JP7131634B2 - 鋼部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は鋼部材の製造方法、具体的にはナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法に関する。
近年、特に自動車分野等において、車体の骨格部材で高強度鋼板を熱間プレスしたホットスタンプ材を使用する事例が見られる。また、たとえば、フロントサイドメンバーやセンターピラー、ヒンジリンフォース等の自動車用構造部材においては、ホットスタンプ材からなる部品にナットやボルトが溶接された鋼部材が用いられている。
ナットやボルトが溶接された鋼部材の製造には、プロジェクション溶接法により鋼板の表面にナット又はボルトを接合する方法が一般的である。プロジェクション溶接によって得られる自動車用構造部材には、鋼板とナット、ボルトとの接合強度が高く、かつ、ばらつきが小さいことが求められる。
特許文献1には、溶接部の遅れ破壊特性、静的強度特性に優れた自動車用構造部材として、高強度鋼板とナット又はボルトがプロジェクション溶接によって接合された自動車用構造部材であって、ナット又はボルトのプロジェクションの周囲に局所的に凹部が設けられた構成が開示されている。
特許文献2には、優れた遅れ破壊特性、高い静的強度を得ることが可能な、ナット又はボルトを有する自動車用構造部材として、高強度鋼板とナット又はボルトがプロジェクション溶接によって接合された自動車用構造部材であって、高強度鋼板における熱影響部の板厚方向の深さを所定の範囲とする構成が開示されている。
特許文献3には、ナットまたはボルトの化学成分、ならびに、高強度鋼板の引張強さ、板厚、炭素当量を規定して接合部の硬さと靭性を適度に制御し、さらに、ナットまたはボルトと高強度鋼板との接合部の面積と、ナットまたはボルトの呼び径部分の面積との比を適正範囲で規定することで、トルク剥離強さおよび押込み剥離強さ等の静的強度に優れたプロジェクション溶接継手を製造する方法が開示されている。
特許第5626025号公報 特許第5613521号公報 特開2012-157900号公報
例えば自動車用構造部材には、亜鉛系めっき鋼板を熱間プレスしたホットスタンプ材を使用することもある。表面に亜鉛系めっきが形成されたホットスタンプ材にナット又はボルトをプロジェクション溶接で接合する場合は、表面に亜鉛系めっきが形成されていないホットスタンプ材にプロジェクション溶接を行う場合と比べて、接合強度のばらつきが発生しやすくなる。また、自動車用構造部材以外においても、表面に亜鉛系めっきが形成された鋼材にナット又はボルトをプロジェクション溶接で接合する場合は、同様に接合強度のばらつきが発生しやすくなる。ここで、亜鉛系めっきとは、亜鉛を含むめっきを意味する(以下、同じ)。
一定の接合強度を確保するために個別にアーク溶接等の他の接合プロセスを用いると、その分、コスト高となる。その結果、部材によって、高強度鋼板を用いることが阻害される。
本発明は、上記の課題を解決し、亜鉛系めっきを有する鋼材にプロジェクション溶接によりナット、ボルトを接合する場合、安定して高い接合強度(具体的には押込み剥離強度)を得ることができるナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、亜鉛系めっき鋼材にナットやボルトをプロジェクション溶接で接合する場合に、安定して、高い接合強度を得る方法について、鋭意検討した。その結果、接合強度のばらつきの原因となるのは、鋼材表面に存在する高抵抗体である酸化被膜であることが確認できた。
本発明者らは、さらに検討を進め、本発明をなした。その要旨は以下のとおりである。
(1)表面に亜鉛系めっきを有する鋼材と、複数のプロジェクションを備えたナット又はボルトを、加圧しながら通電加熱を行うプロジェクション溶接によって接合する、ナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法であって、予備通電工程、クール工程、及び本通電工程を順に備え、前記予備通電工程では、前記複数のすべてのプロジェクションの高さが予備通電工程の前と比較して0.7~0.9倍となるように通電を行い、前記クール工程は、70ms以上の無通電とする時間を有し、前記本通電工程では、前記予備通電工程よりも高い電流を流すことを特徴とするナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
