JP7144785B2 - リン酸バナジウムリチウムの製造方法 - Google Patents

リン酸バナジウムリチウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特にリチウム二次電池の正極活物質として有用なリン酸バナジウムリチウムの製造方法に関するものである。
携帯機器、ノート型パソコン、電気自動車、ハイブリッド自動車向けの電池としてリチウムイオン電池が活用されている。リチウムイオン電池は一般に容量、エネルギー密度に優れているとされ、現在その正極にはLiCoO2が主に使用されているが、Coの資源問題からLiMnO2、LiNiO2などの開発も盛んに行われている。
現在、さらなる代替材料としてLiFePO4が着目され各機関で研究開発が進んでいる。Feは資源的に優れ、これを用いたLiFePO4はエネルギー密度がやや低いものの、高温特性に優れていることから電動車両向けのリチウムイオン電池用正極材料として期待されている。
しかし,LiFePO4は動作電圧がやや低く,Feの代わりにVを用いたナシコン(NASICON;Na Super Ionic Conductor)構造を有するリン酸バナジウムリチウム(Li32(PO43)が着目されている。
リン酸バナジウムリチウムの製造方法としては、例えば、リチウム源、バナジウム化合物及びリン源を粉砕混合し、得られる均一混合物をピレット状に成形し、次いでこの成形品を焼成する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、下記特許文献3には酸化バナジウム(V)を、水酸化リチウムを含む水溶液に溶解し、さらにリン源と炭素及び/又は不揮発性有機化合物を添加し、得られる原料混合溶液を乾燥して前駆体を得、この前駆体を不活性雰囲気にて熱処理してLi32(PO43と導電性炭素材料との複合体を得る方法が提案されている。
また、本出願人も先に、下記特許文献4で、リチウム源、5価又は4価のバナジウム化合物、リン源及び加熱分解により炭素が生じる導電性炭素材料源とを水溶媒中で混合して原料混合液を調製する第1工程と、該原料混合液を加熱して沈殿生成反応を行い、沈殿生成物を含む反応液を得る第2工程と、該沈殿生成物を含む反応液をメディアミルにより湿式粉砕処理して、粉砕処理物を含むスラリーを得る第3工程と、該粉砕処理物を含むスラリーを噴霧乾燥処理して、反応前駆体を得る第4工程と、該反応前駆体を不活性ガス雰囲気中又は還元雰囲気中で600~1300℃で焼成するリン酸バナジウムリチウム炭素複合体の製造方法を提案した。
また、下記特許文献5には、バナジウム化合物、リン源及び加熱分解により炭素が生じる導電性炭素材料源を水溶媒中で、好ましくは60~100℃で加熱処理して反応を行った後、室温まで冷却後、加熱処理後の液に、更にリチウム源を添加して反応を行い、得られる反応液を噴霧乾燥して反応前駆体を得、該反応前駆体を不活性ガス雰囲気中又は還元雰囲気中で焼成してリン酸リチウムバナジウムを製造することが開示されている。
特表2001-500665号公報 特表2002-530835号公報 特開2008-052970号公報 国際公開第2012/043367号パンフレット 国際公開第2014/006948号パンフレット
Li32(PO43は、理論容量が197mAhg-1という高いものであることが知られている。
しかしながら、従来のLi32(PO43を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、放電容量が低く、また、特許文献4のリン酸バナジウムリチウムの製造方法によれば、放電容量が高いものが得られるが、反応性に優れた反応前駆体を得るのに、沈殿生成反応やメディアミルによる粉砕処理を必要とし、製造工程が複雑となり、工業的に有利でない。
また、特許文献5には、何ら具体的な反応条件が示されておらず、また、室温まで冷却後、加熱処理後の液に、単にリチウム源を添加して反応を行い、得られた反応液を噴霧乾燥したものを反応前駆体としても用いても、放電容量が高いものが得られ難い。
従って、本発明の目的は、特にリチウム二次電池の正極活物質等として有用なX線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムを工業的に有利な方法で提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を含む酸性の混合スラリーを加熱処理することにより、五酸化バナジウムの還元反応が起こると共に溶液化することができること。また、五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を含む酸性の混合スラリーを加熱処理することにより得られる還元反応溶液を一定温度以下に保持しながら水酸化リチウムを含む溶液を添加すると、還元反応溶液中の成分と水酸化リチウムとの反応を抑制した状態で、添加後も溶液化した状態をしばらく保持することができること。また、水酸化リチウムを含む溶液の添加後の溶液を噴霧乾燥して得られる反応前駆体は、反応性に優れ、600℃程度の低温でも単相の高結晶性のリン酸バナジウムリチウムが得られること。また、該反応前駆体を用いて得られるリン酸バナジウムリチウムを正極活物質とするリチウム二次電池は、優れた電池性能を有したものになることを知見し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、ナシコン(NASICON)構造を有するリン酸バナジウムリチウムの製造方法であって、
