JP7100677B2 - 試験システム - Google Patents
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Description
しかしながら、エンジンを用いる自動車の試験に用いられてきた既存の試験システムは、エンジンの発生トルクが小さい低回転速度域における試験の重要性が低い等により、低回転速度域の回転速度を所要の時間分解能で計測できる回転計を備えていない場合がある。たとえば、1回転あたりの検出信号の周期数が600であるロータリエンコーダを用いた回転計の場合、回転速度が5r/minのときには検出信号の周期が20msとなり、これより短い時間間隔で回転速度を計測して処理を行うことができない。
また、本発明は、このような回転速度の計測を既存の試験システムの比較的簡易な構造の変更によって実現することを課題とする。
また、本発明は、比較的簡易な構成で、広い回転速度域において回転速度を計測することを課題とする。
ここで、以上の試験システムは、前記回転盤を、周方向に前記n個の凸部が配列されたものとし、前記信号生成手段を、前記回転盤の回転による前記凸部の移動に伴う磁気変化によって、前記信号Aと信号Bとして用いられる2つの検出信号をそれぞれ検出するように、前記凸部に対する位相を異ならせて配置した2つの磁気センサを備えたものとしてよい。
ここで、前記試験体は、たとえば、自動車のエンジンや電気自動車の電気モータ(パワーユニット)やトランスミッションやドライブシャフトなどの自動車のパワートレイン構成要素、もしくは、自動車のパワートレイン、もしくは、自動車である。
また、本発明によれば、このような回転速度の計測を既存の試験システムに対する比較的簡易な構造の変更によって実現できる。
また、本発明によれば、比較的簡易な構成で、広い回転速度域において回転速度を計測できる。
図1に、本実施形態に係る試験システムの構成を示す。
試験システムは、試験体100の試験を行うシステムであり、試験体100は、自動車のエンジンや、電気自動車やハイブリッド自動車の電気モータ(パワーユニット)や、トランスミッションや、ドライブシャフトや、これらの組み合わせである。
また、回転盤5はトルクセンサ2に固定されトルクセンサ2と共に回転する。4つの磁気センサ7は、たとえば、磁気抵抗センサであり、それぞれ回転盤5の周囲に位置するようにフレーム6に固定され、回転盤5の回転に伴う磁気変化を検出する。
図示するように、回転盤5は、外周が周方向に並んだ多数の歯(凸部)となっている歯車状の形状を備えている。
そして、回転盤5の回転による歯の移動によって、各磁気センサ7に作用する磁気が周期的に変化し、各磁気センサ7から周期的に変化する検出信号が出力される。なお、磁気センサ7として、磁気抵抗センサを用いる場合、回転盤5の回転による歯の移動によって、磁気抵抗センサが備える強磁性体に作用する磁気が周期的に変化し、周期的に変化する検出信号が出力される。
すなわち、図2b1に示すように、回転盤5の中心に対する回転盤5の歯のピッチ一つの中心角をφとし、検出信号A*を出力する磁気センサ7の配置位置の角度を0度として回転盤5の中心回りに回転方向DRと反対(図では反時計方向)に角度を測るものとして、図2b2に示すように、kを任意の整数として検出信号B~*を出力する磁気センサ7の配置位置の角度がkφ+(φ/4)、検出信号A~*を出力する磁気センサ7の配置位置の角度がkφ+(2φ/4)、検出信号B*を出力する磁気センサ7の配置位置の角度がkφ+(3φ/4)となるように配置する。
このように各磁気センサ7を配置することにより、図2cに示すように回転盤5の回転に伴って正弦波状の4つの検出信号A*、B*、A~*、B~*が得られる。また、検出信号B*は検出信号A*に対して-90度位相が異なり、検出信号A~*は検出信号A*に対して-180度位相が異なり、検出信号B~*は検出信号A*に対して-270度位相が異なるものとなる。また、検出信号A*、B*、A~*、B~*の1周期の時間長は、歯のピッチ一つの中心角φと同じ角度分、回転盤5が回転するのに要する時間長、すなわち、回転盤5が1回転する時間の歯数分の1の時間長となる。
