JP7085923B2 - 再生スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、再生スチレン系樹脂組成物に関する。
家電製品、OA機器などの様々な製品の筐体や部品には、軽量かつ高強度で大量生産可能な材料として、一般的にスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられている。
これらの製品が使用後に廃棄される際には、手で解体して回収できる部分を除き、大部分が埋め立てや焼却により再製品化されることなく処分されてきた。しかし、近年は家電リサイクル法の施行や、資源有効活用、循環型社会の形成、二酸化炭素排出量削減といった観点から、回収したリサイクルプラスチックを溶融混練し、再び樹脂成形品として再利用するマテリアルリサイクルが進展している。
家電製品から回収される使用済み樹脂組成物は、上記樹脂組成物の混合フレークであるため、種々の選別処理工程を経て樹脂種ごとに分離され、溶融混練後に再利用されている。
使用済み樹脂組成物は、例えば、粉砕して樹脂フレークとされた後に、比重の差を利用して、比重1.0以下のオレフィン系樹脂、比重1.05~1.10のポリスチレンおよびABS、比重1.10以上の重比重樹脂に分離される。次に、ポリスチレンおよびABSの混合フレークは、樹脂フレークを擦り合わせた際の帯電を利用する静電選別装置により、分離される。
樹脂種ごとに分離されたこれらの使用済み樹脂組成物は、少量の金属、異種樹脂等の異物を含有しており、新材樹脂よりも衝撃強度や延伸特性といった靭性面での物性が顕著に低下している。こうした異物への対策として、押出成形時に金属製のスクリーンメッシュを用いて異物の除去が行われたり、使用済み樹脂組成物に相溶化剤としてエラストマーを添加し、異種樹脂を相溶化させることによる物性改善が行われたりすることがある。また、樹脂成形品の表面に発生する異物を隠蔽するために、使用済み樹脂組成物に着色顔料が添加されることもある。
通常、熱可塑性樹脂を加工する際には、外部からの加熱により熱可塑性樹脂を可塑化する必要があり、その際の加熱の温度は一般的に200度以上の高温である。しかし、樹脂を高温状態で長時間維持すると、樹脂の分解が進み低分子量分解物が発生する。この低分子量分解物は、押出成形時にダイ付近に所謂「メヤニ」として滞留し、樹脂成形品の外観を損なう原因となる。
また、熱可塑性樹脂に長期的な熱安定性を付与する目的で加えられる酸化防止剤などの樹脂用添加剤も、射出成形時などに金型に可塑化した樹脂を流し込む際、ガス化した樹脂用添加剤が金型にヤニとして滞留し、樹脂成形品の外観を損なう原因となる。
酸化防止剤であるBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は、樹脂用添加剤として過去に多用されていた。しかし、BHTが酸化防止剤としての機能を発揮した後は、有色の二量体が形成されるため、BHTは樹脂を経時的に黄変させる性質を有している。また、BHTは低分子量分子であるため、成形時の加熱や使用時に揮発しやすい。
このため、近年は、BHTの樹脂用添加剤としての使用が減少しており、経時的に黄変しにくく、成形時の加熱や使用時に揮発しにくい酸化防止剤が開発されている。これにより、最近は、酸化防止剤に起因する成型時の金型へのヤニ付着、経時的な黄変などは起こりにくい。
しかし、例えば家電製品のライフサイクルは一般的に約10年であるため、家電製品から回収される使用済み樹脂組成物は、過去に添加されたBHTを含んでいるものが多い。このため、このような使用済み樹脂組成物から得られる再生樹脂組成物は、成形時の金型へのヤニ付着、経時的な黄変などの問題を有している。
熱可塑性樹脂由来の不要物質の除去方法および揮発抑制方法として、特許文献1(特許第3776474号公報)では、塗膜の変色を引き起こす変色物質(酸化防止剤の二量体)を吸着するために、多孔質材料(ゼオライト、活性白土、シリカゲル、ケイソウ土および活性アルミナから選ばれる吸着材)を含有する塗装樹脂品が開示されている。
また、特許文献2(特開2002-69308号公報)には、比表面積50mm/g以上のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも1つを添加して、熱可塑性樹脂中の低分子量成分または樹脂分解物の揮発を抑制できる樹脂組成物および樹脂成形品が開示されている。
また、特許文献3(特開2001-2996639号公報)には、樹脂組成物に含まれる写真性に悪影響を及ぼすガス(ホルムアルデヒド、硫黄、シアン、塩化水素など)を吸着するガス吸着物質(ゼオライト、シリカ、タルクなど)などを含有する樹脂組成物が開示されている。
特許第3776474号公報 特開2002-69308号公報 特開2001-2996639号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載の方法では、使用済みスチレン系樹脂組成物から得られた再生スチレン系樹脂組成物から製造した樹脂成形品において、外観意匠性の低下を十分に抑制することは難しかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、再生スチレン系樹脂組成物から製造される樹脂成形品について、外観意匠性の低下を抑制することを目的とする。
本発明の樹脂組成物は、使用済みスチレン系樹脂組成物とゼオライトとを含有する。ゼオライトは、8.0Å以上10Å未満の平均細孔径を有する。
本発明によれば、再生スチレン系樹脂組成物から製造される樹脂成形品について、外観意匠性の低下を抑制することができる。
ゼオライトの細孔内にBHTが吸着される様子を示す模式図である。 ゼオライトの細孔径が小さい場合、ゼオライトの細孔にBHTが吸着されない様子を示す模式図である。 ゼオライトの細孔径が大きい場合、ゼオライトの細孔にBHTが脱着する様子を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表す。
