JP7131298B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品に関する。より詳しくは、本発明は、パッケージ化された電子部品に関する。
固体電池、積層セラミックコンデンサおよびチップサーミスター等の電子部品は、従来から、空気中の水蒸気によって特性劣化することが知られている。このため、電子部品は、ドライルーム内で製造したのち、水蒸気の浸入を防止するパッケージを施して出荷する必要がある。例えばリチウムイオン固体電池では、アルミラミネートパウチで電池本体を保護する。電極から引き出したタブのみがアルミラミネートパウチの外部に露出しており、タブを通じて電圧を得る。しかしながら、このようなアルミラミネートパウチは、構造上、シール部の存在により、パッケージ体積の小型化が困難である。電池が小型化するほど、電池に対するパッケージの体積割合が大きくなる。また、固体電池、積層セラミックコンデンサおよびチップサーミスター等に代表されるチップ形状の電子部品に対しては、アルミラミネートパウチによりパッケージ化すると、アルミラミネートパウチの低い耐熱性に起因して、電子部品の表面実装性が失われることが課題であった。詳しくは、アルミラミネートパウチの耐熱性がはんだ付け時の加熱温度より低いため、表面実装機を用いて基板等の表面にはんだ付けにより実装することは困難であった。
直方体に近い形状の電子部品、いわゆるチップ形状を有する電子部品について、水蒸気の浸入を防止するために、電子部品が有する6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面にある端面電極を導電性材料で気密封止することは知られている。さらに、電子部品において上記した2つの対向する面にある端面電極が電気的に短絡することがないように、当該2つの対向する面以外の4つの面には導電性材料が存在しないギャップ領域が必要である。このギャップ領域には、水蒸気の浸入を防止するために、非導電性の材料でガスバリア膜を形成することも知られている。例えば特許文献1では、固体電池の固体電解質層に直接的に無機材料によって水蒸気防止層を形成し、その上に有機樹脂によって防水層を形成する技術が開示されている。
特開2015-220107号公報
本願発明者は、従前提案されている電子部品では克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。詳しくは以下の課題があることを本願発明者は見出した。
無機薄膜(すなわち水蒸気防止層)の厚みを厚くすると、薄膜が曲げ応力によって割れやすくなる。また膜自体の内部応力によって割れることもある。そのため、割れの観点から、一般に無機薄膜の厚みは最大でも1μmである。このような薄い無機薄膜では、無欠陥を保証することが困難である。そのため、実用上は無機薄膜を複数層形成する必要がある。すなわち、無機薄膜と有機樹脂膜を交互に形成することで、無機膜/有機膜の多層膜を形成する。このような構造はTFE(Thin Film Encapsulation)技術と呼ばれ、有機ELなど水分に弱い素子の水蒸気バリアとして標準的である。しかしながら、無機膜/有機膜の多層膜を形成するためには、その層数に比例する工程数を経ることになり、非常に煩雑である。特にチップ型電子部品では、内部電極が引き出されている2つの対向する面には非導電性の材料をコートできないため、当該2つの対向する面を保護(すなわちマスク)する必要があり、さらに煩雑となる。
本発明はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、基板への実装特性を有しつつも水蒸気透過防止性がより優れた電子部品の技術を提供することである。詳しくは、本発明は、電子部品が有するチップ形状の6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に無機膜/有機膜の多層膜を簡便な構造で有するチップ型電子部品を提供することを目的とする。
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された電子部品の発明に至った。
本発明は、
6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極を含む電子部品であって、
前記6つの面のうち、前記内部電極が引き出されている2つの対向する面は、水蒸気バリア性を有する導電性膜を有し、
前記2つの対向する面以外の4つの面は、前記2つの対向する面の前記導電性膜が相互に電気的に非接続の状態にあるように、前記導電性膜を有さないギャップ領域を有し、
前記4つの面の前記ギャップ領域には、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープが巻き付けられている、電子部品に関する。
本発明に係る電子部品は、基板への実装特性を有しつつ水蒸気透過防止性がより優れている。
より詳しくは、本発明の電子部品は、チップ形状の6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープが巻き付けられているので、当該4つの面に無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を簡便な構造で有する。本発明の電子部品はまた、内部電極が引き出されている2つの対向する面に、水蒸気バリア性を有する導電性膜を有する。このため、本発明の電子部品は、簡便な構造により、優れた水蒸気透過防止性を有している。本発明の電子部品はまた、耐熱性が比較的低いアルミラミネートパウチを用いることなくパッケージ化が達成され、優れた水蒸気透過防止性を有しているので、基板等への実装をはんだ付けにより行うことができ、実装特性にも優れている。
本発明の電子部品の製造方法においては、内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープを幾重にも巻き付けることにより、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜(TFE)が形成される。このため、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜(TFE)を1つの工程(すなわち樹脂テープの巻き付け工程)で極めて簡便にかつ低コストで形成することができる。しかも、このとき、内部電極が引き出されている2つの対向する面を保護(すなわちマスク)する必要がない。さらに、本発明の電子部品の製造方法において非導電性膜は樹脂テープに形成されるので、非導電性膜を直接的に電子部品に乾式めっき法により形成する場合と比較して、より均一な膜厚で非導電性膜を形成することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品としての固体電池の構造を模式的に示した断面図である。 図2は、図1の固体電池の外観を模式的に示した見取り図である。 図3は、固体電池が有する6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープを巻き付けた固体電池を模式的に示した見取り図である。 図4は、固体電池が有する6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープを巻き付ける方法の一例を模式的に示した見取り図である。
<電子部品>
以下、本発明の電子部品を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
本明細書でいう「電子部品」は、水蒸気の浸入を防止することが必要な電子部品であって、チップ形状を有するものであれば特に限定されず、例えば、固体電池、積層セラミックコンデンサおよびチップサーミスター等が挙げられる。チップ形状とは、いわゆる直方体または立方体を含む6面体形状のことである。
