JP7101883B2 - 数値制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、工作機械を制御する数値制御装置に関する。
工作機械は、工具を用いてワークに力またはエネルギーを与えることでワークから不要部分を除去する加工である除去加工を行う加工装置である。特に、除去加工の一つである切削加工では、工具の刃先を高速度でワークに接触させることで、ワーク表面にせん断破壊を起こし、ワークの不要部分を削り取る加工を行う。
切削加工は、加工プロセスと機械ダイナミクスとが相互に影響する物理現象であるので、加工状態を管理するためには、両者を同時に管理することが望ましい。ここで、加工プロセスとは、工具刃先がワークに侵入することで切りくずを生成しながら加工面を形成するという一連の過程を表す。機械ダイナミクスとは、機械内外の振動源によって、機械を構成する構造物が加振されたときの機械構造物の振る舞いを表す。一般に、切削加工は上述した加工プロセスおよび機械ダイナミクスを含む種々の物理現象が複雑に影響し合う現象であるため、統合的な解析は困難とされている。このため、生産現場においては、評価対象を限定することで、目的に応じた加工管理を達成している。
上記の通り、切削加工中は機械ダイナミクスと加工プロセスが相互に影響するため、加工前または加工後の工作機械の状態と加工中の工作機械の状態とは異なる。すなわち、加工前または加工後には、加工中の工作機械の状態を正確に推定できない。このため、加工中に得られる情報を用いて、機械ダイナミクスと加工プロセスを同定することが望ましい。機械ダイナミクスと加工プロセスを同定した結果を用いることで、生産現場の作業者は、例えば、工具寿命の管理、高能率な加工条件の設定、固定治具の設計変更などの改善作業を、効率的に行うことができる。これにより、生産性の向上が期待できる。
実加工中に加工条件を逐次変更して得られる情報からパラメータ同定を行う方法として、特許文献1では次の方法が提案されている。特許文献1に記載の方法では、複数の主軸回転数で加工したときに発生する変位と力からコンプライアンススペクトルを算出し、各主軸回転数のコンプライアンススペクトルを合成したときに得られるピークから工具の固有振動数を算出する。この方法では、各送り軸の単独動作または送り軸の複合動作中に主軸回転数を段階的に変化させるように工作機械に加工動作を行わせ、加工中の変位と力の検出結果を用いてコンプライアンススペクトルを算出する。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、びびり振動が発生しない切り込み量に設定して主軸回転数を段階的に変更することで種々のコンプライアンススペクトルを得て、固有振動数を算出する。このため、特許文献1に記載の方法では、固有振動数しか同定できず、比切削抵抗といった加工特性パラメータを同定することができないという課題があった。また、特許文献1に記載の方法では、固有振動数以外のパラメータを同定する場合には、別の同定動作を行う必要がある。さらに、特許文献1に記載の方法では、主軸回転数をあらかじめ定めた複数の段階のみに段階的に変更しているので、さまざまな主軸回転数に対応するパラメータを取得するためには時間を要する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、効率的に短時間で加工特性パラメータを同定することができる数値制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、主軸と送り軸とを備えワークを工具によって加工する工作機械の運転を制御する数値制御装置であって、主軸の回転速度と、送り速度とをそれぞれ独立かつ連続的に変化させる同定動作指令を生成する同定動作生成部、を備える。また、この数値制御装置は、同定動作指令に基づいて生成された工作機械を制御するための制御信号と、制御信号に基づいて動作した工作機械の運転状態を表す運転状態信号とを同期させて同定用データとして出力するデータ取得部と、同定用データに基づき、工作機械の振動の状態が、安定加工、強制振動およびびびり振動のうちのいずれであるかを判別する振動判定部と、を備える。さらに、この数値制御装置は、振動判定部の判別結果に基づいて、工具とワークの間の加工現象の特性を表す加工特性パラメータのうち、同定可能な加工特性パラメータを選択パラメータとして選択し、同定用データを用いて、選択パラメータの同定を行う同定部と、を備える。
本発明にかかる数値制御装置は、効率的に短時間で加工特性パラメータを同定することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の実施の形態にかかる数値制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる数値制御装置1の構成例を示すブロック図である。実施の形態1の数値制御装置1は、工作機械2に制御信号を送信することにより工作機械2の運転を制御し、図示しないセンサから工作機械2の運転状態を示す運転状態信号を受信する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる数値制御装置1の構成例を示すブロック図である。実施の形態1の数値制御装置1は、工作機械2に制御信号を送信することにより工作機械2の運転を制御し、図示しないセンサから工作機械2の運転状態を示す運転状態信号を受信する。
工作機械2は、主軸と送り軸とを備えワークを工具によって加工する。具体的には、工作機械2は、工具およびワークのうち少なくとも一方を動作させることで、ワークを切削加工する。例えば、工作機械2は、工具またはワークに回転運動を与える主軸と、工具またはワークに位置を与えるサーボ軸である送り軸とを備える。主軸および送り軸は、それぞれモータを備える。
工作機械2は、工作機械2の運転状態を検出して、検出結果を運転状態信号として出力するセンサを備える。工作機械2が備えるセンサは、工具およびワークのうち少なくとも一方における振動を検出可能なセンサを含む。工具およびワークのうち少なくとも一方における振動を検出可能なセンサは、例えば、工作機械2の各モータのフィードバック制御のために工作機械2に予め備わるリニアエンコーダおよび電流センサである。リニアエンコーダは、工作機械2の各軸の位置を検出し、電流センサは各軸のモータのモータ電流を検出する。センサの別の例としては、加速度センサ、位置センサ、力センサまたはマイクロフォンが挙げられる。以下では、一例として、工作機械2が備えるセンサは、リニアエンコーダ、電流センサおよび力センサであるとして説明する。力センサは、例えば、送り軸を構成するテーブルなどの構造物の上または構造物の内部に設置される。力センサの設置位置はこれに限定されず、工具とワーク間の力を検出可能な位置に設置されていればよい。
数値制御装置1は、図1に示すように、補正部11、振動判定部12、同定部13、同定動作生成部14、駆動制御部15およびデータ取得部16を備える。本実施の形態1の数値制御装置1の各部の動作を説明する。
同定動作生成部14は、工作機械2の主軸回転数と送り速度とをそれぞれ独立かつ連続的に変化させる同定動作指令を生成し、駆動制御部15に同定動作指令を出力する。主軸回転数は、主軸の回転速度であり、単位時間当たりに主軸が何回回転するかを示す。同定動作とは、同定部13が後述の同定処理を実行する際に使用するデータである同定用データを取得するために、駆動制御部15および工作機械2に対して、制御信号と運転状態信号をそれぞれ生成させる動作である。同定動作指令とは、同定動作のために生成される指令であり、主軸回転数に対する指令、送り速度に対する指令を含む。
図2~図4は、実施の形態1の同定動作生成部14が生成する同定動作指令のパターンの例を示す図である。以下、同定動作指令のパターンを指令パターンとも呼ぶ。図2~図4は、同定動作開始時刻t1から同定動作終了時刻t2の間に、主軸回転数と送り速度がそれぞれ連続的に変化する指令パターンを表す。図2~4の横軸は時間(時刻)を示し、縦軸は、上段は主軸回転数を示し、下段は送り速度を示す。以下、主軸回転数、送り速度を、それぞれS,Fと記載することがある。
