JP7134388B1 - 電力変換装置及び電力変換システム - Google Patents

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Abstract

電力変換装置(44)は、第2のDC/AC変換回路(408)を含む。第2のDC/AC変換回路(408)は、外部の制御装置から通信インターフェース(412)に通知される指令に基づいて、交流系統に対して電圧源として動作する。第4の制御回路(409)は、第2のDC/AC変換回路(408)が配電系統(24)に出力する系統交流電圧の実測値に基づいて当該系統交流電圧の位相情報を生成するとともに、通信インターフェース(412)に通知された系統交流電圧の周波数指令値と、生成した位相情報とを用いて、正弦波状の目標交流電圧を算出する。第4の制御回路(409)は、系統交流電圧の実測値と目標交流電圧との偏差を補償する様に、第2のDC/AC変換回路(408)の動作を制御する。

Description

本開示は、電力変換装置及び電力変換システムに関する。
近年、環境負荷の低減に向け、二酸化炭素を排出しない太陽電池等の自然エネルギーを利用した、静止型インバータを採用した発電システムの導入が加速している。又、東日本大震災以降の電力不足等に対応するため、蓄電池を具備したシステム、電気自動車を蓄電池として利用するシステム、太陽電池と蓄電池を組み合わせたシステム等の製品化が進められているが、どのシステム(電力変換装置)にも静止型インバータが採用されている。
一方、調整力としての火力発電所は、再生可能エネルギーによる発電量の増加に伴い、管理コストを含む発電コストが高くなるため、今後閉鎖が進むことが予測される。その際、火力発電等の同期発電機は、系統周波数が変動した際にそれを抑制する作用(慣性力、同期化力等)を潜在的に持っている。火力発電所の閉鎖(同期発電機の減少)が進むと系統の安定度の確保が難しくなることが懸念される。
この様な観点から、同期発電機の特性を有する様に電力変換装置(静止型インバータ)の動作を制御する仮想同期発電機制御の開発が進められている。例えば、同期発電機の特性を電力変換装置の外に接続された制御装置に実装し、当該制御装置からの指令値に基づいて電力変換装置を制御することで、複数の太陽電池等の再生可能エネルギーを利用した創エネルギー機器(以下、「創エネ機器」とも称する)、及び、蓄電池等の蓄エネルギー機器(以下「蓄エネ機器」とも称す)等に仮想的に同期発電機の機能を与えることができる。
特に、蓄電池は、太陽電池及び風力発電機等の再生可能エネルギー電源とは異なり、充放電電力を制御できるため、仮想同期発電機制御を実装した蓄電池は、自立系のマイクログリッド等では主電源(マスター電源)として使用することができる。
特開2019-176584号公報(特許文献1)には、仮想同期発電機制御を実装した電力変換装置(静止型インバータ搭載の分散電源)の制御パラメータの設定方法が開示されている。
具体的には、系統運用者から要求される要求慣性値と、電力変換装置の仕様及び動作状態に基づいて算出した仮想慣性値とのいずれか一方に基づいて、再生可能エネルギーシステムの電力変換装置に仮想慣性を設定する制御パラメータを生成することが記載されている。
より詳細には、再生可能エネルギーシステムに適する総仮想慣性値Joptについては、系統運用者が電力変換装置に対して要求する仮想慣性値(Jreq)を受け取り、再生可能エネルギーシステムの動作状態及び仕様データに基づいて、再生可能エネルギーシステムに含まれる複数の電力変換装置の各々について、仮想慣性の上限値(Jmax,i)と、仮想慣性の上限値(Jmax,i)による動作時における仮想減衰定数の下限値(Dmin,i)とが設定される。
そして、各上限値(Jmax,i)の総計値(ΣJmax,i)が要求されている仮想慣性値(Jreq)より小さいかを判定し、当該総計値(ΣJmax,i)が要求されている仮想慣性値(Jreq)よりも小さい場合、再生可能エネルギーシステムに適する総仮想慣性値Joptは、Jopt=ΣJmax,iとして算出される。
一方で、上記総計値(ΣJmax,i)が要求されている仮想慣性値(Jreq)より大きい場合は、総仮想慣性値Joptは、Jopt=Jreqと設定される。特許文献1には、再生可能エネルギーシステムに適した総仮想減衰定数値Doptimal(最適値)の算出についても同様に記載されている。
特開2019-176584号公報
特許文献1によれば、仮想同期発電機制御機能を実装した静止型インバータの仮想同期発電機制御のための制御パラメータ(総仮想慣性値及び総仮想減衰定数値)は、上述の様に算出されて、静止型インバータに通知される。この場合、系統管理者の意図とした系統の慣性力は、静止型インバータに実装されている仮想同期発電機制御により担保される。
一方、自立系のマイクログリッド等では、複数の仮想同期発電機制御を実装した静止型インバータによって充放電電力を制御される蓄電池が主電源(マスター電源)として動作し、自立系統を支える構成とすることができる。しかしながら、この様な構成では、各静止型インバータに仮想同期発電機制御を実装することが必要となるので、既存の静止型インバータを利用してシステムを構成することが困難となる。
これに対して、仮想同期発電機制御が実装されていない従来の静止型インバータによって自立系のマイクログリッドを立ち上げる場合は、例えば、1台の蓄電池用電力変換装置内の静止型インバータを、電圧制御、具体的には、CVCF(Constant Voltage Constant Frequency)制御によって、主電源(マスター電源)として動作させていた。この場合、負荷変動又は発電量の変化が発生すると、負荷と発電電力とがバランスする様に、主電源からの出力電力の調整が図られる。
通常、主電源の入出力電力は、自立系のマイクログリッドを管理するCEMS(Community Energy Management System)等の管理装置によって監視される。主電源の入出力電力が、予め作成された主電源の運転計画から逸脱した場合には、同一のマイクログリッド内でスレーブ電源(電流制御)として動作している蓄電池等の他の分散電源に対して、充放電電力を調整する様にCEMSから通知される。これにより、充放電電力がマスター電源に偏らない様に、マイクログリッド全体を制御することができる。
又、最近注目を集めているスマートインバータは、電流制御を行うためスレーブ電源として動作するが、系統交流電圧の周波数に基づき、自律的に充放電電力を制御する機能(垂下特性)を有している。しかしながら、上述の様に、主電源(マスター電源)は一定周波数の系統交流電圧を出力するため、上記スマートインバータの機能を利用して自立系のマイクログリッドの制御を行うことは困難である。
これに対して、仮想同期発電機制御を実装した静止型インバータによって充放電電力を制御される蓄電池が主電源である自立系のマイクログリッドでは、負荷変動及び発電量変動によって、主電源の充放電電力が運転計画から逸脱した場合、静止型インバータから出力される系統交流電圧の周波数が変化する。このため、上記スマートインバータをスレーブ電源とすると、スマートインバータの垂下特性機能を利用して、負荷変動及び発電量変動によって生じたマイクログリッド内での過不足電力を、主電源のみでなく、スレーブ電源を含めて分担してカバーすることができる。
昨今では、地震、台風、豪雨等の災害により電力インフラが被害を受け1週間以上停電が継続する等の事態が発生するケースが発生しており、当該ケースに対応するため、新たに配電事業者ライセンス制度等の検討が進められている。配電事業者ラインセンスの1つの狙いは、災害発生時に電力インフラに被害を受けていない配電系統については分散電源を活用して停電を仮復旧するものである。
この様なケースに、既設の蓄電池等の電源設備を利用して自立マイクログリッドを構成することを想定する。上述した様に、仮想同期発電機制御が実装されていない従来の静止型インバータを用いて、主電源(マスター電源)を電圧制御(CVCF制御)で動作させた場合には、自立マイクログリッドを、マスター電源と、太陽電池等の分散電源(スレーブ電源)とで連携して長時間運用意する場合、上述の問題から、系統の安定度の確保等が懸念される。
この様に、系統安定度を確保する面からは、仮想同期発電機制御を実装した電力変換器の導入が好ましい一方で、既設の電力変換装置を、仮想同期発電機制御を実装した電力変換器にリプレイスすることは、コスト面等から自立マイクログリッドの構築に制約を生じさせる。
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、外部から通知された指令に基づいて、交流系統に対して電圧源として動作するインバータを含む電力変換装置において、通信遅延のばらつき等の影響を排除して、電力変換装置から出力される交流電圧を安定的に制御して、系統の安定度を確保することである。
本開示のある局面によれば、電力変換装置が提供される。電力変換装置は、分散電源を制御する制御装置からの指令に基づいて動作する電力変換装置であって、インバータと、通信部と、電圧計測部と、目標交流電圧生成部と、電圧制御部とを備える。インバータは、交流系統及び分散電源の間に接続されて、指令に基づいて交流系統に対して電圧源として動作する。通信部は、制御装置から通知される指令を含む、インバータの制御に必要な情報を受信する。電圧計測部は、インバータが交流系統に出力する系統交流電圧の電圧値を計測する。目標交流電圧生成部は、電圧源として動作するインバータの出力目標値として正弦波状の目標交流電圧を生成する。電圧制御部は、電圧計測部によって計測される電圧値と目標交流電圧との偏差を補償する様にインバータの動作を制御する。情報は、系統交流電圧の周波数指令値を含む。目標交流電圧生成部は、系統交流電圧の振幅指令値と、通信部によって受信される周波数指令値と、電力変換装置において生成される系統交流電圧の位相情報とを用いて、目標交流電圧を算出する。
本開示の他のある局面によれば電力変換システムが提供される。電力変換システムは、分散電源の制御装置と、制御装置からの指令に基づいて動作する電力変換装置とを備える。制御装置には、同期発電機の特性を模擬する仮想同期発電機制御機能が実装される。電力変換装置は、インバータと、通信部と、電圧計測部と、目標交流電圧生成部と、電圧制御部とを含む。インバータは、交流系統及び分散電圧の間に接続されて、指令に基づいて交流系統に対して電圧源として動作する。通信部は、制御装置から通知される指令を含む、インバータの制御に必要な情報を受信する。電圧計測部は、インバータが交流系統に出力する系統交流電圧の電圧値を計測する。目標交流電圧生成部は、電圧源として動作するインバータの出力目標値として正弦波状の目標交流電圧を生成する。電圧制御部は、電圧計測部によって計測される電圧値と目標交流電圧との偏差を補償する様にインバータの動作を制御する。情報は、系統交流電圧の周波数指令値を含む。目標交流電圧生成部は、系統交流電圧の振幅指令値と、通信部によって受信される周波数指令値と、電力変換装置において生成される系統交流電圧の位相情報とを用いて、目標交流電圧を算出する。
本開示によれば、外部から通知された指令に基づいて、交流系統に対して電圧源として動作するインバータを含む電力変換装置において、通信遅延のばらつき等の影響を排除して、インバータの出力目標値(目標交流電圧)の連続性を確保することで、電力変換装置から出力される交流電圧を安定的に制御して、系統の安定度を確保することができる。
実施の形態1に係る電力変換装置が接続される配電系統の構成を説明するブロック図である。 図1に示された配電系統蓄電池システムの構成をさらに説明するためのブロック図である。 図1に示されたCEMSの構成を説明するブロック図である。 図3に示された運転計画作成回路の構成を説明するブロック図である。 図1に示されたメガソーラー用電力変換装置の構成を説明するブロック図である。 図2に示された配電系統蓄電池用電力変換装置の構成を説明するブロック図である。 図5に示された第1の制御回路の構成を説明するブロック図である。 図5に示された第2の制御回路の構成を説明するブロック図である。 図6に示された第3の制御回路の構成を説明するブロック図である。 図6に示された第4の制御回路の構成を説明するブロック図である。 図10に示された交流周波数検出回路の構成を説明するブロック図である。 図10に示されたインバータ電圧制御回路の構成を説明するブロック図である。 図2に示された制御装置43の構成を説明するブロック図である。 図13に示された仮想同期発電機制御回路の構成を説明するブロック図である。 図14に示されたガバナー制御回路の構成を説明するブロック図である。 図14に示された質点系演算回路の構成を説明するブロック図である。 配電系統蓄電池システムに実装した仮想同期発電機制御がカバーする領域を説明する概念図である。 実施の形態1に係る配電系統蓄電池システムに実装した仮想同期発電機制御における課題を説明するためのタイミングチャートである。 配電系統蓄電池システムの周波数指令値の受信タイミングを説明するための概念的な波形図である。 ゼロクロス点の検出手法の一例を説明する概念図である。 制御装置から出力された周波数指令値を反映させるタイミングを説明するための概念的な波形図である。 図1に示されるCEMSを中心とした分散電源システムのシーケンス図である。 図2に示される制御装置を中心とした配電系統蓄電池システムのシーケンス図である。 図1に示されるCEMSの制御処理を説明するフローチャートである。 図24に示される運転計画を作成するステップの詳細を説明するフローチャートである。 図2に示される制御装置の制御処理を説明する第1のフローチャートである。 図2に示される制御装置の制御処理を説明する第2のフローチャートである。 図2に示される配電系統蓄電池用電力変換装置の動作を説明する第1のフローチャートである。 図2に示される配電系統蓄電池用電力変換装置の動作を説明する第2のフローチャートである。 図2に示される配電系統蓄電池用電力変換装置の動作を説明する第3のフローチャートである。 実施の形態2に係る電力変換装置内のインバータ電圧制御回路の構成を説明するブロック図である。 図28に示された第4の正弦波生成回路の構成を説明するブロック図である。 実施の形態2における図2に示された制御装置の構成を説明するブロック図である。 図30に示された第2の仮想同期発電機制御回路の構成例を説明するブロック図である。 実施の形態3に係る電力変換装置内の圧制御回路の構成を説明するブロック図である。 図32に示された第5の正弦波生成回路の構成を説明するブロック図である。 仮想同期発電機制御技術を説明するための概念図である。 垂下特性(ドループ特性)の一例を説明する第1の概念図である。 垂下特性(ドループ特性)の一例を説明する第2の概念図である。
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置が接続される配電系統の構成を説明するブロック図である。以下、本実施の形態では、説明を簡単にするために単相の配電系統を例示するが、言うまでもなく同様の構成を三相の配電系統に適用可能である。
図1を参照して、配電系統24(24a~24d)は、開閉器28を介して、変電所20と接続される。配電系統24上では、複数の自動電圧調整器23(23a~23c)が直列接続されている。本実施の形態では、自動電圧調整器23は、SVR(Step Voltage Regulator)によって構成されるので、以下では、自動電圧調整器23をSVR23とも称する。
配電系統24dは、開閉器28を介して変電所20と接続されており、配電系統24d及び24cの間にはSVR23cが接続される。配電系統24c及び24bの間にはSVR23bが接続され、配電系統24b及び24aの間にはSVR23aが接続される。
配電系統24a~24bに対しては、タウンA100a、タウンB100b、タウンC100c、タウンD100d、工場101、ビル102、及び、マンション103が、負荷として接続される。
更に、配電系統24aに対しては、メガソーラー用電力変換装置27を介してメガソーラー26が接続されるとともに、配電系統蓄電池システム41aを介して配電系統蓄電池40aが接続される。配電系統24bに対しては、配電系統蓄電池システム41bを介して配電系統蓄電池40bが接続され、配電系統24cに対しては、同期発電機30aが接続される。配電系統24dに対しては、同期発電機30bが接続されるともに、配電系統蓄電池システム41cを介して配電系統蓄電池40cが接続される。
以下では、図中で、小文字の添字の付加によって区別される各要素を包括的に表記する場合には、当該添字を削除して表記するもののとする。例えば、図1中の配電系統蓄電池40a~40c、及び、配電系統蓄電池システム41a~41cのそれぞれについて、包括的に表記する場合には、単に、配電系統蓄電池40及び配電系統蓄電池システム41と表記する。
配電系統24には、電圧計22(22a,22e,22f,22i,22j,22x)が複数接続されており、計測結果は予め定められた周期で、配電自動化システム(DSODistribution System Operator)21に送信される。又、SVR23のタップ位置情報、一次側、及び二次側電圧情報も、DSO21に通知される。尚、本実施の形態では、SVR23からは、予め定められた周期でタップ位置情報、並びに、一次側及び二次側電圧情報が通知されるとともに、SVR23タップ切換時には、タップ位置情報、並びに、一次側及び二次側電圧情報が非定期に通知されるものとする。
CEMS31は、予め定められた周期で、各需要家(図1の例では、タウンA100a、タウンB100b、タウンC100c、タウンD100d、ビル102、マンション103、及び、工場101)、メガソーラー用電力変換装置27、同期発電機30a,30b、並びに、配電系統蓄電池システム41a~41cから、各種計測結果等の情報を収集する。
CEMS31が収集した上記データは、DSO21からの要求に基づき、CEMS31からDSO21へ通知される。尚、タウンA100a、タウンB100b、タウンC100c、及び、タウンD100d内の需要家の消費電力、並びに、創エネ機器の発電電力は、各需要家に設置された図示していないスマートメータから、CEMS31が予め定められた周期(例えば30分周期)で収集される。
図2は、図1に示された配電系統24に接続された配電系統蓄電池40を含む配電系統蓄電池システム41の構成をさらに説明するためのブロック図である。
図2を参照して、配電系統蓄電池システム41は、電流/電圧計測装置42、制御装置43、及び、配電系統蓄電池用電力変換装置44を含む。
電流/電圧計測装置42は、配電系統蓄電池システム41が接続されている配電系統24の電圧及び電流を計測する。電流/電圧計測装置42による電圧及び電流の計測値は、通信線25を介してCEMS31と接続される制御装置43に通知される。
配電系統蓄電池用電力変換装置44は、配電系統蓄電池40及び配電系統24の間に接続されて、指令値に従った有効電力及び無効電力が入出力される様に、配電系統蓄電池40及び配電系統24の間で電力変換を実行する。これにより、配電系統蓄電池40の充放電が制御される。
制御装置43は、実施の形態1では、配電系統蓄電池用電力変換装置44から入出力される有効電力及び無効電力の指令値、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433(後述)内で使用する制御パラメータ、並びに、配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095内で使用する制御パラメータ等を、CEMS31から受信する。一方で、制御装置43は、配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力される有効無効電力の計測結果等を,CEMS31に通知する。
実施の形態1では、制御装置43は、後述する仮想同期発電機制御回路433で算出した周波数指令値及び電圧振幅指令値を、通信線45を介して配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する。
図2に示された、配電系統蓄電池システム41は、本実施の形態に係る「電力変換システム」の一実施例に対応し、配電系統蓄電池用電力変換装置44は、本実施の形態に係る「電力変換装置」の一実施例に対応する。又、配電系統24は、「交流系統」の一実施例に対応し、配電系統蓄電池40は「分散電源」の一実施例に対応する。尚、図1では、複数の配電系統蓄電池システム41(即ち、配電系統蓄電池用電力変換装置44)が接続された交流系統(配電系統24)が例示されているが、交流系統に接続される配電系統蓄電池システム41及び配電系統蓄電池用電力変換装置44が1個の場合であっても、本開示を適用することが可能である点について、確認的に記載する。
図3は、図1に示されたCEMS31の構成を説明するブロック図である。図3を参照して、CEMS31は、通信回路311、記憶回路312、運転計画作成回路314、送信データ生成回路315、及び、分散電源管理部制御回路316を含む。
通信回路311は、通信線25を介して、DSO21、各需要家(タウンA100a、タウンB100b、タウンC100c、タウンD100d、ビル102、マンション103、及び、工場101)、メガソーラー用電力変換装置27、同期発電機30a,30b、並びに、配電系統蓄電池システム41a,41b,41cと通信する。
記憶回路312は、通信回路311を介して入手した、各種情報(計測結果及び各分散電源のステータス情報等)を記憶する。計測結果には、配電系統蓄電池システム41a,41b,41cから収集した、SOC情報等が含まれる。
運転計画作成回路314は、DSO21からの制御指令に基づき、配電系統蓄電池システム41a,41b,41cの運転計画を作成する。例えば、実施の形態1では、30分間隔で24時間分の運転計画が作成される。
送信データ生成回路315は、運転計画作成回路314から出力される運転計画に係るデータを記憶するとともに、分散電源管理部制御回路316からの送信指令に基づいて、記憶したデータを通信回路311に出力する。通信回路311は、分散電源管理部制御回路316から出力される制御信号に基づいて、送信データ生成回路315から出力されるデータを送信する。
分散電源管理部制御回路316は、CEMS31内の通信回路311、記憶回路312、運転計画作成回路314、及び、送信データ生成回路315の動作を管理する。又、分散電源管理部制御回路316は、配電系統蓄電池システム41a,41b,41cの仮想同期発電機制御部(制御装置43内)、及び、電圧制御部(配電系統蓄電池用電力変換装置44内)の制御パラメータについても生成する。
これらの仮想同期発電機制御部、及び、電圧制御部の詳細については後述するが、実施の形態1では、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41の仮想同期発電機制御部、及び、電圧制御部の制御パラメータは、連系系統の場合、即ち、系統電源と接続されている配電系統24に対して配電系統蓄電池用電力変換装置44が電圧源として動作して連系する場合と、自立系統の場合、即ち、系統電源から切り離されている配電系統24に対して配電系統蓄電池用電力変換装置44が電圧源として動作する場合との間では、異なる値となる様に制御される。又、自立系統においても、同期発電機の有無、及び、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41の台数に依存して、仮想同期発電機制御部、及び、電圧制御部の制御パラメータが変えられる。
図4は、図3に示されたCEMS31内の運転計画作成回路314の構成を説明するブロック図である。図4を参照して、運転計画作成回路314は、蓄電池運転計画生成回路3141、発電量予測回路3142、消費電力予測回路3143、分散電源運転計画作成管理回路3145、及び、運転計画作成部管理回路3146を含む。
発電量予測回路3142は、天気予報サーバー(図示せず)から24時間分の天気予報情報を、通信回路311を介して入手するとともに、入手した天気予報情報、及び、発電量予測用に準備したデータベース情報(図示せず)に基づいて、メガソーラー26の発電量を予測する。
消費電力予測回路3143は、CEMS31の内部の時計情報(年月日、曜日、時刻)、及び、消費電力予測用に準備したデータベース情報(図示せず)に基づいて、各需要家の消費電力の合計を予測する。
蓄電池運転計画生成回路3141は、DSO21から通知される制御指令情報と、発電量予測回路3142が予測したメガソーラー26の発電量予測結果と、消費電力予測回路3143が予測した需要家の消費電力予測情報とに基づいて、配電系統蓄電池用電力変換装置44a,44b,44cの運転計画(30分毎-24時間分の計画)、即ち、各分散電源の電力目標値を生成する。尚、DSO21から通知される制御指令情報は、変電所20以下で消費される電力(供給電力)の計画値(30分毎-24時間分の計画)を含む。
分散電源運転計画作成管理回路3145は、蓄電池運転計画生成回路3141で生成した各分散電源の電力目標値を記憶するとともに、運転計画作成部管理回路3146より出力される制御信号に基づき、記憶した電力目標値を、送信データ生成回路315に出力する。
運転計画作成部管理回路3146は、蓄電池運転計画生成回路3141、発電量予測回路3142、消費電力予測回路3143、及び、分散電源運転計画作成管理回路3145の動作を管理する。
図5は、図1に示されたメガソーラー用電力変換装置27の構成を説明するブロック図である。図5を参照して、メガソーラー用電力変換装置27は、電圧計201、電流計202、第1のDC/DC変換回路203、第1の制御回路204、直流母線205、電圧計206、電流計207、第1のDC/AC変換回路208、第2の制御回路209、電圧計210、電流計211、及び、通信インターフェース212を含む。
電圧計201は、メガソーラー26から出力される電圧(DC)を計測する。電流計202は、メガソーラー26から出力される電流(DC)を計測する。第1のDC/DC変換回路203は、メガソーラー26より出力される第1の直流電圧の直流電力を、第2の直流電圧の直流電力に変換する。
第1の制御回路204は、第1のDC/DC変換回路203を制御する。直流母線205は、第1のDC/DC変換回路203より出力される第2の直流電圧を第1のDC/AC変換回路208に供給する。電圧計206は、直流母線205の電圧を計測する。電流計207は、第1のDC/DC変換回路203より出力される電流(DC)を計測する。
第1のDC/AC変換回路208は、第1のDC/DC変換回路203より出力される直流電力を交流電力に変換する。第2の制御回路209は、第1のDC/AC変換回路208を制御する。電圧計210は、第1のDC/AC変換回路208より出力される電圧(AC)を計測する。電流計211は、第1のDC/AC変換回路208より出力される電流(AC)を計測する。通信インターフェース212は、メガソーラー用電力変換装置27とCEMS31との間で通信を行う。
図6は、図2に示された配電系統蓄電池用電力変換装置44の構成を説明するブロック図である。図6を参照して、配電系統蓄電池用電力変換装置44は、電圧計401、電流計402、第2のDC/DC変換回路403、第3の制御回路404、直流母線405、電圧計406、電流計407、第2のDC/AC変換回路408、第4の制御回路409、電圧計410、電流計411、及び、通信インターフェース412を含む。
