JP7075291B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、口腔用組成物に関する。
健康な歯牙において、通常、歯牙の象牙質は歯肉や歯牙のエナメル質に被覆されている。ところが、歯肉炎や加齢、あるいは過度に負荷をかける不適切な歯磨き等によって、歯肉の退縮や歯牙のエナメル質の損傷が発生すると、歯表面において象牙質が露出してしまい、象牙質の表面で開口している象牙細管を通して神経が刺激され、痛みや刺激感をもたらす、いわゆる知覚過敏症を引き起こすこととなる。こうした知覚過敏症に起因する痛み等を抑制するには、露出した象牙質の表面において、象牙質細管の開口部を封鎖することが直接的な有効手法であることから、種々の口腔用組成物が開発されている。
例えば、特許文献1には、特定の脂肪酸二価金属塩、脂肪酸アシルリシン、及び脂肪酸アシルタウリン二価金属塩から選ばれる水難溶性粉体と、特定の脱感作剤とを水とともに併用した歯磨組成物が開示されており、また特許文献2には、硝酸カリウム等の脱感作剤、及び特定の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、並びに水を含有し、かつ特定のpH域に調整する象牙質知覚過敏用口腔用組成物が開示されており、いずれの組成物も露出した象牙質の表面における象牙質細管の開口部を効果的に封鎖することができる。
特開2013-1648号公報 特開2015-124216号公報
一方、こうした知覚過敏症を自覚している者にとっては、歯が薄くなっている、或いは歯がかけやすくなっている等の感触に表されるような、いわゆる歯質の低下を実感している場合が増えてきている。歯質が低下してしまうと、クラックや酸蝕等が発生しやすくなり、また衝撃等により歯の破折も発生しやすくなるため、これらが知覚過敏症を引き起こす間接的な要因にもなり得る。したがって、あらゆる場面を想定して知覚過敏症による痛み等を抑制するには、象牙質細管の開口部を封鎖することができるのみならず、歯質の強化をも図ることのできる口腔用組成物の実現が望まれるところではある。
しかしながら、上記特許文献1に記載の組成物は、象牙質細管の開口部に対する高い封鎖能を発揮するものの、フッ素イオンの取り込みによる歯質の強化については詳細な検討がなされていない。また、上記特許文献2に記載の組成物では、一部の具体例において再石灰化を促進させる成分であるフッ素イオン供給化合物を含んではいるものの、供給されたフッ素イオンは、共存する亜鉛等の多価金属とともに不要なフッ化金属塩を形成してしまうことから、歯表面へのフッ素イオンの取り込み量を充分に確保して歯質の強化にも寄与させるには、更なる改善を要する状況にある。
すなわち、本発明は、象牙質細管の開口部を封鎖する効果を発揮するとともに、歯表面のみならず象牙質細管の開口部に至るまでフッ素イオンを有効に取り込ませて歯質の強化をも可能とし、知覚過敏の症状を抱えるあらゆる使用者に対して、痛み等の抑制を有効かつ効果的に図ることのできる口腔用組成物に関する。
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のフッ素イオン供給化合物を含有するなか、グリセロリン酸カルシウムとともに脂肪酸二価金属塩を特定の含有量かつ特定の質量比で併用することにより、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と歯質を強化する効果とを充分に兼ね備えることのできる口腔用組成物が得られることを見出した。
したがって、本発明は、次の成分(A)~(C):
(A)フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物
(B)グリセロリン酸カルシウム 0.35質量%以上1.3質量%以下
(C)炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩 0.5質量%以上6質量%以下
を含有し、かつ成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が0.12以上1.5以下である口腔用組成物を提供するものである。
本発明の口腔用組成物によれば、露出した象牙質の表面における象牙質細管の開口部を効果的に封鎖することができるだけでなく、歯表面および象牙質細管の開口部に至るまでフッ素イオンの取り込みを充分に増大させて、歯質の強化を有効に図ることができ、知覚過敏症による痛みや刺激感を効果的に抑制することができる。
したがって、本発明の口腔用組成物を用いることにより、歯肉炎の進行や加齢等で歯肉の退縮が生じて歯牙の象牙質が露出しているような使用者のみならず、歯牙のエナメル質の損傷が生じて歯牙の象牙質が露出しているような使用者に対しても、象牙質細管の開口部を封鎖しながらも、再石灰化を促進させて歯質を強化することができるため、種々の場面において知覚過敏の症状を有効に緩和させることが可能となる。
実施例7の歯磨組成物を使用する前における象牙質細管の開口部を示す写真である。 実施例7の歯磨組成物を使用した後における象牙質細管の開口部が封鎖されている様子を示す写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、次の成分(A)~(C):
(A)フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物
(B)グリセロリン酸カルシウム 0.35質量%以上1.3質量%以下
(C)炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩 0.5質量%以上6質量%以下
を含有し、かつ成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が0.12以上1.5以下である。
そして、本発明の口腔用組成物は、適宜用途に応じ、練歯磨剤や粉歯磨剤等の歯磨組成物としても、或いは洗口剤や液状歯磨剤等の液体口腔用組成物としても用いることができる組成物である。
なお、本発明において、「象牙質細管の開口部を封鎖する」とは、象牙質細管を物理的に封鎖することであって、象牙質の表面において象牙質細管の開口部を覆う状態だけでなく、象牙質細管の表面近傍の細管内に充填して蓋をする(栓をする)状態をも含む意味である。
