JP7111605B2 - 糖尿病を治療および/または発症を制限するための方法 - Google Patents

糖尿病を治療および/または発症を制限するための方法 Download PDF

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Description

関連案件の相互参照
本出願は、2013年3月13日出願した米国特許仮出願第61/779508号の優先権を主張し、その全体が参考として本明細書に援用される。
国際糖尿病連合(IDF)は、糖尿病を有する人々の数が2011年に3億6600万人であり、この数は2030年までに5億5000万人に増加し得ると推定している。患者の大多数は2型糖尿病(T2DM)を有する。肥満、インスリン耐性、およびT2DMの発症には関連があるが、詳細な基本的メカニズムは依然として分かっておらず、この極めて重要な問題を最終的に検討できる可能性がある治療標的を特定することが最優先となる。
T2DMにおけるインスリン耐性に関わる従来の標的組織は筋肉、肝臓、および脂肪である。これらの末梢組織はインスリンに対する効果的な反応によってグルコース恒常性を維持し、インスリンがその受容体および下流のシグナルカスケードを活性化できないとグルコース処理に障害を生じる。さらにインスリンは膵β細胞上のその受容体を刺激して、それによりインスリン生合成および分泌の正のフィードバックループに直接的に寄与する。
アポリポタンパク質CIII(アポCIII)は主に肝臓、それより少ないが小腸で合成されるリポタンパク質である。アポCIIIはアポBリポタンパク質および高比重リポタンパク質(HDL)に存在し、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を阻害することによってこれらの代謝を調節する。アポCIIIの発現は、インスリン欠如およびインスリン耐性によって増加し、高血糖がアポCIII転写を誘発することも認められている。循環トリグリセリドの高量のピークでは、アポCIII過剰発現マウスは高脂肪食誘発性糖尿病により罹り易くなる。ヒトでは高い循環アポCIII量はインスリン耐性と関連する。さらに、1型糖尿病(T1DM)を有する患者は血清アポCIIIの量が高いことが認められた。これは電位依存性Ca2+チャンネルの高い活性、細胞質遊離Ca2+濃度([Ca2+)およびアポトーシスの増加を生じ、影響はアポCIIIの低下によってブロッキングされた。
本明細書に開示される発明は、糖尿病を治療または発症を制限するための方法を提供し、式A-Bの化合物を含む組成物を効果的な量でこの方法を必要とする対象者に投与することを含み、ここでAは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンの発現および/または活性の阻害剤である。
他の態様では、式A-Bの組成物が提供され、ここでAは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Srcキナーゼ、またはβ1インテグリンの阻害剤である。さらなる態様では、組成物は式A-B-Cからなるものであり、ここでCは組成物の細胞内移行を可能にする化合物である。
種々の実施形態では、アポCIII阻害剤は抗アポCIII抗体、抗アポCIIIアプタマー、アポCIII小干渉RNA,アポCIII内部セグメント化小干渉RNA、アポCIII短ヘアピンRNA、アポCIIIマイクロRNA、およびアポCIIIアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
種々の実施形態では、PKAまたはSrcキナーゼ阻害剤は、PP1アナログ、PP2、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアート-R、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-7、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-8、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-9、およびアデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-89からなる群から選択される。
種々の実施形態では、β1インテグリン阻害剤は抗β1インテグリン抗体、抗β1インテグリンアプタマー、β1インテグリン小干渉RNA、β1インテグリン内部セグメント化小干渉RNA、β1インテグリン短ヘアピンRNA、β1インテグリンマイクロRNA、およびβ1インテグリンアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
種々の実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分には、ディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質、デルタ2,36kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン)、メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分が含まれる。さらなる実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分には、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分が含まれる。
本発明の特定の実施形態は、後述するいくつかの実施形態および請求項のより詳細な説明によって明らかになる。
時間にともなうob/ob膵島における高血糖の悪化およびインスリンシグナル化の低下を示す。ob/obおよび同等齢のob/leanマウス(n=8~11)を4、8、および12週齢で測定した(a)平均体重、(b)非空腹時血糖量、および(c)非空腹時血漿インスリン量。(d)4、8、および12週齢における肥満と痩身コントロール間の膵島遺伝子発現変化。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した。ob/obマウスの発現量を、1.0に設定したob/leanの発現量と比較した。ob/lean遺伝子発現は期間中に有意な変化はなかった(n=4~9)。データは平均±平均の標準誤差(SEM)で示した。*p<0.05、**P<0.01、スチューデントのt検定またはANOVA(ターキーの事後分析)による。 時間にともなうob/ob膵島における高血糖の悪化およびインスリンシグナル化の低下を示す。ob/obおよび同等齢のob/leanマウス(n=8~11)を4、8、および12週齢で測定した(a)平均体重、(b)非空腹時血糖量、および(c)非空腹時血漿インスリン量。(d)4、8、および12週齢における肥満と痩身コントロール間の膵島遺伝子発現変化。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した。ob/obマウスの発現量を、1.0に設定したob/leanの発現量と比較した。ob/lean遺伝子発現は期間中に有意な変化はなかった(n=4~9)。データは平均±平均の標準誤差(SEM)で示した。*p<0.05、**P<0.01、スチューデントのt検定またはANOVA(ターキーの事後分析)による。 時間にともなうob/ob膵島における高血糖の悪化およびインスリンシグナル化の低下を示す。ob/obおよび同等齢のob/leanマウス(n=8~11)を4、8、および12週齢で測定した(a)平均体重、(b)非空腹時血糖量、および(c)非空腹時血漿インスリン量。(d)4、8、および12週齢における肥満と痩身コントロール間の膵島遺伝子発現変化。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した。ob/obマウスの発現量を、1.0に設定したob/leanの発現量と比較した。ob/lean遺伝子発現は期間中に有意な変化はなかった(n=4~9)。データは平均±平均の標準誤差(SEM)で示した。*p<0.05、**P<0.01、スチューデントのt検定またはANOVA(ターキーの事後分析)による。 時間にともなうob/ob膵島における高血糖の悪化およびインスリンシグナル化の低下を示す。ob/obおよび同等齢のob/leanマウス(n=8~11)を4、8、および12週齢で測定した(a)平均体重、(b)非空腹時血糖量、および(c)非空腹時血漿インスリン量。(d)4、8、および12週齢における肥満と痩身コントロール間の膵島遺伝子発現変化。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した。ob/obマウスの発現量を、1.0に設定したob/leanの発現量と比較した。ob/lean遺伝子発現は期間中に有意な変化はなかった(n=4~9)。データは平均±平均の標準誤差(SEM)で示した。*p<0.05、**P<0.01、スチューデントのt検定またはANOVA(ターキーの事後分析)による。 時間にともなうob/ob膵島におけるインスリンシグナル化カスケードの変化を示す。(a)マウスから4、8、および12週齢で調製されたob/ob膵島溶解物をリン酸化-Akt、全Akt、リン酸化FoxO1、およびγ-チューブリンに特異的な抗体で検出したウェスタンブロット分析。バンドはデンシトメトリーによって定量した。全FoxO1イムノブロットはノイズ比に対してシグナルが弱いため、FoxO1のmRNA量を代わりに測定した(n=3~4)。 時間にともなうob/ob膵島におけるインスリンシグナル化カスケードの変化を示す。(b)4、8、および12週齢における肥満と痩身コントロール間の膵島遺伝子発現変化。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した(n=4~8)。 時間にともなうob/ob膵島におけるインスリンシグナル化カスケードの変化を示す。(c)各デンシトメトリー定量とともに添加コントロールとしてポンソーSで染色した血清アポCIIIのウェスタンブロット(n=3)。データは平均±SEMで示した。*p<0.05、**P<0.01、ANOVA(ターキーの事後分析)による。 アポCIIIを発現することが知られている組織から得るアポCIIIの相対的発現を示す。(a)ob/leanおよびob/obの両方における4、8、および12週齢でのアポCIIIの肝臓発現を比較して対比した(n=5~7)。 アポCIIIを発現することが知られている組織から得るアポCIIIの相対的発現を示す。(b)ob/leanおよびob/obの両方における4、8、および12週齢でのアポCIIIの小腸発現を比較して対比した(n=5~6)。mRNA量はリアルタイムqPCRによって測定し、β-アクチンで基準化した。使用したイントロン-スパニング(エクソン3および4)リアルタイムqPCRプライマーは、膵島溶解物から得るアポCIII発現を測定するために使用したものと全く同一だった。データは平均±SEMで示した。 げっ歯類およびヒト膵島におけるアポCIIIの発現を示す。(a)ob/leanマウスにおけるアポCIIIの組織特異的発現。