ここで、S0は同定動作前の主軸回転数である基準主軸回転数であり、S1は同定動作中の主軸回転数の最大値である。T1は主軸回転数がS0の状態から主軸回転数がS1の状態となるまで加速するときの時定数である。T2は送り速度がF0の状態から送り速度がF1の状態の状態となるまで加速するときの時定数である。図2は、主軸回転数と送り速度とが、別々に加減速する指令パターンである。図2に示した例では、主軸回転数は、時定数T1で加速した後、主軸回転数がS1となると減速している。そして、主軸回転数は、減速によりS0となると、そのままS0を維持する。送り速度は、主軸回転数が減速によりS0となると、時定数T2でF1になるまで加速する。その後、送り速度がF1になると送り速度は減速している。
図3は、主軸回転数の加速後に、送り速度が加速してその後減速してから、主軸回転数が減速する指令パターンを示している。図4は、主軸回転数は加速してその後減速し、送り速度は、主軸回転数の変化中に、加速および減速を繰り返す指令パターンを示している。
なお、図2~図4では、S1を同定動作中の主軸回転数の最大値として、主軸回転数をS0とS1の間で変化させる例を示したが、同定動作生成部14は、同定動作中の主軸回転数の最小値S2を設定し、S0からS2の範囲内で変化する指令パターンを生成してもよい。同様に、送り速度に関しても、同定動作中の送り速度の最小値F2を設定し、F0からF2の間で変化する指令パターンを生成してもよい。
また、図2~図4では三角波状に加減速する指令パターンを例示したが、主軸回転数と送り速度が連続的に加減速する指令パターンであれば、同定動作生成部14は、任意の指令パターンを生成することができる。例えば、同定動作生成部14は、三角波の代わりに正弦波状またはS字曲線状に変化する指令パターンを生成してもよい。
このように同定動作生成部14は、主軸回転数と送り速度をそれぞれ独立に変化させることで、さまざまな主軸回転数と送り速度の組み合わせを含んだ同定動作を生成することができる。
工具がワークを切削するときに発生する力である切削力の大きさは、主として1刃あたりの送り量に依存し、切削力の振動周期は、主として主軸回転数に依存することが知られている。このため、一般に、主軸回転数と送り速度を変化させるときは、これらを同じ比率で変化させる。これにより、工具刃先にかかる負荷が一定になるため、工具1刃が発生させる切削力の大きさは変化しない。同定動作生成部14は、主軸回転数と送り速度をそれぞれ独立に変化させるので、切削力の大きさと振幅とおさまざまに変化させることができ、ひいては同定動作中の工作機械2に対して、後述するさまざまな振動状態を発生させることができる。
駆動制御部15は、同定動作生成部14で生成された同定動作指令に基づいて、工作機械2の主軸および送り軸が同定動作指令で規定された動作で運転するように、工作機械2を制御するための制御信号を生成する。ここで、制御信号とは、工作機械2の主軸および送り軸に対する指令であり、主軸および送り軸の各モータに対する位置指令、速度指令および電流指令のうちの少なくとも1つを含む。なお、駆動制御部15は、同定動作指令が同定動作生成部14から入力されていないとき、すなわち通常の加工動作時には、加工パスとこの加工パスにおける基準主軸回転数および基準送り速度に基づいて、工作機械2に対する制御信号を生成する。また、駆動制御部15は、後述の補正部11から補正信号を取得し、補正信号に基づいて工作機械2に対する制御信号を補正し、補正後の制御信号を工作機械2へ出力する。
駆動制御部15には、予め加工パスとこの加工パスにおける基準主軸回転数および基準送り速度が設定されている。加工パスとこの加工パスにおける基準主軸回転数および基準送り速度とは、数値制御プログラムによって与えられてもよい。駆動制御部15は、同定動作指令が同定動作生成部14から入力された場合でも、設定されている加工パスは変化させずに主軸回転数と送り速度だけを同定動作指令にしたがって変化させるように制御信号を生成する。工作機械2は、軸ごとに、モータとモータ制御装置を備え、モータ制御装置は、駆動制御部15から受信した制御信号と、位置、速度、モータ電流などのフィードバック信号とに基づいてモータを制御する。位置、速度のフィードバック信号は、リニアエンコーダにより検出される位置に基づいて算出され、モータ電流のフィードバック信号は電流センサによる検出結果から算出される。位置、速度、モータ電流のフィードバック信号を、以下、それぞれ位置フィードバック信号、速度フィードバック信号、電流フィードバック信号ともいう。
データ取得部16は、駆動制御部15から出力された制御信号と、該制御信号に基づいて動作した工作機械2の運転状態を表す運転状態信号とを同期させて同定用データとして出力する。具体的には、データ取得部16は、駆動制御部15から出力された制御信号と、工作機械2のセンサから出力された運転状態信号とを用いて、各信号に含まれるデータを時間的に同期させて、同期用データとして振動判定部12および同定部13へ出力する。運転状態信号とは、上述したとおり、工作機械2の運転状態を示す信号であり、工具およびワークのうち少なくとも一方における振動を検出可能な信号を含む。ここでは、上述したとおり、センサとしてリニアエンコーダ、電流センサおよび力センサを備える前提としているため、データ取得部16は、主軸および送り軸の位置、速度、および電流のフィードバック信号と力センサにより検出される力、トルクなどとを運転状態信号として取得可能である。力センサにより検出される力、トルクなどの実測値を、以下、力情報とも呼ぶ。運転状態信号は工作機械が制御信号を受信した後に生成される信号なので、通信に要する時間等の影響により、運転状態信号は対応する制御信号に対して時間的に遅れる。このため、データ取得部16は、通信時間などの差異に相当する時間だけ運転状態信号に含まれるデータまたは制御信号に含まれるデータをずらすことにより、両信号間の時間的なずれを補償する。データ取得部16は、時間的なずれが補償されたデータ、すなわち同期したデータを同定用データとしてまとめ、振動判定部12および同定部13に出力する。
振動判定部12は、同定用データを用いて、工作機械2に、振動が発生しているか否かを判定し、振動が発生していると判定した場合にはその振動の種類を判別し、判別結果を同定部13に出力する。以下に、振動判定部12の詳細を述べる。なお、振動判定部12が、振動が発生しているか否かを判定する際の振動とは、工具とワークによる切削力に起因する振動成分より振幅の大きな振動のことを示す。
振動判定部12で行う振動発生の判定は公知の手段にて実行される。例えば、力センサから出力された力情報が示す力またはトルクが、時間領域において、定められた振幅を超えた場合に振動が発生したと判定する。振動判定に用いる信号の種類は力情報に限定されず、例えば振動判定部12は運転状態信号に含まれる電流フィードバック信号を用いて振動が発生しているか否かを判定してもよい。また、振動判定部12は、振動が発生しているか否かの判定に用いる信号を周波数領域の信号に変換して、周波数領域上で最大振幅となる振動成分が定められた振幅を超えた場合に振動が発生したと判定してもよい。
ところで、振動現象には強制振動と自励振動が存在し、びびり振動は自励振動の一種である。強制振動は、切削力が加振源となり、工具またはワークの付近に存在する構造物が励起される振動現象である。この性質により、強制振動の振動周波数は基本切削周波数の整数倍になることが知られている。一方、自励振動であるびびり振動は、切削力と当該構造物の変位から成る系が不安定化することで発生する振動現象である。この性質により、びびり振動の振動周波数は基本切削周波数の非整数倍となることが知られている。上記において、基本切削周波数とは、主軸回転数に工具刃数を乗じた周波数である。
振動判定部12は、振動が発生していると判定した場合に、振動の種類を判別する。詳細には、振動判定部12は、振動の種類の判別として、発生している振動が強制振動であるかびびり振動であるかを判定する。振動の種類の判別は、判定した振動の周波数が基本切削周波数の整数倍であるか否かに基づいて実行される。すなわち、振動判定部12は、振動の周波数が基本切削周波数の整数倍であれば強制振動と判別し、当該周波数が基本切削周波数の非整数倍であればびびり振動と判別する。