電圧計401は、配電系統蓄電池40から出力される電圧(DC)を計測する。電流計402は、配電系統蓄電池40から出力される電流(DC)を計測する。第2のDC/DC変換回路403は、配電系統蓄電池40より出力される第3の直流電圧の直流電力を、第4の直流電圧の直流電力に変換する。
第3の制御回路404は、第2のDC/DC変換回路403を制御する。直流母線405は、第2のDC/DC変換回路403より出力される第4の直流電圧を、第2のDC/AC変換回路408に供給する。
電圧計406は、直流母線405の電圧を計測する。電流計407は、第2のDC/DC変換回路403より出力される直流電流を計測する。第2のDC/AC変換回路408は、第2のDC/DC変換回路403より出力される直流電力を交流電力に変換する。第4の制御回路409は、第2のDC/AC変換回路408を制御する。
電圧計410は、第2のDC/AC変換回路408より出力される電圧(AC)を計測する。電流計411は、第2のDC/AC変換回路408より出力される電流(AC)を計測する。通信インターフェース412は、配電系統蓄電池用電力変換装置44と制御装置43との間で通信を行う。
尚、第1のDC/DC変換回路203(図5)及び第2のDC/DC変換回路403(図6)、並びに、第1のDC/AC変換回路208(図5)及び第2のDC/AC変換回路408(図6)の構成としては、公知のDC/DCコンバータ及びインバータの構成を適宜用いることが可能である。
図7は、図5に示された、メガソーラー用電力変換装置27の第1のDC/DC変換回路203を制御する第1の制御回路204の構成を説明するブロック図である。
図7を参照して、第1の制御回路204は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御回路2041、電圧制御回路2042、第1の切換え回路2043、及び、第5の制御回路2044を有する。
MPPT制御回路2041は、電圧計201及び電流計202の計測値に基づき、所謂、最大電力点追従制御を行う。最大電力点追従制御では、メガソーラー26より発電される電力を最大限取り出すために、メガソーラー26の最大電力点がサーチされる。具体的には、MPPT制御回路2041は、電圧計201によって測定される直流電圧を、上記最大電力点に対応する電圧に制御するための第1のDC/DC変換回路203の制御指令値を生成する。
電圧制御回路2042は、電圧計206の計測値に基づき、直流母線205の直流電圧(第2の直流電圧)を予め定められた目標電圧に維持するための、第1のDC/DC変換回路203の制御指令値を生成する。第5の制御回路2044は、MPPT制御回路2041及び電圧制御回路2042の各々に対して、制御パラメータ及び制御目標値等を出力するとともに、メガソーラー26の発電状態等を管理する。第5の制御回路2044は、第1の切換え回路2043の制御信号を更に出力する。
第1の切換え回路2043は、第5の制御回路2044からの制御信号に従って、MPPT制御回路2041及び電圧制御回路2042の出力のうちの一方を、第1のDC/DC変換回路203の制御指令値として選択的に出力する。第1のDC/DC変換回路203は、MPPTモード又は電圧制御モードで制御される。第1の切換え回路2043は、MPPTモードでは、MPPT制御回路2041が生成した制御指令値を出力する一方で、電圧制御モードでは、電圧制御回路2042が生成した制御指令値を出力する様に制御される。
図8は、図5に示された、メガソーラー用電力変換装置27の第1のDC/AC変換回路208を制御する第2の制御回路209の構成を説明するブロック図である。
図8を参照して、第2の制御回路209は、位相検出回路2091、第1の正弦波生成回路2092、電流制御回路2090、及び、第6の制御回路2097を含む。又、電流制御回路2090は、減算器2093、第1のPI(Proportional-Integral)制御回路2094、乗算器2095、減算器2096、第2のPI制御回路2098、及び、第1のPWM(Pulse Width Modulation)変換回路2099を有する。尚、電流制御回路2090の機能は、系統交流電圧に同期して電力を出力する制御モードで、家庭に設置されている一般的な太陽光発電用の電力変換装置の制御機能に相当する。
位相検出回路2091は、電圧計210で計測した交流の電圧波形から位相情報を検出する。第1の正弦波生成回路2092は、電圧計210で計測した系統交流電圧の振幅、及び、位相検出回路2091で検出した位相情報に基づき。交流の電圧波形に同期した正弦波を生成する。
実施の形態1では、位相検出回路2091は、交流の電圧波形からゼロクロス点を検出すると共に、ゼロクロス点検出結果から系統交流電圧の周波数を検出し、ゼロクロス点情報と共に第1の正弦波生成回路2092に出力する。尚、ゼロクロス点検出の詳細については、後述する。
電流制御回路2090は、電圧計206より出力される直流母線205の直流電圧に基づき、第1のDC/AC変換回路208の制御指令値を生成する。電圧計206より出力される直流母線205の直流電圧は、減算器2093により、第6の制御回路2097より出力される直流母線電圧の目標値から減算される。
減算器2093で得られた減算値は、第1のPI制御回路2094に入力される。第1のPI制御回路2094は、第6の制御回路2097より出力される制御パラメータ(比例ゲイン及び積分時間)を用いた制御演算によって、直流母線205の直流電圧を所定値に制御するための指令値を生成する。
第1のPI制御回路2094によって生成された指令値は、乗算器2095に出力されて、第1の正弦波生成回路2092から出力される交流の電圧波形に同期した正弦波と乗算される。これにより、乗算器2095からは、電流指令値が出力される。
乗算器2095から出力される電流指令値は、減算器2096に入力される。減算器2096は、電流指令値から、電流計211で計測した交流系統の電流値を減算して、電流偏差を算出する。減算器2096によって算出された電流偏差は、第2のPI制御回路2098に入力される。
第2のPI制御回路2098は、第6の制御回路2097より出力される制御パラメータ(比例ゲイン及び積分時間)を用いた制御演算によって、減算器2096による電流偏差を補償、即ち、電流偏差をゼロに制御するための制御指令値を生成する。生成された制御指令値は、第1のPWM変換回路2099に入力される。
第1のPWM変換回路2099は、第2のPI制御回路2098からの制御指令値にPWM変調を施して、第1のDC/AC変換回路208の制御指令値を生成する。生成された制御指令値は、第1のDC/AC変換回路208に対して出力される。上述した様に、第1のPI制御回路2094及び第2のPI制御回路2098の制御パラメータについても、第6の制御回路2097から通知される。
更に、交流系統の実効電圧計測部(図示せず)で計測される交流系統の実効電圧、又は、交流系統の有効・無効電力計測部(図示せず)で計測した有効電力及び無効電力情報についても、通信インターフェース212(図5)を介して、第6の制御回路2097からCEMS31に通知される。更に、交流系統の実効電圧及び有効電力等の計測結果は、第6の制御回路2097から第5の制御回路2044(図7)にも通知される。これにより、第5の制御回路2044は、例えば、系統交流電圧の実効値が所定の基準値を超えた場合、メガソーラー26の制御をMPPT制御から電圧制御に切換えて、系統交流電圧の上昇を抑制することができる。
図9は、図6に示された、配電系統蓄電池用電力変換装置44の第2のDC/DC変換回路403を制御する第3の制御回路404の構成を説明するブロック図である。
図9を参照して、第3の制御回路404は、充電制御回路4041、放電制御回路4042、第2の切換え回路4043、及び、第7の制御回路4044を含む。
充電制御回路4041は、配電系統蓄電池40の充電制御を行う際の第2のDC/DC変換回路403の制御指令値を生成する。放電制御回路4042は、配電系統蓄電池40からの放電制御を行う際の第2のDC/DC変換回路403の制御指令値を生成する。第7の制御回路4044は、充電制御回路4041及び放電制御回路4042への制御パラメータ及び制御目標値等を出力するとともに、配電系統蓄電池40の充電量(SOC)、充放電電流、充放電電力量等を管理する。第7の制御回路4044は、第2の切換え回路4043の制御信号をさらに出力する。
第2の切換え回路4043は、第7の制御回路4044からの制御信号に従って、充電制御回路4041及び放電制御回路4042の出力のうちの一方を、第2のDC/DC変換回路403の制御指令値として選択的に出力する。
第2の切換え回路4043は、配電系統蓄電池40の充電が指示される際には充電制御回路4041が生成した制御指令値を出力する一方で、配電系統蓄電池40の放電が指示される際には放電制御回路4042が生成した制御指令値を出力する様に制御される。
図10は、図6に示された、配電系統蓄電池用電力変換装置44の第2のDC/AC変換回路408を制御する第4の制御回路409の構成を説明するブロック図である。
図10を参照して、第4の制御回路409は、交流周波数検出回路4091、実効電力算出回路4092、インバータ電流制御回路4094、インバータ電圧制御回路4095、第3の切換え回路4096、及び、第8の制御回路4097を含む。
交流周波数検出回路4091は、電圧計410で計測した交流の電圧波形から位相を検出する。実施の形態1では、後述する手法によって交流の電圧波形からゼロクロス点を検出して、検出したゼロクロス点の時間間隔から周波数が検出される。尚、系統交流電圧の周波数検出は、ゼロクロス点の検出を用いる手法に限定されない点について、確認的に記載する。
実効電力算出回路4092は、電圧計410及び電流計411で計測した系統交流電圧情報及び交流電流情報から実効電力を算出する。例えば、実施の形態1では、交流周波数検出回路4091より出力されるゼロクロス点検出情報及び交流周波数情報に基づき、系統交流電圧波形の1周期分の電力を積算することによって、実効電力を算出する。但し、実効電力は、上記以外の手法によっても算出することが可能である。例えば、交流系統が三相交流の場合には、三相の交流電圧及び電流のd-q変換値を用いて実効電力を算出することが可能である。
インバータ電流制御回路4094は、第2のDC/AC変換回路408を電流制御によって動作させる場合の制御指令値を生成する。尚、インバータ電流制御回路4094は、図8中の電流制御回路2090と制御パラメータが異なるだけで、回路構成及び動作を同一とすることで構成できる。このため、インバータ電流制御回路4094についての詳細な説明は省略する。
インバータ電圧制御回路4095は、第2のDC/AC変換回路408を電圧制御、即ち、第2のDC/AC変換回路408から系統交流電圧を出力する制御によって動作させる場合の制御指令値を生成する。
第3の切換え回路4096は、インバータ電流制御回路4094が生成した制御指令値(電流制御)と、インバータ電圧制御回路4095が生成した制御指令値(電圧制御)との一方を、第8の制御回路4097の出力に従って選択して、第2のDC/AC変換回路408に対して出力する。即ち、配電系統蓄電池用電力変換装置44の第2のDC/AC変換回路408は、電圧制御又は電流制御のいずれによっても動作可能であり、第8の制御回路4097の出力に従って電圧制御又は電流制御の一方が適用されて動作する。
第8の制御回路4097は、電圧計406及び電流計407より出力される直流母線405に関する計測結果、電圧計410及び電流計411より出力される交流系統に関する計測結果、並びに、第3の制御回路404から出力される第2のDC/DC変換回路403のステータス情報等を収集する。第8の制御回路4097によって収集された計測結果及びステータス情報等は、通信インターフェース412を介して、制御装置43等に通知される。
上述したインバータ電流制御回路4094及びインバータ電圧制御回路4095の各種制御パラメータは、第8の制御回路4097から通知される。尚、実施の形態1では、図2で説明した様にインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータは、CEMS31から通知されたものが、第8の制御回路4097を経由して通知される。これは、以下の理由による。
実施の形態1で示す様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44の外部の制御装置43に仮想同期発電機制御機能を持たせる場合、詳細は後述するが、配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値が送付されるまでには、計測遅延、処理遅延、及び、通信遅延等が発生することにより、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される交流系統周波数に、当該周波数指令値が反映されるまでには遅延が生じる。一方で、負荷変動又は発電量変動に対する過不足電力は、配電系統蓄電池用電力変換装置44自身が処理するため、ほぼ遅延時間なしに対処することができる。この遅延時間の有無の差によって、系統周波数及び系統電圧の関係が、周波数指令値による想定とは変わることにより、配電系統24の挙動が不安定になる虞がある。尚、本明細書において、電力変換装置に対して、「外部」の制御装置とは、電力変換装置及び制御装置の間での情報の授受に、通信インターフェースの介在を要することと等価であるものとする。
自立マイクログリッドに仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41が1台の場合は自身が系統交流電圧の周波数を決定し、出力するため処理遅延の影響は、それ程大きくはならない。一方で、2以上の複数台の配電系統蓄電池システム41が連携して自立マイクログリッドを構築する場合には、台数の増加に応じて、この遅延時間が自立マイクログリッドの安定動作に影響することが懸念される。
一例として、2台の配電系統蓄電池システム41が接続されていた場合を想定して説明する。自立マイクログリッド内で負荷又は発電量の急変が発生すると、上記遅延時間の影響により、配電系統蓄電池システム41が出力する電力の変化に対して、配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が遅れて変化する。
これにより、2台の配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の位相が最適な制御ポイントからずれると、2台の配電系統蓄電池システム41間で横流が発生する。その際、各配電系統蓄電池システム41の電圧制御部の応答速度が高いと、横流が発散して大きな電流が生じることにより、自立マイクログリッドが保護停止してしまうことが懸念される。
このため、本実施の形態1では、CEMS31が各配電系統蓄電池システム41に対して送付する、電圧制御(インバータ電圧制御回路4095)の制御パラメータを、マイクログリッド内で動作する仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41の台数に応じて可変に設定する。具体的には、当該台数が多い程、電圧制御の応答時間が長くなる様に、各配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095内の制御パラメータを設定することで、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する交流電圧の制御の応答時間を最適に設定して、自立マイクログリッドの安定性を確保することができる。この結果、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41が電圧源として並列動作することで自立マイクログリッドを構成する場合、1台で自立マイクログリッドを構成する場合と比較して、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する交流電圧の制御の応答時間が長くなる様に、各配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知される制御パラメータが設定される。
同様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44の制御応答速度を決めるインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータについては、自立マイクログリッドを構成する際と、系統に連系する様に動作する際とで、異なる設定とすることが好ましい。具体的には、連系系統の場合には、系統を支える同期発電機の応答が早いため、配電系統蓄電池用電力変換装置44側での制御応答を抑えることが、電力系統の安定性を担保する面からは好ましい。従って、CEMS31は、配電系統蓄電池用電力変換装置44が連系系統する場合には、自立マイクログリッドを構成する場合と比較して、配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電圧制御の応答時間が長くなる様に、インバータ電圧制御回路4095の制御パラメータを設定する。より詳細には、連系系統の際の配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電圧制御の応答時間は、1台で自立マイクログリッドを支える場合の当該応答時間よりも長くなる様に、インバータ電圧制御回路4095の制御パラメータが設定される。これにより、仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41が連系系統する場合にも、不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
同様に、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433の制御パラメータについても、本実施の形態1ではCEMS31から通知される。これは、以下の理由による。
上述した様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44の外部の制御装置43に仮想同期発電機制御機能を持たせる場合、配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値を送付する際に、計測遅延、処理遅延、及び、通信遅延等が発生するため、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力する交流系統周波数に上記周波数指令値が反映されるまでに遅延が発生する。
これに対して、自立マイクログリッド内で負荷変動又は発電量変動が発生した場合、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41は、上記負荷変動又は発電量変動に対応して、配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電力を変化させることができる。しかしながら、周波数指令値は外部の制御装置43で生成されるため、上記変動に対応した配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電力の変化は、周波数指令値に対して即座には反映されない。
このため、後述する、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433の制御ゲイン(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)が高いと、各々の配電系統蓄電池システム41の出力する系統交流電圧の周波数が大きく変化する。これにより、配電系統蓄電池システム41同士で電力のキャッチボールが行われることで、各々の配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が発振する様になると、最終的には配電系統蓄電池システム41が停止する虞がある。
このため、本実施の形態1では、自立系統(自立マイクログリッド)に、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41(配電系統蓄電池用電力変換装置44)が複数台接続されて電圧源として動作する場合には、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、後述する仮想同期発電機制御内の制御ゲイン(少なくとも、制動係数Dg)を可変に設定する様に、CEMS31が構成される。尚、制動係数Dgについての詳細は後述する。これにより、自立系統に、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41が複数台接続されて並列に電圧源として動作する場合においても、配電系統24に不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
同様に、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433の制御ゲインは、配電系統蓄電池システム41(配電系統蓄電池用電力変換装置44)が、自立マイクログリッドを構成する際と、連系系統の際との間で、異なる値に設定することが好ましい。具体的には、連系系統の際には、系統を支える同期発電機の応答が早いため、仮想同期発電機制御回路433内の制御パラメータ(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)を、負荷変動または発電量変動に対する系統交流電圧の制御応答速度が低くなる様に設定することで、電力系統の安定性を担保することができる。詳細には、仮想同期発電機制御回路433の制御ゲインについても、連系系統の場合の配電系統蓄電池用電力変換装置44の、負荷変動又は発電量変動に対する系統交流電圧の制御応答速度が、1台で自立マイクログリッドを支える場合の当該応答速度よりも遅くなる様に、CEMS31によって設定される。これにより、仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41が連系系統する場合にも、不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
図11は、図10に示された交流周波数検出回路4091の構成を説明するブロック図である。
図11を参照して、交流周波数検出回路4091は、位相検出回路40910、周波数検出回路40911、及び、第2の正弦波生成回路40912を有する。例えば、位相検出回路40910は、電圧計410より出力される交流系統の電圧波形から、ゼロクロス点を検出する。尚、位相検出回路40910での位相検出方法はゼロクロス点検出に限るものではないことは言うまでもない。
周波数検出回路40911は、位相検出回路40910より出力されるゼロクロス点の周期から系統交流電圧の周波数を検出する。第2の正弦波生成回路40912は、位相検出回路40910でのゼロクロス点検出結果、周波数検出回路40911での周波数検出結果、及び、CEMS31より出力される系統交流電圧振幅に基づいて、系統交流電圧に同期した正弦波を発生する。
尚、本実施の形態1では、第2の正弦波生成回路40912が生成した正弦波は、インバータ電流制御回路4094で配電系統蓄電池用電力変換装置44を電流源として制御する際に使用される。交流周波数検出回路4091からはゼロクロス点検出情報(例えば、ゼロクロス点検出時刻)、周波数検出情報、及び、正弦波情報が出力される。
図12は、図10に示されたインバータ電圧制御回路4095の構成を説明するブロック図である。
図12を参照して、インバータ電圧制御回路4095は、第3の正弦波生成回路40951、減算器40952、第3のPI制御回路40953、第2のPWM変換回路40954、及び、第1の電流制限回路40955を含む。
インバータ電圧制御回路4095は、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433(詳細は後述)から出力される周波数情報(周波数指令値)と、CEMS31によって生成された系統交流電圧の振幅情報(電圧振幅指令値)とに基づいて、第2のDC/AC変換回路408を制御する制御指令値を生成する。尚、本実施の形態1では、制御装置43から出力される周波数情報及び系統交流電圧の振幅情報は、図10に示した通信インターフェース412を介した経路により、第8の制御回路4097を経由してインバータ電圧制御回路4095に入力される。
交流周波数検出回路4091からの正弦波情報(位相検出情報)は、第3の正弦波生成回路40951に入力される。第3の正弦波生成回路40951は、入力された周波数情報(周波数指令値)、位相情報(実施の形態1ではゼロクロス点検出情報)、及び、系統交流電圧の振幅情報に基づき、第2のDC/AC変換回路408から出力する系統交流電圧の目標値を生成する。
減算器40952は、第3の正弦波生成回路40951の出力値(系統交流電圧の目標値)から電圧計410で計測された電圧を減算器40952で減算して、電圧偏差を出力する。算出された電圧偏差は、第3のPI制御回路40953に出力される。第3のPI制御回路40953は、入力された電圧偏差を補償する、即ち、当該電圧偏差がゼロになる様に、PI制御演算に従って制御指令値を生成する。第3のPI制御回路40953は、制御指令値を第1の電流制限回路40955に出力する。
第1の電流制限回路40955は、第8の制御回路4097経由で入力される電流計411での計測結果に基づき、第3のPI制御回路40953から出力された制御指令値に対して制限を加える。具体的には、第2のDC/AC変換回路408の電流容量を超える電流が流れる場合には、第2のDC/AC変換回路408を流れる電流が予め定められた電流値(例えば、第2のDC/AC変換回路408の電流容量)以下になる様に制御指令値を低下させる。
第1の電流制限回路40955の出力は、第2のPWM変換回路40954に入力される。尚、第3のPI制御回路40953及び第1の電流制限回路40955の制御パラメータ(制御ゲイン、積分時間、及び、電流制限値)は、CEMS31で生成されて、制御装置43及び第8の制御回路4097を介して、インバータ電圧制御回路4095に入力される。尚、上述した様に、電圧源として動作するインバータ台数に応じて電圧制御部(インバータ電圧制御回路4095)の応答速度を低くする場合には、上記インバータ台数が多くなる程、第3のPI制御回路40953の制御ゲインの低下、及び、積分時間の上昇の少なくとも一方を行って、制御パラメータを構成する。
第2のPWM変換回路40954は、第1の電流制限回路40955から出力される指令値にPWM変調を施して、第2のDC/AC変換回路408の制御指令値を生成する。生成された制御指令値は、第2のDC/AC変換回路408に対して出力される。
尚、第8の制御回路4097は、上述した交流系統の実効電圧計測部(図示せず)又は有効・無効電力計測部(図示せず)で計測した、交流系統の実効電圧、有効電力及び無効電力情報についても、通信インターフェース412を介して、制御装置43(CEMS31)に通知する。交流系統の実効電圧、有効電力及び無効電力等の計測結果は、第8の制御回路4097から第7の制御回路4044にも通知される。
