JP7081372B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に関するものである。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。一般的に、TMR素子はGMR素子に比べて素子抵抗が高いものの、TMR素子の磁気抵抗(MR)比はGMR素子のMR比よりも大きい。そのため、磁気センサ・高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子の注目が集まっている。
TMR素子は、電子のトンネル伝導のメカニズムの違いによって2種類に分類することができる。一つは、強磁性層間の波動関数の滲み出し効果(トンネル効果)のみを利用したTMR素子である。もう一つは、トンネル効果を生じた際にトンネルするトンネルバリア層の特定の軌道の伝導を利用したコヒーレントトンネル(特定の波動関数の対称性を有する電子のみがトンネルする)が支配的なTMR素子である。コヒーレントトンネルが支配的なTMR素子は、トンネル効果のみを利用したTMR素子と比較して、大きいMR比が得られることが知られている。
コヒーレントトンネル効果を得ることができるトンネルバリア層としては、MgOが広く知られている。しかしながら、MgOは、強磁性層との格子ミスマッチが大きく、MgOのトンネルバリア層内には多くの転位などの欠陥が生じて、高品質のトンネル接合が得られないという問題がある。このため、MgOに代わる材料の検討も進められている。例えば、特許文献1には、MgOに代わる材料としてスピネル構造を有するMgAlを用いた磁気抵抗効果素子が開示されている。
特許文献2には、トンネルバリア層として不規則化したスピネル構造を有する非磁性酸化物を用いた磁気抵抗効果素子が開示されている。この特許文献2によると、トンネルバリア層として、スピネル構造の非磁性酸化物を用いた場合(特許文献1)と、不規則化したスピネル構造の非磁性酸化物を用いた場合(特許文献2)とを比較すると、不規則化したスピネル構造の方が大きなMR比が得られるとされている。
また、トンネルバリア層として抵抗値が比較的低い酸化物を用いることが検討されている。非特許文献1には、スピネル構造を有するMgGaを用いた磁気抵抗効果素子が記載されている。このMgGaは、バリアハイトがMgAlと比較してはるかに低い値を示すことが知られている。
特許第5586028号公報 特許第5988019号公報
APPLIED PHYSICS LETTERS 110,122404(2017)
磁気抵抗効果素子のMR比を向上させるために、トンネルバリア層の材料として、バリアハイトが高い高バリアハイト酸化物を用い、トンネルバリア層の膜厚を薄くすることは有効である。このため、磁気抵抗効果素子のトンネルバリア層は、一般的に、膜厚が3nm未満とされている。しかしながら、トンネルバリア層の膜厚を薄くすると、高い電圧が印加されたときにトンネルバリア層が破損しやすくなり、磁気抵抗効果素子の耐電性が低下するおそれがある。磁気抵抗効果素子の耐電性を向上させるために、抵抗値が低いトンネルバリア層を用いてトンネルバリア層の膜厚を厚くすることが考えられるが、この場合は、磁気抵抗効果素子のMR比が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、トンネルバリア層の膜厚を厚くしてもMR比が低下しにくい磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、トンネルバリア層を、相対的にバリアハイトが高い高バリアハイト層と相対的にバリアハイトが低い低バリアハイト層とし、かつ低バリアハイト層と高バリアハイト層とのバリアハイトの差を0.5eV以上とすることによって、MR比を低下させずに、トンネルバリア層の膜厚を厚くすることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様にかかる磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層の間に挟持されたトンネルバリア層と、を備え、前記トンネルバリア層は、相対的にバリアハイトが高い高バリアハイト層と相対的にバリアハイトが低い低バリアハイト層とをそれぞれ1層以上含む積層体であって、前記高バリアハイト層と前記低バリアハイト層とのバリアハイトの差が0.5eV以上である。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記高バリアハイト層のバリアハイトが6eV以上であってもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記高バリアハイト層と前記低バリアハイト層とのバリアハイトの差が1.0eV以上5.0eV以下の範囲内にあってもよい。
(4)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記高バリアハイト層が、Mg又はZnであるA元素と、Al、Ga及びInからなる群より選択される一種の金属であるB元素とを含む酸化物であって、スピネル構造を有する高バリアハイト酸化物からなっていてもよい。
(5)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記高バリアハイト酸化物がMgとAlとを含む酸化物であるであってもよい。
