JP7119727B2 - タイヤ接地形状解析装置およびタイヤ接地形状解析方法 - Google Patents

タイヤ接地形状解析装置およびタイヤ接地形状解析方法 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ接地形状解析装置およびタイヤ接地形状解析方法に関する。
タイヤの接地部分の形状を解析する技術が特許文献1、特許文献2に開示されている。特許文献1に開示されている技術は、ガラス板に梨地シートを配置し、梨地シートの梨地面にタイヤを押圧して接地させ、ガラス板から光を照射して、梨地面の接地部分からの反射率が、非接地部分からの反射率より小さいことを利用して、接地画像を得るものである。特許文献2に開示されている技術は、タイヤの踏み跡を撮影して取得した画像から、輝度に基づく2値像を生成している。
特開2003-14428号公報 特開平5-196557号公報
特許文献1に開示の技術は、梨地シートを利用する。このため、タイヤが転動する状態での動的接地特性を得る場合、回動するタイヤがシートに接触するとシートがガラス板から剥がれてしまう。特許文献2に開示の技術によると、接地状態で回転させると踏み跡が崩れることがあり、タイヤの動的接地特性を得ることが困難である。したがって、特許文献1、特許文献2に開示の技術は、タイヤの動的接地特性を得るうえで改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、短い時間でタイヤの動的接地特性を精度良く解析することのできるタイヤ接地形状解析装置およびタイヤ接地形状解析方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様によるタイヤ接地形状解析装置は、解析対象であるタイヤの接地面に、タイヤトレッド部に設けられた溝のエッジの輝度を高める光を照射する照明部と、前記照明部から照射される光によって、前記タイヤの接地面を撮影した撮影画像を取得する接地面画像取得部と、前記接地面画像取得部によって取得された接地面画像を解析して接地特性を求める接地特性解析部とを含み、前記接地特性解析部は、前記撮影画像から溝画像を抽出する溝抽出部と、前記撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た大まかな接地領域の画像から前記溝画像を差し引く接地特性算出部とを含み、前記溝抽出部は、前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、溝の面取り部分を示す面取り画像として抽出する面取り画像抽出部と、前記撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する溝底部抽出部と、前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する主溝底部抽出部と、前記面取り画像と、前記溝底部画像と、前記主溝底部画像とを合成して前記溝画像を得る合成部と、を含む。
前記タイヤは、透明板の一主面に接触し、前記照明部は、前記タイヤの接地面を包囲するように、前記透明板の一主面側に設けられた一主面側ランプと、前記透明板の他主面側に設けられた他主面側ランプとを含み、前記他主面側ランプは、タイヤ幅方向の外側から内側に向けて、前記接地面に光を照射する幅方向ランプを含むことが好ましい。
前記タイヤの接地面を撮影するカメラをさらに含み、前記カメラは、前記タイヤの前記接地面の中心点の法線方向から前記タイヤの接地面を撮影することが好ましい。
前記カメラは、前記タイヤの接地面の輪郭から、前記透明板の他主面側に対して垂直な方向に延ばした線によって囲まれる範囲に設けられることが好ましい。
前記他主面側ランプは、タイヤ周方向の外側から内側に向けて、前記接地面に光を照射する周方向ランプを含むことが好ましい。
前記接地特性算出部は、前記二値化処理によって得た画像のうち、前記撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、前記大まかな接地領域とすることが好ましい。
前記主溝底部抽出部は、前記撮影画像についてタイヤ周方向に平滑化処理する平滑化処理部と、前記平滑化処理部によって平滑化された平滑化画像について、所定の第1輝度閾値により2値化処理した第1候補画像を抽出する第1候補画像抽出部と、前記平滑化画像について、前記第1輝度閾値よりも低い第2輝度閾値により2値化処理した第2候補画像を抽出する第2候補画像抽出部と、前記第1候補画像に含まれかつ接地ブロックを含まない孤立物の画像と、前記第2候補画像とを重ね合わせて前記主溝底部画像を得る重ね合わせ処理部と、を含むことが好ましい。
前記面取り画像抽出部は、前記撮影画像から、前記所定輝度より高い輝度を有する部分のうち、前記撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、前記面取り画像とすることが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様によるタイヤ接地形状解析方法は、解析対象であるタイヤの接地面に照射され、タイヤトレッド部に設けられた溝のエッジの輝度を高める光によって、前記タイヤの接地面を撮影した撮影画像を取得する接地面画像取得ステップと、前記接地面画像取得ステップによって取得された接地面画像を解析して接地特性を求める接地特性解析ステップとを含み、前記接地特性解析ステップは、前記撮影画像から溝画像を抽出する溝抽出処理と、前記撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た大まかな接地領域の画像から前記溝画像を差し引く接地特性算出処理とを含み、前記溝抽出処理は、前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、溝の面取り部分を示す面取り画像として抽出する面取り画像抽出処理と、前記撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する溝底部抽出処理と、前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する主溝底部抽出処理と、前記面取り画像と、前記溝底部画像と、前記主溝底部画像とを合成して前記溝画像を得る合成処理と、を含む
本発明にかかるタイヤ接地形状解析装置およびタイヤ接地形状解析方法は、短い時間でタイヤの動的接地特性を精度良く解析することができる。
図1は、実施形態に係るタイヤ接地形状解析装置を模式的に示す構成図である。 図2は、図1に示すタイヤ接地形状解析装置の機能を示すブロック図である。 図3は、透明板の移動とトリガー装置の動作とを説明する図である。 図4は、透明板の移動とトリガー装置の動作とを説明する図である。 図5は、タイヤ接地形状解析装置1の動作を示すフロー図である。 図6は、接地面画像取得部によって接地面画像を取得する場合のカメラおよび照明用ランプの具体的な配置の例を示す図である。 図7は、接地面画像取得部によって接地面画像を取得する場合のカメラおよび照明用ランプの具体的な配置の例を示す図である。 図8は、接地面画像取得部によって接地面画像を取得する場合のカメラおよび照明用ランプの具体的な配置の例を示す図である。 図9は、タイヤ周方向に対する、ランプの傾斜角度を説明する図である。 図10は、タイヤ周方向に対する、ランプの傾斜角度を説明する図である。 図11は、タイヤの回転軸に沿った方向から各照明用ランプの配置を見た図である。 図12は、タイヤの回転軸に対して垂直に離れた方向から各照明用ランプの配置を見た図である。 図13は、透明板の上面側から各照明用ランプの配置を見た図である。 図14は、タイヤ幅方向に対する、ランプの傾斜角度を説明する図である。 図15は、タイヤ幅方向に対する、ランプの傾斜角度を説明する図である。 図16は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図17は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図18は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図19は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図20は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図21は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプからの光の照射例を示す図である。 図22は、カメラの配置例を示す図である。 図23は、カメラの配置例を示す図である。 図24は、接地特性解析部による処理の例を示すフロー図である。 