JP7116360B2 - 摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、被膜を備える摺動部材に係り、更に詳細には、熱応力による被膜欠陥の発生を防止した摺動部材に関する。
内燃機関に用いられる摺動部材は、摩擦だけでなく、燃焼熱や燃焼生成物による酸化等にも曝されるため、耐摩耗性や耐熱性などに優れることが要求され、基材表面に環状のザグリ溝を形成し、該ザグリ溝に銅系合金等の被膜を形成することが行われている。
特許文献1には、ザグリ溝に供給した金属粉にレーザビームを照射すると共に、上記ザグリ溝に設けたガス整流壁にガスを吹き付けてザグリ溝の内側から外側へ向かって流すことで、被膜を形成する溶融金属が鉛直方向下側に垂れ下がって生じる欠肉を防止できる旨が開示されている。
国際公開2015/001698号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、金属粉を溶融させて被膜を形成するため、溶融金属の凝固により体積が収縮して被膜に引張応力が残留する。そして、燃焼熱などによって溝が拡がると、被膜が引っ張られて亀裂や剥離などの欠陥が生じ、耐摩耗性が低下する。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱膨張衝撃による亀裂や剥離などの被膜欠陥の発生を防止し、耐摩耗性に優れる摺動部材を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、金属粉を溶融させずに粒子塊の被膜を形成することで該被膜に圧縮応力が残留し、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の摺動部材は、円環状の溝を有する基材と、上記溝に設けられた被膜と、を備える。
そして、上記被膜が、銅を50質量%以上含有する銅合金粒子を含む合金材の粒子塊で成り、少なくとも一部において、周方向及び径方向の少なくとも一方の圧縮残留応力が1MPa以上であることを特徴とする。
本発明によれば、1MPa以上の圧縮残留応力を有する被膜を形成することとしたため、熱膨張衝撃による被膜欠陥が生じず、耐摩耗性に優れた摺動部材を提供することができる。
本発明の摺動部材の断面の一例を示す概略断面図である。 被膜組織の一例を示す概略拡大断面図である。 実施例1の摺動部材の断面SEM像である。
本発明の摺動部材について詳細に説明する。
上記摺動部材は、円環状の溝を有する基材と上記溝に設けられた被膜とを備え、上記被膜が合金材の粒子塊で成り、周方向及び径方向の少なくとも一方に圧縮残留応力を有する。なお、図1中、紙面手前から奥方向が円環の周方向であり、紙面左右方向が円環の径方向である。
上記被膜の室温(25℃)での被膜中央の圧縮残留応力は、1MPa以上であり、さらに100MPa以上であることが好ましく、さらに400MPa以上であることが好ましい。
上記基材の溝に設けられた被膜は、圧縮残留応力を有し、被膜が基材の溝を押し広げる方向に応力がかかっているため、基材が燃焼熱などで熱せられて溝が拡がったとしても、被膜の圧縮残留応力が基材からの引張応力を打ち消すため、被膜には引張応力がかからない。したがって、被膜に亀裂が生じたり、基材から剥離したりすることがない。
本発明において粒子塊とは、図1に示すように、被膜を形成する合金材の粒子(以下、合金粒子という。)の表面が局所的に溶融して固化し、被膜全体の合金粒子同士が結合して一体化し、上記合金粒子同士が渾然一体とはならずに界面を形成している合金粒子の集合体をいい、合金粒子が完全に溶融又は溶解し固化することで渾然一体となった粒子の集合体をいわない。
上記被膜は、コールドスプレー法により、基材の溝に合金粒子を吹き付けることで形成できる。
コールドスプレー法は、合金材子を溶融またはガス化させることなく不活性ガスと共に超音速流で固相状態のまま基材に衝突させて被膜を形成する方法であり、合金粒子を溶融させて被膜を形成する溶射法などの液相での被膜形成方法とは異なり、熱などによる合金粒子の特性変化や酸化を最小限にすることができる。
上記コールドスプレーで形成した被膜に圧縮応力が残留する理由は明らかではないが、合金粒子が基材に衝突すると、合金粒子の運動エネルギーは、合金粒子を潰し横方向に拡げる方向の応力に変換される。しかし、合金粒子が固相状態であり充分変形しないため、変形により上記応力を完全には解消できないことによると考えられる。
特に、溝の内部に被膜を形成する場合は、溝の内壁によって合金粒子の変形が制限されて圧縮応力が残留し易い。
また、合金粒子の運動エネルギーは、その一部が熱エネルギーに変換されて合金粒子の表面が局所的に溶融し固化することで合金粒子同士が結合して粒子塊を形成し、被膜が形成される。
