以下に、本発明の実施の形態にかかるヒートシンクおよび半導体モジュールを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる半導体モジュール1を示す分解斜視図である。図1に示された矢印は、冷媒の流れを示している。図1に示すように、半導体モジュール1は、冷却対象である半導体素子2と、ヒートシンク3と、を備える。半導体素子2は、例えば、発光素子、パワー半導体である。発光素子は、例えば、シングルレーザ素子、アレイレーザ素子である。パワー半導体は、Si基板、GaN基板、SiC基板などの基板上に形成される。半導体素子2が駆動されたときに、半導体素子2から熱が発生する。
ヒートシンク3は、半導体素子2で発生した熱を放熱する部材である。ヒートシンク3は、伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33、第2流路形成板34および底板35が重ね合わされて形成されている。半導体素子2に近い方から、伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33、第2流路形成板34および底板35の順に配置されている。伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33、第2流路形成板34および底板35は、いずれも熱伝導率の高い金属材料で形成される。熱伝導率の高い金属材料は、例えば、銅、アルミニウムである。各板31~35は、同種の金属材料で形成されることが好ましい。各板31~35の接合方法は、例えば、拡散接合である。各板31~35の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では矩形である。なお、本実施の形態では、ヒートシンク3を形成する板の枚数を5枚としたが、ヒートシンク3を形成する板の枚数は6枚以上でもよい。ヒートシンク3の内部には、冷媒が流れる冷媒流路4が形成されている。冷媒は、例えば、純水、不凍液である。冷媒流路4については、後に詳しく説明する。
第1部材である伝熱板31は、半導体素子2が配置される第1面31aと、第1面31aの裏面である第2面31bとを有する。伝熱板31には、半導体素子2の熱が直に伝わる。第1面31aは、ヒートシンク3の外部に臨む面である。第2面31bは、ヒートシンク3の内部に臨む面である。伝熱板31と半導体素子2との接合方法は、例えば、半田付けである。伝熱板31には、第1開口8および第2開口9が1つずつ形成されている。第1開口8および第2開口9は、半導体素子2と離れた位置に設けられている。第1開口8および第2開口9は、伝熱板31を、その伝熱板31の板厚方向に貫通している。第1開口8は、本実施の形態では、冷媒をヒートシンク3内に流入させる冷媒流入口となる。第2開口9は、本実施の形態では、冷媒をヒートシンク3外に流出させる冷媒流出口となる。なお、第1開口8を冷媒流出口とし、第2開口9を冷媒流入口としてもよい。
第1流路形成板32は、伝熱板31と中継流路形成板33との間に第1流路5を形成する板である。第1流路形成板32には、第1外周壁15と、複数の第1仕切壁12と、複数の第1フィン13とが形成されている。第1外周壁15、第1仕切壁12および第1フィン13については、後に詳しく説明する。第1流路形成板32には、複数の第1分割領域51、1つの第1共通ヘッダ領域52および1つの第3開口10が形成されている。第1分割領域51、第1共通ヘッダ領域52および第3開口10は、第1流路形成板32を、その第1流路形成板32の板厚方向に貫通している。平面視で、第3開口10は、第1開口8と重なる位置に配置されている。第3開口10は、第1開口8と連通する。第3開口10の周囲には、第1隔壁14bが設けられている。第3開口10は、第1隔壁14bによって第1分割領域51および第1共通ヘッダ領域52と隔てられている。これにより、第3開口10を流れる冷媒と、第1分割領域51および第1共通ヘッダ領域52を流れる冷媒とが交わらないようになっている。第1分割領域51および第1共通ヘッダ領域52については、後に詳しく説明する。
第2部材である中継流路形成板33は、中継流路7を形成する板である。中継流路形成板33は、第2面31bを向く第3面33aと、第3面33aの裏面である第4面33bとを有する。中継流路形成板33には、複数の中継流路7および1つの第4開口11が形成されている。中継流路7および第4開口11は、中継流路形成板33を、その中継流路形成板33の板厚方向に貫通している。平面視で、第4開口11は、第1開口8および第3開口10と重なる位置に配置されている。第4開口11は、第1開口8および第3開口10と連通する。中継流路7については、後に詳しく説明する。
第2流路形成板34は、底板35と中継流路形成板33との間に第2流路6を形成する板である。第2流路形成板34には、第2外周壁20と、複数の第2仕切壁17と、複数の第2フィン18とが形成されている。第2外周壁20、第2仕切壁17および第2フィン18については、後に詳しく説明する。第2流路形成板34には、複数の第2分割領域61および1つの第2共通ヘッダ領域62が形成されている。第2分割領域61および第2共通ヘッダ領域62は、第2流路形成板34を、その第2流路形成板34の板厚方向に貫通している。第2分割領域61および第2共通ヘッダ領域62については、後に詳しく説明する。
第3部材である底板35は、第1流路形成板32、中継流路形成板33および第2流路形成板34を挟んで伝熱板31と反対に配置されている。底板35は、開口のない平板である。
次に、冷媒流路4について詳しく説明する。冷媒流路4は、第1開口8と、第2開口9と、第3開口10と、第4開口11と、第1流路5と、第2流路6と、複数の中継流路7と、を含む。第1流路5は、伝熱板31と中継流路形成板33と第1外周壁15とによって形成される。第2流路6は、中継流路形成板33と底板35と第2外周壁20とによって形成される。複数の中継流路7は、第1流路5と第2流路6とを連通する。
第1開口8、第3開口10および第4開口11は、ヒートシンク3に冷媒を流入するための流入流路となる。第1開口8には、冷媒をヒートシンク3内に供給する図示しないパイプが接続される。第2開口9には、冷媒をヒートシンク3外に排出する図示しないパイプが接続される。第1開口8および第2開口9は、パイプを介して、図示しないリザーブタンクと繋がっている。図示しないポンプを駆動させることにより、冷媒は、リザーブタンクからパイプを通って第1開口8へと供給される。
図2は、実施の形態1にかかる第1流路形成板32を示す斜視図である。第1流路5には、複数の第1分割領域51と、1つの第1共通ヘッダ領域52とが形成されている。複数の第1分割領域51は、第1仕切壁12によって隔てられている。本実施の形態では、第1流路5の一部が4つの第1仕切壁12によって4つの第1分割領域51に分割されている。第1仕切壁12は、第1流路5の一部を複数の第1分割領域51に分割する役割の他に、伝熱板31の熱を冷媒に伝えるフィンとしての役割も果たす。4つの第1仕切壁12は、1つの中心点から放射状に延びている。4つの第1仕切壁12は、1つの中心点を軸とする周方向に沿って90度間隔で配置されている。4つの第1仕切壁12を区別する場合には、第1仕切壁12a,12b,12c,12dと称する。4つの第1分割領域51を区別する場合には、第1分割領域51a,51b,51c,51dと称する。
第1仕切壁12bの先端には、第1分割領域51bと反対側に突出する第1隔壁14aが形成されている。第1仕切壁12cの先端は、第1分割領域51bと隣接する第1隔壁14bに繋がっている。第1仕切壁12dの先端には、第1分割領域51dと反対側に突出する第1隔壁14cが形成されている。第1仕切壁12aの先端は、第1外周壁15に繋がっている。第1仕切壁12a,12bと第1隔壁14aとで仕切られた空間は、第1分割領域51aである。第1仕切壁12b,12cと第1隔壁14bとで仕切られた空間は、第1分割領域51bである。第1仕切壁12c,12dと第1隔壁14cとで仕切られた空間は、第1分割領域51cである。第1仕切壁12a,12dと第1外周壁15とで仕切られた空間は、第1分割領域51dである。
各第1分割領域51には、複数の第1フィン13が配置されている。複数の第1フィン13は、互いに間隔を空けて平行に並べて配置されている。全ての第1分割領域51における第1フィン13の設置間隔は、等しい。第1フィン13は、平板状に形成されている。第1フィン13は、各第1仕切壁12から第1分割領域51に向けて突出している。第1フィン13のうち長さ方向に沿った一端は、第1仕切壁12に繋がっている。第1フィン13のうち長さ方向に沿った他端は、第1共通ヘッダ領域52に臨んでいる。隣り合う第1分割領域51に配置される第1フィン13は、互いに異なる第1仕切壁12から突出している。隣り合う第1分割領域51に配置される第1フィン13の長さ方向の向きは、互いに直交している。隣り合う第1フィン13と第1フィン13との間、および、隣り合う第1フィン13と第1仕切壁12との間には、第1フィン間流路16が形成されている。また、隣り合う第1フィン13と第1隔壁14a~14cのいずれかとの間、および、隣り合う第1フィン13と第1外周壁15との間には、第1フィン間流路16が形成されている。
