以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1~図6は、本開示に係るイグナイタの一例を示している。図1は、本実施形態のイグナイタ1を備える車両Aの全体構成を示すブロック図である。車両Aは、イグナイタ1、ECU2、点火プラグ3、イグニッションコイル4、およびバッテリ5を備える。なお、車両Aはその他の構成も備えるが、図1では省略している。
ECU2は、エンジンの運転制御を行うための電子制御ユニットであり、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータによって実現されている。ECU2は、点火プラグ3の点火タイミングを指示する点火指示信号IGTを、エンジンの回転に同期した周期的な信号として生成する。ECU2は、点火指示信号IGTをイグナイタ1に出力する。ECU2が、本発明の「エンジン制御装置」に相当する。
イグニッションコイル4は、点火プラグ3を放電させるための高電圧を発生させるものである。イグニッションコイル4は、一次コイル41および二次コイル42を備える。一次コイル41の一方の端子はバッテリ5に接続されており、他方の端子はイグナイタ1の出力端子OUTに接続されている。二次コイル42の一方の端子はバッテリ5に接続されており、他方の端子は点火プラグ3に接続されている。
点火プラグ3は、図示しないエンジンの気筒ごとに設けられており、放電により、エンジン内の混合気を爆発させる。
イグナイタ1は、ECU2より入力される点火指示信号IGTに基づいて、点火プラグ3の放電を制御する。具体的には、イグナイタ1は、点火指示信号IGTに基づいて、イグニッションコイル4の一次コイル41に流れる電流Icを制御する。イグナイタ1は、点火指示信号IGTがハイレベルの期間、一次コイル41に電流Icを流す。そして、イグナイタ1は、点火指示信号IGTがハイレベルからローレベルに切り換わるタイミングで、一次コイル41に流れる電流Icを遮断する。これにより、一次コイル41に数百ボルトの逆起電力が発生する。このとき、二次コイル42には、一次側の電圧に巻数比を乗じたたとえば数十kVの高電圧が発生する。点火プラグ3は、二次コイル42から印加される高電圧によって放電する。
イグナイタ1は、電源端子VDD、接地端子GND、入力端子IN、出力端子OUT、フィードバック端子FBを備える。電源端子VDDは、バッテリ5に接続され、電源電圧が供給される。接地端子GNDは接地される。入力端子INは、図示しないハーネスを介してECU2に接続され、ECU2から点火指示信号IGTを入力される。出力端子OUTは、イグニッションコイル4の一次コイル41に接続される。フィードバック端子FBは、ハーネスを介してECU2に接続され、ECU2に点火確認信号IGFを出力する。また、イグナイタ1は、スイッチ素子11、電流検出用抵抗12、および制御回路13を備える。イグナイタ1は、スイッチ素子11、電流検出用抵抗12、および制御回路13をパッケージングした半導体集積回路装置として提供される。
スイッチ素子11は、たとえばIGBTであり、制御回路13によってオンオフが切り換えられることで、出力端子OUTと接地端子GNDとの導通、非導通を切り換える。スイッチ素子11のコレクタ端子は、出力端子OUTを介して、イグニッションコイル4の一次コイル41に接続される。スイッチ素子11のエミッタ端子は、接地端子GNDを介して接地される。スイッチ素子11のゲート端子は、制御回路13に接続される。スイッチ素子11は、制御回路13からゲート端子に入力されるゲートドライブ信号に応じて、オンオフされる。なお、スイッチ素子11は、IGBTに限定されず、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの他のスイッチ素子であってもよい。
電流検出用抵抗12は、スイッチ素子11のエミッタ端子と接地端子GNDとの間に接続される抵抗である。なお、図1において抵抗12の接地端子GND側に直列に接続されている抵抗は、後述するリード402(接地端子GNDを有するリード)の寄生抵抗を示している。スイッチ素子11がオン状態のとき、電流検出用抵抗12には、イグニッションコイル4の一次コイル41に流れる電流Icが流れる。したがって、電流検出用抵抗12の端子間には、電流Icに比例した検出電圧Vcsが発生する。電流検出用抵抗12の抵抗値は、例えば数mΩ~数十mΩ程度である。したがって、電流検出用抵抗12に流れる電流Icが数A~十数Aであっても、検出電圧Vcsを数mV~数百mVに抑えられる。本実施形態では、電流検出用抵抗12は、スイッチ素子11のエミッタ端子と接地端子GNDとの間の電流経路に配置されたボンディングワイヤの抵抗成分である。
制御回路13は、イグナイタ1を制御するものであり、半導体基板に一体集積化された機能ICである。制御回路13は、ECU2より入力される点火指示信号IGTに基づいて、スイッチ素子11の制御を行う。また、制御回路13は、一次コイル41に流れる電流Icを監視して、点火確認信号IGFを生成し、ECU2に出力する。また、制御回路13は、スイッチ素子11に流れる電流Icを所定の上限値以下に制限する電流制限機能や、点火指示信号IGTがオン時の論理レベルとされたままで所定の待機期間(例えば100ms程度)が経過したときにスイッチ素子11を強制的にオフさせるタイマ保護機能なども備える。制御回路13が、本発明の「制御IC」に相当する。
制御回路13は、電源パッド201、接地パッド202、入力パッド203、ゲート出力パッド204、フィードバック出力パッド205、センス入力パッド206、およびセンス接地パッド207を備える。電源パッド201は電源端子VDDと接続され、接地パッド202は接地端子GNDと接続される。入力パッド203は入力端子INと接続され、ゲート出力パッド204はスイッチ素子11のゲート端子と接続され、フィードバック出力パッド205はフィードバック端子FBと接続される。センス入力パッド206は、電流検出用抵抗12の高電位側の端子に接続される。センス接地パッド207は、電流検出用抵抗12の低電位側の端子に接続される。また、制御回路13は、駆動部133および点火確認部134を備える。
駆動部133は、スイッチ素子11の制御を行う。駆動部133は、ECU2より入力される点火指示信号IGTに応じて、スイッチ素子11のゲート端子の電圧を制御することで、スイッチ素子11のオンオフを制御する。駆動部133は、図示しない高周波フィルタ、コンパレータ、遅延回路およびドライバを備える。高周波フィルタは、点火指示信号IGTから高周波ノイズを除去して、コンパレータに出力する。コンパレータは、高周波ノイズを除去された点火指示信号IGTを閾値と比較して、レベル(ハイレベルまたはローレベル)を判定する。コンパレータは、判定結果を判定信号として遅延回路に出力する。遅延回路は、判定信号に所定の遅延を与えて、ドライバに出力する。ドライバは、判定信号に基づいて、スイッチ素子11を駆動できるレベルのゲートドライブ信号を生成して出力する。駆動部133は、点火指示信号IGTがハイレベルの期間、スイッチ素子11をオン状態とし、点火指示信号IGTがローレベルの期間、スイッチ素子11をオフ状態とする。点火指示信号IGTがハイレベルからローレベルに切り換わったときに、スイッチ素子11はオンからオフに切り換わる。これにより、イグニッションコイル4の二次コイル42に高電圧が発生し、当該高電圧が点火プラグ3に印加される。
