JP7069954B2 - 水性インクジェット用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水性インクジェット用組成物に関する。
近年、インクジェットプリントの用途が拡大しており、オフィス、家庭用の印刷機としてのほか、商業印刷、テキスタイルプリント等へも適用されている。
そして、分散染料を含むインクジェット用インクも用いられている。
このようなインクジェット用インクとしては、染色すべき記録媒体(通常、繊維で構成されたもの)へインクを付与(プリント)した後、スチーミング等の熱処理により染料を染着させるダイレクトプリント法や、中間転写媒体(専用の転写紙)に染料インクを付与(プリント)した後、熱により染料を中間転写媒体側から染色すべき記録媒体へ昇華転写させる熱転写プリント法がある。
分散染料を含むインクジェットインクは、一般に、分散染料の長期分散安定性の問題から、インクの保存安定性が低く、インクジェット法による吐出安定性にも劣るという問題があった。
このような問題を解決する目的で、特許文献1に記載のインク組成物が提案されている。
国際公開WO2005/121263号公報
しかしながら、このようなインク組成物では、特定の分散染料を含む場合に、インク組成物の保存安定性を十分に優れたものとすることができず、長期保存によりインクジェット法による吐出の際にヘッドフィルターやノズルに詰まりが生じるという課題がある。特に、分散染料として、黄色系の発色性に優れる分散染料であるC.I.Disperse Yellow 54を用いた場合に、このような課題が顕著になることを本発明者は見出していた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
[1] C.I.Disperse Yellow 54と、
下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物および下記式(4)で示されるトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aと、
アニオン系分散剤とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。
Figure 0007069954000001
(式(1)中、Rは、炭素数が6以下の炭化水素基、または-(CH-NR(ただし、mは6以下の整数、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基)であり、nは1以上の整数である。)
Figure 0007069954000002
(式(2)中、R、Rのうちの一方は-OHであり、他方は-NR(だだし、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基である。)であり、nは1以上の整数である。)
Figure 0007069954000003
(式(4)中、R は-SO Hである。)
[2] 前記アニオン系分散剤は、下記式(3)で示される化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩およびリグニンスルホン酸のうちの少なくとも1種である上記[1]に記載の水性インクジェット用組成物。
Figure 0007069954000004
(式(3)中、Rは、炭素数が4以下の炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
[3] 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記物質Aの含有率をXA[質量%]としたとき、0.03≦XA/XD≦1.0の関係を満足する上記[1]または[2]に記載の水性インクジェット用組成物。
[4] 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.3≦XB/XD≦1.0の関係を満足する上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
[5] 前記物質Aの含有率をXA[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.03≦XA/XB≦1.2の関係を満足する上記[]ないし[4]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
[6] 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率が0.25質量%以上25質量%以下である上記[1]ないし[5]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
[7] 前記物質Aの含有率が0.13質量%以上6.0質量%以下である上記[1]ないし[6]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
[8] 前記アニオン系分散剤の含有率が0.13質量%以上25質量%以下である上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
[9] 前記アニオン系分散剤の重量平均分子量が1000以上20000以下である上記[1]ないし[8]のいずれかに記載の水性インクジェット用組成物。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<水性インクジェット用組成物>
ところで、各種分散染料の中でもC.I.Disperse Yellow 54は、発色性に優れる等の特長を有する一方で、以下のような問題を有していた。すなわち、C.I.Disperse Yellow 54は、従来、水性インクジェット用組成物の構成成分として用いたときに、当該水性インクジェット用組成物の保存安定性を十分に優れたものとすることができず、長期保存によりインクジェット法による吐出の際にヘッドフィルターやノズルに詰まりが生じるという問題が顕著に発生していた。
このような問題について、本発明者は、鋭意研究を行った結果、C.I.Disperse Yellow 54を含む成分が軟凝集(flocculation)することに起因することを見出した。
そこで、本発明者は、C.I.Disperse Yellow 54が有する優れた特徴を生かしつつ、軟凝集による軟凝集体の発生を抑制することを目的として、さらに鋭意研究を行った結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の水性インクジェット用組成物は、C.I.Disperse Yellow 54と、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物およびトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aと、アニオン系分散剤とを含むことを特徴とする。
Figure 0007069954000005
(式(1)中、Rは、炭素数が6以下の炭化水素基、または-(CH-NR(ただし、mは6以下の整数、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基)であり、nは1以上の整数である。)
Figure 0007069954000006