第1共通ヘッダ領域52は、複数の第1分割領域51を囲うように設けられた領域である。第1共通ヘッダ領域52は、各第1分割領域51における第1フィン間流路16と連通する。図1に示すように、平面視で、第1共通ヘッダ領域52は、第2開口9と重なる位置に配置されている。第1共通ヘッダ領域52は、第2開口9と連通する。
図3は、実施の形態1にかかる第2流路形成板34を示す斜視図である。第2流路6には、複数の第2分割領域61と、1つの第2共通ヘッダ領域62とが形成されている。複数の第2分割領域61は、第2仕切壁17によって隔てられている。本実施の形態では、第2流路6の一部が4つの第2仕切壁17によって4つの第2分割領域61に分割されている。4つの第2仕切壁17は、1つの中心点から放射状に延びている。4つの第2仕切壁17は、1つの中心点を軸とする周方向に沿って90度間隔に配置されている。4つの第2仕切壁17を区別する場合には、第2仕切壁17a,17b,17c,17dと称する。4つの第2分割領域61を区別する場合には、第2分割領域61a,61b,61c,61dと称する。
第2仕切壁17bの先端には、第2分割領域61bと反対側に突出する第2隔壁19aが形成されている。第2仕切壁17cの先端は、第2分割領域61bと隣接する第2隔壁19bに繋がっている。第2仕切壁17dの先端には、第2分割領域61dと反対側に突出する第2隔壁19cが形成されている。第2仕切壁17aの先端は、第2外周壁20に繋がっている。第2仕切壁17a,17bと第2隔壁19aとで仕切られた空間は、第2分割領域61aである。第2仕切壁17b,17cと第2隔壁19bとで仕切られた空間は、第2分割領域61bである。第2仕切壁17c,17dと第2隔壁19cとで仕切られた空間は、第2分割領域61cである。第2仕切壁17a,17dと第2外周壁20とで仕切られた空間は、第2分割領域61dである。
各第2分割領域61には、複数の第2フィン18が配置されている。複数の第2フィン18は、互いに間隔を空けて平行に並べて配置されている。全ての第2分割領域61における第2フィン18の設置間隔は、等しい。第2フィン18は、平板状に形成されている。第2フィン18は、各第2仕切壁17から第2分割領域61に向けて突出している。第2フィン18のうち長さ方向に沿った一端は、第2仕切壁17に繋がっている。第2フィン18のうち長さ方向に沿った他端は、第2共通ヘッダ領域62に臨んでいる。隣り合う第2分割領域61に配置される第2フィン18は、互いに異なる第2仕切壁17から突出している。隣り合う第2分割領域61に配置される第2フィン18の長さ方向の向きは、互いに直交している。隣り合う第2フィン18と第2フィン18との間、および、隣り合う第2フィン18と第2仕切壁17との間には、第2フィン間流路21が形成されている。また、隣り合う第2フィン18と第2隔壁19a~19cのいずれかとの間、および、隣り合う第2フィン18と第2外周壁20との間には、第2フィン間流路21が形成されている。
第2共通ヘッダ領域62は、複数の第2分割領域61を囲うように設けられた領域である。第2共通ヘッダ領域62は、各第2分割領域61における第2フィン間流路21と連通する。図1に示すように、平面視で、第2共通ヘッダ領域62は、第1開口8、第3開口10および第4開口11と重なる位置に配置されている。第1開口8、第3開口10、第4開口11および第2共通ヘッダ領域62は、互いに連通している。
中継流路7は、1つ中心点を軸とする周方向に沿って90度間隔で4つ配置されている。4つの中継流路7は、等間隔に配置されている。4つの中継流路7を区別する場合には、中継流路7a,7b,7c,7dと称する。中継流路7の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では細長い矩形状である。隣り合う中継流路7の長さ方向は、互いに直交している。平面視で、第1分割領域51aと第2分割領域61aと中継流路7aとは、互いに重なる位置に配置されている。第1分割領域51aにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61aにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。平面視で、第1分割領域51bと第2分割領域61bと中継流路7bとは、互いに重なる位置に配置されている。第1分割領域51bにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61bにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。平面視で、第1分割領域51cと第2分割領域61cと中継流路7cは、互いに重なる位置に配置されている。第1分割領域51cにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61cにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。平面視で、第1分割領域51dと第2分割領域61dと中継流路7dとは、互いに重なる位置に配置されている。第1分割領域51dにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61dにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。
図4は、実施の形態1にかかる第1流路形成板32を示す平面図である。図5は、図4に示されたV-V線に沿った半導体モジュール1の断面図である。図6は、図4に示されたVI-VI線に沿った半導体モジュール1の断面図である。図7は、図4に示されたVII-VII線に沿った半導体モジュール1の断面図である。図4では、説明の便宜上、半導体素子2を破線で図示している。図4では、説明の便宜上、ヒートシンク3のうち第1流路形成板32のみを図示しており、第1流路形成板32を用いて図5~図7に示す半導体モジュール1の断面の位置を示している。図5に示すように、第1仕切壁12は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第1外周壁15は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第2仕切壁17は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。第2外周壁20は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。
図6および図7に示すように、第1フィン13は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第2フィン18は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。図7に示すように、第1フィン間流路16と第2フィン間流路21とは、中継流路7を介して連通する。第1仕切壁12の幅と第2仕切壁17の幅とは、同一である。第1フィン13の幅と第2フィン18の幅とは、同一である。第1フィン13の設置間隔は、第2フィン18の設置間隔と同一である。なお、冷媒の圧力損失の低減、冷媒による冷却効果の向上、第1フィン13などの腐食の抑制を考慮する場合には、中継流路7を流れる冷媒の平均流速と、第1フィン間流路16を流れる冷媒の平均流速とを概ね同じにすることが好ましい。例えば、中継流路7の開口幅を第1フィン13の高さの半分程度にすると、中継流路7を流れる冷媒の平均流速と、第1フィン間流路16を流れる冷媒の平均流速とを概ね同じにできる。
図8は、第1仕切壁12と第1フィン13と中継流路7とを第1面31aに投影した状態を示す平面図である。なお、図8では、説明の容易化のため、第1仕切壁12および第1フィン13を実線で図示し、中継流路7および半導体素子2を破線で図示している。また、図8では、説明の容易化のため、伝熱板31を極端に小さく描いている。第1仕切壁12の一部と第1フィン13の一部と第1フィン間流路16の一部とを第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2と重なる。本実施の形態では、4つの第1仕切壁12の中心点と半導体素子2の中心部とが一致している。第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部および半導体素子2の中心部の周囲と重なる。第1フィン13の一部および第1フィン間流路16の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部の周囲と重なる。なお、本実施の形態では、第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なるが、第1フィン13の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なってもよい。
