JP7081214B2 - 接着剤硬化物、加飾シート及び加飾成形体 - Google Patents
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Description
TOM成形に用いられる加飾シ-トとしては、加飾層(表面層もしくは表面保護層)と粘接着剤層等を有する加飾シ-トが知られている。加飾層と粘接着剤層を有する加飾シ-トを用いる場合は、粘接着剤層等の粘接着力を利用して、加飾シ-トと成形体を密着接合させる。特許文献2には、樹脂層(表面層)と、接着剤層を有する複層シートが開示されており、接着剤層を構成する接着剤としてアクリル系接着剤が用いられている。
[1] ポリウレタン系接着剤を硬化してなる接着剤硬化物であり、引張伸び率が300%時の伸び応力が、1MPa以上12MPa以下である、接着剤硬化物。
前述のとおり、本発明の接着剤硬化物は、ポリウレタン系接着剤を硬化してなる反応硬化型接着剤硬化物であり、引張伸び率が300%時の伸び応力が、1MPa以上12MPa以下である。
本発明においてポリウレタン系接着剤は特に限定されず、従来公知の一液硬化型、二液硬化型の接着剤を用いることができる。二液硬化型のポリウレタン系接着剤として好ましくは、主剤と硬化剤とを用いる二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用できる。主剤として好ましくはポリオール主剤であり、硬化剤として好ましくはポリイソシアネート硬化剤である。
ポリオール主剤は、使用するポリオールの種類により、エーテル系とエステル系に分類され、接着力の発現と、耐熱性、塗工性を両立させるため、他の成分を添加したり、最適な分子量にして用いられる。
エーテル系主剤は、分子量500~3,000程度のポリエーテル類を有機ジイソシアネートで鎖伸長反応させて、分子量数千~数万にまで高分子量化したポリエーテルポリウレタンポリオールを主剤として使用する。エーテル主鎖であるため、粘度が低く、高速塗工性に優れるが、凝集力が小さいため初期接着に劣る面がある。
上記ポリエーテルポリウレタンポリオールの合成に用いるポリアルキレングリコールとしては、例えば、いずれも繰り返し単位中の炭素数が3であるポリトリメチレングリコール及びポリプロピレングリコールや、いずれも繰り返し単位中の炭素数が4であるポリテトラメチレングリコール及びポリブチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ポリテトラメチレングリコール及びポリプロピレングリコールのうちの少なくとも一方を含むポリアルキレングリコールが好適に用いられ、ポリテトラメチレングリコールを含むポリアルキレングリコールより好適に用いられる。ポリテトラメチレングリコールは、特に、耐水性が高く、適度な結晶性を有していることに加えて、高い耐湿熱性を発揮するためである。したがって、ポリテトラメチレングリコール構造を繰り返し単位として有するポリエーテルポリウレタンポリオールを主剤として含む接着剤組成物は、特に屋外において使用される積層体の製造に好適に使用することができる。
上記ポリエーテルポリウレタンポリオールの合成に用いるアルカンジオールモノマーとしては、炭素数が、2~9程度の範囲であることが好ましく、2~6程度の範囲であることがより好ましい。これにより、アルカンジオールモノマーの分子量が適度なものとなるので、ポリエーテルポリウレタンポリオールにおいてハードセグメントを形成するウレタン結合密度を比較的高くすることができる。このため、調製される接着剤組成物では、高い凝集力が得られる。
上記ポリエーテルポリウレタンポリオールの合成に用いる有機ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、及び、これらの誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
エステル系主剤は、分子量1,000~3,000程度のポリエステル類をジイソシアネートで鎖伸長反応させて、分子量数千~数万にまで高分子量化したポリエステルポリウレタンポリオールを主剤として使用する場合と、分子量数千~数万のポリエステルポリオールを主剤として使用する場合がある。エステル主剤系は、加水分解性があり、粘度が高いため、高速塗工性は劣るが、エーテル主剤系に比べ凝集力が大きく、初期接着、耐熱性、耐薬品性などに優れる。
またこれら主剤は、耐加水分解性の観点から、さらにエポキシ樹脂を含むことが好ましく、エポキシ基がエステル結合の加水分解により発生したカルボキシル基と反応することにより、分子量低下を制御することが期待される。その場合、せん断強度保持の観点から、脂肪族エポキシ樹脂ではなく、芳香族エポキシ樹脂を配合することが好ましい。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格による疎水性を有することから、エステル結合の加水分解を抑制する効果が期待される。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて使用できる。