図12の構成において、インバータ電圧制御回路4095のうち、第3の正弦波生成回路40951は「目標交流電圧生成部」の一実施例に対応し、減算器40952、第3のPI制御回路40953、第2のPWM変換回路40954、及び、第1の電流制限回路40955は「電圧制御部」の一実施例に対応する。又、図6の通信インターフェース412及び電圧計410は「通信部」及び「電圧計測部」の一実施例にそれぞれ対応し、図10の交流周波数検出回路(より特定的には、図11の位相検出回路40910)は「位相検出部」の一実施例に対応する。
図13は、図2に示された制御装置43の構成を説明するブロック図である。
図13を参照して、制御装置43は、第2の位相検出回路431、実効電力算出回路432、仮想同期発電機制御回路433、通信インターフェース(I/F)434、及び、管理回路435を含む。管理回路435は、通信インターフェース434及び通信線45を介して、配電系統蓄電池用電力変換装置44との間で通信することができる。又、管理回路435は、図2で示される様に、CEMS31との間でも通信可能である。
第2の位相検出回路431は、電流/電圧計測装置42より出力される交流系統の電圧波形からゼロクロス点を検出する。例えば、本実施の形態1では、具体的にはゼロクロス点時刻、及びゼロクロス点検出タイミングが検出される。第2の位相検出回路431では、前回検出したゼロクロス点時刻情報と、今回検出したゼロクロス点時刻情報とから、系統交流電圧の周波数が算出される。尚、位相検出回路40910で説明したのと同様に、第2の位相検出回路431での位相検出は、ゼロクロス点検出に限るものではなく、周波数の算出手法も、上記の内容で限定されるものではない。
実効電力算出回路432は、電流/電圧計測装置42から出力される交流系統の電流及び電圧情報、並びに、第2の位相検出回路431より出力されるゼロクロス点検出情報に基づいて、系統交流電圧1周期分の実効電力を算出する。その際に、実効電圧及び実効電流についても算出される。
仮想同期発電機制御回路433は、第2の位相検出回路431から出力されるゼロクロス点情報及び系統交流電圧の周波数情報と、実効電力算出回路432から出力される交流実効電力情報とに基づき、同期発電機が有する、慣性力、同期化力、及び制動力を、第2のDC/DC変換回路408(静止型インバータ)に持たせるための、仮想同期発電機制御を実行する。
ここで、仮想同期発電機制御技術について簡単に説明する。火力発電に代表される同期発電機の持つ機能としては、周波数に応じて出力する電力を調整する機能(ガバナー機能)、角速度を維持する機能(慣性力)、系統交流電圧と同期を取る機能(同期化力)、基幹系統の電圧調整機能(AVR:Automatic Voltage Regulator)、系統事故時の系統交流電圧の瞬時低下の際にも運転を継続する機能等がある。仮想同期発電機制御技術では、同期発電機の持つ過渡機能を模擬する様に、静止型インバータの過渡応答が制御される。具体的には、ガバナー機能、動揺方程式に基づく質点系モデル(回転機の動特性)を模擬した機能、及び、AVR機能の3つの機能を模擬する様に、静止型インバータの出力電圧が制御される。本実施の形態1では、特に、ガバナー機能及び動揺方程式に基づく質点系モデルを模擬した機能を実装した場合について説明する。
図34には、仮想同期発電機制御技術を説明するための概念図が示される。尚、同期発電機の持つAVR機能については、主に、上位システム(実施の形態1ではCEMS31)から通知される出力電圧指令又は無効電力指令値に基づき制御される機能である。このため、実施の形態1では、AVR機能について、仮想同期発電機制御回路433には実装されない例を説明する。即ち、系統交流電圧の電圧振幅指令については、仮想同期発電機制御回路433では生成されず、制御装置43内の管理回路435及び通信インターフェース434を経由して、CEMS31から配電系統蓄電池用電力変換装置44に対して通知される。
以下、ガバナー機能及び動揺方程式に基づく質点系モデルを模擬した機能について具体的に説明する。
まず始めに、ガバナー機能について説明する。発電プラントにおけるガバナーは、火力発電、原子力発電のガスタービン或いは蒸気タービンの出力、又は、水力発電の水車のガイドベーン等を制御することによって、発電機の出力電力を制御する機能を有する。
交流電力系統では、需要電力が供給電力を超えると、系統交流電圧の周波数が低下する。出力制御が可能な火力発電機及び水力発電機は、ガバナーにドループ特性を持たることで、周波数が低下すると発電電力を増やす様に制御される。反対に、供給電力が需要電力を超えると、系統交流電圧の周波数が上昇する。この場合も同様に、出力制御が可能な火力発電機及び水力発電機は、ガバナーにドループ特性を持たせることで、周波数が上昇すると発電電力を減らす様に制御される。
図34には、ガバナー機能が模式的に示されている。図34に示される同期発電機モデルMPGでは、同期発電機の回転子M1を回転させるための機械的入力Pinが、調節弁M2によって制御される流量によって調整される。
同期発電機の回転子M1の角速度ωが増大すると、エネルギーの流入を調節する調節弁M2が、図中右側に移動する様に制御されることで、同期発電機への機械的入力Pinが減少する。これに対して、同期発電機の回転子M1の角速度ωが減少すると、調節弁M2が図中左側に移動する様に制御されることで、同期発電機への機械的入力Pinが増加する。
このような動作を通じて、同期発電機から出力される電気的出力Poutを、同期発電機の角速度ωに相当する、自端の系統交流電圧の周波数に応じて、単独で制御することができる。上記動作を、同期発電機が個々に行った場合でも、系統交流電圧の周波数で管理されているため、発電機間で負荷分担を行うことが可能となる。ガバナーについては、電気学会より標準モデルとして1次遅れ形で構成したモデル等が提供されている。
本実施の形態1では、ガバナーを上述した一次遅れ系モデルで近似した場合の動作について説明する。下記の式(1)には、当該一次遅れ系の伝達関数G(s)が示される。尚、式(1)中の(-1/Kgd)は、ガバナーの比例ゲイン(Kgd:速度調整率)を示し、Tgは、一次遅れ系の時定数(Tg:ガバナー時定数)を示す。
G(s)=-1/(Kgd×(1+s×Tg)) …(1)
次に、動揺方程式に基づく質点系モデルを模擬した機能について説明する。
同期発電機は、図34に示す様に単位慣性定数Mを持つ回転子M1を有する。例えば、メガソーラー26の発電電力が日射急変により急減した場合、上記ガバナー制御では、不足する電力を瞬時に賄うことができない。
同期発電機は、回転子M1に蓄積された回転エネルギーを電力に変換して、系統に出力する。その際、発電機回転子の角速度ω(回転数)が減少する。回転子M1の角速度が減少すると、ガバナー制御で供給される機械的入力Pinが増加することで、需要電力に対する供給電力の不足がカバーされる。
式(2)には、同期発電機の回転子M1の質点系モデルを模擬する動揺方定式が示される。式(2)では、機械的入力Pin及び電気的出力Poutは、角速度ωで除算することによって、入力トルクTin及び出力トルクToutに換算されている。又、式(2)中のDgは制動係数を示し、上述した様に、Mは単位慣性定数を示す。
Tin-Tout=M×(dω/dt)+Dg×ω …(2)
本実施の形態1では、配電系統蓄電池用電力変換装置44の外部の制御装置43(仮想同期発電機制御回路433)に上記式(1),(2)を組み入れて、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の静止型インバータ(第2のDC/AC変換回路408)の周波数を制御する。これにより、当該静止型インバータ(第2のDC/AC変換回路408)は、同期発電機の持つ慣性力、同期化力、及び、制動力を模擬する様に、電圧源として動作する。
図14は、図13に示された仮想同期発電機制御回路433の構成を説明するブロック図である。
図14を参照して、仮想同期発電機制御回路433は、減算器4331、ガバナー制御回路4332、加算器4333、減算器4334、及び、質点系演算回路4335を含む。
減算器4331は、第2の位相検出回路431から出力される周波数の実測結果から、CEMS31から通知されて管理回路435から出力される目標周波数Fref(例えば、60[Hz])を減算して周波数偏差を算出する。減算器4331から出力された周波数偏差は、ガバナー制御回路4332に入力される。
図15は、ガバナー制御回路4332の構成を説明するブロック図である。
図15を参照して、ガバナー制御回路4332は、乗算器43321、一次遅れ系モデル43322、及び、リミッタ回路43323を有する。一次遅れ系モデル43322は、上述の式(1)中の「1/(1+s×Tg)」の伝達関数で表記される。
乗算器43321は、減算器4331からの出力(周波数偏差)と、CEMS31から通知されて管理回路435から出力される比例ゲイン(-1/Kgd)とを乗算する。乗算器43321の出力値は、一次遅れ系モデル43322に出力される。上述の様に、本実施の形態1では、電気学会が提示している一次遅れ形の標準モデルをガバナー制御に使用する場合を例示しているので、一次遅れ系モデル43322は、式(1)中の上記伝達関数を実装して構成される。一次遅れ系モデル43322の出力は、リミッタ回路43323によるリミッタ処理後、図14の加算器4333に対して出力される。
再び図14を参照して、加算器4333は、ガバナー制御回路4332の出力をオフセット値(オフセット電力)として、CEMS31から通知されて管理回路435から出力される電力目標値Prefに加算する。加算器4333の出力値は、質点系演算回路4335の制御電力目標値とされる。
減算器4334は、実効電力算出回路432より出力される実効電力から、加算器4333から出力される制御電力目標値を減算して、電力偏差を算出する。減算器4334によって算出された電力偏差は、質点系演算回路4335に入力される。
質点系演算回路4335は、減算器4334からの電力偏差を補償する、即ち、電力偏差をゼロにする様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力する系統交流電圧の周波数及び位相を算出する。尚、ガバナー制御回路4332及び質点系演算回路4335の制御パラメータ(速度調整率Kgd、ガバナー時定数Tg、単位慣性定数M、及び、制動係数Dg)は、本実施の形態1では、CEMS31から通知される、仮想同期発電機制御の制御パラメータを使用するものとする。
図16は、図14に示された質点系演算回路4335の構成を説明するブロック図である。
図16を参照して、質点系演算回路4335は、減算器43351、積分器43352、乗算器43353、除算器43354、加算器43355、及び、位相計算回路43356を含む。
減算器43351は、減算器4334から出力された電力偏差から、乗算器43353の出力値を減算した値を出力する。減算器43351の出力値は、積分器43352に入力される。
積分器43352は、減算器43351の出力値を単位慣性定数Mで除算して(即ち、(1/M)倍して)積分することで、図34で示した同期発電機の回転子M1の目標角速度ωrefと、回転子M1の角速度ωとの差分値(Δω)を生成する。例えば、系統の周波数目標値を60[Hz]とすると、ωref=2×π×60[rad/s]で与えられる。
積分器43352の出力値(Δω)は、乗算器43353に入力されて、CEMS31から通知されて管理回路435より出力される制動係数Dgと乗算される。
減算器43351が、減算器4334から出力された電力偏差から、乗算器43353の出力を減算することで、質点系演算回路4335では、第2のDC/AC変換回路408の制御において、同期発電機の持つ制動力を模擬することができる。
積分器43352の出力(Δω)は、除算器43354において(2×π)で除算されることにより、周波数差分情報(Δf)に変換される。この周波数差分情報(Δf)は、加算器43355において、目標周波数(60Hz)と加算されることにより、同期発電機の回転子M1の周波数(回転周波数)に変換される。加算器43355の出力は、電圧制御の周波数指令値f*として、管理回路435へ入力される。
加算器43355の出力(回転周波数)は、更に、位相計算回路43356にも入力される。位相計算回路43356では、回転子M1の周波数を積分することによって、回転子M1の位相が算出される。位相計算回路43356によって得られた位相情報は、管理回路435へ入力される。一般的な仮想同期発電機制御では、当該位相情報は、電圧制御位相目標値として取り扱うことができるが、後述する様に、本実施の形態では、直接、電圧制御には用いられない。
尚、本実施の形態1では上述した様に、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41内の仮想同期発電機制御回路433及びインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータは、連系系統の場合と自立系統の場合で異なる様に設定される。又、自立系統においても、同期発電機の有無、及び、仮想同期発電機制御を実装して電圧源として動作する配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、仮想同期発電機制御回路433及び電流制御回路2090(図8)の制御パラメータが切り換えられる。より具体的には、仮想同期発電機制御回路433の応答速度を遅くする場合は、ガバナー時定数(Tg)を大きくする、速度調整率Kgdを小さくする(即ち、1/Kgdを大きくする)、単位慣性定数Mを大きくする、及び、制動係数Dgを大きくする調整の少なくともいずれかが行われる。この際に、調整される制御パラメータの対象(一部又は全部)は任意である。又、質点系モデルの時定数は(M/Dg)で表すことができるので、質点系モデルの時定数(M/Dg)を一定に保つ様に、M及びDgの両方を調整することも可能である。
次に、図1から図27Cを用いて、本実施の形態1の動作概要について説明する。
図17は、配電系統蓄電池システム41に実装した仮想同期発電機制御がカバーする領域を説明する概念図である。図17の横軸は、時間軸であり、縦軸は需要変動幅を示す。
図17を参照して、静止型インバータを制御する仮想同期発電機制御は、数十[ms]~数分の微小変動及び短周期変動をカバーする。数分以上の変動に対しては、仮想同期発電機制御ではなく、負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)又は経済負荷配分制御(EDC:Economic Load-dispatching Control)にて対応することが一般的である。このため、以下では、仮想同期発電機制御部の応答性能は数秒以下であるものとして説明を続ける。
図18は、実施の形態1に係る配電系統蓄電池システム41に実装した仮想同期発電機制御における課題を説明するためのタイミングチャートである。
図18において、1段目の波形は、配電系統蓄電池システム41(配電系統蓄電池用電力変換装置44)より出力される系統交流電圧を示す。2段目には、実効電力算出回路432で算出された配電系統蓄電池システム41(配電系統蓄電池用電力変換装置44)からの実効電力算出結果の出力タイミングが示される。
更に、3段目には、仮想同期発電機制御回路433で算出された周波数算出結果、即ち、周波数指令値の算出タイミングが示され、4段目には、通信インターフェース434からの周波数指令値の出力タイミングが示される。
図18に示される様に、系統交流電圧に対応して算出された周波数指令値が、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知されるまでには、遅延時間Td1が発生する。遅延時間Td1には、制御装置43での計測遅延(実効電力算出及び交流周波数検出の処理時間)、処理遅延(計測結果に基づき周波数指令値を算出する際の処理時間)、並びに、通信遅延(算出した周波数指令値を配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する際に発生する遅延時間)が含まれる。この遅延時間Td1は、下記の理由から、図中に矢印で表記する様に一定とはならない。
一般に、制御装置43の内部の処理は、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されるが、当該CPUは、仮想同期発電機制御以外にも、例えば、配電系統蓄電池システム41の管理、CEMS31との通信、及び、計測データの管理等の様々なタスクを処理する。従って、実効電力算出処理及びゼロクロス点の検出処理が完了しても、処理タスクの切換待ち時間等が発生することがあるため、制御装置43内で生じる遅延時間は一定ではない。
又、通信遅延に関しても、例えば、制御装置43がCEMS31等の他の機器と通信しているケース、配電系統蓄電池用電力変換装置44が他の機器と通信をしているケース、通信帯域が他の通信で使用されているケース、及び、通信路の状況が悪く送信したデータが再送になるケース等、ケースに応じて遅延時間は異なる。
図19は、配電系統蓄電池システム41の制御動作を説明するための周波数指令値の受信タイミングを説明するための概念的な波形図である。図19には、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の位相と周波数指令値の受信タイミングとの関係が示される。
図19には、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の正弦波波形に対する、制御装置43で生成された周波数指令値及び電圧振幅指令値が、配電系統蓄電池用電力変換装置44のインバータ電圧制御回路4095内の第3の正弦波生成回路40951(図12)に通知されるタイミングが矢印で表記されている。
上述の様に、遅延時間Td1はばらつくため、周波数指令値は、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の種々の電圧位相において受信されることになる。従って、周波数指令値が受信された状態で無条件に系統交流電圧の周波数を変えた場合には、電圧制御で基準となる系統交流電圧の目標値(電圧値)が、周波数を変更したタイミングで不連続となることで、系統擾乱が生じる可能性がある。
ここで、第3の正弦波生成回路40951から出力される、系統交流電圧の目標値Vtrは、時刻t、制御装置43により生成された周波数指令値f*及び、CEMS31から制御装置43を経由して通知された電圧振幅指令値V*、並びに、現在におけるVtrの位相をθとすると、下記の式(3)で表すことができる。
Vtr=V*×sin(2×π×f*×t+θ) …(3)
図21には、制御装置から出力された周波数指令値を反映させるタイミングを説明するための概念的な波形図が示される。
図21には、周波数指令値f*=f1で系統交流電圧を制御していた状態において、時刻t0において、周波数指令値f*=f2が受信されたときの動作が示される。図21中には、f*=f1に従う目標電圧波形が実線で示されている。変更された周波数指令値f*の受信タイミングで、即座に、周波数指令値f*の変更を反映して目標値Vtrを変更すると下記の問題が懸念される。
時刻t0における系統交流電圧の目標値は、f*=f1の下では、V*×sin(2×π×f1×t0+θ)であるのに対して、f*=f2に変化させると、V*×sin(2×π×f2×t0+θ)となる。これにより、sinの位相角が、(2×π×f1×t0+θ)から(2×π×f2×t0+θ)に変わる際に、大きな不連続が生じると、目標値Vtrの電圧値(瞬時値)の連続性が担保できない。
例えば、位相角(2×π×f1×t0+θ)と、位相角(2×π×f2×t0+θ)との差が、π(180[deg])である場合には、時刻t0以降での目標値Vtrの波形は、破線で示したものとなる。従って、時刻t0を境にして、系統交流電圧の目標値Vtr(電圧値)は、最大で、π(180[deg])位相がずれる可能性があることが理解される。
従って、本実施の形態1では、配電系統蓄電池用電力変換装置44が、現在出力している系統交流電圧の位相を検出し、検出した位相情報に基づいて、系統交流電圧の目標値Vtr(以下、目標交流電圧Vtrとも称する)を算出する。より具体的には、本実施の形態1では、電圧計410で計測した交流電圧情報から検出された系統交流電圧のゼロクロス点を用いて、各の式(4)に従って、目標交流電圧Vtrが算出される。式(4)において、tnは現在時刻を示し、tzcは、ゼロクロス点の検出時刻を示す。
Vtr=V*×sin(2π×f*×(tn-tzc)) …(4)
尚、ゼロクロス点検出時刻をt=0と定義して、上述の現在時刻tnを表すことで、式(4)は、下記の式(5)に変形することが可能である。式(4),(5)によれば、ゼロクロス点における位相角を基準(0[deg])として、周波数指令値f*に従う角速度(2π×f*)を用いて算出された正弦波の位相角を用いて、目標交流電圧Vtrが生成される。
Vtr=V*×sin(2π×f*×tn) …(5)
次に、図20を用いてゼロクロス点検出時刻の検出手法の一例を説明する。
本実施の形態1では、電圧計410で計測した系統交流電圧は、A/D変換器(図示せず)を用いて、デジタルデータに変換される。この際のサンプリング周波数は、例えば、第2のPWM変換回路40954でのキャリア周波数と揃えることができる。
デジタル変換された系統交流電圧(デジタル値)は、FIR(Finite Impulse Responseフィルタ)等を用いたフィルタ処理によって、ノイズ成分が抑制される。図20には、フィルタ処理後の系統交流電圧(デジタル値)のゼロクロス点付近(立ち上がり部、即ち、位相θ=0[deg]前後)の拡大図が示される。
図20を参照して、ゼロクロス点を挟む2個の系統交流電圧(デジタル値)の間では、符号(正/負)が反転する。ゼロクロス点を検出するためには、系統交流電圧の符号が負から正に変わる2個のサンプリング時刻tn-1及びtが抽出される。時刻tn-1での電圧値Vn-1(Vn-1>0)及び時刻tnでの電圧値V(V>0)の線形補間により、ゼロクロス点の検出時刻tzcは、下記の式(6)によって求めることができる。
tzc=(tn-1)+(t-tn-1)×-Vn-1/(V-Vn-1) …(6)
尚、交流波形のゼロクロス点には、符号が負から正に変わることで検知できるθ=0[deg]のものと、符号が正から負に変わることで検知できるθ=180[deg]のものとの2種類があるが、以下、本実施の形態では、θ=0[deg]のゼロクロス点を対象として、単に、ゼロクロス点と称することとする。
再び図21を参照して、本実施の形態1では、電圧計410で計測した系統交流電圧、即ち、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力された系統交流電圧のゼロクロス点に基づいて、第3の正弦波生成回路40951より出力する系統交流電圧の目標値(電圧値)の周波数を切り換える。
即ち、図21の例では、時刻t0で周波数指令値f*=f2が受信されても、ゼロクロス点に相当する時刻t1までの間は、f*=f1として目標交流電圧Vtrが設定され、時刻t1から、f*=f2とした目標交流電圧Vtrの算出が開始される。これにより、目標交流電圧Vtrの電圧値がゼロ付近のときに周波数指令値f*及び/又は電圧振幅指令値V*を切り換えることで、電圧値の連続性を確保できる。
即ち、図19に示した様に、制御装置43の処理遅延及び通信遅延等によって周波数指令値が、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の様々な位相で受信されたとしても、周波数指令値を切り換えるタイミングをゼロクロス点とすることで、系統に不必要な擾乱を与えることなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44から系統交流電圧を出力することができる。
次に、図1~図27Cを用いて本実施の形態1の電力変換装置の動作を説明する。
再び図1を参照して、実施の形態1に係る電力変換装置が接続される配電系統について説明する。実施の形態1では、配電系統24には、変電所20から配電系統電圧を所定の電圧内に制御するため、変電所20とメガソーラー用電力変換装置27(又は、配電系統蓄電池システム41a、或いは、タウンD100d)との間に、3つのSVR23が直列に接続されている。
又、電流源として動作するメガソーラー用電力変換装置27の近傍には、配電系統蓄電池システム41aが設置されている。本実施の形態1では、配電系統蓄電池システム41aは、電圧源として動作し、メガソーラー26の発電電力のしわ取りも、配電系統蓄電池システム41aの仮想同期発電機制御回路433を動作させることで行っている。
又、負荷としてはタウンA100a、タウンB100b、タウンC100c、タウンD100d、工場101、ビル102、及び、マンション103が例示されている。これらの負荷には、変電所20からの電力、メガソーラー26の発電電力、及び、配電系統蓄電池40a~40cからの電力が供給される。更に、工場101には、同期発電機30a、ビル102には、同期発電機30bが、それぞれ非常用に配置されている。
ここで、変電所20から供給される電力、メガソーラー26の発電電力、及び、配電系統蓄電池40a~40cからの放電電力で配電系統を支えていた系の動作を説明する。
図22は、図1に示すCEMS31を中心とした分散電源システムのシーケンス図である。図22には、CEMS31を中心実施する30分周期の処理シーケンスが示される。CEMS31は、n台(n:整数)の制御装置43を統括して運転計画を作成する。
図22において、30分周期処理が開始されると、DSO21は、CEMS31に対して、収集した計測データの出力要求を通信線25を介して出力する。CEMS31は、DSO21からの要求を受信すると、配電系統蓄電池システム41に対して、計測データ(30分間の充放電電力量、SOC情報等)を送信するよう要求する。CEMS31からの計測データの送信要求を受信すると、配電系統蓄電池システム41内の制御装置43は、計測データをCEMS31に通知する。
CEMS31は、すべての配電系統蓄電池システム41からの計測データの収集が完了すると、CEMS31が30分周期処理内で収集した需要家に関するデータを含む配電系統蓄電池40の運転計画作成に使用するために収集した上記計測データをDSO21に送信する。送信される収集計測データは、例えば、各需要家の消費電力量、並びに、メガソーラー26の発電電力量、配電系統蓄電池40の充放電電力量及びSOC等の計測結果を含む。
DSO21は、計測結果を受信すると、配電系統蓄電池40の運転計画を作成するために必要となる、24時間分の30分周期の需給計画を作成し、作成した運転計画をCEMS31に通知する。需給計画は、30分間毎に変電所20を介して配電系統24に供給する総供給電力量を規定する。
CEMS31は、配電系統蓄電池40の運転計画作成に使用する上記情報を受信すると、配電系統蓄電池40の運転計画及び制御パラメータを生成する。尚、運転計画及び制御パラメータの具体的な作成手法については後述する。配電系統蓄電池40の運転計画、及び、制御パラメータの作成が完了すると、CEMS31は、各配電系統蓄電池システム41内の制御装置43に対して、運転計画及び制御パラメータを送信して、30分周期処理を終了する。