(6)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記MgとAlとを含む酸化物が不規則化したスピネル構造を有していてもよい。
(7)前記低バリアハイト層が、Mg又はZnであるC元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるD元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるE元素を含む酸化物であって、スピネル構造を有する低バリアハイト酸化物からなっていてもよい。
(8)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記低バリアハイト酸化物がMgとAlとGaを含む酸化物であってよい。
(9)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記MgとAlとGaを含む酸化物が不規則化したスピネル構造を有していてもよい。
(10)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記トンネルバリア層が、前記高バリアハイト層と、前記高バリアハイト層の一方の表面に積層された低バリアハイト層とを有する積層体であってもよい。
(11)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記トンネルバリア層が、前記高バリアハイト層を2層含み、前記低バリアハイト層が、前記2層の前記高バリアハイト層の間に挟持されている積層体であってもよい。
(12)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記トンネルバリア層の膜厚が3nm以上であってもよい。
(13)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子においては、前記高バリアハイト層の膜厚が1nm以下であってもよい。
本発明によれば、トンネルバリア層の膜厚を厚くしてもMR比が低下しにくい磁気抵抗効果素子を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 スピネル構造の結晶構造を示す図である。 不規則化したスピネル構造の結晶構造を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 実施例で作製した磁気抵抗効果素子のMR比の測定に用いた磁気抵抗効果デバイスを積層方向から平面視した模式図である。 実施例で作製した磁気抵抗効果素子のトンネルバリア層の膜厚とMR比の関係を示すグラフである。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
図1は、本発明の第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。図1に示す磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2とトンネルバリア層3とを備える。また磁気抵抗効果素子10は、これらの層以外にキャップ層、下地層等を有していてもよい。
(第1強磁性層、第2強磁性層)
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は磁化を有する。磁気抵抗効果素子10は、これらの磁化の相対角変化を抵抗値変化として出力する。例えば、第2強磁性層2の磁化の向きを固定し、第1強磁性層1の磁化の向きを第2強磁性層2の磁化の向きに対して可変とすると、第1強磁性層1の磁化の向きが変化することで、磁気抵抗効果素子10の抵抗値が変化する。磁化の向きが固定された層を一般に固定層と呼び、磁化の向きが可変な層を一般に自由層と呼ぶ。抵抗値変化は磁化の相対角の変化に応じて生じるため、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の磁化がいずれも固定されていない構成でもよい。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、強磁性材料を含む。例えば強磁性材料として、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの群から選択される金属を1種以上含む合金、又は、これらから選択される1又は複数の金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金が挙げられる。特にFe又はCoFe合金はスピン分極率が高く、第1強磁性層1又は第2強磁性層2に用いると、磁気抵抗効果素子10のMR比を大きくできる。第1強磁性層1及び第2強磁性層2の具体例としては、Co-Fe、Co-Fe-B、Ni-Feが挙げられる。また第1強磁性層1及び第2強磁性層2が面内磁化膜の場合は、例えば、Co-Ho合金(CoHo)、Sm-Fe合金(SmFe12)等を用いることが好ましい。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、CoFeSiなどのホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はスピン分極率が高く、高いMR比を実現できる。ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物を含む。Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、またはCu族の遷移金属元素または貴金属元素である。Yは、Mn、V、CrまたTi族の遷移金属であり、Xの元素種も選択できる。Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1-aFeAlSi1-b、CoFeGe1-cGa等が挙げられる。ホイスラー合金は高いスピン分極率を有し、磁気抵抗効果素子10のMR比を高めることができる。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、厚みを3nm以下とすることが好ましい。垂直磁気異方性は、トンネルバリア層3との界面で、第1強磁性層1及び第2強磁性層2に付加される。垂直磁気異方性は第1強磁性層1及び第2強磁性層2の膜厚を厚くすることによって効果が減衰するため、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の膜厚は薄い方が好ましい。
第1強磁性層1を固定層、第2強磁性層2を自由層とする場合は、第1強磁性層1の保磁力を第2強磁性層2の保磁量よりも高める。保磁力差は、強磁性層を構成する材料、強磁性層に隣接する層等により調整できる。例えば、第2強磁性層2を構成する材料よりも保磁力の高い材料を第1強磁性層1に用いてもよいし、IrMn,PtMnなどの反強磁性材料を第1強磁性層1に隣接させてもよい。また第1強磁性層1の漏れ磁場が第2強磁性層2に影響すること防ぐために、シンセティック強磁性結合の構造としても良い。
(トンネルバリア層)
トンネルバリア層3は、相対的にバリアハイト(バリア障壁)が高い高バリアハイト層3aと、高バリアハイト層3aの一方の表面(図1では上面)に積層された相対的にバリアハイトが低い低バリアハイト層3bとからなる2層構造の積層体とされている。高バリアハイト層3aと低バリアハイト層3bとのバリアハイトの差は0.5eV以上であり、好ましくは1.0eV以上5.0eV以下の範囲内、特に好ましくは2.0eV以上5.0eV以下の範囲内である。なお、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bのバリアハイトは、バルクの状態での値である。
高バリアハイト層3aは、バリアハイトが6.0eV以上であることが好ましく、7.0eV以上9.0eV以下の範囲内にあることが特に好ましい。バリアハイトがこの範囲内にある高バリアハイト層3aは、磁気抵抗効果素子10のMR比を向上させる効果が高い。高バリアハイト層3aの膜厚は、1nm以下であることが好ましい。高バリアハイト層3aの膜厚が1nm以下であると、第1強磁性層1と高バリアハイト層3aとの間のバンド折り畳み効果が抑制され、磁気抵抗効果素子10のMR比がさらに向上する。一方、高バリアハイト層3aの膜厚が薄くなりすぎると、トンネルバリアとしての作用が低下するおそれがある。このため、高バリアハイト層3aの膜厚は0.2nm以上であることが好ましい。
低バリアハイト層3bは、バリアハイトが7.0eV以下であることが好ましく、3.0eV以上6.5eV以下の範囲内にあることが特に好ましい。バリアハイトがこの範囲内にある低バリアハイト層3bは、一般に抵抗値が低いため、膜厚を厚くしても、磁気抵抗効果素子10のMR比が低下しにくくなる。低バリアハイト層3bの膜厚は、トンネルバリア層3の膜厚が3nm以上となる厚さであることが好ましい。トンネルバリア層3の膜厚が3nm以上となると、高い電圧が印加されてもトンネルバリア層3が破損しにくくなり、磁気抵抗効果素子10の耐電性が向上する。ただし、トンネルバリア層3の膜厚が厚くなりすぎると、磁気抵抗効果素子10のMR比が低下するおそれがある。このため、トンネルバリア層3の膜厚は6nm以下であることが好ましく、5nm以下であることが特に好ましい。
高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bは、スピネル構造を有する酸化物から形成されていることが好ましい。高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bが共にスピネル構造を有することによって、両者の格子整合性が向上する。スピネル構造を有する酸化物は、一般に、化学量論組成式ABで表される。なお、本実施形態において、スピネル構造は、化学量論組成からのずれは許容される。また、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bが有するスピネル構造は、規則化したスピネル構造に限られず、不規則化したスピネル構造も含む。
図2は、規則化したスピネル構造の結晶構造を模式的に示した図である。規則化したスピネル構造は、図2に示すように、A元素が入るサイト(Aサイト)とB元素が入るサイト(Bサイト)が固定されており、これらの元素の配列は規則的である。
これに対し、図3は不規則化したスピネル構造の結晶構造を模式的に示した図である。不規則化したスピネル構造の場合、A元素又はB元素は、図3に示す酸素に対して四面体配位するサイト(Aサイト)及び八面体配位するサイト(Bサイト)のいずれにも存在しうる。A元素又はB元素がいずれのサイトに入るかはランダムである。原子半径の異なるA元素とB元素とがランダムにこれらのサイトに入ることで、結晶構造が不規則化する。不規則化したスピネル構造の格子定数(a/2)は、規則化したスピネル構造の格子定数(a)の概ね半分となる。