特異的イントロン-スパニングプライマーをリアルタイムqPCRによるアポCIII発現の測定に使用した。挿入図は異なる組織におけるアポCIIIの全コード領域の代表的な増幅を示す(n=4~6)。 げっ歯類およびヒト膵島におけるアポCIIIの発現を示す。(b)分類した初代ラットβ細胞におけるアポCIII発現。解離したラット膵島から得る単一細胞をそれらの区別可能な自発蛍光に従って分類した。ついで細胞をリアルタイムqPCRによる発現分析のために溶解した。分類した細胞における異なる膵島ホルモンの高濃度化が、分類法による純度を示す。(n=4)。 げっ歯類およびヒト膵島におけるアポCIIIの発現を示す。(c)ヒトアポCIIIエピトープを認識する抗体を用いた、分離したヒト膵島におけるアポCIII局在。コントロールとして、使用する前にアポIII抗体を組換えアポCIIIとプレインキュベーションしてブロッキングした。陰性コントロールでは、第二抗体のみを加えた(n=3~6)。データは平均±SEMで示した。 異なるアポCIIIアイソフォームの相対的発現を示す。(a)ENSEMBLによって決定されたアポCIIIの2つのアイソフォーム間の差を示す図(転写物IDを表示)。両アイソフォームは似たような数数のエクソンおよび全く同じコード配列(黒色バー)を有する。これらはエクソン1に相当する5’非翻訳領域(UTR)でのみ異なり、アイソフォーム2はアイソフォーム1と比べて長い5’UTR(灰色バー)を有している。またアイソフォーム2はエクソン4に短い3’UTRを有している。従って、異なるイントロンスパニングリアルタイムqPCRプライマーを使用し、エクソン1の異なる配列に基づいてアイソフォーム1とアイソフォーム2の両方の相対量を測定した。提示する異なるプライマーを試験して同一のプライミング効率を有することが示された。 異なるアポCIIIアイソフォームの相対的発現を示す。(b)膵島溶解物における2種類の異なるアポIIIアイソフォームの相対的発現(n=3)。 異なるアポCIIIアイソフォームの相対的発現を示す。(c)肝臓溶解物における2種類の異なるアポIIIアイソフォームの相対的発現(n=3)。データは平均±SEMで示した。 Min6細胞におけるマウスMyc-アポCIIIの過剰発現およびCa2+流入へのその影響を示す。(a)培地と細胞の両方をトランスフェクションした24時間後に収集した。C-Myc抗体を免疫沈降のために使用し、得られる結合タンパク質をc-mysおよびアポCIII抗体の両方で検出した。アポCIIIがアポCIIIトランスフェクション細胞培養培地で検出されるが、溶解物およびコントロールトランスフェクション細胞培養培地のどちらにも検出されない。 Min6細胞におけるマウスMyc-アポCIIIの過剰発現およびCa2+流入へのその影響を示す。(b)マウスアポCIIIコード配列をシグナルペプチドの直ぐ後にc-myc配列でタグ化してMin6細胞で発現させた。コントロールとして、同一プロモーター下でds-tomato構築体を使用した。トランスフェクションしたMin6細胞におけるc-MycおよびC-ペプチド染色の代表的な最大強度投影画像。 Min6細胞におけるマウスMyc-アポCIIIの過剰発現およびCa2+流入へのその影響を示す。(c)Myc-アポCIIIおよびコントロールでトランスフェクションした両方のMin6細胞にFura-2を添加して、25mM KClを用いた膜の脱分極で[Ca2+を測定した(n=4)。データは平均±SEMで示した。**<0.01、スチューデントのt検定による。 12週齢のob/ob膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を示す。(a)分離した膵島を直接的に溶解(ob/ob)、またはアポCIII特異的(AS)/不活性(Scr)なアンチセンスオリゴヌクレオチドに18時間暴露した。アポCIII発現をリアルタイムqPCRによって測定して、培養した膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を判断した(n=4)。 12週齢のob/ob膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を示す。(b)活性または不活性いずれかのアポCIIIアンチセンスに暴露したob/obおよびob/lean膵島にFura-2を加えて11mMグルコースに暴露して、グルコース刺激されたCa2+流入を測定した(n=4~11)。 12週齢のob/ob膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を示す。(c)25mM KClを使用して脱分極およびそれに続くCa2+流入を誘発した(n=9~10)。 12週齢のob/ob膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を示す。(d)4、8、および12週齢の動物から分離したob/ob膵島におけるカスパーゼ3/7活性。(n=4)。 12週齢のob/ob膵島におけるアポCIIIノックダウンの効果を示す。(e)Ca2+-チャンネル阻害剤ベラパミルと一昼夜インキュベーションした(左のカラム)、またはアポCIIIアンチセンスに暴露した(右のカラム)12週齢ob/obマウスから得るβ細胞におけるカスパーゼ活性の低下(n=4)。データは平均±SEMで示した。*p<0.05、**P<0.01、スチューデントのt検定またはANOVA(ターキーの事後分析)による。
本発明の詳細な説明。
引用されているすべての参考文献は、本明細書ではこれら全体で参考として組み込まれる。本出願では、特別に記載がない限り、利用される技術は次に示すようないくつかのよく知られた参考文献のいずれかに認めることができる。Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook, et al., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press), Gene Expression Technology (Methods in Enzymology, Vol. 185, edited by D. Goeddel, 1991. Academic Press, San Diego, CA), “Guide to Protein Purification” in Methods in Enzymology (M.P. Deutshcer, ed., (1990) Academic Press, Inc.); PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis, et al. 1990. Academic Press, San Diego, CA), Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 2nd Ed. (R.I. Freshney. 1987. Liss, Inc. New York, NY), Gene Transfer and Expression Protocols, pp. 109-128, ed. E.J. Murray, The Humana Press Inc., Clifton, N.J.), and the Ambion 1998 Catalog (Ambion, Austin, TX).
本明細書で使用されるとき、単数形(「a」、「an」、及び「the」)は、別段の明確な指示がない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書で使用される「および」(and)は、別段の明確な指示がない限り、「または」(or)と交換可能なものとして使用される。
本発明のあらゆる態様のすべての実施形態は、別段の明確な指示がない限り、組み合わせて使用することができる。
第一の態様では、本発明は式A-Bの組成物が提供され、ここでAは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Srcキナーゼ、またはβ1インテグリンの阻害剤である。さらなる態様では、組成物は式A-B-Cからなるものであり、ここでCは組成物の細胞内移行を可能にする化合物である。
本発明者は、驚くべきことに、肥満は膵β細胞におけるアポCIIIの局所産生と関連することを発見している。本明細書に示す実施例は、インスリン耐性によってβ細胞中のインスリンシグナル化が低下しているob/obマウスから得る膵島で、アポCIIIが局所的に発現されて増加していることを実証する。これらの膵島はβ細胞を90%超含み、アポCIII発現のほとんどはインスリン分泌性β細胞から生じる。このため、本発明の組成物は、例えば、糖尿病を治療または発症を制限するために使用できる。
本明細書での使用において、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンの発現および/または活性の「阻害剤」は、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンDNAのRNAへの転写を低下する化合物、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンRNAのタンパク質への翻訳を低下する化合物、ならびにアポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンタンパク質の機能を低下する化合物を含む。これらの阻害は、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンの発現および/または活性を低下させて、細胞内カルシウム濃度の増加能を低下させるような完全な阻害または部分的な阻害であり得る。当該阻害剤はアポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンと結合する抗体、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリン活性を干渉できるアパタマー、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンタンパク質、DNA、またはmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、アポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンタンパク質、DNA、またはmRNAに対する小干渉RNA(siRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、または内部セグメント化小干渉RNA(sisiRNA)、ならびにアポCIII、PKA、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリン活性を干渉できる他の化学的または生物学的化合物からなる群から選択される。
種々の実施形態では、アポCIII阻害剤は抗アポCIII抗体、抗アポCIIIアプタマー、アポCIII小干渉RNA,アポCIII内部セグメント化小干渉RNA、アポCIII短ヘアピンRNA、アポCIIIマイクロRNA、およびアポCIIIアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