点火確認部134は、一次コイル41に流れる電流Icに基づいて、点火確認信号IGFを生成し、ECU2に出力する。点火確認部134は、電流Icを基準電流Iref1、Iref2(>Iref1)と比較することで、点火確認信号IGFを生成する。実際には、点火確認部134は、電流検出用抵抗12の端子間電圧(検出電圧Vcs)を、基準電流Iref1に対応した基準電圧Vref1、および、基準電流Iref2に対応した基準電圧Vref2(>Vref1)と比較することで、点火確認信号IGFを生成する。点火確認部134は、検出電圧Vcsが基準電圧Vref1と基準電圧Vref2との間の電圧である場合(Vref1<Vc<Vref2)に第1レベル(たとえばローレベル)になり、それ以外の場合(Vc<Vref1、Vref2<Vc)に第2レベル(たとえばハイレベル)になる信号を生成し、点火確認信号IGFとしてECU2に出力する。なお、第1レベルがハイレベルで、第2レベルがローレベルであってもよい。
図2は、点火確認部134の内部構成の詳細を示す回路図である。点火確認部134は、第1比較部110、第2比較部120、第3比較部130、第4比較部140、論理演算部101、および出力トランジスタ102を備える。
第1比較部110は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref1と比較する。第1比較部110は、コンパレータ111、抵抗R11、コンデンサC11、および抵抗R12,R13を備える。抵抗R11は、基準電圧Vref1を設定するための抵抗である。コンパレータ111は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref1と比較する。コンパレータ111の非反転入力端子は、センス入力パッド206に接続される。コンパレータ111の反転入力端子は、抵抗R11を介してセンス接地パッド207に接続される。コンパレータ111の出力端子は、論理演算部101に接続され、検出電圧Vcsと基準電圧Vref1との比較結果を出力する。コンパレータ111は、検出電圧Vcsが基準電圧Vref1より大きいとき(Vcs>Vref1)にハイレベルとなり、検出電圧Vcsが基準電圧Vref1より小さいとき(Vcs<Vref1)にローレベルとなる比較信号S11を出力する。なお、コンパレータ111の具体的な回路構成は限定されない。
図3は、コンパレータ111の構成例を示す回路図である。コンパレータ111は、トランジスタTR1、トランジスタTR2、トランジスタTR3、電流源CS1、電流源CS2、電流源CS3、抵抗R1、および抵抗R2を備える。
トランジスタTR1およびトランジスタTR2は、NPN型バイポーラトランジスタである。トランジスタTR1のコレクタ端子は抵抗R1を介して電流源CS1に接続され、トランジスタTR2のコレクタ端子は抵抗R2を介して電流源CS2に接続される。トランジスタTR1のベース端子とトランジスタTR2のベース端子とは共通に接続され、トランジスタTR1のコレクタ端子に接続される。トランジスタTR1のエミッタ端子は、反転入力端子(-)に接続される。トランジスタTR2のエミッタ端子は、非反転入力端子(+)に接続される。トランジスタTR1およびトランジスタTR2が、コンパレータ111の差動入力部を構成しており、トランジスタTR1のエミッタ電圧とトランジスタTR2のエミッタ電圧とが比較され、基準電圧Vref1と検出電圧Vcsとの大小関係に応じてトランジスタTR2のコレクタ電圧Vxが変化する。
電流源CS3、トランジスタTR3は、エミッタフォロア型の出力段を構成する。トランジスタTR3のコレクタ端子は電流源CS3に接続され、ベース端子はトランジスタTR2のコレクタ端子に接続され、エミッタ端子は接地される。トランジスタTR3は、トランジスタTR2のコレクタ電圧Vxに応じて、コレクタ端子から比較信号S11を出力する。なお、コンパレータ111の具体的な回路は、限定されない。
コンデンサC11は、コンパレータ111の非反転入力端子と反転入力端子との間に接続される。コンデンサC11の静電容量は、たとえば0.1~100pF程度である。本実施形態では、コンデンサC11は、0.05~50pF程度のコンデンサを2個並列接続したものである。なお、コンデンサC11は、コンデンサを3個以上並列接続したものでもよいし、1つのコンデンサでもよい。コンデンサC11は、端子間電圧を平滑化することで、非反転入力端子に入力される電圧(ノイズが重畳された検出電圧Vcs)と反転入力端子に入力される電圧(ノイズが重畳された基準電圧Vref1)との位相差を抑制する。
抵抗R12は、一方の端子がコンパレータ111の非反転入力端子に接続され、他方の端子がセンス入力パッド206に接続される。抵抗R13は、一方の端子が抵抗R11に接続され、他方の端子がセンス接地パッド207に接続される。なお、抵抗R13は、一方の端子がコンパレータ111の反転入力端子に接続され、他方の端子が抵抗R11に接続されてもよい。抵抗R12の抵抗値とR13の抵抗値とは同程度であり、たとえば100Ω~10kΩ程度である。抵抗R12とコンデンサC11とは、コンパレータ111の非反転入力端子に入力される高周波を除去するRCフィルタを構成する。また、抵抗R13とコンデンサC11とは、コンパレータ111の反転入力端子に入力される高周波を除去するRCフィルタを構成する。コンデンサC11および抵抗R12,R13は、コンパレータ111の各入力端子に入力される高周波ノイズを除去する。コンデンサC11および抵抗R12,R13によって構成されるRCフィルタのカットオフ周波数は、正常動作時の検出電圧Vcsの波形の周波数成分(数十~数百Hz)より高く、除去すべきノイズの周波数(ラジオ受信障害BCIで1MHz)より低く定められる。したがって、カットオフ周波数は、数百Hz~数十kHz程度が好適である。抵抗R12の抵抗値とR13の抵抗値とは同程度なので、抵抗R12による電圧降下と抵抗R13による電圧降下とは同程度である。したがって、非反転入力端子に入力される電圧と反転入力端子に入力される電圧とを比較することで、検出電圧Vcsと基準電圧Vref1とを比較できる。
