JP7073217B2 - 像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
近年、複写機やレーザープリンター等の画像形成装置に具備される像加熱装置において、消費電力の低減やウェイト時間短縮のニーズがある。像加熱装置を定着実行可能な状態とする立ち上げ時間の短縮は、大きなエネルギーを投入することでも可能となるが、省エネルギーの観点では好ましくない。そこで、像加熱装置を形成する各部材の熱容量を小さくする、あるいは、熱伝導性を高める手段として熱伝達を担う部材の厚みを薄くする、または、より高熱伝導性の材料を用いるなどの改良を実施することが提案されている(特許文献1)。かかる改良により、従来の像加熱装置と比較して省エネルギー化を図ることができるフィルム加熱方式の像加熱装置が具現化されている。
熱量を奪っても、記録材の後端までの定着性を確実なものとするための制御である。トナー量が多い画像は、定着部材や加圧部材から奪う熱量が多くなるため、記録材後端にかけての定着性が厳しくなる。そのため、記録材中温度制御はトナー量が多くなる記録材全面にトナー像が形成される場合でも、記録材後端で熱量が不足しないように、記録材後端にかけて制御目標温度を高くするなどの制御で最適化されている。そのため、トナー量の少ない画像の場合、必要以上の熱量を記録材に与えることになる。その結果、必要以上の熱量が記録材に与えられた記録材が湾曲してしまうカール現象が発生することが判明した。
ヒータと、内面に前記ヒータが接触する筒状のフィルムと、前記フィルムの外面に接触して前記外面との間に記録材を搬送するニップ部を形成する回転される加圧部材と、を有し、前記ヒータの熱を利用して記録材に形成された未定着トナー像を加熱する像加熱部と、
前記ヒータの温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部が検知する前記温度が所定の制御目標温度を維持するように前記ヒータに供給する電力を制御する制御部と、
前記未定着トナー像を形成するための画像情報を取得する取得部と、
を備え、
前記制御目標温度は、記録材を搬送方向に分割した複数の領域ごとに、前記画像情報に基づいて設定され、
前記複数の領域は、記録材を搬送方向に前記フィルムまたは前記加圧部材の周長で分割した複数の領域であることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に未定着トナー像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された未定着トナー像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が本発明の像加熱装置であることを特徴とする。
1.画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の概略の断面図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ装置などが挙げられ、ここではレーザビームプリンタに適用した場合について説明する。
写電界によって順次中間転写体(中間転写ベルト)103上に転写されることで順次重畳され、複数色からなるトナー像が中間転写体103上に形成される。中間転写体103上に転写されたトナー像は、中間転写体103と二次転写ローラ22で形成される二次転写部で、二次転写ローラ22に印加された転写電界により記録材P上に二次転写される。
上述した、感光ドラム19、帯電ローラ16、スキャナユニット20、現像ローラ17、転写ローラ21、22等が、記録材Pに未定着トナー画像を形成する画像形成部を構成している。
図2は、本実施例の定着装置200の模式的断面図である。定着装置200は、エンドレスベルトとしての定着フィルム202と、定着フィルム202の外面に接触する加圧部材としての加圧ローラ208と、金属ステー204と、を有する。加圧ローラ208は、定着フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する。
300は、アルミナ等の電気絶縁性が高く、熱伝導性に優れ、低熱容量のセラミック基板305を有している。このセラミック基板305の定着フィルム202と対向する側とは反対側の面に、基板長手方向(図面に垂直の方向、記録材搬送方向と直交する方向)に沿って銀パラジウム等からなる通電発熱抵抗層302(発熱体)が、スクリーン印刷等で形成されている。さらに、通電発熱抵抗層302の絶縁性を確保する目的で、50μm程度の薄層の保護ガラス層307が、通電発熱抵抗層302を覆っている。
また、ヒータ300の異常発熱により作動してヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の安全素子212が、ヒータ300に直接、もしくはヒータ保持部材201を介して間接的に当接している。