五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を水溶媒中で混合して酸性の混合スラリーを調製する第1工程、次に該混合スラリーを加温処理して溶液化し、還元反応溶液を得る第2工程、次に該還元反応溶液を10~25℃に保持しながら、該還元反応溶液に水酸化リチウムを含む溶液を添加して濃青色の原料混合溶液を調製する第3工程、次に該濃青色の原料混合溶液を噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第4工程、次に該反応前駆体を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で500~1300℃で焼成して、リン酸バナジウムリチウムを得る第5工程を有することを特徴とするリン酸バナジウムリチウムの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、特にリチウム二次電池の正極活物質等として有用なX線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムを提供することができ、また、該リン酸バナジウムリチウムを正極活物質とするリチウム二次電池は、優れた電池性能を有したものになる。
実施例1、比較例1及び比較例2で得られた反応前駆体のX線回折図。 実施例1で得られた反応前駆体のSEM写真。 実施例1及び比較例1で得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折図。 実施例1で得られたリン酸バナジウムリチウムのSEM写真。 実施例5で得られた反応前駆体のSEM写真。 実施例5で得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折図。 実施例5で得られたリン酸バナジウムリチウム試料のSEM写真。 比較例3で得られた反応前駆体のX線回折図。 比較例3で得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折図。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法は、ナシコン(NASICON)構造を有するリン酸バナジウムリチウム(以下、単に「リン酸バナジウムリチウム」と呼ぶ。)の製造方法である。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法を行い得られるリン酸バナジウムリチウムは、下記一般式(1):
Lixy(PO43 (1)
(式中、xは2.5以上3.5以下、yは1.8以上2.2以下を示す。)
で表わされるリン酸バナジウムリチウム、あるいは、一般式(1)で表わされるリン酸バナジウムリチウムに、必要により、Me元素(Meは、V以外の原子番号11以上の金属元素又は遷移金属元素を示す。)がドープされて含有されているリン酸バナジウムリチウムである。
一般式(1)中のxは、好ましくは2.5以上3.5以下、特に好ましくは2.8以上3.2以下である。yは、好ましくは1.8以上2.2以下、特に好ましくは1.9以上2.1以下である。
リン酸バナジウムリチウムがMe元素を含有する場合、ドープされるMe元素は、Sr、Ba、Sc、Y、Hf、Ta、W、Ru、Os、Ag、Zn、Si、Ga、Ge、Sn、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、I、Na、K、Mg、Ca、Al、Mn、Co、Ni、Fe、Ti、Zr、Bi、Cr、Nb、Mo及びCuから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらのうち、Me元素としては、Mg、Ca、Al、Mn、Co、Ni、Fe、Ti、Zr、Bi、Cr、Nb、Mo及びCuから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法は、五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を水溶媒中で混合して酸性の混合スラリーを調製する第1工程、次に該混合スラリーを加温処理して溶液化し、還元反応溶液を得る第2工程、次に該還元反応溶液を35℃以下に保持しながら、該還元反応溶液に水酸化リチウムを含む溶液を添加して原料混合溶液を調製する第3工程、次に該原料混合溶液を噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第4工程、次に該反応前駆体を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で500~1300℃で焼成して、リン酸バナジウムリチウムを得る第5工程を有する。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第1工程は、五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を水溶媒中で混合して、各原料が混在した酸性の混合スラリーを得る工程である。
