JP7131947B2 - 建築用面構造、その製造方法、及びパネル構造体 - Google Patents
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Description
しかし、石膏ボードをフレームにビスによって固定した構造では、石膏ボードを取り付ける際の作業性が良好ではなく、施工に時間がかかるという問題がある。また、石膏ボードは、ビスによって基礎フレームに取り付けると、生活振動が生じやすく、また、地震などの比較的大きい振動によって破損したりする不具合も生じやすい。
しかし、スタッドが千鳥状に配置された壁構造は、複雑な形状ゆえ施工時間がかかり、また、強度の点からスタッドが多く必要になる。さらに、壁構造の厚さが大きくなり、居住空間が狭くなるという問題もある。
[1]桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、
前記構造用面材と前記桟の間に配置され、前記桟に前記構造用面材を固定させる粘弾性体を有する、建築用面構造。
[2]前記粘弾性体が両面粘着テープである上記[1]に記載の建築用面構造。
[3]前記構造用面材が石膏ボードである、上記[1]又は[2]に記載の建築用面構造。
[4]前記石膏ボードが、その外周を被覆する石膏ボード用原紙を備え、前記石膏ボード用原紙が、前記粘弾性体に接触する部分にプライマーが含浸される上記[3]に記載の建築用面構造。
[5]前記粘弾性体のせん断粘着力が20N/cm2以上ある上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[6]前記粘弾性体の貯蔵弾性率が、1.0×105~0.5×108Paである上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[7]前記桟が、縦方向に延在する縦桟と、横方向に延在する横桟を備え、前記縦桟と横桟により基礎フレームが構成され、
前記横桟と縦桟により形成された開口部を覆うように構造用面材が取り付けられる上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[8]前記構造用面材が、前記粘弾性体を介して前記縦桟に固定される上記[7]に記載の建築用面構造。
前記桟に着脱可能な位置調整冶具を取り付け、
前記構造用面材を前記位置調整冶具に当接させることで位置合わせして、前記構造用面材を前記粘弾性体を介して前記桟に固定させる
建築用面構造の製造方法。
[10]前記粘弾性体が取り付けられた桟に前記構造用面材を固定させる上記[9]に記載の建築用面構造の製造方法。
[11]前記桟が、縦方向に延在する縦桟と、横方向に延在する横桟とを備え、前記縦桟と横桟により基礎フレームが構成され、
前記横桟と縦桟により形成された開口部を覆うように構造用面材が取り付けられる上記[9]又は[10]に記載の建築用面構造の製造方法。
[12]前記縦桟と横桟の交差位置に前記位置調整冶具が取り付けられる上記[11]に記載の建築用面構造の製造方法。
[13]前記縦桟に前記粘弾性体が取り付けられ、前記構造用面材の少なくとも両側端部が、前記粘弾性体によって前記縦桟に固定される上記[11]又は[12]に記載の建築用面構造の製造方法。
[14]前記横桟と、前記粘弾性体が取り付けられる縦桟との交差位置に前記位置調整冶具が取り付けられ、前記構造用面材が、前記縦桟と横桟により形成される開口部を覆うように取り付けられ、
前記位置調整冶具の前記構造用面材が当接される当接面は、前記粘弾性体の前記開口部側の側端部よりも、横方向において、前記開口部から遠い位置にずれて配置される上記[13]に記載の建築用面構造の製造方法。
[15]前記構造用面材の上端部及び下端部が、前記横桟にビス、ネジ及び釘からなる群から選択される少なくとも1つによって固定される上記[13]又は[14]に記載の建築用面構造の製造方法。
[16]前記位置調整冶具が磁石を備え、磁力により前記桟に着脱自在に取り付けられる上記[9]~[15]のいずれか1項に記載の建築用面構造の製造方法。
[18]前記粘弾性体のせん断粘着力が20N/cm2以上である上記[17]に記載のパネル構造体。
[19]前記粘弾性体の貯蔵弾性率が、1.0×105~0.5×108Paである上記[17]又は[18]に記載のパネル構造体。
[20]前記粘弾性体が両面粘着テープである上記[17]~[19]のいずれか1項に記載のパネル構造体。
[21]前記構造用面材が石膏ボードである、上記[17]~[20]のいずれか1項に記載のパネル構造体。
[22]前記粘弾性体の接着面積が、前記第1及び第2の構造用面材の総面積の1%以上である上記[17]~[21]のいずれか1項に記載のパネル構造体。
[23]上記[17]~[22]のいずれか1項に記載のパネル構造体と、前記パネル構造体が取り付けられる桟とを備える、建築用面構造。
[24]前記第1の構造用面材が、前記桟側に配置され、かつビス、ネジ及び釘からなる群から選択される少なくとも1つによって前記桟に固定される、上記[23]に記載の建築用面構造。