本実施の形態における再生スチレン系樹脂組成物は、使用済みスチレン系樹脂組成物とゼオライトとを含有する。ゼオライトは、8.0Å以上10Å未満の平均細孔径を有する。
図1を参照して、本実施の形態の再生スチレン系樹脂組成物では、ゼオライト2の細孔3中にBHT1が吸着される。尚、図面では、ゼオライトの全体像は省略され、細孔3の周囲のゼオライトのみがゼオライト2として描かれている。
このようにして、再生スチレン系樹脂組成物の成形時にガスとして発生するBHTを、BHT分子と同等の細孔径を有するゼオライトの細孔内に吸着することができる。これにより、使用済みスチレン系樹脂組成物を用いた成形時に、BHT揮発量を低減することができる。その結果、BHTがヤニとなり金型に堆積した後、樹脂成形品に付着することを抑制できる。また、BHTが単量体としてゼオライト細孔内に吸着されるため、有色成分であるBHT二量体の生成が抑制され、樹脂成形品の変色が抑制される。したがって、再生スチレン系樹脂組成物から製造される樹脂成形品について、外観意匠性の低下を抑制することができる。
一方、図2に示されるように、ゼオライト2の細孔3がBHTよりも小さい場合、BHT1は細孔内に吸着されない。また、図3に示されるように、ゼオライト2の細孔3がBHT1よりも大きい場合、細孔3内に吸着されたBHT1は射出成形時の加熱により脱着する。
(使用済み熱可塑性樹脂組成物)
使用済みスチレン系樹脂組成物は、家電製品、OA機器等の使用済みの製品から回収されたスチレン系樹脂組成物であれば特に限定されないが、渦電流や磁力を利用した金属除去工程、比重差を利用した浮沈選別工程、プラスチックの帯電作用を利用した静電選別工程などを経た、スチレン系樹脂組成物であることが好ましい。
使用済みスチレン系樹脂組成物は、使用済み家電製品の端材から回収されたスチレン系樹脂組成物であることが好ましい。このような使用済みスチレン系樹脂組成物を用いることで、使用済み家電製品由来の樹脂組成物を樹脂種ごとに選別回収する家電廃プラスチックの再生事業を促進することができる。
本明細書において、「スチレン系樹脂組成物」とは、スチレン系樹脂を含む組成物である。スチレン系樹脂組成物中のスチレン系樹脂の含有率は、例えば、50~100質量%である。
(スチレン系樹脂)
「スチレン系樹脂」とは、スチレン系モノマーを含む複数のモノマーを重合して得られる重合体であり、スチレン系モノマーに由来する構成単位を含む。スチレン系樹脂を得るために用いられる複数のモノマーの総数に対するスチレン系モノマーの数の比率は、例えば40~100%である。
スチレン系モノマーは、構成中にスチレン(スチレン骨格)を含むモノマーである。スチレン系モノマーは、スチレンであってもよく、スチレン以外のビニル芳香族モノマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。
スチレン以外のビニル芳香族モノマーとしては、例えば、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、および、これらの混合物が挙げられる。これらのモノマーを原料としたスチレン系樹脂組成物は、ラジカル重合、アニオン重合、配位アニオン重合、カチオン重合により合成されることが一般的である。また、合成法を溶媒別に分類すると、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法により合成されることが一般的である。
また、スチレン系樹脂の代表例としては、ポリスチレンが挙げられる。ポリスチレンとしては、例えば、汎用ポリスチレン(General purpose polystyrene:GPPS)、結晶性ポリスチレン(SPS)などが挙げられる。
スチレン系樹脂の別の例としては、例えば、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)、シリコンゴム-アクリロニトリル-スチレン共重合体(SAS樹脂)などのコモノマー成分としてスチレン系モノマーとアクリロニトリルとを含む共重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂の別の例としては、メチルメタクリレート-スチレン共重合体(MS樹脂)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)などのコモノマー成分としてスチレン系モノマーとメチルメタクリレートとを含む共重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂の別の例としては、スチレン-ブタジエン共重合体(SB樹脂)、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどを含む耐衝撃性ポリスチレン(High impact polystyrene:HIPS)が挙げられる。家電製品やOA機器に多用される耐衝撃性ポリスチレンは、一般にスチレンモノマーを含む有機溶媒中にゴム成分を溶解させ、熱あるいは重合開始剤を用いて、塊状重合法により合成され得る。
家電製品やOA機器に使用されるスチレン系樹脂部品には、家電やOA機器メーカーが再生した樹脂も使用されている。こうした再生樹脂は、選別しきれなかった非相溶性樹脂による物性低下を改善するために、再生樹脂に相溶化剤として熱可塑性エラストマーが配合されることがある。したがって、本実施の形態の再生スチレン系樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。
特に家電製品には、スチレン系樹脂の他にオレフィン系樹脂組成物が多用されるため、熱可塑性エラストマー(相溶化剤)としては、例えば、スチレン系モノマーとオレフィン系モノマーのブロック共重合体、および、これらブロック共重合体に官能基を付与した変性重合体が挙げられる。