なお、振動判定部12は、振動が発生していないと判定した場合には、安定加工であると判定する。安定加工とは工具とワークによる切削力に起因する振動成分のみが発生する加工状態であり、構造物の固有振動数付近の振動を励起しない加工状態である。
振動判定部12は、上記の処理を常時実行することで、各時刻の同定用データが安定加工、強制振動、びびり振動のいずれであるかを判別し、判別結果を振動判定結果として同定部13に出力する。すなわち、振動判定部12は、同定用データに基づき、工作機械2の振動の状態が、安定加工、強制振動、びびり振動の複数の状態のうちのいずれであるかを判別する。
同定部13は、振動判定部12の判別結果に基づいて、加工特性パラメータのうち、同定可能な加工特性パラメータを選択パラメータとして選択し、データ取得部16から入力された同定用データを用いて、選択パラメータの同定を行う。また、同定部13は、振動判定部12の判別結果に基づいて、選択パラメータとして、さらに動特性パラメータのうち、同定可能な動特性パラメータを選択する。以下、選択パラメータを、同定可能なパラメータとも呼ぶ。同定部13は、同定処理の結果を補正部11へ出力する。同定処理は、同定用データと加工条件情報を用いて実行される。加工条件情報は、同定動作における加工条件を表す情報であり、同定部13に予め設定されている情報である。加工条件情報には、例えば、工具径と、工具刃数と、工具ねじれ角と、工具軸方向切り込み量と、工具径方向切り込み量と、アップカットまたはダウンカットを表す加工様式とが含まれる。
なお、以下では、同定部13が、動特性パラメータと加工特性パラメータの両方の同定を行う例を説明するが、同定部13は、動特性パラメータと加工特性パラメータのいずれか一方だけを同定してもよい。例えば、同定部13は、振動判定部12の判別結果に基づいて、加工特性パラメータのうち、同定可能な加工特性パラメータを選択パラメータとして選択し、同定用データを用いて、選択パラメータの同定を行う。
一般に、加工中の主軸回転数と送り速度は一定値で指令される。この場合、同定部13は、一組の主軸回転数と送り速度で加工した場合の同定用データしか取得できない。同定用データには、上述したように、工作機械2のセンサにより検出された動作状態信号が含まれるので、同定部13は、一組の主軸回転数と送り速度で加工した場合の動作状態信号しか取得できないことになる。しかし、本実施の形態では、同定動作生成部14によって主軸回転数と送り速度がそれぞれ連続的に変化する指令が生成されるので、同定部13は、各時刻において異なる組み合わせの主軸回転数と送り速度で加工した場合の動作状態信号を得ることができる。
ここで、動特性パラメータと加工特性パラメータについて説明する。動特性パラメータとは、後述するダイナミクスモデルの特性を表すパラメータであり、工作機械2の振動の特性を表すパラメータである。動特性パラメータは、例えば、等価質量、減衰係数、固有振動数である。一方、加工特性パラメータとは、後述する加工プロセスモデルの特性を表すパラメータであり、工具とワークの間の加工現象の特性を表すパラメータである。加工特性パラメータは、例えば比切削抵抗、エッジフォース、工具偏心量、工具摩耗幅である。
ダイナミクスモデルは、工作機械2内部の機械構造物と工具とワークのダイナミクスを記述する数理モデルである。以下に、ダイナミクスモデルの一例を説明する。図5は、実施の形態1において、テーブルに固定されたワークが切削力によって振動する場合に、テーブルに外乱力が伝達される様子を表した模式図である。図5では、工作機械2が、工具33の回転によりミーリング加工を行う例を示している。図5では、駆動軸を構成するテーブル31の上にワーク32が載置され、主軸を構成するツーリングシステム34が工具33を保持する構成例を前提としている。また、図5において、相対変位35はテーブル31に対するワーク先端の振動方向上の相対変位を示し、切削力36はワーク32における切削力を示し、外乱力37はテーブル31に伝達される外乱力を示している。このときの切削力36、外乱力37、相対変位35の関係は、以下の式(1)で表すことができる。式(1)に示すダイナミクスモデルは、切削力36が発生したときに、工具33またはワーク32を含む機械構造を通じて送り軸に伝達される外乱力37を算出するとともに、切削力36が発生したときに機械構造を通じて各送り軸で生じる位置偏差を算出するための数理モデルである。
式(1)に示したダイナミクスモデルはテーブル31上のワーク32を1自由度振動系として記述したモデルであるが、ダイナミクスモデルは上記の例に限定されるものではない。例えば、ワーク32を固定する固定部およびテーブル31を含めた多自由度振動系として記述しても良い。さらに、工具33、ツーリングシステム34および主軸モータからなる工具側構造物に関するダイナミクスモデルを設定してもよい。さらに、ワーク32を固定する固定部およびテーブル31を含めたワーク側構造物と工具側構造物とを組み合わせた振動系としたダイナミクスモデルを設定してもよい。
加工プロセスモデルは、工具とワークとの間の切削プロセスを記述する数理モデルである。以下の式(2)に加工プロセスモデルの一例を表す。
上記の式(2)は、各時刻の工具33の回転角度に応じた切り取り厚さから、工具33がワーク32に対して与える切削力を算出する数式である。ここで、切り取り厚さとは工具33の刃先である工具刃先がワーク32を通過する際にワーク32を切り取る厚さを指す。切削力は、図6および図7に示すように、工具刃先がワーク32に接触する角度にある場合にはゼロ以上の値として算出されるが、工具刃先がワーク32に接触しない角度にある場合はゼロとして算出される。図6は、実施の形態1において、工具刃先がワーク32に接触する工具33の回転角度の一例を示す図であり、図7は、工具刃先がワーク32に接触しない工具33の回転角度の一例を示す図である。すなわち、工具33の回転角度または時刻ごとに、位置偏差に基づいてワークに接触するか否かが判定され、工具刃先がワーク32に接触する場合には切り取り厚さが算出され、工具刃先がワーク32に接触しない場合には切り取り厚さがゼロとして算出される。
式(2)に示す演算を工具の接線方向、半径方向および軸方向の3方向に関して行うことで、3方向の切削力を算出することができる。加工プロセスモデルでは、上記3方向の成分を持つ切削力に対して工具33の回転角度である工具回転角度に応じた回転行列を乗じることにより座標変換を行うことで、工具基準座標系における切削力が算出される。式(3)に座標変換の一例を示す。
上記の式(2)および式(3)に示す演算を、工具刃先の数だけ実行し、算出結果を積算することで、最終的に工具全体が発生する切削力が演算できる。式(2)に示される加工プロセスモデルは、工具刃先と工具33の加工対象であるワーク32との間の相対位置および工具回転角度に基づいて、切り取り厚さを算出し、切り取り厚さに基づいて工具とワークの間で発生する切削力を算出するための数理モデルである。式(2)における切り取り厚さは、1刃あたりの送り量と工具回転角度とを用いて式(4)によって算出できる。
別の例として、切り取り厚さは、式(5)を用いても算出できる。
式(5)は、式(4)に対して、現在の工具変位と、1刃前の工具刃先によって生成された加工面である前加工面との差から算出される変動量を追加し、さらに各工具刃先に応じた補正量を追加した切り取り厚さの算出式である。式(5)に示した演算では、現在の工具刃先に生じた変位量と1刃以上前の工具刃先に生じた変位量の内、加工面形状に影響を与えた変位量と現在の工具刃先に生じた変位量との差だけ切り取り厚さが修正される。すなわち、切り取り厚さが、切削に関与している現在の工具刃先によって生成された軌跡と、現在の工具刃先を基準として1刃以上前の工具刃先の内、加工面形状に影響を与えた工具刃先の軌跡との差に基づいて算出される。
