JP7129057B2 - Ti系合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、時計外装部品に用いて好適な、高硬度で衝撃特性などの靱性に優れ、さらに皮膚アレルギーの生起性が著しく小さいTi系合金の製造方法に関する。
近年、時計外装部品用の素材として、Ti系合金(チタン合金)が多く使用されている。Ti系合金は、従来から使用されているステンレス鋼に比べて大幅に軽く、海水等に対する耐食性が著しく良好である。また、Ni、Crなどの皮膚アレルギーを起こす可能性がある元素を、主要元素として含むステンレス鋼に比べ、Ti系合金は、これらの元素を除いて構成することが可能であり、この場合、皮膚アレルギーを起こす可能性を著しく下げることができる。
ただし、従来のTi系合金は軟質であるため、傷つきの防止、および表面の鏡面研磨による審美性の向上のためには、表面の硬化処理が必須となる。しかしながら、この硬化処理によって表面粗度が悪くなり、表面状態はざらざらなグレー色となり、デザインが単一的で著しく高級感を損なうという問題がある。従って、表面処理が不要で素材そのものが硬く、鏡面研磨できるTi系合金が求められている。具体的には、この硬さを示す単位であるビッカース硬さとして、HV580以上を有するTi系合金が求められている。
Ti系合金の硬さを向上させるため、これまでに添加元素の組成を工夫した多くの提案がなされているが、いずれの提案を採用した場合においても十分な硬さが得られていない。特許文献1では、Tiに対し、重量で0.5%以上のFeを含有する装飾用チタン合金について開示されているが、開示されているビッカース硬さの最高値はHV400程度であり、傷つきを防止したり、鏡面研磨性を高めたりしようとする観点からは不十分である。
特許文献2では、Alを4.5%(wt%、以下同じ)、Vを3%、Feを2%、Moを2%、Oを0.1%含むTi系合金が提案されているが、このTi系合金のビッカース硬さはHV440とされており、やはり、傷つきを防止したり、鏡面研磨性を高めたりしようとする観点からは不十分である。
特許文献3では重量で4.0~5.0%のアルミニウム、2.5~3.5%のバナジウム、1.5~2.5%のモリブデン、1.5~2.5%の鉄を含み、残部がチタンと不可避成分であるチタン合金が開示されている。このチタン合金のビッカース硬さは、明細書中に明示的に記載されていないが、その組成が特許文献2と大差ないことから、硬さについても同様に目標に較べると低いと考えられる。
特許文献4では、質量%でNbを20%より多く40%以下の割合で含み、Geを0.2%~4.0%の割合で含み、さらに、Ta、W、V、Cr、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Siの1種以上を合計で15%以下の割合で含み、残部がTiおよび不可避不純物からなり、冷間加工性に優れたゲルマニウム含有高強度チタン合金が開示されている。そのビッカース硬さについての明示的な記載はなされていないが、上述した各種チタン合金に較べ、著しく硬さが増加することは考えにくい。
このように、Ti系合金の硬さを向上させるため、添加元素に関する様々な工夫がなされているが、いずれも硬さの向上はわずかであるため、少なくとも表面を硬化処理することが必須とされている。そのため、デザインが単一的になり、高級感を著しく損なうという問題が発生している。
特開平7-62466号公報 特開平7-150274号公報 特開平9-145855号公報 特開2008-127667号公報
上述したように、時計外装部品用のTi系合金は、材料そのものを従来のTi系合金より著しく硬化することが強く望まれている。ただし、一般的には材料を硬くすると脆くなるため、時計外装部品に加工しにくい、落下したときに壊れやすい、などの問題が存在しており、これらの問題を解決する必要がある。つまり、衝撃値に代表される靱性を、ある程度確保する必要がある。その目安となるのは、現在実用化されている時計外装材のうち、最も靱性が低い超硬合金(代表例はKV30)以上の衝撃値を確保することである。具体的には、KV30の室温のノッチ無し試験片でのシャルピー衝撃値6.0J/cmを上回る衝撃値を有することである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、表面の硬化処理が不要な程度に材料自身が硬く、ビッカース硬さがHV580以上あり、室温のノッチ無し試験片でのシャルピー衝撃値が、6.0J/cm以上であるTi系合金を提供することを目的とする。