(式(2)中、R、Rのうちの一方は-OHであり、他方は-NR(だだし、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基である。)であり、nは1以上の整数である。)
このような構成により、分子量が比較的小さいことで低温プロセスでの発色に優れる等の特長を有する分散染料であるC.I.Disperse Yellow 54を含むことによる効果を得つつ、長期保存による軟凝集体の顕著な発生や、インクジェット法による吐出の際にヘッドフィルターやノズルに詰まりが生じにくい水性インクジェット用組成物を提供することができる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、上記の物質Aを用いなかった場合には、水性インクジェット用組成物中でのC.I.Disperse Yellow 54の分散安定性が確保できず、水性インクジェット用組成物の長期保存時等に軟凝集体が発生しやすくなる。
また、アニオン系分散剤を用いなかった場合や、アニオン系分散剤の代わりに他の分散剤(例えば、ノニオン系分散剤、カチオン系分散剤等)を用いた場合には、水性インクジェット用組成物中でのC.I.Disperse Yellow 54の分散安定性が確保できず、水性インクジェット用組成物の長期保存時等に軟凝集体が発生しやすくなる。
なお、本明細書において、「軟凝集」とは、通常の強固な凝集(硬い凝集)とは異なり、所定の粒径を有する凝集粒子として存在しているのではなく、「綿毛状の塊」のように、明確な粒径を有しておらず、変形を生じやすい軟らかい凝集状態のことを指す。
このような軟凝集の進行の程度は、例えば、FPIA(湿式フロー式粒子径・形状分析装置)による測定で判断することができる。すなわち、所定時間経過する前後に、水性インクジェット用組成物について、FPIAによる測定を行い、粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子の粒子数を求める。そして、所定時間経過する前後でのこの粒径範囲の粒子数の変動率が大きいほど軟凝集体の形成が進行しているといえる。FPIAとしては、例えば、シスメックス社製のフロー式粒子像分析装置FPIA-2100、FPIA-3000、FPIA-3000S等を利用することができる。
また、本明細書において、水性インクジェット用組成物とは、インクジェット法により吐出されるインクそのもののほか、当該インクの調製に用いられる原液を含む概念である。言い換えると、本発明の水性インクジェット用組成物は、そのまま、インクジェット法により吐出に供されるものであってもよいし、希釈等の処理の後にインクジェット法により吐出に供されるものであってもよい。
[物質A]
本発明の水性インクジェット用組成物は、上記式(1)で示される化合物、上記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物およびトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aを含んでいる。
当該物質Aは、C.I.Disperse Yellow 54およびアニオン系分散剤と組み合わせて用いることにより、C.I.Disperse Yellow 54の水性インクジェット用組成物中における分散安定性、水性インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとすることができ、長期保存による軟凝集体の顕著な発生や、インクジェット法による吐出の際のヘッドフィルターやノズルの詰まりの発生を効果的に防止することができる。その結果、水性インクジェット用組成物の吐出を長期間にわたって安定的に行うことができ、インクジェット方式による記録物の品質を安定的に優れたものとすることができる。また、当該物質Aは、記録物の品質に対する悪影響や、昇華捺染における悪影響を生じにくい成分である。
本発明の水性インクジェット用組成物は、物質Aとして、1種の化合物を含むものであってもよいし、複数種の化合物を含むものであってもよい。より具体的には、物質Aは、例えば、式(1)で示される化合物と、式(2)で示される化合物との混合物であってもよい。
水性インクジェット用組成物中における物質Aの含有率は、0.13質量%以上6.0質量%以下であるのが好ましく、0.20質量%以上4.0質量%以下であるのがより好ましく、0.50質量%以上3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中における物質Aの含有率は、0.13質量%以上1.0質量%以下であるのが好ましく、0.20質量%以上0.80質量%以下であるのがより好ましく、0.50質量%以上0.50質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中における物質Aの含有率は、0.5質量%以上6.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下であるのがより好ましく、1.3質量%以上3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、水性インクジェット用組成物を構成する物質Aが複数種の化合物を含む場合、前記含有率としては、これら複数種の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
[アニオン系分散剤]
本発明の水性インクジェット用組成物は、アニオン系分散剤を含んでいる。
アニオン系分散剤は、電離してアニオンとなるものであれば特に限定されないが、下記式(3)で示される化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩およびリグニンスルホン酸のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
Figure 0007069954000007
(式(3)中、Rは、炭素数が4以下の炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
これにより、分散剤の疎水性が向上し、C.I.Disperse Yellow 54に対する当該分散剤の吸着が促進され、水性インクジェット用組成物の長期安定性がさらに向上する。
式(3)中のRは、炭素数が4以下の炭化水素基であればよいが、中でも、炭素数が2以下の炭化水素基(メチル基、エチル基)であるのが好ましい。
これにより、アニオン系分散剤の疎水性と親水性とのバランスをより好適なものとすることができ、水性インクジェット用組成物中におけるC.I.Disperse Yellow 54の分散安定性をより優れたものとすることができる。
アニオン系分散剤の重量平均分子量Mwは、1000以上20000以下であるのが好ましく、2000以上10000以下であるのがより好ましく、3000以上5000以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
なお、水性インクジェット用組成物は、アニオン系分散剤として2種以上の化合物を含んでいてもよい。