第1工程において、五酸化バナジウム及びリン酸の混合量は、リン酸中のP原子に対する五酸化バナジウム中のV原子のモル比(V/P)で、0.50~0.80、好ましくは0.60~0.73であることが、最終生成物として単相のリン酸バナジウムリチウムが得られ易くなる観点から好ましい。
第1工程に係る還元糖は、少なくとも第5工程の焼成の際に不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で加熱分解し、炭素が単離する、すなわち、炭素に変換されるものが用いられる。還元糖は、第2工程において五酸化バナジウムの還元反応を促進し、また、第2工程を行い得られる還元反応溶液が撹拌可能な良好な粘度を有する反応溶液とすることに加えて、第5工程においてバナジウムの酸化の防止に必要な成分となる。余剰の還元糖は、第5工程の焼成により導電性炭素に転換するため、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法において、還元糖を過剰に添加し、リン酸バナジウムリチウムに導電性を付与する導電性炭素源の成分としても機能させることもできる。
第1工程に係る還元糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、スクロース等が挙げられ、このうち、ラクトース、スクロースが優れた反応性を有する反応前駆体が得られる観点から好ましい。
第1工程において、還元糖の混合量が、生成するリン酸バナジウムリチウム100質量部に対し、C原子換算で0.3~40質量部となる混合量であることが好ましい。第5工程での焼成において、焼成する前に比べて焼成後では還元糖に含まれるC原子の量が減少する傾向がある。そのため、第1工程において、還元糖の混合量が、生成されるリン酸バナジウムリチウム100質量部に対し、C原子換算で0.3~40質量部となる混合量であると、還元糖から転換する導電性炭素の含有量が、生成するリン酸バナジウムリチウム100質量部に対し、C原子換算で0~20質量部となり易い。生成するリン酸バナジウムリチウム100質量部に対する還元糖の混合量が、上記範囲内にあることにより、リン酸バナジウムリチウムをリチウム二次電池の正極活物質として用いる場合に、リチウム二次電池に優れた性能を付与することが出来る。特に、第1工程において、還元糖の混合量を、生成するリン酸バナジウムリチウム100質量部に対し、C原子換算で0.5~40質量部、好ましくは5~30質量部となる混合量とすることにより、生成するリン酸バナジウムリチウム100質量部に対し、還元糖から転換する導電性炭素の含有量が、0.1~20重量部、好ましくは0.5~15質量部になり、導電性炭素により十分な導電性を付与することができるため、リチウム二次電池の内部抵抗を低くすることができ、且つ、質量或いは体積当たりの放電容量が高くなる。一方、生成されるリン酸バナジウムリチウム100質量部に対する還元糖の混合量が、上記範囲未満だと、単相のリン酸バナジウムリチウムが得られ難くなる傾向があり、また、上記範囲を超えると、質量或いは体積当たりの放電容量が低くなり易い。なお、第1工程では、原料として添加する五酸化バナジウム及びリン酸の添加量から、生成するリン酸バナジウムリチウムの量を計算する。
第1工程における、五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖の製造履歴は問わないが、高純度のリン酸バナジウムリチウムを製造するために、可及的に不純物含有量が少ないものであることが好ましい。
第1工程で用いる水溶媒としては、水、水と親水性の有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
第1工程において、酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を水溶媒へ添加する順序、混合手段は、特に制限されるものではなく、上記各原料が均一に分散した酸性の混合スラリーとなるように行われる。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第2工程は、第1工程で得られる酸性の混合スラリーを加熱処理して、少なくとも五酸化バナジウムの還元反応を行って、混合スラリーを各成分が溶解した溶液に転換し、還元反応溶液を得る工程である。第2工程における加熱処理の温度は、60~100℃、好ましくは80~100℃である。この理由は、加熱処理の温度が60℃より低いと反応時間が長くなるため工業的に不利であり、また、加熱処理の温度を100℃より高くするには加圧容器を使用しなければならず、工業的に有利でない。従って、第2工程を、大気圧下に実施することが出来る。
第2工程における加熱処理の時間は、特に制限されず、一般に0.2時間以上、好ましくは0.5~4時間、特に好ましくは0.5~2時間加熱処理すれば、還元反応溶液を得ることができる。