また、上記エステル系主剤としては、上記のポリエステルポリオール及び/又はポリエステルポリウレタンポリオール、エポキシ樹脂に加えて、公知の接着剤用の添加剤を含有してもよい。かかる添加剤としては、前述のエーテル系主剤で使用される添加剤と同様のシランカップリング剤、反応促進剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明の硬化剤は、従来公知の硬化剤を使用することができ、好ましくはポリイソシアネートであり、より好ましくは多官能ポリイソシアネートである。硬化剤は1種又は任意の2種類以上を組み合わせて用いることができる。
多官能ポリイソシアネートとしては、例えば、低分子量ポリイソシアネート、低分子量ポリイソシアネートと、水又は多価アルコールとを反応させて得られるポリウレタンイソシアネート(アダクト体)、ポリウレタンイソシアネートのビウレット体又はアロファネート体、低分子量イソシアネートのウレトジオン体(二量体)又はイソシアヌレート体(三量体)等が挙げられる。
本発明のポリイソシアネートとして好ましくは脂環式多官能ポリイソシアネートであり、より好ましくはイソホロンジイソシアネートである。
硬化剤の配合量(含有量)は、主剤全量に対して、好ましくは3~20質量部であり、より好ましくは7~18質量部である。硬化剤及び主剤の配合量を前記範囲とすることにより、接着剤硬化物の初期凝集力を向上することができるとともに、該接着剤硬化物を用いてなる加飾シート及び加飾成形体を屋外に長期間放置した場合でも、接着剤硬化物の剥離強度が低下するのを好適に防止することができる。
本発明の接着剤硬化物は、引張伸び率が300%時の伸び応力が、1MPa以上12MPa以下であり、好ましくは、1.3MPa以上8MPa以下であることで、優れた熱成形性を発揮する。特に、破断伸度が400%以上、好ましくは500%以上、より好ましくは600%以上であると、加飾シートを加熱し引き伸ばして成形体と貼り合せる際、複雑な凹凸を有する3次元成形体の形状にも追随し、優れた外観の加飾成形体を得ることができる。
本発明の加飾シートは、伸び率の高い接着剤硬化物を用いるため、従来公知の加飾シートの接着層として利用されていた熱可塑性樹脂と比較して、大幅に膜厚を低減することができる。具体的には、20μm以下とすることができ軽量化に繋がる。さらに、耐熱性を付与することができる。
本発明の加飾シートに使用される接着剤層は、引張伸び率が300%時の伸び応力が、1MPa以上12MPa以下である、前記接着剤硬化物からなる。
接着剤硬化物からなる接着剤層は、これらの接着剤にカーボンブラック、酸化チタン等の顔料、染料が配合された有色の層であってもよい。
本発明の加飾シートは基材層を有する。基材層は、成形工程において成形体に追従する形で延伸可能なものであることが好ましい。基材層を構成する材料は、プラスチックであることが好ましい。プラスチックとしては、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、好ましくは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリ塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくは、ABS樹脂又はアクリル系樹脂である。
本発明における装飾層は、加飾シートの意匠性を付与するために設けられる層であり、模様、文字、及びパターン状の絵柄等を表現する装飾層である。柄としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、ストライプ状やグラデーションの絵柄等が挙げられる。
本発明の加飾シートは、接着剤層を保護するために剥離層を有していてもよい。剥離層は、接着層から容易に剥離可能なものであればよく、従来公知のものを使用できる。
本発明の加飾シ-トは、加飾シ-トが上記の各層構成を有するものであれば、特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。例えば、基材層上に、着色剤を含む装飾層用塗工液を塗工し、装飾層を形成する。次に、装飾層上に、上記の接着剤を含む有機溶剤溶液(ワニス)を塗工して、接着層を形成した後、剥離層となる剥離シートをラミネートして、加飾シ-トを製造する。
本発明の加飾成形体は、被着成形体表面の一部又は全面に、本発明の加飾シートを貼着させたものであり、接着剤層を介して加飾シートが被着成形体に貼合されている。
本発明の加飾成形体は本発明の加飾シートを用いることで、高い機能性や意匠性を発現することができる。以下、本発明の加飾成形品の構成を、図面を参照しながら説明する。
本発明における被着成形体は、本発明の加飾シートにより加飾される成形体であり、例えば、各種素材の曲面板材、立体形状物品等である。本発明の加飾シートは、加飾成形時の成形性、高温環境での密着性が優れているため、加飾成形体の生産性を高めることができ、かつ、意匠性、耐久性に優れた加飾成形体を得ることができる。
本発明において、被着成形体の形状、すなわち加飾シ-トを積層させる対象の形状は、非平面であることが好ましく、例えば、略球面形状、又は凸形状等の凹凸形状等が挙げられる。
