JP7094177B2 - 電力用半導体素子の寿命推定装置 - Google Patents

電力用半導体素子の寿命推定装置 Download PDF

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Description

本願は、サイリスタなどの電力用半導体素子の寿命を推定する電力用半導体素子の寿命推定装置に関するものであり、特に、発電機の界磁巻線に直流電流を供給するサイリスタ励磁装置に設けられたサイリスタの寿命を推定する電力用半導体素子の寿命推定装置に関するものである。
発電機の界磁巻線を励磁する方式の1つであるサイリスタ励磁方式は、サイリスタを利用して界磁巻線に所望の直流電流を供給するもので、構造が簡単であるとともに即応性があるという利点がある。一方、サイリスタは他の電力用半導体素子と同様に、チップ表面のワイヤ接合部または素子内部のはんだ接合部が継続的使用によって劣化し、劣化による異常または故障が発生する可能性がある。このような異常を防ぐため、定期的な点検・チェックにより運転中のサイリスタの状態を監視することが必要である。しかしながら、電力用半導体素子の寿命は周囲温度および使用条件により左右されることから、定期的な点検・チェックのみでは急激な劣化に対応しきれない可能性があった。
そこで、電力用半導体素子の温度を推定し、推定温度の変化の振幅に基づく熱ストレス回数および推定温度の変化率に基づく熱ストレス回数を演算・積算し、これらの熱ストレス回数と電力用半導体素子固有の許容熱ストレス回数とを用いて、電力用半導体素子の運転可能寿命を推定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような寿命推定は、パワーサイクルモデルに基づくものであり、摩耗故障のように熱疲労の蓄積モデルに従う故障について寿命推定が可能である。
特開平8-126337号公報
しかしながら、電力用半導体素子の劣化およびこれに伴う故障、異常は、熱疲労の蓄積モデルに従うとは限らない。例えば製造工程における不純物の混入または不十分な絶縁耐圧確保は経時的、偶発的な漏れ電流の増加を発生させるが、このような偶発故障のモデルは熱疲労の蓄積モデルとは異なる故障モデルであり、特許文献1の技術では寿命推定が困難である。このため、定期的な点検・チェックにより電力用半導体素子劣化状況を監視する必要があり、監視コストが増加するという問題点があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、本願で開示される技術は、故障モデルに関わらず電力用半導体素子の寿命を推定することができる電力用半導体素子の寿命推定装置を得るものである。
本願に開示される電力用半導体素子の寿命推定装置は、運転中の電力用半導体素子の温度を継続的に計測する温度計測手段と、温度計測手段によって計測された電力用半導体素子の温度の時系列データから、それぞれ予め定められた長さを持つ複数の区間のそれぞれの区間平均値と、区間平均値の変化量を逐次算出する平均処理演算部と、区間平均値および区間平均値の変化量を用いて、電力用半導体素子の温度が予め定められた管理温度に到達する時刻である管理温度到達時間を推定する管理温度到達時間推定部とを備え、管理温度到達時間推定部は、区間平均値の変化量を逐次算出する際の現在の区間における区間平均値の変化量を算出するとき、現在の区間を基準の区間とし、基準の区間よりも前の区間の1つを比較対象の区間として、基準の区間の区間平均値と比較対象の区間の区間平均値との差が予め定められた値以上である場合に、差を現在の区間における区間平均値の変化量とし、差が予め定められた値よりも小さい場合、比較対象の区間をさらに前の区間とすることにより比較対象の区間の更新を行って、差の取得と、差と予め定められた値との比較を再度行うものであって、管理温度到達時間推定部は、差が予め定められた値以上になるまで、比較対象の区間の更新を繰り返すものである。
本願に開示される技術によれば、故障モデルに関わらず電力用半導体素子の寿命を推定することができる。
実施の形態1に係るサイリスタ励磁装置を示す構成図である。 実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置示すブロック図である。 実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置のハードウエア構成を示す図である。 実施の形態1に係る温度値テーブルのフォーマットの例を示す図である。 実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置の動作を示すフロー図である。 実施の形態1に係る区間平均値比較処理を示すフロー図である。 管理温度到達時間の推定直線を示す特性図である。
実施の形態1.
以下に、実施の形態1を図1から図7に基づいて説明する。図1は、実施の形態1に係るサイリスタ励磁装置を示す構成図であり、図2は、実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置示すブロック図である。サイリスタ励磁装置50は、発電機91の界磁巻線92に励磁電流を供給するもので、複数のサイリスタ、すなわち電力用半導体素子を有するサイリスタ部51と、それぞれのサイリスタを制御するAVR(Automatic Voltage Regulator)52とを備えている。発電機91がタービン(図示なし)により駆動され、界磁巻線92にサイリスタ部51から励磁電流が供給されると、発電機91の出力電圧は、励磁変圧器93によって降圧されてサイリスタ部51に印加される。また発電機91の出力電圧および発電機91からの電流は、変成器94および変流器95をそれぞれ介してAVR52にフィードバックとして入力される。AVR52は、内部にゲート制御信号生成部521を備えており、フィードバック電流IRに応じてサイリスタ部51のサイリスタを制御するゲート制御信号gを出力する。