このとき、基材及び合金粒子の温度は、上記合金粒子の融点以下であるため、局所的に溶融した合金粒子の表面が急冷されて、図2に示すように、合金粒子と合金粒子との界面にアモルファスが形成される共に、合金粒子が塑性変形して合金粒子中の結晶粒が微細化される。
上記合金粒子は、その少なくとも一部の合金粒子が粒径1μm未満の結晶粒を含むことが好ましい。上記合金粒子が微細な結晶粒を含むことで被膜強度が向上する。
また、上記被膜は、上記粒径1μm未満の結晶粒の割合が30面積%以上であることが好ましく、さらに50面積%以上であることが好ましく、70面積%以上であることがより好ましい。
なお、本発明においては、被膜を任意に複数箇所測定し平均することで、粒径が1μm未満の結晶粒の割合を算出した。
また、本発明において、円環状とは、模式的に円形とみなし得れば足り、真円形だけでなく、楕円形、長円形を含む。また、周方向に端部を有さない閉じた円形だけでなく、周方向の一部が切れて端部を有する非連続の環形状をも含む。
上記円環状の溝は、径方向に切った断面形状が底部よりも開口部が広い略台形であることが好ましい。開口部が広い略台形の断面形状であることで、溝の側壁に衝突した合金粒子には、溝の中心方向の応力が加わり易く、より中心側に堆積した合金粒子を圧縮するため、圧縮残留応力が高くなり、被膜欠陥を防止できる。
上記被膜は、径方向に圧縮残留応力を有することが好ましい。被膜と基材との界面剥離は、主に円環状の溝が径方向に拡がって被膜に引張り応力がかかることで生じるため、径方向の圧縮残留応力を有することで被膜剥離を防止できる。
上記径方向の圧縮残留応力は、被膜を構成する合金粒子の線膨張率を基材の線膨張率よりも小さくすることで付与することができる。
被膜を形成した後に摺動部材が冷えると基材が収縮して基材の溝が縮径するため、基材の内側に存在する被膜は基材から圧縮される。しかし、被膜の線膨張率が小さいと基材に比して収縮せずに基材からの圧縮に抗するため、径方向に圧縮残留応力が生じる。
上記摺動部材は、基材の表面に残留する圧縮応力が、上記被膜の端から上記被膜の幅の20%以上離れた箇所まで存在することが好ましく、上記被膜の幅の50%以上離れた箇所まで、径方向の圧縮残留応力が存在することがより好ましい。
被膜だけでなく基材も残留圧縮応力を有し、圧縮残留応力を有する範囲が基材表面にまで拡がっていることで、被膜と基材とが相互に押し合い、被膜と基材との密着性が向上して被膜の剥離が防止される。
また、被膜形成後の摺動部材が冷えるとき、周方向の外周側と内周側とで収縮量が異なり、被膜の外周側では周方向に収縮し易いため周方向外側の圧縮残留応力が小さくなり易い。
基材表面の上記被膜の端から上記被膜の幅の80%以上離れた箇所まで、径方向の圧縮残留応力を有することで、さらに被膜と基材との密着性が向上して被膜の剥離が防止される。
上記被膜の厚さは、摺動部材が用いられる箇所の温度や摺動環境にもよるが、例えば、0.05~5.0mmとすることが好ましく、0.1~2.0mmとすることがより好ましい。0.05mm未満であると、被膜自体の強度が不足することがあり、また、10mmを超えると、成膜時に発生する残留応力と界面密着力の関係により被膜が剥離し易くなることがある。
上記合金粒子としては、上記コールドスプレー法により、合金粒子が完全に溶融することなく粒子塊を形成して被膜を形成できればよく、例えば、Cu-Ni-Si合金、Cu-Cr合金、Cr-Zr合金、Cu-Ti合金など銅を50質量%以上含有する銅合金は、塑性変形して合金粒子同士が結合して粒子塊を形成し易い。
特にCu-Ni-Si合金は、粒子同士が強固に結合して被膜欠陥が生じ難いため、好ましく使用できる。
また、上記合金粒子は、上記銅合金粒子よりも硬質の合金粒子を含むことが好ましい。
合金粒子が、銅合金粒子と硬質の合金粒子とを含むことで、比較的軟らかい上記銅合金粒子が塑性変形して隙間なく堆積して結合し、銅合金粒子と銅合金粒子との界面にアモルファスを有する銅合金の粒子塊を形成する。そして、硬質の合金粒子が上記粒子塊にめり込んで、図1に示すように、上記銅合金の粒子塊中に上記硬質の合金粒子が島状に分散した被膜が形成されて被膜の耐摩耗性が向上する。
上記硬質の合金粒子としては、コバルト(Co)、クロム(Cr)、及びニッケル(Ni)から成る群から選ばれた少なくとも一種の金属を含む合金を使用できる。
例えば、TRIBALOY(登録商標)T-400、Stellite(登録商標)6などの硬質コバルト基合金や、TRIBALOY(登録商標)T-700、Ni700(登録商標)(Ni-32Mo-16Cr-3.1Si)などの硬質ニッケル基合金の粒子を挙げることができる。
上記基材としては、特に制限はなく、内燃機関の摺動部材として従来から用いられている金属を使用できるがアルミ合金は熱伝導性が高く好ましく使用できる。
上記アルミ合金としては、例えば、日本工業規格で規定されているAC2A、AC8A、ADC12などを挙げることができる。
