以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下説明する実施形態に限定されない。図面においては、全体又は一部について、模式的に表しており、又は縮尺を変更して表している。また、部材の位置や方向などを、適宜、図1などに示すXYZ直交座標系を参照して説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向(上下方向)である。X方向は左右方向であり、Y方向は前後方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向の方向において、矢印の指す方向を+方向(例えば、+X方向)と称し、矢印と反対側の方向を-方向(例えば、-X方向)と称す。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るプレス機械100の一例を示す正面図である。プレス機械100は、ワークWに曲げ加工(成形加工)を施すことが可能なプレスブレーキ(曲げ加工機)である。以下、本実施形態では、プレス機械100としてプレスブレーキを例として説明しているが、プレスブレーキに限定されず、例えば、パネルベンダーなどの曲げ加工機械であってもよい。
プレス機械100は、図1に示すように、加工機本体(本体部)2と、制御装置3とを備える。加工機本体2は、正面側に作業者の作業スペースを有している。作業者あるいはワークWの搬送装置は、加工機本体2の正面側からワークWを所定位置に配置し、後述する金型10としての上型13と下型6とでワークWを挟み込むことにより、ワークWに対して曲げ加工を施すことが可能である。加工機本体2は、本体フレーム5と、下型6を支持するテーブル7と、側部カバー8、9と、ラム11とを備える。
本体フレーム5は、プレス機械100の外郭を形成する。下型6は、テーブル7の上面に支持される固定側(下側)の金型であり、左右方向(X方向)に沿って長く形成されている。テーブル7は、本体フレーム5の正面側(前面側)に取り付けられており、下型6を固定している。側部カバー8、9は、本体フレーム5の左右方向の側部上方にそれぞれ取り付けられている。側部カバー8、9は、それぞれラム11の左右方向の側部上方を覆うように配置されている。
昇降機構14は、図示しない支持フレーム等によって本体フレーム5に支持されている。本実施形態において、昇降機構14は、モータ駆動機構40と油圧駆動機構50とを含む構成体の意味で用いている。昇降機構14は、ラム11をZ方向に移動(昇降)させる。昇降機構14は、ラム11の左右の両側(+X側及び-X側)にそれぞれ配置される。昇降機構14におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50の詳細な構成については、後述する。
ラム11は、本体フレーム5に設けられた不図示のガイド部により、本体フレーム5に昇降可能に支持されている。例えば、ラム11の左右両端に一対のローラが設けられ、この一対のローラが、本体フレーム5に設けられた不図示のブラケット(ガイド部)を挟んで配置される。ラム11は、一対のローラがブラケットに沿って転動することにより、上下方向(Z方向)にガイドされる。ラム11は、例えば金属等により形成された板状の部材であり、例えば、数百kg~数千kgの重量を有する。ラム11は、昇降機構14の一部に連結されており、昇降機構14によって吊り下げられた状態で配置されている。ラム11は、昇降機構14を駆動することにより昇降し、テーブル7上の下型6に対して近接又は離間する。
ラム11の下方には、複数の上型ホルダ12が取り付けられる。複数の上型ホルダ12は、左右方向(X方向)に沿って配列され、ホルダ押え12aによりラム11に固定されている。複数の上型ホルダ12は、隣同士の間隔を任意に設定可能である。また、上型ホルダ12は、例えば、ラム11に対して左右方向に移動可能に設けられて、上型ホルダ12同士の間隔を変更できる構成であってもよい。上型ホルダ12は、ラム11に対して着脱可能に設けられる。複数の上型ホルダ12は、それぞれ、可動側の金型10である上型13を保持可能である。例えば、ワークWの曲げ加工を行う際に、複数の上型ホルダ12には、曲げ加工の工程に応じた1つの上型13が保持される。なお、上型ホルダ12には、複数の上型13がX方向に並んだ状態で保持されてもよい。
制御装置3は、加工機本体2の動作を統括して制御する。制御装置3は、記憶部26に記憶されている加工プログラム等を読み出して昇降機構14の動作を制御する。昇降機構14は、後述するモータ駆動機構40と油圧駆動機構50とを有する。制御装置3は、モータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を制御する。記憶部26は、加工機本体2に設けられてもよいし、加工機本体2外に設けられて有線又は無線により制御装置3に接続されてもよい。また、制御装置3は、有線又は無線により上位の制御装置に接続されてもよい。また、制御装置3は、各種内容を表示する表示部、及び作業者により入力可能な操作部を備えていてもよい。
図2は、昇降機構14(モータ駆動機構40及び油圧駆動機構50)の一例を示す図である。図2では、ラム11の左右のうち一方の側部に接続された昇降機構14を例に挙げて説明するが、ラム11の左右のうち他方の側部に接続された昇降機構14についても同様の構成となっている。図2に示すように、昇降機構14は、サーボモータを駆動源としてラム11(上型13)に昇降駆動力を付与するモータ駆動機構40と、油圧アクチュエータを駆動源としてラム11(上型13)に昇降駆動力を付与する油圧駆動機構50とを有する。
