JP7107753B2 - 電子デバイスの製造方法及びインクジェット印刷装置の駆動方法 - Google Patents

電子デバイスの製造方法及びインクジェット印刷装置の駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイスの製造方法及びインクジェット印刷装置の駆動方法に関する。
電子デバイスは、基板上に設けられた第1電極層及び第2電極層と、第1電極層及び第2電極層の間に設けられた一つ又は複数の機能層とを備える。この電子デバイスを製造する際に、第1電極層、一つ又は複数の機能層及び第2電極層のうちの少なくとも一つの層は、例えば特許文献1に記載されているように、インクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷法を用いて形成され得る。
特開平10-153967号公報
インクジェット印刷法で層を形成する工程を含む電子デバイスの製造方法では、層を形成しない場合、インクの吐出を停止してインクジェット印刷装置を待機させる場合がある。このようにインクジェット印刷装置を待機させる場合には、インクジェット印刷装置が有するインクジェットヘッド内の圧電素子に電圧を供給して圧電素子を予備振動させることが知られている。
しかしながら、上記のように待機させた場合には、インクジェット印刷装置が有するインクが凝集したり、固形化したりする場合があった。この場合、インク吐出口が詰まり、インクジェット印刷装置を再度使用する際にインクの吐出に不具合が生じ、電子デバイスの生産効率が低下していた。
そこで、本発明の一側面は、生産効率を向上可能な電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の側面は、待機させている間におけるインク吐出口の詰まりを防止可能なインクジェット印刷装置の駆動方法を提供する。
本発明の一側面に係る電子デバイスの製造方法は、基板上に設けられた第1電極層及び第2電極層と、上記第1電極層及び上記第2電極層の間に設けられた一つ又は複数の機能層とを備える電子デバイスを製造する電子デバイスの製造方法であり、上記第1電極層、上記一つ又は複数の機能層及び上記第2電極層のうちの少なくとも一つの層を、インクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷法によって形成する層形成工程と、上記インクジェット印刷装置からのインクの吐出を停止し、上記インクジェット印刷装置を待機させる待機工程と、を備え、上記待機工程では、上記インクジェット印刷装置に電力を供給するとともに、上記インクジェット印刷装置が有するインクジェットヘッドの圧電素子への電圧供給を遮断する。
待機工程では、圧電素子への電圧供給は遮断している。そのため、圧電素子に電圧が印加されている場合に比べて圧電素子近傍に電界はほとんど存在しない。よって、圧電素子近傍にインクが存在しても、インク内の成分が電気的な力による凝集及び上記電界に起因した化学反応などによる上記成分の固形化等が抑制される。その結果、待機工程の後に再度層形成工程を実施する場合、上記凝集及び固形化などに伴う不具合(例えばインク吐出口の詰まり等)を解消する作業を行うことなく、層形成工程を実施できる。或いは少なくとも上記不具合を解消する作業の回数を低減できる。そのため、電子デバイスの生産効率が向上する。
上記層形成工程では、上記インクジェット印刷装置からインクを吐出して上記少なくとも一つの層を形成する前に、上記インクジェット印刷装置から上記少なくとも一つの層の形成領域外にインクを吐出してもよい。待機工程では、圧電素子への電圧供給を遮断しているため、いわゆる予備振動を行っていない。そのため、インクのメニスカス形状が所望の状態と異なっている場合がある。そこで、層形成工程において、上記インクジェット印刷装置からインクを吐出して上記少なくとも一つの層を形成する前に、上記インクジェット印刷装置から上記少なくとも一つの層の形成領域外にインクを吐出することで、所望のメニスカス形状となるように安定化させてから、上記少なくとも一つの層を形成可能である。
上記インクジェット印刷装置から吐出するインクは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子輸送層を形成するためのインクであり得る。このようなインクは、インクジェット印刷装置を待機させる際に圧電素子に電圧を供給していると、前述した凝集及び固形化等が生じやすい。よって、上記待機工程を含む電子デバイスの製造方法は、層形成工程で使用するインクが正孔注入層、正孔輸送層又は電子輸送層を形成するためのインクである場合に有効である。
上記インクジェット印刷装置から吐出するインクは、芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含んでもよい。このようなインクは、インクジェット印刷装置を待機させる際に圧電素子に電圧を供給していると、前述した凝集及び固形化等が生じやすい。よって、上記待機工程を含む電子デバイスの製造方法は、層形成工程で使用するインクが芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含むインクである場合に有効である。
上記インクジェットヘッドに含まれる圧電素子が絶縁処理されていてもよい。この場合、より一層、インクの凝集などが生じにくくなる。
