JP7081139B2 - 新規プロモーターおよびそれを含む発現ベクター - Google Patents
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- Y02A50/30—Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change
Description
前記問題を解決するため、哺乳動物細胞を宿主として用いた組換えタンパク質発現系を用いる例が増えている。特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(以下、CHO細胞)を用いて造られた組換えタンパク質は医薬品として使用できる安全性が確認されており、現在、一般的な手法となっている。そのため哺乳動物細胞を用いた組換えタンパク質製造の生産性の向上は、製造のコスト削減ひいてはバイオ医薬品の価格低下による医療費の抑制の面から非常に重要である。しかしながら現時点では、哺乳動物細胞を宿主とした組換えタンパク質の生産性は十分に高いとは言い難い。
(1) 配列番号12に記載のヌクレオチド配列から、少なくとも621番目のグアニンから798番目のグアニンまでの領域が欠損した、ポリヌクレオチド又はそれと80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド。
(2) 配列番号18に記載のヌクレオチド配列からなる、又はそれと80%以上の相同性を有するヌクレオチド配列からなる、(1)に記載のポリヌクレオチド。
(3) (1)または(2)に記載のポリヌクレオチドからなるプロモーター。
(4) (3)に記載のプロモーターおよびタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
(5) タンパク質が抗体のH鎖またはL鎖である、(4)に記載のベクター。
(6) (4)または(5)に記載のベクターで哺乳動物細胞を形質転換して得られる形質転換体。
(7) 哺乳動物細胞がCHO細胞またはCOS細胞である、(6)に記載の形質転換体。
(8) (6)または(7)に記載の形質転換体を培養することにより組換えタンパク質を生産する工程と、得られた培養物から生産された前記組換えタンパク質を回収する工程とを含む、組換えタンパク質の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下に示す方法で、ヒトEF1αプロモーターを含むプラスミドを作製した。
実施例1で作製したプラスミドpEFdに、抗体(イムノグロブリン)をコードするポリヌクレオチドを導入し、抗体発現用ベクターを作製した。
(1-1)配列番号19に記載のアミノ酸配列からなる、抗ヒトgp130受容体抗体の重鎖(H鎖)可変領域(VH領域)をコードするポリヌクレオチド(配列番号20)に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびNheI認識配列(GCTAGC)を付加したポリヌクレオチドを全合成し、プラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。
(2-1)配列番号21に記載のアミノ酸配列からなる、抗ヒトgp130受容体抗体の軽鎖(L鎖)可変領域(VL領域)をコードするポリヌクレオチド(配列番号22)に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびBsiWI認識配列(CGTACG)を付加したポリヌクレオチドを全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。
実施例1で作製したプラスミドpEFdに挿入されているプロモーターEFdproは、ヒトEF1αプロモーターの一部が欠損した態様であるため、改めてヒトEF1αプロモーター(EF1apro)全長を含む発現ベクターを作製した。
ヒトEF1αプロモーターの一部配列が欠損したポリヌクレオチドを含む抗体発現ベクターを作製した。
実施例2ならびに比較例1および2で作製した抗体発現ベクターによる、抗体発現量の比較を行なった。
(5-1)抗ヒトIgG-Fab抗体(Bethyl社製)を96穴マイクロプレート(Nunc社製)のウェルに1μg/wellで固定化し(4℃で一晩)、固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD社製)および150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(5-2)洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20、150mMのNaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、発現した抗ヒトgp130受容体抗体と固相の抗ヒトIgG-Fabとを反応させた(30℃で1時間)。
(5-3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したペルオキシターゼで標識された抗マウス抗体(Bethyl社製)を100μL/wellで添加した。
(5-4)30℃で1時間反応後、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて450nmの吸光度を測定した。
(5-5)濃度既知の標準抗体(シグマ社製)を用いて(5-1)から(5-4)と同様な測定を行ない得られた吸光度に基づき、検量線を作成し、当該検量線から抗ヒトgp130受容体抗体の発現量を求めた。
一般に哺乳動物細胞によるタンパク質発現で用いられるプロモーター(SV40、CMV、CAG)を含む抗体発現ベクターを作製した。
(1-1)実施例1(7)で作製したSV40-Pを制限酵素XbaIおよびEcoRIで消化し、アガロースゲル抽出を用いて精製した。該SV40-Pは配列番号50に記載のSV40プロモーターを含んでいる。
(1-2)実施例2で作製したpEFd-AHsHおよびpEFd-ALsLを制限酵素XbaIおよびEcoRIで消化し、アガロースゲル抽出による精製により、EFdproを除去したプラスミドをそれぞれ調製した。