第2比較部120は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref2と比較する。第2比較部120は、コンパレータ121、抵抗R21、コンデンサC21、および抵抗R22,R23を備える。抵抗R21は、基準電圧Vref2を設定するための抵抗である。コンパレータ121は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref2と比較する。コンパレータ121の非反転入力端子は、センス入力パッド206に接続される。コンパレータ121の反転入力端子は、抵抗R21を介してセンス接地パッド207に接続される。コンパレータ121の出力端子は、論理演算部101に接続され、検出電圧Vcsと基準電圧Vref2との比較結果を出力する。コンパレータ121は、検出電圧Vcsが基準電圧Vref1より大きいとき(Vcs>Vref2)にハイレベルとなり、検出電圧Vcsが基準電圧Vref2より小さいとき(Vcs<Vref2)にローレベルとなる比較信号S12を出力する。なお、コンパレータ121の具体的な回路構成は限定されない。
コンデンサC21は、コンパレータ121の非反転入力端子と反転入力端子との間に接続される。コンデンサC21は、第1比較部110のコンデンサC11と同様のコンデンサであり、同様の目的で接続される。抵抗R22は、一方の端子がコンパレータ121の非反転入力端子に接続され、他方の端子がセンス入力パッド206に接続される。抵抗R23は、一方の端子が抵抗R21に接続され、他方の端子がセンス接地パッド207に接続される。なお、抵抗R23は、一方の端子がコンパレータ121の反転入力端子に接続され、他方の端子が抵抗R21に接続されてもよい。抵抗R22の抵抗値とR23の抵抗値とは同程度である。抵抗R22,R23は、第1比較部110の抵抗R12,R13と、それぞれ同様の抵抗であり、同様の目的で接続される。
論理演算部101は、第1比較部110より入力される比較信号S11と、第2比較部120より入力される比較信号S12とに基づいて論理演算を行って、演算結果を示す演算結果信号S15を出力する。論理演算部101は、比較信号S11と比較信号S12の反転信号との論理積を演算する。論理演算部101は、比較信号S11および比較信号S12がともにローレベルである場合(Vcs<Vref1)、演算結果信号S15をローレベルとする。また、論理演算部101は、比較信号S11がハイレベルであり、比較信号S12がローレベルである場合(Vref1<Vcs<Vref2)、演算結果信号S15をハイレベルとする。また、論理演算部101は、比較信号S11および比較信号S12がともにハイレベルである場合(Vcs>Vref2)、演算結果信号S15をローレベルとする。つまり、演算結果信号S15は、比較信号S11がハイレベルであり、比較信号S12がローレベルである(Vref1<Vcs<Vref2)期間だけ、ハイレベルになる。なお、論理演算部101は限定されず、比較信号S11、S12および演算結果信号S15のハイレベルとローレベルの組み合わせに応じて設計されていればよい。
出力トランジスタ102は、オープンドレイン(オープンコレクタ)形式のトランジス
タであり、本実施形態ではたとえばNチャンネルMOSFETである。出力トランジスタ102のドレイン端子は、フィードバック出力パッド205を介して、フィードバック端子FBに接続される。出力トランジスタ102のソース端子は接地される。出力トランジスタ102のゲート端子には論理演算部101から演算結果信号S15が入力される。演算結果信号S15がハイレベルの場合、点火確認信号IGFはローレベルになり、演算結果信号S15がローレベルの場合、点火確認信号IGFはハイレベルになる。フィードバック端子FBは、ハーネスを介してECU2に接続される。ECU2は、フィードバック端子FBから入力される点火確認信号IGFに基づいて、イグナイタ1が正常に動作しているかどうかを検出する。
第3比較部130は、電流Icを第1上限電流Iref3(>Iref2)と比較することで、電流Icが第1上限電流Iref3に達したことを検出する。実際には、第3比較部130は、検出電圧Vcsを、第1上限電流Iref3に対応した基準電圧Vref3(>Vref2)と比較する。第3比較部130は、コンパレータ131、抵抗R31、コンデンサC31、および抵抗R32,R33を備える。抵抗R31は、基準電圧Vref3を設定するための抵抗である。コンパレータ131は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref3と比較する。コンパレータ131の非反転入力端子は、センス入力パッド206に接続される。コンパレータ131の反転入力端子は、抵抗R31を介してセンス接地パッド207に接続される。コンパレータ131の出力端子は、駆動部133の図示しない電流制限部に接続され、検出電圧Vcsと基準電圧Vref3との比較結果を出力する。コンパレータ131は、検出電圧Vcsが基準電圧Vref3より大きいとき(Vcs>Vref3)にハイレベルとなり、検出電圧Vcsが基準電圧Vref3より小さいとき(Vcs<Vref3)にローレベルとなる比較信号S13を出力する。なお、コンパレータ131の具体的な回路構成は限定されない。
コンデンサC31は、コンパレータ131の非反転入力端子と反転入力端子との間に接続される。コンデンサC31は、第1比較部110のコンデンサC11と同様のコンデンサであり、同様の目的で接続される。抵抗R32は、一方の端子がコンパレータ131の非反転入力端子に接続され、他方の端子がセンス入力パッド206に接続される。抵抗R33は、一方の端子が抵抗R31に接続され、他方の端子がセンス接地パッド207に接続される。なお、抵抗R33は、一方の端子がコンパレータ131の反転入力端子に接続され、他方の端子が抵抗R31に接続されてもよい。抵抗R32の抵抗値とR33の抵抗値とは同程度である。抵抗R32,R33は、第1比較部110の抵抗R12,R13と、それぞれ同様の抵抗であり、同様の目的で接続される。
第4比較部140は、電流Icを第2上限電流Iref4(<Iref3)と比較することで、電流Icが第2上限電流Iref4に達したことを検出する。実際には、第4比較部140は、検出電圧Vcsを、第2上限電流Iref4に対応した基準電圧Vref4(<Vref3)と比較する。第4比較部140は、コンパレータ141、抵抗R41、コンデンサC41、および抵抗R42,R43を備える。抵抗R41は、基準電圧Vref4を設定するための抵抗である。コンパレータ141は、検出電圧Vcsを基準電圧Vref4と比較する。コンパレータ141の非反転入力端子は、センス入力パッド206に接続される。コンパレータ141の反転入力端子は、抵抗R41を介してセンス接地パッド207に接続される。コンパレータ141の出力端子は、駆動部133の図示しない電流制限部に接続され、検出電圧Vcsと基準電圧Vref4との比較結果を出力する。コンパレータ141は、検出電圧Vcsが基準電圧Vref4より大きいとき(Vcs>Vref4)にハイレベルとなり、検出電圧Vcsが基準電圧Vref4より小さいとき(Vcs<Vref4)にローレベルとなる比較信号S14を出力する。なお、コンパレータ141の具体的な回路構成は限定されない。