上記待機工程では、上記インクジェット印刷装置を1時間以上、待機させてもよい。圧電素子に電圧を供給しながら1時間以上、インクジェット印刷装置を待機させると、前述した凝集及び固形化等が生じやすい。よって、上記待機工程を含む電子デバイスの製造方法は、上記インクジェット印刷装置を1時間以上、待機させる場合に有効である。
上記インクジェット印刷装置は、インクの供給部と上記インクを吐出するインクジェットヘッドとの間で上記インクを循環させる循環型インクジェット装置であり得る。
本発明の他の側面に係るインクジェット印刷装置の駆動方法は、インクジェット印刷装置からインクを吐出する吐出工程と、上記インクジェット印刷装置から上記インクの吐出を停止し、上記インクジェット印刷装置を待機させる待機工程と、を有し、上記待機工程では、上記インクジェット印刷装置に電力を供給するとともに、上記インクジェット印刷装置が有するインクジェットヘッドの圧電素子への電圧供給を遮断する。
待機工程では、圧電素子への電圧供給は遮断している。そのため、圧電素子に電圧が印加されている場合に比べて圧電素子近傍に電界はほとんど存在しない。よって、圧電素子近傍にインクが存在しても、インク内の成分が電気的な力による凝集及び上記電界に起因した化学反応などによる上記成分の固形化等が抑制される。その結果、待機工程の後に上記吐出工程を実施する場合、上記凝集及び固形化などに伴うインク吐出口の詰まりを解消する作業を行うことなく、吐出工程を実施可能である。
本発明の一側面によれば、生産効率を向上可能な電子デバイスの製造方法を提供できる。本発明の他の側面によれば、待機させている間におけるインク吐出口の詰まりを防止可能なインクジェット印刷装置の駆動方法を提供できる。
図1は、一実施形態に係る電子デバイスの製造方法を利用して製造される有機ELデバイス(電子デバイス)の概略構成を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る電子デバイスの製造方法が有する層形成工程で使用されるインクジェット装置の一例を説明するための模式図である。 図3は、一実施形態に係る電子デバイスの製造方法が有する層形成工程を説明するための模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、一実施形態に係る電子デバイスの製造方法を用いて製造される有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、「有機ELデバイス」とも称す)の概略構成を示す模式図である。有機ELデバイス10は、基板12と、陽極層(第1電極層)14と、デバイス機能部16と、陰極層(第2電極層)18とを有する。陽極層14、デバイス機能部16及び陰極層18は、陽極層14、デバイス機能部16及び陰極層18の順に基板12上に積層されている。有機ELデバイス10は、トップエミッション型の有機ELデバイスでもよいし、ボトムエミッション型の有機ELデバイスでもよい。以下では、断らない限り、有機ELデバイス10は、ボトムエミッション型の有機ELデバイスである。
[基板]
基板12は、有機ELデバイス10が出射する光(波長400nm~800nmの可視光を含む)に対して透光性を有する。基板12の厚さの例は、30μm~1100μmである。
基板12は、例えばガラス基板及びシリコン基板などのリジッド基板であってもよいし、又は、プラスチック基板及び高分子フィルムなどの可撓性基板であってもよい。可撓性基板とは、基板に所定の力を加えても基板が剪断したり破断したりすることがなく、基板を撓めることが可能な性質を有する基板である。
基板12がリジッド基板である場合、基板12の厚さは、例えば50μm~1100μmである。基板12が可撓性基板である場合、基板12の厚さは、例えば30μm~700μmである。
基板12上には、水分バリア機能を有するバリア層が形成されていてもよい。バリア層は、水分をバリアする機能に加えて、ガス(例えば酸素)をバリアする機能を有してもよい。
[陽極層]
陽極層14は基板12上に設けられている。陽極層14には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等を含む薄膜を用いることができる。光透過性を示す電極としては、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極層14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。陽極層14の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。陽極層14の厚さは、通常、10nm~10μmであり、好ましくは20nm~1μmであり、さらに好ましくは50nm~500nmである。
陽極層14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極層14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極層14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極層14は、透明導電膜として形成され得る。
[デバイス機能部]