本発明の口腔用組成物は、成分(A)として、フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物を含有する。かかる成分(A)は、本発明の口腔用組成物を口腔内に適用した際にフッ素イオンを放出し、かかるフッ素イオンが後述する成分(B)から放出されるカルシウムイオンとともに、有効かつ効率的に微細化を図りつつフッ化カルシウム粒子を形成することができる。そして、象牙質細管の開口部の封鎖能を阻害することなく、微粒子化したフッ化カルシウムが歯表面及び象牙質細管へ効率的に吸着することができるため、フッ素イオン吸着量が効果的に増大して歯の再石灰化を促進し、歯質の強化に優れた効果を発揮することができる。
成分(A)の含有量は、後述する成分(B)とも相まって歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着率を有効に増大させる観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.25質量%以上である。また、成分(A)の含有量は、効率的に歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着率を増大させ、また、象牙質細管の開口部の封鎖能を不要に減退させない観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.4質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.1~0.8質量%であり、さらに好ましくは0.15~0.5質量%であり、よりさらに好ましくは0.25~0.4質量%である。
成分(A)のフッ素原子換算量は、上記同様の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.07質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.11質量%以上である。また、成分(A)のフッ素原子換算量は、上記同様の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.35質量%以下であり、さらに好ましくは0.25質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下である。そして、成分(A)のフッ素原子換算量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.005~0.4質量%であり、より好ましくは0.05~0.35質量%であり、さらに好ましくは0.07~0.25質量%であり、よりさらに好ましくは0.11~0.2質量%である。
本発明の口腔用組成物は、成分(B)として、グリセロリン酸カルシウムを0.35質量%以上1.3質量%以下含有する。これにより、本発明の口腔用組成物が発揮する象牙質細管の開口部の封鎖能を阻害することなく、また歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着を阻害することとなる不要なカルシウム塩の形成を有効に抑制しつつ、成分(A)の放出するフッ素イオンとも相まって、歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着率を有効かつ効果的に増大させることができる。
成分(B)の含有量は、成分(A)と相まって微細化されたフッ化カルシウム粒子を形成し、歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着量を有効かつ効果的に増大させて歯質を強化する観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.35質量%以上であって、好ましくは0.44質量%以上であり、より好ましくは0.46質量%以上であり、さらに好ましくは0.48質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着量および象牙質細管の開口部の封鎖能を不要に減退させない観点から、本発明の口腔用組成物中に、1.3質量%以下であって、好ましくは1.1質量%以下であり、より好ましくは0.85質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.35質量%以上1.3質量%以下であって、好ましくは0.44~1.1質量%であり、より好ましくは0.46~0.85質量%であり、さらに好ましくは0.48~0.7質量%である。
本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、成分(A)のフッ素イオンおよび成分(B)から放出されるカルシウムイオンからなる微細化されたフッ化カルシウム粒子を歯表面及び象牙質細管中に形成させ、フッ素イオン吸着量を有効に増大させて歯質を強化する観点から、好ましくは0.12以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.23以上であり、よりさらに好ましくは0.26以上である。また、本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、同様の観点から、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.6以下であり、さらに好ましくは0.4以下であり、よりさらに好ましくは0.35以下である。そして、本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、好ましくは0.12~0.8であり、より好ましくは0.2~0.6であり、さらに好ましくは0.23~0.4であり、よりさらに好ましくは0.26~0.35である。