電力用半導体素子の寿命推定装置10は、図2に示すサイリスタ部51のサイリスタ511~513の寿命を推定するもので、運転中のサイリスタ511~513の温度をそれぞれ継続的に計測し、計測した温度値を温度値データDとして出力する温度センサー11、すなわち温度計測手段と、温度値データDを用いてサイリスタ511~513のそれぞれの寿命を推定する寿命推定部12と、寿命推定部12による演算結果に基づいて、サイリスタ511~513それぞれに対する処置の要否を判断する処置判断部13と、処置判断部13の判断結果に基づいてサイリスタ511~513それぞれに対する処置を実行する処置実行部14とを備えている。
寿命推定部12は、温度センサー11が出力する温度値データDを一定のサンプリング周期でサンプリングする温度値データサンプリング部121と、温度値データサンプリング部121から温度値データDを取得し、表形式の温度値テーブルとして保存する温度値テーブル記憶部122と、温度値データサンプリング部121から温度値データDを取得し、時系列の温度値データDを予め定められた個数毎に区切ることで区間を構成して、それぞれの区間の区間平均値および区間平均値の変化量を演算する平均処理演算部123と、サイリスタ511~513の温度が管理温度に到達する時間を演算する管理温度到達時間推定部124を備えている。平均処理演算部123が演算した区間平均値およびその変化量は、温度値テーブル記憶部122に送られ温度値テーブル内に保存される。なお「管理温度」とは、点検または交換など、対象のサイリスタに対するオフラインでの対応が必要となる温度であり。具体的な数値は対象のサイリスタの仕様または使用環境により予め設定される。なお、温度値データサンプリング部121は、継続的に測定、出力を行っている温度センサー11からリアルタイムでサンプリングを実施するため、温度センサー11の測定時刻と温度値データサンプリング部121のサンプリング時刻の差は十分に小さい。
処置判断部13は、管理温度到達時間推定部124の演算結果に基づいて、サイリスタ511~513のそれぞれに対する「処置」の内容を判断し、判断結果に応じた処置信号sを処置実行部14に出力する。処置実行部14は、処置信号sの値に応じてゲート制御信号gに処置を施して処置後ゲート制御信号xとし、処置後ゲート制御信号xをそれぞれのサイリスタ511~513に送信する。ここで「処置」とは、例えば「マスク処理」、「静観」である。「処置」が「マスク処理」である場合、対象のサイリスタがオフになるように処置信号sの値は「0」となり、ゲート制御信号gの値に関わらず処置後ゲート制御信号xの値は「0」となる。これは、対象のサイリスタは強制的に停止されることを示す。「処置」が「静観」の場合、処置信号sの値は「1」となり、処置後ゲート制御信号xはゲート制御信号gと等しくなる。この場合、対象のサイリスタはゲート制御信号gに従って運転を継続する。
なお、サイリスタ511~513の温度測定、制御および寿命推定は、それぞれのサイリスタについて独立に行われるため、図に示す温度値データD、ゲート制御信号g、処置信号s、処置後ゲート制御信号xは、サイリスタ511~513それぞれに対応する温度値データD1~D3、ゲート制御信号g1~g3、処置信号s1~s3、処置後ゲート制御信号x1~x3を含む。以降の説明においても同様である。
次に、図2で示した各機能部を実現するハードウエア構成について説明する。図3は、実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置のハードウエア構成を示す図である。電力用半導体素子の寿命推定装置10は、各種演算を実行するプロセッサ81と、プロセッサ81を動作させるプログラムおよび各種演算の結果などを記憶する記憶装置82と、温度センサー11からの温度値データDおよびAVR52からのゲート制御信号gなどの入力信号を受け付け、プロセッサ81および記憶装置82に伝達する入力回路83と、処置後ゲート制御信号xをサイリスタ部51に出力する出力回路84により構成される。
次に、温度値テーブルについて説明する。図4は、実施の形態1に係る温度値テーブルのフォーマットの例を示す図である。図4に示すように、温度値テーブルは、「データID」、「温度値」、「区間ID」、「区間平均値」、「前の区間の区間平均値との差」を含む。以下、詳細に説明する。
「データID」は、温度値データサンプリング部121によってサンプリングされた温度値データDの時系列番号を示すものであり、サンプリング時刻に対応している。「温度値」は、温度値データDが示す温度の値である。「区間ID」は、平均処理演算部123により定義された区間を識別するものであり、時系列において何番目の区間であるかを示すものである。なお、実施の形態1では1つの区間を構成する温度値データDの個数をhとしている。hの具体的数値は、温度センサー11の時定数、温度値データDを取得するサンプリング周期などから決定すればよい。また、hの決定にあたり、サイリスタ511~513の仕様など、ベンダーから提供される詳細情報を考慮してもよい。
図4では、ある温度値データDがどの区間の何番目の温度値データであるかが分かるように、温度値をD(k,j)の形式で表現している。温度値データDのデータIDがm、区間IDがk、第k区間中の時系列番号がjである場合、以下の式(1)が成り立つ。
Figure 0007094177000001
「区間平均値」は、上述したように平均処理演算部123により算出される。第k番目の区間の区間平均値avr(k)は、以下の式(2)で表される。
Figure 0007094177000002

