JP7095837B2 - 水硬性材料硬化体の乾燥収縮低減剤、水硬性材料硬化体の収縮低減方法及び低収縮性水硬性材料硬化体 - Google Patents

水硬性材料硬化体の乾燥収縮低減剤、水硬性材料硬化体の収縮低減方法及び低収縮性水硬性材料硬化体 Download PDF

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本開示は、水硬性材料硬化体の乾燥収縮低減剤、水硬性材料硬化体の収縮低減方法及び低収縮性水硬性材料硬化体に関する。
従来、水硬性材料としてのセメントと水とが混練されてなるセメント組成物、又は、さらに骨材を含むコンクリート組成物を硬化させて硬化体を得る場合、硬化後に気中に置かれた硬化体は、材齢を重ねるのに伴い、セメント組成物又はコンクリート組成物中の水分が蒸発し、これによって、硬化体に乾燥収縮が生じることがある。
モルタル、コンクリート等の水硬性材料を含む組成物の硬化後に得られた硬化体の乾燥による収縮(以下、「乾燥収縮」と称することがある)は、硬化体のひび割れを引き起こし、ひいては、土木、建築構造物の強度、耐久性等の低下を招く虞がある。
従来、水硬性材料硬化体(以下、単に「硬化体」と称することがある)の乾燥収縮低減方法としては、未硬化の水硬性材料組成物に乾燥収縮低減剤(以下、単に「収縮低減剤」と称することがある)を添加する方法が一般的であった。しかしながら、通常、水硬性材料に収縮低減剤を添加すると、硬化に関与する水硬性材料の含有比率が相対的に減少する。
収縮低減方法としては、例えば、ポリオキシアルキレン基を含む収縮低減剤をコンクリート組成物に添加する硬化体の収縮低減方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、既述の如く、収縮低減剤を水硬性材料に加えることによる相対的な水硬性材料の含有比率が低下する問題があり、収縮低減剤の使用量には限界がある。さらに、特許文献1に記載の収縮低減剤は、親水性であり、空気連行性があるため、水硬性材料の調製時において、空気量の調整が困難となることがある。
このため、硬化体の乾燥収縮を防止する方法として、水硬性材料の硬化体に、収縮低減剤を適用する方法が試みられている。
例えば、水硬性材料の硬化体に、尿素を含有する溶液を含浸させる収縮低減方法が提案されている(特許文献2参照)。尿素は水溶性が良好であり、材料自体が非揮発性であるため、特許文献2の方法では、硬化体の細孔内に浸み込んだ尿素が結晶化する際の膨張圧により乾燥収縮を抑制するものと考えられる。
特開2003-171155号公報 特許第6163243号公報
しかしながら、特許文献2に記載される尿素を含む溶液による収縮低減効果には、なお改良の余地がある。さらに、尿素水溶液を硬化体に含浸させた場合、乾燥後に尿素の結晶が硬化体表面に析出することがあり、硬化体の外観が著しく損なわれる。さらに、親水性の尿素結晶の析出が生じることにより、硬化体の表面が親水化し、その後の硬化体の表面仕上げ、例えば、防水剤処理、表面剤の塗装、タイル張りなどが困難となり、表面処理性に劣る。
本発明の一実施形態の課題は、水硬性材料硬化体に適用することで、水硬性材料硬化体の乾燥収縮が低減され、乾燥収縮に起因するひび割れが抑制される水硬性材料硬化体の収縮低減剤を提供することである。
本発明の別の実施形態の課題は、水硬性材料硬化体の乾燥収縮が効果的に低減され、乾燥収縮に起因する硬化体のひび割れが抑制される水硬性材料硬化体の収縮低減方法を提供することである。
本発明の別の実施形態の課題は、水硬性材料硬化体の乾燥収縮低減剤を含む、乾燥収縮及び乾燥収縮に起因するひび割れが抑制された低収縮性水硬性材料硬化体を提供することである。
課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む。
<1>尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、水と、を含有する水硬性材料硬化体の収縮低減剤。
尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、良好な水溶性を示し、水との親和性に優れる。このため、収縮低減剤は均一な組成物となり、水硬性材料硬化体のへの浸透性が良好であり、水硬性材料硬化体の収縮低減効果に優れる。
さらに、乾燥後における硬化体表面への上記化合物の結晶析出が生じず、硬化体の仕上げ処理も容易に行なえるという副次的効果をも有する。
