2価のπ共役ユニットであり、
X1は、Ar1の構成原子団又はAr2と直接結合する基であり、
X2は、Ar3の構成原子団又はAr2と直接結合する基であり、
X3は、Ar4の構成原子団又はAr5と直接結合する基であり、
X4は、Ar7の構成原子団又はAr6と直接結合する基である。]
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、アズレン、フルオレノン、アントラキノン、ジベンゾスベレノン、テトラシアノキノジメタン等の置換若しくは未置換の芳香環又は縮合芳香環からなる基、
フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピロン、オキサゾール、ピラジン、トリアジン、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、チオキサントン、クマリン、アクリドン、ジフェニレンスルホン、キノキサリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、フェナジン、フェナントロリン、フェノチアジン、キナクリドン、フラバンスロン、インダンスロン等の置換若しくは未置換の複素芳香環又は縮合複素芳香環からなる基、
ビフェニル、ターフェニル、ビナフチル、ビフルオレニリデン、ビピリジン、ビキノリン、フラボン、フェニルトリアジン、ビスベンゾチアゾール、ビチオフェン、フェニルベンゾトリアゾール、フェニルベンズイミダゾール、フェニルアクリジン、ビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン、ビス(フェニルオキサゾリル)ベンゼン、ビフェニリルフェニルオキサジアゾール、ジフェニルベンゾキノン、ジフェニルイソベンゾフラン、ジフェニルピリジン、スチルベン、ジベンジル、ジフェニルメタン、ビス(フェニルイソプロピル)ベンゼン、ジフェニルフルオレン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジベンジルナフチルケトン、ジベンジリデンシクロヘキサノン、ジスチリルナフタレン、(フェニルエチル)ベンジルナフタレン、ジフェニルエーテル、メチルジフェニルアミン、ベンゾフェノン、安息香酸フェニル、ジフェニル尿素、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホン、ジフェノキシビフェニル、ビス(フェノキシフェニル)スルホン、ビス(フェノキシフェニル)プロパン、ジフェノキシベンゼン、エチレングリコールジフェニルエーテル、ネオペンチルグリコールジフェニルエーテル、ジピコリルアミン、ジピリジルアミン等の同種又は異なる2種以上の環構造単位が2個以上連結した骨格を有する基、等が挙げられる。
このうち、好ましくは、置換若しくは未置換の芳香環、縮合芳香環、複素芳香環、縮合複素芳香環として挙げた化合物からなる基である。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機酸としては、有機酸のうち、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物であり、具体的には、ノナン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、リノレン酸、セバシン酸、(2-オクチルオキシ)酢酸、等が挙げられる。
チオール類としては、アリルメルカプタン、1,3-ベンゼンジメタンチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールブタンチオール、n-ヘキサンチオール、n-ヘプタンチオール、等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するチオール類の硫黄含有有機物としては、ドデカンチオール、1-ドコサンチオール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
ジスルフィド類としては、ビス(4-クロロ-2-ニトロフェニル)ジスルフィド、ヘキシルスルフィド、3,3',5,5'-テトラクロロジフェニルジスルフィド等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するスルフィド類の硫黄含有有機物としては、ドデシルジスルフィド、オクタデシルジスルフィド、ドデシルオクタデシルジスルフィド等が挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するリン含有有機物としては、リン酸オクチル、リン酸ジドデシル、リン酸ドデシル、ドデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸ドデシル、デシルホスホン酸、デシルホスホン酸イソプロピル等が挙げられる。
本発明で使用される溶剤としては、トルエン、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、P-クロロトルエン、P-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャルターシャルブタノール、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられる。
溶解性から炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤が好ましく、特に芳香族炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤は好ましい。
常圧における沸点が120℃以上の芳香族炭化水素系溶剤としては、キシレン(138℃)、メシチレン(164℃)、メチルナフタレン(245℃)、tert-ブチルベンゼン(168℃)、n-ブチルベンゼン(183℃)等が挙げられる。
沸点が120℃未満の溶剤は、揮発分中0~60%の範囲内で混合することが好ましい。これ以上の含有率では、インキの乾燥が早くなり、インクジェットの吐出が困難になる場合がある。
非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
本発明の塗工物、印刷物は、基材上に本発明の塗工液を成膜、又は塗布することで得ることができる。公知の湿式成膜法、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いて作製することができる。
基材としては、ガラス板や樹脂板等が挙げられる。
本発明の最終形態の一つである波長変換フィルム及びカラーフィルターは、光源からの光を吸収させ、吸収されなかった透過光又は光吸収によって生じた蛍光発光によって所望の波長の光を取り出す際に用いられるものである。特に本発明において量子ドットを使用する場合には、優れた量子収率の蛍光発光を利用することになる。本発明の波長変換フィルムは、基材上に本発明の塗工液又はインキ組成物を基材に塗布することで得られ、緑色と赤色の蛍光色を発する量子ドットを含有させた塗工又は印刷フィルムで、主にディスプレイパネルや照明において光源の青色光を白色光に変換する、あるいは色調の整っていない疑似白色光等を所望の色調に調整する平面状の部材である。
基材としては、ガラス板や樹脂板等が挙げられる。
また、本発明の最終形態の一つである塗工液又はインキ組成物を使用して形成された発光層を有する発光素子について詳細に説明する。
注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
[実施例1](量子ドット分散液QD-1)
QD:InP/ZnSコアシェル型量子ドットは技術文献「Inorganic Chemistry 2016,(17)、pp8381-8386」の記載に従い、次のように合成した。
塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、180℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジエチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間180℃に制御した。その後、40℃まで急冷した。別途、無水酢酸亜鉛0.55部、表6に記載の化合物(58)の15.0部を加熱溶解した添加液を注入し、220℃で5時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。さらにトルエンを用いて、固形分濃度10%に調製し、化合物(58)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-1を得た。
塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、165℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジエチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間165℃に制御した。その後、40℃まで急冷した。別途、無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解した添加液を注入し、240℃で2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。さらにトルエンを用いて、固形分濃度10%に調製し、ドデカンチオール(C-1)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-2を得た。
得られた分散液QD-2を、トルエンを用いてさらに固形分濃度1%まで希釈した。表1に記載の化合物(2)の5%トルエン溶液を調製して同量添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。トリメチルベンゼンを用いて、固形分濃度10%に調製し、化合物(2)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-3を得た。
分散液QD-3の表面被覆処理剤である化合物(2)を、表7に記載の被覆材料(表1~6に記載の化合物)に変えて、表面被覆処理し、前記と同様の精製、調製を行うことで、本発明のそれぞれの化合物で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-4~QD-11を得た。
塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、165℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジエチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間165℃に制御した。その後、40℃まで急冷した。別途、無水酢酸亜鉛0.55部、3,6,9,12-テトラオキサデカンアミン15.0部を加熱溶解した添加液を注入し、240℃で2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。さらに2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを用いて、固形分濃度10%に調製し、3,6,9,12-テトラオキサデカンアミン(C-2)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-12を得た。
得られた分散液QD-12を、2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを用いてさらに固形分濃度1%まで希釈した。表7に記載の被覆材料(表1~6に記載の化合物)の5%2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液をそれぞれ調製して同量添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを用いて、固形分濃度10%に調製し、本発明のそれぞれの化合物で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-13~QD-16を得た。
(樹脂溶液1)
パラフィンワックス155(日本精蝋製)をデカンにNV10%となるように溶解し、樹脂溶液1を調製した。
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にキシレン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸メチル12.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、質量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにキシレンを添加して樹脂溶液2を調製した。
[実施例1~14 、比較例1、2]
表7に示した配合組成にて、密閉できる容器に、量子ドット分散液、樹脂溶液、溶剤の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
[粘度]
インクジェットインキの粘度は、振動式粘度計ビスコメイトVM-10A-L(SEKONIC社製)を用いて、25℃における粘度を測定した。
得られたインクジェットインキについて、下記基準でインキ外観の目視評価を行った。△~×ではインキを作成することができない。
○:インキ外観濁りなく透明な状態なもの(使用可能)
△:濁りがあるもの(使用不可)
×:析出物が生じたもの(使用不可)
得られたインクジェットインキについて、下記条件にて印刷を行い、下記基準で吐出性を評価した。
○ :印刷パターン通りに吐出できたもの(良好)
○△:吐出中断後の再吐出で僅かに異常があったもの(使用可能)
△ :連続吐出で徐々にノズルつまり等が生じたもの(使用不可)
× :初期からノズルつまり等異常があったもの(使用不可)
≪インクジェット吐出試験条件≫
印刷機:DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ:10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン:1mm間隔の格子模様
基板:丸カバーガラス・松浪ガラス工業製
基板温度:30℃
印刷後乾燥:40℃20分
吐出性試験で得られた印刷物について、下記基準で印刷物外観を評価した。
○ :印刷物外観印字パターン通りの画像である場合(良好)
○△:かすれが見られる場合(使用可能)
△ :歪んだ画像である場合(使用不可)
× :印刷パターンの形跡なく付着した状態である場合(使用不可)
得られたインクジェットインキについて、下記条件で量子収率を測定した。QY維持率は印刷初期の量子効率(以下、QYともいう)を1として、4週間後の比率を示した。
測定機:大塚電子(株)量子効率測定装置QE-2000
励起波長:400nm、積分範囲:375~425nm
蛍光積分範囲:430~800nm
[実施例29~33](量子ドット分散液QD-17~QD-21)
