JP7087162B2 - 粘着シート - Google Patents
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Description
ここに開示される粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の片面または両面に上記粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、上記粘着剤層が剥離ライナーに保持された形態等の基材レスの粘着シート(すなわち、非剥離性の基材を有しない粘着シート)であってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、ここに開示される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
(光透過率)
ここに開示される粘着シートを構成する粘着剤層は、光透過率が30%以下である。このような粘着剤層を有する粘着シートは、光漏れ防止に適した遮光性を有するものとなり得る。また、被着体の隠蔽や、粘着シート越しの被着体外観の調整(例えば外観ムラの抑制)に好適であり、意匠性を付与することができる。粘着剤層の光透過率は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であり、18%以下であってもよく、いくつかの好ましい態様では、粘着剤層の光透過率は12%未満であり、10%未満であってもよく、8.0%未満でもよく、6.0%未満でもよく、4.0%未満でもよく、3.0%未満でもよい。光透過率が低いほど優れた遮光性や隠蔽性を発揮することができる。上記光透過率の下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、後述する光反射率との両立の観点から、0.05%以上であってもよく、0.1%以上でもよく、1.0%以上でもよく、2.0%以上でもよく、5.0%以上でもよい。いくつかの態様では、粘着剤層の光透過率は8.0%以上であり、12%以上(例えば15%以上)でもよい。ある程度の光透過率を有することで、被着体を適度に隠蔽したり、被着体(例えば金属材料)の外観を調整したり、被着体の質感を残した意匠性を付与することができる。適度に光透過性を有する粘着剤層は、粘着特性の維持や、生産性等の観点からも好ましい。
また、粘着剤層の光反射率は8.0%以上である。上記のように光透過率が制限された粘着剤層は、入光量が制限されているが、そのような粘着剤層においても、粘着剤に進入した光は粘着剤内で屈折し、散乱するため、より高精度の光学制御を実現することは難しい場合がある。粘着剤層の光透過率を制限することに加えて、粘着剤層表面における光反射率を8%以上にして当該粘着面で光を反射し、粘着剤に入光する光を減少させることで、遮光性や減光性と、高精度の光学制御とを両立することができる。粘着剤層の光反射率は、好ましくは9.0%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上であり、14%以上(例えば16%以上)でもよい。上記光反射率の上限は、光透過率との関係で適当な範囲に設定されるので、特定の範囲に限定されず、例えば40%未満であり、30%以下であってもよく、20%以下(例えば15%以下)でもよい。
(ベースポリマー)
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。上記粘着剤は、粘着剤の分野において用いられ得るアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(天然ゴム、合成ゴム、これらの混合物等)、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の各種ゴム状ポリマーの1種または2種以上を粘着性ポリマー(粘着剤を形づくる構造ポリマーという意味で、以下「ベースポリマー」ともいう。)として含むものであり得る。粘着性能やコスト等の観点から、アクリル系ポリマーまたはゴム系ポリマーをベースポリマーとして含む粘着剤を好ましく採用し得る。なかでもアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。ここに開示される技術は、アクリル系粘着剤を用いる態様で好ましく実施される。
また、「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。したがって、この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。アクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーの合成に用いられる全モノマー成分のうちアクリル系モノマーの割合が50重量%より多いアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含み、該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含み得るモノマー原料の重合物が好ましい。ここで主モノマーとは、上記モノマー原料におけるモノマー組成の50重量%超を占める成分をいう。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
ここで、上記式(1)中のR1は水素原子またはメチル基である。また、R2は炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。以下、このような炭素原子数の範囲を「C1-20」と表すことがある。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、R2がC1-14(例えばC1-10、典型的にはC4-8)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとすることが適当である。粘着特性の観点から、R1が水素原子であってR2がC4-8の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレート(以下、単にC4-8アルキルアクリレートともいう。)を主モノマーとすることが好ましい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーの一好適例として、上記副モノマーとしてカルボキシ基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が例示される。なかでも、AA、MAAが好ましい。
他の好適例として、上記副モノマーとして水酸基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが挙げられる。水酸基含有モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでも好ましい水酸基含有モノマーとして、アルキル基が炭素原子数2~4の直鎖状であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
