以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また第1の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本発明は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成について、図1の断面図を用いて説明する。図1に示すように、画像形成装置60は、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト(ITB)61、及び、中間転写ベルト61の回転方向(図1の矢印C方向)に沿って上流側から下流側にかけて4つの画像形成部600を備える。画像形成部600のそれぞれは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の各色のトナー像を形成する。
画像形成部600は、像担持体としての回転可能な感光体ドラム1を備える。また、画像形成部600は、感光体ドラム1の回転方向に沿って配設された、帯電手段としての帯電ローラ2、現像手段としての現像装置3、一次転写手段としての一次転写ローラ4、及び、感光体クリーニング手段としての感光体クリーナ5を備える。
現像装置3のそれぞれは、画像形成装置60に着脱可能である。現像装置3のそれぞれは、非磁性トナー(以降、単にトナーと呼ぶ)と磁性キャリアを含む二成分現像剤(以降、単に現像剤と呼ぶ)を収容する現像容器50を有する。また、Y、M、C、及びBkの各色のトナーが収容されたトナーカートリッジのそれぞれは、画像形成装置60に着脱可能である。Y、M、C、及びBkの各色のトナーは、トナー搬送経路を経て、現像容器50のそれぞれに供給される。尚、現像装置3の詳細については、図2~図4で後述し、現像容器50の詳細については、図5で後述する。
中間転写ベルト61は、テンションローラ6、従動ローラ7a、一次転写ローラ4、従動ローラ7b、及び、二次転写内ローラ66によって張架され、図1の矢印C方向へと搬送駆動される。二次転写内ローラ66は、中間転写ベルト61を駆動する駆動ローラも兼ねている。二次転写内ローラ66の回転に伴って、中間転写ベルト61が図1の矢印C方向に回転する。
中間転写ベルト61は、中間転写ベルト61の裏面側から一次転写ローラ4によって押圧されている。また、感光体ドラム1に中間転写ベルト61を当接させることにより、感光体ドラム1と中間転写ベルト61との間には一次転写部としての一次転写ニップ部が形成されている。
中間転写ベルト61を介してテンションローラ6と対向する位置には、ベルトクリーニング手段としての中間転写体クリーナ8が当接されている。また、中間転写ベルト61を介して二次転写内ローラ66と対向する位置には、二次転写手段としての二次転写外ローラ67が配設されている。中間転写ベルト61は、二次転写内ローラ66と二次転写外ローラ67との間で挟持されている。これにより、二次転写外ローラ67と中間転写ベルト61との間には、二次転写部としての二次転写ニップ部が形成されている。二次転写ニップ部では、所定の加圧力と転写バイアス(静電的負荷バイアス)を与えることによって、シートS(例えば、紙やフィルム等)の表面にトナー像を吸着させる。
シートSは、シート収納部62(例えば、給送カセットや給送デッキ等)に積載された状態で収納されている。給送手段63は、例えば、給送ローラ等による摩擦分離方式等を用いて、画像形成タイミングに合わせてシートSを給送する。給送手段63により送り出されたシートSは、搬送パス64の途中に配置されたレジストローラ65へと搬送される。レジストローラ65において斜行補正やタイミング補正を行った後、シートSは二次転写ニップ部へと搬送される。二次転写ニップ部においてシートSが到達するタイミングとトナー像が到達するタイミングとが一致し、二次転写が行われる。
二次転写ニップ部よりもシートSの搬送方向下流側には、定着装置9が配設されている。定着装置9へ搬送されたシートSに対して、所定の圧力と熱量が定着装置9から加えられることにより、シートSの表面上にトナー像が溶融固着される。このようにして画像が定着されたシートSは、排出ローラ69の順回転により、そのまま排出トレイ601に排出される。
両面画像形成を行う場合には、排出ローラ69の順回転によりシートSの後端が切り替えフラッパー602を通過するまで搬送された後、排出ローラ69を逆回転させる。これにより、シートSは、先後端が入れ替えられて、両面搬送パス603へと搬送される。その後、次の画像形成タイミングに合わせて、再給送ローラ604によって再び搬送パス64へと搬送される。
(画像形成プロセス)
画像形成時において、感光体ドラム1は、モータによって回転駆動される。帯電ローラ2は、回転駆動される感光体ドラム1の表面を予め一様に帯電する。露光装置68は、画像形成装置60に入力される画像情報の信号に基づいて、帯電ローラ2により帯電された感光体ドラム1の表面上に静電潜像(静電像)を形成する。感光体ドラム1は、複数のサイズの静電潜像を形成可能である。
現像装置3は、現像剤を担持する現像剤担持体(現像剤を担持搬送する現像回転体)としての回転可能な現像スリーブ70を有する。現像装置3は、現像スリーブ70の表面に担持されている現像剤を用いて、感光体ドラム1の表面上に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム1の表面上の露光部には、トナーが付着し、可視像化される。一次転写ローラ4には転写バイアス(静電的負荷バイアス)が印加され、感光体ドラム1の表面上に形成されたトナー像が、中間転写ベルト61上に転写される。一次転写後の感光体ドラム1の表面上に僅かに残ったトナー(転写残トナー)は、感光体クリーナ5によって回収されて、再び次の作像プロセスに備えられる。
Y、M、C、及びBkの各色の画像形成部600により並列処理される各色の作像プロセスは、中間転写ベルト61上に一次転写された上流色のトナー像の上に順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、中間転写ベルト61上にはフルカラーのトナー像が形成され、トナー像が二次転写ニップ部へ搬送される。二次転写外ローラ67には転写バイアスが印加され、中間転写ベルト61上に形成されたトナー像が、二次転写ニップ部へ搬送されたシートSに転写される。シートSが二次転写ニップ部を通過した後の中間転写ベルト61上に僅かに残ったトナー(転写残トナー)は、中間転写体クリーナ8によって回収される。定着装置9は、シートS上に転写されたトナー像を定着する。定着装置9により定着処理を受けた記録材Sは、排出トレイ601に排出される。
以上説明したような一連の画像形成プロセスが終了し、次の画像形成動作に備えられる。
(現像装置の構成)
現像装置の一般的な構成について、図2の斜視図、図3の斜視図、及び図4の断面図を用いて説明する。図4は、図2の断面Hにおける現像装置3の断面図である。
現像装置3は、樹脂によって成形された樹脂製の現像枠体(以降、単に、現像枠体30と呼ぶ)と、現像枠体30と別体に形成され、樹脂によって成形された樹脂製のカバー枠体(以降、単に、カバー枠体40と呼ぶ)によって構成された現像容器50を備える。図2及び図4は、現像枠体30に対してカバー枠体40が取り付けられている状態を示したものであり、図3は、現像枠体30に対してカバー枠体40が取り付けられていない状態を示したものである。尚、現像枠体30(単体)の構成の詳細については図6で後述する。
現像容器50には、現像スリーブ70が感光体ドラム1と対向する現像領域に相当する位置に開口が設けられている。現像容器50の開口に現像スリーブ70の一部が露出するように、現像容器50に対して現像スリーブ70が回転可能に配置されている。現像スリーブ70の両端部のそれぞれには、軸受部材であるベアリング71が設けられている。
現像容器50の内部は、鉛直方向に延在する隔壁38によって、第一室としての現像室31と、第二室としての撹拌室32とに区画されている(仕切られている)。現像室31と撹拌室32は、隔壁38が有する2箇所の連通部39を介して、長手方向の両端で繋がっている。そのため、現像室31と撹拌室32の間で、連通部39を介して、現像剤が連通可能になっている。現像室31と撹拌室32は、水平方向に関して左右に並べて配設されている。
