JP7111674B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

燃料噴射制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7111674B2
JP7111674B2 JP2019173232A JP2019173232A JP7111674B2 JP 7111674 B2 JP7111674 B2 JP 7111674B2 JP 2019173232 A JP2019173232 A JP 2019173232A JP 2019173232 A JP2019173232 A JP 2019173232A JP 7111674 B2 JP7111674 B2 JP 7111674B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
load
speed
fuel
rotation speed
engine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019173232A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021050642A (ja
Inventor
宏文 大原
尚平 岡崎
一志 菊池
孝義 奥田
和輝 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2019173232A priority Critical patent/JP7111674B2/ja
Priority to BR102020019035-0A priority patent/BR102020019035B1/pt
Publication of JP2021050642A publication Critical patent/JP2021050642A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7111674B2 publication Critical patent/JP7111674B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D13/00Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing
    • F02D13/02Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing during engine operation
    • F02D13/0223Variable control of the intake valves only
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D1/00Controlling fuel-injection pumps, e.g. of high pressure injection type
    • F02D2001/0095Mounting of control means with respect to injection apparatus or the engine
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M37/00Apparatus or systems for feeding liquid fuel from storage containers to carburettors or fuel-injection apparatus; Arrangements for purifying liquid fuel specially adapted for, or arranged on, internal-combustion engines
    • F02M37/0047Layout or arrangement of systems for feeding fuel
    • F02M37/0064Layout or arrangement of systems for feeding fuel for engines being fed with multiple fuels or fuels having special properties, e.g. bio-fuels; varying the fuel composition
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M51/00Fuel-injection apparatus characterised by being operated electrically
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射部を制御する燃焼噴射制御装置に関する。
この種の装置として、従来、エンジンの低負荷低回転運転時に圧縮行程で燃料を噴射し、中負荷中回転時に吸気行程と圧縮行程とで燃料を噴射し、高負荷高回転時に吸気行程で燃料を噴射させるようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、燃料の噴射方向が排気弁に向かう方向とピストン頂面に向かう方向とに切換可能に燃料噴射弁が構成され、中負荷中回転時では、エンジン回転数が低くなるに従い排気弁に向かう燃料の割合を増加させる。
特開2005-69126号公報
ところで、燃焼室に燃料を噴射する場合、噴射した燃料が気筒の内壁に付着してエンジンオイルに混ざり、エンジンオイルのダイリューション(希釈)が生じるおそれがある。ダイリューションの発生を抑えるために、例えば上記文献1記載の装置のように、燃料噴射方向を排気弁に向かう方向に切換可能に構成すると、燃料噴射弁の構成が複雑化し、装置の価格上昇を招く。
本発明の一態様である燃料噴射制御装置は、気筒と、気筒の内壁に沿って摺動可能に配置されたピストンと、ピストンの上方の燃焼室に面して設けられた燃料噴射部と、を有する内燃機関における燃料噴射制御装置であって、燃料噴射部から噴射される燃料はアルコールを含み、内燃機関の回転数を検出する回転数検出部と、内燃機関の負荷を検出する負荷検出部と、回転数検出部により検出された回転数と負荷検出部により検出された負荷とに基づいて、燃料噴射部を制御する噴射制御部と、燃料のアルコール濃度を特定する濃度特定部と、を備える。噴射制御部は、内燃機関の運転領域が、回転数検出部により検出された回転数が第1回転数以下で、かつ、負荷検出部により検出された負荷が第1所定値以下である低負荷低回転領域であるとき、圧縮行程のみで燃料を噴射し、内燃機関の運転領域が、回転数検出部により検出された回転数が第1回転数よりも大きい第2回転数以下で、かつ、負荷検出部により検出された負荷が第1所定値よりも大きい第2所定値以下で、かつ、低負荷低回転領域を除く中負荷中回転領域であるとき、圧縮行程と吸気行程とで燃料を噴射し、内燃機関の運転領域が、回転数検出部により検出された回転数が第2回転数よりも大きい、または、負荷検出部により検出された負荷が第2所定値よりも大きい高負荷高回転領域であるとき、吸気行程のみで燃料を噴射するように燃料噴射部を制御する。さらに、噴射制御部は、内燃機関の運転領域が、中負荷中回転領域のうちの、回転数検出部により検出された回転数が第1回転数と第2回転数との間の第3回転数以下で、かつ、負荷検出部により検出された負荷が第1所定値と第2所定値との間の第3所定値以下である第1中負荷中回転領域であるとき、中負荷中回転領域から第1中負荷中回転領域を除いた第2中負荷中回転領域であるときよりも、吸気行程での燃料噴射量に対する圧縮行程での燃料噴射量の割合である噴射割合が大きくなるように燃料噴射部を制御し、第1回転数、第2回転数、第3回転数、第1所定値、第2所定値および第3所定値の少なくともいずれかは、アルコール濃度に応じて変化する可変値であり、噴射制御部は、濃度特定部により特定されたアルコール濃度が高いほど、アルコール濃度に応じて変化する可変値を大きい値に設定する。
