JP7126028B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものである。
充電を必要とする様々なデバイスにリチウムイオン二次電池が広く利用されている。既存の多くのリチウムイオン二次電池では、正極活物質、導電助剤、バインダー等を含む正極合剤を塗布及び乾燥させて作製された、粉末分散型の正極(いわゆる塗工電極)が採用されている。
一般的に、粉末分散型の正極は、容量に寄与しない成分(バインダーや導電助剤)を比較的多量に(例えば10重量%程度)含んでいるため、正極活物質としてのリチウム複合酸化物の充填密度が低くなる。このため、粉末分散型の正極は、容量や充放電効率の面で改善の余地が大きかった。そこで、正極ないし正極活物質層をリチウム複合酸化物焼結体板で構成することにより、容量や充放電効率を改善しようとする試みがなされている。この場合、正極又は正極活物質層にはバインダーや導電助剤(例えば導電性カーボン)が含まれないため、リチウム複合酸化物の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率が得られることが期待される。例えば、特許文献1(特許第5587052号公報)には、正極集電体と、導電性接合層を介して正極集電体と接合された正極活物質層とを備えた、リチウムイオン二次電池の正極が開示されている。この正極活物質層は、厚さが30μm以上であり、空隙率が3~30%であり、開気孔比率が70%以上であるリチウム複合酸化物焼結体板からなるとされている。また、特許文献2(特許第6374634号公報)には、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる、コバルト酸リチウムLiCoO(以下、LCOという)等のリチウム複合酸化物焼結体板が開示されている。このリチウム複合酸化物焼結体板は、層状岩塩構造を有する複数の一次粒子が結合した構造を有しており、かつ、気孔率が3~40%であり、平均気孔径が15μm以下であり、開気孔比率が70%以上であり、厚さが15~200μmであり、複数の一次粒子の平均粒径である一次粒径が20μm以下であるとされている。また、このリチウム複合酸化物焼結体板は、上記複数の一次粒子の(003)面とリチウム複合酸化物焼結体板の板面とがなす角度の平均値、すなわち平均傾斜角が0°を超え30°以下であるとされている。
一方、負極としてチタン含有焼結体板を用いることも提案されている。例えば、特許文献3(特開2015-185337号公報)には、正極又は負極にチタン酸リチウム(LiTi12)焼結体を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。特許文献4(特許第6392493号公報)には、リチウムイオン二次電池の負極に用いられるチタン酸リチウムLiTi12(以下、LTOという)の焼結体板が開示されている。このLTO焼結体板は、複数の一次粒子が結合した構造を有しており、かつ、厚さが10~290μmであり、複数の一次粒子の平均粒径である一次粒径が1.2μm以下であり、気孔率が21~45%であり、開気孔比率が60%以上であるとされている。
特許第5587052号公報 特許第6374634号公報 特開2015-185337号公報 特許第6392493号公報
近年、小型薄型でありながら高容量かつ高出力のリチウムイオン二次電池が望まれている。そこで、高容量や良好な充放電効率を期待して、導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板(例えばLCO焼結体板)を正極に用い、かつ、導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板(例えばLTO焼結体板)を負極に用いることが提案されている(例えば特許文献4)。しかしながら、これらの焼結体板、すなわちセラミック正極板及びセラミック負極板を用いてリチウムイオン二次電池を実際に作製すると、期待したほどの容量が得られないことが判明した。
本発明者らは、今般、リチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、チタン含有焼結体板である負極板とを備えたリチウムイオン二次電池において、正極集電体及び正極板が正極側導電性接合層を介して接合される面積Spと、負極集電体及び負極板が負極側導電性接合層を介して接合される面積Snとが、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たすことで、容量とサイクル特性の両方を向上できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、リチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、チタン含有焼結体板である負極板とを備えた構成でありながら、容量とサイクル特性の両方が向上されたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、
導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板である負極板と、
前記正極板と前記負極板との間に介在されるセパレータと、
前記正極板の前記セパレータから離れた側の面に設けられる正極集電体と、
前記負極板の前記セパレータから離れた側の面に設けられる負極集電体と、
前記正極板、前記負極板、及び前記セパレータに含浸される電解液と、
を備えた、リチウムイオン二次電池であって、
前記正極板の前記正極集電体側の面の少なくとも一部が、前記正極集電体と正極側導電性接合層を介して接合されており、
前記負極板の前記負極集電体側の面の少なくとも一部が、前記負極集電体と負極側導電性接合層を介して接合されており、
前記正極集電体及び前記正極板が前記正極側導電性接合層を介して接合される面積Spと、前記負極集電体及び前記負極板が前記負極側導電性接合層を介して接合される面積Snとが、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たす、リチウムイオン二次電池が提供される。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例の模式断面図である。 配向正極板の板面に垂直な断面の一例を示すSEM像である。 図2に示される配向正極板の断面におけるEBSD像である。 図3のEBSD像における一次粒子の配向角度の分布を面積基準で示すヒストグラムである。
図1に本発明のリチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す。図1に示されるリチウムイオン二次電池10は、正極板12と、負極板14と、セパレータ16と、正極集電体18と、負極集電体20と、電解液22とを備える。正極板12は、導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板である。負極板14は、導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板である。セパレータ16は、正極板12と負極板14との間に介在される。正極集電体18は、正極板12のセパレータ16から離れた側の面に設けられる。負極集電体20は、負極板14のセパレータ16から離れた側の面に設けられる。電解液22は、正極板12、負極板14、及びセパレータ16に含浸される。正極板12の正極集電体18側の面の少なくとも一部は、正極集電体18と正極側導電性接合層24を介して接合されている。負極板14の負極集電体20側の面の少なくとも一部は、負極集電体20と負極側導電性接合層26を介して接合されている。