定着制御は、幾つかの制御が組み合わされ定着制御として実行されている。
最初に基本となる制御目標温度について説明する。
基本となる制御目標温度は、定着フィルム202の表面温度を定着不具合の発生しない温度範囲に収まるようにヒータ300への通電を制御するものである。温度範囲の下限は定着不良(記記録材Pにトナー像が永久画像として固定されない現象)が発生しない温度以上とし、上限は高温オフセットが発生しない温度以下とすることである。
続いて、基本となる制御目標温度の補正制御について説明する。
薄肉の定着フィルム202を定着部材とするフィルム加熱方式の定着装置200は、極短時間で定着可能な状態に移行するクイックスタートを実現するために低熱容量化された部材から構成されている。
低熱容量化された部材は蓄熱容量が小さいため、一定温度の制御目標温度として連続し
た定着を実行すると部材が昇温することになり、高温オフセットが発生することがある。
そこで、部材温度の昇温と連動して、図3に示したように記録材Pの定着実行枚数に応じて制御目標温度を段階的に下げる段階的温度制御が組み込まれている。
背景の項でも述べたように熱容量の小さなフィルム加熱方式の像加熱装置では、記録材Pが定着ニップNを通過することで定着フィルム202や加圧ローラ208の表面温度が低下し、記録材Pの後端にかけて与える熱量が不足することがある。
熱量不足を回避するために、図4に示したように記録材Pの中で定着フィルム202や加圧ローラ208の回転周期で制御目標温度を高く補正する記録材中温度制御も組み込まれている。これにより、記録材先端から後端にかけての定着フィルム202や加圧ローラの表面温度を均すことができる。
図4には比較例で採用されている記録材中温度制御として、定着フィルムの周回毎に累積的な補正量として+6[℃]の補正をする例を示している。定着フィルム4周目の途中から補正値を0℃にしているのは、A4サイズの記録材が定着ニップを抜けるタイミングであり、後続の記録材Pの定着に備えるためである。このタイミングは通紙される記録材Pのサイズによって変わるものである。
また、定着を開始する際のサーミスタTの検知温度から定着装置200の昇温状態に応じた定着器昇温状態制御も組み込まれている。
定着昇温状態制御は、表1に示したように検知温度が高い場合、定着装置200は昇温した状態にあると判断し制御目標温度を低く補正する。検知温度が低い場合、定着装置200は冷えている状態にあると判断し制御目標温度を高い補正とするものである。表1に定着器昇温状態制御の補正値を示す。
また、記録材Pの種類に応じた制御目標温度の設定もなされている。記録材Pの種類としては、例えば、広く一般的に事務用途に使用される記録材Pとして坪量65~80[g/m2]の紙、それよりも坪量の大きい記録材P、光沢紙、封筒やラベル紙などが挙げられる。これら様々な記録材Pを定着するための制御目標温度がそれぞれ設定された、様々な記録材Pに対応する紙種別制御も組み込まれている。
また、画像形成装置100が置かれる雰囲気下の温度や湿度を、例えば温湿度センサ等の環境検知手段を用いて検知し、それらの環境に適した制御目標温度で制御する環境補正制御もある。画像形成装置100が置かれる環境が低温環境の場合、記録材Pやトナーの温度も低くなるので制御目標温度高く設定することで定着不良を防止する。高温環境の場合は記録材Pやトナーの温度も高くなるので制御目標温度を低く設定することで高温オフセットやカールを防止している。
また、画像形成装置100で通紙可能な最大幅(本実施例ではLTR(幅216mm))の記録材Pよりも幅の狭い記録材Pとして、A5(幅148mm)の記録紙や日本での標準的な封筒「長型4号」(幅90mm)などが挙げられる。これらの記録材等を通紙すると、記録材Pの通過しない領域(=非通紙部)においては、ヒータ300からの熱量が記録材Pに奪われない。奪われなかった余剰な熱量は、定着フィルム202や加圧ローラ208などの非通紙部に蓄積され、制御目標温度以上に高くなる非通紙部昇温状態となる。非通紙部昇温状態で幅の広い記録材Pを通紙すると、非通紙部の昇温部では高温オフセットが発生する。また、定着装置200で使用される部材の耐熱温度を超えてしまい変形・溶融などの不具合を引き起こすことになる。
続いて、本発明で提案する記録材中温度制御について詳細に説明する。
記録材中温度制御での補正は、定着性が一番厳しくなる条件においても記録材Pの後端にかけて定着性が悪化しないものとしている。
定着フィルム202や加圧ローラ208から熱量を奪うのは、記録材Pと記録材P上に担持されたトナー像である。記録材Pに適した熱量とする制御は紙種別制御が担っているものの、トナー像の影響はトナー量に応じたものとなる。トナー量が少なければ奪われる熱量は小さく、トナー量が多ければ奪われる熱量も多くなる。
