JP7137800B2 - 薬液の散布方法及び薬液 - Google Patents

薬液の散布方法及び薬液 Download PDF

Info

Publication number
JP7137800B2
JP7137800B2 JP2018105635A JP2018105635A JP7137800B2 JP 7137800 B2 JP7137800 B2 JP 7137800B2 JP 2018105635 A JP2018105635 A JP 2018105635A JP 2018105635 A JP2018105635 A JP 2018105635A JP 7137800 B2 JP7137800 B2 JP 7137800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chemical
chemical solution
spraying
nozzle
inflow pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018105635A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018204167A (ja
Inventor
宏 関谷
智彦 長塚
知徳 室矢
拓 澤田
孝倫 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maintech Co Ltd
Original Assignee
Maintech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maintech Co Ltd filed Critical Maintech Co Ltd
Publication of JP2018204167A publication Critical patent/JP2018204167A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7137800B2 publication Critical patent/JP7137800B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Prevention Of Fouling (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

本発明は、薬液の散布方法に関し、更に詳しくは、抄紙機に設けられた散布装置を用い、走行する走行体に対して薬液を散布する薬液の散布方法及び薬液に関する。
図8に示すように、紙を製造する抄紙機50は、一般に水中にパルプが分散された液を抄紙用のワイヤーW(網)に載せ、余分な水を自然落下させることにより湿紙51とするワイヤーパートWPと、湿紙51を一対のプレスロールP1,P2,P3,P4間に通し、フェルトF1,F2,F3を介してプレスロールP1,P2,P3,P4で押圧することにより、湿紙51中の水分をフェルトF1,F2,F3に移行させ、これにより湿紙51を脱水するプレスパートPPと、プレスパートPPを通過した湿紙を、カンバスK1,K2を介して、加熱されたシリンダD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8に接触させることで乾燥させ、紙とするドライヤーパートDPと、紙をスプールと呼ばれる棒に巻き取る図示しないリールパートと、を有する。
ところで、ワイヤーW、フェルトF1,F2,F3、カンバスK1,K2及び湿紙51を案内する案内ロールR(以下これらを「走行体」という。)は、湿紙51に直接接触する部位であり、何れも湿紙51と共に走行するものである。
このため、抄紙機においては、走行体にパルプ原料由来の異物や油系の汚れが付着することを防止したり、走行体からの湿紙の剥離性を向上させる等の目的で、走行体に湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤、離型剤等の薬液を所定の散布装置を用いて付与している。
例えば、カンバスに薬液を付与する方法としては、混合液送出パイプに連続する流量計、減圧弁、電磁弁、混合部で構成される流量、濃度調節部に水を適量送出し、圧力計、減圧弁、電磁弁、エアーパイプで構成されるエアー量、エアー圧調節部にエアーを供給し、該流量、濃度調節部とエアー量、エアー圧調節部を内蔵する混合ユニットから、混合液送出パイプとエアー送出パイプを介して送出される混合液とエアーを、散布ユニットのノズルで混合し、ノズルキャップ中央の散布口から吐出圧力により水溶性剥離剤を霧化してカンバス表面に散布し、表面に剥離性被膜を形成すると共に、表面に高圧水、エアー、蒸気などを吹き付け、表面に接触する湿紙表面の塗工物及び粘着性薬品によるカンバス表面の汚れを防止する抄紙機ドライヤーカンバス汚れ防止法(例えば、特許文献1参照)や、カンバスの表面に向かって薬液噴射装置の散布ノズル(固定型)からシリコンオイルを散布する方法、長尺型の散布ノズルを含む薬液噴射装置を使って散布する方法、移動型の散布ノズルを含む薬液噴射装置を使って散布する方法(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
また、案内ロールに薬液を付与する方法としては、薬液噴射ノズルからアウターロールへ薬液を噴射する方法、複数の薬液噴射ノズルを備える長尺状の薬液噴射ノズルユニットからアウターロールの全幅に渡って噴霧状の薬液を均一噴射する方法(例えば、特許文献3参照)や、長尺型の散布ノズルから紙離れ向上剤を散布する方法、プレスロールの表面に向かって薬液噴射装置の散布ノズル(対向型)から紙離れ向上剤を散布する方法、移動型の散布ノズルから紙離れ向上剤を散布する方法(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
特開平08-49185号公報(第1図) 特開2000-96476号公報(第4-6図) 特開平11-217786号公報(第3-4図) 特開2000-345489号公報(第3-5図)
ところで、上記特許文献1~4記載の散布方法によれば、走行体に薬液を散布することにより、薬液に基づく効果を一応は発揮することができる。
しかしながら、近年、抄紙機における抄紙工程の高速化、製造する紙質の多様化等に基づき、薬液に基づく効果の更なる向上が求められている。
また、仮に、薬液に基づく効果を向上させるために、薬液に含まれる薬剤の濃度を向上させる方法が考えられるが、この場合、従来の方法で薬液を散布すると、散布ムラが生じてしまうという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、薬液に含まれる薬剤が高濃度であっても薬液を均一に散布することができる薬液の散布方法及び薬液を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、所定濃度以上の薬剤を含む薬液に対して、所定構造の散布装置を用いて、所定の条件下で散布することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、(1)抄紙機に設けられた散布装置を用い、走行する走行体に薬液を散布する薬液の散布方法において、散布装置が、走行体の幅方向に延びる円筒状の本体部と、本体部の少なくとも一方の端部に取り付けられた流入管と、を備え、走行体がワイヤー、フェルト、プレスロール、カンバス又は案内ロールであり、流入管の内部を流通する薬液が、本体部の内部に流入可能となっており、本体部には、薬液を散布するためのノズル部が複数設けられ、ノズル部の先端に設けられたノズル口部のノズル径が0.2mm~5.0mmであり、散布時の薬液の水圧を0.05MPa以上とし、且つ本体部への薬液の流入量を1.0×10-3/min~5.0×10-2/minとし、薬液を、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む薬剤と、水とを含むものとし、薬剤の混合割合が0.1質量%を超えるものであり、走行体が湿紙に接触した際に、薬液が走行体から湿紙に転移されるものであり、湿紙の通過面積当たりの付与量が2.5×10 -7 /m ~1.0×10 -4 /m となるように、薬液を走行体に散布する薬液の散布方法に存する。