次に、図23を用いて、制御装置43を中心とした配電系統蓄電池システム41のシーケンスを説明する。
図23を参照して、制御装置43は、上述した30分周期処理が終了し、蓄電池運転計画の受信を完了すると、逐次処理を開始する。尚、本実施の形態1では、蓄電池運転計画には、30分間の配電系統蓄電池40の電力指令値、並びに、系統交流電圧の電圧振幅指令値及び各種制御パラメータが含まれる。この制御パラメータは、仮想同期発電機制御回路433及びインバータ電圧制御回路4095内の制御部のパラメータ等を含む。
制御装置43は、逐次処理では、配電系統蓄電池用電力変換装置44に対して充放電電力等の計測データの出力要求を送信する。配電系統蓄電池用電力変換装置44は、計測データの出力要求を受信すると、計測データ(計測結果)を制御装置43に出力する。制御装置43は、受信した各計測結果を、メモリ(図示せず)に一旦記憶する。
又、制御装置43は、電流/電圧計測装置42より出力される配電系統24の交流電流及び交流電圧を、予め定められた時間間隔(サンプリング周期)でサンプリングする。制御装置43では、サンプリング値に基づき、第2の位相検出回路431(図13)での系統交流電圧のゼロクロス点時刻の検出、及び、実効電力算出回路432(図13)での実効有効電力及び実効無効電力の算出が実行される。又、実効電力算出回路432では、計測した系統交流電圧及び交流系統電流に基づいて、実効電圧及び実効電流が更に算出される。
制御装置43は、配電系統蓄電池用電力変換装置44からの計測データの受信を完了すると、電流/電圧計測装置42の出力、及び、CEMS31から受信した電力指令値に基づいて、仮想同期発電機制御回路433(図13)により、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する周波数指令値を算出する。
制御装置43は、周波数指令値の算出が終了すると、算出した周波数指令値、並びに、CEMS31から受信した電圧振幅指令値及び電圧制御用の制御パラメータを、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する。これにより、制御装置43の逐次処理が終了される。尚、本実施の形態1では、制御装置43の逐次処理は、図18に例示した様に、系統交流電圧の1周期(1/60[sec])毎に実行されるものとする。但し、この逐次処理の周期は、系統交流電圧の1周期に限られるものではなく、系統交流電圧の複数周期毎或いは半周期毎に、上記逐次処理が行われてもよい。
次に、図24を用いてCEMS31の詳細動作を説明する。図24は、図1に示すCEMS31の制御処理を説明するフローチャートである。
図24を参照して、CEMS31は、処理が開始されると、S101により、DSO21からの計測データの出力要求を受信したか確認する。出力要求があった場合は(101のYES判定時)、CEMS31は、S102により、通信回路311を介して、n台の制御装置43から計測データを収集して、記憶回路312に一旦記憶する。更に、CEM31は、S103により、記憶回路312に記憶した計測データを、DSO21に送信する。
CEMS31は、S103による計測データの送信後、及び、S101のNO判定時(DSO21からの出力要求非受信)には、S104により、DSO21から運転計画作成要求を受信したか確認する。受信していない場合(S104のNO判定時)には、処理はS101に戻される。一方で、CEMS31は、受信していた場合(S104のYES判定時)には、S105に処理を進めて、運転計画の作成処理を実行する。
図25は、図24のS105での運転計画作成処理の詳細を説明するフローチャートである。
図25を参照して、CEMS31は、運転計画の作成が開始されると、S1051により、メガソーラー26の発電量予測を実行する。
図3及び図4に戻って、S1051では、分散電源管理部制御回路316は、通信回路311を介して、DSO21からの蓄電池運転計画通知を受信すると、運転計画作成回路314内の運転計画作成部管理回路3146(図4)に対して、運転計画の作成指示を出力する。運転計画作成部管理回路3146(図4)は、当該作成指示を受けると、蓄電池運転計画生成回路3141(図4)を経由して、発電量予測回路3142(図4)に対してメガソーラー26の発電電力の予測指示を出力する。
発電量予測回路3142は、予測指示を受けると、インターネット上に配置された天気予報サーバー(図示せず)から24時間分の天気予報を入手する。更に、発電量予測回路3142は、入手した天気予報と、発電量予測回路3142が管理する発電量予測用のデータベース(図示せず)のデータとを用いて、24時間分の発電量を予測する。これにより、図25のS1051の処理が実行される。尚、当該発電量予測用のデータベースは、30分周期で収集したメガソーラー26の発電量実績及び天気実績情報を用いて構築することが可能である。尚、具体的なデータベースの構築方法の説明は省略するが、任意の手法を採用することができる。
再び図25を参照して、CEMS31は、S1051での発電量予測が終了すると、S1052により、需要家の消費電力を予測する。
図4に戻って、S1052では、運転計画作成部管理回路3146は、発電量予測回路3142からメガソーラー26の発電量予測結果を受けると、蓄電池運転計画生成回路3141を経由して、消費電力予測回路3143に対して需要家の消費電力の予測指示を出力する。消費電力予測回路3143は、当該予測指示を受けると、消費電力予測回路3143が管理する消費電力予測用のデータベースのデータ(図示せず)を用いて、24時間分の需要家の消費電力を予測する。尚、当該消費電力予測用のデータベースは、30分周期で収集した需要家の消費電力を、年月日、曜日、時刻情報、及び、天気情報で層別集計することによって、構築することができる。当該データベースの構築方法の説明についても省略するが、任意の手法が採用可能である。
図25に戻って、CEM31は、S1052での需要家の消費電力予測が終了すると、S1053により、需要計画の作成を開始する。
図4に戻って、S1053において、運転計画作成回路314内の蓄電池運転計画生成回路3141は、消費電力予測回路3143から需要家の消費電力の予測結果を受けると、発電量予測回路3142によるメガソーラー26の発電量予測結果、消費電力予測回路3143による需要家の消費電力を予測結果、及び、DSO21から通知された電力の需給計画に基づいて、配電系統蓄電池40a~40cの30分毎の充放電計画を作成する。尚、当該充放電計画は、各々の30分間で、配電系統24に接続された配電系統蓄電池40が充放電する電力量の合計値の計画を示す。又、上述の様に、電力の需給計画は、変電所20以下の配電系統24に計画している、24時間分の電力供給計画(30分毎の総供給電力量)を示す。
再び図25を参照して、CEMS31は、S1053での需要計画の作成が終了すると、S1054により、配電系統蓄電池40a~40cの充放電電力を策定する。
図3及び図4に戻って、S1054では、蓄電池運転計画生成回路3141は、通信回路311を介して記憶回路312に収集された、配電系統蓄電池40a~40cのSOC情報及び配電系統蓄電池40a~40cの蓄電池容量に基づき、上述した充放電計画の充放電電力(配電系統蓄電池40全体の合計値)を配電系統蓄電池40a~40cの間で案分することによって、30分毎の配電系統蓄電池40a~40のそれぞれの充放電電力を決定する。
実施の形態1では、24時間分の蓄電池の運転計画を作成する際に、充電電力量が少ない場合には、配電系統蓄電池40a~40cのSOCがほぼ同時にゼロになる様に運転計画を策定する。又は、充電電力量が十分にある場合には、配電系統蓄電池40a~40cがほぼ同時に満充電になる様に、運転計画を策定する。これは、以下の理由による。
例えば、10[MW]を発電中のメガソーラー26上を雲が横切ることで(例えば5分程度)、発電電力が低下、例えば、10[MW]から4[MW」に低下した場合を想定する。又、配電系統蓄電池システム41a~41cの静止型インバータ容量を、それぞれ8[MW]、4[MW]、2[MW]とする。
ここで、配電系統蓄電池40aがSOCがゼロとなった停止状態で、配電系統蓄電池40b及び40cからそれぞれ1[MW]及び0.5[MW]を放電するよう蓄電池運転計画が通知されていたとする。この場合、日射急変により配電系統蓄電池40b及び40cからの放電電力は、仮想同期発電機制御によって増加させても、静止型インバータ容量までの3[MW]と1.5[MW]を追加することしかできない。即ち、配電系統蓄電池40aを使用できない影響で、不足分の6[MW]の全てをカバーすることができない。
一方で、配電系統蓄電池40a~40cが動作していた場合は、配電系統蓄電池システム41a~41cの静止型インバータ容量の合計値である14[MW]までの放電が可能となるので、仮想同期発電機制御でカバーできる電力範囲が広がる。従って、CEMS31は、並列に動作可能な配電系統蓄電池システム41の台数を増やすために、配電系統蓄電池40a~40cが、ほぼ同時にSOCがゼロ、又は、満充電になる様に、配電系統蓄電池40の運転計画を作成することが好ましい。
再び図25を参照して、CEMS31は、S1054での配電系統蓄電池40a~40cの充放電電力の策定が終了すると、S1055で配電系統蓄電池40の出力電圧指令値を作成する。尚、本実施の形態1では、上述した様に配電系統蓄電池40の電圧振幅(電圧指令値)はCEMS31から通知される交流系統電圧の出力電圧指令値を使用する。CEMS31は、S1055が終了すると、S105の運転計画の作成処理を終了する。
図24に戻って、CEMS31は、運転計画の作成(S105)を終了すると、S106により、作成した運転計画を送信する。
図4に戻って、S106では、蓄電池運転計画生成回路3141は、作成した運転計画(電力目標値)を、分散電源運転計画作成管理回路3145に通知する。分散電源運転計画作成管理回路3145は、運転計画を受けると、図示していないメモリに記憶するとともに、送信データ生成回路315(図3)に通知する。
送信データ生成回路315は、運転計画(電力目標値)を受けると、送信フォーマットに加工して通信回路311に出力する。通信回路311は、送信データ生成回路315から送信データを受けると、通信線25を介して対応する配電系統蓄電池システム41内の制御装置43に送信する。
再び図24を参照して、CEMS24は、S106において、全ての配電系統蓄電池システム41への運転計画の送信が完了すると、S107に処理を進めて、CEMS31を停止するかを確認する。停止する場合(S107のYES判定時)には、CEMS31の処理は終了される。一方で、停止しない場合(S107のNO判定時)には、S101に処理を戻して、CEM31は動作を継続する。
次に、図5~図27Cを用いて、メガソーラー用電力変換装置27及び配電系統蓄電池システム41の動作について説明する。まず、図5を用いてメガソーラー用電力変換装置27の動作を説明する。
図5を参照して、メガソーラー26が発電を開始すると、メガソーラー用電力変換装置27内の第1のDC/DC変換回路203に対して、メガソーラー26から出力される発電電力が入力される。これにより、メガソーラー26より出力される第1の直流電圧が上昇する。第1の制御回路204は、電圧計201によって上記第1の直流電圧を監視する。第1の制御回路204は、第1の直流電圧が所定の電圧値を超えると、メガソーラー用電力変換装置27を、待機動作から通常動作に移行させる。通常動作に移行すると、メガソーラー用電力変換装置27において、第2の制御回路209は、第1のDC/AC変換回路208を制御する。
以下、通常動作でのメガソーラー用電力変換装置27の動作を説明する。図5において、第1の制御回路204は、メガソーラー26にて電力が発電されているかを確認する。具体的には、上述した様に電圧計201より監視されるメガソーラー26の出力電圧(第1の直流電圧)に基づいて、発電が可能であるか否かが確認される。第1の制御回路204は、第1の直流電圧が所定の電圧値を超えていた場合は、第2の制御回路209に対して、メガソーラー26での発電が可能であることを通知する。
第2の制御回路209は、左記通知を受信すると、配電系統24の系統交流電圧を電圧計210で監視することで、交流電力の配電系統24が停電していないか、即ち、系統交流電圧が供給されているかを確認する。
第2の制御回路209は、電圧計210の検出値に基づいて、所定の系統交流電圧が供給されており、配電系統24が停電中ではないことを確認すると、DC/AC変換回路208を起動するとともに、第1の制御回路204に対して、メガソーラー26の発電開始指示を出力する。
尚、本実施の形態1では、通常運転時は、直流母線205の直流母線電圧を第1のDC/AC変換回路208で管理する場合について説明する。又、本実施の形態1では、配電系統24に回生する電力については、第1のDC/AC変換回路208を電流制御することで管理して、分散電源システム全体を動作させるものとする。
図7を参照して、第1の制御回路204中の第5の制御回路2044は、第2の制御回路209(図5)よりメガソーラー26の発電開始指示が通知されると、MPPT制御回路2041に対して、メガソーラー26の最大電力点追従制御を開始する様に指示を出力する。
以下、最大電力点追従制御方法について簡単に説明する。最大電力点追従制御では、前回の出力電圧指令値が、前々回の出力電圧指令値と比較して、上昇したか又は低下したかが逐次管理される。そして、今回計測したメガソーラー26の発電電力と、前回計測したメガソーラー26の発電電力を比較し、発電電力量が増加していた場合は、前回と同じ方向に出力電圧指令値を変える。具体的には、今回の発電量の計測の結果、メガソーラー26での発電量が増加した場合は、前々回の出力電圧指令値に対して、前回の指令値が上昇していたときは、今回の出力電圧指令値は、増加するよう制御される。これに対して、前々回の出力電圧指令値に対して、前回の出力電圧指令値が低下していたときは、今回の出力電圧指令値は、低下する様に制御される。
反対に、今回計測したメガソーラー26の発電電力が、前回計測したメガソーラー26の発電電力よりも減少していた場合は、前々回の出力電圧指令値に対して、前回の出力電圧指令値が上昇していたときは、今回の出力電圧指令値は低下する様に制御される。一方、前々回の出力電圧指令値に対して、前回の出力電圧指令値が低下していたときには、今回の出力電圧指令値は増加する様に制御される。
この様に出力電圧指令値を制御することで、メガソーラー26は、出力電力が最大となるよう動作点を探索する様に制御される。第1のDC/DC変換回路203は、第1の制御回路204より出力される出力電圧指令値に基づいて、内蔵されている昇圧回路(図示せず)での昇圧比を制御する。これにより、第1のDC/DC変換回路203は、メガソーラー26から出力される第1の直流電圧を出力電圧指令値に従って制御するとともに、第2の直流電圧(直流母線電圧)に変換して、直流母線205に出力する。
次に、再び図8を参照して、第1のDC/AC変換回路208(図5)を制御する第2の制御回路209の動作を説明する。
位相検出回路2091は、電圧計210で計測した配電系統24の系統交流電圧波形のゼロクロス点を検出する。第1の正弦波生成回路2092は、位相検出回路2091で検出したセロクロス点情報、及び、電圧計210より出力される系統交流電圧波形から、電流制御の際に使用する基準正弦波を生成する。当該基準正弦波は、配電系統24の系統交流電圧波形に同期しており、第1の正弦波生成回路2092から乗算器2095に出力される。
直流母線205の電圧を計測する電圧計206の計測結果は、電流制御回路2090内の減算器2093及び第6の制御回路2097に入力される。尚、電流制御回路2090は、系統交流電圧に同期して電力を出力する制御(電流制御)を実行する。当該電流制御は、家庭に設置されている一般的な太陽光発電用の電力変換装置での制御方式である。
第6の制御回路2097には、直流母線205の目標電圧が記憶されている。当該目標電圧は、第6の制御回路2097から減算器2093へ出力される。減算器2093は、直流母線205の目標電圧から、電圧計206による直流母線電圧の計測値を減算した値を出力する。電流制御回路2090は、電圧計206より出力される直流母線電圧が上記目標電圧になる様に、第1のDC/AC変換回路208が出力する交流電流を制御する。
第1のDC/DC変換回路203(図5)によって、メガソーラー26からの発電電力の供給が開始されると、第2の制御回路209は、第1のDC/AC変換回路208を制御して配電系統24にメガソーラー26で発電した電力を回生する。具体的には、第2の制御回路209は、電圧計206によって監視される、直流母線205の直流母線電圧が制御目標値を超えた場合には、配電系統24の系統交流電圧波形に同期した電力を、配電系統24に対して出力する様に、第1のDC/AC変換回路208を制御する。
図8において、減算器2093の出力は、第1のPI制御回路2094に入力される。第1のPI制御回路2094は、減算器2093の出力がゼロになる様にPI制御を実行する。第1のPI制御回路2094の出力は、乗算器2095に入力される。第1のPI制御回路2094は、乗算器2095において、第1の正弦波生成回路2092の出力と乗算されて、電流指令値に変換される。乗算器2095の出力(電流指令値)は、減算器2096に入力される。減算器2096は、電流指令値から電流計211で計測された配電系統24の交流電流の計測値を減算した値を出力する。減算器2096の出力は、第2のPI制御回路2098に入力される。
第2のPI制御回路2098は、減算器2096の出力がゼロになる様にPI制御を実行する。第2のPI制御回路2098の出力は、第1のPWM変換回路2099にてPWM変調が施されて、第1のDC/AC変換回路208の制御指令値に変換される。第1のDC/AC変換回路208は、第1のPWM変換回路2099より出力される制御指令値に基づき交流電流を出力する。
又、電圧計210で計測した系統交流電圧(交流実効電圧)が所定の電圧値を超えた場合、又は、CEMS31からメガソーラー26の発電電力の抑制要求が通知された場合には、第1の制御回路204内の第5の制御回路2044は、メガソーラー26の制御をMPPT制御から電圧制御に切り換える。具体的には、第5の制御回路2044は、電圧計210で計測した系統交流電圧(交流実効電圧)が所定の電圧値に収まる様に、又は、メガソーラー26の発電電力がCEMS31から通知された電力値以下になる様に、メガソーラー26の出力電圧を制御する。尚、MPPT制御及び電圧制御の切換は、図7の構成において、MPPT制御回路2041及び電圧制御回路2042の出力の一方を選択的に出力する第1の切換え回路2043に対する切換え制御信号を、第5の制御回路2044が設定することで実現される。
上述した様に、図8の第6の制御回路2097は、電圧計206及び電流計207より出力される直流母線205に関する計測結果、電圧計210及び電流計211より出力される交流系統に関する計測結果、並びに、第1の制御回路204から出力される第1のDC/DC変換回路203のステータス情報等を収集する。収集された各種情報は、通信インターフェース212を介して、CEMS31等に通知される。
又、配電系統24の電圧実効値についても、実効電圧計測部(図示)で計測した電圧実効値を、第6の制御回路2097からCEMS31に通知することができる。また、交流系統の有効・無効電力計測部(図示せず)で計測された有効電力及び無効電力の情報についても、通信インターフェース212を介して、第6の制御回路2097からCEMS31に通知することができる。尚、交流系統の実効電圧及び有効電力等の計測結果は、第5の制御回路2044(図7)にも通知することができる。第5の制御回路2044は、上述した様に、例えば、系統交流電圧の実効値が所定の電圧値を超えた場合には、メガソーラー26の制御をMPPT制御から電圧制御に切換えて、系統交流電圧の上昇を抑制する。
次に、図6~図27Cを用いて配電系統蓄電池システム41の動作を説明する。
まず、図13、並びに、図26A及び図26Bを用いて、制御装置43の動作を説明する。図26A及び図26Bは、制御装置43の動作を、管理回路435の処理によって説明するフローチャートである。
図26Aを参照して、制御装置43の動作が開始されると、管理回路435は、S200により、各種制御パラメータを、予め定められた初期値に初期化する。管理回路435は、各種制御パラメータの初期化を完了すると、S201により、CEMS31からの周波数指令値等の受信を通信インターフェース434に確認する。管理回路435は、周波数指令値等を受信していた場合(S210のYES判定時)には、S202により、指令値受信フラグをセットした後に、S203に処理を進めて、電流/電圧計測装置42から出力される系統交流電圧の電圧計測値及び電流計測値を取得する。周波数指令値等を受信していない場合(S210のNO判定時)には、S202をスキップして、S203に処理が進められる。
管理回路435は、系統交流電圧の電圧計測値及び電流計測値の取得(S203)が完了すると、S204により、実効電力算出回路432(図13)による実効電圧の演算処理の実行を指示する。これにより、実効電力算出回路432による、電流及び電圧の計測値、並びに、サンプリング期間(間隔)ΔTの乗算値の積算処理が実行される。即ち、サンプリング周期毎に、積算値Weff_calに上記乗算値が逐次加算される。
管理回路435は、実効電力の演算(S204)が終了すると、S205により、第2の位相検出回路431(図13)がゼロクロス点を検出したかを確認する。本実施の形態1では、位相検出回路40910が電圧計410によって計測された系統交流電圧のゼロクロス点を検出するのと同様の手法で、第2の位相検出回路431において、電圧計210で計測された系統交流電圧のゼロクロス点が検出される。
ゼロクロス点が検出されると、S205がYES判定とされて、処理は、図26BのS206に進められる。S206では、第2の位相検出回路431により、図20で説明した手法によって、式(6)を用いて、今回のゼロクロス点の検出時刻tzc_nを算出することができる。
更に、今回のゼロクロス点の検出時刻(tzc_n)が算出されると(S206)、管理回路435は、第2の位相検出回路431に対して、系統交流電圧の周波数の算出処理を指示する。例えば、前回のゼロクロス点の検出時刻(tzc_n-1)と今回のゼロクロス点の検出時刻(tzc_n)との時間差から、下記の式(7)によって、周波数検出値Fmsrを算出することができる。
Fmsr=1/(tzc_n-tzc_n-1) …(7)
更に、管理回路345は、ゼロクロス点の検出タイミングでは、S208により、ゼロクロス点間(tzc_n-1~tzc_n)での積算値Weff_cal(S204)を、実効電力値Weffに代入する。その後、Weff_calはクリアされる(Weff_cal=0)。
管理回路435は、S208の処理が完了すると、S209により、指令値受信フラグがセットされているかを確認する。指令値受信フラグがセットされていた場合(S209のYES判定時)には、S210により、CEMS31から通知された仮想同期発電機制御指令値及び制御パラメータを、図示しないレジスタにセットする。これにより、レジスタにセットされる制御指令値及び制御パラメータは、CEMS31から通知された最新の値に変更される。
一方で、指令値受信フラグがセットされていていない場合(S209のNO判定時)には、S210及びS211をスキップして、処理はS212に進められる。
管理回路435は、S212では、図14に示された仮想同期発電機制御回路433による仮想同期発電機制御を実施する。即ち、仮想同期発電機制御の制御周期は、第2の位相検出回路431によるゼロクロス点の検出周期と同等となる。
管理回路435は、S212では、仮想同期発電機制御回路433(図14)に対して、式(7)に従って算出された周波数検出値Fmsr(S207)を、実測周波数として入力する。
図14において、第2の位相検出回路431による系統交流電圧の実測周波数から、管理回路435から出力される基準系統交流電圧の目標周波数Frefが、減算器4331によって減算される。減算器4331の出力、即ち、周波数偏差は、図15に示したガバナー制御回路4332に入力される。
図15に示されたガバナー制御回路4332では、減算器4331の出力と、管理回路435から通知される制御パラメータ(-1/Kgd)とが、乗算器43321で乗算される。乗算器43321の出力は、一次遅れ系モデル43322に入力される。尚、ガバナー制御回路4332で使用される、速度調整率Kgd及びガバナー時定数Tgは、上述したレジスタ(S210)にセットされた制御パラメータの値に設定される。図15で説明した演算処理により、一次遅れ系モデル43322の出力は、リミッタ回路43323によるリミッタ処理後、図14の加算器4333に対して出力される。
図14では、加算器4333により、ガバナー制御回路4332の出力は管理回路435より出力される電力目標値(Pref)と加算される。電力目標値Prefは、上述した様に、CEMS31から通知されたものが、管理回路435から出力される。加算器4333の出力は、減算器4334によって、実効電力算出回路432より出力される実測した実効電力から減算される。即ち、加算器4333の出力値は、質点系演算回路4335の制御電力目標値とされており、ガバナー制御回路4332の出力は、CEMS31から通知される電力目標値Prefに対する、ガバナー制御を実現するためのオフセット値として加算されている。
図16において、減算器4334の出力、即ち、実効電力の偏差と、管理回路435において上記レジスタ(S210)にセットされた、CEMS31から通知された制御パラメータが入力される。これにより、図16で説明した制御演算は、レジスタにセットされた、CEMS31から通知された最新の単位慣性定数M及び制動係数Dgを用いて実行される。これにより、上述した様に、加算器43355からは、配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095で電圧制御を行う際の周波数指令値f*が出力される。
又、位相計算回路43356からは、加算器43355から出力された周波数情報(周波数指令値f*)を積分することで、同期発電機モデル(図23)の回転子M1の位相を示す位相情報が出力される。尚、上述の様に、本実施の形態1では、当該位相情報は、周波数指令値f*とは異なり、インバータ電圧制御回路4095で電圧制御には用いられない。このため、位相計算回路43356で算出された位相情報は、DSO21に通知する情報として使用される。この様にしてS212の仮想同期発電機制御によって生成された、これらの周波数情報(周波数指令値f*)及び位相情報は、管理回路435を経由して通信インターフェース434に出力される。
再び図26Bを参照して、管理回路435は、S212によって周波数情報(周波数指令値f*)が算出されると、CEMS31から受信した、電圧振幅指令値情報及びインバータ電圧制御回路4095で使用する制御パラメータとともに、所定のフォーマットに変換して、S213により、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する。この様に、ゼロクロス点の検出タイミング、即ち、S205(図26A)のYES判定時には、管理回路345は、図26Bに示されたS206~S213の後、図26AのS214に処理を進める。一方で、管理回路345は、ゼロクロス点の検出タイミング以外(S205のNO判定時)には、図26Bに示されたS206~S213をスキップして、処理をS214に進める。