本発明の電子部品は「パッケージ化された電子部品」ということもできる。詳しくは、本発明に係る電子部品は、チップ形状の6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面に、水蒸気バリア性を有する導電性膜を有するとともに、当該2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープが巻き付けられている。その結果、本発明の電子部品は、全ての6つの面に水蒸気バリア性を有する膜を有する、という意味で、パッケージ化されている。本明細書でいう「パッケージ化された電子部品」とは、広義には、外部環境から保護された電子部品を意味しており、狭義には、外部環境の水蒸気が電子部品の内部へと進入しないように透過バリアが施されている電子部品のことを指している。ここでいう「水蒸気」とは、大気中の水蒸気に代表される水分を指しており、ある好適な態様ではガス形態を有する水蒸気のみならず、液体状の水をも包括した水分を意味している。好ましくは、そのような水分透過が防止された本発明の電子部品は、表面実装に適するようにパッケージ化されている。よって、ある好適な態様では、本発明の電子部品はSMD(Surface Mount Device)タイプの電子部品となっている。
以下、本発明の電子部品が固体電池である場合について詳しく説明するが、以下の説明を参照すれば、他の電子部品である場合においても、固体電池の場合と同様の効果が得られることは明らかである。
本発明でいう「固体電池」は、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指している。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様に従うと「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、蓄電デバイスなども包含し得る。
本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向に基づく厚み方向に対して略垂直な方向から捉えた場合の形態(端的にいえば、厚み方向に平行な面で切り取った場合の形態)に基づいている。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」/「底面側」に相当し、その逆向きが「上方向」/「頂面側」に相当すると捉えることができる。
まず、本発明の固体電池の基本的構成について説明する。ここで説明される固体電池の構成は、あくまでも発明の理解のための例示にすぎず、発明を限定するものではない。
[固体電池の基本的構成]
固体電池は、6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極として正極および負極を含む。固体電池は通常、固体電解質をさらに含む。詳しくは図1に示すように、固体電池100は、正極層110、負極層120、およびそれらの間に少なくとも介在する固体電解質130から成る電池構成単位を含んだ固体電池積層体を有して成る。図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品としての固体電池の構造を模式的に示した断面図である。
本発明の固体電池100が有する6つの面のうち、2つの対向する面は内部電極110,120が引き出されている面である。内部電極110,120が引き出されている面とは、内部電極110,120が外部と電気的に接続されるべく露出している面という意味である。内部電極110,120が引き出されている2つの対向する面は通常、固体電池100の側面に配置され、図1中、符号100B1および100B2で示されている。例えば、面100B1は固体電池100の左側面であって、正極(層)110が引き出されている面である。また例えば、面100B2は固体電池100の右側面であって、負極(層)120が引き出されている面である。
本発明の固体電池100が有する6つの面のうち、内部電極110,120が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2以外の4つの面は通常、連続している。当該4つの面は、図1に示すように、固体電池100の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず)を含み、本明細書中、単に「4つの非引き出し面」ということがある。「頂面」とは、固体電池を構成する面のうちで相対的に上側に位置付けられる面のことを意味している。「底面」とは、固体電池を構成する面のうちで相対的に下側に位置付けられる面のことを意味しており、通常は「頂面」と対向している。「側面」とは、固体電池を構成する6つの面のうちで、頂面でも底面でもない面のことを意味しており、通常は鉛直方向に対して平行に立設されている。なお、固体電池100の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず)を指すとき、これらの面はそれぞれ、後述するパッケージ前電池50の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず)と称することもできる。
固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成されるところ、正極層、負極層および固体電解質などが焼結層を成している。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質は、それぞれが互いに一体焼成されており、それゆえ固体電池積層体が一体焼結体を成している。
正極層110は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
負極層120は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質を介してイオンは正極層と負極層との間で移動(伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電池は、固体電解質を介してリチウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
(正極活物質)
正極層110に含まれる正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、LiMnPO等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。
(負極活物質)
負極層120に含まれる負極活物質としては、例えば、Ti、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoから成る群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiTi12等が挙げられる。
正極層および/または負極層は、導電助剤を含んでいてもよい。正極層および負極層に含まれる導電助剤として、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケル等の金属材料、ならびに炭素などから成る少なくとも1種を挙げることができる。特に限定されるわけではないが、銅は、正極活物質、負極活物質および固体電解質材などと反応し難く、固体電池の内部抵抗の低減に効果を奏するのでその点で好ましい。
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
(固体電解質)
固体電解質130は、リチウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。具体的な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、Li(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、LiLaZr12等が挙げられる。
固体電解質層は、焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
(正極集電層および負極集電層)