なお、図4においては式(2)を簡略化して記載している。
また、実施の形態1では1区間中のすべての温度値から算出した単純平均を区間平均値をとしているが、それぞれの温度値が重みづけされた加重平均であってもよい。また、区間中の最大値および最小値を除いて区間平均値を算出してもよい
「前の区間の区間平均値との差」は、図に示すように1区間前の区間平均値との差から第1区間の区間平均値との差まで、基準となる区間より前の全ての区間についての区間平均値との差を含んでいる。すなわち、基準となる区間が第k区間である場合、1区間前の区間平均値との差をΔ(k)、任意の区間(i区間前)の区間平均値との差をΔ(k、i)とすれば、以下の式(3)(4)のようになる。
Figure 0007094177000003

Figure 0007094177000004

式(4)においてi=k-1の場合、式(5)で示すように第1区間の区間平均値との差となる。
Figure 0007094177000005

なお、上述したように、サイリスタ511~513の温度測定はそれぞれについて独立して行われるので、温度値テーブルもそれぞれのサイリスタについて独立して作成される。このため、温度値テーブル記憶部122は3つの温度値テーブルを記憶することとなる。
次に、動作を説明する。図5は、実施の形態1における電力用半導体素子の寿命推定装置の動作を示すフロー図である。ここではm回目のサンプリングを例に説明する。現在の区間は第k区間であるとする。
まず、温度値データDのサンプリングを行う(ステップST001)サンプリングにより取得した温度値データDの情報(データID、温度値)は、温度値テーブルに順次書きこんでいく。
次に、今回のサンプリングで取得した温度値データの温度値D(m)と前回のサンプリングで取得した温度値データの温度値D(m-1)の差(D(m)―D(m-1))を計算して温度上昇値を求め、この温度上昇値が許容温度上昇値ΔTm以下であるかを判定する(ステップST002)。温度上昇値が許容温度上昇値を上回る場合はステップST003に進む。この場合、急激な温度上昇が発生したと認められるので、温度センサー11の故障を含めた異常が検出されたと判定し、サイリスタ励磁装置50および発電機1の停止などの処理を実施する(ステップST003)。具体的には、処置判断部13から処置実行部14に対して「0」(ゲート強制停止)の処置信号sを送信し、処置実行部14にてゲート制御信号gに対するマスク処理を施して、サイリスタ励磁装置50および発電機1を停止させる。
なお、閾値である許容温度上昇値ΔTmはサイリスタ励磁装置50の設計にて予め設定される。
温度上昇値が許容温度上昇値ΔTm以下である場合、初期状態または前回の管理温度到達時間推定から1区間分サンプリングしたかを判定する(ステップST004)。1区間分のサンプリングが実施されていない場合、ステップST001に戻り、(m+1)回目のサンプリングを行う。以降、1区間分のサンプリングを実施するまでステップST001~ステップST004を繰り返す。
1区間分のサンプリングを実施した場合、区間平均値avr(k)を算出し、温度値テーブルに書き込む(ステップST005)。この際、前区間の区間平均値との差Δ(k、i)も算出して温度値テーブルに書き込んでおく。
次に、区間平均値比較処理を行う(ステップST006)。図6は、区間平均値比較処理を示すフロー図である。区間平均値比較処理では、区間平均値の変化の程度を把握するために、有意な変化量が得られるまで現在(第k区間)の区間平均値avr(k)と前区間の区間平均値を順次比較していく。まず、比較対象となる比較平均値avr(k-i)を1区間前の区間平均値avr(k-1)とする。すなわち、i=1に設定する(ステップST101)。
次に、区間平均値の変化量ΔTaを求め、変化量ΔTaが有意温度上昇値ΔTeff以上であるかを判定する(ステップST002)。区間平均値の変化量ΔTaは温度値テーブルのΔ(k、i)と等しいので、対応するΔ(k、i)を温度値テーブルから読み出せばよい。区間平均値の変化量ΔTaが有意温度上昇値ΔTeff以上である場合、現在の区間平均値と第(k-i)区間の区間平均値との間に有意な温度上昇が認められると判定し、区間平均値の変化量ΔTaを保存して区間平均値比較処理を終了する(ステップST103)。
区間平均値の変化量ΔTaが有意温度上昇値ΔTeffより小さい場合、有意な温度上昇は認められないとし、iを1増やして比較平均値をさらに1つ前の区間の区間平均値に設定する(ステップST104)。その後、ステップST102に戻り区間平均値の変化量ΔTaと有意温度上昇値ΔTeffの比較を行う。区間平均値の変化量ΔTaが有意温度上昇値ΔTeff以上となるまでステップST102とステップST104を繰り返す。なお、有意温度上昇値ΔTeffの値は、対象のサイリスタの温度特性および管理温度の値などに基づいて予め定められる。また、実施の形態1では区間平均値の変化量ΔTaと有意温度上昇値ΔTeffを比較しているが、区間平均値の変化量ΔTaを区間平均値avr(k)で除した変化率を求め、この変化率に基づいて有意な温度上昇が認められるか否かを判定してもよい。
区間平均値比較処理の完了後、現在の区間平均値avr(k)と区間平均値の変化量ΔTaを用いて管理温度到達時間teの推定を行う(ステップST007)。なお、ここではΔTa=Δ(k、1)であると仮定する。実施の形態1では、図7に示すように温度TをT=aX+bの一次関数で近似することで推定直線L1を求め、温度Tが管理温度Tcに到達する(T=Tcとなる)区間IDである管理温度到達区間keを以下の式(6)により算出する。なお、ここでXは、区間IDの値を連続化したものである。
Figure 0007094177000006

ここで、式(6)におけるa、bは以下の式(7)のとおりである。
Figure 0007094177000007

a、bを算出することで図7に示す推定直線L1を求めることができる。
なお、ΔTa=Δ(k、i)と一般化した場合のa、bは以下の式(8)のとおりである。
Figure 0007094177000008