本実施系で用いたカラー画像形成装置においては、二次色である赤色、青色、または緑色の画像が全面にある「全面二次色」が奪う熱量が最も大きく、記録材Pの後端にかけての定着性が厳しくなる画像である。
画像形成装置が多く使用されているオフィスユースでは、全面二次色画像が印刷されることは稀である。主に使われる文書や表などの画像は、全面二次色画像に比べてトナー量が格段に少なく、定着に必要とされる熱量も小さい。そのため、文書や表などのトナー像が形成された記録材Pには過剰な熱量が与えられることになり、過剰な熱量により排出された記録材Pがカールしてしまう場合がある。
環境は、通常のオフィス環境を想定し27℃/65%の環境下で行った。
記録材Pは、カールの発生しやすい紙として坪量の小さなPB PAPER、64[g/m2](キヤノン株式会社製)を1週間放置したものを用いて、片面側のみの印刷とした。
通紙は、条件を揃えるため定着装置200が十分に室温まで冷えた状態から連続で10枚とし、排紙された記録材Pを平板に置き、4角のカール量(平板から浮き上がった4角
の平板からの高さ)を測定した。表中の数値は、印字面と反対面側に湾曲したカール量である。平均値は10枚の4角の合計40データの平均値、最大値は40データ中の最大値である。
画像パターンは、定着性が最も厳しい赤色の全面二次色、黒色の全面一次色、表中に文字があるもの、文字のみ、の4種の画像とした。
われる表や文字ではトナー像が奪う熱量が少なく、記録材Pに与える熱量が大きくなり、カール量が大きくなってしまうことが確認された。
この課題を解決するために、本実施例では記録材P上に印刷されるトナー像情報に応じて記録材中温度制御を変えるものであり、効果としてカールの最小化を実現するものである。
ホストコンピュータ等の外部装置から画像形成装置100へ送付された画像データは、取得部として、トナー像を取得する機能を備えた制御回路400にてビットマップデータに変換される。本実施例の画像形成装置100の画素数は600dpiであり、制御回路400では送付された画像データに応じたビットマップデータ(CMYK各色の画像濃度データ)を作成する。作成されたビットマップデータから各画素についてCMYK各色の画像データを取得し、各画素のCMYK各色の画像データとしてd(C)、d(M)、d(Y)、d(K)を得て、これらの合算値であるd(CMYK)を各画素で算出する。このような算出を記録材P全域の画素で行う。
各色の最大トナー量はFFhex=100[%]であるので、各色トナー量の合算値であるd(CMYK)は100[%]を超えることになるが、本実施例の画像形成装置100では記録材P上の最大トナー量が230[%[となるような色設計がなされている。
このような算出にて得られたd(CMYK)値を最大トナー量とする。
従来は、このような最大トナー量の画像でも確実な定着性が得られる制御目標温度として設定されている。
トナー占有率は、記録材P上にトナー像が形成可能なエリアに対して、実際にトナー像が形成されたエリアの比率(割合)であり、トナー占有率=画像形成画素数/トナー像形成可能画素数として算出している。すなわち、全面にトナー像が形成される画像では100[%]、トナー像が形成されない画像では0[%]となる。
本実施例の効果について説明する。効果の検証は、先の比較例でのカールの検証と同様の条件で実施した。先の比較例でカールの検証に用いた画像パターンの最大トナー量とトナー占有率は、全面二次色では最大トナー量:200[%]/トナー占有率:100[%]となる。同様に、全面一次色では最大トナー量:100[%]/トナー占有率:100[%]、表では最大トナー量:100[%]/トナー占有率:16[%]、文字では最大トナー量:100[%]/トナー占有率:4[%]である。
例えば、記録材Pの後端でトナー像がなくなる場合は補正しない、また、記録材Pの途中でトナー像が変わる場合は変わったトナー像情報に応じた補正とする、なども考えられる。そして、これらを組み合わせた記録材中温度制御とすることも可能であり、必要に応じて選択がなされるものである。
なお、本実施例では、区間Tiを定着フィルム202の周長を基準に分割した区間としたが、加圧ローラ208の周長を基準としても良い。
本発明の実施例2に係る定着装置について説明する。実施例2は、実施例1の応用例として、複数の発熱体を有する分割ヒータを採用した定着装置200bに関するものである。最初に、図6を用いて本実施例に係る分割ヒータ300bの構成を説明する。
図6(A)はヒータ300bの断面図、図6(B)はヒータ300bの各層の平面図、図6(C)はヒータ300bへの電気接点Cの接続方法を説明する図である。図6(B)には、本実施例の画像形成装置100における記録材Pの搬送基準位置Xを示してある。本実施例における搬送基準は中央基準となっており、記録材Pはその搬送方向に直交する方向における中心線が搬送基準位置Xを沿うように搬送される。また、図6(A)は、搬送基準位置Xにおけるヒータ300bの断面図となっている。