高バリアハイト層3aを形成する高バリアハイト酸化物は、Mg又はZnであるA元素と、Al、Ga及びInからなる群より選択される一種の金属であるB元素とを含む酸化物から形成されていることが好ましい。A元素、B元素、酸素の含有量比は、特に制限はなく、スピネル構造を有する酸化物を形成する含有量比であればよい。高バリアハイト酸化物の例としては、Mg-Al-O、Mg-Ga-O、Mg-In-O、Zn-Al-O、Zn-Ga-O、Zn-In-Oを挙げることができる。これらの酸化物の中では、Mg-Al-Oが好ましい。Mg-Al-Oは不規則化したスピネル構造を有することが好ましい。
なお、高バリアハイト層3aは、A元素を含まないスピネル構造を有する酸化物(例えば、γ-アルミナ)から形成してもよい。また、高バリアハイト層3aを、スピネル構造を有しない酸化物(例えば、MgO)から形成してもよい。
低バリアハイト層3bを形成する低バリアハイト酸化物は、Mg又はZnであるC元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるD元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるE元素とを含む酸化物から形成されていることが好ましい。C元素、D元素、E元素、酸素の含有量比は、特に制限はなく、スピネル構造を有する酸化物を形成する含有量比であればよい。低バリアハイト酸化物の例としては、Mg-Al-O、Mg-Al-Ga-O、Mg-Al-In-O、Mg-Ga-O、Mg-Ga-In-O、Mg-In-O、Zn-Al-O、Zn-Al-Ga-O、Zn-Al-In-O、Zn-Ga-O、Zn-Ga-In-O、Zn-In-Oを挙げることができる。これらの酸化物の中では、Mg-Al-Ga-Oが好ましい。Mg-Al-Ga-Oは不規則化したスピネル構造を有することが好ましい。
上記トンネルバリア層はスピネル構造または不規則スピネル構造であれば、必ずしもAサイトとBサイトの比率が1:2でなくてもよい。酸素量は必ずしも化学量論組成でなくてもよく、酸素欠損あるいは過剰になってもよい。
なお、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bは、バリアハイトの差が0.5eV以上であれば、同種の金属元素を含む酸化物から形成されていてもよい。例えば、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bは、A元素とB元素とを含む酸化物から形成されていてもよいし、C元素とD元素とE元素とを含む酸化物から形成されていてもよい。
高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bの好ましい組合せは、高バリアハイト層3aを不規則化したスピネル構造を有するMg-Al-Oから形成し、低バリアハイト層3bを、不規則化したスピネル構造を有するMg-Al-Ga-Oから形成する組合せである。この場合、高バリアハイト層3aと低バリアハイト層3bの格子整合性が向上することため、磁気抵抗効果素子10のMR比が向上すると共に耐電性が向上する。また、高バリアハイト層3aと低バリアハイト層3bを不規則化したスピネル構造にすることで、第1強磁性層1及び第2強磁性層2とトンネルバリア層3のバンド折り畳み効果が抑制され、磁気抵抗効果素子10のMR比がさらに向上する。
(素子の形状、寸法)
磁気抵抗効果素子10を構成する第1強磁性層1、トンネルバリア層3及び第2強磁性層2からなる積層体は柱状の形状である。積層体を平面視した形状は、円形、四角形、三角形、多角形等の種々の形状をとることができるが、対称性の面から円形であることが好ましい。すなわち、積層体は円柱状であることが好ましい。
積層体が円柱状である場合、平面視の直径が80nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。直径が80nm以下であると、強磁性中にドメイン構造ができにくくなり、強磁性層におけるスピン分極と異なる成分を考慮する必要がなくなる。さらに、30nm以下であると、強磁性層中に単一ドメイン構造となり、磁化反転速度や確率が改善する。また小型化された磁気抵抗効果素子において、特に低抵抗化の要望が強い。
「磁気抵抗効果素子の製造方法」
次いで、磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。
本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法は、第1強磁性層と、トンネルバリア層と、第2強磁性層とを積層する工程を有する。これらの層の成膜方法としては、スパッタリング法、蒸着法、レーザアブレーション法、分子線エピタキシャル(MBE)法など公知の方法を用いることができる。
トンネルバリア層は、高バリアハイト層を積層した後、低バリアハイト層を積層することによって形成することができる。高バリアハイト層は、例えば、高バリアハイト層を形成する高バリアハイト酸化物に含まれる金属元素を含む金属薄膜を成膜する工程と、成膜した金属薄膜を酸化して酸化物膜を得る工程と、酸化物膜に熱処理を施す工程とを含む方法によって形成することができる。