そして、正極集電体18及び正極板12が正極側導電性接合層24を介して接合される面積Spと、負極集電体20及び負極板14が負極側導電性接合層26を介して接合される面積Snとが、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たす。なお、正極集電体18及び正極板12が正極側導電性接合層24を介して接合される面積Spは、正極集電体18と正極板12の間でこれらの接合に寄与している正極側導電性接合層24の占有面積を意味し、正極側導電性接合層24が介在することなく正極集電体18及び正極板12が接触又は対向している領域の面積は含まないものとする。同様に、負極集電体20及び負極板14が負極側導電性接合層26を介して接合される面積Snは、負極集電体20と負極板14の間でこれらの接合に寄与している負極側導電性接合層26の占有面積を意味し、負極側導電性接合層26が介在することなく負極集電体20及び負極板14が接触又は対向している領域の面積は含まないものとする。このようにリチウム複合酸化物焼結体板である正極板12と、チタン含有焼結体板である負極板14とを備えたリチウムイオン二次電池10において、正極集電体18及び正極板12が正極側導電性接合層24を介して接合される面積Spと、負極集電体20及び負極板14が負極側導電性接合層26を介して接合される面積Snとが、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たすことで、容量とサイクル特性の両方を向上することができる。
前述のとおり、導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板(例えばLCO焼結体板)を正極に用い、かつ、導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板(例えばLTO焼結体板)を負極に用いてリチウムイオン二次電池を実際に作製すると、期待したほどの容量が得られないことが判明した。これは、負極面方向の電子伝導の機能をチタン含有焼結体板で確保しようとした場合、負極面方向の電子伝導性の乏しさに起因して十分に容量を取り出せないためと考えられる。そして、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たすように正極側導電性接合層24及び負極側導電性接合層26を配設することで上記問題が好都合に解消される。それと同時にサイクル特性も向上させることができる。
このことは以下のようなものと考えられる。すなわち、Sn/Spが1.0以上であるということは、負極集電体20及び負極板14が負極側導電性接合層26を介して接合される面積Snが、正極集電体18及び正極板12が正極側導電性接合層24を介して接合される面積Spと同等以上であることを意味する。すなわち、負極集電体20及び負極板14の接合面積Snを上記面積Spと同等以上のサイズに大きくすることで、負極集電体20及び負極側導電性接合層26が負極面方向の電子伝導機能を補い、十分な容量を取り出せるようになるものと考えられる。また、Sn/Spが1.0~5.0であるということは、正極集電体18及び正極板12の接合面積Spを上記面積Snと同等以下のサイズに小さくするが過度に小さくしすぎないことを意味し、かかる選択的な範囲となるように正極集電体18及び正極板12の接合面積Spを調整することでサイクル特性の向上を実現することができる。この点、正極集電体18及び正極板12の接合面積Spを上記面積Snよりも大きくした場合(すなわちSn/Spが1.0未満)、負極板14(すなわち負極活物質)に対向していない正極集電体18に接合された正極板12(正極活物質)の部分も充放電に大きく寄与してしまい、充放電に寄与する正極板12内に電位分布が発生し、電解液等の酸化分解による被膜が不均一に成長してしまうことでサイクル特性が悪化するものと考えられる。また、正極集電体18及び正極板12の接合面積Spを上記面積Snの5分の1未満にまで小さくしすぎた場合(すなわちSn/Spが5.0超)、正極板12を構成するリチウム複合酸化物(例えばLCO)のリチウム吸蔵/放出に伴う膨張収縮が負極板14を構成するチタン含有焼結体(例えばLTO)に対して大きいため、充放電に伴う正極板12の膨張収縮により正極板12と正極集電体18の剥離が進行しサイクル特性が悪化するものと考えられる。上記観点から、Sn/Sp比は1.0~5.0であるが、好ましくは1.1~5.0、より好ましくは1.5~5.0、さらに好ましくは2.5~5.0である。
前述のとおり、負極板14の負極集電体20側の面の少なくとも一部が、負極集電体20と負極側導電性接合層26を介して接合されており、好ましくは負極板14の負極集電体20側の面の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは全部(100%)が、負極集電体20と負極側導電性接合層26を介して接合されている。このように負極側導電性接合層26による接合面積割合を大きくすることで、負極集電体20及び負極側導電性接合層26が負極面方向の電子伝導機能をより効果的に補うことができ、より多くの容量を取り出せるようになる。
正極板12は、導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板である。正極板12が焼結体板であるということは、正極板12がバインダーや導電助剤を含んでいないことを意味する。これは、グリーンシートにバインダーが含まれていたとしても、焼成時にバインダーが消失又は焼失するからである。そして、正極板12がバインダーを含まないことで、電解液22による正極の劣化を回避できるとの利点がある。なお、焼結体板を構成するリチウム複合酸化物は、コバルト酸リチウム(典型的にはLiCoO(以下、LCOと略称することがある))であるのが特に好ましい。様々なリチウム複合酸化物焼結体板ないしLCO焼結体板が知られており、例えば特許文献1(特許第5587052号公報)や特許文献2(特許第6374634号公報)に開示されるものを使用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、正極板12、すなわちリチウム複合酸化物焼結体板は、リチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、複数の一次粒子が正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している、配向正極板である。図2に配向正極板12の板面に垂直な断面SEM像の一例を示す一方、図3に配向正極板12の板面に垂直な断面における電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)像を示す。また、図4に、図3のEBSD像における一次粒子11の配向角度の分布を面積基準で示すヒストグラムを示す。図3に示されるEBSD像では、結晶方位の不連続性を観測することができる。図3では、各一次粒子11の配向角度が色の濃淡で示されており、色が濃いほど配向角度が小さいことを示している。配向角度とは、各一次粒子11の(003)面が板面方向に対して成す傾斜角度である。なお、図2及び3において、配向正極板12の内部で黒表示されている箇所は気孔である。
