JP7087464B2 - フェライト焼結磁石の製造方法、フェライト粒子の製造方法、及びボンド磁石の製造方法 - Google Patents

フェライト焼結磁石の製造方法、フェライト粒子の製造方法、及びボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フェライト焼結磁石の製造方法、フェライト粒子の製造方法、及びボンド磁石の製造方法に関する。
フェライト焼結磁石に用いられる磁性材料として、六方晶系の結晶構造を有するBaフェライト、Srフェライト及びCaフェライトが知られている。このようなフェライトの結晶構造としては、マグネトプランバイト型(M型)、及びW型等が知られている。これらの中でも、モータ用等の磁石材料として、主にM型フェライトが採用されている。M型フェライトは、通常AFe1219の一般式で表される。
フェライト焼結磁石の磁気特性の指標としては、一般に、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)が用いられる。従来、Br及びHcJを向上させる観点から、フェライトの構成元素とは異なる種々の元素をフェライトに添加することが試みられている。例えば、特許文献1では、Aサイトの元素の一部をCa及び希土類元素(R)で置換し、Feの一部をCoで置換することによって、磁気特性を改善することが試みられている。
国際公開第2008/146712号
フェライト焼結磁石の主な用途であるモータ及び発電機等は、各技術分野において小型化が図られつつある。このため、内部構造が複雑化し、磁石の設置スペースも小さくなりつつある。したがって、設置スペースを低減するために厚みを小さくすることが考えられる。しかしながら、厚みを小さくすると、反磁界によってフェライト焼結磁石が減磁することが懸念される。
本発明の目的は、高い保磁力を有するフェライト焼結磁石の製造方法、高い保磁力を有するフェライト粒子の製造方法、及び当該フェライト粒子を用いたボンド磁石の製造方法を提供することである。
(フェライト焼結磁石の製造方法)
本発明の一側面に係るフェライト焼結磁石の製造方法は、マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト焼結磁石の製造方法であって、フェライト相の原材料を含む混合物を仮焼きして、フェライト粒子を作製する仮焼工程と、フェライト粒子を含む中間材料を成形して、成形体を作製する成形工程と、ホウ酸を、仮焼きされる前の混合物、及び成形される前の中間材料のうち少なくともいずれか一方へ添加する添加工程と、成形体を焼結させる焼成工程と、を備え、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である。
フェライト相の原材料が、希土類元素Rの化合物、アルカリ土類金属元素Aの化合物、鉄の化合物、及びコバルトの化合物であってよく、Rが、希土類元素から選択される少なくとも一種の元素であってよく、Aが、カルシウム以外の少なくとも一種のアルカリ土類金属元素とカルシウムとの組合せ、又はカルシウムのみであってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対する希土類元素Rの化合物の割合が、Rの酸化物の質量換算で、5.5質量%以上19.9質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するアルカリ土類金属元素Aの化合物の割合が、Aの酸化物の質量換算で、1.7質量%以上7.6質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対する鉄の化合物の割合が、鉄の酸化物の質量換算で、45.3質量%以上87.4質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するコバルトの化合物の割合が、コバルトの酸化物の質量換算で、0.9質量%以上18.9質量%以下であってよく、フェライト相に含まれる金属成分が、R1-xFem-yCoと表されてよく、xが0.2≦x≦0.8を満たしてよく、yが0.1≦y≦0.65を満たしてよく、mが3≦m<14を満たしてよく、フェライト焼結磁石におけるホウ素の含有量が、Bの質量換算で、0.1質量%以上0.6質量%以下であってよい。
添加工程において、ホウ酸と二酸化ケイ素とが、混合物又は中間材料へ添加されてよく、ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む混合物全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく5質量%以下であってよく、又は、ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む中間材料全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく5質量%以下であってよい。
混合物全体又は中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.6質量%以上1.5質量%以下であってよい。
混合物全体又は中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.7質量%以上1.2質量%以下であってよい。
ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む混合物全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.2質量%未満であってよく、又は、ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む中間材料全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.2質量%未満であってよい。
仮焼きされる前の混合物、及び成形される前の中間材料のうち少なくともいずれか一方が水を含んでよい。
(フェライト粒子の製造方法)
本発明の一側面に係るフェライト粒子の製造方法は、マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト粒子の製造方法であって、フェライト相の原材料とホウ酸とを含む混合物を加熱して、フェライト粒子を作製する加熱工程を備え、ホウ酸を含む混合物全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である。
フェライト相の原材料が、希土類元素Rの化合物、アルカリ土類金属元素Aの化合物、鉄の化合物、及びコバルトの化合物であってよく、Rが、希土類元素から選択される少なくとも一種の元素であってよく、Aが、カルシウム以外の少なくとも一種のアルカリ土類金属元素とカルシウムとの組合せ、又はカルシウムのみであってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量に対する希土類元素Rの化合物の割合が、Rの酸化物の質量換算で、5.5質量%以上19.9質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量に対するアルカリ土類金属元素Aの化合物の割合が、Aの酸化物の質量換算で、1.7質量%以上7.6質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量に対する鉄の化合物の割合が、鉄の酸化物の質量換算で、45.3質量%以上87.4質量%以下であってよく、ホウ酸を含む混合物全体の質量に対するコバルトの化合物の割合が、コバルトの酸化物の質量換算で、0.9質量%以上18.9質量%以下であってよく、フェライト相に含まれる金属成分が、R1-xFem-yCoと表されてよく、xが0.2≦x≦0.8を満たしてよく、yが0.1≦y≦0.65を満たしてよく、mが3≦m<14を満たしてよく、フェライト粒子におけるホウ素の含有量が、Bの質量換算で、0.1質量%以上0.6質量%以下であってよい。
