定義
特に明記されない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される下記の語は、下記に述べる以下の意味を有する。
本発明の特定の観点、実施態様、又は実施例に関連して記載された特徴、整数、特性、化合物、化学部分、又は化学基は、それらとは両立することができない以外は、本明細書において記載された如何なる他の観点、実施態様、又は実施例に適用可能であることが理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特定の全て及び/又はそれに開示された如何なる方法又はプロセスの全ての工程は、そのような特性及び/又は工程の少なくとも幾つかが相互に排除される組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされうる。本発明は、前述の何らかの実施態様の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特性の何らかの新規な一つ若しくは何らかの新規な組み合わせに、又は本明細書に開示された如何なる方法又はプロセスの工程の何らかの新規な一つ若しくは何らかの新規な組み合わせにまで及ぶ。
読者の関心は、本出願に関連して本明細書と同時に又はその前に提出され且つ本明細書で公衆の閲覧に供されるところの全ての書類及び文書に向けられており、そのような全ての書類及び文書の内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
疑いを避ける為に、本明細書において「背景」という見出しの元に開示された情報は本発明に関連し及び本発明の開示の一部として読み取られるべきであるとここに述べられる。
特に明記されない限り、本明細書での「平均」値への如何なる言及も、平均値に関連付けられていることが意図される。
本明細書において、語「収着する(sorb)」、「収着(sorption)」、「収着剤(sorbent)」、「収着物(sorbate)」は、特定の固体構造(収着剤物質又は組成物)の孔内に/孔内へのある化合物(収着物、収着性の(sorbable)物質)の収着の方法、例えば「収着剤物質」が成分混合物から所望の成分を吸着する、を言及する。これらの語「収着する」、「収着」、「収着剤」、「収着物」は、「吸収する(absorb)」、「吸収(absorption)」、「吸収剤(absorbent)」及び「吸収物(absorbate)」を包含し、ここで、収着物は収着剤の大半に収着される。その上、「収着する」、「収着」、「収着剤」、「収着物」はまた、「吸着する(adsorb)」、「吸着(adsorption)」、「吸着剤(adsorbent)」、及び「吸着物(adsorbate)」を包含し、ここで、収着物は収着剤の表面へ収着される。幾つかの実施態様において、語「収着」は「吸収」を意味する。幾つかの実施態様において、語「収着」は、「吸着」を意味する。
本明細書において、語「選択的に収着する」は、収着剤(すなわち、多孔性固体物質)が、一つの収着物を、同じ起源の混合物の一部である他の成分又は潜在的な収着物に優先して取り込む方法を言及する。
組成物が(任意的に、規定量の濃度において)複数の規定成分を含むと云われる場合に、該組成物は任意的に、それらの規定成分以外の追加の成分を含みうる。しかしながら、或る実施態様において、複数の規定成分を含むと云われている組成物は、実際には、規定された全ての成分から本質的になるか又はそれからなりうる。
本明細書において、組成物が特定の成分「から本質的になる」と云われる場合、該組成物は適切には、該成分の少なくとも70重量%、適切にはその少なくとも90重量%、適切にはその少なくとも95重量%、最も適切にはその少なくとも99重量%を含む。適切には、特定の成分「から本質的になる」と云われる組成物は、1以上の微量不純物を除いた該成分からなる。
所与の組成物の特定の成分の量又は濃度が重量パーセント(重量%又は%重量/重量)として特定される場合、該重量パーセントは、全体としての組成物の総重量に対する該成分の重量パーセントを言及する。組成物の全成分の重量パーセントの合計が合計100重量%であることが当業者によって理解されるであろう。しかしながら、全成分が列挙されていない場合(例えば、組成物が1以上の特定の成分を「含む」と言われる場合)、重量パーセントバランスは任意的に、不特定の成分(例えば、希釈剤、例えば水、又は本質的でないが適切な他の添加剤)によって100重量%までになるようにしうる。
本明細書において、特に明記されない限り、語「部」(例えば、重量部,pbw;parts by weight)は、複数の成分/成分に関して使用される場合に、該複数の成分/成分間の相対比を言及する。2、3又はそれ以上の成分のモル比又は重量比を表すことは、同じ効果をもたらす(例えば、x、y及びzのモル比は、それぞれx1:y1:z1、又は範囲x1-x2:y1-y2:z1-z2)。多くの実施態様において、組成物中の個々の成分の量は「重量%」値として与えられうるが、代替的な実施態様において、そのような重量%の任意の又は全ての値は、複数の成分組成物を定義する為に重量部(又は、相対比)に転換されうる。これは、成分間の相対比が、しばしば、本発明の液体医薬組成物におけるその絶対濃度よりもより重要であるからである。複数の成分を含む組成物が重量部のみの観点で記載されている場合(すなわち、成分の相対比のみを示す為に)、上記成分の絶対量又は全体濃度を(全部又は個別のいずれであろうが)規定する必要はない。なぜならば、本発明の本発明の有利点は、それらの絶対量又は絶対濃度よりもむしろ、個々の成分の相対比に由来することができるからである。しかしながら、或る実施態様において、そのような組成物は、規定成分及び希釈剤(例えば、水)から本質的になるか又はそれからなる。