<2> 尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である<1>に記載の水硬性材料硬化体の収縮低減剤。
Figure 0007095837000001

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
上記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、いずれも、水溶性であり、簡易に入手することができ、これら化合物を含む収縮低減剤は、硬化体の収縮低減効果がより良好となる。
<3> 下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、水とを含有する水硬性材料硬化体の収縮低減剤を、水硬性材料硬化体の表面に適用する工程を含む、水硬性材料硬化体の収縮低減方法。
Figure 0007095837000002

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
上記化合物を水硬性材料硬化体の表面に適用し、浸透させることで、収縮低減剤は硬化体の細孔に浸透して、細孔が収縮低減剤により充填される。このため、細孔の内部に親水性の化合物が充填される。さらに、経時により、細孔内部の水分が蒸発することで細孔の表面近傍に化合物由来の被膜が形成された状態となると考えられ、この現象が生じると、硬化体の乾燥収縮がより低減され、乾燥収縮に起因する硬化体の乾燥ひび割れが効果的に防止される。
本開示の収縮低減方法では、水硬性材料硬化体の形成後に収縮低減剤を適用するため、収縮低減剤が水硬性材料硬化体自体の強度に影響を与える懸念がない。従って、水硬性材料硬化体を得るための水硬性材料組成物の処方の自由度が高い。
<4> 水硬性材料の硬化物であり、少なくとも表面近傍に細孔を有する硬化体と、前記硬化体の表面近傍に有する細孔内に存在する下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含む低収縮性水硬性材料硬化体。
Figure 0007095837000003

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
上記化合物の少なくとも1種が、硬化体の細孔に含まれ、細孔が収縮低減剤により充填されているため、水分の蒸発に起因する細孔の収縮及び細孔の収縮に伴う乾燥収縮が抑制された低収縮性の水硬性材料硬化体となる。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
なお、本明細書では、以下、「尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物」を「特定含窒素化合物」と称することがある。
本明細書において、工程との文言は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、水硬性材料とは、水と混合して硬化し得る材料の総称である。例えば、水との水和反応で硬化するセメント組成物、セメント組成物にさらに細骨材を含むモルタル組成物、さらに細骨材と粗骨材とを含むコンクリート組成物、また、セメントを用いず、水とケイ酸アルカリとフライアッシュなどの石炭灰とを含有し、重合反応により硬化する、いわゆるジオポリマー組成物を包含する意味で用いられる。
本発明の一実施形態によれば、水硬性材料硬化体に適用することで、水硬性材料硬化体の乾燥収縮が低減され、乾燥収縮に起因するひび割れが抑制される水硬性材料硬化体の収縮低減剤を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、水硬性材料硬化体の乾燥収縮が効果的に低減され、乾燥収縮に起因する硬化体のひび割れが抑制される水硬性材料硬化体の収縮低減方法を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、水硬性材料硬化体の乾燥収縮低減剤を含む、乾燥収縮及び乾燥収縮に起因するひび割れが抑制された水硬性材料硬化体を提供することができる。
実施例1~実施例3及び比較例1~比較例3の水硬性材料硬化体の、乾燥期間と乾燥収縮歪みとの関係を示すグラフである。
<水硬性材料硬化体の収縮低減剤>
本開示の水硬性材料硬化体の収縮低減剤は、尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(特定含窒素化合物)と、水と、を含有する。