種々の実施形態では、PKAまたはSrcキナーゼ阻害剤は、PP1アナログ、PP2、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアート-R、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-7、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-8、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-9、およびアデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-89からなる群から選択される。
種々の実施形態では、β1インテグリン阻害剤は抗β1インテグリン抗体、抗β1インテグリンアプタマー、β1インテグリン小干渉RNA、β1インテグリン内部セグメント化小干渉RNA、β1インテグリン短ヘアピンRNA、β1インテグリンマイクロRNA、およびβ1インテグリンアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
本組成物の膵β細胞標的化部分は、この方法を必要とする対象者への投与によって本組成物を膵β細胞に標的化することができる。いくつかの実施形態では、膵β標的化部分は、膵β細胞と優先的および/または特異的に結合する抗体、受容体、受容体リガンド、および類似物質を含むことができる。1つ以上の標的化部分を阻害剤と結合させて、組成物を膵β細胞に標的化できる組成物を得ることができる。種々の実施形態では、標的化部分は、限定されないが、膵β細胞と優先的に結合するペプチド、膵β細胞と結合する抗体、および膵β細胞と結合する受容体リガンドを含む。
一つの実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分は膵β細胞と優先的に結合する1種類以上のペプチドまたは他の結合部分を含み、グルカゴン様ペプチド(GLP-1 SEQID NO: 73)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2 SEQ ID NO:74)、ペプチドYY(PYY SEQ ID NO:3)、ニューロペプチドY(NPY SEQ ID NO:4)、膵ペプチド(PPY SEQ ID NO:5)、エキセンジン-4(SEQ ID NO:6)、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される(配列を表1に示す)。
他の実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分は、ディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2 SEQ ID NO:7)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1 SEQ ID NO:8)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44 SEQ ID NO:9)、セルピンB10(PI-10 SEQ ID NO:10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2 SEQ ID NO:11)、テトラスパニン-7(TSPAN7 SEQ ID NO:12)、ギャップ結合タンパク質、デルタ2,36kDa(GJD2 SEQ ID NO:13)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン),メンバー2(SLC18A2 SEQ ID NO:14)、プロキネチシン受容体1(PROKR1 SEQ ID NO:15)、グルタミン酸受容体、代謝型5(GRM5 SEQ ID NO:16)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R SEQ ID NO:17)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R SEQ ID NO:18)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27 SEQ ID NO:19)からなる群から選択される膵β細胞タンパク質と選択的に結合する部分を含む。
Figure 0007111605000001
Figure 0007111605000002
Figure 0007111605000003
Figure 0007111605000004
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標的化部分が抗体を含むとき、当該抗体はポリクローナルまたはモノクローナルとすることができる。抗体は、抗体のヒト化、全長ヒト型、またはネズミ型とすることができる。当該抗体は、Harlow and Lane, Antibodies; A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988)に記載されたような、よく知られた方法によって作製できる。いくつかの実施形態では、付加アミノ酸残基を抗体または抗体フラグメントのN端またはC端に加えることができる。標的化部分がアプタマーを含む場合、当該アプタマーは特定の標的分子と結合するオリゴ核酸またはペプチド分子とすることができる。アプタマーの結合特性を構築および決定する方法は、従来技術でよく知られており、アプタマーはランダムライブラリーから分離できる、または既に特定されたペプチドとすることができる。
膵β細胞標的化部分と阻害剤の結合は、膵β細胞標的化部分および阻害剤がそれぞれの活性を維持さえすれば、2つの分子を結合するいかなる化学反応によって実施できる。一つの実施形態では、β細胞標的化部分および阻害剤はともにポリペプチドを含み、組成物は組換え融合タンパク質を含む。別の実施形態では、β細胞標的化部分および阻害剤はポリヌクレオチドを含み、組成物は組換え核酸を含む。他の実施形態では、膵β細胞標的化部分と阻害剤の間の結合は、例えば共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合、および錯体形成などの多くの化学的メカニズムを含むことができる。共有結合は、既存の側鎖の直接的な縮合、あるいは外部架橋分子の組込みによって達成できる。多くの二価または多価結合剤が、抗体などのタンパク質分子を他の分子と結合するのに便利である。例えば、結合剤の代表的な例として、限定されないが、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン、およびヘキサメチレンジアミンなどの有機化合物とすることができる。
別の実施形態では、組成物は一般式A-B-Cからなるものであり、ここでCは組成物の細胞内移行を可能にする化合物である。一つの実施形態では、組成物の細胞内移行を可能にする化合物は細胞透過性ペプチドを含むことができる。他の実施形態では、組成物の細胞内移行を可能にする化合物は、非ペプチド性細胞透過性化合物を含むことができる。細胞透過性ペプチドまたは非ペプチド性細胞透過性化合物は、組成物の標的化部分によって標的にされた膵β細胞への組成物の取り込みを促進する。細胞透過性化合物は、本明細書に記載されている各成分の活性を維持する適切な技術によって組成物の成分A-Bと結合できる。一つの実施形態では、A-B-Cのそれぞれはポリペプチドであり、組成物は融合タンパク質を含む。
細胞透過性ペプチドの例には、限定されないが、RRASAP(SEQ ID NO:20)、LRRASAP(SEQ ID NO:21)、WLRRASAP(SEQ ID NO:22)、RRATAP(SEQ ID NO:23)、LRRATAP(SEQ ID NO:24)、WLRRATAP(SEQ ID NO:25)、RRAYAP(SEQ ID NO:26)、LRRAYAP(SEQ ID NO:27)、WLRRAYAP(SEQ ID NO:28)、RRADAP(SEQ ID NO:29)、LRRADAP(SEQ ID NO:30)、WLRRADAP(SEQ ID NO:31)、RRAEAP(SEQ ID NO:32)、LRRAEAP(SEQ ID NO:33)、WLRRAEAP(SEQ ID NO:34)、RRASAPRRASAP(SEQ ID NO:35)、LRRASAPLRRASAP(SEQ ID NO:36)、WLRRASAPWLRRASAP(SEQ ID NO:37)、RRATAPRRATAP(SEQ ID NO:38)、LRRATAPLRRATAP(SEQ ID NO:39)、WLRRATAPWLRRATAP(SEQ ID NO:40)、RRAYAPRRAYAP(SEQ ID NO:41)、LRRAYAPLRRAYAP(SEQ ID NO 42)、WLRRAYAPWLRRAYAP(SEQ ID NO:43)、RRADAPRRADAP(SEQ ID NO:44)、LRRADAPLRRADAP(SEQ ID NO:45)、WLRRADAPWLRRADAP(SEQ ID NO:46)、RRAEAPRRAEAP(SEQ ID NO:47)、LRRAEAPLRRAEAP(SEQ ID NO:48)、WLRRAEAPWLRRAEAP(SEQ ID NO:49)、GRKKRRQRRRPPQ(SEQ ID NO:50)、AYARAAARQARA(SEQ ID NO:51)、DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE(SEQ ID NO:52)、GWTLNSAGYLLGLINLKALAALAKKIL(SEQ ID NO:53)、PLSSISRIGDP(SEQ ID NO:54)、AAVALLPAVLLALLAP(SEQ ID NO:55)、AAVLLPVLLAAP(SEQ ID NO:56)、VTVLALGALAGVGVG(SEQ ID NO:57)、GALFLGWLGAAGSTMGAWSQP(SEQ ID NO:58)、GWTLNSAGYLLGLINLKALAALAKKIL(SEQ ID NO:59)、KLALKLALKALKAALKLA(SEQ ID NO:60)、KETWWETWWTEWSQPKKKRKV(SEQ ID NO:61)、KAFAKLAARLYRKAGC(SEQ ID NO:62)、KAFAKLAARLYRAAGC(SEQ ID NO:63)、AAFAKLAARLYRKAGC(SEQ ID NO:64)、KAFAALAARLYRKAGC(SEQ ID NO:65)、KAFAKLAAQLYRKAGC(SEQ ID NO:66)、AGGGGYGRKKRRQRRR(SEQ ID NO:67)、YGRKKRRQRRR(SEQ ID NO:68)、およびYARAAARQARA(SEQ ID 69)が含まれる。
組成物の個別成分は当業者に知られている適切な方法によって調製できる。組成物を製剤化した時点で、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固形、あるいは脱水または凍結乾燥した粉末として無菌バイアルに保存できる。当該製剤は使用時の剤型、または投与前に再構成を必要とする剤型(例、凍結乾燥)のいずれかで保存できる。