中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置され、かつ、複数の第1フィン13を横切るように細長く形成されている。中継流路7の長さ方向は、第1フィン13の長さ方向と直交している。中継流路7は、第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に配置されている。
以上のように、冷媒流路4は、半導体素子2が配置される第1面31aに最も近い第1流路5と、第1面31aの法線方向において第1流路5より第1面31aから遠い側に離れて形成された第2流路6と、第1流路5と第2流路6との間にあって第1流路5と第2流路6とを連通する中継流路7と、を有するように階層状に形成されている。第1流路5は、内面として第1面31a側に第2面31bと、第2面31bとに対向する第3面33aと、を有している。第1流路5には、第2面31bと第3面33aとの間に設けられた第1仕切壁12によって隔てられた複数の第1分割領域51が形成されている。第1分割領域51は、互いに間隔を空けて並び、第1仕切壁12から延びるように形成された複数の第1フィン13を有している。第1仕切壁12の少なくとも一部を第1面31aに投影したときの位置、または、第1フィン13の少なくとも一部を第1面31aに投影したときの位置は、第1面31aの半導体素子2を設置する領域の中心部と重なる。中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に少なくとも1つずつ配置され、かつ、第1仕切壁12に沿って複数の第1フィン13を横切るように細長く形成されている。ヒートシンク3では、中継流路7を介して冷媒が第1流路5と第2流路6との間に流れるようにされている。
次に、図1を参照して、冷媒の流れについて説明する。第1開口8からヒートシンク3内に流入した冷媒は、第3開口10および第4開口11を通って、第2共通ヘッダ領域62に流入する。続いて、冷媒は、第2共通ヘッダ領域62から各第2分割領域61における第2フィン間流路21に流入する。続いて、冷媒は、第2フィン間流路21から中継流路7を通って、各第1分割領域51における第1フィン間流路16に流入する。このとき、第2分割領域61aにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7aを通って、第1分割領域51aにおける第1フィン間流路16に流入する。第2分割領域61bにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7bを通って、第1分割領域51bにおける第1フィン間流路16に流入する。第2分割領域61cにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7cを通って、第1分割領域51cにおける第1フィン間流路16に流入する。第2分割領域61dにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7dを通って、第1分割領域51dにおける第1フィン間流路16に流入する。その後、冷媒は、各第1分割領域51における第1フィン間流路16から第1共通ヘッダ領域52に流入する。続いて、冷媒は、第1共通ヘッダ領域52から第2開口9を通って、ヒートシンク3外へと流出する。
次に、本実施の形態にかかる半導体モジュール1の作用効果について説明する。
図7に示すように、半導体素子2で発生した熱は、伝熱板31に伝わる。伝熱板31に伝わった熱は、第1仕切壁12と第1フィン13とに伝わる。冷媒が第1流路5内を流れると、伝熱板31と冷媒との間、第1仕切壁12と冷媒との間、第1フィン13と冷媒との間で熱交換が行われる。すなわち、冷媒は、伝熱板31、第1仕切壁12および第1フィン13に伝わった熱を吸収する。これにより、伝熱板31、第1仕切壁12および第1フィン13を介して、冷媒により半導体素子2が冷却される。図8に示すように、本実施の形態では、第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部と重なる。また、第1フィン13の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部の周囲と重なる。そのため、半導体素子2の中心部で発生した熱が、伝熱板31を介して、第1仕切壁12および第1フィン13に伝わりやすくなる。第1仕切壁12および第1フィン13に伝わった熱は、第1フィン間流路16を流れる冷媒に吸収されるため、半導体素子2の中心部への冷却効果が高まる。
図1および図9を参照して、冷媒による半導体素子2への冷却効果について説明する。図9は、図7に示された半導体モジュール1の部分拡大断面図である。一般的に、半導体素子2で発生した熱の温度は、半導体素子2の中心部に近いほど高い。そのため、半導体素子2および伝熱板31の温度分布には、偏りが発生する。本実施の形態では、図1に示す第1開口8から冷媒が流入すると、図9に示す第2フィン間流路21から中継流路7を通って第1フィン間流路16に流入した冷媒が、半導体素子2の中心部に近い位置で伝熱板31の第2面31bに衝突する。このため、半導体素子2の中心部の温度を下げられて、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。なお、図9に示すように、第1フィン間流路16に冷媒が流入すると、第1フィン間流路16において伝熱板31と第1仕切壁12との接合部22の近くに渦23が発生して、第1フィン間流路16に冷媒の淀みが発生する。冷媒が淀んだ箇所では、冷媒による伝熱板31への冷却効果が低下する。この点、本実施の形態では、冷媒は、淀んだ箇所の近くで伝熱板31の第2面31bに衝突するため、冷媒の淀みによる伝熱板31の温度上昇を抑制できる。
図8に示すように、本実施の形態では、中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1フィン13を横切るように細長く形成されている。このため、中継流路7の流路面積が小さくなり、中継流路7を通る際に冷媒の流速が上がる。その結果、流速が上がった状態の冷媒が、半導体素子2の中心部に近い位置で伝熱板31の第2面31bに衝突するため、半導体素子2の中心部の温度をより一層下げられて、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。
ここで、図9に示す第1仕切壁12と第2仕切壁17と中継流路形成板33とが重ね合わされて形成された壁を1つの中心仕切壁24とする。中継流路7は、中心仕切壁24における高さ方向の中間部と隣接して配置される。このようにすると、第2フィン間流路21から第1フィン間流路16に向かう冷媒の流れを、伝熱板31に極力近い位置で、伝熱板31と垂直な方向に変えられる。そのため、中継流路7を通った冷媒は、伝熱板31と垂直に近い状態で、伝熱板31の第2面31bに衝突する。これにより、渦23の発生量を低減できる。このため、半導体素子2の中心部の温度をより一層下げられて、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。
図10を参照して、本実施の形態にかかる半導体モジュール1の作用効果についてさらに説明する。図10は、実施の形態1にかかるヒートシンク3の第1流路5における冷媒の流れを説明するための説明図である。
図10に示すように、本実施の形態にかかるヒートシンク3では、隣り合う第1分割領域51に配置される第1フィン13が、互いに異なる第1仕切壁12から突出している。隣り合う第1分割領域51に配置される第1フィン13の長さ方向は、互いに直交している。隣り合う中継流路7の長さ方向は、互いに直交している。4つの中継流路7は、等間隔に配置されている。第1分割領域51aにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図10の紙面左から右に向かって流れる。第1分割領域51bにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図10の紙面下から上に向かって流れる。第1分割領域51cにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図10の紙面右から左に向かって流れる。第1分割領域51dにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図10の紙面上から下に向かって流れる。つまり、本実施の形態では、冷媒が、第1フィン間流路16において図10の紙面の上、下、左および右に向かって均等に流れるため、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。また、4つの中継流路7が等間隔に配置されるため、図9に示すように冷媒が半導体素子2の中心部に近い位置で伝熱板31の第2面31bに衝突したときの、冷媒による伝熱板31への冷却効果も均等になる。