本実施例の加熱範囲は、発熱ブロックHB1の図中左端から発熱ブロックHB7の図中右端までの範囲であり、その全長は220mmである。また、各発熱ブロックの長手方向長さは、すべて同じ31.4mmとしているが、長さを異ならせても構わない。
図7は、実施例1のヒータ300bの制御回路400の回路図を示す。画像形成装置100には、商用の交流電源401が接続されている。ヒータ300bの電力制御は、トライアック411~トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411~417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1~FUSER7信号に従って動作する。トライアック411~417の駆動回路は省略して示してある。ヒータ300bの制御回路400は7つのトライアック411~417によって、7つの発熱ブロックHB1~HB7を独立に制御可能な回路構成となっている。ゼロクロス検知部421は、画像形成装置100を動作させる商用交流電源のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にゼロクロス信号を出力している。ゼロクロス信号は、トライアック411~417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いている。
チ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。同様に、サーミスタTH2-5~TH2-7による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。同様に、ラッチ部442は非ラッチ状態において、RLOFF2信号をオープン状態の出力にしている。
図8は、本実施例におけるヒータ300bの発熱ブロックと加熱領域A1~A7の関係を示す図であり、A4サイズの記録材と対比して表示している。加熱領域A1~A7は、定着ニップN内の、発熱ブロックHB1~HB7に対応した位置に設けられており、発熱ブロックHBi(i=1~7)の発熱により、加熱領域Ai(i=1~7)がそれぞれ加熱される。加熱領域A1~A7の全長は220mmであり、各領域はこれを均等に7分割したものである(L=31.4mm)。
加熱領域Aiの分類に沿った本実施例のヒータ300bの制御方法、すなわち各発熱ブロックHBi(i=1~7)の発熱量制御方法を説明する。発熱ブロックHBiの発熱量は、発熱ブロックHBiへの供給電力によって決まる。発熱ブロックHBiへの供給電力を大きくすることで、発熱ブロックHBiの発熱量は大きくなり、発熱ブロックHBiへの供給電力を小さくすることで、発熱ブロックHBiの発熱量が小さくなる。発熱ブロックHBiへの供給電力は、発熱ブロック毎に設定される制御目標温度TGTi(i=1~7)と、サーミスタTH1-1~4、TH2-5~7の検知温度に基づき算出される。本実施例では、各サーミスタTH1-1~4、TH2-5~7の検知温度が各発熱ブロックHBiの制御目標温度TGTiと等しくなるよう、PID制御によって供給電力が算出される。
域Aiを記録材Pが通過する場合は、加熱領域Aiを画像範囲が通過するかを判断する(S1003)。通過する場合は加熱領域Aiを画像加熱領域AIと分類(S1004)、通過しない場合は加熱領域Aiを非画像加熱領域APと分類する(S1005)。
上昇し、定着フィルム202の回転を妨げることが原因である。発明者等の実験によると、本実施例の定着装置200bにおいては、非通紙加熱領域基準温度TANを128℃以上とすることで記録材Pの搬送を安定させられることが分った。省電力化の観点では、制御目標温度TGTiを可能な限り低くし発熱ブロックHBiの発熱量を下げることが望ましいため、本実施例ではTAP=128℃としている。なお、非通紙加熱領域基準温度TANはグリースの粘度特性を含めた定着装置200bの構成を考慮して決定されるべきものであり、128℃に限定されるものではない。
実施例2の記録材中温度制御について説明する。従来の記録材中温度制御は、全面に最大トナー量である二次色画像が形成されても記録材Pの後端にかけての定着性が確実なものとなるように、先の実施例1の図4で示した補正値で制御している。実施例2では、各加熱領域のトナー像情報に応じて、記録材中温度制御の補正値を最適化するものであり、発熱体が複数個に分割されているため、実施例1よりもトナー像に合わせて記録材中温度制御を実施できるものである。実施例2でもトナー像情報は、実施例1同様に最大トナー量とトナー占有率を用いた。