デバイス機能部16は、陽極層14及び陰極層18に印加された電圧に応じて、電荷の移動及び電荷の再結合などの有機ELデバイス10の発光に寄与する機能部である。デバイス機能部16は機能層である発光層を有する。後述するように、デバイス機能部16は発光層以外の機能層を有してもよい。すなわち、デバイス機能部16は、一つ又は複数の機能層を有する。
発光層は、光(可視光を含む)を発する機能を有する機能層である。発光層は、有機層であり、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する有機物、又はこの有機物とこれを補助するドーパント材料とから構成される。ドーパント材料は、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。上記有機物は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。発光層の厚さは、例えば2nm~200nmである。
主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する発光性材料である有機物としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料及び高分子系材料が挙げられる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などが挙げられる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体が挙げられ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などが挙げられる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどが挙げられる。
デバイス機能部16は、発光層の他、少なくとも一つの機能層を有してもよい。すなわち、デバイス機能部16は多層構造を有してもよい。例えば、陽極層14と発光層の間には、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも一つが設けられてもよい。発光層と陰極層18との間には、電子輸送層及び電子注入層のうちの少なくとも一つが設けられてもよい。
正孔注入層は、陽極層14から発光層への正孔注入効率を向上させる機能を有する機能層である。正孔注入層は、無機層でもよいし、有機層でもよい。正孔注入層を構成する正孔注入材料は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。
低分子化合物としては、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン化合物、カーボンなどが挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のようなポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子などが挙げられる。
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なる。正孔注入層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定されればよい。正孔注入層の厚さは、例えば1nm~1μmであり、好ましくは2nm~500nmであり、さらに好ましくは5nm~200nmである。
正孔輸送層は、正孔注入層(正孔注入層が存在しない形態では陽極層14)から発光層への正孔注入効率を向上させる機能を有する機能層である。
正孔輸送層は正孔輸送材料を含む有機層である。正孔輸送材料は正孔輸送機能を有する有機化合物であれば限定されない。正孔輸送機能を有する有機化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、及びポリ(2,5-チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
正孔輸送材料の例として、特開昭63-70257号公報、特開昭63-175860号公報、特開平2-135359号公報、特開平2-135361号公報、特開平2-209988号公報、特開平3-37992号公報、特開平3-152184号公報に記載されている正孔輸送材料等も挙げられる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なる。正孔輸送層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定されればよい。正孔輸送層の厚さは、例えば、1nm~1μmであり、好ましくは2nm~500nmであり、さらに好ましくは5nm~200nmである。
電子輸送層は、電子注入層(電子注入層が存在しない形態では陰極層18)から発光層への電子注入効率を向上させる機能を有する機能層である。
電子輸送層は電子輸送材料を含む有機層である。電子輸送材料には、公知の材料が用いられ得る。電子輸送材料は、例えば、芳香族炭化水素化合物にアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩がドープされた材料が挙げられる。電子輸送材料の具体例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などが挙げられる。