本発明による課題解決の基本的な考え方は、靱性が高いβ型合金とした上で、その合金の硬さを向上させたTi系合金を得ることにある。硬さを向上させる元素としては、Al、Zr、Si、Nを用いる。ただし、これらの元素の添加によって、靱性を低下させるα相が生成しやすくなるため、それを防ぐためのβ安定化元素も添加する。なお、このβ安定化元素は、添加量に応じてTi系合金の硬さ向上ももたらす。
また、Ti系合金の製造過程において、所定の元素の比率で合成した合金に対して、高温の熱処理を行い、高温から急冷する溶体化処理を行い、その後低温で時効処理することで、時効硬化を実現させる。
一般に、Ti系、あるいはTi-Al系合金でのβ安定化元素には、Cr、Mo、V、Mn、Fe、W、Nb、Ni、Coなど多数存在する。産業用部品としては、これらを自由に選択して種々の特性を有するTi系合金が開発されている。しかしながら、本発明の対象である時計外装部品では、皮膚アレルギーを起こす可能性がある添加元素を使用することは、適当でない。そこで、この観点から、本発明ではFe、Mo、Wをβ安定化元素として用いることとする。なお、各元素の単位添加量あたりのβ安定化効果は異なるとともに、多量添加によって極端にβ相を安定化すると、靱性が低下するなどの問題がある。従って、上記β安定化元素について適正な添加量を見出す必要がある。
次に、添加元素であるAl、Zr、Si、Nは、複合的に作用し、溶体化と、その後の時効処理の効果によって得られる合金の高硬度化を実現する。添加量が少ないと硬さ向上の効果がなく、また、添加量が多すぎると靭性が低下する問題がある。従って、これら元素に関しても適正な添加量を見出す必要がある。本発明者らは、これらの観点から、各添加元素の適正量を選定するための実験を多数実施した。本発明は、そうした実験を基になされたものであり、以下の構成を特徴とするものである。
[1]本発明の一態様に係るTi系合金は、Fe、Mo、Wのうち少なくともいずれか1つを含み、Feが3.0原子%以上8.0原子%以下、Moが4.0原子%以上9.0原子%以下、Wが0原子%以上3.0原子%以下であって、さらにAlを6.0原子%以上12.0原子%以下、Zrを0原子%以上2.0原子%以下、Siを0原子%以上1.5原子%以下、Nを0.4原子%以上1.5原子%以下の割合で含み、かつTiおよび不可避不純物を残部として含み、Al+0.5Si+2.5N+0.5Fe+0.3Mo+0.3W+0.3Zrで表される合金指数が、10.5以上17.0以下である。
[2]本発明の一態様に係るTi系合金の製造方法は、[1]に記載のTi系合金の製造方法であって、900度以上1200度以下の温度で熱処理を行う第1熱処理工程と、水冷または油冷による溶体化処理工程と、400度以上600度以下の温度で熱処理を行う第2熱処理工程と、を有する。
[3]本発明の一態様に係る時計用部品は、[1]に記載のTi系合金からなる。
本発明のTi系合金は、皮膚アレルギーを生起させることのない元素によって構成されており、Fe、Mo、W、Al、Si、N、Zrの添加元素量が適正化されている。そのため、本発明のTi系合金は、高温の熱処理、高温から急冷する溶体化処理、および時効処理を行うことにより、優れた硬さ(ビッカース硬さがHV580以上)と、優れた衝撃特性(室温のノッチ無し試験片でのシャルピー衝撃値が、6.0J/cm以上)を有する。つまり、本発明のTi系合金を用いることにより、従来のTi系合金の課題であった鏡面研磨性や傷つき防止性が著しく改善され、さらに、製造時や使用時に必要となる衝撃特性などの靱性が確保された時計外装部品用素材を提供することができる。
本発明の実施例1のTi系合金からなるインゴットの外観写真である。 図1のインゴットの鍛造試験後における外観写真である。
以下、本発明を適用した実施形態であるTi系合金について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(Ti系合金の構成)
本発明の一実施形態に係るTi系合金の構成について説明する。Ti系合金は、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のうち少なくともいずれか一つを次の割合で含み、さらにアルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、窒素(N)を、次の割合で含んでいる。
Fe:3.0原子%以上8.0原子%以下
Mo:4.0原子%以上9.0原子%以下
W:0原子%以上3.0原子%以下
Al:6.0原子%以上12.0原子%以下
Zr:0原子%以上2.0原子%以下
Si:0原子%以上1.5原子%以下
N:0.4原子%以上1.5原子%以下
さらに、本実施形態のTi系合金は、チタン(Ti)および不可避不純物を残部として含んでいる。