第二の態様では、本発明はプロモーターと操作によって連結された、本発明のいずれかの実施形態または実施形態の組合せの融合タンパク質をコードする分離された核酸または組換え核酸を提供する。従って、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は本発明の組成物のペプチド成分A-B(および任意にC)のいずれかの実施形態または実施形態の組合せを含む。他の実施形態では、本発明の組成物の成分A-Bはそれぞれポリヌクレオチドであり、そのため分離された核酸は本発明の組換え核酸組成物をコードする。分離された核酸配列はコードされたタンパク質の発現および/または精製を促進するために使用する、限定されないが、ポリA配列、改変コザック配列、ならびにエピトープタグ、移行シグナル、分泌シグナル、核局在シグナル、および細胞膜局在シグナルをコードする配列を含む追加配列を含むことができる。用語「操作によって連結された」は、本明細書ではフランキング配列の配置を意味するために使用され、このように記載されたフランキング配列はその通常の機能を実施するように構成または組み立てられる。従って、コード配列に操作によって連結されたフランキング配列はコード配列の複製、転写、および/または翻訳に影響することができる。例えば、コード配列は、プロモーターがこのコード配列の転写を指示できるとき、プロモーターと操作によって連結される。フランキング配列は、それが正しく機能できる限り、コード配列と連続させる必要はない。従って、例えば、介在する翻訳されないが転写される配列がプロモーター配列とコード配列の間に存在することができ、それでもプロモーター配列はコード配列と「操作によって連結された」と考えられる。
第三の態様では、本発明は、本発明の分離された核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。用語「ベクター」は本明細書で使用されるとき、コード情報をホスト細胞に伝達するために使用される分子(例、核酸、プラスミド、またはウイルス)を意味するために使用される。用語「ベクター」には、連結された別の核酸を輸送できる核酸分子が含まれる。ベクターの一つのタイプは「プラスミド」であり、追加DNAセグメントが挿入される環状二本鎖DNA分子をいう。ベクターの別のタイプはウイルスベクターであり、追加DNAセグメントがウイルスゲノムに挿入される。ある種のベクターは、導入されたホスト細胞で自己複製できる(例、複製の細菌起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例、非エピソーム哺乳動物ベクター)はホスト細胞への導入の際にホスト細胞のゲノムに統合され、これによってホストゲノムとともに複製される。さらにある種のベクターは操作によって連結された遺伝子の発現を指示できる。このようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または簡単に「発現ベクター」)として言及される。全般的に、組換えDNA技術で利用される発現ベクターはしばしばプラスミド型である。用語「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用されるベクター型であるため、本明細書では区別されずに使用されることがある。しかし本発明は、同等な機能をはたす、ウイルスベクター(例、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)などの他の型の発現ベクターを含むことが意図されている。
第四の態様では、本発明は、本発明のいずれかの実施形態または実施形態の組合せの発現ベクターを含む組換えホスト細胞を提供する。用語「組換えホスト細胞」(または「ホスト細胞」)は本明細書で使用されるとき、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。組換えホスト細胞またはホスト細胞は、特定の対象細胞だけではなく、このような細胞の子孫も意味することが意図されている。ある種の改変は変異または環境影響によって続く世代に生じる可能性があるため、このような子孫は実際には親細胞と同一でない可能性があるが、このような細胞はそれでも本明細書で使用される用語「ホスト細胞」の範囲に含まれる。広範な様々なホスト細胞発現系が本発明の抗体様結合タンパク質を発現するために使用でき、細菌、酵母、バキュロウイルス、および哺乳動物発現系(ならびにファージ提示発現系)が含まれる。適切な細菌発現系の例はpUC19である。抗体様結合タンパク質を組換えによって発現するため、抗体様結合タンパク質のポリペプチド鎖をコードするDNAフラグメントを有する1つ以上の組換え発現ベクターでホスト細胞を形質転換またはトランスフェクションして、ポリペプチド鎖をホスト細胞で発現させ、好ましくはホスト細胞が培養される培地中に分泌させ、この培地から抗体様結合タンパク質を回収することができる。
用語「形質転換」は本明細書で使用されるとき、細胞の遺伝子特性における変化を意味し、細胞が新規DNAを含むように改変されているときに細胞は形質転換されている。例えば、細胞はその本来の状態から遺伝的に改変されるときに細胞は形質転換される。形質転換後、形質転換DNAは細胞の染色体への物理的な統合によって細胞のDNAと再結合できる、または複製されずにエピソームエレメントとして一時的に維持される、またはプラスミドとして独立して複製できる。DNAが細胞***によって複製される場合、細胞は安定的に形質転換されていると考えられる。用語「トランスフェクション」は本明細書で使用されるとき、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを意味し、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されている場合に細胞は「トランスフェクション」されている。多くのトランスフェクション技術が従来技術としてよく知られている。これらの技術は1種類以上の外因性DNA分子を適切なホスト細胞に導入するために使用できる。
第五の態様では、本発明は糖尿病を治療または発症を制限する方法を提供し、式A-Bの化合物を含む組成物を効果的な量でこの方法を必要する対象者に投与することが含まれ、ここでAは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Scrキナーゼ、および/またβ1インテグリンの発現および/または活性の阻害剤である。従って、本明細書に開示される組成物のいずれかの実施形態または実施形態の組合せを本発明で使用できる。
種々の実施形態では、アポCIII阻害剤は抗アポCIII抗体、抗アポCIIIアプタマー、アポCIII小干渉RNA,アポCIII内部セグメント化小干渉RNA、アポCIII短ヘアピンRNA、アポCIIIマイクロRNA、およびアポCIIIアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
種々の実施形態では、PKAまたはSrcキナーゼ阻害剤は、PP1アナログ、PP2、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアート-R、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-7、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-8、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-9、およびアデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-89からなる群から選択される。
種々の実施形態では、β1インテグリン阻害剤は抗β1インテグリン抗体、抗β1インテグリンアプタマー、β1インテグリン小干渉RNA、β1インテグリン内部セグメント化小干渉RNA、β1インテグリン短ヘアピンRNA、β1インテグリンマイクロRNA、およびβインテグリンアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
種々の実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分には、ディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニジンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質,デルタ2,36kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン)、メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分が含まれる。さらなる実施形態では、膵β細胞特異的標的化部分には、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分が含まれる。
本明細書で使用されるとき、「膵β細胞」は膵β膵島細胞を含むいずれかの細胞ポピュレーションである。当該膵β膵島細胞ポピュレーションは、膵臓、分離されたランゲルハンス膵島(「膵島」)、および分離された膵β膵島細胞を含む。
一つの実施形態では、本方法は糖尿病を治療するためのものである。この実施形態では、対象者は1型または2型糖尿病と診断されている。本明細書で使用されるとき、「糖尿病」は膵臓によるインスリンの産生が不十分または産生がなく、高血糖量になることによって特徴付けられる。
本明細書で使用されるとき、「糖尿病を治療する」は、(a)糖尿病または糖尿病合併症の重篤度を低下する、(b)糖尿病合併症の発症を制限または防止する、(c)糖尿病合併症または糖尿病の特徴的な症状の悪化を阻害する、(d)再発糖尿病合併症または糖尿病の特徴的な症状を制限または防止する、(e)過去に症状を示した患者における糖尿病合併症または糖尿病の特徴的な症状の再発を制限または防止する、のうちの1つ以上を達成することを意味する。
本発明の方法によって治療できる糖尿病の特徴的な症状には、限定されないが、高血糖量、インスリン産生低下、インスリン耐性、タンパク尿、および糸球体クリアランス低下が含まれる。本発明の方法によって治療できる糖尿病合併症には、限定されないが、神経における合併症(糖尿病性神経障害)および平滑筋細胞異常調節と関連した合併症(限定されないが、***不全、膀胱機能不全、ならびに限定されないが、アテローム性硬化症、脳卒中、および末梢血管疾患を含む血管合併症を含む)が含まれる。
別の実施形態では、本方法は糖尿病の発症を制限するためのものである。この態様では、対象者は1型または2型糖尿病のリスクがあり、有益性は糖尿病および/または糖尿病合併症の発症を制限することである。糖尿病を発症するリスクのある対象者を治療でき、限定されないが、代謝症候群、糖尿病の既知の遺伝子リスク因子、糖尿病の家族歴、および肥満の1つ以上を有する対象者が含まれる。
さらなる実施形態では、糖尿病および/または糖尿病合併症を治療または発症を制限するための方法は、さらにアポCIIIをコントロールと比べて過剰発現することが特定されているこれらの個人を治療することを含む。アポCIII発現の増加は糖尿病合併症の発症に先行し、従ってこの実施形態では本発明の方法を用いた治療に適した患者を早期に検出できる。
