JP7145017B2 - 液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および駆動信号生成システム - Google Patents
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1.実施の形態(音響測定部および信号生成部を液体噴射ヘッド内に設けた場合の例)
2.変形例
変形例1(音響測定部の一部を噴射部内に設けた場合の例)
変形例2(液体噴射ヘッド外部に音響測定部および信号生成部を設けた場合の例)
3.その他の変形例
[A.プリンタ1の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ1の概略構成例を、模式的に斜視図にて表したものである。プリンタ1は、後述するインク9を利用して、被記録媒体としての記録紙Pに対して、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。
インクタンク3は、インク9を内部に収容するタンクである。このインクタンク3としては、この例では図1に示したように、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色のインク9を個別に収容する、4種類のタンクが設けられている。すなわち、イエローのインク9を収容するインクタンク3Yと、マゼンダのインク9を収容するインクタンク3Mと、シアンのインク9を収容するインクタンク3Cと、ブラックのインク9を収容するインクタンク3Kとが設けられている。これらのインクタンク3Y,3M,3C,3Kは、筺体10内において、X軸方向に沿って並んで配置されている。
インクジェットヘッド4は、後述する複数のノズル(ノズル孔Hn)から記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録(印刷)を行うヘッドである。このインクジェットヘッド4としても、この例では図1に示したように、上記したインクタンク3Y,3M,3C,3Kにそれぞれ収容されている4色のインク9を個別に噴射する、4種類のヘッドが設けられている。すなわち、イエローのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Yと、マゼンダのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Mと、シアンのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Cと、ブラックのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Kとが設けられている。これらのインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kは、筺体10内において、Y軸方向に沿って並んで配置されている。
走査機構6は、記録紙Pの幅方向(Y軸方向)に沿って、インクジェットヘッド4を走査させる機構である。この走査機構6は、図1に示したように、Y軸方向に沿って延設された一対のガイドレール61a,61bと、これらのガイドレール61a,61bに移動可能に支持されたキャリッジ62と、このキャリッジ62をY軸方向に沿って移動させる駆動機構63と、を有している。
続いて、図2~図6を参照して、インクジェットヘッド4の詳細構成例について説明する。
ノズルプレート41は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、図2,図3に示したように、インク9を噴射する複数のノズル孔Hnを有している(図2,図3中の破線の矢印参照)。これらのノズル孔Hnはそれぞれ、所定の間隔をおいて一直線上に(この例ではX軸方向に沿って)並んで形成されている。なお、各ノズル孔Hnは、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。
アクチュエータプレート42は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。このアクチュエータプレート42には、複数のチャネル(不図示)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための圧力室として機能する部分であり、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
温度検出部45は、図3に示したように、インクジェットヘッド4内におけるアクチュエータプレート42付近の温度(アクチュエータ温度Tpzt)を検出するものである。このようにして温度検出部45によって検出されたアクチュエータ温度Tpztは、後述する信号生成部48へと出力されるようになっている。
音響測定部47は、図3に示したように、前述したインク供給管50内を流れるインク9について、所定の測定(音響測定)を行うものであり、超音波発信器471および超音波受信器472を有している。