本発明は、(2)薬液を、走行体の単位面積当たり5.0×10-6/m~10×10-3/mとなるように散布する上記(1)記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()ノズル部が、薬液を、散布角度65~140°となるように、放射状に散布するものである上記(1)又は(2)に記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()ノズル部が、本体部に固定され走行体の走行方向に延設された胴部と、胴部の先端の走行体側に設けられた溝部と、該溝部に設けられたノズル口部と、からなり、ノズル部の先端が側面視で鉤型構造となっている上記(1)~()のいずれか1つ記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()ノズル部が、胴部の長さの異なる第1ノズル部及び第2ノズル部からなり、第1ノズル部の胴部の長さが第2ノズル部の胴部の長さよりも10mm~20mm長くなっており、第1ノズル部と第2ノズル部とが交互に配置されている上記(4)記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()ノズル部が、本体部に固定され走行体の走行方向に垂直な方向に延設された基部、及び、該基部の先端から走行体の走行方向に延設された先部、からなる胴部と、先部の走行体側に設けられた溝部と、該溝部に設けられたノズル口部と、からなり、先部が側面視で鉤型構造となっている上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()隣合うノズル部同士の間隔が100mm~500mmであり、ノズル口部から走行体までの最短距離が5cm~30cmである上記(1)~()のいずれか1つに記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、()界面活性剤が、下記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物である上記(1)~()のいずれか1つに記載の薬液の散布方法に存する。
Figure 0007137800000001
式(1)~(3)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数10~18の炭化水素を示し、pは、それぞれ独立に、0~40の整数を示し、qは、それぞれ独立に、0~30の整数を示し、rは、それぞれ独立に、0~40の整数を示し、sは、それぞれ独立に、0~30の整数を示す。但し、式(1)~(3)それぞれにおいて、p+rは10以上の整数である。
本発明は、()薬液が、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる薬剤と、酸と、水とを含む汚染防止剤組成物である上記()記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、(10)薬液の表面張力を60mN/m以下とする上記(1)~()のいずれか1つに記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、(11)散布装置が、流入管に連結された水流入管及び剤流入管を更に備え、水流入管の内部を流通する水と、剤流入管の内部を流通する薬剤とを、流入管の内部で混合する上記(1)~(10)のいずれか1つに記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、(12)剤流入管には、サイフォンチャッキ弁が取り付けられている上記(11)記載の薬液の散布方法に存する。
本発明は、(13)上記()記載の薬液の散布方法に用いられる薬液に存する。
本発明の薬液の散布方法においては、薬液に含まれる薬剤を高濃度とすることを前提としている。具体的には、薬液を、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む薬剤と、水とからなるものとし、薬剤の混合割合が0.1質量%を超えるものとしている。ちなみに、通常の薬液に含まれる薬剤の混合割合は、0.005質量%~0.1質量%である。
そして、散布装置の本体部に設けたノズル部の先端に設けられた、ノズル口部のノズル径、散布時の薬液の水圧、及び、本体部への薬液の流入量、を上記範囲内として、走行体に対して薬液を散布することにより、薬液に含まれる薬剤が高濃度であっても、当該薬液を均一に散布することができる。
ここで、薬液は、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる薬剤と、酸と、水とを含む汚染防止剤組成物であることが好ましく、この中の界面活性剤が上記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。
この場合、高濃度の汚染防止剤組成物を均一に付与することができる。このため、抄紙機における抄紙工程の高速化、製造する紙質の多様化した場合であっても、走行体に対する汚染防止効果を向上させることができる。
また、汚染物に対する薬剤の浸透効率の観点から、薬液の表面張力を上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の薬液の散布方法においては、薬液に基づく効果を十分に発揮する観点から、薬液を、走行体の単位面積当たり、上記範囲内となるように散布することが好ましい。
また、走行体が湿紙に接触した際に、薬液が走行体から湿紙に転移されるものである場合、湿紙の通過面積当たりの付与量が上記範囲内となるように薬液を走行体に散布することが好ましい。
本発明の薬液の散布方法においては、ノズル部が、薬液を放射状に散布するので、薬液を可及的広範囲に散布することができる。
また、このときの薬液の散布角度を上記範囲内とすることにより、走行体に対して、効率良く薬液を散布することができる。
また、隣合うノズル部同士の間隔、及び、ノズル口部から走行体までの最短距離、を上記範囲内とすることにより、走行体に対して、より均一に薬液を散布することが可能となる。
本発明の薬液の散布方法においては、ノズル部が、本体部に固定され走行体の走行方向に延設された胴部と、胴部の先端の走行体側に設けられた溝部と、該溝部に設けられたノズル口部と、からなるので、ノズル口部から散布される薬液が、本体部及びノズル部の胴部に薬液が付着することを抑制することができる。
例えば、薬液が走行体に着弾した後、跳ね返った薬液の一部は、走行体の走行に伴って生じる空気の流れ(以下「随伴流」という。)に乗って、下流側に移動する傾向にある。このため、薬液の付着を抑制するためには、本体部及びノズル部の胴部は、ノズル口部よりも上流側に位置していることが好ましい。
また、ノズル部の先端を側面視で鉤型構造とすることにより、容易に広角に散布することができ、また、オリフィスを潰す工程がないため、詰まりを抑制できる。