コンデンサC41は、コンパレータ141の非反転入力端子と反転入力端子との間に接続される。コンデンサC41は、第1比較部110のコンデンサC11と同様のコンデンサであり、同様の目的で接続される。抵抗R42は、一方の端子がコンパレータ141の非反転入力端子に接続され、他方の端子がセンス入力パッド206に接続される。抵抗R43は、一方の端子が抵抗R41に接続され、他方の端子がセンス接地パッド207に接続される。なお、抵抗R43は、一方の端子がコンパレータ141の反転入力端子に接続され、他方の端子が抵抗R41に接続されてもよい。抵抗R42の抵抗値とR43の抵抗値とは同程度である。抵抗R42,R43は、第1比較部110の抵抗R12,R13と、それぞれ同様の抵抗であり、同様の目的で接続される。
駆動部133の電流制限部は、第3比較部130より入力される比較信号S13、および、第4比較部140より入力される比較信号S14に基づいて、スイッチ素子11のゲート端子のオン期間中の電圧を制限する。これにより、スイッチ素子11を流れる電流Icが制限される。電流制限部は、比較信号S13がハイレベルのときにスイッチ素子11のゲート端子のオン期間中の電圧を制限することで、電流Icを第1上限電流Iref3に制限する。また、電流制限部は、スイッチ素子11のオン状態が所定時間継続した場合は、比較信号S14に基づいて(比較信号S14がハイレベルのときに)、スイッチ素子11のゲート端子のオン期間中の電圧を制限することで、電流Icを第2上限電流Iref4に制限する。
なお、点火確認部134は、第1比較部110、第2比較部120、第3比較部130、および第4比較部140以外に、同様の比較部を備えてもよい。すなわち、制御回路13は、検出電圧Vcsを所定の基準電圧と比較することで、スイッチ素子11を流れる電流Icを所定の基準電流と比較し、その比較結果信号を様々な制御に用いてもよい。
図4は、制御回路13の機能ICのレイアウトの一例を示す平面図である。制御回路13は、半導体基板200を備える。制御回路13の電源パッド201、接地パッド202、入力パッド203、ゲート出力パッド204、フィードバック出力パッド205、センス入力パッド206、およびセンス接地パッド207は、半導体基板200上に配置されている。また、制御回路13の駆動部133および点火確認部134を構成する各機能素子は、半導体基板200に形成されている。図4においては、半導体基板200の厚さ方向(平面視方向)をz方向(z1-z2方向)とし、z方向に直交する半導体基板200の一方の辺に沿う方向(図4における左右方向)をx方向(x1-x2方向)、z方向およびx方向に直交する方向(図4における上下方向)をy方向(y1―y2方向)として説明する(図5においても同様)。x方向が本発明の「第1方向」に相当し、y方向が本発明の「第2方向」に相当する。
電源パッド201、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207は、半導体基板200のy1方向の端部に配置されている。電源パッド201は、x2方向の端部に配置されており、x方向の寸法がy方向の寸法より長い。センス入力パッド206は、x1方向の端部付近に配置されており、y方向の寸法y6がx方向の寸法x6より長い。センス接地パッド207は、x方向の中央付近に配置されており、y方向の寸法y7がx方向の寸法x7より長い。センス入力パッド206およびセンス接地パッド207が、それぞれ、本発明の「第1パッド」及び「第2パッド」に相当する。接地パッド202、入力パッド203およびフィードバック出力パッド205は、半導体基板200のy2方向の端部に配置されている。接地パッド202は、x2方向の端部に配置されており、y方向の寸法がx方向の寸法より長い。入力パッド203は、x1方向の端部付近に配置されており、y方向の寸法がx方向の寸法より長い。フィードバック出力パッド205は、x方向の中央付近に配置されており、y方向の寸法がx方向の寸法より長い。ゲート出力パッド204は、センス入力パッド206のy2側のx1方向の端部に配置されており、x方向の寸法がy方向の寸法より長い。各パッド201~207の形状は、ボンディングワイヤをボンディングする方向に合わせた形状になっている。
制御回路13は、半導体基板200上に、領域310,321,322,323,331,332,333,334,335,341,342,351,361を含んでいる。
領域310は、点火確認部134のうち、第1比較部110、第2比較部120、第3比較部130、第4比較部140を構成する各機能素子が形成される領域である。領域310は、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207の近くに配置されている。領域310は、x方向において、センス入力パッド206とセンス接地パッド207との間に位置する。また、領域310は、y方向において、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207に隣接している。領域310は、全体が、半導体基板200のy方向中央よりセンス入力パッド206およびセンス接地パッド207側(y1方向側)に位置している。領域310がセンス入力パッド206およびセンス接地パッド207の近くに配置されているので、たとえば第1比較部110において、センス入力パッド206から抵抗R12までの配線、および、センス接地パッド207から抵抗R13までの配線を短くすることができる。第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140においても同様である。
図5は、領域310の詳細を示す部分拡大平面図である。領域310は、領域311、領域312、領域313、領域314および領域315を含んでいる。
領域311は、抵抗R12,R13,R22,R23,R32,R33,R42,R43が形成される領域である。領域311内において、抵抗R12と抵抗R13とは隣接して配置され、抵抗R22と抵抗R23とは隣接して配置され、抵抗R32と抵抗R33とは隣接して配置され、抵抗R42と抵抗R43とは隣接して配置されている。領域311は、領域310において、x1方向端部に配置されている。図4に示すように、領域311は、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207から等距離に位置する。より具体的には、領域311のx方向における中心位置は、x方向において、センス入力パッド206のx2方向端縁およびセンス接地パッド207のx1方向端縁から等距離にある。つまり、領域311は、x方向において、センス入力パッド206とセンス接地パッド207との中間に位置する。したがって、たとえば第1比較部110において、センス入力パッド206から抵抗R12までの配線と、センス接地パッド207から抵抗R13までの配線とを、同程度の長さにすることができる。第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140においても同様である。
