JP7066928B1 - 爪矯正具 - Google Patents
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Abstract
Description
爪に当接する当接面を有する板状の爪矯正具であって、
前記当接面は、
第1の長さを有する直線部と、
当該第1の長さより短い第2の長さを有し、当接する前記爪側に凸の湾曲を有する湾曲部と、
を含み、
前記爪の側縁部に対して前記湾曲部の端部が当接されている状態で、前記端部が作用点として、前記湾曲部のうち前記端部から離間した点が支点として、前記直線部の一点が力点として、当該力点に力が加えられることにより、梃子の原理により、前記爪の側縁部を皮膚から離間させる第1爪補正機能、
を備える。
図1は、本発明の爪矯正具の一実施形態に係る爪矯正具の斜視図である。
図2Aは、図1の爪矯正具の側面図である。
図2Bは、図1の爪矯正具の上面図である。
図3A及び図3Bは、図2を拡大して示したイメージ図である。
即ち、床に接地した脚の指Fを仮定した場合において、図1に示す重力が働く方向(ZF軸と平行な方向)を法線として有する面、即ち軸XF及び軸YFに対して平行な面を、「XF-YF平面」と呼ぶ。XF-YF平面のうち、指Fの腹が当接する面(前述の床に相当)を、「水平面」と呼ぶ。
なお、図1において、軸XFは、軸ZFと垂直の関係にあり、かつ、爪甲Nの伸びる方向とも垂直となっている。即ち、図1に示す軸XFの矢印の方向を「軸XFの正方向」と呼び、その逆方向を「軸XFの負方向」と呼ぶ。
また、図1において、YF軸は、軸ZFと垂直の関係にあり、かつ、爪甲Nの伸びる方向と平行となっている。即ち、図1に示す軸YFの方向を「軸YFの正方向」と呼び、その逆方向を「軸YFの負方向」と呼ぶ。
また、図1において、ZF軸の矢印の方向を「軸ZFの正方向」と呼び、その逆方向を「軸ZFの負方向」と呼ぶ。
詳しくは後述するが、図2A及び図2Bに示すように、爪矯正具1は、長辺と短辺を有する矩形であって、短辺と比較して短い長さの厚さを持つ板状部材を湾曲させた構造である。
即ち、図2Aに示すように、板状部材が湾曲していない側を床に接地したさせた場合において、図2Aに示す重力が働く方向(軸Zと平行な方向)を法線として有する面、即ち軸X及び軸Yに対して平行な面を、「X-Y平面」と呼ぶ。
なお、図1において、軸Xは、軸Zと垂直の関係にあり、かつ、板状部材の長辺方向と平行となっている。即ち、図1に示す軸Xの矢印の方向を「軸Xの正方向」と呼び、その逆方向を「軸Xの負方向」と呼ぶ。
また、図1において、Y軸は、軸Zと垂直の関係にあり、かつ、長辺方向と垂直(短辺方向と平行)となっている。即ち、図1に示す軸Yの方向を「軸Yの正方向」と呼び、その逆方向を「軸Yの負方向」と呼ぶ。
また、図1において、Z軸の矢印の方向を「軸Zの正方向」と呼び、その逆方向を「軸Zの負方向」と呼ぶ。
爪矯正具1の素材としては、容易に折損しない程度の硬度を有しつつ復元力(伸張力)があって、透明度があり、加工性に富み、身体に対する影響がほぼ無い素材が好適である。このような素材として例えばABS樹脂が本実施形態では採用されている。
ここで、図1に示すように、指Fの腹が水平面に配置された状態で、Z軸の負方向にみた場合(上からみた場合)、面11は上側に位置し、面12が指Fの爪甲Nに当接するように位置する。したがって、以下、面11を「上面11」と呼び、面12を「底面12」と呼ぶ。
底面12においては、爪甲Nに当接する部位として、湾曲部21と直線部22とに区分される。
湾曲部21及び直線部22は、図1に示すように、爪甲Nの補正がなされる際に当該爪甲Nに当接されるようにして用いられる。具体的には後述するが、図1に示すように、側縁Nmが補正される際には、湾曲部21は、当該側縁Nmに固着される。そして、湾曲部21の側縁Nmに当接される位置が作用点として、直線部22の一部が力点として、作用点と力点との間であって作用点に近い湾曲部21の所定の位置が支点として、夫々機能することで、梃子の原理により、作用点に一定の力が加わることによって、側縁Nmが補正される。なお、このように作用点に加わる力を、以下、「補正力」と呼ぶ。