語「モルパーセント」(すなわち、モル%)は当業者によって十分に理解されており、且つ特定の成分のモル%は特定の成分の量(モルで表される)を(特定の成分を含む)全ての成分の総量で割ってパーセントに変換したもの(すなわち、100を掛けることによって)を意味する。モル%の概念は、モル分率に直接的に関連する。
語「実質的に含まない」は、組成物の所与の成分に関して使用される場合に(例えば、「化合物Xを実質的に含まない液体医薬組成物」)、上記成分が本質的に全く添加されていない組成物を言及する。組成物が所与の成分を実質的に含まない場合、該組成物は適切には、0.001重量%よりも多くない該成分、適切には0.0001重量%よりも多くない該成分、適切には0.00001重量%よりも多くない該成分、適切には0.000001重量%よりも多くない該成分、適切には0.0000001重量%よりも多くない該成分、最も適切には0.0001ppb(parts per billion)(重量)よりも多くない該成分を含む。
語「完全に含まない」は、組成物の所与の成分に関して使用される場合に(例えば、「化合物Xを完全に含まない液体医薬組成物」)、上記成分を含まない組成物を言及する。
本明細書において、組成物が特定の成分「から本質的になる」と云われる場合、該組成物は適切には、該成分の少なくとも70重量%、適切にはその少なくとも90重量%、適切にはその少なくとも95重量%、最も適切にはその少なくとも99重量%を含む。適切には、特定の成分「から本質的になる」と云われる組成物は、1以上の微量不純物を除いた該成分からなる。
本明細書において、本明細書の文脈において、「強酸」は適切には、-1.0以下のpKaを有するものであり、一方、「弱酸」適切には、2.0以上のpKaを有するものである。本明細書において、本明細書の文脈において、「強塩基」は適切には、その共役酸が12以上(適切には、14以上)のpKaを有するものであり、一方、「弱塩基」は適切には、その共役酸が10以下のpKaを有するものである。
適切には、特に明記されない限り、適切には更なる明確化の不存在下で、圧力及び/又は温度に依存しうるパラメータ(例えば、pH、pKaなど)又は物質の状態(例えば、液体、気体など)が参照される場合に、そのような参照は、標準の周囲温度及び圧力(SATP:standard ambient temperature and pressure)での上記パラメータを言及する。SATPは、298.15K(25℃、77°F)の温度及び100kPa(14.504psi、0.987atm)の絶対圧である。
本明細書において、特に明記されない限り、全ての化学命名法はIUPAC定義に従って定義されうる。
本明細書において、語「炭化水素」は当分野において十分に理解されており、及び炭素及び水素のみを含む化合物を言及する。語「ヒドロカルビル」は、脂肪族、非環式、又は環状(アリールを含む)炭化水素基のいずれかを言及し、適切にはヘテロ原子を含まない。そのような化合物はなかんずく、アルカン、アルケン、アルキン、アレーン、及びそれらの環状バージョンを含む。語「炭化水素」は、アントラセン、ナフタレン、ベンゼン、及び/又はそれらの誘導体(例えば、トルエン)を言及する。
本明細書において、語「炭素環式(carbocyclyl)」、「炭素環式化合物(carbocycle)」、又は「炭素環式の(carbocyclic)」は、一般に非芳香族環系中に3~10個の環炭素原子(すなわち、(3~10C)炭素環式)を有し且つヘテロ原子を有しない非芳香族環状炭化水素基の基を言及する。適切には、炭素環式基は、(3~nC)シクロアルキル及び(3~nC)シクロアルケニルを含む。例示的な実施態様は下記を含む:シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルなど。
本明細書において、語「大員環(macrocyclyl)」、「大員環式化合物(macrocycle)」、又は「大員環式の(macrocyclic)」は、大員環式環を言及し、それは当分野において周知である。そのような大員環式環は適切には、環状巨大分子又は、分子の環状巨大分子環状部分である。適切には、大員環式環は、該缶内に9個以上の原子を有する。適切には、大員環式環は、3個以上の内部電子対供与原子を有する。大員環式環は適切には、中心金属種(例えば、Mg2+)に配位することができる環状分子である。例は、ポルフィリンを含む。
本明細書において、語「炭水化物」は当分野において十分に理解されており、及び炭素、水素及び酸素のみを含む化合物を言及する。そのような化合物は、エステル、ケトン、アルデヒド、糖類などを含む。
この明細書において、語「アルキル」は、直鎖及び分岐鎖のアルキル基の両方を含む。個々のアルキル基、例えば「プロピル」、に対する参照は、直鎖型のみに特異的であり、且つ、個々の分岐鎖アルキル基、例えば「イソプロピル」、に対する参照は、分岐鎖型のみに特異的である。例えば、「(1~6C)アルキル」は、(1~4C)アルキル、(1~3C)アルキル、プロピル、イソプロピル、及びt-ブチルを含む。同様の慣例が他の基に適用され、例えば「フェニル(1~6C)アルキル」は、フェニル(1~4C)アルキル、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルを含む。
単独で又は接頭辞として使用される語「(m~nC)基」又は「(m~nC)基」は、m~n個の炭素原子を有する基のいずれかを言及する。