ここで、工具中心変位量vは、式(1)の相対変位xのうち、工具中心から工具刃先までの方向の成分に相当する変位量である。また、前加工面変位量wは、1刃以上前の工具刃先による切削時の相対変位xによって加工面に生じた変位量である。なお、1刃以上前の工具刃先とは、切削に関与している工具刃先を基準とした時刻よりも前の時刻において切削に関与した工具刃先である。例えば、刃数が2である工具において、現在切削中の工具刃先が第2刃である場合では、1刃前の工具刃先とは180度回転前の第1刃であり、2刃前は360度回転前の第2刃であり、3刃前の工具刃先とは540度回転前の第1刃である。切削中に工具に変位が生じて一時的に刃先がワーク32から離れる場合、現在の工具刃先は1刃前の工具刃先によって生成された前加工面だけではなく、2刃以上前の工具刃先によって生成された前加工面をも切削する。
さらに、式(5)に示した演算では、切り取り厚さは、工具刃先を示す番号である工具刃先番号と工具回転角度とに応じた補正量によって修正される。ここで、補正量は工具刃先毎に異なる回転半径で切削することによる切り取り厚さの変化を修正するために導入される。補正量を導入する必要のある事例として、以下が挙げられる。例えば、特定の刃先に摩耗、チッピングなどが発生した場合、その工具刃先の回転半径は他の工具刃先より短くなるので、摩耗幅、チッピング幅などに応じた補正量が追加される。別の例として、刃先交換式の工具において、工具刃先の取り付け誤差が存在する場合、取り付け誤差に応じた補正量が追加される。別の例として、主軸回転中心が工具中心に一致しない場合すなわち工具偏心が存在する場合、工具偏心量に応じた補正量が追加される。なお、工具中心とは、工具の外接円の中心である。
工具偏心量とは、図8および図9に示すように工具中心と主軸回転中心との間にずれ量が生じている場合に、工具刃先毎に工具刃先の回転半径が増減する分だけ切り取り厚さを修正する量である。図8は、実施の形態1において、工具中心と主軸回転中心との間にずれ量が生じている場合の第1刃先における切削の様子を示す図であり、図9は、工具中心と主軸回転中心との間にずれ量が生じている場合の第2刃先における切削の様子を示す図である。第1刃先43および第2刃先44は、工具の刃先である。図8および図9に示した例では、工具中心41と主軸回転中心42との間にずれがある。このような場合には、ずれがない場合の切り取り厚さに対して切り取り厚さを修正する必要があり、工具偏心量は、このときの修正量を示す。すなわち、切り取り厚さには、工具33の回転角度に応じた工具偏心量が加算または減算される。修正量によって切り取り厚さを修正する事例は上記の事例に限定されるものではなく、修正量は工具刃先に発生する現象に応じて適宜変更してもよい。
なお、加工プロセスモデルは式(2)に限定されるものではない。例えば、式(2)を用いて、切削速度が閾値以上である高速の場合と切削速度が閾値未満である低速の場合とで比切削抵抗の値を変化させてもよい。さらに、式(2)右辺に、プロセスダンピング力を追加したモデルとしても良い。ここで、プロセスダンピング力とは、工具刃先の逃げ面がワークに接触することによって発生する力である。プロセスダンピングは、例えば逃げ面接触面積にプロセスダンピング係数を乗じた値として表現できる。この場合、プロセスダンピング係数が加工特性パラメータの一つとなる。
別の例として、ねじれ角がある工具に対する加工プロセスモデルが用いられてもよい。具体的には、工具を軸方向に微小厚さの工具に分割し、分割された各微小厚さ工具における切削力を算出し、当該切削力を工具軸方向に積算して最終的な切削力を算出するモデルとしてもよい。さらに別の例として、有限要素解析によって切り取り厚さと切削力を算出するモデルとしてもよい。
以下では、ダイナミクスモデルが式(1)であり、加工プロセスモデルが式(2)である場合に、振動判定結果から同定可能なパラメータを判別し、当該パラメータを同定する処理について述べる。なお、以下で述べる同定可能なパラメータの候補は、動特性パラメータである等価質量と減衰係数と固有振動数、加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量である。
同定部13は、振動判定部12から振動判定結果として安定加工、強制振動、びびり振動のいずれであるかを示す振動判定結果が入力されると、この振動判定結果に応じて次の処理を行う。なお、強制振動とびびり振動が同時に発生することが稀にあるが、このような場合には、びびり振動であると判定して同定を行う。
[判定結果が安定加工である場合]
同定部13は、同定可能なパラメータとして、加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースを選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって比切削抵抗とエッジフォースを同定する。同定部13は、力センサから出力された力情報と同定部13に予め記録されている加工条件とを用いて、式(2)~式(4)に従って、比切削抵抗とエッジフォースを算出する。すなわち、式(3)に式(2)および式(4)を代入したときに算出される各軸方向の力の計算値が、力センサによって検出された力の実測値に略一致するように、式(2)における比切削抵抗とエッジフォースを算出する。比切削抵抗とエッジフォースの算出方法は、既知の最適化手法または数値シミュレーションを用いればよい。例えば、最小2乗法または勾配法を使用することができる。
同定部13は、同定可能なパラメータとして、加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースを選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって比切削抵抗とエッジフォースを同定する。同定部13は、力センサから出力された力情報と同定部13に予め記録されている加工条件とを用いて、式(2)~式(4)に従って、比切削抵抗とエッジフォースを算出する。すなわち、式(3)に式(2)および式(4)を代入したときに算出される各軸方向の力の計算値が、力センサによって検出された力の実測値に略一致するように、式(2)における比切削抵抗とエッジフォースを算出する。比切削抵抗とエッジフォースの算出方法は、既知の最適化手法または数値シミュレーションを用いればよい。例えば、最小2乗法または勾配法を使用することができる。
[判定結果が強制振動である場合]
同定部13は、同定可能なパラメータとして、動特性パラメータである減衰係数と固有振動数、および加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースを選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって減衰係数と固有振動数と比切削抵抗とエッジフォースを同定する。
同定部13は、同定可能なパラメータとして、動特性パラメータである減衰係数と固有振動数、および加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースを選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって減衰係数と固有振動数と比切削抵抗とエッジフォースを同定する。
同定部13は、力センサから出力された力情報と同定部13に予め記録されている加工条件とを用いて、式(1)~式(4)に従って、減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースを同定する。具体的には、式(1)を変形して得られる次式(6)中のfdに、力センサによって検出した力の実測値を代入する。
さらに、式(3)に式(2)および式(4)を代入したときに算出される各軸方向の力の計算値を、式(6)中のfcに代入する。このとき、式(6)が成立する減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースの組み合わせが存在するので、同定部13は式(6)を満たす減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースの組み合わせを算出する。具体的には、同定部13は、式(6)の両辺の誤差が最小になるように勾配法を用いて、減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースを探索する。別の方法として、最小2乗法によって減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースを算出することもできる。