モータ駆動機構40は、サーボモータ41及びボールネジ機構42を有する。サーボモータ41は、駆動源である。サーボモータ41は、ボールネジ機構42のボールネジ42aを回転させる。ナット42bは、ラム11に固定されている。サーボモータ41によりボールネジ42aを回転させることにより、ラム11に固定されたナット42bを昇降させ、ナット42bの昇降によりラム11を昇降させることができる。なお、モータ駆動機構40は、ボールネジ機構42を用いることに代えて、ラックアンドピニオン機構、クランク機構、又はベルト・プーリ機構などが用いられてもよい。サーボモータ41の駆動(すなわちモータ駆動機構40)は、制御装置3によって制御される。モータ駆動機構40は、ラム11の昇降位置を制御する。
モータ駆動機構40は、単独でラム11(上型13)を昇降可能であってもよいし、単独ではラム11を昇降できなくてもよい。モータ駆動機構40が単独でラム11を昇降可能である場合、モータ駆動機構40は、後述する油圧駆動機構50の昇降駆動力を用いることなく、ラム11を昇降可能である。また、後述する油圧駆動機構50は、単独でラム11(上型13)を昇降可能であってもよいし、単独ではラム11を昇降できなくてもよい。油圧駆動機構50が単独でラム11を昇降可能である場合、油圧駆動機構50は、モータ駆動機構40の昇降駆動力を用いることなく、ラム11を昇降可能である。なお、モータ駆動機構40及び油圧駆動機構50の双方が、単独ではラム11を昇降できない場合は、双方の昇降駆動力を合わせることによりラム11(上型13)を昇降可能である。
油圧駆動機構50は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ51と、ポンプ52と、タンク54、55と、配管部56と、各種バルブとを有する。油圧シリンダ51は、複動型の油圧シリンダである。油圧シリンダ51は、ラム11(上型13)を下降させる駆動力を発生するための第1シリンダ室51aと、ラム11(上型13)を上昇させる駆動力を発生するための第2シリンダ室51bとを有する。油圧シリンダ51には、ピストン51cが昇降可能に配置されている。
ピストン51cは、第1シリンダ室51aと第2シリンダ室51bとを仕切った状態で油圧シリンダ51内に配置される。ピストン51cは、棒状部材51dを介してラム11に連結される。棒状部材51dは、第2シリンダ室51b内を介して油圧シリンダ51の下方に延びている。このため、第2シリンダ室51bは、棒状部材51dが配置される分、第1シリンダ室51aより容積(ピストン51cに対する受圧面積)が小さくなっている。また、油圧シリンダ51は、複動型の油圧シリンダを用いることに限定されない。例えば、単動型の2つの油圧シリンダを用いて、1つの油圧シリンダはラム11の下降用とし、他の1つの油圧シリンダはラム11の上昇用としてもよい。
ポンプ52は、第1シリンダ室51a及び第2シリンダ室51bのそれぞれに対して作動油を供給又は排出する。ポンプ52としては、双方向ポンプが用いられる。ポンプ52は、第1入出力部52aと、第2入出力部52bと、モータ52cとを有する。ポンプ52は、モータ52cを正方向に回転させる場合、第2入出力部52bから作動油を取り込んで、取り込んだ作動油を第1入出力部52aから送り出す。
また、ポンプ52は、モータ52cを逆方向に回転させる場合、第1入出力部52aから作動油を取り込んで、取り込んだ作動油を第2入出力部52bから送り出す。このように、ポンプ52は、モータ52cの回転方向を正方向と逆方向とで切り換えることにより、第1シリンダ室51a及び第2シリンダ室51bのいずれか一方に作動油を供給し、かつ第1シリンダ室51a及び第2シリンダ室51bのいずれか他方の作動油を排出するように切り換え可能である。ポンプ52の駆動は、制御装置3によって制御される。また、タンク54、55は、それぞれ作動油を貯留する。
配管部56は、油圧シリンダ51とポンプ52との間を接続して作動油の流路となる。配管部56は、油圧シリンダ51の第1シリンダ室51aとポンプ52の第1入出力部52aとを接続する第1配管61と、油圧シリンダ51の第2シリンダ室51bとポンプ52の第2入出力部52bとを接続する第2配管62と、油圧シリンダ51の第1シリンダ室51aとタンク55とを接続するタンク接続管60と、を有する。
第1配管61には、逆止弁71が設けられる。逆止弁71は、第1入出力部52a側から第1シリンダ室51a側への作動油の流通を許容し、第1シリンダ室51a側から第2入出力部52b側への作動油の流通を規制する。第1配管61には、逆止弁71を迂回する第1迂回管63が設けられる。第1迂回管63には、第1切換弁S1が設けられる。第1切換弁S1は、第1迂回管63の開閉状態を切り換え可能である。第1切換弁S1の動作は、制御装置3によって制御される。なお、逆止弁71、第1迂回管63、及び第1切換弁S1は、配置しない構成であってもよい。
また、第1配管61は、逆止弁71とポンプ52との間に第1分岐部D1を有する。第1分岐部D1には、タンク54に接続される2本のタンク接続管64、65が接続される。タンク接続管64には、逆止弁72が設けられる。逆止弁72は、タンク54側から第1分岐部D1側への作動油の流通を許容し、第1分岐部D1側からタンク54側への作動油の流通を規制する。タンク接続管65には、リリーフ弁73が設けられる。リリーフ弁73は、タンク接続管65内の圧力が所定値を超える場合に開放され、タンク接続管65内の作動油をタンク54に流通させる。
また、第2配管62には、逆止弁74が設けられる。逆止弁74は、第2入出力部52b側から第2シリンダ室51b側への作動油の流通を許容し、第2シリンダ室51b側から第2入出力部52b側への作動油の流通を規制する。第2配管62は、逆止弁74を迂回する第2迂回管66を有する。第2迂回管66には、リリーフ弁75が設けられる。リリーフ弁75は、第2配管62内のうち逆止弁74よりも油圧シリンダ51側の圧力が所定値を超える場合に開放され、作動油をポンプ52側に流通させる。