したがって、湾曲部21の長さL1は、爪甲Nの補正のために当該爪甲Nに当接された際に、支点と作用点として夫々が機能する程度の長さが必要になる。
一方、直線部22の一部は、側縁Nmの補正のために、力点として機能する。そのため、直線部22の長さL2は、側縁Nmの補正に必要な負荷が施術者の手により力点にかけられる程度の長さは必要である。また、直線部22は、後述するように、当接されなかった部位が切断されるため、この切断も考慮して長さL2は決定される必要がある。
本実施形態では、長さL1として10mm、長さL2として17mmが夫々採用されている。
この場合、爪甲Nが、硬くて厚い場合には、第1種の爪矯正具1が選択される。一方、爪甲Nが、一般的な厚みを有するか、あるいは薄い場合、または、拇趾以外の小さな爪に対しては、第2種の爪矯正具1が選択される。
一方、厚さL3が薄くなる程、爪矯正具1の補正力は弱くなる。そこで、上述の問題を生じさせない最大の厚さである1.8mmが、本実施形態における第1種の爪矯正具1の厚さL3として採用されている。
一方、厚さL3が厚くなる程、補正力は強くなるが、元々厚みのない爪甲Nが破損したり、施術に激しい痛みが伴うといった問題が生じ得る。そこで、上述の問題を生じない最大の厚さである1.1mmが、本実施形態における第2種の爪矯正具1の厚さL3として採用されている。
一方で、湾曲部21の曲がり具合が過度に小さい場合、支点として機能できる領域は広くなるが、湾曲部21が直線に近くなるほど梃子の原理が機能しにくくなるため、側縁Nmに加わる補正力が小さくなるといった問題が生じ得る。
一方、直線部22には、湾曲部21と接続されている側と反対側に端部32が存在する。
そして、図3Aに示すように、底面12の端部31に対向する上面11には、ジェルスポット41が設けられている。
さらに、図3Bに示すように、底面12の端部32に対向する上面11には、ジェルスポット42が設けられている。
また図3Bに示すように、ジェルスポット42は、爪矯正具1の上面11のうち、X軸の正方向の末端部から長さL6の範囲が、末端部の方向に斜めに下っていくように切削されて構成される。そして当該末端部のZ軸方向の厚さが厚さL5を有するように構成される。具体的には本実施形態では、厚さL5として0.8mm、長さL6として3mmが夫々採用されている。
このため、施術者は、ジェルスポット41、42を指標にして、その接着剤の塗布する位置及び塗布する接着剤の量を決定する。このような適切な量の接着剤を塗布するための目安となる長さとして3mmが、本実施形態における長さL6として採用されている。
一方で端部31と側縁Nmとの固着力を強化するために側縁Nmの末端からジェルスポット41にかけて大量の接着剤を塗布すると、爪矯正具1が固着された後の爪甲Nの表面に付着した接着剤を削る際に労力を要するといった問題や、接着剤が皮膚に付着してしまうといった問題が生じ得る。
また一方で、厚さL5が薄すぎる(側縁Nmの位置から見てジェルスポット41の高さが低すぎる)と、接着剤の塗布は容易になるが、爪矯正具1の変形に対する耐性が弱くなるため、爪矯正具1は白化してその機能を果たさなくなる。
そのため、接着剤の塗布が容易、かつ一定の補正力を確保可能な厚さとして0.8mmが、本実施形態における厚さL5として採用されている。
具体的には図4を用いて後述するが、例えば湾曲部21の端部31が側縁Nmに当接され梃子の原理により側縁Nmの補正がなされる際には、ジェルスポット41と対向する端部31が作用点として機能する。そのため、仮にジェルスポット41が例えば斜めではなく段差状に切削されて構成される場合、その段差部分には作用点としての局所的な力が加わる為、当該段差部分は白化してその機能を果たさなくなり得るか、あるいは、爪矯正具1はその段差部分で折損し得る。そのため、変形に対する耐性を維持するためにジェルスポット41及びジェルスポット42は、その末端部が斜めに下っていくように切削されて構成される。