ホウ酸と二酸化ケイ素とが、混合物へ添加されてよく、ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む混合物全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく5質量%以下であってよい。
混合物全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.6質量%以上1.5質量%以下であってよい。
混合物全体の質量に対するホウ酸の割合が、0.7質量%以上1.2質量%以下であってよい。
ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む混合物全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.2質量%未満であってよい。
加熱される前の混合物が水を含んでよい。
(ボンド磁石の製造方法)
本発明の一側面に係るボンド磁石の製造方法は、フェライト粒子と樹脂とを含む成形体を作製する工程と、成形体中の樹脂を硬化する工程と、を備え、フェライト粒子が、上記の製造方法によって製造される。
本発明によれば、高い保磁力を有するフェライト焼結磁石の製造方法、高い保磁力を有するフェライト粒子の製造方法、及び当該フェライト粒子を用いたボンド磁石の製造方法を提供することができる。
本発明の幾つかの実施形態を以下に詳細に説明する。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
(フェライト粒子の製造方法、及びフェライト焼結磁石の製造方法)
本実施形態に係るフェライト焼結磁石の製造方法は、マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト焼結磁石の製造方法である。本実施形態に係るフェライト粒子の製造方法は、マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト粒子の製造方法ある。後述されるように、フェライト粒子の製造方法は、フェライト焼結磁石の製造方法の一部であってよい。
フェライト焼結磁石の製造方法は、少なくとも、添加工程、仮焼工程、成形工程及焼成工程を備える。仮焼工程では、フェライト相の原材料を含む混合物を仮焼きして、フェライト粒子(仮焼粉)を作製する。成形工程では、フェライト粒子を含む中間材料を成形して、成形体を作製する。焼成工程では、成形体を焼結させる。
添加工程では、ホウ酸(HBO)を、仮焼きされる前の混合物、及び成形される前の中間材料のうち少なくともいずれか一方へ添加する。つまり、添加工程は仮焼工程の前に実施されてよい。添加工程は仮焼工程の後(成形工程以前)に実施されてもよい。添加工程は仮焼工程の前後で実施されてもよい。ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合は、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である。仮焼きされる前の混合物、及び成形される前の中間材料のうち少なくともいずれか一方が水を含んでよい。添加工程では、ホウ酸の水溶液を、仮焼きされる前の混合物、及び成形される前の中間材料のうち少なくともいずれか一方へ添加してもよい。仮焼きされる前の混合物におけるホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である範囲に調整された場合、成形される前の中間材料に対してホウ酸は添加されてなくてよい。仮焼きされる前の混合物におけるホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である範囲を外れる場合、成形される前の中間材料におけるホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である範囲内に調整されてよい。例えば、仮焼工程前の混合物へ添加されたホウ酸の割合が、混合物全体に対して0.3質量%以下である場合、成形される前の中間材料に対してホウ酸を更に添加することにより、中間材料におけるホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である範囲内に調整されてよい。仮焼工程前の混合物へ添加されたホウ酸の割合が、混合物全体に対して2.5質量%を超える場合、成形される前の中間材料に対してフェライト相の原材料又は副成分の原材料(焼結助剤等)を更に添加することにより、中間材料におけるホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である範囲内に調整されてよい。
フェライト粒子の製造方法は、少なくとも、加熱工程を備える。加熱工程では、フェライト相の原材料とホウ素とを含む混合物を加熱して、フェライト粒子を作製する。ホウ酸を含む混合物全体の質量に対するホウ酸の割合は、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である。加熱される前の混合物が水を含んでよい。
フェライト焼結磁石の製造方法において添加工程が仮焼工程の前に実施される場合、フェライト焼結磁石の製造方法における仮焼工程は、フェライト粒子の製造方法における加熱工程に等しい。つまり、フェライト焼結磁石の製造方法において添加工程が仮焼工程の前に実施される場合、フェライト焼結磁石の製造方法における仮焼工程までの各工程は、フェライト粒子の製造方法と実質的に同じである。
フェライト相の原材料を含む混合物に対してホウ酸が添加されることにより、高い保磁力を有するフェライト粒子及びフェライト焼結磁石を得ることができる。またホウ酸を、フェライト粒子を含む中間材料に対してホウ酸が添加されることにより、高い保磁力を有するフェライト焼結磁石を得ることができる。以下では、フェライト相の原材料を含む混合物が、「原料混合物」と表記される。原料混合物へのホウ酸の添加がフェライト粒子及びフェライト焼結磁石其々の磁気特性(特に保磁力)を向上させる理由は、以下の通りであるが、必ずしも以下に限定されない。
水に対するホウ酸の溶解度は、水に対する酸化ホウ素(B)の溶解度よりも高い。例えば、25℃の水に対するホウ酸の溶解度は、5.7g/100ml程度であり、25℃の水に対する酸化ホウ素の溶解度は、3.6g/100ml程度である。したがって、ホウ酸を水と共に原料混合物と混合することにより、ホウ酸は酸化ホウ素よりも原料混合物中において均一に分子レベルで分散することができる。同様に、ホウ酸、水、及びフェライト粒子を含む中間材料中では、ホウ酸が酸化ホウ素よりも均一に分子レベルで分散することができる。またホウ酸の比重(1.5g/cm)は、酸化ホウ素の比重(1.9g/cm以上)よりも小さいことから、ホウ酸は酸化ホウ素に比べて攪拌混合によって容易に分散する。さらに、ホウ酸は酸化ホウ素に比べて比較的低温においても分解する。例えば、ホウ酸は171℃で分解するが、酸化ホウ素は450℃で分解する。したがって、未溶解のホウ酸が原料混合物中に残存していたとしても、仮焼き工程においてホウ酸は容易に分解して、ホウ素がフェライト粒子中に均一に分散し易い。同様の理由から、未溶解のホウ酸が中間材料中に残存していたとしても、焼成工程においてホウ酸は容易に分解して、ホウ素がフェライト焼結磁石中に均一に分散し易い。
