以下、図面を参照して本実施の形態にかかるレーザ照射装置、レーザ照射方法、半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、レーザが照射される被処理体をアモルファスシリコン膜付きガラス基板であるとして説明するが、被処理体は、特に限定されるものではない。
レーザ照射装置の一例は、基板上に形成されたアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、ポリシリコン膜を形成するエキシマレーザアニール装置である。したがって、レーザ照射装置は、液晶表示パネルや有機EL(ElectroLuminescence)表示パネルの製造工程において、TFT(Thin Film transistor)アレイ基板を製造するために使用される。すなわち、レーザ照射装置は、TFTアレイ基板などの半導体装置の製造工程に用いられる。
実施の形態1.
(レーザ照射装置の基本構成)
本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、例えば、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Poly-Silicon)膜を形成するエキシマレーザアニール(ELA:Excimer laser Anneal)装置である。まず、レーザ照射装置の基本構成について、図1~図3を用いて説明する。図1は、レーザ照射装置の基本構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示すレーザ照射装置の切断線II-IIにおける断面図である。図3は、図1に示すレーザ照射装置の切断線III-IIIにおける断面図である。
なお、以下に示す図では、説明の簡略化のため、適宜、xyz3次元直交座標系を示している。z方向は鉛直上下方向であり、y方向はライン状のレーザスポットに沿った方向であり、x方向は、搬送方向である。x方向に搬送(スキャン)しながら、y方向に沿ったライン状のレーザ光を基板に照射している。また、x方向とy方向は矩形状の被処理体16の端辺に沿った方向である。
図1~図3に示すように、レーザ照射装置1は、浮上ユニット10、搬送ユニット11、及びレーザ発生装置14を備える。図2に示すように、浮上ユニット10は、浮上ユニット10の表面からガスを噴出するように構成されており、浮上ユニット10の表面から噴出されたガスが被処理体16の下面に吹き付けられることで、被処理体16が浮上する。例えば、被処理体16はガラス基板である。被処理体16が搬送される際、浮上ユニット10は被処理体16の上側に配置されている他の機構(不図示)に被処理体16が接触しないように浮上量を調整している。
搬送ユニット11は、浮上している被処理体16を搬送方向(x方向)に搬送する。図1、図3に示すように、搬送ユニット11は、保持機構12と移動機構13とを備える。保持機構12は、被処理体16を保持する。例えば、保持機構12は、多孔質体を備える真空吸着機構を用いて構成することができる。保持機構12(真空吸着機構)は、排気ポート(不図示)に接続されており、排気ポートはエジェクタや真空ポンプなどに接続されている。よって、保持機構12にはガスを吸引するための負圧が作用するため、保持機構12を用いて被処理体16を保持することができる。
また、保持機構12は吸着動作を行うための昇降機構を備えている。昇降機構は、例えば、エアシリンダやモータなどのアクチュエータ等を備えている。例えば、保持機構12は吸着位置まで上昇した状態で、被処理体16を吸着する。また、保持機構12は、吸着を解除した状態で、待機位置まで下降する。
本実施の形態では、図3に示すように、保持機構12は、被処理体16のレーザ光が照射される面(上面)と逆側の面(下面)、つまり、被処理体16の浮上ユニット10と対向する側の面を吸引することで、被処理体16を保持している。また、保持機構12は、被処理体16の+y方向における端部(つまり、被処理体16の搬送方向と垂直な方向における端部)を保持している。
搬送ユニット11が備える移動機構13は保持機構12と連結されている。移動機構13は、保持機構12を搬送方向(x方向)に移動可能に構成されている。搬送ユニット11(保持機構12及び移動機構13)は、浮上ユニット10の+y方向の端部側に設けられており、保持機構12で被処理体16を保持しつつ、移動機構13が搬送方向に移動することで被処理体16が搬送される。
図1に示すように、例えば、移動機構13は浮上ユニット10の+y方向の端部を+x方向に沿ってスライドするように構成されており、移動機構13が浮上ユニット10の端部を+x方向に沿ってスライドすることで、被処理体16がx方向に沿って搬送される。このとき、移動機構13の移動速度を制御することで、被処理体16の搬送速度を制御することができる。移動機構13は、例えば、図示しないモータなどのアクチュエータとリニアガイド機構やエアベアリング等を備えている。
図1、図2に示すように、被処理体16にはレーザ光15(以下、レーザ光の照射位置も符号15で示す)が照射される。例えば、レーザ照射装置はレーザアニール装置であり、この場合はレーザ発生装置14にエキシマレーザ等を用いることができる。レーザ発生装置14から供給されたレーザ光は、シリンドリカルレンズを有する光学系(不図示)においてライン状となる。被処理体16にはライン状、具体的には焦点がy方向に伸びるレーザ光15(ラインビーム)が照射される(図1参照)。換言すると、レーザ光15の被処理体16上における照射位置は被処理体16の搬送方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に伸びている。
被処理体16は、例えば、非晶質膜(アモルファスシリコン膜)が形成されたガラス基板である。非晶質膜にレーザ光15を照射してアニール処理することで、非晶質膜を結晶化させることができる。例えば、アモルファスシリコン膜を、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)に変換することができる。
図1~図3に示すレーザ照射装置1では、浮上ユニット10を用いて被処理体16を浮上させながら、搬送ユニット11を用いて被処理体16の下面を保持して、被処理体16を搬送方向に搬送している。このとき、レーザ照射装置1が備える搬送ユニット11は、被処理体16を搬送した際に、平面視において(つまりz方向からみて)、搬送ユニット11がレーザ照射位置15と重畳しない位置を保持して被処理体16を搬送している。つまり、図1に示すように、被処理体16を搬送方向に搬送した際に、搬送ユニット11が被処理体16を保持する位置(保持機構12の位置に対応)が、レーザ照射位置15と重畳しないようにしている。
例えば、被処理体16の平面形状は4辺を有する四角形(矩形状)であり、搬送ユニット11(保持機構12)は、被処理体16の4辺中の1辺のみを保持している。そして、搬送ユニット11(保持機構12)は、被処理体16が搬送されている期間においてレーザ光が照射されない位置を保持している。
このような構成とすることで、搬送ユニット11が被処理体16を保持する位置(保持機構12の位置に対応)とレーザ照射位置15とを離間させることができる。よって、レーザ照射時における被処理体16のたわみの影響を低減させることができる。
(多孔質体を用いた保持機構12)
保持機構12は、多孔質体を用いて、被処理体16を吸着することが好ましい。以下、多孔質体を用いた保持機構12の好適な一例について、図4~図6を用いて説明する。図4は、保持機構12の構成を模式的に示す平面図であり、図5は、図4のV-V断面図である。図6は、被処理体16を吸着した状態を示す断面図である。また、図5、図6では、負圧を発生させるための構成を合わせて示している。保持機構12は、多孔質体151と、台座153と、継手141と、バルブ142と、レギュレータ143と、真空発生源144と、配管146~148と、圧力計149と、を備えている。
図5に示すように、板状の台座153の上面に多孔質体151が貼り付けられている。台座153は、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属製の板状部材である。台座153は、負圧空間155を形成するための凹部153aを有している。すなわち、多孔質体151の外周縁部分のみが台座153に固定されている。台座153と多孔質体151とで囲まれた空間が負圧空間155となる。さらに、台座153の底部には、負圧空間155に到達する吸引ポート156が形成されている。
なお、図5では、多孔質体151の外周縁部分のみが台座153に保持されているが、台座153が保持する箇所は、外周縁部分に限定されるものではない。台座153に流路となる溝を設けている場合、流路以外の部分で、台座153と多孔質体151とが固定される。この場合、流路が負圧空間となる。
多孔質体151は、平板状に形成されており、上面151aと下面151bを有している。多孔質体151の上面151aが、被処理体16を吸着する吸着面となる。多孔質体151の下面151bが、負圧空間155と接する。多孔質体151の内部には、微細な気孔(すなわち細孔)が設けられている。よって、負圧空間155が負圧となると、多孔質体151の上面151aに配置された被処理体16が吸着される。また、被処理体16が多孔質体151の上にない場合、多孔質体151の上側のガス(空気)が細孔を通過して、負圧空間155に流入する。
さらに、多孔質体151は、貫通穴152を備えている。貫通穴152は、上面151aから下面151bに到達している。すなわち、z方向における貫通穴152の長さは、多孔質体151の厚みと同じとなっている。貫通穴152は、負圧空間155に到達している。なお、貫通穴152を設ける理由については後述する。多孔質体151は、例えば、アルミナセラミックスなどの多孔質セラミックスであることが好ましい。あるいは、多孔質体151として、多孔質カーボン、多孔質金属を用いることも可能である。
xy平面において、多孔質体151はx方向のサイズが280mmであり、y方向のサイズが10mmの矩形状になっている。また、多孔質体151の厚さは5mm程度となっている。多孔質体151は、接着剤で台座153に接着されている。あるいは、ボルトなどで、多孔質体151を台座に固定してもよい。xy平面において、貫通穴152は、直径1.5mmの円形となっている。また、ここでは、x方向に70mmピッチで3つの貫通穴152が形成されている。もちろん、多孔質体151のサイズ、貫通穴152のサイズや数は、上記の値に限定されるものではない。
台座153の吸引ポート156には継手141が接続されている。継手141は、例えばチーズユニオン等のT字継手である。継手141は、さらに、圧力計149と配管146とに接続されている。配管146はバルブ142と継手141とを接続している。バルブ142は、配管147を介して、レギュレータ143に接続されている。レギュレータ143は、配管148を介して、真空発生源144に接続されている。
真空発生源144は、真空ポンプやエジェクタなどの排気機構である。ここでは、真空発生源144として、到達圧-90kPa、吸込流量100l/minとなっている。なお、圧力は大気圧を0Paとするゲージ圧とする。真空発生源144は、配管148、レギュレータ143、配管147、バルブ142、配管146、継手141、吸引ポート156を介して、負圧空間155に連通している。よって、真空発生源144は、負圧空間155を負圧とするため、負圧空間155内のガスを排気する。レギュレータ143は、真空発生源144の排気量を制御して、負圧空間155の圧力を調整する。例えば、レギュレータ143の設定圧力は、-50kPaに設定されている。
バルブ142は、例えば、制御信号によって開閉制御されるエアオペレートバルブである。バルブ142が開くと、真空発生源144が負圧空間155を排気するため、被処理体16が吸着される。バルブ142が閉じると、負圧空間155の排気が停止される。そして、多孔質体151を介して、ガスが負圧空間155に流入するため、被処理体16の吸着が解除される。
圧力計149は、継手141を介して負圧空間155と連通している。したがって、圧力計149は、負圧空間155の圧力を測定する。なお、圧力計149を取り付ける位置は、負圧空間155の圧力を測定することができる位置であれば特に限定されるものではない。例えば、台座153には、圧力計149を取り付けるポートを別途設けてもよい。圧力計149の圧力によって、被処理体16が吸着されているか否かの判定が行われる。具体的には、圧力計149で測定された圧力値としきい値を比較することで、吸着が完了したか否かの判定が行われる。この吸着判定処理については後述する。
図6に被処理体16を吸着した状態の保持機構12を示す。多孔質体151の上には、被処理体16が載置されている。すなわち、多孔質体151の上面151aが、被処理体16の下面と当接している。上記のように、真空発生源144が負圧空間155を負圧とする。よって、多孔質体151を介して、被処理体16を吸着することが可能になる。
ここで、貫通穴152は、被処理体16の直下に配置されている。換言すると、被処理体16で覆われる位置に貫通穴152が形成されている。よって、吸着時には、貫通穴152が被処理体16で塞がれるため、貫通穴152を介して、エアが負圧空間155に流入されない。これにより、保持機構12が、被処理体16を確実に吸着することができる。
また、多孔質体151に貫通穴152を形成することで、吸着判定を確実に行うことができる。この理由について説明するため、貫通穴152を形成していない多孔質体151を用いた変形例1を、図7、図8に示す。図7、図8に示す変形例1では、多孔質体151に貫通穴152が形成されていない点以外は、図4~図6に示す保持機構12と同様の構成となっている。図7では、多孔質体151上に被処理体16が配置されていない状態を示し、図8は多孔質体151上に被処理体16が配置されている状態を示している。
多孔質体151上に被処理体16が配置されていない場合、図7の矢印のように、多孔質体151の上面全体からエアが負圧空間155に流入する。一方、多孔質体151上に被処理体16が配置されている場合、図8の矢印のように、多孔質体151の外周部のみからエアが負圧空間155に流入する。
具体的には、図9に示すように、被処理体16の端部では、被処理体16と多孔質体151との間に隙間が生じる。したがって、被処理体16と多孔質体151の隙間からガスが流入する。
ここで、多孔質体151の気孔率、気孔径、厚さなどを変えることで、ガスの流入に対する抵抗を大きくすることができる。多孔質体151の抵抗を大きくすると、図10に示すように多孔質体151の一部にしか被処理体16が載置されていない状態であっても、十分な吸着力を得ることができる。多孔質体151の抵抗が大きい場合、真空発生源144による吸引流量が、多孔質体151からの流入流量より十分に大きくなる。よって、多孔質体151を介して負圧空間155にガスが流入したとしても、負圧空間155の圧力を真空に保つことが可能となる。
しかしながら、小さいサイズの多孔質体151を用いた場合、多孔質体151の抵抗が大きいと、吸着前後における負圧空間155の圧力の差が小さくなってしまう。あるいは、図10に示すように、多孔質体151に対して小さい被処理体16を吸着する場合、多孔質体151の抵抗が大きいと、吸着前後における負圧空間155の圧力の差が小さくなってしまう。
以下、多孔質体151を介して、負圧空間155に流入するガスの流量について説明する。図7に示すように、多孔質体151上に被処理体16が載っていない場合、多孔質体151の上面151a全体からエアが負圧空間155に流入する。一方、多孔質体151上に被処理体16が載っている場合、図8、図9に示すように、多孔質体151の外周部からガスが負圧空間155に流入する。本実施の形態では、保持機構12が被処理体16の一部を吸着するため、多孔質体151が小型となっている。具体的な一例では、x方向のサイズが280mmでy方向のサイズが10mmである小型の多孔質体151が用いられている。この場合、被処理体16の有無に応じて、多孔質体151を介して負圧空間155に流入するガス流量の差が小さくなる。