また同様に、施術者は、底面12側から端部32を見た場合でも、上面11側に構成されるジェルスポット42を一目で視認することができる。そのため、施術者は、ジェルスポット42を参照しながら、適切な量の接着剤を、端部32の適切な位置に塗布することができるようになる。
一方、幅L7が狭くなる程、爪矯正具1の変形に対する耐性が弱くなるため、爪矯正具1は白化し、その機能を果たさなくなる。また、爪甲Nと底面12とが固着される際の接着面積が小さくなるため、爪甲Nから爪矯正具1が外れやすいといった問題も生ずる。
そこで、上述の問題を生じない最大の幅である3mmが、本実施形態における幅L7として採用されている。
接着剤としては、光硬化型の接着剤が好適である。好適な理由は次の通りである。即ち、光硬化型の接着剤は、接着力が高く、かつ光を当てることにより硬化させることができるため、例えば1液と2液を混合させることによって硬化するタイプの接着剤とは異なり、光の照射時間にしたがって徐々に硬化させることができる。そのため、爪矯正具1を爪甲Nに固着させ、爪甲Nに負荷をかける際に感じる痛みの状況を被施術者に聞きながら施術を進めることができる。その結果、被施術者が感じる痛みを抑制できる。また、爪矯正具1を爪甲Nに完全に固着させる前に、施術を中断し、接着剤を付け直すこともできる。
本実施形態においては、その用途に応じて2種類の光硬化型の接着剤が用いられる。
具体的には後述するが、高粘度のジェル状の接着剤HV(以下、「ジェルHV」と呼ぶ)は、側縁Nmと端部31との固定、爪甲Nの破損部位の修復、又はコーティングに用いられる。
また、低粘度のジェル状の接着剤LV(以下、「ジェルLV」と呼ぶ)は、側縁Nmと端部31との固定、爪甲Nと底面12とが剥がれそうになった際の補修、爪甲Nと底面12との間の隙間を埋める際、又はコーティングの用途で使用し得る。
このとき、余分なジェルHVが除去されないと、余分なジェルHVにより支点として相応しくない爪甲Nの部位が盛り上がり、この盛り上がった部位が支点となってしまい、側縁Nmに効果的に負荷をかけることができない。そこで、施術者は、端部31と側縁Nmの間からはみ出たジェルHVをスパチュラで除去する。
このとき塗布されるジェルHVが過度に多い場合、余分なジェルHVにより支点として相応しくない爪甲Nの部位が盛り上がり、この盛り上がった部位が支点となってしまい、側縁Nmに効果的に負荷をかけることができない。
また一方で、ジェルHVの塗布量が過度に少ない場合には、端部31が側縁Nmから剥がれたり、補正力が加えられないといった問題が生じる。ジェルスポット41は、このような問題を解決することもできる。即ち、施術者は、ジェルスポット41の領域を参照することで、固着のために適切な接着剤を塗布することができる。
ここで、側縁Nmが皮膚Kから離間したことが確認されれば、端部31が作用点、湾曲部21のうちの1点が支点、直線部22の一部が力点として作用し、梃子の原理によって側縁Nmが補正可能なことがわかる。さらに、側縁Nmの持ち上がる量に応じて、作用点、支点、力点の位置関係の調整の確認もできることになる。
このような確認の結果、側縁Nmを充分に補正できるとの見込みが立った場合は、処理はステップST5に進む。
一方で、側縁Nmと端部31とが充分に固着していない場合や、側縁Nmが皮膚Kから離間しない場合等、即ち、側縁Nmを充分に補正できるとの見込みが立たなかった場合は、ステップST3の処理に戻ってもよい。
さらに、施術者は、湾曲部21から直線部22の一部にかける底面12を、爪甲Nに近接させる。なおここで底面12を爪甲Nに近接させる際の直線部22を倒す角度としては、ステップST6の直前における爪矯正具1と爪甲Nの間の角度を基準とすると、この基準の角度の半分程度が好適である。なぜならば、直線部22を、爪甲Nに当接するように過度に(標準の角度の半分を超えて)倒し過ぎた場合、爪矯正具1が爪甲Nから外れたり、皮膚から爪甲Nが剥がれる、といった問題が生じ得るからである。
