図1~図7を参照して、以下の説明は、表示器に対する検出デバイスの第1の実施形態を組み込んでいる、本発明による計時器の第1の実施形態について説明する。
計時器2は、機械式ムーブメント4と、アナログ時間表示器12と、この表示器を駆動するための駆動機構10と、表示器によって示される実際時間を補正するためのデバイス6とを備える。計時器は、通常は、ケース220と竜頭52とを備え、竜頭は、竜頭と一体になった内部制御ステムを介して、表示器の針を手動設定することを可能にする外部制御部材を形成している。一般に、ステム-竜頭を使用する針の手動設定中に、機械的時間補正システムは、分針を保持する筒かなと直接係合する分車と、時針を保持する時車とに作用する。したがって、時針および分針は、たとえ針設定操作中であっても、常に運動学的リンクを保持している。インパクトを与えることだけが、1つの針をその軸に沿って摺動させることによって、これら2つの針のうち一方の角度変位を互いに対して引き起こさせ得る可能性がある。しかしながら、ステム-竜頭を使用して針を設定する場合、筒かなは、駆動機構の歯車セットまたは歯車との摩擦に曝され、したがって、この駆動機構の上流に位置するこの駆動機構の歯車セットに対して、したがって秒針を保持する秒車(「4番車」とも呼ばれる)に対して角度変位を受ける。通常の機械式ムーブメントの設計ゆえに、いったん手設定操作がステム-竜頭を介して実行されたら、秒針は、分針との何らかの所与のフェーズ関係を有することはない。すなわち、一般に、現在分の表示と、現在秒の表示との間には定められた時間/角度の関係は存在しない。インジケータが、分の目盛り(これは、分針と秒針が同軸の場合は、秒の目盛りとしても一般に使用される)と精密に整列している場合は、秒インジケータは任意の(任意の定められていない位置の)時間/角度位置をとる。これは特に、アナログ時間表示器を駆動する機械式ムーブメントを備える計時器に関する。
機械式ムーブメントは、表示器に運動学的にリンクされた歯車列11によって形成された駆動機構10に対する機械的エネルギー源を形成するバレル8と、バランスばね15に関連付けられたバランス16によって形成された機械式共振器14と、この共振器を駆動機構に連結させて機械式共振器の振動がこの駆動機構の動作のタイミングを合わせる脱進機18と、を備える。アナログ表示器12は、実際時間の表示用の目盛りを形成するインデックス36を備えるダイヤル32と、表示される実際時間の現在時を与える時針34H、現在分を与える分針34M、および現在秒を与える秒針34Sを備える針34と、によって形成される。針は一般に、異なる形状、具体的には異なる長さおよび/または幅を有する。
補正デバイス6は、アナログ表示器12用の検出デバイス30と、電子補正回路40と、通信ユニット50と、機械式共振器14を制動するためのデバイス22、22Aとを備える。電子補正回路40は、
検出デバイスが検出フェーズ中に複数の連続する測定を実施し複数の対応する測定値を提供するように、検出デバイス30を制御できるように構成された制御ユニット48と、
測定信号SMsを介して検出デバイスから複数の測定値を受け取って、複数の測定値を処理することができるように構成された、処理ユニット46と、
クロック回路44を備え、基準現在秒と基準現在分とによって少なくとも形成される基準実際時間TRfを発生させる内部時間ベース42と、を備える。
本発明はまた、実際時間のアナログ表示に限定されず、実際時間を表示する他の表示器、例えば、「ジャンプする時変化」、および/または特に「ジャンプする分変化」を有する表示器にも関し得ることに留意すべきである。したがって、表示器は、ほぼ連続な形で前進する針を有するシステムに限定されない。したがって、本発明は、特にディスクまたはリングを有するシステムに、特に、ダイヤルに機械加工された少なくとも1つの開口部を介して提供される表示器に更に適用され得る。
計時器2は、その表示器によって示される実際時間が、この表示器の全体的時間誤差の関数として補正されることを可能にするように構成され、全体的時間誤差は、検出デバイス30に関連付けられた電子補正回路40によって計時器内部で決定され、検出デバイスは、表示器の少なくとも第1の基準時間位置を通る秒針34Sの通過と、この表示器の少なくとも第2の基準時間位置を通る分インジケータ34Mの通過とを検出できるように構成されている。表示される実際時間を補正するために、補正デバイスは一般に、機械式共振器を制動するためのデバイスを備える。主な代替的実施形態では、制動デバイスは、電気機械式アクチュエータ、例えば圧電性タイプのアクチュエータ22Aによって形成される。更には、制動デバイスは制御ユニット48によって制御され、制御ユニット48は、機械式共振器14への機械的制動力の印加のタイミングを管理するように、制動デバイスの電力供給回路を制御するために、制御信号SCmdを制動デバイスに送信する。一般に、補正デバイスは、電子補正回路によって全体的時間誤差が決定された時はいつでも、補正期間中に制動デバイスが機械式共振器に作用して、この全体的時間誤差を少なくとも部分的に補正するように駆動機構の動作を変化させることができるように構成されている。
示される代替的実施形態では、アクチュエータ22Aは、可撓性ストリップ24によって形成された制動部材を備え、制動部材は、対向する2つの表面に(図1の平面と垂直に)、それぞれ2つの圧電層を有し、その各々が金属層で覆われて電極を形成している。圧電アクチュエータは電力供給回路26を備えて、2つの圧電層を介して電界を印加するように、2つの電極間に特定の電圧が印加されることが可能であり、圧電層は、2つの電極間に電圧が印加された時に、ストリップ24をバランス14の外縁20に向かって湾曲させるように構成され、それにより、移動する制動パッドを形成するストリップの端部が、外縁の外側円形面に対して押し付けられ、したがって、機械式共振器に機械的制動力を加えることができる。バランスに印加される機械的制動力、したがって機械的制動トルクを変化させるために、電圧が可変であり得ることに留意すべきである。制動デバイスに関しては、機械的時計ムーブメントにおけるそのような制動デバイスの様々な実施形態について、国際公開第2018/177779号を参照することができる。特定の代替的実施形態では、制動デバイスは、磁石コイルシステムによって作動するストリップによって形成される。別の特定の代替的実施形態では、バランスは、円形の制動面を画定するバランスの外縁、例えばディスクに加えて、部品を画定するまたは保持する中央スタッフを備える。上記の場合では、機械的制動力を一瞬間だけ印加した時点で、この円形の制動面に対して圧力を印加するように、制動部材のパッドが構成されている。
計時器の第1の実施形態は、図2~図6を参照して後述する、検出デバイスの第1の実施形態を組み込んでおり、第1の実施形態は、ある時間単位に対するこの表示器の少なくとも1つの基準時間位置を通る、アナログ表示器12の少なくとも1つのインジケータの通過を、実際時間のその時間単位に対して直接検出することを可能にする点が異なっており、このインジケータは検出デバイスによって検出され得るように構成されている。計時器2の第1の実施形態の説明は、主な実施形態の範囲内で基本的に提供され、検出デバイスは、表示器の少なくとも第1の基準時間位置を通る秒インジケータの通過と、この表示器の少なくとも第2の基準時間位置を通る分インジケータの通過とを検出できるように構成され、これら2つのインジケータについての測定は、補正サイクルの各々において活用されて、表示される実際時間の現在分および現在秒を補正する。
図2に示す有利な他の図示した実施形態では、検出デバイス30は光学タイプであり、4つの検出ユニット224a、224b、224c、および224dを備え、検出ユニットは、それぞれ秒針34Sに対して4つの基準時間位置を定め(15秒、30秒、45秒、および60秒=0秒)、それぞれ分針34Mに対して4つの基準時間位置を定める(15分、30分、45分、および60分=0分)。別の代替的実施形態では、1つだけの検出ユニットが提供される、または直径に沿って対向する2つの検出ユニットが提供されることに留意すべきである。示される代替的実施形態は、有利には、秒針の通過および分針の通過を検出するための、同一の検出ユニットを提供することにも留意すべきである。しかしながら、別の代替的実施形態では、2本の針に対して、異なる検出ユニットを提供することができる。
一般に、光学検出デバイスは、各々が光線を放出することができる少なくとも1つの光源と、各々が前述の少なくとも1つの光源のうちの1つの光源から放出された光を検出することができる少なくとも1つの光検出器と、を備える。秒インジケータおよび分インジケータはそれぞれ反射面を有し、反射面は、考慮されるインジケータが、このインジケータに対応し検出デバイスによって定められた少なくとも1つの基準時間位置を通る通過中に、少なくとも1つの光源によって放出された1つ以上の光線を通過し、反射面は、特にこの検出デバイスの少なくとも1つの検出ユニットの反対側に位置する。検出デバイスおよび反射面は、考慮されるインジケータが前述の少なくとも1つの対応する基準時間位置から任意の基準時間位置を通る通過の時点で、前述の任意の基準時間位置に関連付けられた、少なくとも1つの光源のうちの1つの光源によって、少なくとも部分的に、前述の少なくとも1つの光検出器のうちの光検出器の方向に提供された入射光を、この反射面が反射できるように構成されている。好ましい代替的実施形態では、考慮される各インジケータの反射面は、このインジケータの底面によって形成され、前述の少なくとも1つの光源および前述の少なくとも1つの光検出器は、計時器のダイヤルによって支持されているか、またはダイヤル内に少なくとも部分的に収容されているか、またはダイヤルの下方に置かれ、したがって1つ以上の光線がダイヤルを通過できるように構成されている。有利な代替的実施形態では、前述の少なくとも1つの光源によって放出される光は人の眼には見えない。光源は、特に赤外領域の光を放出する。
図3は、光学検出デバイス30の検出ユニット224aを横断して見た、図2の腕時計の部分的断面図である。4つの検出ユニットは同様であることが分かる。腕時計のケースを、その内部輪郭220aによって示す。検出ユニット224aは、光線232を放出する光源228によって形成される光学センサ226と、光源によって放出される光を検出することができる光検出器227であって、光源と検出器は、腕時計の中央軸に対して半径方向に整列し、中央軸を中心として秒針と分針とが回転する、光検出器227と、を備える。光学センサ226は、ダイヤル32の下方に構成され、機械式ムーブメント4のプレートによって支持されている。ダイヤルは開口部を有し、開口部の中に小さいガラスプレート230が構成され、ガラスプレートは、その底面に、2つの屈折格子(一連の傾斜した平行平面)を形成する鋸歯状プロファイルを有し、2つの屈折格子はそれぞれ、光源228によって放出された光と、2つの針34Mおよび34Sのうちのいずれか一方による反射後に検出器227に至る入射光とを屈折させるように意図されている。小さなプレートは、光源228によって放出される光に対して、特に必要な場合は赤外線に対して、十分なレベルの透明度を有する別の物質で作製することができる。小さなプレートはまた、センサ226の上部要素を形成することができ、したがって、光学センサをダイヤルに組み立てる時に、ダイヤルの開口部の中に挿入することができる点に留意すべきである。
光源および光検出器を形成する電子ユニットは、ダイヤル32に平行な主平面内の共通基材上に構成され、放出される光は、この主平面に垂直な主方向(光軸)を有するが、光線232は傾斜しているという点で、光学検出ユニット224aは注目に値する。小さなプレートとセンサ226との間の空気の層は、垂直方向(すなわちダイヤルに対して垂直)に対して、比較的大きい光の偏向角を得るには有利である。そのような構成のおかげで、光源228によって放出される光は垂直光軸を有するが、秒針34Sおよび分針34Mの2つの底面によってそれぞれ画定される反射ゾーンRS1およびRS2は平面かつ水平である。したがって、通常の針の底面が、平面でありダイヤルに平行であると想定すれば、検出デバイスは、金属製のまたは金属コーティングした針については、針に対する干渉を殆ど要しないか、または全く要しない。ゾーンRS1およびRS2における研磨された表面は有利である。図3では、2つの針34Mおよび34Sは、2つの針の各々について光学検出ユニットの動作の理解を容易にするために、一方が他方の上に重ねられているが、秒針の検出は、検出ユニットの上方に分針がない状態でなされる点に留意すべきである。
光検出器は多くの場合、斜め入射する(特定の入射角に達するまで)光を受光するように適合されていることを想定すると、針についての平面かつ水平な反射面に対する要求は、主に光源に関する。図4A~図4Dは、光学検出ユニットの光源に対する4つの特定の代替的実施形態を示す。第1の単純な代替的実施形態では、光源228a、例えばLED(発光ダイオード)タイプのダイオード、またはVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)タイプのレーザーダイオードは、支持体上に斜めに配置されている。この第1の代替的実施形態は、デバイスの高さを、ある程度増加させる欠点を有する。第2の代替的実施形態は、コリメートされていないVCSELタイプの通常のレーザーダイオードのフィーチャの使用を伴い、このレーザーダイオードは、図4Bに示す元来の光強度プロファイルを有し、垂直方向に対して角度偏向を有する最大値を有する。したがって、光線232は、その中央軸を通過する平面内において、角度偏向α0を有する、2つの対称な主方向を有する。比較的大きい角度偏向を有するレーザーダイオードが選択される。第3の代替的実施形態では、光源228cは、その放出面に、光線を主に所与の傾斜した方向に回折させる回折構造RDを有する。最後に、第4の代替的実施形態は、図3に示す代替的実施形態と同様である。光源228dは、その放出面上に透明構造を有し、その上面は鋸歯状プロファイルを有して、光源228dによって放出された光を屈折させるように意図された屈折格子RD(一連の傾斜した平行平面)を形成している。図3の傾斜した平面が約45°の角度を有するのに対して、屈折格子RDの傾斜した平面は、光線232に対する屈折角度が透明構造を通過することを可能にするように、水平方向に対して、より小さい角度(例えば35°)を有する。
図5Aおよび図5Bは、考慮される針の底面の特定の処理が容認される2つの代替的実施形態を示す。これらの2つの代替的実施形態が、上述した代替的実施形態を補完することができることに留意すべきである。図5Aでは、針34Dは、その底面のゾーンに反射回折格子を有し、反射回折格子が光学検出ユニットの上方を通過している間に、入射ビーム232a(法線方向の光線)を通過する。図5Bでは、針34Rは、その底面のゾーンに反射格子を有し、反射格子が光学検出ユニットの上方を通過している間に、入射ビーム232aを通過する。
一般に、検出デバイスは秒インジケータ用にU個の検出ユニットを、分インジケータ用にQ個の検出ユニットを備え、これら検出ユニットのいくつかを両方の針に共通にすることができる。示される代替的実施形態では、両方のインジケータに共通の4つの検出ユニットが提供される。U検出ユニットは、秒インジケータ用にU個の基準時間位置X0(u)、u=1~U、を定め、Q検出ユニットは、分インジケータ用にQ個の基準時間位置Y0(q)、q=1~Q、を定める。分インジケータ用の4つの検出ユニットにより、このインジケータを約15分の時間間隔で検出することが可能になる。
上述した検出デバイスは、光学タイプである。しかしながら、検出デバイスは他のタイプ、具体的には、容量タイプ、磁気タイプ、または誘導タイプであり得る点に留意すべきである。容量タイプ、磁気タイプ、または誘導タイプの検出ユニットは、光学検出ユニット用に説明したものと同じ制御を受けることができ、実施された測定への同じ処理を、本発明による補正サイクルの範囲内で提供することができ、その結果、表示される実際時間に同じ補正がなされる。
ここで、検出フェーズについて図6を参照して説明する。この検出フェーズは、主な実施形態については、表示される時間を補正するためのサイクルの始めに実施されるように意図され、内部時間ベース42によって生成される基準実際時間TRfは、少なくとも基準現在秒XR、および基準現在分YRによって形成される。
第1に、振動する機械式共振器14によって駆動機構10(図1)が動作している時に、この検出フェーズ中に、基準時間位置X0(u),u=1~U、のうちの1つの基準時間位置を通る少なくとも1回の秒インジケータ34Sの通過と、基準時間位置Y0(q),q=1~Qのうちの1つの基準時間位置を通る少なくとも1回の分インジケータの通過とを、検出デバイスが検出することが可能なように、電子補正回路48、48Aが構成され、検出フェーズの持続時間が提供される。電子補正回路は、内部時間ベース42に関連して、および複数の測定値のうちの測定値に基づいて、この秒インジケータに提供される基準時間位置うちのX0で示される任意の基準時間位置を通る秒インジケータの少なくとも第1の通過の瞬間TX0であって、この第1の通過の瞬間が基準現在秒XRの少なくとも対応する値によって形成されている、第1の通過の瞬間TX0と、この分インジケータに提供される基準時間位置うちのY0で示される任意の第2の基準時間位置を通る分インジケータの少なくとも第2の通過の瞬間TY0であって、この第2の通過の瞬間が基準現在分YRの少なくとも対応する値によって形成されている、第2の通過の瞬間TY0と、を決定することができるように構成されている。以下の説明では、秒針はしたがって、基準時間位置X0を通過する時に検出ユニットによって検出され、分針はしたがって、基準時間位置Y0を通過する時に検出ユニットによって検出される。
基準時間位置を通るインジケータの通過を検出するために、測定周波数FMsにて複数の測定が実行される。各測定は、測定値を与え、測定の決定された瞬間に発生する。この目的のために、測定は短い時間間隔の間に実行される。光学検出デバイスの光学検出ユニットの場合、光源は、測定周波数FMsにて周期的に起動されて、複数の光パルスを発生させ、光検出器は複数の対応する光強度値を提供する。
第1の一般的な代替的実施形態では、検出フェーズ中に、検出デバイスは、内部時間ベース42のクロック回路44によって決定される少なくとも1つの測定周波数にて、複数の連続した測定を行うように起動される。このクロック回路は、周期的デジタル信号を、制御ユニットを介して測定周波数FMsにて検出デバイスに直接的に、またはこの検出デバイスに間接的に提供する。好ましい代替的実施形態では、測定周波数は可変であり、補正デバイス6は、基準時間位置X0を通る秒インジケータの通過を、第1の測定周波数FSMesにて、および基準時間位置Y0を通る分インジケータの通過を、第1の測定周波数よりも小さい第2の測定周波数FMMesにて、検出できるように構成されている。特定の代替的実施形態では、第1の測定周波数FSMesは、機械式共振器14に対する設定点周波数F0cの3倍未満であり、1Hz以上である、すなわち、1Hz≦FSMes<3・F0cであるように提供され、これに対して、第2の測定周波数FMMesは、1/8Hz以下である(FMMes≦1/8Hz)ように提供される。
検出ユニットが、測定を正確に実行し、その対応する基準時間位置を2つの針が通過する瞬間を決定する精度を僅かに増加させることができるように、測定中に秒針が実質的に移動しないことが有利であり得る。例えば、機械式共振器が実質的に4Hzで振動し、秒針に対する測定周波数が4Hzまたは8Hzに対応する場合、全ての測定は、機械式共振器を維持するためのパルスの間に、したがって、がんぎ車ならびに秒針を保持する秒車が回転している時に行われる。秒針が小さい回転運動を受けている時に大部分の測定が起こることを防止するために、有利な代替的実施形態では、第1の測定周波数FSMesは、設定点周波数F0cの2倍を正整数Nで除算した値とは異なる。すなわち、FSMes≠2・F0c/Nである。
