JP7116987B2 - 水中航走体の衝突後対応方法、衝突後対応装置、及び衝突後対応プログラム - Google Patents
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Description
そこで水中航走体は、水底への衝突を避けるため、自律的に下方ソナーからの情報により水底までの距離を一定に確保するか、又は深度を一定として水底からの高度を一定以上に確保している。また、水中航走体には障害物を自律的に避けるための前方障害物回避システムが搭載されている。前方障害物回避システムは、下方ソナー、前方ソナー、レーザー又はカメラにより水中航走体の進行方向に障害物を検出した場合には、障害物よりも高高度に水中航走体を移動させることで障害物を回避している。
しかし、前方障害物回避システムにより全方位を確認することは困難であり、死角が存在する。また、水中航走体は常に前方へ直進しているわけではなく、水中航走体が回頭中に障害物が現れる場合がある。また、下方ソナー、前方ソナー、レーザー及びカメラは、ごく近距離の障害物に対しては検知感度がない。よって、水中航走体が障害物に衝突する可能性をゼロにすることは困難である。
また、水中航走体が障害物と衝突した場合は、特に衝突現場が水底付近だと、そこからの離脱に最適な行動を推定するための十分な情報が水中航走体の搭載センサから得られない可能性がある。
水中航走体502には、通過するべき目標ウェイポイントの緯度、経度、高度(又は深度)の情報を含むウェイポイントリストが入力されている。
前方ソナー等のセンサで障害物503が検知されない場合、水中航走体502は次の目標ウェイポイントに向かって前進する。障害物503と衝突してもセンサが障害物503を検知できていなければ、水中航走体502の航走が障害物503によって妨げられていることを水中航走体502も調査母船501も認識できないため、水中航走体502は障害物503を押し続けることになる。
図7では水中航走体502が、1番目の目標ウェイポイントWP1から2番目の目標ウェイポイントWP2へ移動しようとしている状況を示している。設定された制限時間内に水中航走体502が2番目の目標ウェイポイントWP2に到達しない場合、水中航走体502は緊急事態が発生したと判断してバラストを投下して緊急浮上するため、調査が長時間にわたって中断してしまう。
岩礁等の障害物503が図8に示すようにオーバーハングした形状の場合には、緊急事態が発生したと判断した水中航走体502がバラストを投下して緊急浮上しようとしても、障害物503の上部の張り出し部分に当たって浮上することができない。また、障害物503によって水中音響信号が阻害されるため、調査母船501から水中航走体502に対して通信や測位を行うこともできない。
障害物503が図9に示すように一端が水底に固定されたロープの場合には、ロープが絡まった水中航走体502は、一定パワーでロープを引っ張り続け、制限時間に達すると緊急事態が発生したと判断してバラストを投下して緊急浮上しようとする。しかし、ロープが絡まったままであれば緊急浮上できない。
また、特許文献2には、自動走行玩具に関し、玩具が障害物に近接又は衝突したときは、操向方向のいかんに関わらず、所定方向に一定距離後退したのち、再び予定の操行及び操向を続行する障害物回避装置が開示されている。
また、特許文献3には、位置指令、速度指令、加速度指令のうちの少なくとも1つから必要駆動トルク指令の各要素を演算する必要駆動トルク指令要素演算手段と、位置、速度、加速度のうちの少なくとも1つ及び必要駆動トルク指令の各要素のうちの少なくとも1つを用いて必要駆動トルクを演算する必要駆動トルク演算手段と、上側しきい値及び下側しきい値を演算するしきい値演算手段と、必要駆動トルク、上側しきい値、下側しきい値及びロボットの各軸を駆動するモータの電流に基づいて衝突を判別する衝突判別手段とを備えたロボット制御装置において、加速度指令及び加加速度指令に応じて上側しきい値及び下側しきい値を変更すること、衝突判別後はロボットを停止又は衝突物から退避させることが開示されている。
また、特許文献2は、障害物に近接又は衝突したときは、所定方向に一定距離後退させることによって障害物を回避させるものであるから、後方に障害物が存在して一定距離後退させることができない場合は、障害物を回避できない。また、陸上走行時の衝突回避を目的としており、水中での衝突した後の回避行動に関する記載はない。
また、特許文献3は、作業用ロボットについて、衝突判別のための計算量を削減し、高精度に衝突判別を行おうとするものであり、水中での衝突した後の回避行動に関する記載はない。
