JP7129791B2 - 造形装置 - Google Patents
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Description
この造形装置は、所定厚さの粉末からなる粉末層を供給し、粉末層に対してレーザー走査を行って目標形状を構成する層形状に溶解させ、粉末層の供給とレーザー走査を繰り返すことで積層により目標形状の立体物を造形している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の造形装置は、造形完了後の目標形状の立体物を検査しなければ良否判定を行うことができず、不良品が発生すると、加工時間と材料粉末とを浪費してしまうという問題が生じていた。
材料粉末を層状に敷く敷設工程と層状に敷かれた前記材料粉末を加熱固化させる加熱固化工程とを繰り返すことにより、予め設定された造形物を造形する造形装置であって、
前記敷設工程後および前記加熱固化工程後の前記層状に敷かれた材料粉末の表面を撮像する撮像部と、
前記撮像部による前記敷設工程後の撮像画像に基づいて、造形が正常か異常かを判定する第1の判定を行うとともに、前記加熱固化工程後の撮像画像に基づいて、造形が正常か異常かを判定する第2の判定を行う正否判定部とを有し、
前記正否判定部は、判定の種類に拘わらず前記判定により異常であると判定された連続回数をカウントする前提で、前記第1の判定と前記第2の判定とを通じて前記カウント値が所定値に達した場合に、異常判定を確定する構成とした。
本発明の実施形態について図1~図10に基づいて説明する。図1は造形装置10を示す概略構成図である。
本実施形態は、金属の材料粉末Dを層状に敷く敷設工程と層状に敷かれた材料粉末Dを加熱して固める加熱固化工程とを繰り返すことにより、予め設定された造形物Mを造形する造形装置10を例示する。なお、材料粉末Dは、金属に限定されるものではなく、他の加熱固化する材料、例えば、樹脂であっても良い。
なお、以下の説明では、完成した造形物を造形物Mとし、層ごとに形成される造形物の断片をパーツPとする。
ステージ21は、その上面に材料粉末Dが敷設され、当該材料粉末Dに対する加熱固化が行われる。
昇降装置22は、造形物MのパーツPの層の厚さ単位でステージ21を下降させることができる。粉末供給装置30は、ステージ21上に規定の高さで材料粉末Dを敷設するので、昇降装置22のステージ21の下降動作に応じてパーツPの一層分の厚さで材料粉末Dを敷設することができる。
リコータ31は、内部中空であって下端部にスリット状の開口部を備えている。このリコータ31の開口部は、前述した規定の高さに設定されている。
搬送機構32は、スリットの長手方向に直交する方向にリコータ31を搬送する。
従って、リコータ31は、材料粉末Dを吐出しながら搬送されることで、スリットの長手方向全長と等しい幅でステージ21上に規定の高さとなる材料粉末Dを平面状に敷設することができる。
ヘッド41は、レーザー光源からのレーザー光を鉛直下方に照射する光学系を備えている。
X-Y移動機構42は、ヘッド41を水平な方向(X方向とする)に移動可能に支持するスライド機構と、当該スライド機構を直交する水平方向(Y方向とする)に移動可能に支持するもう一つのスライド機構とを備えている。そして、これら二つのスライド機構の協働により、ヘッド41を水平面上の任意の位置に位置決めする。
従って、加熱装置40は、ステージ21上に敷設された材料粉末Dの層に対して、任意の位置に照射することができ、当該材料粉末Dの層を任意の形状に加熱固化させることができる。
なお、ここでいう「加熱固化」とは、加熱により材料粉末Dを溶解させてから凝固によって固化させる場合や、加熱によって材料粉末Dを焼結させる場合を含むものとする。
これにより、カメラ11は、ステージ21の上面のほぼ全体を撮像することができ、撮像により得られた撮像画像データは、制御装置50に入力される。
図2は造形装置10における制御装置50を中心とする制御系を示したブロック図である。
制御装置50は、バスを介して接続されたCPU(Central Processing Unit),RAM(Random access memory),補助記憶装置などを備える。補助記憶装置は、不揮発性記憶装置を用いて構成される。ここで言う不揮発性記憶装置とは、いわゆるROM(Read-OnlyMemory:EPROM(ErasableProgrammableRead-OnlyMemory),EEPROM(ElectricallyErasableProgrammableRead-OnlyMemory)等を含む),フラッシュメモリ,ハードディスク等を含む。