本発明の口腔用組成物は、成分(C)として、炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩を0.5質量%以上6質量%以下含有する。これにより、上記成分とも相まって、歯表面及び象牙質細管におけるフッ素イオンの取り込み量を有効かつ効果的に増大させて歯質の強化を図りながら、象牙質細管の開口部の優れた封鎖能を発揮して、知覚過敏症による痛み等を充分に抑制することができる。
成分(C)は、2つの飽和脂肪酸と二価金属とから構成される成分であり、かかる飽和脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、及びステアリン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましく、成分(C)を構成する2つの飽和脂肪酸は、同一であることが好ましい。さらに、二価金属としては、具体的には、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、口腔内への適用性、及び象牙質細管の開口部の優れた封鎖能に寄与する延展性の観点から、亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、亜鉛がより好ましい。
成分(C)の含有量は、歯表面及び象牙質細管中に、成分(A)のフッ素イオン及び成分(B)から放出されるカルシウムイオンからなる微細化されたフッ化カルシウム粒子を形成させるとともに、象牙質細管の開口部の優れた封鎖能を一層増強させつつ痛み等の抑制効果を高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.5質量%以上であって、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは1.7質量%以上であり、さらに好ましくは1.8質量%以上である。また、成分(C)の含有量は、成分(A)及び成分(B)により微細化されたフッ化カルシウム粒子による、歯表面及び象牙質細管中へのフッ素イオン吸着量の増大を阻害せず、歯質の強化をも有効に図る観点、及び金属味等の異味の発現を回避し、組成物の良好な風味を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、6質量%以下であって、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.5質量%以上6質量%以下であって、好ましくは1.5~5質量%であり、より好ましくは1.7~4.5質量%であり、さらに好ましくは1.8~4質量%である。
本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、成分(A)のフッ素イオンおよび成分(B)から放出されるカルシウムイオンからなる微細化されたフッ化カルシウム粒子を歯表面及び象牙質細管中に形成させ、フッ素イオン吸着量を有効に増大させて歯質を強化する観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.03以上である。また、本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、同様の観点から、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは0.15以下である。そして、本発明の口腔用組成物における成分(A)のフッ素原子換算量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、好ましくは0.01~0.3であり、より好ましくは0.02~0.2であり、さらに好ましくは0.03~0.15である。
本発明の口腔用組成物における成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、成分(B)の凝集を抑制し、かつ歯表面及び象牙質細管中への微細化されたフッ化カルシウム粒子の吸着およびフッ素イオン吸着量を有効かつ効果的に増大させて歯質を強化する観点から、0.12以上であって、好ましくは0.14以上であり、より好ましくは0.24以上であり、また、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着量および象牙質細管の開口部の封鎖能を不要に減退させない観点から、1.5以下であって、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.6以下であり、さらに好ましくは0.35以下である。本発明の口腔用組成物における成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、0.12以上1.5以下であって、好ましくは0.12~1.0であり、より好ましくは0.14~0.6であり、さらに好ましくは0.24~0.35である。
これにより、歯肉炎の進行や加齢のほか、過度に負荷をかける不適切な歯磨き等により歯肉の退縮や歯牙のエナメル質の損傷が生じて歯牙の象牙質が露出する場合のみならず、むし歯やクラック、酸蝕の発生に加え、衝撃等による歯の破折や不正咬合による楔状欠損の発生をも含む種々の幅広い使用環境下において、本発明の口腔用組成物による象牙質細管の開口部を封鎖する効果と、有効に再石灰化を促進させて歯質を強化する効果とを両立させることが可能となり、知覚過敏症による痛み等を効果的に抑制することができる。
本発明の口腔用組成物は、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤(D)を含有することが好ましい。かかる成分(D)を含有することにより、神経の過敏性を除去し、又は神経を鈍感化させて、象牙質細管の開口部の封鎖能によりもたらされる痛み等の抑制効果を一層増強させることができる。なかでも、硝酸カリウムが好ましい。
成分(D)の含有量は、成分(C)と相まって、知覚過敏症による痛み等の抑制効果を一層増強させる観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。また、成分(D)の含有量は、知覚過敏症による痛み等の抑制効果と経済性の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である。