図10に示すように、本実施の形態では、中継流路7は、第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に配置されている。このため、中継流路7から第1フィン間流路16に流入した冷媒は、第1仕切壁12の近くから第1共通ヘッダ領域52に向けて流れる。つまり、第1フィン間流路16を流れる冷媒の一部は、伝熱板31のうち半導体素子2の中心部に近い部分に先に接触し、その後、伝熱板31のうち半導体素子2の外周部に近い部分に接触する。これにより、伝熱板31のうち半導体素子2の中心部に近い部分の熱を、より多く冷媒に吸収させることができるため、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。また、第1フィン間流路16を流れる冷媒は、第1流路形成板32の外周に向かうほど熱を吸収するため、温度が上昇する。これにより、冷媒による半導体素子2の外周部への冷却効果は、冷媒による半導体素子2の中心部への冷却効果よりも相対的に低くなるため、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。
本実施の形態では、半導体素子2の外周部よりも半導体素子2の中心部への冷却効果が高いため、第1フィン間流路16の長さを短くしても、例えば、第1フィン間流路16の長さを半分にしても、冷媒による半導体素子2の中心部への冷却効果を十分に発揮できる。また、第1フィン間流路16の長さを短くすることにより、第1フィン間流路16における冷媒の圧力損失を低減できる。
図8に示すように、本実施の形態では、第1流路5には、4つの第1仕切壁12によって隔てられた4つの第1分割領域51が形成されている。第1分割領域51の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2と重なる。また、中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置されている。このようにすると、中継流路7から第1分割領域51に冷媒が流入して、各第1分割領域51において冷媒が伝熱板31の第2面31bに衝突する。これにより、冷媒が伝熱板31の第2面31bに衝突する箇所が増えて、冷媒による半導体素子2への冷却効果が高まる。本発明者の実験によれば、第1流路5の一部を複数の第1分割領域51に分割すると、第1仕切壁12を設けることなくストレートフィンを並べた場合、すなわち第1流路5の一部を複数の第1分割領域51に分割しない場合に比べて、冷媒による半導体素子2への冷却効果が高まることが判明した。なお、この実験結果は、第1流路5の一部を複数の第1分割領域51に分割した場合と第1流路5の一部を複数の第1分割領域51に分割しない場合とで、第1フィン間流路16を流れる冷媒の平均流速が同じであることが条件となる。
図2に示すように、本実施の形態では、第1流路5には、第1分割領域51を囲むように設けられた第1共通ヘッダ領域52が形成され、第1共通ヘッダ領域52は、各第1分割領域51における第1フィン間流路16と連通する。このようにすると、各第1分割領域51における全ての第1フィン間流路16と第1共通ヘッダ領域52とが同一階層に配置されるため、ヒートシンク3全体を薄くでき、ヒートシンク3の小型化を図れる。図3に示すように、本実施の形態では、第2流路6には、第2分割領域61を囲むように設けられた第2共通ヘッダ領域62が形成され、第2共通ヘッダ領域62は、各第2分割領域61における第2フィン間流路21と連通する。このようにすると、各第2分割領域61における全ての第2フィン間流路21と第2共通ヘッダ領域62とが同一階層に配置されるため、ヒートシンク3全体を薄くでき、ヒートシンク3の小型化を図れる。
ヒートシンク3と半導体素子2とでは、熱膨張率およびヤング率が異なるため、ヒートシンク3と半導体素子2との接合時に発生する熱により、ヒートシンク3と半導体素子2との間に生じる反り、応力、歪が大きくなる。そのため、半導体素子2の破壊、ヒートシンク3と半導体素子2との接合不良などの弊害が生じる。本実施の形態のようにヒートシンク3全体を薄くできることにより、ヒートシンク3と半導体素子2との間に生じる反り、応力、歪を低減でき、上記のような弊害の発生を抑制できる。
図1に示す第1分割領域51の数は、多ければ多いほど半導体素子2への冷却効果が高まる。一方で、第1分割領域51の数は、多ければ多いほどヒートシンク3の作製コストが嵩む。一般的に、冷媒流路4を有するヒートシンク3は、複数の部材を接合および切削することにより作製される。第1分割領域51の数が多いほど、接合点数および切削点数が増えるため、ヒートシンク3の作製コストが嵩む。そこで、本実施の形態のように、第1流路5の一部を4つの第1分割領域51に分割すると、冷媒による半導体素子2に対する冷却効果の向上とヒートシンク3の作製コストの抑制とを、バランスよく両立させることができる。
図1に示すように、本実施の形態では、第1フィン13は平板状に形成され、複数の第1フィン13は互いに平行に並べて配置されている。そのため、第1フィン間流路16の設計および作製が容易になる。また、本実施の形態では、第2フィン18は平板状に形成され、複数の第2フィン18は互いに平行に並べて配置されている。そのため、第2フィン間流路21の設計および作製が容易になる。
なお、冷却対象は、発熱する電子デバイスであれば、半導体素子2に限定されるものではなく、例えば、コンデンサでもよい。本実施の形態では、各板31~35の接合方法として拡散接合を用いたが、各板31~35の接合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、ロウ付けでもよい。伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33および第2流路形成板34のそれぞれは、一枚の平板に開口を形成する加工を行うことにより作製されている。開口を形成する加工方法は、打ち抜き、切削、ワイヤカット、エッチングなどである。ヒートシンク3の作製方法については、例えば特開2007-205694号公報などに開示されている作製方法を用いることができる。すなわち、多数の薄板を積層して接合することにより、ヒートシンク3を作製してもよい。このようにヒートシンク3を作製する場合には、例えば、第1流路形成板32、中継流路形成板33および第2流路形成板34のそれぞれを複数の薄板で形成する。本実施の形態では、ヒートシンク3を複数の板31~35で形成したが、3Dプリンタなどを用いてヒートシンク3を一体形成してもよい。ヒートシンク3を一体形成した場合には、実際に部材が分かれていないが、第1面31aと第2面31bとを有する領域を第1部材として捉える。また、ヒートシンク3を一体形成した場合には、第3面33aと第4面33bとを有する領域を第2部材として捉える。また、ヒートシンク3を一体形成した場合には、第2部材との間で第2流路6を形成する領域を第3部材として捉える。本実施の形態では、4つの第1分割領域51を設けたが、4つ以外の複数の第1分割領域51を設けてもよい。第2分割領域61および中継流路7の数は、第1分割領域51の数に合わせて適宜変更すればよい。本実施の形態では、複数の第1フィン13を平行に並べて配置したが、平行に並べて配置しなくてもよい。本実施の形態では、複数の第2フィン18を平行に並べて配置したが、平行に並べて配置しなくてもよい。本実施の形態では、ヒートシンク3が第2流路形成板34および底板35を備えるとともに、冷媒流路4が第2流路6および複数の中継流路7を含む構成にしたが、第2流路形成板34および底板35を省略して、冷媒流路4が第2流路6および複数の中継流路7を含まない構成にしてもよい。このように構成する場合には、中継流路形成板33を、本実施の形態にかかる底板35と同様に、開口のない平板にする。また、第1流路形成板32の第3開口10を省略する。また、第1開口8を、平面視で第1分割領域51と重なる位置に設ける。例えば、第1開口8を、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置してもよい。本実施の形態では、中継流路7を、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置したが、2つ以上ずつ配置してもよい。また、中継流路形成板33に単一の中継流路7を形成して、単一の中継流路7を全ての第1分割領域51と重なる位置に配置してもよい。本実施の形態では、中継流路7を、第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に配置したが、中継流路7が第1フィン13と重なる位置であれば、第1フィン13に対する中継流路7の位置は適宜変更してよい。