スチレン系モノマーとオレフィン系モノマーとのブロック共重合体としては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合(SIBS)、およびこれらに水素添加したスチレン-エチレンブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレン共重合体(SEPS)などが挙げられる。
上記のブロック共重合体に官能基を付与した変性重合体としては、例えば、無水マレイン酸をSEBSにグラフト結合させてなる酸変性SEBSなどであって、その官能基(カルボキシル基など)が主鎖にグラフト結合してなる重合体、または、分子末端の水酸基を利用してポリウレタン等の高分子量の重合体をブロック化してなる重合体が挙げられる。
(ゼオライト)
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩の総称で、組成は一般式Me/X・O・Al・mSiO・nHOで表される多孔質物質であり、金属イオンを結晶構造内に有する。化学式中のMeは、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどの金属イオン、Xは原子価、mおよびnは整数である。これらのゼオライトには、鉱物資源として採取される天然ゼオライト、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩を、強熱し結晶水を脱離させることで得られる合成ゼオライト、石炭灰をアルカリ処理して得られる人工ゼオライトなどがある。
本実施の形態で用いられるゼオライトは、8Å以上10Å未満の平均細孔径を有する。8Å以上10Å未満の平均細孔径を有するゼオライトとしては、例えば、X型、Y型、超安定化Y型、L型などの結晶形を有する結晶性ゼオライトが挙げられる。
ゼオライトの平均細孔径は、全自動ガス吸着量測定装置(Quantachrome社製)を用いた試料表面へのアルゴンガス吸着量を定量することで、測定することができる。
なお、ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライトおよび人工ゼオライトのいずれであってもよく、親水性ゼオライトおよび疎水性ゼオライトのいずれであってもよい。
再生スチレン系樹脂組成物8Å以上10Å未満の平均細孔径を有するゼオライトを配合することで、溶融混練時および成形加工時にBHTをゼオライト細孔内に吸着、BHTの揮発量を低減し、金型へのヤニ付着を抑制することができる。また、BHTを単量体として吸着するため、BHT二量体生成量を低減し、経時的な樹脂成形品の変色を抑制することができる。
平均細孔径が8Å未満である場合、BHT分子の大きさに対し細孔径が小さすぎるため、BHT吸着の効果が得られない。
一方、平均細孔径が10Å以上である場合、BHT分子の大きさに対し細孔径が大きすぎるため、溶融混練時の高熱により吸着したBHTを効率的に細孔内に担時できなくなる。また、平均細孔径が10Å以上である場合、BHT以外の低分子量添加剤分子まで吸着してしまい、再生スチレン系樹脂組成物の流動性、耐候性、耐熱安定性などの物性が低下する恐れがある。
ゼオライトは、孔径分布が極めて狭い吸着物質であるため、幅広い細孔径を有する他の吸着物質(シリカゲル、アルミナ、粘土化合物、活性炭、炭酸カルシウム、カーボンブラックなど)とは異なり、一定の大きさの分子を選択的に細孔内に吸着させることができる。なお、ゼオライトの一般的な平均細孔径は3Å以上15Å以下であるが、本実施の形態では、平均細孔径が更に限定されている。
特許文献1(特許第3776474号公報)では、酸化防止剤の二量体を細孔内部に吸着するために、細孔径10Å以上100Å以下のゼオライトが用いられている。本実施の形態において、問題となるヤニ成分は、酸化防止剤であるBHTの単量体であり、特許文献1で用いられている多孔質材料の吸着対象ではない。
また、特許文献2(特開2002-69308号公報)では、熱可塑性樹脂組成物中から発生する汚染物質を吸着するための吸着物質としてアルカリ金属およびアルカリ土類金属を用いているが、BHTを吸着させることは記載されていない。さらに、特許文献2で添加される吸着物質は、吸着対象分子の大きさに選択性が無く、樹脂組成物および樹脂成形品の諸物性を長期的に維持、または流動性を向上させるその他添加剤まで吸着することが予想され、樹脂組成物の物性を維持したまま発生物質の揮発抑制を行うことは困難であると考えられる。
また、特許文献3(特開2001-2996639号公報)においても、ガス吸着物質の細孔径による選択的な分子吸着は考慮されていない。
上記ゼオライトの平均粒子径は特に限定されないが、平均粒子径は0.1~100μmが好ましく、より好ましくは0.1~10μmである。粒子径が大きいゼオライトを使用すると、再生スチレン系樹脂組成物から得られる樹脂成形品の衝撃強度が低下するため、この範囲のものが好ましい。
(酸化防止剤)
本実施の形態において、再生スチレン系樹脂組成物は、BHT以外の酸化防止剤を含むことが好ましい。BHT以外の酸化防止剤としては、例えば、BHT以外のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
BHT以外のフェノール系酸化防止剤としては、ヒンダート系、セミヒンダート系、レスヒンダート系などの酸化防止剤が挙げられる。
例えば、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、テトラキス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノエート]、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンなど、公知のフェノール系酸化防止剤が用いられる。