電子輸送層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され得る。電子輸送層の厚さは、例えば1nm~1μmであり、好ましくは2nm~500nmであり、さらに好ましくは5nm~200nmである。
電子注入層は、陰極層18から発光層への電子注入効率を向上させる機能を有する機能層である。
電子注入層は無機層でもよいし、有機層でもよい。電子注入層を構成する材料は、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択される。電子注入層を構成する材料の例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、又はこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
この他に従来知られた電子輸送性の有機材料と、アルカリ金属の有機金属錯体を混合した層を電子注入層として利用できる。
デバイス機能部16の層構成の例を以下に示す。下記層構成の例では、陽極層14及び陰極層18と各種機能層の配置関係を示すために、陽極層及び陰極層も括弧書きで記載している。
(a)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層(又は正孔輸送層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/発光層/電子輸送層(又は電子注入層)/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。
デバイス機能部16が有する発光層の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。上記構成例(a)~(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層14と陰極層18との間に配置された積層体を[構造単位I]と称すると、2層の発光層を有するデバイス機能部16の構成として、下記(j)に示す層構成が挙げられる。2つの構造単位Iの層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)(陽極層)/[構造単位I]/電荷発生層/[構造単位I]/(陰極層)
電荷発生層は、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどを含む薄膜が挙げられる。
「[構造単位I]/電荷発生層」を[構造単位II]とすると、3層以上の発光層を有する有機ELデバイスの構成として、以下の(k)に示す層構成が挙げられる。
(k)(陽極層)/[構造単位II]x/[構造単位I]/(陰極層)
記号「x」は、2以上の整数を表し、「[構造単位II]x」は、[構造単位II]がx段積層された積層体を表す。複数の構造単位IIの層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接的に積層させてデバイス機能部16を構成してもよい。
[陰極層]
陰極層18は、デバイス機能部16上に設けられている。陰極層18の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極層18の厚さは、通常、10nm~10μmであり、好ましくは20nm~1μmであり、さらに好ましくは50nm~500nmである。
デバイス機能部16からの光(具体的には、発光層からの光)が陰極層18で反射して陽極層14側に進むように、陰極層18の材料は、デバイス機能部16が有する発光層からの光(特に可視光)に対して反射率の高い材料が好ましい。陰極層18の材料としては、例えばアルミニウム、銀等が挙げられる。陰極層18として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。
有機ELデバイス10は、デバイス機能部16の水分などによる劣化を防止するための封止部材を備えてもよい。封止部材は、少なくともデバイス機能部16を封止するように陰極層18上に設けられ得る。有機ELデバイス10が封止部材を備える形態では、例えば、陽極層14及び陰極層18の一部は、外部接続のために封止部材から引き出され得る。
次に、有機ELデバイス10の製造方法の一例を説明する。有機ELデバイス10を製造する場合、基板12上に陽極層14を形成する(陽極層形成工程)。その後、陽極層14上に、デバイス機能部16を形成する(デバイス機能部形成工程)。続いて、デバイス機能部16上に陰極層18を形成する(陰極層形成工程)。このような工程を経ることで、有機ELデバイス10が製造される。
有機ELデバイス10が上記封止部材を有する形態では、上記陰極層形成工程の後に、封止部材でデバイス機能部16を封止する封止工程を実施すればよい。
有機ELデバイス10の製造に例えば長尺の基板12を用いる場合には、例えば長尺の基板12上に複数のデバイス形成領域を仮想的に設定し、デバイス形成領域毎に陽極層14、デバイス機能部16及び陰極層18を形成する。これにより、デバイス形成領域毎に有機ELデバイス10が形成されることから、デバイス形成領域毎に長尺の基板12を個片化することによって、複数の有機ELデバイス10が製造され得る。