(2)前記クール工程における前記無通電とする時間が400ms以下であることを特徴とする前記(1)のナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
(3)前記鋼材の接合前の引張強さが1100MPa以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)のナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
(4)前記鋼材の常温における接触抵抗が1mΩ以上であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかのナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
本発明によれば、亜鉛系めっきを有する鋼材にプロジェクション溶接によりナット、ボルトを接合する場合であっても、安定して、高い接合強度(具体的には押込み剥離強度)を得ることができる。
プロジェクション溶接において、各プロジェクションに流れる電流の大きさの差を模式的に示す図であり、(a)は本発明の場合で、予備通電によって、プロジェクションから鋼板に電流が流れることで鋼板表面の酸化被膜が破壊されて除去又は薄膜化され、プロジェクションからの電流が流れる領域での抵抗が均一化されて、その後の本通電で各プロジェクションに電流が均一に流れる様子を示す図である。(b)は、従来の場合で、鋼板表面の酸化被膜の厚さにばらつきがあり、各プロジェクションに流れる電流に差がある様子を示す図である。鋼板表面の酸化被膜の厚さのばらつきと各プロジェクションでの電流の流れ方の関係を説明するための図であり、ナット孔とネジ山および鋼板に予成形されたねじ孔は省略している。 ナットのプロジェクションの高さを説明する図である。ナットに成形されたねじ孔は省略している。 接触抵抗の測定方法を説明する図である。 実施例における、押込み剥離試験後の破断面を示す写真である。 実施例における、クール工程の無通電時間と片側工程能力指数との関係を示すグラフである。
はじめに、本発明者らが本発明に至った検討内容について説明する。以下、亜鉛系めっきホットスタンプ材にナットをプロジェクション溶接で接合する場合について説明するが、ボルトを接合する場合であっても同様である。また、亜鉛系めっきホットスタンプ材に限られず、亜鉛系めっきを有する鋼材に接合する場合も同様である。なお鋼材とは、鋼板、および鋼板を成形した成形体等を含む鋼製品を指す。
本発明者らは、亜鉛系めっきホットスタンプ材にプロジェクション溶接によりナットを接合する際に、接合強度にばらつきが生じるのは、鋼板表面に高抵抗体である酸化被膜が存在するためと考えた。より具体的には、以下のとおりである。
特に亜鉛系めっき鋼板を熱間プレスした場合、鋼板の表面には酸化被膜が生じる。酸化被膜は厚さが一定に形成されるのではなく、ある程度の濃淡、つまり厚さのばらつきをもって形成される。たとえば、ナットが複数のプロジェクションを有する場合、各プロジェクションが鋼板に接する位置で酸化被膜の厚さに差があると、酸化被膜は高抵抗体であるから、比較的酸化被膜が薄い位置に接するプロジェクションに電流が流れやすくなり、各プロジェクションに流れる電流の大きさに差が生じる。
図1はこれを模式的に示したものである。なお、図1に示すプロジェクション溶接では、上側電極11aをナット14に接触させ、下側電極11bを鋼板12に接触させ、さらにナット14が有する複数のプロジェクション15を鋼板12に接触させて、上側電極11aから下側電極11bに向けて電流16を流すことで溶接を行う。図1(a)はプロジェクション15から鋼板12に電流が流れる領域での酸化被膜13の厚さが予備通電によって均一化されており、本通電で各プロジェクション15に電流が均一に流れる様子を示す図であり、図1(b)は酸化被膜13に濃淡つまり厚さのばらつきがあり、各プロジェクション15に流れる電流に差がある図である。