なかでも、成分(D)として硝酸カリウムを用いる場合、本発明の口腔用組成物における成分(C)の含有量と硝酸カリウムの含有量との質量比((C)/(硝酸カリウム))は、知覚過敏症による痛み等の抑制効果を一層増強させる観点から、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.9以下であり、さらに好ましくは0.85以下である。
本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、さらにラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩や、N-アシルアミノ酸塩、アルキルリン酸塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N-長鎖アシルタウリンナトリウム塩、及びポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。その中でも、良好な泡立ちや使用感を付与し、口腔内における組成物の滞留性や歯表面への吸着性又は密着性を確保する観点から、アルキル硫酸エステル塩、N-長鎖アシルタウリンナトリウム塩がより好ましく、併用することがさらに好ましい。
より具体的には、アニオン界面活性剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは0.6質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
また、本発明の口腔用組成物がアニオン界面活性剤を含有する場合、硝酸カリウムとの塩交換を抑制し、良好な泡質をもたらしながら滞留性や密着性等を確保し、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と再石灰化を促進させて歯質を強化する効果とを有効に両立させる観点から、アルキル硫酸エステル塩は特定の含有量とすることが好ましい。
より具体的には、アルキル硫酸塩の含有量は、アニオン界面活性剤の含有量中に、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは5~30質量%以下であり、さらに好ましくは10~20質量%以下である。
本発明の口腔用組成物は、良好な泡立ちや使用感の発現を補強し、口腔内における組成物の滞留性や歯表面への吸着性又は密着性を一層高めて、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と再石灰化を促進させて歯質を強化する効果との両立を確保する観点から、ノニオン界面活性剤を含有するのが好ましい。かかるノニオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリグリコール等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、上記アニオン界面活性剤と併用するのが好ましい。
より具体的には、ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上である。さらに、アニオン界面活性剤の含有量とノニオン界面活性剤の含有量との質量比(アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤)は、好ましくは1~2であり、より好ましくは1~1.6である。
本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、さらに粘結剤を含有することができる。かかる粘結剤としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、及びグアーガム等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましく、キサンタンガムがより好ましい。
かかる粘結剤の含有は、適度な保形性を保持しつつ、良好な泡質及び泡持ちを発揮して口腔内における組成物の滞留性や歯表面への吸着性又は密着性を確保することにより、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と再石灰化を促進させて歯質を強化する効果とを有効に両立させる観点から、適度な量に制限するのが好ましい。具体的には、粘結剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、好ましくは2質量%以上である。また、キサンタンガムを用いる場合、かかるキサンタンガムの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、好ましくは0.15質量%以上である。
かかる粘結剤のなかでも、適度な保形性を保持しつつ、より一層良好な泡質及び泡持ちを発揮して口腔内における組成物の滞留性や歯表面への吸着性又は密着性を確保する観点から、増粘性シリカを含有するのが好ましい。かかる増粘性シリカとは、吸油量の多いシリカであり、研磨剤として用いられる研磨性シリカとは相違する。一般に、増粘性シリカは、吸油量が200~400mL/100gであり、研磨性シリカは吸油量が50~150mL/100gである。ここで、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、測定方法はJIS K5101-13-2(2004年制定)の方法により、吸収される煮あまに油の量により特定される値を意味し、サイリシア、サイロピュア(富士シリシア化学社製)、チキソシル(ローディア社製)、ソルボシル(イネオスシリカ社製)、ファインシール(トクヤマ社製)、ニップジェル(東ソー・シリカ社製)の市販品を用いることができる。
より具体的には、増粘性シリカの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%であり、さらに好ましくは3~6質量%である。
本発明の口腔用組成物は、成分(A)と成分(B)により形成されるフッ化カルシウム粒子をより一層効果的に微細化し、象牙質細管の開口部の封鎖能を阻害することなく歯表面へのフッ素吸着量の増大を図る観点から、さらにキシリトールを含有するのが好ましい。かかるキシリトールの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