上記のようなホウ酸と酸化ホウ素との違いがあるため、ホウ酸を用いる本実施形態では、フェライト粒子の粒子径のばらつきが抑制される。そして、粒子径がほぼ均一であるフェライト粒子が焼結することにより、均一な微細組織がフェライト焼結磁石内に形成される。
また、上述の通り、ホウ酸を含む混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合は、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下である。その結果、フェライト粒子又はフェライト焼結磁石におけるホウ素の含有量が、Bの質量換算で、0.1質量%以上0.6質量%以下に調整され易い。
以上の理由により、優れた磁気特性(特に高い保磁力)を有するフェライト粒子及びフェライト焼結磁石を得ることが可能となる。
フェライト粒子及びフェライト焼結磁石の保磁力が高まり易いことから、原料混合物全体又は中間材料全体の質量に対するホウ酸の割合は、0.6質量%以上1.5質量%以下、又は0.7質量%以上1.2質量%以下であってもよい。
添加工程において、ホウ酸と二酸化ケイ素(SiO)とが、混合物又は中間材料へ添加されてよい。ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む混合物全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合は、0質量%よりも大きく5質量%以下、又は0質量%よりも大きく0.2質量%未満であってよい。または、ホウ酸及び二酸化ケイ素を含む中間材料全体の質量に対する二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく5質量%以下、又は0質量%よりも大きく0.2質量%未満であってよい。二酸化ケイ素が混合物へ添加されることにより、仮焼工程においてフェライト相の原材料が焼結し易く、高い保磁力を有するフェライト粒子が得られ易い。つまり、二酸化ケイ素は焼結助剤として機能する。二酸化ケイ素が中間材料へ添加されることにより、焼成工程において成形体中のフェライト粒子が互いに焼結し易く、高い保磁力を有するフェライト焼結磁石が得られやすい。
仮焼きされる前の混合物における二酸化ケイ素の割合が、上記の範囲内に調整されている場合、成形される前の中間材料に対して二酸化ケイ素は添加されなくてよい。仮焼きされる前の混合物における二酸化ケイ素の割合が、上記の範囲を外れる場合、成形される前の中間材料における二酸化ケイ素の割合が、上記の範囲内に調整されてよい。例えば、仮焼工程前の混合物へ添加された二酸化ケイ素の割合が小さすぎる場合、成形される前の中間材料に対して二酸化ケイ素を更に添加することにより、中間材料における二酸化ケイ素の割合が上記の範囲内に調整されてよい。仮焼工程前の混合物へ添加された二酸化ケイ素の割合が大きすぎる場合、成形される前の中間材料に対してフェライト相の原材料、副成分の原材料又はホウ酸等を更に添加することにより、中間材料における二酸化ケイ素の割合が上記の範囲内に調整されてよい。
各工程の詳細は以下の通りである。
フェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、仮焼工程(加熱工程)、粉砕工程、成形工程及び焼成工程を備えてよい。上述の通り、フェライト焼結磁石の製造方法において添加工程が仮焼工程の前に実施される場合、フェライト焼結磁石の製造方法における配合工程及び仮焼工程は、フェライト粒子の製造方法に相当する。
配合工程では、フェライト相を形成するための複数の原材料を配合して、原料混合物を得る。配合工程において、ホウ酸が原料混合物へ添加されてよい。つまり、配合工程は、添加工程を兼ねていてよい。
フェライト相の原材料は、希土類元素Rの化合物、アルカリ土類金属元素Aの化合物、鉄(Fe)の化合物、及びコバルト(Co)の化合物であってよい。Rは、希土類元素から選択される少なくとも一種の元素であってよい。つまりRは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。Aは、カルシウム以外の少なくとも一種のアルカリ土類金属元素とカルシウムとの組合せであってよい。カルシウム以外のアルカリ土類金属元素は、Sr及びBaのうち少なくともいずれかであってよい。Aは、カルシウムのみであってもよい。原料化合物は、例えば、R、A、Fe及びCo其々の酸化物、又は焼成によりこれらの酸化物となる化合物(炭酸塩、水酸化物、又は硝酸塩等)であってよい。具体的な原料化合物としては、例えばSrCO、La(OH)、Fe、BaCO、CaCO及びCo等が例示される。原料化合物は、例えば粉末であることが好ましい。原料化合物の粉末の平均粒径は、例えば、原料化合物の配合を容易にする観点から、例えば0.1~2.0μm程度であってよい。
上記の原材料から形成されるフェライト相(マグネトプランバイト型フェライト)に含まれる金属成分は、下記一般式(I)で表されてよい。一般式(I)中の原子比率x(モル比)は、下記式(1)を満たしてよい。一般式(I)中の原子比率y(モル比)は、下記式(2)を満たしてよい。一般式(I)中の原子比率m(モル比)は、下記式(3)を満たしてよい。
1-xFem-yCo (I)
0.2≦x≦0.8 (1)
0.1≦y≦0.65 (2)
3≦m<14 (3)
フェライト相(マグネトプランバイト型フェライト)は、R1-xFem-yCoの酸化物である。例えば、マグネトプランバイト型フェライトは下記式(Ia)で表されてよい。下記式(Ia)のx、y及びm其々は、上記式(I)のx、y及びmと同じである。マグネトプランバイト型フェライトの六方晶構造が成り立つ限りにおいて、下記式(Ia)におけるOの原子比率z(モル比)は限定されない。zは、例えば、11<z<27を満たしてよい。zは19であってもよい。フェライト粒子又はフェライト焼結磁石の一部分において、zが19の近傍でばらついてもよい。
1-xFem-yCo (Ia)
ホウ酸を含む原料混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対する希土類元素Rの化合物の割合は、Rの酸化物の質量換算で、5.5質量%以上19.9質量%以下であってよい。Rの化合物の割合が5.5質量%以上19.9質量%以下であることにより、上記一般式(I)及び(Ia)中におけるRの原子比率(1-x)が、0.2≦1-x≦0.8の範囲に調整され易い。
ホウ酸を含む原料混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するアルカリ土類金属元素Aの化合物の割合は、Aの酸化物の質量換算で、1.7質量%以上7.6質量%以下であってよい。Aの化合物の割合が1.7質量%以上7.6質量%以下であることにより、上記一般式(I)及び(Ia)中におけるAの原子比率xが、0.2≦x≦0.8の範囲に調整され易く、Rの原子比率(1-x)が、0.2≦1-x≦0.8の範囲に調整され易い。
ホウ酸を含む原料混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対する鉄の化合物の割合は、鉄の酸化物の質量換算で、45.3質量%以上87.4質量%以下であってよい。鉄の酸化物の割合が45.3質量%以上87.4質量%以下であることのより、上記一般式(I)及び(Ia)中におけるFeの原子比率(m-y)が、2.35≦m-y<13.9の範囲に調整され易い。