別の更に発展した代替的実施形態では、測定周波数は、クロック回路と連係して機械式共振器によって決定される。したがって、表示される実際時間を補正するためのデバイスはセンサを備え、センサは、機械式共振器と関連付けられ、機械式共振器の最低ポテンシャルエネルギーの位置に対応する機械式共振器の中立位置を通る、振動する共振器の通過を検出することができる。検出フェーズ中に、検出デバイスは、内部時間ベースに関連付けられた制御ユニットによって起動され制御されて、複数の連続した測定を行い、測定の各々は、中立位置を通る機械式共振器の通過の検出に続いて、かつ検出から一定の時間差の後に行われる。好ましくは、この時間差は、T0c/8~3・T0c/8の範囲にあり、T0cは設定点周波数の逆数に等しい設定点周期である。この目的のため、クロック回路44は、8/T0cに等しいか、またはそれに近い周波数にて、制御ユニットに周期的信号を提供するように構成されている。センサは、機械式共振器がいつその中立位置を通過するかを示す信号を、制御ユニットに提供する。この瞬間の後に、制御ユニットは、8/T0cにほぼ等しい周波数にてクロック回路によって提供される信号の受信を起動させ、周期的信号において2つの立上りまたは立ち下がりエッジを計数する。考慮された第2のエッジにて、制御ユニットは、測定を、したがって光パルスを始動させる。したがって、必要に応じて各測定の瞬間を知ることができる。クロック回路および機械式共振器は同期しないので、時間差は上述した値の範囲にあることになる。時間差がこの範囲にあると、パレット-歯車は停止しており、したがって測定中には秒針は動かない。この発展した代替的実施形態では、その中立位置を通る共振器の通過の検出毎に測定が行われる場合、測定周波数は2・F0cに等しい。測定がN個の検出毎に実行された場合、測定周波数は2・F0c/Nに実質的に等しい。後述することになる測定値の処理については、共振器の固有周波数F0がF0cに等しく、FMs=2・F0c/Nであるという仮説を立てることができることが分かる。腕時計が大きい日差、すなわち例えば1日当たり14秒、を有する場合、これは、毎分10msの誤差に対応する。秒針にとっては1分が十分な検出期間であるので、そのような誤差は、この針に対する時間誤差の計算には重要ではない。
図6は、秒針の検出のために、第1の周波数FSMs=4Hzにて実行された測定の第1のシリーズであって、機械式共振器に対する設定点周波数も4Hzに等しい場合は、好ましくは、上述した発展された代替的実施形態を使用する、第1のシリーズと、分針は秒針よりも60倍遅く回転し、一般に大きな幅を有するので、第2の周波数FMMs=1/10Hz(エネルギーを節約するために10秒毎)で行われた測定の第2のシリーズと、を示す。4Hzは、基準実際時間を測定するために時間ベースに秒ピップを供給するように構成されているクロック回路44から容易に導出できることが分かる。周波数FMMsは、制御ユニットに関連付けられた秒ピップ毎に増加する10周期カウンタによって発生される。
測定の第1のシリーズは、nを正の整数とした時に第1の強度値のシリーズVSnを与え、これに測定の瞬間の第1のシリーズTSnが対応する。測定の第2のシリーズは、kを正の整数とした時に第2の強度値のシリーズVMkを与え、これに測定の瞬間の第2のシリーズTMkが対応する。したがって、値のペア、VSnおよびTSn、ならびにVMkおよびTMkは、各測定に対応する。
検出フェーズに続く処理フェーズについては、検出フェーズ中の各測定に対応する基準実際時間の記録は提供されないが、測定の各シリーズに対して基準実際時間TRfとの時間的関係を確立することに加えて、測定の各シリーズにおける測定の時系列順での番号付けまたは分類が提供される。数字nまたはkを、VSnまたはVMkのそれぞれの値に関連付ける番号付けの場合は、測定周波数FMsにおける周期的デジタル信号(周期的測定信号)を、処理ユニット46に提供することもでき、処理ユニット46は、測定値を、検出デバイスによって直接的にまたは制御ユニットを介してのいずれかで提供された信号SMsを介して受け取る。時系列順での分類の場合、対応する測定の瞬間を決定するには、測定値の順位で十分であり得る。同じシリーズの2つの連続する測定値は、測定周波数FMsの逆数である期間TMsによって分離されることが知られている。周期的測定信号によって与えられる瞬間XまたはYについて、制御ユニットが、または直接処理ユニットが、対応する基準実際時間として、秒針に対してTSRf,Xを、分針に対してTMRf,Yを、メモリに格納する場合、そして、周期的測定信号の周期の数が、メモリに格納された基準実際時間と、順位nの測定または順位kの測定との間で決定される場合、各測定の順位(または番号)は、決定された基準実際時間に対応する。この時間的関係を、以下のように数学的に表現することができる:
TSn=(n-X)/FSMs+TSRf,X
TMk=(k-Y)/FMMs+TMRf,Y
1つの特定のケースが、X=Y=0、に関する。制御ユニットは、測定のシリーズに対して初期時間を定める秒ピップを待ち、それを受信すると直ぐに、一方で、制御ユニットは、検出デバイスを起動するか、または、この初期の瞬間を除いて、この初期的な瞬間の後に生じた測定のみを考慮し、他方で、制御ユニットは、基準実際時間TSRf,XまたはTMRf,0を記録する。したがって、以下が得られる:
TSn=n/FSMs+TSRf,0、式中、n=1~Nである
TMk=k/FMMs+TMRf,0、式中、k=1~Kである
NおよびKは、それぞれ、秒針および分針の検出のための測定数である。
処理ユニット46は、測定の各シリーズを処理して、基準時間位置X0を通る秒インジケータの通過の第1の瞬間TX0、および基準時間位置Y0を通る分インジケータの通過の第2の瞬間TY0を決定する。測定データを処理する様々な方法を使用することができる。簡略化された実施例に加えて、例として、図6に関連する2つの実施例に言及する。秒針は比較的細く、比較的急速に回転するので、値TX0を決定するために、アルゴリズムが、順位/番号n=ZEが対応する最大値VSmaxを決定する。したがって、TX0=ZE/FSMs+TSRf,0である。図6では、TX0=10s、および250ms(TX0=10.25s)である。
この値TY0を決定するために、アルゴリズムが、対称な凸状の曲線CFitの高さに沿った実質的に中間点における時間間隔ITに対応する幅を決定する。この曲線CFitは、この幅の中間値を決定することができるように一連の測定値VMkに調整されている。この中間値が、基準時間位置Y0を通る、分針の中間長手方向軸の通過の瞬間TY0を定め、この瞬間は、関係する検出ユニットの中間半径方向軸によって/光源および光検出器が整列した半径方向によって定められる。時間間隔ITは、関連するインジケータの特性因子であり、これを、他のインジケータから区別することが可能であることが分かる。その上、検出された最大光強度もまた、考慮されるインジケータの特性因子である。データ処理のために、処理ユニットに実装されたアルゴリズムは、有利には、値VMkに対応する番号/順位kを使用する。値TY0は、整数の形態の順位/番号には対応せず(ここでは、測定は10秒毎に行われている)、2つの隣接する順位/番号の間の中間の小数ZFに対応することが分かる。
したがって、TY0=ZF/FMMs+TMRf,0である。
図6では、TY0=17分、および48秒(TY0=17分;48秒)である。したがって、TY0は、インジケータの通過中に、基準時間位置Y0を通る基準現在分に対応する、分単位での整数PMY0(TY0の整数部)であり、これに、インジケータの通過中に、基準時間位置Y0を通る分インジケータによって与えられる現在分に対する小数部を定める、秒単位での値PSY0が加算され、この値PSY0は、分インジケータの通過中に、基準時間位置Y0を通る基準現在秒に対応する。したがって、TY0=(PMY0;PSY0)である。PSY0が任意選択的に、小数を有することが理解できる。簡略化された代替的実施形態では、PSY0を無視することができる。しかしながら、これは、分針に対して精度の著しい低下を引き起こす。したがって、基準時間位置を通る、分針の通過の瞬間(一般に、分単位の整数に対応する)は、一般に、分単位の整数部と秒単位の小数部(60を単位とする部分)で決定され、この決定は、好ましくは1秒または1秒未満のオーダーの精度で実行される。
上述した2つの処理方法では、一般に、制御ユニットおよび/または処理ユニットは、検出フェーズの少なくとも1つの所与の瞬間に基準実際時間をメモリに保存できるように、内部時間ベースに接続されている。電子補正回路は、検出フェーズ中に、一連の連続した測定のうちの少なくとも第1の測定および第2の測定にそれぞれ対応する少なくとも第1の測定の瞬間および第2の測定の瞬間を決定できるように構成され、これら第1の測定の瞬間および第2の測定の瞬間は内部時間ベースで決定される。第1の測定の瞬間は、基準現在時間単位の少なくとも対応する第1の値によって形成され、第2の測定の瞬間は、基準現在時間単位の少なくとも第2の値によって形成される。更には、電子補正回路は、少なくとも第1の測定の瞬間および第2の測定の瞬間の関数として、および対応する測定値の関数として、考慮される基準時間位置を通る考慮されるインジケータの通過の瞬間を決定する第3の瞬間を計算できるように構成されている。
簡略化された代替的実施形態では、基準時間位置を通る針の通過の瞬間は、処理ユニットによって受信された各測定値を、この針に提供される閾値と直接比較することにより決定される。測定値がこの閾値を超えたことを、処理ユニットが検出すると直ぐに、処理ユニットは、この測定の瞬間を、通過の瞬間に割り当て、この検出の直後の基準実際時間の値を記録する。この簡略化された代替的実施形態は、精度は劣るが、必要な電子的資源は少ない。したがって、電子補正回路を簡略化することができる。
上述したように、通過の瞬間を決定した後に、電子補正回路は、この秒インジケータの通過の少なくとも1つの第1の瞬間を、対応する第1の基準時間位置と比較することにより、秒インジケータに対する第1の時間誤差を決定し、この分インジケータの通過の少なくとも1つの第2の瞬間を、対応する第2の基準時間位置と比較することにより、分インジケータに対する第2の時間誤差を決定することができるように構成されている。一般的な代替的実施形態では、第1の時間誤差の決定および第2の時間誤差の決定は処理ユニットによって実行され、処理ユニットは、対応する基準時間位置の値を、決定された通過の瞬間から減算する。
秒インジケータおよび分インジケータに対して、2つの対応する時間誤差ESおよびEMは、以下で与えられる:
ES=TX0-X0;EM=TY0-Y0
設計上は、X0は秒の整数に対応し、Y0は分の整数に対応する。すなわち、Y0=(Y0;0)である。ESは秒で与えられ、任意選択的に1つ以上の小数を伴う。なぜなら、TX0は普通、小数を伴って決定される(1秒よりも精度が良い)からである。処理アルゴリズムは、例えば小数を1つだけ保持することを決めることができる。分インジケータのために決定された通過の瞬間TY0は、分単位での整数部PMY0、および秒単位での小数PSY0を有するので、時間誤差EMは、分単位での整数部EMm、および秒単位での小数部EMsによって決定される(したがって、EMsがEMmに加算される)。選択された表記法に従うと、EM=(EMm;EMs)である。EMsは、その決定のために実行される計算の結果、1桁以上の小数を有し得るが、この値は既に、分インジケータ用の小数部であるので、アルゴリズムは一般に、秒単位の値EMsに対して、いかなる小数も保持しないことが分かる。
これを、以下のように形式的に書く:
EM=(EMm;EMs)=(PMY0;PSY0)-(Y0;0)=(PMY0-Y0;PSY0)。
図6に示す実施例では:
X0=15s、およびES=10.25-15=-4.75s
Y0=(15;0)、およびEM=(17;48)-(15;0)=(2;48)、すなわち2分48秒である。
分インジケータによって表示される、現在分に対する時間誤差EMの小数部EMsは、秒インジケータによって表示される現在秒の時間誤差ESとは大きく異なることが分かる。前述したように、この状況は従来の機械式ムーブメントにとって異常でない。なぜなら、ユーザが表示器の針を手動で設定する時には、これらの2つのインジケータ間の運動学的リンクは切断されているからである。したがって、一般に以下の2つの原因を有する特定の課題が強調される:
1)実際時間の表示器は、時間の経過を表すために使用される複数の別個のインジケータによって形成される。したがって、それら全てが、同じ物理的大きさ、すなわち時間、に関連する。
2)従来の機械式時計ムーブメントは、一方では秒インジケータと、他方では分インジケータおよび時インジケータとの運動学的リンクを、少しの間だけ切断する手動設定デバイスを備える。したがって、ゼロと60秒との間のいかなる時間差も、通常は、分インジケータによって表示される現在分の小数部と、秒インジケータによって表示される現在秒と間に現れる。その結果、表示された現在分は、分と秒の目盛りが存在する時に見える形で、秒単位での小数部を有し、その値は、やはり秒単位で表示される現在秒の整数部とは異なる。したがって、どちらも秒に関連する、表示される2つのデータの間には秒単位の差が存在する。
本発明の範囲内で、電子補正回路は、機械式の腕時計表示器に対する全体的時間誤差TErrを、秒インジケータに対して決定された第1の時間誤差の関数として、分インジケータに対して決定された第2の時間誤差の関数として、および第1の時間誤差と第2の時間誤差を処理し、計時器の表示器に対する全体的時間誤差を決定する方法を選択する少なくとも1つの既定の補正判定基準の関数として、更に決定することができるように提供される。
主な実施形態の好ましい処理モードにおいて、分インジケータがアナログタイプである主な代替的実施形態では、以下の2つの補正判定基準が確立されている。判定基準No.1:補正後に、秒インジケータは、現在秒を正確に、すなわち、できるだけ精度良く示さなければならない。判定基準No.2:補正後に、分インジケータに対する秒単位での残余誤差は、選択された遅れの最大値Tmax以上でなければならない、すなわち-Tmax以上でなければならない。
したがって、主な代替的実施形態では、インジケータセットのうちの少なくとも分インジケータがアナログタイプであり、この分インジケータは、分を、正整数、および可変である小数部として表示する。更には、計時器は、分インジケータと秒インジケータとの間の運動学的リンクを少しの間だけ切断して、前述の表示器の針を設定するように構成されている手動設定デバイスを更に備える。最後に、電子補正回路は、表示器に対する全体的時間誤差TErrを、秒インジケータおよび分インジケータにそれぞれ関連する第1の時間誤差および第2の時間誤差に加えて、秒インジケータおよび/または分インジケータに対する少なくとも1つの既定の補正判定基準の関数として決定することができるように構成されている。
好ましい代替的実施形態では、前述の補正期間中に秒インジケータに対する第1の時間誤差を実質的に補正するように、全体的時間誤差が決定される。
有利な代替的実施形態では、分インジケータが、補正期間の終了時に、したがって、この分インジケータが遅れに対応する時間差を有する場合に、最大でも、表示される現在分の小数部の値範囲内で選択される最大遅れ、すなわちゼロと60秒との間の遅れ、を有するように全体的時間誤差が決定される。
好ましい代替的実施形態では、全体的時間誤差TErrを決定するために、処理ユニット46に実装される処理アルゴリズムは、以下を含む:
・累積誤差ECMsの計算は、分インジケータによって表示された現在分の秒単位での小数部に対して、第1の補正判定基準を理論的に適用することによりなされ、すなわち、秒インジケータの時間誤差ESを分インジケータの時間誤差EMの小数部EMsから減算することによりなされ、すなわちECMs=EMs-ESである。
・累積誤差ECMsの60による整数除算(この操作は「ECMs modulo 60」として示される)であり、これが商QM(分の整数)および秒である剰余RS(正)を与える。
・第2の補正判定基準に従う、分インジケータに対する最大遅れTmaxの選択。
・全体的時間誤差TErrにおける分に対する値についての全体的誤差EMGの決定。この全体的誤差EMGは、前述の整数除算の剰余RSの関数として、および前述の最大遅れTmaxの関数として、2つの異なる値をとることができる。すなわち、Tmaxがゼロよりも大きい場合について、
Rsが[0;59-Tmax]の範囲に含まれる場合、EMG=EMm+QM
Rsが[60-Tmax;59]の範囲に含まれる場合、EMG=EMm+QM+1。
・補正すべき全体的時間誤差の定義:TErr=(EMG;ES)。ここで、EMGは分単位での整数であり、ESは秒単位の整数によって形成され、任意選択で1桁以上の小数を有する
したがって、図6に示す実施例では、Tmax=15sを選択することにより:
ES=-4.75s,EM=(2min;48s);ECMs=48+4.75=52.75s
ECMs modulo 60の結果から導かれるのは、
QM=0;RS=53s(丸めた値)
EMG=EMm+QM+1=2+0+1=3;TErr=(EMG;ES)=(3;-4.75)。
代替的実施形態Tmax=0は、分針が遅れを示してはならず、しかし基準現在分に厳密に等しいかまたは「0」と「59」秒との間の一定の進みを有するように常に補正されなければならない特定のケースに対応することが分かる。Tmax=30sの選択は、補正の後に、分針が、30秒の遅れ(-30s)と30秒の進み(+30s)との間に位置する残余誤差を有するケースに対応する。Tmax=15sである代替的実施形態が有利であり良好な妥協を表し得る。
加えて、3つの実施例を以下に示す(ここでは、Tmax=15sである):
実施例1
ES=25s,EM=(-2分;19s);ECMs=19-25=-6s
ECMs modulo 60の結果から導かれるのは、
QM=-1分;RS=54s
EMG=EMm+QM+1=-2-1+1=-2;TErr=(-2;25)=(-1;-35)
実施例2
ES=-30s,EM=(-2分;36s);ECMs=36+30=66s
ECMs modulo 60の結果から導かれるのは、
QM=1;RS=6s
EMG=EMm+QM=-2+1=-1;TErr=(-1;-30)
実施例3
ES=5s,EM=(1分;42s);ECMs=42-5=37s
ECMs modulo 60の結果から導かれるのは、
QM=0;RS=37s
EMG=EMm+QM=1+0=1;TErr=(1;5)
全体的時間誤差TErrの決定は処理ユニットによって実行され、引き続き処理ユニットは、それを、計時器によって表示される時間を補正するフェーズのために制御ユニットに提供する。しかしながら、全体的時間誤差は制御ユニットによって計算することもでき、したがって、制御ユニットは、考慮されるインジケータのために決定された時間誤差を処理ユニットから受信する。したがって、処理ユニットによって提供される補正信号SCorは、値TErr、または値ESおよびEM、のいずれか含む。処理ユニットおよび制御ユニットは、有利には、単一の電子回路によって、または同じ電子ユニットによって形成され得ることが分かる。これらの2つのユニットを分離することは、補正サイクルの様々なフェーズをより良好に説明するための機能的なものである。