本発明の口腔用組成物は、成分(A)と成分(B)による微細なフッ化カルシウム粒子の形成を阻害することを抑制する観点から、脂肪酸の含有を制限するのが好ましい。かかる脂肪酸としては、好ましくは炭素数18以下であり、より好ましくは炭素数16以下であり、好ましくは炭素数12以上の炭化水素基を有するものが挙げられる。具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
かかる脂肪酸の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、脂肪酸を含有しないのが好ましい。
本発明の口腔用組成物は、知覚過敏による痛み等の抑制効果を阻害せず、新たな痛み等の発現を誘発する要因を可能な限り排除しつつ良好な使用感をもたらす観点、及び良好な泡立ち等を保持して吸着性や密着性を確保する観点から、研磨剤の含有を制限するのが好ましい。かかる研磨剤としては、具体的には、例えば、研磨性シリカ、第2リン酸カルシウム・1水和物及び無水物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第2リン酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
かかる研磨剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である。
本発明の口腔用組成物は、水を含有する。かかる水とは、口腔用組成物に配合した精製水等だけでなく、例えば処方する際に用いる70%ソルビトール液(水溶液)のように、配合した各成分に含まれる水分をも含む、口腔用組成物中に含まれる全水分を意味する。かかる水を含有することにより、成分(A)と成分(B)を良好に溶解又は分散させてより一層効果的に微細化したフッ化カルシウム粒子を歯面に形成することができ、所望の効果を充分に発揮させることができる。
例えば、本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。また、水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5~95質量%であり、より好ましくは15~80質量%である。
なお、この場合、水の含有量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業(株))を用いることができる。この装置では、口腔用組成物を5gとり、無水メタノール25gに懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
また、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。また、水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは8~50質量%であり、より好ましくは10~45質量%であり、さらに好ましくは12~40質量%である。
本発明の口腔用組成物は、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、カチオン界面活性剤;モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のモノフルオロリン酸イオン供給化合物;グリセリン、ポリエチレングリコール、湿潤剤や甘味剤;ソルビトール等の、キシリトール以外の糖アルコール;リン酸水素ナトリウム等のpH調整剤;香料;第4級アンモニウム化合物、ビグアニド化合物、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、チモール、及びβ-グリチルレチン酸等の薬効成分やその他の有効成分;香料;色素等を含有することができる。
また、本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、歯表面へのフッ素吸着量の増大を図る観点から、プロピレングリコールを含有するのが好ましい。プロピレングリコールの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。
本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、かかる口腔用組成物の25℃における粘度は、適度な保形性を保持しつつ口腔内における組成物の滞留性や歯表面への吸着性又は密着性を確保することにより、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と再石灰化を促進させて歯質を強化する効果とを有効に両立させる観点から、好ましくは1500dPa・s以上であり、より好ましくは2000dPa・s以上であり、さらに好ましくは2300dPa・s以上であり、好ましくは3500dPa・s以下であり、より好ましくは3000dPa・s以下であり、さらに好ましくは2700dPa・s以下である。
なお、25℃における粘度とは、ヘリパス型粘度計を用いて測定される値を意味し、具体的には、製造後少なくとも24時間室温(25℃)で静置した口腔用組成物を、粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(VISCOMETER TVB-10 東機産業)を用いて、25℃、ロータT-C、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。
また、本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、かかる口腔用組成物の25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度は、同様の観点から、好ましくは2500dPa・s以上であり、より好ましくは3000dPa・s以上であり、さらに好ましくは3300dPa・s以上であり、好ましくは4500dPa・s以下であり、より好ましくは4000dPa・s以下であり、さらに好ましくは3700dPa・s以下である。