図25は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図26は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図27は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図28は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図29は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図30は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図31は、接地特性解析部の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。 図32は、GCAの例を示す図である 図33は、膨張処理の説明図である。 図34は、収縮処理の説明図である。 図35は、基準画像の例を示す図である。 図36は、対比画像の例を示す図である。 図37は、対比画像の例を示す図である。 図38は、図25に示す画像に局所的二値化処理を行った結果の例を示す図である。 図39は、主溝底部抽出部による処理の例を示すフロー図である。 図40は、平滑化画像の例を示す図である。 図41は、第1候補画像の例を示す図である。 図42は、第2候補画像の例を示す図である。 図43は、第1候補画像抽出部の処理を説明する図である。 図44は、第1候補画像抽出部の処理を説明する図である。 図45は、重ね合わせ処理部の処理を説明する図である。 図46は、重ね合わせ処理部の処理を説明する図である。 図47は、重ね合わせ処理部の処理を説明する図である。 図48は、撮影画像の高輝度部分を抽出した画像の例を示す図である。 図49は、刻印抽出部によって抽出された刻印画像の例を示す図である。 図50は、撮影画像について、所定閾値に基づき、高輝度の部分を白、中輝度部分および低輝度部分を黒とした、大まかな接地領域画像の例を示す図である。 図51は、上記タイヤ接地形状解析装置によって実現されるタイヤ接地形状解析方法を示すフロー図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。なお、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
図1は、実施形態に係るタイヤ接地形状解析装置1を模式的に示す構成図である。図2は、図1に示すタイヤ接地形状解析装置1の機能を示すブロック図である。これらの図において、図1は、タイヤ接地形状解析装置1の全体構成を模式的に示し、図2は、タイヤ接地形状解析装置1の主たる機能を示している。
本実施形態に係るタイヤ接地形状解析装置1は、空気入りタイヤ60の接地面61の画像を取得することにより、接地面61の解析を行うシステムに適用される。タイヤ接地形状解析装置1は、タイヤ試験機2と、撮影装置10と、タイヤ接地面解析装置20とを備える。
タイヤ試験機2は、解析対象である空気入りタイヤ60(以下、タイヤ60と呼ぶ)に試験条件を付与する装置である。図1の構成では、タイヤ試験機2は、支持装置3と、駆動装置5と、透明板11とを有する。支持装置3は、タイヤ60を回転可能に支持する装置であり、タイヤ60を装着するリム4を有する。駆動装置5はタイヤ60および透明板11に駆動力を付与する装置である。駆動装置5は、タイヤ60および透明板11を駆動するモータ6と、モータ6を制御するモータ制御装置7とから構成される。なお、駆動装置5は、図示せぬギヤなどを含み、透明板11を水平に駆動する。
このタイヤ試験機2では、支持装置3がリム4に装着されたタイヤ60を支持し、タイヤ60が透明板11の一主面である上面11Uに押圧されてタイヤ60に荷重を付与する。透明板11は、フラットな路面を再現する。透明板11に押圧されたタイヤ60は、フラットな路面を走行している状態と同様に接地面61が変形する。透明板11を水平に駆動することにより、車両走行時におけるタイヤ60の転動状態が、透明板11の表面を路面として再現され、動的接地特性を解析できる。また、支持装置3が、リム4を変位させてタイヤ60と透明板11との位置関係を調整することにより、タイヤ60にスリップ角又はアングル角を付与する。また、駆動装置5は、モータ制御装置7によりモータ6を駆動してリム4を所定角度回転させることができる。また、支持装置3及び駆動装置5が、荷重、回転速度、スリップ角、アングル角などを調整することにより、試験条件を変更できる。
透明板11は、光を透過する性質を有する光透過板である。透明板11は光を100%透過しなくてもよく、透明板11を介してタイヤ60の表面を撮影することができる光透過率を有していればよい。透明板11は、例えば、アクリル樹脂製の平面板又はガラス製の平面板である。タイヤ60と平面板との接触状態を撮影して画像解析するので、タイヤ60の、より現実に近い接地状態を解析できる。透明板11について、板の厚み、屈折角などの仕様の指定はない。
撮影装置10は、タイヤ60を撮影する撮影部であるカメラ15と、光源である照明用ランプ16と、トリガー装置17とを有する。カメラ15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成される。カメラ15は、撮影装置10内に固定されている。カメラ15は、透明板11を介してタイヤ60を撮影することにより、透明板11に押し付けられているタイヤ60の接地面61を撮影する。詳しくは、カメラ15は、透明板11の他主面である下面11D側に、光軸が下面11D側に対して直交する向きで配設され、下面11D側から、透明板11を介してタイヤ60を撮影する。これにより、カメラ15は、少なくとも接地面61を含んでタイヤ60を撮影し、接地面61を含んだタイヤ60のデジタル画像データを生成する。
照明用ランプ16は、カメラ15の撮影範囲を照らすランプであり、例えば、ハロゲンランプにより構成される。この照明用ランプ16は、後述するように複数設けられているランプ161~168の総称である。照明用ランプ16は、透明板11に押し付けられているタイヤ60の接地面61に、光を照射する。照明用ランプ16は、光を、透明板11の下面11D側から透明板11を介して、または透明板11の上面11U側とタイヤ60との間から照射する。複数の照明用ランプ16は、透明板11が移動する位置以外の位置に、それぞれ配置されている。なお、撮影装置10の移動に伴い、撮影装置10内のカメラ15と照明用ランプ16とが一緒に移動する。
なお、これらの照明用ランプ16は、タイヤ試験機2での試験の条件に応じて数を異ならせてもよい。例えば、透明板11に対してタイヤ60を押し付ける際の荷重が小さい場合は、接地領域が狭くなるため、接地面61と非接地面との輝度差が明確になる。このため、この場合は、照明用ランプ16は、比較的数が少なくてもよく、透明板11の移動方向に対して斜め方向になる2箇所に配置する程度でもよい。これに対し、透明板11に対してタイヤ60を押し付ける際の荷重が大きい場合は、接地領域が広くなるため、接地面61に対してより多くの方向から光を照射する必要がある。このため、この場合は、照明用ランプ16は接地面61を囲んだ4箇所以上に配置する。また、これらの照明用ランプ16は、常時点灯タイプであってもよく、フラッシュ点灯タイプであってもよい。
トリガー装置17は、カメラ15による撮影のタイミングを示すトリガー信号を出力する装置である。トリガー装置17は、半導体レーザを出力し、その反射光を検出した時にトリガー信号を出力する。本例では、透明板11の側面に再帰性反射シート18が貼付されており、トリガー装置17が出力した半導体レーザが再帰性反射シート18によって反射され、トリガー装置17の検出部171がその反射光を検出した時にトリガー信号を出力する。再帰性反射シート18の貼付位置とカメラ15の位置との関係が固定されていれば、撮影を複数回行った場合でもタイヤ60の同じ位置の接地面61を撮影することができる。
タイヤ接地面解析装置20は、例えば、所定の解析プログラムをインストールしたPC(Personal Computer)であり、撮影装置10から入力されるタイヤ60の画像を処理してタイヤ60の接地面61を解析する処理を行う。タイヤ60の接地面61を解析する処理は、撮影したタイヤ60の画像に基づき、接地面61を算出する処理を含む。タイヤ接地面解析装置20は、接地面61の解析等の演算処理やデータの保存等を行う処理装置30と、オペレータがタイヤ接地面解析装置20への入力操作を行う入力部21と、解析結果や各種情報を表示する表示部22と、を有している。入力部21には、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスが用いられており、表示部22には、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置が用いられている。入力部21と表示部22とは、処理装置30に電気的に接続されており、これによりタイヤ接地面解析装置20は、オペレータが表示部22を視認しながら入力部21で入力操作をすることが可能になっている。また、カメラ15は、タイヤ接地面解析装置20の処理装置30に接続されており、これによりタイヤ接地面解析装置20は、カメラ15で撮影した画像を取得することが可能になっている。