上記長尺の基板12が可撓性を有する形態では、陽極層形成工程、デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程の少なくとも一つの工程は、例えばロールツーロール方式で実施されてもよい。デバイス機能部16が複数の機能層を有する形態では、複数の機能層をそれぞれ形成する工程の少なくとも一つの工程は、ロールツーロール方式で実施されてもよい。
次に、有機ELデバイス10の製造方法をより具体的に説明する。
有機ELデバイス10の製造において、陽極層14、デバイス機能部16が有する一つ又は複数の機能層及び陰極層18のうちの少なくとも一つの層(以下、説明の便宜のため、「所定層」と称す)は、インクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷法により形成される。このようにインクジェット印刷法で所定層を形成する場合、上記インクジェット印刷装置は、例えば前述した有機ELデバイス10の製造工程に沿って有機ELデバイス10を一旦製造した後、次の有機ELデバイス10を製造するまで、待機する。
すなわち、有機ELデバイス(電子デバイス)10の製造方法は、インクジェット印刷法で上記所定層を形成する層形成工程と、インクジェット印刷装置を待機させる待機工程とを備える。上記層形成工程及び待機工程を説明する。
[層形成工程]
電子輸送層(機能層)をデバイス機能部16が有し、その電子輸送層をインクジェット印刷法で形成する場合(すなわち、電子輸送層が上記所定層である場合)を図2及び図3を利用して説明する。以下、説明の便宜のため、電子輸送層となる塗布膜を塗布膜20と称し、電子輸送層を電子輸送層22と称す。
図2は、層形成工程で使用するインクジェット印刷装置24の概略構成を説明するための模式図である。図3は、層形成工程を説明するための図面である。図3では、電子輸送層22が形成される長尺の下地基板26を模式的にフィルム(又は板)状の部材として図示している。下地基板26は、陽極層14と、デバイス機能部16のうち電子輸送層22と陽極層14との間に設けられる少なくとも一つの機能層とが設けられた基板12である。層形成工程で電子輸送層22以外の層を形成する形態では、下地基板26は、基板12と、層形成工程までに基板12に設けられた少なくとも一つの層とを含む基板である。
インクジェット印刷装置24は、図2に示したように、インクジェットヘッド28と、インク供給部30と、制御部32とを備える。制御部32は、インクジェット印刷装置24を制御する。
インクジェットヘッド28は、一方向に延びている。インクジェットヘッド28には、上記一方向(下地基板26の幅方向)に離散的に配置された複数のインク吐出口34が形成されており、各インク吐出口34に対応して圧電素子36(例えばピエゾ素子)が設けられている。インク吐出口34の直径は例えば5μmφ~200μmφである。例えばインクジェットヘッド28内部の接液部(圧電素子36、配線部など)は絶縁処理(例えば上記接液部を絶縁物で被覆する処理)がされていてもよい。圧電素子36を絶縁物で被覆する際には、圧電素子36と配線部との接続箇所以外を絶縁物で被覆すればよい。この圧電素子36を振動させることで、インク吐出口34からインクが吐出される。複数のインク吐出口34それぞれからのインクの吐出量(吐出量が0の場合を含む)は制御部32で制御される。
図3に示したように、インクジェットヘッド28は、下地基板26のうち電子輸送層22が形成される側の面に対向配置され、インクジェットヘッド28の延在方向が下地基板26の幅方向(長手方向に直交する方向)に実質的に一致するように、配置される。
上記のように配置されたインクジェットヘッド28が有する複数のインク吐出口34それぞれからのインクの吐出量(吐出量が0の場合を含む)を制御部32で制御することによって、下地基板26における所定層の形成領域上に所定パターンで塗布できる。
インク供給部30はインクジェットヘッド28にインクを供給する。インク供給部30は、例えばインクが貯留されるタンクを含む。インク供給部30とインクジェットヘッド28とは、それらの間でインクを循環させるための配管38で接続されている。すなわち、インクジェット印刷装置24は循環型インクジェット装置である。配管38にはポンプといった流量調整部40が設けられている。制御部32が流量調整部40を制御することによって、インクジェットヘッド28に供給されるインクの流量が調整され得るとともに、インク供給部30とインクジェットヘッド28との間でインクが循環する。
インクジェット印刷装置24は、複数のインクジェットヘッド28を備えてもよい。この場合、複数のインクジェットヘッド28は、下地基板26の長手方向に沿って配置される。複数のインクジェットヘッド28を備えるインクジェット印刷装置24が循環型である形態では、複数のインクジェットヘッド28とインク供給部30との間でインクが循環すればよい。
図3に示したように、層形成工程では、下地基板26をその長手方向に搬送しながら、インクジェット印刷装置24から電子輸送層22の材料を含むインクを、下地基板26(又は基板12)における所定層の形成領域上に塗布し、塗布膜20を形成する。電子輸送層22の材料を含むインクは、例えば芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含むインクである。その後、塗布膜20を、乾燥装置42内で乾燥させることによって、電子輸送層22を得る。乾燥装置42は、例えば赤外線を利用した乾燥装置でもよいし、他の方法(熱風、ホットプレートなど)を利用したものでもよい。乾燥装置42は、異なる乾燥方法を組み合わせてもよい。