本明細書で使用されるとき、「過剰発現」はアポCIII発現がコントロールを超える量である。適切なコントロールを使用でき、糖尿病を有さないことが分かっている対象者から得るアポCIII発現量、または同様な患者サンプルのポピュレーションから得るアポCIIIの過去に測定されて基準化された発現量が含まれる。コントロールと比較して増加したアポCIIIの量は「過剰発現」と考えられ、種々の実施形態では、過剰発現はコントロールと比べて少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、またはこれ以上増加したアポCIII発現を含む。好ましい実施形態では、アポCIII発現は血液または血清サンプル中で検出される。一つの実施形態では、血清中のアポCIIIの量を評価するため、Montage Albumin Deplete Kit(Millipore)またはAlbuSorb(商標)(Biotech Support Group)の使用によるなど、標準的な技術を用いて血清サンプルからアルブミンを取り除く。ついで収集した血清サンプルを一昼夜凍結乾燥させてsep-Pak C18で処理することができる。溶出したタンパク質を凍結乾燥させてから100μLの0.1%TFAに溶解し、ACE C18 10×0.21cmカラム20~60%にかけ、アポCIIIが溶出する曲線下面積を求めることができる。アポCIIIは、限定されないが、MALDI質量分析を含む適切な技術を用いて特定できる。
本明細書で使用されるとき、用語「対象者」または「患者」は治療が望まれる対象を意味し、ヒト、畜牛、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、昆虫、ウマ、ニワトリなどが含まれる。最も好ましくは、対象者はヒトである。
治療剤は、従来の非毒性の医薬品として許容可能な基剤、補助剤、および賦形剤を含む投与単位剤型で、限定されないが、経口、局所、非経口、鼻腔内、肺、または結腸を含む適切な経路によって投与できる。非経口という用語は、本明細書で使用されるとき、経皮、皮下、血管内(例、静脈内)、筋肉内、または髄腔内の注射または点滴技術、および類似法を含む。さらに本発明の化合物および医薬品として許容可能な基剤を含む医薬組成物が提供される。治療剤は、1種類以上の非毒性の医薬品として許容可能な基剤および/または希釈剤および/または補助剤、ならびに必要に応じて他の活性成分とともに存在することができる。治療剤は例えば錠剤、トローチ、ドロップ、水性または油性懸濁液、分散可能な粉末または顆粒、エマルション、硬質または軟質カプセル、あるいはシロップまたはエリキシルなどの経口使用に適した剤型にすることができる。
別の実施形態では、組成物はまた、膜、スポンジ、または本発明の組成物が吸収またはカプセル化される他の適切な材料の埋め込みを介して局所投与することができる。埋め込みデバイスを使用する場合、デバイスは膵臓の中、または膵臓の隣に埋め込むことができ、目的の分子は拡散、持続放出ボーラス、ナノ-コンテナ、または継続投与によって送達できる。
投与量の範囲は、化合物の選択、投与経路、剤型の性質、対象者の状態の性質、および担当医師の判断に依存する。例えば、経口投与は静脈内注射による投与よりも高い投与量を必要とすることが予測される。これらの投与量の変化は、従来技術で十分理解されている最適化のための標準的な経験的方法を用いて調整できる。
許容可能な組成材料は、好ましくは適用される投与量および濃度で受容者に非毒性である。治療用組成物は、組成物の例えばpH、浸透圧、粘性、透明度、色調、等張性、香気、無菌性、安定性、溶解速度、放出速度、吸着、または浸透を変更、維持、または持続するための製剤材料を含むことができる。適切な製剤材料には、限定されないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジンなど)、抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウムなど)、緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸など)、増量剤(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(ETDA)など)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなど)、充填剤、モノサッカライド、ジサッカライド、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど)、着色剤、香料と希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素など)、溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど)、懸濁化剤、界面活性剤または保湿剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20やポリソルベート80などのポリソルベート、トライトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、またはチロキサポールなど)、安定性増強剤(スクロースまたはソルビトールなど)、張度増強剤(ハロゲン化アルカリ金属-好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム-またはマンニトールソルビトールなど)、送達賦形剤、希釈剤、添加剤、および/または医薬補助剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(18th Ed., A.R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company 1990)、および同書の後続版を参照、目的に応じて参考文献によって本明細書に組み込まれている)が含まれる。
本治療組成物は、例えば意図した投与経路、送達方式、および所望の投与量に依存して、当業者によって判断される。当該組成物は、抗体様結合タンパク質の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボ消失速度に影響する可能性がある。
実施例
材料および方法
動物。C57BL/6Jバックグランドである同等齢のob/ob(Lepob/Lepob)およびob/lean(Lepob/Lep)をKarolinska Institutet, Stockholm, Swedenの繁殖コロニーから得た。実験で使用するマウスをジェノタイピングした。すべての実験を4~12週齢のマウスで実施した。マウスは温度および湿度管理された部屋で、12時間の明暗サイクル、定期的な食餌、および不断給水によって飼育した。動物の管理および実験はKarolinska Institutetの動物実験倫理委員会に従って実施した。
細胞培養。35~42継代のMIN6-m9細胞を、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、2mMグルタミン、10%FCS、および75μMβ-メルカプトエタノールを添加した11.1mMグルコース含有DMEMによって、5%COおよび37℃で培養した。MIN6細胞を、tdTomatoを含むコントロール発現構築体またはc-Mycタグ化マウスアポCIII構築体でLipofectamine(Invitrogen,USA)を用いて24時間トランスフェクションした。すべての実験はトランスフェクションした48時間後に実施した。
代謝試験。非空腹時グルコースをグルコースメーター(Accu-Chek(商標) Advantage,Roche Diagnostics,USA)で測定し、血清インスリンをインスリン用ArcDia(商標)2光子蛍光励起マイクロ粒子蛍光分析(TPX)アッセイ(ArcDia Group,Finland)で測定した。
膵島分離。動物を頸椎脱臼によって安楽死させ、膵臓を0.2%BSAおよび25mM HEPES緩衝液を添加したハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(Sigma,Sweden)緩衝液に1mg/mLコラゲナーゼを含有する3mLでかん流した。その後、膵臓を摘出して37℃で20分間消化した。膵島を採取して、直ちにmRNA/タンパク質分析に使用するか、または10%FCS、2mMグルタミン、ならびに100U/mLおよび100μg/mLのそれぞれペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したRPMI1640培地で一昼夜培養した。
膵島の単一細胞への分散。分離した膵島をCa2+およびMg2+無添加のHBSSで洗浄し、0.5mM EDTA含有PBS中のAccutase(Innovative Cell Technologies,Cytotech,Denmark)とともにインキュベーションして単一細胞に分散させた。細胞はペトリ皿で膵島用として同一培地中で浮遊状態にした。
RNA分離および定量的RT-PCR分析。全RNAを分類した細胞または分離した膵島からRNAeasy(商標) Micro Kit(Qiagen,Germany)を用いて分離した。つまり、細胞を最初にRLT溶解緩衝液を用いて、ついでスピンQiashredder(商標)溶解によって溶解した。肝臓および腸のRNA分離では、組織/細胞破壊をハンドヘルドのローター-ステーター式ホモジナイザーによってRLT溶解緩衝液中で最初に実施し、ついで1000×gで遠心分離を5分間実施した。続いて上清をQiashredder(商標)カラムに移して完全に溶解させてから、RNAeasy(商標) Mini Kit(Qiagen, Germany)を適用した。溶解物はすべてRNAeasy(商標)スピンカラムに加え、その後のRNA分離およびカラム上のDNアーゼ処理を製造業者の推奨に従って実施した。全RNAはMultiscribe(商標)(Applied Biosystems,USA)によって37℃で逆転写した。すべての遺伝子の発現は、ABI7900HT装置上でROX(Invitrogen, USA)を加えたTaq(商標) SYBR Supermixを用いたリアルタイム定量的PCR(qPCR)によって測定した。β-アクチンを内因性コントロールとして、95℃、10分間の1サイクル、ついで95℃、30秒間および60℃、1分間の二段階の40サイクルで使用した。すべての場合において、特に記載がない限り、遺伝子特異的イントロンスパニングプライマーを使用し、PCR融解曲線は特異的単一増幅産物に相当する単一ピークを生じた。