水性インクジェット用組成物中におけるアニオン系分散剤の含有率は、0.13質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上15質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上10質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中におけるアニオン系分散剤の含有率は、0.13質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上4.0質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中におけるアニオン系分散剤の含有率は、5.0質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、8.0質量%以上18質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、水性インクジェット用組成物を構成するアニオン系分散剤が複数種の化合物を含む場合、前記含有率としては、これら複数種の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
[C.I.Disperse Yellow 54]
水性インクジェット用組成物は、分散染料として、C.I.Disperse Yellow 54を含んでいる。
水性インクジェット用組成物中におけるC.I.Disperse Yellow 54の平均粒径は、50nm以上250nm以下であるのが好ましく、75nm以上200nm以下であるのがより好ましく、100nm以上150nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上する。また、水性インクジェット用組成物を用いて形成された記録部をより効果的に昇華させることができ、昇華捺染により好適に適用することができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。平均粒径は、例えば、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた測定により求めることができる。
C.I.Disperse Yellow 54の市販品としては、例えば、ResolinYellow 4GL(Lanxess社製)、Foron Yellow SE3GL (Clariant社製)等が挙げられる。
水性インクジェット用組成物中におけるC.I.Disperse Yellow 54の含有率は、0.25質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物を用いて形成される記録部においてより高い色濃度を得ることができるとともに、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
特に、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクそのものである場合、当該インク中におけるC.I.Disperse Yellow 54の含有率は、0.25質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上8.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上5.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、水性インクジェット用組成物がインクジェット法により吐出されるインクの調製に用いられる原液である場合、当該原液中におけるC.I.Disperse Yellow 54の含有率は、5.0質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、8.0質量%以上20質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
水性インクジェット用組成物中における、C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、物質Aの含有率をXA[質量%]としたとき、0.03≦XA/XD≦1.0の関係を満足するのが好ましく、0.04≦XA/XD≦0.8の関係を満足するのがより好ましく、0.05≦XA/XD≦0.7の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
水性インクジェット用組成物中における、C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.3≦XB/XD≦1.0の関係を満足するのが好ましく、0.4≦XB/XD≦0.9の関係を満足するのがより好ましく、0.5≦XB/XD≦0.8の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
水性インクジェット用組成物中における、物質Aの含有率をXA[質量%]、アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.03≦XA/XB≦1.2の関係を満足するのが好ましく、0.1≦XA/XB≦1.0の関係を満足するのがより好ましく、0.2≦XA/XB≦0.5の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の保存安定性がさらに向上し、長期保存時等における軟凝集体の発生がより効果的に防止される。
[水]
水性インクジェット用組成物は、水を含んでいる。
水性インクジェット用組成物中における水の含有率は、特に限定されないが、30質量%以上85質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上80質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上75質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の粘度をより確実に好適な値に調整することができ、インクジェット法による吐出安定性をより向上させることができる。
[水以外の溶剤]
水性インクジェット用組成物は、水以外の溶剤を含んでいてもよい。
これにより、水性インクジェット用組成物の粘度を好適に調整したり、水性インクジェット用組成物の保湿性を高めたりすることができる。その結果、インクジェット法による液滴吐出をより安定的に行うことができる。
水性インクジェット用組成物中に含まれる水以外の溶剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、2-ピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤を含むことにより、優れた保湿能により蒸発速度を緩やかにし、より安定的な液滴吐出を行うことができる。
水性インクジェット用組成物中に含まれる水以外の溶剤の含有率は、0質量%以上45質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上43質量%以下であるのがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した水以外の溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
[界面活性剤]
水性インクジェット用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
これにより、記録媒体(基材)に対する水性インクジェット用組成物の濡れ性をより好適なものとすることができ、より良好な画質を得る上で有利である。
水性インクジェット用組成物中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