ここでは、電子輸送層が上記所定層である場合(層形成工程がデバイス機能部形成工程に含まれる場合)を説明した。しかしながら、陽極層14、デバイス機能部16が有する一つ又は複数の機能層及び陰極層18のうちの少なくとも一つの層が層形成工程によって形成されればよい。換言すれば、層形成工程は、陽極層形成工程及び陰極層形成工程の少なくとも一方に含まれてもよい。
デバイス機能部16が有する一つ又は複数の機能層及び陽極層14のうち上記所定層以外の層は、例えばドライ成膜法、メッキ法、インクジェット印刷法以外の塗布法などにより形成され得る。ドライ成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などが挙げられる。インクジェット印刷法以外の塗布法としては、例えば、スリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズル印刷法等が挙げられる。
陰極層18が上記所定層以外の層である場合、陰極層18は、例えば、スリットコーター法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スプレーコーター法等の塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等によって形成され得る。
[待機工程]
待機工程では、インクジェット印刷装置24が有する全てのインク吐出口34からのインクの吐出を停止する。待機工程では、インクジェット印刷装置24には電力を供給する一方、圧電素子36への電圧供給を遮断する。圧電素子36への電圧供給の遮断とは、圧電素子36に供給される電圧が0.5V以下であることを意味する。インクジェット印刷装置24が循環型インクジェット印刷装置である形態では、インクジェット印刷装置24に供給された電力によって、待機工程の間、インクを循環させてもよい。待機工程では、インクジェット印刷装置24を例えば1時間以上、待機させる。待機工程では、インクジェット印刷装置24を1日以上待機させる場合、3日以上待機させる場合、例えば6日以上待機させる場合もあり得る。
待機工程の一例は、前述したように、例えば、陽極層形成工程、デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程を含む有機ELデバイス10の製造工程を実施して一旦有機ELデバイス10を製造した後、同様の製造工程を実施して次の有機ELデバイス10を製造するまでインクジェット印刷装置24を待機させる工程である。
この場合、陽極層形成工程、デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程を含む有機ELデバイス10の製造工程を実施して一旦有機ELデバイス10を製造する工程を第1のデバイス製造工程と称し、次に有機ELデバイス10を製造する工程を第2のデバイス製造工程と称すると、有機ELデバイスの製造方法は、第1のデバイス製造工程と待機工程と第2のデバイス製造工程とを備える。第1のデバイス製造工程及び第2のデバイス製造工程が有する陽極層形成工程、デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程のうちの少なくとも一つの工程が上記層形成工程である。
待機工程は、上記第1及び第2のデバイス製造工程の間においてインクジェット印刷装置24を待機させる場合に限らない。例えば、陽極層形成工程、デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程を実施して有機ELデバイス10を製造する際(換言すれば、第1及び第2のデバイス製造工程それぞれを実施する際)に、製造ライン上の他装置のトラブルや条件変更又は検査などのために、インクジェット印刷装置24を待機させる場合も含む。
待機工程では、前述のように、圧電素子36への電圧供給は遮断している。そのため、圧電素子36に電圧が印加されている場合に比べて圧電素子36近傍には電界が実質的に生じていない。よって、圧電素子36近傍にインクが存在しても、インクに含まれる成分が電気的な力によって凝集したり、上記電界に起因した化学反応などにより上記成分が固形化したりすることが抑制される。これにより、インクの上記凝集及び固形化などに基づいた不具合(例えばインク吐出口34の詰まり)を防止できる。上記不具合の防止は、一回の待機工程の実施による不具合に限定されない。すなわち、本実施形態の待機工程では、前述したように、待機工程において、インクの凝集・固形化自体を抑制できている。そのため、例えば待機工程を繰り返しても、凝集又は固形化したインクが蓄積することが防止され、上記不具合を防止できる。その結果、待機工程の後に再度上記層形成工程を実施する場合、上記不具合を解消する作業を行うことなく層形成工程を実施できることから、或いは少なくとも上記不具合を解消する作業の回数を低減できることから、有機ELデバイス10の生産効率が向上する。