請求項1に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向に移動して障害物からの回避を試みることができると共に、回避が成功したか否かを移動距離によって判断することができる。これにより、障害物に衝突した水中航走体は障害物によって通常航走が妨げられている状態から自律的に脱し、通常航走に戻ることができる。
請求項2に記載の本発明によれば、水中航走体は、ある回避行動によっては障害物を回避できなかった場合に回避行動を異ならせて繰り返し回避を試みるため、離脱可能性を高めることができる。
請求項3に記載の本発明によれば、水中航走体の回避行動にランダム性を取り入れて偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
請求項4に記載の本発明によれば、今まで航走して来た元の方向に一旦後退することにより、始めに障害物から水中航走体を後方へ離すことで、平行移動による離脱可能性を高めることができる。
請求項5に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置で回頭して障害物からの回避を試みることができると共に、回避が成功したか否かを移動距離によって判断することができる。これにより、障害物に衝突した水中航走体は障害物によって通常航走が妨げられている状態から自律的に脱し、通常航走に戻ることができる。
請求項6に記載の本発明によれば、水中航走体は、ある回避行動によっては障害物を回避できなかった場合に回避行動を異ならせて繰り返し回避を試みるため、離脱可能性を高めることができる。
請求項7に記載の本発明によれば、水中航走体の回避行動にランダム性を取り入れて偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
請求項8に記載の本発明によれば、今まで航走して来た元の方向に一旦後退することにより、始めに障害物から水中航走体を後方へ離すことで、回頭による離脱可能性を高めることができる。
請求項9に記載の本発明によれば、水中航走体は、平行移動によっては障害物を回避できなかった場合に、回頭及び推力増加の少なくともどちらか一方を行って再度回避を試みるため、離脱可能性を高めることができる。
請求項10に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向に移動して障害物からの回避を試みることができると共に、回避が成功したか否かを移動距離によって判断することができる。これにより、障害物に衝突した水中航走体は障害物によって通常航走が妨げられている状態から自律的に脱し、通常航走に戻ることができる。
請求項11に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置で回頭して障害物からの回避を試みることができる。
請求項12に記載の本発明によれば、水中航走体は、ある回避行動によっては障害物を回避できなかった場合に回避行動を異ならせて繰り返し回避を試みるため、離脱可能性を高めることができる。
請求項13に記載の本発明によれば、水中航走体の回避行動にランダム性を取り入れて偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
請求項14に記載の本発明によれば、今まで航走して来た元の方向に一旦後退することにより、始めに障害物から水中航走体を後方へ離すことで、平行移動又は回頭による離脱可能性を高めることができる。
請求書15に記載の本発明によれば、航行用センサを利用して障害物への水中航走体の衝突を検知することができるため、加速度検出手段及び加加速度検出手段を別途設ける必要が無い。
請求項16に記載の本発明によれば、慣性航法装置又はドップラーソナーを利用して障害物への水中航走体の衝突を検知することができる。
請求項17に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向に移動して障害物からの回避を試みることができると共に、回避が成功したか否かを移動距離によって判断することができる。これにより、障害物に衝突した水中航走体は障害物によって通常航走が妨げられている状態から自律的に脱し、通常航走に戻ることができる。
請求項18に記載の本発明によれば、水中航走体は衝突点を含む移動開始前位置で回頭して障害物からの回避を試みることができる。
請求項19に記載の本発明によれば、水中航走体は、ある回避行動によっては障害物を回避できなかった場合に回避行動を異ならせて繰り返し回避を試みるため、離脱可能性を高めることができる。