現像スリーブ70の内部には、現像スリーブ70の回転方向に沿って複数の磁極を有し、現像スリーブ70の表面に現像剤を担持させるための磁界を発生する磁界発生手段としてのマグネットロールが固定して配置されている。現像室31内の現像剤は、マグネットロールの磁極による磁場の影響で汲み上げられ、現像スリーブ70に供給される。このようにして現像室31から現像スリーブ70へ現像剤が供給されるので、現像室31のことを、供給室とも呼ぶ。
現像室31には、現像室31内の現像剤を撹拌し且つ搬送する搬送手段としての第一搬送スクリュー33が、現像スリーブ70に対向して配置されている。第一搬送スクリュー33は、回転可能な軸部としての回転軸33aと、回転軸33aの外周に沿って設けられた現像剤搬送部としての螺旋状の羽根部33bを備え、現像容器50に対して回転可能に支持されている。回転軸33aの両端部のそれぞれには、軸受部材が設けられている。
また、撹拌室32には、撹拌室32内の現像剤を撹拌し且つ第一搬送スクリュー33とは逆方向に搬送する搬送手段としての第二搬送スクリュー34が配置されている。第二搬送スクリュー34は、回転可能な軸部としての回転軸34aと、回転軸34aの外周に沿って設けられた現像剤搬送部としての螺旋状の羽根部34bを備え、現像容器50に対して回転可能に支持されている。回転軸34aの両端部のそれぞれには、軸受部材が設けられている。そして、第一搬送スクリュー33と第二搬送スクリュー34が回転駆動されることにより、現像室31と撹拌室32の間で、連通部39を介して、現像剤が循環する循環経路が形成される。
現像容器50には、現像スリーブ70の表面に担持される現像剤の量(現像剤コート量とも呼ぶ)を規制する現像剤規制部材としての規制ブレード(以降、ドクターブレード36と呼ぶ)が、現像スリーブ70の表面に対して非接触に対向して取付けられている。ドクターブレード36は、現像スリーブ70の表面に担持される現像剤の量を規制する規制部としてのコート量規制面36rを有する。ドクターブレード36は、樹脂によって成形された樹脂製のドクターブレードである。尚、ドクターブレード36(単体)の構成については、図5で後述する。
ドクターブレード36は、現像スリーブ70の長手方向(即ち、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向(回転軸線方向))に亘って現像スリーブ70との間に所定のギャップ(以降、SBギャップGと呼ぶ)を介して、現像スリーブ70に対向して配置される。本発明では、SBギャップGとは、現像スリーブ70の最大画像領域とドクターブレード36の最大画像領域との間の最短距離のことであるとする。尚、現像スリーブ70の最大画像領域とは、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向に関して、感光体ドラム1の表面上に画像を形成可能な画像領域のうちの最大画像領域に対応する現像スリーブ70の領域のことである。また、ドクターブレード36の最大画像領域とは、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向に関して、感光体ドラム1の表面上に画像を形成可能な画像領域のうちの最大画像領域に対応するドクターブレード36の領域のことである。第1の実施形態では、感光体ドラム1が複数のサイズの静電潜像を形成可能であるので、最大画像領域とは、感光体ドラム1に形成可能な複数のサイズの画像領域のうち最も大きいサイズ(例えば、A3サイズ)に対応する画像領域のことを示すものとする。一方、感光体ドラム1が1つのサイズのみの静電潜像を形成可能である変形例にあっては、最大画像領域とは、感光体ドラム1に形成可能なその1つのサイズの画像領域のことを示すものとして読み替えるものとする。
ドクターブレード36は、マグネットロールの磁極の磁束密度のピーク位置に略対向して配置される。現像スリーブ70に供給された現像剤は、マグネットロールの磁極による磁場の影響を受ける。また、ドクターブレード36によって規制されて掻き取られた現像剤は、SBギャップGの上流部で滞留しやすい傾向にある。その結果、ドクターブレード36よりも現像スリーブ70の回転方向上流側には現像剤溜まりが形成される。そして、現像剤溜まりの一部の現像剤は、現像スリーブ70の回転に伴ってSBギャップGを通過するように搬送される。このとき、SBギャップGを通過する現像剤の層厚がドクターブレード36のコート量規制面36rによって規制される。このようにして、現像スリーブ70の表面には、現像剤の薄層が形成される。
そして、現像スリーブ70の表面に担持された所定量の現像剤は、現像スリーブ70の回転に伴って現像領域に搬送される。故に、SBギャップGの大きさを調整することによって、現像領域に搬送される現像剤の量が調整されることになる。第1の実施形態では、SBギャップGの大きさを調整する際にターゲットとするSBギャップGの大きさ(所謂、SBギャップGのターゲット値)を約300μmに設定している。
現像領域に搬送された現像剤は、現像領域で磁気的に立ち上がることで磁気穂が形成される。この磁気穂が感光体ドラム1に接触することにより、現像剤中のトナーが感光体ドラム1に供給される。そして、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像がトナー像として現像される。現像領域を通過し感光体ドラム1にトナーを供給した後の現像スリーブ70の表面上の現像剤(以降、現像工程後の現像剤と呼ぶ)は、マグネットロールの同極の磁極間で形成された反発磁界により現像スリーブ70の表面から剥ぎ取られる。現像スリーブ70の表面から剥ぎ取られた現像工程後の現像剤は、現像室31に落下することにより、現像室31へと回収される。
図4に示すように、現像枠体30には、SBギャップGに向かって現像剤が搬送されるようにガイドするための現像剤ガイド部35が設けられている。現像剤ガイド部35と現像枠体30は一体に形成された構成になっており、現像剤ガイド部35とドクターブレード36は別体に形成された構成になっている。現像剤ガイド部35は、現像枠体30の内部に形成され、ドクターブレード36のコート量規制面36rよりも現像スリーブ70の回転方向上流側に配置されている。現像剤ガイド部35によって現像剤の流れを安定化させて、所定の現像剤密度になるように整えることにより、ドクターブレード36のコート量規制面36rが現像スリーブ70の表面に最近接する位置での現像剤の重量を規定することができる。
また、図4に示すように、カバー枠体40は、現像枠体30と別体に形成され、現像枠体30に取り付けられる。また、カバー枠体40は、現像スリーブ70の長手方向の全域にわたって現像スリーブ70の外周面の一部がカバーされるように現像枠体30の開口の一部をカバーする。このとき、カバー枠体40は、現像スリーブ70の感光体ドラム1と対向する現像領域が露出するように現像枠体30の開口の一部をカバーしている。第1の実施形態では、現像枠体30に対してカバー枠体40が超音波接着によって固定されているが、現像枠体30に対するカバー枠体40の固定方法は、ビス締結、スナップフィット、接着、溶着等のいずれかの方法であってもよい。尚、カバー枠体40に関して、図4に示すように、カバー枠体40が1つのパーツ(樹脂成形品)により構成されているものであってもよく、カバー枠体40が複数のパーツ(樹脂成形品)により構成されているものであってもよい。
(樹脂製のドクターブレードの構成)
ドクターブレード36(単体)の構成について、図5の斜視図を用いて説明する。
画像形成動作(現像動作)中には、現像剤の流れから発生する現像剤の圧力(以降、剤圧力と呼ぶ)がドクターブレード36にかかる。ドクターブレード36の剛性が低いほど、画像形成動作中に剤圧力がドクターブレード36にかかったときに、ドクターブレード36が変形しやすく、SBギャップGの大きさが変動しやすくなる傾向にある。画像形成動作中には、剤圧力がドクターブレード36の短手方向(図5の矢印M方向)にかかる。そこで、画像形成動作中におけるSBギャップGの大きさの変動を抑制するためには、ドクターブレード36の短手方向の剛性を大きくすることにより、ドクターブレード36の短手方向の変形に対して強くすることが望ましい。