図示するように、計測制御システム8は、回転速度検出部81、運転制御部82、計測処理部83を備えている。
回転速度検出部81は、磁気センサ7が出力する検出信号A*、B*、A~*、B~*から、ダイナモメータ1/試験体100の回転速度ωdを算出し、運転制御部82と計測処理部83に出力する。
低速域回転速度算出部811は、磁気センサ7が出力する検出信号A*、B*、A~*、B~*を用いてダイナモメータ1/試験体100の回転速度を回転速度ωd1として算出し、回転速度算出部812は、磁気センサ7が出力する検出信号A*、B*、A~*、B~*を用いてダイナモメータ1/試験体100の回転速度を回転速度ωd2として算出する。
図示するように、低速域回転速度算出部811は、4つの磁気センサ7が出力する4つの検出信号A*、B*、A~*、B~*のそれぞれに対応する4つの信号調整部8111、第1信号生成部8112、第2信号生成部8113、第1角度信号算出部8114、第2角度信号算出部8115、微分信号算出部8116、回転速度変換部8117を備えている。
第1角度信号算出部8114は、信号Aと信号Bより、θ1=atan2(B,A)により第1角度信号θ1を生成し、第2角度信号算出部8115は、信号Aと信号Bより、θ2=atan2(-A,B)により第2角度信号θ2を生成する。なお、上述のように、x0、y0として、atan2(y,x)は、ユークリッド平面における、原点から点(x,y)へ向かう半直線と、正のx軸との間の、ラジアン単位の角度を与える。
このように、微分信号ω1と微分信号ω2の双方を求め、微分信号ωとして切り替えて用いるのは、図5dに示すように、微分信号ω1は第1角度信号θ1が+πから-πに変化するときに大きな負の値をとり、微分信号ω2は第2角度信号θ2が+πから-πに変化するときに大きな負の値をとるため、この値の部分を微分信号ωとして用いないようにするためである。
そして、回転速度変換部8117は、微分信号算出部8116が算出した微分信号ωを回転盤5の歯数nで除算して得られる回転盤5の角速度ω/nを、r/minに単位換算した回転速度ωd1を、ωd1=(ω/n)×(60/2π)により算出し切替処理部813に出力する。
ところで、以上の低速域回転速度算出部811に、第1信号生成部8112、第2信号生成部8113を設けずに、第1角度信号算出部8114、第2角度信号算出部8115において、検出信号A*、B*をそのまま信号A、Bとして用いて、第1角度信号θ1、第2角度信号θ2を算出してもよい。
そこで、回転盤5の逆回転時に、微分信号ω1の第1角度信号θ1が-πから+πに変化するときの値の部分と、微分信号ω2の第2角度信号θ2が-πから+πに変化するときの値の部分を用いないように、ωとして用いる値の微分信号ω1と微分信号ω2の間の切替を行うことにより、試験体100の出力軸の逆回転の計測を行ってもよい。
図6に、この切替処理の手順を示す。
最初に、この切替処理は、ダイナモメータ1/試験体100の回転が停止しているときに開始する。
図示するように、切替処理部813は、切替処理において、運転制御部82と計測処理部83に回転速度ωdとして出力する回転速度を、低速域回転速度算出部811が算出した回転速度ωd1に設定する(ステップ602)。
そして、ステップ604の監視の処理に戻る。
以上、切替処理部813が行う切替処理について説明した。