請求項20に記載の本発明によれば、水中航走体の回避行動にランダム性を取り入れて偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
図1は、本発明の実施形態による水中航走体を用いた水中探査を示す概略図である。
図1では、海洋や湖沼等において、調査母船1から調査水域に水中航走体2を投入し、水底の鉱物資源やエネルギー資源等の調査作業等を行う状態を示している。水中航走体2は、調査母船1に積載して調査水域まで運搬してきたものである。水中航走体2は、単数であっても複数であってもよい。
水中航走体2には、調査母船1からの投入前にオペレータによって、通過するべき目標ウェイポイントの緯度、経度、高度(又は深度)の情報を含むウェイポイントリストが入力されている。
調査母船1は、水中で調査作業等を行う水中航走体2に対して管制を行う。調査母船1には、水中航走体2との音響信号による双方向通信に用いる母船側通信手段11と、水中航走体2へ向けて信号を発する音響測位手段12が設けられている。
水中航走体2は無人かつ無索で自律航走するロボットである。水中航走体2には、調査母船1の母船側通信手段11との音響信号による双方向通信に用いる航走体側通信手段21と、調査母船1の音響測位手段12から発せられる信号に対して返答を行う音響トランスポンダ22と、自機の位置の測定に用いる航行用センサ23と、前方へ向けられた前方ソナー24と、下方へ向けられた下方ソナー25と、水中航走体2に質量を付加するバラスト26と、障害物3に衝突した水中航走体2を障害物3から離脱させるべく制御する衝突後対応装置30が設けられている。
水中航走体2は、調査母船1から投入された後、自律的に1番目の目標ウェイポイントWP1に向かって潜航(下降)する。水中航走体2が潜航すると、調査母船1と水中航走体2間の電波は水によって遮断される。このため、調査母船1と水中航走体2間の情報通信は、水中航走体2が水中にあるときは水中音響通信によって行われる。なお、調査母船1や水中航走体2の周囲の雑音状況によっては、通信が成立しないこともある。また、水中航走体2が水中を移動する際は、水中航走体2自身の測位は、GPSによる測位から航行用センサ23による測位に切り替えて行われる。航行用センサ23は、加速度計やジャイロといった各種水中センサの計測結果を踏まえて測位等を行う慣性航法装置(以下、「INS」という)としている。
調査母船1からは、音響測位手段12による水中音響USBL測位により、音響トランスポンダ22が搭載されている水中航走体2の水中位置を測位することができる。また、水中音響通信装置11を用いた水中音響通信により、その測位結果を水中航走体2に送信することや、簡単な指令を送ることもできる。なお、調査母船1と水中航走体2の位置関係、又は調査母船1や水中航走体2の周囲の雑音状況によっては、測位や通信が成立しないこともある。
また、水中航走体2は、自律的に緊急事態を解消できないと判断した場合や、調査母船1から水中音響通信で緊急浮上の指令を受信した場合には、スラスタを停止し、バラスト26を投下して緊急浮上することができる。
衝突後対応装置30は、衝突判断手段40と、所定値決定手段50と、平行移動手段60と、回頭手段70と、移動制御手段80と、回避判断手段90と、繰り返し手段100と、ランダム値発生手段110と、後退手段120と、推力変更手段130を備える。
なお、本実施形態における航行用センサ23はINSであるが、INSの代わりにドップラーソナーを用いることもできる。
衝突判断手段40は、加速度検出手段41によって検出される水中航走体2の加速度αと、加加速度検出手段42によって検出される水中航走体2の加加速度jを監視し、加速度α又は加加速度jが閾値(特に負の閾値)を越えた場合に、水中航走体2が何らかの障害物3に衝突したと判断する。
所定距離決定部51は、水中航走体2が障害物3に衝突した衝突点から水中航走体2を上方向又は水平方向に移動させる際の目標距離となる所定距離X_minを決定する。
所定時間決定部52は、衝突点から水中航走体2を上方向又は水平方向に移動させる際の目標時間となる所定時間tを決定する。
所定角度決定部53は、衝突点から水中航走体2を回頭させる際の目標角度となる所定角度Δθを決定する。
平行移動手段60は、所定値決定手段50で決定された所定値に従い、衝突点から水中航走体2を上方向又は水平方向を含む空間に所定距離X_min又は所定時間t、水中航走体2の向きを変えることなく平行移動させる。
本発明の目的は、障害物3に衝突した水中航走体2が自律的に衝突現場を離れ、通常航走に戻ることである。このため、離脱判断のパラメータとして、水中航走体2の速度v、加速度α、加加速度jではなく、位置Xを用いている。