図5に示すように、第1の実施形態では、ドクターブレード36の形状を、量産性及びコストの観点から板状にしている。また、図5に示すように、第1の実施形態では、ドクターブレード36の側面36tの断面積を小さくしており、更に、ドクターブレード36の厚み方向の長さt2は、ドクターブレード36の短手方向の長さt1よりも小さくしている。これにより、ドクターブレード36(単体)は、ドクターブレード36の長手方向(図5の矢印N方向)と直交する方向(図5の矢印M方向)に対して変形しやすい構成になっている。そこで第1の実施形態では、コート量規制面36rの真直度を補正するために、ドクターブレード36の少なくとも一部を図5の矢印M方向に撓ませた状態で、ドクターブレード36を現像枠体30のブレード取付部41に固定するものである。尚、ドクターブレード36の真直度補正の詳細については、図9で後述する。
(樹脂製の現像枠体の構成)
現像枠体30(単体)の構成について、図6の斜視図を用いて説明する。図6は、現像枠体30に対してカバー枠体40が取り付けられていない状態を示している。
現像枠体30は、現像室31と、現像室31と隔壁38によって区画された撹拌室32を有する。隔壁38は、樹脂によって成形されており、現像枠体30と別体に形成された構成であってもよく、現像枠体30と一体に形成された構成であってもよい。
現像枠体30は、現像スリーブ70の両端部のそれぞれに設けられたベアリング71を支持することにより、現像スリーブ70を回転可能に支持するためのスリーブ支持部42を有する。また、現像枠体30は、スリーブ支持部42と一体に形成され、ドクターブレード36を取り付けるためのブレード取付部41を有する。図6は、ブレード取付部41からドクターブレード36を浮かせた仮想状態を示している。
第1の実施形態では、ブレード取付部41にドクターブレード36が取り付けられた状態で、ブレード取付部41のブレード取付面41sに塗布された接着剤Aが硬化することにより、ブレード取付部41に対してドクターブレード36が固定されるものである。
(樹脂製のドクターブレードの剛性)
ドクターブレード36(単体)の剛性について、図7の模式図を用いて説明する。ドクターブレード36(単体)の剛性は、現像枠体30のブレード取付部41に対してドクターブレード36が固定されていない状態で測定される。
図7に示すように、ドクターブレード36の長手方向におけるドクターブレード36の中央部36zに対して、ドクターブレード36の短手方向に集中荷重F1をかける。このとき、ドクターブレード36の中央部36zにおける、ドクターブレード36の短手方向への撓み量に基づいて、ドクターブレード36(単体)の剛性を測定する。
例えば、ドクターブレード36の長手方向におけるドクターブレード36の中央部36zに対して、ドクターブレード36の短手方向に300gfの集中荷重F1をかけたとする。このとき、ドクターブレード36の中央部36zにおける、ドクターブレード36の短手方向への撓み量は700μm以上である。尚、このとき、断面上におけるドクターブレード36の中央部36zの変形量は5μm以下である。
(樹脂製の現像枠体の剛性)
現像枠体30(単体)の剛性について図8の模式図を用いて説明する。現像枠体30(単体)の剛性は、現像枠体30のブレード取付部41に対してドクターブレード36が固定されていない状態で測定される。
図8に示すように、ブレード取付部41の長手方向におけるブレード取付部41の中央部41zに対して、ブレード取付部41の短手方向に集中荷重F1をかける。このとき、ブレード取付部41の中央部41zにおける、ブレード取付部41の短手方向への撓み量に基づいて、現像枠体30(単体)の剛性を測定する。
例えば、ブレード取付部41の長手方向におけるブレード取付部41の中央部41zに対して、ブレード取付部41の短手方向に300gfの集中荷重F1をかけたとする。このとき、ブレード取付部41の中央部41zにおける、ブレード取付部41の短手方向への撓み量は60μm以下である。
ドクターブレード36の中央部36zと、現像枠体30のブレード取付部41の中央部41zのそれぞれに同じ大きさの集中荷重F1をかけたとする。このときの、ドクターブレード36の中央部36zの撓み量は、ブレード取付部41の中央部41zの撓み量の10倍以上になっている。故に、現像枠体30(単体)の剛性は、ドクターブレード36(単体)の剛性よりも10倍以上高い。そのため、ドクターブレード36が現像枠体30のブレード取付部41に取り付けられて、ドクターブレード36が現像枠体30のブレード取付部41に固定された状態では、ドクターブレード36の剛性に対して現像枠体30の剛性の方が支配的になる。また、現像枠体30に対して、ドクターブレード36の最大画像領域の全域にわたって固定した場合には、ドクターブレード36の長手方向における両端部のみを固定した場合と比べて、現像枠体30に固定された状態でのドクターブレード36の剛性が高くなる。
また、現像枠体30(単体)の剛性の大きさは、カバー枠体40(単体)の剛性の大きさよりも大きくなっている。そのため、カバー枠体40が現像枠体30に取り付けられて、カバー枠体40が現像枠体30に固定された状態では、カバー枠体40の剛性に対して現像枠体30の剛性の方が支配的になる。
(樹脂製のドクターブレードの真直度補正)
画像を形成するシートSの幅がA3サイズである等、シートSの幅が大きくなる事に対応して、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向に関して、感光体ドラム1の表面上に画像を形成可能な画像領域のうちの最大画像領域の長さが大きくなる。そのため、画像を形成するシートSの幅が大きくなる事に対応して、ドクターブレード36の最大画像領域の長さが大きくなる。長手方向の長さが大きいドクターブレードを樹脂によって成形した場合、樹脂によって成形された樹脂製のドクターブレードのコート量規制面の真直度を保証することが難しい。なぜなら、長手方向の長さが大きいドクターブレードを樹脂によって成形する場合には、熱膨張した樹脂が熱収縮する際に、ドクターブレードの長手方向の位置によって熱収縮の進行が進んでいる箇所と遅れている箇所が生じやすいからである。
そのため、樹脂製のドクターブレードでは、ドクターブレードの長手方向の長さが大きくなるほど、ドクターブレードのコート量規制面の真直度に起因して、現像剤担持体の長手方向においてSBギャップが異なりやすくなる傾向にある。現像剤担持体の長手方向においてSBギャップが異なると、現像剤担持体の長手方向において現像剤担持体の表面に担持される現像剤の量にムラが生じる虞がある。
例えば、長手方向の長さがA3サイズに対応する長さである樹脂製のドクターブレード(以降、A3サイズ対応の樹脂製のドクターブレードと呼ぶ)を、一般的な樹脂成形品の精度で製造した場合、コート量規制面の真直度は300μm~500μm程度である。また、仮に、A3サイズ対応の樹脂製のドクターブレードを、高精度な樹脂材料を用いて高精度で製造したとしても、コート量規制面の真直度は100μm~200μm程度である。
第1の実施形態では、SBギャップGの大きさを約300μmに設定し、且つSBギャップGの公差(即ち、SBギャップGのターゲット値に対する公差)を±10%以下に設定している。ゆえに、第1の実施形態では、SBギャップGの調整値が300μm±30μmであって、SBギャップGの公差として許容されるのは最大で60μmまでであることを意味する。このため、A3サイズ対応の樹脂製のドクターブレードを、一般的な樹脂成形品の精度で製造したとしても、高精度な樹脂材料を用いて高精度で製造したとしても、コート量規制面の真直度の精度だけでSBギャップGの公差として許容される範囲を超えてしまう。
樹脂製のドクターブレードを備えた現像装置では、コート量規制面の真直度に関わらず、現像枠体の取付部に対しドクターブレードが固定されている状態でSBギャップGが現像剤担持体の回転軸線に平行な方向に亘って所定の範囲内になる様にする事が望まれる。そこで、第1の実施形態では、コート量規制面の真直度を補正する。これにより、コート量規制面の真直度が低い樹脂製のドクターブレードを用いても、現像枠体の取付部に対してドクターブレードが固定されている状態では、SBギャップGが現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向にわたって所定の範囲内になるようにする。