加熱領域A5~A7のグラフは二次色で形成されており最大トナー量は200%であり、制御目標温度TGTiは画像加熱領域基準温度-最大トナー量補正値=222-0=222[℃]となる。記録材中温度制御による補正は、トナー占有率が23%であるので表3に沿って比較例と実施例2ともに+6℃での同じ温度となる。
加熱領域A1~A4の文字部の最大トナー量は100%であるので、制御目標温度TGTi=画像加熱領域基準温度-最大トナー量補正値=222-4=218[℃]となる。記録材中温度制御は、比較例ではトナー像情報によらない補正であるので+6℃で補正されるが、実施例2ではトナー占有率4%に適した補正値として表3に沿った+1℃で補正される。
記録材Pに与える熱量を減らせる実施例2の効果について説明する。効果は、実施例2においても記録材Pのカールで検証した。検証の条件は、実施例1と同様であり、分割ヒータ300bを用いた定着装置200b以外は実施例1と同じ画像形成装置100を用いた。検証した結果を表6に示す。
カールの左右差について説明する。比較例では、加熱領域A5~A7の熱量はトナー量
に適したものであるものの、加熱領域A1~A4の熱量はトナー量に対して過剰となっているため、記録材Pの左側に生じるカールは大きくなり、カールに左右差が発生してしまっている。一方、実施例2は、トナー量が少ない加熱領域A1~A4の制御目標温度を下げられることを特徴とすることで、記録材Pに与える熱量を左右均等にすることが可能となり、カールの左右差を解消できている。また、図10で示した網掛け部分に相当する熱量を低減できる効果と同時に、定着部材や加圧部材が過剰な熱量を受けなくなり部材の熱劣化を小さくできることで、耐久を通して像加熱装置の安定性を高めることにもなる。
実施例2では、加熱領域A5~A7の記録材中温度制御の補正値は、区間T1~T2の最大トナー量に適した+6[℃]として区間T3~T4も補正を実施しているが、以下の応用形態1もある。トナー像のない区間T3~T4の補正は、トナー像がないことに適した記録材中温度制御の補正値(すなわち、区間T3~T4に対応する領域における最大トナー量とトナー占有率はともに0%)として表3に沿って+1[℃]とするものである。図12に、実施例2の応用形態1における制御目標温度の変遷を示す。
別の応用形態として、トナー像のない区間T3では記録材中温度制御の補正を行わず、区間T2の画像加熱基準温度TAIである228[℃]を維持するものである。図13に、実施例2の応用形態2における制御目標温度の変遷を示す。
応用形態2の展開例として、トナー像のない区間が続く区間T4の制御目標温度を、後続の記録材Pの定着に備えて、画像加熱基準温度TAIである222[℃]にするものである。図13に、実施例2の応用形態3における制御目標温度の変遷を示す。本例では、区間T4からの変更としたが、トナー像がなくなる区間T3から戻すことも考えられる。
先の応用形態1~3は、図9の画像のように記録材Pの先端区間のT1~T2の加熱領域A5~A7にトナー像がある例で説明してきたが、応用形態4は、図14に示すような後端区間T3~T4にトナー像がある画像での応用形態である。このような画像での加熱領域A5~A7の記録材中温度制御は、トナー像の有無に適した制御とするため、図15に示した制御目標温度で制御している。図15の応用形態4では、トナー像のない加熱領域A5~A7の区間T1~T2の記録材中温度制御は表3に沿って+1[℃]の補正(すなわち、区間T1~T2に対応する領域における最大トナー量とトナー占有率はともに0%)とする。一方、トナー像のある区間T3~T4では+6[℃]の補正(すなわち、区間T3~T4に対応する領域における最大トナー量は200%、トナー占有率は約23%とする。
おいて、ユーザの印刷する画像に合わせて分割された加熱領域への通電を独立に制御することで、カールの抑制を実現できるものとできた。また、与える熱量を小さくすることでの省エネルギー化の効果もある。
本発明の実施例3について説明する。実施例3は、実施例2の応用例として、分割ヒータの隣り合う加熱領域のトナー像情報に応じて記録材中温度制御を変更するものである。電子写真方式の画像形成装置でプリントされる画像は様々であり、左右端にトナー像のない画像のプリントも多くある。
Claims (14)
- ヒータと、内面に前記ヒータが接触する筒状のフィルムと、前記フィルムの外面に接触して前記外面との間に記録材を搬送するニップ部を形成する回転される加圧部材と、を有し、前記ヒータの熱を利用して記録材に形成された未定着トナー像を加熱する像加熱部と、
前記ヒータの温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部が検知する前記温度が所定の制御目標温度を維持するように前記ヒータに供給する電力を制御する制御部と、
前記未定着トナー像を形成するための画像情報を取得する取得部と、
を備え、