ここに開示される粘着剤層は、少なくとも2種類の着色剤(第1着色剤および第2着色剤)を含む。2種類以上の着色剤を使用することによって、光透過率30%以下、かつ光反射率8%以上を満足する粘着剤層を好ましく実現することができる。上記着色剤としては、粘着剤層内を進行する光を吸収することで減衰させ得る各種の材料や、粘着剤層内への入光量を減少させ得る各種の材料を用いることができる。着色剤は、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等の着色剤であり得る。上記着色剤は、典型的には粘着剤層の構成材料中に分散した状態(溶解した状態であってもよい。)で該粘着剤層に含まれ得る。着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。顔料としては、無機顔料や有機顔料が挙げられる。
粘着剤層に含まれる第1着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層内を進行する光を吸収し減衰させ得る成分であり、当該着色剤を粘着剤層に含有させることで、粘着剤層の光透過率を減少する成分(したがって「光透過率低減成分」ともいう。)であり得る。そのような第1着色剤としては、少量の着色剤により遮光性を効率よく調節し得ることから、黒色着色剤を好ましく使用し得る。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、アニリンブラック、ペリレンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、無機顔料ヘマタイト、活性炭、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤等が挙げられる。黒色着色剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粘着剤層に含まれる第2着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層内への入光量を減少させ得る成分であり、当該第2着色剤を粘着剤層に含有させることで、粘着剤層の光反射率を高める成分(したがって「光反射率向上成分」ともいう。)であり得る。そのような第2着色剤は、無機材料(例えば金属、金属化合物)、有機材料、有機-無機複合体のなかから選択される1種または2種以上であり得る。第2着色剤の具体例としては、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の炭酸化合物;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の水酸化物;珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等の珪酸化合物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等;等の無機材料や、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素-ホルマリン系樹脂、メラミン系樹脂等の有機材料等が挙げられる。これらは、白色着色剤と称されるものであり得る。第2着色剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、第2着色剤は、カーボンブラック粒子を含まず、カーボンブラック粒子とは異なる着色剤として定義され得る。典型的には、第2着色剤には、光吸収性の黒色着色剤は含まれない。
ここに開示される技術における粘着剤層には、粘着付与樹脂を含有させることができる。これにより、粘着シートの剥離強度を高めることができる。粘着付与樹脂としては、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等の、公知の各種粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。なかでも、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂が好ましく、フェノール系粘着付与樹脂(好適にはテルペンフェノール樹脂)がより好ましい。
テルペンフェノール樹脂とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。このようなテルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類の好適例としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する。)等のモノテルペン類が挙げられる。水素添加テルペンフェノール樹脂とは、このようなテルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する水素添加テルペンフェノール樹脂をいう。水添テルペンフェノール樹脂と称されることもある。
アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。アルキルフェノール樹脂の例としては、ノボラックタイプおよびレゾールタイプのものが挙げられる。
ロジンフェノール樹脂は、典型的には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する。)のフェノール変性物である。ロジンフェノール樹脂の例には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られるロジンフェノール樹脂が含まれる。
なお、上記水酸基価の値としては、JIS K0070:1992に規定する電位差滴定法により測定される値を採用することができる。
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成に用いられる粘着剤組成物は、必要に応じて架橋剤を含んでもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、従来公知の架橋剤から適宜選択して用いることができる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤がより好ましく、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。イソシアネート系架橋剤の使用により、粘着剤層の凝集力を得つつ、他の架橋系よりも優れた耐衝撃性が得られる傾向がある。また、イソシアネート系架橋剤の使用は、例えば、PET等のポリエステル樹脂製の被着体に対する接着力改善の点で有利である。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネート類の具体例としては、1,2-エチレンジイソシアネート;1,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