上記図2では、制御装置50の各種機能をブロックで示している。即ち、制御装置50は、補助記憶装置に記憶された各種のプログラム(OS,アプリケーション等)がRAMにロードされCPUにより実行されることによって、造形制御部51、撮像制御部53、正否判定部55、停止処理部56等を含む装置として機能する。また、造形制御部51、撮像制御部53、正否判定部55、停止処理部56は専用のチップとして構成されても良い。
また、造形データ記憶部52及び撮像画像記憶部54は、補助記憶装置の一部に設けられた記憶量領域により実現されるが、これらも専用の記憶チップとして構成されても良い。
なお、制御装置50には、カメラ11、ステージ装置20、粉末供給装置30、加熱装置40を駆動させる駆動回路やインターフェイス、カメラ11の撮像画像データを処理する画像処理装置が併設されているが、これらの図示は省略する。
即ち、造形制御部51は、造形物Mの3次元データから、高さ方向について造形物Mを一定の間隔で輪切りにした複数のパーツPの平面形状の2次元データを算出する。
そして、各パーツPの平面形状で材料粉末Dの加熱固化を行い、下のパーツPから順番に形成しつつ各パーツPを積層することで最終的に造形物Mの造形を完了する。
まず、ステージ装置20を制御して、ステージ21の上面を、リコータ31の開口部の規定の高さに対して、一つのパーツPの規定の厚さ分(例えば、数ミクロン~数十ミクロン)だけ下降させる。
そして、粉末供給装置30を制御して、リコータ31がステージ21全体を通過するように搬送させて、材料粉末Dの敷設を行う。これにより、ステージ21上には、パーツPの規定の厚さで材料粉末Dの層が形成される。このステージ21の下降から材料粉末Dの層形成までの動作を「敷設工程」とする。
次いで、加熱装置40を制御して、前述した2次元データが示すパーツPの形状の各位置にヘッド41を位置決めしつつレーザー光を照射させる。これにより、パーツPの形状に応じて材料粉末Dを加熱固化させる。このレーザー光の照射による材料粉末Dの加熱固化の動作を「加熱固化工程」とする。
これ以降、造形制御部51は、「敷設工程」と「加熱固化工程」とを繰り返す制御を行うことで材料粉末Dからなる造形物Mを形成する。
この撮像制御部53は、粉末供給装置30による材料粉末Dの敷設から加熱装置40による材料粉末Dの加熱固化までの間と、加熱装置40による材料粉末Dの加熱固化から次の粉末供給装置30による材料粉末Dの敷設までの間の少なくとも二回、撮像指令をカメラ11に入力する。より具体的には、一つのパーツPの形成につき、粉末供給装置30による材料粉末Dの敷設直後と、加熱装置40による材料粉末Dの加熱固化直後の二回、撮像指令が出力される。
この正否判定部55は、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定により、造形の正常か異常かを判定する。
前述した粉末供給装置30のリコータ31は、非常に薄く材料粉末Dの層を形成するために、ステージ21の上面又は前回に形成された材料粉末Dの層の上面に対して、リコータ31の下端部を近接させた状態で材料粉末Dの供給を行う。
一方、材料粉末Dの加熱固化により形成されたパーツPの上面は希に凸部を生じ(図7参照)、リコータ31の下端部が接触する場合や、接触しない場合であってもパーツPの上面を通過する際に揺れを生じる場合等がある。
パーツPの上面の凸部の突出量が大きくなればなるほど、リコータ31は揺れを生じ易く、その結果、材料粉末Dの敷設状態には、色濃く縞状の模様sが発生する。このような色濃い模様sは、材料粉末Dの層の上面における凹凸も大きく、次のパーツPの形成にも影響を生じるおそれがある。
また、濃淡の差、つまり濃度差については、予め閾値が設定され、この閾値を超えている場合に模様有りと判定する。例えば、図3(A)のように濃度差が小さい模様sは模様と判定せず、図3(B)のように濃度差が大きな場合に模様ありと判定する。これにより、材料粉末Dの層に現れた凹凸の小さな模様sは、パーツPの形成に殆ど影響が生じないので正常の範囲とすることができる。
この場合も、材料粉末Dの敷設時に、前回形成されたパーツPの上面に凸部が生じた場合に、当該パーツPの上面に材料粉末Dが適切に供給されず、そのままパーツPの上面の露出が生じ得る。また、リコータ31の部分的な吐出不良等が原因でパーツPの上面の露出が生じる場合もある。
このような材料粉末Dの供給が行われていない部分は、次のパーツPの形成に影響を生じるおそれがある。