特定含窒素化合物としては、下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
Figure 0007095837000004

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
本開示の水硬性材料硬化体の収縮低減剤及びその応用における作用は明確ではないが、以下のように考えている。
特定含窒素化合物は、水への溶解性に優れ、且つ、水溶液中においてイオンに分解することなく均一に溶解して存在する。
一方、水硬性材料硬化体の乾燥収縮は、前記硬化体中の細孔内に存在する液状成分が蒸発することによって引き起こされる。なかでも、硬化体の表面近傍における細孔においては、硬化体のより深い領域における細孔に比較して、乾燥収縮に及ぼす影響が大きい。
特定含窒素化合物は水に均一に溶解しやすい性質を持つ。このため、特定含窒素化合物を含む本開示の収縮低減剤は、水硬性材料硬化体の表面に適用された場合、硬化体の表面から、少なくとも表面近傍の細孔内に速やかに浸透し、特定含窒素化合物が水に溶解した水溶液の状態で細孔内に存在する。このため、水溶液による蒸気圧降下作用により、乾燥収縮の原因となる細孔内の液状成分の蒸発が抑制される。また、特定含窒素化合物は保水性及び水分蒸発抑制性に優れるため、蒸発抑制作用がより良好となる。
さらに、硬化体の細孔内に浸透した収縮低減剤は、空気に触れやすい表面側から乾燥し、内部に水溶液を保持したまま、表面近傍にて含水率が減少した領域において被膜が形成された如き状態となる。このため、細孔内のより深部に浸透した収縮低減剤の蒸発がより効果的に抑制される。また、これに起因して、特定含窒素化合物は、尿素を用いた場合とは異なり、表面に結晶が析出することなく、乾燥時における硬化体の細孔内の水分の急激な減少が抑制され、水分の急激な減少に起因する乾燥収縮が低減されるものと考えられる。
さらに、特定含窒素化合物の水溶液である収縮低減剤を適用することで、水硬性材料硬化体に水分が供給され、且つ、水分の蒸発が抑制される。従って、水硬性硬化体が、セメントを含む場合には、水和反応を促進して強度を向上させるという副次的な効果が得られ、乾燥収縮の低減と、ひび割れ防止性がさらに良好になると考えられる。
なお、本開示は、上記推定機構になんら制限されない。
(特定含窒素化合物)
本開示の収縮低減剤は、尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の特定含窒素化合物を含有する。
特定含窒素化合物は、親水性であって、イオン性を有しない化合物であり、両性又は非イオン性の化合物であることが好ましい。特定含窒素化合物がイオン性を有しないことで、水と混合して得られる水溶液は、適度な表面張力を有し、水硬性材料硬化体への浸透性が良好となる。
特定含窒素化合物としては、尿素誘導体、親水性の2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選ばれる化合物が好ましく、なかでも、下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
Figure 0007095837000005

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
以下、本開示における好ましい特定含窒素化合物について説明する。
〔式(I)で示される化合物〕
Figure 0007095837000006

上記式(I)で示される化合物は、尿素誘導体の一態様である。
式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基であってもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。式(I)で表される化合物のなかでも、R及びRがメチル基又はエチル基であり、且つ、R及びRが水素原子である化合物、R及びRがメチル基又はエチル基であり、且つ、R及びRが水素原子である化合物、R、R、R又はRのいずれか一つがメチル基又はエチル基であり、その他が水素原子である化合物が好ましい。
式(I)で表される化合物としては、例えば、1,3-ジメチル尿素(R及びRがメチル基であり、且つ、R及びRが水素原子)、1,3-ジエチル尿素(R及びRがエチル基であり、且つ、R及びRが水素原子)、1,1-ジメチル尿素(R及びRがメチル基であり、且つ、R及びRが水素原子である化合物)等が挙げられる。
〔式(II)で示される化合物〕
Figure 0007095837000007