ここで、ドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度について、図9の模式図を用いて説明する。コート量規制面36rの真直度は、コート量規制面36rの長手方向におけるコート量規制面36rの所定の箇所を基準としたときの、コート量規制面36rの外形の最大値と最小値との差分の絶対値で表される。例えば、コート量規制面36rの長手方向におけるコート量規制面36rの中央部を直交座標系の原点とし、当該原点を通る所定の直線をX軸、当該原点からX軸に対して直角に引いた直線をY軸とする。この直交座標系において、コート量規制面36rの真直度は、コート量規制面36rの外形のY座標の最大値と最小値との差分の絶対値で表される。
図9に示すように、樹脂製のドクターブレード(単体)では、ドクターブレード36の長手方向においてドクターブレード36のコート量規制面36rの中央部が大きく撓んでいる形状になっている。そのため、図5に示したドクターブレード36の先端部36e(36e1~36e5)の位置の差異を小さくすることにより、ドクターブレード36の真直度を補正する必要がある。SBギャップGの公差の許容値や、現像枠体30に対するドクターブレード36の取り付け精度等を鑑みて、ドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度を50μm以下に補正する必要がある。尚、2次切削加工により金属製のドクターブレードの真直度の精度が20μm以下であることを鑑みて、より好ましくは、樹脂製のドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度を20μm以下に補正することである。第1の実施形態では、現実的な量産工程を鑑みて、ドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度補正の設定値を20μm~50μm程度に設定している。
そこで、第1の実施形態では、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませるための力(真直度補正力とも呼ぶ)をドクターブレード36に付与し、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませる。これにより、ドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度を50μm以下に補正する。
図9の例では、ドクターブレード36の先端部36e1,36e5の外形を基準とし、当該基準に対して先端部36e2,36e3,36e4の外形を合わせ込む様に、先端部36e2,36e3,36e4に対して真直度補正力を図9の矢印I方向に付与する。その結果、ドクターブレード36のコート量規制面36rの形状が、コート量規制面36r1からコート量規制面36r2に補正されるので、ドクターブレード36のコート量規制面36rの真直度を50μm以下に補正することができる。尚、図9の例では、ドクターブレード36の先端部36eの外形を合わせ込む際の基準を先端部36e1,36e5(コート量規制面36rの長手方向の両端部)の外形としたが、先端部36e3(コート量規制面36rの長手方向の中央部)の外形としてもよい。その場合には、ドクターブレード36の先端部36e3の外形を基準とし、当該基準に対して先端部36e1,36e2,36e4,36e5の外形を合わせ込むように、ドクターブレード36に真直度補正力を付与する。
このように、ドクターブレード36の真直度補正を行うには、ドクターブレード36に真直度補正力を付与したときにコート量規制面36rの最大画像領域の少なくとも一部が撓むように、ドクターブレード(単体)の剛性を低くする必要がある。
(SBギャップの調整方法)
SBギャップGの調整は、スリーブ支持部42に支持された現像スリーブ70に対する、ブレード取付部41に取り付けられたドクターブレード36の相対位置を調整されるように、現像枠体30に対してドクターブレード36の位置を動かすことによって行う。SBギャップGの調整により決定したブレード取付部41の所定の位置で、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませたドクターブレード36を、予めブレード取付面41sの最大画像領域の全域に亘って塗布された接着剤Aにより固定する。尚、ブレード取付面41sの最大画像領域とは、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向に関して、感光体ドラム1の表面上に画像を形成可能な画像領域のうちの最大画像領域に対応するブレード取付面41sの領域のことである。このとき、ドクターブレード36の最大画像領域のうち、コート量規制面36rの真直度を補正するために撓ませた領域に関しては、ブレード取付部41に固定されることになる。尚、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませるための力を受けた領域が接着剤Aによりブレード取付部41に固定されるのであれば、ブレード取付面41sの一部に接着剤Aが塗布されてなくてもよいとする。そこで、ブレード取付面41sの最大画像領域の全域にわたって接着剤Aが塗布されているものとは、以下の条件を満たすことをいう。ドクターブレード36の最大画像領域に対応する領域のうちコート量規制面36rの真直度を補正するために撓ませた領域を含み、ブレード取付面41sの最大画像領域の95%以上の領域で接着剤Aが塗布されていることである。
これにより、ドクターブレード36の最大画像領域のうちコート量規制面36rの真直度を補正するために撓ませた領域が、撓んでいる状態から、撓む前の元の状態に戻ろうとすることを抑制することができる。このようにすることで、ドクターブレード36は、コート量規制面36rの真直度が50μm以下に補正された状態でブレード取付部41に固定される。
尚、第1の実施形態では、以下に述べる方法によって、SBギャップGの大きさを測定(算出)する。尚、SBギャップGの大きさの測定は、現像枠体30のスリーブ支持部42に現像スリーブ70が支持され、現像枠体30のブレード取付部41にドクターブレード36が取り付けられ、且つカバー枠体40が現像枠体30に固定された状態で行われる。
SBギャップGの大きさを測定するにあたって、現像室31の長手方向にわたって現像室31内に光源(例えば、LEDアレイやライトガイド等)が挿入される。現像室31内に挿入された光源は、現像室31内からSBギャップGに向けて光を照射する。また、ドクターブレード36の先端部36e(36e1~36e5)に対応する5箇所のそれぞれに、SBギャップGから現像枠体30の外部に出射する光線を撮像するためのカメラが配置されている。
この5箇所に配置されたカメラは、ドクターブレード36の先端部36e(36e1~36e5)の位置をそれぞれ測定するために、SBギャップGから現像枠体30の外部に出射した光線を撮像する。このとき、カメラは、現像スリーブ70の表面において現像スリーブ70がドクターブレード36と最近接する位置と、ドクターブレード36の先端部36e(36e1~36e5)を読み取る。続いて、カメラで読み取って生成された画像データから画素値を距離に変換して、SBギャップGの大きさを算出する。算出されたSBギャップGの大きさが所定範囲内で入っていない場合、SBギャップGの調整を行う。そして、算出されたSBギャップGの大きさが所定範囲内で入ったら、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませたドクターブレード36を現像枠体30のブレード取付部41に固定する位置として決定する。
尚、第1の実施形態では、以下に述べる方法によって、SBギャップGが現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向にわたって所定の範囲内であるかを判断する。まず、ドクターブレード36の最大画像領域を等間隔に4分割以上し、ドクターブレード36の各分割箇所(但し、ドクターブレード36の最大画像領域の両端部と中央部を含む)の夫々で、SBギャップGを5箇所以上測定する。そして、5箇所以上測定されたSBギャップGの測定値のサンプルから、SBギャップGの最大値、SBギャップGの最小値、及びSBギャップGの中央値を抽出する。