電界発光素子用の量子ドット分散液として、分散液QD-2を、トルエンを用いてさらに固形分濃度1%まで希釈した。表1~6に記載の化合物(1)、(39)又は(51)の5%トルエン溶液をそれぞれ調製して同量添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。トリメチルベンゼンを用いて、固形分濃度10%に調製し、それぞれ化合物(1)、(39)又は(51)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-17~QD-19を得た。また、分散液QD-16を、2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを用いてさらに固形分濃度1%まで希釈した。表1の化合物(50)又は(59)の5%2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液をそれぞれ調製して同量添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを用いて、固形分濃度10%に調製し、それぞれ化合物(50)又は(59)で表面被覆処理された量子ドット分散液QD-20、QD-21を得た。
以下に記載のとおり、電界発光素子を作成した。実施例においては、特に断りのない限り、混合比は全て質量比を示す。蒸着(真空蒸着)は10-6Torrの真空中にて、基板の加熱や冷却といった温度制御無しの条件下で行った。また、素子の発光特性は、発光素子面積2mm×2mmの電界発光素子を用いて特性を測定した。
≪インクジェット吐出試験条件≫
印刷機:DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ:10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン:ベタ印刷パターン(2mm×2mmの素子が合計6つ形成される1.2cm×1.2cm範囲の面積のもの)
基板温度:30℃
印刷後乾燥:40℃20分
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-1を1部、樹脂溶液1を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを調整した。
洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシ)-2,5-チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Heraeus社製CLEVIOUS(登録商標) PVP CH8000)をスピンコート法にて製膜し、110℃にて20分間乾燥させて膜厚35nmの正孔注入層を得た。次いで、ポリ(N-ビニルカルバゾール)を、1.0質量%の濃度でモノクロロベンゼンに溶解させ、スピンコート法で製膜し110℃にて20分間乾燥させて、35nmの膜厚の正孔輸送層を形成した。その上に、作成したインクジェットインキを用い、上述の吐出条件でインクジェット印刷を行い、20nmの膜厚の発光層を形成した。その上に、Avantama社製 酸化亜鉛のイソプロパノール分散液 N-10を、スピンコート法で製膜し、80nmの電子輸送層を形成した。最後に、アルミニウム(Al)を200nm蒸着して電極を形成し、電界発光素子を得た。
この素子は、8Vにて外部量子効率5.0%、発光輝度32000(cd/m2)の赤色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は655nmであり、半値全幅は52nmであった。この素子を発光輝度1000(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。また、電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の発光効率は6.3(cd/A)、及び80℃の環境で100時間連続駆動させた後の相対輝度(=(100時間後の輝度)/(初期輝度))は0.86であった。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-6を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-10を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-15を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤として2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-17を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-18を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-19を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。この素子は、8Vにて外部量子効率7.2%、発光輝度56000(cd/m2)の緑色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は547nmであり、半値全幅は37nmであった。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-20を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤として2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-21を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤として2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD-12を1部、樹脂溶液2を1部、次いで、溶剤として2-アセトキシ-1-メトキシプロパンを30部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、振とうしてインクジェットインキを作成した。
これを実施例34のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例34と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。得られた電界発光素子について、実施例34と同様にして、外部量子効率等の評価を行った。
得られた電界発光素子について評価結果を表10に示す。
Claims (13)
- 半導体微粒子と当該粒子の表面を覆う被覆材料からなり、被覆材料が、置換基を有しても良い、8-ヒドロキシキノリン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、及びトリアジン環からなる群から選ばれる少なくとも1種の環構造を有することを特徴とする、半導体微粒子組成物。
- 半導体微粒子が量子ドットであることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体微粒子組成物。
- さらに溶剤を含有することを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載の半導体微粒子組成物。
- さらに樹脂を含有することを特徴とする、請求項1~4いずれか1項に記載の半導体微粒子組成物。
- 請求項1~5いずれか1項に記載の半導体微粒子組成物を含有することを特徴とする、塗工液。
- 請求項6に記載の塗工液を使用してなる塗工物。
- 請求項1~5いずれか1項に記載の半導体微粒子組成物を含有することを特徴とする、インキ組成物。
- 請求項8に記載のインキ組成物を含有することを特徴とする、インクジェットインキ。
- 請求項8に記載のインキ組成物を用いてなる、印刷物。
- 基材上に、請求項6に記載の塗工液、又は請求項8に記載のインキ組成物を用いて形成された波長変換フィルム。
- 基材上に、請求項6に記載の塗工液、又は請求項8に記載のインキ組成物を用いて形成されたカラーフィルター。
- 基材上に、発光層が請求項6に記載の塗工液、又は請求項8に記載のインキ組成物を用いて形成された発光素子。
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