正極層110および負極層120は、それぞれ正極集電層および負極集電層を備えていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コスト低減および固体電池の内部抵抗低減などの観点から、焼結体の形態を有していてもよい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、導電助剤および焼結助剤を含む焼結体により構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる導電助剤は、例えば、正極層および負極層に含まれ得る導電助剤と同様の材料から選択されてよい。正極集電層および負極集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。なお、固体電池において、正極集電層および負極集電層が必須というわけではなく、そのような正極集電層および負極集電層が設けられていない固体電池も考えられる。つまり、本発明における固体電池は、集電層レスの固体電池であってもよい。
(絶縁層)
固体電池積層体の内部電極110,120が引き出されている2つの対向する面以外の四側面は固体電解質層または絶縁層である。絶縁層は電気的に絶縁性を有する層という意味である。絶縁層は絶縁性無機材料から構成されている。絶縁性無機材料として、特に限定されるわけではないが、例えば、シリカ、アルミナが挙げられる。絶縁層は焼結助剤を含んでいてもよく、焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
(端面電極)
固体電池には、内部電極110,120が引き出されている2つの対向する面に、端面電極(図示せず)が設けられていてもよいし、または設けられていなくてもよい。本発明においては、後述するように、当該2つの対向する面に水蒸気バリア性を有する導電性膜150(150B1,150B2)が形成され、当該導電性膜150B1,150B2が端面電極としての機能を有し得るためである。端面電極が設けられる場合、端面電極は、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。端面電極の具体的な材質としては、特に限定されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
[本発明の固体電池の特徴]
本発明の固体電池は、パッケージ化された固体電池である。特に、水蒸気透過防止に資すべくパッケージ化された固体電池である。それゆえ、本発明の固体電池は、水蒸気透過防止の点で特徴を持ったパッケージ構造を有している。
詳しくは、本発明の固体電池100(特に固体電池自体)のチップ形状を構成する6つの面のうち、上記した内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2は、水蒸気バリア性を備えた導電性膜を有する。
例えば、面100B1および100B2に端面電極が形成されていない場合は、当該面100B1および100B2の上に、当該導電性膜150(150B1,150B2)が形成されている。その結果、導電性膜150(150B1,150B2)は、端面電極としての機能を担いながらも、水蒸気バリア性を発揮して水蒸気の透過を防止する。導電性膜150の端面電極としての機能について、より詳しくは、導電性膜150B1は正極層110と接続された正極側の端面電極として機能し、導電性膜150B2は負極層120と接続された負極側の端面電極として機能する。
また例えば、面100B1および100B2に端面電極が形成されている場合は、当該端面電極の上に、導電性膜150(150B1,150B2)が形成されている。その結果、導電性膜150(150B1,150B2)は、端面電極を補助する機能を担いながらも、水蒸気バリア性を発揮して水蒸気の透過を防止する。導電性膜150の端面電極補助機能について、より詳しくは、導電性膜150B1は正極層110と接続された正極側の端面電極を補助し、導電性膜150B2は負極層120と接続された負極側の端面電極を補助する。
導電性膜150(150B1,150B2)は通常、水蒸気バリア性の点から、導電性無機材料から形成されている。導電性無機材料は、特に限定されるわけではないが、例えば、金、銀、銅、白金、錫、パラジウム、アルミニウム、チタンおよびニッケルからなる群から選択される1種以上の導電性無機材料が挙げられる。
導電性膜150(150B1,150B2)は、水蒸気バリア性のさらなる向上とはんだ濡れ性の向上の観点から、多層導電性膜であることが好ましい。正極側の多層導電性膜150B1の具体例として、例えば、Al膜(固体電池側)/Ni膜/Au膜(最表面側)が挙げられる。負極側の多層導電性膜150B2の具体例として、例えば、Cu膜(固体電池側)/Ni膜/Au膜(最表面側)が挙げられる。最表面をAu膜にしているのは、はんだ濡れ性を確保するためである。導電性膜の材質や層数はこれらに限定されるものではない。
導電性膜150(150B1,150B2)は通常、1.0×10-2g/(m・Day)以下、好ましくは1×10-4~8×10-3g/(m・Day)、より好ましくは1×10-3~8×10-3g/(m・Day)の水蒸気透過率を有する。導電性膜150の水蒸気透過率は、多層導電性膜の場合、多層導電性膜の水蒸気透過率である。導電性膜の水蒸気透過率は、アドバンス理工(株)社製、型式GTms-1のガス透過率測定装置を用いて、測定条件は40℃ 90%RH 差圧1atmによって得られた透過率のことを指している。
導電性膜150(150B1,150B2)は通常、1×10-3Ω/sq.以下、好ましくは1×10-11Ω/sq.以下の表面抵抗率を有する。表面抵抗率は、厚み0.1mmの試料を 三菱ケミカルアナリティック社製 抵抗率計MCP-HT450によって25℃で測定された値を用いている。
導電性膜150(150B1,150B2)の厚みは特に限定されず、水蒸気バリア性のさらなる向上の観点から、好ましくは0.1~100μmであり、より好ましくは1~10μmmである。導電性膜は厚みを増やしても応力による割れは発生し難いため、必要に応じてさらに厚くすることも出来る。導電性膜が多層導電性膜である場合、それらの合計厚みが上記範囲内であればよい。
導電性膜が多層導電性膜である場合の各層の厚みの一例として、以下の具体例が挙げられる:
正極側の多層導電性膜150B1=Al膜0.5μm(固体電池側)/Ni膜2.0μm/Au膜0.1μm(最表面側):および
負極側の多層導電性膜150B2=Cu膜0.8μm(固体電池側)/Ni膜2.0μm/Au膜0.1μm(最表面側)。
導電性膜150(150B1,150B2)は、特に製法に依拠していえば、乾式めっき膜であることが好ましい。乾式めっき膜は、物理的気相成長法(PVD)や化学的気相成長法(CVD)といった乾式めっき法(または気相法)で得られる膜である。厚みが上記のように薄い乾式めっき膜は、よりコンパクトなパッケージ化に資する。物理的気相成長法(PVD)として、例えば、真空蒸着法、スパッタ法(特に、イオンビームスパッタ法)等が挙げられる。化学的気相成長法(CVD)として、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。
導電性膜150は通常、上記の方法においてマスクを用いて形成することができる。例えば、イオンビームスパッタ装置を用いて、マスクに隠れている部分以外に導電性膜を形成することができる。ターゲットを変更することにより、多層導電性膜を形成できる。
導電性膜150(150B1,150B2)は通常、それぞれ上記した内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2(これらの面に端面電極が形成されている場合は端面電極の表面)を覆いつつ、当該2つの対向する面以外の4つの面(以下、単に「4つの非引き出し面」ということがある)の端部も覆っている。導電性膜150(150B1,150B2)は通常、固体電池100の内部電極110,120および固体電解質130等と直接的に接している。
例えば、導電性膜150B1は、上記した内部電極が引き出されている2つの対向する面の一方の面100B1(特にその全面)を覆いつつ、4つの非引き出し面(すなわち、図1中、固体電池100の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず))における面100B1側の端部も直接的に覆っている。頂面100A1および底面100A2における面100B1側の端部はそれぞれ、図1中、符号P1およびQ1で示されている。
