(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、前記後胴回り域に配置されたファスニングテープと、を有する使い捨ておむつであって、前記股下域の前記吸収コアと重なる領域において、前記前後方向に延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置された一対の股下伸縮部を有し、前記吸収コアには、前記股下伸縮部よりも後側において、前記後側に向かって前記幅方向の外側に向かって延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置された一対の変形基点部が設けられている。
本態様によれば、使い捨ておむつの装着時に、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張った際に、吸収コアは、後胴回り域から股下域に向かって幅方向の内側に延びる変形基点部を基点として変形する。吸収コアは、股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように変形し、股下域において一対の股下伸縮部の収縮によって身体側に凸状に変形する。よって、着用者の臀部に対して吸収コアを広い面積で覆いつつ、着用者の両足間の隙間に吸収コアをコンパクトに収めることができる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置することにより、装着時に着用者の腹部を覆う位置まで前胴回り域を引っ張ることができる。テープ型の使い捨ておむつにおいて、着用者の身体を適切に覆うことができる。
好ましい一態様によれば、前記股下伸縮部の外側縁は、前記変形基点部の外側縁よりも前記幅方向の内側に配置されてよい。
本態様によれば、変形基点部を基点とした吸収コアの変形と、股下伸縮部による吸収コアの変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように変形した吸収コアを、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記変形基点部の少なくとも一部は、前記股下伸縮部の後端縁から後側に延びる第1延長線上に配置されてよい。
本態様によれば、変形基点部を基点とした吸収コアの変形と、股下伸縮部による吸収コアの変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように変形した吸収コアを、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。
好ましい一態様によれば、ファスニングテープは、前記前胴回り域に係合する係合部を有し、前記変形基点部は、前記使い捨ておむつの前記前後方向の中心と前記係合部の前端縁との前記前後方向の中間に位置する第1中間線を前記前後方向に跨がってよい。
本態様によれば、第1中間線よりも後側は、装着時に臀部が載せられる領域である。変形基点部は、第1中間線を前後方向に跨がっており、着用者の臀部が載せられる領域から臀部が載せられない領域にかけて配置される。装着時に、第1中間線よりも後側の領域が臀部によって押さえられた状態で、臀部が載せられていない領域が前側に引っ張られ、変形基点部を基点として吸収コアがより変形し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記変形基点部の前端縁は、前記変形基点部の後端縁と前記股下伸縮部の後端縁との前記前後方向の中間に位置する第2中間線よりも前側に配置されてよい。
本態様によれば、変形基点部の後端縁と股下伸縮部の後端縁の間の領域のうち、半分以上の領域に亘って変形基点部が設けられている。よって、変形基点部を基点とした吸収コアの変形と、股下伸縮部による吸収コアの変形と、が連動しやすい。よって、後胴回り域から股下域にかけて吸収コアを身体に沿った形状に変形させ易くなり、臀部を覆いつつ股下域にコンパクトに吸収コアを配置することができる。
好ましい一態様によれば、前記一対の変形基点部の間には、前記変形基点部よりも前記幅方向の外側の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられてよい。
本態様によれば、変形基点部間に高剛性部が設けられていることにより、変形基点部よりも幅方向の外側の領域と変形基点部よりも内側の領域との剛性差が生じ、変形基点部を基点として吸収コアがより変形し易くなる。よって、股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように吸収コアが変形し易くなり、着用者の股間に吸収コアをより収めやすくなる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置し、着用者の身体を適切に覆うことができる。
好ましい一態様によれば、前記変形基点部は、前記高剛性部と前記幅方向において隣接してよい。
本態様によれば、変形基点部よりも幅方向の外側の領域が、変形基点部間の領域に対して変形し易くなり、剛性差によって吸収コアがより変形し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記変形基点部は、前記吸収コアが厚さ方向に圧縮された圧搾部によって構成されてよい。
本態様によれば、圧搾部からなる変形基点部は、剛性が高く、吸収コアの変形をより安定し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記一対の変形基点部は、前記使い捨ておむつの前記幅方向の中心を挟んで配置されており、前記変形基点部の少なくとも一部は、前記吸収コアの前記幅方向の中心と前記吸収コアの最大幅との中間に位置する第3中間線よりも前記幅方向の外側に配置されてよい。