施術者は、底面12を爪甲Nに近接させた後、底面12と爪甲Nとの間からはみ出したジェルHVをスパチュラで取り除く。
そして、施術者は、爪矯正具1をZ軸の負の方向に向かって倒した際の位置(底面12が爪甲Nに近接した位置)を固定させた状態で、底面12と爪甲Nとを近接させた箇所にあるジェルHVに対し、ランプLを用いて紫外線を照射する。これにより、ジェルHVが硬化するので、底面12と爪甲Nとが固着する。
そして最後に、施術者は、米粒大の量のジェルHVをさらに爪甲N全体に塗布する。これにより爪矯正具1の爪甲Nからの剥がれを防止することが出来る。またこのとき施術者は、爪甲Nと指Fの甘皮との境界部までジェルHVを塗布する。これにより、新しい爪がどのくらい生えてきたかを把握することができるので、施術者は、伸びた爪の量に対する、側縁Nmの補正の効果を一目で確認することができる。
そこで、図5A乃至図5Cを用いて、各種爪形状に適用される爪矯正具の部位について説明する。
即ち、爪甲Nが補正される際には、直線部22が側縁Nmに固着される。そして、底面12が、Z軸の負の方向に向かって倒されるようにして爪甲Nに固着される。
この場合、爪矯正具1にはその素材の性質による復元力が働くため、爪甲Nに当接されるように湾曲した爪矯正具1には、板状に戻る方向(Z軸の正の方向)にその復元力が働く。即ち、この復元力が、内側に湾曲するように変形した爪甲Nに対し、外側に広げる力として作用するため、爪甲Nの形状が補正される。
このような陥入爪の場合、側縁Nmの一部が皮膚Kに陥入しているため、陥入した部位に爪矯正具1を当接することは困難である。そのため従来の矯正手法ではこのような陥入爪を効果的に補正することは出来なかった。
そこでこのような陥入爪を効果的に補正するために第1の爪矯正機能が発揮される。即ち、図5Bに示したように、側縁Nmの所定の位置に、湾曲部21の端部31が当接され固着される。そして、施術者により底面12がZ軸の負の方向に向かって倒されると、その結果、湾曲部21の端部31が作用点として、湾曲部21の一部が支点としてそれぞれ機能して、梃子の原理によって図5B中に示す領域NAに含まれる部位がZ軸の正の方向に持ち上がる。これにより結果として側縁Nmが皮膚Kから離間する。
このように、第1の爪矯正機能が発揮されることにより陥入爪が効果的に補正されるようになる。
このように爪矯正具1の当接部位を適宜変更して第1の爪矯正機能を発揮させることにより、各様な変形爪に応じて効果的な補正を行うことができるようになる。
そのため例えば、側縁Nmと側縁Npとでその形状や変形度合が異なるといった場合にでも、第1の爪補正機能と第2の爪矯正機能とが組み合わせて発揮されることにより、側縁Nmと側縁Npの夫々に対して効果的な施術を行うことができるようになる。
即ち例えば図6Aに示すように、端部31が側縁Nmに当接される作用点として機能する場合、支点として点aを選択するか、点bを選択するかにより、作用点から支点までの距離が異なるため、支点から力点までの距離、力点において必要となる力、及び作用点に加わる力(補正力)が夫々変化する。
そこで、施術者は、爪甲Nの厚みや硬さ、大きさ、側縁Nmの形状に応じて効果的な補正が行えるように、湾曲部21のうち任意の位置を支点として機能させることができる。
即ち、作用点により大きな負荷をかけたい場合や、側縁Nmの幅が小さい(支点から作用点までの距離が取れない)場合等には、施術者は、点aを支点として採用するとよい。
一方で、例えば作用点にかける負荷が小さくてよい場合や、側縁Nmの幅が充分に大きい(支点から作用点までの距離が確保できる)場合には、施術者は、点bを支点として採用するとよい。
具体的には図7Aに示したように、爪甲NがZ軸の正の方向に三角形に突き出すように変形した爪(以下、「三角爪」と呼ぶ)に対しては、図7Bに示すように湾曲部21の上面11側が当接される。