[判定結果がびびり振動である場合]
同定部13は、同定可能なパラメータとして、動特性パラメータである等価質量と減衰係数と固有振動数、および加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって等価質量と減衰係数と固有振動数と比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を同定する。
同定部13は、同定可能なパラメータとして、動特性パラメータである等価質量と減衰係数と固有振動数、および加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を選択する。さらに、同定部13は、下記の処理によって等価質量と減衰係数と固有振動数と比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を同定する。
同定部13は、力センサから出力された力情報と同定部13に予め記録されている加工条件とを用いて、式(1)、式(2)、式(3)および式(5)に従って、等価質量と減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を同定する。具体的には、図10に示す手順にしたがって等価質量と減衰係数と固有振動数、および比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量を同定することができる。
図10は、振動判定部12によりびびり振動と判定された場合の実施の形態1の同定部13における同定処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、同定部13は、ステップS1では、パラメータの組について初期値を設定する。このときのパラメータの組は、動特性パラメータである等価質量と減衰係数と固有振動数、および加工特性パラメータである比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量の各パラメータの組み合わせである。
ステップS2では、同定部13は、ダイナミクスモデルと加工プロセスモデルを同時に満たす変位量を算出する。例えば、ダイナミクスモデルである式(1)と、加工プロセスモデルである式(2)および式(5)とを同時に満たす変位量を算出する。ここで、変位量とは、式(1)における相対変位xと式(5)におけるv,wである。
ステップS3では、同定部13は、ダイナミクスモデルに変位量を与えたときの外乱力を算出する。例えば、同定部13は、ダイナミクスモデルである式(1)に、ステップS2で算出した変位量を与えて外乱力fdを算出する。
ステップS4では、同定部13は、力センサで検出した力の実測値とステップS3で算出した力の計算値との誤差が許容値以下か否かを判定する。同定部13は、誤差が許容値以下であれば(ステップS4 Yes)、その時点におけるパラメータの組の値を同定結果とし、同定処理を終了する。同定部13は、誤差が許容値を超えている場合(ステップS4 No)、ステップS5において、パラメータの組の値を更新し、ステップS2の処理に戻る。
ステップS5におけるパラメータの更新方法としては、例えば、各パラメータを予め定めた量だけ増加または減少させる方法を用いることができる。なお、振動判定部12によりびびり振動と判定された場合の同定部13における同定処理は、上記のステップS1~S5の処理に限定されない。例えば、式(1)、式(2)、式(3)および式(5)を連立し、最小2乗法を用いて、各パラメータを算出してもよい。
図1の説明に戻り、補正部11は、同定部13から、同定結果である動特性パラメータと加工特性パラメータを受け取り、同定結果に基づいて、工作機械2の運転を補正するための補正信号を駆動制御部15に出力する。具体的には、補正部11内で機械ダイナミクスおよび加工プロセスに関するシミュレーションを実行し、工具刃先の振動振幅が規定値以下になる主軸回転数と送り速度の組み合わせを算出する。補正部11は、算出した主軸回転数と送り速度に基づいて、主軸回転数と送り速度を補正するための補正信号を生成して、駆動制御部15へ出力する。ここで規定値とは、補正部11に予め定められた値であり、加工結果が定められた寸法交差を満たすために設定される値である。なお、補正する対象は、主軸回転数と送り速度以外に、工具軸方向または工具径方向の切り込み量を含めてもよい。
以上に述べた実施の形態1の数値制御装置1の動作の例を、図11を用いて説明する。図11は、実施の形態1の数値制御装置1の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11では、数値制御装置1は同定動作を開始する。具体的には、同定動作生成部14が同定動作指令を生成し、駆動制御部15が工作機械2に対して、工作機械2が同定動作で指定された動作を実行するように制御信号を工作機械2に出力する。
ステップS12では、振動判定部12が、同定用データを取得する。具体的には、データ取得部16が、駆動制御部15から制御信号を取得し、工作機械2のセンサから運転状態信号を取得し、両者の時間的なずれが補償された同定用データを生成して、振動判定部12および同定部13へ出力する。
ステップS13では、振動判定部12が、同定用データに基づいて、振動の状態を判別する。具体的には、振動判定部12は、同定用データの動作状態信号に基づいて振動が発生しているか否かを判定し、発生していないと判定した場合には、振動の状態が安定加工であると判別する。また、振動判定部12は、振動が発生していると判定した場合には、振動の周波数に基づいて強制振動、びびり振動のいずれかであるかを判別する。振動判定部12は、振動の状態の判別結果を振動判定結果として同定部13へ出力する。
ステップS14では、同定部13が、同定用データと振動判定結果に基づいて、同定可能なパラメータを選択する。具体的には、同定部13が、振動判定結果に応じて動特性パラメータと加工特性パラメータの中から同定可能なパラメータを選択する。
ステップS15では、同定部13が、同定用データを用いて、ステップS14で選択された同定可能なパラメータを同定する。ステップS16では、数値制御装置1は、ステップS15までの同定動作の終了後に、すなわち、通常の加工動作において、同定結果に基づいて、工作機械2の運転を補正する。具体的には、補正部11が、同定部13が算出した同定結果に基づいて、工作機械2の運転を補正するための補正信号を生成して、駆動制御部15へ出力する。駆動制御部15は、加工パスとこの加工パスにおける基準主軸回転数および基準送り速度と、補正信号とに基づいて、制御信号を生成して、工作機械2へ出力する。
数値制御装置1は、加工中にステップS11からステップS15までの一連の処理を時々刻々実行することで、パラメータ同定を行うことができる。さらに、同定動作の後、ステップS16の処理によって、同定結果を用いて、加工の状態を改善することができる。
次に、数値制御装置1のハードウェア構成について説明する。図1に示した数値制御装置1の各部は処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサを備える回路であってもよいし、専用ハードウェアであってもよい。
処理回路がプロセッサを備える回路である場合、処理回路は例えば図12に示した構成の処理回路である。図12は、実施の形態1の処理回路の構成例を示す図である。処理回路200は、プロセッサ201およびメモリ202を備える。数値制御装置1の各部が図12に示した処理回路200によって実現される場合、プロセッサ201が、メモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、これらが実現される。すなわち、数値制御装置1の各部が図12に示した処理回路200によって実現される場合、これらの機能は、ソフトウェアであるプログラムを用いて実現される。メモリ202はプロセッサ201の作業領域としても使用される。プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等である。メモリ202は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等が該当する。