いくつかの好ましい態様に係る粘着剤層は防錆剤を含み得る。防錆剤としては、特に限定されず、アゾール系防錆剤、アミン化合物、亜硝酸塩類、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム-N-シクロヘキシルカルバメート(CHC)等が挙げられる。防錆剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤組成物には、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の粘着剤の分野において一般的な各種の添加剤が含まれていてもよい。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
ここに開示される粘着剤層(粘着剤からなる層)は、水系粘着剤組成物、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物、紫外線や電子線等のような活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層であり得る。水系粘着剤組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に粘着剤(粘着剤層形成成分)を含む形態の粘着剤組成物のことをいい、典型的には、水分散型粘着剤組成物(粘着剤の少なくとも一部が水に分散した形態の組成物)等と称されるものが含まれる。また、溶剤型粘着剤組成物とは、有機溶媒中に粘着剤を含む形態の粘着剤組成物のことをいう。溶剤型粘着剤組成物に含まれる有機溶媒としては、上述の溶液重合で用いられ得る有機溶媒(トルエンや酢酸エチル等)として例示した1種または2種以上を特に制限なく用いることができる。ここに開示される技術は、粘着特性等の観点から、溶剤型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える態様で好ましく実施され得る。溶剤型粘着剤組成物から形成された溶剤型粘着剤層を備える態様において、ここに開示される技術による屈折率向上効果は好ましく実現される。
ここに開示される粘着剤層は、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法を採用することができる。支持基材を有する構成の粘着シートでは、例えば、該支持基材に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を採用することができる。また、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、例えば、後述する剥離ライナーの表面を好ましく利用し得る。なお、ここに開示される粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、このような形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40~150℃程度とすることができ、60~130℃程度とすることが好ましい。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
ここに開示される粘着シートが片面粘着タイプまたは両面粘着タイプの基材付き粘着シートの形態である態様において、粘着剤層を支持(裏打ち)する基材としては、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン等が挙げられる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成、粘着シートの作製、使用前の粘着シートの保存、流通、形状加工等の際に、剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
(粘着力)
ここに開示される粘着シートの180度剥離強度(粘着力)は、使用目的や適用箇所に応じて異なり得るので、特定の範囲に限定されない。被着体に対して良好な接着性を得る観点から、粘着シートの粘着力は、例えば凡そ1.0N/25mm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ5.0N/25mm以上、より好ましくは凡そ10N/25mm以上であり、凡そ15N/25mm以上であってもよい。ここに開示される技術によると、粘着剤層が少なくとも2種類の着色剤を含み、所定値以下の光透過率および所定値以上の光反射率を有しつつ、上記の粘着力を実現することができる。上記粘着力の上限は特に限定されず、凡そ30N/25mm以下(例えば25N/25mm以下)であってもよい。上記粘着力は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。両面に粘着面を有する両面粘着シートの場合、各面における粘着力は同じであってもよく、異なっていてもよい。
特に限定されるものではないが、ここに開示される粘着シートは、例えば1.0MPa以上のせん断接着力を示すことが好ましい。かかるせん断接着力を示す粘着シートは、接着界面をずらそうとする力(すなわち、せん断力)に対して強い抵抗を示すので、被着体の保持性能に優れる。より高い保持性能を発揮する観点から、粘着シートのせん断接着力は、好ましくは1.8MPa以上、より好ましくは2.0MPa以上、さらに好ましくは2.2MPa以上である。上記せん断接着力の上限は特に制限されず、一般的には高いほど好ましい。一方、所定値以下の光透過率と所定値以上の光反射率とを実現しやすくする観点から、いくつかの態様において、上記せん断接着力は、例えば20MPa以下であってよく、10MPa以下でもよく、5MPa以下でもよく、3MPa以下でもよい。上記せん断接着力は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
特に限定されるものではないが、粘着シートは、光透過率が30%以下であることが好ましい。このような粘着シートは、光漏れ防止に適した遮光性を有するものとなり得る。また、被着体の隠蔽や、粘着シート越しの被着体外観の調整(例えば外観ムラの抑制)に好適であり、意匠性を付与することができる。粘着シートの光透過率は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であり、18%以下であってもよく、いくつかの好ましい態様では、粘着シートの光透過率は12%未満であり、10%未満であってもよく、8.0%未満でもよく、6.0%未満でもよく、4.0%未満でもよく、3.0%未満でもよい。光透過率が低いほど優れた遮光性や隠蔽性を発揮することができる。上記光透過率の下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、0.05%以上であってもよく、0.1%以上でもよく、1.0%以上でもよく、2.0%以上でもよく、5.0%以上でもよい。いくつかの態様では、粘着シートの光透過率は8.0%以上であり、12%以上(例えば15%以上)でもよい。ある程度の光透過率を有することで、被着体を適度に隠蔽したり、被着体(例えば金属材料)の外観を調整したり、被着体の質感を残した意匠性を付与することができる。適度に光透過性を有する粘着シートは、粘着特性の維持や、生産性等の観点からも好ましい。