金属薄膜を成膜する方法としては、スパッタリング法を用いることができる。例えば、A元素とB元素を含む合金ターゲットを用いてスパッタリングを行う方法及びA元素を含むターゲットとB元素を含むターゲットを用いてコスパッタリングを行う方法を用いることができる。
金属薄膜を酸化させる方法としては、プラズマ酸化法又は酸素導入による自然酸化法を用いることができる。また、酸化物膜の熱処理は、酸化物の組成によって異なるが、通常は、真空中で350℃以上500℃以下の温度で行うことが好ましい。
また高バリアハイト層の形成方法は上記方法に限られない。例えば、高バリアハイト酸化物のターゲットを用いて、直接酸化物膜を形成してもよい。
低バリアハイト層は、高バリアハイト層と同様に、例えば、低バリアハイト層を形成する低バリアハイト酸化物に含まれる金属元素を含む金属薄膜を成膜する工程と、成膜した金属薄膜を酸化して酸化物膜を得る工程と、得られた酸化物膜に熱処理を施す工程とを含む方法によって形成することができる。
上述のように、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子10において、トンネルバリア層3は、高バリアハイト層3aと低バリアハイト層3bとをそれぞれ1層含む積層体とされている。このため、高バリアハイト層3aの膜厚を薄くし、低バリアハイト層3bの膜厚を厚くすることによって、MR比を低下させずに、トンネルバリア層の膜厚を厚くすることができる。
「第2実施形態」
図4は、本発明の第2実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。なお、第2実施形態にかかる磁気抵抗効果素子20において、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子10と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
図4に示す磁気抵抗効果素子20は、トンネルバリア層23が、高バリアハイト層3aを2層含み、低バリアハイト層3bが、2層の高バリアハイト層3aの間に挟持された3層構造の積層体とされている。トンネルバリア層23は、Mg-Al-O/Mg-Al-Ga-O/Mg-Al-Oの3層構造であることが好ましい。Mg-Al-O及びMg-Al-Ga-Oは不規則化したスピネル構造を有することが好ましい。
磁気抵抗効果素子20は、高バリアハイト層3aが強磁性体との界面に接するため、磁気抵抗効果素子20はさらに高いMR比が得られる。特に高バリアハイト層3aが不規則スピネル構造を有する場合は、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の強磁性層とトンネルバリア層23のバンド折り畳み効果が抑制されるため、磁気抵抗効果素子20はさらに高いMR比が得られる。高バリアハイト層3aの1層の膜厚は1nm以下であることが好ましい。
(その他)
磁気抵抗効果素子10は、磁化固定層が磁化自由層より基板から遠い側にあるトップピン構造、磁化固定層が磁化自由層より基板に近い側にあるボトムピン構造、のいずれでもよい。
第1実施形態の磁気抵抗効果素子10において、トンネルバリア層3は、1層の高バリアハイト層3aと1層の低バリアハイト層3bの積層体とされ、第2実施形態の磁気抵抗効果素子20において、トンネルバリア層23は、2層の高バリアハイト層3aと1層の低バリアハイト層3bの積層体とされている。ただし、トンネルバリア層3、23は、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bをそれぞれ1層以上含めば、その数に特に制限はない。例えば、高バリアハイト層3aを3層とし、高バリアハイト層3aを2層としてもよい。但し、結晶性が高い方のバリア層が、第1強磁性層1と第2強磁性層2に接するように配置することが好ましい。また、トンネルバリア層全体の膜厚は3nm以下となるようにすることが好ましい。
さらに、トンネルバリア層3、23は、さらに高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bとはバリアハイトが異なる第3のバリア層を含んでいてもよい。この場合、第3のバリア層は、高バリアハイト層3a及び低バリアハイト層3bと中間的なバリアハイトを有し、高バリアハイト層3aと低バリアハイト層3bの間に挟持されていることが好ましい。
以上のように、本実施形態の磁気抵抗効果素子は、MRAMなどのメモリとして有利に使用することが可能である。
[実施例1]
図1に示す磁気抵抗効果素子10を作製した。まず、基板としてMgO(001)単結晶基板を用意し、この基板の上に下地層(後述する第1配線31を兼ねる)としてCrを40nm積層し、第1強磁性層1としてFeを30nm積層した。
次に、第1強磁性層1の上に、MgAl合金ターゲットを用いて、MgAl合金薄膜をスパッタリング法により成膜した。MgAl合金薄膜の膜厚は、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.9nmとなるように調整した。次いで、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。なお、酸化処理は、MgAl合金薄膜を圧力5Paの空気中に600秒さらすことによって行った。熱処理は、MgAlO薄膜を真空中で400℃15分間加熱することによって行った。