このような切替処理によれば、磁気センサ7を低速域回転速度算出部811と回転速度算出部812で共用する形態で、低速域回転速度算出部811で正しく回転速度を検出できるが回転速度算出部812では正しく回転速度を検出できない回転速度域を含む低回転速度域で、低速域回転速度算出部811を用いてダイナモメータ1/試験体100の回転速度ωdを検出しつつ、低速域回転速度算出部811で正しく回転速度を検出できなくなる、より高速な回転速度域においても、回転速度算出部812を用いてダイナモメータ1/試験体100の回転速度ωdを正しく検出することができるので、広い回転速度域において回転速度を正しく計測できる。
このように本実施形態によれば、所定角度の回転に1周期が対応する検出信号を用いて行う回転速度の計測を、検出信号の周期よりも短い時間間隔で行うことができる。
また、既存の試験システムが、試験体100の回転軸と共に回転する周方向に複数の凸部が配列された部材を備えている場合には、当該部材に対して磁気センサを所要の検出信号が得られるように配置するだけの比較的簡易な構造の変更で、当該部材を回転盤5として流用し、所定角度の回転に1周期が対応する検出信号を用いて行う回転速度の計測を、検出信号の周期よりも短い時間間隔で行うことができる。
たとえば、連結されたトランスミッションとドライブシャフトを試験体100としての試験を行う場合には、図7に示すように、左右のドライブシャフト101に、それぞれ、ダイナモメータ1をトルクセンサ2を介して連結すると共に、自動車の電気モータを模擬する駆動モータ9をトルクセンサ2を介してトランスミッション102に連結する。
また、以上の実施形態は、回転盤5として、周方向に並んだスリットを備えた円盤を用い、磁気センサ7に代えて、円盤に向けて光線を出射する光源とスリットを通過する光を検出する受光素子よりなる光学センサを用いてもよい。ただし、この場合には、4つの光学センサを、位相が順次90度ずつずれた4つの検出信号A*、B*、A~*、B~*が得られるように配置する。
Claims (9)
- 回転軸を有する試験体を試験する試験システムであって、
前記回転軸と共に回転する回転盤と、
φ=2π/n(但し、nは整数)として、前記回転盤が角度φ回転する毎に1周期が現れる周期信号である信号Aと、前記信号Aと位相が90度異なる周期信号である信号Bとを生成する信号生成手段と、
atan2関数を用いて信号Aと信号Bから、前記回転盤の所定の回転方向の回転に伴って、信号Aと信号Bの周期と同じ時間長の周期で、-πから+πまでの、前記回転盤の前記所定の回転方向の回転角の増加に正の比例係数で比例する増加を、相互に異なる位相で繰り返す角度信号θ1と角度信号θ2を生成し、ω1=dθ1(t)/dt、ω2=dθ2(t)/dtを算出する微分信号生成手段と、
前記回転盤の前記所定の回転方向に回転しているときに、角度信号θ1が+πから-πに変化する期間を含まず角度信号θ2が+πから-πに変化する期間を含む期間である第1の期間はω1をωとし、前記第1の期間を除く期間である第2の期間はω2をωとすることによりωを算定し、前記回転盤の角速度ωd1(rad/s)を、ωd1=ω/nによって算出する角速度算出手段を有することを特徴とする試験システム。 - 請求項1記載の試験システムであって、
前記信号Aは前記信号Bより位相が90度進んでおり、
前記微分信号生成手段は、atan2(B,A)、atan2(-B,-A)、atan2(-A,B)、atan2(A,-B)のうちのいずれか一つを角度信号θ1とし、他のいずれか一つを角度信号θ2とすることにより前記角度信号θ1と角度信号θ2を生成することを特徴とする試験システム。 - 回転軸を有する試験体を試験する試験システムであって、
前記回転軸と共に回転する回転盤と、
φ=2π/n(但し、nは整数)として、前記回転盤が角度φ回転する毎に1周期が現れる周期信号である信号Aと、前記信号Aと位相が90度異なる周期信号である信号Bとを生成する信号生成手段と、
atan2関数を用いて信号Aと信号Bから、前記回転盤の所定の回転方向の回転に伴って、信号Aと信号Bの周期と同じ時間長の周期で、+πから-πまでの、前記回転盤の前記所定の回転方向の回転角の増加に負の比例係数で比例する減少を、相互に異なる位相で繰り返す角度信号θ1と角度信号θ2を生成し、ω1=-dθ1(t)/dt、ω2=-dθ2(t)/dtを算出する微分信号生成手段と、