本発明によれば、簡易な構成により、エンジンオイルのダイリューションの発生を良好に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る燃料噴射制御装置が適用されるエンジンの要部構成を概略的に示す図。 本発明の実施形態に係る燃料噴射制御装置の要部構成を示すブロック図。 エンジン回転数とエンジントルクとをパラメータとした複数の燃料噴射モードを示す図。 エンジン冷却水温に応じた噴射モード毎の必要燃料量を示す図。 アルコール濃度とエンジン冷却水温とに応じた閾値の例を、エンジン回転数と吸入空気量とのマップ上に示す図。 図2のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
以下、図1~図6を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る燃料噴射制御装置は、内燃機関としての火花点火式のエンジンに適用される。このエンジンは、例えば動作周期(1サイクル)の間に吸気、膨張、圧縮および排気の4つの行程を経る4サイクルエンジンであ。エンジンには、エタノールなどのアルコール燃料が用いられる。なお、アルコールとガソリンとを混合した燃料、すなわち所定割合(例えば85%)のアルコールを含む混合燃料を用いることもできる。
図1は、本実施形態に係る燃料噴射制御装置が適用されるエンジン1の要部構成を概略的に示す図である。なお、エンジン1は多気筒エンジンであるが、図1には単一の気筒のみを示す。図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロックに形成された複数のシリンダ2と、各シリンダ2の内部に摺動可能に配置されたピストン3と、ピストン3とシリンダヘッドとの間に形成された燃焼室4と、を有する。ピストン3は、コンロッド5を介してクランクシャフト6に連結され、シリンダ2の内壁に沿ってピストン3が往復動することにより、クランクシャフト6が回転する。なお、シリンダ2の内壁をスリーブと呼ぶことがある。
シリンダヘッドには、吸気ポート11と排気ポート12とが設けられる。燃焼室4には、吸気ポート11を介して吸気通路13が連通する一方、排気ポート12を介して排気通路14が連通する。吸気ポート11は吸気バルブ15により開閉され、排気ポート12は排気バルブ16により開閉される。吸気バルブ15の上流側の吸気通路13には、スロットルバルブ17が設けられる。
スロットルバルブ17は、例えばバタフライ弁により構成され、スロットルバルブ17により燃焼室4へ流れる吸気量が調整される。なお、スロットルバルブ17は、電動モータなどのスロットル用アクチュエータにより駆動される。吸気バルブ15と排気バルブ16とは、不図示の動弁機構により、クランクシャフト6の回転に同期した所定のタイミングで開閉駆動される。なお、バルブ15,16の開閉のタイミングは適宜変更可能である。
シリンダヘッドおよびシリンダブロックのいずれか(例えばシリンダヘッド)には、各シリンダ2の燃焼室4に臨むようにそれぞれ点火プラグ18および直噴式のインジェクタ19が装着される。点火プラグ18は、吸気ポート11と排気ポート12との間に配置され、電気エネルギーにより火花を発生し、燃焼室4内の燃料と空気との混合気を点火する。インジェクタ19は、シリンダブロックの側方かつ吸気バルブ15の近傍に、例えば先端の燃料噴射口を斜め下方に向けて配置される。
インジェクタ19は、後述するコントローラからの制御信号により駆動され、所定の噴射タイミングでかつ所定のパルス幅で開弁し、燃焼室4内に燃料を噴射する。すなわち、インジェクタ19は、筒内噴射型の燃料噴射弁として構成される。なお、インジェクタ19の配置はこれに限らず、点火プラグ18の近傍に配置することもできる。インジェクタ19は、例えばピエゾアクチュエータにより駆動され、高い応答性を有する。
インジェクタ19には、燃料供給部20から燃料が供給される。燃料供給部20は、燃料タンク21に貯留されたアルコール燃料またはアルコールとガソリンの混合燃料を吸い込む低圧ポンプ22と、低圧ポンプ22により吸い込まれた燃料を昇圧する高圧ポンプ23とを有する。高圧ポンプ23で目標圧まで昇圧された燃料が各インジェクタ19に供給される。なお、燃料タンク21に貯留される燃料のアルコール濃度は、燃料の全体積に対するアルコールの占める割合(%)であり、燃料の供給元によって決定される。インジェクタ19からの燃料噴射量は、実空燃比がアルコール濃度に応じた理論空燃比となるようにエンジン1の吸入空気量に応じて制御される。
このようなアルコール燃料またはアルコール濃度が高い混合燃料を用いる構成では、例えばエンジン冷却水温が低い状態であるとき、インジェクタ19から噴射した燃料は気化しにくく、燃焼安定性が悪化して、失火の可能性がある。また、インジェクタ19から噴射した燃料がシリンダ2の内壁面に付着し、付着した燃料が滴下してエンジンオイルと混ざり、エンジンオイルのダイリューション(希釈)が生じるおそれがある。この点を考慮し、本実施形態は以下のように燃料噴射制御装置を構成する。
図2は、本実施形態に係る燃料噴射制御装置100の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、燃料噴射制御装置100は、エンジン制御用のコントローラ30を中心として構成され、コントローラ30に接続されたクランク角センサ31と、負荷センサ32と、空燃比センサ33と、水温センサ34と、濃度センサ35と、インジェクタ19と、を有する。
クランク角センサ31は、クランクシャフト6に設けられ、クランクシャフト6の回転に伴いパルス信号を出力するように構成される。コントローラ30は、クランク角センサ31から出力されたパルス信号に基づいて、エンジン回転数を算出する。すなわち、クランク角センサ31は、エンジン回転数を検出する回転数センサとしても機能する。
さらにコントローラ30は、クランク角センサ31から出力された信号に基づいて、各シリンダ2の吸気行程開始時のクランク角、すなわちピストン3の上死点の位置を基準(0°)としたクランク角(位相)を特定する。吸入行程のクランク角は、ピストン3が上死点から下死点まで降下するときのクランク角であり、0°~180°の範囲内で定まる。圧縮行程のクランク角は、ピストン3が下死点から上死点まで上昇する時のクランク角であり、180°~360°までの範囲内で定まる。