ホウ酸を含む原料混合物全体の質量、又はホウ酸を含む中間材料全体の質量に対するコバルトの化合物の割合は、コバルトの酸化物の質量換算で、0.9質量%以上18.9質量%以下であってよい。コバルトの酸化物の割合が0.9質量%以上18.9質量%以下であることより、上記一般式(I)及び(Ia)中におけるCoの原子比率yが0.1≦y≦0.65の範囲に調整され易く、Feの原子比率(m-y)が、2.35≦m-y<13.9の範囲に調整され易い。
配合工程では、フェライト相の各原材料の配合比(質量比)が、一般式(I)及び(Ia)で表される組成に一致するように、各原材料とホウ酸とが混合されてよい。混合された各原材料及びホウ酸が、湿式アトライタ、ボールミル等を用いて、0.1~20時間程度、混合・粉砕されることにより、原料混合物が得られる。配合工程では、必要に応じて、副成分の原料化合物(元素単体又は酸化物等)が原料混合物へ配合してもよい。湿式の方法で、各原材料、水及びホウ酸を混合・粉砕することより、ホウ酸が均一に分散した原料混合物が得られ易い。
仮焼工程(加熱工程)では、配合工程で得られた原料混合物を仮焼する。仮焼工程により、顆粒状又は塊状の仮焼粉(粗大なフェライト粒子)が得られる。仮焼は、例えば、空気等の酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。仮焼の温度は、1100~1400℃、1100~1300℃、又は1100~1250℃であってよい。仮焼の時間は、1秒間~10時間、又は1秒間~3時間であってよい。仮焼により得られる仮焼粉(フェライト粒子)におけるフェライト相(M相)の比率は、例えば70体積%以上であってよく、75体積%以上であってもよい。このフェライト相の比率は、フェライト焼結磁石におけるフェライト相の比率と同様の方法で求められる。
粉砕工程では、仮焼粉を粉砕する。粉砕工程は、例えば、仮焼粉を粗く粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕工程に続いて仮焼粉を更に微細に粉砕する微粉砕工程と、を有してよい。つまり、粉砕工程を2段階で行ってもよい。
粗粉砕工程では、例えば、振動ミル等を用いてよい。仮焼粉の粗粉砕によって得られる粉末(粗粉砕材)の平均粒径は、0.5~5.0μmであってよい。微粉砕工程では、粗粉砕材が、さらに湿式アトライタ、ボールミル、ジェットミル等によって粉砕される。微粉砕によって得られる微粉砕材の平均粒径は、0.08~2.0μm、0.1~1.0μm、又は0.2~0.8μm程度であってよい。微粉砕材の比表面積(BET比表面積)は、7~12m/g程度であってよい。好適な粉砕時間は、粉砕方法によって異なる。例えば湿式アトライタの場合、粉砕時間は30分間~10時間であってよい。ボールミルによる湿式粉砕の時間は10~50時間程度であってよい。
湿式の方法で粉砕工程を実施することにより、仮焼粉(フェライト粒子)、水及びホウ酸が混合・粉砕され、ホウ酸が均一に分散した中間材料が得られ易い。
仮焼きされる前の原料混合物にホウ酸が添加されている場合、以上の工程により、フェライト粒子が完成される。フェライト粒子からフェライト焼結磁石を形成する場合、更に以下の工程が実施される。
フェライト粒子からフェライト焼結磁石を形成する場合、粉砕工程に先立って、ホウ酸が仮焼粉へ添加されてよい。つまり、仮焼工程と粉砕工程との間の時点において、上記の添加工程が実施されてよい。粉砕工程に先立って、ホウ酸だけではなく二酸化珪素も仮焼粉へ添加されてよい。粗粉砕工程と微粉砕工程との間の時点において、ホウ酸が仮焼粉へ添加されてよい。つまり粗粉砕工程と微粉砕工程との間の時点において、上記の添加工程が実施されてもよい。粗粉砕工程と微粉砕工程との間の時点において、ホウ酸だけではなく二酸化珪素も仮焼粉へ添加されてよい。
微粉砕工程では、焼成工程で得られる焼結体(フェライト焼結磁石)の磁気的配向度を高めるため、例えば一般式C(OH)n+2で示される多価アルコールが粗粉砕材へ添加されてよい。多価アルコール一般式中のnは、4~100、4~30、4~20又は4~12であってよい。多価アルコールとしては、例えばソルビトールが挙げられる。また、2種類以上の多価アルコールを併用してもよい。さらに、多価アルコールに加えて、他の分散剤を併用してもよい。
多価アルコールの添加量は、添加の対象物(例えばフェライト粒子)に対して、0.05~5.0質量%、0.1~3.0質量%、又は0.2~2.0質量%であってよい。なお、微粉砕工程で添加した多価アルコールは、後述する焼成工程で熱分解により除去される。
以上の工程により、少なくともフェライト粒子を含む中間材料が得られる。中間材料は、フェライト粒子に加えて、ホウ酸、焼結助剤(二酸化珪素又は炭酸カルシウム等)、水、多価アルコール、及び分散剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよい。中間材料は、水を含むスラリーであってもよい。
成形工程では、フェライト粒子を含む中間材料を、磁場中で成形して、成形体を得る。成形は、乾式成形及び湿式成形のいずれの方法でも行うことができる。磁気的配向度を高める観点からは、湿式成形が好ましい。
湿式成形の場合、例えば上述の微粉砕工程を湿式で行うことで、フェライト粒子を含む中間材料のスラリーを得た後、このスラリーを濃縮して、湿式成形用スラリーを得る。この湿式成形用スラリーが成形される。スラリーの濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行うことができる。湿式成形用スラリーにおけるフェライト粒子(微粉砕材)の含有量は30~80質量%であってよい。スラリーにおいて、フェライト粒子を分散する分散媒としては水が好ましい。この場合、スラリーには、グルコン酸、グルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤をスラリーへ添加してもよい。また、分散媒としては非水系溶媒を使用してもよい。非水系溶媒としては、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を非水系溶媒へ添加することが好ましい。乾燥されたフェライト粒子に分散媒等を添加することによって、湿式成形用スラリーが調製されてもよい。
湿式成形用スラリーを磁場中で成形する場合、成形圧力は、9.8~49MPa(0.1~0.5ton/cm)程度であってよく、印加する磁場は398~1194kA/m(5~15kOe)程度であってよい。
焼成工程では、成形工程で得られた成形体を焼結させて、焼結体(フェライト焼結磁石)を得る。つまり、成形体を構成する無数のフェライト粒子(微粉砕材)が互いに焼結することにより、フェライト焼結磁石が形成される。
焼成は、大気等の酸化性雰囲気中で行うことができる。焼成温度は、1050~1270℃、又は1080~1240℃であってよい。焼成時間(焼成温度を維持する時間)は、0.5~3時間程度であってよい。
湿式成形によって作製された成形体を充分に乾燥させずに焼成した場合、急激な加熱により、成形体中の分散媒等が激しく揮発して成形体にクラックが発生する可能性がある。クラックを抑制する観点から、成形体を上記の焼成温度で加熱する前に、例えば室温から100℃程度まで、0.5℃/分程度の昇温速度で加熱して成形体を充分に乾燥させてよい。成形体が界面活性剤(分散剤)等を含む場合、例えば、100~500℃程度の温度範囲において、2.5℃/分程度の昇温速度で成形体を加熱して、界面活性剤(分散剤)等を除去してよい(脱脂処理)。これらの加熱処理は、焼成工程の開始時に実施されてよく、焼成工程よりも前に別工程として実施されてもよい。