本態様によれば、吸収コアの幅方向の半分以上の領域において、吸収コアが変形基点部を基点に変形し易くなる。吸収コアの広い範囲で股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように吸収コアが変形し易くなり、着用者の股間に吸収コアをより収めやすくなる。
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側において前記前後方向に伸縮する脚回り伸縮部を有し、前記脚回り伸縮部は、前記変形基点部から前記幅方向の外側に延びる第2延長線上に配置されてよい。
本態様によれば、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コアよりも幅方向の外側の領域が脚に密着する。脚回り伸縮部と臀部とが身体にフィットした状態で吸収コアが変形するため、吸収コアが変形基点部を基点としてより変形し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記脚回り伸縮部は、前記後側に向かって前記幅方向の外側に向かって延びよい。
本態様によれば、後側に向かって幅方向の外側に向かって延びる脚回り伸縮部が身体に密着することにより、着用者の臀部を使い捨ておむつで覆うことができる。後側に向かって広い範囲で臀部を覆った状態で、股下域に向けて吸収コアの幅方向の長さが短くなるように吸収コアを変形できる。着用者の股間に吸収コアを適切に収めつつ、使い捨ておむつによって身体全体を覆い、漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記使い捨ておむつの外側部は、前記後側に向かって前記幅方向の外側に向かって延びるサイドフラップ部を有し、前記サイドフラップ部は、前記変形基点部から前記幅方向に沿って延びる第2延長線上に配置されてよい。
本態様によれば、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コアよりも幅方向の外側のサイドフラップが脚に当たり易くなる。よって、吸収コアは、幅方向の外側に位置するサイドフラップ部と、臀部が載せられた領域と、が押さえられた状態で変形し、変形基点部を基点としてより変形し易くなる。
好ましい一態様によれば、股下伸縮部は、前記変形基点部に沿い、かつ前記変形基点部の前端縁から前側に延びる第3延長線上に配置されてよい。
本態様によれば、変形基点部を基点とした吸収コアの変形と、股下伸縮部による吸収コアの変形と、が連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように変形した吸収コアを、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。
(2)使い捨ておむつの全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
使い捨ておむつは、テープ型の使い捨ておむつである。図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の肌面側から見た平面図であり、図2は、実施形態に係る吸収コアを肌面側から見た平面図である。図1及び図2に示す平面図は、伸長状態の使い捨ておむつを示している。図3は、図1に示す使い捨ておむつのA-A断面に沿った模式断面図である。図4は、図1に示す使い捨ておむつのB-B断面に沿った模式断面図である。図5は、図1に示す使い捨ておむつのC-C断面に沿った模式断面図である。なお、本発明における伸長状態とは、使い捨ておむつ10を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。また、本発明における自然状態とは、パッケージに収容されている使い捨ておむつ10にあっては、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
使い捨ておむつ10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された使い捨ておむつ10において前後に延びる方向である。また、使い捨ておむつ10は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側と反対側の非肌面側T2と、に延びる。
使い捨ておむつ10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域であり、装着時に身体(臀部)が載せられる領域を含む。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。股下域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部が設けられた領域である。脚回り開口部は、使い捨ておむつの外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。
使い捨ておむつ10は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、コアラップ32によって覆われてよい。吸収コア31とコアラップ32によって吸収体30が構成されてよい。コアラップ32は、テッシュによって構成され、吸収コア31の肌面側T1と吸収コアの非肌面側に配置されてよい。