なお、具体的な一例として、x方向のサイズが1850mmでy方向のサイズが1500mmの被処理体16を保持する場合を説明する。この具体例では、x方向のサイズが280mmでy方向のサイズが10mmの多孔質体151を有する保持機構12を6個用意する。そして、6個の保持機構12を被処理体16の1850mmの1辺に沿って1列に並べて、被処理体16の端部を保持する。もちろん、被処理体16のサイズ等に応じて、多孔質体151のサイズや数を変えることができる。
例えば、被処理体16が多孔質体151の上に載せられている状態では、図11に示すように多孔質体151の外周縁から3mmまでの矩形枠状の流入領域1511からガスが流入しているとする(図9を合わせて参照)。この場合、矩形枠状の流入領域1511の内側にある矩形状の非流入領域1512からは、ガスが流入しない。
上記の具体例において、xy平面における1つの多孔質体151の面積は、2800mm2(280mm×10mm)である。1つの多孔質体151における非流入領域1512の面積は、幅3mmの矩形枠を除いた部分であるため、1096mm2(=274mm×4mm)となる。したがって、1つの多孔質体151における流入領域1511の面積は、1704mm2(=2800mm2-1096mm2)となる。換言すると、被処理体16を多孔質体151の上に配置されていたとしても、多孔質体151の面積の約60%からガスが流入してしまう。
したがって、被処理体16の有無による圧力差の検知が困難になる。例えば、図7に示すように、多孔質体151の上に被処理体16が配置されていない状態では、圧力計149で測定された負圧空間155の圧力は-25kPaとなる。一方、図8に示すように、多孔質体151の上に被処理体16が配置されている状態では、圧力計149で測定された負圧空間155の圧力は-28kPaとなる。よって、被処理体16の有無による負圧空間155の圧力差が3kPaしかない。
一方、本実施の形態のように、多孔質体151に貫通穴152が設けられている場合、貫通穴152を介して負圧空間155が外部と連通する。したがって、被処理体16のない場合、負圧空間155がほぼ大気圧、つまり0kPaに近くなる。一方、貫通穴152は、多孔質体151の外周縁の近くには形成されていない。換言すると、全ての貫通穴152が図11で示した非流入領域1512に設けられており、流入領域1511には貫通穴152が設けられていない。このため、多孔質体151の上に被処理体16が配置されている状態では、貫通穴152が被処理体16で塞がれる。したがって、図6に示すように、多孔質体151の上に被処理体16が配置されている状態では、圧力計149で測定された負圧空間155の圧力は-28kPaとなる。よって、被処理体16の有無による負圧空間155の圧力差が28kPaとなる。
このようにすることで、吸着判定を確実に行うことができる。すなわち、圧力計149で測定された圧力値に応じて吸着検知を適切に行うことができる。例えば、圧力計149で測定された圧力値としきい値とを比較して、比較結果に応じて吸着が完了したか否かを判定することができる。すなわち、非吸着時の負圧空間155の圧力はほぼ大気圧となり、吸着時の負圧空間155の圧力は真空となる。このように、被処理体16の有無に応じた圧力差が大きいため、吸着/非吸着の判断が容易になる。
上記の観点から、貫通穴152は、多孔質体151の外周縁の近傍に形成しないことが好ましい。本実施の形態では、全ての貫通穴152を多孔質体151の周縁部を除いた中央部に形成している。
そして、被処理体16の吸着が完了したと判定された場合に、移動機構13が保持機構12を移動させる(図1等を参照)。すなわち、被処理体16の吸着検知を被処理体16の搬送開始のトリガーとすることができる。以下、被処理体16の吸着判定と、移動機構13の動作を行うための制御系について図12を用いて説明する。
レーザ照射装置1は、A/Dコンバータ52と、制御部53と、モータドライバ56と、モーションコントローラ54と、モータ57とを備えている。モータ57は、移動機構13に設けられたアクチュエータであり、保持機構12を搬送方向(図1の+x方向)に移動させる。モータドライバ56はモータ57を駆動する。また、レーザ照射装置1は、上記した搬送ユニット11、保持機構12、移動機構13、浮上ユニット10等を備えている。
圧力計149は、負圧空間155の圧力を測定して、測定圧力に応じた測定信号をA/Dコンバータ52に出力する。A/Dコンバータ52はアナログの測定信号をA/D変換する。そして、A/Dコンバータ52はデジタルの測定信号を制御部53に出力する。制御部53は、CPUやメモリ等を備える演算処理装置である。また、制御部53は、レーザ照射装置1に設けられた各機器(例えば、バルブ142、モータ、シリンダ等の各種アクチュエータ、レーザ発生装置14等)を制御している。
制御部53は、予め設定されたしきい値と測定信号の値(測定圧力)を比較することで、吸着判定を行う。すなわち、制御部53は、測定圧力がしきい値よりも低い場合、吸着が完了した判定する。制御部53は、測定圧力がしきい値以上の場合、吸着が完了していない判定する。このように制御部53は、吸着判定を行う判定部となる。
制御部53は、吸着判定の結果に応じた動作指令をモーションコントローラ54に出力する。すなわち、吸着が完了した判定された場合、制御部53は、動作指令をモーションコントローラ54に出力する。動作指令が移動開始のトリガーとなっているため、移動機構13による移動が開始する。
具体的には、モーションコントローラ54がパルス又は通信により、制御信号をモータドライバ56に出力する。これにより、モータドライバ56は、制御信号に応じた駆動信号をモータ57に出力する。よって、移動機構13のモータ57が+x方向に保持機構12を移動させる。保持機構12に保持された被処理体16が+x方向に搬送される。
また、モータ57のエンコーダからは、モータドライバ56にエンコーダ値が出力されている。モータドライバ56は、エンコーダ値に応じたフィードバック信号をモーションコントローラ54に出力する。そして、モーションコントローラ54は、フィードバック信号に応じたフィードバック制御を行う。これにより、被処理体66が所定の搬送速度で、所定の搬送距離だけ+x方向に搬送される。
次に、図13を用いて、被処理体16を吸着して、搬送する処理について説明する。図13は、被処理体16を吸着して、搬送する処理を示すフローチャートである。
まず、保持機構12が上昇する(S11)。すなわち、被処理体16の下方に配置された保持機構12が被処理体16と当接する位置まで、+z方向に移動する。そして、保持機構12による吸着をオンする(S12)。具体的には、制御部53は、図4等に示すバルブ142を開く。これにより、負圧空間155が排気され、負圧となる。次に、吸着が完了したか否かの判定を制御部53が行う(S13)。すなわち、制御部53が圧力計149の測定値としきい値とを比較して、比較結果に応じて吸着判定を行う。吸着が完了していないと判定された場合(S13のNO)、吸着が完了するまでS13の吸着判定を繰り返す。すなわち、負圧空間155の圧力がしきい値以上の場合、負圧空間155の圧力がしきい値未満になるまで搬送を待機する。
吸着が完了したと判定された場合(S13のYES)、被処理体16を搬送する(S14)。すなわち、負圧空間155の圧力がしきい値よりも低くなった場合、移動機構13のモータ57が動作を開始する。これにより、保持機構12に保持された被処理体16が+x方向に搬送される。
次に、被処理体16の吸着を解除する処理について、図14を用いて説明する。図14は、吸着解除の処理を示すフローチャートである。
まず、被処理体16の吸着をオフ(解除)する(S21)。具体的には、制御部53は、図4等に示すバルブ142を閉じると、負圧空間155の圧力が上昇する。次に、吸着の解除が完了したか否かの判定を制御部53が行う(S22)。すなわち、制御部53が圧力計149の測定値としきい値とを比較して、比較結果に応じて吸着解除の判定を行う。吸着解除が完了していないと判定された場合(S22のNO)、吸着解除が完了するまでS22の吸着判定を繰り返す。すなわち、負圧空間155の圧力がしきい値未満の場合、負圧空間155の圧力がしきい値以上になるまで待機する。
吸着解除が完了したと判定された場合(S22のYES)、保持機構12が下降する(S23)。すなわち、被処理体16と当接していた保持機構12が被処理体16と離れる位置まで-z方向に移動する。これにより、吸着解除の処理が終了する。
このように、本実施の形態では、圧力計149が測定した圧力に応じて、吸着判定、及び吸着解除判定を行っている。すなわち、圧力測定値としきい値とを比較することで、保持機構12が被処理体16を吸着しているか否かの判定が行われる。このようにすることで、吸着されているかを適切かつ迅速に判定することができる。特に、本実施の形態にかかる保持機構12では、多孔質体151に貫通穴152が設けられている。このため、被処理体66の有無によって、負圧空間155の圧力差が大きくなる。よって、圧力判定を適切かつ迅速に行う事ができる。
保持機構12が被処理体16を吸着したと制御部53が判定した後、移動機構13が移動を開始する。保持機構12が被処理体16を吸着していないと制御部53が判定した後、保持機構12が昇降する。これにより、搬送ユニット11の動作を迅速に行うことができるため、タクトタイムを短縮することができる。さらに、吸着が完了する前に、保持機構12が移動することを防ぐことができる。
実施の形態2.
本実施の形態2にかかるレーザ照射装置2について図15、図16を用いて説明する。図15は、レーザ照射装置2の主要部分の構成を示す斜視図である。図16は、レーザ照射装置2の主要部分の構成を示すxy平面図である。なお、実施の形態1と重複する構成については適宜説明を省略する。例えば、搬送ユニット61_1~61_4、保持機構62_1~62_4、移動機構63_1~63_4の基本的な構成については、実施の形態1に示した搬送ユニット11、保持機構12、移動機構13と同様であるため、適宜説明を省略する。さらには、図12で示した制御系を用いて、図13、図14に示す処理を行うことが可能である。また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様にレーザ発生装置からのレーザ光65を被処理体66に照射することで、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変換している。
浮上ユニット60は、浮上ユニット60の表面からガスを噴出するように構成されており、浮上ユニット60の表面から噴出されたガスが被処理体66の下面に吹き付けられることで、被処理体66が浮上する。浮上ユニット60は架台400の上に配置されている。
また、xy平面視において矩形状の浮上ユニット60が6つの領域60a~60fに分割されている。具体的には、浮上ユニット60が第1の領域60a~第4の領域60dと、照射領域60eと、モニタ領域60fとを備えている。第1の領域60aは、‐x側かつ+y側の角(図16における左上角)を含む矩形状の領域である。第2の領域60bは、+x側かつ+y側の角(図16における右上角)を含む矩形状の領域である。第3の領域60cは、+x側かつ‐y側の角(図16における右下角)を含む矩形状の領域である。第4の領域60dは、‐x側かつ‐y側の角(図16における左下角)を含む矩形状の領域である。
照射領域60eは、第1の領域60aと第2の領域60bとの間に配置されている。照射領域60eは、レーザ光が照射される領域である。すなわち、照射領域60eにレーザ照射位置65が含まれている。モニタ領域60fは、第3の領域60cと第4の領域60dとの間に配置されている。したがって、浮上ユニット60の+y側の半分の領域(図16の上半分の領域)は、-x側(図16の左側)から順に、第1の領域60a、照射領域60e、第2の領域60bとなっている。浮上ユニット60の‐y側の半分の領域(図16の下半分の領域)は、+x側から順に、第3の領域60c、モニタ領域60f、第4の領域60dとなっている。
xy平面視において、第1の領域60a~第4の領域60dはほぼ同じ面積となっていてもよい。xy平面視において、照射領域60eと、モニタ領域60fとは、ほぼ同じ面積の矩形状となっていてもよい。この場合、第1の領域60aと第4の領域60dがy方向に並んで配置されている。第2の領域60bと第4の領域60dがy方向に並んで配置されている。照射領域60eとモニタ領域60fがy方向に並んで配置されている。
また、第1の領域60aにはアライメント機構69が設けられている。第4の領域60dには、回転機構68が設けられている。さらに、第4の領域60dの外側には、補助浮上ユニット67が設けられている。補助浮上ユニット67は、第4の領域60dの-y側と-x側にそれぞれ配置されている。回転機構68、アライメント機構69、及び補助浮上ユニット67の動作については後述する。
被処理体66は、第1の領域60a~第4の領域60dを順次搬送される。すなわち、被処理体66は、第1の領域60aから+x方向に搬送されると、照射領域60eを通過して、第2の領域60bまで移動する。照射領域60eを通過する際に、被処理体66にレーザ光が照射される。被処理体66は第2の領域60bから‐y方向に搬送されると、第3の領域60cまで移動する。
被処理体66が第3の領域60cから‐x方向に搬送されると、モニタ領域60fを通過して、第4の領域60dに移動する。モニタ領域60fでは、レーザ光の照射ムラをモニタする。照射ムラのモニタについては後述する。被処理体66が第4の領域60dから+y方向に搬送されると、第1の領域60aに移動する。
このように、被処理体66は、+x方向、-y方向、-x方向、+y方向と方向を変えて搬送されていく。換言すると、被処理体66は、第1の領域60a~第4の領域60dを循環するように搬送される。なお、厳密には、第4の領域60dが被処理体66の搬入/搬出位置となっているため、被処理体66は、第4の領域60d、第1の領域60a、第2の領域60b、第3の領域60cの順番で搬送されていく。もちろん、搬入/搬出位置は、第4の領域60dに限られるものではない。
さらには、被処理体66を反対方向に循環してもよい。例えば、第4の領域60d、第3の領域60c、第2の領域60b、第1の領域60aの順番で被処理体66を搬送してもよい。すなわち、図16の平面図において、搬送方向は、時計回りでもよく、反時計回りでもよい。レーザ照射装置2の処理に応じて、搬送方向を適宜切り替えるようにしてもよい。
上記のように、被処理体66を循環して搬送するため、レーザ照射装置2は、4つの搬送ユニット61_1~61_4を備える。搬送ユニット61_1~61_4は浮上ユニット60の外側であって、浮上ユニット60の各辺の近傍に設けられている。
浮上ユニット60はxy平面視した際の形状が矩形状であり、各々の搬送ユニット61_1~61_4は、浮上ユニット60の各々の辺に沿って被処理体66を搬送するように設けられている。なお、各搬送ユニット61_1~61_4は、浮上ユニット60の各辺の外側に設けられているが、浮上ユニット60の内側に設けられていてもよい。
具体的には、搬送ユニット61_1は浮上ユニット60の+y方向側の辺に設けられており、保持機構62_1と移動機構63_1とを備える。そして、保持機構62_1で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_1が+x方向に移動することで、被処理体66を第1の領域60aから第2の領域60bに搬送することができる。搬送ユニット61_1による搬送で、被処理体66が照射領域60eを通過する。よって、被処理体66が第1の領域60aから第2の領域60bに搬送される際にレーザ光65が被処理体66に照射される。
さらに、搬送ユニット61_1は、保持機構62_11と移動機構63_11とを備えている。保持機構62_11と移動機構63_11は、保持機構62_1と移動機構63_1と同様に動作する。すなわち、保持機構62_11が被処理体66を保持しつつ、移動機構63_11が+x方向に移動することで、被処理体66を第1の領域60aから第2の領域60bに搬送することができる。搬送ユニット61_1による搬送で、被処理体66が照射領域60eを通過する。よって、被処理体66が第1の領域60aから第2の領域60bに搬送される際にレーザ光65が被処理体66に照射される。