配向正極板12は、互いに結合された複数の一次粒子11で構成された配向焼結体である。各一次粒子11は、主に板状であるが、直方体状、立方体状及び球状などに形成されたものが含まれていてもよい。各一次粒子11の断面形状は特に制限されるものではなく、矩形、矩形以外の多角形、円形、楕円形、或いはこれら以外の複雑形状であってもよい。
各一次粒子11はリチウム複合酸化物で構成される。リチウム複合酸化物とは、LiMO(0.05<x<1.10であり、Mは少なくとも1種類の遷移金属であり、Mは典型的にはCo、Ni及びMnの1種以上を含む)で表される酸化物である。リチウム複合酸化物は層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα-NaFeO型構造、すなわち立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。リチウム複合酸化物の例としては、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiMnO(マンガン酸リチウム)、LiNiMnO(ニッケル・マンガン酸リチウム)、LiNiCoO(ニッケル・コバルト酸リチウム)、LiCoNiMnO(コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム)、LiCoMnO(コバルト・マンガン酸リチウム)等が挙げられ、特に好ましくはLiCoO(コバルト酸リチウム、典型的にはLiCoO)である。リチウム複合酸化物には、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y,Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Bi、及びWから選択される1種以上の元素が含まれていてもよい。
図3及び4に示されるように、各一次粒子11の配向角度の平均値、すなわち平均配向角度は0°超30°以下である。これにより、以下の様々な利点がもたらされる。第一に、各一次粒子11が厚み方向に対して傾斜した向きに寝た状態になるため、各一次粒子同士の密着性を向上させることができる。その結果、ある一次粒子11と当該一次粒子11の長手方向両側に隣接する他の一次粒子11との間におけるリチウムイオン伝導性を向上させることができるため、レート特性を向上させることができる。第二に、レート特性をより向上させることができる。これは、上述のとおり、リチウムイオンの出入りに際して、配向正極板12では、板面方向よりも厚み方向における膨張収縮が優勢となるため、配向正極板12の膨張収縮がスムーズになるところ、それに伴ってリチウムイオンの出入りもスムーズになるからである。
一次粒子11の平均配向角度は、以下の手法によって得られる。まず、図3に示されるような、95μm×125μmの矩形領域を1000倍の倍率で観察したEBSD像において、配向正極板12を厚み方向に四等分する3本の横線と、配向正極板12を板面方向に四等分する3本の縦線とを引く。次に、3本の横線と3本の縦線のうち少なくとも1本の線と交差する一次粒子11すべての配向角度を算術平均することによって、一次粒子11の平均配向角度を得る。一次粒子11の平均配向角度は、レート特性の更なる向上の観点から、30°以下が好ましく、より好ましくは25°以下である。一次粒子11の平均配向角度は、レート特性の更なる向上の観点から、2°以上が好ましく、より好ましくは5°以上である。
図4に示されるように、各一次粒子11の配向角度は、0°から90°まで広く分布していてもよいが、その大部分は0°超30°以下の領域に分布していることが好ましい。すなわち、配向正極板12を構成する配向焼結体は、その断面をEBSDにより解析した場合に、解析された断面に含まれる一次粒子11のうち配向正極板12の板面に対する配向角度が0°超30°以下である一次粒子11(以下、低角一次粒子という)の合計面積が、断面に含まれる一次粒子11(具体的には平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11)の総面積に対して70%以上であるのが好ましく、より好ましくは80%以上である。これにより、相互密着性の高い一次粒子11の割合を増加させることができるため、レート特性をより向上させることができる。また、低角一次粒子のうち配向角度が20°以下であるものの合計面積は、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の総面積に対して50%以上であることがより好ましい。さらに、低角一次粒子のうち配向角度が10°以下であるものの合計面積は、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の総面積に対して15%以上であることがより好ましい。
配向焼結体を構成する複数の一次粒子の平均粒径が5μm以上であるのが好ましい。具体的には、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の平均粒径が、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは12μm以上である。これにより、リチウムイオンが伝導する方向における一次粒子11同士の粒界数が少なくなって全体としてのリチウムイオン伝導性が向上するため、レート特性をより向上させることができる。一次粒子11の平均粒径は、各一次粒子11の円相当径を算術平均した値である。円相当径とは、EBSD像上において、各一次粒子11と同じ面積を有する円の直径のことである。
正極板12は気孔を含んでいるのが好ましい。焼結体が気孔、特に開気孔を含むことで、正極板として電池に組み込まれた場合に、電解液を焼結体の内部に浸透させることができ、その結果、リチウムイオン伝導性を向上することができる。これは、焼結体内におけるリチウムイオンの伝導は、焼結体の構成粒子を経る伝導と、気孔内の電解液を経る伝導の2種類があるところ、気孔内の電解液を経る伝導の方が圧倒的に速いためである。