このとき、SBギャップGの最大値とSBギャップGの中央値の差分の絶対値がSBギャップGの中央値の10%以下であり、且つSBギャップGの最小値とSBギャップGの中央値の差分の絶対値がSBギャップGの中央値の10%以下であればよい。この場合、SBギャップGの公差が±10%以下であるとして、SBギャップGが現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向にわたって所定の範囲内であることを満たすものとする。例えば、5箇所以上測定されたSBギャップGの測定値のサンプルから、SBギャップGの中央値が300μmであった場合、SBギャップGの最大値は330μm以下、及びSBギャップGの最小値は270μm以上であればよい。即ち、この場合、SBギャップGの調整値が300μm±30μmであって、SBギャップGの公差として最大で60μmまで許容される。
(線膨張係数)
続いて、画像形成動作中に発生した熱によって温度が変化することに起因するドクターブレード36と現像枠体30の変形について、図10の斜視図を用いて説明する。現像動作中に発生する熱として、例えば、現像スリーブ70の回転軸とベアリング71の回転時に発する熱や、第一搬送スクリュー33の回転軸33aとその軸受部材の回転時に発する熱や、SBギャップGを現像剤が通過する際に発生する熱などがある。画像形成動作中に発生したこれらの熱によって現像装置3の周囲の温度が変化し、ドクターブレード36や現像枠体30やカバー枠体40の温度も変化する。
図10に示すように、温度変化によるドクターブレード36の伸び量をH[μm]、温度変化による現像枠体30のブレード取付部41のブレード取付面41sの伸び量をI[μm]とする。また、ドクターブレード36を構成する樹脂の線膨張係数α1と、現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数α2が異なるとする。この場合、これらの線膨張係数の違いから温度変化による現像枠体30とドクターブレード36の変形量が異なり、H[μm]とI[μm]の差を埋めるために、ドクターブレード36は、図10の矢印J方向へ変形してしまう。図10の矢印J方向へのドクターブレード36の変形を、以降、ドクターブレード36の反り方向の変形と呼ぶ。そして、ドクターブレード36の反り方向の変形が、SBギャップGの大きさの変動に繋がってしまう。熱に起因するSBギャップGの大きさの変動を抑制するためには、現像枠体30(単体)のスリーブ支持部42とブレード取付部41を構成する樹脂の線膨張係数α2と、ドクターブレード36(単体)を構成する樹脂の線膨張係数α1のそれぞれが関係している。即ち、ドクターブレード36を構成する樹脂の線膨張係数α1と、現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数α2が異なる場合、これらの線膨張係数の違いから温度変化による変形量が異なってしまう。
一般的に、樹脂材料は、金属材料と比べて線膨張係数が大きい。ドクターブレード36が樹脂製である場合、画像形成動作中に発生する熱による温度変化に伴って、ドクターブレード36に反り変形が発生し、ドクターブレード36の長手方向の中央部が撓みやすい。その結果、樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体に固定される現像装置では、画像形成動作中の温度変化に伴ってSBギャップGの大きさが変動しやすい。
(第1の実施形態に係る現像装置の構成)
第1の実施形態では、コート量規制面36rの真直度を50μm以下に補正するために、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませている。そして、ドクターブレード36の最大画像領域の少なくとも一部を撓ませたドクターブレード36を、現像枠体30のブレード取付部41に対して、ドクターブレード36の最大画像領域の全域にわたって接着剤Aにより固定する方法を採用している。
このとき、現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数α2と、ドクターブレード36を構成する樹脂の線膨張係数α1との間に大きな差異がある場合、温度変化が発生した時に以下の問題がある。即ち、温度変化が発生した時に、温度変化によるドクターブレード36の変形量(伸縮量)と、温度変化による現像枠体30の変形量(伸縮量)が異なってしまうことである。その結果、ドクターブレード36を現像枠体30のブレード取付面41sに取り付ける位置を決めるときにSBギャップGを高精度に調整したとしても、画像形成動作中の温度変化に起因してSBギャップGの大きさを変動させてしまうことになる。
第1の実施形態では、ブレード取付面41sに対してドクターブレード36を最大画像領域の全域にわたって固定しているので、画像形成動作中の温度変化に起因するSBギャップGの大きさの変動を抑制する必要がある。熱に起因するSBギャップGの変動量としては、現像スリーブ70の長手方向において現像スリーブ70の表面に担持される現像剤量のムラを抑制するために、一般に±20μm以下に抑える必要がある。
ドクターブレード36を構成する樹脂の線膨張係数α1に対する、スリーブ支持部42とブレード取付部41を有する現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数α2の差を、以降、線膨張係数差α2-α1と呼ぶとする。この線膨張係数差α2-α1による、ドクターブレード36の最大撓み量の変化について、表1を用いて説明する。現像枠体30のブレード取付部41に対して、ドクターブレード36の最大画像領域の全域に亘ってドクターブレード36が固定された状態において、常温(23℃)から高温(40℃)の温度変化を与えた時のドクターブレード36の最大撓み量の測定を行った。
スリーブ支持部42とブレード取付部41を有する現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数をα2[m/℃]、ドクターブレード36を構成する樹脂の線膨張係数をα1[m/℃]とする。そして、線膨張係数差α2-α1のパラメータを変化させて、ドクターブレード36の最大撓み量の測定を夫々行った結果を、表1に示す。表1では、ドクターブレード36の最大撓み量の絶対値が20μm以下である場合に、最大撓み量を「〇」とし、ドクターブレード36の最大撓み量の絶対値が20μmよりも大きい場合に、最大撓み量を「×」として示している。
表1から分かるように、熱に起因するSBギャップGの変動量を±20μm以下に抑えるためには、線膨張係数差α2-α1について、以下の関係式(式1)を満たすようにする必要がある。
(式1)
-0.45×10-5[m/℃]≦α2-α1≦0.55×10-5[m/℃]
そこで、線膨張係数差α2-α1が、-0.45×10-5[m/℃]以上0.55×10-5[m/℃]以下になるように、現像枠体30を構成する樹脂、及び、ドクターブレード36を構成する樹脂を選択すればよい。尚、現像枠体30を構成する樹脂とドクターブレード36を構成する樹脂として同じものを選択した場合、線膨張係数差α2-α1がゼロとなる。
尚、ドクターブレード36や現像枠体30に対して接着剤Aが塗布されると、接着剤Aが塗布されたドクターブレード36や現像枠体30は、線膨張係数が変動することになる。しかしながら、ドクターブレード36や現像枠体30に対して塗布される接着剤Aの体積そのものは非常に小さく、温度変化による接着剤Aの厚み方向に対する寸法変動への影響としては無視できるレベルである。そのため、ドクターブレード36や現像枠体30に対して接着剤Aが塗布されたときに、線膨張係数差α2-α1が変動することに起因する、ドクターブレード36の反り方向の変形は無視できるレベルである。