また例えば、導電性膜150B2は、上記した内部電極が引き出されている2つの対向する面の他方の面100B2(特にその全面)を覆いつつ、4つの非引き出し面(すなわち、図1中、固体電池100の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず))における面100B2側の端部も直接的に覆っている。頂面100A1および底面100A2における面100B2側の端部はそれぞれ、図1中、符号P2およびQ2で示されている。
導電性膜150B1,150B2は相互に電気的に非接続の状態にあるように、4つの非引き出し面は導電性膜を有さないギャップ領域を有している。すなわち、固体電池100における4つの非引き出し面(すなわち固体電池100の頂面100A1、手前側面(図示せず)、底面100A2および奥手側面(図示せず))はそれぞれ、導電性膜150が固体電池100自体の表面(特に固体電解質または絶縁層の表面)に直接的に接して形成されていないギャップ領域を有している。ギャップ領域は固体電池100の4つの非引き出し面において、導電性膜150が固体電池100の表面(特に固体電解質または絶縁層の表面)と直接的に接して形成されていない領域(例えば、P3,Q3等)である。4つの非引き出し面が有するギャップ領域(例えば、P3,Q3等)は連続して設けられている。導電性膜150は、図1に示すように、ギャップ領域において後述する樹脂テープ20上に形成されてもよいが、その場合、導電性膜150B1,150B2は樹脂テープ20上において相互に後述の導電性膜間距離Mを確保して形成される。その結果として、導電性膜150B1と導電性膜150B2との電気的な非接続状態が確保されている。頂面100A1および底面100A2におけるギャップ領域はそれぞれ、図1中、符号P3およびQ3で示されている。
ギャップ距離Kは、特に限定されず、例えば、1~30mmであり、特に2~10mmであり、一例を挙げると、5mmである。なお、ギャップ距離Kは、内部電極の引き出し方向Dにおけるギャップ領域(例えば、P3,Q3等)の寸法のことである。内部電極の引き出し方向Dとは、内部電極が引き出されている2つの対向する面間の距離を規定する方向のことである。
内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2の間の距離(いわゆる端面電極間距離)Lは、特に限定されず、例えば、5~50mmであり、特に5~20mmであり、一例を挙げると、9.4mmである。なお、内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2の間の距離(いわゆる端面電極間距離)Lは、図1の紙面上、左右方向の固体電池寸法に相当する。図1の紙面上、奥行き方向の固体電池寸法は特に限定されず、例えば、上記寸法Lから独立して、上記寸法Lと同様の上記範囲内であってもよい。図1の紙面上、上下方向の固体電池寸法(厚み)は特に限定されず、例えば、0.1~20mmであり、特に1~10mmであり、一例を挙げると、4mmである。
導電性膜150(150B1,150B2)が4つの非引き出し面の端部を覆っている場合、当該端部を覆っている導電性膜150(150B1,150B2)は、図1および図2に示すように、後述の樹脂テープ20と重なっていることが好ましい。導電性膜150(150B1,150B2)は後述の樹脂テープ20と重なっているとは、内部電極の引き出し方向Dに対する垂直ないずれかの方向から導電性膜および樹脂テープを透視したとき、導電性膜150は樹脂テープ20と重なるまで延在しているという意味である。これにより、固体電池において、導電性膜にも非導電性膜にも覆われない箇所が発生する確率が減少し、工程不良率が低減される。図2は、図1の固体電池の外観を模式的に示した見取り図である。
図1において、導電性膜150(150B1,150B2)は、4つの非引き出し面において、樹脂テープ20と重なるまで延在しており、かつ導電性膜の樹脂テープとの重なり部分は樹脂テープ20の表面上に配置されているが、導電性膜の樹脂テープとの重なり部分は樹脂テープ20と固体電池(特に固体電解質または絶縁層)との間に配置されてもよい。この場合、導電性膜の樹脂テープとの重なり部分は固体電池(特に固体電解質または絶縁層)と直接的に接触するため、導電性膜150が固体電池100自体の表面(特に固体電解質または絶縁層の表面)に直接的に接して形成されていないギャップ領域はより狭くなる。そのような場合においても、導電性膜150B1,150B2は、樹脂テープ20と固体電池(特に固体電解質または絶縁層)との間において相互に後述の導電性膜間距離Mを確保して形成される。
本発明において、4つの非引き出し面のギャップ領域(例えば、P3,Q3)には、水蒸気バリア性を有する非導電性膜22(例えば、22A,22B)が形成されている樹脂テープ20(例えば、20A,20B)が巻き付けられている。換言すると、本発明の固体電池100は、当該4つの非引き出し面のギャップ領域に、樹脂テープ巻き付け構造に基づく、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を有する。樹脂テープ巻き付け構造とは、1つの長尺の樹脂テープ20を連続して幾重にも巻き付けた構造のことである。樹脂テープ巻き付け構造は、樹脂テープの巻き付け回数を増やすだけで、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層化構造を極めて簡便に実現でき、しかも水蒸気バリア性がより一層、向上する。その結果、非導電性膜22は、導電性膜150B1と導電性膜150B2との電気的な非接続状態を確保しながらも、より一層、優れた水蒸気バリア性を発揮して水蒸気の透過を防止する。
非導電性膜22は一般的に脆性材料から構成されるので、厚みを増やすほど曲げ応力に対して容易にクラックが入るようになる。よって厚みには上限がある。他方、1μm以下の厚みで、水蒸気バリア性について無欠陥の膜を得ることは量産レベルで困難である。そのため、品質保証上、非導電性膜を多層化する必要がある。本発明では樹脂テープ巻き付け構造という単純な構造で無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜が実現できる。例えば4周巻けば、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の組み合わせが4回繰り返されてコートされることになる。仮に非導電性膜をスパッタ法で、有機膜をディップコート法で形成する場合、それぞれの工程を4回ずつ繰り返す必要があり、コストが大幅に増大する。また、ディップコート法の場合、導電性膜(すなわち端面電極)の表面または当該導電性膜が形成されていない場合は固体電池自体における内部電極が引き出されている2つの対向する面を保護(またはマスク)する必要があるが、樹脂テープを巻きつける構造では特に保護は必要ない。
水蒸気バリア性のさらなる向上の観点から、4つの非引き出し面のギャップ領域には、樹脂テープ20が2周以上、特に2~6周で巻き付けられていることが好ましい。換言すると、本発明の固体電池100は、4つの非引き出し面のギャップ領域に、樹脂テープ20が2周以上、特に2~6周で巻き付けられた樹脂テープ巻き付け構造に基づく、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を有することが好ましい。図1は、4つの非引き出し面のギャップ領域に、樹脂テープ20が2周で巻き付けられている固体電池100を示す。図1中、1巻目の樹脂テープを20Aで示し、2巻目の樹脂テープを20Bで示す。なお、樹脂テープ20の巻数は、1つの固体電池の4つの非引き出し面において樹脂テープ20が最少の数で重なる部位における当該重なり数のことである。
樹脂テープ20は通常、基材21(例えば、21A,21B)および当該基材21の一方の面に形成された粘着層23(例えば、23A,23B)を含み、当該基材21の他方の面には非導電性膜22が形成されている。図1において、樹脂テープ20は、基材21の一方の面のみに粘着層23を有するが、基材21の一方の面だけでなく、基材21の他方の面に形成された非導電性膜22における基材とは反対側の面にも粘着層23を有することを妨げるものではない。