また、本実施形態のTi系合金では、含有元素のそれぞれの重量に所定の係数を掛けて足し合わせた量として、Al+0.5Si+2.5N+0.5Fe+0.3Mo+0.3W+0.3Zrで表される合金指数が、10.5以上17.0以下である。合金指数がこの範囲にある場合には、高温から急冷する溶体化処理、および時効処理を行うことにより、優れた硬さ(ビッカース硬さがHV580以上)と、優れた衝撃特性(室温のノッチ無し試験片でのシャルピー衝撃値が、6.0J/cm以上)を有する合金が得られる。
(Ti系合金の製造方法)
上述したTi系合金を製造する主な手順について説明する。まず、溶解炉でTi、Fe、Mo、W、Al、Si、N、Zrの原料を溶解させ、溶湯を鋳型に入れて凝固させることにより、Ti系合金を得る(合金形成工程)。
次に、このTi系合金を、熱処理炉に入れ、1100℃以上1250℃以下の温度で、30分以上~120分以下の加熱を行う。その後、熱処理炉からTi系合金を取り出し、室温、大気中で熱間鍛造する(熱間鍛造工程)。熱間鍛造の方法としては、例えば、据え込み(材料を長さ方向に圧縮する方法)や伸鍛(材料を径方向に圧縮する方法)を用いることができる。また、鍛造に限らず、圧延や押出しなどの他の熱間加工法を用いてもよい。
次に、熱間鍛造したTi系合金を熱処理炉に入れ、900℃以上1200℃以下(好ましくは1100℃)の温度で、30分以上~120分以下(好ましくは1時間)の間、加熱した状態で保持する(第1熱処理工程)。
続いて、加熱後のTi系合金を熱処理炉から取り出し、水冷または油冷を行い、室温程度の温度となるように冷却する(溶体化処理)。冷却速度は高い必要があり、空冷以上の速度であることが望ましい。冷却速度を高めるほど、後述する時効処理後に得られるTi系合金を硬くすることができる。
次に、冷却したTi系合金を熱処理炉に入れ、400℃以上600℃以下(好ましくは500℃)の温度で、10時間以上~200時間以下(好ましくは100時間)の間、加熱した状態で保持する(第2熱処理工程(時効処理工程))ことによって、本実施形態のTi系合金が得られる。
以上のように、本実施形態に係るTi系合金は、皮膚アレルギーを生起させることのない元素によって構成されており、Fe、Mo、W、Al、Zr、Si、Nの添加元素量が適正化されている。そのため、本実施形態に係るTi系合金は、高温の熱処理、高温から急冷する溶体化処理、および時効処理を行うことにより、優れた硬さ(ビッカース硬さがHV580以上)と、優れた衝撃特性(室温のノッチ無し試験片でのシャルピー衝撃値が、6.0J/cm以上)を有する。つまり、本実施形態に係るTi系合金を用いることにより、従来のTi系合金の課題であった鏡面研磨性や傷つき防止性が著しく改善され、さらに、製造時や使用時に必要となる衝撃特性などの靱性が確保された時計外装部品用素材を提供することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
図1は、実験に用いたインゴット100の外観写真の一例である。各インゴットを、イットリアるつぼを用いた高周波溶解によって作製した。作製した手順について説明する。
溶解に用いる原料を、スポンジTi、Alペレット、Fe、Zr、Siの粒状原料、Mo、W、TiNの粉末原料とした。原料の合計量は約800gであった。溶解作業は、溶解炉チャンバー内を真空排気後、アルゴンガスを導入して実施した。すべての原料が溶解された後、約3分間保持し、溶解された原料を鋳鉄製の鋳型に注湯した。鋳型としては、鋳込み部のサイズが、直径が40mm、高さ100mmの円柱形状のものを用いた。注湯に際しては、その上にアルミナ製ロートを置き、このロートの途中まで溶湯で満たした。ロート内の溶湯は、鋳型内のインゴットの鋳造欠陥を低減するための押し湯となった。図1において、上部の円錐状の部分100Aがロート内で凝固した押し湯部分であり、図1に示す位置Cで切断し、その下の鋳型内で凝固した棒状の部分100B(以下ではインゴット100Bと呼ぶ)を用いて以降の試験を実施した。
上記インゴット100Bに対し、1200℃に加熱した上で熱間鍛造を実施した。鍛造方向はインゴット100Bの長手方向Lについての据え込み鍛造であり、1回のみの圧縮で長さ100mmのインゴット100Bを25mmまで鍛造した。鍛造後の素材110の外観写真の一例を、図2に示す。
次に、この鍛造素材110の全体を1100℃で1時間加熱(第1熱処理)した後に油冷(溶体化処理)を実施した。さらにその後、500℃で100時間保持する時効処理(第2熱処理)を実施した。
時効処理後の鍛造素材について、次の(a)~(c)の評価を行った。
(a)鍛造素材の断面部から切り出して研磨した試験片に対する、荷重50kgfでのビッカース硬さ測定による評価。