補正サイクル中に実行される腕時計の表示器の全体的補正は、完全に秒に変換された-TErrによって与えられる。したがって、実施例1では、補正は、表示される実際時間において、95秒の進みを発生させることで行われ、実施例2では、補正は90秒の進みを発生させることで行われ、実施例3では、補正は65秒の遅れを発生させることで行われることになる。
記載されている実施形態は、機械式ムーブメントを備える腕時計の秒針と分針に対してそれぞれ決定される2つの時間誤差の関数として、表示される実際時間を補正することを意図する補正デバイスに関することに留意すべきである。より具体的には、1つの特定の実施形態では、時間誤差は時針に対しても決定され、提供される補正もまたこの時間誤差に依存する。一般に分針と同期し、この分針と連続的に噛合接続している時針については、表示される現在の時間と、時間ベースによって与えられる基準現在時間との間の違いだけを考慮して、全体的時間誤差が決定される。
別の特定と実施形態では、計時器は、現在時を示す時インジケータと、現在分を示す分インジケータだけを備える(したがって、現在秒は示さない)。好ましい代替的実施形態では、分インジケータに対する時間誤差だけが決定される。この代替的実施形態では、全体的時間誤差は、分インジケータに対して決定される時間誤差に等しい。計時器が秒針も有する一実施形態では、代替的実施形態では秒の指示を無視することができ、分針だけが精密に補正されることが分かる。しかしながら、そのような代替的実施形態は、現在分の正確な表示によって実際時間を与えることを可能にするものの、それは殆ど意味をなさない。なぜなら、秒針はしたがって誤った指示を与え、秒針の存在が役に立たないと思われるからである。
単純な代替的実施形態では、秒針だけが検出され、したがって、その潜在的時間誤差だけが補正される。この最後の代替的実施形態が意味をなすためは、分針が現在分の正確な表示を与えることを受け入れなければならない。これは、補正サイクルが、十分に高い頻度で、例えば1日に1回または2日に1回、提供される場合に考えることができる。それにもかかわらず、好適な代替的実施形態では、分インジケータが検出され、その潜在的時間誤差が、表示される実際時間の補正のために考慮される。なぜなら、補正すべき誤差は、時間ドリフトに依存するだけでなく、その手動設定位置に引き出されたステム-竜頭の予想される操作にも、または様々な予想される妨害にも依存するからである。
最後に、計時器は通信ユニット50を更に備え、通信ユニット50は、外部デバイスから、外部設備から、または外部システムから、正確な現在分および正確な現在秒だけによって形成される精密な実際時間を提供する同期信号SSyncを受信するように構成されている。なぜなら、主な実施形態では、秒インジケータと分インジケータだけが検出され、次いで全体的に補正されるからである。通信ユニット50が信号SSyncを受信した時、通信ユニット50は精密な実際時間HREを内部時間ベース42に提供し、したがって内部時間ベース42は、基準実際時間を精密な実際時間に同期させる。外部同期システムは、非常に精密な法定時間を与えるGPSシステムである得る。この場合、通信ユニットは、精密な実際時間に関連するGPS信号を受信するためのユニットによって形成される。別の代替的実施形態では、特に欧州および米国で見られるように、外部設備は長距離無線同期アンテナである。そのような場合、通信ユニットは、信号RFを受信するためのユニットによって形成される。2つの上述した代替的実施形態のうちの1つを補完することができる別の代替的実施形態では、外部デバイスは、携帯電子デバイス、例えば携帯電話またはコンピュータである。そのような場合、通信ユニットは、BLE(ブルートゥースローエナジー:Bluetooth Low Energ)またはNFC(近距離無線通信)通信ユニットを備える。最後の代替的実施形態では、精密な実際時間は一般に、電話網を介してまたはインターネットネットワークを介して正確な法定時間を与えるクロックに通常日常的に同期される、外部デバイスの時間ベースから導かれることが分かる。
一般に、補正デバイスは無線通信ユニットを備え、無線通信ユニットは、精密な実際時間を提供できる外部システムと通信することができ、補正デバイスは、同期フェーズ中に、基準実際時間を、精密な実際時間に同期させることができ、精密な実際時間は、基準実際時間の現在時間単位に対応する、精密な実際時間の現在時間単位によって形成され、通信ユニットは、外部システムから精密な実際時間を受信するように起動される。
有利な代替的実施形態では、通信ユニットは、精密な実際時間を受信するために、制御ユニットによって、または直接、内部時間ベースによって、周期的に起動される。したがって、通信ユニットは、同期フェーズ中に、基準実際時間を精密な実際時間に同期させるために、周期的かつ自動的に起動される。好ましい代替的実施形態では、ユーザは、通信ユニットを、特に計時器の外部制御部材を介して、起動させることができる。自動的な周期的な同期のために、および要求に応じて同期を行う可能性のために、2つの代替的実施形態を組み合わせることができる。
通信ユニットは、内部時間ベースに影響を及ぼす停電後に特に重要である。したがって、基準実際時間が、精密な実際時間を提供する外部システムに同期されておらず、最後の同期フェーズ以来、中断することなく内部クロック回路によって維持されている場合は、制御ユニットはいかなる補正サイクルも実行しないように構成される。好ましい代替的実施形態では、いかなる理由であれ、時間ベースが停止されると直ぐに、この情報が固定メモリ(不揮発メモリ)に記録され、この情報は、内部時間ベースに対する少なくとも1つのステータスビット(「ON」/OFF」)を含む。時間ベースが新たに次に起動される間、記載されるように、補正デバイスが時間ベースを外部システムの精密な実際時間に同期させるまで、ステータスビットはその「OFF」値を保持する。制御ユニットは、補正サイクルを実行する前に、特に検出フェーズを実行する前に、ステータスビットを問い合わせてその値を得て、この値が「OFF」である限り、いかなる検出フェーズも実行しない。補正デバイスは、ステータスビットの値が「ON」である場合にだけ、新たな補正サイクルを検出フェーズで開始する。サイクルが中断され、特に、補正サイクルにおける処理フェーズと補正フェーズとの間での予想される中断の後に継続されることになる場合、前の検出フェーズが正しく終了し、補正サイクルを継続するのに基準実際時間がもはや必要ないならば、制御ユニットは、そのような補正サイクルを後で継続することができる。
1つの有利な実施形態では、計時器は、基準実際時間を精密な実際時間に同期させるための外部制御部材を備え、この外部制御部材は計時器のユーザによって作動されることができる。外部制御部材および補正デバイスは、ユーザが補正デバイスを起動させることを可能にし、それにより、この補正デバイスが、同期フェーズ中に基準実際時間を精密な実際時間に同期させるように構成されている。特定の代替的実施形態では、外部制御部材は、制御ステムに関連付けられた竜頭によって形成され、制御ステムは、表示器の針を手動で設定するためにも使用される。
機械式ムーブメントを有する腕時計に関して、別の課題を調べなければならない。上述したように、そのような腕時計は通常、ステム-竜頭を使用する手動設定デバイスを備える。したがって、本発明による補正デバイスによる補正サイクルが手動設定操作により妨害されることは、防止されなければならない(例外は、時針を1時間ジャンプさせることを意図した手動制御であり、この手動制御はまた、本発明による、特に上述した主な実施形態による、計時器にとって有利である)。外部制御手段(ステム-竜頭)が、補正サイクル中に、分針の位置を変更すること、および/または秒針を停止させることができないように、外部制御部材を遮断する機構を提供することができる。これは通常、電気機械式アクチュエータを必要とし、それにより計時器はより複雑になる。一代替形態は、ステム-竜頭の変位を検出するように構成すること、具体的には、この制御部材が、針を設定する位置に対応する位置に変位していて分針および/または秒針の位置を変える可能性があるか否かを検出するように構成すること、を伴う。そのような検出が実施されると直ぐに、制御ユニットは進行中の補正サイクルを終了する。しかも、そのようなケースに該当し、この状態が継続する限りは、補正サイクルを始める前に、補正デバイスは、制御部材が上述した手動補正位置にあって、制御ユニットが補正サイクルを開始しないことを検出する。ステムが、その針設定位置に位置しているか否かを検出するためのデバイスは、制御ステムに沿って、またはこのステムに関連付けられた手動設定機構に沿って容易に構成することができる。好都合には、容量検出または磁気検出(後者は、小型磁石をステム上に、または関連する機構上に配置することにより)が選択される。1つの有利な代替的実施形態では、外部制御部材がその針設定位置に変位されたことを、補正デバイスが検出するたびに、その時、この部材が別の位置に(特にステム-竜頭にとって巻き上げ位置に)再配置されると直ぐに、補正デバイスは補正サイクルを迅速に実行する。
図7は、第1の実施形態の有利な代替的実施形態に従って計時器を補正するためのデバイスを示す。
計時器は、エナジーハーベスター54を備え、これは、当業者には既知の様々なタイプのデバイスによって、具体的には、磁気、光、または熱のエナジーハーベスター、ならびに電気アキュムレータ56によって形成することができる。代替的実施形態では、磁気エナジーハーベスターは、外部の磁気源からエネルギーを受け取るように構成され、電気アキュムレータ56が電気接触なしで再充電されることを可能にしている。別の代替的実施形態では、エナジーハーベスターは、磁石-コイルシステムによって形成され、計時器の機械式共振器の振動から、したがって、この振動を維持しているバレルの振動から、少量のエネルギーを収穫することが可能である。上述した代替的実施形態では、少なくとも1つの磁石が、共振器の振動要素上に、または共振器の支持体上に構成され、少なくとも1つのコイルが、それぞれ、前述の支持体上に、または前述の振動要素上に構成され、それにより、共振器がその使用可能な稼働範囲内で振動する時に、磁石によって発生する磁束の大部分がコイルを通過する。好ましくは、磁石-コイル結合は、共振器の中立位置(静止位置)を中心として提供される。機械式ムーブメントが自動ムーブメントである別の代替的実施形態では、振動する重りを使用して、マイクロ発生器を駆動して電流を発生させ、電流はアキュムレータ内に保存される。エナジーハーベスターを、ハイブリッドとすること、すなわち複数の、特に無線/非接触タイプの異なるユニットにより形成することもでき、エナジーハーベスターは、様々なエネルギー源から様々なエネルギーを収穫し、これら様々なエネルギーを電気エネルギーに変換することを意図している。
制御ユニット48Aは、機械式共振器14を制動するためのデバイス22を、特に図1に概略的に示す圧電タイプの電気機械式アクチュエータを制御する。制動力を機械式共振器に一瞬の間だけ印加することを可能にする他のタイプのアクチュエータを提供できることに留意すべきである。任意選択で、制御ユニットは、利用可能な電気エネルギーのレベルを検出するための回路68を備え、この検出回路は、制御論理回路60に信号SNEを提供して、利用可能な電気エネルギーのレベルに関する情報を提供し、それにより、この論理回路は、表示される時間を補正するための操作を開始する前に、補正モジュールが十分なエネルギーを有しているか否かを知ることができる。そうでない場合は、以下の様々な選択肢が可能である:
1)計時器は送信機を有して、表示される時間の完全な補正を可能にするには、アキュムレータを再充電しなければならないことを、例えば送信機によって発生された光信号(LED)または音響信号を介して、ユーザに直接通知することを可能にする。補正動作を完了するには電気エネルギーレベルが不十分である限りは、計時器は、いかなる補正動作も行わない。
2)計時器は送信機、具体的にはBLE通信ユニットを有して、表示される時間を補正するための動作を完了するためには、アキュムレータが再充電されなければならないことを、携帯電話または別の外部電子デバイスに通知することを可能にする。携帯電話は、その電子ディスプレイを使用して、この情報をユーザに通知するためのアプリケーションを備える。補正動作を完了するには電気エネルギーレベルが不十分である限りは、計時器は、いかなる補正動作も行わない。携帯電話を更に使用して、エナジーハーベスター54を介して、または携帯電話を介して、例えば磁気誘導によって、エネルギーを転送することに特化した別のエナジーハーベスティングデバイスを介して、電気アキュムレータ56を好ましくは非接触方式で再充電することができる。
3)計時器は、アキュムレータ56において利用可能なエネルギーを使用して、表示される時間の部分的な補正を実行するだけである。2つの代替的実施形態によれば、計時器はいかなる情報もユーザに送信しないか、または、上述した2つの選択肢のいずれかで述べた送信機を介して、この状況をユーザに通知する。
4)補正動作を完了するには電気エネルギーレベルが不十分である限りは、計時器は、いかなる情報も送信せず、いかなる補正動作も行わない。
上記で示したような電気エネルギー管理システムが存在しない場合は、利用可能な電圧が十分ならば、計時器は必要な補正動作を始めることができ、電力供給回路58によって供給される電圧が十分な限り、この補正動作を実行することができる。有利な代替的実施形態では、アキュムレータ56において利用可能な電気エネルギーを節約するために、表示される時間を補正するための動作が予定されていない時は、補正デバイスはスタンバイモードに置かれる。必要に応じて、補正モジュールの様々な部分を、異なる期間の間だけ起動することができる。
計時器2の制御ユニット48Aは、時間ベース42と処理ユニット46とに接続する制御論理回路60を備え、制御論理回路60は、前の処理フェーズ中に決定された全体的時間誤差の値TErrを、補正信号SCorの形で処理ユニット46に提供する。制御論理回路は、各補正サイクル中に様々な論理演算を実行するように構成されている。その上、制御ユニット48Aは、所与の周波数FSUPを有する周期的デジタル信号を発生させるためのデバイス62を備える(発生デバイス62は「周波数発生器」、または単に周波数FSUPでの「発生器」と称される)。補正される全体的時間誤差TErrが、表示器において、実際時間の遅れ(負のTErr)に対応するか、または進み(正のTErr)に対応するかに応じて、制御論理回路60は、周波数発生器62およびタイマー63にそれぞれ送信する2つの制御信号S1RおよびS2R、またはタイマー70に送信する1つの制御信号SA、のいずれかを発生させる。タイマー63および70は、プログラム可能であり、意図した補正期間、すなわち、遅れを補正するための期間PRCor、および進みを補正するための期間PACorを測定するために使用される。定義上は、進みは正の誤差に対応し、遅れは負の誤差に対応する。
下記のパラグラフは、最初に、上述した検出フェーズと処理フェーズに続く補正フェーズ中における、時間の表示器において検出された遅れを補正するための制御ユニット48Aの構成について、次いで、補正フェーズ中における、進みを補正するためのこのユニットの構成について説明する。
遅れに対応する負の全体的時間誤差の場合、第1の遅れ補正モードによれば、本発明は、周期的制動パルスのシリーズを周波数FSUPにて発生させることを提供し、これらの周期的制動パルスは、制動デバイス22によって、特にアクチュエータ22Aによって、振動する共振器に印加されている。この目的のために、制御論理回路60は、信号S1Rを介して周波数発生器62を起動し、そして補正期間PRCorに対応する時間間隔までカウントアップするか、またはその時間間隔からカウントダウンするタイマー63であって、その持続時間(その値)が論理回路によって決定される、タイマー63を起動する(定義上、表現「タイマー」は、初期的にタイマーの中に入力される所与の時間間隔からカウントダウンするタイマーに加えて、この所与の時間間隔までカウントアップするタイマーを包含する)。
示される代替的実施形態では、周波数発生器が起動される場合、周波数発生器は、周期的デジタル信号SFSを周波数FSUPにて他のタイマー64に提供する(タイマーは、周期的制動パルスに対して選択された持続時間に対応する値Tpを有する)。タイマー63および64の出力は「AND」論理ゲート65に提供され、論理ゲート65は、意図された補正期間PRCorの間に、「OR」論理ゲート66を介して、または周期的起動信号SC1を制動デバイスに送信することを可能にする他の任意のスイッチング回路を介して、周期的起動信号SC1を出力して、制動デバイス22を周期的に起動させる。周期的起動信号SC1は、計時器によって表示される時間において検出された遅れを補正する場合に、制御信号SCmdを形成する。したがって制動デバイスは補正期間PRCorの間に、周期的制動パルスを周波数FSUPにて機械式共振器に印加し、その持続時間(値)は補正すべき遅れに依存する。一般原則として、制動パルスは消散する性質を有するが、これは、振動する共振器のエネルギーの一部が、これら制動パルスの間に消散するからである。主な実施形態では、計時器2の説明において図1を参照して上述したように、機械的制動トルクは、実質的には摩擦によって、具体的には、共振器の制動表面上に、好ましくは円形の制動表面上に一定の圧力を印加する機械式制動部材によって、印加される。
好ましくは、図1に示す代替的実施形態については、機械式共振器によって、およびこの共振器を制動するためのデバイスによって形成されるシステムは、振動する共振器の使用可能な動作範囲にて、振動する共振器の固有振動周期における実質的にいかなる瞬間においても、制動デバイスが機械的制動パルスを開始することを可能にするように構成されている。換言すれば、周期的制動パルスの1つは、特に補正期間中に生じる最初の制動パルスは、実質的に振動する共振器の任意の角度位置にて始まることができる。
先に既に引用した国際公開第2018/177779号の開示によれば、振動する共振器の平均周波数は、共振器に周期的制動パルスを、有利には設定点周波数F0Cの2倍を正整数Nで除算した値、すなわちFFR=2・F0C/N、に対応する制動周波数FFRにて、連続的に印加することにより、精密に調整することができる。いったん正整数Nが与えられると、制動周波数FFRは、機械式共振器に対する設定点周波数F0cに比例し、かつこの設定点周波数だけに依存する。同期フェーズ中に、機械式共振器が、その振動における最も遠い位置を通過する時点で制動パルスが生じるように、すなわち、振動運動の方向の反転が、各制動パルスの間に、または各制動パルスの終了時に生じるように、制動パルスによって印加される制動トルクと、これら制動パルスの持続時間とが選択されると、制動周波数FFRにて周期的制動パルスを印加する制動デバイスが起動を開始する時に生じる過渡フェーズの後に、同期フェーズが確立され、その間に機械式共振器の振動が、平均的に設定点周波数F0cに同期することを、国際公開第2018/177779号は開示している。後者の解決策は、特に信頼性がより高い有利なケースで起こり、その場合、機械式共振器は、各制動パルスによって停止され、その後、この制動パルスが終了するまで制動デバイスによって遮断されたままである。