第2配管62は、逆止弁74を迂回する第3迂回管67を有する。第3迂回管67には、第2切換弁S2と、第3切換弁S3とが設けられる。第2切換弁S2及び第3切換弁S3は、第3迂回管67の開閉状態を切り換え可能である。第2切換弁S2は、油圧シリンダ51側に配置され、第3切換弁S3は、ポンプ52側に配置される。第2切換弁S2及び第3切換弁S3の動作は、制御装置3によって制御される。
第3迂回管67には、アキュムレータ58が接続される。アキュムレータ58は、第3迂回管67のうち、第2切換弁S2と第3切換弁S3との間に接続される。すなわち、アキュムレータ58の第2シリンダ室51b側とポンプ52側の双方に方向制御弁としての第2切換弁S2及び第3切換弁S3が配置されている。アキュムレータ58は、所定の圧力に設定されて作動油が流入又は作動油を排出するタンクを有しており、第2シリンダ室51bに供給する作動油の圧力、又は第2シリンダ室51bから排出される作動油の圧力を調整する。上記のようにモータ駆動機構40によりラム11の昇降位置を制御する一方、油圧駆動機構50は、第2シリンダ室51bの圧力(カウンタバランス力)をアキュムレータ58により増減可能として、モータ駆動機構40の推力を補うことが可能となっている。なお、アキュムレータ58を用いるか否かは任意であり、アキュムレータ58がない構成であってもよい。
第2配管62は、第2分岐部D2と、第3分岐部D3とを有する。第2分岐部D2には、分岐管68が接続される。分岐管68は、第4切換弁S4に接続される。第4切換弁S4には、この分岐管68の他に、タンク54に接続されるタンク接続管69と、プレフィル接続管60Pとが接続される。分岐管68とタンク接続管69との間には、リリーフ弁76が設けられる。リリーフ弁76は、分岐管68内の圧力が所定値を超える場合に開放され、作動油をタンク接続管69側に流通させる。
第4切換弁S4は、分岐管68、タンク接続管69、及びプレフィル接続管60Pの3つの配管の間の接続状態を切り換える。具体的には、第4切換弁S4は、分岐管68が開放され、かつタンク接続管69とプレフィル接続管60Pとが接続されるオフ状態と、分岐管68とプレフィル接続管60Pとが接続され、かつタンク接続管69が開放されるオン状態とを切り換える。第4切換弁S4の動作は、制御装置3によって制御される。
第3分岐部D3には、タンク接続管70が接続される。タンク接続管70には、逆止弁77が設けられる。逆止弁77は、タンク54側から第3分岐部D3側への作動油の流通を許容し、第3分岐部D3側からタンク54側への作動油の流通を規制する。
また、タンク接続管60には、プレフィル弁78が設けられる。プレフィル弁78は、タンク55側から第1シリンダ室51a側への作動油の流通を許容する。また、プレフィル弁78は、プレフィル接続管60Pの油圧が所定値以上の場合に第1シリンダ室51a側からタンク55側への作動油の流通を許容し、プレフィル接続管60Pの油圧が所定値未満の場合に第1シリンダ室51a側からタンク55側への作動油の流通を規制する。なお、制御装置3は、上記したように、ポンプ52の駆動、及び第1切換弁S1から第4切換弁S4の動作を制御している。すなわち、油圧駆動機構50は、制御装置3によって制御される。
なお、制御装置3は、モータ駆動機構40と油圧駆動機構50とを同期させるように駆動するが、モータ駆動機構40の駆動時において、油圧駆動機構50による作動油の給排タイミングがずれる場合、あるいはモータ駆動機構40によるラム11の昇降量に対して油圧駆動機構50による作動油の給排量がずれる場合がある。アキュムレータ58は、このような油圧駆動機構50による作動油の給排タイミングのずれ、あるいは作動油の給排量のずれ(いわゆる同期誤差)に応じて作動油の圧力を調整することにより、モータ駆動機構50のスムーズな駆動を阻害しないようにしている。
次に、本実施形態に係るプレス機械100の制御方法について説明する。先ず、作業者の作業開始に先立って、プレス機械100に電源が投入され、プレス機械100は、原点復帰などの起動動作を行い、レディ状態(スタンバイ状態)となる。作業者は、制御装置3に対して作業を開始する旨の入力を不図示の操作部等により行う。制御装置3は、作業開始の入力を検知し、不図示の上位制御装置に対して加工対象となるワークWの形状に関するデータを要求する。上位制御装置は、制御装置3の要求に応じて、ワークWの形状に関するデータを制御装置3に送信する。その後、作業者により、運転を開始する旨の入力が行われた場合、制御装置3は、加工プログラムに規定された各工程を順に行う。
ワークWの加工を行う際、制御装置3は、昇降機構14によりラム11を昇降させる。図3は、昇降機構14によるラム11の昇降動作の一例を示すタイムチャートである。図3では、ラム11の位置と、第1切換弁S1、第2切換弁S2、第3切換弁S3の切り換え動作と、モータ駆動機構40によるサーボモータ41の駆動速度と、油圧駆動機構50によるポンプ52の流量と、アキュムレータ58の圧力とを対比して示している。また、図4から図9は、ラム11の昇降動作の各工程におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50の状態を示す図である。図4から図9における白抜き矢印は、ラム11及びピストン51cの動作について示している。白抜き矢印が上下に長い場合は、高速での移動を示し、白抜き矢印が左右に広い場合は、昇降駆動力が大きいことを示している。なお、後述する図12から図15においても同様である。
図3に示すように、まず、制御装置3は、レディ状態において、ラム11が待機位置P1で停止するように昇降機構14を制御する。待機位置P1は、ラム11が最も上昇した位置である。図4は、ラム11の停止時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。図4に示すように、制御装置3は、サーボモータ41が停止するようにモータ駆動機構40を制御する。また、制御装置3は、第1切換弁S1、第2切換弁S2、第3切換弁S3、及び第4切換弁S4がオフの状態となり、かつ、ポンプ52のモータ52cを停止させて作動油の流量が0となるように油圧駆動機構50を制御する。この状態では、サーボモータ41が停止し、かつ、図4の太い点線で示すように、第2シリンダ室51b内の油圧が一定に保持されるので、ラム11が待機位置P1で停止した状態を維持する。