正極板12、すなわちリチウム複合酸化物焼結体板は気孔率が20~60%であるのが好ましく、より好ましくは25~55%、さらに好ましくは30~50%、特に好ましくは30~45%である。気孔による応力開放効果、及び高容量化が期待できるとともに、一次粒子11同士の相互密着性をより向上できるため、レート特性をより向上させることができる。焼結体の気孔率は、正極板の断面をCP(クロスセクションポリッシャ)研磨にて研磨した後に1000倍率でSEM観察して、得られたSEM画像を2値化することで算出される。配向焼結体の内部に形成される各気孔の平均円相当径は特に制限されないが、好ましくは8μm以下である。各気孔の平均円相当径が小さいほど、一次粒子11同士の相互密着性をさらに向上することができ、その結果、レート特性をさらに向上させることができる。気孔の平均円相当径は、EBSD像上の10個の気孔の円相当径を算術平均した値である。円相当径とは、EBSD像上において、各気孔と同じ面積を有する円の直径のことである。配向焼結体の内部に形成される各気孔は、正極板12の外部につながる開気孔であるのが好ましい。
正極板12、すなわちリチウム複合酸化物焼結体板の平均気孔径は0.1~10.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.2~5.0μm、さらに好ましくは0.3~3.0μmである。上記範囲内であると、大きな気孔の局所における応力集中の発生を抑制して、焼結体内における応力が均一に開放されやすくなる。
正極板12の厚さは60~450μmであるのが好ましく、より好ましくは70~350μm、さらに好ましくは90~300μmである。このような範囲内であると、単位面積当りの活物質容量を高めてリチウムイオン二次電池10のエネルギー密度を向上するとともに、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に抵抗値の上昇)を抑制できる。
負極板14は、導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板である。チタン含有焼結体板は、チタン酸リチウムLiTi12(以下、LTO)又はニオブチタン複合酸化物NbTiOを含むのが好ましく、より好ましくはLTOを含む。なお、LTOは典型的にはスピネル型構造を有するものとして知られているが、充放電時には他の構造も採りうる。例えば、LTOは充放電時にLiTi12(スピネル構造)とLiTi12(岩塩構造)の二相共存にて反応が進行する。したがって、LTOはスピネル構造に限定されるものではない。
負極板14が焼結体板であるということは、負極板14がバインダーや導電助剤を含んでいないことを意味する。これは、グリーンシートにバインダーが含まれていたとしても、焼成時にバインダーが消失又は焼失するからである。負極板にはバインダーが含まれないため、負極活物質(例えばLTO又はNbTiO)の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率を得ることができる。LTO焼結体板は、特許文献3(特開2015-185337号公報)及び特許文献4(特許第6392493号公報)に記載される方法に従って製造することができる。
負極板14、すなわちチタン含有焼結体板は、複数の(すなわち多数の)一次粒子が結合した構造を有している。したがって、これらの一次粒子がLTO又はNbTiOで構成されるのが好ましい。
負極板14の厚さは、70~500μmが好ましく、好ましくは85~400μm、より好ましくは95~350μmである。LTO焼結体板が厚いほど、高容量及び高エネルギー密度の電池を実現しやすくなる。負極板14の厚さは、例えば、負極板14の断面をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した場合における、略平行に観察される板面間の距離を測定することで得られる。
負極板14を構成する複数の一次粒子の平均粒径である一次粒径は1.2μm以下が好ましく、より好ましくは0.02~1.2μm、さらに好ましくは0.05~0.7μmである。このような範囲内であるとリチウムイオン伝導性及び電子伝導性を両立しやすく、レート性能の向上に寄与する。
負極板14は気孔を含んでいるのが好ましい。焼結体板が気孔、特に開気孔を含むことで、負極板として電池に組み込まれた場合に、電解液を焼結体板の内部に浸透させることができ、その結果、リチウムイオン伝導性を向上することができる。これは、焼結体内におけるリチウムイオンの伝導は、焼結体の構成粒子を経る伝導と、気孔内の電解液を経る伝導の2種類があるところ、気孔内の電解液を経る伝導の方が圧倒的に速いためである。
負極板14の気孔率は20~60%が好ましく、より好ましくは30~55%、さらに好ましくは35~50%である。このような範囲内であるとリチウムイオン伝導性及び電子伝導性を両立しやすく、レート性能の向上に寄与する。
負極板14の平均気孔径は0.08~5.0μmであり、好ましくは0.1~3.0μm、より好ましく0.12~1.5μmである。このような範囲内であるとリチウムイオン伝導性及び電子伝導性を両立しやすく、レート性能の向上に寄与する。
セパレータ16は、セルロース製、ポリオレフィン製、ポリイミド製、ポリエステル製(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))又はセラミック製のセパレータであるのが好ましい。セルロース製のセパレータは安価でかつ耐熱性に優れる点で有利である。また、ポリイミド製、ポリエステル製(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))又はセルロース製のセパレータは、広く用いられている、耐熱性に劣るポリオレフィン製セパレータとは異なり、それ自体の耐熱性に優れるだけでなく、電解液成分に対する濡れ性にも優れる。したがって、電解液をセパレータに(弾かせることなく)十分に浸透させることができる。一方、セラミック製のセパレータは、耐熱性に優れるのは勿論のこと、正極板12及び負極板14と一緒に全体として1つの一体焼結体として製造できるとの利点がある。セラミックセパレータの場合、セパレータを構成するセラミックはMgO、Al、ZrO、SiC、Si、AlN、及びコーディエライトから選択される少なくとも1種であるのが好ましく、より好ましくはMgO、Al、及びZrOから選択される少なくとも1種である。
電解液22は特に限定されず、有機溶媒等の非水溶媒中にリチウム塩を溶解させた液等、リチウム電池用の市販の電解液を使用すればよい。非水溶媒の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネートや、テトラヒドロフラン(THF)等の環状エーテルや、ジメトキシエタン(DME)等の鎖状エーテル、γ-ブチロラクトン(GBL)等のラクトン、アセトニトリル(AN)等のニトリル、スルホラン(SL)等の環状スルホン、プロパンスルトン(PS)等の環状スルホン酸エステル等が挙げられる。こうした非水溶媒は単独でも2種類以上の混合物として用いてもよい。リチウム塩の例としては、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)等が挙げられる。こうしたリチウム塩は単独でも2種類以上の混合物として用いてもよい。電解液22におけるリチウム塩濃度は0.5~2mol/Lであるのが好ましく、より好ましくは0.6~1.9mol/L、さらに好ましくは0.7~1.7mol/L、特に好ましくは0.8~1.5mol/Lである。