数値制御装置1の各部を実現する処理回路が専用ハードウェアである場合、処理回路は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。なお、数値制御装置1の各部は、プロセッサを備える処理回路および専用ハードウェアを組み合わせて実現されてもよい。数値制御装置1の各部は、複数の処理回路により実現されてもよい。
以上説明したように、実施の形態1の数値制御装置1は、主軸と送り軸に対して速度が連続的に変化する指令を生成し、当該指令を主軸と送り軸に独立に与えることで、工作機械に同定動作を実行させる。そして、実施の形態1の数値制御装置1は、同定動作で収集される同定用データから工作機械2の振動の状態を判別し、その判別結果に応じて同定可能な加工特性パラメータを同定する。このように、実施の形態1の数値制御装置1は、効率的に短時間で加工特性パラメータを同定することができる。さらに、実施の形態1の数値制御装置1は、振動の状態を判別結果に応じて同定可能な動特性パラメータを同定することもできる。また、実施の形態1の数値制御装置1は、工作機械2に対して一度の同定動作中に複数種類の振動状態を再現可能になるので、作業者が加工条件を都度変更せずとも、短時間で効率的に同定を行うことができる。さらに、びびり振動状態を再現することで、動特性パラメータと加工特性パラメータを同時に推定できる。この結果、実施の形態1の数値制御装置1は、同定結果に基づいて工作機械に対する制御信号を補正できるので、加工不良を発生させることなく加工を継続することができる。また、主軸回転数をステップ状に段階的に変化させて同定を行うと、固有振動数の候補となるピーク値を離散的にしか探索できない。これに対し、本実施の形態では、上述したように、主軸と送り軸に対して速度が連続的に変化する指令を生成しているので、主軸回転数をステップ状に段階的に変化させる場合より、精度よく、動特性パラメータと加工特性パラメータを同定することができる。
なお、ダイナミクスモデルおよび加工プロセスモデルは上記式(1)および(2)に限定されず、機械構造および加工方法によって適宜変更することができる。したがって、動特性パラメータは、等価質量と減衰係数と固有振動数に限定されず、同様に、加工特性パラメータは比切削抵抗とエッジフォースと工具偏心量に限定されない。動特性パラメータと加工特性パラメータは、ダイナミクスモデルおよび加工プロセスモデルに応じて適宜変更しても、本実施の形態1と同等の効果を奏する。
実施の形態1では、1つの工作機械2を1つの数値制御装置1で制御する構成について述べたが、数値制御装置1には2つ以上の工作機械が接続されてもよい。例えば、第1の工作機械に対して主軸回転数を変化させる指令を生成し、第2の工作機械に対して送り速度を変化させる指令を生成し、それぞれの工作機械に対して同時に動作指令を与えることで、1つの工作機械で動作を行うよりも短時間に同定が完了するという効果を奏する。なお、実施の形態1では、工具の回転によりミーリング加工を行う工作機械2について述べたが、本発明はワークの回転により旋削加工を行う工作機械にも適用できる。
なお、本実施の形態1では、力センサによって力を直接検出する構成としたが、他のセンサを用いて間接的に力を推定しても本実施の形態1と同様の効果を奏することができる。例えば、モータ電流指令である参照モータ電流とリニアエンコーダで検出した位置を用いて、データ取得部16または同定部13が、次式(7)によって力を算出することができる。
別の例として、加速度センサを使っても同様に力を算出することができる。この場合、加速度センサで検出した加速度を用いて、データ取得部16または同定部13が、次式(8)によって力を算出することができる。
式(7)および式(8)は送り軸を1慣性体と見なしたときの力の算出式であるが、送り軸の構造に応じて適宜、多慣性体と見なした算出式を用いてもよい。さらに、摩擦力を補償する項を追加してもよい。
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態1では、同定動作を一度実行する間の制御信号と運転状態信号から同定処理を行う例を説明した。実施の形態1では、一度の同定動作中にびびり振動が発生しない場合に、動特性パラメータと加工特性パラメータのうち同定できないものが存在する。本実施の形態2では、同定動作を実行したときにびびり振動が発生しない場合に、同定動作を修正する例について述べる。以降では、実施の形態1と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図13は、本発明の実施の形態2にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態1では、同定動作を一度実行する間の制御信号と運転状態信号から同定処理を行う例を説明した。実施の形態1では、一度の同定動作中にびびり振動が発生しない場合に、動特性パラメータと加工特性パラメータのうち同定できないものが存在する。本実施の形態2では、同定動作を実行したときにびびり振動が発生しない場合に、同定動作を修正する例について述べる。以降では、実施の形態1と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
数値制御装置1aは、図13に示すように、実施の形態1の同定部13および同定動作生成部14の代わりに、同定部13aおよび同定動作生成部14aを備える以外は、実施の形態1と同様である。同定部13aおよび同定動作生成部14aは、実施の形態1の同定部13および同定動作生成部14と同様に処理回路により実現される。
同定部13aは、実施の形態1の同定部13と同様に、振動判定部12から入力された振動判定結果を用いて、動特性パラメータと加工特性パラメータの内、同定可能なパラメータを選択する。また、同定部13aは、実施の形態1の同定部13と同様に、データ取得部16から入力された同定用データに基づいて、選択された同定可能なパラメータを同定するための同定処理を実行し、同定処理の結果を補正部11へ出力する。同定処理は、同定用データと加工条件情報を用いて、実施の形態1の同定部13と同様の方法で実行される。
さらに、同定部13aには、動特性パラメータと加工特性パラメータのうち、少なくとも1つが同定対象のパラメータとして予め設定されている。同定部13aは、一回以上の同定処理を行った後に、同定対象のパラメータのうち未同定のパラメータが存在する場合に、後述の同定動作生成部14aへ同定動作修正信号を出力する。同定動作修正信号とは、未同定の動特性パラメータまたは加工特性パラメータが存在することを表す信号である。
同定動作生成部14aは、実施の形態1の同定動作生成部14と同様に、工作機械の主軸回転数と送り速度を変更する同定動作指令を生成し、駆動制御部15に同定動作指令を出力する。
さらに、同定動作生成部14aは、同定部13aから出力される同定動作修正信号に基づいて、同定動作の指令パターンを修正する。同定部13と同様に、同定部13aは、工作機械にびびり振動が発生した場合に最も多くの種類のパラメータを同定できる。このため、同定動作生成部14aは、主軸回転数または送り速度を変化させる範囲を変更することで、同定動作の過程でびびり振動が発生するように同定動作を修正する。具体的には、同定動作生成部14aは、前述の主軸回転数の最大値S1、最小値S2、送り速度の最大値F1および最小値F2のうち少なくとも1つを予め定められた割合で変更した同定動作指令パターンを生成する。具体的には、例えば、主軸回転数および送り速度のうち少なくとも1つに関して、前回の同定動作で設定された変化の範囲とは異なる範囲となるように、主軸回転数の最大値S1、最小値S2、送り速度の最大値F1および最小値F2のうち少なくとも1つを変更する。
以上に述べた実施の形態2の数値制御装置1aの動作の例を、図14を用いて説明する。図14は、実施の形態2の数値制御装置1aの動作の一例を示すフローチャートである。ステップS21では、数値制御装置1aは同定動作を開始する。初回のステップS21では、同定動作生成部14aが初回の同定動作指令を生成し、駆動制御部15が工作機械に対して、工作機械が同定動作で指定された動作を実行するように制御信号を工作機械に出力する。