同様に、カバー枠体40は、現像枠体30に固定されているため、温度変化による現像枠体30とカバー枠体40の変形量が異なると、カバー枠体40の反り方向の変形が、SBギャップGの大きさの変動に繋がってしまう。スリーブ支持部42とブレード取付部41を有する現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数をα2[m/℃]、カバー枠体40を構成する樹脂の線膨張係数をα3[m/℃]とする。そして、スリーブ支持部42とブレード取付部41を有する現像枠体30を構成する樹脂の線膨張係数α2に対する、カバー枠体40を構成する樹脂の線膨張係数α3の差を、以降、線膨張係数差α3-α2と呼ぶとする。このとき、線膨張係数差α3-α2について、表1と同様にして、以下の関係式(式2)を満たすようにする必要がある。
(式2)
-0.45×10-5[m/℃]≦α3-α2≦0.55×10-5[m/℃]
そこで、線膨張係数差α3-α2が、-0.45×10-5[m/℃]以上0.55×10-5[m/℃]以下になるように、現像枠体30を構成する樹脂、及び、カバー枠体40を構成する樹脂を選択すればよい。尚、現像枠体30を構成する樹脂とカバー枠体40を構成する樹脂として同じものを選択した場合、線膨張係数差α3-α2がゼロとなる。
(剤圧力)
続いて、画像形成動作中に、現像剤の流れから発生する剤圧力がドクターブレード36にかかることに起因するドクターブレード36の変形について、図11の断面図を用いて説明する。図11は、現像スリーブ70の回転軸線に直交する断面(図2の断面H)における現像装置3の断面図である。また、図11は、現像枠体30のブレード取付部41に対して接着剤Aにより固定されたドクターブレード36の近傍の構成を示している。
図11に示すように、コート量規制面36rにおけるドクターブレード36の現像スリーブ70との最近接位置と、現像スリーブ70の回転中心とを結んだ線をX軸とする。このとき、ドクターブレード36は、X軸方向の長さが長く、X軸方向の断面における剛性が高くなっている。また、図11に示すように、現像剤ガイド部35の近傍に位置する現像枠体30の壁部30aの断面積T2に対して、ドクターブレード36の断面積T1が占める割合が小さくなっている。
前述したように、第1の実施形態では、現像枠体30(単体)の剛性は、ドクターブレード36(単体)の剛性に対して10倍以上高くしている。したがって、現像枠体30のブレード取付部41に対してドクターブレード36が固定された状態では、ドクターブレード36に対して現像枠体30の剛性が支配的になる。その結果、画像形成動作中において、ドクターブレード36が剤圧力を受けたときのドクターブレード36のコート量規制面36rの変位量(最大撓み量)は、現像枠体30の変位量(最大撓み量)と実質的に等価になる。
画像形成動作中において、第一搬送スクリュー33から汲み上げられた現像剤は、現像剤ガイド部35を通り、現像スリーブ70の表面へ搬送される。その後、ドクターブレード36によりSBギャップGの大きさに現像剤の層厚が規定されるときにも、ドクターブレード36は、様々な方向から剤圧力を受けている。図11に示したように、X軸方向(SBギャップGを規定する方向)に直交する方向をY軸方向としたとき、Y軸方向の剤圧力は、現像枠体30のブレード取付面41sに対して垂直である。即ち、Y軸方向の剤圧力は、ブレード取付面41sからドクターブレード36を引き剥がす方向の力となっている。故に、接着剤Aによる結合力は、Y軸方向の剤圧力に対して十分に大きい必要がある。そこで、第1の実施形態では、剤圧力によりブレード取付面41sからドクターブレード36を引き剥がそうとする力や、接着剤Aの接着力を考慮して、ブレード取付面41sに対する接着剤Aの接着面積や塗布厚さを最適化している。
前述したように、第1の実施形態では、樹脂製の現像枠体30のブレード取付部41に対して、樹脂製のドクターブレード36を、ドクターブレード36の最大画像領域の全域にわたって接着剤Aにより固定するものである。また、第1の実施形態では、樹脂製の現像枠体30のブレード取付部41に対して、樹脂製のドクターブレード36を固定する際に、ドクターブレード36(単体)の真直度補正を行うために、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36を用いるものである。そこで、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定される現像装置3では、樹脂製の現像枠体30(単体)の剛性を高くして、現像枠体30に固定された状態でのドクターブレード36の剛性を高める必要がある。なぜなら、現像枠体30に固定された状態でのドクターブレード36の剛性を高めることにより、画像形成動作中においてSBギャップGが変動することを抑制し、画像形成動作中においてSBギャップGが所定の範囲内になるようにするためである。
樹脂製の現像枠体30(単体)の剛性を高めるためには、現像枠体30の基本肉厚を大きくすることが考えられる。しかし、基本肉厚が所定値よりも大きい樹脂成形品では、基本肉厚が所定値以下である樹脂成形品と比べて、成形時に熱膨張した樹脂が熱収縮する際に、樹脂成形品の内側と外側との間で熱収縮の進行に差が生じる程度が大きくなりやすい。言い換えれば、肉厚の大きさが所定値よりも大きい樹脂成形品は、肉厚の大きさが所定値以下である樹脂成形品と比べて、成形収縮率が不均一になりやすい。なぜなら、成形時に熱膨張した樹脂は、金型に接している部分である樹脂成形品の外側から、金型に接していない部分である樹脂成形品の内側に向かって、徐々に冷却されて熱収縮が進行していくためである。そのため、樹脂成形品の基本肉厚の大きさが所定値よりも大きい場合、樹脂成形品の基本肉厚の大きさが所定値以下である場合と比べて、樹脂成形品にヒケが生じやすい傾向にある。
また、樹脂成形品は、肉厚の大きさを大きくすることに従って成形時の冷却時間やサイクルタイムが長くなるので、量産性の観点で不利になる。そのため、樹脂製の現像枠体30(単体)の剛性を高めることを目的として、現像枠体30の基本肉厚の大きさを大きくする程度には限界がある。そこで、第1の実施形態では、量産性の観点で不利にならないように、現像枠体30の基本肉厚の大きさを1.0mm以上3.0mm以下に設定している。また、成形収縮率が不均一にならないようにするために、一般的に、現像枠体30の基本肉厚の大きさは均一にすることが好ましい。
画像を形成するシートSの幅がA3サイズである等、シートSの幅が大きくなることに対応して、現像枠体30の最大画像領域の長さが大きくなる。尚、現像枠体30の最大画像領域とは、現像スリーブ70の回転軸線に平行な方向に関して、感光体ドラム1の表面上に画像を形成可能な画像領域のうちの最大画像領域に対応する現像枠体30の領域のことである。
インジェクション成形で現像枠体30を樹脂成形する場合、溶解した樹脂をゲートから成形品に流し込む際に当該樹脂がゲートを介して成形品に流れ込む入口となるゲート部80が、樹脂成形品である現像枠体30に設けられる。長手方向の長さが大きい現像枠体30を樹脂成形する際には、溶解した樹脂を流動させる距離が長くなるので、溶解した樹脂が現像枠体30の長手方向に効率良く流れるように、ゲート部80は、一般的に、樹脂製の現像枠体30の最大画像領域に設けられる。尚、ゲート部80は、一般的に、樹脂製の現像枠体30の外観を見たときに、溶解した樹脂がゲートを介して成形品に流れ込む入口としての役割を果たした跡(所謂、ゲート跡)として視認できるものである。
また、インジェクション成形で現像枠体30を樹脂成形する場合、溶解した樹脂がゲートを介してゲート部80に流れ込む際にゲート部80には大きな成形圧力がかかるので、ゲート部80には残留応力が発生することになる。そして、樹脂製の現像枠体30に設けられたゲート部80からの残留応力は現像枠体30に経時的にかかり、樹脂製の現像枠体30を経時的に変形させる。この結果、樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定された状態では、現像枠体30に設けられたゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさが経時的に変動する虞がある。