次いで、高バリアハイト層3aの上に、MgAlGa合金ターゲットを用いて、MgAlGa合金薄膜をスパッタリング法により成膜した。MgAlGa合金薄膜の膜厚は、酸化処理によって生成するMgAlGaO薄膜(低バリアハイト層3b)の膜厚が0.1~5.7nmとなるように調整した。このMgAlGa合金薄膜を酸化処理してMgAlGaO薄膜とした後、熱処理を行って、低バリアハイト層3bを形成した。酸化処理及び熱処理の条件は、高バリアハイト層3aの場合と同じとした。こうして、第1強磁性層1の上に、トンネルバリア層3を積層した。
次に、トンネルバリア層3の上に、第2強磁性層2としてFeを6nm積層し、強磁性トンネル接合を得た。また反強磁性層としてIrMnを第2強磁性層2の上に12nm成膜し、キャップ層(後述する第2配線32を兼ねる)としてRuを20nm成膜し、磁気抵抗効果素子10を得た。最後に5kOeの磁場を印加しながら175℃の温度で熱処理し、第2強磁性層2に一軸磁気異方性を付与した。
以上のようにして、トンネルバリア層3がMgAlO層/MgAlGaO層の2層構造である磁気抵抗効果素子10を作製した。磁気抵抗効果素子10の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
[実施例2]
トンネルバリア層を、次のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図4に示す磁気抵抗効果素子20を作製した。
第1強磁性層1の上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.9nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。
次いで、高バリアハイト層3aの上に、MgAlGa合金ターゲットを用いて、酸化処理によって生成するMgAlGaO薄膜(低バリアハイト層3b)の膜厚が0.2~3.8nmとなるように膜厚を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、MgAlGa合金薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAlGa合金薄膜を酸化処理してMgAlGaO薄膜とした後、熱処理を行って、低バリアハイト層3bを形成した。
さらに、低バリアハイト層3bの上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.9nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。
酸化処理及び熱処理の条件は、実施例1と同じとした。
以上のようにして、トンネルバリア層23がMgAlO層/MgAlGaO層/MgAlO層の3層構造である磁気抵抗効果素子20を作製した。磁気抵抗効果素子20の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
[実施例3]
トンネルバリア層を、次のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図4に示す磁気抵抗効果素子20を作製した。
第1強磁性層1の上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.45nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。
次いで、高バリアハイト層3aの上に、MgAlGa合金ターゲットを用いて、酸化処理によって生成するMgAlGaO薄膜(低バリアハイト層3b)の膜厚が0.1~5.7nmとなるように膜厚を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、MgAlGa合金薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAlGa合金薄膜を酸化処理してMgAlGaO薄膜とした後、熱処理を行って、低バリアハイト層3bを形成した。
さらに、低バリアハイト層3bの上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.45nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。
酸化処理及び熱処理の条件は、実施例1と同じとした。
以上のようにして、トンネルバリア層23がMgAlO層/MgAlGaO層/MgAlO層の3層構造である磁気抵抗効果素子20を作製した。磁気抵抗効果素子20の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
[実施例4]
トンネルバリア層を、次のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図4に示す磁気抵抗効果素子20を作製した。
第1強磁性層1の上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.45nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。
