JP7122111B2 - 果実処理物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、果実処理物の製造方法に関する。
果実には自身を紫外線や植物病原菌から守るための防御物質であるポリフェノールが豊富に含まれる。近年では、果実ポリフェノールの健康機能が注目されるようになり、飲食品・医薬品等での有効利用が期待されている。
ポリフェノールは、果実の各部位のなかで果皮に多く局在する。そのため、果皮に対して磨砕処理やペクチナーゼによる酵素処理等を施して、果実ポリフェノールを含むペースト等の果皮処理物を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、ポリフェノールには難水溶性のものが多く、水に難溶解性の物質は、消化管内での消化液への溶解度が小さいために経口吸収性が低いことや、加工品への利用に制限があることが知られている。果実ポリフェノールにおいても例外ではなく、果皮の利用を図る観点からも難水溶性の果実ポリフェノールの溶解性の改善が求められている。
従来、ポリフェノール類の溶解性を改善する技術として、水性媒体の存在下、難水溶性のポリフェノール類と水溶性ポリフェノールを100~180℃で加熱処理して、難水溶性のポリフェノール類の溶解性を改善する方法が報告されている(例えば、特許文献2)。
特開2016-93111号公報 特開2013-13392号公報
そこで、果皮を含む果実を対象に100~180℃での加熱処理を行ったところ、加熱処理直後は加熱処理前より果実に含まれるポリフェノールの溶解量は大きく増加するものの、室温下で経時的に低下してしまうことが判った。
従って、本発明は、室温保存に伴う果実ポリフェノールの溶解性の低下が抑制された果実処理物を提供することに関する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、ポリフェノールの経時的な不溶化に果実に由来する水不溶性の固形分(パルプ)が影響していること、先ず果皮を含む果実を対象に酵素処理を行い、次いで100~180℃での加熱処理を行った後、固液分離により当該果実由来の不溶性固形分を除く処理を行えば、果実ポリフェノールの溶解量が多く、室温保存時にも高い溶解量が保たれる果実処理物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の工程(A)、(B)及び(C):
(A)果皮を含む果実に対して植物組織崩壊酵素を添加し、酵素処理を行う工程、
(B)工程(A)の後、酵素処理物を100~180℃で加熱処理する工程、
(C)工程(B)の後、加熱処理物を固液分離して、不溶性固形分を除去する工程
を含む、果実処理物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、果皮を含む柑橘類果実を加熱処理してから少なくとも5日経過後の溶解ヘスペリジン量が1.0mg/g以上である柑橘類果実処理物を提供するものである。
本発明によれば、果実ポリフェノールの溶解量が多く、室温での保存安定性にも優れた果実処理物を得ることができる。
本発明の果実処理物の製造方法は、(A)果皮を含む果実に対して植物組織崩壊酵素を添加し、酵素処理を行う工程、(B)工程(A)の後、酵素処理物を100~180℃で加熱処理する工程、及び(C)工程(B)の後、加熱処理物を固液分離して、不溶性固形分を除去する工程、を有する。
本発明において処理を行う対象は、剥皮していない、果皮を含む果実である。本明細書において、果実は、植物の子房、或いは子房と花托等の他の器官が発達した部分である。果皮が複数層に分化している場合は、外果皮を含む果実を用いるのが好ましい。
果実の種類は、特に限定されず、例えば、ライム、レモン、グレープフルーツ、夏みかん、いよかん、温州ミカン、ポンカン等のミカン科カンキツ属(ミカン属);ナガキンカン、マルキンカンン等のミカン科キンカン属;ぶどう等のブドウ科ブドウ属;ブルーベリー、コケモモ等のツツジ科スノキ属;リンゴ等のバラ科リンゴ属に属する植物の果実が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、ミカン科カンキツ属、キンカン属に属する植物である柑橘類にはフラボノイド類(ヘスペリジン、ナリンギン等)といった柑橘特有の難水溶性機能成分が含まれていることから、本発明は柑橘類に好適に用いられる。
本発明では、後述する工程(A)を行うに先立って、果皮を含む果実を、必要により、洗浄、破砕処理等の前処理に付することができる。破砕処理は、果実を摩擦により破砕しても、剪断応力の働きにより破砕してもよい。例えば、包丁、ハンドミキサー及びコミトロール(登録商標)等を適宜組み合わせて機械的剪断処理する方法等を採用することができる。
工程(A)に供する果皮を含む果実の形態としては、微粒状、さいの目状、短冊状、ペースト状等が例示されるが、ペースト状であることが好ましい。
〔工程(A)〕
工程(A)は、果皮を含む果実に対して植物組織崩壊酵素を添加し、酵素処理を行う工程である。本工程を後述する工程(B)と工程(C)に先立って行うことにより、果実処理物における果実ポリフェノールの経時的不溶化を抑制することができる。
本発明で用いられる植物組織崩壊酵素は、食物繊維を分解する酵素であり、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、果実ポリフェノールの室温での保存安定性を高める点から、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びペクチナーゼを組み合わせて用いるのが好ましい。