[25]前記第1の構造用面材が、前記桟側に配置され、かつ少なくとも粘弾性体により前記桟に固定される、上記[23]又は[24]に記載の建築用面構造。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る建築用面構造は、桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、構造用面材と桟の間に配置される粘弾性体を有し、粘弾性体によって構造用面材が桟に固定される。
ランナーは、横方向に延在する横桟であり、建築物の床面側に固定される下部ランナー14Aと、天面側に固定される上部ランナー14Bからなる。ランナー14A,14Bは、それぞれコの字形状を有し、下部ランナー14Aがコの字の開口部が上側を向けられ、上部ランナー14Bはコの字の開口部が下側を向けられる。
基礎フレーム12には、振れ止め材17など壁構造10にて使用される公知の部材が適宜取り付けられてもよい。振れ止め材17は、複数のスタッド13間を掛け渡されるように横方向に延在する。
なお、建築用面構造が壁構造である場合、縦方向及び横方向とは、それぞれ鉛直方向、及び水平方向を意味する。ただし、縦方向及び横方向は、後述する天井構造及び床構造ではいずれも水平方向となり、互いに直交する。
また、壁構造10は、正面側、背面側のいずれにおいても複数の石膏ボード16が配置され、複数の石膏ボード16が横方向に並べられる。ここで、隣接する石膏ボード16、16は、互いの側面が突き合わされるように配置される。
なお、図1では、基礎フレームの正面側、背面側それぞれにおいて、1つの石膏ボード16によって1つの開口部を被覆するように石膏ボード16が取り付けられるが、1つの石膏ボード16によって2つ以上の開口部を被覆するように石膏ボード16が取り付けられてもよい。2つ以上の開口部を被覆する場合には、石膏ボード16同士の繋ぎ目(目地)は、後述する第3の実施形態でも述べるように、背面側と正面側では異なる位置にあったほうがよい。
石膏ボード用原紙は、粘弾性体との密着性を確保する観点から、プライマーが含浸されてもよい。プライマーは、粘弾性体に接触する部分に少なくとも含浸されていればよいが、作業性の観点からは、粘弾性体が接着される側の面の全面がプライマーに含浸されていてもよい。プライマーとしては、粘弾性体との接着性を向上できるものであれば特に限定されないが、ポリウレタン系プライマー、アクリル系プライマー、酢酸ビニル系プライマーなどが挙げられる。
横桟(ランナー)は、廻り縁や幅木で塞がれたり、板厚段差があったりするので、横桟に両面粘着テープを取り付けると段差が生じることがあるが、縦桟であるスタッドに取り付けても段差が生じることがなく、石膏ボード16を基礎フレーム12に固定させやすくなる。なお、両面粘着テープ20は、縦桟の長手方向である縦方向に沿って延在するように設けられる。
このとき、ビス19は、石膏ボード16の下端部16Q,上端部16Pの中央に1本ずつとするとよい。これにより、石膏ボード16がロッキング変形に追従できてパネルの面内方向の減衰性を発揮することができる。一方で、石膏ボード16の上記以外の部分をビスで固定するとロッキング変形に追従できないように、石膏ボード16が拘束されるので減衰性を発揮することができず、ビス廻りが破壊されやすくなる。
また、石膏ボードと縦桟に挟まれた粘弾性体が伝播音を吸収することでも音や打撃などによるパネルの面外方向の振動を減衰させる。したがって、壁構造10の一方の面(例えば正面)側で発生した音が、構造用面材及び桟を介して、壁構造10の他方の面(例えば、背面)側に伝達しにくくなるので、遮音性も向上する。
なお、貯蔵弾性率とは、0℃及50℃における貯蔵弾性率を意味し、0℃及50℃における貯蔵弾性率がいずれも上記範囲内であるとよい。
なお、せん断粘着力、及び貯蔵弾性率は後述する実施例記載の方法で測定できる。
なお、両面粘着テープの厚さとは、後述するように、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合には、粘着剤層単体の厚さを意味し、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープである場合には、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面までの厚さを意味する。
第1の実施形態において、建築用面構造の製造(組み立て)は、桟に、両面粘着テープを介して構造用面材を貼り合わせることで行うことが可能であるが、位置調整冶具を用いて行うことが好ましい。より具体的には、桟に着脱可能な位置調整冶具を取り付け、その後、構造用面材を位置調整冶具に当接させることで位置合わせして、構造用面材を粘弾性体を介して桟に固定させればよい。
以下、建築用面構造の製造方法の具体例を、図1~4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、位置調整冶具30は、例えば、金属筐体31と、金属筐体31の内部に収納された磁石32とを備え、直方体に形成される。ただし、位置調整冶具30の形状は、直方体に限定されず、後述する石膏ボード16が当接可能な平面(以下、「当接面33」ともいう)を1つ有していればいかなる形状でもよい。位置調整冶具30は、磁石32の磁力により桟(スタッド又はランナー)に着脱自在に取り付けることができる。
以下、説明のため、複数のスタッドのうちスタッド13Bと、下部ランナー14Aの交差位置18に位置調整冶具30が取り付けられるときの態様について説明する。