好ましくは、リチウムイオン二次電池10は1対の外装フィルム28をさらに備え、外装フィルム28の外周縁が互いに封止されて内部空間を成し、この内部空間に正極集電体18、正極側導電性接合層24、正極板12、セパレータ16、負極板14、負極側導電性接合層26、負極集電体20及び電解液22(以下、まとめて電池要素という)を収容する。すなわち、図1に示されるように、リチウムイオン二次電池10の中身である電池要素は、1対の外装フィルム28で包装され且つ封止されており、その結果、リチウムイオン二次電池10はいわゆるフィルム外装電池の形態とされる。リチウムイオン二次電池10の外縁は外装フィルム28同士が熱融着されることで封止されるのが好ましい。熱融着による封止はヒートシール用途で一般的に使用される、ヒートバー(加熱バーとも称される)を用いて行うのが好ましい。典型的には、リチウムイオン二次電池10の四辺形の形状であり、1対の外装フィルム28の外周縁が外周4辺の全てにわたって封止されるのが好ましい。
外装フィルム28は、市販の外装フィルムを使用すればよい。外装フィルム28の厚さは1枚当たり50~80μmが好ましく、より好ましくは55~70μm、さらに好ましくは55~65μmである。好ましい外装フィルム28は、樹脂フィルムと金属箔とを含むラミネートフィルムであり、より好ましくは樹脂フィルムとアルミニウム箔とを含むアルミラミネートフィルムである。ラミネートフィルムはアルミニウム箔等の金属箔の両面に樹脂フィルムが設けられているのが好ましい。この場合、金属箔の一方の側の樹脂フィルム(以下、表面保護膜という)がナイロン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の補強性に優れた材料で構成され、金属箔の他方の側の樹脂フィルムがポリプロピレン等のヒートシール材料で構成されるのが好ましい。
正極集電体18は正極板12のセパレータ16から離れた側の面に設けられる一方、負極集電体20は負極板14のセパレータ16から離れた側の面に設けられる。したがって、正極集電体15は正極板12と外装フィルム28との間に介在する一方、負極集電体20は負極板14と外装フィルム28との間に介在する。好ましくは、正極集電体15と外装フィルム28の一方が接着されており、かつ、負極集電体20と外装フィルム28の他方が接着されている。正極集電体15及び負極集電体20は特に限定されないが、好ましくは銅箔やアルミニウム箔等の金属箔である。
正極タブ端子19は、正極集電体18に接続し、1対の外装フィルム28の封止部分から外側に延出する一方、負極タブ端子(図示せず)は、負極集電体20に接続し、1対の外装フィルム28の封止部分から外側に延出する。なお、図1では負極タブ端子は正極タブ端子19に奥に隠れているため描かれていない。より具体的には、正極タブ端子19及び負極タブ端子は、外装フィルム28の封止部分の共通の1辺の異なる位置又は異なる辺から延出している。正極タブ端子19及び負極タブ端子は特に限定されないが、正極集電体15及び負極集電体20とそれぞれ同じ又は異なる材料であることができ、好ましくは銅箔やアルミニウム箔等の金属箔である。また、正極タブ端子19と正極集電体15との接続、及び負極タブ端子と負極集電体20との接続は、溶接、接着剤等の公知の接続手法により行えばよく特に限定されない。あるいは、正極タブ端子19及び正極集電体15、又は負極タブ端子及び負極集電体20は、同じ材料で作製された一体品であってもよい。
正極板12の正極集電体18側の面の少なくとも一部は、正極集電体18と正極側導電性接合層24を介して接合されている。負極板14の負極集電体20側の面の少なくとも一部は、負極集電体20と負極側導電性接合層26を介して接合されている。正極側導電性接合層24及び負極側導電性接合層26はいずれも、公知ないし市販の導電性接着剤を用いればよく特に限定されないが、例えば、導電材、結着剤、及び所望により増粘剤を所定の配合割合で含むものが挙げられる。導電材の例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等の導電性カーボン材料が挙げられる。結着剤の例としては、アクリルバインダー、スチレンブタジエンゴムバインダー等が挙げられる。増粘剤の例としては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
正極板の製造方法
正極板12、すなわちリチウム複合酸化物焼結体板はいかなる方法で製造されたものであってもよいが、好ましくは、(a)リチウム複合酸化物含有グリーンシートの作製、(b)所望により行われる過剰リチウム源含有グリーンシートの作製、並びに(c)グリーンシートの積層及び焼成を経て製造される。
(a)リチウム複合酸化物含有グリーンシートの作製
まず、リチウム複合酸化物で構成される原料粉末を用意する。この粉末は、LiMOなる組成(Mは前述したとおりである)の合成済みの板状粒子(例えばLiCoO板状粒子)を含むのが好ましい。原料粉末の体積基準D50粒径は0.3~30μmが好ましい。例えば、LiCoO板状粒子の作製方法は次のようにして行うことができる。まず、Co原料粉末とLiCO原料粉末とを混合して焼成(500~900℃、1~20時間)することによって、LiCoO粉末を合成する。得られたLiCoO粉末をポットミルにて体積基準D50粒径0.2μm~10μmに粉砕することによって、板面と平行にリチウムイオンを伝導可能な板状のLiCoO粒子が得られる。このようなLiCoO粒子は、LiCoO粉末スラリーを用いたグリーンシートを粒成長させた後に解砕する手法や、フラックス法や水熱合成、融液を用いた単結晶育成、ゾルゲル法など板状結晶を合成する手法によっても得ることができる。得られたLiCoO粒子は、劈開面に沿って劈開しやすい状態となっている。LiCoO粒子を解砕によって劈開させることで、LiCoO板状粒子を作製することができる。
上記板状粒子を単独で原料粉末として用いてもよいし、上記板状粉末と他の原料粉末(例えばCo粒子)との混合粉末を原料粉末として用いてもよい。後者の場合、板状粉末を配向性を与えるためのテンプレート粒子として機能させ、他の原料粉末(例えばCo粒子)をテンプレート粒子に沿って成長可能なマトリックス粒子として機能させるのが好ましい。この場合、テンプレート粒子とマトリックス粒子を100:0~3:97に混合した粉末を原料粉末とするのが好ましい。Co原料粉末をマトリックス粒子として用いる場合、Co原料粉末の体積基準D50粒径は特に制限されず、例えば0.1~1.0μmとすることができるが、LiCoOテンプレート粒子の体積基準D50粒径より小さいことが好ましい。このマトリックス粒子は、Co(OH)原料を500℃~800℃で1~10時間熱処理を行なうことによっても得ることができる。また、マトリックス粒子には、Coのほか、Co(OH)粒子を用いてもよいし、LiCoO粒子を用いてもよい。
原料粉末がLiCoOテンプレート粒子100%で構成される場合、又はマトリックス粒子としてLiCoO粒子を用いる場合、焼成により、大判(例えば90mm×90mm平方)でかつ平坦なLiCoO焼結体板を得ることができる。そのメカニズムは定かではないが、焼成過程でLiCoOへの合成が行われないため、焼成時の体積変化が生じにくい若しくは局所的なムラが生じにくいことが予想される。