現像枠体30にかかる残留応力は、現像スリーブ70の回転軸線に交差する方向に沿って現像枠体30にかかる成分を有する。尚、現像スリーブ70の回転軸線に交差する方向は、現像スリーブ70の回転軸線に対して直角な方向だけでなく、現像スリーブ70の回転軸線に対して5°よりも大きく90°未満の角度(ただし、鋭角とする)を持つ方向も含む。残留応力の、現像スリーブ70の回転軸線に交差する方向に沿って現像枠体30にかかる成分が、経時的に現像枠体30にかかると、現像スリーブ70の回転軸線に交差する方向に沿って、ドクターブレード36が固定された現像枠体30が歪むことになる。ゆえに、ゲート部80からの残留応力(残留応力の、現像スリーブ70の回転軸線に交差する方向に沿って現像枠体30にかかる成分)に起因して、SBギャップGの大きさの変動に寄与してしまう。
前述したように、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定された状態で、画像形成動作中においてSBギャップGが変動することを抑制することが求められる。故に剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定された状態で、現像枠体30の最大画像領域に設けられたゲート部80からの残留応力が経時的に現像枠体30にかかる事に伴うSBギャップGの大きさの変動を抑制する事が望ましい。そこで、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定された状態でゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさが変動する事が抑制される様に、現像枠体30の最大画像領域に対してゲート部80の位置を設計する。
第1の実施形態では、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体30に固定された状態で、ゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさの変動が抑制される様に、現像枠体30の最大画像領域に対してゲート部80を設ける。以下に詳細を説明する。
第1の実施形態に係る現像装置の構成について、図12の斜視図、図13の断面図、及び図14の下面図を用いて説明する。図12は、第1の実施形態に係る現像装置300が備える現像枠体310の最大画像領域を示したものである。図13は、図12の断面H(現像枠体310の最大画像領域)における現像装置300の断面図である。図14は、画像形成装置60に装着された現像装置300を鉛直方向下方から見たときの現像装置300の下面図である。図12、図13、及び図14のそれぞれにおいて、図2、図3、及び図4のそれぞれと同一の符号を付したものは同一の構成を示している。現像装置300の構成(現像枠体310の構成)において、図2、図3、及び図4のそれぞれで前述した現像装置3の構成(現像枠体30の構成)と異なるところを中心に説明する。
第1の実施形態では、図13及び図14に示すように、現像枠体310の領域P内の最大画像領域における現像枠体310の底部には、ゲート部80が設けられていない。一方、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部には、ゲート部80が設けられている。尚、第1の実施形態で説明する現像枠体310の底部とは、現像スリーブ70が感光体ドラム1に形成された静電像を現像する位置に在るとき、現像枠体310の最も鉛直方向下方に位置する外壁部(例えば、隔壁38の底部に位置する外壁部)に限られない。現像枠体310の底部には、更に、現像室31のU字形状の底面に位置する外壁部や、撹拌室32のU字形状の底面に位置する外壁部だけでなく、現像室31のU字形状の側壁面に位置する外壁部や、撹拌室32のU字形状の側壁面に位置する外壁部も含むとする。
現像スリーブ70の回転軸線に直交する断面で現像装置300を見たとき、現像スリーブ70の回転中心と、最近接位置Nとを通る直線Lと、直線Lに対して第一搬送スクリュー33の回転中心を通る垂線Mとによって、現像枠体310を複数の領域に区画する。尚、最近接位置Nとは、現像スリーブ70が感光体ドラム1に最近接する位置のことである。即ち、図13に示すように、直線Lは、現像スリーブ70の回転中心と感光体ドラム1の回転中心とを通る直線である。このときの現像枠体310の複数の区画領域のうち、現像枠体310の、ブレード取付部41が配置されている区画領域が、現像枠体310の領域Pである。言い換えれば、現像枠体310の領域Pは、現像スリーブ70の回転方向に関して、最近接位置Nよりも上流側に0度から90度にわたって占める領域のことである。また、このときの現像枠体310の複数の区画領域のうち、現像枠体310の、ブレード取付部41が配置されていない区画領域が、現像枠体310の領域Qである。言い換えれば、現像枠体310の領域Qは、現像スリーブ70の回転方向に関して、最近接位置Nよりも上流側に90度から180度にわたって占める領域のことである。
このように、第1の実施形態では、現像枠体310の領域Q内(区画領域内[Q])の最大画像領域における現像枠体310の底部に対してゲート部80が設けられている。一方、現像枠体310の最大画像領域に対してゲート部80が設けられた位置は、ブレード取付部41の最大画像領域から十分に離れたところにある。そのため、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けられたゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する程度は、十分に小さいものである。一方、第1の実施形態では、現像枠体310の領域P内(区画領域内[P])の最大画像領域における現像枠体310の底部にはゲート部80が設けられていない。そのため、現像枠体310の領域P内の最大画像領域における現像枠体310の底部にゲート部80が設けることで発生する残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響を考慮する必要がない。
したがって、第1の実施形態では、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体310に固定された状態で、ゲート部80からの残留応力が経時的に現像枠体310にかかることに伴うSBギャップGの大きさの変動を抑制することができる。
(比較例)
続いて、比較例に係る現像装置の構成について、図15の断面図、及び図16の下面図を用いて説明する。図15は、図12の断面H(現像枠体510の最大画像領域)における現像装置500の断面図である。図16は、画像形成装置60に装着された現像装置500を鉛直方向下方から見たときの現像装置500の下面図である。図15及び図16のそれぞれにおいて、図13及び図14のそれぞれと同一の符号を付したものは同一の構成を示している。図15に示す領域Pは、図13に示した領域Pと同一の領域を示している。また、図15に示す領域Qは、図13に示した領域Qと同一の領域を示している。比較例に係る現像装置500の構成(現像枠体510の構成)において、図13及び図14のそれぞれで前述した第1の実施形態に係る現像装置300の構成(現像枠体310の構成)と異なるところを中心に説明する。尚、比較例で説明する現像枠体510の底部とは、第1の実施形態で説明した現像枠体310の底部と同様の定義であるとして、以降説明を進める。
比較例では、図15及び図16に示すように、現像枠体510の領域Q内の最大画像領域における現像枠体510の底部には、ゲート部80が設けられていない。一方、現像枠体510の領域P内の最大画像領域における現像枠体510の底部には、ゲート部80が設けられている。