タイヤ接地面解析装置20が有する処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部31や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部50を備えて構成されている。このように構成される処理部31と記憶部50とは、同一筐体内に設けられていてもよく、異なる筐体内に設けられていてもよく、或いは、複数の記憶部50が双方の形態で設けられていてもよい。
処理装置30が有する処理部31は、接地面画像取得部32と、接地特性解析部33と、刻印抽出部40と、を機能的に有している。このうち、接地面画像取得部32は、解析対象であるタイヤ60の接地面61を撮影した撮影画像を取得する。撮影画像はカメラ15によって撮影された、タイヤ60の接地面61のデジタル画像である。また、接地特性解析部33は、接地面画像取得部32によって取得した接地面画像に基づいて、タイヤ60の接地域を示す接地域画像を作成する。以下の説明において、画像は全て256階調からなるものとし、黒を輝度「255」、白を輝度「0」と定義する。
接地特性解析部33は、溝抽出部34と、接地特性算出部35とを含んでいる。溝抽出部34は、撮影画像から溝画像を抽出する。接地特性算出部35は、撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た大まかな接地領域の画像から、溝画像を差し引く。接地特性算出部35は、撮影画像について、例えば平滑化処理した後、輝度閾値を「220」とした二値化処理を行って、大まかな接地領域の画像を得てもよい。平滑化処理には、例えば、注目画素から半径4画素以内にある領域を周辺画素とするメディアンフィルタを用いる処理(以下、メディアン処理と呼ぶ)を用いてもよい。なお、後述するように、溝抽出部34において、撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除く処理を行って、溝画像を抽出してもよい。また、後述するように、接地特性算出部35において、撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除く処理を行って、大まかな接地領域の画像を抽出してもよい。
溝抽出部34は、面取り画像抽出部34Aと、溝底部抽出部34Bと、主溝底部抽出部34Cと、合成部34Dとを含んでいる。面取り画像抽出部34Aは、撮影画像から、タイヤ60の溝のエッジに設けられた面取り部分を示す面取り画像を抽出する。面取り画像抽出部34Aは、撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、面取り画像として抽出する。溝底部抽出部34Bは、撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する。主溝底部抽出部34Cは、撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する。合成部34Dは、面取り画像と、溝底部画像と、主溝底部画像とを合成して溝画像を得る。
(主溝底部抽出部)
主溝底部抽出部34Cは、平滑化処理部341と、第1候補画像抽出部342と、第2候補画像抽出部343と、重ね合わせ処理部344とを含んでいる。平滑化処理部341は、撮影画像についてタイヤ周方向に平滑化処理する。第1候補画像抽出部342は、平滑化処理部341によって平滑化された平滑化画像について、所定の第1輝度閾値により2値化処理した第1候補画像を抽出する。第2候補画像抽出部343は、平滑化処理部341によって平滑化された平滑化画像について、上記第1輝度閾値よりも低い第2輝度閾値により2値化処理した第2候補画像を抽出する。重ね合わせ処理部344は、第1候補画像に含まれかつ接地ブロックを含まない孤立物の画像と、第2候補画像とを重ね合わせて主溝底部画像を得る。
ここで、タイヤ60の溝とは、タイヤ60のトレッド面に設けられた、主溝、サブ溝、および、それらの溝の開口部に設けられた面取りの総称である。主溝とは、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝である。また、サブ溝とは、タイヤ幅方向に延在する横溝であり、タイヤ接地時に開口して溝として機能する。
タイヤ接地面解析装置20で用いられる解析プログラムは、予め記憶部50に記憶されており、タイヤ60の接地面61の解析を行う際には、記憶部50に記憶されているプログラムを処理部31で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部31で実行することにより、各機能を実行する。
本実施形態に係るタイヤ接地形状解析装置1は、以上のような構成からなる。以下、タイヤ接地形状解析装置1の作用について説明する。タイヤ接地形状解析装置1によってタイヤ60の接地面61の解析を行う際には、タイヤ60をタイヤ試験機2の支持装置3に装着し、タイヤ60を透明板11に押し付けた状態で回転させながら、カメラ15によって接地面61を撮影する。その際に、タイヤ60に対しては、複数の方向から複数の照明用ランプ16によって光を照射した状態で撮影する。このため、カメラ15は、接地面61と接地面61以外の部分とで、輝度差をつけてタイヤ60を撮影することができる。撮影した画像は、タイヤ接地面解析装置20で取得し、タイヤ接地面解析装置20は、取得した画像に基づいて、接地面61の解析を行う。
タイヤ60の溝部分の抽出については、三角測量法を利用して高さ(深さ)の違いを検出する距離センサーを用いることもできる。しかしながら、接地面61の全体について溝部分を検出するには、距離センサーの検出範囲を走査する必要がある。したがって、距離センサーを用いるだけでは、タイヤ60が転動する状態での動的接地特性を解析することが困難である。
(撮影における照明条件)
タイヤ60の接地面61の接地域の画像を取得する場合、透明板11の上面11U側において、接地面61を包囲するように透明板11の上面11U側に照明用ランプ16を配置することが好ましい。タイヤ60の接地面61の接地域の画像を取得する場合、上面11U側に接触部分を包囲するように配置された照明用ランプ16によってタイヤ60に光を照射して画像を取得することが好ましい。
(透明板の移動とトリガー装置の動作)
図3および図4は、透明板11の移動とトリガー装置17の動作とを説明する図である。図3は、透明板11が移動する前の状態であり、かつ、トリガー装置17が再帰性反射シート18による反射光を検出する前の状態を示す。図4は、透明板11が移動した後の状態であり、かつ、トリガー装置17が再帰性反射シート18による反射光を検出した時の状態を示す。
図3において、透明板11の上面11Uは平らであり、上面11Uはタイヤ60が転動するためのフラットな路面となる。図3において、タイヤ60は透明板11の上面11Uに接した状態で支持装置3のリム4に固定されている。このため、透明板11の移動に伴い、タイヤ60は回動する。タイヤ接地形状解析装置1は、透明板11を矢印Y1の方向に移動させる。透明板11が矢印Y1の方向に移動することにより、タイヤ60は矢印Y2の方向に回動する。図3に示す状態では、トリガー装置17の検出部171は再帰性反射シート18による反射光を検出していない。トリガー装置17が再帰性反射シート18による反射光を検出しない限り、透明板11は矢印Y1の方向に移動し続ける。撮影装置10は透明板11に固定されているため、透明板11の移動に伴って撮影装置10も移動する。透明板11の移動速度は、例えば時速0.5kmである。なお、透明板11の代わりに、外周面が透明な回転ドラムを用いてもよい。
透明板11が矢印Y1の方向に移動し、図4に示す状態になると、トリガー装置17の検出部171は再帰性反射シート18による反射光を検出する。トリガー装置17の検出部171が反射光を検出した時、タイヤ接地形状解析装置1は、カメラ15に撮影指示の信号を出力する。これにより、タイヤ60の接地面61を撮影することができる。なお、透明板11は、カメラ15の撮影範囲に対応する部分110が透明であれば良く、部分110以外の部分が不透明であってもよい。つまり、透明板11は、全体が透明であってもよいし、撮影範囲に対応する部分110だけが透明であってもよい。
(タイヤ接地形状解析装置の動作)