図1及び図3に示すように、吸収コア31を含む吸収体30の肌面側T1には、表面シート21及びサイドシート22が設けられてよい。表面シート21は、吸収体30の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。サイドシート22は、表面シート21の外側部を覆うように配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。サイドシート22の内側部は、折り返されて重なってよい。重なったサイドシート22間には、前後方向Lに伸縮する防漏伸縮部43が設けられてよい。防漏伸縮部43は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。サイドシート22と防漏伸縮部43は、着用時に肌面側T1に起立する防漏ギャザー60を構成する。
吸収体30の非肌面側T2には、裏面シート23及び外装シート24が設けられてよい。外装シート24は、裏面シート23の非肌面側T2に設けられてよい。裏面シート23の幅方向Wの長さは、外装シート24の幅方向Wの長さよりも短く、裏面シート23の前後方向Lの長さは、外装シート24の前後方向Lの長さよりも短い。裏面シート23は、液不透過性のフィルムによって構成されてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。
後胴回り域の外側部には、ファスニングテープ91が設けられている。ファスニングテープ91は、ベース部92と係合部93を有する。ベース部92は、厚さ方向Tにおいて外装シート24及びサイドシート22の間に配置され、幅方向Wにおいて外装シート24及びサイドシート22から外側に延出している。係合部93は、ベース部92上に配置されており、ターゲット部95(図5参照)に係合する。ターゲット部95は、前胴回り域S1において幅方向に間隔を空けて配置されており、ファスニングテープ91がそれぞれ止着するように構成されている。
裏面シート23と吸収体30の間には、インジケータ51が配置されてよい。インジケータ51は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。インジケータ51は、後述する低坪量部33の間に配置されている。インジケータ51は、吸収体が体液を吸収することによって変色し、使い捨ておむつ10の非肌面側T2から体液の吸収状態を把握できるように構成されている。
使い捨ておむつ10は、吸収コア31よりも幅方向の外側において前後方向に伸縮する脚回り伸縮部42を有してよい。脚回り伸縮部42は、サイドシート22と裏面シート23の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。脚回り伸縮部42は、前後方向Lに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。脚回り伸縮部42の収縮によって、着用時に使い捨ておむつ10の脚回り開口部が脚回りにフィットする。
使い捨ておむつ10は、使い捨ておむつの後端縁に沿って幅方向Wに延びる腰回り伸縮部45を有してよい。腰回り伸縮部45は、裏面シート23と外装シート24の間、表面シート21と外装シート24の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。腰回り伸縮部45の後端縁は、使い捨ておむつの後端縁よりも前側に位置し、腰回り伸縮部45の前端縁は、吸収コア31の後端縁よりも前側に位置してよい。腰回り伸縮部45は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出してよい。腰回り伸縮部45は、幅方向Wに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。
使い捨ておむつ10は、股下域の吸収コア31に重なる領域に設けられた一対の股下伸縮部41を有してよい。股下伸縮部41は、吸収コア31よりも非肌面側に配置されている。股下伸縮部41は、裏面シート23と外装シート24の間に設けられてよい。股下伸縮部41は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。股下伸縮部41は、吸収コア31の幅方向Wの中心に配置されてなく、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する両側にそれぞれ2本ずつ配置されている。よって、股下伸縮部41の収縮によって、股下伸縮部41と重なる領域の吸収コアが、吸収コアの幅方向の中心よりも身体側に引き上げられる。一対の股下伸縮部41は、吸収コア31の外側縁よりも幅方向の内側に位置してよい。一対の股下伸縮部41間に位置する領域は、一対の股下伸縮部41よりも幅方向の外側の領域に対して身体側に引き上げられる。よって、吸収コアの幅方向の中心が側部を基点として凸状に変形し、身体の股間に対するフィット性を確保できる。股下伸縮部41は、前後方向Lに沿って配置された糸ゴムによって構成されている。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、前後方向に伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されてよいし、1本の糸ゴムによって構成されていてもよいし、3本以上の糸ゴムによって構成されてもよい。また、本発明において重なっている状態とは、平面視にて一方の部材と他方の部材が重なっている状態であり、一方の部材の肌面側又は非肌面側に他方の部材が配置されている状態である。重なっている状態では、一方の部材と他方の部材が互いに接している状態のみならず、一方の部材と他方の部材の間に他の部材が介在している構成も含む。