上記式(II)で表される化合物は、親水性アミン化合物の一態様である。
式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
なかでも、R、R及びRのうち少なくとも1つが炭素数1~3のアルキル基である化合物が好ましく、R、R及びRの全てが炭素数1~3のアルキル基である化合物がより好ましい。
、R及びRにおけるアルキル基としては、メチル基、及びエチル基から選ばれるアルキル基が好ましい。
〔式(III)で示される化合物〕
Figure 0007095837000008
上記式(III)で示される化合物は、親水性アミン化合物の一態様であるヘキサメチレンテトラミンである。
ヘキサメチレンテトラミンは、水溶性が良好であり、収縮低減剤に用いることで、良好な収縮低減効果が得られる。
本開示の収縮低減剤は、特定含窒素化合物を1種のみ含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
(水)
本開示の収縮低減剤は、前記特定含窒素化合物に加え、水を含有する。即ち、収縮低減剤は、特定含窒素化合物の水溶液の態様をとる。
水には、特に制限はなく、水道水、精製水、イオン交換水、純水などのいずれも使用することができる。
なかでも、経済性の観点から、水道水を用いることが好ましい。
(特定含窒素化合物の含有量)
収縮低減剤における特定含窒素化合物の含有量には特に制限はないが、均一な水溶液を調製しやすいこと、及び、硬化体の細孔内において良好な保水性を維持できること、等の観点から、収縮低減剤における特定含窒素化合物の含有量は、収縮低減剤の全成分に対し、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。特定含窒素化合物は水溶性が良好であるため、含有量、即ち、水溶液の濃度が高くなるに従い、効果が高くなることが期待できる。
含有量の上限には特に制限はなく、均一に溶解し得る限り特に制限はないが、水溶液の安定性、作業性の観点から、60質量%以下とすることができる。
収縮低減剤における特定含窒素化合物の含有量が上記範囲であることで、硬化体細孔への浸透性がより良好となり、硬化体の収縮低減効果が十分に得られる。
<水硬性材料硬化体の収縮低減方法>
本開示の水硬性材料硬化体の収縮低減方法は、下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、水とを含有する水硬性材料硬化体の収縮低減剤を、水硬性材料硬化体の表面に適用する工程〔工程(A)〕を含む。
Figure 0007095837000009
上記式(I)、式(II)及び式(III)は、既述の収縮低減剤において説明した式(I)、式(II)及び式(III)と同義であり、好ましい例も同様である。
工程(A)では、既述の本開示の収縮低減剤を水硬性材料硬化体に適用する。収縮低減剤を水硬性材料硬化体に適用する方法は任意であり、公知の方法、例えば、収縮低減剤に硬化体を浸漬する方法、硬化体に収縮低減剤を塗布する方法、収縮低減剤を保持させた繊維塊などの多孔質体を硬化体表面に固定する方法、硬化体表面を樹脂パネルで覆う形で水槽を作製して、作製した水槽に溶液を注入し、浸透させる方法などが挙げられる。
なかでも、硬化体の細孔内に収縮低減剤が浸透し易いという観点からは、浸漬する方法が好ましい。
一方、硬化体に収縮低減剤を塗布する場合には、必要量を硬化体に適用する目的で、複数回に分けて塗布してもよい。収縮低減剤を複数回塗布する場合には、先に塗布した収縮低減剤が乾燥する前に繰り返し塗布することが効果の観点から好ましい。
収縮低減剤を塗布により硬化体に適用する場合の塗布法には特に制限はなく、刷毛またはローラーで塗布する方法、公知の塗布装置を用いて塗布する方法などが挙げられる。
(その他の工程)
本開示の水硬性材料硬化体の収縮低減方法は、その他の工程を含むことができる。
その他の工程としては、工程(A)の後に行なうことができる工程、例えば、収縮低減剤を適用した水硬性材料硬化体を乾燥する工程、水硬性材料硬化体の表面をシートで被覆して養生する工程などが挙げられる。
本開示の収縮低減剤を適用する水硬性材料硬化体には特に制限はなく、任意の水硬性材料硬化体に適用して収縮低減効果を得ることができる。
例えば、水硬性材料がセメントを含む場合には、セメントを含む組成物の硬化体に適用することで、硬化体の細孔が水を含む収縮低減剤により充填され、細孔の収縮が抑制され、且つ、収縮低減剤に含まれる水の作用により、セメントを含む硬化体の水和反応が促進され、強度がより向上するという副次的効果を得ることができる。