より具体的には、水性インクジェット用組成物中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
水性インクジェット用組成物がシリコーン系界面活性剤を含んでいると、記録媒体(基材)に対する水性インクジェット用組成物の濡れ性をさらに好適なものとすることができ、より優れた諧調性の画像(記録部)を形成することができる。
水性インクジェット用組成物がシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、水性インクジェット用組成物中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量は、C.I.Disperse Yellow 54:100質量部に対して、5.0質量部以上150質量部以下であるのが好ましく、7.0質量部以上140質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以上70質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-337、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-378(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。
[その他の成分]
水性インクジェット用組成物は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、C.I.Disperse Yellow 54以外の着色剤、前記以外の分散剤、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール等の浸透剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤等が挙げられる。防腐剤・防かび剤としては、例えば、分子内にイソチアゾリン環構造を有する化合物を好適に用いることができる。
その他の成分の含有率(その他の成分として複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の総和)は、6質量%以下であるのが好ましく、4質量%以下であるのがより好ましい。
特に、本発明の水性インクジェット用組成物が、前記以外の分散剤(その他の分散剤)を含む場合、当該分散剤(その他の分散剤)の含有率は、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であるのがより好ましい。
水性インクジェット用組成物の20℃における表面張力は、20mN/m以上50mN/m以下であるのが好ましく、21mN/m以上40mN/m以下であるのがより好ましく、23mN/m以上30mN/m以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット方式による吐出装置のノズルの詰まり等がより生じにくくなり、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。また、ノズルの詰まりを生じた場合でも、ノズルにキャップをすること(キャッピング)による回復性をより優れたものとすることができる。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、CBVP-7等)を用いることができる。
水性インクジェット用組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましく、4mPa・s以上10mPa・s以下であるのがさらに好ましい。
これにより、水性インクジェット用組成物の吐出安定性がより向上する。
なお、粘度は、20℃にて、粘弾性試験機(例えば、Pysica社製、MCR-300)を用いて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本発明の水性インクジェット用組成物は、通常、カートリッジ、袋、タンク等の容器に収納された状態で、インクジェット法による記録装置に適用される。言い換えると、本発明に係る記録装置は、本発明の水性インクジェット用組成物を収納する容器(インクカートリッジ等)を備えるものである。
<記録方法>
本発明の水性インクジェット用組成物は、例えば、ダイレクトプリント法、熱転写プリント法(例えば、昇華捺染)等に適用することができるが、C.I.Disperse Yellow 54が昇華性を有していることから、熱転写プリント法に好適に適用することができる。
以下、本発明の水性インクジェット用組成物を用いた記録方法として、熱転写プリント法(昇華捺染)の一例について説明する。
本実施形態に係る記録方法は、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させるインク付着工程と、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物中に含まれる昇華性染料としてのC.I.Disperse Yellow 54を記録媒体に転写させる転写工程とを有している。
[インク付着工程]
インク付着工程では、インクジェット方式により、水性インクジェット用組成物を中間転写媒体に付着させる。インクジェット方式による水性インクジェット用組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。中でも、水性インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インク付着工程では、本発明に係る水性インクジェット用組成物以外のインクを併用してもよい。
[中間転写媒体]
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。中でも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付着した水性インクジェット用組成物が乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、C.I.Disperse Yellow 54の昇華がより円滑に進行する傾向にある。
[転写工程]
その後、水性インクジェット用組成物が付着された中間転写媒体を加熱し、水性インクジェット用組成物の構成成分としてのC.I.Disperse Yellow 54を記録媒体に転写させる。これにより、記録物が得られる。
本工程での加熱温度は、160℃以上220℃以下であるのが好ましく、170℃以上200℃以下であるのがより好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性をより向上させることができる。
本工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下であるのが好ましく、45秒以上80秒以下であるのがより好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性をより向上させることができる。
また、本工程は、水性インクジェット用組成物が付着した中間転写媒体の表面を、記録媒体と一定間隔で離間して対向させた状態で加熱することにより行ってもよいし、記録媒体の表面に密着させた状態で加熱することにより行ってもよいが、水性インクジェット用組成物が付着した中間転写媒体の表面を記録媒体の表面に密着させた状態で加熱することにより行うことが好ましい。
これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性をより向上させることができる。また、得られる記録物の発色性をより向上させることができる。
[記録媒体]
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、記録媒体としては、シート状、球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
記録媒体が布帛である場合に、布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維およびこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、記録媒体が樹脂(プラスチック)フィルムである場合、当該樹脂(プラスチック)フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。
なお、樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の水性インクジェット用組成物は、インクジェット方式での吐出に用いられるものであればよく、上述したような記録方法に適用されるものでなくてもよい。
例えば、上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有する方法に適用されるものであってもよい。
この場合、前処理工程としては、例えば、記録媒体にコート層を塗布する工程等が挙げられる。
また、中間処理工程としては、例えば、記録媒体を予備加熱する工程等が挙げられる。
また、後処理工程としては、例えば、記録媒体を洗浄する工程等が挙げられる。
また、本発明の水性インクジェット用組成物は、中間転写媒体を用いない昇華転写にも好適に適用することができる。中間転写媒体を用いない昇華転写としては、例えば、剥離可能なインク受容層が設けられた記録媒体(フィルム製品等)のインク受容層に、インクジェット方式により水性インクジェット用組成物を付着させる工程と、水性インクジェット用組成物が付着したインク受容層が設けられた記録媒体をそのまま加熱して、インク受容層から、その下層側の記録媒体に昇華拡散染色する工程と、インク受容層を記録媒体から剥離して記録物を得る工程とを有する方法等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェットインク製造用原液(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例A1)
まず、分散染料としてのC.I.Disperse Yellow 54と、物質Aとしてのトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物(式(4)中のRがHであり、nの平均値が60(EO60)である物質)と、アニオン系分散剤としてのメチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na(式(3)中のRが-CHである物質)と、純水とを、表3に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
インクジェットインク製造用原液中におけるC.I.Disperse Yellow 54の平均粒径は、150nmであった。
Figure 0007069954000008
(実施例A2~A21)
物質Aおよびアニオン系分散剤の種類、ならびに、各成分の配合比を表1、表2、表3に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
(比較例A1~A5)
分散染料、物質Aおよびアニオン系分散剤の種類、ならびに、各成分の配合比を表1、表2、表3に示すようにした以外は、前記実施例A1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインク製造用原液を製造した。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)の調製に用いた物質Aの略号と条件との関係を表1に示し、分散剤の略号と条件との関係を表2に示し、前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)の組成を表3に示す。なお、表中、C.I.Disperse Yellow 54を「DY54」、C.I.Disperse Yellow 33を「DY33」、C.I.Disperse Yellow 42を「DY42」、ポリカルボン酸系活性剤(三洋化成工業社製、キャリボンL-400)を「A1’」、アニオン系分散剤以外の分散剤(ノニオン系分散剤)としてのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(東邦化学社製、ソルボン T-40)を「B1’」と示した。なお、実施例A3等で用いた物質AとしてのA3は、下記式(5)で示される。また、前記実施例A1~A21のインクジェットインク製造用原液は、いずれも、粘度が2.0mPa・s以上30mPa・s以下の範囲内の値であり、表面張力が25mN/m以上50mN/m以下の範囲内の値であった。なお、粘度は、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定した。また、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP-7)を用いて、20℃にて、ウィルヘルミー法により測定した。
Figure 0007069954000009
Figure 0007069954000010
Figure 0007069954000011
Figure 0007069954000012
[2]インクジェットインク製造用原液についての評価
[2-1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の分散染料の平均粒径と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の分散染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
A:平均粒径の変動率が2%未満である。
B:平均粒径の変動率が2%以上5%未満である。
C:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
D:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
E:平均粒径の変動率が15%以上である。
[2-2]保存安定性(粘度変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後の粘度と、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の粘度とを求め、これらの値から、製造直後の粘度に対する、60℃の環境で1週間放置した際の粘度の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、粘度の値としては、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時に読み取った値を採用した。粘度の変動率が大きいほど保存安定性が低いといえる。