このように、比較例では、現像枠体510の領域P内の最大画像領域における現像枠体510の底部に対してゲート部80が設けられている。一方、現像枠体510の最大画像領域に対してゲート部80が設けられた位置は、第1の実施形態よりも相対的に、ブレード取付部41の最大画像領域から近いところにある。そのため、現像枠体510の領域P内の最大画像領域における現像枠体510の底部に設けられたゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する程度が、第1の実施形態よりも相対的に大きくなってしまう。とりわけ、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体510に固定された状態では、SBギャップGの大きさが変動する程度が大きくなりやすい。なぜなら、この状態では、現像枠体510の領域P内の最大画像領域における現像枠体510の底部に設けられたゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさが変動する程度が大きくなりやすいからである。その結果、現像枠体510の領域P内の最大画像領域における現像枠体510の底部に設けられたゲート部80からの残留応力が経時的に現像枠体510にかかることに伴って、図16に示す矢印J方向にドクターブレード36に反り変形が発生する。そして、ドクターブレード36の長手方向の中央部が撓んで、SBギャップGの大きさが変動してしまう。
一方、第1の実施形態では、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けられたゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する程度は、十分に小さいものである。そのため、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けられたゲート部80からの残留応力が経時的に現像枠体310にかかる事に伴って、図16に示す矢印J方向にドクターブレード36に反り変形が発生することがない。
以上説明した第1の実施形態によれば、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体310に固定された状態で、ゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさが変動する事が抑制される様に、ゲート部80の位置を設計した。具体的には、図13及び図14に示したように、現像枠体310の領域P内の最大画像領域における現像枠体310の底部には、ゲート部80を設けずに、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部には、ゲート部80を設ける。これにより、第1の実施形態では、剛性が低い樹脂製のドクターブレード36が樹脂製の現像枠体310に固定された状態で、ゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさが変動することを抑制することができる。
尚、第1の実施形態では、図14に示すように、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に2つのゲート部80が間隔を空けて設けられている。このように、現像枠体310に複数のゲート部80を設ける事により、溶解した樹脂がゲートを介してゲート部80に流れ込む際に、現像枠体310に設けられたゲート部80の個数に比例して、ゲート部80の1つあたりに対して流れ込む樹脂の量が分散される。そして、現像枠体310に設けられたゲート部80の個数が1つのみであるときと比べて、現像枠体310に設けられたゲート部80の個数が複数であるときの方が、ゲート部80の1つあたりにかかる成形圧力が小さくなる。その結果、現像枠体310に設けられたゲート部80の個数が1つのみであるときと比べて、現像枠体310に設けられたゲート部80の個数が複数であるときの方が、ゲート部80の1つあたりから発生する残留応力が小さくなる。
即ち、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に複数のゲート部80を設けることで、ゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響を、更に小さくすることができる。故に、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けるゲート部80の個数は、1つのみにするよりも複数にした方が、ゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響を、更に小さくすることができる。したがって、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けるゲート部80の個数は、1つのみにするよりも複数にした方が、ゲート部80からの残留応力がSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響の観点で有利である。
また、第1の実施形態では、図14に示すように、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部には、現像枠体310の基本肉厚よりも大きい肉厚を持つゲート部80が設けられている。溶解した樹脂がゲートを介してゲート部80に流れ込む際に、現像枠体310に設けられたゲート部80の断面積の大きさに比例して、ゲート部80の単位面積あたりに対して流れ込む樹脂の量が分散されることになる。そして、現像枠体310に設けられたゲート部80の断面積が所定値以下であるときと比べて、現像枠体310に設けられたゲート部80の断面積が所定値よりも大きいときの方が、ゲート部80の1つあたりにかかる成形圧力が小さくなる。その結果、現像枠体310に設けられたゲート部80の断面積が所定値以下であるときと比べて、現像枠体310に設けられたゲート部80の断面積が所定値よりも大きいときの方が、ゲート部80の1つあたりから発生する残留応力が小さくなる。
即ち、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に対して、現像枠体310の基本肉厚よりも大きい肉厚を持つゲート部80を設ける。これにより、ゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響を、更に小さくすることができる。故に、現像枠体310の領域Q内の最大画像領域における現像枠体310の底部に設けるゲート部80の肉厚は、現像枠体310の基本肉厚よりも大きくした方が有利である。なぜなら、現像枠体310の領域Q内の底部に設けるゲート部80の肉厚を、現像枠体310の基本肉厚よりも大きくする事により、ゲート部80からの残留応力に起因してSBギャップGの大きさの変動に寄与する影響を、更に小さくする事ができるからである。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
上記実施形態では、図1に示したように、中間転写ベルト61を像担持体として用いる構成の画像形成装置60を例に説明したが、これに限られない。感光体ドラム1に順に記録材を直接接触させて転写を行う構成の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。その場合には、感光体ドラム1が、トナー像を担持する回転可能な像担持体を構成する。
また、上記実施形態では、図2に示したように、現像スリーブ70が反時計回りに回転し、且つ、ドクターブレード36が現像スリーブ70の下方に配設されている構成の現像装置3を例に説明したが、これに限られない。現像スリーブ70が時計回りに回転し、且つ、ドクターブレード36が現像スリーブ70の上方に配設されている構成の現像装置3(現像装置300)に本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では、図2に示したように、現像室31と撹拌室32とが水平方向に関して左右に並べて配設されている構成の現像装置3(現像装置300)を例に説明したが、これに限られない。現像室31と撹拌室32とが重力方向に関して上下に並べて配設されている構成の現像装置300に本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では、現像装置300を1つのユニットとして説明したが、現像装置3を含む画像形成部600(図1参照)を一体的にユニット化し、画像形成装置60に着脱可能としたプロセスカートリッジの形態であっても同様の効果が得られる。さらに、これら現像装置300またはプロセスカートリッジを備えた画像形成装置60であれば、モノクロ機、カラー機を問わず本発明を適用することが可能である。