JP7130416B2 - 振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器 - Google Patents

振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP7130416B2
JP7130416B2 JP2018079885A JP2018079885A JP7130416B2 JP 7130416 B2 JP7130416 B2 JP 7130416B2 JP 2018079885 A JP2018079885 A JP 2018079885A JP 2018079885 A JP2018079885 A JP 2018079885A JP 7130416 B2 JP7130416 B2 JP 7130416B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrator
piezoelectric element
elastic body
region
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018079885A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018186501A (ja
Inventor
未紀 上田
達雄 古田
隆之 渡邉
信也 小山
潤平 林
純 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US15/961,122 priority Critical patent/US11038440B2/en
Publication of JP2018186501A publication Critical patent/JP2018186501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7130416B2 publication Critical patent/JP7130416B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

本発明は、振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器に関する。
弾性体と圧電セラミックスが接着(接合)された振動体(以下「振動子」という)を備える振動型アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、振動子と被駆動体とを接触させ、振動子に2つの異なるモードの振動を励起することにより生じる合成振動により、振動子と被駆動体を相対的に移動させる振動型アクチュエータが記載されている。
ここで、圧電セラミックスとしては、一般式がABO(A,Bはそれぞれ金属元素)で表されるペロブスカイト型金属酸化物が広く用いられている。代表的な圧電セラミックスとして、圧電定数の大きいチタン酸ジルコン酸鉛系材料(以下「PZT系材料」という)が広く使用されている。しかし、PZT系材料は、多量の鉛を含有するために環境に対する影響が問題視されている。
この問題に対して、鉛を含有しない圧電セラミックス(以下「非鉛系圧電セラミックス」という)の利用が検討されている。ペロブスカイト型の非鉛系圧電セラミックスとしては、チタン酸バリウム(BaTiO)とその派生体(固溶体)が知られている。例えば、特許文献2及び非特許文献1には、チタン酸バリウムのAサイトの一部をカルシウム(Ca)で、Bサイトの一部をジルコニウム(Zr)でそれぞれ置換することで圧電特性を向上させた圧電セラミックスが記載されている。
特開2004-297910号公報 特開2009-215111号公報
"Journal of Applied Physics",2011年, 109巻, 054110-1~054110-6
しかしながら、一般的に、非鉛系圧電セラミックスの圧電定数は鉛系圧電セラミックスの圧電定数よりも小さい。そのため、非鉛系圧電セラミックスを用いた振動子で鉛系圧電セラミックスを用いた振動子と同等の振動変位を得ようとすると、消費電力が大きくなってしまうという問題が生じる。
本発明は、消費電力を抑えながら所望の振動変位を得ることができる振動子を提供することを目的とする。
本発明に係る振動子は、圧電セラミックスと電極を備えた圧電素子と弾性体とが接着層を介して接着されてなる振動子であって、前記接着層は、前記接着層の厚さ方向に投影して前記圧電素子と前記弾性体とが重なる領域における、前記振動子に一次の面外曲げ振動モードの振動が励起された際の前記振動の節線の近傍領域、前記圧電素子と前記弾性体とを接着しない非接着領域を有することを特徴とする。
本発明によれば、消費電力を抑えながら所望の振動変位が得られる振動子を実現することができる。
本発明の実施形態に係る圧電素子と振動子の概略構成を示す図である。 振動子に励起する面外振動モードの一例を説明する図である。 振動子のアドミッタンスの周波数依存性、共振周波数差Δfと消費電力との関係を説明する図である。 振動子に励起する面外振動モードの節線と腹線を説明する図である。 振動子における接着層の実施例に係る構成を説明する図である。 振動子における接着層の比較例に係る構成を説明する図である。 実施例及び比較例での非接着面積率とΔfの値との関係を示す図である。 図1の圧電素子の変形例を示す平面図である。 本発明の圧電素子と振動子を用いた振動波駆動装置の一実施形態を示す図である。 振動型アクチュエータを備える光学機器の概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧電素子101と振動子100の概略構成を示す図である。図1(a)は、圧電素子101の側面図である。図1(b),(c)はそれぞれ、圧電素子101の平面図(上面図、裏面図)である。圧電素子101は、圧電セラミックス1の一方の面に第1電極2が形成され、他方の面に第2電極3a,3bが形成された構造を有する。説明の便宜上、図1(a)~(c)に示すように、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を規定する。図1(d)は、振動子100の側面図である。振動子100は、圧電素子101と弾性体5を接着層4により接着(接合或いは固着と表現しても構わない)させた構造を有する。後に説明する図2に示すように弾性体5には突起部51が設けられるが、図1(d)では突起部51の図示を省略している。