「アルキレン」基、「アルケニレン」基、又は「アルキニレン」基は、2つの他の化学基間に位置し、且つ当該2つの他の化学基を接続する為に役に立つアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である。従って、「(1~6C)アルキレン」は、1~6個の炭素原子の直鎖の飽和の2価の炭化水素基、又は3~6個の炭素原子の分岐した飽和の2価の炭化水素基を意味し、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、2-メチルプロピレン、ペンチレンなどである。
「(2~6C)アルケニレン」は、少なくとも1つの二重結合を含む、2~6個の炭素原子の直鎖の2価の炭化水素基又は3~6個の炭素原子の分岐した2価の炭化水素基を意味し、例えばエテニレン、2,4-ペンタジエニレンなどである。
「(2~6C)アルキニレン」は、少なくとも1つの三重結合を含む、2~6個の炭素原子の直鎖の2価の炭化水素基又は3~6個の炭素原子の分岐した2価の炭化水素基を意味し、例えばエチニレン、プロピニレン、及びブチニレンなどである。
「(3~8C)シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子を含む炭化水素環を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はビシクロ[2.2.1]ヘプチルである。
「(3~8C)シクロアルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素環を意味し、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、又はシクロヘプテニル、例えば3-シクロヘキセン-1-イル又はシクロオクテニル、である。
「(3~8C)シクロアルキル(1~6C)アルキレン」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合的に結合された(3~8C)シクロアルキル基を意味し、それら両方が本明細書において定義されている。
語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを言及する。
語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環の」又は「ヘテロ環」は、非芳香族飽和の又は部分的に飽和の単環式、縮合された、架橋された、又はスピロ二環式のヘテロ環の1以上の環系を意味する。語 ヘテロシクリルは、1価の種及び2価の種の両方を含む。単環式ヘテロ環の環は約3~12(適切には、3~7)の環原子を含み、1~5(適切には、1、2、又は3)のヘテロ原子は、該環における窒素、酸素又は硫黄から選択される。二環式ヘテロ環は、該環における7~17員原子、適切には7~12員原子を含む。二環式ヘテロ環は、約7~約17環原子、適切には7~12環原子、を含む。1以上の二環式ヘテロ環の環は、縮合された、スピロ、又は架橋された環系でありうる。ヘテロ環の基の例は、環状エーテル、例えばオキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、及び置換された環状エーテルを含む。窒素を含むヘテロ環は例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリルを含む。典型的な硫黄を含むヘテロ環は、テトラヒドロチエニル、ジヒドロ-1,3-ジチオール、テトラヒドロ-2H-チオピラン、及びヘキサヒドロチエピンを含む。他のヘテロ環は、ジヒドロ-オキサチオリル、テトラヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-オキサジアゾリル、テトラヒドロジオキサゾリル、テトラヒドロ-オキサチアゾリル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラヒドロ-オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンズイミダゾリル、及びオクタヒドロベンゾチアゾリルを含む。硫黄を含むヘテロ環について、SO基又はSO2基を含む酸化硫黄ヘテロ環がまた含まれる。例は、テトラヒドロチエニル及びチオモルホリニルのスルホキシド及びスルホンの形態、例えばテトラヒドロチエン1,1-ジオキシド及びチオモルホリニル1,1-ジオキシド、を含む。1又は2つのオキソ(=O)又はチオキソ(=S)置換基を有するヘテロシクリル基の適切な値は例えば、2-オキソピロリジニル、2-チオキソピロリジニル、2-オキソイミダゾリジニル、2-チオキソイミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニル、又は2,6-ジオキソピペリジニルである。特に、ヘテロシクリル基は、窒素、酸素、又は硫黄から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む飽和の単環式3~7員環のヘテロシクリル、例えばアゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1-ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1-ジオキシド、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、又はホモピペラジニル、である。当業者が理解するように、任意のヘテロ環は、任意の適切な原子を介して、例えば炭素原子又は窒素原子を介して他の基に結合されうる。しかしながら、本明細書において、ピペリジノ又はモルホリノへの参照は、環窒素を介して結合されているピペリジン-1-イル環又はモルホリン-4-イル環を言及する。