ウェスタンブロッティング。膵島および細胞はPBSで洗浄してRIPA緩衝液(50mMトリス,pH7.5、150mM NaCl、1%NP-40、0.5%デオキシコール酸Na、0.1%SDS、EDTA-フリープロテアーゼ阻害剤カクテル,1μg/mLペプスタインおよびロイペプチン)で溶解した。溶解物を注射針(0.33x13mm/29Gx1/2)に5回通した後、4℃でローテーターによって30分間インキュベーションした。ホモジネートを10,000×gで10分間スパニングして上清中のタンパク質の量をBCA法(Pierce)によって測定した。等量のタンパク質(25~50μg)を、MES緩衝系(Invitrogen, USA)を用いた4~12%Bis-Trisゲルで分離した。続いてタンパク質をPVDFメンブレンに電子移動させた。リン酸化特異的抗体の場合、メンブレンは各抗体で検出し、ついで剥がして各全タンパク質量を認識する抗体で再検出した。ウサギ抗FoxO1、ウサギ抗ホスホ-FoxO1、ウサギ抗Akt、およびウサギ抗ホスホ-Akt抗体はCell Signaling Technology(Danvers,USA)から購入した。さらに使用した抗体はウサギ抗アポCIII抗体(Santa-Cruz,USA)、モルモットc-ペプチド(Abcam,UK)、マウス抗cMyc(Santa Cruz,USA)、およびマウス抗チューブリン(Abcam,UK)だった。免疫反応性はECLシステム(Amersham,USA)を用いたホースラディッシュペルオキダーゼ共役体化第二抗体によって検出した。
免疫細胞化学。MIN6細胞におけるMyc-タグ化アポCIIIを可視化するため、トランスフェクション後の細胞をガラスカバースリップ上で培養後、30分間3%PFA固定した。引き続き細胞を10%ヤギ血清ブロッキング緩衝液中で、c-Myc(マウスモノクローナル,Santa-Cruz,USA)およびC-ペプチド(ウサギポリクローナル,Cell Signaling,USA)に特異的な抗体と静かに振とうしながら4℃で一昼夜インキュベーションした。細胞をブロッキング緩衝液中でAlexa488抗マウス(Santa-Cruz,USA)およびAlexa546抗ウサギ(Cell Signaling,USA)と1時間インキュベーションした後、洗浄し、DAPIを加えたVectaShield(商標)封入剤(Vector Labs,USA)を用いて固定化した。ヒト膵島は4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで洗浄して20%スクロース/PBSで4℃、一昼夜インキュベーションした。その後これらをTissue-Tek(登録商標) OCT(商標)(Sakura,The Netherlands)で包理して低温切片化(10μm)した。切片を0.3%Triton-X/PBSで15分間透過処理し、3%Hブロックで10分間処理してPBSで洗浄し、続いて10%ヤギ血清でブロッキングした。免疫組織化学染色をヤギ抗ヒトアポCIII(1:100,Academy Biomedical,USA)を用いて4℃で一昼夜インキュベーションして実施し、ついでAlexa(商標) Flour488-標識ウサギ抗ヤギ(1:1000,Invitrogen)と室温で30分間インキュベーションした。対比染色をDAPI(1:1000;Sigma-Aldrich)で実施した。前述の方法に従い、ヤギ抗ヒトアポCIIIのブロッキングも、アポCIIIタンパク質(免疫用ペプチド)で4℃一昼夜前処理したヤギ抗ヒトアポCIIIを用いて、コントロールとして実施した。
[Ca2+の測定。[Ca2+の変化をRPMI1640培地中で0.07mg/mLアポCIIIアンチセンスまたは不活性コントロール(Isis Pharmaceuticals,USA)と16時間のインキュベーションした後の膵島について記録した。膵島かん流実験に使用した基礎培地は、125mM NaCl、5.9mM KCl、2.6mM CaCl、1.2mM MgCl、および25mM HEPESを含み、3mMグルコース、11mMグルコース、または25mM KClが添加された0.1%BSAを含むHEPES緩衝液(pH7.4)だった。膵島は2μMフラ-2アセトキシメチルエステル(Molecular Probes,USA)を加えたPuramatrix(商標) Hydrogel(BD Biosystem,USA)を用いてカバースリップに結合させ、2波長励起蛍光法用のSpex Industries Fluorolog systemに連結された倒立落射蛍光顕微鏡(Zeiss, Axiovert(商標) 135)に装着した。340nmおよび380nmの2励起波長による発光を使用して蛍光比340/380を計算し、[Ca2+における変化を反映させた。2つのモノクロメータの光強度の出力における変動の可能性を補正するため、各実験には360/360比の測定も含めた。すべての実験は相当する360/360比によってすべての蛍光比を割って基準化した。
カスパーゼ測定。カスパーゼ3/7の活性は、SensoLyte(商標) Homogeneous Rh110 Caspase 3/7 assay kit(AnaChem,USA)に変更を加えて使用して、製造業者の取扱説明書に従って測定した。つまり、膵島または細胞を収集し、溶解緩衝液(AnaChem,USA)を用いて溶解し、タンパク質をBCA法によって定量した。10μgのタンパク質をブラック384ウェルプレートに加え、Rh110カスパーゼ3/7基質を含むアッセイ緩衝液(AnaChem,USA)を適切な量加え、満たした。プレートを暗所で24℃、1時間インキュベーションした。Ex/Em=490/520nmでの蛍光強度を計測して相対的なカスパーゼ活性を測定した。
RNA分析。5’-RACEをob/ob膵島(1.5μgRNA)を用いて、Ambion FirstChoice(商標) RACE-ready cDNA kit (Invitrogen,USA)によって実施した。PCRは製造業者の取扱説明書に従って実施した。プラチナTaqポリメラーゼ(Invitrogen,USA)をRACE-PCRに使用した。アポCIII-アウター用のプライマー配列(第一増幅):5’GGAGGGGTGAAGACATGAGA-3’(SEQ ID NO:70);アポCIII-インナー(ネスティド増幅):5’TCTGAAGTGATTGTCCATCCAG-3’(SEQ ID NO:71)。第一PCR(アウターPCR)のアリコートをその後のネスティドPCR(インナーPCR)に使用した。増幅したcDNAをゲル精製し、pCRII-TOPOベクター(Invitrogen,USA)にサブクローニングし、M13リバースおよびM13フォワードプライマーでシークエンシングした。
統計的分析。試験は少なくとも3回繰り返した。個別実験では、使用した動物数(n)は各図に括弧で含めた。結果はすべて平均±SEM(エラーバーで表示)として表示される。統計的分析は、GraphPad(商標) Prism 5またはMicrosoft Excel 2007のいずれかで実施した。スチューデントのt検定または一元配置ANOVA(ターキーの事後分析)を必要に応じて使用した。P値<0.05は統計的に有意であると考えられた。
実施例1。ob/ob膵島におけるインスリンシグナル化。
90%を超えるβ細胞からなるob/obマウス膵島におけるインスリンシグナル化の変化を測定するため、4、8、および12週齢のこれらのマウスにおける体重、非空腹時血糖、およびインスリン濃度などのパラメーターを測定して表現型の変化を追跡した。4週齢以降から定期的にジェノタイピングした同等齢のob/leanマウスをコントロールとして使用した。ob/obマウスは14週齢まで高血糖が増加する既知の一過性高血糖モデルであるため、試験は最初の12週齢までに限定し、体重および非空腹時血糖量の両方が4~12週齢まで漸進的に増加することが認められた(図1aおよび図1b)。しかしob/obマウスの非空腹時インスリン量はコントロールマウスよりも高いまま維持された(図1c)。
長期の高インスリン血症では、β細胞特異的インスリン受容体ノックアウトマウス(βIRKO)およびβ細胞特異的PI3Kサブユニットp85ノックアウトマウス(βPik3r1)で認められるのと同様に、膵島でのインスリンシグナル化の量に支障が来されている可能性がある。膵島インスリンシグナル化の下流に含まれることが知られているいくつかの遺伝子のmRNA発現量を測定した。gck、irs1、irs2、vamp2、snap25、およびrab27aの発現はインスリン受容体(IR)活性化ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3K)活性によって制御されることが示された。すべての遺伝子は12週齢ob/ob膵島で下方調節された(図1d)。このことは、12週齢ob/ob膵島において同等齢のob/lean同腹子と比べてPI3K活性の有意な低下が認められた以前の発見と一致する。
実施例2。ob/ob膵島におけるFoxO1-調節された遺伝子発現の時間に伴う漸進的変化。
インスリンが遺伝子発現における変化を誘発する方法の1つは、Aktのリン酸化カスケードおよびその下流の標的フォークヘッド転写因子FoxO1によってである。Aktのインスリン仲介された活性化は、その核除外および転写活性の欠如によってFoxO1のリン酸化を引き起こす。このシグナル化カスケードはインスリン耐性または損傷/傷害のいずれかの際にβ細胞機能および増殖を維持する上で極めて重要であることが認められている。ob/ob膵島におけるホスホ-Aktおよびホスホ-FoxO1の量を4、8、および12週齢で測定した。12週齢のob/ob膵島では、4週齢の膵島と比べてホスホ-Akt(Ser473)およびホスホ-FoxO1(Ser256)に有意な低下があった(図2a)。これらの膵島中の全Aktタンパク質の量は時間にともなう有意差がなかった。FoxO1のメッセンジャーRNA量を測定し、試験したすべての週齢群に有意差が認められなかった。さらにirs1、irs2、vamp2、およびrab27aはFoxO1によって抑制されることが示唆されており、ホスホ-FoxO1の低下はob/ob膵島遺伝子発現における変化を裏付ける。
FoxO1のインスリン受容体仲介抑制は、肝細胞における炭水化物と脂肪代謝の間のバランスの維持に極めて重要である。インスリン耐性肝細胞におけるFoxO1リン酸化の低下、およびそれに続く活性化は、アポCIII、循環トリグリセリドのモジュレーター、主要な糖新生酵素であるグルコース-6-ホスファターゼ、およびリポタンパク質組立てに含まれるミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質であるmttp1の発現を促進する。同様なメカニズムがホスホ-FoxO1の量の低下を有するob/ob膵島で生じるかどうか調査するため、FoxO1標的遺伝子であるアポCIII、g6pc2(膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ)およびmttp1のmRNA発現量を測定した。ob/ob膵島において3種の遺伝子すべてで時間にともなうmRNA発現の有意な増加があった(図2b)。それとともに、これらのデータは膵島レベルでのインスリン耐性がFoxO1によって正または負に調節される遺伝子発現における変化を引き起こすことを示唆する。これらの中で、アポCIII発現はβ細胞機能を妨害することが認められている新規膵島因子として突出している。g6pc2はT2DMゲノムワイド関連(GWA)解析で変異体として当初は特定されたが、その機能はT2DMのリスク増加に翻訳されるとは思われなかった。