これらの中でも、耐熱性向上の観点から、テトラキス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノエート]が好ましい。
BHT以外の酸化防止剤は、BHTよりも分子量が大きい酸化防止剤であることが好ましい。BHTよりも分子量が大きい酸化防止剤は、ゼオライトの8Å以上10Å未満の細孔内には吸着されにくい。このため、再生スチレン系樹脂組成物中で酸化防止剤の機能が有効に発揮され、再生スチレン系樹脂組成物の耐熱安定性が高められる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、亜りん酸トリフェニル、亜リン酸トリス(4-ノニルフェニル)など、公知のリン系酸化防止剤が用いられ得る。
これらの中でも、色調安定性の観点から、3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを用いることが好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール、3,3’-チオジプロピオン酸ジオクタデシルなど、公知のイオウ系酸化防止剤が用いられ得る。
これらの中でも、長期の耐熱性向上の観点から、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイルを用いることが好ましい。
(金属不活性化剤)
再生スチレン系樹脂組成物は、金属不活性剤と、前記フェノール系酸化防止剤と同量のリン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤と、をさらに含むことが好ましい。再生スチレン系樹脂組成物は、使用時や回収後の破砕時に樹脂劣化の原因となる金属成分が付着したり、外観部品として様々な部位に用いられたりするため劣化しやすい。そのため、金属不活性剤、他種の酸化防止剤などを組み合わせて耐熱安定性を高める必要があるからである。
金属不活性化剤としては、例えば、N-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド、ドデカン二酸ビス[N2-(2-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなどの公知の金属不活性化剤が用いられ得る。
[その他の添加剤]
再生スチレン系樹脂組成物は、本実施の形態の効果を阻害しない限り、例えば、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、離形剤、流動性調整剤、無機充填材、顔料、帯電防止剤、導電剤、抗菌剤などの他の添加剤を含有してもよい。なお、これらのそれぞれについてはその一種のみを単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
難燃剤としては、例えば、エチレンビスペンタブロモフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミドなどの臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤を任意に用いることができる。
難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛などを任意に用いることができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸系、脂肪族二塩基酸系、ポリエステル系、塩素化パラフィン系、エポキシ系、リン酸エステル系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、エーテルエステル系可塑剤などの公知の物質を用いることができる。
流動性調整剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリルアルコール、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ブチル、ステアリルステアレートなどの公知の物質を用いることができる。
無機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、二酸化チタン、炭酸バリウム、亜鉛華、炭酸カルシウム、べんがら、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、タルク、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維、セピオライト、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、硫酸バリウム、シラスバルーンなどを任意に用いることができる。
<再生スチレン系樹脂組成物の製造方法>
以下、本実施の形態における再生スチレン系樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。
まず、使用済みスチレン系樹脂組成物は粉砕物(リサイクルプラスチックフレーク)等の状態で準備され、ゼオライト等の他の成分と混練される。混練の方法としては、押出成形機、ニーダー、バンバリーミキサ、ラボプラストミル、ビーズミキサ、ロールミル等の装置を用いる方法、溶媒ブレンドなどが挙げられる。混練は、連続的または回分的に実施され得る。このような混練によって、再生スチレン系樹脂組成物を得ることができる。
溶融混練された樹脂組成物は、押出成型機によってペレット化されることが好ましい。押出成型機としては、例えば、単軸式、多軸式またはタンデム式の押出成形機を用いることができる。
なお、使用済みスチレン系樹脂組成物の粉砕物等は、ゼオライト等の他の成分と混練される前に、前処理として表面研磨が行われることが好ましい。これによって、更に表面意匠性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