所定距離変更部101は、所定距離X_minを変更する。所定時間変更部102は、所定時間tを変更する。所定角度変更部103は、所定角度Δθを変更する。所定値変更回数設定部104は、所定距離変更部101が変更する所定距離X_min、所定時間変更部102が変更する所定時間t、所定角度変更部103が変更する所定角度Δθのそれぞれについて、変更回数の上限を設定する。
繰り返し手段100は、回避判断手段90による回避判断において障害物3からの回避ができなかったと判断された場合に、所定距離X_min若しくは所定時間t又は所定角度Δθを変更し、次の目標ウェイポイントWPnへの方向に移動を試み、以後、回避が行なわれたと判断されるまで、所定距離X_min若しくは所定時間t又は所定角度Δθをさらに変更し、次の目標ウェイポイントWPnの方向への移動の試みを繰り返す。
推力変更手段130は、水中航走体2の推力を増加又は減少させる。
水中航走体2は、障害物3との衝突が検知されたことを音響通信によって調査母船1に知らせ、一定時間、調査母船1からの指令を待つ。調査母船1からの指令があった場合は、その指令に従って航行する。
一定時間内に調査母船1からの指令が無い場合、又は自律的に衝突現場からの離脱を試行せよとの指令を調査母船1から受信した場合は、水中航走体2は、以下のステップを実行することで衝突現場からの離脱を試みる。離脱に成功した場合は、通常航走に復帰して計画測線に沿った水底調査等を行う。
平行移動の前に水中航走体2を今まで航走して来た元の方向に一旦後退させることによって障害物3から水中航走体2を後方へ離し、以降の回避行動による離脱可能性を高めることができる。
衝突点から水中航走体2を上方向又は水平方向に移動させることで、障害物3からの回避を図ることができる。
なお、水中航走体2を平行移動させる方向(上方向又は水平方向)は、任意に設定することができる。
障害物3からの回避が肯定された場合は、水中航走体2は衝突後対応を終了して通常航走に復帰する。
障害物3からの回避が否定された場合は、繰り返し手段100は、所定距離X_min又は所定時間tを変更した回数が、所定値変更回数設定部104に設定されている上限に達しているか否かを判断する(所定距離等の変更回数判断ステップS7)。
このように水中航走体2は、ある回避行動によっては障害物3を回避できなかった場合に、次の目標ウェイポイントWPnの方向への移動の試みを回避行動を異ならせながら繰り返すため、離脱可能性を高めることができる。
また、繰り返し手段100が変更する所定距離X_min又は所定時間tは、一定割合で変更することもできるが、本実施形態のようにランダム値発生手段110が発生させたランダム値を用いて変更することが好ましい。水中航走体2が衝突物3からの離脱を試みるための行動パターンが1つしか設定されていない場合、その行動パターンで離脱に成功しないと同じ行動が繰り返され、水中航走体2は衝突物3によって航行が妨げられたままとなってしまう。離脱を試みる行動パターンが多く設定されている場合は離脱可能性を高めることができるが、多くの行動パターンを予め設定しておくのには多大な手間がかかる。そこで本実施形態においては所定距離X_min又は所定時間tを変更する際にランダム値を用いることで、水中航走体2の回避行動にランダム性を取り入れている。これにより水中航走体2は所定距離X_min又は所定時間tを変更するごとに異なった回避行動を行って偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
後退手段120は、水中航走体2を一旦後退させる(回頭前の後退ステップS10)。
水中航走体2の回頭を行う前に水中航走体2を、今まで航走して来た元の方向に一旦後退させることによって障害物3から水中航走体2を後方へ離し、以降の回避行動による離脱可能性を高めることができる。
水中航走体2を回頭させることで、障害物3からの回避を図ることができる。
障害物3からの回避が肯定された場合は、水中航走体2は衝突後対応を終了して通常航走に復帰する。
障害物3からの回避が否定された場合は、推力変更手段130は、水中航走体2の推力を増す(推力増加ステップS15)。
水中航走体2の推力を増すことにより、少々強引に障害物3からの回避を試みて、離脱可能性を高めることができる。例えば、障害物3が水中航走体2に絡みついたロープの場合は、推力を増すことでロープを引きちぎって離脱できる可能性がある。無論、水中航走体2の水平方向を含む空間への平行移動、所定角度の回頭、衝突点からの一旦の後退等により、離脱できる可能性も大きい。