負荷センサ32は、エンジン1の負荷を検出する。負荷センサ32は、エンジン1の負荷と相関関係を有する物理量を検出するセンサであり、例えばスロットルバルブ17の下流の吸気圧を検出する圧力センサ、吸入空気量を検出するエアフローメーター、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ等を用いることができる。
空燃比センサ33は、排気通路14に設けられた酸素濃度を検出するセンサにより構成され、空燃比センサ33により出力された信号に基づいて、実空燃比が検出される。水温センサ34は、エンジン1の冷却水が循環する循環経路に設けられ、水温センサ34から出力された信号により、エンジン冷却水温が検出される。濃度センサ35は、燃料タンク21に設けられ、濃度センサ35から出力された信号により、燃料のアルコール濃度が検出される。なお、図示は省略するが、コントローラ30には、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ等も接続される。
コントローラ30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、CPU、ROM,RAMおよびI/Oインターフェース等のその他の周辺回路を有するコンピュータを含んで構成される。コントローラ30は、クランク角センサ31と、負荷センサ32と、空燃比センサ33と、水温センサ34と、濃度センサ35と、からの信号に基づいて、インジェクタ19に制御信号を出力する。
コントローラ30は、機能的構成として、インジェクタ制御部36と、記憶部37とを有する。記憶部37には、予め各種マップや閾値、制御プログラム等が記憶される。より具体的には、アルコール濃度に対応する目標空燃比(例えば理論空燃比)、噴射モードを設定する際のアルコール濃度およびエンジン冷却水温にそれぞれ対応する閾値等が記憶される。なお、図示は省略するが、コントローラ30は、アクセル開度センサにより検出されたアクセル開度に基づいてスロットルバルブ17の駆動用アクチュエータに制御信号を出力し、スロットル開度を制御するスロットル制御部も有する。
インジェクタ制御部36は、目標噴射量算出部361と、閾値設定部362と、噴射モード決定部363と、信号出力部364とを有する。
目標噴射量算出部361は、予め記憶部37に記憶されたアルコール濃度に対応する目標空燃比の関係を用いて、濃度センサ35により検出されたアルコール濃度に応じた目標空燃比(理論空燃比)を算出する。さらに、空燃比センサ33により検出された実空燃比が目標空燃比となるようなフィードバック制御を行いながら、エアフローセンサ等により検出された吸気量に応じて1サイクル当たりの目標噴射量を算出する。なお、目標噴射量の算出の手法はこれに限らない。
閾値設定部362は、燃料の噴射モードを決定するための閾値を設定する。この閾値は、予め記憶部37に記憶されたエンジン冷却水温との対応関係およびアルコール濃度との対応関係を用いて、水温センサ34により検出されたエンジン冷却水温と濃度センサ35により検出されたアルコール濃度とに応じて設定する。噴射モード決定部363は、閾値設定部362により設定された閾値を用いて燃料の噴射モードを決定する。
図3は、閾値設定部362により設定される閾値の一例を、横軸をエンジン回転数Ne、縦軸をエンジントルクTeとしたマップ上に示す図である。このマップは、エンジン冷却水温が0℃以下の低温で、かつ、アルコール濃度が100%の高濃度のときのマップであり、図中の特性f1は、スロットルバルブ17の全開時のエンジン1の最大トルクを表すエンジン性能曲線である。
図3では、特性f1の内側が3つの領域AR1,AR2,AR3に大別される。領域AR1は、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1以下(Ne≦Ne1)、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルクTe1以下(Te≦Te1)の低負荷低回転領域である。領域AR2は、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1より大きい第2所定回転数Ne2以下(Ne≦Ne2)、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルクTe1より大きい第2所定トルクTe2以下(Te≦Te2)で、低負荷低回転領域AR1を除く中負荷中回転領域である。領域AR3は、エンジン回転数Neが第2所定回転数Ne2より大きい(Ne>Ne2)、または、エンジントルクTeが第2所定トルクTe2より大きい(Te>Te2)高負荷高回転領域である。
噴射モード決定部363は、クランク角センサ31により検出されたエンジン回転数Neと負荷センサ32により検出されたエンジントルクTeとにより、マップ上のエンジン1の動作点を特定する。そして、エンジン1の動作点が低負荷低回転領域AR1にあるとき、圧縮行程で2回の噴射を行う圧縮2段モードに噴射モードを決定する。圧縮2段モードでは、例えば圧縮行程前半で1回、圧縮行程後半で1回、燃料が噴射される。
噴射モード決定部363は、エンジン1の動作点が中負荷中回転領域AR2にあるとき、吸気行程で1回かつ圧縮行程で1回の噴射を行う吸圧2段モードに噴射モードを決定する。吸圧2段モードでは、例えば吸気行程後半で1回、圧縮行程後半で1回、燃料が噴射される。噴射エンジン1の動作点が高負荷高回転領域AR3にあるとき、吸気行程で1回の噴射を行う吸気単発モードを設定する。なお、低負荷低回転領域AR1は、点火プラグ18の近傍での混合気の燃焼である成層燃焼領域である。高負荷高回転領域AR3は、混合気全体の燃焼である均質燃焼領域である。中負荷中回転領域AR2は、成層燃焼領域と均質燃焼領域との間の弱成層燃焼領域である。
図3の第1所定回転数Ne1は、インジェクタ19の能力などによって定まる2段噴射が可能な回転数である。すなわち、インジェクタ19が2段噴射する場合には、1回目の噴射と2回目の噴射との間に、所定時間以上のインターバルが必要であり、2段噴射の開始(1回目の噴射開始)から終了(2回目の噴射終了)までには、例えば所定時間Δt以上を要する。この所定時間Δtが圧縮行程に要する時間よりも短ければ、圧縮2段モードでの噴射が可能である。しかし、エンジン回転数Neの増加に従い圧縮行程に要する時間が短くなるため、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1を超えると、圧縮2段モードでの噴射が困難となる。したがって、第1所定回転数Ne1は、圧縮2段モードを実現可能な最大回転数である。