ただし、両面粘着テープ20は、全てのスタッドに取り付けらる必要はなく、少なくとも、各石膏ボード16の両側端部16X,16Yが当接されるスタッドに貼付されていればよい。
両面粘着テープ20が貼付されたスタッド13A~13Dは、例えば、壁構造10の高さよりも十分に長い金属部材を用意し、その金属部材に両面粘着テープ20を貼付し、その後、金属部材を切断し、かつ切断後の各金属部材の両端における両面粘着テープ20を取り除いて得ることが可能である。
さらに、スタッド13A~13Dに貼付された両面粘着テープ20は、石膏ボードが貼り合わされる直前まで、表面に剥離シートが貼付され剥離シートにより保護されているとよい。
図4に示すように、位置調整冶具30の当接面33は、開口部15Bに対して、横方向において両面粘着テープ20の開口部15B側の側端部20Xよりも遠い位置、すなわち、図4、5において、側端部20Xよりも右側にずれて配置される。ここで、開口部15Bは、位置調整冶具30によって位置決めされる石膏ボード16によって覆われる開口部である。また、本実施形態では、床面の開口部15Bに対応した位置に受け板35が配置される。受け板35は、施工時の床面が不陸な時などに石膏ボード16の下端部の精度を確保し、かつボードを横にスライドするために使用する治具である。
ここで、石膏ボード16は、位置調整冶具30に当接された状態で基礎フレーム12に向けて押されるので、決まった位置に配置されたうえで(すなわち、位置決めされた上で)、両面粘着テープ20に貼り合される。また、石膏ボード16は、受け板35の厚さ分、上方に浮いた状態で両面粘着テープ20に貼り合わされるので、予め決められた高さ位置に配置されることになる。
受け板35は、石膏ボード16Bが基礎フレーム12にある程度固定された段階で床面から取り除かれる。具体的には、受け板35は、石膏ボード16Bが両面粘着テープ20に貼り合された後に床面から取り除かれてもよいし、下端部16Pがビスなどによって下部ランナー14Aに固定された後に取り除かれてもよい。
ただし、2つの開口部16A,16Bの間にあるスタッドには、2本の両面粘着テープが設けられ、各両面粘着テープに各石膏ボード16,16の側端部16X,16Yが貼付されてもよい。このように、2本の両面粘着テープが設けられたほうが、石膏ボード16の取り付け作業が効率的になる。
また、基礎フレーム12の背面側にも同様に石膏ボード16を固定させるとよい。
図5は、第2の実施形態に係る壁構造40を示す。上記したように、第1の実施形態の壁構造10において、石膏ボード16は、基礎フレーム12の正面側、裏面側の両方に設けられたが、第2の実施形態の壁構造40では、図5に示すように、片面側(図5では下側)のみに石膏ボード16が設けられる。片面側に設けられる場合も、石膏ボード16の基礎フレーム12への取り付け構造、取り付け方法は上記同じである。
図6は、第3の実施形態に係る壁構造50を示す。第1の実施形態では、各スタッドに正面側及び背面側の両方に石膏ボードが固定されるいわゆるシングルスタッド構造を有しているが、第3の実施形態では、縦桟を構成するスタッドと石膏ボードの固定位置が千鳥状に配置される。
具体的には、複数のスタッド53B~53Hは、正面側(図6の下側)に両面粘着テープ55が貼付されたスタッド53B,53D,53F、53Hと、背面側(図6の上側)に両面粘着テープ55が貼付されたスタッド53C、53E、53Gが横方向に交互に並べられる。これにより、両面粘着テープ55は、横方向に見ると正面側、背面側に交互に千鳥状に配置される。ただし、横方向における両端のスタッド53A,53Iは、正面側及び背面側の両方に両面粘着テープ55が貼付される。
このように、石膏ボード56は、正面側及び背面側に千鳥状に配置された両面粘着テープ55により固定されることで、各スタッド53B~53Hは、正面側及び背面側の石膏ボードのいずれかから離間されて配置される。したがって、スタッド53B~53Hによって音が伝達しにくくなり、遮音性を高めやすくなる。
以上説明した第1~第3の実施形態では、構造用面材としては、石膏ボードが使用される例を説明したが、本発明では、合板、中密度繊維板(MDF)、木質セメント板、木毛セメント板などの石膏ボード以外のものを使用してもよい。構造強度上は合板やMDFなどのほうがよいが、防火上の観点からは、石膏ボードが使用される。
また、ビスは、両面粘着テープが存在する位置において、石膏ボードを基礎フレームに固定させてもよい。例えば、石膏ボードが両面粘着テープを介してスタッドに固定される場合において、石膏ボードはビスによってもスタッドに固定されてもよい。この場合、ビスは、石膏ボードに加えて両面粘着テープも貫通するように配置されてもよい。
ただし、ビスによってランナー以外に固定されると、面内変形および面外変形における減衰性が失われるので、石膏ボートは、上記のように両面粘着テープによって縦桟に固定し、それぞれ1本のビスによって、上端部、下端部をランナーに固定させることが好ましい。
また、ビスは省略されて、石膏ボードは両面接着テープのみで基礎フレームに固定されてもよい。
さらに、ビスや釘の代わりに構造用面材は、ネジによって基礎フレームに固定されてもよい。ネジは、石膏ボード及びスタッド又はランナーに予め設けられたネジ穴、ナットなどに挿入されるとよい。