待機工程では、圧電素子36への電圧供給を遮断していることから、圧電素子36の予備振動を行っていない。そのため、インクのメニスカス形状が所望の状態と異なっている場合がある。そこで、待機工程を含む有機ELデバイス10の製造方法では、層形成工程において、インクジェット装置からインクを吐出して所定層(例えば電子輸送層)を形成する前に、上記所定層の形成領域外に一旦インクを吐出する工程を実施することが好ましい。これにより、待機工程の後に再度層形成工程を実施しても、所望のメニスカス形状でインクを吐出できる。
上記形成領域外にインクを吐出するとは、下地基板26における所定層の形成領域外にインクを吐出する場合に限らず、例えば、インクジェットヘッド28が移動可能に設置されている場合には、下地基板26とは別の場所で一旦インクを吐出する場合も含む。
上記インクジェット印刷装置24から吐出するインクが、電子輸送層22を形成するためのインクである場合(例えば、芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含むインクである場合)、インクジェット印刷装置24を待機させる際に圧電素子36に電圧を供給していると、前述した凝集及び固形化等が生じやすい。よって、インクジェット印刷装置24を待機させる際に圧電素子への電圧供給を遮断する待機工程を含む有機ELデバイス(電子デバイス)10の製造方法は、層形成工程で使用するインクが電子輸送層22を形成するためのインクである場合に有効である。同様の理由により、上記待機工程を含む有機ELデバイス(電子デバイス)10の製造方法は、層形成工程で使用するインクが正孔注入層又は正孔輸送層を形成するためのインクである場合に有効である。
次に、待機工程において、圧電素子36への電圧供給を遮断することの作用効果を、実験例を参照して更に説明する。ただし、本発明は以下の実験例に限定されない。
[実験例1]
実験例1では、循環型のインクジェット印刷装置を使用した。実験例1のインクジェット装置では、圧電素子に電圧を供給する電極が絶縁処理されていないインクジェットヘッドを使用した。インクジェットヘッドには、複数個のインク吐出口が形成されていた。実験例1では、インクジェット印刷装置から、搬送されている吸水シート上に、電子輸送層用のインクを吐出した。インクは芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩を含んでいた。
インク吐出口が詰まっているとインクが吐出されないので、吸水シートにインクが吸収されていない箇所が生じ、その箇所はスジとして現れる。上記インクの初期吐出により、吸水シートにスジが生じていないこと(すなわち、インク吐出口が詰まっていないこと)を確認した。
その後、インクジェット印刷装置に電力を供給してインクを循環させる一方、圧電素子への電圧供給を遮断しながらインクジェット印刷装置を待機させた。すなわち、上記待機工程を実施した。待機工程を実施した後、インクジェット印刷装置から吸水シートにインクを吐出し、吸水シートのスジの有無によりインク吐出口の詰まり状態を確認した。実験例1では、上記待機とインク吐出とを1日毎に繰り返した。実験例1では、インクジェット印刷装置の経時の変化を同一インクジェットヘッドで1日毎に10日間経過観察を行った。
[実験例2]
実験例2では、循環型のインクジェット印刷装置を使用した。実験例2のインクジェット装置では、圧電素子が絶縁処理されているインクジェットヘッドを使用した点以外は、実験例1と同様の実験を行った。
[実験例3]
実験例3は、実験例1に対する比較実験である。実験例3では、実験例1と同じ型のインクジェット印刷装置を使用した。実験例3では、インクジェット印刷装置を待機させる際に、圧電素子へ電圧を供給し、圧電素子を予備振動させた点以外は、実施例1と同様の実験を行った。
[実験例1,2及び実験例3の結果の比較]
待機工程において圧電素子に電圧を供給した実験例3では、一日待機を4回繰り返した後に、インクジェット印刷装置から吸水シートにインクを吐出すると、吸水シートにスジが確認された。そして、上記スジは経過観察の日数が増えるにつれて増加した。すなわち、実験例3では、インクジェット印刷装置の待機中にインクの凝集・固形化が生じており、それが蓄積して、インクジェット装置を4回待機させるとインク吐出口の詰まりが生じたと考えられる。
これに対して、上記実験例1,2は、経過日数に関わらず全ての観察において待機後のインクジェット印刷装置からインクを吸水シートに吐出しても、吸水シートに上記スジが生じていなかった。
したがって、実験例1,2及び実験例3の結果より、圧電素子への電圧供給を遮断してインクジェット印刷装置を待機させる待機工程を実施することによって、インク吐出口の詰まり(換言すれば、インクの凝集・固形化)をより確実に防止可能であることが理解され得る。
実験例1と実験例3では、待機工程において圧電素子への電圧の印加の有無以外は同じ条件で実験を行った。よって、実験例3でのインク吐出口の詰まりは、待機工程で圧電素子へ電圧印加することで、圧電素子近傍に電界が生じていることに起因すると考えられる。そのため、圧電素子が絶縁処理されていると、より一層インク吐出口の詰まりが生じにくい。よって、圧電素子への電圧供給を遮断してインクジェット印刷装置を待機させる際にも、圧電素子が絶縁処理されていることによって、より一層、待機工程におけるインクの凝集・固形化に起因する不具合を防止できることが理解され得る。