第2所定回転数Ne2は、コントローラ30の能力によって定まる吸気圧縮行程で2段噴射が可能な回転数である。すなわち、エンジン回転数Neの増加に従い、吸圧2段噴射、つまり吸気行程で1段噴射、圧縮行程で1段噴射するためのコントローラ30の負荷(主に熱負荷)は高くなる。このため、エンジン回転数Neが第2所定回転数Ne2を超えると、吸圧2段モードでの噴射が困難となる。したがって、第2所定回転数Ne2は、吸圧2段モードを実現可能な最大回転数である。なお、インジェクタ19の能力によって定まる吸圧2段モードを実現可能な回転数は、第2所定回転数Ne2よりも高い。もし、インジェクタ19の能力によって定まる回転数がコントローラ30の負荷によって定まる回転数よりも低ければ、インジェクタ19の能力によって定まる回転数が第2所定回転数Ne2となる。
第1所定トルクTe1および第2所定トルクTe2は、それぞれインジェクタ19の能力などによって定まるエンジントルクである。すなわち、エンジントルクTeが大きくなると、必要な燃料噴射量も増加するため、エンジントルクTeが所定トルクTe1を越えると、圧縮行程での2段噴射が困難になる。したがって、第1所定トルクTe1は、圧縮2段モードを実現可能な最大エンジントルクである。同様に、第2所定トルクTe2は、吸圧2段モードを実現可能な最大エンジントルクである。なお、以上の第1所定回転数Ne1、第2所定回転数Ne2、第1所定トルクTe1および第2所定トルクTe2は、予め実験や解析によって求められ、記憶部37に記憶される。
記憶部37には、上述した閾値の他、さらに第1所定回転数Ne1と第2所定回転数Ne2との間の第3所定回転数Ne3(Ne1<Ne3<Ne2)と、第1所定トルクTe1と第2所定トルクTe2との間の第3所定トルクTe3(Te1<Te3<Te2)と、第1所定トルクTe1よりも小さい最小トルクTe0とが記憶される。
最小トルクTe0は、インジェクタ19が1回の噴射で噴射可能な最小流量によって規定されるトルクである。すなわち、インジェクタ19は、その構造上、最小噴射流量が規定されており、最小流量以下の流量は噴射できない。このため、エンジントルクTeの最小値である最小トルクTe0が規定される。
第3所定回転数Ne3と第3所定トルクTe3とは、図3に異なるハッチングで示すように、中負荷中回転領域AR2を第1中負荷中回転領域AR21および第2中負荷中回転領域AR22の2つの領域に分割するために設定される。第1中負荷中回転領域AR21は、中負荷中回転領域AR2のうち、エンジン回転数Neが第3所定回転数Ne3以下であり、エンジントルクTeが第3所定トルクTe3以下かつ最小トルクTe0以上の領域である。すなわち、中負荷中回転領域AR2のうち、相対的に低負荷低回転の領域である。第2中負荷中回転領域AR22は、中負荷中回転領域AR2のうち、第1中負荷中回転領域AR21を除く領域である。すなわち、中負荷中回転領域AR2のうち、相対的に高負荷高回転の領域である。
噴射モード決定部363は、吸圧2段噴射モードにおいて、領域AR21,AR22毎に、吸気行程での燃料噴射量に対する圧縮行程での燃焼噴射量の割合である噴射割合αを変更する。具体的には、第1中負荷中回転領域AR21における噴射モードを第1吸圧2段モード、第2中負荷中回転領域AR22における噴射モードを第2吸圧2段モードと定義するとき、第1吸圧2段モードの噴射割合α1を第2吸圧2段モードの噴射割合α2よりも大きくする。
より具体的には、第1吸圧2段モードの吸気行程と圧縮行程の噴射量の比を4:6(噴射割合α1=6/4)に設定し、第2吸圧2段モードの吸気行程と圧縮行程の噴射量の比を5:5(噴射割合α2=5/5)に設定する。これにより中負荷中回転領域AR2のうち、低負荷低回転であるほど、圧縮行程での燃料噴射の割合が増加する。
図3では、最小トルクTe0によって領域AR21,AR22が区画されるが、この理由は、吸気行程と圧縮行程の噴射量の比が4:6になると、吸気行程での噴射量がインジェクタ19の最小噴射量以下まで減少し、4:6での噴射が不能となるからである。なお、圧縮2段モードで2回噴射するときの噴射量の比は5:5であり、圧縮行程前半と圧縮行程後半の噴射量は互いに等しい。また、吸気単発モードにおける吸気行程と圧縮行程の噴射量の比は10:0である。
信号出力部364は、目標噴射量算出部361で算出された目標噴射量に相当する量の燃料を、噴射モード決定部363で決定された噴射モードに応じた所定の噴射タイミングで噴射するように、インジェクタ19に制御信号を出力する。すなわち、クランク角センサ31からの信号に基づいて現在のクランク角を特定し、燃料を所定のタイミングで噴射させる。例えば、噴射モード決定部363により圧縮2段モードが設定されると、信号出力部364は、目標噴射量算出部361により算出された量の燃料を、圧縮行程で2回に分けて噴射するように制御信号を出力する。吸圧2段モードが設定されると、吸気行程と圧縮行程の2回に分けて燃料を噴射するように制御信号を出力する。吸気単発モードが設定されると、2回に分けずに吸気行程で連続的に燃料を噴射するように制御信号を出力する。
この場合、信号出力部364は、吸圧2段モードのうち、噴射モード決定部363により第1吸圧2段モードが設定されると、吸気行程と圧縮行程との噴射量の比が4:6となるように、インジェクタ19に制御信号を出力する。噴射モード決定部363により第2吸圧2段モードが設定されると、吸気行程と圧縮行程との噴射量の比が5:5となるように、インジェクタ19に制御信号を出力する。
図4は、図3の低負荷低回転領域AR1内の所定動作点P1における、各噴射モードでの必要燃料量を示す図である。横軸は、エンジン冷却水温Tw、縦軸は水温補正係数KTWである。水温補正係数KTWとは、燃料の気化率が低い低水温時に、必要燃料量をどの程度増量させるかを示す値である。水温補正係数KTWが大きいほど、必要燃料量が多くなり、シリンダ2の内壁(スリーブ)への燃料の付着量が増大する。したがって、水温補正係数KTWとエンジンオイルのダイリューションの生じやすさとは相関関係があり、水温補正係数KTWが大きいほど、エンジンオイルのダイリューションが生じやすくなる。
図4の特性f1(太い実線)は、圧縮2段モードでの特性、すなわち圧縮行程で5:5の比で2回に分けて噴射する場合の水温補正係数KTWの特性である。特性f2(太い点線)は、第1吸圧2段モードでの特性、すなわち、吸気行程と圧縮行程とで4:6の比で噴射する場合の特性である。特性f3(細い実線)は、第2吸圧2段モードでの特性、すなわち、吸気行程と圧縮行程とで4:6の比で噴射する場合の特性である。特性f4(細い点線)は、吸圧2段モードでの他の特性の例であり、吸気行程と圧縮行程とで6:4の比で噴射する場合の特性である。これらの特性f1~f4は、例えば実験により得られる。
図4に示すように、圧縮2段モード(特性f1)がスリーブへの燃料の付着量が最も小さい。これは、圧縮行程ではシリンダ2内の吸気温度が上昇し、燃料の気化が促進されるためである。したがって、噴射モードとして圧縮2段モードを設定することで、燃料の気化率が向上し、スリーブへの燃料の付着を抑えることができる。特に、エンジン1の低負荷低回転の運転状態では、燃焼温度が低いため、ダイリューションが起こりやすいが、圧縮行程で燃料を噴射することで、ダイリューションを効果的に抑えることができる。また、燃料の気化率の向上により、失火を抑えた安定した成層燃焼を実現できるとともに、燃焼変動率を低下させることができる。