「架橋された環系」とは2つの環が2つ以上の原子を共有する環系を意味する。例えばAdvanced Organic Chemistry,by Jerry March,4th Edition,Wiley Interscience,第131~133頁,1992年を参照。架橋されたヘテロシクリル環系の例は、アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、及びキヌクリジンを含む。
「ヘテロシクリル(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合的に結合されたヘテロシクリル基を意味し、それらの両方が本明細書において定義されている。
語「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、又は硫黄から選択される1以上の(例えば、1~4、特に1、2、又は3)ヘテロ原子を組み込んだ芳香族のモノ-、ビ-、又は多環環を意味する。語 ヘテロアリールは、1価の種及び2価の種の両方を含む。ヘテロアリール基の例は、5~12環員、及びより特には通常5~10環員、を含む単環式及び二環式の基である。ヘテロアリール基は例えば、5-又は6-員の単環式の環又は9-又は10-員の二環式の環、例えば縮合された5員環及び6員環又は2つの縮合された6員環から形成される二環式構造、であることができる。各環は、典型的に窒素、硫黄及び酸素から選択される約4個までのヘテロ原子を含みうる。典型的には、ヘテロアリール環は、3個までのヘテロ原子、より一般的には2までの、例えば単一のヘテロ原子を含むだろう。一つの実施態様において、ヘテロアリール環は、少なくとも1つの環窒素原子を含む。ヘテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾール若しくはピリジンの場合のように塩基性であることができ、又は、インドール若しくはピロールの窒素の場合のように本質的に非塩基性であることができる。一般に、該環の任意のアミノ基の置換基を含む、ヘテロアリール基中に存在する塩基性窒素原子の数は、5未満であるだろう。
ヘテロアリールの例は、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、プリニル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、プテリジニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、フェナジニル、ベンズイソキノリニル、ピリドピラジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、2H-フロ[3,2-b]-ピラニル、5H-ピリド[2,3-d]-o-オキサジニル、1H-ピラゾロ[4,3-d]-オキサゾリル、4H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニルを含む。「ヘテロアリール」はまた、部分芳香族の二環式又は多環式環系を包含し、少なくとも1つの環は、非芳香族の、飽和の又は部分的に飽和の環であり、但し、少なくとも1つの環は窒素、酸素、又は硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む。部分芳香族ヘテロアリール基の例は例えば、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンズチエニル、ジヒドロベンズフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキソニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,2-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾチエニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、インドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリド[2,3-b]ピラジニル、及び3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジニルを含む。
5員環のヘテロアリール基の例は、これらに制限されないが、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、オキサトリアゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、及びテトラゾリル基を含む。
6員環のヘテロアリール基の例は、これらに制限されないが、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、及びトリアジニルを含む。
二環式ヘテロアリー基は例えば、下記から選択される基でありうる:
a) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたベンゼン環;
b) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピリジン環;
c) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピリミジン環;
d) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピロール環;
e) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピラゾール環;
f) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピラジン環;
g) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイミダゾール環;
h) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたオキサゾール環;
i) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイソキサゾール環;
j) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたチアゾール環;
k) 1又は2環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイソチアゾール環;
l) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたチオフェン環;
m) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたフラン環;
n) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環のヘテロ芳香族環に縮合されたシクロヘキシル環;及び、
o) 1、2、又は3環のヘテロ原子を含む5-又は6-員環のヘテロ芳香族環に縮合されたシクロペンチル環。
5員環に縮合された6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、これらに制限されないが、ベンズフラニル基、ベンズチオフェニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、イソベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、プリニル基(例えば、アデニニル基、グアニニル基)、インダゾリル基、ベンゾジオキソリル基、及びピラゾロピリジニル基を含む。
2つの縮合された6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、これらに制限されないが、キノリニル基、イソキノリニル基、クロマニル基、チオクロマニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ベンゾジオキサニル基、キノリジニル基、ベンズオキサジニル基、ベンゾジアジニル基、ピリドピリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、及びプテリジニル基を含む。
「ヘテロアリール(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合的に結合されたヘテロアリール基を意味し、それらの両方が本明細書において定義されている。ヘテロアラルキル基の例は、ピリジン-3-イルメチル、3-(ベンゾフラン-2-イル)プロピルなどを含む。
語「アリール」は、5~12個の炭素原子を有する環状又は多環の芳香族環を意味する。語 アリールは、1価の種及び2価の種の両方を含む。アリール基の例は、これらに制限されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどを含む。特定の実施態様において、アリールはフェニルである。
語「アリール(1~6C)アルキル」は、(1~6C)アルキレン基に共有結合的に結合されたアリール基を意味し、それら両方が本明細書において定義されている。アリール-(1~6C)アルキル基の例は、ベンジル、フェニルエチルなどを含む。
本明細書はまた、1よりも多い官能性を含む基を記載する為に幾つかの複合語を使用する。そのような語は、当業者によって理解されるであろう。例えば、ヘテロシクリル(m-nC)アルキルは、ヘテロシクリルによって置換された(m-nC)アルキルを含む。
大きな炭素鎖を有する基が開示されている場合にはいつでも(例えば、(1~12C)アルキル、(1~8C)アルケニルなど)、そのような基は任意的に、例えば1~5個の炭素(例えば、(1~5C)アルキル又は(1~5C)アルケニル)を含むように短くされ得、又は1~3個の炭素(例えば、(1~12C)アルキル又は(1~8C)アルケニルの代わりに、(1~3C)アルキル又は(1~3C)アルケニル)を含みうる。
語「任意的に置換されていてもよい」は、置換された基、構造、又は分子、及び置換されていない基、構造、又は分子、のいずれかを言及する。
任意の置換基が「1以上の」基から選択される場合、この定義は、指定された基のうちの1つから選択される全ての置換基又は指定された基の2つ以上から選択される置換基を含むことが理解されるべきである。
句「本発明の化合物」は、一般的に且つ具体的に野両方において、本明細書に開示されているそれらの化合物を意味する。
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列又は空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、及び互いに重なり合わない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれる。例えば、化合物が不斉中心を有する場合、それは4つの異なる基に結合されており;エナンチオマーの対が可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置(Cahn及びPrelogのR-及びS-配列決定規則によって記載されている)によって又は分子が変更の面を回転させ且つ右旋性若しくは左旋性として指定された(すなわち、それぞれ(+)又は(-)-異性体として)様式によって特徴付けられることができる。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとして又はその混合物としてのいずれかで存在することができる。当量のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