最初に、振動子100を構成する圧電素子101の構成について説明する。圧電セラミックス1は、略矩形で平板状の形状を有しており、圧電セラミックス1の長手方向、短手方向及び厚さ方向をそれぞれ、X方向、Y方向及びZ方向と規定している。略矩形とは、完全な矩形であることを必要とせず、例えば、各辺が面取りされているような形状を含むことを意味する。圧電セラミックス1は、組成が略均一な焼結体であり、分極処理を施すことにより、例えば、20℃において、圧電定数d31の絶対値が10pm/V以上又は圧電定数d33が30pC/N以上を示す圧電材料である。
なお、圧電セラミックス1の圧電定数は、例えば、圧電セラミックス1の密度と共振周波数及び***振周波数とを用い、電子情報技術産業規格(JEITA EM-4501)に基づいて計算(共振-***振法)により求めることができる。その場合、密度はアルキメデス法により測定することができる。共振周波数と***振周波数はインピーダンスアナライザを用いて測定することができる。共振-***振法以外にも、ベルリンコート法を測定原理に用いた圧電定数測定装置により圧電セラミックス1の圧電定数を測定することも可能である。
以前から、振動子を構成する圧電セラミックスには、圧電定数の大きいジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を主成分とするものが広く用いられている。しかし、圧電セラミックスを含む圧電素子が廃却されて酸性雨を浴びた場合や過酷な環境に放置された場合には、圧電セラミックスに含まれる鉛成分が土壌に溶け出し、生態系に害を及ぼすおそれがある。このような問題に鑑み、本実施形態では、圧電セラミックス1には、非鉛系圧電セラミックスが用いられ、非鉛系圧電セラミックスとは鉛含有量が1000ppm未満の圧電セラミックスを指すものと定義する。これは、鉛の含有量が1000ppm未満であれば、圧電素子101が廃却されて酸性雨を浴び或いは過酷な環境に放置されても、圧電セラミックス1に含まれる鉛成分による環境汚染は実質的に起こらないからである。なお、圧電セラミックス1の鉛含有量は、周知の定量分析法を用いて検出することができる。例えば、蛍光X線分析法(XRF)を用いて或いはICP発光分光分析により定量された鉛の重量の圧電セラミックス1の総重量に対する割合により求めることができる。
非鉛系圧電セラミックスの中でも、圧電定数が大きく、製造が比較的容易であるという観点から、チタン酸バリウム又はその派生体を用いることが望ましく、且つ、焼結体のヤング率が100GPa~140GPaの範囲にあるものが望ましい。チタン酸バリウム又はその派生体としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸バリウムカルシウム([Ba,Ca]TiO)、チタン酸ジルコン酸バリウム(Ba[Ti,Zr]O)、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム([Ba,Ca][Ti,Zr]O)、ニオブ酸ナトリウム-チタン酸バリウム(NaNbO-BaTiO)、チタン酸ビスマスナトリウム-チタン酸バリウム([Bi,Na]TiO-BaTiO)、チタン酸ビスマスカリウム-チタン酸バリウム([Bi,K]TiO-BaTiO)が挙げられる。
非鉛系圧電セラミックスは、実質的にこれらの各組成となっているもの、各組成を組み合わせたもの、各組成をベースとして他の元素を含んだもののいずれであってもよい。圧電定数と機械的品質係数(Q値)を両立することができるという観点からは、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム又はニオブ酸ナトリウム-チタン酸バリウムを主成分とするものが好適に用いられる。また、機械的品質係数や絶縁性を向上させる観点からは、上記の主成分以外の元素として、マンガン(Mn)やビスマス(Bi)を含むものが好適に用いられる。圧電セラミックス1は、周知の製造方法によって製造することができる。例えば、金属元素を有する原料粉末(一般的には金属酸化物)を成形し、焼成し、得られた焼結体を所望の形状に加工することによって製造することができるが、特に限定されるものではない。
第1電極2及び第2電極3a,3bはそれぞれ、圧電セラミックス1に所定の変位を生じさせるための電圧を印加するために、圧電セラミックス1の表裏面に設けられている。第2電極3a,3bは交番電圧(駆動電圧)を印加するための電極として用いられ、第1電極2はグランド(アース)に接続される共通電極として用いられる。第1電極2と第2電極3a,3bとの間に所定の電位差が生じるように電圧を印加すると、圧電セラミックス1には厚さ方向に電界が印加され、圧電セラミックス1に圧電特性(圧電定数)に起因する変位を生じさせることができる。
第1電極2と第2電極3a,3bは、導電性材料からなり、その厚さは5nm~10μm程度である。導電性材料には、例えば、チタン(Ti)、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属又はこれらの合金を用いることが望ましい。低コストで良好な導電性を有するという観点からは、銀が好適に用いられる。例えば、圧電セラミックス1の表裏面にスクリーン印刷法等を用いて銀ペーストを印刷(塗布)し、乾燥させた後に所定の温度で焼き付けることにより、第1電極2と第2電極3a,3bを銀で形成することができる。第1電極2と第2電極3a,3bを上述した金属又は合金で形成する方法としては、スパッタリング法等を用いることもできる。
圧電特性に基づく変位を圧電素子101に発生させるためには、圧電セラミックス1の分極処理が必要となる。分極処理は、圧電素子101を弾性体5に接着する前に行ってもよいし接着した後に行っても構わない。分極処理を接着工程前に行う場合には、圧電セラミックス1に脱分極が生じないように、分極処理以降の工程を圧電セラミックス1のキュリー温度以下の温度で行う必要がある。
続いて、振動子100の接着層4及び弾性体5について説明する。接着層4は、一般的には、圧電素子101と弾性体5のいずれか一方に液体状の樹脂接着剤を塗布し、圧電素子101と弾性体5とが密着するように厚さ方向(Z方向)に所定の力を加えながら硬化させることによって形成される。なお、図1(d)では、接着層4を明示するために厚みを設けて示しているが、接着層4の厚さは、一般的に、数ミクロン程度である。弾性体5は、例えば、ステンレス材等の金属材料からなり、弾性体5のXY面の大きさは、圧電素子101のXY面の大きさと同等か又は若干大きい。