以上の工程により、フェライト焼結磁石が完成される。
上述の成形工程及び焼成工程は、以下の手順で行われてもよい。
成形工程は、CIM(Ceramic Injection Molding(セラミック射出成形)成形法、又は、PIM(Powder Injection Molding、粉末射出成形の一種)で行ってもよい。CIM成形法では、まず、乾燥させた中間材料(フェライト粒子)をバインダ樹脂とともに加熱混練してペレットを形成する。このペレットを、磁場が印加された金型内で射出成形して予備成形体を得る。この予備成形体を脱バインダ処理することによって成形体が得られる。より詳細な手順を以下に説明する。
湿式粉砕で得られた中間材料のスラリー(フェライト粒子を含むスラリー)を乾燥させる。乾燥温度は、好ましくは80~150℃、より好ましくは100~120℃である。乾燥時間は、好ましくは1~40時間、より好ましくは5~25時間である。乾燥後の中間材料(フェライト粒子)の一次粒子の平均粒径は、好ましくは0.08~2μm、より好ましくは0.1~1μmである。
乾燥後の中間材料を、バインダ樹脂、ワックス類、滑剤、可塑剤、及び昇華性化合物等の有機成分と共に混練し、ペレタイザなどで、ペレットに成形する。成形体中の有機成分の割合は、好ましくは35~60体積%、より好ましくは40~55体積%である。混練は、例えば、ニーダーなどで行えばよい。ペレタイザとしては、例えば、2軸1軸押出機が用いられる。混練及びペレット成形は、使用する有機成分の溶融温度に応じて、加熱しながら実施してもよい。
バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂などの高分子化合物が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アタクチックポリプロピレン、アクリルポリマー、ポリスチレン、及びポリアセタール等が挙げられる。
ワックス類としては、カルナバワックス、モンタンワックス、蜜蝋などの天然ワックス以外に、パラフィンワックス、ウレタン化ワックス、及びポリエチレングリコール等の合成ワックスが用いられる。
滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステルが挙げられる。
バインダ樹脂の添加量は、フェライト粒子100質量%に対して、好ましくは3~20質量%である。ワックス類の添加量は、フェライト粒子100質量%に対して、好ましくは3~20質量%である。滑剤の添加量は、フェライト粒子100質量%に対して、好ましくは0.1~5質量%である。可塑剤の添加量は、バインダ樹脂100質量%に対して、好ましくは0.1~5質量%である。
次に、磁場射出成形装置を用いて、ペレットを金型内に射出して成形する。ペレットが金型への射出前に、金型は閉じられ、金型の内部にキャビティが形成された状態で磁場が金型へ印加される。押出機の内部で、ペレットは160~230℃に加熱溶融され、スクリューにより金型のキャビティ内に射出される。金型の温度は、20~80℃であってよい。金型へ印加される磁場は398~1592kA/m(5~20kOe)であってよい。このような射出成形により、予備成形体が得られる。
得られた予備成形体を、大気中又は窒素中において100~600℃の温度で熱処理して、脱バインダ処理を行って成形体を得る。複数種の有機成分を使用している場合、脱バインダ処理を複数回に分けて実施してもよい。
焼成工程では、脱バインダ処理を経た成形体を大気中で焼結して、フェライト焼結磁石を得る。焼成温度は、好ましくは1100~1250℃、より好ましくは1160~1230℃の温度であってよく、焼成時間は0.2~3時間程度であってよい。
(ボンド磁石の製造方法)
本実施形態におけるボンド磁石の製造方法は、上述の方法で製造されたフェライト粒子と樹脂とを含む成形体を作製する工程と、成形体中の樹脂を硬化して、ボンド磁石を得る工程と、を備える。例えば、上記の成形工程によって作製された成形体に熱硬化性樹脂を含浸させ、成形体中の熱硬化性樹脂を加熱により硬化することにより、ボンド磁石が得られる。ボンド磁石の製造方法の詳細は、以下の通りである。
成形体を、容器内の樹脂含有溶液へ浸漬する。成形体及び樹脂含有溶液が容れられた容器を密閉する。密閉された容器内の減圧によって、成形体を脱泡して、樹脂含有溶液を成形体内の空隙内へ浸透させる。脱泡後の成形体を樹脂含有溶液中から取り出し、成形体の表面に付着した余剰の樹脂含有溶液を取り除く。余剰の樹脂含有溶液を取り除くには遠心分離機などを用いればよい。
成形体を樹脂含有溶液に浸漬する前に、成形体及び溶剤(トルエン等)を密閉容器中に入れて、容器内を減圧しながら、成形体を溶剤に浸漬することによって、成形体の脱泡が促進される。その結果、樹脂が成形体へ浸透し易く、成形体中の空隙が減り易い。
ボンド磁石の製造方法は、上述の例に限定されない。例えば、フェライト粒子と樹脂とを混合してコンパウンドを作製し、コンパウンドを磁場中で成形して、フェライト粒子と樹脂とを含む成形体を作製してもよい。
(フェライト焼結磁石及びフェライト粒子)
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子は、マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相(主相)を有する。主相とは、フェライト焼結磁石及びフェライト粒子に最も多く含まれる結晶相をいう。フェライト焼結磁石及びフェライト粒子は、主相とは異なる結晶相(異相)を有していてもよい。
フェライト相に含まれる金属成分は、下記一般式(I)で表され、且つ下記式(1)、(2)及び(3)を満たす。一般式(I)におけるx、y及びmは原子比率(モル比)である。上述の通り、一般式(I)中のRは、希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素である。AはSr及びBaから選択される少なくとも一種とCaとの組合せであってよい。Aは、Caのみであってもよい。
1-xFem-yCo (I)
0.2≦x≦0.8 (1)
0.1≦y≦0.65 (2)
3≦m<14 (3)
一般式(I)におけるxは、保磁力を一層高くする観点から、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。xは、同様の観点から、0.25以上であってもよく、0.3以上であってもよい。一般式(I)におけるyは、磁気特性を一層高くする観点から、0.6以下であってもよく、0.5以下であってもよい。一般式(I)におけるyは、同様の観点から、0.15以上であってもよく、0.2以上であってもよい。一般式(I)におけるmは、保磁力を一層高くする観点から、4以上であってもよく、5以上であってもよい。一般式(I)におけるmは、同様の観点から、13以下であってもよく、12以下であってもよい。
磁気特性を高くする観点から、一般式(I)におけるAは、主成分としてCa及びSrを含むことが好ましい。AはCa及びSrのみからなっていてもよい。磁気特性を高くする観点から、AはCaのみであってもよい。