本発明の別の側面は、パネル構造体を提供する。本発明のパネル構造体は、第1及び第2の構造用面材と、第1及び第2の構造用面材の間に配置され、これらを固定させる粘弾性体とを備える。以下、本発明の一実施形態に係るパネル構造体を第4の実施形態として具体的に説明する。
第1の石膏ボード66は、特に限定されないが、両面粘着テープ70(以下、便宜上、「第2の両面粘着テープ」ともいう)を使用して基礎フレーム62に固定すればよい。また、第2の両面粘着テープ70に加えてビス又はネジを使用して固定してもよい。このように、第2の両面粘着テープ70により、第1の石膏ボード66を、基礎フレーム62に固定するための構成は、上記第1~第3の実施形態において構造用面材を基礎フレームに固定するための構成と同じであるのでその説明は省略する。
さらに、第1の両面粘着テープ65は、縦方向に延在して配置されなくてもよく、例えば、石膏ボード66、67の上端部66B,67Bの間、下端部66A,67Aの間に配置され、横方向に延在してもよいし、他のいかなる位置に配置されてもよい。
ここで、接着面積とは、第1の両面粘着テープ65の第1及び第2の石膏ボード66、67の両方に接着している部分の面積の合計であり、2面に接触していることから、両方に接着している部分の面積に2を乗じることで得ることができる。通常、第1の両面粘着テープ65は、その全面が、石膏ボード66、67に接着するので、接着面積は、通常、両面粘着テープ65の面積に2を乗じることで得ることができる。また、第1及び第の2の石膏ボード66、67の総面積とは、パネル構造体60における、第1及び第2の石膏ボード66、67の互いに対向する側の面の面積の合計である。
パネル構造体60において上記接着面積を1%以上とすることで、第1及び第2の石膏ボード66、67を確実に固定することができ、第2の石膏ボード67が、第1の石膏ボード66から脱落したりすることを防止する。そのような観点から接着面積は、上記総面積の2%以上が好ましい。
また、接着面積の上限は、特に限定されないが、後述する空気層69の容積を多くする観点、及び経済性の観点から、10%が好ましく、5%がより好ましい。
これら観点から、第1の両面粘着テープ65の貯蔵弾性率は、105~107Paであることがより好ましく、105~106Paであることがさらに好ましい。
なお、貯蔵弾性率とは、上記したとおり、0℃及50℃における貯蔵弾性率を意味し、0℃及50℃における貯蔵弾性率がいずれも上記範囲内であるとよい。
また、第1の構造用面材を桟に接着させるための第2の両面粘着テープ70も、上記した第1~第3の実施形態に係る建築用面構造で使用された両面粘着テープと同様であり、その説明は省略する。
この場合、第2の両面粘着テープ70を用いて、第1の石膏ボード66を基礎フレーム62に固定させる方法は上記第1の実施形態で説明したとおりである。また、第1の石膏ボード66をネジ又はビスを用いて基礎フレーム62に固定する場合には、公知の方法で行うとよい。
一方、第2の石膏ボード67を第1の石膏ボード66に固定させる方法は、特に限定されないが、例えば第1及び第2の石膏ボード66、67のいずれか一方に第1の両面粘着テープ65を貼付した後、第1の石膏ボード66に第2の石膏ボード67を貼り合わせるとよい。
また、パネル構造体60を有する壁構造は、予め組み立てられたパネル構造体60を基礎フレーム62に固定させることで組み立ててもよい。
本発明のパネル構造体は、上記した第4の実施形態に示した構造に限定されず、様々な構造を有することが可能である。本発明のパネル構造体の別の態様を第5の実施形態として説明する。
第5の実施形態におけるパネル構造体では、第1及び第2の石膏ボードそれぞれが、2枚以上の石膏ボードからなる。また、横方向に沿って、第1の両面粘着テープは、第2の両面粘着テープと互い違いに配置される。
また、第1の石膏ボード86A、86Bは、上記第4の実施形態と同様に、第2の両面粘着テープ90を介して、基礎フレーム82を構成するスタッド83A~83Eに固定される。
なお、第1の両面粘着テープ85それぞれは縦方向に延在する。同様に、第2の両面粘着テープ90それぞれも縦方向に延在する。
このような配置により、第1の両面粘着テープ85は、端部以外の箇所において、基礎フレーム82を構成する桟とは重ならないようになる。したがって、基礎フレームを構成するスタッド83B,83C、83D(縦桟)と、第2の石膏ボード87A,87Bとの間には、空気層89が介在することになり、本実施形態では、縦桟及びパネル構造体を伝達して音が伝わりにくくなるので、遮音性がより向上する。
また、以上の第5の実施形態において、目地89には、2枚の両面粘着テープ85、85が設けられ、第2の石膏ボード87A,87Bが別々の両面粘着テープ85、85によって第1の石膏ボード86Bに接着されるが、1枚の両面粘着テープ85によって、第2の石膏ボード87A,87Bが第1の石膏ボード86Bに接着されてもよい。
同様に、目地88にも、2枚の第2の両面粘着テープ90、90が設けられ、第1の石膏ボード86A,86Bそれぞれが別々の両面粘着テープによってスタッド83Cに接着されるが、これら石膏ボード86A,86Bは、1枚の両面粘着テープによってスタッド83Cに接着されてもよい。