図5は、タイヤ接地形状解析装置1の動作を示すフロー図である。タイヤ接地形状解析装置1は、タイヤ60の解析を行う場合、透明板11に押し付けられているタイヤ60に、照明用ランプ16から光を照射する(ステップS201)。次に、タイヤ接地形状解析装置1は、モータ制御装置7によって、モータ6の駆動を開始する(ステップS202)。タイヤ接地形状解析装置1は、モータ6の駆動を継続しているとき(ステップS203)、トリガー装置17が再帰性反射シート18を検出したか否か判定する(ステップS204)。タイヤ接地形状解析装置1は、トリガー装置17が再帰性反射シート18を検出していない場合、モータ6の駆動を継続する(ステップS204,No→S203)。
タイヤ接地形状解析装置1は、トリガー装置17が再帰性反射シート18を検出した場合、タイヤ60をカメラ15によって撮影する(ステップS204,Yes→S205)。その後、タイヤ接地形状解析装置1は、モータ6の駆動および光の照射を停止する(ステップS206)。
(具体的な配置の例および撮影画像の例)
次に、カメラ15および照明用ランプ16の具体的な配置の例について説明する。図6から図8は、接地面画像取得部32によって接地面画像を取得する場合のカメラ15および照明用ランプ16の具体的な配置の例を示す図である。図6は、タイヤ60の回転軸に沿った方向から各照明用ランプ16の配置を見た図である。図7は、透明板11の上面11U側から各照明用ランプ16の配置を見た図である。図8は、タイヤ60の回転軸に対して垂直に離れた方向から各照明用ランプ16の配置を見た図である。以下の説明において、タイヤ60の回転軸に沿った方向をタイヤ幅方向、回転軸に対して垂直な方向をタイヤ周方向と呼ぶ。
本装置による撮影において、解析対象であるタイヤ60は、空気圧を230kPa、荷重を6kN、回転速度を0.5km/h、スリップ角を0°とした。カメラ15については、カメラゲインを3dBとし、F値を4、露光時間を1msとした。
図6から図8を参照すると、透明板11の上面11Uにタイヤ60が接触している。透明板11の下面11D側にカメラ15が設けられている。カメラ15は、その光軸151がタイヤ60の接地面61の中心点の法線上に位置するように配置される。カメラ15の光軸151が接地面61の中心点を通るように配置されることにより、接地面61の中心点の法線方向から接地面61を撮影することができる。これにより、安定した解析精度を確保することができる。撮影画像の端部に近づくほどレンズ収差の影響が大きくなり、空間分解能が変動し、解析精度が不安定になる。このようにカメラ15を配置することによって、レンズ収差の影響を最小限に抑えることができる。
図6から図8を参照すると、透明板11の上面11U側に、一主面側ランプとしてランプ161、162、163および164が配置されている。また、透明板11の11D側に、他主面側ランプとしてランプ165、166およびカメラ15が配置されている。ランプ161および162は、タイヤ60に対し、タイヤ周方向に離れた位置に配置されている。ランプ161と、ランプ162とは、タイヤ60を挟んで互いに異なる側に設けられている。ランプ163およびランプ164は、タイヤ60に対し、タイヤ幅方向に離れた位置に配置されている。ランプ163とランプ164とは、タイヤ60を挟んで互いに異なる側に設けられている。このように、ランプ161~164は、タイヤ60の接地面61を包囲するように配置される。タイヤ60の接地面61の四方にわたって照射しないと、接地形状の輪郭を出すのが難しくなり、解析精度が低下する可能性がある。これに対し、タイヤ60の接地面61を包囲するようにランプ161~164を配置し、接地面61の四方にわたって光を照射することにより、接地形状の輪郭を明確にすることができ、解析精度を向上させることができる。
ここで、図6および図8において、各ランプ161~164の発光面中心から透明板11の上面11Uまでの高さをH1~H4とする。図6および図8において、各ランプ161~164の傾斜角度、すなわち透明板11の上面11Uに対する、光照射方向のなす角度をθ1~θ4とする。図7において、各ランプ161、162の発光面中心からタイヤ60の中心までのタイヤ周方向の距離を距離D1、D2とする。図7において、各ランプ163、164の発光面中心からタイヤ60の中心までのタイヤ幅方向の距離をD3、D4とする。図7において、各ランプ161、162の発光面中心はタイヤ中心に一致している。
高さH1からH4については、0mm以上201mm以下であることが好ましい。高さH1からH4の最低値は0mmである。照明用ランプ16を透明板11の上に置くためである。高さH1からH4が201mmを超えると、照明からの光が接地面61に上手く入り込まず、接地面の輪郭が不正確となって解析精度が低下するため好ましくない。
タイヤ周方向の距離D1、D2は、タイヤ60の最大接地長の半分より大きく、1345mmより小さいことが好ましい。ただし、各照明用ランプ16がタイヤ60に接触しないようにする必要がある。距離D1、D2の最小値を、タイヤ60の最大接地長の半分より小さくすることは好ましくない。照明用ランプ16がタイヤ60に接触しないようにするためである。距離D1、D2が1345mmを超えると、接地面61に当たる照明の光量が不足し、接地面61の輪郭が不正確となって解析精度が低下するため好ましくない。
タイヤ幅方向の距離D3、D4は、タイヤ60の最大接地幅の半分より大きく、300mmより小さいことが好ましい。ただし、各照明用ランプ16がタイヤ60に接触しないようにする必要がある。距離D3、D4の最小値を、タイヤ60の最大接地幅の半分より小さくすることは好ましくない。各照明用ランプ16がタイヤ60に接触しないようにするためである。距離D3、D4が300mmを超えると、接地面61に当たる照明の光量が不足し、接地面61の輪郭が不正確となって解析精度が低下するため好ましくない。
各照明用ランプ16の傾斜角度θ1からθ4については、Atan(Hn/Dn)/π*180-0.6°以上Atan(Hn/Dn)/π*180+0.6°以下であることが好ましい(n=1~4)。θ1からθ4について、各照明用ランプ16は接地面61の中心に向けて光を照射するのが好ましい。このように光を照射すれば、接地面61に光が上手く入り込む。このため、照明用ランプ16の傾斜角度θ1からθ4は、Atan(Hn/Dn)/π*180が好ましい(n=1~4)。ただし、計測誤差±0.6°を許容範囲とした。
本実施形態では、H1=H2=30mm、H3=H4=13mm、D1=D2=260mm、D3=D4=230mm、θ1=9.7°、θ2=11.6°、θ3=θ4=0°とした。
図6から図8を参照して説明したようにランプ161から164を配置することにより、タイヤ60の接地面61を囲むように光が照射され、接地面画像を取得することができる。
また、図6から図8を参照すると、透明板11の下面11D側に、他主面側ランプとしてランプ165、166が配置されている。ランプ165、166は、ともに、タイヤ周方向を長手方向とするライン照明である。ランプ165、166は、タイヤ60のタイヤ幅方向に離れた位置に配置されている。ランプ165とランプ166とは、タイヤ60を挟んで互いに異なる側に設けられている。つまり、ランプ165、ランプ166は、タイヤ幅方向の外側から内側に向けて、接地面61に光を照射する幅方向ランプである。このようにランプ165、166は、タイヤ60の接地面61にタイヤ幅方向に光を照射するように配置される。ランプ165、ランプ166からの光によって、主溝のエッジを光らせ、主溝を判定し易くすることができる。
ここで、図8において、ランプ165、166の発光面中心から下面11Dまでの高さをH5、H6とする。図8において、ランプ165、166の傾斜角度、すなわち透明板11の下面11Dに対する、光照射方向のなす角度をθ5、θ6とする。図7において、ランプ165、166の発光面中心からタイヤ中心までのタイヤ幅方向の距離をD5、D6とする。角度θ5およびθ6は、19.4°以上22.4°以下の範囲が好ましい。高さH5、H6が変われば、そのときの適切な角度θ5、θ6も変わる。その際はカメラ15によって取得される画像をライブ表示にし、表示内容を確認しながら、主溝のエッジが最も光るように角度θ5、θ6を調整すればよい。本実施形態では、H5=H6=62mm、D5=D6=215mm、θ5=21.8°、θ6=20.1°とした。
図9および図10は、タイヤ周方向に対する、ランプ165、166の傾斜角度を説明する図である。図9は、ランプ165、166からの光の方向である矢印Y5、Y6がタイヤ幅方向に沿っている。ランプ165、166からの光がタイヤ幅方向に進めば、タイヤ周方向に延びる主溝のエッジを高輝度に光らせることができる。
図10に示す、タイヤ周方向に対するランプ165の長手方向の角度θ15、タイヤ周方向に対するランプ166の長手方向の角度θ16は、ともに0°であることが好ましい。角度θ15、角度θ16が、ともに0°であれば、ランプ165の長手方向とランプ166の長手方向とが平行になり、接地面61に存在する主溝の面取りの全てについて良好に輝度を高め、安定した解析精度が確保できる。角度θ15、角度θ16は0°±1°であれば主溝の面取りの輝度を高めるうえで問題はない。角度θ15、角度θ16が0°±1°の範囲を超えると、接地面61に存在する主溝の面取りの全てについて輝度を高めることができなくなる場合、例えば一部の面取りのみ輝度を高めることしかできない場合が生じ、解析精度が低下することがある。