管理回路435は、S214では、配電系統蓄電池用電力変換装置44に対する計測データの送信要求を、通信インターフェース434に出力する。通信インターフェース434は、管理回路435から計測データの送信要求を受けると、配電系統蓄電池用電力変換装置44に対して、当該データ送信要求を出力する。管理回路435は、送信要求の出力後には、S215により、配電系統蓄電池用電力変換装置44からの計測情報の受信を待機する。
管理回路435は、配電系統蓄電池用電力変換装置44からの計測データを受信すると(S215のYES判定時)、S216に処理を進めて、受信した計測情報をメモリ(図示せず)に記憶する。
管理回路435は、計測情報が記憶されると(S216)、S217により、CEMS31からの計測情報の送信要求を受信したかを確認する。当該送信要求を受信していた場合(S217のYES判定時)には、S218により、上記メモリに記憶される、配電系統蓄電池用電力変換装置44より受信した計測情報がCEMS31に送信した後に、処理はS201に戻される。一方で、当該送信要求を受信していない場合(S217のNO判定時)には、S218をスキップして、処理は、S201に戻される。この様にして、制御装置43では、図26A及び図26Bに示された制御処理が継続的に繰り返される。
次に、図27A~図27Cを用いて、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の動作を説明する。図27A~図27Cは、配電系統蓄電池用電力変換装置44の動作を、第4の制御回路409及び第3の制御回路404の処理によって説明するフローチャートである。
図27Aを参照して、配電系統蓄電池用電力変換装置44が動作を開始すると、第4の制御回路409は、S300により、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の各種制御パラメータの初期化を行う。本実施の形態1では、S300による初期化の際に、少なくともインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータについては、配電系統蓄電池用電力変換装置44が1台で電圧制御により自立系統(自立マイクログリッド)を起動した際に使用するパラメータが予めセットされているものとする。
第4の制御回路409は、各種制御パラメータの初期化(S300)を完了すると,S301により、第4の制御回路409に含まれる第8の制御回路4097(図10)が制御装置43から指令値等を受信したかを確認する。第8の制御回路4097が指令値を受信していた場合(S301のYES判定時)には、図27BのS302に処理が進められる。
図27Bを参照して、第4の制御回路409は、S302では、指令値受信フラグをセットして、S303により、制御装置43から配電系統蓄電池用電力変換装置44内の制御パラメータを受信したかを確認する。即ち、制御装置43から受信した指令値等の情報(S301)に、制御パラメータが含まれていたかが確認される。
制御装置43から制御パラメータが受信されていた場合(S303のYES判定時)には、S304により、制御パラメータが変更される。具体的には、制御パラメータを保持するレジスタ(図示せず)に、制御装置43から受信した最新の値がセットされる。制御装置43から制御パラメータが受信されていない場合(S303のNO判定時)には、S304はスキップされて、制御パラメータは、現在の値に維持される。第4の制御回路409は、S302~S304の後、図27AのS305に処理を進める。
再び図27Aを参照して、第4の制御回路409は、S305では、電流計411(図6)で計測された、配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力される交流電流値と、電圧計406で計測された直流母線405の電圧値と、電圧計410計測された配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力される交流電圧値とを取り込む。
第4の制御回路409は、S306により、S305で取り込んだ配電系統24の交流電流値及び交流電圧値を用いて、実効電力算出回路4092(図10)により実効電力を算出する。S306では、S204(実効電力算出回路432)と同様の処理が、電流計411及び電圧計406による計測値を用いて実行される。これにより、実効電力算出回路4092による、電流及び電圧の計測値、並びに、サンプリング期間(間隔)ΔTの乗算値の積算処理が実行される。即ち、サンプリング周期毎に、積算値Weffp_calに上記乗算値が逐次加算される。
図10に示される様に、電圧計410による系統交流電圧の計測値は、交流周波数検出回路4091に入力されて、図11に示された位相検出回路40910及び第2の正弦波生成回路40912に入力される。位相検出回路40910は、電圧計410によって計測された系統交流電圧波形のゼロクロス点を検出する。
再び図27Aを参照して、第4の制御回路409は、S306の処理が終了すると、S307により、位相検出回路40910(図11)がゼロクロス点を検出したかを確認する。
ゼロクロス点が検出されると、S307がYES判定とされて、処理は、図27CのS308aに進められる。S308aでは、位相検出回路40910により、S206と同様に図20で説明した手法によって、式(6)を用いて、今回のゼロクロス点の検出時刻tzcp_nを算出することができる。
更に、今回のゼロクロス点の検出時刻(tzpc_n)が算出されると(S308a)、第4の制御回路409は、周波数検出回路40911(図11)に対して、ゼロクロス点検出時刻に基づく、周波数算出処理を指示する。例えば、前回のゼロクロス点の検出時刻(tzcp_n-1)と今回のゼロクロス点の検出時刻(tzcp_n)との時間差から、下記の式(8)によって、周波数検出値Fmsrpを算出することができる。
Fmsrp=1/(tzcp_n-tzcp_n-1) …(8)
更に、第4の制御回路409は、ゼロクロス点の検出タイミングでは、S309により、ゼロクロス点間(tzcp_n-1~tzcp_n)での積算値Weffp_cal(S306)を、実効電力値Weffpに代入する。その後、Weffp_calはクリアされる(Weffp_cal=0)。
第4の制御回路409は、S309の処理が完了すると、S310により、指令値受信フラグがセットされているかを確認する。指令値受信フラグがセットされていた場合(S310のYES判定時)には、S311により、第3の正弦波生成回路40951で生成する目標交流電圧の周波数(即ち、周波数指令値f*)を、ゼロクロス点の検出タイミングで変更する。一方で、指令値受信フラグがセットされていない場合(S310のNO判定時)には、S311はスキップされて、目標交流電圧の周波数(周波数指令値f*)は維持される。その後、処理は、図27AのS312に、処理が進められる。
この様に、本実施の形態1では、周波数指令値f*が変更されるタイミングは、図20で説明したゼロクロス点検出タイミング(θ=0[deg])に限定されており、S311による周波数指令値f*の変更後では、時刻tnにおける目標交流電圧Vtrは、下記の式(9)によって算出される。
Vtr=V*×sin(2π×f*×(tn-tzcp_n) …(9)
これにより、図19で説明した様に、制御装置43からの仮想同期発電機制御による周波数指令値f*が、配電系統蓄電池用電力変換装置44に受信されるタイミングが、系統交流電圧の位相上で不定であるのに対して、目標交流電圧Vtrの電圧値(瞬時値)が不連続になること(図21)を回避することができる。これにより、配電系統24に不必要な擾乱を与えることなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44から系統交流電圧を出力することができる。
図12に示した様に、第3の正弦波生成回路40951は、ゼロクロス点検出結果に基づいて、上記式(9)に従って、系統交流電圧の目標値である目標交流電圧Vtrを出力する。減算器40952による、目標交流電圧Vtrから、電圧計410による系統交流電圧の計測値を減算した値(電圧偏差)は、第3のPI制御回路40953に入力される。第3のPI制御回路40953は、減算器40952から出力される電圧偏差がゼロになる様に制御演算を実行する。尚、第3のPI制御回路40953に用いられる制御パラメータは、第8の制御回路4097から入力される。第3のPI制御回路40953の制御パラメータについても、周波数指令値と同様に、CEMS31から変更された制御パラメータが通知されている場合には、ゼロクロス点検出時に最新値に変更される。
第3のPI制御回路40953の制御演算結果は、第1の電流制限回路40955での上述したリミット処理後、第2のPWM変換回路40954に入力される。第2のPWM変換回路40954は、入力値に対するPWM変調によって、第2のDC/AC変換回路408の制御指令値を生成する。
再び図27Aを参照して、第4の制御回路409は、S312により、第3の正弦波生成回路40951を用いて、上述した式(9)に従って目標交流電圧Vtrを生成する。更に、S313では、上述した図12の構成によって第2のDC/AC変換回路408を制御して、配電系統24に電力を供給する。
第3の制御回路404は、S314により、電圧計406による直流母線電圧の計測値を取得して、S315により、第2のDC/DC変換回路403(図6)を制御する。
図6で説明した様に、第3の制御回路404は、電圧計406で計測した直流母線電圧の電圧値に基づいて、配電系統蓄電池40から放電又は充電する電力を決定する。具体的には、第3の制御回路404内の第7の制御回路4044(図9)は、直流母線405の電圧が予め定められた値に維持される様に、配電系統蓄電池40からの充放電電力を制御する。
上述した様に、本実施の形態1では、配電系統蓄電池システム41には仮想同期発電機制御を実装しているため、第2のDC/AC変換回路408は電圧源(電圧制御)として動作する。従って、第3の制御回路404は、直流母線405の電圧が一定値になる様に、第2のDC/DC変換回路403(図6)を制御する。
図9で説明した様に、電圧計406による直流母線405の直流母線電圧の計測値は、充電制御回路4041、放電制御回路4042、及び、第7の制御回路4044に入力される。充電制御回路4041は、直流母線電圧が、第7の制御回路4044より出力される目標電圧よりも高い場合には、直流母線電圧が目標電圧になる様に、充電制御回路4041が配電系統蓄電池40への充電電力を制御する。一方で、直流母線電圧が当該目標電圧よりも低い場合には、放電制御回路4042が配電系統蓄電池40の放電電力を制御する。尚、充電制御回路4041の出力と放電制御回路4042の出力とは、第2の切換え回路4043に入力される。第2の切換え回路4043は、第7の制御回路4044からの切換制御信号に応じて、充電制御回路4041の出力と放電制御回路4042の出力との一方を、第2のDC/DC変換回路403に送信される制御指令値として出力する。第7の制御回路4044は、電圧計406による直流母線電圧の計測値と、上記目標電圧との比較により、第2の切換え回路4043の切換制御信号を生成する。
この様にして、S315による第2のDC/AC変換回路408が行われると、第3の制御回路404は、S316により、電圧計401及び電流計402(図6)で計測した直流電圧及び直流電流の計測値に基づいて、配電系統蓄電池40の充放電電力を算出する。算出された充放電電力は、第3の制御回路404内の第7の制御回路4044(図9)から第8の制御回路4097(図10)へ通知され、当該通知結果は、第4の制御回路409内の第8の制御回路4097内のメモリ(図示せず)に記憶される。
更に、第4の制御回路409は、充放電電力の算出値を記憶してS316の処理を終了すると、処理をS301へ戻して、配電系統蓄電池用電力変換装置44の制御を継続する。
以上説明した様に、本実施の形態1によれば、配電系統蓄電池用電力変換装置44の外部の制御装置43から、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する交流電圧の周波数指令値(f*)が通知される構成において、制御装置43での計測遅延及び処理遅延、並びに、制御装置43及び配電系統蓄電池用電力変換装置44の間の通信遅延による遅延時間が一定せずに発生する場合においても、配電系統蓄電池用電力変換装置44で検出した系統交流電圧の位相を元に、周波数指令値を変更する様に制御する。
具体的には、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を算出する際の時刻情報を、配電系統蓄電池用電力変換装置44で検出した位相情報の検出時刻を基準として設定することで、制御装置43からの周波数指令値及び電圧振幅指令値の到達タイミング(受信タイミング)にジッタ(ばらつき)が発生しても、系統交流電圧の目標値(電圧値)の連続性を担保することができる。この結果、不必要な擾乱を与えることなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44に対して外付けの制御装置43により仮想同期発電制御を実現することができる。
以上の様に構成することで、仮想同期発電機制御機能を実装していない従来の蓄電池用電力変換装置においても、外部の制御機器を用いて、蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数制御を行うことで、仮想同期発電機制御機能を実現することができる。これにより、既設の従来の蓄電池用電力変換装置に対して、例えば、第8の制御回路4097において、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する処理(第3の正弦波生成回路40951の機能部分)を変更する小規模の改造によって、仮想同期発電機制御機能を持たせることができる。目標交流電圧Vtrの生成処理は、ソフトウェアで実装されることが多いため、ソフトウェアの変更によって、既設の蓄電池用電力変換装置に仮想同期発電機制御機能を追加することが期待できる。更に、上述した様に、外付けの制御機器から仮想同期発電機制御のための指令値及び制御パラメータを通知しても、主に通信によって生じるジッタ(ばらつき)に対応して、系統交流電圧を安定的に制御することができる。
尚、本実施の形態1では、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力している系統交流電圧の位相情報を用いて、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を算出する方法として、電圧計410で計測した交流電圧情報から系統交流電圧のゼロクロス点を検出して、式(9)に従って、目標交流電圧Vtrを算出する例を説明した。しかしながら、この手法は一例に過ぎず、他の手法によって、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力している系統交流電圧の位相情報を、目標交流電圧Vtrに反映してもよい。例えば、三相交流系統の場合には、三相交流電圧にd-q変換を行い、そのd軸電圧及びq軸電圧から系統交流電圧の位相情報を算出して、当該位相情報を用いて、目標交流電圧Vtrに対する周波数指令値f*の切換えタイミング、及び、目標交流電圧Vtrを算出する際の時刻情報を決定することも可能である。
又、ゼロクロス点の検出についても、図20で説明した様に、系統交流電圧の計測値のA/D変換値をフィルタ処理した値を用いて検出する例を示したが、フィルタ処理を省略して、ゼロクロス点検出時刻を求めることも可能である。又、ゼロクロス点検出時刻について、例示した式(6)以外で算出することも可能である。更に、電圧計410の計測値には、リニアリティ誤差及びオフセット誤差等が含まれることがあるので、これらの誤差を補正したデータを用いて、ゼロクロス点を検出してもよい。特に、オフセット誤差は、目標交流電圧Vtrを生成する際に、系統への擾乱の原因となる虞があるので、電圧計410による交流電圧の計測値の積分値がゼロになる様に、オフセット誤差を補正する処理を適宜実行することが好ましい。
又、本実施の形態1では、制御装置43中の仮想同期発電機制御回路433、及び、配電系統蓄電池用電力変換装置44中のインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータを、自立系統では仮想同期発電機制御を実装した静止型インバータ電源の台数、又は、同期発電機等他の電圧源として動作する分散電源の台数及び種類に応じて、CEMS31で決定し通知する様に構成する。
具体的には、自立マイクログリッド内で動作する仮想同期発電機制御機能を実装して電圧源として動作する配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、CEMS31から各配電系統蓄電池システム41に送付される、電圧制御部の制御パラメータを変える様に構成した。これにより、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを構成した場合も、各配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095内の制御パラメータを、電圧源として動作する配電系統蓄電池用電力変換装置44の台数に応じて、電圧制御部の応答時間が最適となる様に設定することができる。
実施の形態1では、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41が電圧源として動作することで自立マイクログリッドを構成する場合、1台で自立マイクログリッドを構成する場合と比較して、第3のPI制御回路40953の制御ゲインを小さくする、或いは、積分時間を長くする、又は、制御ゲインを小さくするとともに積分時間長くするよう様に、各配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知される制御パラメータが設定される。同様に、連系系統においても、系統を支える同期発電機の応答が早いため、電力系統の安定性を担保するため配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095内の制御パラメータを制御し、負荷変動又は発電量変動に対する制御応答時間を、1台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを支える場合の制御応答時間に対して長くなるよう制御パラメータを設定するよう構成する。
より詳細には、実施の形態1では、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを構成する場合、1台で自立マイクログリッドを構成する場合と比較して、第3のPI制御回路40953の制御ゲインを小さくする、或いは、積分時間を長くする、又は、制御ゲインを小さくするとともに積分時間長くする様に、CEMS31から通知される制御パラメータが設定される。又、仮想同期発電機制御回路433(図18)の応答速度を遅くする場合は、ガバナー時定数(Tg)を大きくする、速度調整率Kgdを小さくする(1/Kgdを大きくする)、単位慣性定数Mを大きくする、又は、制動係数Dgを大きくする様に、制御パラメータを調整する。これにより、仮想同期発電機制御機能を実装した実施の形態1に係る配電系統蓄電池システム41を、連系系統で動作させた場合にも、不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる効果がある。
同様に、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433の制御パラメータについても本実施の形態1ではCEMS31から通知される。これも上述した様に、外部の制御装置43に仮想同期発電機制御機能を持たせる場合、配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値が送付されるまでには、計測遅延、処理遅延、及び、通信遅延が発生し、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力する交流系統周波数に反映するまでに処理遅延が発生する。よって、自立マイクログリッド内で負荷変動又は発電量変動が発生した場合、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41は、負荷変動又は発電量変動に対応して、配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電力を変化させるが、周波数指令値が制御装置43で生成されるため、系統交流電圧の周波数は、すぐには変化しない。そのため、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433のゲイン(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)が高いと、各々の配電系統蓄電池システム41の出力する系統交流電圧の周波数が大きく変化する。
これにより、配電系統蓄電池システム41同士で不必要な電力のキャッチボールが行われる様になると、各配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が発振し、最終的には配電系統蓄電池システム41が停止してしまう。このため、本実施の形態1では、自立系統において、仮想同期発電機制御を実装して電圧源として動作する配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、仮想同期発電機制御内の少なくとも制動係数Dgを制御する。具体的には、当該台数が多いほど、制動係数Dgが大きく設定される。これにより、自立系統に対して、仮想同期発電機制御を実装した複数台の配電系統蓄電池システム41が、連携して電圧源として動作する場合においても、不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
同様に、連系系統においても、系統を支える同期発電機の応答が早いため、電力系統の安定性を担保するために、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433内の制御パラメータ(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)を変えて、負荷変動又は発電量変動に対する、系統交流電圧の応答速度を制御することが好ましい。具体的には、仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41は、連系系統の場合には、1台で自立マイクログリッドを支える場合と比較して、制御応答が遅くなる様に(応答速度が低くなる様に)、CEMS31によって制御パラメータが設定される。これにより、連系系統においても、仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41を、不必要な擾乱を発生させることなく動作させて、系統に慣性力を与えることができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、仮想同期発電機制御機能を実装していない、従来の蓄電池用電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)においても、外部制御機器を用いて蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数を制御することで、仮想同期発電機制御機能を実現する手法について説明した。実施の形態2では、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する他の手法を説明する。
更に、実施の形態2では、実施の形態1と比較して、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433にAVR機能が実装される点が異なる。従って、実施の形態2では、仮想同期発電機制御回路433及び第2のDC/AC変換回路408の構成及び制御動作の一部が異なる。その他の部分について、回路構成及び制御動作等は、実施の形態1と同一であるため詳細な説明は繰り返さない。
図28は、実施の形態2に係る電力変換装置の代表例である配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095の構成を示す。
実施の形態2に係るインバータ電圧制御回路4095は、実施の形態1に係るインバータ電圧制御回路4095(図12)と比較して、第3の正弦波生成回路40951にかえて、第4の正弦波生成回路40956が配置される点で異なる。即ち、実施の形態2では、第4の正弦波生成回路40956によって、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値、即ち、目標交流電圧Vtrが生成される。
第4の正弦波生成回路40956には、図12と同様に周波数指令値(f*)が第8の制御回路4097から入力される。更に、第4の正弦波生成回路40956には、図12でのゼロクロス点検出情報に代えて、サンプリング期間ΔTが第8の制御回路4097から入力される。サンプリング期間ΔTは、インバータ電圧制御回路4095での処理周波数の逆数で与えられる。例えば、処理周波数が20[kHz]のときには、サンプリング期間ΔT=1/20[kHz]=50[μs]である。図28のそれ以外の構成は、図12と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
図29は、図28に示された第4の正弦波生成回路40956の構成を説明するブロック図である。
図29を参照して、第4の正弦波生成回路40956は、乗算器409551,409552,409556,409560、加算器409553、除算器409554,切り捨て回路409555、減算器409557、レジスタ409558、及び、正弦波テーブル409559を含む。
乗算器409551は、制御装置43から送信された周波数指令値f*に対して2πを乗算して、角速度指令値ω*に変換する。乗算器409551は、乗算器409552から出力された角速度指令値ω*と、第8の制御回路4097からのサンプリング期間ΔTとを乗算する。
乗算器409552からは、第4の正弦波生成回路40956で生成する目標交流電圧Vtrの、サンプリング期間ΔTにおける位相変化量Δθが出力される。加算器409553は、レジスタ509558で1クロック遅延された、前回計算した目標交流電圧Vtrの位相情報と、乗算器409552から出力された位相変化量Δθとを加算して、目標交流電圧Vtrの位相情報を出力する。
除算器409554は、加算器409553の出力を2πで除算する。除算器409554による除算結果は、切り捨て回路409555で小数点以下を切り捨てることで、整数化される。