保持機構62_1と保持機構62_11とはy方向の位置が異なっている。より具体的には、保持機構62_11が保持機構62_1の+y方向側に配置されている。よって、保持機構62_1と保持機構62_11では、被処理体66の吸着位置が異なっている。保持機構62_11、移動機構63_11の基本的な構成、及び動作は、保持機構62_1、移動機構63_1と同様であるため、適宜説明が省略されている。さらに、後に示すいくつかの図面においては、保持機構62_11、移動機構63_11の図示が省略されている。
保持機構62_11と移動機構63_11は、保持機構62_1と移動機構63_1と独立して動作する。移動機構63_1、63_2が、保持機構62_1と保持機構62_11とを独立に移動する。このように、搬送ユニット61_1は、2つの保持機構62_1、62_11と、2つの移動機構63_1、63_11とを備えることで、スループットを短縮することができる。この点については後述する。
搬送ユニット61_2は浮上ユニット60の+x方向側の辺に設けられており、保持機構62_2と移動機構63_2とを備える。そして、保持機構62_2で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_2が‐y方向側に移動することで、被処理体66を第2の領域60bから第3の領域60cに搬送することができる。
搬送ユニット61_3は浮上ユニット60の‐y方向側の辺に設けられており、保持機構62_3と移動機構63_3とを備える。そして、保持機構62_3で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_3が‐x方向に移動することで、被処理体66を第3の領域60cから第4の領域60dに搬送することができる。搬送ユニット61_3による搬送で、被処理体66がモニタ領域60fを通過する。
搬送ユニット61_4は浮上ユニット60の‐x方向側の辺に設けられており、保持機構62_4と移動機構63_4とを備える。そして、保持機構62_4で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_4が+y方向に移動することで、被処理体66を第4の領域60dから第1の領域60aに搬送することができる。
保持機構62_1~62_4は、実施の形態1と同様の構成となっており、被処理体66を吸着する。保持機構62_2、62_4は、保持機構62_1、62_11、62_3と異なる向きで配置されている。より具体的には、xy平面視において、保持機構62_1、62_11、62_3は、図4で示したように、x方向を長手方向とする矩形状になっている。また、保持機構62_2、62_4は、図4で示した矩形状になっているが、設置方向が90°異なっている。すなわち、保持機構62_1、62_11、62_3では長手方向がx方向、短手方向がy方向になっているのに対して、保持機構62_2、62_4では長手方向がy方向、短手方向がx方向になっている。保持機構62_1~62_4は、その移動方向が長手方向となるように設けられている。
さらに、矩形状の被処理体66の短辺と長辺のいずれを保持するかに応じて、保持機構62_1~62_4のサイズを変えてもよい。例えば、図16では、x方向が被処理体66の長辺方向となっており、y方向が短辺方向となっている。具体的には、被処理体66のx方向のサイズは、1850mm、y方向のサイズは1500mm程度となる。よって、保持機構62_1、62_11、62_3は、被処理体66の長辺を保持し、保持機構62_2、62_4は短辺を保持する。この場合、保持機構62_1、62_11、62_3のy方向のサイズを10mm程度とし、保持機構62_2、62_4のy方向のサイズを30mm程度とする。短辺を保持する保持機構62_2、62_4の幅を、長辺を保持する保持機構62_1、62_11、62_3の幅よりも広くする。短辺を保持する場合、長辺を保持する場合よりも大きなモーメントが被処理体66にかかるため、保持機構62_2、62_4にはより大きな吸着力が必要となるからである。保持機構62_1~62_4は、被処理体66の端部を幅10~30mm程度で吸着して、被処理体66を保持する。また、図16では、保持機構62_1~62_4のそれぞれが被処理体66の1辺全体に設けられている構成が示されているが、被処理体66の1辺全体に設けられていなくてもよい。すなわち、保持機構62_1~62_4のそれぞれが被処理体66の1辺を部分的に保持してもよい。具体的には、隣の辺を保持する保持機構と被処理体66の保持位置が重複しないように配置する。さらに、実施の形態1で示したように280mmの長さの保持機構を用いる場合、複数の保持機構を用いて、被処理体66の1辺を保持してもよい。
ここで、実施の形態2にかかるレーザ照射装置2では、レーザ照射位置65のy方向における長さは、被処理体66のy方向における長さの半分程度の長さである。よって、被処理体66がレーザ照射位置65を通過した際に、被処理体66のy方向の半分の領域にレーザ光が照射される。したがって、被処理体66が、浮上ユニット60の上を2回循環するように搬送されていく。このようにすることで、被処理体66のほぼ全面に、レーザ光が照射される。
このように被処理体66のほぼ全面にレーザ光を照射する場合は、図15、16に示すように、浮上ユニット60の第4の領域60dに、被処理体66の水平面(xy平面)を保持しながら被処理体66を180度回転させる回転機構68を設ける。つまり、搬送ユニット61_1を用いて被処理体66を第1の領域60aから第2の領域60bに搬送して被処理体66にレーザ光65を照射した後、搬送ユニット61_2~61_4を用いて被処理体66を搬送させつつ、回転機構68を用いて被処理体を180度回転させる。そして、再度、搬送ユニット61_1を用いて被処理体66を領域60aから領域60bに搬送して被処理体66にレーザ光65を照射することで、被処理体66の全面にレーザ光65を照射することができる。
(搬送動作)
以下、搬送ユニット61_1~61_4による搬送動作について図17~図28を用いて詳細に説明する。図17~図28の説明では、説明の簡略化のため、搬送ユニット61_1のうち、保持機構62_1と移動機構63_1のみを用いる場合を説明する。したがって、図17~図28では、保持機構62_11と移動機構63_11の図示を省略している。
レーザ照射装置2を用いて被処理体66にレーザ光65を照射する場合は、まず、図17に示すように、第4の領域60dに被処理体66が搬入される。例えば、図示しない移載ロボットが被処理体66を第4の領域60dに搬入する。被処理体66の搬入処理については後述する。
次に、被処理体66の‐x方向側の端部の下面を、搬送ユニット61_4の保持機構62_4を用いて保持する。その後、保持機構62_4が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_4の移動機構63_4を+y方向側に移動させて、被処理体66を+y方向側に搬送する。これにより、図18に示すように、被処理体66が第1の領域60aに移動する。
被処理体66が第1の領域60aに移動すると、アライメント機構69の上に被処理体66が載せられる。そして、アライメント機構69が被処理体66のアライメントを行う。なお、アライメント機構69によるアライメント動作については後述する。
アライメント後、被処理体66の+y方向側の端部の下面を、搬送ユニット61_1の保持機構62_1を用いて保持する。その後、図19に示すように、保持機構62_1が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_1の移動機構63_1を+x方向側に移動させて、被処理体66を+x方向側に搬送する。これにより、被処理体66は、照射領域60eを通過する。したがって、被処理体66の片側半分の領域にレーザ光65が照射されていく(レーザ光が照射されている領域を結晶化領域71として示す)。結晶化領域71では、非晶質膜(アモルファスシリコン膜)が結晶化して、多結晶膜(ポリシリコン膜)が形成されている。
図20に示すように、被処理体66が浮上ユニット60の第2の領域60bに到達すると、被処理体66を保持する保持機構を保持機構62_1から保持機構62_2に変更する。具体的には、保持機構62_1が被処理体66を吸着するとともに、保持機構62_4が被処理体66の吸着を解除する。すなわち、保持機構62_1と保持機構62_2とが被処理体66の持ち替え動作を行う。被処理体66の持ち替え動作について後述する。また、搬送ユニット61_1を元の位置(第1の領域60a)に戻す。図20では、被処理体66が照射領域60eを1回通過しているため、被処理体66の-y側のほぼ半分が結晶化領域71となっている。なお、図20では、被処理体66の半面全体にレーザ光を照射しているが、被処理体66の半面の一部のみにレーザ光を照射するようにしてもよい。
その後、図21に示すように、保持機構62_2が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_2の移動機構63_2を-y方向側に移動させて、被処理体66を-y方向側に搬送する。
図22に示すように、被処理体66が浮上ユニット60の第3の領域60cに到達すると、被処理体66を保持する保持機構を保持機構62_2から保持機構62_3に変更する。すなわち、保持機構62_2と保持機構62_3とが被処理体66の持ち替え動作を行う。また、搬送ユニット61_2を元の位置(第2の領域60b)に戻す。その後、保持機構62_3が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_3の移動機構63_3を-x方向側に移動させて、被処理体66を-x方向側に搬送する。
そして、図23に示すように、被処理体66が浮上ユニット60の第4の領域60dに搬送されて、回転機構68の上に到達した後、保持機構62_3から回転機構68への持ち替え動作が行われる。具体的には、保持機構62_3が保持している被処理体66を回転機構68が吸着体を介して保持する。そして、保持機構62_3の保持状態を解放して、保持機構62_3が被処理体66を保持していない状態とする。保持機構62_3が被処理体66を解放した後、搬送ユニット61_3は元の位置(第4の領域60d)に戻る。
そして、回転機構68の上に被処理体66が載っている状態で、回転機構68を180度回転させる。これにより被処理体66が180度回転して、図24に示すように、被処理体66の結晶化領域71が-y方向側から+y方向側になる。その後、保持機構62_4が被処理体66を保持する。すなわち、回転機構68から保持機構62_4に被処理体66が持ち替えられる。そして、保持機構62_4が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_4の移動機構63_4を+y方向側に移動させて、被処理体66を+y方向側に搬送する。
図25に示すように、被処理体66が浮上ユニット60の第1の領域60aに到達すると、被処理体66を保持する保持機構を保持機構62_4から保持機構62_1に変更する。また、搬送ユニット61_4を元の位置(第4の領域60d)に戻す。図25に示す位置において、保持機構62_1が被処理体66を保持する前に、アライメント機構69によりアライメント動作を行ってもよい。
その後、図26に示すように、保持機構62_1が被処理体66を保持した状態で、搬送ユニット61_1の移動機構63_1を+x方向側に移動させて、被処理体66を+x方向側に搬送する。これにより、被処理体66が照射領域60eを通過する。被処理体66の他方の半分の領域にレーザ光65が照射されていく。したがって、被処理体66の残り半分の非晶質膜が結晶化されていき、結晶化領域71となっていく。
そして、図27に示すように、第2の領域60bまで被処理体66を搬送することで、被処理体66のほぼ全面にレーザ光を照射することができる。そして、図20~図23に示した搬送動作と同様の搬送動作を行うと、被処理体66が第4の領域60dに移動する。
このように、本実施の形態では、被処理体66が浮上ユニット60上を複数回循環するように搬送されている。ここでは、第4の領域60dから、第1の領域60a、第2の領域60b、第3の領域60cを経由して、第4の領域60dに戻る搬送動作を1回の循環搬送とする。上記の循環搬送動作を複数回繰り返すことで、被処理体66がレーザ照射位置65を複数回通過するようにすることができる。2回の循環搬送を行う事で、被処理体66のほぼ全面にレーザ光が照射される。さらに、3回以上循環搬送することで、被処理体66の同一箇所に複数回レーザ光を照射することができる。そして、所定の回数だけ循環搬送したら、第4の領域60dから被処理体66を搬出する。
浮上ユニット60上を被処理体66が2回循環搬送される場合、例えば、被処理体66に対して、以下の動作が実施される。
(1)第4の領域60dへの搬入動作
(2)第4の領域60dから第1の領域60aへの+y方向搬送動作
(3)第1の領域60aでのアライメント動作
(4)第1の領域60aから第2の領域60bへの+x方向搬送動作(照射領域60eにおけるレーザ照射を含む)
(5)第2の領域60bから第3の領域60cへの‐y方向搬送動作
(6)第3の領域60cから第4の領域60dへの‐x方向搬送動作
(7)第4の領域60dでの回転動作
(8)第4の領域60dから第1の領域60aへの+y方向搬送動作
(9)第1の領域60aでのアライメント動作
(10)第1の領域60aから第2の領域60bへの+x方向搬送動作(照射領域60eにおけるレーザ照射を含む)
(11)第2の領域60bから第3の領域60cへの‐y方向搬送動作
(12)第3の領域60cから第4の領域60dへの‐x方向搬送動作
(13)第4の領域60dからの搬出動作
さらに、(6)、及び(11)の動作では、被処理体66がモニタ領域60fを通過する。(6)、及び(11)の少なくとも一方において、モニタ領域60fにおいて、ポリシリコン膜のムラをモニタすることができる。このモニタ領域60fにおける動作については後述する。
なお、上記で説明したレーザ照射装置2では、回転機構68を浮上ユニット60の領域60dに設けた場合について説明したが、本実施の形態では回転機構68を設ける場所は浮上ユニット60の第4の領域60d以外であってもよい。すなわち、レーザ照射位置65を通過した後、再度レーザ照射位置65を通過する前に被処理体66を180度回転させればよいので、回転機構68を設ける場所は浮上ユニットの第1の領域60a~第4の領域60dのいずれかであればよい。
また、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、被処理体66を第4の領域60d、第1の領域60a、第2の領域60b、第3の領域60cの順に搬送して被処理体66にレーザ光65を照射しているので、同時に複数枚の被処理体66を循環搬送することができる。
つまり、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、被処理体66にレーザ光65を照射している間に、別の被処理体66を搬送したり、回転機構68で回転させたり、被処理体66を搬入、搬出することができる。よって、被処理体66にレーザ光65を照射した後、すぐに他の被処理体にレーザ光65を照射することができるので、レーザ光65が被処理体に照射されない時間を削減することができる。すなわち、本実施の形態では、レーザ照射装置2のスループットを向上させることができる。なお、この場合は、回転機構68を第1の領域60a、第2の領域60b以外の領域に設けることが好ましく、例えば、回転機構68を第4の領域60dに設けることが好ましい。
(2つの被処理体66の連続処理)
本実施の形態では、搬送ユニット61_1が2つの保持機構62_1、62_11と2つの移動機構63_1、63_11を備えている。これにより、2つの被処理体66に対して、連続してレーザ光を照射することができる。よって、スループットを向上することができる。この点について、以下に詳述する。
本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、保持機構62_1、及び移動機構63_1を用いて被処理体66を搬送する際に被処理体66にレーザ光65が照射される。よって、保持機構62_1、及び移動機構63_1が第2の領域60bに移動した後、再び第1の領域60aに戻るまでの間は被処理体66にレーザ光65を照射することができない。しかし、例えば、保持機構62_1、及び移動機構63_1とは別に、第1の領域60aから第2の領域60bに被処理体66を搬送する保持機構62_11、及び移動機構63_11を設けて、交互に被処理体66を搬送するようにすることで、保持機構62_1、及び移動機構63_1が第1の領域60aから第2の領域60bに戻るまでの時間においても別の保持機構62_11、及び移動機構63_11を用いて被処理体にレーザ光65を照射することができる。よって、レーザ照射装置2のスループットを更に向上させることができる。