具体的には、試験片に対し、荷重50kgfでダイヤモンド圧子を押しつけたときに、窪んだ部分の対角線の長さを測定し、この長さから窪んだ部分の面積を算出し、荷重と面積の値を用いてビッカース硬さを求める。
(b)靱性の簡易評価を目的とした、荷重50kgfのビッカース硬さ測定時の窪み部分の端部(圧痕端部)における、割れ発生有無の光学顕微鏡などによる観察による評価。
(c)時効処理後の鍛造素材から加工した、ノッチ無しの試験片の室温のシャルピー衝撃試験による評価。
具体的には、ハンマーをぶつけて試験片を破壊し、破壊に要したエネルギー(シャルピー衝撃値)を測定し、これを試験片の靭性評価の指標とする。
実施例1と同様の手順で、実施例1のTi系合金と異なる組成を有するTi系合金(インゴット)を、比較例1~12、実施例2~24のサンプルとして作製した。それらに対して上記(a)~(c)の評価を行った。表1、2は、それぞれ比較例1~12、実施例1~24として作製した鍛造素材について、組成と各種評価結果をまとめたものである。
上記(a)の評価において、ビッカース硬さがHV580以上となった合金を適正な合金であると判断し、HV580未満となったものを不適正な合金であると判断した。
上記(b)の評価において、割れが発生しなかったものを適正な合金であると判断し、発生したものを不適正な合金であると判断した。
上記(c)の評価において、現在実用化されている時計外装材として、最も靱性が低い超硬合金のKV30の衝撃値である6.0J/cmを基準値とし、この基準値以上を示した合金を適正な合金であるとし、この基準値未満を示した合金を不適正な合金であると判断した。
Figure 0007129057000001
Figure 0007129057000002
比較例1のサンプル(合金番号1)は、合金指数が10.3となっており、上記実施形態で規定した合金指数の下限値10.5を下回っている。そのため、ビッカース硬さがHV580未満となり、硬さが不十分であることから、比較例1のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例2のサンプル(合金番号2)は、合金指数が17.2となっており、上記実施形態で規定した合金指数の上限値17.0を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、このことから、比較例2のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例3のサンプル(合金番号3)は、Feの組成比が2.5原子%となっており、上記実施形態で規定したFeの組成比の下限値3.0原子%を下回っている。そのため、ビッカース硬さがHV580未満となり、硬さが不十分であることから、比較例3のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例4のサンプル(合金番号4)は、Feの組成比が8.5原子%となっており、上記実施形態で規定したFeの組成比の上限値8.0原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、このことから、比較例4のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例5のサンプル(合金番号5)は、Moの組成比がそれぞれ3.5原子%となっており、上記実施形態で規定したMoの組成比の下限値4.0原子%を下回っている。そのため、ビッカース硬さがHV580未満となり、硬さが不十分であることから、比較例5のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例6のサンプル(合金番号6)は、Moの組成比が9.5原子%となっており、上記実施形態で規定したMoの組成比の上限値9.0原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、シャルピー衝撃値が6J/cm未満であって靭性が不十分であることから、比較例6のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例7のサンプル(合金番号7)は、Wの組成比が3.5原子%となっており、上記実施形態で規定したWの組成比の上限値3.0原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、このことから、比較例7のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例8のサンプル(合金番号8)は、Alの組成比がそれぞれ5.5原子%となっており、上記実施形態で規定したAlの組成比の下限値6.0原子%を下回っている。