次に、図11を参照して、実施の形態1の変形例1にかかる半導体モジュール1について説明する。図11は、実施の形態1の変形例1にかかる半導体モジュール1のヒートシンク3を示す図であって、ヒートシンク3の第1流路5における冷媒の流れを説明するための説明図である。なお、変形例1では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例1は、第1流路5における冷媒の流れが、上記した実施の形態1と相違する。
図11に示すように、本変形例にかかるヒートシンク3では、第1流路5の一部が4つの第1仕切壁12によって4つの第1分割領域51に分割されている。隣り合う第1分割領域51c,51dに配置される第1フィン13は、互いに異なる第1仕切壁12から突出していない。すなわち、隣り合う第1分割領域51c,51dに配置される第1フィン13は、同じ第1仕切壁12dから互いに逆向きに突出している。第1分割領域51a,51c,51dに配置される第1フィン13の長さ方向は、互いに平行である。第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に中継流路7を配置すると、3つの中継流路7a,7c,7dが互いに平行になる。4つの中継流路7は、不等間隔に配置される。第1分割領域51a,51dにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図11の紙面左から右に向かって流れる。第1分割領域51bにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図11の紙面下から上に向かって流れる。第1分割領域51cにおける第1フィン間流路16の冷媒は、図11の紙面右から左に向かって流れる。本変形例でも、第1仕切壁12の一部を図示しない第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部と重なる。また、第1フィン13の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部の周囲と重なる。そのため、半導体素子2の中心部で発生した熱が、伝熱板31を介して、第1仕切壁12および第1フィン13に伝わりやすくなる。第1仕切壁12および第1フィン13に伝わった熱は、第1フィン間流路16を流れる冷媒に吸収されるため、半導体素子2の中心部への冷却効果が高まる。
次に、図12および図13を参照して、実施の形態1の変形例2にかかる半導体モジュール1について説明する。図12は、実施の形態1の変形例2にかかる半導体モジュール1を示す分解斜視図である。図13は、実施の形態1の変形例2にかかる半導体モジュール1の部分拡大断面図である。なお、変形例2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例2は、冷媒の流れが、上記した実施の形態1と相違する。
図12に示すように、本変形例では、第2開口9からヒートシンク3内に冷媒を流入させる。第2開口9からヒートシンク3内に流入した冷媒は、第1共通ヘッダ領域52に流入する。続いて、冷媒は、第1共通ヘッダ領域52から各第1分割領域51における第1フィン間流路16に流入する。続いて、冷媒は、第1フィン間流路16から中継流路7を通って、各第2分割領域61における第2フィン間流路21に流入する。このとき、第1分割領域51aにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7aを通って、第2分割領域61aにおける第2フィン間流路21に流入する。第1分割領域51bにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7bを通って、第2分割領域61bにおける第2フィン間流路21に流入する。第1分割領域51cにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7cを通って、第2分割領域61cにおける第2フィン間流路21に流入する。第1分割領域51dにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7dを通って、第2分割領域61dにおける第2フィン間流路21に流入する。その後、冷媒は、各第2分割領域61における第2フィン間流路21から第2共通ヘッダ領域62に流入する。続いて、冷媒は、第2共通ヘッダ領域62から第4開口11、第3開口10および第1開口8を通って、ヒートシンク3外へと流出する。
次に、図13を参照して、第1フィン間流路16および中継流路7における冷媒の流れについて説明する。第1フィン間流路16に流入した冷媒は、第1仕切壁12に向けて流れる。図13に示す冷媒は、第1フィン間流路16を図13の紙面左から右に向かって流れ、第1仕切壁12に衝突する。冷媒は、第1仕切壁12により図13の紙面下に流れを変えられて、中継流路7に流入する。このとき、伝熱板31と第1仕切壁12との接合部22の近くに渦23が発生するが、第1フィン間流路16を流れる冷媒の流速が早いほど、渦23の規模が小さくなる。そのため、渦23が伝熱板31および第1仕切壁12の温度の上昇に与える影響を抑えられる。また、冷媒が第1仕切壁12に衝突すると、冷媒の境界層が薄くなるため、第1仕切壁12を効率良く冷却できる。第1仕切壁12は、半導体素子2の中心部の近くに配置されるため、半導体素子2の中心部の熱が伝熱板31を通じて伝わりやすい部分である。この第1仕切壁12に冷媒が衝突することにより、第1仕切壁12を集中的に冷却できるため、半導体素子2の中心部の温度を効率良く下げることができる。なお、半導体素子2で発生した熱は、伝熱板31、第1仕切壁12および第1フィン13を介して冷媒に伝わる。半導体素子2の発熱量に対して十分な流量の冷媒を冷媒流路4に流すことにより、半導体素子2から伝わる熱による冷媒の温度の上昇を抑えられる。したがって、冷媒の流量が多いほど、半導体素子2の中心部を効率良く冷却できるため、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。
次に、図14を参照して、実施の形態1の変形例3にかかる半導体モジュール1について説明する。図14は、実施の形態1の変形例3にかかる半導体モジュール1を示す図であって、第1仕切壁12と第1フィン13と中継流路7とを第1面31aに投影した状態を示す平面図である。図14では、説明の容易化のため、第1仕切壁12および第1フィン13を実線で図示し、中継流路7および半導体素子2を破線で図示している。また、図14では、説明の容易化のため、伝熱板31を極端に小さく描いている。なお、変形例3では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例3は、第1フィン間流路16の流路幅を不均等にした点が、上記した実施の形態1と相違する。
各第1分割領域51には、複数の第1フィン間流路16が設けられている。各第1分割領域51において、第1フィン間流路16の流路幅は、不均等である。第1フィン間流路16の流路幅は、半導体素子2の中心部に近い位置で狭く、半導体素子2の外周部に近い位置で広い。本変形例では、6つの第1フィン間流路16が各第1分割領域51に設けられている。半導体素子2の中心部に近い方から4つ目までの第1フィン間流路16の流路幅は、同一である。以下、これら4つの第1フィン間流路16を、中心側フィン間流路16Aと称する場合がある。残り2つの第1フィン間流路16の流路幅は、同一である。以下、これら2つの第1フィン間流路16を、外周側フィン間流路16Bと称する場合がある。外周側フィン間流路16Bの流路幅は、中心側フィン間流路16Aの流路幅よりも広い。各第1分割領域51において、第1フィン間流路16の流路長さは、同一である。