この点について、図28を用いて説明する。図28は、図16と同様に、レーザ照射装置2のxy平面図である。また、図28では、浮上ユニット60に1枚目の被処理体66aと、2枚目の被処理体66bとを同時に浮上している。もちろん、浮上ユニット60が3枚以上の被処理体66を同時に浮上してもよい。
図28に示すように、移動機構63_1が1枚目の被処理体66aを第2の領域60bに搬送した後、保持機構62_1が第1の領域60aに戻る前に、保持機構62_11が2枚目の被処理体66bを保持する。例えば、1枚目の被処理体66aが第2の領域60bまでの搬送中に、搬送ユニット61_4が2枚目の被処理体66bを第1の領域60aに搬送する。そして、搬送ユニット61_4の保持機構62_4から搬送ユニット61_1の保持機構62_11への持ち替え動作や、2枚目の被処理体66bのアライメント動作や、搬送動作を行う。このようにすることで、保持機構62_1が第1の領域60aに戻る前に、持ち替え動作やアライメント動作や次の被処理体66bの搬送動作を行うことができる。
これにより、保持機構62_1によって保持されている被処理体66aの搬送中に、保持機構62_11、及び移動機構63_11による被処理体66bの搬送が行われる。したがって、2つの被処理体66a、66bに対して、連続してレーザ光を照射することができる。より具体的には、保持機構62_1によって保持された被処理体66aにレーザが照射された後、第2の領域60bに搬送されるまでの間に、保持機構62_11によって保持された被処理体66bが照射領域60eへ移動することができる。1枚目の被処理体66aのレーザ照射終了後、速やかに2枚目の被処理体66bのレーザ照射を行うことができる。よって、レーザ光の無駄打ちを減らすことができる。なお、レーザ光の無駄打ちとは、被処理体66が照射領域60eにないときに、レーザ光を遮光シャッタ等で遮光することをいう。すなわち、レーザ照射装置2は、被処理体66が照射領域60eにないときに、浮上ユニット60等にレーザ光が照射されないように、レーザ光を遮光シャッタなどによって遮光している。本実施の形態では、被処理体66を連続して照射領域60eに搬送することができるため、1枚目の被処理体66aと2枚目の被処理体66bがレーザ照射位置65を通過する時間間隔を短くすることができる。よって、レーザ光の無駄打ちを減らすことができる。無駄打ちを減らすことで、1つのレーザ発生装置の寿命内において、処理可能な被処理体66の数を増やすことができる。よって、レーザ照射装置2の性能を向上することができる。
一般に、搬送ユニット61_1~61_4の搬送速度を速くすることで、スループットを短縮することができる。しかしながら、搬送ユニット61_1における搬送速度は、レーザ照射条件によって制限される。換言すると、ポリシリコン膜の特性が良好になるように、搬送ユニット61_1における搬送速度が決められる。一方、搬送ユニット61_2、搬送ユニット61_3、搬送ユニット61_4は、レーザ照射条件による搬送速度の制限がない。搬送ユニット61_2、搬送ユニット61_3、搬送ユニット61_4の搬送速度は、搬送ユニット61_1の搬送速度よりも速くすることができる。
換言すると、搬送ユニット61_1の搬送速度は他の搬送ユニット61_2~61_4よりも遅くなる。そこで、本実施の形態では、複数の被処理体66を効率よく処理するため、搬送ユニット61_1が2つの保持機構62_1、62_11と2つの移動機構63_1、63_11とを備えている。このようにすることで、複数の被処理体66が連続して照射領域60eを通過することができるため、スループットを短縮することができる。
なお、2つの保持機構62_1、62_11を用いる場合、2つの保持機構62_1、62_11をy方向にずらして配置することができる。ここでは、保持機構62_11による被処理体66の保持位置が、保持機構62_1による被処理体66の保持位置よりも+y側になっている。
(第4の領域60dでの回転動作)
上記のように、第4の領域60dには、被処理体66の水平を保ちながら、被処理体66を回転する。回転機構68が設けられている。回転機構68は、実施の形態1の保持機構12と同様に、多孔質体を介して被処理体66を吸着して保持する。そして、回転機構68は、z方向と平行な回転軸(以下、z軸)周りに被処理体66を回転する。また、回転機構68は、被処理体66をz軸周りに回転するモータ等のアクチュエータを備えている。
回転機構68による被処理体66の回転中に、図29に示すように、被処理体66の一部が浮上ユニット60の外側にはみ出してしまう。なお、図29は、図23に示す状態から、被処理体66が45°回転した状態を示している。
被処理体66の浮上ユニット60の外側にはみ出した部分では、浮上ユニット60による浮上力が発生せずに、被処理体66のたわみ量が大きくなってしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、浮上ユニット60の外側に補助浮上ユニット67を設けている。例えば、被処理体66の角部でたわみ量が大きくなると、被処理体66の角部が浮上ユニット60の外側から浮上ユニット60の上に戻る際に、被処理体66の角部が浮上ユニット60と接触して損傷してしまうおそれがある。回転動作による被処理体66の損傷を防ぐため、補助浮上ユニット67が設けられている。
補助浮上ユニット67は、浮上ユニット60と同様に、ガスを噴出する多孔質体を備えている。補助浮上ユニット67の表面から噴出されたガスが被処理体66の下面に吹き付けられることで、被処理体66の浮上ユニット60からはみ出した部分に浮上力が発生する。このようにすることで、被処理体66を損傷することなく、回転機構68が被処理体66を回転させることができる。
なお、補助浮上ユニット67は、回転機構68が設けられた第4の領域60dの-y側、及び-x側にそれぞれ配置されている。そして、xy平面視において、補助浮上ユニット67は、浮上ユニット60との間に隙間Gを隔てて配置されている。この隙間Gを搬送ユニット61_3、61_4が通過する。具体的には、x方向における保持機構62_4の位置が、浮上ユニット60と補助浮上ユニット67との間になっている。そして、保持機構62_4は、浮上ユニット60と補助浮上ユニット67との間をy方向に移動する。また、y方向における保持機構62_3の位置が、浮上ユニット60と補助浮上ユニット67との間になっている。そして、保持機構62_3は、浮上ユニット60と補助浮上ユニット67との間をx方向に移動する。このようにすることで、搬送ユニット61_3、61_4が、補助浮上ユニット67と干渉することなく、被処理体66を搬送することができる。
また、xy平面視において、回転機構68が被処理体66の中心近傍を保持することで、回転時に被処理体66が浮上ユニット60からはみ出す量を少なくすることができる。よって、補助浮上ユニット67の面積を小さくすることができる。例えば、被処理体66の中心に対応する位置において、浮上ユニット60に貫通穴を設けて、この貫通穴に回転機構68を配置することができる。この場合、xy平面における回転機構68の平面形状を円形状にすることが好ましい。
第4の領域60dに回転機構68が設けられている。よって、y方向におけるレーザ照射位置65の長さが被処理体66の半分程度であっても、被処理体66のほぼ全体にレーザ光を照射することができる。すなわち、1回目の循環搬送において、レーザ光を照射した後、回転機構68が、被処理体66を180度回転させる。被処理体66の回転後、2回目の循環搬送を行って、レーザ光を被処理体66に照射する。これにより、被処理体66のほぼ全体にレーザ光を照射することができる。
さらに、y方向において、レーザ照射位置65が照射領域60eの中心側(-y側)に配置されている。すなわち、y方向における被処理体66の一端(+y方向側の端部)を保持機構62_1が保持するとともに、被処理体66の他端(-y方向側の端部)を含むほぼ半分にレーザ光が照射される。
xy平面視において、保持機構62_1がレーザ照射位置65と重畳しない位置を保持した状態で、搬送ユニット61_1が被処理体を搬送する。保持機構62_1の保持箇所を通じて伝熱して、レーザ照射位置65に温度分布のムラが生じるのを防ぐことができる。これにより、レーザ光の照射ムラを抑制することができ、均一な結晶化が可能となる。
また、回転機構68が配置された第4の領域60dの外側には、補助浮上ユニット67が設けられている。これにより、被処理体66の回転時における被処理体66の破損を防ぐことができる。
(第1の領域60aでのアライメント動作)
上記のように、第1の領域60aには、被処理体66をアライメントするアライメント機構69が設けられている。アライメント機構69は、実施の形態1の保持機構12と同様に、多孔質体を介して被処理体66を吸着して保持する。そして、アライメント機構69は被処理体66の位置、及び回転角度を調整する。例えば、被処理体66の搬入動作、搬送動作、回転動作によって、被処理体66の位置や回転角度が微小にずれることがある。アライメント機構69は、位置や回転角度のずれを補正している。これにより、被処理体66におけるレーザ光の照射位置を精度よく制御することができる。
ここで、x方向の位置(以下、x座標)、y方向の位置(以下、y座標)、z軸周りの回転角度(以下、角度θ)のアライメント動作を行う例について説明する。本実施の形態では、第1の領域60aに設けられたアライメント機構69がy座標、及び角度θをアライメントし、搬送ユニット61_1がx座標をアライメントする。すなわち、アライメント機構69は、y方向に移動可能であり、かつ、z軸周りに回転可能である。さらに、アライメント機構69は、z方向に移動可能である。例えば、アライメント機構69は、モータ等のアクチュエータを備えており、制御部53によって制御される。
また、x座標、y座標、及び角度θのずれ量は、カメラ画像から算出されている。例えば、カメラ画像によって、被処理体66のエッジを複数箇所で検出することで、x座標、y座標、及び角度θのずれ量を求めることができる。
図30は、アライメント動作を示すフローチャートである。図31はアライメント動作を行うためのカメラ配置を模式的に示す平面図である。
搬送ユニット61_4からアライメント機構69への持ち替え動作を行う(S31)。すなわち、搬送ユニット61_4の保持機構62_4が被処理体66の保持を解除するとともに、アライメント機構69が被処理体66を保持する。
次に、制御部53が求めたアライメント量データをアライメント機構69が参照する(S32)。例えば、図31に示すように、浮上ユニット60の上には、3つのカメラ81a~81cが設置されている。3つのカメラ81a~81cは、それぞれ被処理体66のエッジ(端辺)を撮像する。カメラ81a、81bが-y側のエッジを撮像し、カメラ81cが-x側のエッジを撮像する。制御部53は、それぞれのカメラ画像におけるエッジ位置を求める。そして、3つのエッジ位置に基づいて、制御部53が、x座標、y座標、角度θのずれ量をアライメント量としてそれぞれ算出する。xy平面において、3つのカメラ81a~81cが同一直線上になければ、制御部53がx座標、y座標、角度θのアライメント量を算出することができる。
そして、被処理体66を保持するアライメント機構69がアライメント量だけ移動する(S33)。これにより、y座標、及び回転角度のアライメントが行われる。すなわち、アライメント機構69がy座標のずれ量を打ち消すように、被処理体66をy方向に移動する。また、アライメント機構69は、角度θのずれ量を打ち消すように、被処理体66をz軸周りに回転する。
次に、搬送ユニット61_1が、アライメント量だけ移動する(S34)。これにより、x座標のアライメントが行われる。すなわち、搬送ユニット61_1の移動機構63_1がx座標のずれ量を打ち消すようにx方向に移動して、保持機構62_1の保持位置を調整する。
そして、制御部53がx座標、y座標、角度θの位置決めが完了したか否かを判定する(S35)。すなわち、被処理体66が所定の位置に位置決めされたか否が判定される。アライメントが完了していない場合(S35のNO)、アライメントが完了するまで、S35の判定を繰り返す。
アライメントが完了した場合(S35のYES)、アライメント機構69から搬送ユニット61_1への持ち替え動作が行われる(S36)。すなわち、アライメント機構69が保持を解除するとともに、搬送ユニット61_1の保持機構62_1が被処理体66を保持する。このとき、x方向における搬送ユニット61_1の位置が調整されているため、保持機構62_1が適切な位置を保持することができる。そして、処理を終了する。
このように、浮上ユニット60には、アライメント機構69が設けられている。アライメント機構69が被処理体66をアライメントすることで、被処理体66におけるレーザ光の照射位置を精度よく位置決めすることができる。
なお、浮上ユニット60においてアライメント機構69を設ける位置は第1の領域60aに限定されるものではない。例えば、第2の領域60b~第4の領域60dのいずれかの領域にアライメント機構69を設けてもよい。また、照射領域60eの直前にアライメント機構69を設けることで、より位置精度を向上することができる。よって、本実施の形態では、アライメント機構69を第1の領域60aに配置している。また、被処理体66を浮上ユニット60の上に搬入した後、レーザ光の照射前にアライメント機構69がアライメントを行うことが好ましい。よって、アライメント機構69は、第1の領域60a、又は第4の領域60dに設けることが好ましい。
アライメント機構69は、回転機構68と同様に、浮上ユニット60に設けられた貫通穴内に配置することが好ましい。すなわち、浮上ユニット60に貫通穴を設けて、この貫通穴にアライメント機構69を配置することができる。アライメント機構69がy方向にアライメントを行うため、貫通穴はy方向に延びた長穴であることが望ましい。この場合、xy平面におけるアライメント機構69の多孔質体の平面形状を円形状にすることが好ましい。
(被処理体66の持ち替え動作)
上記のように、被処理体66の搬送方向を変えるタイミングでは、搬送ユニット61_1~61_4の間で被処理体66を持ち替える持ち替え動作が行われる。例えば、搬送ユニット61_2が第2の領域60bまで被処理体66を搬送すると、搬送ユニット61_2から搬送ユニット61_3への持ち替え動作が行われる。具体的には、搬送ユニット61_2が第3の領域60cまで被処理体66を搬送したら、搬送ユニット61_2の保持機構62_2が吸着を解除するとともに、搬送ユニット61_3の保持機構62_3が被処理体66を吸着する。このように、搬送ユニット61_1~61_4が被処理体66を順番に持ち替えることで、上記した循環搬送を行うことができる。
さらに、アライメント機構69は、搬送ユニット61_4、61_1との間で持ち替え動作を行う。例えば、搬送ユニット61_4によって第1の領域60aに搬送された被処理体66は、搬送ユニット61_4からアライメント機構69に持ち替えられる。また、アライメント機構69によってアライメントされた被処理体66は、アライメント機構69から搬送ユニット61_1に持ち替えられる。
また、回転機構68は、搬送ユニット61_3、61_4との間で持ち替え動作を行う。例えば、搬送ユニット61_3から第4の領域60dに搬送された被処理体66は、搬送ユニット61_3から回転機構68に持ち替えられる。回転機構68によって回転された被処理体66は、回転機構68から搬送ユニット61_4に持ち替えられる。
ここで、搬送ユニット61_1~61_4は、多孔質体を介して、被処理体66を吸着して保持することが好ましい。同様に、アライメント機構69、及び回転機構68は、多孔質体を介して、被処理体66を吸着して保持することが好ましい。もちろん、多孔質体を用いずに、被処理体66を保持する構成であってもよい。例えば、吸盤型の真空吸着機構を用いて、被処理体66を吸着保持してもよい。
以下、被処理体66の持ち替え動作の詳細について、図32を用いて説明する。図32は、持ち替え動作を説明するための模式的な側面図である。図32のA~Eの順番で持ち替え動作が行われる。