乗算器409556は、切り捨て回路409555の出力を2πと乗算する。乗算器409556による乗算結果は、減算器409557に入力される。減算器409557は、加算器409553から出力される目標交流電圧Vtrの位相情報から、乗算器409556の出力を減算する。これにより、減算器409557から出力される目標交流電圧Vtrの位相情報は、0以上、かつ、2π未満に制限が掛けられる。
減算器409557の出力は、レジスタ409558に入力されて、1クロック遅延される。同様に、減算器409557の出力(位相情報)は、正弦波テーブル409559で振幅情報に変換される。正弦波テーブル409559は、入力された位相情報(0~2π)を振幅情報(-1~1)に変換するための正弦波テーブルを内蔵しており、テーブルに記憶されていない位相情報が入力された場合は、テーブルに記憶されている前後のデータを用いて内挿することで、振幅情報を生成する。
正弦波テーブル409559から出力された振幅情報は、乗算器409560において、制御装置43から出力される電圧振幅指令値(V*)と乗算される。乗算器409560の出力は、系統交流電圧の目標値である目標交流電圧Vtrとして、減算器40952(図28)へ出力される。これにより、図28では、電圧計410で計測された系統交流電圧の実測値を目標交流電圧Vtrに制御するための図12と同様の制御処理が実行される。
図28(実施の形態2)において、インバータ電圧制御回路4095のうち、第4の正弦波生成回路40956は「目標交流電圧生成部」の一実施例に対応し、減算器40952、第3のPI制御回路40953、第2のPWM変換回路40954、及び、第1の電流制限回路40955は「電圧制御部」の一実施例に対応する。
次に、図30を用いて、実施の形態2における制御装置43の構成を説明する。
図30を参照して、実施の形態2に係る制御装置43は、実施の形態1の構成(図13)と比較して、仮想同期発電機制御回路433に代えて、第2の仮想同期発電機制御回路436を含む点で異なる。図30のその他の部分の構成は、図13と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。即ち、実施の形態2では、第2の仮想同期発電機制御回路436によって、目標交流電圧Vtrに反映される周波数指令値f*が算出される。
図31は、図30に示された第2の仮想同期発電機制御回路436の構成を説明するブロック図である。
図31を参照して、第2の仮想同期発電機制御回路436は、仮想同期発電機制御回路433(図14)と同様の、減算器4331、ガバナー制御回路4332、加算器4333、減算器4334、及び、質点系演算回路4335に加えて、減算器4336、比例制御回路4337、及び、リミッタ回路4338を更に含む。
減算器4336は、CEMS31から通知される実効無効電力指令から、実効電力算出回路432(図13)から出力された実効無効電力の実測値を減算する。減算器4336による減算結果は、比例制御回路4337に入力される。比例制御回路4337は、減算器4336の出力に比例ゲインを乗算する比例演算を実行する。比例制御回路4337に代えて、PI制御又はPID制御を実行する制御器が配置されてもよい。
比例制御回路4337の出力は、リミッタ回路4338による振幅制限の実行後に、電圧振幅指令値として、管理回路435に対して出力される。当該電圧振幅指令値は、目標交流電圧Vtrを算出する際の電圧振幅指令値V*として用いられる。
尚、本実施の形態2では、比例制御回路4337の制御ゲイン(比例ゲイン)、及び、リミッタ回路4338での振幅制限値は、CEMS31から通知されて、管理回路435から第2の仮想同期発電機制御回路436へ送信されるものとする。
以下では、図1~図16、及び、図28~図31を用いて、実施の形態2における配電系統蓄電池システム41の動作について説明する。尚、実施の形態1と同様な動作を行う場合は、詳細な説明は繰り返さない。
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、CEMS31による30分周期処理(図22)が終了して、制御装置43が蓄電池運転計画の受信を完了すると、制御装置43は、逐次処理(図23)を実行する。上記蓄電池運転計画は、30分間の配電系統蓄電池40の電力指令値、交流系統の無効電力指令、及び、各種制御パラメータ(第2の仮想同期発電機制御回路436及びインバータ電圧制御回路4095内の制御部のパラメータ等)を含む。
具体的には、制御装置43は、逐次処理において、実施の形態1と同様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44からの計測データの収集を実行するとともに、電流/電圧計測装置42より出力される配電系統24の交流電流及び交流電圧を予め定められたサンプリング周期でサンプリングする。制御装置43は、実施の形態1と同様に、第2の位相検出回路431内で系統交流電圧のゼロクロス点時刻の検出処理を実行するとともに、実効電力算出回路432内で実効有効電力及び実効無効電力の算出処理を実行する。尚、実効電力算出回路432では、計測した系統交流電圧及び系統交流電流を用いて、実効電圧及び実効電流も算出される。
制御装置43は、電流/電圧計測装置42の出力、及び、CEMS31から受信した電力指令値に基づき、第2の仮想同期発電機制御回路436により、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する周波数指令値(f*)及び電圧振幅指令値(V*)を算出する。制御装置43は、上記周波数指令値及び電圧振幅指令値の算出を終了すると、算出した周波数指令値及び電圧振幅指令値と、CEMS31から受信した電圧制御用の制御パラメータとを、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する。これにより、制御装置43による逐次処理が終了される。
尚、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、制御装置43の逐次処理は、図18に示される様に、系統交流電圧の1周期毎に実行されるものとする。実施の形態1で説明した様に、逐次処理は、系統交流電圧の複数周期毎或いは半周期毎に実行されてもよい。
次に、図30及び図31を用いて制御装置43の動作を説明する。制御装置43が動作を開始すると、管理回路435は、予め定められた初期値に、各種制御パラメータを初期化する。管理回路435は、初期化を完了すると、CEMS31から周波数指令値等を受信したかを、通信インターフェース434に確認する。受信していた場合は、受信した各種情報が、管理回路435内の図示しないレジスタに書き込まれる。
一方で、第2の位相検出回路431及び実効電力算出回路432は、電流/電圧計測装置42から出力される系統交流電圧の電圧計測値及び電流計測値を用いて、系統交流電圧の周波数検出、並びに、実効有効電力及び実効無効電力の算出を実行する。
実施の形態2においても、第2の位相検出回路431では、実施の形態1と同様に、系統交流電圧のゼロクロス点を検出して、検出結果をもとに周波数を算出する。第2の位相検出回路431は、系統交流電圧のゼロクロス点を検出する。上述した様に、図20及び式(6)で説明したのと同様に、ゼロクロス点検出時刻を算出するとともに、式(8)に従って、周波数検出値を求めることができる。又、系統交流電圧の電圧及び電流の計測結果を用いて、実効電力算出回路432では、実施の形態1で説明したのと同様に、実効有効電力及び実効無効電力が算出される。
管理回路435は、ゼロクロス点の検出時には、CEMS31から電力指令値、無効電力指令値、及び、第2の仮想同期発電機制御回路436の制御パラメータ等が受信されたかを確認する。受信していた場合は、管理回路435内の図示しないレジスタに記憶されている有効電力指令値、無効電力指令値、及び、第2の仮想同期発電機制御回路436へ出力する制御用パラメータが、ゼロクロス点の検出タイミングにおいて、書き換えられる。
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、系統交流電圧の1周期が制御周期とされるが、実施の形態1と同様に、当該制御周期については、系統交流電圧の周期の整数倍、或いは、予め定められた時間長とすることができる。
図31において、管理回路435は、制御周期が経過する毎に、第2の仮想同期発電機制御回路436に対して、配電系統蓄電池用電力変換装置44で使用する系統交流電圧の周波数(周波数指令値)及び振幅(電圧振幅指令値)を生成するよう指示する。
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、第2の位相検出回路431で系統交流電圧のゼロクロス点が検出される毎に、第2の仮想同期発電機制御回路436により、系統交流電圧の周波数指令値を算出する。従って、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、上記制御周期は、第2の位相検出回路431によって図20に示されたゼロクロス点が検出される周期と同等になる。
図31において、第2の位相検出回路431からの実測した系統交流電圧、及び、実効電力算出回路432からの実測した実効有効電力を、目標周波数Fref(例えば、60Hz)及び電力目標値(Pref)に制御するための、減算器4331、ガバナー制御回路4332、加算器4333、減算器4334、及び、質点系演算回路4335の動作は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。これにより、質点系演算回路4335からは、実施の形態1と同様の位相情報及び周波数指令値(f*)が出力される。実施の形態1と同様に、質点系演算回路4335から出力された位相情報及び周波数指令値は、管理回路435に入力される。
実施の形態2では、第2の仮想同期発電機制御回路436は、追加配置された、減算器4336、比例制御回路4337、及び、リミッタ回路4338によるAVR機能を有する。具体的には、第2の仮想同期発電機制御回路436は、CEMS31から通知された実効無効電力指令に従って、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する電圧振幅指令値を生成する。当該無効電力指令値は、通信インターフェース434を介して管理回路435に通知され、管理回路435内の図示しないレジスタに記憶される。その際、AVR制御で使用する、比例制御回路4337の比例ゲイン及びリミッタ回路4338の制限値等の情報がCEMS31より通知されていた場合は、管理回路435内のレジスタ値は、受信した数値に書き換えられる。
図31を参照して、AVR機能(制御)について詳細に説明する。CEMS31から通知された実効無効電力指令は、管理回路435内の図示しないレジスタから、減算器4336に入力される。減算器4336は、実効無効電力指令から実効電力算出回路432によって算出された実測実効無効電力値を減算する。
減算器4336の出力、即ち、実効無効電力偏差は、比例制御回路4337に入力される。比例制御回路4337は、CEMS31から通知された比例ゲインに基づき、比例制御演算を実行する。比例制御回路4337の出力は、リミッタ回路4338に入力される。リミッタ回路4338では、入力された電圧振幅指令値をCEMS31から通知された振幅制限値範囲内(例えば、6600V±330V)に入れるためのリミット処理が行われる。この様に、実測実効無効電力を実効無効電力指令に制御する様に、電圧振幅指令値は生成される。
リミッタ回路4338の出力、即ち、リミット処理後の電圧振幅指令値は、管理回路435に入力される。管理回路435は、第2の仮想同期発電機制御回路436で周波数指令値及び電圧振幅指令値の生成を完了すると、CEMS31から通知されたインバータ電圧制御回路4095内の制御パラメータと合わせて、通信インターフェース434で所定のフォーマットに変換する。変換後の各種データは、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知される。
次に、図28及び図29を用いて、実施の形態2でのインバータ電圧制御回路4095の動作について説明する。
自立運転によるマイクログリッドの立ち上げが開始されると、第4の制御回路409は、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の各種制御パラメータの初期化し、初期化が完了すると、インバータ電圧制御回路4095に対して、電圧制御の開始を指示する。
インバータ電圧制御回路4095は、当該指示を受けると、電圧制御を開始する。電圧制御が開始されると、インバータ電圧制御回路4095内の第4の正弦波生成回路40956は、第8の制御回路4097から入力された、制御装置43から通知された周波数指令値及び電圧振幅指令値、並びに、サンプリング間隔ΔTに基づいて、電圧制御の際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する。
次に、図29を用いて、実施の形態2に係る第4の正弦波生成回路40956の動作を説明する。実施の形態1では、目標交流電圧Vtrは、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される系統交流電圧のゼロクロス点(ゼロクロス点時刻)を検出して、目標交流電圧Vtrの算出における、制御装置43から通知された周波数指令値及び電圧振幅指令値を、ゼロクロスタイミングを基準に切り換える様に制御していた。この様に制御することで、目標交流電圧Vtrの連続性を担保して、周波数指令値及び電圧振幅指令値を切り換え時に発生する擾乱の最小化を図っていた。
これに対して、実施の形態2では、ゼロクロス点検出を行うことなく、制御装置43から通知される周波数指令値を目標交流電圧Vtrに反映する。
図29において、CEMS31から通知された周波数指令値は、第8の制御回路4097内の図示しないレジスタに記憶される。第8の制御回路4097から出力される当該周波数指令値(f*)は、乗算器409551に入力される。
乗算器409551は、周波数指令値に2πを乗算して角速度ωを算出し、当該角速度ωは、乗算器409552において、第8の制御回路4097より出力されるサンプリング間隔ΔT(例えば、50[μs])と乗算されて、位相変化量Δθが算出される。上述の様に、位相変化量Δは、周波数指令値f*を反映して目標交流電圧Vtr(正弦波)を生成した際の、サンプリング間隔ΔTの期間での位相変化量に相当する。
乗算器409552より出力される位相変化量Δθは、加算器409553により、レジスタ409558に保持された1周期(ΔT)前の位相変化量と加算される。これにより、目標交流電圧Vtrに相当する正弦波の位相角θ0が算出される。
加算器409553の出力(加算結果)は、除算器409554及び減算器409557に出力される。加算器409553の出力は、除算器409554により2πで除算され、除算結果は、切り捨て回路409555により少数点以下が切り捨てられる。
切り捨て回路409555の出力は、乗算器409556で2πと乗算される。乗算器409556の出力は、減算器409557に入力されて、加算器409553の出力から減算される。
次に、加算器409553の出力に対する、除算器409554、切り捨て回路409555、及び、乗算器409556による上記一連の処理について簡単に説明する。当該処理は、目標交流電圧Vtrを生成する際の正弦波の位相情報を、0≦θ<2πの範囲内に収めるための処理である。
加算器409553から出力される位相角θ0は、自然数nを用いて、下記の式(10)で表すことができる。尚、式(10)中のθ′は、0≦θ′<2πである。
θ0=2π×n+θ′ …(10)
当該θを2πで除算することにより、除算器409554からは、θ0/2π=n+(θ′/2π)が出力される。除算器409554の出力から小数点以下を切り捨てることで、切り捨て回路409555からは、式(10)中のnが出力される。
乗算器409556は、切り捨て回路409555の出力に2πを乗算することで、式(10)中の(2π×n)を出力する。減算器409557では、加算器409553の出力(θ0)から、乗算器409556の(2π×n)が減算される。従って、減算器409557からは、式(10)中のθ′が出力される。この様にして、加算器409553の出力θ0からθ′が抽出されて、正弦波テーブル409559に、正弦波の位相情報θ(0≦θ<2π)として入力される。当該位相情報θは、1周期遅らせて加算器409553に出力するために、レジスタ409558にも入力される。
正弦波テーブル409559は、入力された位相情報(位相角)θ(0≦θ<2π)に対する正弦波の振幅情報(-1~1)を、予めROM(Read Only Memory)等のメモリに記憶することで構成できる。正弦波テーブル409559は、減算器409557より位相情報(位相角θ)が入力されると、入力された位相情報に対する正弦波の振幅情報(-1~1)を出力する。尚、ROM等のメモリサイズを小さくするために、記憶するテーブルのデータ数を少なくしたいに場合は、上述の様に、入力された位相角(θ)の前後のデータを上記テーブルから読み出して、線形補間等の手法を用いて内挿することが可能である。
正弦波テーブル409559から出力された正弦波振幅情報(-1~1)は、乗算器409560により、制御装置43から通知されて、第8の制御回路4097の図示しないレジスタに記憶されている電圧振幅指令値と乗算される。この結果、乗算器409560は、系統交流系統の目標値である目標交流電圧Vtrを出力する。この様に、第4の正弦波生成回路40956は、周波数指令値(f*)に従う角速度(2π×f*)における予め定められた時間間隔(サンプリング期間ΔT)での位相変化量の積算によって算出された正弦波の位相角を用いて、目標交流電圧Vtrを算出する。
この様にして生成された第4の正弦波生成回路40956が出力する目標交流電圧Vtrは、図28の減算器40952に入力される。減算器40952では、目標交流電圧Vtrから、電圧計410から出力される系統交流圧の計測値が減算されて、電圧偏差が算出される。減算器40952から出力される電圧偏差は、第3のPI制御回路40953に入力され、当該電圧偏差を補償する(即ち、電圧偏差をゼロにする)ための制御演算結果が、第3のPI制御回路40953から出力される。尚、第3のPI制御回路40953で用いられる制御パラメータは第8の制御回路4097から入力される。当該制御パラメータの値は、CEMS31から変更された制御パラメータが通知されていれば変更される様に制御される。
第3のPI制御回路40953の出力は、第1の電流制限回路40955により、配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力する交流電流が、配電系統蓄電池用電力変換装置44の容量を超えない様に制限される。具体的には、電流計411の計測結果に基づき、第3のPI制御回路40953の出力に上限を設けるリミット処理が行われる。
第1の電流制限回路40955によるリミット処理後の、第3のPI制御回路40953の出力は、第2のPWM変換回路40954でPWM変調されて、第2のDC/AC変換回路408の制御指令値に変換される。第2のPWM変換回路40954は、制御指令値を第2のDC/AC変換回路408に出力する。第2のDC/AC変換回路408は、当該制御指令値に従って、配電系統24に系統交流電圧を出力する。
又、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、第3の制御回路404は、電圧計406で計測した直流母線電圧の計測値に基づいて、配電系統蓄電池40から放電又は充電する電力を決定する。具体的には、第3の制御回路404内の第7の制御回路4044は、直流母線405の電圧(直流母線電圧)が予め定められた目標電圧になる様に、配電系統蓄電池40の充放電電力を制御する。上述した様に、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、配電系統蓄電池システム41には仮想同期発電機制御が実装されており、第2のDC/AC変換回路408は、電圧源(電圧制御)として動作する。従って、第3の制御回路404は、直流母線電圧が一定値(目標電圧)になる様に、配電系統蓄電池40の充放電を制御する。尚、第3の制御回路404の動作は、実施の形態1と同様であるため詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態2は以上の様に構成されているため、周波数指令値f*が切り換わるときには、位相変化量Δθ(図29の乗算器409553の出力)が変化するものの、正弦波テーブル409559に入力される位相角(位相情報)は、不連続にならない様に管理されている。この為、周波数指令値f*が切り換わる際における目標交流電圧Vtrの連続性を担保することができる。これにより、制御装置43での計測遅延及び処理遅延、並びに、制御装置43及び配電系統蓄電池用電力変換装置44の間の通信遅延による遅延時間が一定しないために、外部の制御装置43から配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値f*が通知されるタイミングがばらついても、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)の連続性を担保することができる。この結果、系統に不必要な擾乱を与えることなく外付けの制御装置43により仮想同期発電制御を実現することができる。
以上の様に構成することで、実施の形態1と同様に、仮想同期発電機制御機能を実装していない従来の蓄電池用電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)においても、外部制御機器を用いて蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数を制御することで、仮想同期発電機制御機能を実現することができる。これにより、既設の従来の蓄電池用電力変換装置に対して、例えば、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する処理(第4の正弦波生成回路40956の機能部分)を変更する小規模の改造、例えば、ソフトウェアの変更によって、仮想同期発電機制御機能を持たせることができる。この場合にも、上述の様に、外付けの制御機器から仮想同期発電機制御のための指令値及び制御パラメータを通知しても、主に通信によって生じるジッタ(ばらつき)に対応して、系統交流電圧を安定的に制御することができる。
尚、本実施の形態2では、第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で制御する際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を、第4の正弦波生成回路40956で説明した様に、周波数指令値f*を反映して生成する正弦波の位相角で管理することで、実施の形態1の様にゼロクロス点を待つことなく、周波数指令値f*を切り換えることができる。この結果、CEMS31から通知後、ゼロクロス点検出まで待機時間を設けることなく、即座に、周波数指令値f*を変更して、目標交流電圧Vtrを算出することができる。この結果、仮想同期発電機制御の効果を高めることによって、システムの安定性向上を図ることが可能である。
尚、第4の正弦波生成回路40956の構成は、図29に示すものに限定されるものではなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で動作させる際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する際に、正弦波の電圧位相を管理する様に構成すれば、同様の効果を得ることができる。
又、本実施の形態2では、制御装置43にAVR機能を実装した場合について説明したが、AVR機能を実装した外付けの制御装置43の構成は、図31の例示に限定されるものではない。例えば、比例制御回路4337を、PI制御回路又はPID制御回路等の他の制御演算を実行する回路に置換しても、同様の効果を奏することできる。更に、CEMS31からの通知は、例示した実効無効電力指令に限定されるものではなく、例えば、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される系統交流電圧の電圧振幅指令値が直接通知されることで、AVR機能が実装されてもよい。
以上説明した様に、実施の形態2では、外部の制御装置43からの指令値を用いて、配電系統蓄電池用電力変換装置44を電圧源として動作させる際に、制御装置43からの指令値を系統交流電圧の様々な位相で受信しても、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を示す正弦波の位相角を管理して制御する。これにより、周波数指令値f*の変更時における目標交流電圧Vtrの連続性を確保することができる。この結果、配電系統に不必要な擾乱を与えることなく、仮想同期発電機制御を持たせる様に配電系統蓄電池用電力変換装置44から、系統交流電圧を出力することができる。
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、仮想同期発電機制御機能を実装していない、従来の蓄電池用電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)においても、外部制御機器を用いて蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数を制御することで、仮想同期発電機制御機能を実現する手法について説明した。実施の形態3では、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する更に他の手法を説明する。具体的には系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)の生成部内に、系統交流電圧のAVR機能を実装する。
以下、図32及び図33を用いて、実施の形態3に係るインバータ電圧制御回路4095の動作を説明する。実施の形態3では、第2のDC/AC変換回路408の一部の制御動作(具体的には、インバータ電圧制御回路4095の動作)が異なるだけで、回路構成等は実施の形態2と同一である。実施の形態3において、原則的には、実施の形態1及び2との共通部分について詳細な説明は繰り返さない。
図32は、実施の形態3に係る電力変換装置の代表例である配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095の構成を示す。
実施の形態3に係るインバータ電圧制御回路4095は、実施の形態1に係るインバータ電圧制御回路4095(図12)と比較して、第3の正弦波生成回路40951にかえて、第5の正弦波生成回路40957が配置される点で異なる。即ち、実施の形態3では、第5の正弦波生成回路40957によって、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値、即ち、目標交流電圧Vtrが生成される。