中継流路7は、本変形例では、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に3つずつ配置されている。各第1分割領域51において、中継流路7の流路面積は、半導体素子2の中心部に近い位置で広く、半導体素子2の外周部に近い位置で狭い。半導体素子2の中心部に最も近い中継流路7の流路面積は、残り2つの中継流路7の流路面積よりも大きい。以下、半導体素子2の中心部に最も近い中継流路7を中心側中継流路7Aと称し、残り2つの中継流路7を外周側中継流路7Bと称する場合がある。2つの外周側中継流路7Bの流路面積は、同一である。外周側フィン間流路16Bには、外周側中継流路7Bが1つずつ連通している。図示は省略するが、第2フィン間流路21も、第1フィン間流路16と同様の構成になる。すなわち、半導体素子2の中心部に近い位置で流路幅の狭い第2フィン間流路21が設けられ、半導体素子2の外周部に近い位置で流路幅の広い第2フィン間流路21が設けられる。
本変形例では、第1フィン間流路16の流路幅を半導体素子2の中心部に近い位置で狭く、半導体素子2の外周部に近い位置で広くすることにより、半導体素子2の中心部に近い位置で第1フィン13を密に配置して、より多くの第1フィン13を配置できる。そのため、半導体素子2の外周部よりも半導体素子2の中心部に近い位置で、第1フィン13による放熱面積を増やすことができるとともに、冷媒が伝熱板31の第2面31bに衝突する箇所を増やすことができる。これにより、半導体素子2の中心部の温度をより一層下げられて、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。なお、実施の形態1のように第1フィン間流路16の流路幅を均等にして、本変形例のように流路面積の広い中継流路7を半導体素子2の中心部に近い位置に配置し、流路面積の狭い中継流路7を半導体素子2の外周部に近い位置に配置してもよい。このようにすると、半導体素子2の外周部よりも半導体素子2の中心部に近い位置で、冷媒の流量が増える。そのため、半導体素子2の外周部よりも半導体素子2の中心部の温度を下げられて、半導体素子2における温度分布の偏りを緩和できる。
なお、第1フィン間流路16の流路幅を、半導体素子2の中心部に近い位置で狭く、半導体素子2の外周部に近い位置で広くすると、流路幅が狭い第1フィン間流路16と流路幅が広い第1フィン間流路16とで冷媒の圧力損失が異なり、偏流が発生する可能性がある。この点、本変形例では、中継流路7の流路面積を、半導体素子2の中心部に近い位置で広く、半導体素子2の外周部に近い位置で狭くすることにより、流路幅が狭い第1フィン間流路16と流路幅が広い第1フィン間流路16とで冷媒の圧力損失が等しくなるように調整できる。これにより、流路幅が狭い第1フィン間流路16を流れる冷媒の流量と、流路幅が広い第1フィン間流路16を流れる冷媒の流量とが、等しくなるように調整できる。
次に、図1、図9および図15を参照して、実施の形態1の変形例4にかかる半導体モジュール1について説明する。図15は、実施の形態1の変形例4にかかる半導体モジュール1の第1流路形成板32を示す平面図である。なお、変形例4では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例4は、第1仕切壁12の幅が第1フィン13の幅よりも狭い点が、上記した実施の形態1と相違する。
第1仕切壁12の幅は、第1フィン13の幅よりも狭い。上記のとおり、図1に示す第1開口8からヒートシンク3内に冷媒が流入すると、図9に示すように伝熱板31の第2面31bに冷媒が衝突して、第1仕切壁12と伝熱板31との接合部22の近くで渦23が発生する。このような渦23が発生すると、第1仕切壁12の熱交換効率が第1フィン13の熱交換効率よりも低くなり、半導体素子2の中心部への冷却効果が低下することがある。そこで、本変形例では、図15に示すように、第1仕切壁12の幅を第1フィン13の幅よりも狭くすることにより、図9に示す伝熱板31の第2面31bを半導体素子2の中心部に近付けることができるとともに、伝熱板31の第2面31bと接触する冷媒の接触面積を増やすことができる。このため、渦23が発生した場合でも、半導体素子2の中心部への冷却効果が高まる。
次に、図12、図13および図16を参照して、実施の形態1の変形例5にかかる半導体モジュール1について説明する。図16は、実施の形態1の変形例5にかかる半導体モジュール1の第1流路形成板32を示す平面図である。なお、変形例5では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例5は、第1仕切壁12の幅が第1フィン13の幅よりも広い点が、上記した実施の形態1と相違する。
第1仕切壁12の幅は、第1フィン13の幅よりも広い。図12に示す第2開口9からヒートシンク3内に冷媒が流入すると、図13に示すように第1仕切壁12に冷媒が衝突する。このように第1仕切壁12に冷媒が衝突する場合には、第1仕切壁12の熱交換効率が第1フィン13の熱交換効率よりも高くなるとともに、冷媒の衝突により第1仕切壁12に潰食が発生することがある。そこで、本変形例では、図16に示すように、第1仕切壁12の幅を第1フィン13の幅よりも広くすることにより、第1仕切壁12の放熱面積が増えて半導体素子2の中心部への冷却効果が高まるとともに、第1仕切壁12の寿命を延ばすことができる。
次に、図1、図17および図18を参照して、実施の形態1の変形例6にかかる半導体モジュール1について説明する。図17は、実施の形態1の変形例6にかかる半導体モジュール1の第1仕切壁12および第1フィン13を示す平面図である。図18は、実施の形態1の変形例6にかかる半導体モジュール1の第2仕切壁17および第2フィン18を示す平面図である。なお、変形例6では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。変形例6は、第2フィン間流路21の流路幅が第1フィン間流路16の流路幅よりも広い点、および、第2フィン18の幅が第1フィン13の幅よりも広い点が、上記した実施の形態1と相違する。
図18に示す第2フィン間流路21の流路幅は、図17に示す第1フィン間流路16の流路幅よりも広い。言い換えると、第2フィン18の設置間隔は、第1フィン13の設置間隔よりも広い。図18に示す第2フィン18の幅は、図17に示す第1フィン13の幅よりも広い。
図1に示すように、第2フィン間流路21は、第1フィン間流路16よりも半導体素子2から離れた位置に配置されているため、第1フィン間流路16よりも半導体素子2への冷却に寄与しない。一方で、第2フィン間流路21の流路幅を狭めるほど第2フィン間流路21における冷媒の圧力損失が大きくなる。そこで、本変形例では、図17および図18に示すように、第2フィン間流路21の流路幅を第1フィン間流路16の流路幅よりも広くすることにより、第2フィン間流路21における冷媒の圧力損失を低減できる。
ここで、本変形例の作用効果についてさらに説明する。例えば、図1に示す半導体素子2と伝熱板31との間に、電気の伝導を絶つ絶縁材を配置して、半導体素子2と伝熱板31とを絶縁することがある。伝熱板31の材料は、例えば、銅である。一方、絶縁材の材料は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素である。伝熱板31と絶縁材とは異種の材料で形成されるため、伝熱板31と絶縁材とでは熱膨張率に違いがある。そのため、伝熱板31と絶縁材とを接合する際に伝熱板31と絶縁材とが昇温し、その後、伝熱板31と絶縁材とが冷やされると、伝熱板31に反りが発生する。伝熱板31に反りが発生すると、他の板32~35にも反りが発生して、ヒートシンク3全体が反り返る。
このようなヒートシンク3の反りを低減する方法として、伝熱板31に絶縁材を接合するだけでなく、底板35にも絶縁材を接合して、伝熱板31と底板35とを概ね同じ構成とする方法が考えられる。また、ヒートシンク3の反りを低減する方法として、第1流路形成板32と第2流路形成板34とを概ね同じ構成とする方法が考えられる。上記した実施の形態1では、後者の方法を採用して、第1流路形成板32における第1フィン13の構成と第2流路形成板34における第2フィン18の構成とを同じにしている。つまり、第1フィン13の設置間隔と第2フィン18の設置間隔とを同一にして、第1フィン13の幅と第2フィン18の幅とを同一にしている。
一方、図17および図18に示す本変形例のように、第2フィン間流路21における冷媒の圧力損失を低減させることを重視して、第2フィン18の設置間隔を第1フィン13の設置間隔よりも広くすると、ヒートシンク3の反りを低減できない。この点、本変形例では、第2フィン18の幅を第1フィン13の幅よりも広くすることにより、第2フィン18の剛性を高めて、ヒートシンク3の反りを抑制できる。つまり、本変形例では、第2フィン間流路21の流路幅を第1フィン間流路16の流路幅よりも広くすることにより、第2フィン間流路21における冷媒の圧力損失を低減できつつ、第2フィン18の幅を第1フィン13の幅よりも広くすることにより、ヒートシンク3の反りを抑制できる。なお、第2フィン18の幅だけでなく、第1フィン13の幅も広くして、ヒートシンク3の反りを低減してもよい。また、第1フィン13の幅のみを広くして、ヒートシンク3の反りを低減してもよい。
実施の形態2.