原料粉末を、分散媒及び各種添加剤(バインダー、可塑剤、分散剤等)と混合してスラリーを形成する。スラリーには、後述する焼成工程中における粒成長の促進ないし揮発分の補償の目的で、LiMO以外のリチウム化合物(例えば炭酸リチウム)が0.5~30mol%程度過剰に添加されてもよい。スラリーには造孔材を添加しないのが望ましい。スラリーは減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000~10000cPに調整するのが好ましい。得られたスラリーをシート状に成形してリチウム複合酸化物含有グリーンシートを得る。こうして得られるグリーンシートは独立したシート状の成形体である。独立したシート(「自立膜」と称されることもある)とは、他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう(アスペクト比が5以上の薄片も含む)。すなわち、独立したシートには、他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能ないし分離困難となった)ものは含まれない。シート成形は、原料粉末中の板状粒子(例えばテンプレート粒子)にせん断力を印加可能な成形手法を用いて行われるのが好ましい。こうすることで、一次粒子の平均傾斜角を板面に対して0°超30°以下にすることができる。板状粒子にせん断力を印加可能な成形手法としては、ドクターブレード法が好適である。リチウム複合酸化物含有グリーンシートの厚さは、焼成後に上述したような所望の厚さとなるように、適宜設定すればよい。
(b)過剰リチウム源含有グリーンシートの作製(任意工程)
所望により、上記リチウム複合酸化物含有グリーンシートとは別に、過剰リチウム源含有グリーンシートを作製する。この過剰リチウム源は、Li以外の成分が焼成により消失するようなLiMO以外のリチウム化合物であるのが好ましい。そのようなリチウム化合物(過剰リチウム源)の好ましい例としては炭酸リチウムが挙げられる。過剰リチウム源は粉末状であるのが好ましく、過剰リチウム源粉末の体積基準D50粒径は0.1~20μmが好ましく、より好ましくは0.3~10μmである。そして、リチウム源粉末を、分散媒及び各種添加剤(バインダー、可塑剤、分散剤等)と混合してスラリーを形成する。得られたスラリーを減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を1000~20000cPに調整するのが好ましい。得られたスラリーをシート状に成形して過剰リチウム源含有グリーンシートを得る。こうして得られるグリーンシートもまた独立したシート状の成形体である。シート成形は、周知の様々な方法で行いうるが、ドクターブレード法により行うのが好ましい。過剰リチウム源含有グリーンシートの厚さは、リチウム複合酸化物含有グリーンシートにおけるCo含有量に対する、過剰リチウム源含有グリーンシートにおけるLi含有量のモル比(Li/Co比)が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.1~1.1とすることができるような厚さに設定するのが好ましい。
(c)グリーンシートの積層及び焼成
下部セッターに、リチウム複合酸化物含有グリーンシート(例えばLiCoOグリーンシート)、及び所望により過剰リチウム源含有グリーンシート(例えばLiCOグリーンシート)を順に載置し、その上に上部セッターを載置する。上部セッター及び下部セッターはセラミックス製であり、好ましくはジルコニア又はマグネシア製である。セッターがマグネシア製であると気孔が小さくなる傾向がある。上部セッターは多孔質構造やハニカム構造のものであってもよいし、緻密質構造であってもよい。上部セッターが緻密質であると焼結体板において気孔が小さくなり、気孔の数が多くなる傾向がある。必要に応じて、過剰リチウム源含有グリーンシートは、リチウム複合酸化物含有グリーンシートにおけるCo含有量に対する、過剰リチウム源含有グリーンシートにおけるLi含有量のモル比(Li/Co比)が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.1~1.1となるようなサイズに切り出して用いられるのが好ましい。
下部セッターにリチウム複合酸化物含有グリーンシート(例えばLiCoOグリーンシート)を載置した段階で、このグリーンシートを、所望により脱脂した後、600~850℃で1~10時間仮焼してもよい。この場合、得られた仮焼板の上に過剰リチウム源含有グリーンシート(例えばLiCOグリーンシート)及び上部セッターを順に載置すればよい。
そして、上記グリーンシート及び/又は仮焼板をセッターで挟んだ状態で、所望により脱脂した後、中温域の焼成温度(例えば700~1000℃)で熱処理(焼成)することで、リチウム複合酸化物焼結体板が得られる。この焼成工程は、2度に分けて行ってもよいし、1度に行なってもよい。2度に分けて焼成する場合には、1度目の焼成温度が2度目の焼成温度より低いことが好ましい。こうして得られる焼結体板もまた独立したシート状である。
負極板の製造方法
負極板14、すなわちチタン含有焼結体板はいかなる方法で製造されたものであってもよい。例えば、LTO焼結体板は、(a)LTO含有グリーンシートの作製及び(b)LTO含有グリーンシートの焼成を経て製造されるのが好ましい。
(a)LTO含有グリーンシートの作製
まず、チタン酸リチウムLiTi12で構成される原料粉末(LTO粉末)を用意する。原料粉末は市販のLTO粉末を使用してもよいし、新たに合成してもよい。例えば、チタンテトライソプロポキシアルコールとイソプロポキシリチウムの混合物を加水分解して得た粉末を用いてもよいし、炭酸リチウム、チタニア等を含む混合物を焼成してもよい。原料粉末の体積基準D50粒径は0.05~5.0μmが好ましく、より好ましくは0.1~2.0μmである。原料粉末の粒径が大きいと気孔が大きくなる傾向がある。また、原料粒径が大きい場合、所望の粒径となるように粉砕処理(例えばポットミル粉砕、ビーズミル粉砕、ジェットミル粉砕等)を行ってもよい。そして、原料粉末を、分散媒及び各種添加剤(バインダー、可塑剤、分散剤等)と混合してスラリーを形成する。スラリーには、後述する焼成工程中における粒成長の促進ないし揮発分の補償の目的で、LiMO以外のリチウム化合物(例えば炭酸リチウム)が0.5~30mol%程度過剰に添加されてもよい。スラリーには造孔材を添加しないのが望ましい。スラリーは減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000~10000cPに調整するのが好ましい。得られたスラリーをシート状に成形してLTO含有グリーンシートを得る。こうして得られるグリーンシートは独立したシート状の成形体である。独立したシート(「自立膜」と称されることもある)とは、他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう(アスペクト比が5以上の薄片も含む)。すなわち、独立したシートには、他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能ないし分離困難となった)ものは含まれない。シート成形は、周知の様々な方法で行いうるが、ドクターブレード法により行うのが好ましい。LTO含有グリーンシートの厚さは、焼成後に上述したような所望の厚さとなるように、適宜設定すればよい。