関心は低いが、特許公開第2018/177779号は、設定点周波数の2倍(2F0)よりも大きい値を有する制動周波数FFRについて、特に、Mが2よりも大きい整数(M>2)として、M・F0に等しい値についても、同期を得ることができることを示している。FFR=4・F0である代替的実施形態では、システムは単にエネルギーを失い、同期フェーズ中には効果がない。なぜなら、パルスは2つのうち1つが共振器の中立点で生じるからであり、これは不利である。より高い制動周波数FFRについては、同期フェーズにおいて、最も遠い位置で生じないパルス対は、互いの効果を相殺する。したがって、これらは、実用的な関心が大きくない、理論的なシナリオであると理解される。他の制動周波数が、設定点周波数への共振器の同期につながり得るが、調整方法を実装するための条件が、実装するには遥かに面倒で困難であるという点に留意すべきである。
本発明の起源における開発の範囲内で、国際公開第2018/177779号で開示されている注目すべき現象を使用して、共振器をその設定点周波数に連続的に同期させるだけでなく、決定された形で、共振器の振動周波数を、設定点周波数の下と上にそれぞれ位置する2つの周波数範囲で変化させることもできることが強調された。すなわち、決定された平均周波数を機械式共振器に課することができ、この決定された平均周波数は設定点周波数とは異なり、これよりも大きいまたは小さいのいずれかであり、周期的制動パルスを印加することにより、この共振器を、設定点周波数とは異なるが、それに十分に近い周波数に同期させて、振動する共振器と制動デバイスとの間に同期フェーズが確立されることを可能にして、この目的のために選択された周波数にて制動パルスを発生させ、一方で、計時器の動作のタイミングを合わせるために、振動する共振器を機能的な範囲に維持することができる。本発明は、この注目すべき発見を使用して、考慮する機械式時計ムーブメントの動作を変化させることによって、すなわち、問題の計時器の表示器を駆動する機構の動作のタイミングを合わせる共振器の周波数を、所与の補正期間中に変化させることによって、計時器によって表示される時間を補正することを提案する。
特に、本明細書に記載されている電子制御ユニットの第1の実施形態は、表示される時間において検出された遅れを、第1の遅れ補正モードに従って補正することを提供し、この補正モードでは、補正期間PRCorの間、振動する共振器は、設定点周波数F0cより大きい補正周波数FSCorに同期される。本発明の起源における開発の範囲内で、設定点周波数への同期の場合と同様に、所与の補正周波数FCorに対して制動周波数FBraを、以下の数式:
FBra=2・FCor/N (Nは正整数)
を満足させるように選択すると、設定点周波数よりも大きいまたは小さい補正周波数に対して、最良の結果が得られることが示された。
したがって、周期的制動パルスは、制動周波数FBraにて機械式共振器に印加され、制動周波数は、有利には、補正周波数FCorの2倍を、好ましくは十分に小さい正整数Nで除算した値に対応する。この方程式は、設定点周波数よりも大きい補正周波数FCor=FSCorに対して、および設定点周波数よりも小さい補正周波数FCor=FICorに対しても有効である(第1の進み補正モードであり、これは以降の本発明による計時器の別の実施形態において生じる)。したがって、いったん正整数Nが選択されると、制動周波数FBraは、提供される補正周波数FCorに比例し、かつこの補正周波数だけに依存する。「所与の周波数への同期」という用語は、この所与の周波数に対して、平均的に同期することを意味すると理解される。この定義は、2より大きい数Nにとって重要である。例えば、N=6の場合、共振器の振動の各制動パルスによって発生する時間差の結果、3つの振動のうちの1つだけが、設定点周期T0c=1/F0cに対して(したがって、固有/自由振動周期T0=1/F0に対して)、その持続時間の変化を受ける。
設定点周波数への同期の場合と同様に、特定の状況では、他の制動周波数を使用して、所望の補正周波数への同期を得ることが可能であるが、制動周波数FBra=2・FCor/Nの選択が、より効果的およびより安定な形で、周波数FCorへの同期を得ることを可能にするということに留意すべきである。一般に、制動周波数と補正周波数との関係を表す数学的方程式は、FBra=(p/q)・FCorであり、式中、pおよびqは2つの正整数であり、有利には、数qは数pよりも大きい。当業者は、適切な小数p/qのリスト、およびどの条件が適切か(特にどの制動トルクが適切か)を実験的に作成することができる。
制動パルスは、一定の偶力または一定でない偶力(例えば実質的にガウス曲線または正弦波曲線)によって印加され得ることが分かる。用語「制動パルス」は、共振器の振動する部材(バランス)を制動する、すなわち、この振動する部材の振動運動に対抗する、共振器への一瞬間の偶力の印加を意味する。可変トルクの場合、パルス持続時間は、一般に、このパルスの、共振器を制動するための大きな偶力を有する部分として、具体的には、偶力が最大値の半分よりも大きい部分として定義される。制動パルスが大きな変動を呈し得ることに留意すべきである。制動パルスは、絶えず変化し、より短いパルスの連続を形成する場合さえある。一般に、各制動パルスの持続時間は、共振器に対する設定点周期T0cの半分よりも小さくなるように提供されるが、有利には、設定点周期の4分の1未満、好ましくはT0c/8未満である。
図8および図9は、設定点周波数F0c=4Hzを有し、振動72を有する機械式共振器について、それぞれ、固有周波数がF0=4.0005Hzの場合に、周波数FINF=2・FICor、FICor=0.99975・F0c=3.999Hzにて共振器に印加された周期的制動パルスの第1のシリーズ74と、固有周波数がF0=3.9995Hzの場合に、周波数FSUP=2・FSCor、FSCor=1.00025・F0c=4.001Hzにて共振器に印加された周期的制動パルスの第2のシリーズ76と、を示す。図8、図9の下図は、補正期間中における共振器の振動周波数の変化を示し、補正期間は、制動パルスが周波数FINFまたはFSUPにて共振器に印加される期間として定義される。曲線78は、表示された時間において検出された進みを補正するための、周期的制動パルスの第1のシリーズ74の間における機械式共振器の振動周波数に対する変化を示し、制動周波数FINFの結果、同期周波数によって与えられる補正周波数FICorが得られ、これは設定点周波数F0cよりも小さい(第1の進み補正モード)。曲線80は、表示された時間において検出された遅れを補正するための、周期的制動パルスの第2のシリーズ76の間における機械式共振器の振動周波数に対する変化を示し、制動周波数FSUPの結果、同期周波数によって与えられる補正周波数FSCorが得られ、これは設定点周波数よりも大きい(第1の遅れ補正モード)。
図8および図9の非常に短い補正期間は、共振器の角度位置を時間の関数として与えるグラフにおいて、共振器の振動および周期的制動パルスをはっきりと見える形で表しながら、補正期間の全体を示すようにとっている。より具体的には、数秒において、予想される補正は比較的小さく、実際には1秒未満である。したがって、図8および図9で選択された補正周波数については、補正は非常に小さい。したがって、振動する共振器の固有周波数(固有/自由周波数)が、1日当たり約10秒(進みまたは遅れ)の日差に対応するので、この場合、機械式腕時計の標準の範囲内にあるが、補正周波数は単に例示を目的として与えられており、第1の進み補正モードまたは遅れ補正モードを実装するために通常提供される補正周波数よりも、設定点周波数に非常に近い。結論として、図8および図9は、全体として、設定点周波数に近いが、それとは異なる補正周波数にて周期的制動パルスのシリーズを受けた場合に、そして通常の時間ドリフトを引き起こす固有周波数の場合に、振動する共振器の挙動を示すために、概略的に与えられているだけである。予想される補正周波数に関する、より詳細で精密な考察は後述されるであろう。
周波数曲線78および80を示す2つのグラフにおいて、補正期間の開始時に過渡フェーズPHTrを見ることができ、その間に周波数が変化した後に、過渡フェーズに続く同期フェーズPHSynの間に、それぞれ周波数FICorまたはFSCorにて安定する。示される2つのケースでは、過渡フェーズPHTrは比較的短く(2秒未満)、周波数の変化は、望ましい補正周波数の方向に生じている。示される2つのケースでは、過渡フェーズの間における単位時間当たりの平均的補正は、同期フェーズの間に生じる平均的補正にほぼ等しい。しかしながら、過渡フェーズをより長く、例えば3~10秒とすることができ、過渡フェーズの間における周波数の変化は場合によって変動し、それにより平均的補正は可変であり未定であるが、実際には小さいままであることに留意すべきである。国際公開第2018/177779号の図9~図11を参照することができ、この文献では、共振器を、固有周波数から、それに近いが異なる設定点周波数F0cに同期させるための過渡フェーズは、より長い。この文献の図10において、設定点周波数が共振器の固有周波数より大きい場合は、振動周波数が、始めに過渡フェーズの開始時に減少し、その後、増加して最終的に固有周波数を超えて、設定点周波数にて安定することが分かる。
過渡フェーズの持続時間およびこの過渡フェーズの間の周波数の変化は、様々な要因、具体的には、制動トルク、パルスの持続時間、振動の初期的な振幅、および振動周期において最初の制動パルスが印加される瞬間、に依存する。したがって、過渡フェーズの結果生じる、設定点周波数に対する時間偏差を制御することは困難である。例として、FCor=1.05・F0c=4.2Hzであり、過渡フェーズが最大で10秒持続し、この過渡フェーズの間における平均周波数がF0cに等しいと想定すると、FCorに対する絶対時間偏差は最大で0.5秒である。したがって、この不確定性が、補正期間中に生成される補正に小さい誤差を生成させるが、この誤差は無視できない。このような誤差を防止するために、以下に解決策が説明される。電子制御ユニットの第1の実施形態では、補正期間(の持続時間)PRCorが、補正すべき全体的時間誤差TErrに基づいて決定される場合は、この補正期間を、意図した制動周波数にて周期的制動パルスのシリーズを共振器に印加する期間として定義することにより、および、補正期間中の振動周波数が同期周波数の振動周波数であるという仮定を適用することにより、得られた補正には、したがって、予想される小さな誤差が存在する。
同期周波数は、補正周波数を決定する。定義上、補正周波数FCorは、同期周波数に等しい。補正期間の同期フェーズにおいて、制動パルスの持続時間は、各制動パルスの間にまたはその終了時に、共振器に印加される制動トルクが共振器を停止させることができるのに十分でなければならないことが分かる(その瞬間的な振幅を定める最も遠い角度位置の通過)。遅れを補正するための、設定点周波数よりも大きい同期周波数の場合、制動パルスの間に共振器が停止したままである時間間隔は、単位時間当たりに可能な補正を減少させるので、一定の安全マージンを考慮して、この時間間隔を制限して、より大きな同期周波数のおかげで補正期間を短くすることが好ましい。制動パルスの周波数、共振器の振動の各半周期の時点で共振器に供給される維持エネルギー、および制動トルクの値は、振動する共振器を停止に至らせるのに必要な時間間隔において生じることに留意すべきである。当業者であれば、所与の制動周波数および結果として生じる補正周波数に対して、制動システムを最適化するために、制動パルスについての制動トルクおよび持続時間を、特に実験的な方法でまたはシミュレーションによって決定する方法を知っているであろう。2Hz~10Hzの設定点周波数の場合、0.5μNm~50μNmの範囲の制動トルクおよび2ms~10msの範囲の制動パルスが、実際に使用するには有利な補正周波数として、通常は適切であると思われる(これらの値範囲は例示の目的で非限定的に与えられている)。
上述した仮説に基づいて、すなわち同期周波数が、補正期間PRCorの全体にわたって適用される場合、提供される補正期間の値は、補正すべき全体的時間誤差TErr、設定点周波数F0c、および補正周波数FCorに基づいて決定することができる。そして、同期周波数は、それに等しい補正周波数を決定するので、提供される補正期間の値はまた、補正すべき全体的時間誤差TErr、設定点周波数F0c、および制動周波数FBraに基づいて決定することができる。定義上は、前述したように、表示される時間の進みは正の誤差に対応する一方で、遅れは負の誤差に対応する。以下の数式は、値/補正期間の値を決定するために得られた:
PCor=TErr・F0c/(F0c-FCor)=2TErr・F0c/(2F0c-N・FBra)
第1の遅れ補正モード(負の誤差)では、補正周波数FCor=FSCorは、PCorが正になるように、F0cよりも大きい。そのような場合、制動周波数FBra=FSUPである。したがって、以下の式が得られる:
PRCor=TErr・F0c/(F0c-FSCor)=2TErr・F0c/(2F0c-N・FSUP)
第1の進み補正モード(正の誤差)では、補正周波数FCor=FICorは、PCorが正になるように、F0cよりも小さい。そのような場合、制動周波数FBra=FINFである。したがって、以下の式が得られる:
PACor=TErr・F0c/(F0c-FICor)=2TErr・F0c/(2F0c-N・FINF)
機械式計時器の動作の補正に関して、その共振器に適用される周期的制動パルスのシリーズによって補正が得られるという一般的な説明に続いて、ここで、本発明による計時器の第1の実施形態に戻ることができる。制御ユニット48A(図7)は、全体的時間誤差TErrが、補正すべき表示された時間遅れに対応する場合には常に、周波数発生器62によって提供される周期的デジタル信号SFSから導かれた制御信号SC1を、補正期間PRCor中に制動デバイスに提供して制動デバイス22を起動させ、その結果、この制動デバイスが周期的制動パルスのシリーズを生成させ、それが周波数FSUPにて共振器に適用されるように構成されている。補正期間(の持続時間)は補正すべき遅れによって決定されるので、したがって周期的制動パルスのシリーズにおける周期的制動パルスの数もまた、補正すべき遅れによって決定される。周波数FSUPでの周期的制動パルスのシリーズの各々が、対応する補正期間中に第1の同期フェーズになることができ、共振器の振動が、機械式共振器に提供される設定点周波数F0cより大きい補正周波数FScorに同期する(定義により、「平均的に同期する」)ように、周波数FSUPが提供され、制動デバイスが構成される。
図10~図13Bを参照すると、以下のパラグラフは、制動パルスに関する、具体的には制動周波数FBraおよび対応する補正周波数FCorに関連するいくつかの所見を提示し、これらの所見は、有利には、第1の遅れ補正モードの好ましい代替的実施形態に対して、および更に、第1の進み補正モードの好ましい代替的実施形態に対して考慮され(これらは後述する実施形態において実装されることになる)、表示された時間において検出された進みは、上記で既に定義された周波数FINFでの制動パルスのシリーズによって補正され、その結果、やはり上記で定義された、設定点周波数F0cよりも小さい補正周波数FICorになることが意図されている。
図10は補正期間の第1の部分を示し、補正周波数FSCor=3.5Hzと設定点周波数F0c=3.0Hz(自由に振動している場合は共振器の固有周波数に実質的に等しく、振動82によって示す)との間に比較的大きな比率を有し、すなわち、比率RS=FSCor/F0c=3.5/3.0=1.167である。制動周波数FBra=FSUP=2・FSCor=7.0Hz(N=1のケース)と、十分な制動偶力とを有する制動パルス84が機械式共振器に印加されて、過渡フェーズPHTrにおいて、振動する共振器の振動86の振幅が十分に減少し、各制動パルスの間に最終的に停止することが可能な場合、対応する補正周波数、すなわちFSCor=3.5Hzを、この共振器に比較的迅速に課すことができる。与えられた実施例では、所望の同期は、ちょうど1秒後に得られるが、振動が安定するフェーズPHStは、同期フェーズPHSynの始めに生じる。示されるケースでは、振幅は安定化フェーズ中に再び増加して、自由共振器の初期振幅の約1/3に対応する振幅にて最終的に安定する。
デモンストレータ(本発明による計時器の原型)を、図10に示すケースについて作製した。機械式共振器に、周期的制動パルスを周波数FSUP=7.0Hzにて印加することにより、6時間の補正期間に対して7時間の進みが、非常に精密に計時器の表示器に得られた。したがって、6時間で、厳密に1時間「進んだ」。そのような結果は、自由に動作する(すなわち、制動パルスが存在しない)共振器の不正確さの結果である表示器の時間ドリフトに単に実施される補正とは異なる、表示器によって示される時間を補正する方法への道を開く。
図11は、機械式共振器の自由振動82Aと、補正期間の同期フェーズにおける、この共振器の第1の振動86Aであって、補正周波数FSCorと設定点周波数F0cとの間の比率RSが比較的小さい(すなわち「1」に比較的近い)、第1の振動86Aと、補正期間の同期フェーズにおける、この共振器の第2の振動86Bであって、補正周波数FSCorと設定点周波数F0cとの間の比率RSが比較的大きい(すなわち「1」から比較的遠い)、第2の振動86Bと、を示す。第1の振動86Aは、比較的低い強度の周期的制動パルス84Aのシリーズから生じ、振動周期毎に1回ずつ生じる(これは、N=2、FSUP=FSCor、のケースに対応する)。しかしながら、第2の振動86Bは、比較的高い強度の周期的制動パルス84Bのシリーズから生じ、振動の半周期毎に1回ずつ生じる(これは、N=1、すなわちFSUP=2・FSCorのケースに対応する)。
制動トルクおよび制動周波数を、適切な形で選択することにより、補正周波数は、表示される時間の遅れを補正するために、設定点周波数F0cと、特定のより高い周波数FSCmaxとの間を連続的に変化することができ、表示される時間の進みを補正するために、設定点周波数F0cと、特定のより低い周波数FICmaxとの間を連続的に変化することができることが分かる。より高い周波数FSCmaxおよびより低い周波数FICmaxは、理論的に容易に計算できる値でない。それらは、各計時器について実際に決定されなければならない。この情報は、関心の対象ではあるが本質的ではないことが分かる。重要なことは、制動周波数が選択され、利用可能な制動トルクが、各補正期間中に、好ましくは非常に迅速に、同期フェーズを発生させるのに適切なことであり、同期フェーズ中に、機械式共振器は、その振動が停止することなく、上述した数学的方程式により提供される補正周波数にて振動することができる(すなわち、共振器は、停止位置から再スタートできないようには停止してはならない。そうすると、表示器の駆動機構は停止することになる)。
図11は、安全角度θSecを示し、絶対値の形で、それ以下では、機械式共振器は停止することが防止され(すなわち、―θSec~θSec)、したがって、それを超えると、絶対値の形で振幅は、同期フェーズ中は、少なくとも安定化フェーズ後に事実上は維持されなければならない。有益には、機械式共振器の動作にとって、角度θSecは、角度θZI(図14を参照)に等しいか、または好ましくは角度θZIよりも大きく、角度θZIは、共振器と、それに関連付けられた脱進機との間の、共振器の中立位置の両側における結合角度に対応し、共振器がその静止位置にあるか、またはその静止位置を通過する時に、バランスのプレートによって支持される結合ピンの角度位置によって定められる。制動パルスの間に機械式共振器を停止させるために、機械式共振器の、脱進機との結合ゾーン(-θZI~θZI)は、したがって、「禁止ゾーン」と宣言される(過渡フェーズ中ではこの禁止ゾーンにおいて制動は可能であるが、共振器はこの禁止ゾーンにおいて停止することは防止されることが分かる)。共振器の使用可能な実施範囲において、脱進機の正しい動作を維持し、特にロック解除フェーズを保証するために、安全角度θSecは結合角度θZIよりも大きい必要があり得ることに留意すべきである。当業者は、第1の実施形態による補正デバイスに関連付けられた各機械式ムーブメントについて、安全角度θSecに対する値を決定することが可能であろう。結合角度θZIは、機械式ムーブメントによって、特に22°~28°で変化する場合がある。