ここで、サブ溝のエッジに面取りがある場合、透明板の下に、タイヤ周方向に光が進むランプが設けられていることが好ましい。図11は、タイヤ60の回転軸に沿った方向から各照明用ランプ16の配置を見た図である。図11に示すように、透明板11の透明板11の他主面である下面11D側に、他主面側ランプとしてランプ167、168が設けられていることが好ましい。ランプ167、168は、ともに、タイヤ幅方向を長手方向とするライン照明である。ランプ167、168は、タイヤ60のタイヤ周方向に離れた位置に配置されている。ランプ167とランプ168とは、タイヤ60を挟んで互いに異なる側に設けられている。つまり、ランプ167、ランプ168は、タイヤ周方向の外側から内側に向けて、接地面61に光を照射する周方向ランプである。このようにランプ167、168は、タイヤ60の接地面61にタイヤ周方向に光を照射するように配置される。ランプ167、168により、サブ溝の面取りの輝度を高めることができる。つまり、ランプ167、168は、サブ溝のエッジの輝度を高める光を、接地面61に照射する。
また、図11において、ランプ167、168の発光面中心から下面11Dまでの高さをH7、H8とする。図11において、ランプ167、168の傾斜角度、すなわち透明板11の下面11Dに対する、光照射方向のなす角度をθ7、θ8とする。図12は、タイヤ60の回転軸に対して垂直に離れた方向から各照明用ランプ16の配置を見た図である。図13は、透明板11の上面11U側から各照明用ランプ16の配置を見た図である。サブ溝の面取りを最大限に光らせるために、角度θ7およびθ8は、3.5°以上6.0°以下であることが好ましい。本実施形態では、H7=H8=30mm、θ7=4.2°、θ8=4.9°とした。
図13において、各ランプ167、168の発光面中心からタイヤ60の中心までのタイヤ周方向の距離をD7、D8とする。ランプ167、168からの光により、接地面61に存在するサブ溝の面取りの輝度を高めることができる。本実施形態では、D7=D8=183mmとした。
図14および図15は、タイヤ幅方向に対する、ランプ167、168の傾斜角度を説明する図である。図14は、ランプ167、168からの光の方向である矢印Y7、Y8がタイヤ周方向に沿っている。ランプ167、168からの光がタイヤ周方向に進めば、タイヤ幅方向に延びるサブ溝のエッジを高輝度に光らせることができる。
図15に示す、タイヤ幅方向に対するランプ167の長手方向の角度θ17、タイヤ幅方向に対するランプ168の長手方向の角度θ18は、ともに0°であることが好ましい。角度θ17、角度θ18が、ともに0°であれば、ランプ167の長手方向とランプ168の長手方向とが平行になり、接地面61に存在するサブ溝の面取りの全てについて良好に輝度を高め、安定した解析精度が確保できる。角度θ17、角度θ18は0°±1°であれば輝度を高めるうえで問題はない。角度θ17、角度θ18が0°±1°の範囲を超えると、接地面61に存在するサブ溝の面取りの全てについて輝度を高めることができなくなる場合、例えば一部の面取りのみ輝度を高めることしかできない場合が生じ、解析精度が低下することがある。
図16から図21は、サブ溝の面取りの輝度を高める、ランプ167、168からの光の照射例を示す図である。図16は、ランプ167、168からの光が強めの場合の撮影画像の例を示す。図16は、照度130万ルクス程度の光を接地面61に照射した場合の撮影画像の例を示す。図17は、図16内のサブ溝の部分201を拡大して示す図である。図17において、サブ溝のエッジE1は白く光っており、タイヤ周方向への光量が十分であることがわかる。図18は、図16内のサブ溝の部分202を拡大して示す図である。図18において、サブ溝のエッジE2は白く光っており、タイヤ周方向への光量が十分であることがわかる。図17、図18に示すように、ランプ167、168からの光が強く、サブ溝のエッジE1、エッジE2が白く光っている場合、接地部分の輝度とサブ溝のエッジの輝度との差が大きいため、撮影画像からサブ溝のエッジ部分を容易に分離することができる。
図19は、ランプ167、168からの光が弱めの場合の撮影画像の例を示す。図19は、照度60万ルクス程度の光を接地面61に照射した場合の撮影画像の例を示す。図20は、図19内のサブ溝の部分201’を拡大して示す図である。図20において、サブ溝のエッジE1’はあまり光っておらず、タイヤ周方向への光量が不十分であることがわかる。図21は、図19内のサブ溝の部分202’を拡大して示す図である。図21において、サブ溝のエッジE2’はあまり光っておらず、タイヤ周方向への光量が不十分であることがわかる。図20、図21に示すように、ランプ167、168からの光が弱く、サブ溝のエッジE1’、エッジE2’があまり光っていない場合、接地部分の輝度とサブ溝のエッジの輝度との差が小さく、撮影画像からサブ溝のエッジ部分を分離することは難しい。
図16から図21によってわかるように、ランプ167、168からの光を照度130万ルクス程度の強めに設定し、サブ溝のエッジが光っている撮影画像を取得することが好ましい。
図6から図15において、ランプ161から164による、タイヤ幅方向の照度とタイヤ周方向の照度とは、同じ程度の照度であってもよいし、どちらかの照度が大きくなってもよい。ランプ165から168については、タイヤ幅方向の照度よりタイヤ周方向の照度を大きめにしたほうが好ましい。そのようにしないと、接地面61に存在するサブ溝の面取りを光らせることができず、解析精度が低下する。なお、ランプ161から164の各照度は、ランプ165から168の各照度と同等もしくはそれ以上にする必要がある。そのようにしないと、タイヤ接地形状の輪郭を判断できなくなり、精度が低下する。
図22および図23は、カメラ15の配置例を示す図である。図22は、タイヤ60の回転軸に沿った方向からカメラ15を見た図である。図23は、タイヤ60の回転軸に垂直な方向からカメラ15を見た図である。図22および図23に示すように、カメラ15は、接地面61の下方に設けることが好ましい。図22および図23に示すように、カメラ15は、接地面61のタイヤ周方向の範囲W1内の下方で、かつ、接地面61のタイヤ幅方向の範囲W2の下方に設けることが好ましい。つまり、カメラ15は、接地面61の輪郭から、透明板11の下面11D側に対して垂直な方向に延ばした線によって囲まれる範囲に設けられる。この範囲にカメラ15を配置することにより、安定した解析精度を確保できる。カメラ15を接地面61から離して撮影すると、溝壁が邪魔で、主溝のエッジを観測できず解析精度が低下するので好ましくない。図22、図23において、透明板11の下面11Dからカメラ15までのタイヤ径方向の距離Lは、121mm以上240mm以下であることが好ましい。タイヤ径方向の距離Lは、例えば、206mmである。ただし、距離Lは接地面61に存在する溝幅によって最適値が異なる。
(接地特性解析部の処理)
接地特性解析部33による処理およびその処理によって取得または作成される画像の例について説明する。図24は、接地特性解析部33による処理の例を示すフロー図である。図24は、接地特性解析部33を中心とする処理部31による処理の例を示す。図25から図31は、接地特性解析部33の処理によって取得または作成される画像の例を示す図である。
図24において、最初に、接地面画像取得部32により、タイヤの接地面61を撮影した撮影画像を取得する(ステップS31)。ステップS31の処理により、例えば、図25に示す撮影画像を取得できる。
次に、溝抽出部34の面取り画像抽出部34Aにより、撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、溝の面取り部分を示す面取り画像として抽出する(ステップS32)。ステップS32の処理により、例えば、図26に示す面取り画像を取得できる。
溝抽出部34の溝底部抽出部34Bにより、撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する(ステップS33)。ステップS33の処理により、例えば、図27に示す溝底部画像を取得できる。
溝抽出部34の主溝底部抽出部34Cにより、撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する(ステップS34)。ステップS34の処理により、例えば、図28に示す主溝底部画像を取得できる。
溝抽出部34の合成部34Dにより、面取り画像と、溝底部画像と、主溝底部画像とを合成して溝画像を得る(ステップS35)。ステップS35の処理により、例えば、図29に示す溝画像を取得できる。