剛性及び質量を変える手段は特に限定されないが、例えば第1の石膏ボード86A,86Bそれぞれの横方向の長さと、第2の石膏ボード87A,87Bそれぞれの横方向の長さとを異なるものとすればよい。
また、第1の石膏ボード86A,86Bそれぞれの厚さと、第2の石膏ボード87A,87Bそれぞれの厚さを変えてもよく、例えば、第1の石膏ボード86A,86Bそれぞれの厚さを、第2の石膏ボード87A,87Bそれぞれの厚さよりも大きくするとよい。
また、第1の石膏ボードが、ビス、ネジなどの固定手段により基礎フレーム82に固定される場合も、第1の両面粘着テープ85は、その固定手段にできる限り重ならないようにするとよい。具体的には、正面から見たとき、固定手段の好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、さらに好ましくは10%未満で第1の両面粘着テープ85に重なり、最も好ましくは、固定手段は、第1の両面粘着テープ85に全く重ならない。
上記で第4及び第5の実施形態を用いて説明したパネル構造体は、本発明のパネル構造体の一例であって様々な変更を加えることが可能である。例えば、第4及び第5の実施形態では、第1及び第2の石膏ボードにより、石膏ボードが2重に重ねられたが、3重以上に重ねられたもよい。
また、第4及び5の実施形態においても、第1~第3の実施形態と同様に、第1及び第2の構造用面材として、石膏ボード以外のものを使用してもよい。石膏ボード以外の構造用面材の具体例は、上記した通りである。ただし、第4及び第5の実施形態においても、構造用面材としては、石膏ボードが好ましい。
以下、上記各実施形態で使用される両面粘着テープについてより詳細に説明する。
両面粘着テープは、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれ、粘着剤層単体からなるものであってもよいし、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであってもよい。粘着剤層は、粘弾性を有する層であり、したがって、本発明においては、粘弾性体とは、構造用面材及び桟、又は第1及び第2の構造用面材に貼付される両貼付面が粘弾性を有する層であれば、その間に支持体等の粘弾性体ではない部材が介在されるものも総称して粘弾性体とする。ただし、両面粘着テープは基材レス両面粘着テープが好ましく、したがって、両貼付面の間に粘弾性体ではない部材が介在しないほうがよい。
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2~14、より好ましくは4~10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、せん断接着力、及び貯蔵弾性率を上記した範囲に調整しやすくなる。
これらの中でも、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のTg、貯蔵弾性率、及びせん断粘着力などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、粘着剤のせん断強度を高くし、せん断粘着力が上記範囲内に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素-炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
オレフィン重合体(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、せん断粘着力などを上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、せん断粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~15質量部がより好ましく、4~12質量部がさらに好ましい。
重合性モノマーは、上記した(A)~(C)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、及びp-メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5~15質量部、より好ましくは1~7質量部、更に好ましくは1~5質量部である。
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5~40質量部、より好ましくは7~35質量部、さらに好ましくは10~25質量部である。
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粗面である桟及び構造用面材に対する粘着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは0.7~5質量部である。