領域312は、コンデンサC11,C21,C31,C41が形成される領域である。領域312は、領域311に隣接して、x2方向側に配置されている。上述したように、コンデンサC11,C21,C31,C41はそれぞれ2個のコンデンサを並列接続したものであり、領域312には8個のコンデンサが形成されている。領域312が領域311に隣接しているので、たとえば第1比較部110において、コンデンサC11と抵抗R12とを接続する配線を短くすることができる。また、抵抗R13が抵抗R11よりコンパレータ111側に配置されている場合には、コンデンサC11と抵抗R13とを接続する配線を短くすることができる。第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140においても同様である。
領域313は、コンパレータ111,121,131,141に含まれる、差動入力部のそれぞれ2個のトランジスタ(図3におけるトランジスタTR1,TR2)が形成される領域である。領域313は、領域312に隣接して、x2方向側に配置されている。領域313には8個のトランジスタが形成されている。領域313が領域312に隣接しているので、たとえば第1比較部110において、コンパレータ111とコンデンサC11とを接続する配線を短くすることができる。第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140においても同様である。また、領域313は領域311の近くに配置されている。したがって、たとえば第1比較部110において、コンパレータ111と抵抗R12とを接続する配線を短くすることができる。また、抵抗R13が抵抗R11よりコンパレータ111側に配置されている場合には、コンパレータ111と抵抗R13とを接続する配線を短くすることができる。第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140においても同様である。
領域314は、コンパレータ111,121,131,141に含まれる、保護用のダイオード(図3では省略)が形成される領域である。領域314は、領域313に隣接して、x2方向側に配置されている。領域314には4個のダイオードが形成されている。本実施形態では、領域314のy1方向端部に2個のダイオードが形成され、y2方向端部に2個のダイオードが形成されている。また、領域314は、y方向の中央に、機能素子が形成されない領域314aを含んでいる。
領域315は、コンパレータ111,121,131,141に含まれる、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207からの外来サージ電流を制限するための抵抗(図3における抵抗R1,R2)が形成される領域である。領域315は、領域314に隣接して、x2方向側に配置されている。領域315には、抵抗値の異なる複数の抵抗が互いに並列接続されて、コンパレータ毎に形成されている。並列接続された複数の抵抗のうちの1つの抵抗だけが実際に用いられる。その他の抵抗は、配線が切断されて機能しないようになる。領域314aは、この切断作業を行うときの邪魔にならないように、機能素子が形成されていない。
領域311に形成される抵抗R12,R13,R22,R23,R32,R33,R42,R43は、ノイズを消費することで熱を発生させやすい。また、領域310に形成される第1比較部110、第2比較部120、第3比較部130および第4比較部140は、外部ノイズを受けやすい。したがって、本実施形態では、これらの熱および外部ノイズが他の領域に形成された機能素子に及ぼす影響を抑制するため、領域310は、半導体基板200上の中央で他の領域に囲まれる位置ではなく、半導体基板200上のできるだけ周縁部に近い位置に配置される。
図4に戻って、領域321は、各コンパレータが検出電圧Vcsと比較するための基準電圧を設定する抵抗R11,R21,R31,R41が形成される領域である。これらの抵抗は、基準電圧の調整のために、レーザトリミングによる抵抗値の調整が可能である。領域321は、領域310に隣接して、x2方向側に配置されている。領域322は、点火確認部134のうち、論理演算部101および出力トランジスタ102などが形成される領域である。領域323は、フィードバック出力パッド205から入力されるサージやノイズから制御回路13を保護するための保護回路が形成される領域である。
領域331は、入力パッド203から入力されるサージやノイズから制御回路13を保護するための保護回路が形成される領域である。領域332は、駆動部133のうち、高周波フィルタ、コンパレータおよび遅延回路などが形成される領域である。領域333は、内部クロックを生成する発振回路やタイマなどが形成される領域である。領域334は、論理回路が形成される領域である。領域335は、駆動部133のドライバなどが形成される領域である。
領域341は、制御回路13の内部電源が形成される領域である。領域342は、制御回路13の内部基準電圧を生成する回路が形成される領域である。領域351は、電源パッド201および接地パッド202から入力されるサージやノイズから制御回路13を保護するための保護回路が形成される領域である。領域361は、テスト用のパッドが形成される領域である。なお、制御回路13の機能ICのレイアウトは図4および図5に示すものに限定されない。
図6は、イグナイタ1の内部構成のレイアウトの一例を示す平面図である。イグナイタ1は、リードフレームパッケージに収容され、たとえば6ピンのSiPで構成される。図6においては、たとえば黒色のエポキシ樹脂などからなる封止樹脂で覆われる部分を二点鎖線で示している。イグナイタ1は、リード401~408を備える。なお、図6においても、実装される制御回路13の半導体基板200に応じた方向に基づいて説明する。