股下伸縮部41は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを跨がってよい。股下伸縮部41の収縮によって、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを身体側に引き上げることができる。特に、使用前に使い捨ておむつの肌面側どうしが向き合うように二つに折り畳まれた形態にあっては、折り畳みによる折り癖を引き上げることができる。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを跨がってなく、中心10LCよりも前側のみに配置されていてもよいし、中心10LCよりも後側のみに配置されていてもよい。
股下伸縮部41は、吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置する。吸収コア31の股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側には、股下伸縮部41の収縮力が作用し難い領域が設けられる。図3において、吸収コア31において股下伸縮部41よりも外側に位置するサイド領域R31と、サイド領域R31の間の中央領域R32と、を示す。サイド領域R31は、最も幅方向Wの外側に位置する股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側に位置する領域である。中央領域R32は、股下伸縮部41と重なる領域及び股下伸縮部41よりも幅方向Wの内側に位置する領域を合わせた領域である。中央領域R32は、股下伸縮部41の収縮によって、サイド領域R31に対して身体側に引き上げられる。着用時の吸収コア31の変形態様については、後述にて詳細に説明する。
また、本発明における防漏伸縮部43、脚回り伸縮部42、腰回り伸縮部45、及び股下伸縮部41を含む伸縮部は、糸ゴムや伸縮性シートなどの弾性部材が伸縮可能な状態で配置された部分であり、伸縮しない状態で弾性部材が配置された部分を含まない。すなわち、伸縮部は、伸縮部を構成する弾性部材の有効長部分である。
(3)吸収コアの構成
次いで、図2を参照し、吸収コア31の構成について詳細に説明する。吸収コア31は、吸収コア31の最大幅31Mよりも幅方向の長さが短い幅狭部35と、幅狭部35の前後方向の外側に配置された幅広部と、を有する。幅狭部35は、前後に配置された幅広部の間に配置されている。幅狭部35の幅方向の長さは、前後方向Lの外側に向かって長くなっている。吸収コア31の平面視の形状は、砂時計形状である。なお、吸収コア31のみならず、コアラップを含んだ吸収体の形状が、砂時計形状であってもよい。
吸収コア31は、周囲の領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量部33を有してよい。低坪量部33は、前後方向Lに沿って設けられている。低坪量部33は、前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに対して平行であってもよいし、前後方向Lに対して90度未満の角度で傾斜してもよい。
低坪量部33は、周囲の吸収コア31よりも吸収材料の坪量が低い部分であり、周囲の吸収コア31よりも厚さが薄く、かつ剛性が低い。よって、低坪量部33は、装着状態で変形基点となり易い。吸収コア31には、着用状態で前後方向に延びる変形基点が形成され易い。低坪量部33は、吸収材料の坪量が実質的に零の部分(設計上の坪量が0であるが、周囲の吸収材料が混入した部分を含む)であってもよいし、周囲よりも少ない坪量の吸収材料が配置された部分であってもよい。低坪量部33は、幅方向Wに一定の長さを有するスリットであってもよいし、幅方向Wの長さが実施的に零である切り込みであってもよい。各低坪量部33の幅方向Wの長さは、2mm以上10mm以下であってよく、より好適には、吸収コア31の厚さ以上、8mm以下でよい。低坪量部33の幅方向の長さが吸収コア31の厚さ以上であることにより、低坪量部33を基点に吸収コア31が厚さ方向に変形し易くなる。また、低坪量部33の幅方向の長さが8mm以下であることにより、低坪量部の幅方向の長さが長いことによる吸収性能に対する不安感を抑制できる低坪量部33の前後方向Lの長さは、30mm以上180mm以下であってよい。
低坪量部33は、幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。低坪量部33は、使い捨ておむつの幅方向の中心10WCの両側に、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。低坪量部33の前後方向の中心は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCよりも後側に配置されてよい。低坪量部33の前端縁33Fは、股下伸縮部41の前端縁41Fよりも前側に位置してよく、低坪量部33の後端縁33Rは、股下伸縮部41の後端縁41Rと一致又は後端縁41Rよりも前側に位置してよい。低坪量部33の外側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向の外側に位置する糸ゴムと幅方向において一致していてよく、低坪量部33の内側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向の内側に位置する糸ゴムと幅方向において一致していてよい。
吸収コア31は、周囲の領域よりも剛性が高い高剛性部70を有してよい。高剛性部70は、一対の股下伸縮部41の間に配置された中央高剛性部71と、股下伸縮部41よりも後側に配置された後高剛性部72と、股下伸縮部41よりも前側に配置された前高剛性部73と、を有してよい。中央高剛性部71、後高剛性部72及び前高剛性部73は、それぞれ前後方向Lにおいて離間している。