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30~80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、せん断粘着力を上記範囲内に調整しやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤の粘着力を高めやすくなる。これら観点からゲル分率は、40~70質量%が好ましく、45~65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。なお、重合性モノマーは、ゲル分率を上記範囲内とするために、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)の少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。また、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)などの官能基を2以上有する化合物は、総称して架橋剤ということもある。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
次に、粘着剤に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン-イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25~70質量%、より好ましくは30~65質量%、さらに好ましくは45~60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン-イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000~400,000が好ましく、150,000~250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン-イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90~120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80~120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110~130℃、より好ましくは115~125℃のものを使用する。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50~200質量部が好ましく、60~150質量部が好ましく、60~110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~70質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましく、30~50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~60質量部が好ましく、15~50質量部がより好ましく、20~40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
上記したウレタン粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
[せん断粘着力]
幅15mm×長さ15mmに切断した両面接着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。23℃、50%RHの環境下、SUS板が両面に貼付された両面接着テープに対して、引張速度300mm/minでせん断方向に引っ張ることで破断時のせん断強度を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均をせん断粘着力とした。
測定装置:DVA-200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:-100℃~100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、0℃、50℃における貯蔵弾性率を求めた。試料サイズは、長さ60mm(但し、つかみ間距離25mm)、幅5mmであった。
各実施例、比較例で得られたパネル構造体について、JIS A 1416:2000の「実験室おける建築部材の空気音遮断性能の測定方法」の試験方法に準拠して、中心周波数125、250、500、1000、2000、4000Hzの6帯域の遮音性能(音響透過損失)を測定した。日本建築学会の遮音基準曲線にあてはめ、上記6帯域のすべての測定値が上回る基準曲線のうちの最大の基準曲線の数値をD値とした。
各実施例で得られたパネル構造体における両面粘着テープの接着面積で、第2の石膏ボードとして3×6版の石膏ボード1枚を、第1の石膏ボードに接着すると仮定して、3×6版の石膏ボード1枚当たりのせん断接着力がどの程度になるかにより評価した。安全率を考慮して1470N以上になると、十分なせん断接着力を有すると考えられる。
(両面粘着テープの作製)
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ700mmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープを得た。粘着剤層(すなわち、両面粘着テープ)の厚さは500μm、ゲル分率は55%であった。また、粘着剤層のせん断粘着力は105N/cm2であった。
オレフィン重合体:商品名「L-1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ-27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