図1(b)に示すように、各プロジェクション15に流れる電流16の大きさに差があると、その結果、圧接径に差が生じることとなり、接合強度にばらつきが生じる。すなわち、電流16が集中したプロジェクション15は溶接の初期に潰れ、電流16が流れにくくなったプロジェクション15は溶接の終期までプロジェクションが潰れないので、圧接の条件が各プロジェクション15で異なることとなり、圧接径に差が生じる。なお圧接径とは、プロジェクション溶接の際の電流によって溶融して潰れ鋼板12に接合されたプロジェクション15の、鋼板12との接合面の径を指す。
本発明者らは、これを確認するために、亜鉛系めっき鋼板に熱間プレスを施した亜鉛系めっきホットスタンプ材について、そのままプロジェクション溶接でナットをとりつけた場合と、ショットブラストにより表面の酸化被膜を取り除いた後にプロジェクション溶接でナットをとりつけた場合について、押込み剥離試験により接合強度を比較した。
その結果、ショットブラストにより酸化被膜を取り除いた場合、多数のプロジェクション溶接を行った際に、接合強度のばらつきが小さくなり、接合強度の平均値も大きくなることが確認された。また、観察の結果、ショットブラストを行わずそのままプロジェクション溶接でナットをとりつけた場合は各プロジェクション位置での接合面積(圧接径)が不均一となっていることが確認された。
以上より、亜鉛系めっきホットスタンプ材にプロジェクション溶接により溶接ナットを接合した場合の接合強度のばらつきは、表面の酸化被膜の存在に起因するものであることが確認できた。
ただし、ショットブラストにより酸化被膜を除去する方法は、工程を1つ追加することとなり、コスト高となる問題を解決できないため、本発明者らは、溶接条件を変えることにより、プロジェクション溶接における本通電工程の前に酸化被膜を除去又は薄膜化して、各プロジェクションから電流が流れる領域の酸化被膜の厚さを均一化する方法を検討し、本発明をなしたものである。以下、本発明について説明する。
本発明の鋼部材の製造方法は、表面に亜鉛系めっきを有する鋼材と、複数のプロジェクションを備えたナット又はボルトを、加圧しながら通電加熱を行うプロジェクション溶接によって接合して、ナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材を製造する方法である。その際、ナット又はボルトをプロジェクション溶接により接合するための通電を行う工程(本通電工程)の前に、予備通電工程として、鋼材とナット又はボルトにおける複数のプロジェクションとを接触させた状態で加圧し、本通電よりも低い電流を流す工程、及びクール工程として通電を行わない工程を設ける。
予備通電工程において、各プロジェクション15と接する鋼板12の酸化被膜13を破壊して除去又は薄膜化する。酸化被膜13は固有抵抗値が高く、分布も一様とは限らないため、予備通電工程で酸化被膜13を破壊して除去又は薄膜化することにより、各プロジェクション15から電流16が流れる領域の酸化被膜13の厚さが均一化され、各プロジェクション15の接触点の電流経路での抵抗がほぼ均一化する。そのため、接合部を形成するための本通電工程では、図1(a)に示すように、各プロジェクション15における電流16の密度が均一となり、各点で均一な接合部が形成可能となる。
本通電での電流密度を均一化するためには、ナットが有する複数のすべてのプロジェクションのプロジェクション高さ(図2参照)が予備通電開始前の0.7~0.9倍となるようにする。複数あるすべてのプロジェクションのプロジェクション高さが予備通電開始前の0.7~0.9倍となるようにするには、予備通電工程での電流の大きさ、通電時間、および加圧力等を調整して行う。
ここで、複数あるすべてのプロジェクションのプロジェクション高さが予備通電開始前の0.7~0.9倍となるよう、予備通電工程を実施する方法について説明する。該方法としては、平板である鋼板を用いて予備通電のみのテスト溶接を行い、予備通電工程の各種条件を予め決定する方法が挙げられる。なお、テスト溶接での予備通電工程の前後でのプロジェクション高さは、平板である鋼板を用いて予備通電のみのテスト溶接を行い、予備通電の前後で、たとえば、ノギスやレーザ式の計測器で測定すればよい。このテスト溶接により、すべてのプロジェクションの高さが予備通電開始前の0.7~0.9倍となる予備通電電流、通電時間、および加圧力を決定し、その予備通電電流、通電時間、および加圧力を用いて、以降のプロジェクション溶接を行えばよい。