以下の説明では、搬送ユニット61_2から搬送ユニット61_3への持ち替え動作について説明するが、他の搬送ユニット61_1~61_4、回転機構68、及びアライメント機構69の持ち替え動作についても同様であるため、説明を省略する。なお、図32では説明のため、搬送ユニット61_2の保持機構62_2と、搬送ユニット61_3の保持機構62_3を簡略化して示している。保持機構62_2、62_3の詳細な構成については、図5が適宜参照される。例えば、多孔質体151_2、151_3と、台座153_2、153_3は、図5の多孔質体151と台座153と同様の構成となっている。
図32のAに示すように、保持機構62_2は、多孔質体151_2と、台座153_2とを備えている。さらに、保持機構62_2は、昇降機構137_2に接続されている。昇降機構137_2は、モータ又はシリンダなどのアクチュエータを備えており、多孔質体151_2と台座153_2とを昇降する。すなわち、昇降機構137_2は、多孔質体151_2と台座153_2とをz方向に移動させる。これにより、保持機構62_2が上昇した位置(以下、上昇位置)と下降した位置(以下、下降位置)との間を昇降する。上昇位置は、多孔質体151_2が被処理体66の下面と接触する位置である。下降位置は、多孔質体151_2が被処理体66の下面から離れる位置である。
図32のAに示すように、保持機構62_3は、多孔質体151_3と、台座153_3とを備えている。さらに、保持機構62_3は昇降機構137_3に接続されている。昇降機構137_3は、モータ又はシリンダなどのアクチュエータを備えており、多孔質体151_3と台座153_3とを昇降する。すなわち、昇降機構137_2は、多孔質体151_3と台座153_3とをz方向に移動させる。これにより、保持機構62_3が上昇した位置(以下、上昇位置)と下降した位置(以下、下降位置)との間を昇降する。上昇位置は、多孔質体151_3が被処理体66の下面と接触する位置である。下降位置は、多孔質体151_3が被処理体66の下面から離れる位置である。昇降機構137_2、137_3は、制御部53(図12を参照)によって独立に制御される。
昇降機構137_2、昇降機構137_3として、例えば、サーボモータとくさび機構とを有する昇降テーブルを用いることができる。あるいは、エアシリンダ等を用いてもよい。なお、図32のB~Eでは、スペースの関係上、多孔質体151_3と、台座153_3と、昇降機構137_3の符号を適宜省略している。
搬送ユニット61_2が被処理体66を第3の領域60cに搬送した直後では、図32のAに示すように、保持機構62_2が吸着している状態となっている。具体的には、保持機構62_2が上昇位置となっており、保持機構62_3が下降位置となっている。よって、図32のAでは、多孔質体151_3は、被処理体66に接触していない。
次に、図32のBに示すように、昇降機構137_3が保持機構62_3を上昇位置まで上昇させる。すなわち、保持機構62_2、及び保持機構62_3の両方が上昇位置となっているため、多孔質体151_2、及び多孔質体151_3の両方が被処理体66に接触している。
そして、図32のCに示すように、保持機構62_3が被処理体66を吸着する。具体的には、実施の形態1で説明したように、保持機構62_3のバルブ(すなわち、図5におけるバルブ142)を開ける。これにより、保持機構62_3の負圧空間(すなわち、図5における負圧空間155)が排気される。多孔質体151_3を介して、保持機構62_3によって被処理体66が吸着される。すなわち、保持機構62_3と保持機構62_2の両方が、被処理体66を吸着する。
次に、図32のDに示すように、保持機構62_2が吸着を解除する。ここでは、保持機構62_2のバルブ(すなわち、図5におけるバルブ142)を閉じる。これにより、保持機構62_2の負圧空間(すなわち、図5における負圧空間155)の圧力が上昇する。多孔質体151_2を介する被処理体66の吸着が解除される。なお、吸着解除のために、負圧空間にガスを供給して、吸着破壊を行ってもよい。
そして、図32のEに示すように、昇降機構137_2が保持機構62_2を下降位置まで下降される。これにより、保持機構62_2の多孔質体151_2が被処理体66~離間する。よって、搬送ユニット61_3によって、-x方向への被処理体66の搬送が可能となる。
なお、搬送ユニット61_1~61_4、アライメント機構69、及び回転機構68は、実施の形態1で示した貫通穴152を備える多孔質体151を用いることが好ましい。このようにすることで、持ち替え動作を速やかに行うことができる。
具体的には、図32のCに示す保持機構62_3による吸着が、図13に示すフローチャートに沿って実施される。また、図32のDに示す吸着解除が、図14に示すフローチャートに沿って実施される。よって、速やかに吸着判定、及び吸着解除判定を行うことができる。よって、よりスループットを向上することができる。
本実施の形態では、被処理体66を循環搬送している。循環搬送において、上記の(2)から(12)の各動作の間に持ち替え動作が行われる。すなわち、持ち替え動作の回数が多くなっている。よって、貫通穴152付の多孔質体151を用いることで、スループットを向上する効果が大きい。もちろん、貫通穴152のない多孔質体151を用いてもよく、吸盤型の真空吸着機構を用いて、被処理体66を吸着保持してもよい。
(浮上ユニット60)
次に、被処理体66を浮上する浮上ユニット60の詳細について、図33を用いて説明する。図33の浮上ユニット60の構成を模式的に示す平面図である。図33に示すように、浮上ユニット60は、精密浮上ユニット(精密浮上領域)111、準精密浮上ユニット(準精密浮上領域)112、及びラフ浮上ユニット(ラフ浮上領域)113を備えている。なお、図33では、補助浮上ユニット67、回転機構68、アライメント機構69を省略している。精密浮上ユニット111は、準精密浮上ユニット112、及びラフ浮上ユニット113よりも浮上量の精度が高い。準精密浮上ユニット112はラフ浮上ユニット113よりも浮上量の精度が高い。
第1の領域60a、第2の領域60b、第3の領域60c、及び第4の領域60dは、ラフ浮上ユニット113によって構成されている。モニタ領域60fは、準精密浮上ユニット112によって構成されている。なお、モニタ領域60fには、着色部195が形成されている。すなわち、準精密浮上ユニット112の表面の一部を黒色処理することで、着色部195が形成されている。着色部195は、y方向を長手方向とする矩形状の領域となっている。着色部195については後述する。
照射領域60eは、精密浮上ユニット111、及び準精密浮上ユニット112によって構成されている。より詳細には、照射領域60eでは、+x側に向かうにつれて、準精密浮上ユニット112、精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112の順番で配置されている。すなわち、x方向における精密浮上ユニット111の両側に準精密浮上ユニット112が配置されている。レーザ照射位置65は、精密浮上ユニット111に配置される。
第1の領域60a、照射領域60e、第2の領域60bにおける浮上ユニット60の模式的なxz断面を図34に示す。上記のように、浮上ユニット60が被処理体66を浮上させながら、搬送ユニット61_1(図34では不図示)が被処理体66を搬送する。そして、照射領域60eにおいて、被処理体66にレーザ発生装置64で発生されたレーザ光65が照射される。
図34に示すように、浮上ユニット60は、精密浮上ユニット111a、111b、準精密浮上ユニット112a~112d、及びラフ浮上ユニット113a~113fを用いて構成されている。なお、以下では、精密浮上ユニット111a、111bを用いて構成されている領域を精密浮上領域111a、111bと、準精密浮上ユニット112a~112dを用いて構成されている領域を準精密浮上領域112a~112dと、また、ラフ浮上ユニット113a~113fを用いて構成されている領域をラフ浮上領域113a~113fとも記載する。
精密浮上ユニット111a、111bは、レーザ光の照射位置65を含む領域(精密浮上領域)に配置されている。準精密浮上ユニット112a、112bは、精密浮上ユニット111a、111bと隣接するように配置されており、精密浮上ユニット111a、111bに対して、-x方向側に配置されている。ラフ浮上ユニット113a~113cは、準精密浮上ユニット112a、112bと隣接するように配置されており、準精密浮上ユニット112a、112bに対して、-x方向側に配置されている。
また、準精密浮上ユニット112c、112dは、精密浮上ユニット111a、111bと隣接するように配置されており、精密浮上ユニット111a、111bに対して、+x方向側に配置されている。ラフ浮上ユニット113d~113fは、準精密浮上ユニット112c、112dと隣接するように配置されており、準精密浮上ユニット112c、112dに対して、+x方向側に配置されている。
したがって、-x側から+x側に向かうにつれて、ラフ浮上ユニット113a、ラフ浮上ユニット113b、ラフ浮上ユニット113c、準精密浮上ユニット112a、準精密浮上ユニット112b、精密浮上ユニット111a、精密浮上ユニット111b、準精密浮上ユニット112c、準精密浮上ユニット112d、ラフ浮上ユニット113d、ラフ浮上ユニット113e、ラフ浮上ユニット113fの順番で配置されている。なお、以下では精密浮上ユニット111a、111bを総称して精密浮上ユニット111とも記載する。同様に準精密浮上ユニット112a~112dを総称して準精密浮上ユニット112とも記載し、ラフ浮上ユニット113a~113fを総称してラフ浮上ユニット113とも記載する。
xy平面視において、レーザ光65の照射位置65と精密浮上ユニット111a、111bとが重畳する(図33を合わせて参照)。また、ラフ浮上ユニット113a~113f、及び準精密浮上ユニット112a~112dは、レーザ光65の照射位置65と重畳しない。ここで、xy平面視した場合とは、図33に示すように、浮上ユニット60をz軸方向側からみた場合を意味する。準精密浮上ユニット112a、112bは、精密浮上ユニット111aとラフ浮上ユニット113cとの間に配置されている。また、準精密浮上ユニット112c、112dは、精密浮上ユニット111bとラフ浮上ユニット113dとの間に配置されている。
図34に示すように、精密浮上ユニット111a、111bおよび準精密浮上ユニット112a~112dは、ガスの噴出および吸引を用いて被処理体66を浮上させるように構成されている。また、ラフ浮上ユニット113a~113fは、ガスの噴出を用いて被処理体66を浮上させるように構成されている。各々のラフ浮上ユニット113a~113fの被処理体66と対向する側の面(つまり、各々のラフ浮上ユニット113a~113fの上面)には、被処理体66とラフ浮上ユニット113a~113fとの間に存在するガスを排出するための溝117が形成されている。溝117は、浮上ユニット60の外周面まで到達している。なお、図33では異なる方向に形成された溝117を溝117_1、溝117_2として識別している。すなわち、溝117_1と溝117_2を総称して、溝117とする。複数の溝117_1と複数の溝117_2を形成することで、xy平面視において溝117が網目状になる。
図33、図34に示すように、精密浮上ユニット111a、111b、準精密浮上ユニット112a~112d、及びラフ浮上ユニット113a~113fの各々は、例えばy方向に伸びる矩形状のユニットであり、これらの浮上ユニットが搬送方向(x方向)に沿って並ぶように配置されている。被処理体66は、ラフ浮上ユニット113a~113c、準精密浮上ユニット112a、112b、精密浮上ユニット111a、111b、準精密浮上ユニット112c、112d、ラフ浮上ユニット113d~113fの順に通過して搬送される。なお、各々の浮上ユニットの形状は矩形状に限定されることはない。例えば、各々の浮上ユニットの形状は正方形であってもよい。精密浮上ユニット111a、111b、準精密浮上ユニット112a~112d、及びラフ浮上ユニット113a~113fの各々は、それぞれ、多孔質体を備えている。
[精密浮上ユニット111]
精密浮上ユニット111a、111bは、被処理体66を精密に浮上させて搬送するユニットであり、搬送時の被処理体66のたわみ量を小さくしながら搬送することができるように構成されている。精密浮上ユニット111a、111bは、被処理体66を浮上させるためのガスの噴出量を精密に制御している。精密浮上領域(精密浮上ユニット)111a、111bは、ガスの噴出および吸引を用いて被処理体66を浮上させるように構成されている。なお、精密浮上ユニット111a、111bの詳細な構成については、図35、図36を用いて説明する。
図35、図36はそれぞれ、精密浮上ユニット111a、111bの構成例を説明するための断面図、及び平面図である。図35に示すように、精密浮上ユニット111は、台座121および多孔質体122を備える。多孔質体122は台座121の上側に設けられており、ガス噴出部として機能する。
図36の平面図に示すように、多孔質体122は給気ポート124_1、124_2に接続されており、圧縮されたガスが給気ポート124_1、124_2を介して多孔質体122に供給される。例えば、給気ポート124_1、124_2は精密浮上ユニット111の下部に設けられている。なお、図35に示す断面図では、給気ポート124_1、124_2の配置と排気ポート125_1、125_2の配置とが重なるため、給気ポート124_1、124_2の図示を省略している。多孔質体122に供給された圧縮ガスは、多孔質体122の内部を通過した後、多孔質体122の上面から上方に噴出する。これにより、被処理体66が浮上する。
また、多孔質体122には複数の吸気孔127が形成されている。吸気孔127は、多孔質体122に貫通穴を空けることで形成することができる。図36に示すように、吸気孔127は、多孔質体122の上面(つまり、被処理体66と対向する面)において均一に配置されている。x方向、及びy方向において、吸気孔127は一定の間隔で配列されている。吸気孔127は、被処理体66と精密浮上ユニット111との間に存在するガス(ガス溜まり(図41の符号135参照))を吸引する。図35に示すように、吸気孔127は流路126を介して排気ポート125_1、125_2に接続されている。例えば、排気ポート125_1、125_2は精密浮上ユニット111の下部に設けられている。排気ポート125_1、125_2にはエジェクタや真空ポンプなどが接続されており、エジェクタや真空ポンプなどを用いて排気ポート125_1、125_2を吸引する(つまり負圧にする)ことで、精密浮上ユニット111の上面に存在するガスを吸気孔127から吸引することができる。
図37は、精密浮上ユニット111を用いて被処理体66を搬送している状態を説明するための断面図である。図37に示すように、精密浮上ユニット111では、多孔質体122から上方にガスが噴出しているので、精密浮上ユニット111の上に被処理体66が搬送されてくると、このガスが被処理体66の下面に吹き付けられることで被処理体66が浮上する。よって、精密浮上ユニット111と被処理体66とが非接触の状態となる。このとき、被処理体66と精密浮上ユニット111との隙間、つまり被処理体66の浮上量は、給気ポート124_1、124_2に供給されるガスの量、換言すると、多孔質体122から噴出するガスの量を調整することで制御することができる。
なお、精密浮上ユニット111において、排気ポート125_1、125_2のよる吸気で負圧となる空間(吸気孔127、流路125を含む空間)は、供給ポート124_1、124_2による給気で正圧となる空間から分離されている。すなわち、負圧となる空間と正圧となる空間との気密が保たれている。
また、被処理体66と精密浮上ユニット111との間に存在するガス(ガス溜まり(図41の符号135参照))を吸気孔127から吸引することで、被処理体66のたわみを低減することができる。換言すると、被処理体66を平坦にすることができる。被処理体66のたわみ量は、給気ポート124_1、124_2に供給されるガスの量と排気ポート125_1、125_2から排気するガスの量とのバランスを調整することで制御することができる。
[ラフ浮上ユニット113]