障害物3からの回避が肯定された場合は、水中航走体2は衝突後対応を終了して通常航走に復帰する。
障害物3からの回避が否定された場合は、推力変更手段130は、水中航走体2の推力を推力増加ステップS15における増加前のレベルに戻す(推力抑制ステップS17)。
このように次の目標ウェイポイントWPnの方向への移動の試みを繰り返すことで、水中航走体2は衝突した衝突物3からの離脱可能性を高めることができる。
また、繰り返し手段100が変更する所定角度Δθは、一定割合で変更することもできるが、本実施形態のようにランダム値発生手段110が発生させたランダム値を用いて変更することが好ましい。所定角度Δθを変更する際にランダム値を用いることで、水中航走体2は所定角度Δθを変更するごとに異なった回避行動を行って偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
図4は、本発明の他の実施形態による水中航走体の衝突後対応装置の構成図である。 図5及び図6は、本発明の他の実施形態による水中航走体の衝突後対応方法のフロー図である。なお、上記した実施形態と同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
加速度検出手段341及び加加速度検出手段342は、水中航走体2の航行に使用する航行用センサ23を共用している。このため、加速度検出手段341及び加加速度検出手段342を別途設ける必要が無い。
目標方向決定部351は、水中航走体2の目標方向を決定する。目標高度決定部352は、水中航走体2の目標高度を決定する。
平行移動手段360は、目標値決定手段350で決定された目標値に従い、水中航走体2を目標方向又は目標高度へと移動させる。
目標方向変更部381は、目標方向θをΔθだけ変更する。目標高度変更部382は、目標高度hをΔhだけ変更する。ここで、目標方向θは、衝突点から見た次の目標ウェイポイントWPnの方向であり、目標高度hは衝突点における高度である。
目標値変更回数設定部383は、目標方向変更部381及び目標高度変更部382による変更回数の上限を設定する。
繰り返し手段380は、回避判断手段370による回避判断において障害物3からの回避ができなかったと判断された場合に、目標方向をθ+Δθに変更し、又は目標高度をh+Δhに変更し、以後、回避が行なわれたと判断されるか変更回数が上限に達するまで、目標方向θ+Δθ又は目標高度h+Δhの変更を繰り返す。
水中航走体2は、障害物3との衝突が検知されたことを音響通信によって調査母船1に知らせ、一定時間、調査母船1からの指令を待つ。調査母船1からの指令があった場合は、その指令に従って航行する。
一定時間内に調査母船1からの指令が無い場合、又は自律的に衝突現場からの離脱を試行せよとの指令を調査母船1から受信した場合は、水中航走体2は、以下のステップを実行することで衝突現場からの離脱を試みる。離脱に成功した場合は、通常航走に復帰して計画測線に沿った水底調査等を行う。
障害物3に衝突後、何らかの理由により次の目標ウェイポイントWPnの方向に航走可能になっている場合もあり得るので、まずはθ方向に水中航走体2を前進させることにより、既に障害物3を回避した状態にあるか否かを確認することができる。
障害物3からの回避が肯定された場合は、水中航走体2は衝突後対応を終了して通常航走に復帰する。
障害物3からの回避が否定された場合は、ランダム値発生手段400は、目標方向を変更するためのΔθのランダム値を発生する(目標方向のランダム値発生ステップS104)。
回頭手段390は、目標方向変更部381によって変更された目標方向θ+Δθに従い、θ+Δθ方向に水中航走体2を回頭し、前進する(回頭ステップS108)。
ランダム値発生手段400は、目標高度を変更するためのΔhのランダム値を発生する(目標高度のランダム値発生ステップS116)。
また、繰り返し手段380が変更する際のΔθ及びΔhは、一定割合で変更することもできるが、本実施形態のようにランダム値発生手段400が発生させたランダム値を用いて変更することが好ましい。Δθ及びΔhにランダム値を用いることで、水中航走体2は目標方向又は目標高度を変更するごとに異なった回避行動を行って偶然の離脱を試みることができるため、離脱可能性を効果的に高めることができる。
3 障害物
23 航行用センサ
30 衝突後対応装置
41 加速度検出手段
42 加加速度検出手段
60 平行移動手段
70 回頭手段
80 移動制御手段
90 回避判断手段
100 繰り返し手段
110 ランダム値発生手段
120 後退手段
WPn 目標ウェイポイント
S1 衝突検知ステップ
S4 平行移動ステップ