次に、作業者により運転開始の入力が行われた場合、制御装置3は、図3に示すように、ラム11が待機位置P1から加圧開始位置P2まで高速で下降するように昇降機構14を制御する。図5は、ラム11の高速下降時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。制御装置3は、モータ駆動機構40のナット42bを所定の加速度で下降させ、移動速度が所定値に到達してからは一定の速度で下降するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で下降させてもよいし、加速度を変化させながら下降させてもよい。また、制御装置3は、第1切換弁S1をオフの状態として、第2切換弁S2、第3切換弁S3、及び第4切換弁S4をオンの状態に切り換えるように油圧駆動機構50を制御する。また、制御装置3は、油圧駆動機構50において、ナット42bの移動速度に応じた流量の作動油を第1シリンダ室51aに供給するように、ポンプ52のモータ52cを正方向に回転させる。
この動作により、図5の白抜き矢印に示すように、ラム11が高速で下降する。ラム11の下降により、ピストン51cが下降し、第1シリンダ室51aの容積が拡大する。また、第2シリンダ室51bの作動油は、ポンプ52の第2入出力部52bで作動油を吸引していること、及び、ピストン51cが下降することにより、第2配管62を介して排出される。この作動油は、第3迂回管67を介してポンプ52の第2入出力部52bに流れ込み、第1入出力部52aから送り出される。
ポンプ52の第1入出力部52aから送り出された作動油は、第1配管61を介して第1シリンダ室51aに供給される。なお、第2シリンダ室51bは第1シリンダ室51aよりもピストン51cに対する受圧面積が小さい。そのため、第2シリンダ室51bから排出される作動油を第1シリンダ室51aに供給するだけでは、第1シリンダ室51aの圧力が第2シリンダ室51bの圧力よりも低くなる。このため、第1シリンダ室51aには、タンク接続管60及びプレフィル弁78を介してタンク55から作動油が供給される。なお、第2配管62を流れる作動油の一部は、分岐管68から第4切換弁S4を介してプレフィル接続管60Pに流れ込んでいる。このプレフィル接続管60Pの油圧が所定値以上となることにより、プレフィル弁78を開放している。また、第2シリンダ室51bから排出される作動油の一部は、第3迂回管67からアキュムレータ58に流れ込む。このため、アキュムレータ58の圧力が上昇する。
アキュムレータ58の圧力の上昇により、ラム11の下降に対する反力がピストン51cに作用する。すなわち、ラム11は、アキュムレータ58からの反力を受けながら下降する。また、アキュムレータ58は、第2シリンダ室51bにおける作動油の圧力を調整することで、下降するラム11に対してカウンタバランス力を調整し、モータ駆動機構40と油圧駆動機構50との同期誤差を吸収しつつ、モータ駆動機構50による駆動をスムーズにする。
ラム11が加圧開始位置P2に近づいた場合、図3に示すように、制御装置3は、ナット42bの移動速度を所定の減速度で減速させ、加圧開始位置P2で停止するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の減速度で減速させてもよいし、減速度を変化させながら減速させてもよい。また、制御装置3は、ポンプ52による作動油の流量(ポンプ52のモータ52cの回転数)が低下するように油圧駆動機構50を制御する。この場合、制御装置3は、モータ駆動機構40を制御する前に、ポンプ52による作動油の流量が先に低下するように油圧駆動機構50を制御する。この制御により、アキュムレータ58の圧力が上昇するので、ラム11に対して上向きの加速度を高めることになり、ラム11を速やかに停止させ易くなる。なお、制御装置3は、モータ駆動機構40におけるサーボモータ41の制御と、油圧駆動機構50のポンプ52による作動油の流量の制御とを同時に行ってもよい。
ラム11が加圧開始位置P2に到達した場合、制御装置3は、ラム11を加圧開始位置P2で停止させるように昇降機構14を制御する。この場合、制御装置3は、図4に示す状態と同様に、サーボモータ41を停止させるようにモータ駆動機構40を制御する。また、制御装置3は、第1切換弁S1をオフとしたまま、第2切換弁S2、第3切換弁S3、及び第4切換弁S4をオフの状態に切り換え、かつ、ポンプ52を停止させるように油圧駆動機構50を制御する。この制御により、ラム11が加圧開始位置P2で停止した状態となり、第1シリンダ室51a内の油圧と第2シリンダ室51b内の油圧とが一定に保持された状態となる。なお、第4切換弁S4をオフの状態とすることにより、プレフィル接続管60Pの作動油が第4切換弁S4を介してタンク接続管69からタンク54に排出される。その結果、プレフィル接続管60Pの油圧が下がり、プレフィル弁78を閉塞する(図6参照)。
次に、制御装置3は、ラム11を加圧開始位置P2から低速で下降させてワークWの加圧を行うように昇降機構14を制御する。図6は、ラム11の加圧下降時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。この場合、制御装置3は、ナット42bが一定の速度で下降するようにサーボモータ41を制御する。また、制御装置3は、第1切換弁S1、第2切換弁S2、第3切換弁S3、及び第4切換弁S4をオフの状態に維持するように油圧駆動機構50を制御する。また、制御装置3は、モータ駆動機構40によるナット42bの移動速度に応じた流量の作動油を第1シリンダ室51aに供給するように、ポンプ52のモータ52cを正方向に回転させる。