この場合、爪矯正具1にはその素材の性質による復元力が働くため、爪甲Nに当接されるように湾曲した爪矯正具1には、板状に戻る方向(Z軸の正の方向)にその復元力が働く。即ち、この復元力が、三角爪に対し、外側に広げる力として作用するため、三角爪の形状が補正される。このように三角爪の上の凸の形状に対して湾曲部21の上面11側が有する凹の部位を密着するように当接させることで、図7Cに示すように爪矯正具1の剥がれを回避しつつ、三角爪を効果的に補正することができるようになる。
以下、2つの爪矯正具1-1及び1-2を用いて施術する例を図8A乃至図8Cを用いて説明する。
図8A乃至図8Cは、爪矯正具の使用に係る図7と異なる他の例を説明する図である。
具体的には図8Aに示したように、側縁Nmが直角乃至鋭角に変形した爪甲Nの場合、まず爪矯正具1-1の端部31あるいは端部32を側縁Nmに当接して固着する。
そして図8Bに示したように、爪矯正具1-1の直線部22がZ軸方向と略平行になるまで倒し、固着部のみを残し固着部から先の爪矯正具1-1を切断する。
そしてさらに図8Cに示したように別の爪矯正具1-2のその側縁Nmに固着された端部31あるいは端部32に対して、さらに湾曲部21の端部31を当接して固着させ、梃子の原理で側縁Nmを補正してもよい。
このように、爪矯正具1-1に対して爪矯正具1-2を重ねて利用することで、高度に変形した爪に対しても適切な補正をすることができるようになる。
なお、上述の説明では、理解を容易とするために、2つの爪矯正具1-1及び1-2を用いるものとして説明した。しかしながら、爪矯正具1は、上述したように、湾曲部21及び直線部22の両方を備える。そこで、施術者は、爪矯正具1-1の直線部22を図8Cにおける爪矯正具1-1として用い、切断された爪矯正具1-1の湾曲部21を図8Cにおける爪矯正具1-2として用いるとよい。これにより、1つの爪矯正具1のみで、図8A乃至図8Cを用いて説明した施術が可能となる。
図9は、爪矯正具の使用に係る図7及び図8と異なる他の例を説明する図である。
図9の例の接着方法は、図4のステップST4において、異なる位置にジェルHVを塗布したものである。
即ち、図9の例において、ジェルHVは、爪甲Nと指Fの間の領域R1にも塗布されている。そして、このように塗布されたジェルHVに対してランプLにより紫外線が照射されることで、ジェルHVは硬化する。
その後、施術者が図4のステップST6に示すように矯正具1を倒した場合、爪矯正具1が爪甲Nから離間するような、図9に示す矢印FORに示す方向の力(以下、「力FOR」と呼ぶ)が発揮される。
これに対して、図9に示すようにジェルHVを塗布した場合、矯正具1のジェルスポット41の上部(軸Zの正方向かつ軸Xの負方向の位置)から領域R1にかけて一体となった状態でジェルHVが硬化する。このような硬化したジェルHVの形状により、爪甲Nを支持するように固着される。
その結果、矯正具1と爪甲Nとの固着は図4等に示すものと比較してより強固なものとなり、施術者が図4のステップST6に示すように爪矯正具1を倒した場合においても、固着が維持される。
即ち、施術者は、爪甲Nと指Fの間の領域R1にもジェルHVを塗布できると判断した場合には、図9に示すようにジェルHVを塗布することで、より強固に爪矯正具1と爪甲Nとを固着することができる。これにより、高度な変形爪を効果的に矯正することができるようになるのである。
具体的には例えば、施術者は、図8Cに示す爪矯正具1-1を用いずに、図9に示すようにジェルHVを塗布した上でランプLを用いて硬化させることもできる。
図10の例の接着方法は、図5Bにおいて、異なる位置にジェルHVを塗布したものである。
図9の例では軸Xの正方向を介して爪甲Nと指Fとの間の領域R1にジェルHVが塗布されていたが、施術者は、図10に示すようにジェルHVを塗布することもできる。即ち、施術者は、図10の例に示すように、ジェルHVを軸YFの負方向の領域R2を介して爪甲Nと指Fの間の領域にジェルHVを塗布することができる。