使用済みスチレン系樹脂組成物の表面研磨とは、使用済みスチレン系樹脂組成物の粉砕物等を研磨することで、表面に付着している汚れや他樹脂などの濃色系異物を除去することであり、樹脂組成物同士を摩擦させることや、金属固体(メディア)や金属ローラーで切削することにより行われる。表面研磨を行うことで、再生スチレン系樹脂組成物から高い明度を有し、外観意匠性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
なお、再生スチレン系樹脂組成物から樹脂成形品を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、射出成形、圧縮成形など公知の方法を用いることができる。
以下、実施例および比較例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<基準組成物>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤成分を添加せず、二軸混練押出成形機(TEX30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレット(基準組成物)を得た。
<実施例1>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、L型ゼオライト(平均細孔径:8.0Å)(HSZ-500、東ソー株式会社製)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例2>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、L型ゼオライト(平均細孔径:8.0Å)(HSZ-500、東ソー株式会社製)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例3>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、超安定化Y型ゼオライト(平均細孔径:9.0Å)(USKY-700、ユニオン昭和株式会社製)0.1質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例4>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、超安定化Y型ゼオライト(平均細孔径:9.0Å)(USKY-700、ユニオン昭和株式会社製)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例5>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、超安定化Y型ゼオライト(平均細孔径:9.0Å)(USKY-700、ユニオン昭和株式会社製)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例6>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、L型ゼオライト(平均細孔径:8.0Å)(HSZ-500、東ソー株式会社製)0.8質量部、MFI型ゼオライト(平均細孔径:6.0Å)(Hisiv-3000、ユニオン昭和株式会社製)0.2質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<実施例7>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、超安定化Y型ゼオライト(平均細孔径:9.0Å)(USKY-700、ユニオン昭和株式会社製)4.0質量部、X型ゼオライト(平均細孔径:10Å)(13X、ユニオン昭和株式会社製)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例1>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、MF1型ゼオライト(平均細孔径:6.0Å)(Hisiv-3000、ユニオン昭和株式会社製)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例2>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、X型ゼオライト(平均細孔径:10Å)(13X、ユニオン昭和株式会社製)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例3>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、セピオライト(平均細孔径:13Å)(P-300、近江鉱業株式会社)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例4>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、シリカゲル(平均細孔径:20Å)(P-763、水澤化学工業株式会社)1.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例5>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、吸着剤として、MFI型ゼオライト(平均細孔径:6.0Å)(Hisiv-3000、ユニオン昭和株式会社製)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例6>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、X型ゼオライト(平均細孔径:10Å)(13X、ユニオン昭和株式会社製)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例7>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、セピオライト(平均細孔径:13Å)(P-300、近江鉱業株式会社)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