第5の正弦波生成回路40957には、図12と同様に、周波数指令値(f*)が第8の制御回路4097から入力されとともに、交流周波数検出回路4091(図10)からのゼロクロス点検出情報が入力される。
図32(実施の形態3)において、インバータ電圧制御回路4095のうち、第5の正弦波生成回路40957は「目標交流電圧生成部」の一実施例に対応し、減算器40952以降の部分によって、「電圧制御部」の一実施例が構成される。
図33は、図32に示された第5の正弦波生成回路40957の構成を説明するブロック図である。
図33を参照して、第5の正弦波生成回路40957は、減算器409571,409575、乗算器409572,409573,409578、正弦波テーブル409559、比例積分制御回路409576、及び、リミッタ回路409577を含む。
減算器409571は、第8の制御回路4097内の時刻生成回路(図示せず)から出力される時刻情報によって示される現在時刻(tn)、交流周波数検出回路4091で検出されたたゼロクロス点時刻(tzcp_n)を減算する。
乗算器409573は、第8の制御回路4097から出力される周波数指令値f*に2πを乗算して、角速度(ω)に変換する。乗算器409572は、減算器409571の出力と、乗算器409573の出力(角速度ω)とを乗算する。従って、乗算器409572の出力は、実施の形態1で説明した、目標交流電圧Vtrを生成するための式(9)中のsinの位相角を示す、「2×π×f*×(tn-tzcp_n)」に相当する。
尚、CEMS31から通知された周波数情報(周波数指令値f*)は、実施の形態1と同様に、ゼロクロス点の検出タイミングにおいて、第8の制御回路4097内の図示しないレジスタに取り込まれるものとする。
正弦波テーブル409559は、実施の形態2で説明したのと同様に構成され、乗算器409572より出力される位相角を、正弦波の振幅情報(-1~1)に変換して出力する。
減算器409575は、CEMS31から通知された実効無効電力指令から、実効電力算出回路4092(図10)から出力された実効無効電力の実測値を減算する。尚、CEMS31から通知された実効無効電力指令値は、ゼロクロス点の検出タイミングにおいて、第8の制御回路4097内の図示しないレジスタに取り込まれるものとする。減算器409575による減算結果は、比例積分制御回路409576に入力される。比例積分制御回路409576では、減算器409575の出力をゼロにするための比例積分制御(PI制御)演算を実行する。比例積分制御回路409576からの出力は、目標交流電圧Vtrの電圧振幅指令値V*として、リミッタ回路409577に入力される。リミッタ回路409577によるリミット処理後の電圧振幅指令値V*は、乗算器409578に入力される。
乗算器409578は、リミッタ回路409577から出力される電圧振幅指令値V*と、正弦波テーブル409559から出力される振幅情報(-1~1)とを乗算して、目標交流電圧Vtrを生成する。実施の形態1及び2と同様に、目標交流電圧Vtrは、インバータ電圧制御回路4095内の減算器40952(図12)に対して出力される。尚、以降のインバータ電圧制御回路4095の構成及び動作は、実施の形態1又は2と同様であるので説明な説明は繰り返さない。
次に、図1~図16、図32、及び、図33を用いて、実施の形態3における配電系統蓄電池システム41の動作について説明する。尚、実施の形態1及び2と同様な動作を行う場合は、詳細な説明は繰り返さない。
実施の形態3においても、実施の形態1又は2と同様に、CEMS31による30分周期処理(図22)が終了して、制御装置43が蓄電池運転計画の受信を完了すると、制御装置43は、逐次処理(図23)を実行する。上記蓄電池運転計画は、30分間の配電系統蓄電池40の電力指令値、交流系統の無効電力指令、及び、各種制御パラメータ(仮想同期発電機制御回路433及びインバータ電圧制御回路4095内の制御部のパラメータ等)を含む。
具体的には、制御装置43は、逐次処理において、実施の形態1又は2と同様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44からの計測データの収集を実行するとともに、電流/電圧計測装置42より出力される配電系統24の交流電流及び交流電圧を予め定められたサンプリング周期でサンプリングする。制御装置43は、実施の形態1又は2と同様に、第2の位相検出回路431内で系統交流電圧のゼロクロス点時刻の検出処理を実行するとともに、実効電力算出回路432内で実効有効電力及び実効無効電力の算出処理を実行する。尚、実効電力算出回路432では、計測した系統交流電圧及び系統交流電流を用いて、実効電圧及び実効電流も算出される。
制御装置43は、電流/電圧計測装置42の出力、及び、CEMS31から受信した電力指令値に基づき、実施の形態1と同様の仮想同期発電機制御回路433により、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する周波数指令値(f*)を算出する。制御装置43は、上記周波数指令値の算出を終了すると、算出した周波数指令値と、CEMS31から受信した実効無効電力指令及び電圧制御用の制御パラメータとを、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する。これにより、制御装置43による逐次処理が終了される。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、制御装置43の逐次処理は、図18に示される様に、系統交流電圧の1周期毎に実行されるものとする。実施の形態1で説明した様に、逐次処理は、系統交流電圧の複数周期毎或いは半周期毎に実行されてもよい。
次に、図13及び図14を用いて、制御装置43の動作を説明する。即ち、制御装置43は、実施の形態1と同様である。制御装置43が動作を開始すると、管理回路435は、予め定められた初期値に、各種制御パラメータを初期化する。管理回路435は、初期化を完了すると、CEMS31から周波数指令値等を受信したかを、通信インターフェース434に確認する。受信していた場合は、受信した各種情報が、管理回路435内の図示しないレジスタに書き込まれる。一方で、第2の位相検出回路431及び実効電力算出回路432は、電流/電圧計測装置42から出力される系統交流電圧の電圧計測値及び電流計測値を用いて、系統交流電圧の周波数検出、並びに、実効有効電力及び実効無効電力の算出を実行する。
実施の形態3においても、第2の位相検出回路431では、実施の形態1と同様に、系統交流電圧のゼロクロス点を検出して、検出結果をもとに周波数を算出する。第2の位相検出回路431は、系統交流電圧のゼロクロス点を検出する。上述した様に、図20及び式(6)で説明したのと同様に、ゼロクロス点検出時刻を算出するとともに、式(8)に従って、周波数検出値を求めることができる。又、系統交流電圧の電圧及び電流の計測結果を用いて、実効電力算出回路432では、実施の形態1で説明したのと同様に、実効有効電力及び実効無効電力が算出される。
管理回路435は、ゼロクロス点の検出時には、CEMS31から電力指令値、無効電力指令値、及び、仮想同期発電機制御回路433の制御パラメータ等が受信されたかを確認する。受信していた場合は、管理回路435内の図示しないレジスタに記憶されている有効電力指令値、無効電力指令値、及び、仮想同期発電機制御回路433へ出力する制御用パラメータが、ゼロクロス点の検出タイミングにおいて、書き換えられる。
実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、系統交流電圧の1周期が制御周期とされるが、実施の形態1でも説明した様に、当該制御周期については、系統交流電圧の周期の整数倍、或いは、予め定められた時間長とすることができる。
管理回路435は、制御周期が経過する毎に、仮想同期発電機制御回路433に対して、配電系統蓄電池用電力変換装置44で使用する系統交流電圧の周波数(周波数指令値)及び振幅(電圧振幅指令値)を生成するよう指示する。実施の形態3では、第2の位相検出回路431で系統交流電圧のゼロクロス点の検出毎に、仮想同期発電機制御回路433によって系統交流電圧の周波数指令値が算出される。よって、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、上記制御周期は、上記制御周期は、第2の位相検出回路431によって図20に示されたゼロクロス点が検出される周期と同等になる。
図14において、減算器4331は、第2の位相検出回路431からの系統交流電圧の実測周波数から、管理回路435から出力される系統交流電圧の目標周波数Fref(例えば、60[Hz])を減算して周波数偏差を算出する。減算器4331から出力された周波数偏差は、ガバナー制御回路4332に入力される。ガバナー制御回路4332の動作は、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
ガバナー制御回路4332の出力は、加算器4333により、管理回路435より出力される電力目標値(Pref)と加算される。尚、電力目標値は、上述した様にCEMS31から通知されたものが管理回路435から出力される。加算器4333の出力は、減算器4334により、実効電力算出回路432より出力される実測実効電力から減算される。減算器4334による減算結果は、質点系演算回路4335に入力される。質点系演算回路4335の動作は、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。これにより、質点系演算回路4335からは、実施の形態1と同様の位相情報及び周波数指令値(f*)が出力される。実施の形態1と同様に、質点系演算回路4335から出力された位相情報及び周波数指令値は、管理回路435に入力される。
次に、図32及び図33を用いて、本実施の形態3のインバータ電圧制御回路4095の動作について説明する。
自立運転によるマイクログリッドの立ち上げが開始されると、第4の制御回路409は、まず初めに、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の各種制御パラメータの初期化を行う。初期化処理を完了すると、第4の制御回路409は、インバータ電圧制御回路4095に電圧制御の開始を指示する。
インバータ電圧制御回路4095は、当該指示を受けると、電圧制御を開始する。電圧制御が開始されると、インバータ電圧制御回路4095内の第5の正弦波生成回路40957は、第8の制御回路4097を介して入力された、制御装置43より通知された周波数指令値(f*)、実効無効電力指令値、及び、時刻情報等に基づいて、電圧制御の際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する。
次に、図33を用いて、実施の形態3の第5の正弦波生成回路40957の動作を説明する。実施の形態1では、目標交流電圧Vtrを生成する際、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される系統交流電圧のゼロクロス点(ゼロクロス点時刻)を検出して、ゼロクロスタイミングを基準に、制御装置43から通知された更新後の周波数指令値及び電圧振幅指令値を目標交流電圧Vtrに反映する様に制御していた。この様に制御することで、目標交流電圧Vtrの連続性を担保して、周波数指令値及び電圧振幅指令値を変更する際に発生する擾乱の最小化を図ることができる。
一方、実施の形態3では、実施の形態1とは異なる手法で、制御装置43から通知される周波数指令値を、目標交流電圧Vtrに反映する。
図33において、CEMS31から通知された周波数指令値及び実効無効電力指令値は、第8の制御回路4097内の図示しないレジスタに記憶される。具体的には、第8の制御回路4097は、交流周波数検出回路4091によるゼロクロス点の検出タイミングにおいて、上記周波数指令値及び実効無効電力指令値を、通信インターフェース412から取り込む様に構成される。
第8の制御回路4097から出力される周波数指令値(f*)は、乗算器409573により、2πと乗算され角速度に変換される。減算器409571は、第8の制御回路4097から出力される時刻情報によって示される現在時刻から、交流周波数検出回路4091で検出したゼロクロス点検出時刻を減算する。減算器409571の出力は、乗算器409572により、乗算器409573より出力される角速度と乗算される。これにより、上述した様に、系統交流電圧の振幅(目標交流電圧Vtr)に相当する正弦波の位相情報(位相角)が算出される。乗算器409572の出力(位相角)は、実施の形態2と同様の正弦波テーブル409559に入力される。これにより、正弦波テーブル409559からは、入力された位相情報(位相角)に対する正弦波の振幅情報(-1~1)が出力される。
一方、減算器409575は、第8の制御回路4097の図示していないレジスタに記憶されている、CEMS31から通知された実効無効電力指令値から、実効電力算出回路4092で算出された実効無効電力の実測値を減算する。減算器409575の出力、即ち、実効無効電力の指令値に対する偏差は、比例積分制御回路409576に入力される。比例積分制御回路409576では、減算器409575から出力される上記偏差を補償する(即ち、偏差をゼロにする)ための比例積分制御(PI制御)演算が実施される。比例積分制御回路409576による演算結果は、目標交流電圧Vtrの電圧振幅指令値V*として、リミッタ回路409557に入力されて、所定の範囲内に収まる様にリミッタ処理される。
本実施の形態3では、一例として、リミッタ回路409557において、実施の形態2と同様に、入力された目標交流電圧Vtrの電圧振幅指令値V*を、所定の振幅制限値範囲内(例えば、6600[V]±330[V])に入る様に、電圧振幅指令値V*に制限を加える。
尚、本実施の形態3では、比例積分制御回路409576で使用する制御パラメータ(比例ゲイン及び積分時間)、並びに、リミッタ回路409577の振幅制限値は、CEMS31から通知され、制御装置43を経由して第8の制御回路4097内の図示しないレジスタに記憶された値が使用されるものとする。リミッタ回路409577から出力される、リミッタ処理後の電圧振幅指令値V*は、乗算器409578により、正弦波テーブル409559より出力される正弦波の振幅情報(-1~1)と乗算される。これにより、乗算器409578は、目標交流電圧Vtrを生成する。目標交流電圧Vtrは、インバータ電圧制御回路4095内の減算器40952(図12)に対して出力される。
この結果、第5の正弦波生成回路40957から出力される目標交流電圧Vtrから、図12において、減算器40952により、電圧計410より出力される系統交流電圧の実測値が減算されて、系統交流電圧偏差が求められる。減算器40952から出力された系統交流電圧偏差は、第3のPI制御回路40953に入力される。
第3のPI制御回路40953は、減算器40952から出力される上記偏差を補償する(即ち、偏差をゼロにする)ための制御演算を実行する。尚、第3のPI制御回路40953で用いられる制御パラメータは、第8の制御回路4097から入力される。当該制御パラメータの値は、CEMS31から変更された制御パラメータが通知されていれば変更される様に制御される。
第3のPI制御回路40953の出力は、第1の電流制限回路40955により、配電系統蓄電池用電力変換装置44より出力する交流電流が、配電系統蓄電池用電力変換装置44の容量を超えない様に制限される。具体的には、電流計411の計測結果に基づき、第3のPI制御回路40953の出力に上限を設けるリミット処理が行われる。
第1の電流制限回路40955によるリミット処理後の、第3のPI制御回路40953の出力は、第2のPWM変換回路40954でPWM変調されて、第2のDC/AC変換回路408の制御指令値に変換される。第2のPWM変換回路40954は、制御指令値を第2のDC/AC変換回路408に出力する。第2のDC/AC変換回路408は、当該制御指令値に従って、配電系統24に系統交流電圧を出力する。
又、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、第3の制御回路404は、電圧計406で計測した直流母線電圧の計測値に基づいて、配電系統蓄電池40から放電又は充電する電力を決定する。具体的には、第3の制御回路404内の第7の制御回路4044は、直流母線405の電圧(直流母線電圧)が予め定められた目標電圧になる様に、配電系統蓄電池40の充放電電力を制御する。上述した様に、実施の形態3では、実施の形態1と同様に、配電系統蓄電池システム41には仮想同期発電機制御が実装されており、第2のDC/AC変換回路408は、電圧源(電圧制御)として動作する。従って、第3の制御回路404は、直流母線電圧が一定値(目標電圧)になる様に、配電系統蓄電池40の充放電を制御する。尚、第3の制御回路404の動作は、実施の形態1と同様であるため詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態3は以上の様に構成されているため、ゼロクロス点の検出時刻と現在時刻との時間差と、ゼロクロス点の検出タイミングで更新される周波数指令値f*とから、正弦波テーブル409559への入力値、即ち、目標交流電圧Vtrを示すsinの位相角が算出される。従って、CEMS31から通知される周波数指令値f*が変化しても、目標交流電圧Vtrの位相角が、不連続にならない様に管理されている。これにより、周波数指令値f*が切り換わる際における目標交流電圧Vtrの連続性を担保することができる。この結果、制御装置43での計測遅延及び処理遅延、並びに、制御装置43及び配電系統蓄電池用電力変換装置44の間の通信遅延による遅延時間が一定しないために、外部の制御装置43から配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値f*が通知されるタイミングがばらついても、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)の連続性を担保することができる。この結果、系統に不必要な擾乱を与えることなく外付けの制御装置43により仮想同期発電制御を実現することができる。
以上の様に構成することで、実施の形態1及び2と同様に、仮想同期発電機制御機能を実装していない従来の蓄電池用電力変換装置においても、外部制御機器を用いて蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数を制御することで、仮想同期発電機制御機能を実現することができる。これにより、既設の従来の蓄電池用電力変換装置に対して、例えば、配電系統蓄電池用電力変換装置44が出力する系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する処理(第5の正弦波生成回路40957の機能部分)を変更する小規模の改造、例えば、ソフトウェアの変更によって、仮想同期発電機制御機能を持たせることができる。この場合にも、上述の様に、外付けの制御機器から仮想同期発電機制御のための指令値及び制御パラメータを通知しても、主に通信によって生じるジッタ(ばらつき)に対応して、系統交流電圧を安定的に制御することができる。
尚、本実施の形態3では、第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で制御する際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を示す正弦波の位相角を、第5の正弦波生成回路40957で説明した様に、ゼロクロス点の検出タイミングで更新される周波数指令値と、ゼロクロス点の検出時刻及び現在時刻の時間差とを用いて算出する様に構成した。これにより、当該正弦波の位相角が不連続にならない様に管理することで、実施の形態1と同様に、システムの安定性向上を図ることができる。
尚、第5の正弦波生成回路40957の構成は、図33に示すものに限定されるものではなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で動作させる際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する際に、正弦波の電圧位相を管理する様に構成すれば、同様の効果を得ることができる。
又、本実施の形態3では、AVR機能を配電系統蓄電池用電力変換装置44内に実装した場合について説明したが、実施の形態2からも理解される様に、AVR機能の実装場所は特に限定されるものではない。即ち、AVR機能については、配電系統蓄電池用電力変換装置44ではなく、外付けの制御装置43に実装してもよい。又、図33に示された比例積分制御回路409576は、比例制御回路又はPID制御回路等の他の制御演算を実行する回路に置換しても、同様の効果を奏することできる。更に、実施の形態2で説明したのと同様に、CEMS31からの通知は、例示した実効無効電力指令に限定されるものではなく、例えば、実施の形態1と同様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される系統交流電圧の電圧振幅指令値が直接通知されることで、AVR機能が実装されてもよい。
以上説明した様に、実施の形態3では、外部の制御装置43からの指令値を用いて、配電系統蓄電池用電力変換装置44を電圧源として動作させる際に、制御装置43からの指令値を系統交流電圧の様々な位相で受信しても、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を示す正弦波の位相角を管理し制御する。これにより、周波数指令値f*の変更時における目標交流電圧Vtrの連続性を確保することができる。この結果、配電系統に不必要な擾乱を与えることなく、仮想同期発電機制御を持たせる様に配電系統蓄電池用電力変換装置44から、系統交流電圧を出力することができる。
本実施の形態1~3は以上の様に構成されているため、配電系統蓄電池用電力変換装置44の外部の制御装置43に仮想同期発電機制御を実装して、周波数指令値が制御装置43から配電系統蓄電池用電力変換装置44に通信される構成においても、当該周波数指令値が変更される際に配電系統24に不必要な擾乱を与えることを防止できる。具体的には、制御装置43での計測遅延(実効電力算出及び交流周波数検出の際の遅延時間)、並びに、処理遅延(計測結果に基づき周波数指令値等を算出する際の処理時間)と、周波数指令値を制御装置43から配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知する際に発生する通信遅延とが発生する。これらの遅延時間の合計がばらつくことで、周波数指令値又は電圧振幅指令値が配電系統蓄電池用電力変換装置44に到達するタイミングに、電圧位相上でジッタ(ばらつき)が発生しても、目標交流電圧Vtrの連続性を担保することができる。これにより、配電系統24に不必要な擾乱を与えることなく、外付けの制御装置43により、仮想同期発電制御機能を実現する様に配電系統蓄電池用電力変換装置44を電圧源として動作させることができる。
又、本実施の形態1~3では、以上の様に構成することで、仮想同期発電機制御機能を実装していない従来の蓄電池用電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)においても、制御装置43の機能を有する外部制御機器を用いて、蓄電池用電力変換装置から出力する系統交流電圧の周波数等を、仮想同期発電機制御機能によって制御することができる。これにより、既設の蓄電池用電力変換装置においても、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)の算出処理についての、上述した様な小規模の改造、例えば、ソフトウェアの変更によって、仮想同期発電機制御機能を持たせることができる。
尚、本実施の形態1及び3では、第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で制御する際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を、第3の正弦波生成回路40951及び第5の正弦波生成回路40957によって、周波数指令値及び時刻情報(現在の時刻と交流周波数検出回路4091で検出したゼロクロス点の検出時刻情報)を用いて算出される正弦波の位相角を管理して生成する。これにより、制御装置43からの各種指令値が配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知されるタイミングがまちまちである場合も、システムの安定性向上を図ることができる。
又、本実施の形態2では、系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する際に、周波数指令値f*及びサンプリング間隔ΔTから正弦波の位相角を生成するよう構成すれば、図29の第4の正弦波生成回路40956とは異なる構成としても、同様の効果が得られることは言うまでもない。即ち、実施の形態2及び3で例示した、第4の正弦波生成回路40956及び第5の正弦波生成回路40957の構成は、図29及び図33での例示に限定されるものではなく、配電系統蓄電池用電力変換装置44内の第2のDC/AC変換回路408を電圧制御で動作させる際の系統交流電圧の目標値(目標交流電圧Vtr)を生成する際に、正弦波の位相角を管理する様に構成すれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
又、本実施の形態2及び3で説明した様に、AVR機能は、配電系統蓄電池用電力変換装置44内、及び、制御装置43のいずれに実装することも可能である。又、AVR機能のための制御演算についても、P(比例)制御、PI(比例積分)制御、PID(比例積分微分)制御等、任意の手法を適用することが可能である。又、CEMS31から、直接、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力される系統交流電圧の電圧振幅指令値が、配電系統蓄電池用電力変換装置44に通知されてもよい。
尚、実施の形態1~3では、目標交流電圧Vtrの算出に用いられる周波数指令値f*及び電圧振幅指令値V*が、それぞれ異なる手法で求められる例を説明したが、周波数指令値f*を求める手法(実施の形態1~3)と、電圧振幅指令値V*を求める手法(実施の形態1~3)とは、任意に組み合わせることが可能である。例えば、周波数指令値f*が第4の正弦波生成回路40956(実施の形態2)によって求められる場合において、電圧振幅指令値V*については、実施の形態1と同様に、CEMS31から制御装置43に通知された値がそのまま用いられても良く、或いは、実施の形態3と同様に、配電系統蓄電池用電力変換装置44にAVR機能が実装される様に設定されてもよい。
以上説明した様に、実施の形態1~3では、外部の制御装置43からの指令値を用いて、配電系統蓄電池用電力変換装置44を電圧源として動作させる際に、制御装置43からの指令値を系統交流電圧の様々な位相で受信しても、周波数指令値f*の変更時における目標交流電圧Vtrの連続性を確保することができる。この結果、配電系統に不必要な擾乱を与えることなく、仮想同期発電機制御を持たせる様に配電系統蓄電池用電力変換装置44から、系統交流電圧を出力することができる。