なお、式(6)により得られる管理温度到達区間keは、以下の式(9)により管理温度到達時間teに変換可能である。
Figure 0007094177000009

ここで式(9)におけるTsは温度値データサンプリング部121のサンプリング周期である。hは、上述したとおり1つの区間を構成する温度値データDの個数である。
次に、管理温度到達時間teの推定結果が変化したか否かを判定する(ステップST008)。管理温度到達時間teに変化が無ければ処理を終了する。変化がある場合は、変化に応じた処置変更を行う(ステップST009)。なお式(9)から分かるように、管理温度到達時間teは管理温度到達区間keの値より一意に決まるので、管理温度到達時間teが変化したか否かは、管理温度到達区間keが変化したか否かをみればよい。以下、区間ID(k+1)における区間平均値avr(k+1)について場合分けをして説明する。
(1)avr(k+1)=avr(k+1)_1の場合
図7に示すように、点(k+1、avr(k+1)_1)は推定直線L1上に位置する。このため、avr(k+1)=avr(k+1)_1の場合は区間ID(k+1)における推定直線は推定直線L1と一致し、管理温度到達区間ke1は管理温度到達区間keと等しくなる。このため、管理温度到達時間の推定値に変化はなく処置変更は行われない。
(2)avr(k+1)=avr(k+1)_2の場合
図7に示すように、点(k+1、avr(k+1)_2)は推定直線L1よりも上側に位置する。このため、avr(k+1)=avr(k+1)_2の場合は区間ID(k+1)における推定直線L2は推定直線L1よりも傾きが大きくなり、管理温度到達区間ke2は管理温度到達区間keよりも小さくなる。これは対象のサイリスタの推定寿命が短くなったことを示すので、例えば定期メンテナンスの実施時期および対象のサイリスタの交換時期を早めるなどの処置変更が実施される。
(3)avr(k+1)=avr(k+1)_3の場合
図7に示すように、点(k+1、avr(k+1)_3)は推定直線L1よりも下側に位置する。このため、avr(k+1)=avr(k+1)_3の場合は区間ID(k+1)における推定直線L3は推定直線L1よりも傾きが小さくなり、管理温度到達区間ke3は管理温度到達区間keよりも大きくなる。これは対象のサイリスタの推定寿命が長くなったことを示すので、例えば定期メンテナンスの実施時期および対象のサイリスタの交換時期を遅くするなどの処置変更が実施される。
時刻が管理温度到達時間teに達したときは、対象のサイリスタの温度に応じて処置を施す。温度が管理温度Tc未満である場合、対象のサイリスタおよび装置全体の運転を継続させる。温度が管理温度Tc以上である場合、対象のサイリスタを停止させるとともに、装置の構成に応じてサイリスタ励磁装置50全体または発電機91を含むシステム全体を停止させる。システムが冗長化されている場合は待機系を起動させて運転を継続する。
電力用半導体素子の寿命推定装置10は、以上説明した動作を運転中のサイリスタ励磁装置50のサイリスタ511~513に対して反復継続的に実行する。すなわち、温度センサー11から1区間分の温度値データDが取得される度に平均処理演算部123は区間平均値およびその変化量を逐次演算する。管理温度到達時間推定部124は、新たに演算された区間平均値およびその変化量を用いて管理温度到達時間の推定を逐次行い、管理温度到達時間の推定値を更新していく。