ここで、圧電素子101と弾性体5の接着方法について説明する。まず、圧電素子101の接着面又は弾性体5の接着面に液状の樹脂接着剤を塗布する。なお、樹脂接着剤は、塗布時(硬化処理前)には流動性を有し、所定の硬化処理によって流動性が失われて硬化(固化)し、固体となる樹脂材料であり、一液硬化性であってもよいし二液硬化性であってもよい。樹脂接着剤の具体例としては、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。
続いて、塗布された樹脂接着剤を介して圧電素子101の接着面と弾性体5の接着面と貼り合わせ、圧電素子101と弾性体5とを厚さ方向(Z方向)に加圧した状態で樹脂接着剤を硬化させる。圧電素子101と弾性体5に加える加圧力は、圧電素子101と弾性体5が動かず、且つ、圧電セラミックス1が割れない程度とし、例えば、30kg/cm以下が好ましく、1kg/cm以上10kg/cm以下がより好ましい。また、樹脂接着剤が熱硬化性である場合には、圧電素子101と弾性体5を加圧接触させた状態で、圧電素子101と弾性体5の少なくとも一方を加熱することで、硬化時間を短縮することができる。こうして、樹脂接着剤が硬化した接着層4が形成されることで、振動子100が得られる。
なお、分極処理済みの圧電素子101を用いて圧電素子101と弾性体5とを熱硬化性の樹脂接着剤により接着する場合には、樹脂接着剤の硬化処理温度を圧電セラミックス1のキュリー温度以下として、圧電セラミックス1の脱分極を防止することが望ましい。また、圧電素子101と弾性体5の接着方法は、上記の方法に限定されるものではない。必要に応じて、第1電極2及び第2電極3a,3bには、電圧入力手段(電源)と電気的に接続するための給電部材(図8参照)が設けられる。
図2は、振動子100に励起する2つの異なる面外振動モードの一例を説明する図である。なお、図2(a),(b)では、振動子100に生じる振動変位の理解を容易とするために変形量を拡大して表しており、また、接着層4の図示を省略している。弾性体5における圧電素子101との接着面の反対側の面には、長手方向(X方向)に所定の間隔で突起部51が設けられている。なお、突起部51の機能については後述する。
図2(a),(c)は、2つの面外振動モードのうちの一方の面外振動モード(以下「面外振動モードA」という)を説明する図である。面外振動モードAは、振動子100の長辺(X方向)と略平行で互いに交わらない2本の節線を有する一次の面外曲げ振動モードである。図2(c)には、節線の位置が黒丸で、腹線の位置が白丸でそれぞれ示されており、振幅は腹線の位置で最大となる。図2(b),(d)は、2つの面外振動モードのうちの他方の面外振動モード(以下「面外振動モードB」という)を説明する図である。面外振動モードBは、振動子100の短辺(Y方向)と略平行で互いに交わらない3本の節線を有する二次の面外曲げ振動モードである。図2(d)には、節線の位置が黒丸で、腹線の位置が白丸でそれぞれ示されており、振幅は腹線の位置で最大となる。
面外振動モードA,Bのそれぞれの共振周波数、節線の数とその位置は、例えば、振動子100に駆動周波数を変化させながら交番電圧を印加し、駆動周波数ごとの面外方向変位量の面内分布をレーザドップラー振動計で計測することにより知ることができる。突起部51は、面外振動モードAの腹線と面外振動モードBの節線とが交差する位置に設けられている。詳細は後述するが、面外振動モードA,Bの振動を同時に所定の位相差で励起することにより、突起部51の先端にZX面内で楕円運動を生じさせることができる。図9を参照して後述するように、突起部51の先端部は被駆動体と接触し、突起部51の先端部に生じる楕円運動によって突起部51が被駆動体へ推力を与える。これにより、振動子100と被駆動体とを相対的にX方向に移動させることができる。
面外振動モードAについては、振動子100の短辺方向(Y方向)で変位量がゼロとなる場所又は変位量の正負が反転する境となる場所を節線とし、節線が圧電素子101の長辺方向(X方向)のいずれの場所においても短辺方向に2カ所ある周波数を求める。こうして求めた周波数の近傍で、2カ所の節線の中央部(腹線)の位置での変位量が最大となる周波数が面外振動モードAの共振周波数fである。面外振動モードBについては、振動子100の長辺方向(X方向)で変位量がゼロとなる場所又は変位量の正負が反転する境の場所を節線とし、節線が圧電素子101の短辺方向(Y方向)のいずれの場所においても長辺方向に3カ所ある周波数を求める。こうして求めた周波数の近傍で、3カ所のうちの隣り合う2カ所の節線の中央部(腹線)の位置での変位量が最大となる周波数が面外振動モードBの共振周波数fである。
図3(a)は、振動子100のアドミッタンスの周波数依存性を示す図である。振動子100のアドミッタンスは、面外振動モードA,Bのそれぞれの共振周波数f,fで極大値となり、共振周波数f,fの差(f-f)を共振周波数差Δfと定義する。図3(b)は、共振周波数差Δfの異なる振動子100がそれぞれ用いられている振動型アクチュエータを駆動したときの消費電力を測定した結果を示す図である。なお、振動型アクチュエータの構造は、後述する図9に示す振動型アクチュエータの構造に準じており、共振周波数差Δfの違いは、振動子100の形状が異なることに起因して生じる。図3(b)では、一定の振動速度で駆動したときの消費電力を縦軸に、共振周波数差Δfを横軸に取っており、共振周波数差Δfが大きくなるにしたがって消費電力が小さくなる傾向が現れていることがわかる。そこで、本実施形態では、圧電素子101と弾性体5との接着状態に特徴を持たせることによって共振周波数差Δfを大きくすることで、小さい消費電力で駆動が可能な振動型アクチュエータを実現する。
図4(a)は、面外振動モードAにおける腹線(Cn-Cn´(n=1,2,3))及び節線(Dn-Dn´(n=1,2))の位置を非駆動時の圧電セラミックス1側から見た平面図である。図4(b)は、面外振動モードBにおける腹線(En-En´(n=1,2,3,4))及び節線(Fn-Fn´(n=1,2,3))の位置を非駆動時の圧電セラミックス1側から見た平面図である。なお、節線及び腹線は、図4(a),(b)に示すように短辺又は長辺に平行な直線状になるとは限らず、振動子100の形状や振動モードの混成によって複雑に屈曲した曲線となることもある。しかし、本実施形態では、近似的に節線及び腹線が直線状であるとして説明する。