ob/obマウスでは試験した週齢群で肝臓および腸アポCIII発現に有意差はなかった(図3)。ob/obマウスにおけるアポCIIIの全身量も試験し、驚くべきことに、アポCIIIイムノブロットがob/obマウスの血清アポCIII量の4週齢から12週齢での増加を示したということが発見された(図1c)。肝アポCIIIは循環アポCIIIの大部分を占めており、循環アポCIIIの高量は、VLDL粒子の産生増加よりもむしろトリグリセリド-リッチ(VLDL)残余の細胞取り込み低下の結果である可能性があった。
実施例3.アポCIIIはob/obマウスおよびヒト膵島の両方で検出される。
膵島におけるアポCIIIの存在は、以前は観察されていないが、このリポタンパク質がβ細胞機能不全およびT1DMの両方に含まれることが分かったため興味深い。膵島のみのプロテオーム特性がアポCIIIの存在を示した。しかしこれは膵島の微小血管に存在する全身循環アポCIII、またはここに示すように、膵島自体でのアポCIIIの局所産生によるいずれかの結果であり得る。比較すると、ob/lean膵島におけるアポCIIIの発現は肝臓と比べて約3000倍低い(図4a)。アポCIIIを発現する他の既知器官である小腸は肝臓と比べて10倍低いが、膵島アポCIII発現と比べて300倍高い発現を有する。それにもかかわらず、12週齢ob/ob膵島に認められるアポCIII mRNAの3倍の増加は、膵島内に強いオートクリン/パラクリン効果を与えている可能性がある(図2b)。12週齢ob/obマウスの膵島におけるアポCIII転写物の5’RACEは、異なる5’-非翻訳領域および100%同一なコード領域を有する2つの転写物の存在を裏付けた(図5)。主な膵島アポCIII転写物は肝臓で発現される転写物と同一であり、同じプロモーターが肝臓および膵島細胞におけるアポCIII転写を調節していることを示唆する。
膵島内のアポCIIIの起源を測定した。ob/ob膵島の内分泌部分は約90%がβ細胞からなり、この細胞型がアポCIII発現のための主要な候補となる。このことを試験するため、ラットβ細胞を全膵島細胞環境から分類するのに本来は最適化されたフローサイトメトリープロトコールを使用した。分類したβ細胞のその後の特徴評価によって、インスリンの高発現、ソマトスタチンの低発現、およびグルカゴンと膵ポリペプチドが検出されないことが示された(図4b)。アポCIIIの発現はβ細胞が豊富なポピュレーションで、インスリンよりは低いものの同様に高く、アポCIIIが膵β細胞で発現されることが示唆された(図4b)。ヒトアポCIII抗体を用いた免疫蛍光染色によって、糖尿病歴のない男性3名および女性2名のドナー5名から得たヒト膵島調製物におけるアポCIIIの存在が示された(図4c)。従ってこれらのデータは、膵島におけるアポCIIIの局所産生がげっ歯類からヒトに保存されていることを実証する。
実施例4。アポCIII過剰発現がMIN6細胞における[Ca2+を増加する。
外因的に加えたヒトアポCIIIは、ラットインスリン分泌性細胞ラインRINm5FおよびINS-1E、ならびに初代マウスβ細胞におけるアポトーシスを誘発する。従って、アポCIIIの局所産生が同様にマウスβ細胞機能およびアポトーシスに影響したかどうかを測定することが重要だった。マウス肝切片および溶解物におけるアポCIIIを認識する抗体の能力によって妨害されるため、c-Mycタグ化マウスアポCIII構築体をβ細胞内のMyc-アポCIIIの局在を測定するために使用した。Myc-アポCIIIはMyc-アポCIIIトランスフェクション細胞の培地に24時間培養後に検出でき、合成されたアポCIIIが細胞外培地に放出されることが示された(図6a)。Myc-アポCIIIとインスリンC-ペプチドの間の共局在はトランスフェクション細胞に検出できず、(図6b)、アポCIIIはβ細胞から連続して放出されるが、インスリンとは共放出されないことが示唆された。Myc-アポCIIIまたはtdTomato(コントロールベクター)のいずれかでトランスフェクションされたMIN6細胞にフラ-2AMを加えて48時間後にKCl刺激での[Ca2+に対するマウスアポCIIIの効果を測定した。KCl暴露後の[Ca2+の増加がコントロールトランスフェクション細胞に比べてMyc-アポCIIIを発現するMIN6細胞で観察された(図6c)。これは外因的に加えたヒトアポCIIIのラットインスリノーマ細胞および初代β細胞に対する以前の効果と一致しており、ヒトアポCIIIとマウスアポCIIIが60%のアミノ酸同一性しか有していないにも関わらず、機能が保存されていることを示した。トランスフェクション効率は約50%だったが、脱分極で[Ca2+の高い増加が同一培養皿における非トランスフェクション細胞で認められ、その量はコントロールトランスフェクション細胞からの量を超えた。このことは、非トランスフェクション細胞が近傍のMyc-アポCIII発現細胞から培地に放出されるアポCIIIによって影響されたことを示唆する。
実施例5。内因性膵島アポCIIIの低下は改善された[Ca2+ハンドリングおよびアポトーシス低下を生じる。
12週齢ob/obマウスから得る膵島内の内因性アポCIII発現の増加の効果を調査するため、アポCIIIに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび不活性コントロールを用いたノックダウン実験を実施した。アンチセンスヌクレオチドに18時間暴露された膵島におけるアポCIIIの発現は、コントロール膵島と比べて20%だった(図7a)。膵島におけるアポCIIIの全体的な発現は、新たに分離された膵島におけるアポCIIIのmRNA量と比べて、培養後18時間だけで約50%に低下し、人工的な環境が膵島培養と関連したことが示唆された。ついで膵島にフラ-2AMを加えて、高グルコースおよびKClの両暴露後の[Ca2+に対するアポCIIIの効果を測定した。ob/ob膵島は[Ca2+のピーク値が有意に高く、ob/lean膵島と比べて高グルコース濃度に対して反応性が強かった(図7b)。12週齢ob/ob膵島におけるアポCIIIのノックダウンでは、高グルコースおよびKClの両方の刺激で[Ca2+のピーク値が低下した(図7b、7c)。
内因性アポCIIIの低下がob/ob膵島におけるアポトーシスに影響するかどうか測定した。ob/ob膵島は大規模なβ細胞増殖を有する過形成であるが、これらの膵島におけるアポトーシスの存在は排除しない。従ってアポトーシスのレベルは4、8、および12週齢(ホスホ-FoxO1低下)のob/obマウスの新たに分離した膵島でカスパーゼ3/7の活性を計測して測定した。ob/ob膵島におけるアポトーシスは、4週齢の膵島と比べて12週齢のob/ob膵島で有意に高かった(図7d)。アポCIII量が最も高い12週齢ob/ob膵島における内因性アポCIIIの低下は、スクランブルアンチセンスで処理した膵島と比べて、アポトーシスの測定としてのカスパーゼ3/7活性を31%まで低下させた(図7e)。過去の結果は、アポCIIIが電位依存性Ca2+チャンネルの活性を増加することを示している。β細胞をCa2+チャンネルブロッカーであるベラパミルに暴露するとカスパーゼ活性が15%低下し(図7e)、ob/ob膵島内のアポCIIIのFoxO1誘発発現の増加が非平衡化[Ca2+およびβ細胞アポトーシスの増加を引き起こすことが示唆される。
これらの結果は、肥満が膵β細胞中のアポCIIIの局所産生と関連しており、アポCIII量の増加がインスリン耐性、[Ca2+の増加、およびβ細胞アポトーシスを引き起こすことを示し、従ってアポCIIIの局所的な膵島産生がT2DMのインスリン耐性状態におけるβ細胞アポトーシスを仲介する新規因子として特定される。効果は可逆的であり、内因性β細胞アポCIIIの低下が[Ca2+を正常化してβ細胞生存を改善する。従って局所的に増加したアポCIIIはβ細胞の機能および生存を妨害でき、T2DM表現型の発症に影響を有する。結果は、インスリンシグナル化の低下を有するob/obマウスから得る膵島でアポCIIIが局所的に発現されて増加することを実証する。これらの膵島はβ細胞を90%超含み、アポCIII発現のほとんどはインスリン分泌性β細胞由来である。アポCIIIは細胞質遊離Ca2+濃度、およびアポCIIIを低下または電位依存性Ca2+チャンネルをブロッキングすることによって無効にすることができたβ細胞アポトーシスを誘発した。このことがアポCIIIを、T2DMにおいてβ細胞インスリン耐性をβ細胞量の低下と関連づける主要な対象にさせる。その結果として、β細胞アポCIII発現の阻害はβ細胞の機能および生存を維持する新しいメカニズムを構成する。
要約すると、β細胞におけるインスリンシグナル化はアポCIII発現を低く維持するために不可欠である。インスリンシグナル化が膵島レベルで損なわれた場合、FoxO1の核への移動が遺伝子発現における変化を誘発し、アポCIII転写の促進が他の変化とともに含まれる。アポCIIIの局所産生における増加が続いて[Ca2+の増加を引き起こし、今度はβ細胞アポトーシスの増加を生じる。従って、膵島レベルでインスリン耐性を防止することはβ細胞の量を維持するために、特にβ細胞が漸進的に失われるT2DMの後期において、極めて重要である。膵島アポCIIIはβ細胞アポトーシスの促進において中心的存在であり、アポCIIIの局所的β細胞産生の低下はT2DMにおける新規の治療剤を提供できる。
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本願は以下の発明をも包含する。
[1]
糖尿病を治療または発症を制限するための方法であって、式A-Bの化合物を含む組成物を効果的な量でこの方法を必要とする対象者に投与することを含み、Aは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Srcキナーゼ、および/またはβ1インテグリンの阻害剤である、方法。
[2]
膵β細胞特異的標的化部分がディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質,デルタ2,36kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン),メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分を含む、[1]に記載の方法。
[3]
膵β細胞特異的標的化部分が抗体またはアプタマーを含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
膵β細胞特異的標的化部分がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分を含む、[1]に記載の方法。
[5]
阻害剤がアポCIII阻害剤を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
アポCIII阻害剤が抗アポCIII抗体、抗アポCIIIアプタマー、アポCIII小干渉RNA,アポCIII内部セグメント化小干渉RNA、アポCIII短ヘアピンRNA、アポCIIIマイクロRNA、およびアポCIIIアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、[5]に記載の方法。
[7]
阻害剤がPKAまたはSrcキナーゼ阻害剤を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