次に、接地特性算出部35により、撮影画像について、所定閾値に基づき、高輝度の部分を白、中輝度部分および低輝度部分を黒として分離することにより、大まかな接地領域画像を得る(ステップS36)。ステップS36の処理により、例えば、図25に示す撮影画像から図30に示す、大まかな接地領域画像を得る。これにより、例えば、非接地面のブロック、溝の面取りおよび刻印を白とし、溝の底部および接地ブロックの部分を黒とした、大まかな接地領域画像を得ることができる。
さらに、接地特性算出部35により、大まかな接地領域画像(図30)から、溝画像(図29)を差し引くことにより、実接地面積画像(Actual Contact Area、以下ACAと略称する)を得る(ステップS37)。ステップS37の処理により、例えば、図31に示すACAを得ることができる。
ここで、「大まかな接地領域画像から、溝画像を差し引く」とは、大まかな接地領域画像の輝度値から、溝の輝度値を同一画素位置ごとに減算処理することを指す。ただし、減算後の値が「0」より低い場合は、「0」に置換する。本例では、減算処理後に、収縮処理1回、膨張処理2回、収縮処理1回、黒対象物の占有面積100画素以下を削除(=白画素に置換。以後同様)、収縮処理2回、膨張処理4回、収縮処理2回の順番に行った。その後、白対象物の占有面積200画素以下を削除(=黒画素に置換。以後同様)し、黒対象物の占有面積200画素以下を削除して、図31に示すACAを得た。
図31に示すACAは、路面に接地しているブロックの全面積である。図31に示すACAに基づき、例えば、図32に示す総接地面積画像(Ground Contact Area、以下GCAと略称する)を得ることができる。
GCAは、ACAについて、溝を埋めたときの、外輪線で囲まれた全面積である。図32は、GCAの例を示す図である。図31に示すACAについて、例えば、膨張処理5回、収縮処理10回、膨張処理12回、収縮処理14回、膨張処理17回、収縮処理20回、膨張処理109回、収縮処理99回の順番に処理することにより、図32のGCAを得ることができる。
図33は、膨張処理の説明図である。図34は、収縮処理の説明図である。膨張処理は、図33に示すように、注目画素の周辺に1画素でも黒画素があれば、注目画素を黒画素に置き換える処理である。つまり、膨張処理は、白画素をそれぞれ中心画素とし、その周辺の8画素(中心画素から最も近い左上、上、右上、右、右下、下、左下、左の各1画素)のうち1つでも黒画素が存在すれば、その中心画素を黒画素に置き換える処理である。反対に収縮処理は、例えば注目画素を黒画素とする場合に、図34に示すように、注目画素の周辺に1画素でも白画素があれば、注目画素を白画素に置き換える処理である。つまり、収縮処理は、黒画素をそれぞれ中心画素とし、その周辺の8画素(中心画素から最も近い左上、上、右上、右、右下、下、左下、左の各1画素)のうち1つでも白画素が存在すれば、その中心画素を白画素に置き換える処理になっている。
(面取り画像抽出部の処理)
次に、面取り画像抽出部34Aの処理の例について説明する。面取り画像抽出部34Aは、局所的二値化処理を行い、溝の面取り部分を示す面取り画像を抽出する。局所的二値化処理は、接地面画像について、弱い平滑化処理および強い平滑化処理をそれぞれ行い、両画像を用いて結果を得る処理である。面取り画像抽出部34Aは、本例では、メディアン処理によって平滑化処理を行う。
面取り画像抽出部34Aは、図25に示す接地面の撮影画像について弱い平滑化処理を行って、例えば、図35に示す基準画像を得る。図35は、基準画像の例を示す図である。弱い平滑化処理は、例えば、注目画素から半径4画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。
また、面取り画像抽出部34Aは、図25に示す接地面の撮影画像について強い平滑化処理を行って、例えば、図36に示す対比画像を得る。図36は、対比画像の例を示す図である。本例の強い平滑化処理は、例えば、注目画素から半径40画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。
最後に、図35に示す基準画像および図36に示す対比画像の同一画素位置において、基準画像の輝度値が対比画像の輝度値に定数を加えた閾値を超える場合は黒画素、超えない場合は白画素に置き換えることによって、図26に示す画像を得ることができる。図26は、図25に示す画像に局所的二値化処理を行った結果の例を示す図である。なお、例えば、「50」を上記の定数とする。また、図26に示す画像にはノイズ除去の結果が反映されている。例えば、占有面積500画素以下の黒画素集合体は除去されている。
(溝底部抽出部の処理)
次に、溝底部抽出部34Bの処理の例について説明する。溝底部抽出部34Bは、大域的二値化処理と局所的二値化処理とをそれぞれ行い、それらの処理結果の画像を重ね合わせる。すなわち、大域的二値化処理を行った画像と局所的二値化処理を行った画像との対応する画素の輝度を加算する。
溝底部抽出部34Bが行う大域的二値化処理は、図25に示す接地面の撮影画像について平滑化処理を行わずに、輝度閾値「0」で二値化を行う処理である。二値化を行った後、ノイズ除去のために、例えば、収縮処理1回および膨張処理1回の処理を行ってもよい。
溝底部抽出部34Bが行う局所的二値化処理は、接地面画像について、弱い平滑化処理および強い平滑化処理をそれぞれ行い、両画像を用いて結果を得る処理である。溝底部抽出部34Bは、本例では、メディアン処理によって平滑化処理を行う。
溝底部抽出部34Bは、図25に示す接地面の撮影画像について弱い平滑化処理を行って、例えば、図35に示す基準画像を得る。図35は、基準画像の例を示す図である。弱い平滑化処理は、例えば、注目画素から半径4画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。
また、溝底部抽出部34Bは、図25に示す接地面の撮影画像について強い平滑化処理を行って、例えば、図37に示す対比画像を得る。図37は、対比画像の例を示す図である。本例の強い平滑化処理は、例えば、注目画素からタイヤ周方向(画像の水平方向)に±100画素以内で、タイヤ幅方向(画像の垂直方向)に±5画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。
次に、図35に示す基準画像および図37に示す対比画像の同一画素位置において、基準画像の輝度値が対比画像の輝度値に定数を加えた閾値を下回る場合は黒画素、下回らない場合は白画素に置き換えることによって、図38に示す画像を得ることができる。図38は、図25に示す画像に局所的二値化処理を行った結果の例を示す図である。例えば、「-40」を上記の定数とする。また、図38に示す画像にはノイズ除去の結果が反映されている。例えば、占有面積100画素以下の黒画素集合体は除去されている。
なお、上記の定数については、絶対値が「40」以上であれば、好ましい結果が得られる。サブ溝底の輝度とその周辺領域の平均輝度との差の絶対値が「40」以上を確保できていれば、上記定数を「-40」に設定でき、好ましい結果が得られる。上記輝度の差の絶対値が「40」以上を確保できていないと、上記定数の値を例えば「-20」にしなければならず、接地誤判定(例えば、接地ブロックを「非接地」と誤判定するなど)が生じて好ましい結果が得られない。
最後に、溝底部抽出部34Bは、図25に示す接地面の撮影画像について大域的二値化処理を行った画像と、図38に示す画像に対して膨張処理2回、収縮処理2回の順に処理した後の画像とについて、両画像の同じ位置の画素について輝度を加算する。加算した輝度が上限である輝度「255」を超える場合は、輝度「255」に置換する。以上の処理により、溝底部抽出部34Bは、図27に示す溝底部画像を得る。
(主溝底部抽出部の処理)
次に、図24のステップS34における、主溝底部抽出部34Cの処理の例についてより詳細に説明する。図39は、主溝底部抽出部34Cによる処理の例を示すフロー図である。
図39において、最初に、平滑化処理部341により、撮影画像についてタイヤ周方向に平滑化処理する(ステップS341)。ステップS341の処理により、例えば、図40に示す平滑化画像が得られる。図40は、平滑化画像の例を示す図である。タイヤ周方向に平滑化処理とは、タイヤ周方向に長い周辺領域を用いて輝度を平滑化する処理である。例えば、メディアンフィルタを適用して平滑化する際に、注目画素からタイヤ周方向(画像の水平方向)に±100画素、タイヤ幅方向(画像の垂直方向)±2.5画素の領域を周辺領域に設定して平滑化する。