この動作により、図6の白抜き矢印に示すように、ラム11が一定の速度で下降する。ラム11の下降により、上型13と下型6とでワークWを挟み込み(図1参照)、ラム11が下死点P3まで下降する間に、ワークWに対して曲げ加工を施す。ラム11の加圧下降時では、図3に示すように、サーボモータ41の駆動速度を高速下降時まで上げていない。一方、ラム11の加圧下降時にポンプ52による作動油の流量は、ラム11の高速加工時と同様の流量を確保している。すなわち、ラム11の加圧下降時は、ワークWに対する加圧力を主に油圧駆動機構50により付与している。
また、ラム11の下降により、ピストン51cが下降する。ラム11の高速下降の場合とは異なり、ポンプ52の駆動により、第2シリンダ室51b内の作動油が第2配管62を介して排出され、第2迂回管66を介してポンプ52の第2入出力部52bに流れ込み、第1入出力部52aに送り出される。また、ポンプ52の駆動により、タンク54の作動油がタンク接続管70及び第2配管62を介してポンプ52の第2入出力部52bに流れ込み、第1入出力部52aに送り出される。第2配管62の圧力が所定値を超えると、リリーフ弁75がオンの状態となり、作動油が第2迂回管66を介してポンプ52の第2入出力部52bに導かれる。
ポンプ52の第1入出力部52aから送り出された作動油は、第1配管61を介して第1シリンダ室51aに供給される。その結果、ピストン51cが押し下げられることにより、ラム11を下降させる。このラム11の下降により、ワークWを上型13と下型6とで曲げ加工を行う。ワークWに対する曲げ加工の際、ラム11が下死点P3に達した段階でラム11の下降を停止させる。下死点P3における昇降機構14の状態は、上記した待機位置P1及び加圧開始位置P2の状態と同様である。
次に、ラム11を下死点P3で停止させた後、圧抜きが行われる。図7は、ラム11の圧抜き時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。制御装置3は、図7に示すように、ナット42bを下死点P3から所定の加速度で上昇させ、移動速度が所定値に到達してからは一定の速度で上昇するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で上昇させてもよいし、加速度を変化させながら上昇させてもよい。また、制御装置3は、第1切換弁S1をオンの状態に切り換え、第2切換弁S2、第3切換弁S3、及び第4切換弁S4をオフの状態のままとするように油圧駆動機構50を制御する。また、制御装置3は、モータ駆動機構40によるナット42bの移動速度に応じた流量の作動油が第2入出力部52bから送り出されるように、モータ52cを逆方向に回転させる。
この動作により、図7の白抜き矢印に示すように、ラム11が下死点P3から一定量だけ上昇し、このラム11の上昇によりワークWに対する圧抜きが行われる。ラム11の上昇により、ピストン51cが上方に移動する。また、ポンプ52の駆動により、第1シリンダ室51a内の作動油が第1配管61を介して排出され、第1迂回管63を介してポンプ52の第1入出力部52aに流れ込み、第2入出力部52bに送り出される。ポンプ52の第2入出力部52bに送り出された作動油は、第2配管62を介して第2シリンダ室51bに供給される。このとき、第2配管62の圧力が所定値を超えた場合、リリーフ弁76が開放されて、分岐管68からリリーフ弁76及びタンク接続管69を介して作動油がタンク54に戻される。なお、圧抜きの途中で第3切換弁S3をオンにして作動油をアキュムレータ58で回収してもよい。その結果、アキュムレータ58の圧力を上昇させることでエネルギーの有効利用を図ることができる。
次に、圧抜きが行われた後、ラム11を高速上昇させる。図8は、ラム11の高速上昇開始時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。制御装置3は、ナット42bが所定の加速度で上昇開始するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で上昇させてもよいし、加速度を変化させながら上昇させてもよい。また、制御装置3は、モータ駆動機構40によりラム11を上昇させる最大速度となるタイミングよりも早く、第2シリンダ室51bへの作動油の供給量が最大量となるようにモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を制御する。具体的には、制御装置3は、圧抜きが行われた後、ラム11を上昇させる初期動作において、図8に示すように、第1切換弁S1をオンの状態のままとし、かつ第2切換弁S2をオフの状態のままで、第3切換弁S3及び第4切換弁S4をオンの状態に切り替えるように油圧駆動機構50を制御する。また、制御装置3は、モータ52cが逆方向に回転するように油圧駆動機構50を制御する。
この動作により、第1シリンダ室51a内の作動油が第1配管61を介して排出され、第1迂回管63を介してポンプ52の第1入出力部52aに流れ込み、第2入出力部52bから送り出される。ポンプ52の第2入出力部52bから送り出された作動油は、第2配管62を介して第2シリンダ室51bに供給される。その結果、ラム11は、上昇する。なお、モータ駆動機構40によりラム11を上昇させる最大速度となるタイミングよりも早く、第2シリンダ室51bへの作動油の供給量が最大量となるため、アキュムレータ58の圧力が上昇する。アキュムレータ58の圧力上昇により、ラム11の上昇加速度を大きくすることができ、上型13を早期にワークWから離すことが可能となる。なお、アキュムレータ58による圧力の吸収性を用いて圧抜きから高速上昇への切替をスムーズにしている。