次に、コールドスプレー法による被膜の形成条件について説明する。
コールドスプレー法により、上記合金粒子を吹き付ける速度は、300~1200m/sであることが好ましく、500~1000m/sとであることが好ましい。
また、上記合金粒子を吹き付ける作動ガスの圧力は、2~5MPaであることが好ましく、3.5~5MPaであることがより好ましい。作動ガスの圧力が2MPa未満であると、粒子速度が得られず、空孔率が大きくなることがある。
また、作動ガスの温度は、合金粒子にもよるが、400~800℃であることが好ましく、600~800℃であることがより好ましい。
作動ガスの温度が400℃未満であると、合金粒子同士の結合が弱くなり被膜強度が低下することがある。また、作動ガスの温度が800℃を超えると、基材に衝突する合金粒子が軟らかくなり過ぎ、圧縮残留応力が小さくなって被膜が剥離し易くなることがある。
上記、作動ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどを挙げることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
上記摺動部材は、耐摩耗性耐熱性に優れるため、バルブシートに好適に使用でき、上記被膜を孔の内面に形成することで、シリンダボア、コンロッド、及びクランクシャフトの軸受けメタルなどにも適用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
シリンダヘッドにおけるエンジンバルブの着座部の加工完了状態で、狙い被膜厚み0.2mmを想定して、アルミニウム基材(日本工業規格 H 4040 A5056)に、直径25.3mm、深さ0.4mm、幅2.7mmの円環状の溝を形成した。
以下の合金粒子を、上記アルミニウム基材を回転させながらに下記条件でコールドスプレーし、厚さ1.0mの被膜を形成した。
銅合金粒子 :Cu-2.9Ni-0.7Si合金粒子(平均粒径30μm)
硬質の合金粒子:Co合金粒子(Kennametal社製 Tribaloy T-400:平均粒径45μm)
銅合金粒子/硬質の合金粒子(体積比):90/10
高圧型コールドスプレー装置:CGT社製、Kinetiks4000
作動ガス:窒素ガス
ガス温度:600℃、
ガス圧力:3.6MPa、
粒子速度:680~720m/s
上記被膜を形成したアルミニウム基材を、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、被膜の厚さが0.45mmの摺動部材を得た。
[実施例2]
シリンダヘッドにおけるエンジンバルブの着座部の加工完了状態で、狙い被膜厚み0.2mmを想定して、アルミニウム基材(日本工業規格 H 4040 A5056)に、直径25.3mm、深さ0.15mm、幅2.1mmの円環状の溝を形成した。
上記アルミニウム基材を用いる他は実施例1と同様にして厚さ1.0mの被膜を形成した。
上記被膜を形成したアルミニウム基材を、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、被膜の厚さが0.20mmの摺動部材を得た。
[参考例1]
上記アルミニウム基材に円環状の溝を形成しない他は実施例1と同様にして厚さ1.0mの被膜を形成した。
上記被膜を形成したアルミニウム基材を、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、直径25.3mm、厚さ0.20mm、幅1.9mmの円環状の被膜を形成した。
[比較例1]
シリンダヘッドにおけるエンジンバルブの着座部の加工完了状態で、狙い被膜厚み0.2mmを想定して、アルミニウム基材(日本工業規格 H 4040 A5056)に、直径25.3mm、深さ0.7mm、幅3.2mmの円環状の溝を形成した。
Cu-12Ni-9.7Co-3Si-1.4Fe-2V-1.7Nb-0.9Al合金粒子(平均粒径30μm)を、0.7g/secで供給しながら、酸化およびプルーム防止のため、Arガス環境下、波長960nm、出力2.0kWのレーザ光を照射させながら、レーザ肉盛、すなわちレーザクラッドを実施した。レーザクラッド後、更に仕上げ加工を経て、厚さ1.0mmの被膜を形成した。
上記被膜を形成したアルミニウム基材を、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、直径25.3mm、厚さ0.80mm、幅3.2mmの円環状の被膜を形成した。
[比較例2]
Cu-14Ni-3Si-1.5Fe-2V-2Cr-1Al-0.5P合金粒子(平均粒径30μm)を用いる他は比較例1と同様にして、直径25.3mm、厚さ0.80mm、幅3.2mmの円環状の被膜を形成した。
[比較例3]