次いで、高バリアハイト層3aの上に、ZnAl合金ターゲットを用いて、酸化処理によって生成するZnAlO薄膜(低バリアハイト層3b)の膜厚が0.1~5.7nmとなるように膜厚を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、ZnAl合金薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このZnAl合金薄膜を酸化処理してZnAlO薄膜とした後、熱処理を行って、低バリアハイト層3bを形成した。
さらに、低バリアハイト層3bの上に、酸化処理によって生成するMgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)の膜厚が0.45nmとなるように膜厚を調整したMgAl薄膜をスパッタリング法により成膜した。そして、このMgAl合金薄膜を酸化処理してMgAlO薄膜とした後、熱処理を行って、高バリアハイト層3aを形成した。酸化処理及び熱処理の条件は、実施例1と同じとした。
以上のようにして、トンネルバリア層23がMgAlO層/ZnAlO層/MgAlO層の3層構造である磁気抵抗効果素子20を作製した。磁気抵抗効果素子20の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
[比較例1]
トンネルバリア層を、MgAlGaO薄膜(低バリアハイト層3b)を形成しなかったこと、MgAlO薄膜(高バリアハイト層3a)を、膜厚が1.0~3.5nmとなるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、トンネルバリア層がMgAlO層の単層構造である磁気抵抗効果素子を作製した。磁気抵抗効果素子の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
[比較例2]
トンネルバリア層を、次のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして下記の表1に示す磁気抵抗効果素子を作製した。第1強磁性層の上に、MgGa薄膜を、膜厚が1.2~3.2nmとなるように調整しながら製膜し、熱処理を行ってトンネルバリア層を形成した。なお、熱処理の条件は、実施例1と同じとした。こうして、トンネルバリア層がMgGa層の単層構造である磁気抵抗効果素子を作製した。磁気抵抗効果素子の各層の材料と膜厚を下記の表1に示す。
Figure 0007081372000001
実施例1~4及び比較例1~2で作製した磁気抵抗効果素子のトンネルバリア層のバリアハイトの値(バルク値)と、そのバリアハイト値が記載されている文献を下記の表2に示す。なお、MgAlGaOは、MgAl及びMgGaと結晶構造が同じスピネル構造であり、AlとGaの組成比によって、バリアハイトは4.9~7.8eVを取り得る。
表2に示すバリアハイト値から、MgAlOのバリアハイト値は、MgとAlの組成比によって7.58~8.7eVを取り得ることが分かる。特に、MgO~MgAlの間では、7.58~7.8Vを取り得ることが分かる。これに対して、MgAlGaOは、MgAlとMgGaとの比較から、MgAlOよりもバリアハイト値が低いことが分かる。また、ZnAlOは、MgAlとZnAlとの比較から、MgAlOよりもバリアハイト値が低いことが分かる。
Figure 0007081372000002
実施例1~4及び比較例1~2で作製した磁気抵抗効果素子について、トンネルバリア層の金属成分の含有量比(原子比)を次のようにして測定した。その結果、トンネルバリア層の金属成分の含有量比は、トンネルバリア層の作成に用いた合金ターゲットの金属成分の含有量比とほぼ同じであった。
(金属成分の含有量比の測定方法)
磁気抵抗効果素子を積層方向に沿う面に沿って集束イオンビームで切断し、トンネルバリア層の薄片試料を作製した。そしてこの薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)におけるエネルギー分散型X線分析(EDS)によって組成分析した。なお、分析法はこれに限定されず、2次イオン質量分析法(SIMS)、アトムプローブ法、電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて行うこともできる。
また、作製した磁気抵抗効果素子について、トンネルバリア層の結晶構造を、次のようにして測定した。その結果、トンネルバリア層はいずれも、不規則化したスピネル構造であることが確認された。
(結晶構造の測定方法)
上記のようにして作製したトンネルバリア層の薄片試料に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて1nm径程度に絞った電子線を照射して、得られたナノ電子回折(NBD)パターンにより結晶構造を特定して、不規則化したスピネル構造であることを確認した。
さらに、作製した磁気抵抗効果素子について、MR比を、次のようにして測定した。その結果を、横軸にトンネルバリア層の膜厚(実施例1~4では、高バリアハイト層と低バリアハイトの合計膜厚)を、縦軸にMR比をプロットしたグラフとして図6に示す。
(MR比の測定方法)
図7は、MR比の測定に用いた磁気抵抗効果デバイス30を積層方向から平面視した模式図である。磁気抵抗効果素子10、20は、第1配線31と第2配線32の交差する位置に配置した。磁気抵抗効果素子10、20は、直径80nmの円柱状とした。そして第1配線31には電極33が設けられ、電極33は電源34と電圧計35に接続されている。電源34により電圧を印加することにより、磁気抵抗効果素子10の積層方向に電流が流れる。この際の磁気抵抗効果素子10、20の電位差は電圧計35でモニターされる。そして磁気抵抗効果素子10、20に、外部から磁場を掃引しながら、電流又は電圧を磁気抵抗効果素子10、20に印加することによって、磁気抵抗効果素子10、20の抵抗変化が観測される。