高剛性部70は、周囲の領域よりも曲げ剛性が高い領域である。高剛性部70は、周囲の領域よりも目付が高い部分であってもよいし、吸収コア31が厚さ方向に圧縮された部分であってもよい。本実施の形態の高剛性部70は、吸収コア31が圧縮された圧搾部が設けられた部分である。圧搾部は、少なくとも吸収コア31を厚さ方向Tに圧搾することによって形成されていればよく、コアラップ32等の他の部材と吸収コア31とが圧搾されることによって形成されてもよい。
中央高剛性部71は、一対の低坪量部33間の領域に設けられている。中央高剛性部71の前端縁71Fは、低坪量部33の前端縁33Fと一致又は低坪量部33の前端縁33Fよりも後側に位置してよい。中央高剛性部71の後端縁71Rは、低坪量部33の後端縁33Rよりも前側に位置してよい。中央高剛性部71の前後方向の中心は、低坪量部33の前後方向中心よりも前側に配置されてよい。中央高剛性部71は、幅方向Wにおいて、低坪量部33と間隔を空けて配置されてよい。中央高剛性部71は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LC及び使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCを跨がってよい。
股下伸縮部41は、中央高剛性部71の幅方向の中心よりも両側に位置し、中央高剛性部71よりも後側に延出してよい。吸収コア31は、中央高剛性部71よりも後側において股下伸縮部41が配置された第1領域R41と、中央高剛性部71と股下伸縮部41が厚さ方向又は幅方向において重なった第2領域R42と、股下伸縮部41よりも前側において中央高剛性部71が配置された第3領域R43と、を有してよい。第1領域R41と第2領域R42は、前後方向Lにおいて隣接しており、第2領域R42と第3領域R43は、前後方向Lにおいて隣接している。第1領域R41の後端縁は、股下伸縮部41の後端縁41Rと一致し、第1領域R41の前端縁は、中央高剛性部71の後端縁71Rと一致する。第2領域R42の後端縁は、第1領域R41の前端縁と一致し、第2領域R42の前端縁は、股下伸縮部41の前端縁41Fと一致する。第3領域R43の後端縁は、第2領域R42の前端縁と一致し、第3領域R43の前端縁は、中央高剛性部71の前端縁71Fと一致する。
後高剛性部72は、低坪量部33よりも後側に配置されてよい。後高剛性部72の外側縁は、後側に向かって幅方向Wの外側に延びてよい。後高剛性部72の前端縁の幅方向Wの長さは、中央高剛性部71の幅方向Wの長さよりも長くてよい。後高剛性部72は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCを跨がってよい。
前高剛性部73は、低坪量部33よりも前側に配置されてよい。前高剛性部73は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCの両側に、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。前高剛性部73の前端縁は、幅方向Wの外側に向かって前側に延びてよい。
吸収コア31には、股下伸縮部41よりも後側に設けられた一対の変形基点部85を有してよい。変形基点部85は、股下伸縮部41よりも後側において、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。変形基点部85は、吸収コア31が厚さ方向に変形する基点となる。本実施の形態の変形基点部85は、後高剛性部72の外側部72Sによって構成されている。変形基点部85は、変形基点の縁となる基点縁85Eを有する。基点縁は、吸収コア31の厚さの折れ線が形成される縁である。本実施の形態の基点縁85Eは、後高剛性部72の外側縁72Eである。本実施の形態の変形基点部85は、基点縁85Eから吸収コア31の厚さ分まで基点縁85Eに沿った線に対する垂直方向の内側に延びる領域を含んでいる。
ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側の縁である。また、内側部とは、幅方向Wにおける内側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内側の縁である。なお、変形基点部85は、吸収コア31が厚さ方向に変形する基点となればよく、圧搾部による高剛性部の外側部に限定されない。他の態様における変形基点部については、後述にて説明する。
(4)使い捨ておむつの装着時の変形態様
次いで、図6から図8に基づいて、使い捨ておむつ10の装着時の変形態様について説明する。図6は、使い捨ておむつのA-A断面における装着状態を模式的に示した図である。図7は、使い捨ておむつのB-B断面における装着時の吸収体の変形態様を説明するための図である。図8は、実施形態に係る使い捨ておむつの装着状態を模式的に示した図であり、寝た状態の着用者を正面側から視認した図である。図6に示すラインBLは、着用者の身体のラインを示している。
テープ型の使い捨ておむつ10を装着する際は、まず、使い捨ておむつ10を展開した状態で使い捨ておむつ10の後胴回り域S2に着用者の臀部を載せる。そして、着用者の両脚の間に使い捨ておむつ10を通し、股下域側におむつを引っ張り、股下域によって身体を覆う。このとき、使い捨ておむつは、前後方向に引っ張られ、吸収コア31は、変形基点部85を基点に変形し易い。変形基点部85は、股下域に位置する股下伸縮部41よりも後側に設けられており、股下伸縮部41よりも後側に吸収コア31の変形基点が形成される。変形基点部85は、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びており、吸収コア31には、後胴回り域から股下域に向かって幅方向Wの内側に延びる変形基点が形成される。