このとき、ノズル部を、胴部の長さの異なる第1ノズル部及び第2ノズル部からなるものとし、第1ノズル部の胴部の長さが第2ノズル部の胴部の長さよりも上記範囲内で長くし、第1ノズル部と第2ノズル部とを交互に配置することにより、ノズル口部が互い違いに配置されることになるので、隣合うノズル部からそれぞれ散布される薬液同士が、互いに干渉する度合いを少なくすることができる。このため、散布ムラをより抑制することができる。
本発明の薬液の散布方法においては、ノズル部が、本体部に固定され走行体の走行方向に垂直な方向に延設された基部、及び、該基部の先端から走行体の走行方向に延設された先部、からなる胴部と、先部の走行体側に設けられた溝部と、該溝部に設けられたノズル口部と、からなるので、ノズル口部から散布される薬液が、本体部及びノズル部の胴部に薬液が付着することを抑制することができる。
また、薬液が基部及び先部を流通することにより、ノズル口部の目詰まりを抑制することができる。
また、先部を側面視で鉤型構造とすることにより、容易に広角に散布することができ、また、オリフィスを潰す工程がないため、詰まりを抑制できる。
本発明の薬液の散布方法においては、散布装置を、流入管に連結された水流入管及び剤流入管を更に備えるものとし、水流入管の内部を流通する水と、剤流入管の内部を流通する薬剤とを、流入管の内部で混合するように配管することにより、例えば、抄紙機における抄紙工程の加工速度、製造する紙質等に応じて、水に対する薬剤の混合割合を調整することができる。
このとき、剤流入管には、サイフォンチャッキ弁を取り付けることにより、薬液の漏れが生じず、適正量を水流入管からの水流の中に投入することができる。
本発明の薬液は、汚染防止剤であり、上述した薬液の散布方法に用いることにより、汚染防止効果を十分に発揮することができる。
図1は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置を示す説明図である。 図2は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置の本体部を示す概略斜視図である。 図3の(a)は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置のノズル部を示す斜視図であり、図3の(b)は、その側面図である。 図4は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置において、ノズル部から薬液を散布している状態を示す概略斜視図である。 図5は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置の本体部を示す概略斜視図である。 図6は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置のノズル部を示す斜視図である。 図7は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置において、ノズル部から薬液を散布している状態を示す概略斜視図である。 図8は、抄紙機を示す概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明に係る薬液の散布方法は、抄紙機の散布装置を用いて行われる。
具体的には、抄紙機において、走行する走行体に対して薬液を散布するための散布装置を用いて行われる。
なお、上述したように、本明細書において、走行体とは、ワイヤーW、フェルトF1,F2,F3、プレスロールP1,P2,P3,P4、カンバスK1,K2又は案内ロールRを意味する。
また、案内ロールRは、湿紙、ワイヤー、フェルト、プレスロール、カンバスを案内するためのロールである。
まず、本発明に係る薬液の散布方法の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置を示す説明図である。
図1に示すように、散布装置100は、走行体Xの幅方向に延びる円筒状の本体部10と、本体部10の少なくとも一方の端部10aに取り付けられた流入管20と、流入管20に連結された水流入管21及び剤流入管22と、を備える。
本体部10は、内部に流路(以下便宜的に「本体部流路」という。)を有している。
かかる本体部流路は、流入管20の内部の流路(以下便宜的に「流入管流路」という。)と連通している。このため、流入管流路を流通する薬液は、本体部の端部10a側から本体部流路に流入するようになっている。
ここで、後述するように、薬液が高濃度であるため、流入管20からの本体部10への薬液の流入量は1.0×10-3/min~5.0×10-2/minとする。
流入管20からの本体部10への薬液の流入量が1.0×10-3/min未満であると、散布ムラが生じる恐れがある。具体的には、本体部10の流入管20側が高濃度となり、その反対側が低濃度となる場合がある。一方、流入管20からの本体部10への薬液の流入量が5.0×10-2/minを超えると、本体部10に負荷がかかると共にコスト高になる欠点がある。
図2は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置の本体部を示す概略斜視図である。
図2に示すように、散布装置100においては、本体部10に、薬液を散布するためのノズル部11が複数設けられている。具体的には、走行体Xの幅全体に薬液を同時に散布可能となるように複数のノズル部11が設けられている。
散布装置100において、本体部流路に流入した薬液は、各ノズル部11から一斉に走行体Xに対して散布されることになる。
ここで、各ノズル部11は、走行体Xの走行方向の下流側に向かって、本体部10から走行体Xの走行方向に突出するように設けられており、その先端から下方に向かって薬液を散布するようになっている。このように、ノズル部11は、下流側に向かって突出しているため、ノズル部11から散布される薬液が、随伴流に乗って下流側に運ばれ、本体部10及びノズル部11の胴部に付着することを抑制することができる。
図3の(a)は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置のノズル部を示す斜視図であり、図3の(b)は、その側面図である。
図3の(a)に示すように、ノズル部11aは、本体部10に固定され走行体Xの走行方向に延設された円柱状の第1胴部11a2(胴部)と、該第1胴部11a2の先端の走行体側に設けられた四角台状の溝部12と、該溝部12に設けられたノズル口部11a1とからなる。
すなわち、ノズル部11aの先端は、図3の(b)に示すように、側面視で鉤型構造となっている。
これにより、ノズル部11aは、容易に広角に散布することができ、また、オリフィスを潰す工程がないため、詰まりを抑制できる。
図2に戻り、ノズル部11は、胴部の長さの異なる第1ノズル部11a及び第2ノズル部11bからなる。なお、上述した図3は第1ノズル部11aを示したものであるが、胴部の長さが異なること以外は、第2ノズル部11bも同じ構造である。
第1ノズル部11aは、本体部10に固定された第1胴部11a2と、第1胴部11a2の先端に設けられた第1ノズル口部11a1とからなり、第2ノズル部11bは、本体部10に固定された第2胴部11b2(胴部)と、第2胴部11b2の先端に設けられた第2ノズル口部11b1とからなる。
図4は、第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置において、ノズル部から薬液を散布している状態を示す概略斜視図である。
図4に示すように、第1ノズル部11aと第2ノズル部11bとは胴部の長さが異なること以外は同じ構造となっており、共に下方に向かって、薬液を放射状に散布するようになっている。このため、薬液を可及的広範囲に散布することができる。
ここで、第1ノズル口部11a1又は第2ノズル口部11b1のノズル径(直径)は0.2mm~5.0mmである。