本発明の該化合物は、1以上の不斉中心を有しうる;それ故に、そのような化合物は、個々の(R)-若しくは(S)-立体異性体として又はそれらの混合物として製造されることができる。他に示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の記述及び命名は、個々のエナンチオマーの両方、及び混合物、ラセミ体又はその逆、それらの混合物を含むことが意図される。立体化学を決定する方法及び立体異性体を分離する方法は、例えば光学活性開始物質からの合成によって又はラセミ体の分割によって、当分野において周知である(“Advanced Organic Chemistry” 4th edition J.March,John Wiley and Sons,New York,2001年、の第4章における考察を参照)。本発明の該化合物の幾つかは、幾何異性中心(E-及びZ-異性体)を有しうる。本発明は、テロメラーゼ阻害活性を有する全ての光学異性体、ジアステレオ異性体、及び幾何学異性体、並びにそれらの混合物を包含することが理解されるべきである。
本発明はまた、1以上の同位体の置換を含む本明細書において定義された通りの本発明の化合物を包含する。例えば、Hは、1H、2H(D)及び3H(T)を含む任意の同位体の形態であり;Cは、12C、13C、及び14Cを含む任意の同位体の形態であり;及び、Oは、160及び180を含む任意の同位体の形態である。
式Iの或る化合物は多型を示しうること、及び本発明はそのような全ての形態を包含することがまた理解されるべきである。
化合物は、多数の異なる互変異性の形態で存在してよく、及び化合物への参照はそのような全ての形態を含む。疑義を回避する為に、化合物が幾つかの互変異性の形態のうちの一つにおいて存在することができ且つ一つのみが具体的に記載又は示されている場合に、それにもかかわらず他の全てが該化合物に定義によって包含される。互変異性の形態の例は、例えば下記に示される互変異性の対:ケト/エノール(下記に示されている)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、及びニトロ/アシニトロ、のように、ケトの、エノールの、及びエノレートの形態を含む。
式1
アミン官能基を含む式Iの化合物はまた、N-酸化物を形成しうる。本明細書において、アミン官能基を含む式Iの化合物への参照はまた、N-酸化物を含む。化合物が幾つかのアミン官能基を含む場合に、1又は1よりも多い1つの窒素原子が酸化されて、N-酸化物を形成する。特に、N-酸化物の例は、三級アミンのN-酸化物又は窒素含有ヘテロ環の窒素原子である。N-酸化物は、対応するアミンを酸化剤、例えば過酸化水素又は過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)、で処理することによって形成されることができる(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4th Edition,Wiley Interscience,pagesを参照)。より特には、N-酸化物は、L.W.Deady(Syn.Comm.1977年、第7巻、第509~514頁)の手順によって製造されることができ、それにおいてアミン化合物は、例えば不活性溶媒、例えばジクロロメタン、中において、m-クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応される。
本明細書において、語「粒径」又は「孔径」はそれぞれ、所与の粒子又は孔の最長寸法の長さを言及する。粒径及び孔径は、当分野において周知である方法、例えばレーザー粒径解析器及び/又は電子顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡,TEM:transmission electron microscope、又は走査型電子顕微鏡,SEM:scanning electron microscope)、を使用して測定されうる。
以下に記載された合成方法の記載において且つ開始物質を調製する為に使用される参照された合成方法において、全ての提案された反応条件、例えば溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験の期間及びワークアップ手順、が、当業者によって選択されることができる。
分子の様々な部分に存在する官能基は利用される試薬及び反応条件と適合されなければならないことが、有機合成の当業者によって理解される。
必要な開始物質は、有機化学の標準の手順によって得られうる。そのような開始物質の調製は、下記の代表的な方法の変形例と合わせて及び添付の実施例内において記載されている。代替的には、必要な開始物質は、有機化学者の通常の技量内にある例示された手順と類似の手順によって得られうる。
本発明の該化合物は当分野において周知の技術を使用して分離され且つ精製されることができることが当業者によって理解されるだろう。これは、適切なワークアップ手順(任意的に、例えばクエンチング、pH調整、洗浄、乾燥など)を含みうる。これは、濃縮(例えば、真空中)、再結晶化、クロマトグラフィー(順相又は逆相のいずれか)を含みうる。純度は、当分野において周知の技術によって検証されうる。
化合物の合成に関する上記された一般的な任意の点がまた、他の化合物及び/又は本発明の方法に必要な変更を加えて適切に適用されうることが理解されるだろう。