次に、図19を参照して、本発明の実施の形態2にかかる半導体モジュール1Aについて説明する。図19は、本発明の実施の形態2にかかる半導体モジュール1Aを示す図であって、第1仕切壁12と第1フィン13と中継流路7とを第1面31aに投影した状態を示す平面図である。図19では、説明の容易化のため、第1仕切壁12および第1フィン13を実線で図示し、中継流路7および半導体素子2を破線で図示している。また、図19では、説明の容易化のため、伝熱板31を極端に小さく描いている。なお、実施の形態2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。実施の形態2は、6つの第1分割領域51を設けた点が、上記した実施の形態1と相違する。
本実施の形態では、第1流路5の一部が6つの第1仕切壁12によって6つの第1分割領域51に分割されている。6つの第1仕切壁12は、1つの中心点から放射状に延びている。6つの第1仕切壁12は、1つの中心点を軸とする周方向に沿って60度間隔で配置されている。6つの第1仕切壁12を区別する場合には、第1仕切壁12e,12f,12g,12h,12i,12jと称する。6つの第1分割領域51を区別する場合には、第1分割領域51e,51f,51g,51h,51i,51jと称する。図示は省略するが、第2流路6の一部も、6つの第2仕切壁17によって6つの第2分割領域61に分割される。
中継流路7は、1つの中心点を軸とする周方向に沿って60度間隔で6つ配置されている。6つの中継流路7を区別する場合には、中継流路7e,7f,7g,7h,7i,7jと称する。平面視で、第1分割領域51eと中継流路7eとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51fと中継流路7fとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51gと中継流路7gとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51hと中継流路7hとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51iと中継流路7iとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51jと中継流路7jとは、互いに重なる位置に配置されている。
第1仕切壁12の一部と第1フィン13の一部と第1フィン間流路16の一部とを第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2と重なる。本実施の形態では、6つの第1仕切壁12の中心点と半導体素子2の中心部とが一致している。第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部および半導体素子2の中心部の周囲と重なる。第1フィン13の一部および第1フィン間流路16の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部の周囲と重なる。なお、本実施の形態では、第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なるが、第1フィン13の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なってもよい。
中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置され、かつ、複数の第1フィン13を横切るように細長く形成されている。中継流路7の長さ方向は、第1フィン13の長さ方向と直交している。中継流路7は、第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に配置されている。
本実施の形態では、第1流路5の一部は、6つの第1仕切壁12によって6つの第1分割領域51に分割されている。また、中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置されている。このため、中継流路7から第1分割領域51に冷媒が流入して、各第1分割領域51において冷媒が伝熱板31の第2面31bに衝突する。その結果、4つの第1分割領域51が設けられた実施の形態1にかかるヒートシンク3に比べて、伝熱板31の第2面31bに冷媒が衝突する箇所が増えて、半導体素子2の中心部への冷却効果が高まる。なお、本実施の形態では、第1フィン間流路16における冷媒の圧力損失を概ね等しくするために、各第1分割領域51における第1フィン13の長さを概ね同一にしているが、各第1分割領域51における第1フィン13の長さを異なるようにしてもよい。
実施の形態3.
次に、図20~図23を参照して、本発明の実施の形態3にかかる半導体モジュール1Bについて説明する。図20は、本発明の実施の形態3にかかる半導体モジュール1Bを示す分解斜視図である。図21は、実施の形態3にかかる半導体モジュール1Bの第1流路形成板32を示す平面図である。図22は、図21に示されたXXII-XXII線に沿った半導体モジュール1Bの断面図である。図23は、図21に示されたXXIII-XXIII線に沿った半導体モジュール1Bの断面図である。図21では、説明の便宜上、半導体素子2および中継流路7を破線で図示している。図21では、説明の便宜上、ヒートシンク3のうち第1流路形成板32のみを図示しており、第1流路形成板32を用いて図22および図23に示す半導体モジュール1Bの断面の位置を示している。なお、実施の形態3では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。実施の形態3は、第1開口8および第2開口9を底板35に設けた点、第3開口10を第2流路形成板34に設けた点、および、2つの第1分割領域51を設けた点が、上記した実施の形態1と相違する。
図20に示すように、ヒートシンク3は、伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33、第2流路形成板34および底板35が重ね合わされて形成されている。半導体素子2に近い方から、伝熱板31、第1流路形成板32、中継流路形成板33、第2流路形成板34および底板35の順に配置されている。伝熱板31は、開口のない平板である。第1開口8および第2開口9は、本実施の形態では、底板35に形成されている。第1開口8および第2開口9は、互いに離れた位置に設けられている。第1開口8および第2開口9は、底板35を、その底板35の板厚方向に貫通している。第1開口8および第2開口9のうち一方は、冷媒流入口となる。第1開口8および第2開口9のうち他方は、冷媒流出口となる。
第3開口10は、本実施の形態では、第2流路形成板34に形成されている。第3開口10は、第2流路形成板34を、その第2流路形成板34の板厚方向に貫通している。第3開口10の周囲には、第2隔壁19eが設けられている。第3開口10は、第2隔壁19eによって第2分割領域61および第2共通ヘッダ領域62と隔てられている。これにより、第3開口10を流れる冷媒と、第2分割領域61および第2共通ヘッダ領域62を流れる冷媒とが交わらないようになっている。平面視で、第1開口8、第3開口10、第4開口11および第1共通ヘッダ領域52は、互いに重なる位置に配置されている。第1開口8、第3開口10、第4開口11および第1共通ヘッダ領域52は、互いに連通する。
図21に示すように、本実施の形態では、第1流路5の一部が1つの第1仕切壁12によって2つの第1分割領域51に分割されている。1本の第1仕切壁12は、図21の紙面の左右方向に沿って直線状に延びている。2つの第1分割領域51を区別する場合には、第1分割領域51k,51mと称する。第1仕切壁12は、四角環状の第1外周壁15の一辺から内向きに突出している。第1仕切壁12の先端は、矩形状の第1隔壁14eに繋がっている。第1仕切壁12と第1外周壁15の一辺と第1隔壁14eとで仕切られた2つの空間のうち一方は、第1分割領域51kである。第1仕切壁12と第1外周壁15の一辺と第1隔壁14eとで仕切られた2つの空間のうち他方は、第1分割領域51mである。
各第1分割領域51には、複数の第1フィン13が配置されている。複数の第1フィン13は、互いに間隔を空けて平行に並べて配置されている。全ての第1分割領域51における第1フィン13の設置間隔は、等しい。第1フィン13は、第1仕切壁12から第1分割領域51に向けて突出している。第1フィン13のうち長さ方向に沿った一端は、第1仕切壁12に繋がっている。第1フィン13のうち長さ方向に沿った他端は、第1共通ヘッダ領域52に臨んでいる。隣り合う第1分割領域51に配置される第1フィン13は、同じ第1仕切壁12から逆向きに突出している。第1フィン13は、第1仕切壁12における幅方向に沿った一方の端面と、第1仕切壁12における幅方向に沿った他方の端面とからそれぞれ突出している。隣り合う第1フィン13と第1フィン13との間、隣り合う第1フィン13と第1外周壁15の一辺との間、および、隣り合う第1フィン13と第1隔壁14eとの間には、第1フィン間流路16が形成されている。
