JP7093625B2 - スクリーン版 - Google Patents

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Description

本発明は、遮蔽膜とスクリーン紗との密着性が向上したスクリーン版に関する。
従来から、プリント回路、IC回路、各種ディスプレイ装置などの電子部品基板や、太陽電池などの電極の製造には、スクリーン印刷が使用されている。電子部品基板や電極は、近年ますます小型化されており、これらを印刷して製造するスクリーン印刷には、精細な印刷パターンを寸法精度良く印刷することが求められている。
一般に、スクリーン印刷に用いられる版は、版枠と、所定の張力が加えられた状態で版枠に張られたスクリーン紗とを有し、スクリーン紗の片面又は両面に、遮蔽膜を形成するとともに、所定の印刷パターンに対応する位置に開口を形成してスクリーン印刷に用いられる。開口と遮蔽膜の形成は、スクリーン紗の片面又は両面に、感光性樹脂溶液(エマルジョン)を塗布して乾燥又は感光性樹脂フィルムを接着して樹脂膜を形成し、この樹脂膜の一部の領域を所定の印刷パターンに対応する形状のマスクで覆い、一部の領域がマスクで覆われた樹脂膜に対して可視光線および/又は紫外線を照射し、樹脂膜の可溶領域を水、薬品等によって除去して遮蔽膜と開口を形成することにより行われる。樹脂膜の可溶領域は、可視光線や紫外線が照射されることで生じる樹脂膜(感光性樹脂)の反応によって異なり、樹脂膜の反応が光架橋反応である場合には、可視光線や紫外線の照射を受けていない樹脂膜の領域(マスクで覆われた領域)が可溶領域となり、樹脂膜の反応が光分解反応である場合には、可視光線や紫外線の照射を受けている樹脂膜の領域(マスクで覆われていない領域)が可溶領域となる。
ここで、遮蔽膜とスクリーン紗との密着性が弱い場合、繰り返し印刷が行われることによって遮蔽膜がスクリーン紗から剥離することがある。このため、遮蔽膜とスクリーン紗との密着性が弱いスクリーン版は、精密な印刷パターンを繰り返し印刷することが不可能となることがある。
このような問題を解決するために、特許文献1では、ステンレス製のスクリーン紗にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜することで、感光性樹脂からなる遮蔽膜とスクリーン紗との密着性を高める技術が提案されている。
特開2011-218673号公報
しかしながら、DLC膜は150~250度といった高温雰囲気下で成膜されるので、スクリーン紗が繊維で構成される場合、DLC膜の成膜の段階でスクリーン紗を構成する繊維が熱収縮したり、スクリーン紗の強度が低下したりするなどの問題がある。特に、スクリーン紗を構成する繊維として合成繊維を用いた場合、繊維の熱収縮やスクリーン紗の強度低下が顕著となるため、特許文献1に開示される技術は、合成繊維から構成されるスクリーン紗に適用しにくいという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、合成繊維を用いてなるスクリーン紗と遮蔽膜との密着性が向上したスクリーン版を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 版枠と、
前記版枠に張られる、合成繊維を用いてなるスクリーン紗と、
前記スクリーン紗に形成される、所定の印刷パターンに対応する形状の開口を設けるための遮蔽膜と、を有し、
前記スクリーン紗の表面は、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの比率が15%以上、70%以下であり、
前記遮蔽膜の表面は、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの比率が10%以上、50%以下であることを特徴とするスクリーン版。
[2] 前記合成繊維が少なくとも液晶ポリマーを含むことを特徴とする[1]に記載のスクリーン版。
[3] 前記合成繊維がモノフィラメントであることを特徴とする[1]または[2]に記載のスクリーン版。
[4]前記遮蔽膜は、感光性樹脂を用いて形成された膜であることを特徴とする[1]から[3]のいずれか一つに記載のスクリーン版。
[5]前記スクリーン紗の表面は、前記遮蔽膜の表面よりも、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの前記比率が高いこと特徴とする[1]から[4]のいずれか一つに記載のスクリーン版。
本発明によれば、合成繊維を用いてなるスクリーン紗と遮蔽膜との密着性が向上したスクリーン版を提供することができる。
スクリーン紗を示す概略図である。 スクリーン紗の部分断面図である。 スクリーン版を製造する際の各処理の手順を示すフローチャートである。 スクリーン版を製造する際の処理(スクリーン紗張設処理)を説明する図である。 スクリーン版を製造する際の処理(樹脂膜形成処理)を説明する図である。 スクリーン版を製造する際の処理(マスク貼り付け処理)を説明する図である。 スクリーン版を製造する際の処理(紫外線照射処理)を説明する図である。 スクリーン版を製造する際の処理(現像処理)を説明する図である。 スクリーン版を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、図1,図2及び図4~図9において、Z軸およびY軸は互いに直交する軸であり、Z軸およびY軸のそれぞれと直交する軸をX軸とする。本実施形態において、Z軸方向をスクリーン紗1の厚さ方向とする。
本実施形態のスクリーン版100は、図9に示すように、版枠2と、版枠2に張られたスクリーン紗1と、スクリーン紗1に形成される遮蔽膜20を有する。まず、スクリーン紗1について具体的に説明する。
スクリーン紗1は、スクリーン印刷に用いられるスクリーン版100を構成する部材の一つであり、インクを保持し、保持したインクを被印刷物に転移するための織物である。スクリーン紗1は、図1に示すように、合成繊維により構成される複数の経糸1aと複数の緯糸1bからなる。
経糸1a及び緯糸1bを構成する合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステル、ナイロン、ポリフェニルサルフォン(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成される合成繊維や、これらを2種類以上組み合わせた合成繊維を用いることができ、これらの中でもナイロンやポリエステルから形成される合成繊維を用いることが好ましい。また、液晶ポリエステルなどの液晶ポリマーから形成される合成繊維は、伸縮性を有し、寸法安定性に優れる。このため、経糸1a及び緯糸1bとして液晶ポリマーを含む合成繊維を用いた場合、繰り返しスクリーン印刷を行ったとしても、経糸1a及び緯糸1bが変形しにくい。従って、液晶ポリマーを含む合成繊維は、繰り返し行われる精密な印刷パターンの形成に適しているため、特に好ましい。経糸1aや緯糸1bが、2種類以上の素材から構成される場合、断面の芯部分の素材と鞘部分の素材が異なる芯鞘型繊維や、溶融した2種以上の素材を混合して得られるブレンド型の繊維や、芯部分や鞘部分の素材として、2種以上の素材を溶融・混合して得られる素材が用いられる芯鞘型繊維や、繊維の長手方向に延びる複数の島部分と島部分を取り囲む海部分の素材が異なる海島型繊維等であってもよい。さらに、鞘部分や芯部分において、島部分と海部分が形成される芯鞘型複合繊維であってもよい。なお、印刷パターンとは、被印刷物に転移される印刷塗膜により形成される模様(図形や文字、線などを含む)であり、液晶ポリマーとは、溶融状態あるいは溶液状態で液晶性を示すポリマーである。