(b)LTO含有グリーンシートの焼成
セッターにLTO含有グリーンシート載置する。セッターはセラミックス製であり、好ましくはジルコニア製又はマグネシア製である。セッターにはエンボス加工が施されているのが好ましい。こうしてセッター上に載置されたグリーンシートを鞘に入れる。鞘もセラミックス製であり、好ましくはアルミナ製である。そして、この状態で、所望により脱脂した後、焼成することで、LTO焼結体板が得られる。この焼成は600~900℃で1~50時間行うのが好ましく、より好ましくは700~800℃で3~20時間である。こうして得られる焼結体板もまた独立したシート状である。焼成時の昇温速度は100~1000℃/hが好ましく、より好ましくは100~600℃/hである。特に、この昇温速度は、300℃~800℃の昇温過程で採用されるのが好ましく、より好ましくは400℃~800℃の昇温過程で採用される。
(c)まとめ
上述のようにしてLTO焼結体板を好ましく製造することができる。この好ましい製造方法においては、1)LTO粉末の粒度分布を調整する、及び/又は2)焼成時の昇温速度を変えるのが効果的であり、これらがLTO焼結体板の諸特性の実現に寄与するものと考えられる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。なお、以下の例において、LiCoOを「LCO」と略称し、LiTi12を「LTO」と略称するものとする。
例1
(1)正極板の作製
(1a)LCOグリーンシートの作製
まず、LCO(日本化学工業株式会社製)原料粉末100重量部と、分散媒(キシレン:n-ブタノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM-2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)2重量部と、分散剤(製品名レオドールSP-O30、花王株式会社製)4.5重量部とを混合した。得られた混合物を減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000cPに調整することによって、スラリーを調製した。粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート状に成形することによって、グリーンシートを形成した。乾燥後のLCOグリーンシートの厚さは110μmであった。
(1b)LCO焼結体板の作製
PETフィルムから剥がしたLCOグリーンシートをカッターで35mm角に切り出し、下部セッターとしてのマグネシア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置した。上部セッターとして、グリーンシートの上に多孔質アルミナ製セッター(寸法40mm角、高さ3mm)を中央に載置した。セッター上のグリーンシートを900℃で15時間焼成して、LCO焼結体板を得た。こうしてLCO焼結体板を正極板として得た。得られた正極板を32mm×32mm平方の形状にレーザー加工した。
(2)負極板の作製
(2a)LTOグリーンシートの作製
まず、LTO粉末(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)100重量部と、分散媒(キシレン:n-ブタノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM-2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)2重量部と、分散剤(製品名レオドールSP-O30、花王株式会社製)1重量部とを混合した。得られた負極原料混合物を減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000cPに調整することによって、LTOスラリーを調製した。粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート状に成形することによって、LTOグリーンシートを形成した。乾燥後のLTOグリーンシートの厚さは110μmであった。
(2b)LTO焼結体板の作製
得られたグリーンシートを35mm角にカッターナイフで切り出し、マグネシア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)上に載置した。上部セッターとして、グリーンシートの上に多孔質アルミナ製セッター(寸法40mm角、高さ3mm)を中央に載置した。セッター上のグリーンシートを760℃で5時間焼成して、LTO焼結体板を得た。こうしてLTO焼結体板を負極板として得た。得られた負極板を30mm×30mm平方の形状にレーザー加工した。
(3)集電体の作製
20μmのアルミニウム箔を35mm×45mmに切り出した。切り出したアルミニウム箔の短辺側の端部から突出するようにタブリードを配置し、アルミニウム箔とタブリードを超音波接合することで集電体を得た。
(4)導電性接着剤の作製
導電材(アセチレンブラック)30重量部、結着剤(アクリルバインダー)60重量部、及び増粘剤(カルボキシメチルセルロース)10重量部を混合し、純水を加えて導電性接着剤を作製した。
(5)正極の作製
集電体を構成するアルミニウム箔に導電性接着剤を810mmの面積で塗布し、導電性接着剤で塗布された部分の全てを覆うよう正極板を接着した。これを100℃で12時間乾燥することで正極を得た。
(6)負極の作製
別の集電体を構成するアルミニウム箔に導電性接着剤を810mmの面積で塗布し、導電性接着剤で塗布された部分の全てを覆うように負極板を接着した。これを100℃で12時間乾燥することで負極を得た。
(7)電極群の作製
こうして得られた正極と負極とをセパレータを介して対向させ、外周にテープを巻いて固定した。この際、正極のタブリードと負極のタブリードとは、互いに向き合う異なる辺から反対方向に延出するように配置した。また、負極を構成する負極板の全体が正極を構成する正極板と対向するようにした。
(8)注液前電池の作製
ラミネートフィルムを2枚準備し、電極群の正極及び負極の外側の面に配置した。次いで、正極側に配置したラミネートフィルムと負極側に配置したラミネートフィルムとを、電極群の周縁部3辺で熱融着した。この際、タブリードが配置される2辺は、タブリードに設けられた絶縁フィルムとラミネートとが重なる部分が熱融着されるように位置調整し、タブリードの一部がラミネートフィルムから突出するようにした。この突出したタブリードを充放電の際に装置と接続する端子とした。また、タブリードが配置されない他の1辺は、タブリードが配置された2つの封止辺に直行するように熱融着した。
(9)非水電解質の注入
熱溶着しなかった辺から非水電解質(電解液)を注入した。非水電解質には、非水溶媒としてエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1で混合したものを用い、電解質として1mol/lの6フッ化リン酸リチウムを用いた。