リード401は、電源端子VDDを有し、パッケージのx2方向の端部でy2方向の端部に配置される。リード407は、リード401に隣接して、y1方向側に配置され、パッケージのx2方向の端部でy1方向の端部に配置される。リード402は、接地端子GNDを有し、リード401およびリード407に隣接して、x1方向側に配置される。リード402は、パッケージのy1方向の端部からy2方向の端部まで広がっている。リード404は、出力端子OUTを有し、リード402に隣接して、x1方向側に配置される。リード404は、パッケージのx1方向の端部に配置され、パッケージのy1方向の端部からy2方向の端部まで広がっている。リード406は、パッケージのy1方向の端部で、リード402とリード404との間に配置される。リード403,405,408は、パッケージのy2方向の端部で、リード402とリード404との間に配置される。リード403は、入力端子INを有し、リード404に隣接して配置される。リード408は、未使用の端子を有し、リード402に隣接して配置される。リード405は、フィードバック端子FBを有し、リード405とリード408との間に配置される。リード402,404,406が、それぞれ、本発明の「第2リード」、「第1リード」、「第3リード」に相当する。
リード402~408は、それぞれ、貫通する穴400aを備えている。封止樹脂で覆ったときに当該穴400aにも封止樹脂が充填されることで、イグナイタ1の使用中に封止樹脂がリード402~408からはがれることを抑制できる。また、リード401~408は、それぞれ、封止樹脂に覆われる部分と覆われない部分との境界(図6における二点鎖線参照)に、溝400bが形成される。当該溝400bは、封止樹脂で覆う前の工程で、ボンディングワイヤのリードへの接合点を保護するために塗布されるポリイミドなどの保護樹脂が流れることを抑制する。
リード402には、制御回路13が集積化された半導体基板200が実装される。電源パッド201は、ボンディングワイヤ501によって、リード407に接続される。接地パッド202は、ボンディングワイヤ502によって、リード402(接地端子GND)に接続される。入力パッド203は、ボンディングワイヤ503によって、リード403(入力端子IN)に接続される。ゲート出力パッド204は、ボンディングワイヤ504によって、後述するパッド602に接続される。フィードバック出力パッド205は、ボンディングワイヤ505によって、リード405(フィードバック端子FB)に接続される。センス入力パッド206は、ボンディングワイヤ506によって、リード406に接続される。センス接地パッド207は、ボンディングワイヤ507によって、リード402に接続される。ボンディングワイヤ501~507は、たとえばAlからなる。なお、ボンディングワイヤ501~507は、Al合金やAu,Cuなどの他の金属製であってもよい。ボンディングワイヤ506,507が、それぞれ、本発明の「第3ボンディングワイヤ」、「第4ボンディングワイヤ」に相当する。
リード404には、スイッチ素子11が実装される。スイッチ素子11は、半導体基板600、パッド601,602、および裏面電極603を備える。半導体基板600は、たとえばIGBT等のスイッチ素子11を構成するためのp型半導体層およびn型半導体層が形成された基板である。パッド601は、エミッタ電極である。パッド602は、ゲート電極である。裏面電極603は、コレクタ電極である。パッド601およびパッド602は、半導体基板600の表面(図6の紙面手前側の面)に配置される。裏面電極603は、半導体基板600の裏面に配置される。半導体基板600(スイッチ素子11)は、裏面電極603がリード404に接するように実装される。これにより、スイッチ素子11のコレクタ端子は、出力端子OUTに接続される。パッド601は、ボンディングワイヤ509、リード406およびボンディングワイヤ508によって、リード402に接続される。これにより、スイッチ素子11のエミッタ端子は、接地端子GNDに接続される。パッド602は、ボンディングワイヤ504によって、ゲート出力パッド204に接続される。これにより、スイッチ素子11のゲート端子には、制御回路13からゲートドライブ信号が入力される。パッド601,602および裏面電極603が、それぞれ、本発明の「出力電極」、「制御電極」、「入力電極」に相当する。
本実施形態では、パッド601は、ボンディングワイヤによって直接、リード402(接地端子GND)に接続されず、ボンディングワイヤ509によってリード406に接続される。そして、リード406は、ボンディングワイヤ508によって、リード402(接地端子GND)に接続され、ボンディングワイヤ506によって、センス入力パッド206に接続される。したがって、ボンディングワイヤ508の抵抗成分が、電流検出用抵抗12になる。
ボンディングワイヤ508,509は、たとえばAlからなる。なお、ボンディングワイヤ508,509は、Al合金やAu,Cuなどの他の金属製であってもよい。ボンディングワイヤ508は、抵抗成分が電流検出用抵抗12に利用される。点火確認部134での検出精度を向上させるためには、電流検出用抵抗12の抵抗値を大きくする必要がある。したがって、ボンディングワイヤ508は、抵抗値を大きくするために、Alとするのが望ましい。また、ボンディングワイヤ508は、抵抗値を大きくするために、できるだけ長くするのが望ましい。したがって、ボンディングワイヤ508のリード406への接合点508aは、リード406のできるだけx1方向側の位置に配置される。本実施形態では、接合点508aは、ボンディングワイヤ509のリード406への接合点509aよりx21だけx1方向側に配置され、ボンディングワイヤ506のリード406への接合点506aよりx22だけx1方向側に配置される。また、ボンディングワイヤ508のリード402への接合点508bは、リード402のできるだけx2方向側の位置に配置される。本実施形態では、接合点508bは、ボンディングワイヤ507のリード402への接合点507aよりx23だけx2方向側に配置される。本実施形態では、ボンディングワイヤ508のx方向の寸法x11は、半導体基板200のx方向の寸法x12より大きい。また、本実施形態では、接合点508aは接合点506aよりy1方向側に配置され、接合点508bは接合点507aよりy1方向側に配置される。また、本実施形態では、接合点508aは接合点509aよりy21だけy1方向側に配置される。なお、接合点508a、508bの配置位置は限定されない。また、本実施形態では、ボンディングワイヤ508をできるだけ長くするために、ボンディングワイヤ508は、ループの高さ(z方向においてリード402から最も離れた部分とリード402との距離)が高くなるように形成される。本実施形態では、ボンディングワイヤ508のループの高さは、ボンディングワイヤ509およびボンディングワイヤ501~507のループの高さより高く形成される。なお、ボンディングワイヤ508のループの高さは限定されない。