フェライト相に含まれる金属成分は、下記一般式(II)で表されてもよく、且つ下記式(4)、(5)、(6)及び(7)を満たしてよい。つまり、一般式(II)におけるx1、x2、y及びmは、原子比率(モル比率)を示している。式(I)におけるxは、一般式(II)におけるx1+x2に等しい。一般式(II)中のRは、希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素である。一般式(II)中のEはSr及びBaからなる群より選択される少なくとも一種の元素を示す。
1-x1-x2Cax1x2Fem-yCo (II)
0.1≦x1≦0.65 (4)
0≦x2<0.5 (5)
0.1≦y≦0.65 (6)
3≦m<14 (7)
一般式(II)におけるx1は、保磁力を一層高くする観点から、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。x1は、同様の観点から、0.20以上であってもよく、0.3以上であってもよい。一般式(II)におけるx2は、保磁力を一層高くする観点から、0.4以下であってもよく、0.3以下であってもよい。一般式(II)におけるx2は、0であってもよい。
一般式(II)におけるyは、磁気特性を一層高くする観点から、0.6以下であってもよく、0.5以下であってもよい。一般式(II)におけるyは、同様の観点から、0.15以上であってもよく、0.2以上であってもよい。一般式(II)におけるmは、保磁力を一層高くする観点から、4以上であってもよく、5以上であってもよい。一般式(II)におけるmは、同様の観点から、13以下であってもよく、12以下であってもよい。
一般式(I)及び一般式(II)に示される各元素の含有比率は、蛍光X線分析によって測定することができる。なお、一般式(I)及び一般式(II)に示される各元素の含有比率は、上述の原料混合物における各元素の割合と同一であってよい。ホウ素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP発光分光分析)で測定することができる。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子におけるBの含有量はB換算で0.1~0.6質量%であってよい。磁気特性を一層高くする観点から、Bの上記含有量は、0.5質量%以下であってもよく、0.4質量%以下であってもよい。同様の観点から、Bの上記含有量は、0.1質量%以上であってもよく、0.14質量%以上であってもよく、0.2質量%を超えていてもよい。
一般式(II)におけるEは、磁気特性を高くする観点から、主成分としてSrを含むことが好ましい。EはSrのみからなっていてもよい。
一般式(I)及び一般(II)におけるRは、La、Ce、Pr、Nd及びSmからなる群より選ばれる一種以上の元素を含むことが好ましい。RはLaを含むことがより好ましい。RはLaのみからなっていてもよい。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子は、上記一般式(I)又は(II)に示されていない元素を副成分として含有していてもよい。副成分としては、Si及びNaが挙げられる。これらの副成分は、例えば、それぞれの酸化物又は複合酸化物としてフェライト焼結磁石及びフェライト粒子に含まれてよい。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子におけるSiの含有量は、SiOの質量換算で、例えば、0~3質量%であってもよい。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子におけるNaの含有量は、NaOの質量換算で、例えば0~0.2質量%、0.01~0.15質量%、又は0.02~0.1質量%であってよい。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子は、上述の成分の他に、不可避的な不純物を含んでよい。こ不可避的な不純物としては、例えば、Ti(チタン),Cr(クロム),Mn(マンガン),Mo(モリブデン),V(バナジウム)及びAl(アルミニウム)等が挙げられる。これらの成分はそれぞれの酸化物又は複合酸化物としてフェライト焼結磁石及びフェライト粒子に含まれていてよい。上述の副成分、不純物及び不可避的成分の含有量は、蛍光X線分析、又はICP発光分光分析によって測定することができる。副成分は、フェライト焼結磁石におけるフェライト結晶粒の粒界に偏析して異相を構成してもよい。
フェライト焼結磁石におけるフェライト粒子(フェライト相を含む結晶粒)の平均粒径は、例えば5μm以下であってもよく、4.0μm以下であってもよく、0.5~3.0μmであってもよい。フェライト粒子が上記の平均粒径を有することで、保磁力を一層高くすることができる。フェライト焼結磁石中の結晶粒の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)で、フェライト焼結磁石の断面を観察することにより、測定されてよい。数百個の結晶粒を含む断面の画像の画像処理により、断面に含まれる結晶粒の個数基準の粒径分布が測定される。この粒径分布から、結晶粒の個数基準の平均粒径が算出される。粉末状のフェライト粒子の平均粒子径は、例えば、粒度分布計によって測定されてよい。
フェライト焼結磁石及びフェライト粒子の保磁力は、例えば、好ましくは4900Oe以上であり、より好ましくは5000Oe以上である。フェライト焼結磁石の残留磁束密度は、好ましくは3000G以上であり、より好ましくは3500G以上である。
フェライト焼結磁石の形状は、限定されない。例えば、フェライト焼結磁石の形状は、アークセグメント形、C字形、瓦形、平板、多角柱、円柱及び弓形からなる群より選ばれる一種であってよい。
(ボンド磁石)
ボンド磁石は、硬化された樹脂と、樹脂を介して互いに結着された複数の上記フェライト粒子とを含有する。樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、多芳香族環を有する樹脂、トリアジン環を有する樹脂(トリアジン樹脂)等の熱硬化性樹脂であってよい。樹脂は、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ナイロン等のポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン-エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂を含んでもよい。
ボンド磁石における樹脂の含有率は、優れた磁気特性と、優れた機械的強度(磁石の形状の安定性)とを両立させる観点から、例えば0.5~10質量%であってもよく、1~5質量%であってもよい。同様の観点から、ボンド磁石におけるフェライト粒子の含有率は、例えば90~99.5質量%であってもよく、95~99質量%であってもよい。ボンド磁石における樹脂の含有率は、製造に用いる樹脂含溶液中の樹脂の濃度、又は成形工程における成形圧力等によって調整される。
ボンド磁石の形状は、限定されない。例えば、ボンド磁石の形状は、アークセグメント形、C字形、瓦形、平板、多角柱、円柱及び弓形からなる群より選ばれる一種であってよい。
(フェライト焼結磁石及びボンド磁石の用途)
本実施形態に係るフェライト焼結磁石及びボンド磁石は、高い保磁力を有する。したがいって、小型のモータ及び発電機へ搭載するために、フェライト焼結磁石及びボンド磁石が薄く加工されたとしても、モータ又は発電機等の効率を十分に高水準に維持することができる。