また、水硬性材料としてジオポリマー組成物を用いる場合、ジオポリマー組成物硬化体は、非晶質の縮重合体であり、内部に細孔を有することから、既述のセメントを含む組成物の硬化体におけるのと同様に、細孔に収縮低減剤が浸透し、細孔の内部を充填することで、収縮低減効果を得ることができる。
<低収縮性水硬性材料硬化体>
本開示の低収縮性水硬性材料硬化体は、水硬性材料の硬化物であり、少なくとも表面近傍に細孔を有する硬化体と、前記硬化体の表面近傍に有する細孔内に存在する下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含む。
水硬性材料硬化体には特に制限はなく、水と混合して硬化体を形成しうる材料を用いて得られた硬化体であれば特に制限はない。
一般に、水硬性材料の硬化物である水硬性材料硬化体は、反応硬化する過程にて少なくとも表面近傍に細孔が形成される。既述の本開示の製造方法は、収縮低減剤を水硬性材料硬化体に適用する工程(A)を含む。工程(A)にて、水硬性材料硬化体に適用された収縮低減剤は、硬化体に形成された細孔に硬化体表面から浸透する。従って、低収縮性水硬性材料硬化体においては、硬化体に形成された細孔のうち、少なくとも表面近傍に形成された細孔内には、浸透した収縮低減剤が存在し、細孔内に存在する収縮低減剤の機能により、既述の推定機構にて述べたように細孔に起因するひび割れが抑制される。
なお、硬化体の厚みにも依存するが、硬化体の表面近傍における細孔とは、硬化体の細孔への水の浸透性を考慮すれば、一般に、硬化体の表面(0mm)から深さ25mmまでの範囲に存在する細孔ということができる。
既述のように、硬化体形成用の水硬性材料としては、水との水和反応で硬化するセメント組成物、セメント組成物にさらに細骨材を含むモルタル組成物、さらに細骨材と粗骨材とを含むコンクリート組成物が挙げられる。さらに、水とケイ酸アルカリとフライアッシュなどの石炭灰(アルカリに活性のある非晶質粉体)とを含有し、重合反応により硬化する、いわゆるジオポリマー組成物を用いてもよい。
(セメント)
水硬性材料であるセメントには特に制限はなく、水硬性材料硬化体の使用目的に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。
セメントとしては、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、混合セメントすなわち、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、その他、エコセメント、白色ポルトランドセメント、高硫酸塩スラグセメント、アルミナセメント、石灰、セッコウなどが挙げられる。
硬化体を形成しうる水硬性材料は、セメントと混和材との混合物を含む。セメントと混合して用いることができる混和材としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、膨張材、高強度用混和材、石灰石微粉末、砕石粉、スラッジ粉、下水汚泥微粉末、シリカ質混和材、廃コンクリート微粉末などが挙げられる。これらのなかでも、アルカリに活性のある非晶質粉体である高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石微粉末、下水汚泥微粉末などは、水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)と併用することでジオポリマー組成物の成分ともなりうる。
水硬性材料硬化体における水硬性材料の含有量には特に制限はなく、水硬性材料硬化体の使用目的等を考慮して適宜選択される。
例えば、セメント硬化体を得る場合には、通常、セメント組成物中に、水硬性材料の総量として、270kg/m~650kg/m含有することができ、320kg/m~530kg/m含有することが好ましい。しかし、この例に制限されない。
水硬性材料硬化体の製造には、上記の水硬性材料の他、水、骨材、特定含窒素化合物以外の公知の添加剤を、効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
公知の添加剤としては、例えば、減水剤、空気連行剤、増粘剤、消泡剤、硬化促進剤などが挙げられる。
本開示の低収縮性水硬性材料硬化体において、少なくとも表面近傍に存在する細孔内に既述の本開示の収縮低減剤を含むことは、低収縮性水硬性材料硬化体を、硬化体の表面から一定の深さ毎に破砕して、得られた破砕物を水に含浸させ、水に溶け出した特定含窒素化合物を分析する操作を複数回繰り返して行うことで、確認することができる。