第2工程終了後に、還元反応溶液が、35℃を超える温度で4時間以上保持されていると反応が進行し、(VO)(HPO)(HO)等の析出物が生じ易いので、第2工程終了後は、速やかに還元反応溶液の温度を35℃以下に冷却することが、均一な原料混合溶液の調製の観点から好ましい。通常は第2工程終了後、還元反応溶液を、4時間以内で、35℃以下、好ましくは5~35℃、特に好ましくは10~25℃に冷却する。より好ましくは、第2工程終了後、還元反応溶液を、3時間以内で、35℃以下、好ましくは5~35℃、特に好ましくは10~25℃に冷却する。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第3工程は、第2工程を得られる還元反応溶液に水酸化リチウムを含む溶液を添加して原料混合溶液を得る工程である。
水酸化リチウムを含む溶液は、水酸化リチウムを水に溶解した溶液である。
水酸化リチウムを含む溶液中の水酸化リチウム濃度は、5~20質量%、好ましくは10~15質量%である。水酸化リチウムを含む溶液中の水酸化リチウム濃度が上記範囲にあることにより、均一な原料混合溶液の調製と水酸化リチウムを含む溶液の添加に伴う発熱を制御し製造効率を高める観点から好ましい。
水酸化リチウムを含む溶液の添加量は、リン源中のP原子に対するリチウム源中のLi原子のモル比(Li/P)で、0.70~1.30、好ましくは0.83~1.17となる添加量である。水酸化リチウムを含む溶液の添加量が上記範囲にあることにより、最終生成物として単相のリン酸バナジウムリチウムが得られ易くなる観点から好ましい。また、第3工程においては、原料混合溶液のpHが、3~7、好ましくは4~6、特に好ましくは4~5となるように、水酸化リチウムを含む溶液を添加することが、均一な原料混合溶液の調製の観点から特に好ましい。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第3工程において、水酸化リチウムの製造履歴は問わないが、高純度のリン酸バナジウムリチウムを製造するために、可及的に不純物含有量が少ないものであることが好ましい。
第2工程を行い得られる還元反応溶液に、水酸化リチウムを含む溶液を添加すると発熱を伴う。そこで、第3工程では、第2工程を行い得られる還元反応溶液を35℃以下に保持しながら、水酸化リチウムを含む溶液を還元反応溶液に添加する。第3工程において、還元反応溶液を35℃以下に保持しながら、水酸化リチウムを含む溶液を還元反応溶液に添加することにより、均一な組成分布を有し、反応性に優れた反応前駆体が得られ易くなる。また、第3工程における水酸化リチウムを含む溶液の添加温度は、特により均一で反応性に優れた反応前駆体を得る観点から、5~35℃であることが好ましく、10~25℃であることが特に好ましい。一方、第3工程において、水酸化リチウムを含む溶液の添加温度が35℃を超えると、還元反応溶液中の成分と、水酸化リチウムとが反応して沈殿物が生じ、これをそのまま噴霧乾燥すると各成分が不均一に分布した反応前駆体となる観点から好ましくない。
また、第3工程において、水酸化リチウムを含む溶液の添加は、安定した品質のものを得る観点から一定速度で添加することが好ましい。
また、第3工程において、水酸化リチウムを含む溶液の添加後、還元反応溶液中の成分と、水酸化リチウムとの反応は、35℃以下では、極めてゆっくり進行し、例えば、原料混合溶液は、温度35℃では、200分程度は、析出物もなく濃青色の溶液状態を保持するが、200分を超えると徐々に析出物が観察され、溶液の色も濃青色から水色、更に緑色へと変化する。第3工程を行い得られる原料混合溶液は、濃青色の溶液であり、後述する第4工程において、濃青色の原料混合溶液をそのまま噴霧乾燥処理に付することが、均一な組成分布を有し、反応性に優れた反応前駆体を得る観点から好ましい。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第4工程は、第3工程を行い得られる原料混合溶液を噴霧乾燥して反応前駆体を得る工程である。
液の乾燥方法には噴霧乾燥法以外の方法も知られているが、本発明においては噴霧乾燥法を選択することが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。詳細には、噴霧乾燥法を用いると各成分が均一に分散し密に詰まった粒状物が得られることから、この粒状物を本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法では反応前駆体とし、この反応前駆体を後述する第5工程において焼成することにより、X線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムを得ることができる。
噴霧乾燥法においては、所定手段によって液を霧化し、それによって生じた微細な液滴を乾燥させることで反応前駆体を得る。液の霧化には、例えば、回転円盤を用いる方法と、圧力ノズルを用いる方法がある。第5工程においてはいずれの方法を用いることもできる。
噴霧乾燥法においては、霧化された液の液滴の大きさが、安定した乾燥や、得られる乾燥粉の性状に影響を与える。この観点から、霧化された液滴の大きさは、好ましくは5~100μm、特に好ましくは10~50μmである。噴霧乾燥では、噴霧乾燥装置への液の供給量を、この観点を考慮して決定することが望ましい。