フェライト焼結磁石及びボンド磁石は、例えば、フューエルポンプ用、パワーウィンドウ用、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータの磁石として使用することができる。また、FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD/DVD/MDスピンドル用、CD/DVD/MDローディング用、CD/DVD光ピックアップ用等のOA/AV機器用モータの磁石として、フェライト焼結磁石及びボンド磁石を使用することができる。さらに、エアコンコンプレッサー用、冷凍庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータの磁石としても、フェライト焼結磁石及びボンド磁石を使用することができる。さらにまた、ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータの磁石としても、フェライト焼結磁石及びボンド磁石を使用することができる。
本発明の内容を実施例及び比較例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[フェライト焼結磁石の製造]
<配合工程及び添加工程>
フェライト相用の原材料として、水酸化ランタン(La(OH))、酸化コバルト(Co)、酸化鉄(Fe)、炭酸カルシウム(CaCO)を準備した。これらの原材料とホウ酸(HBO)と二酸化ケイ素(SiO)と水を、湿式アトライタを用いて10分間混合及び粉砕することにより、原料混合物のスラリーを調製した。下記の通り、原料混合物中の各原材料の割合は、下記表1に示されるフェライト相の金属成分(下記一般式(Ib)で表される成分)の組成に一致するように調整された。
La1-xCaFem-yCo (Ib)
原料混合物中のランタン化合物の割合は、Laの質量換算で、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。
原料混合物中のカルシウム化合物の割合は、CaOの質量換算で、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。
原料混合物中の鉄化合物の割合は、Feの質量換算で、下記表1に示される値(単位:質量%)であった。
原料混合物中のコバルト化合物の割合は、Coの質量換算で、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。
原料混合物中のホウ酸の割合(HBOの添加量)は、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。
原料混合物中の二酸化ケイ素の割合(SiOの添加量)は、0.19質量%に調整された。
<仮焼工程(加熱工程)>
上記の原料混合物のスラリーを乾燥した後、大気中において原料混合物を1280℃で2時間保持することにより、仮焼粉(粗いフェライト粒子)を得た。
<粉砕工程>
粗粉砕工程では、仮焼粉を、振動ミルで9分間粉砕して、仮焼粉のBET比表面積を0.5~1.5m/gの範囲に調整した。粗粉砕工程に続く微粉砕工程では、仮焼粉を湿式ボールミルで更に36時間粉砕して、フェライト粒子を含むスラリー(中間材料のスラリー)を得た。スラリー中のフェライト粒子のBET比表面積は7~10m/gの範囲内であった。
<成形工程>
中間材料のスラリーを遠心分離機で脱水して、スラリー中の固形分の濃度を73~76%の範囲内に調整して、湿式成形用のスラリーを得た。このスラリーを10kOeの印加磁場中で成形して、円柱状の成形体を得た。成形には、湿式磁場成型機を使用した。
<焼成工程>
成形体を、大気中において室温で十分に乾燥した。乾燥された成形体を大気中において1175℃で1時間保持することにより、焼結体(実施例1のフェライト焼結磁石)を得た。
[組成の分析]
XRF法及びICP発光分光法により、フェライト焼結磁石の組成を分析した。実施例1のフェライト焼結磁石に含まれる金属成分の組成は、上記一般式(1b)で表され、一般式(1b)中の1-x、x、m-y及びy其々の値は、下記表1に示される値であることが確認された。フェライト焼結磁石中のホウ素の含有量は、ホウ酸(HBO)の質量換算で、下記表1に示される値であることが確認された。フェライト焼結磁石中のホウ素の含有量は、ホウ素単体(B)の質量換算で、下記表1に示される値であることが確認された。フェライト焼結磁石中のホウ素の含有量は、酸化ホウ素(B)の質量換算で、下記表1に示される値であることが確認された。
[磁気特性の測定]
円柱状のフェライト焼結磁石の上面及び下面を加工した後、フェライト焼結磁石の残留磁束密度Br(mT)及び保磁力HcJ(kA/m)を測定した。測定には、最大印加磁場が25kOeであるB-Hトレーサを用いた。実施例1のBr、HcJ及び角形比(Hk/HcJ)は下記表1に示される。
(実施例2~9)
実施例2~9其々の原料混合物中のホウ酸の割合(HBOの添加量)は、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。原料混合物中のホウ酸の割合を除いて、実施例1と同様の方法で、実施例2~9其々のフェライト焼結磁石を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例2~9其々のフェライト焼結磁石の組成を分析した。分析の結果は、下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、実施例2~9其々のフェライト焼結磁石の磁気特性を測定した。測定の結果は、下記表1に示される。
(実施例10~17)
実施例10~17では、原料混合物中の各原材料(La化合物、Ca化合物、Fe化合物、Cо化合物)及びホウ酸の割合が、下記表1に示される各値(単位:質量%)に調整された。原料混合物の組成を除いて、実施例1と同様の方法で、実施例10~17其々のフェライト焼結磁石を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例10~17其々のフェライト焼結磁石の組成を分析した。分析の結果は、下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、実施例10~17其々のフェライト焼結磁石の磁気特性を測定した。測定の結果は、下記表1に示される。実施例1~17のいずれにおいても、500kA/m以上の十分に高いHcJを得ることができた。
(比較例1~3)
比較例1~3其々の原料混合物の調製には、ホウ素源として、ホウ酸ではなく酸化ホウ素(B)を用いた。比較例1~3其々の原料混合物中の酸化ホウ素の割合(添加量)は、下記表1に示される値(単位:質量%)に調整された。ホウ素源の組成及び添加量を除いて、実施例1と同様の方法で、比較例1~3其々のフェライト焼結磁石を作製した。実施例1と同様の方法で、比較例1~3其々のフェライト焼結磁石の組成を分析した。分析の結果は、下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、比較例1~3其々のフェライト焼結磁石の磁気特性を測定した。測定の結果は、下記表1に示される。
Figure 0007087464000001
本発明によれば、十分に高い保磁力を有するフェライト粒子、フェライト焼結磁石及びボンド磁石が提供される。高い保磁力を有するフェライト焼結磁石又は上記ボンド磁石は、例えば、モータ用の永久磁石に適用される。

Claims (9)

  1. マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト焼結磁石の製造方法であって、