植物組織崩壊酵素は、一般に市販されている酵素製剤や下記に例示する微生物の培養物やその濾過液を使用することもできる。さらに、遺伝子組み換え技術、部分加水分解等による人工酵素であってもよい。
セルラーゼは、セルロースを分解するものであれば特に限定されず、その起源としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)属、アスペルギルス(Aspergillus)属等に属する微生物が挙げられる。
セルラーゼは、エンドグルカナーゼ活性(EGU)として100~1,300EGU/g、更には300~1,000EGU/g、更には500~1,000EGU/gの酵素活性を有することが好ましい。なお、エンドグルカナーゼ活性は、CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液を基質に用い、これをpH6.0、40℃で反応させた時の粘度低下と、ノボザイムズ社スタンダード酵素の検量線をもとに求めた値で定義する。
ヘミセルラーゼは、ヘミセルロース、すなわちキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン等の多糖類を分解するものであれば特に限定されず、その起源としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)属、アスペルギルス(Aspergillus)属等に属する微生物が挙げられる。
ヘミセルラーゼは、キシラナーゼ活性として10,000~200,000u/g、更には30,000~120,000u/g、更には50,000~120,000u/gの酵素活性を有することが好ましい。なお、キシラナーゼ活性は天野エンザイム社が規定する試験方法(天野法)により求めた値で定義する。
ペクチナーゼとしては、その起源は特に限定されないが、植物、細菌及び菌類に広く分布しているものを使用でき、例えば、バチルス属(Bacillus)等の細菌類;トリコスポロン属(Tricosporon)、エンドマイセス属(Endomyces)、エンドマイコプシス属(Endomycopsis)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ピヒア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)、トルロプシス属(Torulopsis)、カンジダ属(Candida)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)等の酵母類;アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rhizopus)等の糸状菌類が挙げられる。
ペクチナーゼは、4,000~50,000PG/g、更には10,000~35,000PG/g、更には20,000~35,000PG/gの酵素活性を有することが好ましい。なお、ペクチナーゼ活性(PG)は、ペクチン酸水溶液を基質に用い、これをpH3.5、20℃で反応させた時の粘度低下と、ノボザイムズ社スタンダード酵素の検量線をもとに求めた値で定義する。
工程(A)における植物組織崩壊酵素の使用量は、植物組織崩壊を首尾よく進める観点から、果皮を含む果実の質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、コスト・風味の観点から10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。なお、ここでの使用量は、各植物組織崩壊酵素の使用量を合計した量である。
酵素反応温度は、酵素活性と風味を考慮して、20~60℃が好ましく、25~50℃がより好ましく、30~50℃が更に好ましい。
また、酵素反応時間は、植物組織崩壊を首尾よく進める観点から、5分以上が好ましく、15分以上がより好ましい。また、防腐防黴・生産性の観点から、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましい。この酵素反応時間は、果皮を含む果実と植物組織崩壊酵素が接触した時点から、該植物組織崩壊酵素を失活させる時点までの時間である。
本発明では、酵素処理後、工程(B)を行う前に、加熱等により酵素を失活させる処理を行ってもよい。加熱の条件は、高温短時間の加熱が好ましく、例えば、70~98℃で1~5分間加熱するのが好ましい。
〔工程(B)〕
工程(B)は、工程(A)で得た果皮を含む果実の酵素処理物を100~180℃で加熱処理する工程である。本工程により、果実に含まれるポリフェノールを可溶化させ、溶解ポリフェノール量を増加させることができる。
加熱処理の温度は、100℃~180℃であるが、果実ポリフェノールの溶解性向上の点から、好ましくは101℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、また、熱安定性の点から、好ましくは170℃以下、更に好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下である。なお、本発明において、加熱処理の温度とは、前記酵素処理物を加熱する熱源の温度をいう。
加熱処理時の圧力は、水の飽和蒸気圧以上に設定するのが好ましい。また背圧弁により加圧する場合、ゲージ圧力で0~10MPaが好ましい。ゲージ圧力は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.2MPa以上、更に好ましくは0.25MPa以上、更に好ましくは0.3MPa以上であり、また、好ましくは8MPa以下であり、より好ましくは6MPa以下、更に好ましくは4MPa以下、更に好ましくは2MPa以下、更に好ましくは1.5MPa以下である。なお、ゲージ圧とは、大気圧を0MPaとした圧力である。加圧には、ガスを用いてもよく、用いられるガスとしては、例えば、不活性ガス、水蒸気、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