ノズル径が0.2mm未満であると、薬液の散布量が不十分となり、後述するように、薬液が高濃度であるため散布ムラも生じ易く、薬液に基づく効果を十分に発揮できない恐れがある。一方、ノズル径が5.0mmを超えると、薬液を走行体Xに着弾させる際の衝撃力が弱くなり、薬液を走行体Xの内部にまで浸透させることができない場合がある。
また、薬液の散布角度θは、65°~140°であることが好ましい。
散布角度θが65°未満であると、散布角度θが上記範囲内にある場合と比較して、広範囲に薬液を付与できないため、走行体Xの幅全体に薬液を散布するためには、ノズル部11の数を増やす必要があり、高コストとなる欠点がある。一方、散布角度θが140°を超えると、散布角度θが上記範囲内にある場合と比較して、跳ね返る薬液の量が増加し、それが随伴流に乗って、他の抄紙機の部位を汚染させる恐れがある。
図2に戻り、第1胴部11a2は、第2胴部11b2よりも突出方向(水平方向)の長さが長くなっている。
ここで、第1胴部11a2の長手方向の長さは、第2胴部11b2の長手方向の長さよりも10mm~20mm長いことが好ましい。換言すると、第1胴部11a2の長さは、第2胴部11b2の長さよりも10mm~20mm長いことが好ましい
また、第1ノズル口部11a1又は第2ノズル口部11b1から走行体Xまでの最短距離H1(図1参照)は、5cm~30cmであることが好ましい。
第1ノズル口部11a1又は第2ノズル口部11b1から走行体Xまでの最短距離H1が5cm未満であると、最短距離H1が上記範囲内にある場合と比較して、走行体Xの幅全体に薬液を散布するためには、ノズル部11の数を増やす必要があり、高コストとなる欠点がある。一方、第1ノズル口部11a1又は第2ノズル口部11b1から走行体Xまでの最短距離H1が30cmを超えると、最短距離H1が上記範囲内にある場合と比較して、散布の精度が低下することにより、散布すべき箇所に散布できない場合が生じ、その結果、走行体Xに付着する薬液の量が不十分となる欠点がある。
また、隣合う第1ノズル部11aと第2ノズル部11bとの間隔は、100mm~500mmであることが好ましい。
隣合う第1ノズル部11aと第2ノズル部11bとの間隔が100mm未満であると、間隔が上記範囲内にある場合と比較して、散布した薬液の一部が直接隣のノズル部11に付着し、それが汚染を引き起こす原因となる恐れがある。一方、隣合う第1ノズル部11aと第2ノズル部11bとの間隔が500mmを超えると、間隔が上記範囲内にある場合と比較して、後述するように、薬液が高濃度であるため、散布ムラが生じ易くなる。
散布装置100においては、第1ノズル部11aと第2ノズル部11bとが交互に配置されている。すなわち、第1ノズル部11aの第1ノズル口部11a1と、第2ノズル部11bの第2ノズル口部11b1とが互い違いに配置されている。これにより、隣合う第1ノズル口部11a1と、第2ノズル口部11b1とからそれぞれ散布される薬液同士は、互いに干渉する度合いを少なくすることができる。その結果、後述するように、薬液が高濃度であっても、散布ムラが生じることをより抑制することが可能となる。
図1に戻り、散布装置100において、流入管20には、流入管流路を流通する薬液の水圧を測定するための圧力計Aが取り付けられている。すなわち、薬液の散布方法においては、圧力計Aを用いて、薬液の水圧をコントロールしている。
具体的には、散布時の薬液の水圧は0.05MPa以上とし、0.3MPa以上であることが好ましい。
散布時の薬液の水圧が0.05MPa未満であると、後述するように、薬液が高濃度であるため、薬液を走行体Xに着弾させる際の衝撃力が弱くなり、薬液を走行体Xの内部にまで十分に浸透させることができないという欠点がある。
散布装置100において、流入管20、水流入管21及び剤流入管22は、連結部25で連結されている。これにより、流入管流路は、一方は本体部流路に連通し、他方は水流入管21内部の流路(以下便宜的に「水流入管流路」という。)と、剤流入管22内部の流路(以下便宜的に「剤流入管流路」という。)とに分岐するように連通している。
水流入管21においては、水流入管流路を一定の水圧で水が流通するようになっている。なお、かかる水は、水道等の水源から、図示しないポンプ等で圧力が付与された状態で流通する。すなわち、水流入管21は、一方の端部が連結部20に連結され、他方の端部が水源に連結されている。
ここで、散布装置100においては、流通する水の水圧により管自体に負荷が生じることを抑制するため、流入管20と水流入管21とを直線状に連結している。
そして、散布装置100においては、流入管20と水流入管21との連結部25に、流入管20及び水流入管21の長手方向とは垂直な方向から、剤流入管22が連結されている。すなわち、連結部25に連結されたこれら管は、側面視でT字状となっている。
剤流入管22においては、剤流入管流路を薬剤が流通するようになっている。
このとき、薬剤は、流動性を担保するため、必要に応じて水を含んでいてもよい。なお、かかる薬剤の詳細については、後述する。
剤流入管22は、一方の端部が連結部20に連結され、他方の端部が、薬剤が貯留された薬剤貯留部23に連結されている。
そして、剤流入管22には、薬剤貯留部23から薬剤を流通されるためのポンプPと、剤流入管22内の流路を開閉可能なサイフォンチャッキ弁22aと、ポンプP及びサイフォンチャッキ弁22aの間に剤流入管22内の圧力を開放するためのエア抜き弁22bとが取り付けられている。
剤流入管22においては、ポンプPにより、薬剤貯留部23の薬剤が吸い上げられ、一定の圧力を超えることにより、サイフォンチャッキ弁22aが開いて、薬剤が連結部25を介して、流入管20に投入されるようになっている。
また、エア抜き弁22bを開放することにより、剤流入管22内が加圧状態から解放されると共に、サイフォンチャッキ弁22aが閉じて、薬剤の投入が停止される。
このように、剤流入管22においては、サイフォンチャッキ弁22aを採用することにより、薬液の漏れが生じず、適正量の薬液を水流入管からの水流の中に投入することができる。
散布装置100においては、水流入管流路を水が流通し、剤流入管流路から薬剤が投入される。このため、流入管20の流入管流路で水と薬剤とが混合し、薬液となる。
このように、散布装置100においては、水と薬剤とを別々に投入するので、抄紙工程の加工速度、製造する紙質等に応じて、水に対する薬剤の混合割合を調整することができる。
そして、流入管流路を流通する薬液は、本体部流路に流入されることになる。
薬液は、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む薬剤と、水とからなる。なお、薬液は、薬剤の混合割合が0.1質量%を超える高濃度となっている。
これにより、走行体Xに付与される薬液に基づく効果をより向上させることができる。
上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
薬液を汚染防止剤として用いる場合、薬剤は、界面活性剤を含むことが好ましい。また、抄紙機におけるピッチ汚染を除去する観点から、この場合の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤であることが好ましく、ノニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