予備通電工程の前後のプロジェクション高さは、たとえば、ナット又はボルトが鋼板に接した状態で、それぞれのプロジェクションの位置で、鋼板とプロジェクションを含めたナット又はボルトとの全体の厚さを測定し、この全体の厚さから鋼板の厚さとナット又はボルトのプロジェクションを除いた部分の厚さとを引いた値として求められる。
予備通電後のプロジェクションのプロジェクション高さが予備通電開始前の0.9超~1.0倍の範囲では、予備通電によって、酸化被膜を破壊し、除去又は薄膜化する効果がほとんど得られない。そのため、各プロジェクション(3または4個の場合が多い)位置における電流密度が均一にならない。予備通電後のプロジェクションのプロジェクション高さが予備通電開始前の0.7倍未満となると、プロジェクションの潰れが大きくなりすぎ、本通電工程において必要な電流密度が得られなくなり、適切な溶接が行われなくなる。
予備通電工程の電流値は本通電工程の電流値より低く、たとえば、本通電工程の電流値の1/3~1/5とすることができる。具体的には、予備通電工程においてプロジェクション1つあたりの電流値を1.0~1.4kAとすることができる。予備通電の工程に要する時間は数十ms程度であり、プロジェクション溶接を行う装置で行うので、コストに大きく影響はしない。
予備通電工程と本通電工程の間には、70ms以上無通電とする(つまり通電を行わない)時間である無通電時間を有する工程(クール工程)を設ける。クール工程では電流を0とすれば、加圧した状態は保持したままでよい。クール工程を設けることにより、各プロジェクションの温度が均一化されて、プロジェクション中を流れる電流の流れ易さも均一化される。これにより、本通電で各プロジェクションに流れる電流が均一になり、鋼板とナットの接合強度のばらつきを低減することができ、押込み剥離強度のCp(片側工程能力指数)が上昇する。無通電時間を80ms以上、180ms以上、または200ms以上とするとより効果的である。
クール工程の時間を長くすると特性上のデメリットは少なくない。ただし、予備通電工程から加圧力を一定とする場合、クール工程の時間を長くするとCpが低下し、またプロジェクション高さの減少が進むため、本通電工程での接合部の発熱、および温度上昇が得られにくくなるので、400ms以下、さらには360ms以下とすることが好ましい。
以上のように、予備通電工程において、各プロジェクションと接する鋼板の酸化被膜を破壊して除去又は薄膜化し、且つクール工程で各プロジェクションの温度を均一化することにより、続く本通電工程において、各プロジェクションに電流を均一に流すことが可能となり、鋼板とナットの接合強度が高く、接合強度のばらつきが小さい鋼部材を得ることができる。一般的なプロジェクションを備えたナット又はボルトの場合、プロジェクション溶接前のプロジェクション高さは0.9~1.0mmmmであり、本通電後のプロジェクション高さが0mm近傍となるのが好ましい。
なお、予備通電工程の前の工程、及び本通電工程の後の工程は特に限定しない。一般的なプロジェクション溶接と同様に、圧力のみを加え、電流を流さずに保持する工程があってもよい。
本発明の鋼部材の製造方法に用いる鋼材は、表面に亜鉛系めっきを有する鋼材であれば、特に限定されない。鋼材表面に酸化被膜を生じさせやすいものとして熱間プレスがあげられ、熱間プレスは高強度鋼板に対して適用されることが多いので、特にホットスタンプ材に用いる高強度亜鉛系めっき鋼板に対して好適である。高強度の亜鉛系めっきを有する鋼材としては、たとえば接合前の引張強さが1100MPa以上の亜鉛系めっき鋼材を例示できる。
また、プロジェクション溶接による接合強度のばらつきの発生は、鋼材表面にある高抵抗体の酸化被膜に起因することが多いので、常温における接触抵抗が1mΩ以上である鋼材に好適である。たとえば、亜鉛系めっき鋼板に熱間プレスを施した場合などは酸化被膜を生じやすく、接触抵抗が大きくなりやすいので、本発明に好適である。