また、ボンディングワイヤ508,509は、比較的大きな電流が流れるので、ボンディングワイヤ501~507より太いワイヤが用いられる。なお、各ボンディングワイヤ501~509の太さは限定されない。ただし、ボンディングワイヤ508,509の太さは、ボンディングワイヤ501~507と同等か、より太いのが望ましい。ボンディングワイヤ508,509は、ボンディングワイヤ501~507がボンディングされた後に、ボンディングされる。ボンディングワイヤ508,509が、それぞれ、本発明の「第2ボンディングワイヤ」、「第1ボンディングワイヤ」に相当する。
ボンディングワイヤ506の接合点506aは、ボンディングワイヤ508の接合点508aにできるだけ近くなるように配置される。また、ボンディングワイヤ507の接合点507aは、ボンディングワイヤ508の接合点508bにできるだけ近くなるように配置される。
イグナイタ1は、図1では記載を省略した高周波フィルタを、電源端子VDDと制御回路13の電源パッド201との間に備える。当該高周波フィルタは、コンデンサ14,16および抵抗15を備えるπ型のローパスフィルタである。抵抗15は、リード401(電源端子VDD)とリード407との間にブリッジ接続される。コンデンサ14は、リード401とリード402(接地端子GND)との間にブリッジ接続される。コンデンサ16は、リード407とリード402(接地端子GND)との間にブリッジ接続される。リード407は、ボンディングワイヤ501によって、制御回路13の電源パッド201に接続される。これにより、電源端子VDDより入力される高周波ノイズを除去する高周波フィルタが形成される。
なお、イグナイタ1の内部構成のレイアウトは図6に示すものに限定されない。また、イグナイタ1は、SiPに収容される場合に限定されず、DiP(Dual In-line Package)やZIP(Zigzag In-line Package)に収容されてもよい。また、表面実装形のパッケージに収容されてもよい。
次に、イグナイタ1の製造方法の一例について、以下に説明する。
まず、各リード401~408となる部分が形成されたリードフレームを用意する。次に、リードフレームに、半導体基板200,600、コンデンサ14,16および抵抗15を実装する。
次に、ボンディングワイヤ509をボンディングする。このとき、図7に示すように、まず、ワイヤの一端をパッド601に接合する(ファーストボンディング)。そして、ワイヤを引き出しながらキャピラリCをリード406に移動させて、ワイヤをリード406に接合(セカンドボンディング)し、カッタによりワイヤを切断する。これにより、ボンディングワイヤ509が形成される。
次に、ボンディングワイヤ508をボンディングする。このとき、図8に示すように、まず、ワイヤの一端をリード406に接合する。このとき、リード406における、ボンディングワイヤ509の接合点509aよりx1方向かつy1方向の位置に、ワイヤが接合される(接合点508a参照)。そして、ワイヤを引き出しながらキャピラリCをリード402に移動させて、ワイヤをリード402に接合し、カッタによりワイヤを切断する。これにより、ボンディングワイヤ508が形成される。
次に、ボンディングワイヤ501~507をボンディングする。次に、リードフレーム、半導体基板200,600、コンデンサ14,16、抵抗15、および各ボンディングワイヤ501~509を覆う封止樹脂を、たとえばモールド成型により形成する。次に、リードフレームを適宜切断することにより、イグナイタ1が製造される。なお、各工程の順番は限定されない。例えば、ボンディングワイヤ501~507をボンディングした後に、ボンディングワイヤ509をボンディングしてもよい。
次に、イグナイタ1の作用について説明する。
本実施形態によれば、半導体基板600のパッド601とリード406とがボンディングワイヤ509によって接続される。また、リード406とリード402とがボンディングワイヤ508によって接続され、リード406とセンス入力パッド206とがボンディングワイヤ506によって接続される。つまり、ボンディングワイヤ508が電流検出用抵抗12として利用される。リード406およびボンディングワイヤ508は、パワーサイクルによる影響を受けにくい。したがって、パワーサイクルの影響でボンディングワイヤ509とパッド601との接合部分、または、パッド601自体が劣化した場合でも、電流検出用抵抗12の抵抗値が変化することは抑制される。これにより、点火確認部134の誤動作を抑制できる。
また、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ508の接合点508aはボンディングワイヤ509の接合点509aおよびボンディングワイヤ506の接合点506aよりx1方向側に配置され、ボンディングワイヤ508の接合点508bはボンディングワイヤ507の接合点507aよりx2方向側に配置される。また、ボンディングワイヤ508は、ループの高さ(z方向においてリード402から離れた部分とリード402との距離)が高くなるように形成される。これにより、ボンディングワイヤ508を長くして、抵抗値を高くできる。したがって、点火確認部134での検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ506の接合点506aは、ボンディングワイヤ508の接合点508aにできるだけ近くなるように配置される。これにより、接合点506aと接合点508aとの間のリード406の抵抗成分が、電流検出用抵抗12に含まれることを抑制できる。また、ボンディングワイヤ507の接合点507aは、ボンディングワイヤ508の接合点508bにできるだけ近くなるように配置される。これにより、接合点507aと接合点508bとの間のリード402の抵抗成分が、点火確認部134での電圧検出に与える影響を抑制できる。
また、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ509は、まずワイヤの一端をパッド601に接合し、次にワイヤをリード406に接合し、そしてカッタによりワイヤを切断することで形成される。リード406上でワイヤを切断するので、カッタで半導体基板600を傷つけることがない。また、ボンディングワイヤ508は、ボンディングワイヤ509を形成した後に形成される。ボンディングワイヤ508は、まずワイヤの一端をリード406に接合し、次にワイヤをリード402に接合し、そしてカッタによりワイヤを切断することで形成される。ボンディングワイヤ509のセカンドボンディングの後、同じリード402上でボンディングワイヤ508のファーストボンディングが行われる。キャピラリCを移動させる距離が短いので作業効率が良い。また、ボンディングワイヤ508の接合点508aは、ボンディングワイヤ509の接合点509aよりy1方向側に配置される。したがって、リード406からy2方向側に延びるボンディングワイヤ509が、ボンディングワイヤ508の形成の邪魔になることを防止できる。