また、粘着シートの光反射率は8.0%以上であることが好ましい。粘着剤層の光透過率を制限することに加えて、粘着シート表面における光反射率を8%以上にして当該粘着面で光を反射し、粘着剤に入光する光を減少させることで、遮光性や減光性と、高精度の光学制御とを両立することができる。粘着シートの光反射率は、好ましくは9.0%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上であり、14%以上(例えば16%以上)でもよい。上記光反射率の上限は、光透過率との関係で適当な範囲に設定されるので、特定の範囲に限定されず、例えば40%未満であり、30%以下であってもよく、20%以下(例えば15%以下)でもよい。
ここに開示される粘着シート(粘着剤層を含み、支持基材を有する構成ではさらに支持基材を含むが、剥離ライナーは含まない。)の総厚さは特に限定されない。粘着シートの総厚さは、例えば凡そ300μm以下とすることができ、薄型化の観点から、凡そ200μm以下が適当であり、凡そ100μm以下(例えば凡そ70μm以下)であってもよい。いくつかの好ましい態様では、粘着シートの厚さは凡そ50μm以下とすることができ、例えば凡そ35μm以下であってもよい。粘着シートの厚さの下限は特に限定されないが、凡そ1μm以上とすることができ、例えば凡そ3μm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ6μm以上、より好ましくは凡そ10μm以上(例えば凡そ15μm以上)、さらに好ましくは凡そ20μm以上である。所定値以上の厚さを有する粘着シートは、取扱い性がよく、接着性、耐衝撃性にも優れる傾向がある。なお、基材レスの粘着シートでは、粘着剤層の厚さが粘着シートの総厚さとなる。
ここに開示される粘着シートは、遮光性や減光性が求められる各種用途に好適である。例えば、携帯電子機器等の電子機器のなかには、画像表示等の目的から発光要素を含むものがあるため、粘着シートには、光漏れ等を防止するため、制限された光透過性(例えば遮光性)が求められ得る。また、粘着シートを利用して、部材の隠蔽や外観の調整等が求められ得る。そのような電子機器に対して、ここに開示される粘着シートは好適である。
〔1〕 カバー部材および有機ELユニットを含む表示部と、支持部と、を含む表示装置であって、
前記支持部には、粘着シートが接合されており、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、表示装置。
〔2〕 紫外線、可視光線および赤外線を含む波長領域のうち特定の波長領域の光線の発光素子および/または受光素子を含む光センサを内蔵する、上記〔1〕に記載の表示装置。
〔3〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔1〕または〔2〕に記載の表示装置。
〔4〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の表示装置。
〔5〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔4〕に記載の表示装置。
〔6〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔4〕または〔5〕に記載の表示装置。
〔7〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の表示装置。
〔8〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の表示装置。
〔9〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の表示装置。
〔10〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の表示装置。
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、粘着シート。
〔12〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔11〕に記載の粘着シート。
〔13〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔11〕または〔12〕に記載の粘着シート。
〔14〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔13〕に記載の粘着シート。
〔15〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔13〕または〔14〕に記載の粘着シート。
〔16〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔17〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔11〕~〔16〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔18〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔11〕~〔17〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔19〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔11〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔20〕 携帯電子機器において部材の接合に用いられる、上記〔11〕~〔19〕のいずれかに記載の粘着シート。
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔22〕 光透過性を有する部材(第2部材)と、粘着シートと、を備える積層体であって、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔23〕 金属部材(第1部材)と、粘着シートと、光透過性を有する部材(第2部材)とを、この順で備える積層体であって、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔24〕 前記金属部材は、アルミニウム製部材またはステンレス鋼製部材である、上記〔21〕または〔23〕に記載の積層体。
〔25〕 前記光透過性を有する部材の光透過率は50%よりも大きい、上記〔22〕または〔23〕に記載の積層体。