接触抵抗の測定方法を図3に示す。表面に亜鉛系めっき33を有する1枚の鋼板32をスポット溶接用の上側電極31aおよび下側電極31bで挟む。電極に1Aの電流Iを通電する。上側電極31aと鋼板32との間の電圧V1、下側電極31bと鋼板32との間の電圧V2を測定する。
上側電極31aと鋼板32間の電気抵抗をR1、下側電極31bと鋼板32間の電気抵抗をR3、鋼板32のバルク(母材)そのものの固有抵抗に起因する抵抗をR2とする。R2はゼロと近似できる。また、上下の電極31a、31bの抵抗もゼロと近似できる。よって、測定された電圧V1、V2と電気抵抗R1、R3との間の関係は次のように近似できる。
V1=(R1+R2)×I≒R1×I=R1×1(A)=R1
V2=(R2+R3)×I≒R3×I=R3×1(A)=R3
R1、R3のいずれか大きいほうの抵抗値を本発明での接触抵抗とする。なお、図3では両面に亜鉛系めっき33が形成された鋼板32を示すが、本発明では片面のみに亜鉛系めっきが形成された鋼板を用いてもよい。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は本発明の実施の態様の一例であり、本発明が以下の態様に限定されるわけではない。
引張強さ1.5GPa、板厚2.3mm、常温における接触抵抗が12mΩ、亜鉛系めっきを両面に有する、ホットスタンプされた鋼板に、表1に示す条件で、プロジェクション溶接により、プロジェクションを有するナットを接合した。
ナットには、JIS B 1196:2010に準拠した、接合面に略半球状のプロジェクションを備えたものを使用した。より具体的には、強度区分8Tで、3個または4個(比較例No.10がプロジェクションが4個の実施例)のプロジェクションの突出距離(プロジェクション高さ)が0.90mm又は1.00mmのナットを用いた。
本実施例では、プロジェクション溶接を行う前に、まず、鋼板にドリルでピアス孔を形成し、その後、ガイドピンを利用してピアス孔の中心と、ナットのねじ孔の中心とをおおむね一致させた状態とし、鋼板とナットとを重ね合わせた状態で、上下の電極で加圧しながら通電加熱を行ってプロジェクション溶接した。
プロジェクション溶接には定置式のプロジェクション溶接機を用い、0.5sの初期加圧の後、表1に記載の条件による予備通電工程、クール工程、本通電工程を経て、0.17s電極を保持した後、圧力を解放した。なお、全工程を通して上下の電極による加圧力を表1に記載の条件とした。表1に記載の各条件について、同じ溶接条件でプロジェクション溶接を行い、15個の供試材を作製した。
予備通電工程後及び本通電工程後のプロジェクション高さは、レーザ変位計で鋼板とプロジェクションを含めたナットとの全体の厚さを測定し、この全体の厚さから鋼板の厚さとナットのプロジェクションを除いた部分の厚さとを引いた値として求めた。表1には、3個または4個ある各プロジェクション高さの15個の平均値を記載した。発明例(No.1~No.7)においては、15個の各プロジェクション高さの予備通電前後での比がすべて、本発明範囲である0.7~0.9に入っていることを確認した。
作製した供試材について、JIS B 1196:2010で規定された押込み剥離試験を行った。この際、鋼板とナットとを接合した供試材における鋼板側から、ピアス孔を通じてボルトをねじ込み、ボルトの頭部から圧縮荷重を付与し、ナットが剥離した際の荷重(押込み剥離強度)を測定した。表1には、15個の供試材の押込み剥離強度の平均値を記載した。また、15個の供試材の押込み剥離強度から、規格下限を10.5kNとしたときの片側工程能力指数(Cp)を求め表1に記載した。なお片側工程能力指数(Cp)とは、対象とする工程がどれだけ均一にばらつきを少なく、且つ求められる性能をもつ製品を作製することができるかを示す指標である。
本実施例では、平均押込み剥離強度10.5kN以上、Cp1.33以上を「OK」とし、この基準を満たさなかったものを「NG」とした。
本発明の鋼部材の製造方法によれば、ナットの押込み剥離強度が、ばらつきなく、高い値で安定して得られることが確認できた。