即ち、図10の例において、ジェルHVは、上述したように、爪矯正具1から見て軸Xの正方向に塗布されていると共に、更に、軸Yの負方向の領域R2にも塗布されている。なお、図示はしないが、ジェルHVは、領域R2の軸Zの負方向の位置を介して、爪甲Nと指Fとの間の領域にも塗布されている。
そして、このように塗布されたジェルHVに対してランプLにより紫外線が照射されることで、ジェルHVは硬化する。
その結果、矯正具1と爪甲Nとの固着は図4等に示すものと比較してより強固なものとなり、施術者が図4のステップST6に示すように爪矯正具1を倒した場合においても、固着が維持される。
即ち、施術者は、爪甲Nと指Fの間の領域R1にもジェルHVを塗布できると判断した場合には、図10に示すようにジェルHVを塗布することで、より強固に爪矯正具1と爪甲Nとを固着することができる。これにより、高度な変形爪を効果的に矯正することができるようになるのである。
具体的には例えば、爪甲Nが指Fに潜り込んでいる場合には、図9に示すようなジェルHVの塗布方法は採用せず、図4に示すステップST4の塗布方法を採用するのが好適である。
また例えば、爪甲Nが指Fに対して短い場合(いわゆる深爪に近い状態の場合)には、図10に示すようなジェルHVの塗布方法は採用しないのが好適である。
このように、爪甲Nが変形するか否かは、爪甲Nの復元力と、爪矯正具1の復元力の兼ね合いによるものである。
ここで、爪矯正具1の厚さL3が異なると、爪矯正具1の復元力が異なる。そのため、上述したように、厚さL3が異なる複数種類の爪矯正具1が用意されている。
即ち、図11の例においては、本実施形態の爪矯正具のうち、復元力の高い厚みの大きな爪矯正具1aによる矯正の例を示した図である。具体的には、図11に示す矯正の例は、厚みL3がより大きいために復元力がより高い爪矯正具1aを用いて、上述の図5Bの例の爪を矯正した例を示している。
図11の例において、爪矯正具1aは厚みL3が大きいため変形していない。そして、、爪甲Nは爪矯正具1aの湾曲部21の端部31とは図示せぬジェルにより強固に固着されている。そして、図5Bの左側に示すように爪矯正具1aの軸Xの正の方向の側が、軸Zの負方向に押し下げられている。その結果、爪甲Nは、図11に示すように、図5Bに示した形状から変形する。
このように、本実施形態の爪矯正具は、爪甲Nの軸ZFの正方向のみにジェルを付して固着されることで、施術時に爪甲Nを変形させることができるのである。
更に言えば、爪矯正具1は、ジェルを用いて爪甲Nと固着させるため、従来の施術が困難な形状の爪にも適用可能となっている。
なお、図11の例を用いては、図5Bの例の爪矯正具1と比較して厚みL3が大きい爪矯正具1aについて説明したが上述の説明の他の各爪形状に対しても適用可能である。即ち、施術者は各爪形状に応じて、適宜異なる厚みL3の爪矯正具1を用いることで、爪甲Nの変形量を変化させることができる。
図示はしないが、巻き爪ではなく、陥入爪であって、深爪でもある形状の爪の特徴を、図1に示す指Fを基準とした座標系を用いて説明する。このような爪は、深爪のため、軸YFの方向に短い。
また、巻き爪ではない陥入爪は、軸ZF方向の湾曲が少ない。その結果、軸XFの方向の爪の端は、XF-YF平面と略平行の方向に指Fに対して浅く陥入する。その結果、爪甲Nの軸ZFが正方向には指Fの肉が乗り上げる。これにより、軸ZFが正方向から見た場合において、爪甲Nの軸ZFの方向の長さは乗り上げた肉により短くなる。
このように、巻き爪ではなく、陥入爪であって、深爪でもある形状の爪は、軸XFの方向にも、軸YFの方向にも短い。即ち、軸ZFが正方向から見た場合には面積が小さい。
しかしながら、本実施形態の爪矯正具1は、高い復元力と、湾曲部21を有することで、面積の狭い爪に対しても、矯正するための力を発揮させることが可能となっている。即ち、本実施形態の爪矯正具1は、巻き爪ではない陥入爪であって、深爪でもある形状の爪といった高度に変形した爪に対しても適切な補正をすることができるのである。
図12は、爪矯正具の使用に係る図7乃至図11と異なる他の例を説明する図である。