具体的には、ノニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸グリセンリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン型、ポリオキシエチレンポリオキシアルキレングリコール等のグリコール型、ソルビタン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシアルキレンエチレンアルキルアミンエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール等のエステルエーテル型、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型、ポリオキシエチレンアルキルアミドエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル、ポリオキシアルキレンエチレンアルキルアミドエーテル等のアミドエーテル型、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド等のアルキルグリコシド、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤は、下記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。この場合、汚染防止効果が極めて向上する。
Figure 0007137800000002
式(1)中、Rは、炭素数10~18の炭化水素を示し、pは、0~40の整数を示し、qは、0~30の整数を示し、rは、0~40の整数を示す。但し、p+rは10以上の整数である。
Figure 0007137800000003
式(2)中、Rは、炭素数10~18の炭化水素を示し、pは、0~40の整数を示し、qは、0~30の整数を示し、rは、0~40の整数を示し、sは、0~30の整数を示す。但し、p+rは10以上の整数である。
Figure 0007137800000004
式(3)中、Rは、炭素数10~18の炭化水素を示し、pは、0~40の整数を示し、qは、0~30の整数を示し、rは、0~40の整数を示し、sは、0~30の整数を示す。但し、p+rは10以上の整数である。
上記水溶性ポリマーとしては、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、両性ポリマーが挙げられる。
これらの中でも、水溶性ポリマーは、汚染防止の観点から、カチオン性ポリマー又は両性ポリマーを用いることが好ましく、カチオン性ポリマーを用いることがより好ましい。
また、水溶性ポリマーの分子量は、5000~10万であることが好ましく、5000~2万であることがより好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、ポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミン-エピクロルヒドリン重合物等のアミン系、ポリエチレンイミン等のイミン系、ジアリルジアルキルアンモニウム等の4級アンモニア塩系等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
ノニオン性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック共重合体等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ノニオン性ポリマーは、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック共重合体であることが好ましく、ポリオキシプロピレン鎖と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖からなるブロック共重合体、すなわち、プルロニック(登録商標)であることがより好ましい。
両性ポリマーとしては、ジアリルアミン塩酸塩・マレイン酸共重合体、ジアリルアミンアミド硫酸塩・マレイン酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドマレイン酸共重合体等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
薬液の用途としては、上述した汚染防止剤以外にも、湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、離型剤等として用いられる。
なお、薬液が汚染防止剤である場合、薬液の組成は、上述したノニオン性界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる薬剤と、酸と、水とからなるものであることが好ましい。
上記酸としては、塩酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸が挙げられる。
薬液は、その粘度を500cps以下でとすることが好ましく、1~200cpsとすることがより好ましい。
この場合、薬液を確実に走行体Xに付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
薬液は、その表面張力を60mN/m以下とすることが好ましい。
この場合、フェルトや付着した汚れに対して浸透してピッチ汚染を除去し易いという利点がある。
薬液は、走行体Xの単位面積当たり5.0×10-6/m~10×10-3/mとなるように散布することが好ましく、1.5×10-5/m~10×10-3/mとなるように散布することがより好ましい。
散布量が5.0×10-6/m未満であると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、薬液の付着量が不足し、薬液に基づく効果を十分に発揮できない場合があり、散布量が10×10-3/mを超えると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、薬液自体の固形分が汚染の原因となる恐れがある。
薬液の散布方法においては、走行体Xに薬液を付与した後、当該走行体Xが湿紙51に接触すると、走行体Xに付与された薬液が湿紙に転移する。
これにより、湿紙にも薬液が付与されることになる。
このとき、湿紙の通過面積当たりの薬液の付与量が2.5×10-7/m~1.0×10-4/mであることが好ましく、1.0×10-6/m~1.0×10-4/mであることがより好ましい。すなわち、湿紙への薬液の付与量が上記範囲内となるように、走行体に薬液を散布することが好ましい。
付与量が2.5×10-7/m未満であると、付与量が上記範囲内にある場合と比較して、薬液の付着量が不足し、薬液に基づく効果を十分に発揮できない場合があり、付与量が1.0×10-4/mを超えると、付与量が上記範囲内にある場合と比較して、薬液自体の固形分が汚染の原因となる恐れがある。
なお、薬液は、薬剤の他にポリマー、キレート剤、pH調整剤、充填剤、防炎剤、防腐剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤、潤滑剤等の助剤を含んでいてもよい。
本発明に係る薬液の散布方法においては、高濃度の薬液を採用し、上述した散布装置100を所定の条件下で用いることにより、高濃度の薬液を均一に付与することができるので、走行体Xに付与される薬液に基づく効果をより向上させることができる。これにより、抄紙工程の高速化や、製造する紙質の多様化に対応することも可能となる。
次に、本発明に係る薬液の散布方法の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る薬液の散布方法は、散布装置のノズル部が異なること以外は、第1実施形態に係る薬液の散布方法と同じであるので、ノズル部以外の説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置の本体部を示す概略斜視図である。