遅れ補正期間中に、角度安全ゾーンにおいて共振器を遮断しないという条件が重要である。なぜなら、この遅れ補正期間中には、脱進機(すなわち、時間表示器の駆動機構の動作のタイミング)を介して通過時間を計数し続けなければならないからである。したがって、非常に有利な形では、前述の周波数FSUP、および周期的制動パルスの持続時間は、第1の遅れ補正モードの範囲内における補正期間の前述の同期フェーズの間に、周期的制動パルスの各々が、振動する機械式共振器の、脱進機との結合ゾーンの外側で、好ましくは機械式ムーブメントに対して定められた安全ゾーンの外側で生じるように選択される。これは、第1の進み補正モードの範囲内において、前述の周波数FSUP、および周期的制動パルスの持続時間を選択する場合にも適用される。
補正周波数および対応する制動周波数の選択に関して、当業者を方向付けるために、機械式発振器の運動方程式に基づいて数学モデルが作成された。最大の正および負の補正を決定するために、共振器は、同期かつ安定なフェーズにあると想定する。更には、脱進機を介してエネルギー源によって共振器に印加され、cos(ωt)のタイプと想定される維持力に関して、簡略化を導入する。この簡略化は、共振器に供給されるエネルギーの全てが上記で定められた禁止ゾーンθZIで起こる実際のケースと比較して、最大値を低減させるので、実用的である点に留意すべきである。最後に、以下で与えられる運動方程式において、式FCor=N・FBra/2で選択される数Nに対応する、1/2半周期における安全角度θSecに共振器が到達する時間の値TSecの逆数として、制動周波数FBraを定めることにより、制動パルスの持続時間は非常に小さく、したがって分離されていると想定される。
補正すべき時間誤差が負(遅れ)であるか正(進み)であるかに応じて、最大の補正、したがって最小期間または最大期間を決定するために、制動パルスによって時間t=0が与えられ、制動パルスの間に発振器は安全角度θSecにて停止される。更には、安定した同期フェーズでは、共振器は、値Nによって、および遅れまたは進みを補正するために、補正周波数が設定点周波数F0cよりも大きいようにまたは設定点周波数F0cよりも小さいように提供されるという事実によって与えられる時間範囲における安全角度(-1N)・θSecにて、引き続く制動パルスをできるだけ早く、またはできるだけ遅く停止させなければならない。
そのような場合、運動方程式は、以下によって与えられる:
ここで、τ=Q・T0/πであり、T0は、自由振動周期(計算では、T0c=1/F0cに等しい想定)であり、θ0は自由振動の振幅である。
したがって、機械式共振器の品質係数Qは、運動方程式に含まれることが理解できる。
設定点周波数F0cより大きい補正周波数FSCorを得るために、TSecは、共振器がその中立/静止位置を通過した後の半周期で起こらなければならない。したがって、所与のNについて以下が得られる:
θ(TSec)=-1NθSec
ここで、
である。
最大制動周波数はFSBmax(N)=1/TSec、および最大補正周波数はFSCmax(N)=N・FSBmax/2である。
設定点周波数F0c未満である補正周波数FICorを得るために、TSecは、共振器がその中立/静止位置を通過する前の半周期で起こらなければならない。したがって、所与のNについて以下が得られる:
θ(TSec)=-1NθSec
ここで、
である。
最小制動周波数はFIBmin(N)=1/TSec、および最小補正周波数はFICmin=N・FIBmin/2である。
図12Aおよび図12Bは、RSmax(N=1)=FSCmax(N=1)/F0c、およびRSmax(N=2)=FSCmax(N=2)/F0cの曲線を、機械式共振器の自由振動の振幅θ0の関数として、この機械式共振器の様々な品質係数Qに対して示す。品質係数が小さいほど、比率RSmax(N)は大きいことが分かる。
図13Aは、品質係数Q=100、自由振幅θ0=300°、および安全角度θSec=25°を有する共振器について、第1の遅れ補正モードの範囲内であると考えることができる設定点周波数F0cおよび様々な対応するNの値に対する、補正周波数がより大きい範囲において、値「1」とRSmax(N)との間に広がる比率RS=FSCor/F0cを示す。
図13Bは、品質係数Q=100、自由振幅θ0=300°、および安全角度θSec=25°を有する共振器について、第1の進み補正モードの範囲内であると考えることができる設定点周波数F0cおよび様々な対応するNの値に対する、補正周波数がより小さい範囲において、RImax(N)と値「1」との間に広がる比率RI=FICor/F0c示す。
上述したように、図13Aおよび図13Bで与えられる範囲は簡略化した理論モデルの結果である。最大補正周波数、および対応する最小補正周波数は、複数のパラメータに依存することが分かる。これらの図は、適切に標準的な特性を有する機械式ムーブメントについての現実を良好に示す。しかしながら、所与の機械式ムーブメント毎に、比較的短い補正期間で大きな補正を行うために制限値に接近しようとする場合、制限値を定めなければならない。
計時器によって表示される時間の遅れを補正するための、本発明による計時器の第1の実施形態の制御ユニットの構成と補正デバイスの動作について詳細に説明した後で、第2の進み補正モードによる、表示される時間の進みを補正するための、この第1の実施形態による制御ユニットの構成について、ここで説明する。
第2の進み補正モードを実装することを可能にするために、計時器は、機械式共振器を遮断するためのデバイスを備える。一般に、第2の進み補正モードの範囲内において、制御ユニットは次いで、受信ユニットによって受信された外部補正信号が、補正すべき表示される時間進みに対応する場合に、遮断デバイスに制御信号を供給することができるように構成され、制御信号は、遮断デバイスが補正期間中に機械式共振器の振動を遮断するように、この遮断デバイスを起動させ、補正期間の値/持続時間は、この補正期間中に前述の駆動機構の動作を停止させるために、補正すべき進みによって決定される。
図1~図7を参照して説明される第1の実施形態では、計時器2は、第1の遅れ補正モードを実装するためにも使用される制動デバイス22によって、特に圧電アクチュエータ22Aによって形成される遮断デバイスを備える。全体的時間誤差TErrが、補正すべき表示される時間における進みに対応する場合、制御ユニット48A(図7)の論理回路60は、プログラム可能なタイマー70に、制御信号SAを提供する。したがって、このタイマー70は、「OR」ゲート66または他のスイッチを介して補正期間PACorにわたって制動デバイス22を起動させるための信号SC2を発生させ、その信号の持続時間は、補正すべき対応する進みTErrに実質的に等しい。したがって、周期的起動信号SC2は、制御信号SCmdを形成する。起動信号SC2は、比較的長時間にわたって、すなわち実質的に全補正期間PACor=TErrの間、機械式共振器の遮断モードにおいて制動デバイス22を制御することが分かる。この目的のために、圧電ストリップ24の2つの電極の間に電力供給回路26によって供給される電圧は、したがって、遅れを補正するために周期的制動パルスを発生させるために提供される電圧とは異なり得る。この電圧は、機械式共振器に印加される制動力が、機械式共振器を、好ましくは非常に急速に、停止させ、引き続き補正期間が終了するまで機械式共振器を遮断することができるように選択される。
代替的実施形態では、圧電ストリップ24に印加される電圧は、補正期間中は可変である。例えば、補正期間の始まりには、より高い電圧を提供することができ、この電圧は、特に、補正期間が開始する、この共振器の振動の半周期の間に、共振器を急速に停止させるために選択され、引き続き、電圧を、より低い値ではあるものの共振器を停止させたままにするには十分な値に低減させることができる。有利には、電圧は、結果として生じる制動力が、上述した禁止角度ゾーン(-θ00~θZI)において機械式共振器を停止させることができないように選択される。この目的のため、制動トルクは、共振器を停止させ、いかなる位置であれ角度停止位置で共振器を遮断させることができるほどに十分に強く、かつ、この制動トルクが、禁止角度ゾーンにおいて共振器を停止させることを防止するほどに十分に弱くなるように選択される。好ましくは、共振器は、上述した角度安全ゾーン(-θSec~θSec)において停止することが防止される。上述した条件は、共振器が自己起動形ではない時に重要である。一般に、共振器は、補正期間の終了時に確実に再開できれば十分である。
共振器が上述した角度安全ゾーンの外側で確実に急速に停止する1つの特定の代替的実施形態によれば、共振器が遮断される補正期間の前に生じる予備フェーズが提供される(すなわち、補正期間の始めにおいて共振器が急速に停止された後に停止されたままである所で)。予備フェーズ中に、第1の実施形態において利用可能な第1の遅れ補正モードが使用される。本明細書にて上述した第1の補正モードの同期フェーズにおいて、各制動パルスの間に最も遠い角度位置の通過が生じることは明らかである。したがって、制動パルスは、その2つの最も端の角度位置のうちの1つを通る、機械式共振器の通過と同期し、これら通過の各々が半周期の始まりを定める。これは、予備フェーズ中に周波数発生器62を起動させることによって活用することができ、予備フェーズは、比較的短い持続時間を有するにもかかわらず、共振器が周波数FSCorに同期されている同期フェーズを確立するには十分であるように意図されている。予備フェーズは、例えば最終制動パルスの間に終わり、直後に補正期間が続いて、制動デバイスが遮断モードにて起動される。したがって、共振器は、角度安全ゾーンの外側で遮断されることが分かる。予備フェーズに対する制動トルクは、上述したような遅れを補正するために使用されるものとは異なり得る。
過渡フェーズ中の、周期的制動パルスのシリーズの始めにおける周波数の挙動は場合により変動し得るので、予備フェーズによって発生する誤差を決定することはほぼ不可能である。しかしながら、最大誤差を見積もることができる。例えば、周波数FSUP=1.05・F0c(10分間で30秒の補正)であり、予備フェーズの持続時間が10秒の場合(選択された持続時間は、発生し得る過渡フェーズの持続時間よりも大きい)、最大誤差は0.5秒(1秒の半分)に等しいと推定され得る。機械式ムーブメントにとって、そのような誤差は無視できないが、従来の機械式ムーブメントが一般に0および5~10秒の範囲の日差を有するので、この誤差は比較的小さい。
図14を参照して、本発明による計時器の第2の実施形態について説明するが、これは、第1の実施形態とは遮断デバイスの構成が異なり、それにより、有利には、計時器の機械式ムーブメントに関連付けられた時間表示器における進みを補正するために第2のモードを実装することが可能である。この機械式ムーブメント92は、パレットホイール95と、2本のペグ95の間で振動することができるパレットレバー96とによって形成される従来の脱進機94を備える。パレットレバーは、ホーンの間にフォーク97を備え、それが通常は半周期毎に挿入され、ピン98も脱進機を形成し、プレート100によって支持され、プレート100は、機械式共振器のバランス104(部分的に示す)のスタッフ102と一体であるか、またはこのスタッフと一体として形成されている(すなわち、スタッフは長手方向輪郭を有するように機械加工されてプレートを定めている)。プレート100は円形であり、バランス104の回転軸を定める、スタッフ102の中心軸を中心としている。
計時器は、遅れを補正するために使用される制動デバイス22A(図1)とは別個である遮断デバイス106を備える。したがって、この遮断デバイスは、第2の進み補正モードを実装することに専念する。遮断デバイスは、電気機械式アクチュエータによって、具体的には、図1を参照して説明したものと同じタイプの圧電アクチュエータによって形成される。示される代替的実施形態によれば、アクチュエータは可撓性の圧電ストリップ24Aを備え、その2本の電極に電圧が電力供給回路26Aによって供給される。ストリップ24Aは、その自由端に、スタッドを形成する突出部107を有し、それはプレート100側に位置している。ストリップは、プレートの円周の接線に平行な方向に、この円形である円周から近距離で延びている。プレートは、プレートの周辺から半径方向に開放された貫通空洞108を有し、プレートの全体的な平面におけるその輪郭は、スタッド107がこの空洞に対して角度方向に面して位置している時に、かつ圧電アクチュエータ106が起動されている時に、スタッド107がその中に収容されることが可能なように提供されている。示される代替的実施形態によれば、空洞108は、直径に沿ってピン98の反対側にあり、スタッドはピンのゼロ位置(すなわち、共振器が静止している時、またはその中立位置を通過する時のピンの角度位置)において角度方向に位置している。ピンのこのゼロ角度位置は通常、機械式ムーブメント92に対する、およびバランスの回転軸を中心とする、固定角度座標系において、バランス104の、したがって機械式共振器のゼロ角度位置を定める。
等価な代替的実施形態では、空洞を、ピンに対して別の角度で、例えば90°で構成することができ、したがって、共振器が静止している時にスタッド107が直径に沿って空洞の反対側にあるように、アクチュエータ106はプレートの周辺に位置付けられる。したがって、圧電アクチュエータが起動している場合、半周期および角度位置に関係なく、共振器が、絶対値の形で実質的に180°に等しい角度位置にある時に、スタッドは空洞に入ることになる(これは、バランスの位相が合っている場合に、すなわち、共振器が静止している時にピンがバランスの、およびパレットレバーのそれぞれの回転中心と整列している場合に厳密に該当する)。180°という値は明らかに安全ゾーンの外側にあり(上記にて定義された安全角度よりも大きい)、その値は通常、その使用可能な動作範囲に対応する、機械式共振器の振幅の範囲よりも小さい。
更には、図14に示す有利な代替的実施形態によれば、空洞108の側壁は、空洞の中心を通過する半径、およびバランスの回転軸に平行である。等価な代替的実施形態では、これらの側壁は、放射状である。同様に、スタッド107は、プレートの主平面に対して垂直な2つの側壁を有し、側壁はバランスの中心を通過する半径およびバランスの回転軸に平行である、または等価な代替的実施形態では、回転軸に対して実質的に放射状である。この構成のおかげで、スタッド107が空洞108の中に挿入され、したがって空洞がスタッドのためのハウジングとして機能する時、このスタッドは、実質的に接線方向の力によって、プレート100の、したがってバランス104の回転を遮断し、その力の方向は、圧電ストリップ24Aの全体的な長手方向に実質的に平行である。アクチュエータ106が起動している時、スタッド107を保持するストリップの端部は、バランスの回転軸に対して実質的に半径方向の変位を受け、したがって、スタッドは、この時点で、バランスの角度位置の関数として、プレート100の円形の外側面に本質的に半径方向力を加えるか、または少なくとも部分的に空洞108に入るかの、いずれかが可能である。アクチュエータは、このアクチュエータが起動された場合、実質的にスタッドの角度位置に対応する角度位置に空洞が配置された場合に、スタッドが空洞の中に挿入されるのに十分な変位を、スタッドが受けることができるように構成されるだけでよい(スタッドに対して固定された角座標系において)。
スタッドの近位面がプレートの円形である円周に到達した時に空洞がスタッドに面していない場合、補正期間の開始時に、すなわちアクチュエータの起動後に、スタッドがプレートの円形の外側面に当接するようになった時に比較的小さい摩擦力が与えられ得る。したがって、この円形の外側面に対してスタッドが半径方向力を加えることによって生じる初期的な制動中に、共振器の振幅があまり減少しないことを保証することができる。更には、空洞がスタッドに面して配置されている間に、スタッドが空洞の中に挿入される場合、圧電ストリップによってプレートに加えられる半径方向力は非常に小さいか、またはゼロであり得る。したがって、補正期間中に共振器を遮断するのに必要な電気エネルギーは比較的小さく、第1の実施形態の場合よりも遥かに小さい場合がある。
計時器の補正デバイスが、補正サイクル中に、時間の表示器の進みに対応する全体的時間誤差を判定した場合、その制御論理回路は、第1の実施形態の範囲内で上述したものと同様に補正すべき全体的時間誤差に実質的に等しい期間にわたって制御信号SC2を制動デバイスに提供することにより、第1の実施形態の動作方法と同様に遮断デバイス106を起動させる。共振器の回転軸を中心とする円形プレートにある空洞と、対応部分を有するが好ましくは空洞よりも狭いアクチュエータであって、本明細書に記載される代替的実施形態における、アクチュエータによって供給されない状態に対応する相互作用しない位置と、アクチュエータによって供給される状態に対応する、共振器のバランスと相互作用する位置との間で、実質的に半径方向の移動を受けることができるように構成されたアクチュエータと、の構成のおかげで、遮断デバイス106の起動の開始は、共振器の角度位置に関わらず、かつ振動運動の方向に関わらず、いつでも起こることができる(したがって、各振動周期を形成する2つの半周期のうちの現行の半周期に依存せずに)。これは、非常に有利である。
最後に第2の実施形態に関して、電気機械式アクチュエータは、図10に示すものとは異なるタイプであり得る。例えば、代替的実施形態では、アクチュエータは、コイルによって生成される磁場の効果で変位し得る強磁性コアまたは磁化されたコアを備え得る。特に、このコアはコイルと同一直線上にあり、アクチュエータが起動した時に、少なくともコイルから出る端部を備え、この端部は、プレートの空洞の中に挿入できるように構成されたフィンガを形成し、このフィンガは特に、スタッド107の形の末端部を有する。好ましい代替的実施形態では、アクチュエータは、双安定アクチュエータである。アクチュエータの供給は、有利には、アクチュエータが起動している間は維持されて、スタッドが少なくとも部分的に空洞108の中に入るまで、相互作用しない位置から相互作用する位置へと移動する。アクチュエータは、提供される相互作用しない位置と相互作用する位置にそれぞれ対応する、アクチュエータの2つの安定位置において、共振器のバランスの要素に半径方向の圧力を印加することによる何らかの遮断力を加えてはいけないので、このような代替的実施形態は特に関心の対象である。この好ましい代替的実施形態では、補正期間の持続時間に関係なく、電力消費は非常に小さい場合があり、これは非常に有利である。