実施の形態1によれば、故障モデルに関わらず電力用半導体素子の寿命を推定することができる。より具体的には、温度センサーによって計測されたサイリスタの温度の時系列データから、予め定められた長さを持つ区間における区間平均値および区間平均値の変化量を逐次算出する平均処理演算部と、区間平均値およびその変化量から管理温度到達時間を推定する管理温度到達時間推定部を備えた。半導体素子の劣化による故障および異常は温度上昇を伴うため、逐次算出される区間平均値およびその変化量という温度情報を用いて管理温度到達時間を推定すれば、詳細な故障モデル明らかでなくも管理温度到達時間を推定でき、監視可能な故障モデルは限定されない。また、推定を逐次行うことで一定の精度を確保した推定を行うとともに、推定結果の変化に応じて適切な処置変更を行うことが可能となる。このため、メンテナンスの実施時期および半導体素子の交換時期の最適化を図ることで監視コストの増加を抑制するとともに、装置全体の稼働率向上を図ることができる。
また、温度センサーによって測定されたサイリスタの温度値に応じて、対象のサイリスタを制御するゲート制御信号に対してマスク処理を実行する処置実行部を備えたため、サイリスタの温度に応じた処理をリアルタイムで行うことができ、偶発的に発生する異常および故障を迅速に摘発し、トラブルを未然に防ぐことができる。
また、温度センサーによる前回の測定値と今回の測定値との差が許容温度上昇値異常であった場合、ゲート制御信号に対してマスク処理を施し、強制的に停止させるため、突発的な異常事態にも対応することができる。
また、管理温度到達時間の推定に用いる区間平均値の変化量は有意温度上昇値以上であるため、一時的な温度の揺らぎまたは有意でない微小変化に基づいて推定が行われることを防ぎ、より精度の高い推定を行うことができる。
なお、実施の形態1では図4に示した温度値テーブルを作成した後、区間平均値比較処理において温度値テーブルに書き込まれたΔ(k、i)を用いて区間平均値の比較を行っているが、区間平均値比較処理において必要に応じて現在の区間平均値と比較平均値の差を算出してもよい。この場合、現在の区間平均値と比較平均値の差が有意温度上昇値ΔTeff以上となった後はΔ(k、i)の算出および保存は行わなくてもよい。例えばΔ(k、1)が有意温度上昇値ΔTeff以上であればΔ(k、2)、Δ(k、3)などの算出は省略可能である。また、前の区間の区間平均値との差であるΔ(k、i)を温度値テーブルから省略することができるので、温度値テーブルのデータサイズを小さくすることができる。
また、上記ではサイリスタを例に説明したが、実施の形態1の技術は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他の電力用半導体素子にも適用可能である。
本願は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
10 電力用半導体素子の寿命推定装置、11 温度センサー、12 寿命推定部、122 温度値テーブル記憶部、123 平均処理演算部、124 管理温度到達時間推定部、13 処置判断部、14 処置実行部、50 サイリスタ励磁装置、51 サイリスタ部、511、512、513 サイリスタ、D 温度値データ、g ゲート制御信号、s 処置信号、x 処置後ゲート制御信号、L1、L2、L3 推定直線