吸気行程よりも圧縮行程の方が燃料の気化が促進される。このため、特性f2~f4に示すように、吸圧2段モードにおいて吸気行程と圧縮行程とで燃料を噴射する場合には、圧縮行程における燃料の噴射割合αを高めること(特性f2)が、スリーブへの燃料付着量を低減する点でより効果的である。特に、低負荷低回転の運転状態のときは燃焼温度が低いため、圧縮行程における燃料の噴射割合を高めることの効果が大きい。この点、本実施形態では、図3に示すように、吸圧2段モードにおいて、高負荷高回転の領域AR22よりも低負荷低回転の領域AR21で圧縮行程における燃料の噴射割合αを増大させるので、スリーブへの燃料の付着量が抑えられ、ダイリューションの発生を効果的に抑制することができる。
図5は、予め記憶部37に記憶された、アルコール濃度Eとエンジン冷却水温Twとに応じた閾値の例を、エンジン回転数Neと吸入空気量Gとのマップ上に示す図である。なお、吸入空気量GとエンジントルクTeとは、吸入空気量Gの増加に伴いエンジントルクTeが増加するような相関関係を有しており、図5のマップは図3のマップとほぼ同様の形状である。図5では、噴射モードを規定する吸入空気量Gの値が閾値として示されているが、図3と同様に、エンジントルクTeの値を閾値としてもよい。すなわち、縦軸の閾値はエンジン1の負荷に対応する値であればよい。
図5のE1,E2,E3はそれぞれアルコール濃度Eの一例であり、E1、E2、E3の順に(図5の下側ほど)アルコール濃度Eが低くなる。例えば、E1はアルコール濃度が100%、E2は85%、E3は60%である。図5のT1,T2,T3,T4はそれぞれエンジン冷却水温Twの一例であり、T1、T2、T3、T4の順に(図5の右側ほど)エンジン冷却水温Twが高くなる。例えば、T1はエンジン冷却水温が0℃、T2は25℃、T3は40℃、T4は60℃である。
図5に示すように、例えばエンジン冷却水温TwがT1の状態では、アルコール濃度が高いほど、圧縮2段モードの領域AR1を規定するエンジン回転数(第1所定回転数Ne1)と吸入空気量(第1所定トルクTe1に相当)とが増加し、かつ、吸圧2段モードの領域AR2を規定するエンジン回転数(第2所定回転数Ne2)と吸入空気量(第2所定トルクTe2に相当)とが増加する。図示は省略するが、この場合には、第1吸圧2段モードAR22を規定するエンジン回転数(第3所定回転数Ne3)と吸入空気量(第3所定トルクTe3に相当)も増加する。
また、例えばアルコール濃度EがE1の状態では、エンジン冷却水温Twが低いほど、圧縮2段モードの領域AR1を規定するエンジン回転数(第1所定回転数Ne1)と吸入空気量(第1所定トルクTe1に相当)とが増加し、かつ、吸圧2段モードの領域AR2を規定するエンジン回転数(第2所定回転数Ne2)と吸入空気量(第2所定トルクTe2に相当)とが増加する。図示は省略するが、この場合には、第1吸圧2段モードAR22を規定するエンジン回転数(第3所定回転数Ne3)と吸入空気量(第3所定トルクTe3に相当)も増加する。
このように、アルコール濃度Eが高いほど、および、エンジン冷却水温Twが高いほど、圧縮2段モードの領域AR1が拡大し、かつ、吸気単発モードの領域AR3が縮小する。これにより、ダイリューションが生じやすい条件において燃料の気化率を高めることができ、ダイリューションの発生を効果的に抑制することができる。
なお、アルコール濃度EがE1,E2,E3以外のとき、およびエンジン冷却水温TwがT1,T2,T3,T4以外のときは、例えば以下のように閾値が設定される。すなわち、アルコール濃度EがE1とE2の間のE4(例えば90%)以上のとき(E2<E4<E1)、アルコール濃度EがE1のときと同一の閾値が設定され、アルコール濃度EがE3以下のとき、アルコール濃度EがE3のときと同一の閾値が設定される。アルコール濃度がE3以上E2以下のとき、およびE2以上E4以下のとき、それぞれアルコール濃度Eに応じて線形補間するように閾値が設定される。エンジン冷却水温TwがT1以下のとき、エンジン冷却水温TwがT1のときと同一の閾値が設定され、エンジン冷却水温TがT4以上のとき、エンジン冷却水温TwがT4のときと同一の閾値が設定される。エンジン冷却水温がT1以上T2以下のとき、T2以上T3以下のとき、およびT3以上T4以下のとき、それぞれエンジン冷却水温Twに応じて線形補間するように閾値が設定される。
図6は、予め記憶されたプログラムに従い図2のコントローラ30で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばエンジン1の起動が指令されると開始され、エンジン1の停止が指令されるまで、所定周期で繰り返される。
まず、ステップS1で、図2のセンサ31~35および他のセンサ等から入力された信号を読み込む。次いで、ステップS2で、空燃比センサ33により検出された実空燃比が目標空燃比となるようにフィードバック制御を行いながら、エアフローセンサ等により検出された吸気量に応じて1サイクル当たりの目標噴射量を算出する。次いで、ステップS3で、記憶部37に記憶された関係に基づき、濃度センサ35により検出されたアルコール濃度Eと水温センサ34により検出されたエンジン冷却水温Twとに応じた閾値を設定する。例えば、図3に示すように、エンジン回転数NeとエンジントルクTeの閾値Ne1,Ne2,Ne3,Te1,Te2,Te3を設定する。なお、図5に示すように、エンジントルクTeの閾値に代えて吸入空気量Gの閾値を設定してもよい。
次いで、ステップS4で、クランク角センサ31により検出されたエンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1以下で、かつ、負荷センサ32により検出されたエンジントルクTeが第1所定トルクTe1以下であるか否かを判定する。ステップS4で肯定されるとステップS7に進み、噴射モードを圧縮2段モードに決定する。ステップS4で否定されるとステップS5に進み、クランク角センサ31により検出されたエンジン回転数Neが第2所定回転数Ne2以下で、かつ、負荷センサ32により検出されたエンジントルクTeが第2所定トルクTe2以下であるか否かを判定する。ステップS5で否定されるとステップS10に進み、噴射モードを吸気単発モードに決定する。
一方、ステップS5で肯定されるとステップS6に進み、クランク角センサ31により検出されたエンジン回転数Neが第3所定回転数Ne3以下で、かつ、負荷センサ32により検出されたエンジントルクTeが第3所定トルクTe3以下であるか否かを判定する。ステップS6で肯定されるとステップS8に進み、噴射モードを第1吸圧2段モードに決定する。ステップS6で否定されるとステップS9に進み、噴射モードを第2吸圧2段モードに決定する。