そのため、ビッカース硬さがHV580未満となり、硬さが不十分であることから、比較例8のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例9のサンプル(合金番号9)は、Alの組成比が12.5原子%となっており、上記実施形態で規定したAlの組成比の上限値12.0原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、シャルピー衝撃値が6J/cm未満であって靭性が不十分であることから、比較例9のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例10のサンプル(合金番号10)は、Siの組成比が2.0原子%となっており、上記実施形態で規定したSiの組成比の上限値1.5原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、このことから、比較例10のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例11のサンプル(合金番号11)は、Nの組成比がそれぞれ0.35原子%となっており、上記実施形態で規定したNの組成比の下限値0.4原子%を下回っている。そのため、ビッカース硬さがHV580未満となり、硬さが不十分であることから、比較例11のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
比較例12のサンプル(合金番号12)は、Nの組成比が1.75原子%となっており、上記実施形態で規定したNの組成比の上限値1.5原子%を上回っている。そのため、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しており、シャルピー衝撃値が6J/cm未満であって靭性が不十分であることから、比較例12のサンプルは不適正なサンプルと判断される。
実施例1~24のサンプル(合金番号13~36)は、含有する全ての元素の組成比(at%)が、いずれも上記実施形態で規定した範囲内となっており、また、合金指数も上記実施形態で規定した範囲内となっている。そのため、ビッカース硬さがHV580以上であって硬さが十分であり、また、ビッカース測定時の圧痕端部に割れが発生しておらず、また、シャルピー衝撃値が6J/cm以上であって靭性が十分である。したがって、実施例1~24のサンプルは、いずれも適正なサンプルと判断される。
本発明のTi系合金は、硬さと靭性を必要とし、人体に接した状態で使用する時計の外装部品等を構成する材料として、広く利用することができる。
100・・・インゴット
100A・・・インゴットの円錐状の部分
100B・・・インゴットの棒状の部分
110・・・鍛造素材

Claims (2)

  1. Fe、Moのうち少なくともいずれか1つを含み、Feが3.0原子%以上8.0原子%以下、Moが4.0原子%以上9.0原子%以下であって、
    さらにAlを6.0原子%以上12.0原子%以下、Zrを0原子%以上2.0原子%以下、Siを0原子%以上1.5原子%以下、Nを0.4原子%以上1.5原子%以下の割合で含み、かつTiおよび不可避不純物を残部として含み、
    原子%で、Al+0.5Si+2.5N+0.5Fe+0.3Mo+0.3W+0.3Zrで表される合金指数が、10.5以上17.0以下であり、
    ビッカース硬さがHV580以上であり、かつシャルピー衝撃値が6.0J/cm 以上であるTi系合金の製造方法であって、
    900℃以上1200℃以下の温度で熱処理を行う第1熱処理工程と、
    水冷または油冷による溶体化処理工程と、
    400℃以上600℃以下の温度で熱処理を行う第2熱処理工程と、を有することを特徴とするTi系合金の製造方法。
  2. Wを3.0原子%含み、
    さらにAlを6.0原子%以上12.0原子%以下、Zrを0原子%以上2.0原子%以下、Siを0原子%以上1.5原子%以下、Nを0.4原子%以上1.5原子%以下の割合で含み、かつTiおよび不可避不純物を残部として含み、
    原子%で、Al+0.5Si+2.5N+0.5Fe+0.3Mo+0.3W+0.3Zrで表される合金指数が、10.5以上17.0以下であり、
    ビッカース硬さがHV580以上であり、かつシャルピー衝撃値が6.0J/cm 以上であるTi系合金の製造方法であって、
    900℃以上1200℃以下の温度で熱処理を行う第1熱処理工程と、
    水冷または油冷による溶体化処理工程と、
    400℃以上600℃以下の温度で熱処理を行う第2熱処理工程と、を有することを特徴とするTi系合金の製造方法。
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