ステップS22~S25では、実施の形態1において説明した図11のステップS12~S15と同様の処理を行う。ステップS26では、同定部13aは、予め定められた同定対象のパラメータを同定したかを判定し、同定が完了すれば(ステップS26 Yes)、ステップS28へ進む。予め定められた同定対象のパラメータのうち同定していないものがあれば(ステップS26 No)、数値制御装置1aは、ステップS27において同定動作指令を修正し、ステップS21からの処理を繰り返す。具体的には、ステップS27では、同定部13aが同定動作修正信号を同定動作生成部14aへ出力し、同定部13aが軸回転数および送り速度のうち少なくとも1つの変化の範囲を変更するように同定動作指令を修正し、修正した同定動作指令を駆動制御部15へ出力する。2回目以降のステップS21では、駆動制御部15が修正された同定動作指令に基づいて、工作機械2に対して制御信号を生成して、工作機械2に出力する。
ステップS28では、数値制御装置1aは、同定結果に基づいて、工作機械2の運転を補正する。具体的には、補正部11は、実施の形態1の補正部11と同様に、同定動作終了後に、同定部13aが算出した同定結果に基づいて補正信号を生成して駆動制御部15出力する。駆動制御部15は、加工パスとこの加工パスにおける基準主軸回転数および基準送り速度と、補正信号とに基づいて、制御信号を生成して、工作機械2へ出力する。
数値制御装置1aは、加工中にステップS21からステップS27までの一連の処理を繰り返し実行する。すなわち、同定部13aは、同定動作指令に対応する期間の同定用データを用いて同定が行われた後に、同定対象として設定されているパラメータである同定対象パラメータのうち同定が未了のパラメータが存在する場合に、同定動作の変更を指示する同定動作修正信号を生成して同定動作生成部14aに出力する。そして、同定動作生成部14aは、同定動作修正信号を受け取ると同定動作指令を変更し、データ取得部16は、変更後の同定動作指令に基づいて生成された制御信号と、該制御信号に基づいて動作した工作機械2の運転状態を表す運転状態信号とを同期させて同定用データとして振動判定部12および同定部13aへ出力する。そして、同定対象として設定されているすべてのパラメータの同定が完了するまでこれらの動作を繰り返す。これにより、同定対象として設定されているすべての動特性パラメータと加工特性パラメータの同定を行うことができる。さらに、ステップS28の処理によって、同定結果を用いて、加工の状態を改善することができる。なお、ここでは、一回の同定動作が完了してから同定動作指令を修正する場合の処理フローについて説明したが、同定動作の途中に同定動作を修正する処理フローとしても構わない。
以上説明したように、実施の形態2の数値制御装置1aは、予め定められた同定対象のパラメータのうち、同定が未完のパラメータが存在する場合には、同定動作を修正して再度同定動作を実施する。このため、実施の形態2の数値制御装置1aは、初回の同定動作の指令パターンでは同定ができないパラメータがあった場合でも、同定動作を修正しびびり振動を発生させることで、予め指定された同定対象のパラメータのうち、すべてのパラメータを同定することができるという効果を奏する。
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態2では、予め内部に定められた同定対象のパラメータの全ての同定が完了するまで同定動作を繰り返した。本実施の形態3では、同定対象のパラメータを外部から設定できる例について説明する。以降では、実施の形態2と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
図15は、本発明の実施の形態3にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態2では、予め内部に定められた同定対象のパラメータの全ての同定が完了するまで同定動作を繰り返した。本実施の形態3では、同定対象のパラメータを外部から設定できる例について説明する。以降では、実施の形態2と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
図15に示すように、実施の形態3の数値制御装置1bは、実施の形態2の数値制御装置1aに、入力部17が追加されている。入力部17は、外部から、同定対象のパラメータの入力を受け付け可能である。入力部17は、例えば、外部機器、作業者などから、同定対象のパラメータとして動特性パラメータと加工特性パラメータのうち、少なくとも1つの入力を受け付け可能である。入力部17は、外部機器と通信を行う通信回路であってもよいし、外部媒体からデータを読み取る外部媒体のインターフェイス回路であってもよいし、キーボード、マウスなどの入力手段であってもよい。また、入力部17が、作業者からの入力を受け付ける場合には、ディスプレイ、モニタなどの表示手段も入力部17として用いられる。同定対象のパラメータは、数値制御プログラムとして入力部17に入力されてもよいし、作業者により対話形式で入力部17に入力されてもよい。また、入力部17は、対話式プログラミングの形式により、同定対象のパラメータの入力を受け付けてもよい。入力部17は、受け付けた同定対象のパラメータを同定部13aへ出力する。同定対象のパラメータが作業者によりまたは外部から指定されるケースとしては、例えば、「既に別手段等で同定済みのパラメータを同定対象からはずしたい場合」(第1のケース)、「優先度が高い同定対象のみを同定することで同定にかかる時間を削減したい場合」(第2のケース)といったケースが想定される。このため、第1のケースを想定すると、例えば、メニュー一覧において、同定済みパラメータに関しては過去の同定で得られた値が予め入力されているなどにより同定済みのパラメータを区別できるように表示することで、未同定のパラメータの判別が容易になる。また、第2のケースを想定すると、同定対象のパラメータをチェックボックスなどで選択できるようにすることで、チェックボックスにチェックを入力するたびに同定予想時間が変化するような表示窓を設けることで、作業者は同定時間が同定許容時間内となる範囲で最も多くのパラメータを選択することができる。対話式プログラミングの形式は、こられの例に限定されず、どのような方式としてもよいが、上記のように作業者が選択するために考慮する情報を表示することで、作業者が容易に同定対象のパラメータを選択することができる。
同定部13aは、実施の形態2の同定部13aと同様に、予め設定された同定対象のパラメータの代わりに入力部17から入力された同定対象のパラメータを用いて、実施の形態2と同様の動作を行う。なお、同定部13aは、予め設定された同定対象のパラメータを用いた動作と、入力部17から入力された同定対象のパラメータを用いた動作との両方を実行可能であってもよい。同定部13aは、同定処理の結果を補正部11へ出力する。補正部11の動作は実施の形態1と同様である。なお、数値制御プログラムによって、同定対象のパラメータが指定される場合の補正部11の動作は次のとおりである。数値制御プログラムでは、一般に加工パス、主軸回転数、送り速度、工具番号などの情報が記述されている。作業者が、数値制御プログラムから同定対象のパラメータを指定する場合、数値制御プログラムには、同定動作を行う加工パスと同定対象のパラメータとが指定される。同定部13aによる同定が完了した場合、例えば、補正部11は、工具番号が変更されるタイミングか別の同定動作が設定された加工パスを加工するタイミングまでは、工具刃先の振動振幅が規定値以下になるような補正信号を生成し続ける。以上述べた以外の実施の形態3の数値制御装置1bの動作は、実施の形態2の数値制御装置1aの動作と同様である。
以上説明したように、実施の形態3の数値制御装置1bは、外部からの入力によって設定された同定対象のパラメータのうち、同定が未完のパラメータが存在する場合には、同定動作を修正して再度同定動作を実施する。このため、実施の形態2と同様の効果を奏するとともに、作業者の要望などに応じて同定対象のパラメータを変更することができる。
実施の形態4.