前記回転盤の前記所定の回転方向に回転しているときに、角度信号θ1が-πから+πに変化する期間を含まず角度信号θ2が-πから+πに変化する期間を含む期間である第1の期間はω1をωとし、前記第1の期間を除く期間である第2の期間はω2をωとすることによりωを算定し、前記回転盤の角速度ωd1(rad/s)を、ωd1=ω/nによって算出する角速度算出手段を有することを特徴とする試験システム。 - 請求項3記載の試験システムであって、
前記信号Aは前記信号Bより位相が90度進んでおり、
前記微分信号生成手段は、atan2(-B,A)、atan2(B,-A)、atan2(A,B)、atan2(-A,-B)のうちのいずれか一つを角度信号θ1とし、他のいずれか一つを角度信号θ2とすることにより前記角度信号θ1と角度信号θ2を生成することを特徴とする試験システム。 - 請求項1、2、3または4記載の試験システムであって、
前記回転盤には、周方向に前記n個の凸部が配列されており、
前記信号生成手段は、前記回転盤の回転による前記凸部の移動に伴う磁気変化によって、前記信号Aと信号Bとして用いられる2つの検出信号をそれぞれ検出するように、前記凸部に対する位相を異ならせて配置した2つの磁気センサを有することを特徴とする試験システム。 - 請求項1、2、3または4記載の試験システムであって、
前記回転盤には、周方向に前記n個の凸部が配列されており、
前記信号生成手段は、
前記回転盤の回転による前記凸部の移動に伴う磁気変化によって、前記回転盤が角度φ回転する毎に1周期が現れる、位相が順次90度ずつずれた4つの検出信号A*、B*、A~*、B~*をそれぞれ検出するように、前記凸部に対する位相を異ならせて配置した4つの磁気センサと、
A=A*-A~*、B=B*-B~*より前記信号Aと信号Bを算出する信号算出手段とを有することを特徴とする試験システム。 - 請求項5または6記載の試験システムであって、
前記磁気センサが検出した検出信号の単位時間あたりの周期数を前記nで除算して前記回転盤の角速度ωd2(rad/s)を算出する第2角速度算出手段と、
前記角速度算出手段が算出した角速度ωd1(rad/s)と前記第2角速度算出手段が算出した角速度ωd2(rad/s)の一方を、前記回転盤の角速度ωdとして出力する切替手段を有し、
当該切替手段は、前記角速度算出手段が算出した角速度ωd1(rad/s)を前記回転盤の角速度ωdとして出力しているときに、当該角速度ωdが第1のしきい値より大きくなった場合に、出力する前記回転盤の角速度ωdを前記第2角速度算出手段が算出した角速度ωd2(rad/s)に切り替え、前記第2角速度算出手段が算出した角速度ωd2(rad/s)を前記回転盤の角速度ωdとして出力しているときに、当該角速度ωdが前記第1のしきい値以下のしきい値である第2のしきい値以下となった場合に、出力する前記回転盤の角速度ωdを前記角速度算出手段が算出した角速度ωd1(rad/s)に切り替えることを特徴とする試験システム。 - 請求項5、6または7記載の試験システムであって、
ダイナモメータと、前記ダイナモメータの軸と前記試験体の回転軸を連結するトルクセンサとを有し、
前記回転盤は、前記トルクセンサが備える、外周に複数の歯が前記凸部として形成された円盤であることを特徴とする試験システム。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の試験システムであって、
前記試験体は、自動車、もしくは、自動車のパワートレイン、もしくは、自動車のパワートレインの構成要素であることを特徴とする試験システム。
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