なお、より単純に輝度値の閾値を設定し、閾値以上の画素を抽出して露出部分の有無を判定しても良い。
位置ズレ判定では、何らかの原因により、前述した2次元データに定められた目標位置tから外れた位置にパーツPが形成された場合に異常と判定する。
位置ズレ判定では、例えば、2次元データに定められたパーツPの形状を撮像画像内で探索し、検出されたパーツPの形状の特徴的な部分の位置が適正か否かにより判定する。例えば、図4のようにパーツPが円形の場合にはその中心位置で判定する。この場合の特徴的な部分の位置のズレ量は予め閾値を設定することが望ましい。即ち、閾値以上のズレが生じた場合に位置ズレと判定する。
加熱固化工程において、パーツPの上面に凹凸が生じた場合や気泡が生じた場合に、乱反射により輝度値が大きくなる輝点bが生じ得る。このようなパーツPの上面の凹凸や気泡からなる輝点bは次のパーツPの形成にも影響を生じるおそれがある。
なお、パーツPの形状探索を行わずに、2次元データに定められたパーツPの存在する範囲内で規定の閾値以上となる画素或いは画素の集合部分からなる輝点bを検出しても良い。
正否判定部55では、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定の異常とする判定が入力されると、判定の種別に応じて個別に異常判定の連続回数をカウントする。
そして、正否判定部55は、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定のいずれかについて、図8(B)に示すように、異常判定が予め定められた回数だけ連続した場合に、異常判定を確定する。
そして、正否判定部55は、異常判定を確定すると、停止処理部56に異常判定確定を通知する。
なお、図8(A)に示すように、正常判定の場合には、異常判定の連続回数のカウント値はリセットされる。
本実施形態で例示する加熱装置40のレーザーは、この図7のように、一回の照射で深さdmまで溶解させて凝固させる強度を有している。つまり、溶解部分mは四番目の層D4に至って溶解させている。
従って、加熱装置40は、過去三回までは異常と判定された場合でも、四回目のレーザー光の照射が適切に行われていれば、過去三回分の異常は再溶解によって修復を図り得る。
このため、正否判定部55では、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定のいずれかについて異常判定がなされた場合でも、再溶解による修復が得られる範囲内であれば異常判定を確定せず、そのまま造形を続ける。
そして、異常判定が再溶解による修復が得られる範囲を超えた場合に、つまり、連続三回を超えた場合に、修復不能とみなして異常判定を確定する。
なお、異常判定を確定する連続回数については、レーザー光の再溶解による修復が得られる範囲なので、その強度に応じて適宜変更可能である。
図9は制御装置50によるパーツPの一つ分の造形時の動作フローチャートを示し、図10は正否判定部55による各判定時の処理を示す。
図9に示すように、造形装置10では、造形制御部51の制御によって、ステージ装置20のステージ21をパーツPの厚さ分だけ下降させる(ステップS1)。
次いで、造形制御部51の制御によって、粉末供給装置30のリコータ31が搬送されて、パーツPの厚さ分だけ新しい材料粉末Dの層が形成される(ステップS3)。
そして、撮像制御部53の制御により、カメラ11による、敷設工程直後の撮像が行われる(ステップS5)。
敷設工程直後の撮像による撮像画像データが撮像画像記憶部54に記憶されると、正否判定部55は、模様判定(ステップS7)、下層露出判定(ステップS9)を順番に実行する。
そして、撮像制御部53の制御により、カメラ11による、加熱固化工程直後の撮像が行われる(ステップS13)。
加熱固化工程直後の撮像による撮像画像データが撮像画像記憶部54に記憶されると、正否判定部55は、位置ズレ判定(ステップS15)、輝度判定(ステップS17)を順番に実行する。
これらにより、一層分のパーツPが形成される。
なお、後述する各判定によりエラー処理によって、造形動作が停止されない限りは、上記ステップS1~S17が繰り返されて、順番に各パーツPが積層形成されて造形物Mが形成される。
即ち、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定のいずれの場合も、正否判定部55により、異常か否かについて判定が行われる(ステップS21)。
そして、異常ありと判定された場合には(ステップS21:YES)、異常判定の連続回数のカウント値cの値を一つカウントアップする(ステップS25)。