S5 移動制御ステップ
S6、S14、S16 回避判断ステップ
S8、S19 ランダム値発生ステップ
S9、S20 繰り返しステップ
S12 回頭ステップ
Claims (20)
- 水の中を航走する水中航走体の障害物への衝突後の対応方法であって、前記水中航走体に搭載した加速度検出手段及び/又は加加速度検出手段で前記障害物への前記水中航走体の衝突を検知し、衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向を含む空間に前記水中航走体を所定距離又は所定時間、向きを変えることなく平行移動させ、次に目標ウェイポイントへの方向に移動を試み、前記水中航走体の航行に使用する航行用センサを利用して、前記移動開始前位置からの変位を確認し、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を判断することを特徴とする水中航走体の衝突後対応方法。
- 前記障害物からの回避ができなかったと判断された場合に、前記所定距離又は前記所定時間を変更して平行移動させ、前記目標ウェイポイントへの方向に移動を試み、以後、回避が行なわれたと判断されるまで、前記所定距離又は前記所定時間をさらに変更して平行移動させ、前記目標ウェイポイントへの方向への移動の試みを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 変更する前記所定距離又は前記所定時間としてランダム値を用いることを特徴とする請求項2に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 前記衝突点から一旦後退した後、前記所定距離又は前記所定時間、前記移動開始前位置として後退した後の位置から向きを変えることなく平行移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 水の中を航走する水中航走体の障害物への衝突後の対応方法であって、前記水中航走体に搭載した加速度検出手段及び/又は加加速度検出手段で前記障害物への前記水中航走体の衝突を検知し、衝突点を含む移動開始前位置で前記水中航走体を所定角度、回頭させ、次に回頭させた前記所定角度の方向に移動を試み、前記水中航走体の航行に使用する航行用センサを利用して、前記移動開始前位置からの変位を確認し、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を判断することを特徴とする水中航走体の衝突後対応方法。
- 前記障害物からの回避ができなかったと判断された場合に、前記所定角度を変更して回頭させ、変更した前記所定角度の方向に移動を試み、以後、回避が行なわれたと判断されるまで、前記所定角度をさらに変更して回頭させ、さらに変更した前記所定角度の方向への移動の試みを繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 変更する前記所定角度としてランダム値を用いることを特徴とする請求項6に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 前記衝突点から一旦後退した後、前記移動開始前位置として後退した後の位置で前記所定角度、回頭させることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応方法。
- 請求項1から請求項4に記載のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応方法を行なっても前記障害物からの回避ができない場合に、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応方法を行なう及び/又は前記水中航走体の推力を増すことを特徴とする水中航走体の衝突後対応方法。
- 水の中を航走する水中航走体の障害物への衝突後の対応装置であって、前記障害物への前記水中航走体の衝突を検知する前記水中航走体に搭載した加速度検出手段及び/又は加加速度検出手段と、衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向を含む空間に前記水中航走体を所定距離又は所定時間、向きを変えることなく平行移動させる平行移動手段と、目標ウェイポイントへの方向に移動を試みる移動制御手段と、前記移動開始前位置からの変位を確認する前記水中航走体の航行に使用する航行用センサと、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を判断する回避判断手段とを備えたことを特徴とする水中航走体の衝突後対応装置。