なお、25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度とは、25℃、B8H型粘度計(東機産業 TVB-10R)、ロータH7、回転速度2.5rpm、1分間の条件で測定される値を意味する。上記のロータH7は、円柱形状であって、一円柱形状の一部の径が小さくなっている領域を備えており、液状やジェル状の組成を測定する円盤形状を備えるロータと形状が相違する。上記の円柱形状のロータを用いた回転粘度は、粘性や硬さ、伸びの程度等をも加味して測定される値であり、ヘリパス粘度に比して、口腔用組成物の歯や歯肉への付着性に則して評価する指標として適していると考えられる。
本発明の口腔用組成物の口腔内への適用方法は、液体口腔用組成物である場合には、口腔内に含んで口腔内で充分に行き渡らせたのち、口から出して用いればよく、また本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合には、塗布、又は歯ブラシによるブラッシングのいずれであってもよい。また、象牙質細管の開口部を封鎖する効果と再石灰化を促進させて歯質を強化する効果とを充分に発揮させ、知覚過敏による痛み等を有効に抑制する観点から、本発明の口腔用組成物の使用頻度は、一日1~5回とするのが好ましく、これを1ヵ月間のうち1日以上又は1~2週間継続させるのがよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の口腔用組成物を開示する。
[1]次の成分(A)~(C):
(A)フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物
(B)グリセロリン酸カルシウム 0.35質量%以上1.3質量%以下
(C)炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩 1.5質量%以上6質量%以下
を含有し、かつ成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が0.12以上1.5以下である口腔用組成物。
[2]成分(A)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.25質量%以上であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.4質量%以下である上記[1]の口腔用組成物。
[3]成分(A)のフッ素原子換算量が、上好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.07質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.11質量%以上であり、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.35質量%以下であり、さらに好ましくは0.25質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下である上記[1]又は[2]の口腔用組成物。
[4]成分(B)の含有量が、好ましくは0.44質量%以上であり、より好ましくは0.46質量%以上であり、さらに好ましくは0.48質量%以上であり、好ましくは1.1質量%以下であり、より好ましくは0.85質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下である上記[1]~[3]いずれか1の口腔用組成物。
[5]成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が、好ましくは0.12以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.23以上であり、よりさらに好ましくは0.26以上であり、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.6以下であり、さらに好ましくは0.4以下であり、よりさらに好ましくは0.35以下である上記[1]~[4]いずれか1の口腔用組成物。
[6]成分(C)を構成する飽和脂肪酸が、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、及びステアリン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸であり、さらに好ましくはステアリン酸である上記[1]~[5]いずれか1の口腔用組成物。
[7]成分(C)を構成する二価金属が、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは亜鉛である上記[1]~[6]いずれか1の口腔用組成物。
[8]成分(C)の含有量が、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは1.7質量%以上であり、さらに好ましくは1.8質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である上記[1]~[7]いずれか1の口腔用組成物。
[9]成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が、好ましくは0.14以上であり、より好ましくは0.24以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.6以下であり、さらに好ましくは0.35以下である上記[1]~[8]いずれか1の口腔用組成物。
[10]成分(A)のフッ素原子換算量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは0.15以下である上記[1]~[9]いずれか1の口腔用組成物。
[11]さらに硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤(D)を含有する上記[1]~[10]いずれか1の口腔用組成物。
[12]成分(D)の含有量が、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である上記[11]の口腔用組成物。