ステップS7~ステップS10のいずれかで噴射モードが決定されると、ステップS11に進む。ステップS11では、ステップS2で算出された目標噴射量を、ステップS7~ステップS10の噴射モードに従い1回のサイクルで噴射するようにインジェクタ19に制御信号を出力し、処理を終了する。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)燃料噴射制御装置100に用いられるエンジン1は、シリンダ2と、シリンダ2の内壁に沿って摺動可能に配置されたピストン3と、ピストン3の上方の燃焼室4に面して設けられたインジェクタ19と、を有する(図1)。燃料噴射制御装置100は、エンジン1の回転数Neを検出するクランク角センサ31と、エンジン1の負荷(エンジントルクTe)を検出する負荷センサ32と、クランク角センサ31により検出されたエンジン回転数Neと負荷センサ32により検出されたエンジントルクTeとに基づいて、インジェクタ19を制御するインジェクタ制御部36と、を備える(図2)。インジェクタ制御部36は、エンジン1の運転領域が、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1以下で、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルクTe1以下である低負荷低回転領域AR1であるとき、圧縮行程のみで燃料を噴射し(圧縮2段モード)、エンジン1の運転領域が、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1よりも大きい第2所定回転数Ne2以下で、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルクTe1よりも大きい第2所定トルクTe2以下で、かつ、低負荷低回転領域AR1を除く中負荷中回転領域AR2であるとき、圧縮行程と吸気行程とで燃料を噴射し(吸圧2段モード)、エンジン1の運転領域が、エンジン回転数Neが第2所定回転数Ne2よりも大きい、または、エンジントルクTeが第2所定トルクTe2よりも大きい高負荷高回転領域AR3であるとき、吸気行程のみで燃料を噴射するように(吸気単発モード)、インジェクタ19を制御する(図3)。さらに、インジェクタ制御部36は、エンジン1の運転領域が、中負荷中回転領域AR2のうちの、エンジン回転数Neが第1所定回転数Ne1と第2所定回転数Ne2との間の第3所定回転数Ne3以下で、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルクTe1と第2所定トルクTe2との間の第3所定トルクTe3以下である第1中負荷中回転領域AR21であるとき、中負荷中回転領域AR2から第1中負荷中回転領域AR21を除いた第2中負荷中回転領域AR22であるときよりも、吸気行程での燃料噴射量に対する圧縮行程での燃料噴射量の割合である噴射割合αが大きくなるように(α1>α2)、インジェクタ19を制御する(図3)。
このように、エンジン回転数NeとエンジントルクTeとに応じて噴射モードを切り換えるとともに、中負荷中回転領域AR2における吸気行程と圧縮行程の噴射割合αを切り換えるように構成することで、燃料の噴射方向が切換可能となるように構成されたインジェクタを用いることなく、簡易な構成でインジェクタ19から噴射した燃料のスリーブへの付着を抑制することができる。したがって、装置の価格上昇を抑えることができる。特に、本実施形態では、中負荷中回転領域AR2において、エンジン回転数Neが相対的に低く、エンジントルクTeが相対的に小さい領域AR21の噴射割合αを大きくするので、燃焼温度が低く燃料が付着しやすい運転状態であっても、燃料の付着を効果的に抑制することができる。
(2)燃料噴射制御装置100は、インジェクタ19から噴射される燃料のアルコール濃度Eを検出する濃度センサ35をさらに備える(図2)。第1所定回転数Ne1、第2所定回転数Ne2、第3所定回転数Ne3、第1所定トルクTe1、第2所定トルクTe2および第3所定トルクTe3は、アルコール濃度Eに応じて変化する閾値である。インジェクタ制御部36は、濃度センサ35により検出されたアルコール濃度Eが高いほど、閾値を大きい値に設定する。アルコール濃度Eが高いほど燃料の気化率は低下するが、アルコール濃度Eが高いほど閾値を大きくすることで、圧縮行程で噴射する運転領域が拡大し、高アルコール濃度時の燃焼安定性を向上させることができる。
(3)燃料噴射制御装置100は、エンジン冷却水温Twを検出する水温センサ34をさらに備える(図2)。第1所定回転数Ne1、第2所定回転数Ne2、第3所定回転数Ne3、第1所定トルクTe1、第2所定トルクTe2および第3所定トルクTe3は、エンジン冷却水温Twに応じて変化する閾値である。インジェクタ制御部36は、水温センサ34により検出されたエンジン冷却水温Twが低いほど、閾値を大きい値に設定する。エンジン冷却水温Twはエンジン1の温度と相関関係を有し、エンジン冷却水温Twが高いほど燃料の気化率は低下するが、エンジン冷却水温Twが高いほど閾値を大きくすることで、圧縮行程で噴射する運転領域が拡大し、エンジン冷却水温が低温時の燃焼安定性を向上させることができる。
上記実施形態は種々の形態に変更することができる。以下、変形例について説明する。上記実施形態では、インジェクタ制御部36が、エンジン回転数Neが第1所定回転数(第1回転数)N1以下で、かつ、エンジントルクTeが第1所定トルク(第1所定値)Te以下である低負荷低回転領域AR1であるとき、圧縮行程で2回燃料を噴射させるようにしたが、3回以上噴射させるようにしてもよい。また、インジェクタ制御部36は、エンジン回転数Neが第2所定回転数(第2回転数)Ne2以下で、かつ、エンジントルクTeが第2所定トルク(第2所定値)Te2以下で、かつ、低負荷低回転領域AR1を除く中負荷中回転領域AR2であるとき、圧縮行程と吸気行程とで1回ずつ燃料を噴射させるようにしたが、圧縮行程と吸気行程のいずれかまたは両方で、複数回燃料を噴射させるようしてもよい。すなわち、燃料噴射部としてのインジェクタ19を制御する噴射制御部の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、中負荷中回転領域AR2のうちのエンジン回転数Neが第3所定回転数(第3回転数)Ne3(Ne1<Ne3<Ne2)以下で、かつ、エンジントルクTeが第3所定トルク(第3所定値)Te3(Te1<Te3<Te2)以下である第1中負荷中回転領域AR21であるとき、吸気行程と圧縮行程の燃料噴射量の比を4:6に設定し、中負荷中回転領域AR2から第1中負荷中回転領域AR21を除いた第2中負荷中回転領域AR22であるとき、吸気行程と圧縮行程の燃料噴射量の比を5:5に設定した。しかし、第1中負荷中回転領域AR21における吸気行程での燃料噴射量に対する圧縮行程での燃料噴射量の割合である噴射割合α1が、第2中負荷中回転領域AR22における噴射割合α2より大きくなるように噴射割合αを設定するのであれば、噴射割合αは上述した以外の値に設定してもよい。
上記実施形態では、クランク角センサ31により内燃機関としてのエンジン1の回転数Neを検出するようにしたが、回転数検出部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、負荷センサ32によりエンジントルクTeを検出するようにしたが、負荷検出部の構成は上述したものに限らない。吸入空気量Gに応じて閾値を設定するとき(図5)、吸入空気量を検出するセンサ(吸気圧センサやエアフォローメータ等)を負荷検出部として用いればよい。