加熱処理は、例えば、回分法、半回分法、流通法等いずれの方法によっても実施できる。
加熱処理の時間は処理方法によって適宜選択してよく、回分式の場合、果実ポリフェノールの溶解性の観点から、1.0分以上が好ましく、3.0分以上が更に好ましく、4.0分以上が更に好ましく、また、熱安定性の点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、10分以下が更に好ましい。
流通法で行う場合、加熱処理の時間は、加熱装置の高温高圧部の体積を前記酵素処理物の供給速度で割ることにより算出される平均滞留時間を用いる。流通式の場合の加熱処理時間は、果実ポリフェノールの溶解性の観点から、0.1分以上が好ましく、0.3分以上がより好ましく、0.5分以上が更に好ましく、1.0分以上が更に好ましい。熱安定性の点から、5分以下が好ましく、3分以下がより好ましく、2分以下が更に好ましい。なお、本発明において、加熱処理の時間とは、前記酵素処理物を100℃以上の熱源に接触開始した時点を起算点とし、前記酵素処理物を90℃以下の冷媒に接触開始した時点を終点とする時間をいう。
流通法で行う場合の水の流速は、加熱装置の体積によって異なるが、例えば、加熱部分の体積が500Lの場合、15~5,000L/分が好ましく、更に30~2,500L/分が好ましく、更に60L/分~1,000L/分が好ましい。
加熱処理後は、加熱処理物を90℃以下まで冷却する工程を含むことが好ましい。加熱処理物の冷却温度(冷媒温度)は、後述する冷却速度の点から、好ましくは80℃以下である。また、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上である。冷却は多段階的に行っても良い。例えば、95℃まで冷却後、いったん冷却を中断し、更に90℃以下まで冷却しても良い。
加熱処理の温度から90℃まで低下するのに要した時間から算出される加熱処理物の冷却速度は、0.2℃/s以上、更に0.5℃/s以上、0.8℃/s以上が好ましい。冷却速度が大きいほど果実ポリフェノールの安定性の点で好ましい。このため、冷却速度の上限は特に定めないが、製造設備の制約等の観点から、例えば100℃/s以下、更に50℃/s以下が好ましい。
〔工程(C)〕
工程(C)は、工程(B)で得た加熱処理物を固液分離して、不溶性固形分を除去する工程である。本工程により果実由来の不溶性固形分を除けば、果実処理物における果実ポリフェノールの経時的不溶化を抑制することができる。
固液分離の方法は、特に限定されず、例えば、遠心分離、濾過、沈降分離等が挙げられる。当該分離により、液体部として果実処理物が得られる。
果実処理物の形態は、水溶液の状態でよいが、水分を除去して粉末状、顆粒状、固形状等の固体物の状態とすることもできる。水分を調整、除去する手段としては、凍結乾燥、蒸発乾固、噴霧乾燥等が挙げられる。
後記実施例に示すように、本発明の果実処理物は、果実ポリフェノールの溶解量が多く、且つ室温保存時にも高い溶解量が保たれる。
果実処理物における果実ポリフェノールの溶解量(室温、25℃)は、処理に供する果実の種類、当該果実に含まれるポリフェノールの種類によって異なるものの、例えば、柑橘類果実処理物における溶解ヘスペリジン量は、好ましくは1.0mg/g以上、より好ましくは1.2mg/g以上である。好適な態様として、本発明では、果皮を含む柑橘類果実を加熱処理してから少なくとも5日経過後の溶解ヘスペリジン量が1.0mg/g以上、好ましくは1.1mg/g以上、更に好ましくは1.2mg/L以上である柑橘類果実処理物を得ることが出来る。
また、室温保存後の果実ポリフェノールの残存率は、ポリフェノールの機能をできる限り維持する点から高いのが好ましく、55%以上がより好ましく、更に60%以上が好ましく、更に65%以上であるのがより好ましい。残存率は、室温保存後の果実処理物中の溶解ポリフェノール量を、室温保存前の果実処理物中の溶解ポリフェノール量で除することで求められる。詳細は後記実施例に記載した。
本発明の果実処理物は、医薬品、医薬部外品、飲食品等の様々な分野に使用可能である。とりわけ、果実ポリフェノールの経口吸収性の向上、及びその高い生理活性発現が期待できることから、水系の経口製品に利用するのが有用である。
〔分析方法〕
(i)ヘスペリジンの定量
ヘスペリジンの定量は、日立製作所製高速液体クロマトグラフを用い、インタクト社製カラムCadenza CD-C18 (4.6mmφ×150mm、3μm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。移動相A液は0.05mol/L酢酸水溶液、B液はアセトニトリルとし、1.0mL/分で送液した。グラジエント条件は以下のとおりである。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 85 15
20 80 20
35 10 90
50 10 90
50.1 85 15
60 85 15
試料注入量は10μL、検出は波長283nmの吸光度により定量した。
(ii)溶解ヘスペリジン残存率
果実処理物における溶解ヘスペリジン残存率は以下の式により算出した。
残存率[%]=(保存後の溶解ヘスペリジン量[mg/g])/(保存前の溶解ヘスペリジン量[mg/g])×100
実施例1
外果皮を含む温州ミカン1kgをコミトロール(アーシェルジャパン株式会社製)にてペースト状に加工し、ミカンペーストを得た。このミカンペーストの質量に対して合計0.56質量%の各種植物組織崩壊酵素、すなわちセルラーゼ(スクラーゼC 三菱化学社製)、ペクチナーゼ(スクラーゼN 三菱化学社製)及びヘミセルラーゼ(スクラーゼX 三菱化学社製)を添加し、50℃において120分間酵素処理を行い、酵素処理物を得た。
