JP7145161B2 - 偏光フィルム保護用積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]ラジカル重合性化合物からなる光硬化樹脂層が基材フィルムに積層された偏光フィルム保護用積層体であって、
前記光硬化樹脂層の厚みが9μm以下であり、前記光硬化樹脂層のホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、
基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力が0.005~0.06N/mmであり、
光硬化樹脂層から基材フィルムを剥離した後の、基材フィルム側における該光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)が300nm以下である、偏光フィルム保護用積層体;
[2][1]に記載の偏光フィルム保護用積層体における光硬化樹脂層が、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して貼り合わされた偏光板;
[3]ラジカル重合性化合物からなる光硬化樹脂層を基材フィルムに積層して得られる偏光フィルム保護用積層体の製造方法であって、
ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液を基材フィルムに塗工する工程と、
塗工後に前記基材フィルムを加熱して溶剤を揮発させる工程と、
紫外線および電子線の少なくとも一方を照射する工程とを有し、
前記基材フィルムの塗工面の水接触角が40~100度であることを特徴とする[1]に記載の偏光フィルム保護用積層体の製造方法;
[4]基材フィルムの塗工面におけるケイ素の検出強度が10cps/mA以下である[3]に記載の偏光フィルム保護用積層体の製造方法;
に関する。
<偏光フィルム保護用積層体>
本発明の偏光フィルム保護用積層体の製造方法としては、ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液を基材フィルムに塗工する工程と、塗工後に基材フィルムを加熱して溶剤を揮発させる工程と、紫外線および電子線の少なくとも一方を照射する工程とを有し、基材フィルムの塗工面の水接触角が40~100度であることが好ましい。該溶液に溶剤を含むことにより、厚み9μm以下である光硬化樹脂層の表面平滑性が良好となる。
ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液を基材フィルムに塗工する工程としては、任意の適切な方法が採用され得る。ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液を基材フィルムに塗工する方法としては、例えば、ダイコート、ロールコート、エアナイフコート、グラビアロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフコート、カーテンフローコート、スプレーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコート、浸漬、刷毛塗り等の方法が挙げられる。中でも、得られる光硬化樹脂層の厚みを9μm以下にするためには、グラビアロールコートが好ましい。
溶液を塗工後に基材フィルムを加熱して溶剤を揮発させる工程としては、任意の適切な方法が採用される。溶液を塗工した基材フィルムをヒートロール上で加熱してもよいし、フローティング乾燥機内で加熱してもよい。ヒートロールや熱風の好ましい温度は、用いる溶剤の沸点により決定することができるが、60℃~120℃の範囲であることが好ましい。また、溶剤の残存量が10%以下になるまで、溶剤を揮発させることが好ましい。
紫外線および電子線の少なくとも一方を照射する工程としては、基材フィルムの上に塗工した溶液を乾燥後に紫外線および電子線の少なくとも一方を直接に照射してもよいし、基材フィルム側から照射してもよい。また、硬化速度、照射装置の入手性、価格等の観点から、紫外線を照射する工程を有することがより好ましい。
本発明により得られる偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤層を介して光硬化樹脂層を貼り合わせたものである。これにより、耐湿熱性と表面平滑性に優れた偏光板を得ることができる。偏光板を作製するために用いる偏光フィルムは、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを一軸延伸したり、PVAフィルムの一軸延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを一軸延伸した後に二色性色素を吸着させたりするなどして製造することができる。
貼合工程において、偏光フィルムの少なくとも一方の面に、本発明の偏光フィルム保護用積層体における光硬化樹脂層を接着剤層を介して貼り合わせる。この貼り合わせ方法に特に制限はないが、より簡便に貼り合わせることができることから、本発明の偏光フィルム保護用積層体における光硬化樹脂層面に接着剤を塗工した後、偏光フィルムを重ね合わせる方法が好ましい。さらに、もう一つの偏光フィルム保護用積層体における光硬化樹脂層面に接着剤を塗工して、偏光フィルムの他方の面に重ね合わせてもよい。接着剤を塗布する方法は特に限定されないが、例えば、ダイコート、ロールコート、エアナイフコート、グラビアロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフコート、カーテンフローコート、スプレーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコート、刷毛塗り等の方法が挙げられる。
接着工程では、紫外線または電子線の少なくとも一方を照射して未硬化の接着剤層を硬化させる。紫外線または電子線の照射は公知の装置を用いて行うことができる。紫外線または電子線の積算光量に特に制限はないが、10~20,000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、30~5,000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。積算光量が少なすぎると、偏光フィルムと光硬化樹脂層との接着力が不足することがある。一方、積算光量が多すぎると、過剰の熱が発生し、接着剤層や偏光フィルム、および光硬化樹脂層が劣化することがある。なお、硬化速度、照射装置の入手性、価格等の観点から、紫外線を用いることがより好ましい。