基材21は、一般的な樹脂テープのテープ基材として用いられる非導電性の樹脂基材であれば特に限定されない。基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレン(特にポリエチレンテレフタラート)、ポリフルオロエチレン等が挙げられる。基材単独の厚みは通常、1~90μmであり、好ましくは5~40μmである。
粘着層23は、一般的な樹脂テープの粘着層として用いられる非導電性の粘着層であれば特に限定されない。粘着層としては、例えば、シリコーン系樹脂層(例えば、シリコーン系ポリマー層)やアクリル系樹脂層(例えば、アクリル系ポリマー層)等が挙げられる。粘着層単独の厚みは通常、1~50μmであり、好ましくは1~20μmである。
基材21および粘着層23の合計厚みは特に限定されず、通常は、10~100μmであり、好ましくは20~60μmであり、一例を挙げると43μmである。テープの基材と粘着層の合計厚みは薄いほど多層膜にした場合のパッケージ厚みが小さくなり、またチップへの巻きつけが容易になる。
非導電性膜22は通常、水蒸気バリア性の点から、非導電性無機材料から形成されている。非導電性無機材料は、特に限定されるわけではないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、粘土およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる群から選択される1種以上の非導電性無機材料が挙げられる。金属酸化物の具体例として、例えば、二酸化珪素(SiO)が挙げられる。金属窒化物の具体例として、例えば、窒化珪素(Si)、窒化アルミニウム(ALN)が挙げられる。粘土の具体例として、例えば、モンモリロナイト(例えば、リチウム置換型モンモリロナイト)が挙げられる。粘土膜は安価かつ柔軟性のある水蒸気バリア膜である。しかし、粘土膜は、水蒸気バリア性を発現させるためには、粘土を水で分散する必要があるところ、水で分散したスラリーを、電子部品に直接コートすることは出来ない。仮に、水で分散したスラリーを、電子部品に直接コートしたとしても、電子部品はその耐熱性によっては、水蒸気バリア性を発現させるための熱処理(一例として300℃・3時間)により劣化してしまう。このため、本発明は、非導電性膜22が粘土膜であるとき、特に有効である。すなわち、本発明においては、粘土を水で分散したスラリーを用いる場合であっても、樹脂テープに粘土膜を形成して熱処理をするため、これを巻きつけるだけで電子部品に粘土膜をコート出来るうえ、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を形成できる。これにより、電子部品は水や熱処理の影響をうけない。
非導電性膜22は通常、1.0×10-2g/(m・Day)以下、好ましくは1×10-4~8×10-3g/(m・Day)、より好ましくは1×10-4~8×10-4g/(m・Day)の水蒸気透過率を有する。非導電性膜22の水蒸気透過率は、一例を挙げると、4×10-4g/(m・Day)である。非導電性膜22の水蒸気透過率は、アドバンス理工(株)社製、型式GTms-1のガス透過率測定装置を用いて、測定条件は40℃ 90%RH 差圧1atmによって得られた透過率のことを指している。本発明の固体電池が、樹脂テープ20を2周以上で巻き付けてなる樹脂テープ巻き付け構造に基づく、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を有する場合において、上記水蒸気透過率は1層の非導電性膜22の水蒸気透過率である。
本発明の固体電池が、樹脂テープ20を2周以上で巻き付けてなる樹脂テープ巻き付け構造に基づく、無機膜(すなわち非導電性膜)/有機膜(すなわち樹脂テープ)の多層膜を有する場合、1層の非導電性膜22の水蒸気透過率は比較的高くてもよい。そのような場合において、許容される非導電性膜22(1層)の水蒸気透過率は通常、0.01g/(m・Day)以下、好ましくは0.0001 ~0.001g/(m・Day)である。
非導電性膜22は通常、1×10Ω/sq.以上、好ましくは1×10Ω/sq.以上の表面抵抗率を有する。表面抵抗率は、厚み0.1mmの試料を 三菱ケミカルアナリティック社製 抵抗率計MCP-HT450によって25℃で測定された値を用いている。
例えば、非導電性膜22が、金属酸化物、金属窒化物およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる群から選択される1種以上の非導電性無機材料から形成される場合、非導電性膜22は、特に製法に依拠していえば、乾式めっき膜であることが好ましい。非導電性膜22としての乾式めっき膜は、導電性膜としての乾式めっき膜と同様に、物理的気相成長法(PVD)や化学的気相成長法(CVD)といった気相法で得られる膜である。厚みが後述のように薄い乾式めっき膜は、よりコンパクトなパッケージ化に資する。物理的気相成長法(PVD)および化学的気相成長法(CVD)の具体例として、例えば、導電性膜の説明で例示した同様の具体例が挙げられる。
非導電性膜22が金属酸化物、金属窒化物およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる群から選択される1種以上の非導電性無機材料から形成される場合、非導電性膜22の厚みは通常、1μm以下であり、水蒸気バリア性のさらなる向上、膜の割れ防止および非導電性の向上の観点から、好ましくは1~5000nmであり、より好ましくは10~400nmであり、一例を挙げると100nmである。
非導電性膜22が粘土から形成される場合、非導電性膜22の厚みは通常、30μm以下であり、水蒸気バリア性のさらなる向上、膜の割れ防止および非導電性の向上の観点から、好ましくは1~30μmであり、より好ましくは1~10μmであり、一例を挙げると5μmである。
樹脂テープ20の幅寸法は、固体電池(特に後述のパッケージ前電池)のパッケージ化が達成される限り特に限定されず、例えば、内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2の間の距離(いわゆる端面電極間距離)Lが9.4mmであるとき、樹脂テープ20の幅寸法は6~9mmであり、一例を挙げると、8mmである。なお、図1において、2巻目の樹脂テープ20Bは1巻目の樹脂テープ20Aの直上に巻かれているが、1巻目の樹脂テープ20Aの直上に巻かれなければならないというわけではない。例えば、上下方向で隣接する2つの樹脂テープ20(例えば、20A、20B)間においては、幅寸法方向の端部が相互に重なっていればよい。このような場合、上記範囲よりも小さい幅寸法を有する樹脂テープ20の使用が可能である。樹脂テープ20の幅寸法の下限値は通常、3mmであり、好ましくは5mmである。
より詳しくは、樹脂テープ20の幅寸法は、固体電池の構造(特に、4つの非引き出し面における導電性膜の樹脂テープとの重なり部分の配置)に応じて決定されてもよい。
例えば、4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、図1に示すように、樹脂テープ20の表面上に配置されている場合、4つの非引き出し面における樹脂テープ20(特にその粘着層23)との直接的な接触領域がギャップ領域となるため、樹脂テープ20の幅寸法は上記したギャップ距離Kに相当する。
また例えば、4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、樹脂テープ20と固体電池(特にパッケージ前電池の固体電解質)との間に配置されている場合、導電性膜150B1と導電性膜150B2との電気的な非接続状態を確保するため、樹脂テープ20の幅寸法は後述する導電性膜間距離Mよりも大きな寸法に相当することが好ましい。
4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、図1に示すように、樹脂テープ20の表面上に配置されている場合、樹脂テープ20の表面上における導電性膜間距離Mは通常、1mm以上であり、好ましくは2mm以上であり、一例を挙げると、5mmである。この場合、樹脂テープ20の表面上における導電性膜間距離Mの上限は特に限定されず、通常は内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2の間の距離(いわゆる端面電極間距離)L未満の値である。