- 前記衝突点を含む前記移動開始前位置で前記水中航走体を所定角度、回頭させる回頭手段を備え、回頭させた前記所定角度の方向に前記移動制御手段で移動を試み、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を前記回避判断手段で判断することを特徴とする請求項10に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 前記障害物からの回避ができなかったと判断された場合に、前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度を変更し、前記目標ウェイポイントへの方向、又は変更した前記所定角度の方向に移動を試み、以後、回避が行なわれたと判断されるまで、前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度をさらに変更し、前記目標ウェイポイントへの方向、又はさらに変更した前記所定角度の方向への移動の試みを繰り返す繰り返し手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 変更する前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度のランダム値を発生するランダム値発生手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 前記衝突点から一旦後退させる後退手段を備えたことを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 前記加速度検出手段及び/又は前記加加速度検出手段は、前記水中航走体の航行に使用する前記航行用センサを共用することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 前記航行用センサは、慣性航法装置又はドップラーソナーであることを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の水中航走体の衝突後対応装置。
- 水の中を航走する水中航走体の障害物への衝突後の対応プログラムであって、
コンピュータに、
前記障害物への前記水中航走体の衝突を検知する前記水中航走体に搭載した加速度検出手段及び/又は加加速度検出手段の信号を受け付ける衝突検知ステップと、
衝突点を含む移動開始前位置から上方向又は水平方向を含む空間に前記水中航走体を所定距離又は所定時間、向きを変えることなく平行移動させる平行移動ステップと、
目標ウェイポイントへの方向に移動を試みる移動制御ステップと、
前記水中航走体の航行に使用する航行用センサの測定値を取得して、前記移動開始前位置からの変位を確認し、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を判断する回避判断ステップと
を実行させることを特徴とする水中航走体の衝突後対応プログラム。 - 前記衝突点を含む前記移動開始前位置で前記水中航走体を所定角度、回頭させる回頭ステップをさらに備え、前記移動制御ステップで回頭させた前記所定角度の方向に移動を試み、一定時間経過後に一定距離以上を進んだか否かにより前記障害物からの回避を前記回避判断ステップで判断することを特徴とする請求項17に記載の水中航走体の衝突後対応プログラム。
- 前記回避判断ステップで前記障害物からの回避が否定された場合に、前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度を変更し、前記目標ウェイポイントへの方向、又は変更した前記所定角度の方向に移動を試み、以後、回避が行なわれたと判断されるまで、前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度をさらに変更し、前記目標ウェイポイントへの方向、又はさらに変更した前記所定角度の方向への移動の試みを繰り返す繰り返しステップをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載の水中航走体の衝突後対応プログラム。
- 変更する前記所定距離若しくは前記所定時間又は前記所定角度のランダム値を発生するランダム値発生ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項19に記載の水中航走体の衝突後対応プログラム。
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