JP7069091B2 - 建具枠の固定構造 - Google Patents
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Description
前記壁1は、当該壁1を構成する躯体2,3の前記開口部6側の面に耐火面材4が取り付けられるとともに、前記躯体2,3の正面及び背面に耐火面材4が取り付けられており、
前記建具枠10は、
前記躯体2,3に対してビス留めされない状態で、接着剤による接着剤層12を介して前記開口側縁部1a,1b,1cに固定された下地板材11(11a,11b,11c)と、
前記下地板材11に対して固定された建具枠本体13,14,15と、を備えており、
前記下地板材11(11a,11b,11c)は、前記壁1のうち前記躯体2,3の位置の外側に、前記耐火面材4が介在した状態で配置され、
前記躯体2,3に取り付けられた前記耐火面材4を含む前記壁1の厚さ寸法と、当該厚さ寸法に沿う前記下地板材11の奥行寸法は等しく設定されて、前記壁1における前記開口部6に面する開口側縁部1a,1b,1cは、前記下地板材11(11a,11b,11c)によって覆い隠されていることを特徴とする。
また、下地板材11は、壁1のうち躯体2,3の位置の外側に、耐火面材4が介在した状態で配置されているので、下地板材11から躯体2,3までの距離を極力短くすることができる。これにより、耐火面材4による壁1の耐火性能を維持しつつ、建具枠本体13,14,15から下地板材11に加わった外力を躯体2,3に伝達しやすくなって効果的に分散できる。そのため、建具枠本体13,14,15が取り付けられた下地板材11の強固な固定状態を維持することが可能となる。
さらに、壁1における開口部6に面する開口側縁部1a,1b,1cは、下地板材11によって覆い隠されているので、壁1における開口部6に面する開口側縁部1a,1b,1cを化粧する手間を省略できるとともに、壁1における開口部6に面する開口側縁部1a,1b,1cと下地板材11とを広い範囲で面接合することができて強固な固定状態となる。
前記下地板材11(11a,11b,11c)は、前記躯体2,3の前記開口部6側の面に取り付けられた前記耐火面材4と、前記躯体2,3の正面及び背面に取り付けられた前記耐火面材4と、に跨って配置されていることを特徴とする。
前記躯体2,3の前記開口部6側の面に取り付けられた前記耐火面材4と、前記躯体2,3の正面及び背面に取り付けられた前記耐火面材4は、それぞれ複数枚重ねとされていることを特徴とする。
前記接着剤層12は、前記下地板材11(11a,11b,11c)における前記開口側縁部1a,1b,1c側の略全面に亘って設けられていることを特徴とする。
前記建具枠本体13,14,15は、前記下地板材11(11a,11b,11c)に対し、前記躯体2,3まで到達しない長さのビス19によってビス留めされていることを特徴とする。
さらに、壁1は、柱2及びまぐさ3等の軸組材における外側面に、耐火面材としての強化石膏ボード4が二枚重ねで取り付けられ、これにより耐火仕様となっている。なお、符号5は、床Fと壁1との境界部分を化粧する巾木5である。
なお、強化石膏ボード4の厚さ寸法は、本実施形態においては一枚21mmとされているが、これに限られるものではなく、耐火性能に応じて適宜変更可能である。
開口部6は、床Fと、開口部6に面する強化石膏ボード4の開口部6側面と、によって規定されるものとする。すなわち、強化石膏ボード4は、柱2及びまぐさ3における開口部6側面に二枚重ねで取り付けられている。さらに、強化石膏ボード4は、柱2及びまぐさ3における正面と、柱2及びまぐさ3における開口部6側面に二枚重ねで取り付けられた強化石膏ボード4の正面側端面と、に跨って取り付けられているとともに、柱2及びまぐさ3における背面と、柱2及びまぐさ3における開口部6側面に二枚重ねで取り付けられた強化石膏ボード4の背面側端面と、に跨って取り付けられている。
これを踏まえ、壁1は、当該壁1の厚み分に相当して開口部6に面する上縁部1a及び左右の側縁部1b,1cを有している。つまり、上縁部1aは、まぐさ3における開口部6側面に取り付けられた強化石膏ボード4の下面と、まぐさ3の正面及び背面にそれぞれ二枚重ねで取り付けられた強化石膏ボード4の下端面と、によって構成された上側の開口側縁部である。また、左右の側縁部1b,1cは、柱2における開口部6側面に取り付けられた強化石膏ボード4の側面と、柱2の正面及び背面にそれぞれ二枚重ねで取り付けられた強化石膏ボード4の側端面と、によって構成された左側の開口側縁部及び右側の開口側縁部である。