噴霧乾燥法により得られる反応前駆体は、第5工程において焼成に付されるが、第5工程を行い得られるリン酸バナジウムリチウムの二次粒子の平均粒子径等の粉体特性は、反応前駆体を概ね引き継ぐようになる。このため、噴霧乾燥は、反応前駆体の二次粒子が走査型電子顕微鏡(SEM)観察により求められる粒子径で5~100μm、特に10~50μmとなるように行われることが、目的とするリン酸バナジウムリチウムの粒子径の制御の点から好ましい。なお、噴霧乾燥装置における乾燥温度については、熱風入口温度を180~250℃、好ましくは200~240℃に調整し、粉体の温度を90~150℃、好ましくは100~130℃となるように調整することが、粉体の吸湿を防ぎ粉体の回収が容易になることから好ましい。
特許文献4で使用する反応前駆体は、結晶性の物質が含まれているのに対して、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第4工程を行い得られる反応前駆体は非晶質である。本発明者らは、反応前駆体が非晶質となっているため、特許文献4の反応前駆体と比べて、反応性に優れ、低温で焼結し、更に結晶性も高くなると推測している。なお、反応前駆体が非晶質であることは、X線回折分析により確認される。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第5工程は、第4工程を行い得られる反応前駆体を500~1300℃で焼成し、X線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムを得る工程である。
第5工程における焼成温度は、500~1300℃、好ましくは600~1000℃である。この理由は、焼成温度が500℃より低くなると単相になるまでの焼成時間が長くなり、一方、焼成温度が1300℃より高くなるとリン酸バナジウムリチウムが融解するためである。
第5工程における焼成雰囲気は、バナジウムの酸化を防ぎ、かつ溶融を防ぐという理由から不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気である。第5工程で用いることが出来る不活性ガスとしては、特に制限はなく、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。
第5工程において、焼成時間は特に制限されず、一般に2時間以上、特に3~24時間焼成すれば、X線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムを得ることができる。
第5工程では、焼成を行い得られるリン酸バナジウムリチウムを、必要に応じて、複数回の焼成に付してもよい。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法において、リン酸バナジウムリチウムの結晶構造を安定化し、サイクル特性等の電池性能をいっそう向上させることを目的として、必要により、Me源(Meは、V以外の原子番号11以上の金属元素又は遷移金属元素を示す。)を、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第1工程において、酸性の混合スラリーに混合し、引き続き、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法に係る第2工程~第5工程を行うことにより、前記一般式(1)で示されるリン酸バナジウムリチウムにMe元素がドープされて含有されたものが得られる。なお、本発明において、Me元素は、前記一般式(1)で示されるリン酸バナジウムリチウムのLiサイト又は/及びVサイトに置換されて存在する。
Me源中のMeは、V以外の原子番号11以上の金属元素又は遷移金属元素であり、好ましいMe元素としては、Sr、Ba、Sc、Y、Hf、Ta、W、Ru、Os、Ag、Zn、Si、Ga、Ge、Sn、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、I、Na、K、Mg、Ca、Al、Mn、Co、Ni、Fe、Ti、Zr、Bi、Cr、Nb、Mo、Cu等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
Me源としては、Me元素を有する酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩等が挙げられる。なお、第1工程において、Me源を混合する場合、Me源を混合スラリー中に溶解させて存在させてもよく、固形物として存在させてもよい。混合スラリー中に固形物としてMe源を存在させる場合には、平均粒子径が100μm以下、好ましくは0.1~50μmのものを用いることが、優れた反応性を有する反応前駆体を得る観点から好ましい。また、第1工程において、Me源を混合する場合には、Me源の混合量は、ドープさせるMe元素の種類にもよるが、多くの場合、リン源中のP原子に対するバナジウム化合物のV原子とMe源中のMe原子の合計(V+Me=M)のモル比(M/P)で、0.50~0.80、好ましくは0.60~0.73となり、Me/Vのモル比が0より大きく0.45以下、好ましくは0より大きく0.1以下となる混合量が好ましい。
また、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法では、第5工程を行い得られるリン酸バナジウムリチウムに対して、更に加熱処理を施して、リン酸バナジウムリチウムに含有される導電性炭素量を調整する第6工程を施すことができる。具体的な第6工程の操作は、第5工程を行い得られる導電性炭素を含有するリン酸バナジウムリチウムに加熱処理を施して導電性炭素を酸化処理することにより行う。