本発明の文脈において、「合成等価体」は所与の「シントン」に対応する一つの化合物(又は複数の化合物)への言及として、当分野において、特に逆合成の分野において、当業者によって十分に理解されている(E.J.Corey,Pure App.Chem.,1967,第14巻:第30~37頁)。任意の所与のシントンは複数の合成等価体を有してもよく、及び、かくして、2つの合成等価体、すなわち第1の合成等価体及び第2の合成等価体、のそれぞれが共通のシントンに自然に対応するが、所与の第1の合成等価体が第2の合成等価体の合成等価体とみなされうる。当業者によって理解されるように、シントンは(典型的に)、潜在的な合成操作に関連する、仮説的構造単位、フラグメント又は合成のビルディングブロックである(E.J.Corey,"Robert Robinson Lecture.Retrosynthetic thinking-essentials and examples",Chem.Soc.Rev.,1988年,第17巻:第111~133頁)。本発明の文脈において、任意の所与の化合物又はシントンの代替的な合成等価体は適切には、同一の化合物に独立して転化可能であり、所与の化合物それ自体又は最も適切にはその誘導体(又は、反応後の形態)に転化可能である。
しかしながら、代替の合成等価体を同一の化合物に転化することが異なる方法及び合成工程の潜在的に異なる数を要求しうることを当業者は容易に理解するであろう。本発明の文脈において、開始物質及び生成物の両方が、その対応する合成等価体を参照することによって指定されうる。なぜならば、それは、任意の2つの合成的に等価な開始物質が、同一の生成物に又はその後に同一の生成物に転化されうる生成物に最終的に転化されうることが理解されるであろうからである。合成等価体は特に、保護器の文脈において関連してもよく、それらがそれらの保護機能を果たした後に除去される為に、それらは化合物の分子構造の部分(特に、処理中に脆弱でありうるか又は敏感でありうる該分子の部分)に一時的に取り込まれうる。
下記に定義される処理における本発明の該化合物の該合成の間に又は或る開始物質の合成の間に、或る置換基を保護して、それらの望ましくない反応を防ぐことが望ましい場合があることが理解されるであろう。そのような保護が必要とされる場合に、当分野の化学者は、そのような保護基がどのように適所に置かれ、そして後に除かれるかを理解するであろう。
保護基の例について、本主題に関する多くの一般的なテキストのうちの一つ、例えば下記を参照してください:「Protective Groups in Organic Synthesis」 by Theodora Green(publisher:John Wiley & Sons)。保護基は、問題の保護基の除去の為に適切である、文献によって記載されている又は当業者によって知られている任意の慣用的な方法によって除去されうる。そのような方法は、分子内の他の場所の基の妨害を最小限にして保護基を除去する為に選択される。
従って、反応物が例えば、基、例えばアミノ基、カルボキシ基、又はヒドロキシ基、である場合、本明細書に述べられた幾つかの反応において該基を保護することが望ましい場合がある。
例として、アミノ基又はアルキルアミノ基の為の適切な保護基は例えば、アシル基、例えばアルカノイル基、例えばアセチル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、又はt-ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基、又はアロイル基、例えばベンゾイル基、である。上記保護基についての脱保護条件は、保護基の選択で必然的に変わる。従って、例えばアシル基、例えばアルカノイル基又はアルコキシカルボニル基又はアロイル基は例えば、適切な塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばリチウム又は水酸化ナトリウム、を用いての加水分解によって除去されうる。代替的には、アシル基、例えばtert-ブトキシカルボニル基、は例えば、適切な酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸又はトリフルオロ酢酸、を用いての処理によって除去されうる。アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基、は例えば、触媒、例えばパラジウム炭素(palladium on carbon)、を介しての水素化によって又はルイス酸、例えばホウ素トリス(トリフルオロ酢酸)、を用いての処理によって除去されうる。第一級アミノ基についての適切な代替的な保護基は例えば、アルキルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、を用いての又はヒドラジンを用いての処理によって除去されうるフタロイル基である。
ヒドロキシ基の為の適切な保護基は例えば、アシル基、例えばアルカノイル基、例えばアセチル基、アロイル基、例えばベンゾイル基、又はアリールメチル基、例えばベンジル基である。上記保護基についての脱保護条件は、保護基の選択で必然的に変わるだろう。従って、例えばアシル基、例えばアルカノイル基又はアロイル基、は例えば、適切な塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばリチウム、水酸化ナトリウム、又はアンモニア、を用いての加水分解によって除去されうる。代替的には、アリールメチル基、例えばベンジル基、は例えば、触媒、例えばパラジウム炭素(palladium on carbon)、を介しての水素化によって除去されうる。