スクリーン紗1を構成する経糸1aと緯糸1bは、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも良い。経糸1aにマルチフィラメント、緯糸1bにモノフィラメントまたはその逆の組み合わせであっても良い。印刷精度(例えば、印刷物の鮮明性や解像性)や印刷塗膜の耐久性を向上させる観点からは、経糸1a、緯糸1bともにモノフィラメントであることが好ましい。モノフィラメントは、単一の素材から構成されていても良く、特性の異なる2種以上の素材から構成されていても良い。また、スクリーン紗1の表面の極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーγsに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーγspの比率(以下、「極性比率」ともいう)を15%以上70%以下の範囲外とするものでなければ、経糸1aや緯糸1bの表面を有機物質や無機物質でコーティングし、改質していても良い。
複数の経糸1aと複数の緯糸1bは、図1に示すように、Z軸方向において交互に浮き沈みして織られており、平織の織組成を構成している。スクリーン紗1において、織組織は、特に限定されず、綾織、朱子織などを用いることができる。しかしながら、スクリーン紗1のZ軸方向における厚さを薄くかつ目拠れを起こしにくくする観点から、スクリーン紗1の織組織は、平織であることが好ましい。
複数の経糸1aは、X―Y平面において、所定の間隔w1をあけて平行に並べられている。複数の緯糸1bは、X―Y平面において、経糸1aに対して垂直に並べられるとともに、所定の間隔w2をあけて平行に並べられている。隣り合う2つの経糸1aと隣り合う2つの緯糸1bに囲まれる空間には、開口部1cが形成されている。スクリーン紗1において、間隔w1と間隔w2は、同一である。しかしながら、間隔w1と間隔w2は、異なっていてもよい。
図2は、図1に示すスクリーン紗1のA-A断面図である。図2に示すように、経糸1aは、直径d1を有し、緯糸1bは、直径d2を有する。スクリーン紗1において、経糸1aの直径d1は、緯糸1bの直径d2と同一である。なお、経糸1aの直径d1と緯糸1bの直径d2は、異なっていても良い。また、スクリーン紗1では、経糸1a及び緯糸1bの断面形状(長手方向と直行する断面の形状)が正円であるが、経糸1a及び緯糸1bの断面形状は、楕円であってもよい。
経糸1aの直径d1及び緯糸1bの直径d2は、印刷塗膜の厚みなどを考慮して適宜選択することができるが、高密度に配列するパターン線の印刷を容易にするためには、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがさらに好ましく、35μm以下、またさらに33μm以下であることが特に好ましい。経糸1aの直径d1及び緯糸1bの直径d2を35μm以下、特に33μm以下にすると、150μm幅、特に60μm幅で配列する印刷パターンを確実に印刷しやすくなる。
スクリーン紗1は、経糸1aと緯糸1bがZ軸方向において重なる交差部と、経糸1aと緯糸1bがZ軸方向において重ならない非交差部とを有する。スクリーン紗1の厚さtは、経糸1aと緯糸1bが重なる交差部における厚さであり、経糸1aの直径d1と緯糸1bの直径d2の合計である。
スクリーン紗1の織密度は、スクリーン紗1の1インチ当たりにおける糸(経糸1a,緯糸1b)の本数(以下、「メッシュ数」ともいう)によって定義される。本実施形態のスクリーン紗1において、経糸1aのメッシュ数と緯糸1bのメッシュ数は、同一でも異なっていても良い。スクリーン紗1における経糸1aと緯糸1bの強度のばらつきを抑制する観点より、経糸1aのメッシュ数と緯糸1bのメッシュ数は、同じであることが好ましい。
スクリーン紗1を構成する経糸1aや緯糸1bの直径が同じであれば、メッシュ数を高くするとスクリーン紗1の強度は高くなるが、後述する開口率は低くなり、インクが開口部1cを通過しにくくなる。インクが開口部1cを通過しにくくなると、被印刷物に転移されるインクの量が減少しやすくなり、インクが被印刷物上で均一に広がりにくくなる。従って、均一な膜厚の印刷塗膜が得られにくくなる。一方、メッシュ数を低くすると、開口率は高くなるが、スクリーン紗1の強度は低くなりやすい。このため、スクリーン紗1のメッシュ数には、好ましい範囲がある。メッシュ数の好ましい範囲は、糸(経糸1a,緯糸1b)の材料,強度,直径などに依存するため、一義的に定めることはできないが、スクリーン紗1を版枠に張る工程やスクリーン紗1を用いて印刷する工程における糸切れを抑制できる十分な強度とする観点から、経糸1aと緯糸1bのメッシュ数それぞれは、200メッシュ以上、特に250メッシュ以上、さらに300メッシュ以上とすることが好ましい。また、印刷塗膜の膜厚を均一にしやすくする観点から、経糸1aと緯糸1bのメッシュ数それぞれは、350メッシュ以下、特に330メッシュ以下とすることが好ましい。
なお、開口率(%)とは、X-Y平面におけるスクリーン紗1の所定面積当たりの開口部1cの面積の割合であり、下記(1)式を用いて算出することができる。下記(1)式において、w1は、隣り合う2つの経糸1aの間隔を示し、w2は、隣り合う2つの緯糸1bの間隔を示し、d1は、経糸1aの直径を示し、d2は、緯糸1bの直径を示す。
開口率(%)=(w1×w2)/{(w1+d1)×(w2+d2)}×100 ----(1)
スクリーン紗1の表面は、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーγsに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーγspの比率(以下、「極性比率」ともいう)が15%以上、70%以下である。極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーγs(以下、「γs」ともいう。)は、下記(2)式で定義され、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーγsに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーγsp(以下、「γsp」ともいう。)の比率(極性比率)は下記(3)式で求めることができる。尚、γsdは非極性成分に由来する表面自由エネルギー(以下、「γsd」ともいう)である。
γs =γsd +γsp ---------------- (2)
極性比率(%)=γsp/γs × 100 ------ (3)
スクリーン紗1の表面のγspとγsdは、下記(4)式を用いて算出することができる。具体的には、スクリーン紗1の表面において、2種類の測定用液体の接触角(θ)をそれぞれ測定する。そして、測定された2つの接触角(θ)を下記(4)式に当てはめ、接触角(θ)を当てはめた2つの下記(4)式を連立方程式として解くことにより、スクリーン紗1表面のγspとγsdを算出することができる。