接着工程の後で基材フィルムを剥離することで、光硬化樹脂層が偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して配置された偏光板を得ることができる。
以下の各実施例または比較例で得られた光硬化樹脂層を、純水を入れた透湿度カップ(締付式、JIS Z-0208準拠)に取り付けて、60℃の8質量%ホウ酸水溶液の中に浸漬した。そして、試験開始前の透湿度カップ内のサンプル水(純水)と、浸漬して24時間後の透湿度カップ内のサンプル水のホウ素濃度をICP発光分析法(島津製作所製 島津マルチ形ICP発光分析装置 ICPE-9000)で分析し、そのホウ素濃度増加量より下記式(1)でホウ素原子換算のホウ酸透過度(A)を算出した(図1参照)。
A={(a24-a0)×10-6×M}/S (1)
A:ホウ素原子換算のホウ酸透過度[g/m2・day]
a24:24時間後のサンプル水のホウ素濃度[ppm]
a0:試験開始前のサンプル水(純水)のホウ素濃度[ppm]
M:サンプル水の重量[g]
S:光硬化樹脂層とホウ酸水溶液が接触している面積(透湿度カップの透過面積)[m2]
以下の各実施例または比較例で得られた偏光フィルム保護用積層体を23℃、50%RHの条件下で24時間静置後、当該偏光フィルム保護用積層体から250mm×25mmの短冊状のフィルム片を5枚ずつ切り出した。次に、各フィルム片毎に、基材フィルムと光硬化樹脂層との間を、JIS K6854-3:1999のT型はく離試験に準拠してはく離し、得られたはく離力の5回測定の平均値を接着力とした。当該試験において、剥離速度は30mm/分とした。なお、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力が高すぎて、基材フィルムまたは光硬化樹脂層が破壊された場合には、「材破」と評価した。
以下の各実施例または比較例で得られた偏光フィルム保護用積層体の基材フィルムを剥離し、基材フィルム側における光硬化樹脂層の表面を露出させた。その後、白色干渉顕微鏡(zygo社製)を用いて、基材フィルム側における光硬化樹脂層の表面形状を測定し、二乗平均面粗さ(rms)を計算した(計算範囲は、2.0mm×2.7mm)。
以下の実施例または比較例において使用する基材フィルムから200mm×15mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィルム片の溶液塗工面における水接触角を、JIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)の記載に準拠して測定した。すなわち、水平に置かれたフィルム片の上に4μL以下の水滴を静置し、水滴の形状を測定し、水滴がフィルム片に接している面の半径r(mm)、およびフィルム片表面から水滴の頂点までの高さh(mm)から、下記式(2)により水接触角θ(度)を求めた。
θ = 2tan-1(h/r) (2)
なお、測定は5回実施し、その平均値をその基材フィルムの水接触角とした。また、測定は、25℃、50%RHの条件下で行った。
以下の実施例または比較例において使用する基材フィルムから50mm角のフィルム片を切り出し、X線分析顕微鏡(株式会社堀場製作所社製XGT-5200、X線照射径100μm、電流1mA、X線管電圧30kV、測定時間400秒)を用いて、このフィルム片の溶液塗工面のケイ素の検出強度を測定した。
以下の実施例または比較例で得られた偏光板の幅方向(TD)の中央部から、偏光板の長さ方向(MD)に2cm、幅方向(TD)に3cmの長方形のサンプルを2枚採取した。それぞれのサンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と、-45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの全ての平均値をその偏光板の全光線透過率(%)とした。また、当該2枚のサンプルをパラレルニコル状態にした際の光の透過率T∥(%)、及び当該2枚のサンプルをクロスニコル状態にした際の光の透過率T⊥(%)を、上記全光線透過率(%)の場合と同様にして測定し、下記式(3)により偏光度を求めた。なお、透過率の測定は、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行った。
偏光度={(T∥-T⊥)/(T∥+T⊥)}1/2×100 (3)
なお、耐湿熱性試験前の、初期の全光線透過率をT0とした。
以下の実施例または比較例で得られた偏光板の幅方向(TD)の中央部から、偏光板の長さ方向(MD)に4cm、幅方向(TD)に3cmの長方形のサンプルを2枚採取し、それぞれ金属枠に固定して、上記の方法により、初期の全光線透過率(T0)および偏光度を求めた。60℃、90%RHの恒温恒湿器(ヤマト科学株式会社製 HUMIDIC CHAMBER IG400)に入れて、48時間の耐湿熱性試験を行い、上記の方法により耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度を測定した。上記のT0とT48から、下記式(4)用いて全光線透過率の変化量(ΔT)を求め、これを偏光板の耐湿熱性の指標とした。
ΔT=T48-T0 (4)
<偏光フィルム保護用積層体の作製>
ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液として、ラジカル重合性化合物を含むヒタロイド7975(日立化成工業株式会社製、樹脂分32質量%、溶剤トルエン、溶剤のSP値8.9)31.25gと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製、IRGACURE 184)0.4gをサンプル管に秤量し、24時間撹拌して均一に混合することで、溶液を得た。その後、基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるレイハイパーF(中井工業株式会社製、水接触角68.9度、ケイ素の検出強度5.25cps/mA)をサイズ300mm×150mmに切り出し、バーコーターを用いて前記溶液を離型処理面に塗工し、70℃で1分間加熱して溶剤を揮発した後、紫外線照射装置(GS YUASA株式会社のメタルハライドランプを使用、照射強度300mW/cm2)を用い、積算光量が300mJ/cm2となるように紫外線を照射することで、基材フィルム上に厚み5.9μmの光硬化樹脂層を有する偏光フィルム保護用積層体を得た。なお、この積算光量についてはUV計測器(GS YUASA株式会社)を用いて測定した。
得られた偏光フィルム保護用積層体について、前記した方法により、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、および基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
厚みが30μmで幅が65cmの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、重合度は2,400で、けん化度は99.9モル%。)を、そのフィルムロールから連続的に巻き出し、膨潤処理、染色処理、架橋処理、延伸処理、固定処理および乾燥処理を施して偏光フィルムを作製した。
すなわち、膨潤処理として、PVAフィルムを30℃の水中に1分間浸漬し、その間に延伸倍率2倍で長さ方向に一軸延伸した。そして、染色処理として、ヨウ素系色素を含有する水溶液(ヨウ素濃度:0.02質量%、ヨウ化カリウム濃度:0.4質量%、30℃)中に1分間浸漬し、その間に延伸倍率1.2倍で長さ方向に一軸延伸した。更に架橋処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、30℃)中に2分間浸漬し、その間に延伸倍率1.1倍で長さ方向に一軸延伸した。続いて、延伸処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.8質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、57℃)中で延伸倍率2.4倍で長さ方向に一軸延伸した(全延伸倍率は6.3倍)。更に固定処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:1.5質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、22℃)中に10秒間浸漬した。そして乾燥処理として、60℃で1分間乾燥して、偏光フィルムを得た。
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成株式会社製、OXT-101)2gと、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、セロキサイド2021P)8gと、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェートのプロピレンカーボネート50質量%溶液(サンアプロ株式会社製、CPI-100P)0.8gをサンプル管に秤量し、24時間撹拌して均一に混合することで、偏光フィルムと光硬化樹脂層を接着させるための接着剤を得た。
偏光フィルム保護用積層体を140mm×120mmの大きさに2枚切り出し、1枚目の偏光フィルム保護用積層体の光硬化樹脂層面に、バーコーターを用いて上記接着剤を塗工した。次に、その上に、長さ方向(MD)に120mm、幅方向(TD)に100mmに切り出した偏光フィルムを、上記接着剤を介して重ね合せた。その後、2枚目の偏光フィルム保護用積層体の光硬化樹脂面に、上記と同じ接着剤をバーコーターを用いて塗工し、偏光フィルムの他方の面に重ね合せた。このようにして得られた基材フィルム/光硬化樹脂層/接着剤/偏光フィルム/接着剤/光硬化樹脂層/基材フィルムの層構成を有する貼り合わせ体をラミネーターに通すことで押圧し、接着剤の部分の厚みがそれぞれ1μmとなるように調整した。その後、紫外線を照射し、接着剤を硬化した後、両面の基材フィルムを剥離除去し、偏光板を得た。
得られた偏光板について、前記の方法により、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表2に示した。
得られた光硬化樹脂層の厚みが1.4μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるレイハイパーN1(中井工業株式会社製、水接触角84度、ケイ素の検出強度5.89cps/mA)を用いたことと、得られた光硬化樹脂層の厚みが5.5μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるピューレックスAN15(帝人デュポンフィルム株式会社製、水接触角82.7度、ケイ素の検出強度6.12cps/mA)を用いたことと、得られた光硬化樹脂層の厚みが5.6μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
ラジカル重合性化合物としてジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートDCP-A)5gとトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(東亜合成株式会社製、M-315)5gと、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製、IRGACURE 184)0.4gと、溶剤として酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製、SP値9.1)の任意の量をサンプル管に秤量し、24時間撹拌して均一に混合し、溶液を得た。これ以降は、得られた光硬化樹脂層の厚みが5.1μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