信号生成部48は、詳細は後述するが、上記した音響測定部47における超音波発信器471および超音波受信器472での信号の比較に基づいて、駆動信号Sdにおける1または複数パルス(パルス幅Wp,電圧値Vp)を設定し、設定したそのパルスを用いて駆動信号Sdを生成するものである。
駆動部49は、アクチュエータプレート42に対して上記した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加して、上記した吐出チャネルを膨張または収縮させることで、各ノズル孔Hnからインク9を噴射させる(噴射動作を行わせる)ものである(図2,図3参照)。具体的には、駆動部49は、上記した信号生成部48において生成された駆動信号Sdを用いて、そのような噴射動作を行わせるようになっている。
続いて、図5,図6を参照して、上記した信号生成部48の詳細構成例について説明する。図5は、信号生成部48の詳細構成例を、前述した音響測定部47とともにブロック図で表したものである。また、図6は、図5に示した解析信号生成部482(後述)の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。
バンドパスフィルタ481は、図5に示したように、超音波受信器472から取得した音響信号Sacinに対して、所定のバンドパスフィルタ処理を施すものである。このバンドパスフィルタ処理は、音響信号Sacinにおけるノイズを抑制するためのフィルタ処理であり、例えば音響測定部47での測定に使用されている正弦波帯域が、通過域となっている。なお、このようなバンドパスフィルタ処理後の音響信号Sacinは、信号S0(正弦波の信号)として、解析信号生成部482へと出力されるようになっている。
解析信号生成部482は、上記した信号S0に対して所定の解析処理を行うことにより、図5に示したように、2つの解析信号S1a,S1bをそれぞれ出力するものである。なお、この例では解析信号S1bは、解析信号S1bに対して位相が90°遅れた信号となっている。
振幅信号生成部483は、図5に示したように、上記した2つの解析信号S1a,S1bに対して所定の演算処理を行うことで、上記した音響信号Sacinにおける振幅A2の値を示す信号である、瞬時振幅信号S2を出力する回路である。
(sinθ)2+(cоsθ)2=1 ……(1)
A2={(S1a)2+(S1b)2}1/2 ……(2)
カウンタ回路484は、図5に示したように、上記した瞬時振幅信号S2に基づいて、所定のカウンタ処理を行う回路である。このようなカウンタ処理が行われることで、詳細は後述するが(図9参照)、超音波発信器471からの音響信号Sacoutの発生タイミングと、瞬時振幅信号S2のピーク値(振幅A2)のタイミングと、の間の時間差(到達時間Δt)を示す時間差信号S3が、生成されるようになっている。
音響信号生成部485は、図5に示したように、上記した時間差信号S3に基づき、超音波発信器471から発信される音響信号Sacoutを、その音波周期Tacを調整したうえで、超音波発信器471へと出力するものである。具体的には、音響信号生成部485は、インク9中での音速Vsが変化しても時間差信号S3の値が常に一定に保たれるように、音響信号Sacoutにおける音波周期Tacを調整するようになっている。なお、このようにして調整された音波周期Tacは、図5に示したように、波形設定部487へと出力されるようになっている。
減衰度演算部486は、図5に示したように、瞬時振幅信号S2の振幅A2(音響信号Sacinの振幅に相当)と、音響信号Sacoutの振幅A1とに基づいて、これらの音響信号Sacout(送信信号)と音響信号Sacin(受信信号)との間での減衰度Atを演算するものである。このような音響信号Sacout,Sacin間での振幅の減衰は、詳細は後述するが、インク9の粘性抵抗などに起因して生じるものである。なお、このようにして求められた減衰度Atは、図5に示したように、波形設定部487へと出力されるようになっている。
At=(A1-A2) ……(3)
At=(A2/A1) ……(4)
波形設定部487は、図5に示したように、音響信号生成部485から出力される音波周期Tacと、減衰度演算部486から出力される減衰度Atとに基づき、駆動信号Sdにおける所定の波形設定を行うものである。具体的には、波形設定部487は、これらの音波周期Tacおよび減衰度Atに基づき、駆動信号Sdにおけるパルス(前述したパルスPa,Pb,Pc等)のパルス幅Wpおよび電圧値Vpを、それぞれ設定するようになっている。なお、そのような波形設定処理を含む、駆動信号Sdの生成処理の詳細については、後述する(図8~図10)。
(A.プリンタ1の基本動作)
このプリンタ1では、以下のようにして、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。なお、初期状態として、図1に示した4種類のインクタンク3(3Y,3M,3C,3K)にはそれぞれ、対応する色(4色)のインク9が十分に封入されているものとする。また、インクタンク3内のインク9は、インク供給管50を介して、インクジェットヘッド4内に充填された状態となっている。