MR比は、以下の式より算出した。
MR比(%)=(RAP-R)/R×100
は第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗であり、RAPは第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが反平行の場合の抵抗である。
図6のグラフから、実施例1~4で作製した磁気抵抗効果デバイスは、いずれもトンネルバリア層の膜厚が5nmと厚くてもMR比が100%以上と高い値を示すことが確認された。特に、トンネルバリア層がMgAlO層/MgAlGaO層/MgAlO層の3層構造とされた実施例2及び実施例3の磁気抵抗効果デバイスは、トンネルバリア層がMgAlO層/MgAlGaO層の2層構造とされた実施例1の磁気抵抗効果デバイスと比較して、MR比が高くなった。
これに対して、トンネルバリア層がMgAlO層の単層構造とされた比較例1の磁気抵抗効果デバイスは、トンネルバリア層の膜厚が3nm以上となると、急激にMR比が低下した。また、トンネルバリア層がMgGa層の単層構造とされた比較例2の磁気抵抗効果デバイスは、トンネルバリア層の膜厚が3nm以上となってもMR比の低下は見らなかったが、MR比が全体的に低くなった。
10、20…磁気抵抗効果素子、1…第1強磁性層、2…第2強磁性層、3、23…トンネルバリア層、3a…高バリアハイト層、3b…低バリアハイト層、30…磁気抵抗効果デバイス、31…第1配線、32…第2配線、33…電極、34…電源、35…電圧計

Claims (12)

  1. 第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層の間に挟持されたトンネルバリア層と、を備え、
    前記トンネルバリア層は、相対的にバリアハイトが高い高バリアハイト層と相対的にバリアハイトが低い低バリアハイト層と、をそれぞれ1層以上含む積層体であって、
    前記高バリアハイト層と前記低バリアハイト層とのバリアハイトの差が0.5eV以上であり、
    前記低バリアハイト層が、Mg又はZnであるC元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるD元素と、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であるE元素を含む酸化物であって、スピネル構造を有する低バリアハイト酸化物からなる、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記高バリアハイト層のバリアハイトが6.0eV以上である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記高バリアハイト層と前記低バリアハイト層とのバリアハイトの差が1.0eV以上5.0eV以下の範囲内にある、請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記高バリアハイト層が、Mg又はZnであるA元素と、Al、Ga及びInからなる群より選択される一種の金属であるB元素とを含む酸化物であって、スピネル構造を有する高バリアハイト酸化物からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記高バリアハイト酸化物がMgとAlとを含む酸化物である、請求項4に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記MgとAlとを含む酸化物が不規則化したスピネル構造を有する、請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記低バリアハイト酸化物がMgとAlとGaを含む酸化物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記MgとAlとGaを含む酸化物が不規則化したスピネル構造を有する、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記トンネルバリア層が、前記高バリアハイト層と、前記高バリアハイト層の一方の表面に積層された前記低バリアハイト層とを有する積層体である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記トンネルバリア層が、前記高バリアハイト層を2層含み、前記低バリアハイト層が、前記2層の前記高バリアハイト層の間に挟持されている積層体である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 前記トンネルバリア層の膜厚が3nm以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 前記高バリアハイト層の膜厚が1nm以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
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