次に、ラフ浮上ユニット113a~113fの構成例について説明する。ラフ浮上ユニット113a~113fは、被処理体66を浮上させて搬送するユニットであり、搬送時に被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113fに接触しなければよいため、被処理体66を浮上させるためのガスの噴出量は、精密浮上ユニット111a、111bほど精密に制御していない。このため、ラフ浮上ユニット113a~113fを通過する際の被処理体66のたわみ量は、精密浮上ユニット111a、111bを通過する際の被処理体66のたわみ量よりも大きい。ラフ浮上領域(ラフ浮上ユニット)113a~113fは、ガスの吸引を用いず、ガスの噴出を用いて被処理体66を浮上させるように構成されている。
図38、図39はそれぞれ、ラフ浮上ユニット113の構成例を説明するための断面図、及び平面図である。図38に示すように、ラフ浮上ユニット113は、台座131および多孔質体132を備える。多孔質体132は台座131の上側に設けられており、ガス噴出部として機能する。多孔質体132は給気ポート134_1、134_2(図39参照)に接続されており、圧縮されたガスが給気ポート134_1、134_2を介して多孔質体132に供給される。例えば、給気ポート134_1、134_2はラフ浮上ユニット113の下部に設けられている。多孔質体132に供給された圧縮ガスは、多孔質体132の内部を通過した後、多孔質体132の上面から上方に噴出する。これにより、被処理体66が浮上する。
また、図38、図39に示すように、ラフ浮上ユニット113の上面には、溝117(つまり溝117_1と溝117_2)が形成されている。図39に示す例では、ラフ浮上ユニット113をxy平面視した際に、被処理体66の搬送方向(x方向)に対して斜めになるように溝117が形成されている。
図40に示すように、溝117は、被処理体66とラフ浮上ユニット113の上面との間に存在するガスを排出する。すなわち、ラフ浮上ユニット113と被処理体66との間に存在するガスの排出をすることができる。また、ラフ浮上ユニット113には、複数の溝117_1と複数の溝117_2が形成されている。そして、溝117_1と溝117_2が交差するように形成されている。このような構成とすることで、溝117を通過するガスの量を増加させることができ、ラフ浮上ユニット113と被処理体66との間に存在するガスの排出を促進させることができる。
つまり、図41の比較例に示すように、ラフ浮上ユニット113の上面に溝117を形成しない場合は、ラフ浮上ユニット113の多孔質体132から噴出したガスが被処理体66の下面に吹き付けられて被処理体66が浮上した際に、被処理体66とラフ浮上ユニット113との間にガス溜まり135が形成される。このガス溜まり135は被処理体66がたわむ原因となる。
これに対して、図38~図40に示すようにラフ浮上ユニット113の上面に溝117を形成した場合は、溝117を通して被処理体66とラフ浮上ユニット113との間に存在するガス(ガス溜まり)を排出することができる。よって、ラフ浮上ユニット113の上を被処理体66が通過する際に被処理体66がたわむことを抑制することができる。
図38に示す例では、多孔質体132の表面の一部を削ることで溝117を形成している。溝117を形成することによるガスの排出効果は、溝117の深さが深いほどその効果が向上する。しかし、多孔質体132に形成する溝117の深さが深くなるほど、多孔質体132の強度が弱くなる。よって、多孔質体132の強度を維持しつつ、溝117の深さが深くなるように溝117を形成することが好ましい。
なお、本実施の形態では、図42に示すように、台座131の上に複数の多孔質体132_1、132_2を設け、複数の多孔質体132_1、132_2を配置した際に多孔質体間にできる隙間を用いて溝117を形成してもよい。この場合は、多孔質体132_1、132_2の厚さが溝117の深さとなる。
ここで、溝117を通るガスの量は、溝117同士の間隔が狭く、溝117の幅が広く、溝117の深さが深いほど多くなる。しかし、溝117同士の間隔が狭くなりすぎると、ラフ浮上ユニット113の上面において溝117が占める割合が多くなり、被処理体66が浮上しにくくなる。よって、溝117のガス排出量に支障がない範囲で、溝117同士の間隔を広くすることが好ましい。また、溝117の幅が広すぎると、被処理体66が溝117を越えられなくなるおそれがある。よって、溝117のガス排出量に支障がない範囲で、溝117の幅を狭くすることが好ましい。被処理体66とラフ浮上ユニット113との間のガス溜まりの量は被処理体66の厚さ、種類、浮上量等によって変化する。よってこの点を考慮して、被処理体のたわみを抑制するために必要な溝117の最適な寸法を決定することが好ましい。
前述したように、精密浮上ユニット111は、搬送時の被処理体66のたわみ量を小さくしながら搬送することができるように構成されている。具体的には、精密浮上ユニット111はガスを噴出して被処理体66を浮上させるとともに、被処理体66と精密浮上ユニット111との間に存在するガス溜まりを吸気孔127から吸引しているので、搬送時の被処理体66のたわみ量を低減させることができる。
しかしながら、精密浮上ユニット111は、ガスの噴出とガスの吸引の両方を行うため内部構造が複雑化する。また、ガスの吸引も行うため、真空ポンプやエジェクタ等の機器が必要となる。したがって、精密浮上ユニット111は、単にガスを噴出して被処理体66を搬送する構成のラフ浮上ユニット113と比べて高価なユニットである。よって、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、図33に示したように、レーザ光の照射位置65を含む領域にのみ精密浮上ユニット111a、111bを配置している。このようにすることで、安価に浮上ユニット60を製造することができる。
ここで、ラフ浮上ユニット113は、精密浮上ユニット111ほど浮上精度が求められないが、ラフ浮上ユニット113においても被処理体66のたわみを抑制する必要がある。つまり、ラフ浮上ユニット113を用いて被処理体66を搬送している際に被処理体66がたわむと、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113fに衝突して被処理体66が破損するおそれがある。
すなわち、ラフ浮上ユニット113a~113fではガスを被処理体66に吹き付けて被処理体66を浮上させているが、このとき被処理体66とラフ浮上ユニット113a~113fとの間にガス溜まり135(図41参照)が発生する。このガス溜まり135の影響によって、被処理体66の中央部のみが浮上し被処理体66の角部が大きくたわむという現象が起こり、被処理体66の角部がラフ浮上ユニット113a~113fに衝突する場合がある。このような現象は、被処理体66の面積が大きくなるほど、また被処理体66の厚さが薄くなるほど顕著にあらわれる。
よって、ラフ浮上ユニット113a~113fにおいてもガス溜まり135(図41参照)の発生を抑制して被処理体66がたわむことを抑制する必要がある。しかしながら、精密浮上ユニット111a、111bのようにガスを吸引するための機構をラフ浮上ユニット113a~113fに設けた場合は、精密浮上ユニット111a、111bと比べてラフ浮上ユニット113a~113fの面積が広いため、浮上ユニットを構成する際のコストが増加してしまう。
そこで本実施の形態にかかるレーザ照射装置1では、図33、図38、図39等に示すようにラフ浮上ユニット113a~113fの上面に溝117を形成し、溝117を通して被処理体66とラフ浮上ユニット113a~113fとの間に存在するガス(ガス溜まり)を排出するように構成している(図40参照)。よって、ラフ浮上ユニット113a~113fの上を被処理体66が通過する際に被処理体66がたわむことを抑制することができる。また、このように被処理体66がたわむこと抑制するための機構を安価に形成することができる。
なお、ラフ浮上ユニット113a~113fのように上面に溝117を形成した場合は、精密浮上ユニット111a、111bのようにガスを吸引するための機構を設けた場合よりも、被処理体66のたわみを抑制する効果は低い。しかし、ラフ浮上ユニット113a~113fを用いて被処理体66を搬送する際は、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113fに接触しないことが求められており、精密浮上ユニット111a、111bほど被処理体66のたわみの抑制が求められていない。よって、ラフ浮上ユニット113a~113fにおいては、被処理体66のたわみを安価に実現できる溝117を形成する手法が最も適している。
[準精密浮上ユニット112]
準精密浮上ユニット112a、112bは、ラフ浮上ユニット113a~113cから精密浮上ユニット111a、111bに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように被処理体66を搬送可能に構成されている。また、準精密浮上ユニット112c、112dは、精密浮上ユニット111a、111bからラフ浮上ユニット113d~113fに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように被処理体66を搬送可能に構成されている。例えば、準精密浮上ユニット112a~112dは、精密浮上ユニット111a、111bが被処理体66を浮上させる際の精度とラフ浮上ユニット113a~113fが被処理体66を浮上させる際の精度との間の精度で被処理体66を浮上させるように構成されている。準精密浮上領域(準精密浮上ユニット)112a~112dは、ガスの噴出および吸引を用いて被処理体66を浮上させるように構成されている。なお、準精密浮上ユニット112a~112dの詳細な構成については、実施の形態1で説明した精密浮上ユニット111a、111bの構成(図35~図37参照)と基本的に同様であるので、重複した説明は省略する。
例えば、精密浮上ユニット111a、111bの上を被処理体66が通過する際の被処理体66のたわみ量は、ラフ浮上ユニット113a~113cの上を被処理体66が通過する際の被処理体66のたわみ量の1/10~1/20である。準精密浮上ユニット112a、112bは、ラフ浮上ユニット113a~113cから精密浮上ユニット111a、111bに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように、換言すると、ラフ浮上ユニット113a~113cにおける被処理体66のたわみ量と精密浮上ユニット111a、111bにおける被処理体66のたわみ量との差分を吸収するように、被処理体66を搬送する。
同様に、例えば、精密浮上ユニット111a、111bの上を被処理体66が通過する際の被処理体66のたわみ量は、ラフ浮上ユニット113d~113fの上を被処理体66が通過する際の被処理体66のたわみ量の1/10~1/20である。準精密浮上ユニット112c、112dは、精密浮上ユニット111a、111bからラフ浮上ユニット113d~113fに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように、換言すると、精密浮上ユニット111a、111bにおける被処理体66のたわみ量とラフ浮上ユニット113d~113fにおける被処理体66のたわみ量との差分を吸収するように、被処理体66を搬送する。
本実施の形態にかかるレーザ照射装置では、精密浮上ユニット111a、111bに供給されるガス供給量と準精密浮上ユニット112a~112dに供給されるガス供給量とを独立に制御可能に構成されている。つまり、精密浮上ユニット111a、111bから噴出されるガスの量と準精密浮上ユニット112a~112dから噴出されるガスの量とを独立に制御可能に構成されている。また、精密浮上ユニット111a、111bの吸気孔のガス吸引量(排気ポートにおける排気量)と準精密浮上ユニット112a~112dの吸気孔のガス吸引量(排気ポートにおける排気量)とを独立に制御可能に構成されている。
例えば、精密浮上ユニット111a、112bのそれぞれから噴出されるガスの量を、準精密浮上ユニット112a~112dのそれぞれから噴出されるガスの量よりも多くして、かつ、精密浮上ユニット111a、112bのそれぞれにおける吸気孔のガス吸引量を、準精密浮上ユニット112a~112dのそれぞれにおけるガスの吸引量よりも多くする。このようにすることで、精密浮上ユニット111a、111bにおける浮上量の精度を準精密浮上ユニット112a~112dにおける浮上量の精度よりも高くすることができる。なお、ガスの噴出量と吸引量は、各ユニットの面積や多孔質体の気孔率、吸気孔127の配置などに応じて、適宜設定すればよい。
さらに、精密浮上ユニット111a、111bの平面の加工精度は、準精密浮上ユニット112a~112dの平面の加工精度よりも高くなるように、精密浮上ユニット111a、111bが製作されている。すなわち、精密浮上ユニット111a、112bの上面(浮上面)における平面度は、準精密浮上ユニット112a~112dの上面(浮上面)における平面度よりも高くなっている。通常、多孔質体を高い平面度で加工する場合、高価になるが、本実施の形態では、レーザ照射位置65のみを高い平面度の精密浮上ユニット111a、111bで構成している。このようにすることで、レーザ照射位置65での浮上精度が要求を満たしつつも、装置コストを低減することができる。
[搬送時のたわみ]
図43は、第1の領域60aから照射領域60eを通過して第2の領域60bまで被処理体66を搬送している様子を説明するための断面図である。図43(a)に示すように、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113cの上を通過している際は、被処理体66がたわんでいる。しかし本実施の形態ではラフ浮上ユニット113a~113cの上面に溝117を形成しているので、上記で説明した理由から被処理体66のたわみ量は抑えられている。
その後、被処理体66が搬送され、図43(b)に示すように、被処理体66が準精密浮上ユニット112a、112bの上を通過する際は、被処理体66のたわみ量は、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113cの上を通過している際のたわみ量よりも小さくなる。つまり、準精密浮上ユニット112a、112bはガスを噴出して被処理体66を浮上させるとともに、被処理体66と準精密浮上ユニット112a、112bとの間に存在するガス溜まりを吸引しているので、搬送時の被処理体66のたわみ量を低減させることができる。
その後、被処理体66が更に搬送され、図43(c)に示すように、被処理体66が精密浮上ユニット111a、111bの上を通過する際は、被処理体66のたわみ量は、被処理体66が準精密浮上ユニット112a、112bの上を通過している際のたわみ量よりも小さくなる。つまり、精密浮上ユニット111a、111bはガスを噴出して被処理体66を浮上させるとともに、被処理体66と精密浮上ユニット111a、111bとの間に存在するガス溜まりを吸引しているので、搬送時の被処理体66のたわみ量を低減させることができる。また、準精密浮上ユニット112a、112bを設けることで、ラフ浮上ユニット113a~113cから精密浮上ユニット111a、111bに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するようにすることができる。精密浮上ユニット111a、111bの上を通過する際、被処理体66にレーザ光65が照射される。
その後、被処理体66が更に搬送され、図43(d)に示すように、被処理体66が準精密浮上ユニット112c、112d、及びラフ浮上ユニット113d~113fの上を通過している際は、被処理体66のたわみ量は次のようになる。すなわち、被処理体66がラフ浮上ユニット113d~113fの上を通過している際は、被処理体66がたわんでいるが、本実施の形態ではラフ浮上ユニット113d~113fの上面に溝117を形成しているので、上記で説明した理由から被処理体66のたわみ量は抑えられている。