続いて、インクジェットヘッド4における詳細動作(インク9の噴射動作)について説明する。すなわち、このインクジェットヘッド4では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
次に、図1~図6に加えて図7~図10を参照して、前述した信号生成部48による駆動信号Sdの生成動作(生成処理)等について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
図7は、比較例に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ101の概略構成例を、ブロック図で表したものである。この比較例のプリンタ101は、比較例に係る液体噴射ヘッドとしての、インクジェットヘッド104を備えている。また、この比較例のインクジェットヘッド104は、前述したノズルプレート41、アクチュエータプレート42および温度検出部45とともに、波形情報記憶部108を有する駆動部109を備えている。すなわち、このインクジェットヘッド104は、本実施の形態のインクジェットヘッド4(図3参照)において、前述した音響測定部47および信号生成部48を設けない(省く)ようにすると共に、駆動部49の代わりに駆動部109を設けたものに対応している。
そこで、本実施の形態のインクジェットヘッド4では、信号生成部48において、駆動信号Sdを随時生成する(自動生成する)ようにしている。具体的には、信号生成部48は、駆動信号Sdにおけるパルス(前述したパルスPa,Pb,Pc等)のパルス幅Wpおよび電圧値Vpをそれぞれ求め、求めたパルス幅Wpおよび電圧値Vpを有するパルスを用いて、駆動信号Sdの生成を行う。以下、このような駆動信号Sdの生成処理について、詳細に説明する。
ここで、パルス幅Wpの算出処理では、まず、信号生成部48は、音響信号Sacのインク9中での到達時間Δtを求める(ステップS11)。すなわち、例えば図9に示したように、信号生成部48は、測定開始信号Smの立ち上がりタイミング(タイミングt1)から、瞬時振幅信号S2においてピーク値(振幅A2)を示すタイミング(タイミングt2)までの時間差に対応する、到達時間Δtを求める。具体的には、信号生成部48におけるカウンタ回路484が、前述した手法にて、このような到達時間Δtを求める(図5参照)。
(2×Wp)=(2×L)/(N×Vs) (N=1,2,3,…) ……(5)
一方、電圧値Vpの算出処理では、まず、信号生成部48は、前述した音響信号Sacのインク9中での減衰度Atを求める(ステップS14)。具体的には、信号生成部48における減衰度演算部486が、前述した手法にて、瞬時振幅信号S2の振幅A2(音響信号Sacinの振幅に相当)と、音響信号Sacoutの振幅A1との間での減衰度Atを求める(図9参照)。
続いて、信号生成部48は、このようにして求められたパルス幅Wpおよび電圧値Vpを有するパルスを用いて、例えば前述した図4に示したような、駆動信号Sdを生成する(ステップS16)。そして、信号生成部48は、このような駆動信号Sdをアクチュエータプレート42に印加して、ノズル孔Hnからインク9を噴射させる(ステップS17)。このようにして、前述したインク9の噴射動作が行われる。
このようにして、本実施の形態のインクジェットヘッド4では、音響測定部47におけるインク9中での超音波の音響信号Sacの発信器(超音波発信器471)および受信器(超音波受信器472)での信号の比較に基づいて、駆動信号Sdのパルスが設定される。そして、設定されたパルスを用いて駆動信号Sdが生成され、生成された駆動信号Sdがアクチュエータプレート42に対して印加されることで、ノズルプレート41におけるノズル孔Hnから、インク9が噴射される。すなわち、超音波の音響信号Sacを用いてインクジェットヘッド4内で自動生成された駆動信号Sdを利用して、インク9の噴射動作が行われる。
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図11は、変形例1に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ1aの概略構成例を、ブロック図で表したものである。この変形例1のプリンタ1aは、実施の形態のプリンタ1において、インクジェットヘッド4の代わりに以下説明するインクジェットヘッド4aを設けたものに対応している。
図12は、変形例2に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ1bの概略構成例を、ブロック図で表したものである。この変形例2のプリンタ1bは、実施の形態のプリンタ1において、インクジェットヘッド4の代わりに以下説明するインクジェットヘッド4bを設けたものに対応している。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
(1)
液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、
前記噴射部に対して、1または複数のパルスを有する駆動信号を印加することにより、前記ノズルから前記液体を噴射させる駆動部と、
超音波の音響信号を前記液体中へ向けて発信する発信器と、前記超音波の音響信号を前記液体中から受信する受信器と、を有する音響測定部と、