〔26〕 前記光透過性を有する部材は、樹脂フィルムからなる、上記〔22〕、〔23〕または〔25〕に記載の積層体。
〔27〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔21〕~〔26〕のいずれかに記載の積層体。
〔28〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔21〕~〔27〕のいずれかに記載の積層体。
〔29〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔28〕に記載の積層体。
〔30〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔28〕または〔29〕に記載の積層体。
〔31〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔28〕~〔30〕のいずれかに記載の積層体。
〔32〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔21〕~〔31〕のいずれかに記載の積層体。
〔33〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔21〕~〔32〕のいずれかに記載の積層体。
〔34〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔21〕~〔33〕のいずれかに記載の積層体。
〔35〕 携帯電子機器に用いられる、上記〔21〕~〔34〕のいずれかに記載の積層体。
〔37〕 前記粘着剤組成物における前記着色剤の含有量は、固形分基準で1重量%以上10重量%以下である、上記〔36〕に記載の粘着剤組成物。
〔38〕 前記粘着剤組成物は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔36〕または〔37〕に記載の粘着剤組成物。
〔39〕 前記粘着剤組成物における前記金属酸化物の含有量は、固形分基準で1重量%以上6重量%以下である、上記〔38〕に記載の粘着剤組成物。
〔40〕 前記粘着剤組成物における前記黒色着色剤の含有量は、固形分基準で2重量%未満である、上記〔38〕または〔39〕に記載の粘着剤組成物。
〔41〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔38〕~〔40〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔42〕 前記粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む、上記〔36〕~〔41〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔43〕 光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である粘着剤層を形成するために用いられる、上記〔36〕~〔42〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[光透過率]
粘着剤層および粘着シートの光透過率[%]は、それぞれ、剥離ライナーから剥がした粘着剤層および粘着シートの厚さ方向の光透過率(波長550nmの光透過率)であり、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)またはその相当品が用いられる。
粘着剤層表面および粘着シート表面の光反射率(%)は、市販の分光光度計を用いて、波長が550nmの光を、剥離ライナーから剥がした粘着剤層または粘着シートの一方の表面(光反射率測定表面)に照射して、光を照射した面で反射した光の強度を測定することにより求められる。分光光度計としては、例えば日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)を用いることができる。
23℃、50%RHの測定環境下において、両面粘着シートの一方の粘着面に厚さ50μmのPETフィルムを貼り付けて裏打ちし、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。作製した測定サンプルにつき、23℃、50%RHの環境下にて、上記測定サンプルの接着面をステンレス鋼板(SUS304BA板)の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機を使用して、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度(粘着力)[N/25mm]を測定する。万能引張圧縮試験機としては、例えばミネベア社製の「引張圧縮試験機、TG-1kN」またはその相当品が用いられる。なお、片面粘着シートの場合、上記PETフィルムの裏打ちは不要である。
粘着シート(両面粘着シート)を10mm×10mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。23℃、50%RHの環境下にて、上記測定サンプルの各粘着面を2枚のステンレス鋼板(SUS304BA板)の表面にそれぞれ重ねて2kgのローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に2日間放置した後、引張試験機を用いて、引張速度10mm/分、剥離角度0度の条件で、せん断接着力[MPa]を測定する。片面接着性の粘着シート(片面粘着シート)の場合は、該シートの非粘着面を接着剤等でステンレス鋼板に固定し、その他は上記と同様にして測定すればよい。引張試験機としては、万能引張圧縮試験機(製品名「TG-1kN」、ミネベア社製)を使用することができる。
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのn-ブチルアクリレート(BA)95部およびアクリル酸(AA)5部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.2部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーAの溶液を得た。このアクリル系ポリマーAのMwは約70×104であった。