図20に示すように、本実施の形態では、第2流路6の一部が1つの第2仕切壁17によって2つの第2分割領域61に分割されている。1本の第2仕切壁17は、図20の紙面の左右方向に沿って直線状に延びている。2つの第2分割領域61を区別する場合には、第2分割領域61k,61mと称する。平面視で、第2共通ヘッダ領域62は、第2開口9と重なる位置に配置されている。第2共通ヘッダ領域62は、第2開口9と連通する。
第2仕切壁17は、四角環状の第2外周壁20の一辺から内向きに突出している。第2仕切壁17の先端は、矩形状の第2隔壁19eに繋がっている。第2仕切壁17と第2外周壁20の一辺と第2隔壁19eとで仕切られた2つの空間のうち一方は、第2分割領域61kである。第2仕切壁17と第2外周壁20の一辺と第2隔壁19eとで仕切られた2つの空間のうち他方は、第2分割領域61mである。
各第2分割領域61には、複数の第2フィン18が配置されている。複数の第2フィン18は、互いに間隔を空けて平行に並べて配置されている。全ての第2分割領域61における第2フィン18の設置間隔は、等しい。第2フィン18は、第2仕切壁17から第2分割領域61に向けて突出している。第2フィン18のうち長さ方向に沿った一端は、第2仕切壁17に繋がっている。第2フィン18のうち長さ方向に沿った他端は、第2共通ヘッダ領域62に臨んでいる。隣り合う第2分割領域61に配置される第2フィン18は、同じ第2仕切壁17から互いに逆向きに突出している。第2フィン18は、第2仕切壁17における幅方向に沿った一方の端面と、第2仕切壁17における幅方向に沿った他方の端面とからそれぞれ突出している。隣り合う第2フィン18と第2フィン18との間、隣り合う第2フィン18と第2外周壁20の一辺との間、および、隣り合う第2フィン18と第2隔壁19eとの間には、第2フィン間流路21が形成されている。第1分割領域51kにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61kにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。第1分割領域51mにおける第1フィン13の長さ方向と、第2分割領域61mにおける第2フィン18の長さ方向とは、互いに平行である。
図22に示すように、第1フィン13は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第2フィン18は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。
図23に示すように、第1仕切壁12は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第1外周壁15は、伝熱板31の第2面31bと中継流路形成板33の第3面33aとに接触して設けられている。第2仕切壁17は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。第2外周壁20は、中継流路形成板33の第4面33bと底板35とに接触して設けられている。第1フィン間流路16と第2フィン間流路21とは、中継流路7を介して連通する。第1仕切壁12の幅と第2仕切壁17の幅とは、同一である。第1フィン13の幅と第2フィン18の幅とは、同一である。第1フィン13の設置間隔は、第2フィン18の設置間隔と同一である。
図20に示すように、中継流路7は、互いに離れた位置に2つ配置されている。2つの中継流路7を区別する場合には、中継流路7k,7mと称する。平面視で、第1分割領域51kと第2分割領域61kと中継流路7kとは、互いに重なる位置に配置されている。平面視で、第1分割領域51mと第2分割領域61mと中継流路7mとは、互いに重なる位置に配置されている。
図21に示すように、第1仕切壁12の一部と第1フィン13の一部と第1フィン間流路16の一部とを図示しない第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2と重なる。本実施の形態では、第1仕切壁12の中心点と半導体素子2の中心部とが一致している。第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部および半導体素子2の中心部の周囲と重なる。第1フィン13の一部および第1フィン間流路16の一部を第1面31aに投影したときの位置は、半導体素子2の中心部の周囲と重なる。なお、本実施の形態では、第1仕切壁12の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なるが、第1フィン13の一部を第1面31aに投影したときの位置が半導体素子2の中心部と重なってもよい。
中継流路7と第1分割領域51と第1フィン13とを第1面31aに投影すると、中継流路7は、複数の第1分割領域51のそれぞれと重なる位置に1つずつ配置され、かつ、複数の第1フィン13を横切るように細長く形成されている。中継流路7の長さ方向は、第1フィン13の長さ方向と直交している。中継流路7は、第1フィン13のうち第1仕切壁12に繋がる根元部分と重なる位置に配置されている。
次に、図20を参照して、冷媒の流れについて説明する。まず、第1開口8から冷媒を流入させる場合について説明する。第1開口8からヒートシンク3内に流入した冷媒は、第3開口10および第4開口11を通って、第1共通ヘッダ領域52に流入する。続いて、冷媒は、第1共通ヘッダ領域52から各第1分割領域51における第1フィン間流路16に流入する。続いて、冷媒は、第1フィン間流路16から中継流路7を通って、各第2分割領域61における第2フィン間流路21に流入する。このとき、第1分割領域51kにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7kを通って、第2分割領域61kにおける第2フィン間流路21に流入する。第1分割領域51mにおける第1フィン間流路16の冷媒は、中継流路7mを通って、第2分割領域61mにおける第2フィン間流路21に流入する。その後、冷媒は、各第2分割領域61における第2フィン間流路21から第2共通ヘッダ領域62に流入する。続いて、冷媒は、第2共通ヘッダ領域62から第2開口9を通って、ヒートシンク3外へと流出する。
次に、第2開口9から冷媒を流入させる場合について説明する。第2開口9からヒートシンク3内に流入した冷媒は、第2共通ヘッダ領域62に流入する。続いて、冷媒は、第2共通ヘッダ領域62から各第2分割領域61における第2フィン間流路21に流入する。続いて、冷媒は、第2フィン間流路21から中継流路7を通って、各第1分割領域51における第1フィン間流路16に流入する。このとき、第2分割領域61kにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7kを通って、第1分割領域51kにおける第1フィン間流路16に流入する。第2分割領域61mにおける第2フィン間流路21の冷媒は、中継流路7mを通って、第1分割領域51mにおける第1フィン間流路16に流入する。その後、冷媒は、各第1分割領域51における第1フィン間流路16から第1共通ヘッダ領域52に流入する。続いて、冷媒は、第1共通ヘッダ領域52から第4開口11、第3開口10および第1開口8を通って、ヒートシンク3外へと流出する。
本実施の形態では、第1流路5の一部は、1つの第1仕切壁12によって2つの第1分割領域51に分割されている。また、第2流路6の一部は、1つの第2仕切壁17によって2つの第2分割領域61に分割されている。また、中継流路形成板33には、2つの中継流路7が形成されている。このため、4つの第1分割領域51と4つの第2分割領域61と4つの中継流路7とが形成された実施の形態1にかかるヒートシンク3に比べて、第1流路5、第2流路6および中継流路7の構成が簡易になるため、ヒートシンク3の作製コストを削減できる。
なお、第1開口8および第2開口9は、ヒートシンク3の使用条件によって伝熱板31または底板35に設ければよい。本実施の形態では、ヒートシンク3を形成する板の枚数を5枚としたが、ヒートシンク3を形成する板の枚数は6枚以上でもよい。本実施の形態では、ヒートシンク3を複数の板31~35で形成したが、3Dプリンタなどを用いてヒートシンク3を一体形成してもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。