尚、本実施の形態1~3では、配電系統蓄電池システム41内の、制御装置43中の仮想同期発電機制御回路433、及び、配電系統蓄電池用電力変換装置44中のインバータ電圧制御回路4095の制御パラメータについて、自立系統では仮想同期発電機制御を実装した静止型インバータ電源の台数、又は、同期発電機等他の電圧源として動作する分散電源の台数及び種類に応じて異なる値が、CEMS31で設定される様にした。具体的には、例えば、2台の配電系統蓄電池システム41が接続されていた場合には、自立マイクログリッド内で負荷又は発電量の急変が発生した際、配電系統蓄電池システム41が出力する電力の変化に対して、配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が遅れて変化する。そのため、2台の配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の位相が最適な制御ポイントからずれることで、2台の配電系統蓄電池システム41間で横流が発生する虞がある。このとき、各配電系統蓄電池システム41の電圧制御部の応答速度が高過ぎると、横流が発散してしまい、自立マイクログリッドが停止することが懸念される。
従って、本実施の形態1~3では、マイクログリッド内で電圧源として動作する仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、CEMS31が、各配電系統蓄電池システム41に電圧制御部の制御パラメータを送付するよう構成した。これにより、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを構成した場合にも、各配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095内の制御パラメータを、上記台数に応じて応答時間が最適となる様に設定することで、自立マイクログリッドの安定性を確保することができる。具体的には、電圧源として動作する配電系統蓄電池システム41(即ち、配電系統蓄電池用電力変換装置44)の台数が多いほど、インバータ電圧制御回路4095による電圧制御の応答時間を長くする(応答速度を低くする)様に、制御パラメータが設定される。
より詳細には、実施の形態1~3の各々において、実施の形態1で説明した様に、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを構成する場合には、1台で自立マイクログリッドを構成する場合と比較して、インバータ電圧制御回路4095の応答時間を長く(応答速度を低く)するために、第3のPI制御回路40953の制御ゲインを小さくする、或いは、積分時間を長くする、又は、制御ゲインを小さくするとともに積分時間長くする様に、CEMS31から通知される制御パラメータが設定される。
同様に、連系系統においても、系統を支える同期発電機の応答が早いため、電力系統の安定性を担保するためには、配電系統蓄電池用電力変換装置44内のインバータ電圧制御回路4095の応答時間(応答速度)を、自立マイクログリッドを支える場合とは変えることが好ましい。具体的には、負荷変動又は発電量変動に対する応答時間について、連系系統の動作の場合の応答時間が、1台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを支える場合の応答時間よりも長くなる様に、CEMS31から通知される制御パラメータが設定される。
これにより、仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41を、系統に連系させる様に動作させる場合においても、配電系統24に不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
同様に、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433の制御パラメータについても本実施の形態1~3では、CEMS31から制御装置43に通知される。これも上述した様に、外部の制御装置43に仮想同期発電機制御機能を持たせる場合、配電系統蓄電池用電力変換装置44に周波数指令値を送付するまでに計測遅延、処理遅延、及び、通信遅延が発生する。このため、配電系統蓄電池用電力変換装置44から出力する系統交流周波数に、仮想同期発電機制御による周波数指令値が反映されるまでには、遅延時間が発生する。従って、自立マイクログリッド内で負荷変動又は発電量変動が発生した場合には、複数台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41は、負荷変動又は発電量変動に対応して、配電系統蓄電池用電力変換装置44の出力電力(系統交流電圧)を変化させるが、周波数はすぐには制御装置43からの指令値に従って変化しない。
そのため、制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433のゲイン(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)が高く、仮想同期発電機制御の応答時間が短い(応答速度が高い)と、各配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が大きく変化してしまう。これにより、配電系統蓄電池システム41同士で不必要な電力のキャッチボールが行われることで、各配電系統蓄電池システム41が出力する系統交流電圧の周波数が発振し、最終的には配電系統蓄電池システム41の停止に至る虞がある。
本実施の形態1~3では、自立系統に対して、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41が複数台接続されて電圧源として動作する場合には、当該配電系統蓄電池システム41の台数に応じて、仮想同期発電機制御の少なくとも制動係数Dgを変化させる。具体的には、上記台数が多いほど、制動係数Dgを大きく設定する。これにより、自立系統に対して、仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41が複数台接続されて電圧源として動作する場合においても、配電系統24に不必要な擾乱を発生させることなく慣性力を与えることができる。
尚、仮想同期発電機制御部の応答速度を低くする場合は、ガバナー時定数(Tg)を大きくする、速度調整率Kgdを小さくする(即ち、1/Kgdを大きくする)、単位慣性定数Mを大きくする、又は、制動係数Dgを大きくする様に、CEMS31から通知される制御パラメータを設定することができる。
又、実施の形態2及び3に示された、AVR機能を制御装置43内又は配電系統蓄電池用電力変換装置44内に実装する場合においても、上記と同様に、自立系統において、複数台の仮想同期発電機制御を実装した配電系統蓄電池システム41が電圧源として動作する場合には、当該配電系統蓄電池システム41の台数により、制御パラメータ(比例ゲイン及び積分時間等)を変えることが好ましい。具体的には、上記台数が多い程、応答速度が低く(応答時間が長く)なる様に、CEMS31から通知される制御パラメータは可変に設定される。
同様に、連系系統においても、系統を支える同期発電機の応答が早いため、電力系統の安定性を担保するため制御装置43内の仮想同期発電機制御回路433内の制御パラメータ(特に、制動係数Dg及び速度調整率Kgd)は、負荷変動又は発電量変動に対する系統交流電圧の周波数変化の応答速度を低くすることが好ましい。具体的には、負荷変動又は発電量変動に対する応答時間について、連系系統の動作の場合には、1台の仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41で自立マイクログリッドを支える場合の応答時間により長くなる様に、CEMS31から通知される制御パラメータが設定される。これにより、連系系統においても仮想同期発電機制御機能を実装した配電系統蓄電池システム41を系統に連系させても不必要な擾乱を発生させることなく、系統に慣性力を与えることができる。
更に、実施の形態1~3では、仮想同期発電機制御部の制御パラメータ(AVR機能を含む)、及び、インバータ電圧制御回路4095の制御パラメータを決定する際、例えば、CEMS31内に変電所20以下の配電系統モデル(デジタルツイン)を実装し、該配電系統モデルを用いて想定されるユースケースで最適に動作するよう各制御パラメータを算出するのに必要な情報を生成するよう構成してもよい。更に、AI(Artificial Intelligence)等を実装して、制御パラメータを算出する様に構成してもよいことは言うまでもない。
又、実施の形態1~3では、CEMS31及びDSO21の間の通信周期を30分としたが、通信周期は任意の時間長に設定することが可能である。例えば、CEMS31及び各配電系統蓄電池システム41間の通信周期を1分、或いは、さらに短くしてもよいことは言うまでもない。
尚、実施の形態1~3では、配電系統蓄電池システム41に仮想同期発電機制御を実装した場合について説明したが、本開示の適用は蓄電池システムへの適用に限定されるものではなく、例えば、風力発電機等の創エネ機器と、配電系統との間に配置された電力変化装置に対して、仮想同期発電機制御を実装する場合にも適用して、同様の効果を奏することができる。特に、風力発電機は、プロペラでモータを回転させることによって発電するので、発電機側が慣性力を有しているため、好適に同様の効果を奏することができる。
又、実施の形態1~3では、配電系統蓄電池40のような大容量の蓄電池を配電系統に数台実装する場合について説明したが、家庭用蓄電池の電力変換装置、又は、電気自動車用の電力変換装置に対しても、本実施の形態1~3におけるCEMS31と同様の制御により、仮想同期発電機制御を実装することが可能である。この場合には、配電系統24に接続される対象の電力変換装置、数百台規模になることが想定される。更に、蓄電池容量としては、配電系統蓄電池40のような大容量(例えば数百[kW]から数[MW])と、家庭用蓄電池(数[kW])との両方が配置されていても、同様の効果を奏することは言うまでもない。
又、本実施の形態1~3では配電系統蓄電池システム41について説明したが、本開示の適用はこの例示に限定されるものではなく、静止型インバータを電圧源として制御する、太陽電池(メガソーラーに限らず家庭用の太陽電池でもよい)、風力発電機、燃料電池からの発電電力を系統に供給するようなシステムに広く適用することができる。即ち、これらのシステムにおいても、本開示で説明した様に、外部の制御装置からの制御パラメータを用いて、仮想同期発電機制御を実装した電圧源として電力変換装置を動作させる際に、同様の効果を享受することができる。更に、本開示において、蓄電池としては、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、プラグインタイプのハイブリッド自動車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、又は、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車載蓄電池を用いることも可能である。
尚、本実施の形態1~3では、自立マイクログリッドへの適用例を説明したが、本開示の適用はこれに限定されるものではなく、送電系統や通常の配電系統に対しても、本開示を適用して、同様の効果を奏することが可能である。又、配電系統については、単相交流を例示したが、配電系統が、単相三線交流、又は、三相交流で構成される場合であっても、本開示を共通に適用可能であることは、言うまでもない。更には、配電系統蓄電池用電力変換装置(三相交流)と、家庭用蓄電池システム(単相交流)とが混在する構成に対しても、外部の制御装置からの同期発電機制御機能のための制御パラメータに基づいて、各電力変換装置が出力する交流電圧の目標値を、本開示と同様に生成することによって、同様の効果を享受することができる。
本実施の形態1~3では、ガバナー制御回路4332内のガバナーモデルを一次遅れ系としてモデル化したが、2次遅れ系又は低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)等によってガバナーモデルを構成することも可能である。更に、本実施の形態1~3では、質点系演算回路を、図16に示す積分器とフィードバックループとでモデリングしたが、モデリングの手法は、この例示に限定されるものではない。例えば、1次遅れ系、2次遅れ系、又は、LPF等によって、質点系演算回路をモデル化することも可能である。更に、質点系演算回路4335の構成についても、図16に示す構成に限定されるものではない。更に、仮想同期発電機制御機能を持たせるための仮想同期発電機制御回路433の構成についても、図14の例示に限定されるものではなく、同期発電機の特性を模擬する様に、電圧源として動作するインバータの周波数指令値を生成することができるのであれば、任意の制御構成によって仮想同期発電機制御の機能を実現することが可能である。
尚、本実施の形態1~3では、配電系統蓄電池システム41に対して慣性力を与えるために、電圧源として動作する電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)に仮想同期発電機制御機能を実装する例を説明したが、仮想同期発電機制御機能とは異なる電圧源としての制御機能を、外部の制御装置43からの指令によって電力変換装置に実装する場合にも、本開示を適用することが可能である。
例えば、仮想同期発電機制御機能の代わりに、垂下特性(ドループ特性)制御機能を実装する様に、外部の制御装置43から電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)に対して、周波数指令値が通知されてもよい。
図35A及び図35Bには、垂下特性の一例を説明するための概念図が示される。
図35A及び図35Bの横軸には、配電系統蓄電池システム41が出力する電力(実測値)とCEMS31から通知される電力目標値との差分に相当する電力偏差ΔPが示される。当該電力偏差ΔPは、図13に示された制御装置43において、実効電力算出回路432によって算出される実測実効電力から、管理回路435から出力される電力目標値Pref(図14と同様)を減算することで求めることができる。
そして、制御装置43は、図35A又は図35Bに示されるΔP-Δf特性(垂下特性)に従って、算出された電力偏差ΔPに対する周波数指令値の変化量Δfを求めることができる。図35Aに示される垂下特性では、変化量Δfを-Δfmax~Δfmaxの範囲内とするリミット処理を伴って、電力偏差ΔPに比例する様に、変化量Δfが算出される。又、図35Bに示される垂下特性では、図35Aの垂下特性に対して、電力偏差ΔPの絶対値が小さい範囲(-ΔPdb≦ΔP≦ΔPdb)では、周波数指令値f*を維持する様に、Δf=0に設定される。
制御装置43は、垂下特性に従ったΔfを用いて、周波数指令値f*をf*+Δfに更新する処理を繰り返すことで、垂下特性を実装するための電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44の周波数指令値f*を生成することができる。これにより、制御装置43は、仮想同期発電機制御回路433とは別の手法で、電圧源として動作する電力変換装置(配電系統蓄電池用電力変換装置44)に慣性力を付与するための制御を実装するこができる。
変形例の説明.
尚、本実施の形態1~3では、説明を分かりやすくするために、メガソーラー用電力変換装置27及び配電系統蓄電池システム41の制御回路を図5~図16、CEMS31の構成を図3~図4に示す様に、ハードウェア(H/W)で構成する例を想定して説明した。しかしながら、各ブロック図に記載された、各ブロック或いは一部のブロックの機能を、CPU(Central Processing Unit)上に実装したソフトウェア(S/W)で実現しても同様の制御機能を実現することが可能である。或いは、少なくとも一部のブロックについて、ソフトウェア及びハードウェアの機能分割によって、同様の制御機能を実現することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
20 変電所、21 配電自動化システム、22a,22e,22f,22i,22j,22x,201,206,210,401,406,410 電圧計、23a,23b,23c 自動電圧調整器、24,24a,24b,24c,24d 配電系統、25,45 通信線、26 メガソーラー、27 メガソーラー用電力変換装置、28 開閉器、30a,30b 同期発電機、31 CEMS、40,40a,40b,40c 配電系統蓄電池、41,41a,41b,41c 配電系統蓄電池システム、42 電流/電圧計測装置、43 制御装置、44,44a,44b,44c 配電系統蓄電池用電力変換装置、100a,100b,100c,100d タウン、101 工場、102 ビル、103 マンション、202,207,211,402,407,411 電流計、203,208,403,408,2099,40954 変換回路、204 第1の制御回路、205,405 直流母線、209 第2の制御回路、212,412,434 通信インターフェース、311 通信回路、312 記憶回路、314 運転計画作成回路、315 送信データ生成回路、316 分散電源管理部制御回路、345,435 管理回路、404 第3の制御回路、409 第4の制御回路、431 第2の位相検出回路、432,4092 実効電力算出回路、433 仮想同期発電機制御回路、436 第2の仮想同期発電機制御回路、2041 MPPT制御回路、2042 電圧制御回路、2043 第1の切換え回路、2044 第5の制御回路、2090 電流制御回路、2091,40910 位相検出回路、2092 第1の正弦波生成回路、2094 第1のPI制御回路、2097 第6の制御回路、2098 第2のPI制御回路、3141 蓄電池運転計画生成回路、3142 発電量予測回路、3143 消費電力予測回路、3145 分散電源運転計画作成管理回路、3146 運転計画作成部管理回路、4041 充電制御回路、4042 放電制御回路、4043 第2の切換え回路、4044 第7の制御回路、4091 交流周波数検出回路、4094 インバータ電流制御回路、4095 インバータ電圧制御回路、4096 第3の切換え回路、4097 第8の制御回路、4332 ガバナー制御回路、4335 質点系演算回路、4337 比例制御回路、4338,43323,409557,409577 リミッタ回路、40911 周波数検出回路、40912 第2の正弦波生成回路、40951 第3の正弦波生成回路、40953 第3のPI制御回路、40955 第1の電流制限回路、40956 第4の正弦波生成回路、40957 第5の正弦波生成回路、43322 系モデル、43352 積分器、43354,409554 除算器、43356 位相計算回路、409555 切り捨て回路、409558,509558 レジスタ、409559 正弦波テーブル、409576 比例積分制御回路、Fref 目標周波数、Kgd 速度調整率、M 単位慣性定数、M1 回転子、M2 調節弁(ガバナー)、MPG 同期発電機モデル、Tg ガバナー時定数、V* 電圧振幅指令値、Vtr 目標交流電圧、f* 周波数指令値、tzc,tzcp 検出時刻(ゼロクロス点)。

Claims (21)

  1. 分散電源を制御する制御装置からの指令に基づいて動作する電力変換装置であって、
    交流系統及び前記分散電源の間に接続されて、前記指令に基づいて前記交流系統に対して電圧源として動作するインバータと、
    記インバータが前記交流系統に出力する系統交流電圧の電圧値を計測する電圧計測部と、
    前記電圧源として動作する前記インバータの出力目標値として正弦波状の目標交流電圧を生成する目標交流電圧生成部と、
    前記電圧計測部によって計測される前記電圧値と前記目標交流電圧との偏差を補償する様に前記インバータの動作を制御する電圧制御部とを備え、
    前記制御装置からの前記指令 は、前記系統交流電圧の周波数指令値を含み、
    前記目標交流電圧生成部は、前記系統交流電圧の振幅指令値と、前記制御装置から出力された前記周波数指令値と、前記電力変換装置において生成される前記系統交流電圧の位相情報とを用いて、前記目標交流電圧を算出する、電力変換装置。
  2. 前記位相情報は、前記電圧計測部によって計測された前記電圧値の周期的な変化から求められる、請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記電圧計測部によって計測された前記電圧値に基づいて、前記系統交流電圧のゼロクロス点を検出する位相検出部を更に備え、
    前記目標交流電圧の算出に用いられる前記周波数指令値及び前記振幅指令値の更新は、前記ゼロクロス点において行われる、請求項2記載の電力変換装置。
  4. 前記目標交流電圧生成部は、前記ゼロクロス点の位相角を基準として、前記周波数指令値に従う角速度を用いて算出された、前記正弦波の位相角を前記位相情報として、前記目標交流電圧を生成する、請求項3記載の電力変換装置。
  5. 前記位相情報は、前記制御装置から出力された前記周波数指令値から求められる、請求項1記載の電力変換装置。
  6. 前記目標交流電圧生成部は、前記制御装置から出力された前記周波数指令値に従う角速度における予め定められた時間間隔での位相変化量の積算によって算出された、前記正弦波の位相角を前記位相情報として、前記目標交流電圧を算出する、請求項5記載の電力変換装置。
  7. 前記指令は、前記電圧制御部の応答速度を調整するための制御パラメータを含み、
    前記電力変換装置が、単独で前記電圧源として動作して、或いは、他の少なくとも1台の前記電力変換装置と並列に複数台で前記電圧源として動作して、前記交流系統を自立系統として支える場合には、前記複数台で電圧源として動作するときの前記電圧制御部の応答速度が、前記単独で電圧源として動作するときの前記電圧制御部の応答速度より低くなる様に、前記制御パラメータは設定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 記目標交流電圧生成部は、前記制御装置から出力された前記振幅指令値を用いて前記目標交流電圧を算出する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. 前記周波数指令値は、前記制御装置において、前記交流系統の電圧計測値から求められた実効無効電力の実測値と、前記実効無効電力の指令値との偏差を補償するための制御演算によって生成される、請求項8記載の電力変換装置。
  10. 前記目標交流電圧生成部は、前記電圧計測部によって計測された前記電圧値から求められた実効無効電力の実測値と、前記実効無効電力の指令値との偏差を補償するための制御演算によって前記振幅指令値を生成するとともに、算出した前記振幅指令値を用いて前記目標交流電圧を算出する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  11. 前記制御装置は、前記分散電源を管理する管理装置からの指令に基づいて、前記電圧源として動作する前記インバータに同期発電機の特性を持たせるための仮想同期発電機制御によって前記周波数指令値を生成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  12. 同期発電機の特性を模擬する仮想同期発電機制御機能が実装された、分散電源の制御装置と、
    前記制御装置からの指令に基づいて動作する電力変換装置とを備え、
    前記電力変換装置は、
    交流系統及び前記分散電源の間に接続されて、前記指令に基づいて前記交流系統に対して電圧源として動作するインバータと、
    記インバータが前記交流系統に出力する系統交流電圧の電圧値を計測する電圧計測部と、
    前記電圧源として動作する前記インバータの出力目標値として正弦波状の目標交流電圧を生成する目標交流電圧生成部と、
    前記電圧計測部によって計測される前記電圧値と前記目標交流電圧との偏差を補償する様に前記インバータの動作を制御する電圧制御部とを含み、
    前記制御装置からの前記指令 は、前記系統交流電圧の周波数指令値を含み、
    前記目標交流電圧生成部は、前記系統交流電圧の振幅指令値と、前記制御装置から出力された前記周波数指令値と、前記電力変換装置において生成される前記系統交流電圧の位相情報とを用いて、前記目標交流電圧を算出する、電力変換システム。
  13. 前記位相情報は、前記電圧計測部によって計測された前記電圧値の周期的な変化から求められる、請求項12記載の電力変換システム。
  14. 前記電力変換装置は、
    前記電圧計測部によって計測された前記電圧値に基づいて、前記系統交流電圧のゼロクロス点を検出する位相検出部を更に含み、
    前記目標交流電圧の算出に用いられる前記周波数指令値及び前記振幅指令値の更新は、前記ゼロクロス点において行われる、請求項13記載の電力変換システム。
  15. 前記目標交流電圧生成部は、前記ゼロクロス点の位相角を基準として、前記周波数指令値に従う角速度を用いて算出された、前記正弦波の位相角を前記位相情報として、前記目標交流電圧を生成する、請求項14記載の電力変換システム。
  16. 前記位相情報は、前記制御装置から出力された前記周波数指令値から求められる、請求項12記載の電力変換システム。
  17. 前記目標交流電圧生成部は、前記制御装置から出力された前記周波数指令値に従う角速度における予め定められた時間間隔での位相変化量の積算によって算出された、前記正弦波の位相角を前記位相情報として、前記目標交流電圧を算出する、請求項16記載の電力変換システム。
  18. 前記指令は、前記電圧制御部の応答速度を調整するための制御パラメータを含み、
    前記電力変換装置が、単独で前記電圧源として動作して、或いは、他の少なくとも1台の前記電力変換装置と並列に複数台で前記電圧源として動作して、前記交流系統を自立系統として支える場合には、前記複数台で電圧源として動作するときの前記電圧制御部の応答速度が、前記単独で電圧源として動作するときの前記電圧制御部の応答速度より低くなる様に、前記制御装置は、前記制御パラメータを設定する、請求項12~17のいずれか1項に記載の電力変換システム。
  19. 記目標交流電圧生成部は、前記制御装置から出力された前記振幅指令値を用いて前記目標交流電圧を算出する、請求項12~18のいずれか1項に記載の電力変換システム。
  20. 前記周波数指令値は、前記制御装置において、前記交流系統の電圧計測値から求められた実効無効電力の実測値と、前記実効無効電力の指令値との偏差を補償するための制御演算によって生成される、請求項19記載の電力変換システム。
  21. 前記目標交流電圧生成部は、前記電圧計測部によって計測された前記電圧値から求められた実効無効電力の実測値と、前記実効無効電力の指令値との偏差を補償するための制御演算によって前記振幅指令値を生成するとともに、算出した前記振幅指令値を用いて前記目標交流電圧を算出する、請求項12~18のいずれか1項に記載の電力変換システム。
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