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーA100部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂20部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤3部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、さらに第1着色剤(黒色着色剤)としてのカーボンブラック粒子(大日精化工業社製、商品名「ATDN101ブラック」、平均粒径350nm)を粘着剤層中に0.07%、第2着色剤(金属酸化物)としての酸化チタン(TiO2)粒子(製品名「WHITE PASTE R-2228」、大日精化工業社製、平均粒径50nm)を粘着剤層中に5.10%となるよう添加し、攪拌混合して粘着剤組成物を調製した。テルペンフェノール樹脂(粘着付与樹脂)としては、商品名「YSポリスターT-115」(ヤスハラケミカル社製、軟化点約115℃、水酸基価30~60mgKOH/g)を用いた。イソシアネート系架橋剤としては、商品名「コロネートL」(東ソー社製、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の75%酢酸エチル溶液)を用いた。エポキシ系架橋剤としては、商品名「TETRAD-C」(三菱瓦斯化学社製、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン)を用いた。
厚さ38μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面に上記粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ35μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層に、厚さ25μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面を貼り合わせた。このようにして、両面が上記2枚のポリエステル製剥離ライナーで保護された厚さ35μmの基材レス両面粘着シートを得た。
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.15%(例2)、0.57%(例3)、0.30%(例4)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を4.54%(例2)、4.48%(例3)、2.33%(例4)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
モノマー組成を2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)95部およびAA5部に変更した他はアクリル系ポリマーAの合成と同様の方法で、アクリル系ポリマーBを合成し、アクリル系ポリマーBの溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーB100部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂20部と、アクリル系オリゴマー10部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤3部およびエポキシ系架橋剤0.03部とを加え、さらに第1着色剤(黒色着色剤)としてのカーボンブラック粒子を粘着剤層中に0.29%、第2着色剤としての酸化チタン粒子を粘着剤層中に3.65%となるよう添加し、攪拌混合して粘着剤組成物を調製した。テルペンフェノール樹脂、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カーボンブラック粒子、酸化チタン粒子としては、例1で使用したものと同種のものを用いた。
アクリル系オリゴマーとしては、次の方法で調製したものを用いた。具体的には、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)95部およびAA5部と、重合開始剤としてのAIBN10部と、重合溶媒としてのトルエンとを仕込み、窒素気流中で1時間撹拌して重合系内の酸素を除去した後、85℃に昇温し、5時間反応させて固形分濃度50%のアクリル系オリゴマーを得た。得られたアクリル系オリゴマーのMwは3600であった。
得られた粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、両面が上記2枚のポリエステル製剥離ライナーで保護された厚さ35μmの基材レス両面粘着シートを得た。
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.31%(例6)、0.40%(例7)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を5.10%(例6)、4.13%(例7)に変更した他は例5と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.43%(例8)、0.88%(例9)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を4.65%(例8)、2.29%(例9)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
酸化チタン粒子を使用せず、粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を2.00%(例10)、1.34%(例11)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々
に変形、変更したものが含まれる。
1A 粘着面、第1粘着面
1B 粘着面、第2粘着面
21 粘着剤層
21A 粘着面、第1粘着面
21B 粘着面、第2粘着面
31,32 剥離ライナー
Claims (5)
- 携帯電子機器の部材の接合に用いられる粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物または活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物であり、
前記粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーと、少なくとも2種類の着色剤と、を含み、
前記着色剤は、第1着色剤として黒色着色剤と、第2着色剤として光反射率向上成分とを含み、
前記黒色着色剤の含有量は、固形分基準で0.6重量%以下であり、
前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.001以上0.50以下であり、
軟化点が80℃以上である粘着付与樹脂を、前記ベースポリマー100重量部に対して1~20重量部含む、粘着剤組成物。 - 前記着色剤の含有量は、固形分基準で1重量%以上10重量%以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記着色剤は、前記第2着色剤としての金属酸化物を含む、請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
- 前記金属酸化物の含有量は、固形分基準で1重量%以上6重量%以下である、請求項3に記載の粘着剤組成物。
- 前記重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
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