Claims (4)

  1. 運転中の電力用半導体素子の温度を継続的に計測する温度計測手段と、
    前記温度計測手段によって計測された前記電力用半導体素子の温度の時系列データから、それぞれ予め定められた長さを持つ複数の区間のそれぞれの区間平均値と、前記区間平均値の変化量を逐次算出する平均処理演算部と、
    前記区間平均値および前記区間平均値の変化量を用いて、前記電力用半導体素子の温度が予め定められた管理温度に到達する時刻である管理温度到達時間を推定する管理温度到達時間推定部とを備え、
    前記管理温度到達時間推定部は、前記区間平均値の変化量を逐次算出する際の現在の区間における前記区間平均値の変化量を算出するとき、前記現在の区間を基準の区間とし、前記基準の区間よりも前の区間の1つを比較対象の区間として、前記基準の区間の区間平均値と前記比較対象の区間の区間平均値との差が予め定められた値以上である場合に、前記差を前記現在の区間における区間平均値の変化量とし、
    前記差が前記予め定められた値よりも小さい場合、前記比較対象の区間をさらに前の区間とすることにより比較対象の区間の更新を行って、前記差の取得と、前記差と前記予め定められた値との比較を再度行うものであって、
    前記管理温度到達時間推定部は、前記差が前記予め定められた値以上になるまで、前記比較対象の区間の更新を繰り返すことを特徴とする電力用半導体素子の寿命推定装置。
  2. 前記温度計測手段によって測定された前記電力用半導体素子の温度値に応じて、前記電力用半導体素子を制御するゲート制御信号をオフにするマスク処理を施す処置実行部をさらに備えた請求項1に記載の電力用半導体素子の寿命推定装置。
  3. 前記処置実行部は、前記温度計測手段による前回の測定値と今回の測定値との差が予め定められた閾値以上であった場合に、前記マスク処理を施す請求項に記載の電力用半導体素子の寿命推定装置。
  4. 互いに異なる2つの区間の前記区間平均値の差を、前記2つの区間のIDの組み合わせに対応させて記憶する記憶部をさらに備え、
    前記管理温度到達時間推定部は、前記基準の区間のIDと前記比較対象の区間のIDの組み合わせに対応する前記区間平均値の差を前記記憶部から読み出すことにより、前記基準の区間の区間平均値と前記比較対象の区間の区間平均値との差を取得する請求項1からのいずれか1項に記載の電力用半導体素子の寿命推定装置。
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