架橋剤:商品名「TEAI-1000」、日本曹達株式会社製
重合開始剤:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン
それぞれが木製の角材でかつ幅89mm、厚さ38mmである、2本の横桟と、5本の縦桟と、4本の補強材により、縦2460mm、横1820mmの基礎フレームを作製した。具体的には、5本の縦桟を平行、かつ等間隔に並べて、その5本の縦桟の上端面を一方の横桟(上部横桟)の下面に接合させ、さらに5本の縦桟の下端面を他方の横桟(下部横桟)の上面に接合させた。各補強材は、基礎フレームの全縦長さの下側から3/4の位置において、横桟に平行となるように、各縦桟の間に掛け渡すように配置させた。各補強材は、その両端面それぞれを各縦桟の側面に接合させた。
基礎フレームの各横桟、各縦桟の正面全面に両面粘着テープを貼付し、その両面粘着テープを介して、2枚の石膏ボードを横方向に並べて貼り合わせて復元性能試験用試験体とした。各石膏ボードは、縦2460mm、横910mmであった。
復元性能試験は、上記復元性能試験用試験体を、縦桟を鉛直方向に平行となるように、固定台の上に配置して、下部横桟を固定台に固定させ、上部横桟の上方に加力冶具を取り付けた。加力冶具には、試験体の浮き上がりを防止するためのタイロッドを取り付けた。
加力冶具には、油圧ジャッキにより上部横桟の長手方向に一致する方向に繰り返し加力を作用させた。繰り返し加力は、正負を繰り返し、かつ変位角を徐々に大きくすることで行ったところ、せん断変形角が1/30radとなっても石膏ボードは崩落しなかった。
内寸で横2080mm×奥行1896mm×高さ2400mmの直方体の箱状の躯体を作製した。躯体においては、4本の支柱を4隅に立てて、かつ床面と天井には梁により四角形の枠組みを作り、そこに3本の子梁を奥行方向に平行に渡した。また、各支柱間を筋交で固定し、かつ支柱と床面側の梁とは方杖により固定した。床面と天井には構造用合板を、ボルト及びピンを用いて固定した。天井の上にはさらに錘として1850mm×1850mmの2.3トンの鋼板を設置した。
(減衰試験用試験体)
高さ240cm、幅50mm、厚さ0.8mmの5本の鉄製のスタッドと、長さ180cm、幅50mm、厚さ0.8mmの2本の鉄製のランナーを用意し、基礎フレームを作製した。各スタッドの正面には、幅35mm、長さ230cmの両面粘着テープを貼り合わせた。両面粘着テープは、ランナーとの交差位置には存在しないようにスタッドの正面側のみに貼り付けた。
上記基礎フレームには、両面粘着テープを介して、240cm×90cmの石膏ボードを2枚固定させて、減衰試験用試験体を得た。
上記で得られた減衰試験用試験体を、ランナー方向を減衰試験装置の横方向に平行にして、上記の減衰試験装置の内部の中央に立設し、床面及び天井の構造用合板に固定した。試験装置の天井には、さらに水平型起振機を設置した。水平型起振機を用いて、周波数20Hz~1Hzで0.1Hz毎に変調し、周波数に対する試験体の応答を確認して、固有振動数を求めた。実施例1では、固有振動数は1.6Hzであった。
その固有振動数において起振機の加速度が25galとなる条件で加振を行い、加振力を瞬断した後の自由振動波形を記録した。その結果を図11に示す。自由振動波形において、起振機停止と判断した時刻より、初めに確認される応答加速度のピーク(場合によってプラス側、マイナス側の両方が有り得る)から順番にピークの読み出しを行い、以下の式により減衰定数hを算出した。振動がなくなるまで1~n番目までのピークを読み取り、ピーク毎に減衰定数hは求め、その平均値を実施例1の減数定数とした。実施例1の減数定数は0.11であった。
上記減衰試験において、石膏ボードを両面粘着テープの代わりに、15cmおきに配置した径3mm、長さ28mmのビスにより固定した点を除いて実施例1と同様に実施した。比較例1の自由振動波形を図11に示す。また、比較例1の固有振動数は1.7Hz、減衰定数は0.04であった。
(両面粘着テープの作製)
実施例1において、両面粘着テープの作製においてTEA-1000(架橋剤)の量を0.5質量部に変更した点以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例2では、上記両面粘着テープを使用して図10に示す壁構造を作製した。
具体的には、幅8mm、長さ2100mmの第2の両面粘着テープ90を複数本用意し、それぞれを各スタッド83A~83Eの正面側(すなわち、図9の上側の面)に貼り合わせた。ここで、各スタッド83A~83Eは、基礎フレームの縦桟を構成するものであり、その両端部は、図示しない上部ランナー、下部ランナーに挿入させられていた。また、基礎フレーム82の背面側(すなわち、図9の下側)には、図示しない縦2170mm、横1820mm、厚さ12.5mmの石膏ボードが固定されていた。なお、第2の両面粘着テープ90は、上部ランナー及び下部ランナーとの交差部分に第2の両面粘着テープ90が存在しないように、各スタッドに貼り合わせた。次いで、第1の石膏ボード86A,86Bを、第2の両面粘着テープ90を介して、スタッド83A~83Eに貼り合わせた。