図5に示すように、散布装置101においては、本体部10に、薬液を散布するためのノズル部31が複数設けられている。具体的には、走行体Xの幅全体に薬液を同時に散布可能となるように複数のノズル部31が設けられている。
散布装置101において、本体部流路に流入した薬液は、各ノズル部31から一斉に走行体Xに対して散布されることになる。
ここで、各ノズル部31は、後述する先部が、走行体Xの走行方向の下流側に向かって、突出するように設けられており、その先端から下方に向かって薬液を散布するようになっている。このとき、ノズル部31の先部は、下流側に向かって突出しているため、ノズル部31から散布される薬液は、随伴流に乗って下流側に運ばれ、本体部10及びノズル部31の胴部に付着することを抑制することができる。
図6は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置のノズル部を示す斜視図である。
図6に示すように、ノズル部31bは、本体部10に固定され走行体Xの走行方向に垂直な上方向に延設された基部1、及び、基部1の先端から走行体Xの走行方向に延設された先部2、からなる第2胴部31b2(胴部)と、先部2の走行体側に設けられた四角台状の溝部12と、該溝部12に設けられたノズル口部31b1とからなる。
すなわち、ノズル部31bは、第2胴部31b2が側面視で逆L字状となっており、且つ、先部2が側面視で鉤型構造となっている。
これにより、ノズル部31bは、容易に広角に散布することができ、また、オリフィスを潰す工程がないため、詰まりを抑制できる。
図5に戻り、ノズル部31は、基部1の長さの異なる第1ノズル部31a及び第2ノズル部31bからなる。なお、上述した図6は第2ノズル部31bを示したものであるが、基部1の長さが異なること以外は、第1ノズル部31bも同じ構造である。
第1ノズル部31aは、本体部10に固定された第1胴部31a2(胴部)と、第1胴部31a2の先端に設けられた第1ノズル口部31a1とからなり、第2ノズル部31bは、本体部10に固定された第2胴部31b2と、第2胴部31b2の先端に設けられた第2ノズル口部31b1とからなる。
図7は、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置において、ノズル部から薬液を散布している状態を示す概略斜視図である。
図7に示すように、第1ノズル部31aと第2ノズル部31bとは基部1の長さが異なること以外は同じ構造となっており、共に下方に向かって、薬液を放射状に散布するようになっている。このため、薬液を可及的広範囲に散布することができる。
図5に戻り、第1胴部31a2の基部は、第2胴部31b2の基部よりも垂直方向の長さが長くなっている。
ここで、第1胴部31a2の基部の長手方向の長さは、第2胴部31b2の基部の長手方向の長さよりも10mm~20mm長いことが好ましい。換言すると、第1胴部31a2の基部の長さは、第2胴部31b2の基部の長さよりも10mm~20mm長いことが好ましい
散布装置101においては、第1ノズル部31aと第2ノズル部31bとが交互に配置されている。すなわち、第1ノズル部31aの第1ノズル口部31a1と、第2ノズル部31bの第2ノズル口部31b1とが互い違いに配置されている。これにより、隣合う第1ノズル口部31a1と、第2ノズル口部31b1とからそれぞれ散布される薬液同士は、互いに干渉する度合いを少なくすることができる。その結果、後述するように、薬液が高濃度であっても、散布ムラが生じることをより抑制することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
第1及び第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置100,101においては、本体部10の一方の端部10aに流入管20が取り付けられ、これに水流入管21及び剤流入管22が連結されているが、本体部10の両方の端部に流入管が取り付けられ、両方の流入管にそれぞれ水流入管及び剤流入管が連結されていてもよい。
第1実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置100においては、第1ノズル口部11a1と第2ノズル口部11b1とは同じ構造となっているが、別々の構造であってもよい。
また、第1ノズル口部11a1及び第2ノズル口部11b1は、共に下方に向かって、薬液を放射状に散布するようになっているが、散布形状はこれに限定されない。
同様に、第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置101においては、第1ノズル口部31a1と第2ノズル口部31b1とは同じ構造となっているが、別々の構造であってもよい。
また、第1ノズル口部31a1及び第2ノズル口部31b1は、共に下方に向かって、薬液を放射状に散布するようになっているが、散布形状はこれに限定されない。
第1及び第2実施形態に係る薬液の散布方法に用いられる散布装置100,101において、剤流入管22には、薬剤貯留部23から薬剤を流通されるためのポンプPと、剤流入管22内の流路を開閉可能なサイフォンチャッキ弁22aと、ポンプP及びサイフォンチャッキベンの間に剤流入管22内の圧力を開放するためのエア抜き弁22bとが取り付けられているが、これに限定されない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例及び比較例)
図1及び図5に示す散布装置101を用い、表1に示す条件で板紙マシン用フェルト(目付1500g/m)(走行体)に薬液の散布を行った。
なお、当該散布装置においては、本体部に設けられたノズル部を20個とした。
また、薬液としては、以下の薬剤と、酢酸(0,1質量%)と、水とを含む汚染防止剤組成物とした。
薬剤A:メチルアミン-エピクロルヒドリン重合物(分子量7万、カチオン性ポリマー)と、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル(ノニオン性界面活性剤)との質量比1:1の混合物。
薬剤B:メチルアミン-エピクロルヒドリン重合物(分子量7万、カチオン性ポリマー)
薬剤C:ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル(ノニオン性界面活性剤)
また、表1中「流入不良」は、ノズルが目詰まりして、薬液の流入が不良となったことを意味し、「無」は、薬剤を用いず、水のみで評価したことを意味する。
(表1)
Figure 0007137800000005
(評価)
板紙マシン用フェルト(目付1500g/m)(走行体)に薬液の散布を約8時間行った。
そして、板紙マシン用フェルト(目付1500g/m)に残存するピッチ(汚染物)の付着量を目視で評価した。かかる評価は、ピッチの付着が極めて少ないものを「◎」、ピッチの付着が少ないものを「○」、ピッチの付着がやや少ないものを「△」、ピッチの付着が多いものを「×」とした。得られた結果を表2に示す。なお、「◎」及び「○」が実質的に使用しうるレベルである。
(表2)
Figure 0007137800000006
表2の結果より、実施例の薬液の散布方法によれば、汚染防止剤組成物による汚染防止効果が十分に発揮されることがわかった。このことにより、薬液に含まれる薬剤が高濃度であっても薬液を均一に散布することができているといえる。
本発明に係る薬液の散布方法は、抄紙機の散布装置100,101を用い、走行する走行体Xに薬液を散布する際に用いられる。
本発明に係る薬液の散布方法によれば、薬液に含まれる薬剤が高濃度であっても薬液を均一に散布することができる。
1・・・基部
2・・・先部