具体的には、硬化体を、例えば、5mm毎の深さで機械的に破砕し、破砕条件を調整して、粒径が0.5mm以上5mm以下の範囲の破砕物を得る。
得られた破砕物50gを秤量し、1000mLの三角フラスコに、破砕物50gと純水500mL(ミリリットル)とを投入し、振とう機にて6時間連続して振とうする。
振とうした後、破砕物に含まれる収縮低減剤が分散液中に溶出する。ろ過により、破砕物と液とを分離し、得られた液の水分を蒸発させて濃縮する。濃縮した液をラマン分光装置にて分析し、ラマンスペクトルのピークを確認することにより、硬化体の深さ5mmまでの領域に含まれる収縮低減剤における特定含窒素化合物を同定することができる。
上記操作を表面から5mm毎に複数回行うことで、それぞれの深さの領域に含まれる収縮低減剤の存在を確認することができ、さらに繰り返して行うと、ある深さ以上の操作によって得られた破砕物からの収縮低減剤の存在が確認されなくなる。
これらの操作により、収縮低減剤が表面近傍からある一定の深さ、即ち、硬化体の表面近傍における破砕物には、特定含窒素化合物が含まれることを確認し、硬化体の深部における破砕物には、特定含窒素化合物が含まれないことを確認することで、被検体である硬化体が、本開示の低収縮性水硬性材料硬化体であることが確認できる。
即ち、水硬性材料に特定含窒素化合物を配合した場合には、水硬性材料硬化体の深さ方向に均一に特定含窒素化合物が存在するのに対し、本開示の製造方法により得られた低収縮性水硬性材料硬化体では、硬化体の表面近傍に特定含窒素化合物が多く存在する一方で、収縮低減剤が浸透し難い硬化体の深部では、特定含窒素化合物が検出されない。その結果、本開示の低収縮性水硬性材料硬化体と、特定含窒素化合物を含む水硬性材料の硬化体とを区別することができる。
なお、上記の操作例では、硬化体の破砕深さを5mmに設定したが、1回の操作における破砕物を得るための破砕深さは上記の例には限定されず、硬化体のサイズなどに応じて適宜選択することができる。例えば、厚みが30mm~100mm程度の硬化体では、1回の操作における破砕深さを5mm~7mmとすることができ、より厚い構造物、例えば、厚みが200mm以上の硬化体である場合には、1回の操作における破砕深さは10mm以上とすることができ、いずれも正確な確認を行うことができる。
本開示の低収縮性水硬性材料硬化体は、乾燥収縮及び乾燥収縮に起因するひび割れが低減されるため、構造材、外装材などの種々の用途に使用することができる。
また、低収縮性水硬性材料硬化体に含まれる収縮低減剤は、硬化体の、少なくとも表面近傍における細孔内に存在し、硬化体表面に析出して外観に影響を与えたり、表面の物性に影響を与えたりすることがない。
このため、本開示の低収縮性水硬性材料硬化体は後処理性が良好である。例えば、硬化体に防水処理等の後処理を行なうために表面に吸水防止剤等を塗布する際にも、特別な処置をすることなく塗布作業を行うことが可能である。また、硬化体表面に塗装を施したり、タイル張りを行なったりする場合にも、特別な前処理が不要であるという利点を有する。
以下、具体例を挙げて本開示の収縮低減剤、水硬性材料硬化体の収縮低減方法及び低収縮性水硬性材料硬化体について詳細に説明するが、以下の実施例は、本開示における一態様を示すものである。本開示は、その主旨を逸脱しない限り種々の変型例が可能であり、以下の記載に限定されない。
なお、特に断らない限りにおいて、以下の「%」及び「部」は質量基準である。
〔実施例1~実施例3、比較例1~比較例3〕
以下に示す処方に従い、水硬性材料硬化体を調製し、得られた水硬性材料硬化体を用いて評価を行った。
<水硬性材料硬化体の製造>
下記材料を用いて、細骨材としての砂を含む水硬性材料硬化体(セメントモルタル)を作製した。
下記材料を用いた水硬性材料組成物の配合は、水セメント比(W/C)を50%、砂セメント比(S/C)を2.5とした。
JIS R 5201(1997年)に定める方法で、水硬性材料硬化体を作製し、比較例1の硬化体(標準試験体)とした。
(水硬性材料組成物の材料)
・水硬性材料:普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm、比表面積3280cm/g)
・細骨材:君津産山砂(絶乾密度2.57g/cm、表乾密度2.61g/cm、吸水率1.59%)
<水硬性材料硬化体の評価>
(1.乾燥収縮及び圧縮強度)