本発明の加飾シートを用いて三次元成形体を加飾する場合には、従来公知の手法と同様に行えばよく、特に限定されるものではない。すなわち、接着層が被着成形体表面に面するようにして、被着成形体表面に加飾シートを密着するように、該加飾シートを圧着させて加飾する。その後、加熱を行い、接着層を硬化させて、加飾成形体を得る。真空条件下又は減圧条件下での成形方法としては、例えばTOM成形(3次元被覆成形)法等が挙げられ、本発明の加飾シートはTOM成形等の成形方法において特に好ましく用いられる。
<ポリオールAの合成>
数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール(「PTMG2000SN」、保土ヶ谷化学(株)社製、以下「PTMG2000」と略す。):74.54部と、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(以下、「MPD」と略す。):6.61部と、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す。):18.85部とを、0.91の当量比(NCO/OH)となるように、攪拌機付きの合成容器に仕込んだ後、170℃で2 時間、これらの反応を行うことにより、ポリオールを得た。酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、ポリオールA溶液とした。
テレフタル酸ジメチル119.5部、エチレングリコール92.2部、ネオペンチルグリコール72.2部、及び酢酸亜鉛0.02部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160~210℃に加熱し、エステル交換反応を行なった。理論量の97%のメタノールが留出した後、イソフタル酸93.0部、アゼライン酸130.0を仕込み、160~270℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1~2トールまで減圧し、酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、重量平均分子量が80,000のポリエステルポリオール(エステル結合度0.93モル/100g)を得た。酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、ポリオールB溶液とした。
ネオペンチルグリコール94.2部、1,6-ヘキサンジオール91.7部、エチレングリコール37.6部、イソフタル酸211.5部、セバシン酸122.9部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160~250℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1~2トールまで減圧し、酸価が1mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、重量平均分子量が6,000の前段階のポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールにイソホロンジイソシアネート22.9部を徐々に加え、100~150℃で加熱反応させた。6時間反応後に、重量平均分子量35,000のポリエステルポリウレタンポリオール(エステル結合度0.79モル/100g)を得た。酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、ポリオールC溶液とした。
ポリオールB100部とポリオールC40部を70℃で加熱・混合し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液をポリオールD溶液とした。
ポリオールB40部とポリオールC100部を70℃で加熱・混合し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液をポリオールE溶液とした。
エチレングリコール72.8部、アジピン酸146.0部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160~240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1~2トールまで減圧し、酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、重量平均分子量が35,000のポリエステルポリオール(エステル結合度1.16モル/100g)を得た。酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、ポリオールFとした。