<比較例8>
家電製品から回収した使用済みスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、シリカゲル(平均細孔径:20Å)(P-763、水澤化学工業株式会社)5.0質量部を添加し混合したものを、二軸混練押出成形機(TEX 30α、日本製鋼所株式会社製)を用い、シリンダー温度220℃で溶融混練し、ストランドを水冷却後ペレタイズし、ペレットを得た。
〔評価〕
基準組成物、実施例1~7及び比較例1~8で得られたペレットを用いて、射出成形機により、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃の条件で、平板試験片を作製した。それらの平板試験片の各々について、BHT発生率および色差を測定した。
(BHT発生率の測定)
以下のようにして、基準組成物、実施例および比較例の再生スチレン系樹脂組成物(ペレット)が成形時に発するBHTの量を測定し、BHT発生率を求めた。
BHT量は、ペレット15mgについて、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(Pylo-GC/MS)にて、加熱温度220℃、10分間の測定を行ったときに発生したBHTの量として測定された。
BHT量の測定値に基づいて、ゼオライトが添加されていない基準組成物のBHT発生量を100%とし、基準組成物のBHT発生量に対する実施例および比較例の再生スチレン系樹脂組成物のBHT発生量の比率(質量比率)をBHT発生率として求めた。
(色差の測定)
色差の測定は、以下のようにして実施した。
上記平板試験片(長辺80mm×短辺20mm×厚さ2mm)を用い、有色物質(BHT二量体)による樹脂成形品の着色の有無を評価した。具体的には、100℃で4時間加熱後、常温で1日冷却した樹脂成形品の色差を測定し、その測定値から着色の有無を評価した。
色差(「色彩」と同義)は、分光測色計(CM-700d、コニカミノルタ株式会社製)による色彩測定によって測定した。測定結果から下記(式1)を用いてΔEa(色差)を算出し、色差がNBS(米国標準局)単位で目視で感知できるとされる1.5以下の場合を合格(A)とし、1.5超の場合を不合格(B)と評価して、表中に示した。
ここで、色彩測定は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨したL表色系において、D65光源を用い、10度視野で行った。式1では、色彩値について、Lは明度、aは色彩、bは彩度を示す。また、色差算出は「JIS Z 8781-4:2013(測色-第4部:CIE1976 L)」に準拠し、加熱前後の色彩値のそれぞれの差を、ΔL、Δa、Δbとした。
Figure 0007085923000001
基準組成物および実施例1~7についての測定および評価結果を表1に示す。比較例1~8についての測定および評価結果を表2に示す。
Figure 0007085923000002
Figure 0007085923000003
表1および表2に示される結果から、実施例1については、BHT発生率78%、色差0.8であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例1は、実施例1と同じ量のゼオライトを含有する比較例1~4に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。
また、実施例2については、BHT発生率61%、色差0.6であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例2は、実施例2と同じ量のゼオライトを含有する比較例5~8に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。
また、実施例3については、BHT発生率79%、色差1.5であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例3は、実施例3よりもゼオライトの添加量が多い比較例1~4に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。
また、実施例4については、BHT発生率67%、色差0.8であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例4は、実施例4と同じ量のゼオライトを含有する比較例1~4に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。
また、実施例5については、BHT発生率31%、色差0.7であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例5は、実施例5と同じ量のゼオライトを含有する比較例5~8に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。
また、実施例6については、BHT発生率32%、色差0.6であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例6は、実施例6と同じ総量のゼオライトを含有する比較例1に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。つまり、細孔径がBHTと同等の大きさを有するゼオライトは、細孔径がBHTの大きさよりも小さいゼオライトと組み合わせても、効果があることが分かった。