要するに、このように構成された壁1の上縁部1a及び左右の側縁部1b,1cと、床Fと、によって囲まれた箇所が開口部6となっている。
なお、本実施形態における建具7は、右側端部に回転中心となる蝶番7aが設けられ、左側端部にドアノブ7bが設けられた片開き戸である。また、建具7の左側端面には、ラッチボルト7cが設けられている。本実施形態においては、このように建具7が片開き戸とされたが、これに限られるものではなく、例えば両開き戸、片引戸、両引戸、引き違い戸、折りたたみ戸等でもよい。また、戸(扉・ドア)ではなく、窓でもよい。
なお、下地板材11は、本実施形態においては厚さ9mmの合板が用いられているが、合板以外の板材でもよいし、厚さ寸法も9mmに限定されるものではない。
接着剤層12を構成する接着剤としては、本実施形態においては酢ビ系ボンドが用いられている。なお、接着剤の塗布量は、1平方メートル当たり200g以上とする。
また、各下地板材11a,11b,11cを、壁1における開口部6に面する上縁部1a及び左右の側縁部1b,1cに固定する場合に、補助的にステープル18などの固定具を併用してもよい(図4,図5参照)。
また、この上枠13の開口部6側面(下面)には、上枠13の長さ方向に沿って長尺な溝が形成され、当該溝に、建具7が接触する戸当たり部材16が設けられている。
また、この左竪枠14の開口部6側面には、左竪枠14の長さ方向に沿って長尺な溝が形成され、当該溝に、建具7が接触する戸当たり部材16が設けられている。
また、この右竪枠15の開口部6側面には、右竪枠15の長さ方向に沿って長尺な溝が形成され、当該溝に、建具7が接触する戸当たり部材16が設けられている。
また、本実施形態においては、各建具枠本体13,14,15を各下地板材11(11a,11b,11c)に固定する固定具としてビスが用いられているが、釘やネジ等のその他の固定具が用いられてもよい。
なお、段差に貼り付けられる壁クロス17は、壁1の表面に貼り付けられたものと同一の種類の壁クロスであってもよいし、壁1の表面に貼り付けられた壁クロスを延長させ、段差に露出する各下地板材11a,11b,11cを被覆するようにしてもよい。
また、耐火面材である強化石膏ボード4は、躯体2,3の表面に取り付けられるものとしたが、躯体2,3と耐火面材4との間には、例えば遮音材や断熱材等のように何らかの機能を有する機能部材が介在されてもよい。
以上のような建具枠10の固定構造は、図4~図6に示すように、試験室に設置された試験体20及び試験機22によって予め固定強度試験が行われ、強度上問題がないかどうかの確認が行われている。
なお、この建具枠10の固定強度試験に係る説明において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
そして、試験体20のうち、まぐさ3の下面が上側の開口側縁部(すなわち、上縁部1a)とされ、二つの試験体用壁21における正面側端部の内側面が左右の開口側縁部(すなわち、左右の側縁部1b,1c)とされている。
なお、二つの試験体用壁21は、上記の実施形態における壁1と同様に、内部に、躯体である柱2が設けられ、二枚重ねの強化石膏ボード4によって被覆された状態となっている。
上桟材24は、一対の支柱23の上端部間に架け渡されて設けられ、錘27を吊るすための紐27aが括りつけられている。
下桟材25は、上桟材24と平行に配置され、一対の支柱23の下部間に架け渡されて設けられている。
壁取付部26は、一対の支柱23における各支柱23の上下二箇所の位置から二つの試験体用壁21における正面側端面に伸びて取り付けられ、一対の支柱23と二つの試験体用壁21とを連結している。
錘27としては、本試験においては15kgの砂袋が用いられているが、建具枠10の固定強度を試験し得る程度の重さと低反発性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