なお、測定用液体は、下記(4)式中のγL(測定用液体の表面張力)、γLd(測定用液体の非極性成分に由来する表面自由エネルギー)及びγLp(測定用液体の極性成分に由来する表面自由エネルギー)が既知である液体を用いることができ、例えば、水やジヨードメタンを用いることができる。また、スクリーン紗1表面の接触角(θ)は、スクリーン紗1表面の測定用液体1μLを、接触角計(協和界面科学(株)製、固液界面解析装置DropMaster)を用いて測定することにより求めることができる。
(1+cosθ)・γL/4=(γsd・γLd)/(γsd+γLd)+(γsp・γLp)/(γsp+γLp)---------------- (4)
θ:試料表面の測定用液体の接触角
γL:測定用液体の表面張力
γLd:測定用液体の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γLp:測定用液体の極性成分に由来する表面自由エネルギー
γsd:試料表面の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γsp:試料表面の極性成分に由来する表面自由エネルギー
スクリーン紗1表面の表面自由エネルギーγsは、上記(4)式で算出されたγsdとγspを上記(2)式に当てはめることにより算出することができる。また、スクリーン紗1表面の極性比率は、上記(4)式で得られたγspと上記(2)式で得られたγsを上記(3)式に当てはめることにより算出することができる。なお、本明細書において、スクリーン紗1の表面とは、交差部や非交差部における経糸1aや緯糸1bの表面を指す。
スクリーン紗1表面の表面自由エネルギーγsが同程度であっても、極性比率が高まると、表面の極性比率が所定の範囲内にある遮蔽膜20とスクリーン紗1との密着性が向上しやすくなる。この理由は現在のところ必ずしも明確ではないが、スクリーン紗1の極性比率が高まることにより、表面の極性比率が所定の範囲内にある遮蔽膜20との接触効率が高まるため、遮蔽膜20とスクリーン紗1との密着性が向上すると考えられる。
スクリーン紗1表面の極性比率は、経糸1a及び緯糸1bを構成する合成繊維に含有され得る後述の極性基を有する化合物の含有量によって調節することができる。遮蔽膜20との密着性を向上するためには、スクリーン紗1表面の極性比率は、15%以上、70%以下であることが必要である。スクリーン紗1表面の極性比率は、より好ましくは20%以上、70%以下であり、さらに好ましくは25%以上、70%以下である。一方、表面の極性比率が15%未満であるスクリーン紗1は、遮蔽膜20との密着性を向上することができない。遮蔽膜20との密着性をさらに向上できる観点から、スクリーン紗1表面の極性比率の下限値は、20%であることがより好ましく、25%であることがさらに好ましい。また、表面の極性比率が70%を超えているスクリーン紗1は、表面の極性比率が15%以上、70%以下である本実施形態のスクリーン紗1と比較して、遮蔽膜20との密着性がさらに向上しない。そのため、スクリーン紗1の強度の低下なども考慮すると、スクリーン紗1表面の極性比率は、70%以下であることが好ましい。
経糸1a及び緯糸1bを構成する合成繊維には、極性基を有する化合物(不図示)を含有することができる。経糸1a及び緯糸1bを構成する合成繊維に含有され得る極性基を有する化合物の状態・形状は、特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、極性基を有する化合物を合成繊維(経糸1aや緯糸1b)の原料に含有させる際には、固体であることが好ましい。極性基を有する化合物を合成繊維(経糸1aや緯糸1b)の原料に含有させる際に、極性基を有する化合物が液体であると、発泡などが起こることがある。なお、極性基を有する化合物は、合成繊維中に存在してもよく、合成繊維の表面に存在してもよい。
極性基を有する化合物の含有量は、特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、合成繊維全体(100質量%)に対し、0.01質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。極性基を有する化合物の含有量を0.01質量%以上とすることで、上記範囲外にある場合と比較して、スクリーン紗1表面の極性比率を高めやすくなる。また、極性基を有する化合物の含有量が50質量%を超える量になると、上記範囲内にある場合と比較して、経糸1aや緯糸1bの強度が低下しやすくなる。
本明細書において、極性基とは、極性を持った官能基のことをいう。極性基を有する化合物としては、特に限定されないが、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アミノ基、(メタ)アクロイル基、エポキシ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物変性基およびシアノ基からなる群から選択される1種または2種以上の極性基を有する化合物やポリビニルピロリドン(PVP)や第4級アンモニウム塩含有ポリマーを挙げることができる。経糸1aや緯糸1bには、例えば、これらの化合物のうち1種または2種以上の化合物が含有されるようにしてもよい。
イソシアネート基を有する化合物としては、2-イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1-ビス(アクリロイルメチル)エチルイソシアネート、メタクリル酸2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、メチレンビス-4-シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソフォロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンイソシアネートのビューレット体などのポリイソシアネート、および上記イソシアネートのブロック体、芳香族ジイソシアネート類、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、市販のトルエン2,4-および2,6-ジイソシアネートの混合物(TDI)、n-フェニレンジイソシアネート、3,3'-ジフェニル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジクロロ-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、クメン2,4-ジイソシアネート、1,5-ナフタリンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロロ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-エトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジメチレン-1,3-フェニレンジイソシアネート、5,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアナートジフェニルエーテル、脂肪族ジイソシアネート類、例えば、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレン1,2-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、ならびに脂環式ジイソシアネート類、例えば、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシレン1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,4-ジイソシアネートおよびビス(4,4'-イソシアナートシクロヘキシル)メタンなどを挙げることができる。