また、分岐管68からプレフィル接続管60Pを介してプレフィル弁78に油圧が加えられる。このプレフィル接続管60Pの油圧が所定値以上となると、プレフィル弁78が開放されて、第1シリンダ室51a側からタンク55側への作動油の流通を許容する状態となる。また、第2配管62から第3迂回管67を介してアキュムレータ58に作動油が流れ、上記したようにアキュムレータ58の圧力が上昇する。
図9は、ラム11の高速上昇時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構50を示す図である。制御装置3は、高速上昇開始時からナット42bの速度が所定値に到達してからは例えば一定の移動速度で上昇するようにサーボモータ41を制御する。また、制御装置3は、図9に示すように、第1切換弁S1をオフの状態に切り替え、第2切換弁S2をオンの状態に切り替え、第3切換弁S3及び第4切換弁S4をオンの状態のままとなるように油圧駆動機構50を制御する。制御装置3は、モータ52cが逆方向に回転するように、制御した状態を維持している。
この動作により、図9の白抜き矢印に示すように、ラム11は、高速上昇する。ポンプ52の駆動により、タンク54からタンク接続管64及び第1配管61を介してポンプ52の第1入出力部52aに作動油が流れ込み、第2入出力部52bから送り出される。ポンプ52の第2入出力部52bから送り出された作動油は、第2配管62及び第3迂回管67を介して第2シリンダ室51bに供給される。このとき、アキュムレータ58内の作動油が第3迂回管67に排出される。このため、第3迂回管67及び第2配管62を介して第2シリンダ室51bの圧力が調整される。すなわち、ポンプ52による作動油の流量と、アキュムレータ58からの作動油の流量との合算の流量が第2シリンダ室51bに供給され、この流量に応じてピストン51c(ラム11)を上昇させることができる。また、分岐管68に接続されたプレフィル接続管60Pの油圧が所定値以上となることにより、プレフィル弁78が開放されて、第1シリンダ室51a内の作動油は、プレフィル弁78及びタンク接続管60を介してタンク55に排出される。
ラム11が高速上昇して待機位置P1に近づくと、制御装置3は、モータ駆動機構40においてサーボモータ41の駆動速度を徐々に低下させ、同時に、油圧駆動機構50においてポンプ52により作動油の供給量を徐々に低下させるように制御する。ラム11が待機位置P1に到達した場合、制御装置3は、ラム11が待機位置P1で停止するように昇降機構14を制御する。ラム11が待機位置P1で停止した状態は、上記したように図4に示す状態である。
このように、本実施形態によれば、上型13を上昇させる際及び下降させる際の双方において、モータ駆動機構40による昇降駆動力と油圧駆動機構50による昇降駆動力とを用いることによりラム11(上型13)を昇降させるため、ラム11を高速で昇降させることができる。この構成により、油圧駆動機構50によってワークWに対する加圧力を確保しつつ、ラム11の昇降時(特に上昇時)における加速度を大きくできるので、サーボモータ41の容量又は回転数を大きくすることなくラム11の昇降時における高速化を図ることができる。なお、本実施形態において、ラム11の昇降に伴う第1シリンダ室51a又は第2シリンダ室51bからの作動油の流量に対してポンプ52の流量を同じにするように、あるいは増減させられるように制御し、アキュムレータ58の圧力をラム11の昇降中に調整可能とすることができる。この構成により、モータ駆動機構40の低減速比化で下がったラム11に対する推力を、アキュムレータ58からの作動油を加えることで調整可能に補うことができ、生産性(ワークWの加工効率)を高めることができる。
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態に係るプレス機械100Aの昇降機構14A(モータ駆動機構40及び油圧駆動機構50)の一例を示す図である。第1実施形態では、ラム11の左右の両側に接続された昇降機構14のそれぞれにアキュムレータ58が設けられた構成を説明したが、第2実施形態では、左右の両側の昇降機構14A及び14Bにおいて、1つのアキュムレータ58を共通化した構成となっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については、同様の符号を付して説明を省略又は簡略化する。なお、図10では、制御装置3を省略している。
図10に示すように、昇降機構14A、14Bは、分岐管68同士が接続管68Aによって接続され、接続管68Aにアキュムレータ接続管68Bを介してアキュムレータ58が接続された構成である。また、昇降機構14A、14Bは、第3切換弁S3がそれぞれ接続管68Aに設けられ、アキュムレータ接続管68Bとの合流部分を挟んで配置されている。なお、ラム11を昇降させる動作は、上記した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができ、さらに、左右の(2つの)油圧駆動機構50に対して1つのアキュムレータ58を用いることにより、アキュムレータ58の配置数を油圧駆動機構50の数より少なくして装置コストを低減することができる。なお、本実施形態のように1つのアキュムレータ58を用いる場合、第1実施形態で示すアキュムレータ58よりもタンクを大型化してもよい。
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係るプレス機械100Bの昇降機構14C(モータ駆動機構40及び油圧駆動機構150)の一例を示す図である。第1実施形態及び第2実施形態では、ポンプ52として双方向ポンプを用いた構成を説明したが、第3実施形態では、ポンプ152として一方向ポンプを用いた構成となっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については、同様の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