得られた水硬性材料硬化体について、乾燥収縮及び圧縮強度を測定した。
水硬性材料硬化体の乾燥収縮の評価については、JIS A 1129-3(2010年)に規定する乾燥収縮歪みを測定することで行った。JIS A 1129-3(2010年)に準じて測定した乾燥収縮歪みが小さいほど、乾燥収縮が低減されていることを示す。
水硬性材料硬化体の圧縮強度はJIS R 5201(1997年)に定める強さ試験に準じて圧縮強さを測定し、硬化体の圧縮強度の指標とした。
実施例1~実施例3、比較例1~比較例3の圧縮強度は乾燥収縮を評価した試験体と同一条件での処理、保管された試験体を用いて測定した。
まず、標準試験体とした比較例1の乾燥収縮を、材齢1日で脱型し、その後、20℃60%の環境下で乾燥収縮測定を開始し、20℃60%の環境下における乾燥収縮測定を8週間継続し、8週後の乾燥収縮歪みを記録して評価した。
また、乾燥収縮を評価した試験体と同一条件での処理、保管した比較例1の硬化体の圧縮強度を材齢4週で測定し、硬化体の圧縮強度の指標とした。
-収縮低減剤の適用-
比較例1と同様の方法で作製した水硬性材料硬化体を、材齢1日で脱型し、その後、20℃60%の環境下で乾燥収縮測定を開始した。乾燥収縮測定開始2日後に、水硬性材料硬化体を、後述の実施例1~実施例3及び比較例2~比較例3に記載された本開示の収縮低減剤又は比較収縮低減剤に1時間浸漬して収縮低減剤を含浸した。その後、収縮低減剤で処理した試験体(低収縮性水硬性材料硬化体)を得て、得られた試験体を再び20℃60%の環境下で乾燥収縮測定を開始から8週間継続し、8週後の乾燥収縮歪みを測定した。結果を下記表1に示した。
乾燥収縮測定は、8週後も継続し、13週に至るまで行なった。実施例1~実施例3の低収縮性水硬性材料硬化体、及び比較例1~比較例3の水硬性材料硬化体の、乾燥期間と乾燥収縮歪みとの関係を、図1にグラフとして示す。なお、測定開始2日後に見られるグラフの変化は、収縮低減剤を含浸させたことに起因する変化である。
図1のグラフでは、既述の乾燥収縮歪みの測定を8週後も継続し、13週まで行なった結果を示した。
実施例1~実施例3、比較例2及び比較例3の圧縮強度については、乾燥収縮を評価した試験体と同一条件での処理、保管した硬化体を用いて材齢4週で測定した。結果を下記表1に示す。
各収縮低減剤の組成を以下に示す。
(実施例1で用いた収縮低減剤)
・収縮低減剤(A-1):尿素誘導体(密度1.14g/cm、分子量88、式(I)で表される化合物であり、R及びRがメチル基であり、R及びRが水素であるジメチル尿素)の40%水溶液。
(実施例2で用いた収縮低減剤)
・収縮低減剤(A-2):無水ベタイン(密度1.00g/cm、分子量117、式(II)で表される化合物であり、R、R及びRがいずれもメチル基である化合物)の40%水溶液。
(実施例3で用いた収縮低減剤)
・収縮低減剤(A-3):ヘキサメチレンテトラミン(密度1.34g/cm、分子量140(式(III)で表される化合物)の40%水溶液。
(比較例2で用いた収縮低減剤)
・比較収縮低減剤(CA-1):尿素(密度1.32g/cm、分子量60)の40%水溶液。
(比較例3で用いた収縮低減剤)
試験体を、比較収縮低減剤(CA-2)としての水に浸漬した。
(2.外観評価)
乾燥収縮歪みを測定した試験体の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
-外観評価基準-
A:比較例1の試験体と評価対象試験体との相違を目視で観察した結果、目視にて外観上の相違は認められない。
B:比較例1の試験体と評価対象試験体との相違を目視で観察した結果、評価対象試験体の外観に僅かな析出物が認められたが、実用上問題のないレベルである。
C:評価対象試験体の表面に結晶状の析出物が認められ、外観が著しく劣っていた。
Figure 0007095837000010

表1の結果より、実施例1~実施例3の水硬性材料硬化体は、いずれも乾燥収縮歪みが小さく、材齢4週において、標準である比較例1の水硬性材料硬化体よりもさらに圧縮強度が向上したことがわかる。
他方、収縮低減剤を含有しない比較例1は、乾燥収縮歪みが大きく、各実施例及び水を含浸させた比較例3よりも、圧縮強度が低い傾向が見られた。
公知の収縮低減剤である尿素を含有する比較例2の水硬性材料硬化体は、標準試験体である比較例1よりも乾燥収縮歪みは小さく、ある程度の乾燥収縮低減効果を示した。しかし、実施例1~3の各硬化体に比較すると乾燥収縮歪みはより大きな値であった。また、圧縮強度は各実施例に対し、ほぼ同等ではあるが、硬化体表面における尿素結晶の析出が著しく、外観が非常に劣っていることがわかる。