図15を参照して、本発明による計時器の第3の実施形態について説明するが、これは、計時器の機械式ムーブメントに関連付けられた時間表示器における進みを補正するための第2のモードを実装することを有利にも可能にする遮断デバイスの構成によって、第1の実施形態とは本質的に異なる。図1および図7を参照して既に記載された参照は、再び詳細に記載することなしない。第2の実施形態と同様に、第3の実施形態による計時器112は、遅れを補正するために使用する制動デバイス22Bと別個である遮断デバイス114を備える。制動デバイス22Bの動作は、上述した制動デバイス22Aの動作と同様であり、すなわち、これもまた、詳細に上述したように、第1の遅れ補正モードを実装するように適合されている。本明細書に記載される代替的実施形態では、制動デバイス22Bは、電磁タイプの電気機械式アクチュエータによって形成される。すなわち、制動デバイス22Bは、支持体242内に埋め込まれた可撓性ストリップ240を作動させるための磁石コイルシステムを備え、その自由端が共振器14を制動するためのブレーキパッド/要素を形成する。このアクチュエータは可撓性ストリップによって支持される磁石244と、磁石に面し電力供給部26Bに接続されたコイル246とを備え、電力供給部は、制御信号SC1を受信し、コイル内に電流パルスを生成して制動パルスを発生させる。コイル内の各電流パルスは、磁石244に磁気反発力を発生させる磁束を生成し、次いで可撓性ストリップ240が共振器の外縁20の外側面と接触して、制動パルス中に、この共振器に一定の機械的制動力を生成する。
遮断デバイス114は、少なくとも2つの理由で注目に値する。第1に、何らかの変更も必要とせずに、特に、第2の実施形態とは異なり何らかの特定の機械加工を必要とせずに、遮断デバイスは従来の機械式共振器14に作用する。更には、遮断デバイスは双安定要素である。すなわち遮断要素は2つの安定位置を有し、この場合、遮断要素はレバー115である。遮断デバイスは、レバーの2つの安定位置のうちの第1の位置が、バランス16と相互作用しない位置に対応し、一方、これら2つの安定位置のうちの第2の位置が、レバー115を形成するストリップ116によってバランスの外縁20に加えられる半径方向力を介して共振器をロックする位置に対応するように構成されている。ストリップ116は、機械式ムーブメント4Aにて構成される軸を中心として旋回する(別の代替的実施形態では、レバーは、その旋回軸が機械式ムーブメントと別個であって補正モジュールに属する支持体上に構成されている)。代替的実施形態では、この軸は固定ペグによって形成され、固定ペグの周りにストリップ116の環状末端部が取り付けられている。このストリップは剛性または半剛性であり、軽度の可撓性が有利であり得る。
ストリップ116は、レバー115の、したがって遮断デバイス114の双安定の性質をもたらす特定の磁気システムに関連付けられている。磁気システムは、ストリップによって支持され、したがってこのストリップに固定されて共に回転する第1の磁石118と、機械式ムーブメントに対して固定して構成された第2の磁石119(示される代替的実施形態では、第2の磁石は支持体242内の側面開口部内に固定的に挿入されている)と、第1の磁石と第2の磁石との間で第2の磁石119から短距離にて、または第2の磁石119に抗して構成された小さな強磁性プレート120と、を備える(例えば、小さなプレートはこの磁石に接合され、したがって、接着剤層のみが磁石を小さなプレートから分離しているか、または、小さなプレートは、磁石119の前面に位置する支持体242内のハウジングの中に固定的に挿入されている)。
第1の磁石118と第2の磁石119は逆の磁気極性を有し、それらの各々の磁気軸は実質的に整列している。したがって、小さな強磁性プレートがない場合、これらの2個の磁石は常に互いに反発力を加えることになり、磁気システムの外部に力がない場合、レバーは、ストリップがペグ124に対して当接してその回転が制限される位置に留まるか、またはその位置に常に戻ることになる。しかしながら、小さな強磁性プレートの構成のおかげで、2つの磁石の間に加わる磁力は反転している。より具体的は、移動磁石118が、その遠隔位置から、より近くに移動する場合(図11に示す)、移動磁石が移動して小さな強磁性プレートに接近すると反発力は減少し、その後相殺されて最終的に逆転する。したがって、移動磁石118が小さな強磁性プレート120に非常に接近して、またはそれに対向して位置すると、この移動磁石は磁気吸引力に曝される。この驚くべき物理的現象はスイス特許出願公開第711889号(特許文献2)において詳述されており、これは時計学のいくつかの応用を更に含む。
レバー114は、遮断デバイスの磁気システムの外部の力がない場合に、2つの安定位置をとるように構成されている。第1の安定位置は相互作用しない位置であり、ストリップ116はペグ124に対して当接しており、したがって、移動磁石118は、固定磁石119によっておよび小さな強磁性プレート120によって形成される磁気アセンブリからの磁気反発力に曝されており、この磁気反発力がレバー115をこのペグに対して維持している。第2の安定位置は相互作用する位置であり、ストリップ116はバランス16の外縁20に対して当接しており、したがって、移動磁石118は、前述の磁気アセンブリからの磁気反発力に曝されており、この磁気反発力がレバー115をこの外縁に対して維持している。小さい強磁性プレート120は、レバーがその第2の安定位置にある時に、ストリップ116がバランス16を、したがって共振器14を遮断する半径方向力を加えるように構成されている。ストリップが外縁20の外側面に対して遮断力を加えるためには、移動磁石118に面して位置する小さなプレート120の表面は、ストリップ116が外縁と接触する時に、この移動磁石の近位表面に対して僅かに後退していなければならない。ストリップが半剛性であり、したがって一定の可撓性を有する場合、移動磁石は小さな強磁性プレートの近位表面に対して最終的に当接することができるが、この場合、ストリップは曲がった状態である。
双安定レバー115を、その2つの安定位置の間で両方向に変位させるために、遮断デバイスは、レバーを、その2つの安定位置の間で交互に切り替えるように構成された、このレバーを作動させるためのデバイスを備える。示される代替的実施形態では、作動デバイスは、電力供給部254に接続しているコイル252によって形成される。コイル252は、固定された磁石119と、小さい強磁性プレート120とによって形成された磁気アセンブリと整列され、レバーがその相互作用しない位置にある時は、移動磁石118の直ぐ背後に構成されている。コイル252に印加される電圧の極性に応じて、移動磁石は、このコイルから磁気吸引力または反発力に曝され、したがってレバーが、その2つの安定位置のうちの一方を通って他方へと両方向に通過することが可能になる。作動デバイスは、その電力供給回路254を介して制御ユニットの論理回路によって制御され、電力供給回路は制御信号SC2を受け取る。進み補正期間の始めにおいて、制御信号は、移動磁石118に対する反発力を発生させる極性と、レバーがその相互作用する位置へと通過するのに十分な持続時間とを有する第1の電流パルスを、コイル252内に発生させ、次いで、補正期間が終了するまでコイルへの電力供給は切断され、終了時に、コイル内に反対極性の第2の電流パルスが発生され、したがって、この第2のパルスは、移動磁石に吸引力を発生させ、吸引力は、レバーを、その相互作用しない位置に切り替えて、したがって補正期間を終えるのに十分なように提供される。
別の代替的実施形態では、レバーを作動させるためのデバイスは、双安定レバーの磁気システムとは別個でありかつ独立している。そのような場合、作動デバイスの電磁システムは、先行する代替的実施形態と同様に、レバーよって支持される第2の磁石と、この第2の磁石に面するように構成されたコイルとによって形成される。この電磁システムは、レバーの旋回軸に対して、前述の磁気システムの上流または下流に構成することができる。
補正期間中に遮断デバイスによって加えられる遮断力は、この遮断デバイスへの電源供給部に由来するのではなく、遮断デバイスを形成している前述の磁気システムに由来することが、この実施形態では注目に値する。したがって、遮断デバイスは、第2の進み補正モードについては、双安定レバーをその2つの安定状態の間で作動デバイスによって切り替える間の、補正期間の開始時と終了時に電力を必要とするだけである。
同じ物理的現象、したがって同じ必要とされる効果をもたらす別の代替的実施形態では、小さい強磁性プレート120が、移動磁石118に堅固に接続されて構成されている。最後に、別の代替的実施形態は、第2および第3の実施形態の組み合わせを提供する。この目的のため、レバーのストリップは、外縁20との接触がなされる領域において、この外縁に向かって突出するスタッドを備え、外縁は、その全体的に円形である円周に沿って空洞を有する。当業者であれば、遮断デバイスを構成して、その結果、遮断デバイスの第1の安定位置が相互作用しない位置であり、その第2の安定位置が相互作用する位置であり、スタッドが少なくとも部分的に空洞の中に挿入され、レバーが作動デバイスによって作動された時にこのスタッドが外縁の外側面に対して初期的に動的な乾燥摩擦を全体的に加え、空洞を貫通する前、バランスの振動中に空洞がスタッドに面して存在する時に、進み補正期間の始めに、その第1の安定位置からその第2の安定位置へと移動するようにする方法を知ることになる。
計時器の第4の実施形態が、図16および図1を参照して以下に記載されている。この第4の実施形態は、実質的にその進み補正モードの結果として第1の実施形態とは異なる好ましい実施形態である。
補正デバイス132への電力供給部130は、太陽電池54Aによって形成され、具体的にはダイヤル、またはダイヤルを保護するガラスを保持するベゼル、に配置されたエナジーハーベスターを備える。このダイヤルは、全体的に時間表示器の一部をなす。その上、計時器のユーザからの要求の時点で、補正デバイスに起動信号を供給して、表示される時間を補正するサイクルを計時器において始動/開始させるように、外部制御デバイス136が提供される(換言すれば、補正デバイス132内部に実装された、表示される時間を補正するための方法を始める)。
電力供給部130は、補正デバイス132への電力供給を管理するための回路134を備える。この回路は電気アキュムレータ56から様々な情報を受け取ることができ、この回路は、外部制御デバイス136がユーザによって作動された時にウェークアップ信号SW-UPを外部制御デバイス136から受信する。いったん管理回路134がウェークアップ信号を受信すると、管理回路はアキュムレータ56において利用可能なエネルギーレベルを検出する。第1の実施形態と同様に、補正方法を完了させるにはエネルギーレベルが不十分な場合、管理回路は様々な方法で対処することができる。管理回路は、具体的にはその太陽電池、またはやはり提供される他のエナジーハーベスティングを介して、電気的エネルギーの供給を受けるためにスタンバイ状態を維持するか、または利用可能なエネルギーが不十分であることに起因してサイクルを正確に完了できないリスクがあることを知りながら、可能な限り補正サイクルを開始する、ことができる。代替的実施形態では、補正サイクルを完全に実行するにはエネルギーレベルが不十分であるが、検出フェーズを実行するには十分である場合、補正デバイスは、そのような検出フェーズを直接実行し、この検出フェーズに必要な部品のみに給電し、一方で、引き続き補正フェーズを実行できるように電気エネルギーの新たな供給を待つ。通常、利用可能なエネルギーレベルが補正サイクルにとって十分な場合、管理回路134は補正デバイスを起動させて補正サイクルを実行する。
第4の実施形態は、第1の実施形態に類似した第1の遅れ補正モードの実装形態によって、および上述したが第1の実施形態には実装されていない第1の進み補正モードの実装形態によって特徴付けられ、本明細書に提供されるいかなる補正も、補正期間中に周期的制動パルスのシリーズによって実行される。1つの主な代替的実施形態が、同じ持続時間Tpを有する制動パルスの全てを提供する。したがって、制動パルスの持続時間を決定するために1つのタイマー64だけが必要であり、このタイマーは、図16に示す代替的実施形態では、電力供給回路26C内に構成される。このタイマーは、電圧源140と、バランスに作用する制動部材24Cとの間に置かれたスイッチ138に起動/作動信号SActを提供する。制動部材24Cは、例えば、第1の実施形態に対して示した他の実施形態の圧電ストリップ(図1)に、または、第3の実施形態の磁石-コイルシステム(図15)に関連付けられた可撓性ストリップに類似している。したがって、スイッチ138は、制動デバイスを形成するアクチュエータへの電力供給を制御する。タイマー64は、スイッチングデバイス66Aから第1の制御信号S1Cmdを受け取り、スイッチングデバイスは、論理回路60Aによって制御され、その結果、第1の制御信号は、3つの異なる周波数FSUP、FINF、およびF0cをそれぞれ有する、提供される3つの周期的デジタル信号SFS、SFI、およびSF0cのうちの1つの周期的デジタル信号によって選択的に形成される。周期的デジタル信号は周期的にタイマーを選択された周波数にリセットし、それに応答して、このタイマーは、スイッチ138を瞬間的に導通させて、この選択された周波数における周期的制動パルスのシリーズを生成させることにより、アクチュエータを持続時間Tpにわたり周期的に起動させる。
補正デバイスによって決定された全体的時間誤差が補正すべき遅れに対応する場合、論理回路60Aは、選択された周波数FSUPの関数として、対応する補正期間PRCorを、または等価な方法で、進行中の補正サイクル中に周波数FSUPにて生成される周期的制動パルスの数を決定する。これを実現するために、論理回路は、この決定に関して、上述した式を使用する。設定点周波数より大きい補正周波数FSCorをもたらす周波数FSUPにて制動パルスのシリーズを適用するために、論理回路は、上述した周波数発生器62を使用して、この目的のために制御論理回路によって制御されるスイッチ66Aを介して、周期的デジタル信号SFSを周波数FSUPにてタイマー64に提供する。
補正デバイスによって決定された全体的時間誤差が補正すべき進みに対応する場合、論理回路60Aは、選択された周波数FINFの関数として、対応する補正期間PACorを、または進行中の補正サイクル中に、上記にて定義された周波数FINFにて生成される周期的制動パルスの数を決定する。これを実現するために、論理回路は、この計算に関して、上述した式を使用する。設定点周波数より小さい補正周波数FICorをもたらす周波数FINFにて制動パルスのシリーズを適用するために、論理回路は、周波数発生器142を使用して、この目的のために制御論理回路によって制御されるスイッチ66Aを介して、周期的デジタル信号SFIを周波数FINFにてタイマー64に提供する。
一般に、第1の進み補正モードの実装を可能にするために、電子制御ユニット48Bは、処理ユニットによって提供される補正信号SCorが、補正すべき表示された時間進みに対応する場合に、周波数発生器によって周波数FINFにて提供される周期的デジタル信号から導かれた制御信号を、補正期間中に制動デバイスに提供して、制動デバイスを起動させて、制動デバイスに、機械式共振器に適用される周期的制動パルスのシリーズを周波数FINFにて発生させることができる、ように構成されている。周波数FINFにおける周期的制動パルスのシリーズが、補正期間中に同期フェーズをもたらすことができ、機械式共振器の振動が、機械式共振器に提供される設定点周波数F0cよりも小さい補正周波数FICorに同期するように、この周波数FINFが提供され、制動デバイスが構成される。補正期間(の持続時間)、したがって前述の周期的制動パルスのシリーズにおける周期的制動パルスの数は、補正すべき進みによって決定される。
第4の実施形態の補正デバイスは、機械式共振器を、補正期間の始めの制動パルスの間に、脱進機との、共振器の角度結合ゾーン内で、または一般には上述した角度安全ゾーン内で停止させることにより、機械式共振器を持続的に停止させるリスクなしで、実行される補正の精度を上げ、更に比較的大きい制動トルクを印加することを可能にするための強化を、特に、設定点周波数から比較的離れた周波数での補正に対して含む。この強化によれば、計時器は、少なくとも1つの特定の位置を通る、振動する機械式共振器の通過を決定するためのデバイスを備え、このデバイスは、機械式共振器の特定の位置を決定して、振動する機械式共振器が前述の特定の位置にある特定の瞬間を電子制御ユニットが決定すること、したがって共振器のフェーズを決定することを可能にする。更には、電子制御ユニットは、補正期間の開始時に生じて、この制動デバイスと機械式共振器の間の第1の相互作用を生成する、制動デバイスの第1の起動が、前述の特定の瞬間の関数として始動されるように構成されている。
上述した強化の有利な代替的実施形態によれば、そして図16を参照すると、補正デバイスは周波数発生器144を更に備え、周波数発生器は、周期的デジタル信号SF0cを、共振器のために提供される設定点周波数F0cにて発生させることができるように構成されている。制御ユニット48Bは、周期的デジタル信号SF0cから導かれた制御信号を、補正期間の直前の予備期間中に、制動デバイスに提供して制動デバイスを起動させ、その結果、制動デバイスが周期的制動パルスの予備的シリーズを生成させ、それが設定点周波数F0cにて機械式共振器に適用され得るように構成されている。この目的のために、制御論理回路60Aは、発生器144に制御信号SPPを供給する。周期的制動パルスの予備的シリーズの間の、周期的制動パルスの持続時間Tpおよび振動する共振器に印加される制動力は、この振動する共振器とそれに関連付けられた脱進機との結合ゾーンに(θZIとθZIとの間)おいて、または好ましくは、結合ゾーンをカバーする既定の安全ゾーン(θSecとθSecとの間)において、これら制動パルスのいずれも、振動する共振器を停止させることができないように提供される(これらゾーンは上述されている)。
更には、周期的制動パルスの予備的シリーズの間の、周期的制動パルスの持続時間および振動する共振器に印加される制動力は、少なくとも予備期間の終了時に、予備的同期フェーズを生成するように提供され、機械式共振器の振動は(平均で)設定点周波数F0cに同期されている。示される代替的実施形態では、電圧源140は可変であり、論理回路60Aによって制御され、論理回路は電圧源に制御信号S2Cmdを提供し、その結果、制動力を変化させるために、制動部材24Cに印加される電圧レベルを変化させることができる。したがって、予備期間中に、その後の補正期間中に印加されるものよりも弱い制動力を印加することができる。制動力はまた、予備期間および/または補正期間の間に変化させることができる。代替的実施形態では、予備期間中における制動周波数は2・F0cに等しく、その結果、半周期当たりに1つの制動パルスを適用することにより、周波数F0cに同期する。
進みまたは遅れの補正を意図する補正期間は、予備期間に直接続く。より具体的には、表示される時間を補正するための期間の始めにおける、周波数FINFまたはFSUPでの第1の制動パルスの始動は、この第1の制動パルスが、前述した結合ゾーンをカバーする既定の安全ゾーンの外側で生じるように、予備期間の最後の制動パルスが始まった瞬間に対して決定された時間間隔の後に生じる。この条件は容易に満足される。なぜなら、共振器は、少なくとも予備期間の終了時には同期フェーズにあり、このことは、この予備期間の最後の制動パルスの間に共振器が停止することを意味するからである。したがって、回転方向の逆転は前述の最後の制動パルスの間に生じ、その結果、共振器の振動の新たな半周期の始まりは、この最後の制動パルスの間に生じる。したがって、補正デバイスは、振動フェーズをTp/2の精度で知ることができる(例えば3msの精度)。その結果、前述の最後の制動パルス以降に、決定された時間間隔が経過した後であって、第1の制動パルスが既定の安全ゾーンの外側にあることが確実な場合に、必要な補正に応じて周波数発生器62または142を起動させることにより、前述した条件を満足する第1の制動パルスを始動させる初期的な瞬間を制御論理回路が決定できるように、電子制御ユニットを構成することができる。