第6工程に係る加熱処理は、酸素含有雰囲気下に行うことが好ましい。第6工程における加熱処理の雰囲気中の酸素濃度は、5Vol%以上、特に好ましくは10~30Vol%であることが、導電性炭素を高効率で酸化処理するという観点から好ましい。第6工程に係る加熱処理の温度は、250~450℃、好ましくは300~400℃であることが、導電性炭素を高効率で酸化処理するという観点から好ましい。第6工程に係る加熱処理の時間は、特に制限されず、加熱処理の時間が長くなるほどリン酸バナジウムリチウムに含有される導電性炭素の含有量が低くなる。第6工程に係る加熱処理では、所望の導電性炭素の含有量となるよう予め適宜好適な条件を設定して行うことが好ましい。
このようにして、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法を行い得られるリン酸バナジウムリチウムは、X線回折的に単相のリン酸バナジウムリチウムであり、平均一次粒子径が10μm以下、好ましくは0.01~5μmの一次粒子が多数集合して、平均粒子径が5~100μm、好ましくは10~50μmの二次粒子を形成する凝集状のリン酸バナジウムリチウムであることが好ましい。
本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法では、得られるリン酸バナジウムリチウムに対して、更に必要に応じて解砕処理、又は粉砕処理し、更に分級を行ってもよい。
また、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法を行い得られるリン酸バナジウムリチウムは、粒子が還元糖に起因する導電性炭素でコーティングされたリン酸バナジウムリチウム炭素複合体であってもよい。本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法を行い得られるリン酸バナジウムリチウム炭素複合体を、正極活物質として用いることにより、いっそう高い放電容量のリチウム二次電池を得ることができる。
また、本発明のリン酸バナジウムリチウムの製造方法を行い得られるリン酸バナジウムリチウムは、固体電解質での用途にも用いられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
{実施例1}
<第1工程>
5Lビーカーにイオン交換水2Lを入れ、これに85%リン酸605gと五酸化バナジウム320gとスクロース(ショ糖)170gを投入し室温(25℃)で攪拌することにより黄土色の酸性の混合スラリーを得た(pH0.9)。
<第2工程>
得られた混合スラリーを95℃で1時間、攪拌下に加熱し還元反応を行い、濃青色の還元反応溶液を得た(pH1.7)。
<第3工程>
還元反応溶液を室温(25℃)まで2時間で冷却した。次いで水酸化リチウム・1水塩220gをイオン交換水1.5Lに溶解させた水酸化リチウム溶液を調製した。ジャケット付反応容器を冷却機で冷却し、反応溶液を22℃の温度範囲に保持しながら、水酸化リチウム溶液を60分で一定速度で反応溶液に添加し、濃青色の原料混合溶液を得た(pH4.6)。
<第4工程>
次いで、濃青色の原料混合溶液を、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に供給し、反応前駆体を得た。反応前駆体のSEM観察法により求められる平均二次粒子径は12μmであった。
得られた反応前駆体を、線源としてCuKα線を用いてX線回折測定を行ったところ、該反応前駆体は、非晶質であることが確認できた。また、反応前駆体のX線回折図を図1に示す。また、反応前駆体の電子顕微鏡写真(SEM像)を図2に示す。
<第5工程>
得られた反応前駆体をムライト製匣鉢に入れ、窒素雰囲気下600℃で10時間焼成した。得られたリン酸バナジウムリチウム試料をX線回折分析した結果、単相のリン酸バナジウムリチウムであることを確認した。得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折図を図3に示す。また、得られたリン酸バナジウムリチウム試料の電子顕微鏡写真(SEM像)を図4に示す。
また、得られたリン酸バナジウムリチウム試料の残存炭素量を、TOC全有機炭素計(島津製作所製TOC-5000A)にて測定することによりC原子の含有量として求めた。
{実施例2~4}
第5工程において、焼成温度を700~900℃とする以外は、実施例1と同様に反応を行ってリン酸バナジウムリチウム試料を得た。
また、得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折分析した結果、何れも単相のリン酸バナジウムリチウムであることを確認した。また、実施例1と同様にして残存炭素量を求めた。
Figure 0007144785000001
注)1)第1工程の「V/Pのモル比」は添加したリン酸中のP原子に対する五酸化バナジウム中のV原子のモル比を示す。
2)第3工程の「Li/Pのモル比」は、第1工程で添加したリン酸中のP原子に対する第3工程で添加した水酸化リチウム中のLi原子のモル比を示す。
3)第3工程の「添加後のpH」は、水酸化リチウムを含む溶液を添加した後の反応液のpHを示す。