[13]成分(D)として硝酸カリウムを含有し、かつ成分(C)の含有量と硝酸カリウムの含有量との質量比((C)/(硝酸カリウム))が、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.9以下であり、さらに好ましくは0.85以下である上記[1]~[12]いずれか1の口腔用組成物。
[14]ノニオン界面活性剤の含有量が、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上である上記[1]~[13]いずれか1の口腔用組成物。
[15]キシリトールを含有し、かかる含有量が、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である上記[1]~[14]いずれか1の口腔用組成物。
[16]脂肪酸の含有量が、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、或いは脂肪酸を含有しない上記[1]~[15]いずれか1の口腔用組成物。
[17]液体口腔用組成物である、上記[1]~[16]いずれか1の口腔用組成物。
[18]水の含有量が、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である上記[17]の口腔用組成物。
[19]歯磨組成物である、上記[1]~[16]いずれか1の口腔用組成物。
[20]アニオン界面活性剤の含有量が、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは0.6質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、またアルキル硫酸塩の含有量が、アニオン界面活性剤の含有量中に、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは5~30質量%以下であり、さらに好ましくは10~20質量%以下である上記[19]の口腔用組成物。
[21]粘結剤を含有し、その含有量が、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、好ましくは2質量%以上である上記[19]又は[20]の口腔用組成物。
[22]粘結剤が、好ましくはキサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、及びグアーガム等から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはキサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、さらに好ましくはキサンタンガムである上記[21]の口腔用組成物。
[23]増粘性シリカの含有量が、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%であり、さらに好ましくは3~6質量%である上記[19]~[22]いずれか1の口腔用組成物。
[24]水の含有量が、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である上記[19]~[23]いずれか1の口腔用組成物。
[25]プロピレングリコールを含有し、その含有量が、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である上記[19]~[24]いずれか1の口腔用組成物。
[26]25℃における粘度が、好ましくは1500dPa・s以上であり、より好ましくは2000dPa・s以上であり、さらに好ましくは2300dPa・s以上であり、好ましくは3500dPa・s以下であり、より好ましくは3000dPa・s以下であり、さらに好ましくは2700dPa・s以下である上記[19]~[25]いずれか1の口腔用組成物。
[27]象牙質細管の開口部を封鎖するための上記[1]~[26]いずれか1の口腔用組成物の使用。
[28]歯質を強化するための上記[1]~[26]いずれか1の口腔用組成物の使用。
[29]上記[1]~[26]いずれか1の口腔用組成物を歯に適用する、象牙質細管の開口部封鎖方法。
[30]本発明の口腔用組成物は、歯表面および象牙質細管へのフッ素イオン吸着率を有効に増大させる観点から、次の成分(A)~(C):
(A)フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物
(B)グリセロリン酸カルシウム 0.35質量%以上1.3質量%以下
(C)炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩 0.5質量%以上6質量%以下
を含有し、かつ
成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.12以上0.8以下であり、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が0.14以上0.6以下であることが最も好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1~7、比較例1~8]
表1に示す処方に従い、常法により所定の成分を混合して、各液体口腔用組成物を調製した。
次いで、得られた液体口腔用組成物を用い、下記方法にしたがってHAP表面へのフッ素イオン取り込み率を求めた。
結果を表1に示す。
《HAP表面へのフッ素イオン取り込み率》
得られた液体口腔用組成物の4倍希釈溶液20mLにHAPペレット(APP-100 HOYA)10mm×10mm×2mmを浸漬して3分間浸漬した後、イオン交換水で液体口腔用組成物を除去してペレットを乾燥させた。乾燥後のペレットから1Nの塩酸によって30秒間フッ素イオンの抽出を行い、フッ素イオン電極(ionplus20Fluoride(ORION社製))を用い、イオンアナライザー(Expandable ionAnalyzer EA 940(ORION社製))を使用してHAPペレットに吸着したフッ素量をフッ素イオン取り込み量とみなして定量した。