(1-3)(1-1)で得られた制限酵素消化産物と、(1-2)で調製したEFdproを除いた各プラスミドとをライゲーションした。ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、SV40proを含む抗ヒトgp130受容体抗体H鎖発現ベクターpSV40-AHsH、およびSV40proを含む抗ヒトgp130受容体抗体L鎖発現ベクターpSV40-ALsLを得た。
(2-1)配列番号51に記載の配列からなるCMVプロモーター領域(CMVpro)のポリヌクレオチドを全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。
(2-2)(2-1)で合成したプラスミドを鋳型として、配列番号52(5’-AGA[TCTAGA]GTTGACATTGATTATTGACTAG-3’)および配列番号53(5’-[GCGGCCGC]TTT<GAATTC>GAGCTCTGCTTATATAGACCTCCC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(配列番号52の角かっこ内は制限酵素XbaIの認識配列、配列番号53の角かっこ内は制限酵素NotIの認識配列、配列番号53の山かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、表2に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことでPCRを行ないCMVプロモーターを増幅した。その後、アガロースゲル抽出による精製を行ない得られたPCR産物をCMV-Pと命名した。
(2-3)(2-2)で作製したCMV-Pを制限酵素XbaIおよびEcoRIで消化し、アガロースゲル抽出を用いて精製した。
(2-4)(2-3)で得られた制限酵素消化産物と、(1-3)で調製したEFdproを除いた各プラスミドとをライゲーションした。ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、CMVproを含む抗ヒトgp130受容体抗体H鎖発現ベクターpCMV-AHsH、およびCMVproを含む抗ヒトgp130受容体抗体L鎖発現ベクターpCMV-ALsLを得た。
(3-1)配列番号54に記載の配列からなるCAGプロモーター領域(CAGpro)のポリヌクレオチドを全合成しプラスミドにクローニングした(GENEWIZ社に委託)。
(3-2)(3-1)で合成したプラスミドを鋳型として、配列番号55(5’-AGA[TCTAGA]GTGAGCCCCACGTTCTGCTTCAC-3’)および配列番号56(5’-[GCGGCCGC]TTT<GAATTC>GCCGCCGGTCACACGCCAGAAGCC-3’)に記載のポリヌクレオチドをプライマー(配列番号55の角かっこ内は制限酵素XbaIの認識配列、配列番号56の角かっこ内は制限酵素NotIの認識配列、配列番号56の山かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことでPCRを行ない、CAGプロモーターを増幅した。その後、アガロースゲル抽出による精製を行ない得られたPCR産物をCAG-Pと命名した。
(3-3)(3-2)で作製したCAG-Pを制限酵素XbaIおよびEcoRIで消化し、アガロースゲル抽出を用いて精製した。
(3-4)(3-3)で得られた制限酵素消化産物と、(1-3)で調製したEFdproを除いた各プラスミドとをライゲーションした。ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、CAGproを含む抗ヒトgp130受容体抗体H鎖発現ベクターpCAG-AHsH、およびCAGproを含む抗ヒトgp130受容体抗体L鎖発現ベクターpCAG-ALsLを得た。
抗体発現ベクターとして、実施例2で作製したpEFd-AHsHおよびpEFd-ALsL、比較例1で作製したpEF1α-AHsHおよびpEF1α-ALsL、比較例3で作製したpSV40-AHsHおよびpSV40-ALsL、pCMV-AHsHおよびpCMV-ALsL、ならびにpCAG-AHsHおよびpCAG-ALsLを用いた他は、実施例3と同様の方法で3日間培養後の抗体の発現量をELISAにて比較した。
実施例2で作製した抗体発現ベクターpEFd-AHsHおよびpEFd-ALsLの分泌シグナル配列を変更したものを作製した。
(1)で作製したBH-Pを鋳型とし、配列番号66に記載のシグナル配列BH(MKCSWVIFFLLAVVTGVNS)をコードするポリヌクレオチドである配列番号67(5’-ATGAAATGCAGCTGGGTTATCTTCTTCCTGCTGGCAGTGGTTACAGGGGTCAATTCA-3’)に記載の配列からなるポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号68(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGAAATGCAGCTGG-3’)および配列番号25に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(角かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、表5に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことでPCRを行ない、シグナル配列BHを付加した抗ヒトgp130受容体抗体H鎖をコードするポリヌクレオチドを増幅した。その後、アガロースゲル抽出による精製を行ない得られたPCR産物をBHs-Pと命名した。
(1)で作製したCH-Pを鋳型とし、配列番号69に記載のシグナル配列C(MTRLTVLALLAGLLASSRA)をコードするポリヌクレオチドである、配列番号70(5’-ATGACCCGGCTGACCGTGCTGGCCCTGCTGGCTGGCCTGCTCGCCTCTTCCCGGGCC-3’)に記載の配列からなるポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号71(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGACCCGGCTGACC-3’)および配列番号25に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(角かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Cを付加した抗ヒトgp130受容体抗体H鎖をコードするポリヌクレオチドをCHs-Pと命名した。