また、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ501~507は、ボンディングワイヤ508,509がボンディングされた後に、半導体基板200から見てボンディングワイヤ508,509の内側にボンディングされる。したがって、ボンディングワイヤ501~507のボンディング時に、ボンディングワイヤ508,509が邪魔になりにくい。
また、本実施形態によれば、センス入力パッド206およびセンス接地パッド207は、y1方向の端部に配置され、センス入力パッド206のy方向の寸法y6がx方向の寸法x6より長く、センス接地パッド207のy方向の寸法y7がx方向の寸法x7より長い。したがって、y1方向側に延びるボンディングワイヤ506またはボンディングワイヤ507をボンディングしやすい。
<第2実施形態>
図9は、本開示の第2実施形態に係るイグナイタ1を示しており、イグナイタ1の内部構成のレイアウトの一例を示す平面図である。本実施形態のイグナイタ1は、リード406の位置が上述した実施形態と異なっている。本実施形態において、リード406は、リード402とリード406の間ではなく、パッケージのx1方向の端部でy1方向の端部に配置される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によると、ボンディングワイヤ508の長さを長くできるので、電流検出用抵抗12の抵抗値を大きくできる。なお、各リード401~408の配置は、第1、第2実施形態のものに限定されず、適宜設計される。
本開示に係るイグナイタおよび車両は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係るイグナイタおよび車両の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
〔付記1〕
入力電極、出力電極および制御電極を有するスイッチ素子と、
前記スイッチ素子が前記入力電極を接して実装され、かつ、イグニッションコイルの一次コイルと接続される第1リードと、
接地される第2リードと、
前記第1リードおよび前記第2リードから隔離された第3リードと、
前記出力電極と前記第3リードとを接続する第1ボンディングワイヤと、
前記第3リードと前記第2リードとを接続する第2ボンディングワイヤと、
エンジン制御装置から入力される点火指示信号に基づいて前記スイッチ素子を駆動させ、前記第3リードの電圧に基づいて前記エンジン制御装置に出力する点火確認信号を生成する制御ICと、
を備えることを特徴とするイグナイタ。
〔付記2〕
前記第2ボンディングワイヤはAlからなる、
付記1に記載のイグナイタ。
〔付記3〕
前記第3リードは、前記第1リードと前記第2リードとの間に配置される、
付記1または2に記載のイグナイタ。
〔付記4〕
前記制御ICは、
前記第2リードに実装され、
前記第3リードの電圧を入力される第1パッドと、
接地される第2パッドと、
を備え、
前記第1パッドと前記第2パッドとは、前記第1リードと前記第2リードとが並ぶ第1方向に並んでいる、
付記1ないし3のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記5〕
前記第2ボンディングワイヤの前記第1方向の寸法は、前記制御ICの前記第1方向の寸法より大きい、
付記4に記載のイグナイタ。
〔付記6〕
前記第1方向において、前記第2ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点は、前記第1ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点より前記第1リード側に位置する、
付記4または5に記載のイグナイタ。
〔付記7〕
前記第1方向および前記第1リードの厚さ方向に直交する第2方向において、前記第2ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点は、前記第1ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点より前記制御ICとは反対側に位置する、
付記4ないし6のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記8〕
前記第1パッドと前記第3リードとを接続する第3ボンディングワイヤをさらに備える、
付記4ないし7のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記9〕
前記第2ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤより太い、
付記8に記載のイグナイタ。
〔付記10〕
前記第1方向および前記第1リードの厚さ方向に直交する第2方向において、前記第2ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点は、前記第3ボンディングワイヤの前記第3リードへの接合点より前記制御ICとは反対側に位置する、
付記8または9に記載のイグナイタ。
〔付記11〕
前記第2パッドと前記第2リードとを接続する第4ボンディングワイヤをさらに備え、
前記第1方向において、前記第2ボンディングワイヤの前記第2リードへの接合点は、前記第4ボンディングワイヤの前記第2リードへの接合点より、前記第1リードとは反対側に位置する、
付記4ないし10のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記12〕
前記第1パッドおよび前記第2パッドは、
前記第1方向および前記第1リードの厚さ方向に直交する第2方向において、前記制御ICの、前記第3リード側の端部に配置され、
前記第2方向の寸法が前記第1方向の寸法より長い、
付記4ないし11のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記13〕
前記第1リードの厚さ方向において、前記第2ボンディングワイヤが前記第3リードから最も離れた部分と前記第3リードとの距離は、前記第1ボンディングワイヤが前記第3リードから最も離れた部分と前記第3リードとの距離より長い、
付記1ないし12のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記14〕
前記スイッチ素子はIGBTであり、前記入力電極はコレクタ電極であり、前記出力電極はエミッタ電極であり、前記制御電極はゲート電極である、
付記1ないし13のいずれかに記載のイグナイタ。
〔付記15〕
付記1ないし14のいずれかに記載のイグナイタと、
点火プラグと、
前記第1リードに接続する一次コイル、および、前記点火プラグに接続する二次コイルを備えるイグニッションコイルと、
前記点火指示信号を生成し、前記イグナイタに出力するエンジン制御装置と、
を備えることを特徴とする車両。