ポリイソシアネートは、イソシアネート基の反応性が互いに異なることが好ましく、上述したポリイソシアネートのうち、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、シス-およびトランス-イソフォロンジイソシアネートであることが好ましい。
ヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール(PEG)およびプロピレングリコール(PG)、トリエタノールアミン、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジグリセリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等を挙げることができる。
アミノ基を有する化合物としては、アミノプロビルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2,4-又は2,6-トリレンジアミン、キシリレンジアミン及び4,4′-ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチルヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン及び1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4′-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン、(メタ)アクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、(メタ)アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、p-アミノスチレン、アルキル(炭素数1~12)アミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等)及びポリ(n=2~6)アルキレン(炭素数2~6)ポリ(n=3~7)アミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等)等、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の3級アミノ基を有さない第一アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等の3級アミノ基を有さない第二アミン類、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン等の1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアミン類、2-アミノピリジン、3-アミノピリジン、4-アミノピリジン、2、3-ジアミノピリジン、2,6-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノピリジン、ピリジン-2,3,6-トリアミン、2-(メチルアミノ)ピリジン、4-(メチルアミノ)ピリジン、2-メトキシ-6-メチルアミノピリジン等の1級アミノ基、又は2級アミノ基を有するアミノピリジン類、2-アミノ-3-ピコリン、2-アミノ-4-ピコリン、3-アミノ-4-ピコリン、5-アミノ-2-ピコリン、6-アミノ-2-ピコリン、6-アミノ-3-ピコリン等のアミノピコリン類、フェニルグアニジン、アセチルグアニジン、ヒドラジド等のヒドラジド類等、トリメチルアミン、トリエチルアミン、べンジルジメチルアミン、N,N-ジメチル-エチルアミン、N,N-ジメチル-ブチルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチル-m-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、2,6,10-トリメチル-2,6,10-トリアザウンデカン、N,N’-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン、1、8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7、ヘキサメチレンテトラミン等の3級アミン類、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ビニルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N-アセチルイミダゾール等のイミダゾール類、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族3級アミン類、2-ジメチルアミノピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2-(N-メチル-2-ピリジルアミノ)エタノール等の3級アミノ基を有するアミノピリジン類等、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ビス-(sec-ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、スルファニル酸、システイン酸等が挙げられる。
(メタ)アクロイル基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタアクリレート、トリプロピレングリコールメチルアクリレート、トリプロピレングリコールメチルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、トリメチロールプロパンモノホルマルアクリレート、グリセロールモノホルマルアクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルカルボン酸ビニルエステル、グリシジルアリルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル類、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル類、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのトリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどのテトラグリシジルエーテル類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