その上、前述の制動パルスが始動された瞬間と、この第1のパルスの間に、そして引き続き、その後の補正期間中の周期的制動パルスの間に、振動する共振器に印加される制動力は、補正周波数FICorまたはFSCorにおける同期フェーズが好ましくは、第1の制動パルスが印加されると直ぐに、または、第1の制動パルスが共振器を停止させようとせずに振動の振幅を低減させるように意図されている場合は第2の制動パルスが印加されると直ぐに開始され、それにより、この同期フェーズが補正期間の持続時間の全体にわたって持続するように提供される。特定の代替的実施形態では、補正期間の第1の制動パルスは、予備期間の最後の制動パルスが生じた瞬間の後に、必要な補正に応じて周波数FSUPまたはFINFの逆数に対応する時間間隔の後に生じる。別の特定の代替的実施形態では、前述の時間間隔は、必要な補正に応じて、補正周波数FSCorまたはFICorの2倍の逆数に、または、この周波数FSCorまたはFICorの逆数に等しいように選択される。共振器の振動フェーズを決定するために、利用可能なリソースを、具体的には必要な補正を実行するために提供される制動デバイスを使用するという点で、上述した強化点は注目に値する。このフェーズを決定するために特定のセンサは必要ない。その上、予備期間(一般に最大でT0c/4)によって有意な時間ドリフトが誘因されることはない。図12では、様々な周波数の発生器が別々に示されているが、単一のプログラム可能な周波数発生器を使用できることが分かる。
本発明による計時器の第5の実施形態が、図17~図19を参照して以下に記載されている。この第5の実施形態は、本明細書でより詳細に説明されることになる第2の遅れ補正モードに加えて、先行する実施形態において前述した第2の進み補正モードを実装することが可能なように構成されている。
第5の実施形態による計時器170を図17に部分的に示し、ここでは機械式ムーブメントの機械式共振器14Aのみを示す。表示される時間を補正するためのデバイスを除いては、計時器の他の要素は、図1に示す要素に類似している。機械式共振器は、バランスばね15に関連付けられるバランス16Aを備える。バランスは、その周辺にて放射状に延びる突出部190を有する外縁20Aを備える。バランスの他のいかなる要素も、突出部190の端部の半径方向位置まで延びていない。
バランスは、光学センサ192から生じる光に対して異なる光反射係数を有するか、または単にこの光に対して異なる反射を有する、非対称の連続する棒によって形成されたマーク191を備え、連続する棒は、具体的には、異なる幅の連続する少なくとも2つの黒い棒であって、白い棒によって分離され、2つの黒い棒のうちの一方の幅が、他方の黒い棒と白い棒の幅の合計に等しい。したがって、棒は、マーク191の中央に遷移部を有する一種のコードを形成すると理解される。黒い棒と白い棒の代わりに、他の色を使用することができる。代替的実施形態では、黒い棒は外縁の光沢のない区域に対応するが、白い棒はこの外縁の光沢のある区域に対応する。黒い棒はまた、傾斜した面を有する、外縁内の切欠きに対応し得る。したがって、複数の代替的実施形態が可能である。マーク191は、その説明において、外縁の上部に示されているが、示される代替的実施形態では、光学センサがバランス16Aの主平面上に構成されているので、マークは外縁の外側面に位置していることに留意すべきである。別の代替的実施形態では、マークは、示されるように外縁の上面または底面に位置し、したがってセンサは、このマークを照射するために90°旋回されている。
光学センサ192は、振動する共振器がその中立位置(突出部190にとって角度位置「0」に対応する)を通る通過を検出し、この中立位置を通る各通過の間に、バランスの運動方向を判定するように構成されている。この光学センサは、外縁20Aに向かって光線を放出するエミッタ193であって、共振器がその中立位置を通過する時に、マーク191を照射するように構成されている、エミッタ193と、マークにおいて外縁によって反射された光線の少なくとも一部を受光するように構成された受光器194と、を備える。したがって、光学センサは、バランスの特定の角度位置を検出するためのデバイスであって、振動する機械式共振器が特定の角度位置にある特定の瞬間を電子制御ユニットが決定することを可能にするデバイスを形成し、更に振動する共振器が特定の角度位置を通って通過する間に、バランスの運動方向を決定するためのデバイスをも形成する。機械式共振器の位置および運動方向を検出するための他のタイプの検出器、具体的には、容量検出器、磁気検出器、または誘導検出器が、他の代替的実施形態で提供され得る。
更には、計時器170は、双安定の移動する当接部を有する電気機械式デバイス174によって形成された、共振器を制動するためのデバイスを備える。代替的実施形態が、非限定的実施例として図17に提供される。電気機械式デバイス174は、寸法が小さい、時計ステッピングモータータイプの電気機械モーター176を備え、電気機械モーター176は電力供給回路178によって給電され、電力供給回路178は制御回路を備え、電力供給回路178が制御信号S4Cmdを受け取った時に、3つの電気パルスのシリーズを生成するように構成され、電気パルスのシリーズはモーターのコイルに提供され、それにより、モーターのローター177が電気パルス毎に1ステップずつ、すなわち半回転ずつ前進する。3つの電気的パルスのシリーズは、ローターを連続的またはほぼ連続的な形で急速に駆動するために提供される。ローターのピニオンは、中間歯車180と噛み合い、中間歯車180は、ローターのピニオンの直径の3倍に等しい直径を有し第1の両極性の永久磁石182を固定して保持する歯車と噛み合っている。前述のピニオンと、磁石182を保持する歯車との間の直径比率を想定すれば、3つの電気パルスのシリーズの間に、歯車は半回転する。したがって、第1の磁石は、第1の静止位置と第2の静止位置とを有し、第1の磁石は、第1の静止位置の磁気極性とは反対の磁気極性を有する(用語「静止位置」は、モーター176が3つの電気的パルスのシリーズを命令された通りに実行した後に、そのローターが次いで回転を止めた後に、磁石182が置かれる位置を意味すると理解される)。
その上、アクチュエータ174は、機械式ムーブメントに締結された軸185を中心として旋回し、2本のペグ188および189によってその回転が制限されている、双安定レバー184を備える。双安定レバーは、このレバーのヘッドを形成するその自由端部に第2の両極性磁石186を備え、この磁石は移動することができ第1の磁石182と実質的に整列することができ、これら2つの磁石の磁気軸は、第1の磁石がその2つの静止位置のいずれかにある時に実質的に同一直線上にあるように設けられている。したがって、第2の磁石186に対して、第1の磁石の第1の静止位置は磁気吸引の位置に対応し、第1の磁石の第2の静止位置は磁気反発の位置に対応する。制御信号S4Cmdが、3つの電気パルスのシリーズを実行するように電力供給回路を起動させる毎に、第1の磁石は半回転し、レバーは、共振器のバランスと相互作用しない安定位置から、バランスと相互作用する安定位置へと交互に通過し、このように、レバー184は、突出部190に対する当接部を形成し、共振器が振動する時、およびインパクト時点におけるバランスの回転方向に関わらず突出部がこのヘッドに至った時に、このレバーのヘッドに対して突出部が当接する。
相互作用がない位置では、共振器がその使用可能な動作範囲にある振幅にて振動する時に、移動するレバーは、突出部190が横切る空間の外側にある。しかしながら、相互作用の位置では、移動するレバーは、突出部が交差するこの空間の内側に部分的に位置し、したがって共振器に対する当接部を形成する。用語「安定位置」は、レバーをその2つの安定位置の間で作動させるために使用されるモーター176からのいかなる電力供給もない状態において、レバーが両方向に維持される位置を意味すると理解される。したがって、レバーは、共振器に対して双安定の移動する当接部を形成する。したがって、このレバーは、共振器に対して格納式の停止部材を形成する。アクチュエータ174は、モーター176への電力供給を維持せずに、相互作用しない位置および相互作用する位置にレバーが留まることができるように構成されている。
その相互作用する位置にある停止部材と、突出部とは、バランスの中立位置とは異なる、振動する共振器のバランスに対する第1の角度停止位置θBを定め、共振器の各振動周期の2つの半周期のうちの第1の決定された半周期の第2の1/2半周期の間に、共振器の中立位置に対応するその角度位置「0」から突出部が到達した時に、この第1の角度停止位置において突出部は停止部材に対して当接する。更には、θBは、振動する機械式共振器の使用可能な稼働範囲における最小振幅未満となるように提供される。その上、上述したように、角度θBは、振動する共振器が、振動する共振器と機械式ムーブメントの脱進機との結合ゾーンの外側で停止部材によって停止されるように提供される。その相互作用する位置にある停止部材と、突出部とは、各振動周期の2つの半周期のうちの第2の半周期の第1の1/2半周期の間に、共振器の最も端の角度位置から突出部が到達した時に、振動する共振器のバランスに対する、第1の角度停止位置に近いがそれよりも大きい第2の角度停止位置を更に定める。この第2の角度停止位置もまた、振動する機械式共振器の使用可能な稼働範囲における最小振幅未満となるように提供される。
別の代替的実施形態では、突出部190が外縁からまたはバランスのアームの1つから軸方向に延び、したがって、双安定の電気機械式デバイス174は、双安定レバーがバランスの回転軸と平行な平面内で運動するように構成されていることが分かる。この、他の代替的実施形態では、2つの磁石182および186のそれぞれの磁化軸は軸方向であり、実質的に同一直線上のままであり、したがって、磁石182はレバーのヘッドの下方に構成されている。双安定の電気機械式デバイスのこのような構成に、外縁から半径方向に延びる突出部を、示される代替的実施形態の範囲内で設けることもできることが分かる。別の代替的実施形態では、共振器の突出部は、バランスのスタッフの周りで、特にこのスタッフによって支持されたまたはスタッフと一体に形成されたプレートの周辺で構成され得ることに留意すべきである。代替的実施形態では、そのようなプレートは、脱進機のピンを保持するプレートである。
最後に、計時器170は制御ユニット196を備え、制御ユニット196は光学センサ192に関連付けられ、電気機械式デバイスの電力供給回路178を制御するように構成され、制御ユニットは電力供給回路178に制御信号S4Cmdを提供する。制御ユニットは、制御論理回路198と、アップダウンタイマー200と、クロック回路44とを備える。この制御ユニットは、電気機械式デバイス174に関連付けられて、計時器の表示器によって表示される時間の遅れを補正するための後述する第2のモードに加えて、第2の進み補正モードを実装することを可能にする。
この第5の実施形態に実装された第2の補正モードを実装するために、制御ユニット196は、計時器によって表示される時間において補正されるのが遅れかまたは進みかに応じて、停止部材(双安定レバー184)を選択的に作動させることができるように、電気機械式デバイス(「アクチュエータ」または「電気機械式アクチュエータ」とも称される)を制御するように構成され、その結果、この停止部材は、それぞれ、突出部190が、振動周期の前述の第1の半周期の前述の第2の1/2半周期中に前述の第1の角度停止位置θBに到達する前に、および突出部190が、振動周期の前述の第2の半周期の前述の第1の1/2半周期中に前述の第2の角度停止位置に到達する前に、その相互作用しない位置から、その相互作用する位置へと変位する。
一般に、少なくとも部分的に進みを補正するために(正の時間誤差)、電気機械式デバイスは、停止部材が作動されて、第1の1/2半周期において機械式共振器を停止させる場合、停止部材は、突出部がこの停止部材に当接した後に、この第1の1/2半周期に特有の、固有振動運動を、機械式共振器が継続することを一瞬の間だけ防止し、それにより、第1の1/2半周期におけるこの固有振動運動は一瞬の間だけ中断され、停止部材の後退によって一定の遮断時間が終了した後に継続するように、構成されている。好ましくは、上述したような双安定の電気機械式デバイスのケースは、本発明による計時器の補正デバイスによって決定される正の全体的時間誤差の実質的に全てを、補正すべき進みに実質的に等しい補正期間を定める連続的遮断期間中に、補正することを提供する。この目的のため、記載される代替的実施形態では、振動周期の前述の第2の半周期(共振器がその中立位置を通過する前に突出部190がレバー184のヘッドに到達する半周期)の間に、すなわち、その中立位置を通る共振器の通過の検出中に振動運動の方向を検出するように意図された構成のおかげで、光学センサ192によって検出されるこの第2の半周期の間に、共振器がその中立位置を通過する瞬間の後に、制御ユニットは、時間T0c/4が到達するまで待ち、アクチュエータがそのモーターを介して、レバー184を、その相互作用しない安定位置から、その相互作用する安定位置へと駆動するように、アクチュエータを起動させ、レバーのヘッドが突出部との当接部を形成する。例えば、90°~120°の範囲にある角度停止位置の値に応じて、T0c/4未満の時間が、例えばT0c/5が提供されて、3つの電気パルスのシリーズを始動させてモーター176の駆動を可能にし、それにより、そのローターを1回転半だけ急速に回転させることができ、したがって、磁石182によって発生された磁束の方向を逆転させることにより、レバーがその2つの安定位置の間で旋回することを可能にする時間間隔が延長される。後者の場合、補正期間中に共振器が遮断されることが意図されている第1の1/2半周期に先行する半周期において、突出部が確実に角度停止位置を実際に超えていなければならない。
一般に、少なくとも部分的に遅れ(負の時間誤差)を補正するために、振動周期の少なくとも1つの前述の第1の半周期の第2の1/2半周期において(その半周期は、共振器がその中立位置を通過した後に、突出部190がレバー184のヘッドに到達する半周期である)、機械式共振器を停止させるために、停止部材が作動される場合、停止部材はしたがって、共振器を遮断することなく、しかしこの共振器の振動運動の方向を反転させることにより、この第2の1/2半周期を早期に終了させ、それにより、機械式共振器が、突出部と停止部材との衝突により瞬時にまたはほぼ瞬時に停止された後に、引き続き半周期を直ぐに開始するように、電気機械式デバイスが構成されている。したがって、第2の遅れ補正モードの範囲において、共振器の位置および運動方向を検出するための検出器と、電子制御ユニットとは、補正デバイスによって決定された全体的時間誤差が、表示される時間での遅れに対応する毎に、アクチュエータを起動させることができ、それにより、アクチュエータがその停止部材を作動させて、振動する共振器の突出部が、機械式共振器の振動の複数の1/2半周期においてこの停止部材に対して当接して、機械式共振器を遮断させることなくこれら1/2半周期の各々を早期に終了させるように、1/2半周期の各々が、中立位置を通る共振器の通過に追従する、ように構成されている。前述の複数の1/2半周期における1/2半周期の数は、補正される遅れによって決定される。
図18および図19に示す好ましい代替的実施形態では、電子制御ユニットおよびアクチュエータは、少なくとも部分的に遅れを補正するために、振動する共振器が、角度停止位置に対して、角度方向で中立位置の側に位置している時に、レバーがその相互作用しない位置からその相互作用する位置へと作動された後から、振動する機械式共振器の突出部がレバーのヘッドに対して複数回、周期的に当接する補正期間であって、レバーがその相互作用する位置に維持されている補正期間(の持続時間)は補正すべき遅れによって決定される、補正期間が終了するまで、レバーは、その相互作用する位置に維持される。レバーの、その相互作用しない位置から、その相互作用する位置への旋回は、好ましくは、中立位置を通る通過を検出した直後であって、よって突出部が停止角度θBに到達する前に、レバーがその相互作用する位置に位置している(そこにおいて、突出部との衝突が生じることが意図され、この第1の半周期は、バランスの回転方向の検出により検出される)前述の第1の半周期、または、中立位置を通る通過を検出した直後における、前述の第2の半周期(やはり、バランスの回転方向の検出により検出される)であって、この第2の代替的実施形態は、レバーを作動させるのに、より多くの時間を可能にし、レバーをその相互作用する位置に安定した形で配置することを可能にする、第2の半周期(停止角度は定義により180°以下である)、のいずれかで生じ得る。例えば、θB=120°であり、共振器の自由振動の振幅がθL=270°である場合、第2の代替的実施形態では、レバーのヘッドによって定義される回転軸に対する角度θTが約10°に等しい場合、角度「0」と、240°(360°-120°)を僅かに下回る角度、すなわち230°、との間の回転に対応する時間間隔が確保されて、レバーの旋回が実行され(第2の半周期において、突出部の位置を越えることによりバランスを遮断することがないように)、一方、第1の代替的実施形態では、角度「0」と120°との間の回転だけに対応する時間間隔が得られる。θL<360°-θB-θTであれば、第2の代替的実施形態では、レバーの旋回のために、より多くの時間が利用可能であることが分かる。
一般に、遅れ補正期間の持続時間を決定するために、制御ユニットは光学センサに関連付けられた測定回路を備え、この測定回路は、所与の周波数にてクロック信号を提供するクロック回路と、振動する共振器の時間ドリフトを、その設定点周波数に対して測定することを可能にする比較器回路と、を備え、測定回路は、機械式共振器の時間ドリフトに対応する、補正期間の始めからの時間間隔を測定できるように構成されている。制御ユニットは、前述の時間間隔が、補正デバイスによって決定された全体的時間誤差に等しくなるか、またはそれよりも僅かに大きくなると直ぐに、補正期間を終えるように構成されている。
図17に記載されている代替的実施形態では、測定回路は、周期的デジタル信号を周波数F0c/2にて提供するクロック回路44と、アップダウンタイマー200(リバーシブルタイマー)とを備える。このアップダウンタイマーは、その「-」入力において、クロック回路の周期的信号(このタイマーを、設定点周期T0c=1/F0c毎に、2単位ずつ減少させる)を受信し、その「+」入力において、共振器14Aがその中立位置「0」を通って通過する毎に、パルスまたはロジック状態の変化を含む、光学センサ192からのデジタル信号を受信する。そのような通過は、振動する共振器の半周期毎に生じるので、タイマー200は振動周期毎に2単位ずつ増加する。したがって、タイマー(整数MCb)の状態は、クォーツ発振器の精度を有するクロック回路44によって決定される設定点周波数に対する、機械式共振器の時間ドリフトを表す。整数MCbは、設定点周波数での振動の場合に対して反転可能なタイマーがリセットされた初期的な瞬間からの、共振器によって実行される追加の半周期の数に対応する。
制御論理回路198は、共振器がその中立位置を通る通過と、これら通過の各々における振動運動の方向とを、この論理回路が決定することを可能にするデジタル信号を、光学センサ192から受信する。所与の遅れを補正するために、共振器がその中立位置を通る通過が、上述したように検出された後に、制御論理回路は、一方では、アクチュエータ174を起動させて、レバーをその相互作用する位置に作動させ、他方では、補正期間の始まりを定めるアップダウンタイマー200を起動させる。代替的実施形態では、このリセットは、アクチュエータ174に電力を供給してレバーを旋回させる前であるが、制御ユニット196および光学センサ192が起動された後に実施され得ることに留意すべきである。他の代替的実施形態では、光学センサは、他のタイプ、例えば磁気タイプ、誘導タイプ、または容量タイプのセンサで置換される。特定の代替的実施形態では、その中立位置を機械式共振器が通る通過を検出する検出器は、バランスのピンと、機械式ムーブメントの脱進機を形成するパレット-レバーのフォークとの間のインパクトによって発生する音響パルスを検出できる小型化された音響センサ(MEMSタイプのマイクロホン)によって形成される。