{比較例1}
5Lビーカーにイオン交換水3.5Lを入れ、これに水酸化リチウム・1水塩220gと五酸化バナジウム320gと85%リン酸605gとスクロース170gを加えた後、95℃で1時間、攪拌下に加熱して緑色のスラリーを得た。次いで、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、該スラリーを供給し、反応前駆体を得た。得られた反応前駆体をX線回折分析を行ったところ、該反応前駆体は、明確な回折ピークが確認できた。また、反応前駆体のX線回折図を図1に併記した。
得られた反応前駆体をムライト製匣鉢に入れ、窒素雰囲気下600℃で10時間焼成して、リン酸バナジウムリチウム試料を得た。
得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折分析図を図3に併記した。X線回折分析の結果、リン酸バナジウムリチウム以外の異相の存在が確認できた。また、実施例1と同様にして残存炭素量を求めたところ、残存炭素量は1.9質量%であった。
{比較例2}
5Lビーカーにイオン交換水2Lを入れ、これに水酸化リチウム・1水塩252gを加えて溶解した。この溶液に五酸化バナジウム364gを加えて1h攪拌した。この液にグルコース(ブドウ糖)72gと85%リン酸692gを加えて1時間攪拌して原料混合液を得た。次いで、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、原料混合液を供給し、反応前駆体を得た。また、反応前駆体のX線回折図を図1に併記した。
得られた反応前駆体をムライト製匣鉢に入れ、窒素雰囲気下900℃で12時間焼成した。焼成物をジェットミルにより解砕してリン酸バナジウムリチウム試料を得た。得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折分析した結果、単相のリン酸バナジウムリチウムであることを確認した。また、実施例1と同様にして残存炭素量を求めたところ、残存炭素量は0.1質量%であった。
{実施例5}
<第1工程>
5Lビーカーにイオン交換水2.5Lを入れ、これに85%リン酸864.7gと五酸化バナジウム457.7gとラクトース・1水和物156.6gを投入し室温(25℃)で攪拌することにより黄土色の酸性の混合スラリーを得た(pH0.9)。
<第2工程>
得られた混合スラリーを95℃で1時間、攪拌下に加熱し還元反応を行い、濃青色の還元反応溶液を得た(pH1.7)。
<第3工程>
還元反応溶液を室温(25℃)まで2時間で冷却した。次いで水酸化リチウム・1水塩314.7gをイオン交換水1.5Lに溶解させた水酸化リチウム溶液を調製した。ジャケット付反応容器を冷却機で冷却し、反応溶液を22℃の温度範囲に保持しながら、水酸化リチウム溶液を一定速度で60分で反応溶液に添加し、濃青色の原料混合溶液を得た(pH4.6)。
<第4工程>
次いで、濃青色の原料混合溶液を、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に供給し、反応前駆体を得た。得られた反応前駆体を、線源としてCuKα線を用いてX線回折測定を行ったところ、該反応前駆体は、非晶質であることが確認できた。また、反応前駆体の電子顕微鏡写真(SEM像)を図5に示す。
<第5工程>
得られた反応前駆体をムライト製匣鉢に入れ,窒素雰囲気下800℃で10時間焼成した。得られたリン酸バナジウムリチウム試料をX線回折分析した結果、単相のリン酸バナジウムリチウムであることを確認した。また、リン酸バナジウムリチウム試料のX線回折図を図6に示す。得られたリン酸バナジウムリチウム試料の電子顕微鏡写真(SEM像)を図7に示す。
また、得られたリン酸バナジウムリチウム試料の残存炭素量を、TOC全有機炭素計(島津製作所製TOC-5000A)にて測定したところ、1.5質量%であった。また、BET比表面積は9.8m2/gであった。
{比較例3}
第2工程終了後、反応溶液を室温(25℃)まで2時間で冷却し、第3工程において、反応容器を冷却機で冷却せずにそのまま水酸化リチウム溶液を一定速度で15分で添加した以外は実施例1と同様に反応を行って、リン酸バナジウムリチウム試料を得た。なお、水酸化リチウム溶液の添加中の反応溶液の温度は25℃から40℃に上昇した。また、第3工程後の原料混合溶液は青色のスラリー(pH4.7)であった。
次いで、第4工程にて青色のスラリーを、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に供給し、反応前駆体を得た。得られた反応前駆体をX線回折測定を行ったところ、該反応前駆体は、明確な回折ピークが確認できた。また、反応前駆体のX線回折図を図8に示した。
次いで、得られた反応前駆体をムライト製匣鉢に入れ、窒素雰囲気下600℃で10時間焼成して、リン酸バナジウムリチウム試料を得た。
得られたリン酸バナジウムリチウム試料のX線回折分析図を図9に示した。X線回折分析の結果、リン酸バナジウムリチウム以外の異相の存在が確認できた。また、実施例1と同様にして残存炭素量を求めたところ、残存炭素量は1.8質量%であった。
<電池性能の評価>
<電池性能試験>
(I)リチウム二次電池の作製;