チオール基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル[ヒドロキシエチルアクリレートのエチレンスフィド1モル付加物、トリエチレングリコールジメルカプタンとアクリル酸とのエステル化物及びアクリル酸へのエチレンスルフィド2モル付加物等]等、1,1,3,3-テトラデカンチオール、1,1,3,3-テトラメチルブタン-1-チオール、1,10-デカンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,9-ノナンジチオール、1-オクタンチオール、1-デカンチオール、1-ドデカンチオール、1-ブタンチオール、1-ブタンチオール銅(II)塩、1-プロパンチオール、1-ヘキサデカンチオール、1-ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-ペンタンチオール、2-ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩、2-ブタンチオール、2-プロパンチオール、2-プロペン-1-チオール、2-メチル-1-プロパンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、2-メチル-2-プロペン-1-チオール、n-ノナンチオール、t-テトラデカンチオール、t-ドデカンチオール、t-ノナンチオール、t-ヘキサデカンチオール、エタンチオール、グルタチオン、還元型グルタチオン、システアミン塩酸塩、システアミン硫酸塩、システイン(L-システイン、D-システインとこれらの混合物)、システイン誘導体(例えば、N-アセチル-L-システイン)、システイン酸、システイン酸エチルエステル塩酸塩、ジチオエリトリトール、チオアセチル酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(例えば、チオグリコール酸ナトリウム)、チオリンゴ酸、フェノチオール、メチルメルカプタン、メルカプトアセチル酸、メルカプトエタノールなどの脂肪族化合物、1,2-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼン-ジメタンチオール、2,5-ジクロロベンゼンチオール、2-アミノチオフェノール、2-ナフタレンチオール、2-ブロモチオフェノール、2-メトキシベンゼンチオール、3,4-ジクロロベンゼンチオール、3-フェニル-1-プロパンチオール、3-メトキシベンゼンチオール、4-メトキシ-α-トルエンチオール、4-メトキシベンゼンチオール、o-メルカプト安息香酸、p-クロロフェニルメタンチオール、p-シクロヘキシルメタンチオール、p-メトキシベンジル-S-(4,6-ジメチルピリジン-2-ニル)チオールカーバネート、シクロヘキシルメタンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、トリフェニルメタンチオール、トルエン-α-チオールなどの脂環式化合物または芳香族化合物、および1-メチル-1,2,3,4-テトラゾール-5-チオール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チジアゾール、2-アミノ-5-メルカプトピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、2-フランメタンチオール、2-メチル-1,3,4-チアゾール-5-チオール、2-メルカプトチアゾリン、2-メルカプトピリジン、2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトベンゾキシアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、3-メルカプトベンズイミダゾール、6-メルカプトブリンモノ水和物、テトラチアフルバレンなどの複素環式化合物などを挙げることができる。
カルボキシル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸、クロトン酸、イタコン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、1,3-アセトンジカルボン酸、1,3-アダマンタン二酢酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、フェニルマロン酸、テトラブロモテレフタル酸、アゼライン酸、ベンジルマロン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、テトラフルオロイソフタル酸、2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸、2-ブロモテレフタル酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、5-tert-ブチルイソフタル酸、ブチルマロン酸、クロロコハク酸、4,4’-スルホニル二安息香酸、テトラフルオロテレフタル酸、3-チオフェンマロン酸、1,1-シクロヘキサン二酢酸、trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、1,2,3-トリアゾール-4,5-ジカルボン酸、ビス(カルボキシメチル)トリチオカルボネート、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラ酢酸、cis,cis-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸、trans-1,2-シクロペンタンジカルボン酸、ジブロモマレイン酸、メサコン酸、meso-2,3-ジブロモコハク酸、4,5-ジクロロフタル酸、ジエチルマロン酸、2-メトキシイソフタル酸、2-メトキシイソフタル酸、6-メチルピリジン-2,3-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-オキシビス(安息香酸)、ジフェン酸、ドコサン二酸、ペルフルオログルタル酸、エチルマロン酸、3-フルオロフタル酸、3-フルオロフタル酸、5-ノルボルネンカルボン酸、trans-グルタコン酸、ヘキサデカン二酸、5-(オクタデシルオキシ)イソフタル酸、3-フェニルグルタル酸、2,2’-イミノ二安息香酸、ウンデカン二酸、1,4-フェニレンジプロピオン酸などを挙げることができる。