負の全体的時間誤差TErr(決定された遅れ)の設定点周波数F0cでの半周期の数は-TErr・2・F0cに等しい。したがって、アップダウンタイマーの数MCbがこの値に達するか、またはこの値を僅かに超える(この値は、必ずしも整数であるとは限らないので)と直ぐに、決定された遅れが修正され、表示される時間は再び正確である(したがって、実際時間が精密に、具体的には1秒の精度で与えられる)。したがって、制御論理回路は、タイマーの状態を値-TErr・2・F0cと比較することができるように、そして、数MCbがこの値以上であることを検出すると直ぐに、アクチュエータへの電力供給回路178を制御して、アクチュエータが、レバーを、その相互作用する安定位置から、その相互作用しない安定位置へと作動させることにより、補正期間を終了させることができるように構成されている。
図18および図19は、それぞれ、上述した好ましい代替的実施形態の2つの特定の極端なケースについて、所与の遅れを補正するための期間の始めにおける、共振器14Aの振動を示す。図18は、共振器の運動エネルギーが、各インパクトの間に、バランスの突出部と当接部のヘッドとの間で完全に吸収されるケースに関する。特に、自由振動210は、引き続く第1の半周期において、共振器がその中立位置を通る通過の時点(突出部190の位置「0」)で時間t0を検出する前に、第2の自由半周期A2Lを有し、時間t0は、所与の遅れを補正するための期間の開始を示す。レバーは、時間t0の直後に、その相互作用する位置に変位する。突出部とレバーとの間の第1のインパクトの後に、比較的大きい正の位相差DP1が、架空自由振動211と振動212との間に得られる。その時、安定フェーズが確立され、そこでは、振動212は、各振動周期の第1の半周期A1の第2の1/2半周期において、停止部材による先行する共振器の停止により、架空自由振動213に対して短縮され、したがって、その結果、DP1よりも小さい正の位相差DP2が得られる。振動212の第2の半周期A2は、レバーによって損なわれることはない。
図19は、突出部とレバーのヘッドとの間の強いインパクトまたは弾性衝突の特別な場合に関する。この場合、インパクトの間に運動エネルギーの散逸がなく、振動運動の方向の反転だけが存在すると想定すれば、共振器の運動エネルギーは、各インパクトの間は保持される。したがって、補正周期中の振動216の振幅は、各振動周期に対して、自由振動210の振幅と、したがって架空自由振動217の振幅と同一のままである。時間t0の後、T0/2よりも遥かに小さい持続時間T2を有する半周期A1*およびA2*を有する安定な位相が確立されて、各振動周期において、比較的大きい正の位相差DP3が発生する。
弾性衝突を得るために、レバーは一定の弾性を有すると考えることができ、具体的にはレバーの本体および/またはヘッドは、バランスの運動エネルギーを一瞬の間、吸収し、振動運動が反転したすぐ後に、それを再分配するように、一定程度の圧縮に曝されることが可能な弾性材料によって形成される。そのような場合、振動216は停止角θBを僅かに超えることになる。別のより精巧な代替的実施形態では、バランスの外縁上に弾性的に取り付けられているのは突出部である。例えば、突出部は、外縁内に機械加工された円形の滑り面内に構成されたスライドを形成する基部を有し、突出部がその角度位置「0」に位置する時には、弾性要素、具体的には小さい螺旋ばねが、スライダの背後に、すなわち、突出部に対してレバーのヘッドとは反対側の滑り面内に構成されている。実際には、バランスの突出部と電気機械式デバイスの当接部との間のインパクトは、通常は、図18および図19に記載されている2つの極端な状況の間にある。
他の実施形態では、電気機械式デバイスは、単安定の電気機械式アクチュエータによって形成され、このアクチュエータは可動フィンガを備え、可動フィンガは、このアクチュエータが起動されていない時(電力が与えられていない)、および起動されている(すなわち電力が与えられている)時に、この可動フィンガがそれぞれ、第1の半径方向位置と第2の半径方向位置との間を交互に変位することができるように構成されている。フィンガの第1の半径方向位置は、振動する共振器のバランスと相互作用しない位置に対応し、フィンガの第2の半径方向位置は、振動する共振器のバランスと相互作用する位置に対応し、したがって、このフィンガは、レバー184のヘッドと同様に、振動するバランスの突出部に対する当接部を形成する。
好ましい一般的な代替的実施形態では、補正デバイスは、自動的に周期的に起動されて補正サイクルを実行するように構成され、補正サイクルの間、電子補正回路が全体的時間誤差を決定することを可能にするように、検出フェーズ中に検出デバイスが起動され、次いで、制動デバイスが起動されて、補正期間中に、この全体的時間誤差の少なくとも大部分を補正する。
本発明の1つの特定の実施形態は、実際時間の表示器において検出された時間誤差を補正するだけでなく、上述した国際公開第2018/177779号において提供されているような調整を実装するために、補正デバイスの制動デバイスと内部クロック回路とを使用することを提供する。この文献の開示によれば、本明細書の範囲内で説明されるタイプの機械式制動デバイスを使用して、振動する機械式共振器に、周期的基準信号を提供する内部電子クロック回路によって決定される設定点周波数F0cに同期する平均周波数を印加する。これを達成するために、調整デバイスは、周期的基準信号から導かれた制動周波数にて、機械的制動デバイスを連続的かつ周期的に起動させる。このような調整のおかげで、調整デバイスがアクティブである(特に電気によって給電されている)限り、振動する機械式共振器の時間ドリフトを効果的に防止することができる。国際公開第2018/177779号で説明されている調整デバイスと、本発明による補正デバイスとを有利に組み合わせることにより(機械式制動デバイスとクロック回路を共有して)、補正デバイスが起動されなければならない頻度を限定することができ、その結果、調整デバイスが恒久的にアクティブであるにもかかわらず、電力消費を驚くほどに低減させることができる。
調整デバイスなしでは、補正サイクルを実行するために、例えば、週に一度、補正デバイスが起動される(他の点では比較的精密である機械式腕時計の場合、これにより、時間誤差が1分を超えないことを確実にすることができる)。補正デバイスから十分な便益を得て、表示される実際時間における誤差が一般的な日差(具体的には10秒未満)未満の状態を維持する腕時計を有するために、補正デバイスは1日に一度起動されることが有利である。1秒のオーダーでの精度を求める場合、補正サイクルは周期的に、例えば3時間または4時間毎に実行されなければならず、したがって、その結果、電力消費は比較的高くなる。しかしながら、(直感的にはいかなる追加リソースも必要としない)調整方法を実装することにより、機械式ムーブメントが止まることなく動作する限り、補正デバイスは、月に一度、またはそれ以下だけ、自動的に起動することができる。しかしながら、機械式腕時計は、従来の自動タイプのムーブメントについては、そのユーザが腕時計を1週間に数日間着用しない場合、および手動巻き上げ式のムーブメントについては、そのユーザが腕時計を定期的に巻き上げない場合は、停止することはまれではないことが分かる。そのような場合、その後のバレルの再巻き上げの後、表示器は精密な実際時間にリセットされなければならず、それは通常、ユーザによって手動で実行される。その上、腕時計は妨害(例えば、強い外部の磁場などの一瞬間の存在に加えて、針をその軸を中心として摺動させる得るインパクトまたは強い加速)を受ける可能性がある。前述したように、外部の介入(外部制御部材を使用した手動での針設定)が表示器を変化させ得る。これら状況の全てにおいて、腕時計が精密に実際時間を表示することを保証するためには、本発明による補正デバイスが必要である。しかしながら、補正デバイスが妨害事象または妨害する可能性のある事象の後に、特に上述したように針が手動で設定された後に起動されるように、補正デバイスが適切なセンサまたは検出器によって制御される場合、本発明により、計時器に調整方法を実装することは有利であり得る。
1つの有利な実施形態では、計時器は、計時器のユーザによって作動されることが可能な外部制御部材を備え、この外部制御部材および補正デバイスは、ユーザが補正デバイスを起動させることを可能にし、それにより、補正デバイスが補正サイクルを実行し、その間に、全体的時間誤差を決定するように、検出フェーズのために検出デバイスが起動されて、次いで制動デバイスが起動されて、補正期間中に全体的時間誤差の少なくとも大部分を補正する、ように構成されている。特定の代替的実施形態では、外部制御部材は、制御ステムに関連付けられた竜頭によって形成され、制御ステムは、手動で表示器を実際時間に設定するためにも機能する。好ましい代替的実施形態では、補正デバイスが補正サイクルを実行するように、外部制御部材を使用して補正デバイスを制御する可能性は、補正デバイスが補正サイクルを日常的に実行するように、補正デバイスが周期的に起動する内部自動制御と組み合わされる。
図20~図24を参照して検出デバイスの第2の実施形態について説明するが、検出デバイスは、少なくとも1つの対応する基準時間位置を通る、表示器の少なくとも1つのインジケータの通過を間接的に検出できるように、計時器260内に構成されている。一般に、検出デバイスは、考慮されるインジケータと一体になった歯車の、または駆動機構を形成するかもしくは駆動機構を補完してインジケータと一体になった歯車を駆動するかもしくはそれによって駆動される検出歯車の、所定の対応する角度位置の少なくとも1つを検出できるように構成されている。必要に応じて、検出歯車は、インジケータと一体となった歯車の回転速度未満の回転速度と、検出歯車が駆動しているか、または駆動されているかに依存して、それぞれ正整数か、または整数の逆数に等しいギヤ比Rと、を有するように選択されるか、または構成されている。検出デバイスの検出ユニットによって検出される所定の角度位置は、考慮されるインジケータに対して与えられる基準時間位置に対応する。したがって、前述の所定の角度位置を、インジケータと一体となった歯車、または検出歯車が通過する瞬間を検出することにより、直接検出に関する検出デバイスの第1の実施形態について上述したように、時間誤差を引き続き決定することが可能になる。
図20および図21は、所与の基準時間位置を通る秒針262の通過を検出するための光学検出ユニット274の有利な構成を示す。この検出は、この針を保持する秒車264の特定の基準軸ARを検出することにより、間接的な形で実行される。従来、秒車は、秒車-ピニオン265を介して3番車266によって回転駆動される。与えられる実施例では、秒車264は、がんぎ車268とピニオン269とによって形成されるがんぎ車セットと直接噛み合っている。がんぎ車268は、問題の機械式ムーブメントの共振器に結合している。
検出デバイスは、秒針262に関連付けられ、秒針の所定の角度位置を検出することができるように構成された、光学検出ユニット274を備える。この検出ユニットは、第1の実施形態の範囲内で記載される任意の光学検出ユニットに類似している。他のタイプの検出ユニット、具体的には、容量タイプ、磁気タイプ、または誘導タイプが提供され得る点に留意すべきである。秒車264の前述の所定の角度位置を定める基準軸ARは、歯車の他の針286の幅とは異なる幅を有する、この歯車の特定の針288によって定められる。この針288は、光源が検出ユニット274の下を通過する間に、光源によって放出される光線232によってカバーされる領域に少なくとも1つの反射するゾーンを有する。針288は、他の針の幅の約2倍の幅を有するので、歯車が平衡状態を維持するためには、針288は低減された厚さを有することが分かる。検出ユニット274は、支持体280、特にPCB上に構成され、プレート272内の開口部の中に挿入される。
処理ユニット46(図1)は、検出ユニットの第1の実施形態における分針の中間長手方向軸の決定と同様に、所与の測定周波数FMsにおける測定のシリーズに基づいて基準軸ARを決定し、したがって、秒車の半径方向に整列した光源278および光検出器276を備える検出ユニット274の中間長手方向軸の下方を、この中間長手方向軸が通過する瞬間を決定する。特定のアームの、および検出ユニットの、中間長手方向軸の重なりが、所定の基準時間位置を定める。(処理ユニット46の動作について説明した時に)上記で使用したものと同じ表記法を使用して、検出フェーズ中における中間長手方向軸の前述の重なりにより、基準時間位置X0を通る、秒針の通過TX0の瞬間が決定される。したがって、前述した中間長手方向軸の重なりの間に、秒針が、所定の基準時間位置に対応する現在秒を示すように、クロックは秒針を、秒車に対して角度方向に位置付けなければならない。
図22~図24は、計時器260の表示器の少なくとも1つの基準時間位置を通る分インジケータの通過を検出するための有利なシステムを示す。この検出デバイスは、2つの検出ユニットを備える光学検出モジュール300と、意図された検出のために特定の形態で構成された検出歯車とによって形成される。各検出ユニットは、第1の実施形態の範囲内で記載される任意の光学検出ユニットに類似している。ここでも、他のタイプの検出ユニット、具体的には、容量タイプ、磁気タイプ、または誘導タイプが提供され得る点に留意すべきである。分車はギヤ比R=1/3を有し、それを筒かなが駆動している。したがって、駆動する筒かなと、駆動される分車との間には減速比が存在する。図22はまた、中央歯車290を駆動するバレル292を示す。別の代替的実施形態では、検出デバイスは、単一の検出ユニットを備えるだけである。
分針34Mは筒かな296によって支持され、筒かな296は通常、その軸を形成する1つだけの中心円筒と、小さな直径を有するピニオンとを有するので、したがって、少なくとも1つの所与の基準時間位置を通る分針の通過の間接的な検出は、有利には、筒かな296によって回転駆動される分車294の所定の周期的角度位置のシリーズをそれぞれ画定する所与の基準軸の少なくとも1つのシリーズの中から、少なくとも1つの基準軸を検出することによりもたらされる。この分車は、日の裏装置を形成し、そのピニオン295は、時針34Hを保持する円筒軸を備える時車298と噛み合っている。分車は、プレート272の凹部内に配置されている。プレートは、上側で分車を支持し、したがって分車の下方に構成された光学検出モジュール300を下側で支持する。プレートは、2つの検出ユニットの上方にそれぞれ作製された2つの貫通開口部を有して、光線232が、各検出ユニットと、分車、より具体的にはこの分車のアーム306、308が延びている領域と、の間を通ることが可能である。各検出ユニットは、光源302、302A、および光検出器304、304Aを有する。2つの光学検出ユニットは、接合支持体310上に構成され、接合支持体310は、2つの検出ユニットのそれぞれに位置合わせされた2つの開口部312、312Aを有する。
一般に、検出デバイスは少なくとも1つの検出ユニットを備え、検出ユニットは、分インジケータに関連付けられ、R個の対応する基準軸A1S1、A2S1、およびA3S1の第1のシリーズによって画定される分車のR個の所与の周期的角度位置の少なくとも第1のシリーズを検出するように構成されている。この第1のシリーズの2つの隣接する角度位置は、それらの間に360°/Rに等しい中心角αを有し、Rは前述のギヤ比である(記載されている代替的実施形態で選択されたギヤ比を用いるとα=360°/3=120°である)。記載されている代替的実施形態では、検出モジュールは、第1のシリーズの基準軸とは異なるR個の対応する基準軸A1S2、A2S2、A3S2の第2のシリーズによって画定される分車のR個の周期的角度位置の第2のシリーズを検出することもできるように更に構成されている。第2のシリーズの2つの隣接する角度位置は、それらの間に角度αと同じ値、すなわち360°/R=120°に等しい中心角を有する。有利には、R個の周期的角度位置のシリーズがS個ある場合、これらS個のシリーズは一対ずつ360°/(R・S)に等しい角度でオフセットしている。示される代替的実施形態では、この角度方向のオフセット角度は、360°/3・2=α/2=60°に等しい。
周期的角度位置のシリーズの各々は、対応する複数のR個の、分車の特定の要素または特定の凹部と関連付けられている。示される代替的実施形態では、分車のアームは複数存在し、基準軸線の第1のシリーズは、第1の幅を有する3つのアーム306によってそれぞれ画定され、基準軸線の第2のシリーズは、第1の幅とは異なる第2の幅を有する3つのアーム308によってそれぞれ画定される。各基準軸は、基準軸ARの検出と同様の方法で検出され、これら基準軸のいずれかを通る分針の通過の瞬間もまた、基準軸ARを通る秒針の通過の瞬間の決定と同様の方法で決定される。
一般の代替的実施形態では、分車は、第1のシリーズの各角度位置が、補正デバイスに対して、同じ第1のシグネチャを有し、その結果、電子補正回路が、第1のシリーズの任意の角度位置/任意の基準軸を検出した時点で、同じ第1の基準時間位置を分インジケータに関連付けることができ、そして、第2のシリーズの各角度位置が、補正デバイスに対して、第1のシグネチャとは異なる同じ第2のシグネチャを有し、その結果、電子補正回路が、第2のシリーズの任意の角度位置/任意の基準軸を検出した時点で、第1の基準時間位置とは異なる、同じ第2の基準時間位置を分インジケータに関連付けることができる、ように構成されている。したがって、電子補正回路は、明確な形で、基準時間位置Y0(記載されている代替的実施形態において提供される2つの基準時間位置のいずれか)を通る分インジケータの通過TY0の第2の瞬間を決定することができる。
別の一般的な代替的実施形態では、検出デバイスはK個の検出ユニットを備え、Kは2以上の整数であり、分車の周期的角度位置のシリーズの数は1以上の整数Sであり、周期的角度位置のシリーズの各々は、対応する複数のR個の分車の特定の要素または特定の凹部と関連付けられている。K個の検出ユニットは各々が、分車の複数のR個の特定の要素または特定の凹部をS回検出できるように構成されている。K個の検出ユニットのうちの任意の2つは分離角度によって角度方向にオフセットしており、その分離角度を角度360°/(R・S)で整数除算した剰余はゼロではない。好ましくは、整数除算の剰余は、360°/(R・S・K)に実質的に等しい。示される代替的実施形態については、好ましい剰余は、360°/(3・2・2)=360°/12=30°である。2つの検出ユニットの構成によって定められる2つの半径方向の検出方向間の分離角度βは、β=90°の値を有する。βを、角度360°/(R・S)=360°/(3・2)=60°で整数除算した剰余の値は30°であり、これは上述した好ましいケースに対応する。
最後に、検出デバイスの第2の実施形態を用いて補正デバイスによって検出できる、分インジケータ34Mの基準時間位置の数は、S・Kに等しいことが分かる。示される代替的実施形態では、この数字は2・2=4に等しい。これら4つの基準時間位置は、一対ずつ(90°の角度に対応する)15分だけオフセットしており、これは検出デバイスの第1の実施形態について示した有利な代替的実施形態と同等である。