振動子100において、圧電セラミックス1と弾性体5の接着状態(接着層4の形態)を変化させた場合の共振周波数差Δfの変化を、有限要素法パッケージソフトANSYS(ANSYSInc.)を用いて見積った。このシミュレーションでは、20℃での弾性体5のヤング率Ysbを200GPaとし、圧電セラミックス1のヤング率Yceを120GPaとした。
図5は、接着層4の実施例1~5に係る構成を説明する図である。圧電素子101の内側にドット模様で示した領域は、圧電素子101と弾性体5が接着層4により接着されている領域を示している。一方、圧電素子101の内側の無地の領域(白色領域)は、接着剤が存在しないか又は接着剤が存在していても圧電素子101と弾性体5を実質的に接着していない領域(以下「非接着領域」という)を示している。非接着領域は、例えば、圧電素子101における弾性体5との接着面に、接着剤の密着を妨げるフッ素系樹脂等の層を設けることによって形成することができる。また、非接着領域は、接着層に予め可溶性材料を準備しておき、圧電素子101と弾性体5との接着後に可溶性材料を取り除く方法や、接着層4と圧電素子101又は弾性体5との界面に空隙を形成する方法等を用いて形成することも可能である。
図6は、接着層4の比較例1~6に係る構成を説明する図である。図6(a)は、圧電素子101と弾性体5との間の接着層4に非接着領域を形成せずに略均一な接着層4を設ける従来の一般的な形態を示しており、これを比較例1とする。比較例1の構成での共振周波数差Δfを基準値Δfとし、実施例1~5のそれぞれの共振周波数差の計算値Δfex~Δfex及び比較例2~6のそれぞれの共振周波数差の計算値Δfc~Δfcを基準値Δfと比較する。
図5(a)は、接着層4の実施例1の構成を示している。実施例1は、面外振動モードAの節線D1-D1´,D2-D2´を中心として2本の帯状の非接着領域が各節線の近傍領域に設けられた構成となっている。なお、本実施形態において、節線の近傍領域とは、非駆動時の振動子100を圧電セラミックス1側から見たときに、所定の面外振動モードの腹線よりもその面外振動モードの節線に近い領域であって、その節線を含む領域であると定義する。さらに、弾性体5に対する圧電セラミックス1の接着面の全面積Sceに対する非接着領域の面積Suの比率、つまり、Su/Sceを非接着面積率とよぶ。例えば図5(a)においては、腹線C1-C1´と腹線C3-C3´の間の幅と、接着領域のX方向の長さとからなる、一つの矩形領域が接着面の全面積Sceに相当する。実施例1において、2本の帯状の非接着領域の各幅(Y方向での長さ)を変化させて、2本の帯状の非接着領域の総和から求める非接着面積率を4.9%、9.8%、14.6%とした場合のΔfex/Δfの値は、それぞれ、1.003、1.010,1.025となった。ここで、非接着面積率が14.6%の場合においては、図5(a)及び図2(c)に図示されているように、1波の波長λに対して、節線と交差する方向であるY方向において節線を含む位置に、より好適には節線がY方向において中心となる位置に、2つの節線のそれぞれに対して0.073λの幅の非接着領域が定義される。本実施例ではこれに限らず、2つの節線のそれぞれに0.073λ以内の幅の非接着領域を設け、この非接着領域において圧電素子101と弾性体5とを接着しないように接着層4を構成すると好適である。
図5(b)は、接着層4の実施例2の構成を示している。実施例2は、面外振動モードAの節線D1-D1´,D2-D2´を中心とし、圧電セラミックス1の長手方向の端部側(X方向端側)に4本の帯状の非接着領域が各節線の近傍領域に設けられた構成となっている。実施例2において、4本の帯状の非接着領域の各幅を変化させて非接着面積率をそれぞれ4.3%、8.7%、14.6%とした場合のΔfex/Δfの値はそれぞれ、1.003、1.012、1.025となった。
図5(c)は、接着層4の実施例3の構成を示している。実施例3は、面外振動モードAの節線D1-D1´,D2-D2´を中心とし、圧電セラミックス1の長手方向の中央部(X方向中央部)に2本の帯状の非接着領域が各節線の近傍領域に設けられた構成となっている。2本の帯状の非接着領域の各幅を変化させて非接着面積率を8.8%、14.6%とした場合のΔfex/Δfの値はそれぞれ、1.024、1.025となった。
図5(d)は、接着層4の実施例4の構成を示している。実施例4は、面外振動モードAの節線D1-D1´を中心とし、圧電セラミックス1の長手方向の中央部(X方向中央部)に1本の帯状の非接着領域が節線D1-D1´の近傍領域に設けられた構成となっている。1本の帯状の非接着領域の非接着面積率を4.4%としたときのΔfex/Δfの値は1.012となった。
図5(e)は、接着層4の実施例5の構成を示している。実施例5は、面外振動モードAの節線D1-D1´,D2-D2´に沿って各節線の近傍に非接着領域が点在するように設けられた構成となっている。点在する非接着領域の面積を足し合わせた非接着面積率を7.4%としたときのΔfex/Δfの値は1.018となった。
図6(b)は、接着層4の比較例2の構成を示している。比較例2は、面外振動モードAの腹線C2-C2´を中心とした近傍に1本の帯状の非接着領域が設けられた構成となっている。1本の帯状の非接着領域の非接着面積率を2.4%、7.3%、12.2%とした場合のΔfc/Δfの値はそれぞれ、0.994、0.968、0.915となった。
図6(c)は、接着層4の比較例3の構成を示している。比較例3は、面外振動モードAの腹線C1-C1´,C3-C3´のそれぞれの近傍に2本の帯状の非接着領域が設けられた構成となっている。2本の帯状の非接着領域の非接着面積率を9.8%とした場合のΔfc/Δfの値は0.915となった。
図6(d)は、接着層4の比較例4の構成を示している。比較例4は、面外振動モードAの腹線C2-C2´と節線D1-D1´,D2-D2´のそれぞれとの中間部に、X方向に延びる2本の帯状の非接着領域が設けられた構成となっている。2本の帯状の非接着領域の非接着面積率を9.8%とした場合のΔfc/Δfの値は0.991となった。