スルホン酸基を有する化合物としては、パラフィン(例えば炭素数8~22)スルホン酸、アルキル(例えば炭素数8~12)ベンゼンスルホン酸、アルキル(例えば炭素数8~12)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、α-オレフィン(例えば炭素数8~16)スルホン酸、ジアルキル(例えば炭素数8~12)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素数8~12)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素数8~18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸、(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素数1~6)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素数1~6)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(例えば炭素数8~12)ジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、スルファニル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチロールスルホン酸、アクリル酸-3-スルホン酸プロピルエステル、システイン酸等を挙げることができる。
酸無水物変性基を有する化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
シアノ基を有する化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩含有ポリマーとしては、大成ファインケミカル株式会社製、アクリット(登録商標)8WXシリーズ、1WXシリーズなど挙げることができる。
スクリーン紗1表面の極性比率は、合成繊維(経糸1a及び緯糸1b)に極性基を有する化合物を含有させる以外に、スクリーン紗1に対して、α線や、β線や、γ線や、電子線を所定の条件で照射する方法(放射線照射法)や、紫外線を所定の条件で照射する方法(紫外線(UV)法)や、コロナを所定の条件で照射する方法(コロナ放電法)や、グロー放電により発生するプラズマを所定の条件で照射する方法(プラズマ法)により、上述した所定の範囲内(15%以上70%以下)にすることができる。なお、これらの方法は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
スクリーン紗1の製造方法は、特に限定されない。例えば、表面の極性比率が15%以上70%以下の範囲内にある合成繊維を、経糸1a及び緯糸1bとして所定の織組成に製織する方法や、表面の極性比率が15%以上70%以下の範囲外にある合成繊維を、経糸1a及び緯糸1bとして所定の織組成に製織し、得られた織物に対し、極性基を有する化合物を付与(例えば、付着)したり、α線や、β線や、γ線や、電子線や、紫外線や、コロナや、プラズマを所定の条件で照射したりして、スクリーン紗1表面の極性比率を15%以上70%以下とする方法などにより製造することができる。
次に、スクリーン紗1を用いて、スクリーン版100を製造する方法について、図3~図8を用いて説明する。図3は、スクリーン版100を製造する際の各処理の手順を示すフローチャートであり、図4~図8は、スクリーン版100を製造する際の各処理を説明する図である。
ステップS100の処理では、図4に示すように、所定の張力が加えられた状態でスクリーン紗1を版枠2に張る。版枠2は、矩形状のフレームであり、例えば、金属、鋳物、樹脂、木材により構成することができる。
版枠2にスクリーン紗1を張るには、紗張機を使用することができる。具体的には、スクリーン紗1の4辺方向における部位を、それぞれ紗張機のクランプにて挟持し、このクランプを機械式や空気の圧力を利用して引っ張り、所定の張力、所定のバイアス角度に調節し、所定の張力が加わった状態でスクリーン紗1を版枠2に固定する。その後、版枠2の外周に沿ってスクリーン紗1を切断する。スクリーン紗1に加える所定の張力としては、例えば、21N/cm~36N/cmの範囲とすることができる。なお、バイアス角度とは、経糸1a又は緯糸1bと版枠2とがなす角度のうち、鋭角側の角度をいう。
スクリーン紗1を版枠2に固定する手段としては、接着剤を用いることができる。接着剤としては、ゴム系、エポキシ系、ウレタン系、シアノアクリレート系の接着剤を挙げることができるが、本実施形態では特に制限は無く、スクリーン紗1の材料と版枠2の材料、使用するインク12に含有される溶剤などを考慮して選定すればよい。なお、インク12としては、着色や発色を目的とした塗料に限られず、電極や誘電体などの電子部品の形成を目的とした電子部品の原料を用いることができ、例えば、液状やペースト状とすることができる。
スクリーン紗1に加えられる所定の張力は、遮蔽膜20により形成される開口20aに充填されてスクリーン紗1の一部の領域により保持されたインク12を、被印刷物に転移する際に、被印刷物に接触しているスクリーン紗1が被印刷物から離れる、いわゆる版離れに重要な因子である。所定の張力が小さいと、版離れが適切に行われず、インク12の転移が不均一となり印刷塗膜の膜厚がばらつく等、印刷精度が低下しやすい。版離れが適切に行われる所定の張力としては、スクリーン紗1の単位幅当たり21N/cm以上が必要とされるため、スクリーン紗1を版枠2に張る工程や印刷の各工程において、糸切れやスクリーン紗1の破断が生じないよう、スクリーン紗1の破断強度としては、40N/cm以上であることが好ましい。なお、破断強度は、JIS L1096に準じて測定することができる。
ステップS101の処理では、図5に示すように、版枠2に張られたスクリーン紗1の表面に樹脂膜10を形成する。樹脂膜10は、後述するステップS102~S104の工程を経て、遮蔽膜20を構成する。樹脂膜10の上面10dは、スクリーン紗1の上面1dよりもZ軸方向上方に設けることができ、樹脂膜10の下面10eは、スクリーン紗1の下面1eよりもZ軸方向下方に設けることができる。なお、スクリーン紗1の下面1eに設けられる樹脂膜10とスクリーン紗1の上面1dに設けられる樹脂膜10は、スクリーン紗1の開口部1cを通じて繋がっていてもよい。スクリーン紗1の上面1dは、スクリーン紗1の表面のうち、遮蔽膜20により形成される開口20aに充填されてスクリーン紗1の一部の領域により保持されたインク12を被印刷物に転移するときに用いられるヘラ(例えば、スキージー)が接触する面であり、スクリーン紗1の下面1dは、スクリーン紗1の表面のうち、遮蔽膜20により形成される開口20aに充填されてスクリーン紗1の一部の領域により保持されたインク12を被印刷物に転移するときに被印刷物が接触する面である。
樹脂膜10としては、例えば、光の照射によって硬化する感光性樹脂(フォトレジスト)を用いることができる。感光性樹脂としては、ジアゾ系、ラジカル系、スチルバソ系などを使用することができ、使用できる感光性樹脂は、硬化機構によって限定されない。また、感光性樹脂は、樹脂膜10を形成することができればよく、樹脂膜10の形成前の形態についても限定されない。例えば、液体や固体(フィルム)の形態で用いることができる。液体の感光性樹脂を用いる場合、例えば、溶媒を含む液体の感光性樹脂をスクリーン紗1の上面1d及び下面1eに塗布し、これを乾燥して溶媒を蒸発・除去する方法により、樹脂膜10を形成することができる。樹脂膜10のZ軸方向における厚さは、塗布及び乾燥を繰り返すことにより調整することができる。