10・・・本体部
10a・・・端部
100,101・・・散布装置
11,31・・・ノズル部
11a,31a・・・第1ノズル部(ノズル部)
11a1,31a1・・・第1ノズル口部(ノズル口部)
11a2,31a2・・・第1胴部(胴部)
11b,31b・・・第2ノズル部(ノズル部)
11b1,31b1・・・第2ノズル口部(ノズル口部)
11b2,31b2・・・第2胴部(胴部)
12・・・溝部
20・・・流入管
21・・・水流入管
22・・・剤流入管
22a・・・サイフォンチャッキ弁
22b・・・エア抜き弁
23・・・薬剤貯留部
25・・・連結部
50・・・抄紙機
51・・・湿紙
A・・・圧力計
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8・・・シリンダ
DP・・・ドライヤーパート
F1,F2,F3・・・フェルト
H1・・・最短距離
K1,K2・・・カンバス
P・・・ポンプ
P1,P2,P3,P4・・・プレスロール
PP・・・プレスパート
R・・・案内ロール
W・・・ワイヤー
WP・・・ワイヤーパート
X・・・走行体

Claims (13)

  1. 抄紙機に設けられた散布装置を用い、走行する走行体に薬液を散布する薬液の散布方法において、
    前記散布装置が、前記走行体の幅方向に延びる円筒状の本体部と、前記本体部の少なくとも一方の端部に取り付けられた流入管と、を備え、
    前記走行体がワイヤー、フェルト、プレスロール、カンバス又は案内ロールであり、
    前記流入管の内部を流通する前記薬液が、前記本体部の内部に流入可能となっており、
    前記本体部には、前記薬液を散布するためのノズル部が複数設けられ、
    前記ノズル部の先端に設けられたノズル口部のノズル径が0.2mm~5.0mmであり、
    散布時の前記薬液の水圧を0.05MPa以上とし、且つ前記本体部への前記薬液の流入量を1.0×10-3/min~5.0×10-2/minとし、
    前記薬液を、界面活性剤及び水溶性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む薬剤と、水とを含むものとし、
    前記薬剤の混合割合が0.1質量%を超えるものであり、
    前記走行体が湿紙に接触した際に、前記薬液が前記走行体から前記湿紙に転移されるものであり、
    前記湿紙の通過面積当たりの付与量が2.5×10 -7 /m ~1.0×10 -4 /m となるように、前記薬液を前記走行体に散布する薬液の散布方法。
  2. 前記薬液を、前記走行体の単位面積当たり5.0×10-6/m~10×10-3/mとなるように散布する請求項1記載の薬液の散布方法。
  3. 前記ノズル部が、前記薬液を、散布角度65°~140°となるように、放射状に散布するものである請求項1又は2に記載の薬液の散布方法。
  4. 前記ノズル部が、
    前記本体部に固定され前記走行体の走行方向に延設された胴部と、
    前記胴部の先端の前記走行体側に設けられた溝部と、
    該溝部に設けられた前記ノズル口部と、
    からなり、
    前記ノズル部の先端が側面視で鉤型構造となっている請求項1~のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
  5. 前記ノズル部が、前記胴部の長さの異なる第1ノズル部及び第2ノズル部からなり、
    前記第1ノズル部の胴部の長さが前記第2ノズル部の胴部の長さよりも10mm~20mm長くなっており、
    前記第1ノズル部と前記第2ノズル部とが交互に配置されている請求項記載の薬液の散布方法。
  6. 前記ノズル部が、
    前記本体部に固定され前記走行体の走行方向に垂直な方向に延設された基部、及び、該基部の先端から前記走行体の走行方向に延設された先部、からなる胴部と、
    前記先部の前記走行体側に設けられた溝部と、
    該溝部に設けられた前記ノズル口部と、
    からなり、
    前記先部が側面視で鉤型構造となっている請求項1~のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
  7. 隣合う前記ノズル部同士の間隔が100mm~500mmであり、
    前記ノズル口部から前記走行体までの最短距離が5cm~30cmである請求項1~のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
  8. 前記界面活性剤が、下記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物である請求項1~のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
    Figure 0007137800000007
    [式(1)~(3)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数10~18の炭化水素を示し、pは、それぞれ独立に、0~40の整数を示し、qは、それぞれ独立に、0~30の整数を示し、rは、それぞれ独立に、0~40の整数を示し、sは、それぞれ独立に、0~30の整数を示す。但し、式(1)~(3)それぞれにおいて、p+rは10以上の整数である。]
  9. 前記薬液が、前記界面活性剤及び前記水溶性ポリマーからなる薬剤と、酸と、水とを含む汚染防止剤組成物である請求項記載の薬液の散布方法。
  10. 前記薬液の表面張力を60mN/m以下とする請求項1~のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
  11. 前記散布装置が、前記流入管に連結された水流入管及び剤流入管を更に備え、
    前記水流入管の内部を流通する前記水と、前記剤流入管の内部を流通する前記薬剤とを、前記流入管の内部で混合する請求項1~10のいずれか1項に記載の薬液の散布方法。
  12. 前記剤流入管には、サイフォンチャッキ弁が取り付けられている請求項11記載の薬液の散布方法。
  13. 請求項記載の薬液の散布方法に用いられる薬液。
JP2018105635A 2017-05-31 2018-05-31 薬液の散布方法及び薬液 Active JP7137800B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017108751 2017-05-31
JP2017108751 2017-05-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018204167A JP2018204167A (ja) 2018-12-27
JP7137800B2 true JP7137800B2 (ja) 2022-09-15

Family

ID=64956604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018105635A Active JP7137800B2 (ja) 2017-05-31 2018-05-31 薬液の散布方法及び薬液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7137800B2 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003226180A (ja) 2001-11-28 2003-08-12 Toyota Auto Body Co Ltd 車両用収納テーブル装置
JP2005226180A (ja) 2004-02-12 2005-08-25 Kurita Water Ind Ltd 抄紙機における汚れ蓄積防止剤組成物、汚れ蓄積防止方法及び汚れ除去方法