よって、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張った際に、吸収体は、後胴回り域から股下域に向かって幅方向Wの内側に延びる基点によって変形する。具体的には、変形基点部85が設けられている領域の吸収体は、図7に示すように、後高剛性部72の外側縁72E(変形基点部85の基点縁85E)を基点として変形し、外側縁72Eよりも幅方向Wの内側の領域が、外側縁72Eよりも幅方向Wの外側の領域よりも肌面側に配置される。外側縁72Eよりも幅方向Wの内側の領域が、外側縁72Eよりも幅方向Wの外側の領域よりも肌面側に配置される要因としては、股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31の幅方向Wの中央が身体側に引き上げられること、装着者がおむつを引っ張る際には一般的に吸収コア31の幅方向Wの中央に力をかけるため、及び装着時に吸収性物品の外側部(例えば脚回り開口部近傍)が脚に引っ掛かった状態で吸収コア31の幅方向Wの中央が引き上げられるためである。吸収コア31は、変形基点部85を基点に変形することにより、股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形する。
図6及び図8に示すように、変形基点部85よりも前側に位置する吸収コア31は、一対の股下伸縮部41の収縮によって身体側に凸状に変形し、中央領域R32がサイド領域R31に対して立ち上がる。よって、股下域の吸収コア31が身体側に沿って配置され、着用者の股間に吸収コア31を適切に収めることができる。
着用者の臀部に対して吸収コア31を広い面積で覆いつつ、着用者の両足間の隙間に吸収コア31をコンパクトに収めることができる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置することにより、着用者の腹部を覆う位置まで前胴回り域を引っ張ることができる。テープ型の使い捨ておむつにおいて、着用者の身体を適切に覆うことができる。
股下伸縮部41の外側縁は、変形基点部85の外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。しかし、より好適には、股下伸縮部41の外側縁は、変形基点部85の外側縁よりも幅方向Wの内側に配置されてよい。このような構成によれば、変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形した吸収コア31を、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。なお、股下伸縮部41の外側縁は、股下伸縮部41を構成する弾性部材のうち最も幅方向Wの外側に位置する弾性部材の外側縁である。本実施の形態の股下伸縮部41を構成する糸ゴムは、前後方向に沿って配置されており、幅方向Wの外側に位置する弾性部材が、股下伸縮部41の外側縁を構成する。
変形基点部85と、股下伸縮部41は、幅方向Wにずれていてもよい。しかし、より好適には、変形基点部85の少なくとも一部は、股下伸縮部41の後端縁から後側に延びる第1延長線EL1上に配置されてよい。変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形した吸収コア31を、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。なお、股下伸縮部41を構成する弾性部材が複数設けられた形態にあっては、少なくともいずれかの弾性部材の延長線上に変形基点部85が配置されていればよい。
変形基点部85は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCと係合部93の前端縁との前後方向Lの中間に位置する第1中間線ML1を前後方向Lに跨がってよい。図1に示すように、第1中間線ML1は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCと係合部93の前端縁との前後方向の中心を通り、かつ幅方向Wに延びる線である。第1中間線ML1よりも後側は、一般的に装着時に臀部が載せられる領域である。変形基点部85は、第1中間線ML1を前後方向に跨がっており、着用者の臀部が載せられる領域から臀部が載せられない領域にかけて配置される。装着時に、第1中間線ML1よりも後側の領域が臀部によって押さえられた状態で、臀部が載せられていない領域が前側に引っ張られ、変形基点部85を基点として吸収コア31がより変形し易い。よって、吸収コア31の幅が短くなるように吸収コア31を変形させ、着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置し、着用者の身体を適切に覆うことができる。
また、股下伸縮部41の後端縁41Rは、第1中間線ML1よりも前側に配置されてよい。股下伸縮部41の後端縁41Rは、着用者の臀部が載せられない領域に配置される。装着時には、第1中間線ML1よりも後側の領域が臀部によって押さえられた状態で、臀部が載せられていない領域が前側に引っ張られ、股下伸縮部41がより伸長し易い。よって、股下伸縮部41が配置された領域が身体に対してより引き上げられ易く、着用者の股間に吸収コア31を適切により収めることができる。