上記実施形態では、濃度センサ35によりアルコール濃度Eを検出するようにしたが、アルコール濃度を特定する濃度特定部はこれに限らない。例えばアルコール濃度が既知の燃料が車両に供給されるとき、そのアルコール濃度をドライバがコントローラ30に対し指定することで、アルコール濃度を特定してもよい。この場合には、濃度センサを省略することができる。所定のアルコール濃度(例えば濃度100%)の燃料のみが用いられるようにしてもよい。アルコールを含まない燃料を用いることもできる。上記実施形態では、水温センサ34によりエンジン冷却水温Twを検出するようにしたが、内燃機関の温度と相関関係を有する物理量を検出するのであれば、他の温度検出部を用いてもよい。
上記実施形態では、第1所定回転数Ne1、第2所定回転数Ne2、第3所定回転数Ne3、第1所定トルクTe1、第2所定トルクTe2および第3所定トルクTe3の全ての閾値を、アルコール濃度Eに応じて変化する可変値としたが、これらの一部のみをアルコール濃度に応じた可変値とし、残りをアルコール濃度によっては変化しない固定値としてもよい。上記実施形態では、第1所定回転数Ne1、第2所定回転数Ne2、第3所定回転数Ne3、第1所定トルクTe1、第2所定トルクTe2および第3所定トルクTe3の全ての閾値を、エンジン冷却水温Twに応じて変化する可変値としたが、これらの一部のみを内燃機関の温度に応じて変化する可変値とし、残りを内燃機関の温度によっては変化しない固定値としてもよい。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
1 エンジン、2 シリンダ、3 ピストン、4 燃焼室、19 インジェクタ、30 コントローラ、31 クランク角センサ、32 負荷センサ、33 空燃比センサ、34 水温センサ、35 濃度センサ、36 インジェクタ制御部、100 燃料噴射制御装置

Claims (2)

  1. 気筒と、前記気筒の内壁に沿って摺動可能に配置されたピストンと、前記ピストンの上方の燃焼室に面して設けられた燃料噴射部と、を有する内燃機関における燃料噴射制御装置であって、
    前記燃料噴射部から噴射される燃料はアルコールを含み、
    前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出部と、
    前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出部と、
    前記回転数検出部により検出された回転数と前記負荷検出部により検出された負荷とに基づいて、前記燃料噴射部を制御する噴射制御部と、
    燃料のアルコール濃度を特定する濃度特定部と、を備え、
    前記噴射制御部は、
    前記内燃機関の運転領域が、前記回転数検出部により検出された回転数が第1回転数以下で、かつ、前記負荷検出部により検出された負荷が第1所定値以下である低負荷低回転領域であるとき、圧縮行程のみで燃料を噴射し、
    前記内燃機関の運転領域が、前記回転数検出部により検出された回転数が前記第1回転数よりも大きい第2回転数以下で、かつ、前記負荷検出部により検出された負荷が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以下で、かつ、前記低負荷低回転領域を除く中負荷中回転領域であるとき、圧縮行程と吸気行程とで燃料を噴射し、
    前記内燃機関の運転領域が、前記回転数検出部により検出された回転数が前記第2回転数よりも大きい、または、前記負荷検出部により検出された負荷が前記第2所定値よりも大きい高負荷高回転領域であるとき、吸気行程のみで燃料を噴射するように前記燃料噴射部を制御し、
    さらに、前記噴射制御部は、
    前記内燃機関の運転領域が、前記中負荷中回転領域のうちの、前記回転数検出部により検出された回転数が前記第1回転数と前記第2回転数との間の第3回転数以下で、かつ、前記負荷検出部により検出された負荷が前記第1所定値と前記第2所定値との間の第3所定値以下である第1中負荷中回転領域であるとき、前記中負荷中回転領域から前記第1中負荷中回転領域を除いた第2中負荷中回転領域であるときよりも、吸気行程での燃料噴射量に対する圧縮行程での燃料噴射量の割合である噴射割合が大きくなるように前記燃料噴射部を制御し、
    前記第1回転数、前記第2回転数、前記第3回転数、前記第1所定値、前記第2所定値および前記第3所定値の少なくともいずれかは、アルコール濃度に応じて変化する可変値であり、
    前記噴射制御部は、前記濃度特定部により特定されたアルコール濃度が高いほど、アルコール濃度に応じて変化する前記可変値を大きい値に設定することを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記内燃機関の温度と相関関係を有する物理量を検出する温度検出部をさらに備え、
    前記第1回転数、前記第2回転数、前記第3回転数、前記第1所定値、前記第2所定値および前記第3所定値の少なくともいずれかは、前記温度検出部により検出された物理量に応じて変化する可変値であり、
    前記噴射制御部は、前記温度検出部により検出された物理量と相関関係を有する前記内燃機関の温度が低いほど、前記物理量に応じて変化する前記可変値を大きい値に設定することを特徴とする燃料噴射制御装置。
JP2019173232A 2019-09-24 2019-09-24 燃料噴射制御装置 Active JP7111674B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019173232A JP7111674B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 燃料噴射制御装置
BR102020019035-0A BR102020019035B1 (pt) 2019-09-24 2020-09-23 Aparelho de controle de injeção de combustível

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019173232A JP7111674B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 燃料噴射制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021050642A JP2021050642A (ja) 2021-04-01
JP7111674B2 true JP7111674B2 (ja) 2022-08-02

Family

ID=75157530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019173232A Active JP7111674B2 (ja) 2019-09-24 2019-09-24 燃料噴射制御装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7111674B2 (ja)