樹脂膜10の厚さは、薄膜の印刷塗膜を形成しやすくする観点では、薄い方が好ましいが、遮蔽膜20を安定して形成できることや、遮蔽膜20の耐久性を維持できることや、遮蔽膜20により形成される開口20aに充填されたインク12の広がりを制御するシール性を維持できることなどを考慮して決定することができる。厚さが薄い樹脂膜10は、強度が低いため、開口20aを形成するときに水やエアーの吹き付けによって樹脂膜10を除去する場合、マスク11によって覆われていない樹脂膜10の領域も除去される可能性が有る。また、印刷した所定の印刷パターンの滲みを抑えるためには、遮蔽膜20の厚さは、厚い方が好ましい。このような観点から、樹脂膜10の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上7μm以下がより好ましく、3μm以上5μm以下がさらに好ましい。なお、遮蔽膜20の厚さは、樹脂膜10と同様に、前述した厚さとすることができる。ここで、樹脂膜10(遮蔽膜20)の厚さとは、スクリーン紗1の厚さtに加算される分の厚さであり、樹脂膜10(遮蔽膜20)を含むスクリーン紗1の厚さからスクリーン紗1のみの厚さtを減じた値(本実施形態では、上面1dと下面1eに形成された樹脂膜10(遮蔽膜20)の厚さの合計)をいう。また、スクリーン紗1の上面1dに形成される樹脂膜10(遮蔽膜20)の厚さは、例えば0~2μmとすることができる。
なお、スクリーン紗1において、樹脂膜10の上面10dは、スクリーン紗1の上面1dよりもZ軸方向上方に設けられ、樹脂膜10の下面10eは、スクリーン紗1の下面1eよりもZ軸方向下方に設けられているが、樹脂膜10の上面10dについては、スクリーン紗1の上面1dよりも上方に設けられていなくてもよい。遮蔽膜20との密着性の向上、遮蔽膜20の耐久性の向上の観点からは、樹脂膜10は、図5に示すように、上面10dが上面1dよりも上方に設けられ、下面10eが下面1eよりも下方に設けられていることが好ましい。
上述した感光性樹脂としては、ジアゾ樹脂を架橋剤とするタイプや、スチリルピリジニウム(SBQ)を付加したポリビニルアルコール(PVA)を用いるタイプや、アクリロイル基やアクリルアミド基の重合架橋反応を利用するタイプの感光性樹脂を用いることができる。これらの感光性樹脂は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ステップS102の処理では、図6に示すように、所定の印刷パターンに対応する形状のマスク11を、樹脂膜10の上面10dに貼り付ける。マスク11としては、フィルムやガラスを用いることができる。
ステップS103の処理では、図7に示すように、スクリーン紗1の上方から、マスク11が貼り付けられた樹脂膜10に対して紫外線を照射して照射部分を硬化させる。なお、紫外線は、可視光であってもよい。
ステップS104の処理では、紫外線が照射された樹脂膜10を現像し、図8に示すように、マスク11とマスク11で覆われた樹脂膜10の領域とを除去する。マスク11で覆われた樹脂膜10の領域が除去されることで、所定の印刷パターンに対応する形状の開口20aが形成される。また、残存する樹脂膜10により遮蔽膜20が構成される。遮蔽膜20は、スクリーン印刷を行う際、被印刷物における印刷パターンを形成する領域以外の領域を覆う。
これらのステップS100~S104の処理により、図8や図9に示すように、スクリーン版100を製造することができる。スクリーン印刷は、開口20aにインク12を充填し、スクリーン紗1の一部の領域により保持されたインク12を被印刷物に転移することにより行うことができる。図8及び図9では、遮蔽膜20に形成される5つの開口20aのうち1つの開口20aにおいて、インク12が充填された状態を示している。
なお、上述したステップS102~ステップS104の処理では、マスク11で覆われた樹脂膜10の領域を除去して開口20aを形成しているが、樹脂膜10の種類や現像液の種類を変更することにより、マスク11で覆われた樹脂膜10の領域を残し、マスク11で覆われていない樹脂膜10の領域を除去して開口20aを形成することもできる。
また、上述したステップS102の処理では、樹脂膜10の上面10dにマスク11を貼り付けているが樹脂膜10の下面10eにマスク11を貼り付けてもよい。樹脂膜10の下面10eにマスク11が貼り付けられる場合、ステップS103の処理では、スクリーン紗1の下方から、マスク11が貼り付けられた樹脂膜10に対して紫外線を照射することができる。
ここで、スクリーン紗1に形成される遮蔽膜20の表面は、極性比率が10%以上、50%以下である。遮蔽膜20の表面の極性比率が10%以上、50%以下であると、スクリーン紗1と遮蔽膜20との密着性が向上する。一方、遮蔽膜20の表面の極性比率が10%未満である場合や50%を超える場合、スクリーン紗1との密着性を向上することができない。また、遮蔽膜20の表面の極性比率が60%超であると、遮蔽膜20の物性等が変化し易くなり、例えば、インク12に遮蔽膜20に含有される成分が溶出しやすくなる。
遮蔽膜20の表面の極性比率は、遮蔽膜20を構成する材料の種類を調整したり、遮蔽膜20を構成する材料の含有割合を調整したりすることなどにより、上記範囲内(10%以上50%以下)にすることができる。また、例えば、遮蔽膜20に対して、α線や、β線や、γ線や、電子線や、紫外線や、コロナや、プラズマを所定の条件で照射することにより上記範囲内とすることができる。
以上説明したように、本実施形態のスクリーン版100では、表面の極性比率が所定の範囲(15%以上、70%以下)内にあるスクリーン紗1に、表面の極性比率が所定の範囲(10%以上、50%以下)内にある遮蔽膜20が形成されているため、スクリーン紗1と遮蔽膜20との密着性が向上している。スクリーン紗1と遮蔽膜20との密着性をさらに向上する観点からは、スクリーン紗1表面の極性比率が遮蔽膜20表面の極性比率よりも大きいこと、つまり、遮蔽膜20表面の極性比率に対するスクリーン紗1表面の極性比率の割合(スクリーン紗1表面の極性比率/遮蔽膜20表面の極性比率)が1を超えていることが好ましい。遮蔽膜20表面の極性比率に対するスクリーン紗1表面の極性比率の割合の上限は、特に限定されないが、例えば、6以下とすることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
合成繊維モノフィラメントとして、ポリアリレート(液晶ポリエステル)からなる芯部分と、熱可塑性ポリマーを海部分の成分とし、ポリアリレート(液晶ポリエステル)を島部分の成分として構成された鞘部分と、からなる、直径23μmの芯鞘型複合繊維(株式会社クラレ製・製品名Vecry)を用意した。この合成繊維を経糸1a及び緯糸1bとして、経糸1a、緯糸1bとも330メッシュの密度で平織りに製織し、スクリーン紗1を得た。
作製したスクリーン紗1を、放電端子の出力を3kWに設定したコロナ放電処理装置に、12m/分の速度で送り、連続的にコロナ放電処理を施した。その後スクリーン紗1の4辺方向における部位を紗張機のクランプにて挟持し、320mm×320mmのアルミ製の版枠2に張った。ここで、スクリーン紗1の中央部での張力は、テンションゲージSTG-75B(サン技研社製)を用いた測定で1.0mm(28N/cm)であった。縦糸1aと緯糸1bのバイアス角度は、ともに22.5度であった。