なお、石膏ボード86Aは縦217cm、横91cm、厚さ12.5mm、石膏ボード86Bは縦217cm、横91cm、厚さ12.5mmであった。石膏ボード87Aは縦217cm、横45.5cm、厚さ9.5mm、石膏ボード87Bは縦217cm、横91cm、厚さ9.5mm、石膏ボード87Cは縦217cm、横45.5cm、厚さ9.5mmであった。また、第1の両面粘着テープ85は、それぞれ幅8mm、長さ2100mmであり、これにより、接着面積は3%となった。
第2の両面粘着テープ90を省略して、第1の石膏ボードをビスによりスタッド83A~83Eにより固定した点、第2の石膏ボード87A,87Bそれぞれに貼付される第1の両面粘着テープ85の幅を2.7mmと狭くした点を除いて実施例2と同様に実施した。なお、第1の両面粘着テープ85は、各第2の石膏ボード87A,87Bの両側端部に貼付した。
両面粘着テープの作製において、TEA-1000(架橋剤)の量を2.0質量部に変更した点を除いて実施例3と同様に実施した。
第1の両面粘着テープ85の幅を1mmにした点を除いて実施例3と同様に実施した。
第1の両面粘着テープによって第2の石膏ボードを第1の石膏ボードに貼り合わせる代わりに、第2の石膏ボードを第1の石膏ボードに重ね合わせて、これらをビスにより固定した点を除いて実施例3と同様に実施した。
12、52、82 基礎フレーム
13A~13D、53A~53I、83A~83E スタッド(縦桟)
14A,14B ランナー(横桟)
15A~15C 開口部
16、56 石膏ボード
20、55 両面粘着テープ(粘弾性体)
30 位置調整冶具
60 パネル構造体
65、85 第1の両面粘着テープ(粘弾性体)
66、86A,86B 第1の石膏ボード(第1の構造用面材)
67、87A,87B 第2の石膏ボード(第2の構造用面材)
69、89 空気層
70、90 第2の両面粘着テープ(粘弾性体)
Claims (13)
- 桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、
前記構造用面材と前記桟の間に配置され、前記桟に前記構造用面材を固定させる粘弾性体を有し、
前記粘弾性体が両面粘着テープであり、かつ前記粘弾性体の0℃及び50℃における貯蔵弾性率が1.0×105~0.5×108Paであり、
前記桟が、縦方向に延在する縦桟と、横方向に延在する横桟を備え、前記縦桟と横桟により基礎フレームが構成され、
前記横桟と縦桟により形成された開口部を覆うように構造用面材が取り付けられ、
前記構造用面材が、前記基礎フレームに前記両面粘着テープのみで固定され、または、前記両面粘着テープ、及び前記構造用面材の上端部及び下端部それぞれに配置された1本のビス、ネジ、又は釘によって固定される、建築用面構造。 - 前記構造用面材が石膏ボードである、請求項1に記載の建築用面構造。
- 前記石膏ボードが、その外周を被覆する石膏ボード用原紙を備え、前記石膏ボード用原紙が、前記粘弾性体に接触する部分にプライマーが含浸される請求項2に記載の建築用面構造。
- 前記粘弾性体のせん断粘着力が20N/cm2以上ある請求項1~3のいずれか1項に記載の建築用面構造。
- 前記構造用面材が、前記粘弾性体を介して前記縦桟に固定される請求項1~4のいずれか1項に記載の建築用面構造。
- 桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、前記構造用面材と前記桟の間に配置され、前記桟に前記構造用面材を固定させる粘弾性体を有する、建築用面構造の製造方法であって、
前記桟に着脱可能な位置調整冶具を取り付け、
前記構造用面材を前記位置調整冶具に当接させることで位置合わせして、前記構造用面材を前記粘弾性体を介して前記桟に固定させる
建築用面構造の製造方法。 - 前記粘弾性体が取り付けられた桟に前記構造用面材を固定させる請求項6に記載の建築用面構造の製造方法。
- 前記桟が、縦方向に延在する縦桟と、横方向に延在する横桟とを備え、前記縦桟と横桟により基礎フレームが構成され、
前記横桟と縦桟により形成された開口部を覆うように構造用面材が取り付けられる請求項6又は7に記載の建築用面構造の製造方法。 - 前記縦桟と横桟の交差位置に前記位置調整冶具が取り付けられる請求項8に記載の建築用面構造の製造方法。
- 前記縦桟に前記粘弾性体が取り付けられ、前記構造用面材の少なくとも両側端部が、前記粘弾性体によって前記縦桟に固定される請求項8又は9に記載の建築用面構造の製造方法。
- 前記横桟と、前記粘弾性体が取り付けられる縦桟との交差位置に前記位置調整冶具が取り付けられ、前記構造用面材が、前記縦桟と横桟により形成される開口部を覆うように取り付けられ、
前記位置調整冶具の前記構造用面材が当接される当接面は、前記粘弾性体の前記開口部側の側端部よりも、横方向において、前記開口部から遠い位置にずれて配置される請求項10に記載の建築用面構造の製造方法。 - 前記構造用面材の上端部及び下端部が、前記横桟にビス、ネジ及び釘からなる群から選択される少なくとも1つによって固定される請求項10又は11に記載の建築用面構造の製造方法。
- 前記位置調整冶具が磁石を備え、磁力により前記桟に着脱自在に取り付けられる請求項6~12のいずれか1項に記載の建築用面構造の製造方法。
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