(10)電池の作製
非水電解質の注入後、残りの1辺を熱融着することで充放電サイクル試験用電池を得た。
(11)サイクル前0.2C放電容量評価
得られた電池を用いて、25℃の環境下で電池容量を確認した。充電は定電流定電圧充電とし、具体的には0.2Cで2.7Vに達するまで定電流充電した後、電流値が0.02Cに達するまで2.7Vで定電圧充電することにより行った。放電は0.2Cで定電流放電し、電圧が1.5Vに達するまで行った。こうして得られた放電容量を予め測定しておいた負極板の重量で除し、サイクル前0.2C放電容量とした。
(12)サイクル試験
次いで、充放電サイクル試験を実施した。充放電サイクル試験は25℃の環境下で、充放電を1000回繰り返すことにより行った。充電は、2.7Vで定電圧充電し、電流値が0.2Cに達するまで行った。放電は、1Cで定電流放電し、電圧が1.5Vに達するまで行った。
(13)1000サイクル後容量維持率評価
1000サイクル充放電を繰り返した電池について、25℃の環境下で電池容量を確認した。充電は定電流定電圧充電とし、具体的には0.2Cで2.7Vに達するまで定電流充電した後、電流値が0.02Cに達するまで2.7Vで定電圧充電することにより行った。放電は0.2Cで定電流放電し、電圧が1.5Vに達するまで行った。こうして得られた放電容量を予め測定しておいた負極板の重量で除し、1000サイクル後0.2C放電容量とした。また、この値をサイクル前0.2C放電容量で除し、100を乗じることにより、1000サイクル後容量維持率(%)とした。
例2
上記(5)において正極の導電性接着剤を162mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例3
上記(5)において正極の導電性接着剤を630mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を630mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例4
上記(5)において正極の導電性接着剤を126mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を630mmの面積で塗布したこと以外は例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例5
上記(5)において正極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例6
上記(5)において正極の導電性接着剤を818mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例7
上記(5)において正極の導電性接着剤を360mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例8
上記(5)において正極の導電性接着剤を180mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例9(比較)
上記(5)において正極の導電性接着剤を1000mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例10(比較)
上記(5)において正極の導電性接着剤を176.5mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を900mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
例11(比較)
上記(5)において正極の導電性接着剤を700mmの面積で塗布し、かつ、上記(6)において負極の導電性接着剤を630mmの面積で塗布したこと以外は、例1と同様にして電池の作製及び評価を行った。
結果
表1に例1~11において作製した電池の評価結果を示す。なお、表1において、Sn/Spは、正極集電体及び正極板が導電性接着剤(正極側導電性接合層)を介して接合される面積Spに対する、負極集電体及び負極板が導電性接着剤(負極側導電性接合層)を介して接合される面積Snの比を意味する。
Figure 0007126028000001
表1から明らかなように、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たす例1~8においては、上記関係を満たさない例9~11と比較して、格段に高い1000サイクル後容量維持率が実現された。

Claims (7)

  1. 導電性カーボンを含有しないリチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、
    導電性カーボンを含有しないチタン含有焼結体板である負極板と、
    前記正極板と前記負極板との間に介在されるセパレータと、
    前記正極板の前記セパレータから離れた側の面に設けられる正極集電体と、
    前記負極板の前記セパレータから離れた側の面に設けられる負極集電体と、
    前記正極板、前記負極板、及び前記セパレータに含浸される電解液と、
    を備えた、リチウムイオン二次電池であって、
    前記正極板の前記正極集電体側の面の少なくとも一部が、前記正極集電体と正極側導電性接合層を介して接合されており、
    前記負極板の前記負極集電体側の面の少なくとも一部が、前記負極集電体と負極側導電性接合層を介して接合されており、
    前記正極集電体及び前記正極板が前記正極側導電性接合層を介して接合される面積Spと、前記負極集電体及び前記負極板が前記負極側導電性接合層を介して接合される面積Snとが、1.0≦Sn/Sp≦5.0の関係を満たす、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記負極板の前記負極集電体側の面の少なくとも70%が、前記負極集電体と前記負極側導電性接合層を介して接合されている、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記負極板の前記負極集電体側の面の全部が、前記負極集電体と前記負極側導電性接合層を介して接合されている、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極板の厚さが60~450μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記リチウム複合酸化物がコバルト酸リチウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記負極板の厚さが70~500μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記チタン含有焼結体が、チタン酸リチウム又はニオブチタン複合酸化物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。

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