数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール(「PTG2000SN」、保土ヶ谷化学(株)社製、以下「PTMG2000」と略す。):73.52部と、1,6-ヘキサンジオール(以下、「1,6-HD」と略す。):10.14部と、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す。):16.34部とを、0.91の当量比(NCO/OH)となるように、攪拌機付きの合成容器に仕込んだ後、170℃で2時間、これらの反応を行うことにより、ポリオールを得た。酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、ポリオールGとした。
<主剤1(ポリエーテルポリウレタンポリオール)の調製>
ポリオールA溶液:140部と、融点が78℃、数平均分子量が1,200であり、常温で固形状をなすビスフェノールA型エポキシ樹脂(「YD-012」、東都化成(株)社製):30部と、エポキシ基含有オルガノシランカップリング剤(「KBE403」、信越化学工業(株)製、以下において同様である。):3部とを添加した。その後、これらに、さらに、熱安定剤(「イルガノックス1010」、BASF社製、以下において同様である。):3部を添加し、70℃で加熱しながら混合することにより、これらを溶解して溶解物を得た。次に、この溶解物に、酢酸エチルを添加し、不揮発分が50%となるように調整して、主剤1を得た。
ポリオールD溶液:140部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YD-012)30部、エポキシ基含有オルガノシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBE-403)3部を70℃ で加熱・溶解・混合し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、主剤2とした。
ポリオールE溶液:140部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YD-012)30部、エポキシ基含有オルガノシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBE-403)3部を70℃で加熱・溶解・混合し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂溶液を、主剤3とした。
<硬化剤1の調製>
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、不揮発分が50%となるように、酢酸エチルで希釈して、硬化剤1を調製した。
イソホロンジイソシアネートの三量体を酢酸エチルで希釈して固形分50%の樹脂溶液としたものを硬化剤2とした。
硬化剤1:60部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとのアダクト体を、不揮発分が50%となるように酢酸エチルで希釈した硬化剤:40部と、を70℃で混合し、不揮発分が50%となるように、酢酸エチルで希釈して、硬化剤3を調製した。
<接着剤1~8>
表1に示す各種主剤及び硬化剤を、表1に示す質量比で配合し、酢酸エチルで希釈して固形分30%に調整し、接着剤1~8を得た。
[実施例1~6、比較例1、2]
(接着剤硬化物1~8)
得られた接着剤を、無延伸ポリプロピレン(CPP)シ-ト未処理面に、アプリケーターにて塗膜厚60μmとなるように塗工、風乾1日後、60℃/1週間エージングを行い、その後、IR透過法でイソシアネート基の消失を確認できるまで、80℃追加エージングを行い、接着剤硬化物1~8を作成した。
得られた接着剤硬化物について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
上記接着剤硬化物を巾5mm×長さ6cmに切り取り、未処理CPPより剥離した試料を作製した。試料を1片毎に厚みを測定した。引張試験の場合は測定長さ2cmの両端の両面に両面テープを用いて厚紙を貼り、試料を補強して使用した。
テストロン型引張試験器を使用し、チャック間距離:2cm、引張速度:60mm/分の条件で引張試験を行い、300%伸び応力がF(gf)、試料厚みS(μm)の時の引張応力を下記計算式より算出した。
300%引張応力(MPa)=0.098×F×10-3/0.5×S×10-4
=0.098×20×F/S
テストロン型引張試験器を使用しチャック間距離:2cm、引張速度:60mm/分の条件で引張試験を行い、試料が切断(破断)したときの伸びを求めた。引張伸びは次の式によって算出した。
引張伸び(%)=100×(L-Lo)/Lo
Lo:試験前の試料長さ L:破断時の試料長さ
[実施例7]
(加飾シート1)
基材層としてABSシ-ト(テクノポリマー社製、VALUETECH NSG400、厚さ:200μm)を用い、この一面に、装飾層としてポリエステル系グラビアインキVKNT(東洋インキ(株)製)を使用し、グラビア3色刷りによる木目柄の層と薄い茶色の全ベタ層とをグラビア印刷で形成し、装飾層を設けた。続いて、上記装飾層上に、乾燥後の塗布厚が3μmとなるよう接着剤1をグラビア印刷により塗工・乾燥後、剥離シート(片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム、膜厚:38μm、東セロ(株)製、SP-PET-03)をラミネートし、加飾シート1を得た。