4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、樹脂テープ20と固体電池(特にパッケージ前電池の固体電解質または絶縁層)との間に配置されている場合、導電性膜間距離Mは、ギャップ距離Kに相当する。
本発明においては、固体電池を包み込むように設けられた非導電性膜(すなわち樹脂テープに形成された水蒸気バリア性を有する非導電性膜)および導電性膜(すなわち内部電極が引き出されている2つの対向する面に形成された水蒸気バリア性を有する導電性膜)によって、固体電池がパッケージ化されている。このため、本発明の固体電池は水蒸気透過防止性に、より優れている。このような、より優れた水蒸気透過防止性は、耐熱性が比較的低いアルミラミネートパウチではなく、非導電性膜および導電性膜により達成されているため、本発明の固体電池は、はんだ付けによる基板等への実装特性にも優れている。例えば、はんだリフローなどを通じて、固体電池を表面実装できる。このようなことから、本発明のパッケージ化された固体電池は、SMD(SMD:Surface Mount Device)タイプの電池であるといえる。
<電子部品の製造方法>
以下、本発明の固体電池の製造方法について詳しく説明するが、以下の説明を参照すれば、本発明の他の電子部品も製造可能であることは明らかである。
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池は以下の工程を含む方法により製造することができる:
6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極を含む固体電池を準備する工程(固体電池の準備工程);
前記6つの面のうち、前記内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープを巻き付ける工程(樹脂テープの巻き付け工程);および
前記2つの対向する面に、水蒸気バリア性を有する導電性膜を形成する工程(導電性膜の形成工程)。
本発明の固体電池の製造方法は、パッケージ化の前段階に相当する「固体電池自体(以下では、「パッケージ前電池」とも称する)の製造工程」と、「パッケージ化工程」とに大きく分けることができる。上記した「固体電池の準備工程」は「パッケージ前電池の製造工程」に属し、上記した「樹脂テープの巻き付け工程」および「導電性膜の形成工程」は「パッケージ化工程」に属する。
以下、「固体電池の準備工程」の後、「樹脂テープの巻き付け工程」および「導電性膜の形成工程」を順次、実施する場合について説明するが、「樹脂テープの巻き付け工程」および「導電性膜の形成工程」の実施順序は、固体電池の構造(特に、4つの非引き出し面における導電性膜の樹脂テープとの重なり部分の配置)に応じて決定される。
例えば、4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、図1に示すように、樹脂テープ20の表面上に配置されている場合、「固体電池の準備工程」の後、「樹脂テープの巻き付け工程」および「導電性膜の形成工程」を順次、実施する。
また例えば、4つの非引き出し面における導電性膜150の樹脂テープ20との重なり部分が、樹脂テープ20と固体電池(特にパッケージ前電池の固体電解質または絶縁層)との間に配置されている場合、「固体電池の準備工程」の後、「導電性膜の形成工程」および「樹脂テープの巻き付け工程」を順次、実施する。
(固体電池の準備工程(パッケージ前電池の準備工程))
本工程においては、6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極として正極および負極を含む固体電池としてのパッケージ前電池を準備する。パッケージ前電池は、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。つまり、パッケージ前電池自体は、常套的な固体電池の製法に準じて作製してよい。よって、下記で説明する固体電解質、有機バインダー、溶剤、任意の添加剤、正極活物質、負極活物質などの原料物質は、既知の固体電池の製造で用いられているものを用いてよい。
以下では、本発明のより良い理解のために、ある1つの製法を例示説明するが、本発明は当該方法に限定されない。また、以下の記載順序など経時的な事項は、あくまでも説明のための便宜上のものにすぎず、必ずしもそれに拘束されるわけではない。
-積層体ブロック形成-
・固体電解質、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製する。次いで、調製されたスラリーからシート成形によって、焼成後の厚みが約10μmのシートを得る。
・正極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して正極用ペーストを作成する。同様にして、負極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して負極用ペーストを作成する。
・シート上に正極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷する。同様にして、シート上に負極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷する。
・正極用ペーストを印刷したシートと、負極用ペーストを印刷したシートとを交互に積層して積層体を得る。なお、積層体の最外層(最上層・最下層)は通常、絶縁層(図示せず)である。
-電池焼結体形成-
積層体を圧着一体化させた後、個片にカットする。得られたカット済み積層体を脱脂および焼成に付す。これにより、焼結された積層体をパッケージ前電池として得る。なお、カット前に積層体を脱脂および焼成に付し、その後にカットを行ってもよい。
-端面電極形成-
端面電極を形成する場合、以下の方法に従うことができる。
正極側の端面電極は、焼結積層体における正極露出側面に対して後述する乾式めっき法により形成できる。同様にして、負極側の端面電極は、焼結積層体における負極露出側面に対して後述する乾式めっき法により形成できる。
また別法として、または組み合わせて、正極側の端面電極は、焼結積層体における正極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。同様にして、負極側の端面電極は、焼結積層体における負極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。
なお、正極側および負極側の端面電極は、積層体の焼結後に形成することに限らず、焼成前に形成し、同時焼結に付してもよい。
(樹脂テープの巻き付け工程)
本工程においては、図3に示すように、固体電池(すなわちパッケージ前電池50)における6つの面のうち、内部電極が引き出されている2つの対向する面(100B1および100B2)以外の4つの面(すなわち、非引き出し面)に、非導電性膜が形成されている樹脂テープ20を巻き付ける。このとき、当該4つの非引き出し面において、樹脂テープ20(特にその粘着層23)と直接的に接触する領域がギャップ領域となる。ギャップ領域は、上記したように、当該4つの非引き出し面において、導電性膜150が固体電池100の表面(特に固体電解質または絶縁層の表面)と直接的に接して形成されていない領域(例えば、P3,Q3等)である。
樹脂テープ20をチップ型パッケージ前電池50に巻き付ける方法の一例を以下に示す。
まず、パッケージ前電池50を、図4に示すように、内部電極が引き出されている2つの対向する面(100B1および100B2)(端面電極が形成されている場合は端面電極の表面)で、2つの粘着ゴムプレート501,502により固定する。詳しくは、粘着ゴムプレート501,502は、パッケージ前電池50における内部電極が引き出されている2つの対向する面(100B1および100B2)(端面電極が形成されている場合は端面電極面)に接触し、パッケージ前電池50を挟んでいる。パッケージ前電池50に樹脂テープ20の一端を接着し、粘着ゴムプレート501,502をモーター(図示せず)で回転させることにより、樹脂テープ20を巻きつける。換言すると、粘着ゴムプレート501,502に固定および挟持されたパッケージ前電池50の主面中央に樹脂テープ20の端を貼り付け、粘着ゴムプレート501,502を回転させることによって、樹脂テープ20を巻きつける。樹脂テープの張力は、例えば約0.6Nとなるように制御することができる。樹脂テープ20を巻きつける際、樹脂テープを加熱することが好ましい(例えば約100℃)。これは樹脂テープ20の熱収縮を利用して、樹脂テープ20とパッケージ前電池50の密着力を高めることができるためである。