電解めっきによりNi-P被膜を形成し、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、直径25.3mm、厚さ0.20mm、幅1.5mmの円環状の被膜を形成した。
[比較例4]
プラズマ電解析出法によりTiO被膜を形成し、機械加工によりシリンダヘッドのエンジンバルブの着座部の形状に仕上げ、直径25.3mm、厚さ0.02mm、幅1.4mmの円環状の被膜を形成した。
<評価>
実施例1~8、比較例1~5の摺動部材を以下の方法で評価した。
評価結果を表1に示す。
(残留応力の測定)
X線残留応力測定装置を用いて被膜表面中央部、被膜と基材との界面近傍、及び基材表面について、任意に複数箇所残留応力を測定し平均値を算出した。
(被膜組織の観察)
試料を樹脂埋めし研磨して断面を作製した。SEMの組成像を取得し、画像処理で2値化して、黒色に表示される空孔と濃、淡の灰色で表示される部分の面積比率を求め、空孔率を算出した。
次に、2値化の閾値を変更して、黒色部分+濃灰色部分と淡配色部分の面積比率を求め、2回の2値化で、銅合金部と硬質の合金部、及び空孔の面積比を求めた。
また、走査電子顕微鏡(SEM)による電子線後方散乱回折(EBSD)を行い、回折パターンを検出器面上に投影し、その投影されたパターンから結晶方位を解析して、被膜組織中の、アモルファスの有無、粒子中の結晶粒の大きさを観察した。
実施例1の摺動部材の断面SEM像を図3に示す。
(熱膨張衝撃試験)
摺動部材を電気炉で200℃に加熱し、80℃のお湯の中に水没させ、加熱前と水没後にカラーチェックを行ない、亀裂の有無を確認した。
亀裂が無いものに関して、さらに、電気炉の設定を50℃上げて250℃で摺動部材を加熱し、80℃のお湯に水没させ、再度カラーチェックを行なって亀裂の有無を確認した。
以後、加熱温度を50℃刻みで加熱温度を上げて、水没させ、亀裂の有無を確認し、加熱温度と亀裂の累積発生率を測定した。
(耐摩耗性)
高千穂精機株式会社製のバルブシート摩耗試験機を用いて、下記の条件での摩耗量を測定した。
具体的には、形状測定装置を用いて試験前と試験後のシリンダヘッドにおけるエンジンバルブの着座部の形状を取得し、4カ所の摩耗量を測定し、平均値を算出して、これを摩耗量とした。
相手バルブ材:SUH35
試験温度 :300℃
上下速度 :3000回/min
バルブ回転数:5rpm
着座回数 :540000回
Figure 0007116360000001
表1の結果から、被膜が圧縮残留応力を有する実施例1,2の摺動部材は、引張残留圧縮応力を有する比較例の摺動部材に比して、熱膨張衝撃試験による剥離が生じず、耐熱性に優れ、また摩耗量が少なく耐摩耗性に優れることがわかる。
また、実施例と参考例との比較から、基材に溝を形成することで径方向の基材表面の圧縮残留応力が大きくなり、被膜と基材との剥離を防止できることがわかる。
1 摺動部材
2 被膜
21 銅合金粒子
22 硬質合金粒子
23 アモルファス
3 基材
31 孔

Claims (7)

  1. 円環状の溝を有する基材と、
    少なくとも上記溝に設けられた被膜と、を備え
    上記被膜が、銅を50質量%以上含有する銅合金粒子を含む合金材の粒子塊で成り、周方向及び径方向の少なくとも一方の圧縮残留応力が1MPa以上であることを特徴とする摺動部材。
  2. 上記被膜表面中央の圧縮残留応力が100MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 上記粒子塊を形成する合金粒子が、その少なくとも一部にアモルファス及び粒径1μm未満の結晶粒を有し、
    上記被膜中に上記結晶粒を70面積%以上有することを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 上記被膜が径方向の圧縮残留応力を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つの項に記載の摺動部材。
  5. 上記基材表面の上記被膜の端から上記被膜の幅の20%以上離れた箇所まで、圧縮残留応力が存在することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の摺動部材。
  6. 上記基材表面の上記被膜の端から上記被膜の幅の50%以上離れた箇所まで、径方向の圧縮残留応力が存在することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つの項に記載の摺動部材。
  7. 上記基材が孔を有し、
    上記孔の内面に上記被膜を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つの項に記載の摺動部材。
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