前記駆動信号を生成する信号生成部と
を備え、
前記信号生成部は、
前記音響測定部における前記発信器および前記受信器での信号の比較に基づいて、前記パルスを設定し、
設定した前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
液体噴射ヘッド。
(2)
前記信号生成部は、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での到達時間に基づいて、前記液体中での音速を求め、
求めた前記液体中での音速に基づいて、前記パルスにおけるパルス幅を求め、
求めた前記パルス幅を有する前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
上記(1)に記載の液体噴射ヘッド。
(3)
前記信号生成部は、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での減衰度を求め、
求めた前記減衰度に基づいて、前記パルスにおける波高値を更に求め、
求めた前記波高値および前記パルス幅を有する前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
上記(2)に記載の液体噴射ヘッド。
(4)
前記音響測定部の少なくとも一部が、前記噴射部内に設けられている
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(5)
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
(6)
液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部に対して印加される、1または複数のパルスを有する駆動信号を生成するシステムであって、
超音波の音響信号を前記液体中へ向けて発信する発信器と、前記超音波の音響信号を前記液体中から受信する受信器と、を有する音響測定部と、
前記駆動信号を生成する信号生成部と
を備え、
前記信号生成部は、
前記音響測定部における前記発信器および前記受信器での信号の比較に基づいて、前記パルスを設定し、
設定した前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
駆動信号生成システム。
Claims (4)
- 液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、
前記噴射部に対して、1または複数のパルスを有する駆動信号を印加することにより、前記ノズルから前記液体を噴射させる駆動部と、
超音波の音響信号を前記液体中へ向けて発信する発信器と、前記超音波の音響信号を前記液体中から受信する受信器と、を有する音響測定部と、
前記音響測定部における前記発信器および前記受信器での信号の比較に基づいて、前記駆動信号を生成する信号生成部と
を備え、
前記信号生成部は、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での到達時間に基づいて、前記液体中での音速を求めると共に、求めた前記液体中での音速に基づいて、前記パルスにおけるパルス幅を求め、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での減衰度を求めると共に、求めた前記減衰度に基づいて、前記パルスにおける波高値を求め、
求めた前記パルス幅および前記波高値を有する前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
液体噴射ヘッド。 - 前記音響測定部の少なくとも一部が、前記噴射部内に設けられている
請求項1に記載の液体噴射ヘッド。 - 請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。 - 液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部に対して印加される、1または複数のパルスを有する駆動信号を生成するシステムであって、
超音波の音響信号を前記液体中へ向けて発信する発信器と、前記超音波の音響信号を前記液体中から受信する受信器と、を有する音響測定部と、
前記音響測定部における前記発信器および前記受信器での信号の比較に基づいて、前記駆動信号を生成する信号生成部と
を備え、
前記信号生成部は、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での到達時間に基づいて、前記液体中での音速を求めると共に、求めた前記液体中での音速に基づいて、前記パルスにおけるパルス幅を求め、
前記超音波の音響信号における前記発信器から前記受信器までの前記液体中での減衰度を求めると共に、求めた前記減衰度に基づいて、前記パルスにおける波高値を求め、
求めた前記パルス幅および前記波高値を有する前記パルスを用いて、前記駆動信号を生成する
駆動信号生成システム。
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