樹脂テープ20は、例えば、以下の方法により製造することができる。
基材21および当該基材21の一方の面に形成された粘着層23を有する樹脂テープ前駆体を用い、当該樹脂テープ前駆体における基材21の他方の面に非導電性膜22を形成する。
樹脂テープ前駆体は市販品として入手することができるし、または公知の方法により製造することもできる。樹脂テープ前駆体の市販品として、例えば、7413Dシリーズ(スリーエム社製)等が挙げられる。
非導電性膜22の形成方法について、非導電性膜22が、金属酸化物、金属窒化物およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる群から選択される1種以上の非導電性無機材料から形成される場合、非導電性膜22は乾式めっき法により形成されることが好ましい。乾式めっき法として、例えば、物理的気相成長法(PVD)や化学的気相成長法(CVD)といった気相法が挙げられる。物理的気相成長法(PVD)および化学的気相成長法(CVD)の具体例として、例えば、導電性膜の説明で例示した同様の具体例が挙げられる。
また例えば、非導電性膜22がSiN4-SiO複合無機膜から形成される場合、非導電性膜22は、ポリシラザン溶液を樹脂テープ前駆体にウェットコートした後、熱処理および/またはUV照射により緻密な無機薄膜に転化させて得ることができる。詳しくは、ポリシラザン溶液を樹脂テープ前駆体に塗布し、連続炉にて乾燥する。得られた樹脂テープ前駆体を所定の長さにカットし、Nフロー中にてUV照射を15分、その後240℃で30分熱処理することで、ポリシラザンをSi-SiO膜に転化させることができる。
また例えば、非導電性膜22が粘土から形成される場合、粘土を水で分散したスラリーを樹脂テープ前駆体にウェットコートし、これを熱処理することで耐水化した非導電性膜22を形成することが出来る。詳しくは、リチウム置換型モンモリロナイト(クニピアM)4.0g、純水100gの割合で混合し、これを攪拌する。これにポリアミック酸を0.3g加えて攪拌し、スラリーを得る。このスラリーを、基材がポリイミドからなる樹脂テープ前駆体に塗布し、乾燥することでモンモリロナイトとポリアミック酸からなる厚み5μmの粘土膜を得る。モンモリロナイトはC軸の配向をしている。樹脂テープ前駆体を280℃で1時間熱処理することで、粘土膜は層転移し、高い水蒸気バリア性を示す。熱処理後の粘土膜の水蒸気透過性は典型例で6×10-3g/(m・Day)~2×10-2g/(m・Day)である。
樹脂テープ20を巻き付ける前において、パッケージ前電池50の角部をR加工(すなわちラウンド加工)して丸めることが好ましい。樹脂テープ20の破れが防止されるため、導電性膜にも非導電性膜にも覆われない箇所が発生する確率が減少し、工程不良率が低減される。R加工方法としては、角部に丸みを付与できれば特に限定されず、例えば、乾式バレル装置にてバレル研磨する方法が挙げられる。
R加工は、固体電池の準備工程における焼成前に実施しても良いし、焼成後であっても良い。
(導電性膜の形成工程)
本工程においては、パッケージ前電池50における内部電極が引き出されている2つの対向する面(100B1および100B2)に導電性膜150(150B1,150B2)を形成する。このとき、当該2つの対向する面以外の4つの面(すなわち4つの非引き出し面)の端部(例えば、P1,Q1,Q1,Q2)にも導電性膜150を形成することが好ましい。
導電性膜150は、マスクを用いた乾式めっき法により形成することが好ましい。導電性膜150を形成するべきではない領域をマスクで保護すればよい。例えば、イオンビームスパッタ装置を用いて、マスクに隠れている領域以外に導電性膜150を形成する。ターゲットを変更することにより、多層導電性膜150を形成することもできる。
以上のような工程を経ることによって、固体電池が非導電性膜22および導電性膜150で全体的に覆われた、本発明の「パッケージ化された固体電池」を得ることができる。例えば、図2に示すような、本発明の固体電池を得ることができる。
このようなパッケージ化についていえば、固体電池の端子引き出しが、設計的にも接合プロセス的にも比較的容易であるといった利点がある。また、従来では、固体電池が小型化するほど、電池に対するパッケージの体積割合が大きくなるが、本発明に係わるパッケージ化ではこの体積割合が極端に小さくできるため、特に電池の小型化に資するものとなり得る。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
本発明におけるパッケージ化は、固体電池に限らず、液体状の電解液を含まない薄膜電池やポリマー電池にも同様に適用することができるし、または積層セラミックコンデンサおよびチップサーミスター等の他の電子部品に適用することもできる。
(実施例1)
・固体電池の準備
対象となる電子部品として、以下の方法で製造したチップ型リチウムイオン固体電池(寸法9mm×10mm×4mm)(パッケージ前電池)を用いた。
固体電解質、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製した。次いで、調製されたスラリーからシート成形によって、焼成後の厚みが約10μmのシートを得た。
正極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して正極用ペーストを作成した。同様にして、負極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して負極用ペーストを作成した。
シート上に正極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷した。同様にして、シート上に負極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷した。
正極用ペーストを印刷したシートと、負極用ペーストを印刷したシートとを交互に積層して積層体を得た。なお、積層体の最外層(最上層・最下層)は絶縁シート(図示せず)とした。絶縁シートは、絶縁性無機材料、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製し、次いで、調製されたスラリーからシート成形によって得られたものであった(焼成後の厚み約10μm)。
積層体を圧着一体化させた後、個片にカットした。得られたカット済み積層体を脱脂および焼成に付した。焼成後、正極側の端面電極および負極側の端面電極をそれぞれ焼結積層体における負極露出側面および負極露出側面に乾式めっき法により形成した。これにより、焼結された積層体をパッケージ前電池として得た。
焼成後において、乾式バレル装置にてバレル研磨し、固体電池の角を丸めた。
・樹脂テープの製造
幅8mmのポリイミドテープ(基材21:図1参照)にポリシラザン溶液を塗布し、連続炉にて乾燥した。上記のテープを所定の長さにカットし、Nフロー中にてUV照射を15分、その後240℃で30分熱処理することで、ポリシラザンをSi-SiO膜(非導電性膜22)に転化させた。非導電性膜22の厚みは約0.1μmであった。この非導電性膜22の水蒸気透過率は典型的には4×10-4g/(m・day)であった。ポリイミドテープは、非導電性膜22の形成面とは反対側の面に、粘着層23を有していた。ポリイミドと粘着層の厚みは合計で43μmであった。
・樹脂テープの巻き付け
樹脂テープ20を、以下の方法により、チップ型固体電池に巻きつけた。