上記のように製造した、実施例1、実施例4、実施例5、比較例2及び比較例3のリン酸バナジウムリチウムの各試料91質量%、黒鉛粉末6質量%、ポリフッ化ビニリデン3質量%を混合して正極剤とし、これをN-メチル-2-ピロリジノンに分散させて混練ペーストを調製した。得られた混練ペーストをアルミ箔に塗布したのち乾燥、プレスして直径15mmの円盤に打ち抜いて正極板を得た。
この正極板を用いて、セパレーター、負極、正極、集電板、取り付け金具、外部端子、電解液等の各部材を使用してリチウム二次電池を製作した。このうち、負極は金属リチウム箔を用い、電解液にはエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの1:1混練液1リットルにLiPF61モルを溶解したものを使用した。
(2)電池の性能評価
作製したリチウム二次電池を下記条件で作動させ、電池性能を評価した。
<サイクル特性の評価>
0.5Cで4.2Vまで充電させ、引き続いて4.2Vで保持させる全充電時間5時間の定電流定電圧(CCCV)充電により充電させた後、0.1Cで2.0Vまで放電させる定電流(CC)放電を行い、これらの操作を1サイクルとして1サイクル毎に放電容量を測定した。このサイクルを20サイクル繰り返し、1サイクル目と20サイクル目のそれぞれの放電容量から、下記式により容量維持率を算出した。なお、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とした。
容量維持率(%)=((20サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量))×100
Figure 0007144785000002
{実施例6}
<第6工程>
実施例3で得られたリン酸バナジウムリチウム試料(残存炭素量1.6質量%)を、電気炉で大気雰囲気下(酸素濃度20Vol%)、350℃で15時間加熱処理を行った。
得られたリン酸バナジウムリチウム試料をX線回折分析した結果、単相のリン酸バナジウムリチウムであることを確認した。また、得られたリン酸バナジウムリチウム試料の残存炭素量を、TOC全有機炭素計(島津製作所製TOC-5000A)にて測定したところ、0.1質量%であった。また、BET比表面積は7.1m/gであった。

Claims (9)

  1. ナシコン(NASICON)構造を有するリン酸バナジウムリチウムの製造方法であって、
    五酸化バナジウム、リン酸及び還元糖を水溶媒中で混合して酸性の混合スラリーを調製する第1工程、次に該混合スラリーを加温処理して溶液化し、還元反応溶液を得る第2工程、次に該還元反応溶液を10~25℃に保持しながら、該還元反応溶液に水酸化リチウムを含む溶液を添加して濃青色の原料混合溶液を調製する第3工程、次に該濃青色の原料混合溶液を噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第4工程、次に該反応前駆体を不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で500~1300℃で焼成して、リン酸バナジウムリチウムを得る第5工程を有することを特徴とするリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  2. 第2工程における加温処理の温度が、60~100℃であることを特徴とする請求項1記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  3. 前記還元糖が、スクロース及びラクトースから選ばれる1種又は2種であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  4. 前記水酸化リチウムを含む溶液中の水酸化リチウムの濃度が、5~20質量%であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  5. 前記第3工程において、前記原料混合溶液のpHが3~7となるように、前記水酸化リチウム含む溶液を添加することを特徴とする請求項1~いずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  6. 前記第1工程において、更に、Me源(MeはV以外の原子番号11以上の金属元素又は遷移金属元素を示す。)を前記酸性の混合スラリーに混合することを特徴とする請求項1~いずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  7. 更に、第5工程を行い得られるリン酸バナジウムリチウムを加熱処理する第6工程を設けることを特徴とする請求項1~いずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  8. 前記第6工程において、加熱処理を酸素含有雰囲気中で行うことを特徴とする請求項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
  9. 前記第6工程における加熱処理温度が、250~450℃であることを特徴とする請求項又はいずれか1項記載のリン酸バナジウムリチウムの製造方法。
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