前記制御目標温度は、記録材を搬送方向に分割した複数の領域ごとに、前記画像情報に基づいて設定され、
前記複数の領域は、記録材を搬送方向に前記フィルムまたは前記加圧部材の周長で分割した複数の領域であることを特徴とする像加熱装置。 - 前記複数の領域ごとに設定される前記制御目標温度は、前記複数の領域のうち前記搬送方向における前記記録材の後端側の領域ほど高くなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記後端側の領域ほど前記制御目標温度を高く設定する際の前記制御目標温度の増加量は、前記画像情報としての、前記未定着トナー像における単位画素あたりのトナー量の最大値が小さいほど、小さいことを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記後端側の領域ほど前記制御目標温度を高く設定する際の前記制御目標温度の増加量は、前記画像情報としての、前記記録材における前記未定着トナー像を形成可能な領域に占める前記未定着トナー像の割合が小さいほど、小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の像加熱装置。
- 前記複数の領域ごとに設定される前記制御目標温度は、基準の制御目標温度を、前記画像情報に基づいて設定される補正量で、前記複数の領域のうち記録材の先端側の領域から
後端側の領域にかけて累積的に補正することで設定されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の像加熱装置。 - 前記補正量は、前記複数の領域ごとに異なることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
- 前記ヒータは、記録材の搬送方向と直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有し、
前記像加熱部は、前記複数の発熱体の夫々により複数の加熱領域を個別に加熱することで、記録材に形成された画像を加熱するものであり、
前記制御目標温度は、前記複数の加熱領域に対応する記録材の夫々の領域において、前記複数の領域ごとに、前記画像情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の像加熱装置。 - 前記複数の加熱領域のうち、前記未定着トナー像が通過しない加熱領域の前記制御目標温度は、前記未定着トナー像が通過する加熱領域の前記制御目標温度よりも低いことを特徴とする請求項7に記載の像加熱装置。
- 前記複数の加熱領域のうちの一の加熱領域の前記制御目標温度の大きさは、前記一の加熱領域に対応する記録材の領域に含まれる未定着トナー像を形成するための画像情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項7または8に記載の像加熱装置。
- 前記一の加熱領域の前記制御目標温度の大きさは、前記一の加熱領域に対応する記録材の領域をさらに前記複数の領域ごとに分割した領域に夫々含まれる未定着トナー像を形成するための画像情報に基づいて、前記複数の領域ごとに、設定されることを特徴とする請求項9に記載の像加熱装置。
- 前記一の加熱領域に対応する記録材の領域を前記複数の領域ごとに分割した領域のうち、未定着トナー像が形成されない領域の前記制御目標温度は、未定着トナー像が形成される領域の前記制御目標温度よりも低いことを特徴とする請求項9または10に記載の像加熱装置。
- 同じ画像情報で形成される複数の未定着トナー像を連続して加熱する場合において、
前記複数の加熱領域のうち前記未定着トナー像が通過しない加熱領域において前記複数の領域ごとに設定される前記制御目標温度には、基準の制御目標温度に対する補正量をゼロとした制御目標温度が含まれることを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の像加熱装置。 - 前記未定着トナー像が通過しない加熱領域のうち、前記未定着トナー像が通過する加熱領域と隣接しない加熱領域の前記制御目標温度は、前記未定着トナー像が通過する加熱領域と隣接する加熱領域の前記制御目標温度よりも低いことを特徴とする請求項12に記載の像加熱装置。
- 記録材に未定着トナー像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された未定着トナー像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が請求項1~13のいずれか1項に記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
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