即ち、施術者は、図12に示すように、分厚い爪甲Nの一部を削り取り、削り取ったスペースに爪矯正具1をはめ込んだ状態でジェルを用いて固着させることができる。
具体的には、まず、施術者は、図12の爪甲Nについて、領域R3を削り取る。そして、施術者は、領域R3内にジェルを塗布し、爪矯正具1を矢印で示すようにはめ込んだ状態で、ランプLを用いてジェルを硬化させる。これにより、爪矯正具1と爪甲Nとは、より強固に固着される。
また、図示はしないが、領域R3にはめ込まれた爪矯正具1のジェルスポット41の軸XFの負方向にジェルを塗布した場合において、硬化されたジェルが一体(軸XF方向の構造が少ない状態で)となるため、固着はより強固なものとなる。
即ち例えば、施術者は、ジェルスポット41、42を指標として、ジェルの塗布量を調整すれば足りる。
また例えば、施術者は爪甲Nの形状やこれまでの矯正の経緯に基づいて、爪矯正具1の固着は強固に行う必要が有ると判断したとする。この場合、施術者は、ジェルスポット41の全体(即ち、10割)の領域にジェルを塗布して固着することができる。
更に言えば、上述の図9や図10を用いて説明したように、ジェルスポット41を指標として、爪甲Nと爪矯正具1の当接しない側(図9の領域R1)や、爪甲Nが伸びた軸YFの負方向の領域R2にも回り込ませ、可能な限り四方に塗布することで、より強固に固着することもできる。
このように、ジェルスポット41、42は、施術者がジェルの塗布量や塗布位置を把握する指標となるものであり、施術の利便性を向上することができる。
そして、本実施形態の爪矯正具1は、ジェルスポット41及び42等を有することでジェルHVを用いる際の利便性を向上させることができるのである。
爪(爪甲N)に当接する当接面(底面12)を有する板状の爪矯正具であって、
前記当接面は、
第1の長さ(図2の長さL2)を有する直線部(直線部22)と、
当該第1の長さより短い第2の長さ(図2の長さL1)を有し、当接する前記爪側に凸の湾曲を有する湾曲部(湾曲部21)と、
を含み、
前記爪の縁部に対して前記湾曲部の端部が当接されている状態で、前記端部が作用点として、前記湾曲部のうち前記端部から離間した点が支点として、前記直線部の一点が力点として、当該力点に力が加えられることにより、梃子の原理により、前記爪の縁部を皮膚から離間させる第1爪補正機能(例えば図5B及び図5Cの第1の爪補正機能)
を備える。
前記直線部の少なくとも一部が前記縁部を含む前記爪に当接されることにより、弾塑性力を用いて、前記爪の縁部を皮膚から離間させる第2爪補正機能(例えば図5Aの第2の爪補正機能)
をさらに備える。
前記当接面の前記湾曲部、及び前記直線部は、夫々の端部に、前記縁部を含む前記爪に前記爪矯正具を当接させるための接着剤を付着させる場所の指標となる指標部位(ジェルスポット41及び42)を
有する。
Claims (2)
- 爪に当接する当接面を有する板状の爪矯正具であって、
前記当接面は、
第1の長さを有する直線部と、
当該第1の長さより短い第2の長さを有し、当接する前記爪側に凸の湾曲を有する湾曲部と、
を含み、
前記爪の側縁部に対して前記湾曲部の端部が当接されている状態で、前記端部が作用点として、前記湾曲部のうち前記端部から離間した点が支点として、前記直線部の一点が力点として、当該力点に力が加えられることにより、梃子の原理により、前記爪の側縁部を皮膚から離間させる第1爪補正機能と、
前記直線部の少なくとも一部が前記側縁部を含む前記爪に当接されることにより、弾塑性力を用いて、前記爪の側縁部を皮膚から離間させる第2爪補正機能と、
を備え、
前記当接面の前記湾曲部、及び前記直線部は、夫々の端部に、前記側縁部を含む前記爪に前記爪矯正具を当接させるための接着剤を付着させる場所の指標となる指標部位
を有する
爪矯正具。 - 前記湾曲部は、前記第1爪補正機能において支点となり得る領域を有する、
請求項1に記載の爪矯正具。
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