図6(e)は、接着層4の比較例5の構成を示している。比較例5は、面外振動モードAの腹線C1-C1´と節線D1-D1´の中間部及び腹線C3-C3´と節線D2-D2´の中間部のそれぞれに圧電セラミックス1の長手方向(X方向)に延びる2本の帯状の非接着領域が設けられた構成となっている。2本の帯状の非接着領域の非接着面積率を9.8%とした場合のΔfc/Δfの値は0.994となった。
図6(f)は、接着層4の比較例6の構成を示している。比較例6は、面外振動モードAの節線及び腹線と交差するように、圧電セラミックス1の長手方向(X方向)の中央部に短手方向(Y方向)に延びる1本の帯状の非接着領域が設けられた構成となっている。1本の帯状の非接着領域の非接着面積率を5.0%とした場合のΔfc/Δfの値は0.959となった。
図7(a)は、実施例1~5での非接着面積率とΔfex/Δfの値との関係を示す図である。図7(b)は、比較例1~6での非接着面積率とΔfc/Δfの値との関係を示す図である。なお、実施例1~3では、非接着領域の幅(Y方向長さ)や長さ(X方向長さ)を変更し、非接着面積率が14.6%に至ったところで非接着領域が同一形状となるように調整した。
図7(a),(b)において、Δfex/Δfの値が1より大きいということは、面外振動モードA,B間の共振周波数差Δfが大きいこと、つまり、消費電力を抑える効果が大きいことを意味する。一方、Δfc/Δfの値が1より小さいということは、面外振動モードA,B間の共振周波数差Δfが小さいこと、つまり、消費電力を抑える効果が得られないことがわかる。よって、実施例1~5のように、面外振動モードAの節線を中心とした領域に非接着領域を設けて非接着面積率を大きくすることで、消費電力を抑えることができることがわかる。一方、比較例2~6のように、面外振動モードAの腹線を中心とした領域に非接着領域を設けた場合には、消費電力を抑える効果が得られていないことがわかる。
なお、振動子100が図2に示したように突起部51を備える場合において突起部51の内側が空洞である場合には、突起部51の内側の領域は圧電素子101と接着されない非接着領域となる。この場合、実施例1~5での非接着領域に加えて、突起部51の内側の非接着領域の非接着面積率が20%程度存在しても構わない。つまり、実施例1~5の非接着領域が形成されていれば、突起部51の内側に非接着領域が更に形成されたとしても、共振周波数差Δfを比較例1よりも大きくすることができる。但し、全体の非接着面積率が大きくなり過ぎると、圧電素子101に励起された振動が弾性体5に伝わり難くなる問題や振動子100が破壊され易くなる(圧電素子101と弾性体5とが剥離し易くなる)等の問題が生じる可能性がある。よって、圧電セラミックス1において弾性体5と対向する面積に対する非接着領域の面積の比率である非接着面積率は40%未満とすることが望ましい。
また、前述の通り、弾性体5にはステンレス材等の金属部材が用いられる。ここで、弾性体5のヤング率が小さいと、振動子100の曲げ振動の中立面が弾性体5側から圧電セラミックス1側にシフトし、その結果、振動子100の振動変位量が低下するおそれがある。そこで、圧電セラミックスの20℃におけるヤング率Yceと弾性体5の20℃におけるヤング率Ysbとは、Yce<Ysbの関係にあることが望ましい。ここで、20℃を例に挙げているのは、一般的な振動子100の一般的な使用温度の平均値を考慮したものである。なお、弾性体5のヤング率が小さい場合には、弾性体5の厚さを大きくして中立面を弾性体5側に調整することも可能であるが、この方法では振動子100が大型化してしまう。よって、振動子100を小型化する観点からも、弾性体5には、圧電セラミックス1よりもヤング率の大きい材料を用いることが望ましい。
更に、振動子100では、面外振動モードAの2本の節線の長さ方向における非接着領域の長さ割合Nn(%)が、2本の節線の中間に位置する腹線の長さ方向における非接着領域の長さ割合Na(%)より大きいことが好ましい。これは、面外振動モードAの節線上に位置する圧電セラミックス1の見かけ上の剛性が低下することで、面外振動モードBの共振周波数に比べて面外振動モードAの共振周波数が選択的に低下し、共振周波数差Δfを大きくすることができるからである。比較例1~6では、Nn≦Naとなっているが、実施例1~5ではNn>Naの条件が満たされている。また、一般的に、圧電素子101の形状が複雑となるにしたがって、また、対称性が低くなるにしたがって、多くの振動モードが現れる。そのため、所望の振動モード以外の振動の発生を抑制する観点から、非接着領域は圧電素子101の中心を通るXZ平面又はYZ平面に対して対称に設けることが望ましい。
ところで、本発明は、非鉛系圧電セラミックスを用いた振動子で所望の振動変位を得る際の消費電力の抑制を目的としてなされたものであるが、上記説明の通り、圧電材料そのものではなく、接着層4の形態を特徴としている。そのため、上述した接着層4の実施例1~5の形態は、非鉛系圧電セラミックスを用いた振動子に限らず、鉛系圧電セラミックスを用いた振動子にも適用が可能となる。つまり、鉛系圧電セラミックスを用いた振動子に実施例1~5で例示した接着層4の形態を取り入れることによって、従来よりも消費電力を小さくすることができる。
次に、圧電素子101の駆動について説明する。図8は、本発明の圧電素子101と振動子100を用いた振動波駆動装置の一実施形態を示している。圧電素子101Aのアスペクト比(長辺長さ/短辺長さ)は、圧電素子101のアスペクト比と異なるが、面外振動モードA,Bの振動を同時に励起可能であれば、圧電素子のアスペクト比は限定されない。圧電素子101Aに接合される弾性体5の形状は、圧電素子101Aの形状に合わせて設計することができる。
圧電素子101Aは、圧電セラミックス1の一方の面に共通電極21(第1電極)が設けられ、他方の面に駆動電極31a,31b(第2電極)が設けられ、駆動電極31a,31bが設けられた面に給電部材7が取り付けられた構成となっている。圧電素子101Aにおいて共通電極21が形成されている面は、不図示の弾性体と不図示の接着層を介して接着され、接着層は上述した実施例1~5の形態を有するように形成される。図8には、共通電極21の全体は示されていない。共通電極21は、圧電セラミックス1において駆動電極31a,31bが形成されている面の反対側の面の略全体に設けられ、且つ、圧電セラミックス1の長辺の中央部から側面を這って駆動電極31a,31bが形成されている面へ引き出されている。駆動電極31a,31bが形成されている面に共通電極21の引き出し部を設けるために、駆動電極31a,31bは、X方向に所定の間隙を設けて形成されている。