変形基点部85の前端縁は、変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁との前後方向の中間に位置する第2中間線ML2よりも前側に配置されてよい。図1に示すように、第2中間線ML2は、変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁41Rとの前後方向の中間を通り、かつ幅方向Wに延びる線である。変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁の間の領域のうち、半分以上の領域に亘って変形基点部85が設けられている。よって、変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、が連動しやすい。よって、後胴回り域S2から股下域S3にかけて吸収コア31を身体に沿った形状に変形させ易くなり、臀部を覆いつつ股下域にコンパクトに吸収コア31を配置することができる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置し、着用者の身体を適切に覆うことができる。
一対の変形基点部85の間には、変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられてよい。本実施の形態では、後高剛性部の外側部が変形基点部85を構成し、後高剛性部の外側部間の領域が、本構成の高剛性部を構成する。変形基点部85間に高剛性部が設けられていることにより、変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域と変形基点部85よりも内側の領域との剛性差が生じ、変形基点部85を基点として吸収コア31がより変形し易くなる。よって、股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31が変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置することにより、着用者の身体を適切に覆うことができる。
なお、後述する変形例に係る変形基点部のように、剛性が比較的低い変形基点部(例えば、低坪量部からなる変形基点部85C)にあっては、一対の変形基点部85の間の高剛性部の剛性が、変形基点部の剛性よりも高くてよい。
一対の変形基点部85の間の高剛性部は、変形基点部85と幅方向Wにおいて隣接していてもよい。変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域が、変形基点部85間の領域に対して変形し易くなり、剛性差によって吸収コア31がより変形し易くなる。また、一対の変形基点部85が高剛性部によって一体化する。変形基点部85と高剛性部が一体化して着用者側に凸状に変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。
本実施の形態の変形基点部85及び変形基点部85間の高剛性部は、いずれも圧搾部からなる後高剛性部によって構成されている。このように、変形基点部85及高剛性部が、一体として形成されていてもよく、変形基点部85及高剛性部の境界が形成されていなくてよい。後高剛性部全体が変形基点部85としての機能、及び高剛性部としての機能を発揮してよい。また、圧搾部からなる変形基点部85は、剛性が高く、吸収コア31の変形をより安定し易くなる。
一対の変形基点部85は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心を挟んで配置されており、変形基点部85の少なくとも一部は、吸収コア31の幅方向Wの中心と吸収コア31の最大幅との中間に位置する第3中間線ML3よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。図1に示すように、第3中間線ML3は、吸収コア31の幅方向Wの中心と吸収コア31の最大幅との中心を通り、かつ前後方向に延びる線である。吸収コア31の幅方向Wの半分以上の領域において、吸収コア31が変形基点部85を基点に変形し易くなる。吸収コア31の広い範囲で股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31が変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。
変形基点部85から幅方向Wの外側に延びる第2延長線EL2上に、脚回り伸縮部42が配置されてよい。第2延長線EL2は、変形基点部85の任意の位置から幅方向Wの外側に延びる線であり、前後方向の位置が異なる位置に複数設けられる。いずれかの第2延長線EL2上に、脚回り伸縮部42の少なくとも一部が配置されていればよい。後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コア31よりも幅方向Wの外側の領域が脚に密着する。脚回り伸縮部と臀部とが身体にフィットした状態で吸収コア31が変形するため、臀部よりも前側において中央領域R32がサイド領域R31に対して立ち上がり易くなり、吸収コア31が変形基点部85を基点としてより変形し易くなる。
また、股下伸縮部41から幅方向Wの外側に延びる延長線上に脚回り伸縮部42配置されてもよい。脚回り伸縮部が身体にフィットした状態で吸収コア31が変形することにより、中央領域R32がサイド領域R31に対してより立ち上がり易くなる。股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31がより着用者側に引き上げられ易くなる。
脚回り伸縮部42は、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びてよい。後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びる脚回り伸縮部が身体に密着することにより、着用者の臀部を使い捨ておむつで覆うことができる。後側に向かって広い範囲で臀部を覆った状態で、股下域に向けて吸収コア31の幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31を変形できる。着用者の股間に吸収コア31を適切に収めつつ、使い捨ておむつによって身体全体を覆い、漏れを抑制できる。