A:粘度の変動率が2%未満である。
B:粘度の変動率が2%以上5%未満である。
C:粘度の変動率が5%以上10%未満である。
D:粘度の変動率が10%以上15%未満である。
E:粘度の変動率が15%以上である。
[2-3]軟凝集の程度
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク製造用原液)について、それぞれ、製造直後、および、所定の容器に入れ60℃の環境で1週間放置した直後に、粒子径・粒度分布測定装置(シメックス社製、FPIA-3000S)を用いて、純水で100倍に希釈し、HPF測定モード/標準撮影ユニットで、粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数を測定し、これらの値から、製造直後から、60℃の環境で1週間放置した際の粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。この変動率が大きいほど軟凝集体の形成が進行しているといえる。
A:変動率が5%未満である。
B:変動率が5%以上10%未満である。
C:変動率が10%以上30%未満である。
D:変動率が30%以上50%未満である。
E:変動率が50%以上である。
これらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 0007069954000013
表4から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[3]インクジェットインク(水性インクジェット用組成物)の調製
(実施例B1)
前記実施例A1で調製したインクジェットインク製造用原液と、グリセリンと、2-ピロリドンと、プロピレングリコールと、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)と、純水とを表5に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌することにより、水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
インクジェットインク中におけるC.I.Disperse Yellow 54の平均粒径は、150nmであった。
(実施例B2~B19)
インクジェットインク製造用原液の種類を表5に示すものとするとともに、各成分の配合比を表5に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
(比較例B1~B5)
インクジェットインク製造用原液の種類を表5に示すものとするとともに、各成分の配合比を表5に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にして水性インクジェット用組成物としてのインクジェットインクを製造した。
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)の条件を表5にまとめて示す。なお、表中、グリセリンを「Gly」、2-ピロリドンを「2-Py」、プロピレングリコールを「PG」、シリコーン系界面活性剤としてのBYK348(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK348」、アセチレン系界面活性剤としてのオルフィンEXP4300(日信化学工業社製)を「EXP4300」と示した。また、前記実施例B1~B19のインクジェットインクは、いずれも、粘度が2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下の範囲内の値であり、表面張力が20mN/m以上35mN/m以下の範囲内の値であった。なお、粘度は、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時の粘度を読み取ることにより測定した。また、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP-7)を用いて、20℃にて、ウィルヘルミー法により測定した。
Figure 0007069954000014
[4]インクジェットインクについての評価
[4-1]保存安定性(粒径変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の分散染料の平均粒径と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径とを求め、これらの値から、製造直後の分散染料の平均粒径に対する、60℃の環境で1週間放置した際の分散染料の平均粒径の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた。平均粒径の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
A:平均粒径の変動率が2%未満である。
B:平均粒径の変動率が2%以上5%未満である。
C:平均粒径の変動率が5%以上10%未満である。
D:平均粒径の変動率が10%以上15%未満である。
E:平均粒径の変動率が15%以上である。
[4-2]保存安定性(粘度変化)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後の粘度と、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した際の粘度とを求め、これらの値から、製造直後の粘度に対する、60℃の環境で1週間放置した際の粘度の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、粘度の値としては、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃にて、Shear Rateを10[s-1]から1000[s-1]に上げていき、Shear Rate200の時に読み取った値を採用した。粘度の変動率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。
A:粘度の変動率が2%未満である。
B:粘度の変動率が2%以上5%未満である。
C:粘度の変動率が5%以上10%未満である。
D:粘度の変動率が10%以上15%未満である。
E:粘度の変動率が15%以上である。
[4-3]軟凝集の程度
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)について、それぞれ、製造直後、および、所定のインク収容容器に入れ60℃の環境で1週間放置した直後に、粒子径・粒度分布測定装置(シメックス社製、FPIA-3000S)を用いて、純水で100倍に希釈し、HPF測定モード/標準撮影ユニットで、粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数を測定し、これらの値から、製造直後から、60℃の環境で1週間放置した際の粒径が0.5μm以上40.0μm以下の粒子数の変動率を求め、以下の基準に従い評価した。この変動率が大きいほど軟凝集体の形成が進行しているといえる。
A:変動率が5%未満である。
B:変動率が5%以上10%未満である。
C:変動率が10%以上30%未満である。
D:変動率が30%以上50%未満である。
E:変動率が50%以上である。
[4-4]通液評価(フィルター上の凝集物)