PKAまたはSrcキナーゼ阻害剤がPP1アナログ、PP2、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアート-R、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-7、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-8、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-9、およびアデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-89からなる群から選択される、[7]に記載の方法。
[9]
阻害剤がβ1インテグリン阻害剤を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
β1インテグリン阻害剤が抗β1インテグリン抗体、抗β1インテグリンアプタマー、β1インテグリン小干渉RNA、β1インテグリン内部セグメント化小干渉RNA、β1インテグリン短ヘアピンRNA、β1インテグリンマイクロRNA、およびβインテグリンアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、[8]に記載の方法。
[11]
方法がコントロールと比べてアポCIIIを過剰発現する対象者に組成物を投与することを含む、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
方法が糖尿病を治療するためのものである、[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
方法が糖尿病の発症を制限するためのものである、[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
対象者が1型糖尿病を有するまたは発症するリスクがある、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
対象者が2型糖尿病を有するまたは発症するリスクがある、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
対象者が2型糖尿病を有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[17]
式A-Bの組成物であって、ここでAは膵β細胞標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)、プロテインキナーゼA(PKA)、Srcキナーゼ、またはβ1インテグリンの阻害剤である、上記組成物。
[18]
膵β細胞特異的標的化部分がディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質、デルタ2、36kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン)、メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分を含む、[17]に記載の組成物。
[19]
膵β細胞特異的標的化部分が抗体またはアプタマーを含む、[17]または[18]に記載の組成物。
[20]
膵β細胞特異的標的化部分がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分を含む、[17]~[19]のいずれか一項に記載の組成物。
[21]
阻害剤がアポCIII阻害剤を含む、[17]~[20]のいずれか一項に記載の組成物。
[22]
阻害剤が抗アポCIII抗体、抗アポCIIIアプタマー、アポCIII小干渉RNA,アポCIII内部セグメント化小干渉RNA、アポCIII短ヘアピンRNA、アポCIIIマイクロRNA、およびアポCIIIアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、[21]に記載の組成物。
[23]
阻害剤がPKAまたはSrc阻害剤を含む、[17]~[22]のいずれか一項に記載の組成物。
[24]
阻害剤がPP1アナログ、PP2、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアート-R、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-7、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-8、アデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-9、およびアデノシン3’,5’-環状モノホスホロチオアートH-89からなる群から選択される、[23]に記載の組成物。
[25]
阻害剤がβ1インテグリン阻害剤を含む、[17]~[24]のいずれか一項に記載の組成物。
[26]
阻害剤が抗β1インテグリン抗体、抗β1インテグリンアプタマー、β1インテグリン小干渉RNA、β1インテグリン内部セグメント化小干渉RNA、β1インテグリン短ヘアピンRNA、β1インテグリンマイクロRNA、およびβ1インテグリンアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、[25]に記載の組成物。
[27]
組成物は式A-B-Cからなるものであり、ここでCが組成物の細胞内移行を可能にする化合物である、[17]~[26]のいずれか一項に記載の組成物。
[28]
Cが細胞透過性ペプチドである、[27]に記載の組成物。
[29]
組成物が融合タンパク質を含む、[17]~[28]のいずれか一項に記載の組成物。
[30]
組成物が組換え核酸を含む、[17]~[28]のいずれか一項に記載の組成物。
[31]
[29]の融合タンパク質をコードする分離された核酸、または[30]の組換え核酸であって、プロモーターと操作によって連結された核酸。
[32]
[31]の分離された核酸を含む、組換え発現ベクター。
[33]
[32]の発現ベクターを含む、分離された組換えホスト細胞。

Claims (18)

  1. 効果的な量で必要とする対象者に投与することによって糖尿病を治療または発症を制限するための方法において使用するための組成物であって、式A-Bの化合物を含み、Aは膵β細胞特異的標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)の発現及び/又は活性の阻害剤であり、
    アポCIII阻害剤が、抗アポCIII抗体、及び抗アポCIIIアプタマーからなる群から選択される、組成物。
  2. 前記膵β細胞特異的標的化部分がディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質,デルタ2,36kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン),メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記膵β細胞特異的標的化部分が抗体またはアプタマーを含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記膵β細胞特異的標的化部分がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. アポCIII阻害剤が、抗アポCIII抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 対象者がコントロールと比べてアポCIIIを過剰発現する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 糖尿病を治療するためのものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 糖尿病の発症を制限するためのものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 対象者が1型糖尿病を有するまたは発症するリスクがある、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 対象者が2型糖尿病を有するまたは発症するリスクがある、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 対象者が2型糖尿病を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 式A-Bの構造を含む化合物を含む組成物であって、ここでAは膵β細胞特異的標的化部分であり、Bはアポリポタンパク質CIII(アポCIII)の発現及び/又は活性の阻害剤であり、
    アポCIII阻害剤が、抗アポCIII抗体、及び抗アポCIIIアプタマーからなる群から選択される、上記組成物。
  13. 前記膵β細胞特異的標的化部分がディジョージ症候群責任領域遺伝子2(DGCR2)、ゴルジブレフェルジンA耐性グアニンヌクレオチド交換因子1(GBF1)、オーファンGタンパク質結合受容体GPR44(GPR44)、セルピンB10(PI-10)、FXYD領域含有イオントランスポーターレギュレータ2(FXYD2)、テトラスパニン-7(TSPAN7)、ギャップ結合タンパク質デルタ236kDa(GJD2)、溶質キャリアファミリー18(小胞モノアミン)メンバー2(SLC18A2)、プロキネチシン受容体1(PROKR1)、グルタミン酸受容体,代謝型5(GRM5)、ニューロペプチドY受容体Y2(NPY2R)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)、および膜貫通タンパク質27(TMEM27)からなる群から選択されるタンパク質と選択的に結合する部分を含む、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記膵β細胞特異的標的化部分が抗体またはアプタマーを含む、請求項12または13に記載の組成物。
  15. 前記膵β細胞特異的標的化部分がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ペプチドYY(PYY)、ニューロペプチドY(NPY)、膵ペプチド(PP)、エキセンジン-4、ナフチルアラニン、およびナフチルアラニン誘導体からなる群から選択される部分を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. アポCIII阻害剤が、抗アポCIII抗体である、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記式A-Bの構造を含む化合物が式A-B-Cの化合物であり、ここでCが前記組成物の細胞内移行を可能にする化合物部分である、請求項12~16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. Cが細胞透過性ペプチドである、請求項17に記載の組成物。
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