吸収コア31よりも幅方向Wの外側において、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びるサイドフラップ部27を有し、サイドフラップ部27は、第2延長線EL2上に配置されてよい。サイドフラップ部27は、使い捨ておむつの外側部において後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びる部分であり、図1において斜線を付して示した部分である。後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コア31よりも幅方向Wの外側のサイドフラップ部が脚に当たり易くなる。よって、吸収コア31は、幅方向Wの外側に位置するサイドフラップ部と、臀部が載せられた領域と、が押さえられた状態で変形し、変形基点部85を基点としてより変形し易くなる。
股下伸縮部41と重なる領域に低坪量部33が配置されていてもよい。吸収コア31は、着用時に前後方向に延びる低坪量部を基点に変形する。よって、股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31が身体側に凸状により変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31を適切に収めることができる。吸収コア31の変形基点となる低坪量部33は、周囲の領域よりも坪量が低く、体液を吸収した後も厚さを抑えることができ、変形状態を維持できる。
股下伸縮部41は、中央高剛性部71に対する幅方向Wの両方の外側に配置されてよい。股下伸縮部41の収縮によって、中央高剛性部71よりも幅方向Wの外側の領域を身体側に引き上げることができる。よって、低坪量部33近傍が身体側に凸状に変形し易い。また、中央高剛性部71は、股下伸縮部41によって収縮し難い。よって、吸収面積を確保するとともに、股間に沿った凸形状を維持し、漏れを低減できる。
(5)変形例
次いで、変形例に係る変形基点部について説明する。図9は、変形例に係る変形基点部を有する吸収コア31の平面を模式的に示した図である。なお、以下の変形例の説明においては、上述の実施形態と異なる構成のみ説明し、実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
図9(A)は、変形例1に係る変形基点部85Aを有する吸収コア31Aを示している。変形基点部85Aは、幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。変形基点部85Aは、股下伸縮部41よりも幅方向Wの内側に配置されており、第1延長線EL1上に配置されていない。変形基点部85Aは、圧搾部によって構成されている。
図9(B)は、変形例2に係る変形基点部85Bを有する吸収コア31Bを示している。変形基点部85Bは、幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。変形基点部85Aは、股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側に配置されており、第1延長線EL1上に配置されていない。変形基点部85Aは、圧搾部によって構成されている。
変形例2に示すように、股下伸縮部41は、変形基点部85に沿い、かつ変形基点部85の前端縁から前側に延びる第3延長線EL3上に配置されてよい。第3延長線EL3は、変形基点部85に沿って延びる線であって、変形基点部85の前端縁から前側に延びる線である。変形基点部85を基点とした吸収コア31Bの変形と、股下伸縮部41による吸収コア31Bの変形と、が連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形した吸収コア31Bを、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。
図9(C)は、変形例3に係る変形基点部85Cを有する吸収コア31Cを示している。変形基点部85Cは、吸収コアの低坪量部によって構成されている。変形例に係る吸収コア31Cは、装着時に股下域側に引っ張られた際に、スリットの内端縁を基点に折れ線が形成され、厚さ方向に変形する。よって、変形例3に係る基点縁85Eは、変形基点部85Cの内側縁によって構成される。
本明細書における「吸収コアの坪量」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。包装シート等によって包装された使い捨ておむつにおいては包装シートを開封し、折り畳まれた使い捨ておむつを展開する。次いで、坪量を測定する部分を使い捨ておむつから切り出し、切り出した部分から表面シート等、吸収コア以外の部分を取り除く。そして、吸収コアの坪量を測定する部分の面積及び重量を測定する。重量と面積とに基づいて坪量を算出する。
本明細書における「曲げ剛性」は、ガーレー剛軟度によって測定された値であってもよい。ガーレー剛軟度の測定は、(株)安田精機製作所製のNo311のガーレー式柔軟度試験機を用いて、JIS-L1096に準拠して測定することが可能である。ガーレー剛軟度の測定のサンプルの幅方向Wの長さは、30mm、前後方向の長さは、25mmとすることができる。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。