また、被処理体66が準精密浮上ユニット112c、112dの上を通過している際は、被処理体66のたわみ量は、被処理体66がラフ浮上ユニット113d~113fの上を通過している際のたわみ量よりも小さくなる。つまり、準精密浮上ユニット112c、112dはガスを噴出して被処理体66を浮上させるとともに、被処理体66と準精密浮上ユニット112c、112dとの間に存在するガス溜まりを吸引しているので、搬送時の被処理体66のたわみ量を低減させることができる。そして、この場合も、準精密浮上ユニット112c、112dを設けることで、精密浮上ユニット111a、111bからラフ浮上ユニット113d~113fに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するようにすることができる。
このように、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、ラフ浮上ユニット113a~113cと精密浮上ユニット111a、111bとの間に準精密浮上ユニット112a、112bを設けている。よって、ラフ浮上ユニット113a~113cから精密浮上ユニット111a、111bに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するようにすることができる。
すなわち、図43(c)に示すように、被処理体66がラフ浮上ユニット113cから準精密浮上ユニット112aに搬送される際、位置119aにおいて被処理体66のたわみ量が急激に変化する。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、準精密浮上ユニット112a、112bを用いて被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように被処理体66を搬送している。よって、位置119aにおける被処理体66のたわみが、レーザ照射位置65を通過している被処理体66に影響することを抑制することができる。換言すると、準精密浮上ユニット112a、112bを設けることで、被処理体66のたわみが大きい位置119aとレーザ照射位置65との距離d1を離すことができるので、準精密浮上ユニット112a、112bがない構成と比べて、レーザ照射位置65における被処理体66のたわみを低減させることができる。
また、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、精密浮上ユニット111a、111bとラフ浮上ユニット113d~113fとの間に準精密浮上ユニット112c、112dを設けている。よって、精密浮上ユニット111a、111bからラフ浮上ユニット113d~113fに被処理体66が搬送される際に、被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するようにすることができる。
すなわち、図43(d)に示すように、被処理体66が準精密浮上ユニット112dからラフ浮上ユニット113dに搬送される際、位置119bにおいて被処理体66のたわみ量が急激に変化する。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、準精密浮上ユニット112c、112dを用いて被処理体66のたわみ量が滑らかに変化するように被処理体66を搬送している。よって、位置119bにおける被処理体66のたわみが、レーザ照射位置65を通過している被処理体66に影響することを抑制することができる。換言すると、準精密浮上ユニット112c、112dを設けることで、被処理体66のたわみが大きい位置119bとレーザ照射位置65との距離d2を離すことができるので、準精密浮上ユニット112c、112dがない構成と比べて、レーザ照射位置65における被処理体66のたわみを低減させることができる。
さらに、精密浮上ユニット111a、111b、ラフ浮上ユニット113d~113f、準精密浮上ユニット112a~112dの圧力、流量をそれぞれ調整して浮上量を制御することも可能である。このようにすることで、被処理体66に加わるストレスを軽減することができる。例えば、精密浮上ユニット111a、111bの浮上量を30μm、準精密浮上ユニット112c、112dの浮上量を100μm、ラフ浮上ユニット113d~113fの浮上量を300μmとして、浮上量を多段化することができる。
このように、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、レーザ照射位置65における被処理体66のたわみを低減させることができるので、レーザ照射位置65においてレーザ光の焦点深度(DOF)から外れてしまうことを抑制することができる。よって、レーザ光の照射ムラを抑制することができ、均一なポリシリコン膜を形成することができる。
また、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、ラフ浮上ユニット113a~113fの上面に溝117を形成しているので、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113fを通過する際のたわみ量を抑えることができる。よって、被処理体66がラフ浮上ユニット113a~113cから準精密浮上ユニット112a、112bに搬送される際に、ラフ浮上ユニット113a~113c上の被処理体66のたわみが、準精密浮上ユニット112a、112b上の被処理体66のたわみに影響を及ぼすことを抑制することができる。同様に、被処理体66が準精密浮上ユニット112c、112dからラフ浮上ユニット113d~113fに搬送される際に、ラフ浮上ユニット113d~113f上の被処理体66のたわみが、準精密浮上ユニット112c、112d上の被処理体66のたわみに影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、結果的に、ラフ浮上ユニット113a~113f上の被処理体66のたわみが、精密浮上ユニット111a、111b上の被処理体66のたわみに影響を及ぼすことを抑制することができる。
なお、図34、図43では、2個の精密浮上ユニット111a、111bを用いて精密浮上領域を形成し、4個の準精密浮上ユニット112a~112dを用いて準精密浮上領域を形成し、6個のラフ浮上ユニット113a~113fを用いてラフ浮上領域を形成している場合を示した。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2では、精密浮上領域を構成する精密浮上ユニット111の数、準精密浮上領域を構成する準精密浮上ユニット112の数、及びラフ浮上領域を構成するラフ浮上ユニット113の数は、任意に決定することができる。また、上記で説明した精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、及びラフ浮上ユニット113の構成は一例であり、本実施の形態では各浮上ユニットが上記で説明した以外の構成を備えていてもよい。例えば、ラフ浮上ユニット113は、精密浮上ユニット111ほど浮上精度が求められないので、ラフ浮上ユニットの1ユニット当たりの面積が精密浮上ユニットの1ユニット当たりの面積よりも大きくなるように構成してもよい。
また、上記で説明した構成では、精密浮上ユニット111a、111bの両側に準精密浮上ユニット112a、112b及び準精密浮上ユニット112c、112dをそれぞれ設けた構成を示した。しかし本実施の形態にかかるレーザ照射装置1では、精密浮上ユニット111a、111bに対して被処理体66の搬送方向上流側(-x側)および下流側(+x側)の少なくとも一方に準精密浮上ユニット112を設けてもよい。
[第3の領域60c~第4の領域60dにおける浮上ユニット60]
次に、第3の領域60c、モニタ領域60f、及び第4の領域60dにおける浮上ユニット60の構成について、図44を用いて説明する。図44は、第3の領域60c、モニタ領域60f、及び第4の領域60dにおける浮上ユニット60の構成を模式的に示す断面図である。
図34、図44に示すように、第3の領域60c、及び第4の領域60dは、第1の領域60a、第2の領域60bと同様にラフ浮上ユニット113a~113fにより構成されている。モニタ領域60fは、準精密浮上ユニット112a~112fにより構成されている。ラフ浮上ユニット113a~113f、準精密浮上ユニット112a~112fは上記と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
準精密浮上ユニット112a~112fの-x側にラフ浮上ユニット113a~113cが配置されている。準精密浮上ユニット112a~112fの+x側にラフ浮上ユニット113d~113fが配置されている。すなわち、-x側から+x側に向かうについて、ラフ浮上ユニット113a、ラフ浮上ユニット113b、ラフ浮上ユニット113c、準精密浮上ユニット112a、準精密浮上ユニット112b、準精密浮上ユニット112c、準精密浮上ユニット112d、準精密浮上ユニット112e、準精密浮上ユニット112f、ラフ浮上ユニット113d、ラフ浮上ユニット113e、ラフ浮上ユニット113fの順番で配置されている。換言すると、図34の2つの精密浮上ユニット111が準精密浮上ユニット112に置き換わっている。
モニタ領域60fには、ポリシリコン膜のムラをモニタするため、ラインセンサ191と照明光源192とが設けられている。照明光源192は、照明光L2を発生している。照明光源192は、-x方向に搬送されている被処理体66を照明光源192が照明している。そして、照明光源192によって照明された被処理体66の照明箇所をラインセンサ191が撮像している。
したがって、モニタ領域60fでは、被処理体66の浮上量にある程度の精度が要求される。例えば、被処理体66のたわみ量が大きくなると、被処理体66がラインセンサ191の焦点から外れてしまう。この場合、適切に被処理体66を撮像することができない。一方、モニタ領域60fでは、レーザ照射位置65ほどの浮上量の精度は要求されない。よって、本実施の形態では、モニタ領域60fが準精密浮上ユニット112a~112fで構成されている。このようにすることで、適切に被処理体66を撮像することができる。
なお、補助浮上ユニット67については、浮上精度が要求されないので、ラフ浮上ユニット113と同様の構成を用いることができる。また、補助浮上ユニット67が小さい場合、溝117を有しない構成とすることも可能である。これにより、多孔質体の加工コストを低減することができる。
(モニタ領域60f)
次に、モニタ領域60fに設けられたラインセンサ191、及び照明光源192について、図45、図46を用いて説明する。図45、及び図46は、モニタ領域60fの上方に設けられたラインセンサ191、及び照明光源192の構成を模式的に示す側面図、及び平面図である。
照明光源192は、y方向に延びるライン状の領域を照明する。照明光源192は、斜め上方から被処理体66を照明する。より具体的には、照明光源192は、-x方向、かつ‐z方向に向けて照明光L2を発生させる。照明光源192としては、例えば、単色光を発生するレーザ光源やLED(Light Emitting Diode)光源などを用いることができる。また、ライン状の領域を照明するため、複数の点光源をy方向に沿って並べてもよい。例えば、照明光源192として、連続発振(CW:Continuous Wave)の半導体レーザ光源等を用いることができる。
図45に示すように、照明光源192は、浮上ユニット60の上に配置されたホルダ192bに取り付けられている。これにより、照明光源192が浮上ユニット60の上に保持される。さらに、ホルダ192bには、照明光源192の角度や位置を調整するためのつまみ192aが設けられている。
ラインセンサ191は、被処理体66で反射された照明光を検出する。ラインセンサ191は、y方向に配列された複数の受光画素を備えた光検出器である。すなわち、ラインセンサ191の複数の受光画素は、y方向に沿って1列に配置されている。ラインセンサ191としては、CCD(Charge-Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)イメージセンサ、又はフォトダイオードアレイを用いることができる。
ラインセンサ191は、-x方向に搬送中の被処理体66を撮像する。照明光源192で照明された領域を撮像する。ラインセンサ191はy方向に沿って並べられた複数の受光画素を備えているため、ラインセンサ191の視野はy方向を長手方向、x方向を短手方向とする矩形状となる。y方向に沿って設けられた複数の画素を有するラインセンサ191が、-x方向に搬送中の被処理体66を撮像するため、被処理体66の2次元画像を取得することができる。
図45に示すように、ラインセンサ191は、浮上ユニット60の上に配置されたホルダ191bに取り付けられている。これにより、ラインセンサ191が浮上ユニット60の上に保持される。さらに、ホルダ191bには、ラインセンサ191の角度や位置を調整するためのつまみ191aが設けられている。
レーザ照射位置65がy方向に沿ったライン状に形成されているため、該ラインに沿った明暗の縞(ショットムラともいう)がポリシリコン膜にできることがある。すなわち、結晶化されたポリシリコン膜にムラが発生することがある。ポリシリコン膜の結晶状態に応じて光反射率が変化する。光反射率に応じてラインセンサ191の受光量が変化する。よって、ポリシリコン膜の結晶状態にムラがあると、ラインセンサ191で取得した画像にも輝度ムラが生じる。よって、モニタ領域60fにおいて、被処理体66を撮像することで、ポリシリコン膜のムラを評価することができる。
なお、y方向におけるラインセンサ191の視野、すなわち撮像範囲は、被処理体66の大きさに対応していることが好ましい。このようにすることで、被処理体66がモニタ領域60fを1回通過することで、被処理体66の全体の2次元画像を取得することができる。あるいは、y方向におけるラインセンサ191の視野、すなわち撮像範囲は、レーザ照射位置65の大きさに対応していてもよい。この場合、ラインセンサ191がレーザ照射で形成された結晶化領域71を撮像する(図22、図23を合わせて参照)。被処理体66がモニタ領域60fを2回通過することで、被処理体66の全体の2次元画像を取得することができる。
さらに、浮上ユニット60の表面には、着色部195が設けられている。図47に示すように、着色部195は、y方向に延びる長方形状の領域であり、ラインセンサ191の視野に配置されている。着色部195では、浮上ユニット60が黒色に着色されている。着色部195では浮上ユニット60の表面が均一に着色されている。例えば、着色アルマイト処理などをすることで、着色部195を形成することができる。
モニタ領域60fでは、上記のように、準精密浮上ユニット112で構成されている。準精密浮上ユニット112には、精密浮上ユニット111と同様に吸気孔127が形成されている。図47に示すように、y方向に延びる着色部195を形成する。着色部195には、吸気孔127が形成されていない。
このようにすることで、準精密浮上ユニット112がラインセンサ191で取得される画像に映り込むことを防ぐことができる。例えば、被処理体66は、半透明である場合、浮上ユニット60で反射した光が、被処理体66を介してラインセンサ191が検出する。しかしながら、ラインセンサ191の視野において、準精密浮上ユニット112に着色部195を形成することで、準精密浮上ユニット112が映り込むことを防ぐことができる。なお、着色部195からは被処理体66を浮上させるためのガスが噴出されていなくてもよい。
また、ラインセンサ191によって取得された被処理体66の2次元画像において、ムラが大きい場合、再度、被処理体66にレーザ光を照射するようにしてもよい。すなわち、ムラが大きい場合、循環搬送を1回増やして、レーザ光を再照射するようにしてもよい。レーザ光の再照射は、被処理体66の全体に行ってもよく、部分的に行ってもよい。これにより、ポリシリコン膜のムラを低減することができ、より均一な特性を有するポリシリコン膜を形成することができる。なお、照射ムラが大きいか否かは、被処理体66の画像に基づいて、制御部53が判定してもよい。
(被処理体66の搬入動作)
次に、被処理体66を浮上ユニット60上に搬入する搬入動作について、図48、図49を用いて説明する。図48は、浮上ユニット60の第4の領域60dの構成を模式的に示す平面図である。図49は、被処理体66の搬入動作を説明するための断面図である。