ラジカル重合性化合物として、ヒタロイド7975D(日立化成工業株式会社製、樹脂分60質量%、溶剤メチルイソブチルケトン、溶剤のSP値8.4)16.67gと、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製、IRGACURE 184)0.4gをサンプル管に秤量し、24時間撹拌して均一に混合することで溶液を得た。これ以降は、得られた光硬化樹脂層の厚みが6.0μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
ラジカル重合性化合物として、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、セロキサイド2021P)10gと、光重合開始剤としてジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェートと溶剤のプロピレンカーボネートからなる50質量%溶液(サンアプロ株式会社製、CPI-100P)0.8gをサンプル管に秤量し、24時間撹拌して均一に混合することで、溶液を得た。これ以降は、得られた光硬化樹脂層の厚みが6.1μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるピューレックスA31(帝人デュポンフィルム株式会社製、水接触角110.6度、ケイ素の検出強度19.24cps/mA)を用いたことと、得られた光硬化樹脂層の厚みが5.7μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体を得た。但し、PETフィルムの上に塗工した際に溶液が弾いたため、膜面均一な光硬化樹脂層を得ることができなかった。そのため、得られた光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行うことができなかった。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるピューレックスA71(帝人デュポンフィルム株式会社製、水接触角108.2度、ケイ素の検出強度18.55cps/mA)を用いたことと、得られた光硬化樹脂層の厚みが5.8μmであること以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)の評価を行った。基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さが非常に大きかったため、不適と判断して、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を中止した。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるピューレックスA71(帝人デュポンフィルム株式会社製、ケイ素の検出強度18.55cps/mA)をコロナ処理して水接触角を33.3度にしたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体および偏光板を得た。得られた偏光フィルム保護用積層体および偏光板について、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)の評価を行った。基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さが非常に大きかったため、不適と判断して、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を中止した。結果を表1及び表2に示した。
基材フィルムとして、離型処理PETフィルムであるTN-100(東洋紡株式会社製、ケイ素の検出強度7.11cps/mA)をコロナ処理して水接触角を31.1度にしたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム保護用積層体を得た。但し、基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力が強く、光硬化樹脂層が材破した。そのため、光硬化樹脂層のホウ素原子換算のホウ酸透過度、基材フィルム側における光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)、偏光板の初期偏光性能(初期の全光線透過率(T0)、偏光度)および偏光板の耐湿熱性試験後の偏光性能(耐湿熱性試験後の全光線透過率(T48)、偏光度、全光線透過率の変化量(ΔT))の評価を行うことができなかった。結果を表1及び表2に示した。
2 透湿度カップ
3 純水
4 密閉容器
5 60℃の8質量%ホウ酸水溶液
6 サンプル水
Claims (4)
- ラジカル重合性化合物からなる光硬化樹脂層が基材フィルムに積層された偏光フィルム保護用積層体であって、
前記光硬化樹脂層の厚みが9μm以下であり、前記光硬化樹脂層のホウ酸透過度がホウ素原子換算で2.25g/m2・day以下であり、
基材フィルムと光硬化樹脂層との接着力が0.005~0.06N/mmであり、
光硬化樹脂層から基材フィルムを剥離した後の、基材フィルム側における該光硬化樹脂層の二乗平均面粗さ(rms)が300nm以下である、偏光フィルム保護用積層体。 - 請求項1に記載の偏光フィルム保護用積層体における光硬化樹脂層が、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して貼り合わされ、当該偏光フィルム保護用積層体における基材フィルムが剥離されてなる偏光板。
- ラジカル重合性化合物からなる光硬化樹脂層を基材フィルムに積層して得られる偏光フィルム保護用積層体の製造方法であって、
ラジカル重合性化合物と溶剤とを含む溶液を基材フィルムに塗工する工程と、
塗工後に前記基材フィルムを加熱して溶剤を揮発させる工程と、
紫外線および電子線の少なくとも一方を照射する工程とを有し、
前記基材フィルムの塗工面の水接触角が40~100度であることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム保護用積層体の製造方法。 - 基材フィルムの塗工面におけるケイ素の検出強度が10cps/mA以下である請求項3に記載の偏光フィルム保護用積層体の製造方法。
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