BR (1) BR102020019035B1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173499A (ja) 1999-12-15 2001-06-26 Hitachi Ltd 筒内噴射型内燃機関の燃料噴射装置及び筒内噴射型内燃機関の燃料噴射方法
JP2001248482A (ja) 2000-02-29 2001-09-14 Hitachi Ltd 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP2002115593A (ja) 2000-10-04 2002-04-19 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の燃焼制御装置
JP2003120299A (ja) 2001-10-09 2003-04-23 Hitachi Ltd 筒内噴射ガソリンエンジン
JP2003148222A (ja) 2001-11-15 2003-05-21 Isuzu Motors Ltd 圧縮着火式内燃機関
US20080196696A1 (en) 2007-02-15 2008-08-21 Eric Storhok Direct injection event-based engine starting
WO2014171093A1 (ja) 2013-04-15 2014-10-23 マツダ株式会社 火花点火式エンジンの制御装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3325232B2 (ja) * 1997-09-29 2002-09-17 マツダ株式会社 筒内噴射式エンジン

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173499A (ja) 1999-12-15 2001-06-26 Hitachi Ltd 筒内噴射型内燃機関の燃料噴射装置及び筒内噴射型内燃機関の燃料噴射方法
JP2001248482A (ja) 2000-02-29 2001-09-14 Hitachi Ltd 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP2002115593A (ja) 2000-10-04 2002-04-19 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の燃焼制御装置
JP2003120299A (ja) 2001-10-09 2003-04-23 Hitachi Ltd 筒内噴射ガソリンエンジン
JP2003148222A (ja) 2001-11-15 2003-05-21 Isuzu Motors Ltd 圧縮着火式内燃機関
US20080196696A1 (en) 2007-02-15 2008-08-21 Eric Storhok Direct injection event-based engine starting
WO2014171093A1 (ja) 2013-04-15 2014-10-23 マツダ株式会社 火花点火式エンジンの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
BR102020019035A2 (pt) 2021-04-13
BR102020019035B1 (pt) 2023-05-09
JP2021050642A (ja) 2021-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5372728B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP5786679B2 (ja) 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置
US7841316B2 (en) Controller for direct injection engine
RU140272U1 (ru) Система двигателя
JP4238890B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5327026B2 (ja) 内燃機関の燃料性状判定装置
RU2669101C2 (ru) Способ и система контроля преждевременного воспламенения
KR20070090244A (ko) 엔진
US20160146139A1 (en) Method and system for air charge estimation
JPH10169450A (ja) 筒内噴射型内燃機関の制御装置
WO2015001728A1 (ja) 筒内噴射エンジンの制御装置
JP4244198B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御方法
US11333092B2 (en) Control device and control method for internal combustion engine
US20130066537A1 (en) Apparatus for and method of controlling fuel injection of internal combustion engine
JP5703341B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP7171531B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP7111674B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP2016217286A (ja) エンジンシステムの制御装置
JP2017020445A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5282636B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2014074337A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5925099B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4534968B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2006132399A (ja) 過給機付エンジンの制御装置および制御方法
JP2015151977A (ja) 筒内燃料噴射式内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220721

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7111674

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150