また、実施例7については、BHT発生率33%、色差1.2であり、成形時のBHT発生率が少なく、外観が良好であった。この結果から、実施例7は、実施例7と同じ総量のゼオライトを含有する比較例2に比べて、成形品表面の外観意匠性に優れた再生スチレン系樹脂組成物であることが分かった。つまり、細孔径がBHTと同等の大きさを有するゼオライトは、細孔径がBHTの大きさよりも大きいゼオライトと組み合わせても、効果があることが分かった。
表2に示されるように、比較例1については、BHT発生率94%、色差2.9であり、成形時のBHT発生率が高く、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例2については、BHT発生率94%、色差0.8であり、色差は小さく樹脂成形品の外観意匠性は良好であったが、成形時のBHT発生率が高かった。
また、比較例3については、BHT発生率95%、色差1.6であり、成形時のBHT発生率が高く、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例4については、BHT発生率99%、色差0.4であり、成形時のBHT発生率が高く、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例5については、BHT発生率99%、色差1.7であり、成形時のBHT発生率が高く、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例6については、BHT発生率45%、色差2.0であり、成形時のBHT発生率は少なかったが、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例7については、BHT発生率55%、色差2.0であり、成形時のBHT発生率は少なかったが、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
また、比較例8については、BHT発生率70%、色差1.6であり、成形時のBHT発生率は少なかったが、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
なお、基準組成物については、色差2.3であり、成形時のBHT発生率が高く、色差が大きく樹脂成形品の外観意匠性が不良であった。
表1および表2に示されるように、比較例1および5のBHT発生量は、吸着剤を添加しなかった基準のBHT発生量に対し80%以下とならず、平均細孔径6ÅのゼオライトはBHT吸着性能が乏しいことが分かる。また、比較例2~4および6~8の結果から、平均細孔径10Å以上のゼオライトにおいては、外観意匠性の総合判断で合格基準を満たす(A)ものは無かった。
これに対し、8Å以上10Å未満の平均細孔径を有するゼオライトを配合した実施例1~7では、BHT発生量が80%以下に低減されており、溶融混練時の高温状態でもBHT揮発を抑制することができた。また、色差は1.5以下であり、総合判断でも外観意匠性に優れていた。
ゼオライトの配合量について、実施例3では、ゼオライトがBHT吸着性能に優れているため、0.1質量部のゼオライトの添加でも揮発量低減効果があった。また、ゼオライトの配合量を多くすることで揮発量低減効果は増大したが、5.0質量部超のゼオライトを配合すると再生スチレン系樹脂組成物の衝撃強度が低下するため、100質量部の使用済みスチレン系樹脂組成物に対するゼオライトの配合量は0.1~5.0質量部であることが好ましい。
なお、再生スチレン系樹脂組成物を使用した樹脂成形品の成形端材、または、再生スチレン系樹脂組成物のリサイクル品を破砕したり、加熱溶融したり、有機溶媒に溶解させたりして再資源化した再生材においても、樹脂中のゼオライトの結晶構造は破壊されない。このため、長期的に射出成形時のBHTの揮発を抑制し、樹脂成形品の変色を抑制することができると考えられる。
すなわち、上記の再生スチレン系樹脂組成物によれば、射出成形時のBHTの揮発量を低減させ、また、BHTをゼオライトの細孔内に吸着し経時的な変色を抑制することで、樹脂成形品の外観意匠性が損なわれることを防止することができる。また、上記の再生スチレン系樹脂組成物の成形端材や再生材を一部または全量含む樹脂を用いた場合でも、外観意匠性に優れた樹脂成形品を作成することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 BHT、2 ゼオライト、3 細孔。

Claims (5)

  1. 使用済みスチレン系樹脂組成物とゼオライトとを含有し、
    前記ゼオライトが8.0Å以上10Å未満の平均細孔径を有し、
    前記使用済みスチレン系樹脂組成物は、使用済み家電製品の端材から回収されたスチレン系樹脂組成物である、再生スチレン系樹脂組成物。
  2. 使用済みスチレン系樹脂組成物とゼオライトとを含有し、
    前記ゼオライトが8.0Å以上10Å未満の平均細孔径を有し、
    前記ゼオライトが、X型、Y型、超安定化Y型およびL型の少なくとも1つの結晶構造を有するゼオライトである、生スチレン系樹脂組成物。
  3. 使用済みスチレン系樹脂組成物とゼオライトとを含有し、
    前記ゼオライトが8.0Å以上10Å未満の平均細孔径を有し、
    ジブチルヒドロキシトルエン以外の酸化防止剤を含む、生スチレン系樹脂組成物。
  4. 前記酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤である、請求項に記載の再生スチレン系樹脂組成物。
  5. 金属不活性剤と、前記フェノール系酸化防止剤と同量のリン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤と、をさらに含む、請求項に記載の再生スチレン系樹脂組成物。
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