そして、そのカウントアップ後のカウント値cが規定値(ここでは「4」を例示)以上であるか否かの判定が行われる(ステップS27)。
これにより、造形装置10は、造形動作をエラー停止させる。
以上のように、造形装置10の制御装置50は、カメラ11による層状に敷かれた材料粉末Dの表面の撮像画像に基づいて、造形が正常か異常かを判定する正否判定部55を有している。このため、造形物Mの造形の完了を待たないで、造形不良の発生を認識することができ、加工時間と材料粉末の浪費を低減することが可能となる。
特に、正否判定部55が、異常判定が所定回数連続した場合に異常判定を確定することで、造形物Mの生産性の低下を抑えつつ、加工精度を一定に維持することが可能となる。
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記各実施形態に限られない。各実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、加熱装置40は、ヘッド41をX-Y移動機構42により水平面に沿って任意に移動位置決めする構成を例示したが、これに限られない。例えば、固定設置されたヘッド41と、ヘッド41からのレーザー光の光軸の方向を光学素子を用いて任意に変更可能な構成としても良い。
また、加熱装置40は、材料粉末Dの層を任意の形状に応じて加熱固化させることができれば良く、例えば、レーザーではなく電子ビームを照射する構成としても良い。
また、正否判定部55は、模様判定、下層露出判定、位置ズレ判定、輝度判定について、異常判定の連続回数を等しくする場合を例示したが、各判定ごとに異なる連続回数を設定しても良い。
また、各判定ごとに連続回数をカウントしても良いし、判定の種類に拘わらず連続回数をカウントしても良い。
11 カメラ(撮像部)
12 チャンバー
20 ステージ装置
21 ステージ
22 昇降装置
30 粉末供給装置
31 リコータ
32 搬送機構
40 加熱装置
41 ヘッド
42 X-Y移動機構
50 制御装置
51 造形制御部
52 造形データ記憶部
53 撮像制御部
54 撮像画像記憶部
55 正否判定部
56 停止処理部
D 材料粉末
D0~D4 層
M 造形物
P パーツ
Claims (4)
- 材料粉末を層状に敷く敷設工程と層状に敷かれた前記材料粉末を加熱固化させる加熱固化工程とを繰り返すことにより、予め設定された造形物を造形する造形装置であって、
前記敷設工程後および前記加熱固化工程後の前記層状に敷かれた材料粉末の表面を撮像する撮像部と、
前記撮像部による前記敷設工程後の撮像画像に基づいて、造形が正常か異常かを判定する第1の判定を行うとともに、前記加熱固化工程後の撮像画像に基づいて、造形が正常か異常かを判定する第2の判定を行う正否判定部とを有し、
前記正否判定部は、判定の種類に拘わらず前記判定により異常であると判定された連続回数をカウントする前提で、前記第1の判定と前記第2の判定とを通じて前記カウント値が所定値に達した場合に、異常判定を確定する造形装置。 - 前記正否判定部は、前記第2の判定として、前記加熱固化工程後の前記撮像部による撮像画像において、前記加熱固化工程による前記材料粉末の固化部分が設定位置から所定距離以上ずれている場合に異常と判定する位置ズレ判定と、前記加熱固化工程による前記材料粉末の固化部分に、閾値以上の輝度となる輝点がある場合に異常と判定する輝度判定と、を行う請求項1記載の造形装置。
- 前記正否判定部は、前記第1の判定として、前記敷設工程後の前記撮像部による撮像画像において、前記加熱固化工程による前記材料粉末の固化部分が見えている場合に異常と判定する下層露出判定と、前記敷設工程による前記層状に敷かれた前記材料粉末表面の模様の陰影に基づいて、正常か異常かを判定する模様判定と、を行う請求項1又は請求項2に記載の造形装置。
- 前記正否判定部は、前記下層露出判定、前記模様判定、前記加熱固化工程による前記材料粉末の固化部分が設定位置から所定距離以上ずれている場合に異常と判定する位置ズレ判定および前記加熱固化工程による前記材料粉末の固化部分に、閾値以上の輝度となる輝点がある場合に異常と判定する輝度判定において造形を異常とする判定がなされる毎にカウント値を加算する一方、前記下層露出判定、前記模様判定、前記位置ズレ判定および前記輝度判定のいずれかにおいて異常なしと判定された場合に前記カウント値をリセットし、前記カウント値が所定値に達した場合に異常判定を確定する請求項3に記載の造形装置。
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