まず、固体電池(パッケージ前電池50)を、内部電極が引き出されている2つの対向する面(100B1および100B2)にある端面電極で、図4に示すように、粘着ゴムプレート501,502で固定した。粘着ゴムプレートは、固体電池(パッケージ前電池50)における端面電極に接触し、固体電池を挟んでいた。固体電池に樹脂テープ20の一端を接着し、粘着ゴムプレートをモーターで回転させる方法で樹脂テープ20を巻きつけた。詳しくは、固定された固体電池(パッケージ前電池50)の主面中央に樹脂テープ20の端を貼り付け、粘着ゴムプレートを回転させることによって樹脂テープ20を巻きつけた(図3)。テープの張力は約0.6Nとなるように制御した。固体電池において、内部電極が引き出されている2つの対向する面100B1および100B2の間の距離(いわゆる端面電極間距離)Lは9.4mmであり、樹脂テープ20のテープ幅は8mmであった。巻きつける際、樹脂テープ20は約100℃に加熱した。これはテープの熱収縮を利用して、テープと電子部品の密着力を高めるためである。本実施例ではテープは4周巻きつけられていた。
・導電性膜の形成
次に、導電性膜150B1,150B2(図1参照)を形成した。
樹脂テープ20を巻き付けた固体電池における樹脂テープ20部分の一部をマスクし、イオンビームスパッタ装置を用いて、図1に示すように、マスクに隠れている部分以外に導電性膜150B1,150B2を塗布した。ターゲットを変更することにより、多層導電性膜150B1,150B2を形成した。正極側の導電性膜150B1にはAl膜0.5μm/Ni膜2.0μm/Au膜0.1μm、負極側の導電性膜150B2にはCu膜0.8μm/Ni膜2.0μm/Au膜0.1μmを形成した。導電性膜150B1,150B2の水蒸気透過率は典型例で1×10-3g/(m・Day)~8×10-3g/(m・Day)であった。
得られた固体電池(図1)において、マスクに隠れていた部分には、導電性膜150B1,150B2は形成されておらず、よって固体電池の2つの導電性膜150B1,150B2(端面電極)は導通しなかった。導電性膜間距離Mは約5mmであり、このギャップ部分には樹脂テープ20が存在した。その結果、固体電池は非導電性のガスバリア膜(非導電性膜22)および導電性のガスバリア膜(導電性膜150B1,150B2)によって完全に覆われており、水蒸気は固体電池内部に侵入できないことは明らかである。
本発明の電子部品は、固体電池、積層セラミックコンデンサまたはチップサーミスター等の使用が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明のパッケージ化された電子部品(特に固体電池)は、エレクトロニクス実装分野で用いることができる。また、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などにも本発明の電子部品を利用することができる。
20 樹脂テープ
20A 1巻目の樹脂テープ
20B 2巻目の樹脂テープ
21 基材
21A 1巻目の樹脂テープの基材
21B 2巻目の樹脂テープ基材
22 非導電性膜
22A 1巻目の樹脂テープの非導電性膜
22B 2巻目の樹脂テープの非導電性膜
50 パッケージ前電池
100 固体電池
100A1 固体電池(特にパッケージ前電池)の頂面(上面)
100A2 固体電池(特にパッケージ前電池)の底面(下面)
100B1 固体電池(特にパッケージ前電池)の左側面
100B2 固体電池(特にパッケージ前電池)の右側面
110 正極層(内部電極)
120 負極層(内部電極)
130 固体電解質
150 導電性膜(端面電極)
150B1 正極側の導電性膜(端面電極)
150B2 負極側の導電性膜(端面電極)

Claims (18)

  1. 6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極を含む電子部品であって、
    前記6つの面のうち、前記内部電極が引き出されている2つの対向する面は、水蒸気バリア性を有する導電性膜を有し、
    前記2つの対向する面以外の4つの面は、前記2つの対向する面の前記導電性膜が相互に電気的に非接続の状態にあるように、前記導電性膜を有さないギャップ領域を有し、
    前記4つの面の前記ギャップ領域には、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープが巻き付けられており
    前記樹脂テープは基材および粘着層を含み、
    前記基材および前記粘着層の厚みは合計で10~100μmである、電子部品。
  2. 前記基材はポリイミドを含み、
    前記粘着層はシリコーン系樹脂層である、請求項に記載の電子部品。
  3. 前記電子部品が固体電池である、請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記固体電池が焼結体から構成されている、請求項に記載の電子部品。
  5. 前記固体電池の前記内部電極として正極層および負極層を含み、
    前記正極層および前記負極層はリチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項またはに記載の電子部品。
  6. 6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極を含む電子部品であって、
    前記6つの面のうち、前記内部電極が引き出されている2つの対向する面は、水蒸気バリア性を有する導電性膜を有し、
    前記2つの対向する面以外の4つの面は、前記2つの対向する面の前記導電性膜が相互に電気的に非接続の状態にあるように、前記導電性膜を有さないギャップ領域を有し、
    前記4つの面の前記ギャップ領域には、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープが巻き付けられており
    前記電子部品が固体電池である、電子部品。
  7. 前記固体電池が焼結体から構成されている、請求項に記載の電子部品。
  8. 前記固体電池の前記内部電極として正極層および負極層を含み、
    前記正極層および前記負極層はリチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項またはに記載の電子部品。
  9. 前記4つの面の前記ギャップ領域には、前記樹脂テープが2周以上で巻き付けられている、請求項1~8のいずれかに記載の電子部品。
  10. 前記非導電性膜は1~5000nmの厚みを有し、
    前記導電性膜は0.1~100μmの厚みを有する、請求項1~9のいずれかに記載の電子部品。
  11. 前記2つの対向する面それぞれの前記導電性膜は、該面だけでなく、前記4つの面における端部も覆っており、
    該端部を覆っている前記導電性膜は前記樹脂テープと重なっている、請求項1~10のいずれかに記載の電子部品。
  12. 前記導電性膜および前記非導電性膜は、それぞれ独立して、1.0×10-2g/(m・Day)以下の水蒸気透過率を有する、請求項1~11のいずれかに記載の電子部品。
  13. 前記導電性膜および前記非導電性膜は乾式めっき膜である、請求項1~12のいずれかに記載の電子部品。
  14. 前記導電性膜は導電性無機材料から形成されている、請求項1~13のいずれかに記載の電子部品。
  15. 前記導電性無機材料は、金、銀、銅、白金、錫、パラジウム、アルミニウム、チタンおよびニッケルからなる群から選択される1種以上の導電性無機材料である、請求項14に記載の電子部品。
  16. 前記非導電性膜は非導電性無機材料から形成されている、請求項1~15のいずれかに記載の電子部品。
  17. 前記非導電性無機材料は、金属酸化物、金属窒化物、粘土およびダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される1種以上の非導電性無機材料である、請求項16に記載の電子部品。
  18. 6つの面を備えたチップ形状を有し、かつ内部電極を含む電子部品を準備する工程;
    前記6つの面のうち、前記内部電極が引き出されている2つの対向する面以外の4つの面に、水蒸気バリア性を有する非導電性膜が形成されている樹脂テープを巻き付ける工程;および
    前記2つの対向する面に、水蒸気バリア性を有する導電性膜を形成する工程;
    を含
    前記電子部品が請求項1~17のいずれかに記載の電子部品である、電子部品の製造方法。
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