なお、錘27が当てられる建具7における所定の部位は、建具7の正面における中心位置と、蝶番7a横の部位が好適であるが、ノブ7b付近の部位でもよい。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
上記の実施形態においては、開口部6が一つの壁1における中央部分に形成された状態となっているが、本変形例においては、図7に示すように、第一壁1Aと、この第一壁1Aに直交して配置された第二壁1Bとによって入隅部(出隅部)が形成され、開口部6が、第一壁1Aにおける第二壁1B側端部に形成されている。
上記の実施形態においては、建具7が片開き戸とされていたが、本変形例においては、建具37が片引き戸とされている。また、本変形例においては、図8に示すように、開口部6が一つの壁31における中央部分に形成された状態となっている。建具37として片引き戸が採用される場合、壁31は、建具37が納まる戸袋32を備える。
これに伴って、建具枠10を構成する右側下地板材11cも、正面側に位置する第一右側下地板材11cAと、背面側に位置する第二右側下地板材11cBと、を有する。さらに、建具枠本体である右竪枠15も、正面側に位置する第一右竪枠15Aと、背面側に位置する第二右竪枠15Bと、を有することになる。
第二右側下地板材11cBは、柱2に対してビス留めされない状態で、接着剤による接着剤層12を介して第二右側縁部31cBに固定されている。また、この第二右側下地板材11cBは、戸袋用壁33における開口部6側面にも固定されている。
第二右竪枠15Bは、背面側に位置する第二右側下地板材11cBに対して固定されている。なお、第二右竪枠15Bは、戸袋用壁33の正面よりも正面側に突出しており、正面側端面にはモヘアが設けられている。
なお、図示はしないが、上枠13にもスライド溝が形成されており、建具37の上端面に設けられた戸車が嵌まるようになっている。
1a 上縁部
1b 左側縁部
1c 右側縁部
2 柱(躯体)
3 まぐさ(躯体)
4 強化石膏ボード
6 開口部
7 建具
10 建具枠
11 下地板材
11a 上側下地板材
11b 左側下地板材
11c 右側下地板材
12 接着剤層
13 上枠
14 左竪枠
15 右竪枠
F 床
S1 一方側のスペース
S2 他方側のスペース
Claims (5)
- 壁に形成された開口部を開閉するための建具を保持する建具枠が、前記壁における前記開口部に面する開口側縁部に固定されており、
前記壁は、当該壁を構成する躯体の前記開口部側の面に耐火面材が取り付けられるとともに、前記躯体の正面及び背面に耐火面材が取り付けられており、
前記建具枠は、
前記躯体に対してビス留めされない状態で、接着剤による接着剤層を介して前記開口側縁部に固定された下地板材と、
前記下地板材に対して固定された建具枠本体と、を備えており、
前記下地板材は、前記壁のうち前記躯体の位置の外側に、前記耐火面材が介在した状態で配置され、
前記躯体に取り付けられた前記耐火面材を含む前記壁の厚さ寸法と、当該厚さ寸法に沿う前記下地板材の奥行寸法は等しく設定されて、前記壁における前記開口部に面する開口側縁部は、前記下地板材によって覆い隠されていることを特徴とする建具枠の固定構造。 - 請求項1に記載の建具枠の固定構造において、
前記下地板材は、前記躯体の前記開口部側の面に取り付けられた前記耐火面材と、前記躯体の正面及び背面に取り付けられた前記耐火面材と、に跨って配置されていることを特徴とする建具枠の固定構造。 - 請求項2に記載の建具枠の固定構造において、
前記躯体の前記開口部側の面に取り付けられた前記耐火面材と、前記躯体の正面及び背面に取り付けられた前記耐火面材は、それぞれ複数枚重ねとされていることを特徴とする建具枠の固定構造。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の建具枠の固定構造において、
前記接着剤層は、前記下地板材における前記開口側縁部側の略全面に亘って設けられていることを特徴とする建具枠の固定構造。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の建具枠の固定構造において、
前記建具枠本体は、前記下地板材に対し、前記躯体まで到達しない長さのビスによってビス留めされていることを特徴とする建具枠の固定構造。
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