版枠2に張られたスクリーン紗1に、ジアゾ系感光性樹脂(王子タック株式会社製、製品名:AX-81)をバケットを用いて塗布し、塗布された感光性樹脂を乾燥させた。感光性樹脂の塗布及び乾燥を繰り返し、約10μmの厚さの樹脂膜10を形成した。その後、樹脂膜10の上面10dにマスク11を貼り付けて露光及び現像することによって開口20aを形成し、0.3mm×0.3mm(X-Y平面内の寸法)の遮蔽膜20を200個形成した。得られたスクリーン版100を実施例1のスクリーン版とした。
(実施例2)
実施例1で用いたスクリーン紗1に、ジアゾ系感光性樹脂の替わりにSBQ系感光性樹脂(株式会社ムラカミ製、製品名:OnePot)を用いて遮蔽膜20を形成した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のスクリーン版100を得た。
(実施例3)
合成繊維モノフィラメントとして、ナイロンからなる、直径30μmの繊維を用意した。この合成繊維を経糸1a及び緯糸1bとして、経糸1a、緯糸1bとも305メッシュの密度で平織りに製織し、スクリーン紗1を得た。得られたスクリーン紗1を、実施例1と同様にコロナ放電処理した。このスクリーン紗1を、実施例1で用いたスクリーン紗1に替えて版枠2に張ったこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のスクリーン版100を得た。
(実施例4)
実施例1で用いた合成繊維モノフィラメントを経糸1a及び緯糸1bとして用い、経糸1a、緯糸1bとも380メッシュの密度で平織りに製織し、スクリーン紗1を得た。得られたスクリーン紗1を、出力1Wで1分間プラズマ処理した。このスクリーン紗1を、実施例1で用いたスクリーン紗1に替えて版枠2に張ったこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例4のスクリーン版100を得た。
(比較例1)
実施例1で用いたスクリーン紗1にコロナ放電処理しない以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のスクリーン版100を得た。
(比較例2)
実施例3で用いたスクリーン紗1にコロナ放電処理しない以外は、実施例3と同様の方法で、比較例2のスクリーン版100を得た。
(比較例3)
実施例4で用いたスクリーン紗1に対して行ったプラズマ処理に替えて、出力0.2Wで1分間プラズマ処理した以外は、実施例4と同様の方法で、比較例3のスクリーン版100を得た。
(比較例4)
実施例1で用いたスクリーン紗1に、ジアゾ系感光性樹脂の替わりにラジカル重合系感光性樹脂(株式会社栗田化学研究所製、製品名:WR250)を用いて遮蔽膜20を形成した以外は、実施例1と同様の方法で比較例4のスクリーン版100を得た。
(極性比率)
実施例および比較例の各スクリーン版100について、スクリーン紗1表面と遮蔽膜20表面それぞれに、水及びジヨードメタンをそれぞれ1μL滴下し、測定用液体(水及びジヨードメタン)のそれぞれの接触角を、接触角計(協和界面科学社製、自動極小接触角計 MCA-3)を用いて測定した。測定した接触角を、下記(5)式にそれぞれ当てはめて、スクリーン紗1表面と遮蔽膜20表面それぞれについて、極性成分に由来する表面自由エネルギーγsp及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーγsdを算出した。
(1+cosθ)・γL/4=(γsd・γLd)/(γsd+γLd)+(γsp・γLp)/(γsp+γLp)--------------- (5)
θ:試料表面の測定用液体の接触角
γL:測定用液体の表面張力
γLd:測定用液体の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γLp:測定用液体の極性成分に由来する表面自由エネルギー
γsd:試料表面の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γsp:試料表面の極性成分に由来する表面自由エネルギー
算出したγsdとγsp、および上記(2)式と(3)式により、スクリーン紗1表面と遮蔽膜20表面それぞれについて、極性比率を算出した。
(遮蔽膜剥離試験)
実施例及び比較例のスクリーン版100について、遮蔽膜20の表面にメンディングテープ(住友3M社製 810-3-24)を貼り、200個の遮蔽膜20とテープとを一定荷重で密着させた。その後、スクリーン版100を固定し、テープをスクリーン紗1に対して垂直方向(Z軸方向)に引っ張り、テープを遮蔽膜20から剥がした。テープに付着した遮蔽膜20の(剥離した遮蔽膜20)の数を数え、スクリーン紗1と遮蔽膜20との密着性を判断した。遮蔽膜20とテープとを一定荷重で密着させる方法としては、ウシオライティング製露光機(FL-2S)を使用し、荷重40mmHgで、1分間真空密着する方法を用いた。
実施例と比較例のスクリーン版100における、スクリーン紗1表面及び遮蔽膜20表面の極性比率と、遮蔽膜剥離試験の結果を表1に示す。
Figure 0007093625000001
表1に示すように、スクリーン紗1表面の極性比率が15%以上、70%以下の範囲内にあるとともに、遮蔽膜20表面の極性比率が10%以上、50%以下の範囲内にある実施例1~4のスクリーン版100は、遮蔽膜20が一切剥離しなかった。一方、遮蔽膜20表面の極性比率が10%以上、50%以下の範囲内にあるものの、スクリーン紗1表面の極性比率が15%以上、70%以下の範囲外にある比較例1~3のスクリーン版100は、66個以上も遮蔽膜20が剥離していた。また、スクリーン紗1表面の極性比率が15%以上、70%以下の範囲内にあるものの、遮蔽膜20表面の極性比率が10%以上、50%以下の範囲外にある比較例4のスクリーン版100は、78個も遮蔽膜20が剥離していた。これらの結果から、本実施形態のスクリーン版100は、スクリーン紗1と遮蔽膜20との密着性が向上していることが理解できた。

Claims (3)

  1. 版枠と、
    前記版枠に張られる、合成繊維を用いてなるスクリーン紗と、
    前記スクリーン紗に形成される、所定の印刷パターンに対応する形状の開口を設けるための遮蔽膜と、を有し、
    前記スクリーン紗の表面は、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの比率が15%以上、70%以下であり、
    前記遮蔽膜の表面は、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの比率が10%以上、50%以下であり、
    前記スクリーン紗の表面は、前記遮蔽膜の表面よりも、極性成分及び非極性成分に由来する表面自由エネルギーに対する極性成分に由来する表面自由エネルギーの前記比率が高く、
    前記遮蔽膜は、感光性樹脂のみを用いて形成された膜であることを特徴とするスクリーン版。
  2. 前記合成繊維が少なくとも液晶ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン版。
  3. 前記合成繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン版。
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