昇降機構14Cは、油圧駆動機構150を有する。油圧駆動機構150は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ51と、ポンプ152と、タンク54、55と、配管部156と、各種バルブとを有する。ポンプ152は、第1シリンダ室51a及び第2シリンダ室51bのそれぞれに対して作動油を供給又は排出する。ポンプ152は、出力部152aと、入力部152bと、モータ152cとを有する。ポンプ152は、モータ152cを回転させることにより、入力部152bから作動油を吸引し、この吸引した作動油を出力部152aから排出する。
配管部156は、第2シリンダ室51bとポンプ152の入力部152bとを接続する第1配管161と、ポンプ152の出力部152aに接続される第2配管162と、油圧シリンダ51の第1シリンダ室51aに接続される第3配管163とを有する。第1配管161は、第1切換弁S11を有する。第1切換弁S11は、第1配管161の開閉状態を切り換え可能である。第1配管161には、アキュムレータ158が接続される。アキュムレータ158は、第1配管161の作動油の圧力を調整する。第1配管161は、分岐管164、165と、タンク接続管168とを有する。
分岐管164は、リリーフ弁171を介してタンク54に接続される。分岐管165は、逆止弁173を介して第2切換弁S12に接続される。逆止弁173は、第2切換弁S12側から第1配管161側への作動油の流通を許容し、第1配管161側から第2切換弁S12側への作動油の流通を規制する。第2切換弁S12については、後述する。タンク接続管168は、逆止弁174を介してタンク54に接続される。逆止弁174は、タンク54側から第1配管161側への作動油の流通を許容し、第1配管161側からタンク54側への作動油の流通を規制する。
第2配管162は、ポンプ152の出力部152aと第2切換弁S12との間を接続する。第3配管163は、第1シリンダ室51aと第2切換弁S12との間を接続する。第3配管163は、分岐管166を有する。分岐管166は、リリーフ弁172を介してタンク54に接続される。分岐管166は、分岐管167を有する。分岐管167は、第2切換弁S12に接続される。
第2切換弁S12は、第2配管162と、第3配管163と、分岐管165と、分岐管167との間の3つの接続状態(第1状態、第2状態、及び第3状態)を切り換える。第1状態は、第2配管162と分岐管165とが接続され、かつ第3配管163と分岐管167とが接続された状態である。第2状態は、第2配管162と第3配管163とが接続され、かつ分岐管165と分岐管167とが接続された状態である。第3状態は、第2配管162が閉塞され、かつ第3配管163と分岐管165と分岐管167とが接続された状態である。
次に、上記のプレス機械100Bにおいて、昇降機構14Cによるラム11の昇降動作を説明する。制御装置3は、レディ状態において、ラム11が待機位置P1(図3参照)で停止するように昇降機構14Cを制御する。この場合、図11に示すように、制御装置3は、サーボモータ41が停止するようにモータ駆動機構40を制御する。また、制御装置3は、第1切換弁S11をオフの状態として、第2切換弁S12が第3状態とし、かつ、ポンプ152のモータ152cが停止するように油圧駆動機構150を制御する。この状態では、ラム11が待機位置P1で停止した状態となり、第1シリンダ室51a内の油圧と第2シリンダ室51b内の油圧とが一定に保持された状態となる。
次に、作業者により運転開始の入力が行われた場合、制御装置3は、ラム11が待機位置P1から加圧開始位置P2(図3参照)まで高速で移動するように昇降機構14Cを制御する。図12は、ラム11の高速下降時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構150を示す図である。制御装置3は、ナット42bが所定の加速度で下降を開始し、下降速度が所定値に到達してからは一定の移動速度で下降するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で下降させてもよいし、加速度を変化させながら下降させてもよい。また、制御装置3は、第1切換弁S11をオンの状態に切り換え、第2切換弁S12が第2状態となるように油圧駆動機構150を制御する。制御装置3は、モータ駆動機構40によるナット42bの移動速度に応じた流量の作動油が流れるようにポンプ152のモータ152cを制御する。
この動作により、図12の白抜き矢印に示すように、ラム11が高速下降する。ラム11の下降により、ピストン51cが下方に移動する。ピストン51cの下降により、第2シリンダ室51b内の作動油が第1配管161を介して排出される。この作動油は、ポンプ152の入力部152bに流れ込み、出力部152aから送り出される。ポンプ152の出力部152aから送り出された作動油は、第2配管162から第2切換弁S12により第3配管163を介して第1シリンダ室51aに供給される。
なお、第2シリンダ室51bは第1シリンダ室51aよりもピストン51cに対する受圧面積が小さい。そのため、第2シリンダ室51bから排出される作動油を第1シリンダ室51aに供給するだけでは、第1シリンダ室51aの圧力が第2シリンダ室51bの圧力よりも低くなる。このため、第1シリンダ室51aには、タンク接続管60を介してタンク55から作動油が供給される。また、ポンプ152の駆動により、作動油がタンク接続管168から入力部152bに供給される場合がある。
また、第2シリンダ室51bから排出される作動油の一部は、第1配管161からアキュムレータ158に作動油が流れ込む。このため、アキュムレータ158の圧力が上昇する。なお、ラム11が加圧開始位置に近づいた場合、制御装置3は、ナット42bの移動速度が所定の減速度で減速し、加圧開始位置で停止するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の減速度で減速させてもよいし、減速度を変化させながら減速させてもよい。また、制御装置3は、ポンプ152による作動油の供給量が低下するように油圧駆動機構150を制御する。