給電部材7は、例えば、フレキシブルプリント基板であり、給電線71とアース線72を含む。給電部材7は、給電線71が駆動電極31a,31bと電気的に接続され、アース線72が共通電極21の引き出し部と電気的に接続されるように、圧電セラミックス1において駆動電極31a,31bが設けられている面に取り付けられる。
電源から給電部材7の給電線71を通じて、駆動電極31bに交番電圧V1を印加すると同時に、交番電圧V1と振幅(電圧)の絶対値が同じ交番電圧V2を駆動電極31aに印加する。ここで、交番電圧V1,V2を面外振動モードAの共振周波数f付近の周波数で同位相にすると、圧電素子101A全体(駆動電極31a,31b)が伸縮する。その結果、圧電素子101Aを用いた振動子には、面外振動モードAの振動が発生する。また、交番電圧V1,V2を面外振動モードBの共振周波数f付近の周波数で位相を180°ずらして印加すると、圧電素子101Aにおいて駆動電極31a,31bがそれぞれ形成されている領域では、一方が縮むと他方が伸びる変形が生じる。その結果、圧電素子101Aを用いた振動子には、面外振動モードBの振動が発生する。こうして、面外振動モードA,Bのそれぞれの振動を単独で励起したときの周波数を、例えば、インピーダンスアナライザを用いて測定することにより、面外振動モードA,Bのそれぞれの共振周波数f,fを測定することできる。
交番電圧V1,V2の位相差θを0°と180°の間(0°<θ<180°)とすると、面外振動モードA,Bのそれぞれの振動を位相差が90°ずれた状態(振動の位相差は必ず90°又は-90°のいずれかになる)で同時に励起することができる。また、交番電圧V1,V2の位相差θを変更することにより、面外振動モードA,Bのそれぞれの振幅を調整することができる。
次に、振動子100(100A)を用いた振動型アクチュエータの具体例について説明する。図9は、振動型アクチュエータの概略構成を示す斜視図である。振動型アクチュエータを構成する振動子100は、図2(a),(b)に示した構造を有しており、被駆動体8が突起部51の先端とZ方向で接触するように配置された構成となっている。2つの突起部51は、弾性体5の中心を通るXZ平面又はYZ平面に対して対称に設けられることが望ましく、これにより、振動子100が突起部51において被駆動体8から受ける反力の偏りが小さくなり、安定した接触状態を維持することができる。
図8を参照して説明したように、面外振動モードA,Bのそれぞれの振動を位相差が90°ずれた状態で振動子100に振動を励起する。これにより、突起部51の先端にZX面内で楕円運動を生じさせることができ、突起部51の先端に生じる楕円運動によって被駆動体8は突起部51から推力を受け、振動子100と被駆動体8はX方向において相対移動することができる。2つの突起部51は、面外振動モードAの腹線上、且つ、面外振動モードBの節線上に設けられることが望ましく、突起部51の先端と被駆動体8とは所定の圧力で加圧接触していることが望ましい。これにより、振動子100で発生する振動によって突起部51の先端に生じる楕円運動を用いて、被駆動体8に効率的に推力を与えることができる。
次に、振動子100を用いた電子機器の一例である光学機器について説明する。図9に示した振動型アクチュエータにおける移動体を光学部材と力学的に接続することで、光学部材を所定の方向に移動させることができる。なお、力学的な接続とは、一方の部材の座標変動、体積変化、形状変化によって生じた力が他方の部材に伝わるように直接的に接触している状態又は他の部材を介して接触している状態を指す。なお、振動型アクチュエータでは、振動子100と被駆動体8の一方が所定位置に固定され他方が動くため、前述の移動体とは、振動子100と被駆動体8のうち実際に動く部材を指す。
図10は、光学機器200の概略構成を示す斜視図である。光学機器200は、具体的には、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒の内部に配置されるフォーカスレンズを撮影光軸方向に移動させる機構である。光学機器200において、矩形状の被駆動体8が振動子100と加圧接触しており、被駆動体8は光学機器200が配置されるレンズ鏡筒内の所定位置に固定されている。
振動子100(の弾性体5)は、不要な振動が発生しないように溶接等により保持部材211に保持されている。保持部材211には、ビス213を用いて移動筐体212が固定されており、これにより、保持部材211、移動筐体212及び振動子100は一体となっている。移動筐体212は、レンズ鏡筒内の所定位置に固定された2本のガイド部材214に対して摺動可能に嵌合しており、ガイド部材214の長さ方向に移動可能となっている。
レンズ保持部材215は、フォーカスレンズ216を保持しており、フォーカスレンズ216の光軸がガイド部材214の長さ方向と略平行となるように2本のガイド部材214に対して摺動可能に嵌合している。保持部材211には連結部材217が取り付けられており、連結部材217は、ガイド部材214の長さ方向にがたつきが生じないようにレンズ保持部材215を移動筐体212に連結する。これにより、レンズ保持部材215は、移動筐体212と一体的に滑らかに2本のガイド部材214の長さ方向に移動することができる。
振動子100に接続された給電部材7を通して不図示の電源から所定の交番電圧が振動子100に供給されると、図8及び図9を参照して説明したように、振動子100の突起部51(図10に不図示)に楕円運動が発生する。これにより、移動筐体212、レンズ保持部材215、保持部材211及び振動子100が一体的にガイド部材214にガイドされて被駆動体8の長手方向に移動する。つまり、レンズ保持部材215に保持されたフォーカスレンズ216を光軸方向に移動させることで、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を行うことができる。
なお、レンズ保持部材215の側面部にはスケール219が貼り付けられており、振動子100の駆動時には、レンズ鏡筒内の所定位置に固定されたセンサ18でスケール219の位置情報がセンサ218によって読み取られる。センサ218が読み取った位置情報は電源を制御する不図示の制御装置へ送られ、制御装置は電源から振動子100へ供給する交番電圧の電圧や位相を制御する。これにより、フォーカスレンズ216(レンズ保持部材215)を光軸方向の所定位置へ移動させることができる。