各液体口腔用組成物を調製した際に用いた成分(A)のフッ素原子換算量を100%基準とし、得られたフッ素イオン取り込み量の値を元に、HAP表面へのフッ素イオン取り込み率(%)を算出した。かかる値が大きいほど、フッ素イオン取り込み量が多く、歯質の強化に優れることを示す。
[実施例8~10、比較例9~12]
表2に示す処方に従い、常法により所定の成分を混合して、各歯磨組成物を調製した。
次いで、得られた歯磨組成物を用い、下記方法にしたがって測定及び評価を行った。
結果を表2に示す。
《ヘリパス粘度の測定》
製造後に24時間室温(25℃)で静置した歯磨組成物を粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(VISCOMETER TVB-10 東機産業)を用いて、ロータT-C、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定した。
《B8H粘度の測定》
得られた歯磨組成物の回転粘度を、B8H型粘度計(東機産業 TVB-10R)、ロータH7、回転速度2.5rpm、1分間の条件で測定した。
《HAP表面へのフッ素イオン取り込み率》
得られた歯磨組成物2.5gをイオン交換水にて4倍希釈し、各試料10gを得た。次いで、各試料の4倍希釈液にHAPペレット(APP-100 HOYA)10mm×10mm×2mmを浸漬して3分間浸漬した後、イオン交換水で歯磨組成物を除去してペレットを乾燥させた。乾燥後のペレットから1Nの塩酸によって30秒間フッ素イオンの抽出を行い、フッ素イオン電極(ionplus20Fluoride(ORION社製))を用い、イオンアナライザー(Expandable ionAnalyzer EA 940(ORION社製))を使用してHAPペレットに吸着したフッ素量をフッ素イオン取り込み量とみなして定量した。
各歯磨組成物を調製した際に用いた成分(A)のフッ素原子換算量を100%基準とし、得られたフッ素イオン取り込み量の値を元に、HAP表面へのフッ素イオン取り込み率(%)を算出した。かかる値が大きいほど、フッ素イオン取り込み量が多く、歯質の強化に優れることを示す。
《知覚過敏症に起因する痛み改善の評価》
得られた歯磨組成物について、長期使用による象牙質知覚過敏症状に起因する痛み防止又は抑制の程度を評価した。評価対象者(パネラー)として、最近1ヶ月の間で歯がしみるのが毎日である者、又は週に1回以上である者を採用した。パネラー85名が2週間にわたり、1日2~3回継続して各歯磨組成物を使用した後に、知覚過敏症に起因する痛みが防止又は抑制されたかについて評価した。
評価基準は、2週間の使用継続後に「しみる痛みの改善効果」について、「1:やわらいだ」、「2:変化無し」、「3:痛みが増した」の3段階とし、これらのなかから回答を得た後、各段階の総パネラー数を求め、総パネラー中での割合を算出した。次いで、「1:やわらいだ」を回答したパネラーの割合を100%とし、これを10に置き換えて数値化した値を知覚過敏症に起因する痛みの評価の指標とした。
結果を表2に示す。かかる数値が大きいほど、歯磨組成物の使用により歯質が強化され、知覚過敏症に起因する痛みが防止又は抑制されたことを意味する。
Figure 0007075291000001
Figure 0007075291000002
《象牙質細管の観察評価》
ウシ象牙質の約1cm角切片(厚さ約500μm)をサンドペーパーで鏡面研磨し、10分間超音波処理した。次に、1%クエン酸水溶液に20秒間エッチング処理し、再度10分間超音波処理しスメア層を完全除去した。次いで、実施例8で得られた歯磨組成物を用いてハミガキ4倍水希釈液を作成し、200gの加重下で単回5分間のブラッシングを行った。かかる歯磨組成物を使用する前と使用した後の象牙質細管の様子について、SEM(EYENCE社製 VE-7800、加速電圧:2.0kV)を用いて観測した(低加速電圧で最表面の状態のみを観測)。使用する前の象牙質細管の開口部の写真を図1に、使用後の象牙質細管の開口部の写真を図2に示す。
図2によって、本願発明の歯磨組成物を適用すれば、図1に示される象牙質細管の開口部を有効に封鎖できることが確認された。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)~(C):
    (A)フッ化ナトリウム、及びフッ化スズから選ばれる1種又は2種のフッ素イオン供給化合物
    (B)グリセロリン酸カルシウム 0.35質量%以上1.3質量%以下
    (C)炭素数12以上18以下の飽和脂肪酸を由来とする脂肪酸二価金属塩 0.5質量%以上6質量%以下
    を含有し、かつ成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が0.14以上1.5以下である口腔用組成物。
  2. 硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤(D)を含有する請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が、0.12以上0.8以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
  4. 成分(A)のフッ素原子換算量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))が、0.01以上0.3以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
  5. さらにプロピレングリコールを含有し、かつ歯磨組成物である請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
  6. さらにアニオン界面活性剤を0.2質量%以上3質量%以下含有する請求項5に記載の口腔用組成物。
  7. さらに粘結剤を2質量%以上4質量%以下含有する請求項5又は6に記載の口腔用組成物。
  8. アルキル硫酸塩の含有量が、アニオン界面活性剤の含有量中に1質量%以上50質量%以下である請求項6又は7に記載の口腔用組成物。
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