次に、第1候補画像抽出部342により、ステップS341の処理で得た平滑化画像について、所定の第1輝度閾値により2値化処理した第1候補画像を抽出する(ステップS342)。ステップS342の処理により、例えば、図41に示す第1候補画像が得られる。図41は、第1候補画像の例を示す図である。ステップS342の処理においては、例えば、平滑化画像について、第1輝度閾値に基づき、高輝度の部分を白、中輝度部分および低輝度部分を黒として、第1候補画像を得る。第1候補画像は、図41に示すように、主溝のエッジで切り離した孤立物の部分G2、G3およびG4を主溝底部として抽出した画像である。
また、第2候補画像抽出部343により、ステップS341の処理で得た平滑化画像について、第1輝度閾値よりも低い第2輝度閾値により2値化処理した第2候補画像を抽出する(ステップS343)。ステップS343の処理により、例えば、図42に示す第2候補画像が得られる。図42は、第2候補画像の例を示す図である。ステップS343の処理においては、例えば、平滑化画像について、第2輝度閾値に基づき、高輝度部分および中輝度部分を白、低輝度部分を黒として分離することにより、第2候補画像を得る。これにより、例えば、溝幅が比較的狭い主溝について、溝底部を抽出することができる。第2候補画像は、図42に示すように、主溝のエッジとして抽出できなかった部分、すなわち、図41中の部分G1を主溝底部として抽出した画像である。
さらに、重ね合わせ処理部344により、第1候補画像(図41)に含まれかつ陸部などの接地ブロックを含まない孤立物の画像と、第2候補画像(図42)とを重ね合わせて主溝底部画像を得る(ステップS344)。ステップS344の処理により、例えば、図28に示す主溝底部画像を取得できる。ステップS344の処理では、両画像の同じ位置の画素について輝度を加算する。加算した輝度が上限である輝度「255」を超える場合は、輝度「255」に置換する。以上の処理により、重ね合わせ処理部344は、図28に示す主溝底部画像を得る。
(第1候補画像抽出部の処理)
図43および図44は、第1候補画像抽出部342の処理を説明する図である。最初に、第1候補画像抽出部342は、接地面の撮影画像について、弱い平滑化処理として、上述したタイヤ周方向に平滑化する処理を行う。また、第1候補画像抽出部342は、接地面の撮影画像について、強い平滑化処理として、注目画素から半径100画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を行う。第1候補画像抽出部342は、上記弱い平滑化処理によって得られた画像を基準画像とし、上記強い平滑化処理によって得られた画像を対比画像とする。対比画像の同一画素位置において、基準画像の輝度値が対比画像の輝度値に定数を加えた閾値を超える場合は黒画素、超えない場合は白画素に置き換えることによって、図43に示す画像を得ることができる。なお、例えば、「30」を上記の定数とする。
また、第1候補画像抽出部342は、上述したタイヤ周方向に平滑化する処理によって得られた画像について、輝度閾値「220」で大域的二値化処理を行うことにより、図44に示す画像を得る。第1候補画像抽出部342は、図44に示す画像から、図43に示す画像を差し引く。すなわち、図43および図44の画像について、輝度値を同一画素位置ごとに減算処理する。ただし、減算後の値が「0」より低い場合は、「0」に置換する。第1候補画像抽出部342は、以上の処理を行うことにより、図41に示す画像を得ることができる。
(第2候補画像抽出部の処理)
第2候補画像抽出部343は、局所的二値化処理により、第2候補画像を抽出する。第2候補画像抽出部343は、弱い平滑化処理として、例えば、上述したタイヤ周方向に平滑化する処理によって得られた画像について、注目画素から半径4画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用し、基準画像を得ることができる。第2候補画像抽出部343は、強い平滑化処理として、例えば、上述したタイヤ周方向に平滑化する処理によって得られた画像について、注目画素から半径40画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用し、対比画像を得ることができる。
第2候補画像抽出部343は、上記基準画像および上記対比画像の同一画素位置において、基準画像の輝度値が対比画像の輝度値に定数を加えた閾値を下回る場合は黒画素、下回らない場合は白画素に置き換える。このとき、例えば、「-40」を上記の定数とする。第2候補画像抽出部343は、最後にノイズ除去のために、例えば、画像中の占有面積3000画素以下の黒対象物を削除して第2候補画像とする。
(重ね合わせ処理部の処理)
図45から図47は、重ね合わせ処理部344の処理を説明する図である。最初に、重ね合わせ処理部344は、図45に示すように、第1候補画像において、主溝の位置を指定する。図45中の「×」が指定した主溝の位置である。図45においては、部分G1、G2、G3およびG4が指定される。
主溝の指定は、本装置のオペレータが表示部22の画面を確認しながら入力部21を手動で操作して指定してもよいし、AI(Artificial Intelligence)などを用いて指定してもよい。また、図45中の各部について、その部分を構成する画素の縦方向(垂直方向)の画素数に対する横方向(水平方向)の画素数との比が所定閾値を超える部分を主溝として指定してもよい。
次に、重ね合わせ処理部344は、主溝の位置が指定された画像について、図46に示すように、輪郭を強調して表示する。図46では、作図の都合から一点鎖線で輪郭を表示しているが、輪郭を赤色で表示するなど、輪郭を強調して表示することが好ましい。
さらに、重ね合わせ処理部344は、輪郭を強調して表示した部分について、陸部など接地ブロックを含まない場合に、主溝底部として抽出する。これにより、重ね合わせ処理部344は、図47に示すように、部分G2、G3およびG4を含む画像を得る。図47に示す画像は、図45における部分G2、G3およびG4を抽出した画像である。図45における部分G1は、陸部など接地ブロックを含む部分であるため、主溝底部として抽出されない。
ここで、接地ブロックを含む部分であるか否かは、例えば、その部分を構成する画像の縦方向(垂直方向)の画素数が所定の閾値を超えるか否かによって判定する。例えば、画素数「150」を閾値とし、輪郭を強調した部分を囲む矩形の画像の縦方向(垂直方向)の画素数が閾値「150」を超える場合に接地ブロックを含む部分であると判定し、主溝底部として抽出されない。最後に、重ね合わせ処理部344は、図47に示す画像と、第2候補画像(図42)とを重ね合わせることにより、主溝底部画像(図28)を得る。
(刻印抽出部の処理)
ところで、タイヤ60のトレッド面に刻印が設けられていることがある。刻印とは、識別線、アーティクル番号である。タイヤ60のトレッド面に刻印がある場合、輝度が高く、接地画像に影響を与えて解析誤差が生じることがある。
タイヤ60のトレッド面に刻印がある場合、面取り画像抽出部34A、接地特性算出部35は、刻印を補正した画像について処理を行うことが好ましい。そのためには、刻印抽出部40によって、刻印の画像を抽出し、その抽出した画像を用いて補正を行うことが好ましい。
図48は、撮影画像(図25)の高輝度部分を抽出した画像の例を示す図である。図48に示すように、刻印抽出部40が溝の面取り部分を高輝度部分として抽出する際に、刻印部分203が高輝度部分として抽出される。刻印抽出部40は、撮影画像(図25)について局所的二値化処理の後、ノイズ除去のために占有面積100画素以下の黒画素集合体を除去し、刻印の位置を指定して刻印画像を抽出する。
刻印抽出部40は、局所的二値化処理において、弱い平滑化処理として、例えば、撮影画像(図25)に注目画素から半径4画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。刻印抽出部40は、局所的二値化処理において、強い平滑化処理として、注目画素から半径40画素以内にある領域を周辺画素として利用するメディアン処理を適用することができる。刻印抽出部40は、局所的二値化処理において、基準画像の輝度値が対比画像の輝度値に定数を加えた閾値を超える場合は黒画素、超えない場合は白画素に置き換える。なお、例えば、「50」を上記の定数とする。
図49は、刻印抽出部40によって抽出された刻印画像の例を示す図である。刻印抽出部40による刻印の位置の指定は、本装置のオペレータが画面を確認しながら手動で指定してもよいし、AIなどを用いて指定してもよい。刻印抽出部40は、撮影画像について二値化処理した画像中に特定の文字が含まれている場合に、その部分を刻印と指定してもよい。