第4の領域60dは、上記のように、溝117を有するラフ浮上ユニット113により構成されている。さらに、ラフ浮上ユニット113には、貫通穴618、及び複数の貫通穴611が形成されている。貫通穴618は、上記した回転機構68が配置されている。なお、回転機構68は、上記した持ち替え動作を行うため貫通穴618内を昇降可能に配置されている。
複数の貫通穴611には、それぞれ昇降ピン612が配置されている。昇降ピン612は、貫通穴611内を昇降可能に配置されている。すなわち、昇降ピン612は、モータやシリンダなどのアクチュエータによってz方向に移動する。昇降ピン612は、移載ロボット620との間で被処理体66の搬入動作及び搬出動作を行う。
搬入動作を行う場合、まず、図49のAに示すように、被処理体66が載置された移載ロボット620が第4の領域60dの上に被処理体66を移動する。このとき、昇降ピン612は、浮上ユニット60の上面よりも下側に退避している。
そして、被処理体66が第4の領域60dの上まで移動すると、図49のBに示すように、昇降ピン612が上昇する。なお、昇降ピンは、xy平面視において、移載ロボット620と干渉しない位置に配置されている。昇降ピンが被処理体66の下面と当接して、被処理体66を移載ロボット620から持ち上げる。
次に、図49のCに示すように、移載ロボット620が第4の領域60dから移動する。このとき、被処理体66は昇降ピン612に支持されているので、被処理体66は、第4の領域60dの上にある。
そして、図49のDに示すように、昇降ピン612を下降させる。図49のDでは、昇降ピン612が浮上ユニット60の下側まで退避する。したがって、浮上ユニット60の上面から噴出するガスによって、被処理体66は、浮上ユニット60の上に浮上する。このようにすることで、被処理体66を第4の領域60dの上に搬入することができる。さらに、このとき、上記したように、搬送ユニット61_4の保持機構62_4が被処理体66を保持してもよい。あるいは、回転機構68が被処理体66を保持してもよい。すなわち、図49のDでは、保持機構62_4又は回転機構68が被処理体66を保持可能な高さまで、被処理体66が移動している。また、浮上ユニット60の破損時などにおいて、昇降ピン612を浮上ユニット60の下面よりも下側に下降させることができる構成とすることで、浮上ユニット60の交換が容易になる。
このように、浮上ユニット60に貫通穴611を設けて、この貫通穴611に昇降ピン612を配置する。このようにすることで、被処理体66を浮上ユニット60の上に搬入することができる。なお、被処理体66を搬出する場合、図49のDから図49のAの順番で搬出動作を行えばよい。
なお、搬入位置、及び搬出位置は、第4の領域60dに限られるものではない。すなわち、第1の領域60a~第4の領域60dのいずれか一つ以上を、搬入位置、及び搬出位置とすることができる。もちろん、搬入位置と搬出位置は、異なる領域であってもよい。この場合、2つの領域に昇降ピン612を設ける。また、搬入位置と搬出位置を同じ領域とする場合、第1の領域60a~第4の領域60dの領域のみに昇降ピン612を設ければよい。
(出荷時の装置分割)
次に、レーザ照射装置2の出荷時における分割構成について説明する。なお、レーザ照射装置2の出荷とは、レーザ照射装置2の製造工場から、レーザ照射装置2を使用するサイトに輸送することを意味する。例えば、レーザ照射装置2が、表示パネル用のTFTアレイ基板の製造工程に用いられるエキシマレーザアニール装置である場合、レーザ照射装置2は、表示パネルの製造工場で使用される。したがって、レーザ照射装置2の組み立てを行うレーザ照射装置の製造工場から、表示パネルの製造工場にレーザ照射装置2が出荷される。
ここで、表示パネルの生産性を向上するため、被処理体66であるガラス基板が大型化している。例えば、被処理体66のサイズは、1850mm×1500mm程度となる。したがって、レーザ照射装置2についても装置が大型化する。さらに、本実施の形態では、被処理体66が浮上ユニット60上を循環するように搬送されているため、装置構成が非常に大きくなる。このような大型のレーザ照射装置2を輸送する場合、トラックや道路幅によっては、一体として輸送することができないおそれがある。したがって、本実施の形態にかかるレーザ照射装置2は、分割して輸送することが可能になっている。
このような、レーザ照射装置2の分割構成について、図50、図51を用いて説明する。図50は、レーザ照射装置2の分割構成を示す斜視図であり、図51は、平面図である。図50、図51に示すように、レーザ照射装置2は、第1の分割ユニット501と第2の分割ユニット502に分割されている。第1の分割ユニット501には、レーザ発生装置を含む光学系511が設けられている。
図50に示すように、第1の分割ユニット501は、第1の領域60aの一部と、照射領域60eの全体と、第2の領域60bの全体と、モニタ領域60fの一部と、第3の領域60cの一部とを備えている。第2の分割ユニット502は、第1の領域60aの一部と、モニタ領域60fの一部と、第3の領域60cの一部と、第4の領域60dの全体とを備えている。このように、第1の領域60aと第3の領域60cとモニタ領域60fとは、第1の分割ユニット501と第2の分割ユニット502に分割される。
出荷時においては、第1の分割ユニット501に、照射領域60eの全体が含まれるように、レーザ照射装置2を第1の分割ユニット501と第2の分割ユニット502に分割している。上記したように、照射領域60eは、最も浮上精度が要求される精密浮上領域111を含んでいる。全ての精密浮上ユニット111が第1の分割ユニット501に含まれるようにレーザ照射装置2が分割されている。
このように、照射領域60eを分割しないように出荷することで、出荷時の組み立て作業及び調整作業を効率的に行う事ができる。すなわち、照射領域60eが一体となって出荷されるため、高い精度が要求される照射領域60eの組み立て作業や調整作業を行う事が容易になる。よって、効率的にレーザ照射装置2を出荷することができる。さらに、照射領域60eを含む第1の分割ユニット501には、レーザ発生装置を含む光学系511が取り付けられている。よって、出荷後における光学系511の調整を効率的に行うことができる。
なお、第1の分割ユニット501と第2の分割ユニットを分割する形状は、図51に示す構成に限られるものではない。照射領域60eを分割しない構成であれば、第1の分割ユニット501と第2の分割ユニット502はどのような形状で分割されていてもよい。例えば、xy平面視において、照射領域60eとモニタ領域60fとの境界線に平行なx方向に延びる直線(図51中のB1)に沿ってレーザ照射装置2を分割してもよい。あるいは、xy平面視において、照射領域60eと第1の領域60aとの境界線に平行なy方向に延びる直線(図51中のB2)に沿ってレーザ照射装置2を分割してもよい。このように、第1の分割ユニット501と第2の分割ユニットとの分割形状は任意の形状とすることができる。
<その他の実施の形態>
なお、実施の形態1と実施の形態2とを適宜組み合わせてもよい。すなわち、実施の形態1で用いた保持機構12を実施の形態2の保持機構62_1~62_1として用いてもよい。また、回転機構68、及びアライメント機構69についても、多孔質体を介して、被処理体66を保持するようにしてもよい。
保持機構62_1~62_4、が多孔質体を介して被処理体66を吸着することで、被処理体66を保持することができる。抵抗の大きい多孔質体を用いることで、負圧空間155の圧力を真空に保つことができる。
また、実施の形態1で説明したように、多孔質体151には貫通穴152が設けられている。このようにすることで、吸着判定、及び吸着解除判定を確実、かつ迅速に行うことができる。よって、スループットをより短縮することが可能になる。特に、複数の搬送ユニット61_1~61_4、回転機構68、アライメント機構69の間で被処理体66の持ち替え動作が複数回行われている。このような持ち替え動作が複数回を行われる構成では、スループットをより向上することができる。
もちろん、実施の形態2の保持機構62_1~62_1、回転機構68、及びアライメント機構69の一つ以上は、実施の形態1の保持機構12と異なる保持機構であってもよい。
さらに、実施の形態2では、(搬送動作)、(第4の領域60dでの回転動作)、(2つの被処理体66の連続処理)、(第1の領域60aでのアライメント動作)、(被処理体66の持ち替え動作)、(浮上ユニット60)、(モニタ領域60f)、(被処理体66の搬入動作)、(防振対策)、(出荷時の装置分割)の全ての構成及び動作がレーザ照射装置2に適用されているものとして説明したが、一部の構成や動作のみがレーザ照射装置2に適用されていてもよい。すなわち、(搬送動作)、(第4の領域60dでの回転動作)、(2つの被処理体66の連続処理)、(第1の領域60aでのアライメント動作)、(被処理体66の持ち替え動作)、(浮上ユニット60)、(モニタ領域60f)、(被処理体66の搬入動作)、(防振対策)、(出荷時の装置分割)の少なくとも一つ以上がレーザ照射装置に適用されていればよい。
次に、その他の実施の形態として、上記で説明したレーザ照射装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態では、レーザ照射装置としてレーザアニール装置を用いることで、基板上に形成した非晶質膜にレーザ光を照射して非晶質膜を結晶化させることができる。例えば、半導体装置はTFT(Thin Film transistor)を備える半導体装置であり、この場合はアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して結晶化させてポリシリコン膜を形成することができる。
(半導体装置の製造方法)
図52は、半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。上記で説明した本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、TFTアレイ基板の製造に好適である。以下、TFTを有する半導体装置の製造方法について説明する。
まず、図52(a)に示すように、ガラス基板201上に、ゲート電極202を形成する。ゲート電極202は、例えば、アルミニウムなどを含む金属薄膜を用いることができる。次に、図52(b)に示すように、ゲート電極202の上に、ゲート絶縁膜203を形成する。ゲート絶縁膜203は、ゲート電極202を覆うように形成される。その後、図52(c)に示すように、ゲート絶縁膜203の上に、アモルファスシリコン膜204を形成する。アモルファスシリコン膜204は、ゲート絶縁膜203を介して、ゲート電極202と重複するように配置されている。
ゲート絶縁膜203は、窒化シリコン膜(SiNx)、酸化シリコン膜(SiO2膜)、又はこれらの積層膜等などである。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜203とアモルファスシリコン膜204とを連続成膜する。アモルファスシリコン膜204付のガラス基板201がレーザ照射装置1、2における被処理体16、66となる。
そして、図52(d)に示すように、上記で説明したレーザ照射装置を用いてアモルファスシリコン膜204にレーザ光を照射してアモルファスシリコン膜204を結晶化させて、ポリシリコン膜205を形成する。これにより、シリコンが結晶化したポリシリコン膜205がゲート絶縁膜203上に形成される。
このとき、上記で説明した本実施の形態にかかるレーザ照射装置を用いることで、レーザ照射時におけるガラス基板201のたわみの影響を低減させることができ、アモルファスシリコン膜204に照射されるレーザ光の焦点深度(DOF)から外れてしまうことを抑制することができる。よって、均一に結晶化されたポリシリコン膜205を形成することができる。
その後、図52(e)に示すように、ポリシリコン膜205の上に層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを形成する。層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bは、一般的なフォトリソグラフィー法や成膜法を用いて形成することができる。
上記で説明した半導体装置の製造方法を用いることで、TFTを備える半導体装置を製造することができる。なお、これ以降の製造工程については、最終的に製造するデバイスによって異なるので説明を省略する。
(有機ELディスプレイ)
次に、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明する。図53は、有機ELディスプレイの概要を説明するための断面図であり、有機ELディスプレイの画素回路を簡略化して示している。図53に示す有機ELディスプレイ300は、各画素PxにTFTが配置されたアクティブマトリクス型の表示装置である。
有機ELディスプレイ300は、基板310、TFT層311、有機層312、カラーフィルタ層313、及び封止基板314を備えている。図53では、封止基板314側が視認側となるトップエミッション方式の有機ELディスプレイを示している。なお、以下の説明は、有機ELディスプレイの一構成例を示すものであり、本実施の形態は、以下に説明される構成に限られるものではない。例えば、本実施の形態にかかる半導体装置は、ボトムエミッション方式の有機ELディスプレイに用いられていてもよい。
基板310は、ガラス基板又は金属基板である。基板310の上には、TFT層311が設けられている。TFT層311は、各画素Pxに配置されたTFT311aを有している。さらに、TFT層311は、TFT311aに接続される配線等を有している。TFT311a、及び配線等が画素回路を構成する。なお、TFT層311は、図53で説明したTFTに対応しており、ゲート電極202、ゲート絶縁膜203、ポリシリコン膜205、層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを有する。
TFT層311の上には、有機層312が設けられている。有機層312は、画素Pxごとに配置された有機EL発光素子312aを有している。有機EL発光素子312aは、例えば、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極が積層された積層構造を有している。トップエミッション方式の場合、陽極は金属電極であり、陰極はITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜である。さらに、有機層312には、画素Px間において、有機EL発光素子312aを分離するための隔壁312bが設けられている。
有機層312の上には、カラーフィルタ層313が設けられている。カラーフィルタ層313は、カラー表示を行うためのカラーフィルタ313aが設けられている。すなわち、各画素Pxには、R(赤色)、G(緑色)、又はB(青色)に着色された樹脂層がカラーフィルタ313aとして設けられている。有機層312から放出された白色光は、カラーフィルタ313aを通過すると、RGBの色の光に変換される。なお、有機層312に、RGBの各色を発光する有機EL発光素子が設けられている3色方式の場合、カラーフィルタ層313を省略してもよい。
カラーフィルタ層313の上には、封止基板314が設けられている。封止基板314は、ガラス基板などの透明基板であり、有機層312の有機EL発光素子の劣化を防ぐために設けられている。
有機層312の有機EL発光素子312aに流れる電流は、画素回路に供給される表示信号によって変化する。よって、表示画像に応じた表示信号を各画素Pxに供給することで、各画素Pxでの発光量を制御することができる。これにより、所望の画像を表示することができる。
なお、上記では、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明したが、TFTを備える半導体装置は、例えば液晶ディスプレイであってもよい。また、上記では、本実施の形態にかかるレーザ照射装置をレーザアニール装置に適用した場合について説明した。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、レーザアニール装置以外の装置にも適用することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。