    前記フェライト相の原材料を含む混合物を仮焼きして、フェライト粒子を作製する仮焼工程と、
    前記フェライト粒子を含む中間材料を成形して、成形体を作製する成形工程と、
    ホウ酸を、仮焼きされる前の前記混合物、及び成形される前の前記中間材料のうち少なくともいずれか一方へ添加する添加工程と、
    前記成形体を焼結させる焼成工程と、
    を備え、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量、又は前記ホウ酸を含む前記中間材料全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下であり、
    前記フェライト相の原材料が、希土類元素Rの化合物、アルカリ土類金属元素Aの化合物、鉄の化合物、及びコバルトの化合物であり、
    Rが、希土類元素から選択される少なくとも一種の元素であり、
    Aが、カルシウム以外の少なくとも一種のアルカリ土類金属元素とカルシウムとの組合せ、又はカルシウムのみであり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量、又は前記ホウ酸を含む前記中間材料全体の質量に対する前記希土類元素Rの化合物の割合が、Rの酸化物の質量換算で、5.5質量%以上19.9質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量、又は前記ホウ酸を含む前記中間材料全体の質量に対する前記アルカリ土類金属元素Aの化合物の割合が、Aの酸化物の質量換算で、1.7質量%以上7.6質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量、又は前記ホウ酸を含む前記中間材料全体の質量に対する前記鉄の化合物の割合が、鉄の酸化物の質量換算で、45.3質量%以上87.4質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量、又は前記ホウ酸を含む前記中間材料全体の質量に対する前記コバルトの化合物の割合が、コバルトの酸化物の質量換算で、0.9質量%以上18.9質量%以下であり、
    前記フェライト相に含まれる金属成分が、R 1-x Fe m-y Co と表され、
    xが0.2≦x≦0.8を満たし、
    yが0.1≦y≦0.65を満たし、
    mが3≦m<14を満たし、
    前記フェライト焼結磁石におけるホウ素の含有量が、B の質量換算で、0.1質量%以上0.6質量%以下であり、
    前記添加工程において、前記ホウ酸と二酸化ケイ素とが、前記混合物又は前記中間材料へ添加され、
    前記ホウ酸及び前記二酸化ケイ素を含む前記混合物全体の質量に対する前記二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.19質量%以下である、
    又は、
    前記ホウ酸及び前記二酸化ケイ素を含む前記中間材料全体の質量に対する前記二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.19質量%以下である、
    フェライト焼結磁石の製造方法。
  2. 前記混合物全体又は前記中間材料全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.6質量%以上1.5質量%以下である、
    請求項に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
  3. 前記混合物全体又は前記中間材料全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.7質量%以上1.2質量%以下である、
    請求項1又は2に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
  4. 仮焼きされる前の前記混合物、及び成形される前の前記中間材料のうち少なくともいずれか一方が水を含む、
    請求項1~のいずれか一項に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
  5. マグネトプランバイト型の結晶構造を有するフェライト相を含むフェライト粒子の製造方法であって、
    前記フェライト相の原材料とホウ酸とを含む混合物を加熱して、フェライト粒子を作製する加熱工程を備え、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.3質量%よりも大きく2.5質量%以下であり、
    前記フェライト相の原材料が、希土類元素Rの化合物、アルカリ土類金属元素Aの化合物、鉄の化合物、及びコバルトの化合物であり、
    Rが、希土類元素から選択される少なくとも一種の元素であり、
    Aが、カルシウム以外の少なくとも一種のアルカリ土類金属元素とカルシウムとの組合せ、又はカルシウムのみであり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量に対する前記希土類元素Rの化合物の割合が、Rの酸化物の質量換算で、5.5質量%以上19.9質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量に対する前記アルカリ土類金属元素Aの化合物の割合が、Aの酸化物の質量換算で、1.7質量%以上7.6質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量に対する前記鉄の化合物の割合が、鉄の酸化物の質量換算で、45.3質量%以上87.4質量%以下であり、
    前記ホウ酸を含む前記混合物全体の質量に対する前記コバルトの化合物の割合が、コバルトの酸化物の質量換算で、0.9質量%以上18.9質量%以下であり、
    前記フェライト相に含まれる金属成分が、R 1-x Fe m-y Co と表され、
    xが0.2≦x≦0.8を満たし、
    yが0.1≦y≦0.65を満たし、
    mが3≦m<14を満たし、
    前記フェライト粒子におけるホウ素の含有量が、B の質量換算で、0.1質量%以上0.6質量%以下であり、
    前記ホウ酸と二酸化ケイ素とが、前記混合物へ添加され、
    前記ホウ酸及び前記二酸化ケイ素を含む前記混合物全体の質量に対する前記二酸化ケイ素の割合が、0質量%よりも大きく0.19質量%以下である、
    フェライト粒子の製造方法。
  6. 前記混合物全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.6質量%以上1.5質量%以下である、
    請求項に記載のフェライト粒子の製造方法。
  7. 前記混合物全体の質量に対する前記ホウ酸の割合が、0.7質量%以上1.2質量%以下である、
    請求項5又は6に記載のフェライト粒子の製造方法。
  8. 加熱される前の前記混合物が水を含む、
    請求項5~7のいずれか一項に記載のフェライト粒子の製造方法。
  9. フェライト粒子を製造する工程と、
    前記フェライト粒子と樹脂とを含む成形体を作製する工程と、
    前記成形体中の樹脂を硬化する工程と、
    を備え、
    前記フェライト粒子が、請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される、
    ボンド磁石の製造方法。
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