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。例えば、上記実施形態では、略矩形平板状の圧電セラミックス1に第1電極2及び第2電極3a,3bを形成した圧電素子101を取り上げたが、上述した圧電セラミックスを用いた圧電素子の構成は、これに限定されるものではない。つまり、圧電セラミックスの形状は、略矩形に限定されるものではなく、また、平板状に限定されるものでもなく、所望の振動を得ることが可能な形状に設計することができる。更に、略矩形平板状の圧電セラミックス1に対して、図1(b),(c)の構成とは異なる構成で電極を形成することによって、所望の振動を励起することが可能な圧電素子を実現することもできる。
また、上記実施形態では、振動型アクチュエータを用いた電子機器として、振動型アクチュエータを用いてフォーカスレンズ216を撮影光軸方向に移動させる機構を備える撮像装置を取り上げた。しかし、振動型アクチュエータは、撮像装置において、ズームレンズを撮影光軸方向に移動させる機構や、像ブレ補正のためにレンズ鏡筒内に配置される像ブレ補正レンズを撮影光軸と直交する面内で駆動する機構にも適用が可能である。更に、振動型アクチュエータは、撮像装置本体に実装される撮像素子を撮像面と平行な面内で駆動することで像ブレ補正を行う機構への適用も可能である。振動型アクチュエータの適用例は撮像装置に限定されるものではなく、種々の電子機器において位置決めが必要な部材を駆動する駆動機構に用いることができ、これにより、低消費電力の電子機器を実現することができる。
1 圧電セラミックス
2 第1電極
3a,3b 第2電極
4 接着層
5 弾性体
8 被駆動体
100 振動子
101,101A 圧電素子
200 光学機器

Claims (9)

  1. 圧電セラミックスと電極を備えた圧電素子と弾性体とが接着層を介して接着されてなる振動子であって、
    前記接着層は、前記接着層の厚さ方向に投影して前記圧電素子と前記弾性体とが重なる領域における、前記振動子に一次の面外曲げ振動モードの振動が励起された際の前記振動の節線の近傍領域、前記圧電素子と前記弾性体とを接着しない非接着領域を有することを特徴とする振動子。
  2. 前記弾性体に対する前記圧電素子の接着面の全面積に対する前記非接着領域の面積の比率は40%未満であることを特徴とする請求項1に記載の振動子。
  3. 前記弾性体の20℃におけるヤング率は前記圧電セラミックスの20℃におけるヤング率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の振動子。
  4. 前記節線の近傍領域は、前記一次の面外曲げモードの振動の腹線よりも前記節線に近い領域であって、前記節線を含む領域であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動子。
  5. 前記非接着領域は、一次の面外曲げ振動波長λに対して、2つの節線それぞれに関し、前記節線と交差する方向に関して0.073λ以内の領域であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動子。
  6. 2本の前記節線の長さ方向における非接着領域の長さ割合Nn(%)は、前記2本の節線の中間に位置する腹線の長さ方向における非接着領域の長さ割合Na(%)より大きいことを特徴とする請求項4に記載の振動子。
  7. 前記圧電素子と前記弾性体はそれぞれ、略矩形で平板状の形状を有し、
    前記振動子に前記一次の面外曲げ振動モードの振動が励起された際に、前記振動の節線は前記圧電素子の長辺に略平行に現れることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動子と、
    前記振動子と接触する被駆動体と、を備えることを特徴とする振動型アクチュエータ。
  9. 請求項8に記載の振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータと接した部材と、を備えることを特徴とする電子機器。
JP2018079885A 2017-04-26 2018-04-18 振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器 Active JP7130416B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/961,122 US11038440B2 (en) 2017-04-26 2018-04-24 Vibrator with low power consumption, vibration type actuator, and electronic apparatus

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017087153 2017-04-26
JP2017087153 2017-04-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018186501A JP2018186501A (ja) 2018-11-22
JP7130416B2 true JP7130416B2 (ja) 2022-09-05

Family

ID=64355147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018079885A Active JP7130416B2 (ja) 2017-04-26 2018-04-18 振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7130416B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020153287A1 (ja) * 2019-01-24 2020-07-30 株式会社村田製作所 共振子及び共振装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193048A (ja) 2012-03-21 2013-09-30 Canon Inc 振動装置、該振動装置を有する駆動装置、及び光学機器
JP2013201887A (ja) 2012-02-23 2013-10-03 Canon Inc 振動型駆動装置及び撮像装置