(加飾シート2~13)
接着層の種類と塗布量、基材層の種類を表3に示す内容に変更した以外は、加飾シート1と同様にして、加飾シート2~13を得た。
ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂(テクノポリマー社製、VALUETECH NSG400、厚さ:200μm)
PMMA:アクリル系樹脂(三菱ケミカル社製、アクリプレンHBA002P、厚さ125μm)
PC:ポリカーボネート系樹脂(帝人社製、パンライトPC-2151、厚さ200μm)
PVC:ポリ塩化ビニル樹脂(アキレス社製、アキレス赤味透明、厚さ200μm)
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡社製、コスモシャイン、厚さ188μm)
[実施例18]
(加飾成形体1)
上下ボックスからなる両面真空成形装置(商品名NGF-0709、布施真空(株)社製)内の下部ボックスに装備された上下昇降テーブル上に直径120cm、厚さ5mmの半球形状に成形されたABS製被着成形体を半球形状の凸面が上向きになるようセットした。その後、上記両面真空成形装置の上部ボックスにあるシートクランプ枠に、得られた加飾シート1の剥離シートを剥がし、加飾シートの接着層と下部ボックスにある被着成形体とが向き合うようセットした。続いて、上下ボックス内の真空度が1.0kPaになるように減圧し、近赤外線ヒータを用いて加飾シ-トの温度が130℃になるまで加熱し、被着成形体を上昇させて、被着成形体と加飾シートとを圧着、その後、上ボックスにのみ200kPaの圧縮空気を導入し、35秒間保持した。上下ボックスを大気圧に開放し、加飾シートを真空圧着させた加飾成形体を得た。その後、60℃7日間のエージングを行い、接着剤を硬化させることにより加飾シートで加飾された加飾成形体1を得た。
(加飾成形体2~13)
加飾シートの種類を表4に示す内容に変更した以外は、加飾成形体1と同様にして、加飾成形体2~13を得た。
得られた加飾成形体について、以下の基準に基づいて評価を行った。結果を表4に示す。
半球形の加飾成形体の加飾層中央にJIS K5600-5-6に準じて40mm×40mmの単一のクロスカットを入れ、20℃24時間放置後と、80℃24時間放置後さらに20℃24時間放置後の、クロスカット部隙間開きを確認した。
評価点数(4以下が使用不可レベル)
10:剥がれが全くない
8:交点には剥がれがなく、Xカット部にわずかに剥がれがある
6:Xカット部の交点からいずれかの方向に、1.5mm以内の剥がれがある
4:Xカット部の交点からいずれかの方向に、1.5mmを超え3mm以内の剥がれがある
2:テープを貼ったXカット部の大部分に剥がれがある
0:Xカット部よりも大きく剥がれる
2 装飾層
3 接着剤層
4 剥離シート
S 加飾シート
M 被着成形体
MS 加飾成形体
Claims (8)
- ポリウレタン系接着剤を硬化してなる接着剤硬化物であり、引張伸び率が300%時の伸び応力が、1MPa以上12MPa以下であり、
前記ポリウレタン系接着剤が、主剤と硬化剤とを含有し、該主剤が、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエステルポリウレタンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールを含み、該硬化剤が、ポリイソシアネートを含み、
前記主剤がさらに、芳香族エポキシ樹脂を含む、接着剤硬化物。 - 破断伸度が400%以上である、請求項1に記載の接着剤硬化物。
- 前記主剤が、ポリエーテルポリウレタンポリオール及びポリエステルポリウレタンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールを含む、請求項1又は2に記載の接着剤硬化物。
- 前記芳香族エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む請求項1~3いずれか1項に記載の接着剤硬化物。
- 基材層及び接着剤層、又は、基材層、装飾層及び接着剤層、をこの順に有してなる加飾シートであって、該接着剤層が、請求項1~4いずれか1項に記載の接着剤硬化物からなる加飾シート。
- 前記接着剤層の膜厚が2~20μmである、請求項5に記載の加飾シート。
- 前記基材層が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリ塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された層である、請求項5又は6に記載の加飾シート。
- 請求項5~7いずれか1項に記載の加飾シートが、前記接着剤層を介して三次元被着体に積層されてなる加飾成形体。
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