(1)で作製したDH-Pを鋳型とし、配列番号72に記載のシグナル配列D(MKWVTFISLLFLFSSAYS)をコードするポリヌクレオチドである、配列番号73(5’-ATGAAGTGGGTCACCTTCATCTCTCTGCTGTTCCTGTTCTCTTCTGCCTACTCT-3’)に記載の配列からなるポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号74(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGAAGTGGGTCACC-3’)および配列番号25に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(角かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Dを付加した抗ヒトgp130受容体抗体H鎖をコードするポリヌクレオチドをDHs-Pと命名した。
(1)で作製したEH-Pを鋳型とし、配列番号75に記載のシグナル配列E(MYRMQLLSCIALSLALVTNS)をコードするポリヌクレオチドである、配列番号76(5’-ATGTACAGGATGCAACTCCTGTCTTGCATTGCACTAAGTCTTGCACTTGTCACCAATTCG-3’)に記載の配列からなるポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号77(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGTACAGGATGCAAC-3’)および配列番号25に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(角かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Eを付加した抗ヒトgp130受容体抗体H鎖をコードするポリヌクレオチドをEHs-Pと命名した。
(2)で作製したBL-Pを鋳型とし、配列番号78に記載のシグナル配列BL(MESDTLLLWVLLLWVPGSTG)をコードするポリヌクレオチドである、配列番号79(5’-ATGGAGTCAGACACACTCCTGCTATGGGTGCTGCTGCTCTGGGTTCCAGGCTCCACTGGT-3’)に記載の配列からなるポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号80(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGGAGTCAGACAC-3’)および配列番号27に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(角かっこ内は制限酵素EcoRIの認識配列)として、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列BLを付加した抗ヒトgp130受容体抗体L鎖をコードするポリヌクレオチドをBLs-Pと命名した。
(2)で作製したCL-Pを鋳型とし、配列番号70に記載の配列からなる、シグナル配列C(配列番号69)をコードするポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号71および配列番号27に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Cを付加した抗ヒトgp130受容体抗体L鎖をコードするポリヌクレオチドをCLs-Pとした。
(2)で作製したDL-Pを鋳型とし、配列番号73に記載の配列からなる、シグナル配列D(配列番号72)をコードするポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号73および配列番号27に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Dを付加した抗ヒトgp130受容体抗体L鎖をコードするポリヌクレオチドをDLs-Pとした。
(2)で作製したEL-Pを鋳型とし、配列番号76に記載の配列からなる、シグナル配列E(配列番号75)をコードするポリヌクレオチドをシグナルDNAとし、配列番号77および配列番号27に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして、(3-1)と同様にPCRおよび精製した。得られたPCR産物である、シグナル配列Eを付加した抗ヒトgp130受容体抗体L鎖をコードするポリヌクレオチドをELs-Pとした。
分泌シグナル配列の違いによる抗体発現量の違いを検討した。
Claims (7)
- 配列番号12に記載のヌクレオチド配列から、少なくとも621番目のグアニンから798番目のグアニンまでの領域が欠損したポリヌクレオチドであって、配列番号18に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド。
- 請求項1に記載のポリヌクレオチドからなるプロモーター。
- 請求項2に記載のプロモーターおよびタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
- タンパク質が抗体のH鎖またはL鎖である、請求項3に記載のベクター。
- 請求項3または請求項4に記載のベクターで哺乳動物細胞を形質転換して得られる形質転換体。
- 哺乳動物細胞がCHO細胞またはCOS細胞である、請求項5に記載の形質転換体。
- 請求項5または6に記載の形質転換体を培養することにより組換えタンパク質を生産する工程と、得られた培養物から生産された前記組換えタンパク質を回収する工程とを含む、組換えタンパク質の製造方法。
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