JP2016086619A (ja) 2014-10-29 2016-05-19 キヤノン株式会社 振動型駆動装置、レンズ鏡筒、撮像装置及びステージ装置
JP2016140180A (ja) 2015-01-27 2016-08-04 キヤノン株式会社 振動型駆動装置およびこれを駆動源とする装置
JP2017022846A (ja) 2015-07-09 2017-01-26 キヤノン株式会社 振動子、振動型アクチュエータおよび超音波モータ
JP2017070115A (ja) 2015-09-30 2017-04-06 キヤノン株式会社 振動型アクチュエータ、振動型アクチュエータの駆動方法、レンズ鏡筒、撮像装置及びステージ装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07308086A (ja) * 1994-05-10 1995-11-21 Ceratec:Kk 圧電アクチュエータ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013201887A (ja) 2012-02-23 2013-10-03 Canon Inc 振動型駆動装置及び撮像装置
JP2013193048A (ja) 2012-03-21 2013-09-30 Canon Inc 振動装置、該振動装置を有する駆動装置、及び光学機器
JP2016086619A (ja) 2014-10-29 2016-05-19 キヤノン株式会社 振動型駆動装置、レンズ鏡筒、撮像装置及びステージ装置
JP2016140180A (ja) 2015-01-27 2016-08-04 キヤノン株式会社 振動型駆動装置およびこれを駆動源とする装置
JP2017022846A (ja) 2015-07-09 2017-01-26 キヤノン株式会社 振動子、振動型アクチュエータおよび超音波モータ
JP2017070115A (ja) 2015-09-30 2017-04-06 キヤノン株式会社 振動型アクチュエータ、振動型アクチュエータの駆動方法、レンズ鏡筒、撮像装置及びステージ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018186501A (ja) 2018-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6901886B2 (ja) 振動子の製造方法、振動波駆動装置の製造方法および光学機器の製造方法
US9095882B2 (en) Piezoelectric device, dust removing apparatus, and imaging apparatus
JP7302059B2 (ja) 振動子、振動波駆動装置、振動波モータおよび電子機器
US9813596B2 (en) Vibration-type actuator, interchangeable lens, image pickup apparatus, and automatic stage
JP2013192013A (ja) 振動素子、振動デバイスおよび電子機器
US10658950B2 (en) Piezoelectric actuator, piezoelectric motor, robot, and electronic component conveyance apparatus
JP7130416B2 (ja) 振動子、振動型アクチュエータ及び電子機器
US11038440B2 (en) Vibrator with low power consumption, vibration type actuator, and electronic apparatus
JP6071320B2 (ja) 圧電デバイス、塵埃除去装置、撮像装置、及び電子機器
JP2011223371A (ja) 振動片、振動デバイスおよび電子機器
US20180041141A1 (en) Vibration actuator and electronic apparatus using vibration actuator
JP7000036B2 (ja) 振動子、振動子の製造方法、および電子機器
WO2022230712A1 (ja) 振動型アクチュエータ、光学機器および電子機器
WO2024090171A1 (ja) 振動型アクチュエータ、光学機器および電子機器
JP2012060264A (ja) 振動片、振動子、振動デバイスおよび電子機器
US20140159543A1 (en) Vibrator and production method thereof, and vibration wave driving device
WO2022230713A1 (ja) 振動型アクチュエータ、電子機器および光学機器
US20220252869A1 (en) Light control system and optical reflection element
JP2023170944A (ja) 振動型アクチュエータ、電子機器、光学機器
JP2007143248A (ja) 圧電アクチュエータおよび機器
JP2006296042A (ja) 圧電デバイス、圧電デバイスの製造方法、及び電子機器
JP2018037507A (ja) 振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボットおよび電子部品搬送装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220617

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220617

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220628

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220726

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220824

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7130416

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151