JP2006016737A (ja) 2004-07-05 2006-01-19 Kurita Water Ind Ltd 製紙工程用洗浄剤及び抄紙用フェルトの洗浄方法
JP2008001998A (ja) 2006-06-20 2008-01-10 Ichikawa Co Ltd 抄紙用フェルトの洗浄剤及び洗浄方法
JP2008049270A (ja) 2006-08-24 2008-03-06 Kajima Corp 高圧水噴射装置
JP2009102758A (ja) 2007-10-22 2009-05-14 Ichikawa Co Ltd 抄紙用フェルト洗浄剤
JP2009165968A (ja) 2008-01-16 2009-07-30 Kgk Engineering Corp ベルト状被洗浄物の洗浄方法及び洗浄装置
JP2012214947A (ja) 2011-03-31 2012-11-08 Nippon Paper Industries Co Ltd オフセット印刷用新聞用紙の製造方法
JP2017119930A (ja) 2015-12-28 2017-07-06 王子ホールディングス株式会社 抄紙用具の洗浄方法および洗浄システム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6332154Y2 (ja) * 1985-02-08 1988-08-26
JPH03119195A (ja) * 1989-10-03 1991-05-21 Somar Corp 抄紙用フェルトの洗浄装置
US5564448A (en) * 1994-12-14 1996-10-15 Eagle-Picher Industries, Inc. Container washing apparatus and system

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003226180A (ja) 2001-11-28 2003-08-12 Toyota Auto Body Co Ltd 車両用収納テーブル装置
JP2005226180A (ja) 2004-02-12 2005-08-25 Kurita Water Ind Ltd 抄紙機における汚れ蓄積防止剤組成物、汚れ蓄積防止方法及び汚れ除去方法
JP2006016737A (ja) 2004-07-05 2006-01-19 Kurita Water Ind Ltd 製紙工程用洗浄剤及び抄紙用フェルトの洗浄方法
JP2008001998A (ja) 2006-06-20 2008-01-10 Ichikawa Co Ltd 抄紙用フェルトの洗浄剤及び洗浄方法
JP2008049270A (ja) 2006-08-24 2008-03-06 Kajima Corp 高圧水噴射装置
JP2009102758A (ja) 2007-10-22 2009-05-14 Ichikawa Co Ltd 抄紙用フェルト洗浄剤
JP2009165968A (ja) 2008-01-16 2009-07-30 Kgk Engineering Corp ベルト状被洗浄物の洗浄方法及び洗浄装置
JP2012214947A (ja) 2011-03-31 2012-11-08 Nippon Paper Industries Co Ltd オフセット印刷用新聞用紙の製造方法
JP2017119930A (ja) 2015-12-28 2017-07-06 王子ホールディングス株式会社 抄紙用具の洗浄方法および洗浄システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018204167A (ja) 2018-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105745272A (zh) 水系乳液表面处理剂
CN110325570A (zh) 制备功能性水溶性膜的方法
WO2017064896A1 (ja) 凹凸パターン付き不織布の製造方法
DE60007489T2 (de) Vorrichtung zum Transportieren einer Materialbahn
JP7137800B2 (ja) 薬液の散布方法及び薬液
WO2014030195A1 (ja) ノズル装置
CN103069075A (zh) 用于辊剥离性改进的造纸添加剂
JP2011521119A (ja) フィラメントから成る紡糸フリースを製造するための方法および装置
CN106414841A (zh) 丙烯酸纤维处理剂及其用途
JP5824285B2 (ja) ノズル装置
JP5096952B2 (ja) 抄紙機汚れ付着防止剤組成物および抄紙機汚れ付着防止方法
EP0937803A1 (de) Verfahren und Vorrichtung zum Fibrillieren eines bahnförmigen Textilflächengebildes durch Beaufschlagen mit einer Hochdruckflüssigkeit
DE29503752U1 (de) Reinigungsvorrichtung
CA2529665A1 (en) Methods for treating fibrous structures
DE102006021328A1 (de) Entwässerungsvorrichtung
KR20170131552A (ko) 오염 방지제 조성물
DE10057731A1 (de) Vorhang-Auftragsvorrichtung
DE10085256B4 (de) Verfahren zum Stützen einer Bahn und Bahnstützvorrichtung
JP2016194164A (ja) 水解性シートの製造方法
DE102004004688A1 (de) Separate Entspannung und Besprühung eines Filtertowstreifens
WO2018061060A1 (ja) 汚染防止剤組成物及び汚染防止方法
JP6429703B2 (ja) ノズル装置、それを用いた薬液の吹付方法及び薬液
EP1692957A1 (de) Aufbereitung eines Streifens aus Filtermaterial der Tabak verarbeitenden Industrie
JPH03119195A (ja) 抄紙用フェルトの洗浄装置
RU2329344C2 (ru) Способ для снабжения сукна бумагоделательной машины агентом против загрязнений посредством распыления и скользящее распылительное устройство, и агент против загрязнений для использования в нем

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210520

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220722

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220822

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7137800

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150