刻印抽出部40は、撮影画像(図25)について高輝度部分を抽出すると、例えば、図48の画像から図49の画像を差し引く減算処理を行う。より具体的には、図48に示す画像と図49に示す刻印画像との対応する各画素について、前者の画像を構成する画素の輝度から後者の画像を構成する画素の輝度を差し引く。このとき、刻印抽出部40は、図48に示す画像と図49に示す刻印画像との間で、両画像の同じ位置の画素について輝度を減算する。減算後の値が「0」より低い場合は、「0」に置換する。刻印抽出部40の処理により、図26に示す面取り画像が得られる。図26に示す面取り画像は、図48に示す画像の刻印部分203が除去されている。したがって、面取り画像抽出部34Aは、刻印が除去された、面取り画像を抽出することができる。つまり、面取り画像抽出部34Aは、撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分のうち、撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、面取り画像とする。
図50は、撮影画像(図25)について、所定閾値に基づき、高輝度の部分を白、中輝度部分および低輝度部分を黒とした、大まかな接地領域画像の例を示す図である。図50に示すように、大まかな接地領域画像を作成する際に、刻印部分204が高輝度部分として抽出される。そこで、刻印抽出部40は、図50の画像と図49の画像とを重ね合わせる加算処理を行う。より具体的には、図50に示す画像と図49に示す刻印画像との対応する各画素について、両者の画像を構成する画素の輝度を加算する。このとき、刻印抽出部40は、図50に示す画像と図49に示す画像との間で、両画像の同じ位置の画素について輝度を加算する。加算した輝度が上限である輝度「255」を超える場合は、輝度「255」に置換する。刻印抽出部40の処理により、図30に示す大まかな接地領域画像が得られる。図30に示す大まかな接地領域画像は、図50に示す画像の刻印部分204が除去されている。したがって、接地特性算出部35は、刻印が除去された、大まかな接地領域画像を得ることができる。つまり、接地特性算出部35は、撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た画像のうち、撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、大まかな接地領域画像とする。
(タイヤ接地形状解析方法)
以上説明したタイヤ接地形状解析装置1は、図51に示す以下のタイヤ接地形状解析方法を実現する。図51は、上記タイヤ接地形状解析装置によって実現されるタイヤ接地形状解析方法を示すフロー図である。
図51において、最初に、溝のエッジの輝度を高める光によって、解析対象である空気入りタイヤの接地面を撮影した撮影画像を取得する(ステップS41)。次に、ステップS41において取得された接地面画像を解析して接地特性を求める(ステップS42)。このタイヤ接地形状解析方法を採用することにより、短い時間でタイヤの動的接地特性を精度良く解析することができる。
1 タイヤ接地形状解析装置
2 タイヤ試験機
3 支持装置
4 リム
5 駆動装置
6 モータ
7 モータ制御装置
10 撮影装置
11 透明板
11D 下面
11U 上面
15 カメラ
16 照明用ランプ
17 トリガー装置
20 タイヤ接地面解析装置
21 入力部
22 表示部
30 処理装置
31 処理部
32 接地面画像取得部
33 接地特性解析部
34 溝抽出部
34A 面取り画像抽出部
34B 溝底部抽出部
34C 主溝底部抽出部
34D 合成部
35 接地特性算出部
40 刻印抽出部
50 記憶部
60 タイヤ
61 接地面
161~168 ランプ
171 検出部
341 平滑化処理部
342 第1候補画像抽出部
343 第2候補画像抽出部
344 重ね合わせ処理部

Claims (9)

  1. 解析対象であるタイヤの接地面に、タイヤトレッド部に設けられた溝のエッジの輝度を高める光を照射する照明部と、前記照明部から照射される光によって、前記タイヤの接地面を撮影した撮影画像を取得する接地面画像取得部と、前記接地面画像取得部によって取得された接地面画像を解析して接地特性を求める接地特性解析部とを含み、
    前記接地特性解析部は、
    前記撮影画像から溝画像を抽出する溝抽出部と、
    前記撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た大まかな接地領域の画像から前記溝画像を差し引く接地特性算出部とを含み、
    前記溝抽出部は、
    前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、溝の面取り部分を示す面取り画像として抽出する面取り画像抽出部と、
    前記撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する溝底部抽出部と、
    前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する主溝底部抽出部と、
    前記面取り画像と、前記溝底部画像と、前記主溝底部画像とを合成して前記溝画像を得る合成部と、
    を含む
    タイヤ接地形状解析装置。
  2. 前記タイヤは、透明板の一主面に接触し、
    前記照明部は、
    前記タイヤの接地面を包囲するように、前記透明板の一主面側に設けられた一主面側ランプと、前記透明板の他主面側に設けられた他主面側ランプとを含み、
    前記他主面側ランプは、タイヤ幅方向の外側から内側に向けて、前記接地面に光を照射する幅方向ランプを含む
    請求項1に記載のタイヤ接地形状解析装置。
  3. 前記タイヤの接地面を撮影するカメラをさらに含み、前記カメラは、前記タイヤの前記接地面の中心点の法線方向から前記タイヤの接地面を撮影する請求項2に記載のタイヤ接地形状解析装置。
  4. 前記カメラは、
    前記タイヤの接地面の輪郭から、前記透明板の他主面側に対して垂直な方向に延ばした線によって囲まれる範囲に設けられる
    請求項3に記載のタイヤ接地形状解析装置。
  5. 前記他主面側ランプは、タイヤ周方向の外側から内側に向けて、前記接地面に光を照射する周方向ランプを含む
    請求項2から請求項4のいずれか1つに記載のタイヤ接地形状解析装置。
  6. 前記接地特性算出部は、前記二値化処理によって得た画像のうち、前記撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、前記大まかな接地領域とする
    請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のタイヤ接地形状解析装置。
  7. 前記主溝底部抽出部は、
    前記撮影画像についてタイヤ周方向に平滑化処理する平滑化処理部と、前記平滑化処理部によって平滑化された平滑化画像について、所定の第1輝度閾値により2値化処理した第1候補画像を抽出する第1候補画像抽出部と、前記平滑化画像について、前記第1輝度閾値よりも低い第2輝度閾値により2値化処理した第2候補画像を抽出する第2候補画像抽出部と、前記第1候補画像に含まれかつ接地ブロックを含まない孤立物の画像と、前記第2候補画像とを重ね合わせて前記主溝底部画像を得る重ね合わせ処理部とを含む
    請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のタイヤ接地形状解析装置。
  8. 前記面取り画像抽出部は、
    前記撮影画像から、前記所定輝度より高い輝度を有する部分のうち、前記撮影画像に含まれる刻印に対応する部分を除いた部分を、前記面取り画像とする
    請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のタイヤ接地形状解析装置。
  9. 解析対象であるタイヤの接地面に照射され、タイヤトレッド部に設けられた溝のエッジの輝度を高める光によって、前記タイヤの接地面を撮影した撮影画像を取得する接地面画像取得ステップと、前記接地面画像取得ステップによって取得された接地面画像を解析して接地特性を求める接地特性解析ステップとを含み、
    前記接地特性解析ステップは、
    前記撮影画像から溝画像を抽出する溝抽出処理と、
    前記撮影画像について所定輝度を閾値とした二値化処理によって得た大まかな接地領域の画像から前記溝画像を差し引く接地特性算出処理とを含み、
    前記溝抽出処理は、
    前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分を、溝の面取り部分を示す面取り画像として抽出する面取り画像抽出処理と、
    前記撮影画像から、所定輝度より低い輝度を有する部分を、溝の底部を示す溝底部画像として抽出する溝底部抽出処理と、
    前記撮影画像から、所定輝度より高い輝度を有する部分によって囲まれた低輝度部分を、主溝の底部を示す主溝底部画像として抽出する主溝底部抽出処理と、
    前記面取り画像と、前記溝底部画像と、前記主溝底部画像とを合成して前記溝画像を得る合成処理と、
    を含む
    タイヤ接地形状解析方法。
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