以上、本発明の種々の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、例示した種々の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施形態で説明した層形成工程及び待機工程を電子デバイス(例えば有機ELデバイス)の製造方法が含む場合、インクジェット印刷装置は、インクを吐出する吐出工程と、インクジェット印刷装置からインクの吐出を停止し、インクジェット印刷装置を待機させる待機工程とを含む駆動方法によって駆動される。更に、この駆動方法が備える待機工程においても、インクジェット印刷装置に電力を供給するとともに、インクジェットヘッドの圧電素子への電圧供給が遮断されている。したがって、上記実施形態では、本発明の一側面を電子デバイスの製造方法に着目して説明したが、本発明はインクジェット印刷装置の駆動方法にも係る。インクジェット印刷装置の駆動方法では、待機工程で圧電素子への電圧供給を遮断しているので、待機工程におけるインク吐出口の詰まりを防止可能である。
待機工程におけるインクジェット印刷装置の待機期間は、実験例1,2で例示したような1日に限定されない。前述したように、待機工程におけるインクジェット印刷装置の待機期間は例えば1時間以上でもよい。インクの種類及びインク吐出口の大きさ等によって、待機工程が1時間程度(又はその繰り返し)でも、待機工程で圧電素子に電圧を供給していると、インクの凝集、固形化などが生じる可能性があるからである。
第1電極層が陽極層であり、第2電極層が陰極層である形態を説明したが、第1電極層が陰極層であり、第2電極層が陽極層でもよい。
本発明は、有機ELデバイス以外の有機電子デバイス、例えば、有機太陽電池、有機フォトディテクタ、有機トランジスタなどを製造する場合にも適用可能である。更に、本発明は、デバイス機能部が有する全ての機能層が無機材料によって構成されている電子デバイスの製造にも適用可能である。
10…有機ELデバイス(電子デバイス)、12…基板、14…陽極層(第1電極層)、18…陰極層(第2電極層)、24…インクジェット印刷装置、28…インクジェットヘッド。

Claims (6)

  1. 基板上に設けられた第1電極層及び第2電極層と、前記第1電極層及び前記第2電極層の間に設けられた一つ又は複数の機能層とを備える電子デバイスを製造する電子デバイスの製造方法であって、
    前記第1電極層、前記一つ又は複数の機能層及び前記第2電極層のうちの少なくとも一つの層を、インクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷法によって形成する層形成工程と、
    前記インクジェット印刷装置からのインクの吐出を停止し、前記インクジェット印刷装置を待機させる待機工程と、
    を備え、
    前記待機工程では、前記インクジェット印刷装置に電力を供給するとともに、前記インクジェット印刷装置が有するインクジェットヘッドの圧電素子への電圧供給を遮断し、
    前記インクジェット印刷装置は、インクの供給部と前記インクを吐出するインクジェットヘッドとの間で前記インクを循環させる循環型インクジェット装置であり、
    前記待機工程では、前記インクを循環させ、
    前記インクジェットヘッドに含まれる圧電素子は絶縁処理されている、
    電子デバイスの製造方法。
  2. 前記層形成工程では、前記インクジェット印刷装置からインクを吐出して前記少なくとも一つの層を形成する前に、前記インクジェット印刷装置から前記少なくとも一つの層の形成領域外にインクを吐出する、
    請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
  3. 前記インクジェット印刷装置から吐出するインクは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子輸送層を形成するためのインクである、
    請求項1又は2に記載の電子デバイスの製造方法。
  4. 前記インクジェット印刷装置から吐出するインクは、芳香族炭化水素化合物と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを含む、
    請求項1~3の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
  5. 前記待機工程では、前記インクジェット印刷装置を1時間以上、待機させる、
    請求項1~の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
  6. インクジェット印刷装置からインクを吐出する吐出工程と、
    前記インクジェット印刷装置から前記インクの吐出を停止し、前記インクジェット印刷装置を待機させる待機工程と、
    を有し、
    前記待機工程では、前記インクジェット印刷装置に電力を供給するとともに、前記インクジェット印刷装置が有するインクジェットヘッドの圧電素子への電圧供給を遮断し、
    前記インクジェット印刷装置は、インクの供給部と前記インクを吐出するインクジェットヘッドとの間で前記インクを循環させる循環型インクジェット装置であり、
    前記待機工程では、前記インクを循環させ、
    前記インクジェットヘッドに含まれる圧電素子は絶縁処理されている、
    インクジェット印刷装置の駆動方法。
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