次いで、酵素処理物に対してオートクレーブ(日東高圧社製)を用いて140℃・5分間の加熱処理を行い、80℃まで冷却して加熱処理物を得た。
次いで、加熱処理物を15000r/min、10分間遠心分離を行った後に、0.45μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過し、不溶性固形分を取り除き、清澄な溶液として温州ミカン処理物を得た。
ろ過直後の清澄な溶液中と、室温(25℃)で5日間保存を行った後、0.2μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過した清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量の測定を行った。ろ過直後の清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量を保存前の溶解量として溶解ヘスペリジン残存率を求めた。
比較例1
実施例1で調製した加熱処理物を温州ミカン処理物とした。
加熱処理直後の清澄な溶液中と、室温(25℃)で5日間保存を行った後、0.2μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過した清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量の測定を行った。加熱処理直後の清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量を保存前の溶解量として溶解ヘスペリジン残存率を求めた。
比較例2
実施例1で調製したミカンペーストに対してオートクレーブ(日東高圧社製)を用いて140℃・5分間加熱処理を行い、80℃まで冷却して加熱処理物を得た。
次いで、加熱処理物を15000r/min、10分間遠心分離を行った後に、0.45μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過し、不溶性固形分を取り除き、清澄な溶液を得、温州ミカン処理物とした。
ろ過直後の清澄な溶液中と、室温(25℃)で5日間保存を行った後、0.2μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過した清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量の測定を行った。ろ過直後の清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量を保存前の溶解量として溶解ヘスペリジン残存率を求めた。
比較例3
実施例1で調製したミカンペーストに対してオートクレーブ(日東高圧社製)を用いて140℃・5分間加熱処理を行い、80℃まで冷却して加熱処理物を得、温州ミカン処理物とした。
加熱処理直後の清澄な溶液中と、室温(25℃)で5日間保存を行った後、0.2μmのディスミックフィルター(アドバンテック社製)を用いてろ過した清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量の測定を行った。加熱処理直後の清澄な溶液中の溶解ヘスペリジン量を保存前の溶解量として溶解ヘスペリジン残存率を求めた。
比較例4
実施例1で調製したミカンペーストを温州ミカン処理物とした。温州ミカン処理物と、これを常温で5日間保存を行った温州ミカン処理物中の溶解ヘスペリジン量の測定を行った。
各実施例及び比較例の処理条件及び分析結果を表1に示す。
Figure 0007122111000001
表1より明らかなように、先ず植物組織崩壊酵素を用いて酵素処理を行い、次いで高温での加熱処理を行った後、固液分離を行うことで、何れの処理も行わない比較例4に比して溶解ヘスペリジン量が多く、かつ溶解ヘスペリジン残存率も高い温州ミカンの処理物を得ることができた。
これに対し、固液分離を行わない比較例1と比較例3は経時的にヘスペリジンが不溶化して残存率が低くなった。また、加熱処理と固液分離だけを行った比較例2の場合、保存前は溶解ヘスペリジン量が多いものの経時的にヘスペリジンが不溶化して残存率が低くなった。

Claims (4)

  1. 次の工程(A)、(B)及び(C):
    (A)ヘスペリジンを含む柑橘類の果皮を含む果実に対してセルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びペクチナーゼから選択される1種又は2種以上の酵素を添加し、酵素処理を行う工程、
    (B)工程(A)の後、酵素処理物を110~180℃で1.0~30分加熱処理し、その後、加熱処理物を90℃以下まで0.8~50℃/sの冷却速度で冷却する工程、
    (C)工程(B)の後、加熱処理物を固液分離して、不溶性固形分を除去する工程
    を含む、果実処理物の製造方法。
  2. 工程(A)における酵素がセルラーゼ、ペクチナーゼ及びヘミセルラーゼの組み合わせである請求項1記載の果実処理物の製造方法。
  3. 工程(A)における酵素反応温度が20~60℃、酵素反応時間が5分以上である請求項1又は2記載の果実処理物の製造方法。
  4. 工程(A)の前に、果皮を含む果実を破砕処理によって前処理する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の果実処理物の製造方法。
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