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX-H6000)のインクカートリッジに充填した。そして、当該インクカートリッジをインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX-H6000)に装着し、当該インクジェットプリンターに充填した。
その後、A4サイズの記録媒体(普通紙)にベタ印刷を300枚/日行い、印刷を行わない時間はインクジェットプリンターを休止させた。また、ノズルからヘッド内のインクを吸引して、ヘッドおよびインクカートリッジからヘッドインクを供給するインク経路に存在するインクを新たなインクと置き換えること(リフレッシュ)を1回/週で行った。30日後、ヘッド内のフィルター部材に対する凝集物の被覆率を算出した。この被覆率が大きいほど、液滴吐出に悪影響を与える凝集体が多く発生しているといえる。
A:フィルター部材の被覆率が2%未満である。
B:フィルター部材の被覆率が2%以上5%未満である。
C:フィルター部材の被覆率が5%以上10%未満である。
D:フィルター部材の被覆率が10%以上15%未満である。
E:フィルター部材の被覆率が15%以上である。
[4-5]インクジェット法による吐出安定性
前記各実施例および各比較例の水性インクジェット用組成物(インクジェットインク)を、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、60℃の環境で5日間放置した。
その後、当該収容容器を、記録装置PX-H6000(セイコーエプソン社製)に装着し、インクジェットインクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社製)に、記録解像度1440×720dpiでベタパターンを付着させた。なお、記録装置(プリンター)の動作環境は40℃、20RH%とした。
中間転写媒体上にベタパターンを30枚記録した際のノズル抜けの本数を調べ、以下の基準に従い評価した。
A:ノズル抜け本数が0本であった。
B:ノズル抜け本数が1本以上9本以下であった。
C:ノズル抜け本数が10本以上19本以下であった。
D:ノズル抜け本数が20本以上29本以下であった。
E:ノズル抜け本数が30本以上であった。
[4-6]発色性(OD値)
前記[4-5]でインクジェットインクを付着させた30枚目の中間転写媒体の水性インクジェット用組成物の付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP-608M、太陽精機社製)を用いて、180℃、60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。
得られた各記録物について、発色性の評価を行った。具体的には、得られた各記録物について、測色機(Gretag Macbeth Spectrolino、X-Rite社製)を用いて、OD値を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:OD値が1.50以上である。
B:OD値が1.45以上1.50未満である。
C:OD値が1.40以上1.45未満である。
D:OD値が1.35以上1.40未満である。
E:OD値が1.35未満である。
これらの結果を表6にまとめて示す。
Figure 0007069954000015
表6から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。

Claims (9)

  1. C.I.Disperse Yellow 54と、
    下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、トリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物および下記式(4)で示されるトリスチリルフェノールのエチレンオキサイド付加物の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である物質Aと、
    アニオン系分散剤とを含むことを特徴とする水性インクジェット用組成物。
    Figure 0007069954000016
    (式(1)中、Rは、炭素数が6以下の炭化水素基、または-(CH-NR(ただし、mは6以下の整数、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基)であり、nは1以上の整数である。)
    Figure 0007069954000017
    (式(2)中、R、Rのうちの一方は-OHであり、他方は-NR(だだし、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が6以下の炭化水素基である。)であり、nは1以上の整数である。)
    Figure 0007069954000018
    (式(4)中、R は-SO Hである。)
  2. 前記アニオン系分散剤は、下記式(3)で示される化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩およびリグニンスルホン酸のうちの少なくとも1種である請求項1に記載の水性インクジェット用組成物。
    Figure 0007069954000019
    (式(3)中、Rは、炭素数が4以下の炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
  3. 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記物質Aの含有率をXA[質量%]としたとき、0.03≦XA/XD≦1.0の関係を満足する請求項1または2に記載の水性インクジェット用組成物。
  4. 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率をXD[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.3≦XB/XD≦1.0の関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  5. 前記物質Aの含有率をXA[質量%]、前記アニオン系分散剤の含有率をXB[質量%]としたとき、0.03≦XA/XB≦1.2の関係を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  6. 前記C.I.Disperse Yellow 54の含有率が0.25質量%以上25質量%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  7. 前記物質Aの含有率が0.13質量%以上6.0質量%以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  8. 前記アニオン系分散剤の含有率が0.13質量%以上25質量%以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
  9. 前記アニオン系分散剤の重量平均分子量が1000以上20000以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性インクジェット用組成物。
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