次に、制御装置3は、ラム11が加圧開始位置から低速で加圧下降し、ワークWの加工を行うように昇降機構14Cを制御する。図13は、ラム11の加圧下降時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構150を示す図である。制御装置3は、ナット42bが一定の速度で下降するようにサーボモータ41を制御する。また、制御装置3は、第1切換弁S11をオフの状態に切り換え、第2切換弁S12を第2状態のままで維持するように油圧駆動機構150を制御する。
この動作により、図13の白抜き矢印に示すように、ラム11が一定の速度で下降する。ラム11の下降により、ピストン51cが下方に移動する。また、高速移動の場合とは異なり、第2シリンダ室51b内の作動油は、第1配管161から分岐管164及びリリーフ弁171を介してタンク54に排出される。また、ポンプ152の駆動により、タンク54から作動油がタンク接続管168を介して入力部152bに流れ込み、出力部152aから送り出される。ポンプ152の出力部152aから送り出された作動油は、第2配管162から第2切換弁S12により第3配管163を介して第1シリンダ室51aに供給される。
第1シリンダ室51a内に作動油が供給されることにより、第1シリンダ室51aが加圧されてラム11が下降し、このとき上型13と下型6とでワークWを挟み込み(図1参照)、ラム11が下死点P3(図3参照)まで下降する間に、ワークWに対して曲げ加工を施す。なお、ラム11の加圧下降時においては、ワークWに対する加圧力を主に油圧駆動機構150により付与している。
次に、ワークWに対する曲げ加工が終了して、ラム11の移動を停止させた後、圧抜きが行われる。図14は、ラム11の圧抜き時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構150を示す図である。制御装置3は、ナット42bが所定の加速度で上昇開始し、速度が所定値に到達してからは一定の速度で上昇するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で上昇させてもよいし、加速度を変化させながら上昇させてもよい。また、制御装置3は、図14に示すように、第1切換弁S11をオフの状態に切り換え、第2切換弁S12を第3状態とするように油圧駆動機構150を制御する。また、制御装置3は、モータ152cの回転を停止するように油圧駆動機構150を制御する。
この動作により、図14の白抜き矢印に示すように、ラム11が一定の速度で上昇する。ラム11の上昇により、ピストン51cが上方に移動する。第1シリンダ室51a内の作動油は、第3配管163に排出され、一部が第2切換弁S12により分岐管167及び分岐管166を介してタンク54に排出される。また、第3配管163の作動油の残りの一部が第2切換弁S12により分岐管165及び第1配管161を介して第2シリンダ室51bに供給される。このとき、アキュムレータ158内の作動油が第1配管161に流出し、第1配管161及び第2シリンダ室51b内の圧力を調整する。
ワークWに対する圧抜きが行われた後、ラム11を高速上昇させる。図15は、ラム11の高速上昇時におけるモータ駆動機構40及び油圧駆動機構150を示す図である。制御装置3は、ナット42bが所定の加速度で上昇するようにサーボモータ41を制御する。なお、制御装置3は、ナット42bを一定の加速度で上昇させてもよいし、加速度を変化させながら上昇させてもよい。また、制御装置3は、図15に示すように、第1切換弁S11をオフの状態に切り換え、第2切換弁S12を第1状態とするように油圧駆動機構150を制御する。また、制御装置3は、モータ駆動機構40によるナット42bの移動速度に応じた流量の作動油が送り出すようにポンプ152のモータ152cを制御する。
この動作により、図15の白抜き矢印に示すように、ラム11が高速上昇する。ポンプ152の駆動により、タンク54からタンク接続管168及び第1配管161を介してポンプ152の入力部152bに作動油が流れ込み、出力部152aから送り出される。ポンプ152の出力部152aから送り出された作動油は、第2配管162から第2切換弁S12により分岐管165及び第1配管161を介して第2シリンダ室51bに供給される。このとき、アキュムレータ158内の作動油が第1配管161に排出され、第1配管161を介して第2シリンダ室51bの圧力を調整する。
また、ポンプ152の駆動により分岐管165の圧力が上昇し、プレフィル接続管60P内の圧力が所定値を超えるとプレフィル弁78を開放させる。従って、ピストン51cが上昇した際、第1シリンダ室51a内の作動油は、プレフィル弁78及びタンク接続管60を介してタンク55に排出される。なお、圧抜き後にラム11を上昇させる際、モータ駆動機構40の昇降駆動力及び油圧駆動機構150の昇降駆動力の双方を用いることによりラム11を上昇させるので、ラム11の上昇時の加速度を大きくすることができ、上型13を早期にワークWから離すことが可能となる。
このように、本実施形態によれば、ポンプ152として一方向ポンプを用いた場合においても、油圧駆動機構150によってワークに対する加圧力を確保しつつ、ラム11の昇降時(特に上昇時)における加速度を大きくできるので、サーボモータ41の容量又は回転数を大きくすることなくラム11の昇降時における高速化を図ることができる。ポンプ152が一方向ポンプであるので、回転方向を変える必要がなく、ポンプ152の制御が容易となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態に限定されない。また、上記した実施形態で説明した構成は、適宜組み合わせることができる。