図16は、本発明の実施の形態4にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態3では、同定対象のパラメータを外部から設定できる構成について述べた。本実施の形態4では、さらに外部からの入力によって同定動作の指令パターンを設定できる構成について説明する。以降では、実施の形態3と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態3と異なる点を中心に説明する。
図16は、本発明の実施の形態4にかかる数値制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態3では、同定対象のパラメータを外部から設定できる構成について述べた。本実施の形態4では、さらに外部からの入力によって同定動作の指令パターンを設定できる構成について説明する。以降では、実施の形態3と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。以下、実施の形態3と異なる点を中心に説明する。
数値制御装置1cは、図16に示すように、同定動作生成部14aおよび入力部17の代わりに同定動作生成部14bおよび入力部17aを備える以外は、実施の形態3の数値制御装置1bと同様である。
入力部17aは、実施の形態3の入力部17と同様に、外部から、同定対象のパラメータを受付可能であり、受け付けた同定対象のパラメータを同定部13aへ出力する。さらに、入力部17aは、外部から、同定動作の指令パターンを決定するための指令パターン情報の入力を受け付け可能である。入力部17aは、受け付けた指令パターン情報を同定動作生成部14bへ出力する。指令パターン情報は、例えば、図2~図4における主軸回転数S0,S1、送り速度F0,F1、時定数T1,T2を表す情報である。すなわち、指令パターン情報は、同定動作指令によって主軸回転数と送り速度とを変化させる際の主軸回転数および送り速度の時間に対する波形を示す情報である。指令パターン情報は、例えば、数値制御プログラムとしてまたは対話式で入力部17aに入力される。また、指令パターン情報は、対話式プログラミングの形式により入力されてもよい。指令パターン情報に図2~図4で表される波形または波形を示す情報を加え、外部から波形も設定できる構成としてもよい。
入力部17aは、入力部17と同様に、外部機器と通信を行う通信回路であってもよいし、外部媒体からデータを読み取る外部媒体のインターフェイス回路であってもよいし、キーボード、マウスなどの入力手段であってもよい。また、入力部17aが、作業者からの入力を受け付ける場合には、ディスプレイ、モニタなどの表示手段も入力部17aとして用いられる。同定対象のパラメータおよび指令パターン情報は、数値制御プログラムの形式で外部機器から入力部17aに入力されてもよいし、作業者により対話形式で入力部17aに入力されてもよい。また、入力部17aは、対話式プログラミングの形式でプログラムを作成して、このプログラムにより同定対象のパラメータおよび指令パターン情報が指定されてもよい。入力部17aは、受け付けた同定対象のパラメータを同定部13aへ出力し、受け付けた指令パターン情報を同定動作生成部14bへ出力する。同定部13aおよび補正部11の動作は、実施の形態3と同様である。
同定動作生成部14bは、入力部17aが受け付けた同定動作の指令パターン情報に基づいて、同定動作の指令パターンを生成し、駆動制御部15に同定動作指令を出力する。さらに、同定動作生成部14bは、実施の形態2の同定動作生成部14aと同様に、同定部13aから出力される同定動作修正信号に基づいて、同定動作の指令パターンを修正する。以上述べた以外の本実施の形態の数値制御装置1cの動作は、実施の形態3の数値制御装置1bと同様である。
以上説明したように、実施の形態4の数値制御装置1cは、実施の形態3で述べた同定対象のパラメータに加え、同定動作の指令パターンについても外部からの入力によって設定できる。このため、実施の形態4の数値制御装置1cは、外部からの入力で指定されたパラメータの組み合わせに対して優先的に同定結果を算出できるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1,1a,1b,1c 数値制御装置、2 工作機械、11 補正部、12 振動判定部、13 同定部、14 同定動作生成部、15 駆動制御部、16 データ取得部、17,17a 入力部。
Claims (8)
- 主軸と送り軸とを備えワークを工具によって加工する工作機械の運転を制御する数値制御装置であって、
前記主軸の回転速度と、送り速度とをそれぞれ独立かつ連続的に変化させる同定動作指令を生成する同定動作生成部と、
前記同定動作指令に基づいて生成された前記工作機械を制御するための制御信号と、前記制御信号に基づいて動作した前記工作機械の運転状態を表す運転状態信号とを同期させて同定用データとして出力するデータ取得部と、
前記同定用データに基づき、前記工作機械の振動の状態が、安定加工、びびり振動および強制振動のうちのいずれであるかを判別する振動判定部と、
前記振動判定部の判別結果に基づいて、前記工具と前記ワークの間の加工現象の特性を表す加工特性パラメータのうち、同定可能な加工特性パラメータを選択パラメータとして選択し、前記同定用データを用いて、前記選択パラメータの同定を行う同定部と、
を備えることを特徴とする数値制御装置。 - 前記同定部は、前記振動判定部の判別結果に基づいて、前記選択パラメータとして、さらに工作機械の振動の特性を表す動特性パラメータのうち、同定可能な動特性パラメータを選択することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
- 前記同定部は、前記同定動作指令に対応する期間の前記同定用データを用いて前記同定が行われた後に、同定対象として設定されているパラメータである同定対象パラメータのうち同定が未了のパラメータが存在する場合に、同定動作の変更を指示する指令変更信号を生成して前記同定動作生成部に出力し、
前記同定動作生成部は、前記指令変更信号を受け取ると前記同定動作指令を変更し、
前記データ取得部は、変更後の前記同定動作指令に基づいて生成された前記制御信号と、該制御信号に基づいて動作した前記工作機械の運転状態を表す運転状態信号とを同期させて前記同定用データとして前記振動判定部および前記同定部へ出力することを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御装置。 - 外部から、前記同定対象パラメータの入力を受け付ける入力部、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。 - 前記入力部は、外部から、さらに、前記同定動作指令によって前記回転速度と前記送り速度とを変化させる際の前記回転速度および前記送り速度の時間に対する波形を示す情報である指令パターン情報の入力を受け付け、
前記同定動作生成部は、前記指令パターン情報に基づいて前記同定動作指令を生成することを特徴とする請求項4に記載の数値制御装置。 - 入力部は、数値制御プログラムとして外部からの入力を受け付けることを特徴とする請求項4または5に記載の数値制御装置。
- 入力部は、対話式プログラミングの形式で外部からの入力を受け付けることを特徴とする請求項4または5に記載の数値制御装置。
- 同定結果に基づいて、工作機械の運転を補正するための補正信号を生成する補正部、
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の数値制御装置。
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