上記各実施例のうち、実施例1で得た水硬性材料硬化体における深さ方向の特定含窒素化合物の存在を、既述の方法、即ち、硬化体の深さ5mm毎の破砕物の分析により確認した。その結果、深さ10mmまで、特定含窒素化合物の存在が確認され、深さ10mmを超えた硬化体の深部では特定含窒素化合物の存在が確認できなかった。このことから、本開示の製造方法により得られた低収縮性水硬性材料硬化体は、表面近傍の細孔内のみに収縮低減剤が存在し、硬化体の深部には存在しないことが確認された。従って、実施例1の硬化体では、硬化体の表面から細孔内に浸透した収縮低減剤によりひび割れが抑えられていると考えられる。
(3.表面処理性)
水硬性材料硬化体に、吸水防止剤による表面処理を行う際の評価を行なった。
即ち、得られた実施例1~実施例3及び比較例1~比較例3の水硬性材料硬化体を試験体とし、硬化体の表面に吸水防止剤(シランコートHS(菊水化学工業株式会社))を塗布する表面処理を行い、表面処理による硬化体表面の撥水性を評価した。
即ち、表面に水滴を落として接触角を測定する水接触角評価を行なった。
接触角の測定は接触角計(Drop Master DM-501、協和界面科学(株)製)を用いて行った。
比較例2の硬化体は、表面に尿素の結晶が付着していたため、尿素結晶が付着した状態で表面処理した場合と、予め尿素結晶を除去した後に表面処理した場合について実施した。尿素結晶の除去は、金属製のヘラを用いて行なった。
結果を下記表2に示す。
Figure 0007095837000011

実施例1~実施例3の硬化体は、未処理の標準試験体である比較例1及び水のみを含浸させた比較例3とほぼ同等の接触角を示し、表面処理により、高い吸水防止性(撥水性)が付与されたため、表面処理性が良好であることがわかる。
他方、尿素を含有する比較例2の硬化体は、尿素結晶が析出しているため、結晶除去処理を行なわなかった場合(表2における比較例2(a))は、吸水防止剤を塗布しても、表面に付着した結晶が吸水して全く撥水性を示さず、測定は不可であった。同じ比較例2の硬化体について、金属製のヘラにより結晶を掻き取る結晶除去処理を行った後、吸水防止剤を塗布した場合(表2における比較例2(b))においては、比較例1及び各実施例に対して、やや接触角が小さく、表面処理性は標準試験体である比較例1及び各実施例に対し低いことがわかる。
以上のことから、実施例1~実施例3の低収縮性水硬性材料硬化体は、防水処理である表面処理を行なった場合の表面処理性が、比較例2に対し、良好であることが確認された。

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、水と、を含有する水硬性材料硬化体の収縮低減剤であり、
    前記収縮低減剤の全質量に対する前記尿素誘導体及び前記親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、20質量%~60質量%であり、水硬性材料硬化体の表面に適用して用いられる水硬性材料硬化体の収縮低減剤。
    Figure 0007095837000012



    式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
    式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
  2. 下記式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、水とを含有する水硬性材料硬化体の収縮低減剤であり、前記収縮低減剤の全質量に対する前記化合物の含有量が、20質量%~60質量%である水硬性材料硬化体の収縮低減剤を、水硬性材料硬化体の表面に適用する工程を含む、水硬性材料硬化体の収縮低減方法。
    Figure 0007095837000013


    式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
    式(II)において、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。
  3. さらに、前記水硬性材料硬化体の表面に吸水防止剤を塗布する工程を含む、請求項に記載の水硬性材料硬化体の収縮低減方法。
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