予備通電、クール工程がない従来方法(No.8)で製造した場合、押込み剥離強度の平均値は、本発明の製造方法と比べ低いものの、判定基準は超える値となった。しかしながら、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
予備通電工程を備えるがクール工程がない方法(No.9、10)で製造した場合、押込み剥離強度の平均値は、本発明の製造方法の場合と同等であったが、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
予備通電工程を備えるがクール工程がない方法で製造し、予備通電工程におけるプロジェクション高さの変化が小さい場合(No.11)、押込み剥離強度は判定基準を超えるものの低い値となり、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
予備通電工程を備えるがクール工程がない方法で製造し、予備通電工程におけるプロジェクション高さを大きく変化させた場合(No.12)、押込み剥離強度は判定基準を超えるものの低い値となり、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
予備通電、クール工程を備えるが、予備通電工程においてプロジェクション高さを大きく変化させた場合(No.13)は、押込み剥離強度の平均値は、本発明の製造方法の場合と同等であったが、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
予備通電、クール工程を備えるが、クール工程において無通電時間が短い場合(No.14)は、押込み剥離強度の平均値は判定基準を超える値となったものの、供試材間のばらつきが大きく、片側工程能力指数の判定は「NG」となった。
図4に押込み剥離試験後の接合部の破断面を示す。(a)が発明例(No.1)のものであり、(b)が予備通電、クール工程を行わなかった比較例(No.8)のものである。発明例では、各(3個の)プロジェクション接合部がほぼ均等に破断しているが、(b)では破断状態に差があり、また、接合部に酸化亜鉛が残留していることが確認できた。
図5にクール工程での無通電時間と片側工程能力指数の関係を示す。クール工程の無通電時間を70ms以上とすることにより片側工程能力指数を上昇させることができることが確認できた。
Figure 0007131634000001
11a 上側電極
11b 下側電極
12 鋼板
13 酸化被膜
14 ナット
15 プロジェクション
16 電流
31a 上側電極
31b 下側電極fs
32 鋼板
33 亜鉛系めっき

Claims (4)

  1. 表面に亜鉛系めっきを有する鋼材と、複数のプロジェクションを備えたナット又はボルトを、加圧しながら通電加熱を行うプロジェクション溶接によって接合する、ナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法であって、
    予備通電工程、クール工程、及び本通電工程を順に備え、
    前記予備通電工程では、前記複数のすべてのプロジェクションの高さが予備通電工程の前と比較して0.7~0.9倍となるように通電を行い、
    前記クール工程は、70ms以上の無通電とする時間を有し、
    前記本通電工程では、前記予備通電工程よりも高い電流を流す
    ことを特徴とするナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
  2. 前記クール工程における前記無通電とする時間が400ms以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
  3. 前記鋼材の接合前の引張強さが1100MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
  4. 前記鋼材の常温における接触抵抗が1mΩ以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のナット及びボルトの一方又は両方を有する鋼部材の製造方法。
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