カルボキシ基の為の適切な保護基は例えば、エステル化基、例えば塩基、例えば水酸化ナトリウム、を用いての加水分解によって除去されうる例えばメチル基又はエチル基、又は、例えば酸、例えば有機酸、例えばトリフルオロ酢酸、を用いての処理によって除去されうる例えばt-ブチル基、又は、例えば触媒、例えばパラジウム炭素(palladium on carbon)、を介しての水素化によって除去されうる例えばベンジル基、である。
それ故に、本発明の該方法は、最も適切には最終の合成の工程の後にではあるが、下記の段階(中間体を含む)のいずれかを必要に応じて及び必要ならば含みうる:
(a) 存在する任意の保護器を除去すること;
(b) 該化合物を他の化合物に転化すること;及び/又は、
(c) それらの許容可能な塩を形成すること
を含みうる。
一般的な方法論及び本発明の有利点
本発明は、一旦形成されると、例えば汚染物質を収着する為の又は所望の物質(例えば、「炭素捕捉」を容易にする為の、排気ガスの混合物からのCO2)を選択的に収着する為の収着剤として使用されうる安定化された多孔質物質の新しい分類(そうでなければ起こりうる孔つぶれを阻害し又は予防する為に役に立つ「分子状の連結」の賢明な導入を通じて多孔質構造及び/又は分子空洞が安定化されるつぶれ可能な物質)に貢献する。
その上、幾分驚くべき展開において、本発明者等は、それらの孔の安定化技術(すなわち、不安定なつぶれ可能な物質を予め安定化させる為の分子状の連結を使用して)がさらに、つぶれ可能な物質(すなわち、今のところは不安定化された)が気体状の分子状の連結化合物を化学的に(すなわち、それらの対応する不安定化されたつぶれ可能な物質から安定化された多孔質物質を生成する分子状の連結構造を含む化学収着を介して)及び物理的に(すなわち、該孔内の分子状の連結化合物の拡散及び最終的な吸着/捕捉を含む物理的吸着を介して)の両方で捕捉する「二重収着」方法を介して利用されることが出来ることをを思いがけなく発見した。例えば、相対的に濃縮された液相条件を予め使用してホルムアルデヒド由来の分子状の連結を生成する相対的に低い部分的圧力ホルムアルデヒドにおいてでさえも、本発明のつぶれ可能な物質は、(連結分子として役に立つ)気体状のホルムアルデヒドを収着する為に使用されることができ、そのような発見は直感で分かるものでない。そのようなつぶれ可能な物質は、場合によっては、最も優れた既存の技術、例えばポリアクリロニトリルベースの炭素繊維、よりもかなり多くの(例えば、20倍)吸収することができる。その上、そのような多孔質物質によるホルムアルデヒドの保持は典型的に、活性炭物質が標準の物理収着挙動に従ってその吸着された物質を有利するだろう湿度の高い条件及び/又は高められた温度下で、広く使用されている活性炭ベースの物質よりもはるかに優れている。本発明の多孔質物質内の収着性の物質の強力な保持は、単に化学収着の機能であると考えられるだけでなく、化学収着によってもたらされる高められた物理収着であるとも考えられる。かくして、相乗効果が、これらの収着複合体に関して観察される高い分解温度を考慮すると効果を現しているように見える。最後に、本発明者等は、本発明の収着物質の多くは、それらの活性炭対応物と比較してはるかに高い選択性を示すことに注目した。
本発明の出現の前に、一時的多孔質物質の広い範囲は、孔のバケーション(vacation)(例えば、脱溶媒和の後に)に応じてそれらのつぶれる傾向のために、収着剤物質としてほとんど不可能であった。かくして、(例えば、イミン部分の固有の加水分解及び酸/塩基の不安定性に対処する為の有機イミンかごの還元を介して)化学的に安定化された多孔質物質の提供における最近の進歩は、そのような化学的安定がしばしば物理的不安定化をもたらす(典型的には、必然的な立体配座の柔軟性と、イミンがそれらの対応するアミンに還元される場合に多くのsp2炭素中心をsp3中心に転化することに応じて導入される自由とのため)という不本意な発見によって幾分相殺された。
本発明は、これらの以前に不可能な収着物質が、物理的に及び化学的にの両方で安定である非常に実行可能で且つ有用な収着物質に転化されることを今許す。特に、本発明によって提供される多くの多孔性収着物質は高pH及び低pHの両方に耐えることができ、それはそれらの効用を著しく拡大する。本発明の多孔性収着物質はまた、典型的に、損傷又はつぶれの危険無しに(低から高への)温度範囲に耐える。その上、本発明の多孔性収着物質は、先行技術の多くの多孔質物質よりもより良い溶媒の安定性を示す。さらにその上に、本発明の原理および本明細書に記載されたガイダンスを使用して、当業者は、本発明を賢明に適用して、孔径を変更し、特定の収着性の物質についての孔の親水性/疎水性及び/又は孔の選択性を変更することができる。
本発明の利点は、例えば、本発明の物質及び1以上の既存の物質(例えば、ゼオライト、他の収着物質)を含む混合物を形成することによって、既存の技術の利点と組み合わせられうる。
本発明は、本明細書の他の箇所で論じられているように、広範囲の用途を有し、及び関連する多孔質材料の種類について以前にあまりにも敵対的であったであろう環境で利用されることができる。
つぶれ可能な物質を安定化すること
本発明は、つぶれ可能な物質、適切には本明細書において定義された通りのつぶれ可能な物質を安定化する方法を提供する。該つぶれ可能な物質(すなわち、不安定化された前駆体)は適切には、異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)を含む。該方法は適切には、該つぶれ可能な物質を「分子状の連結」化合物と反応させること、適切には異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)を該分子状の連結化合物と反応させること、を含む。そのような反応は適切には、該つぶれ可能な物質内に異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)を生じさせて、該分子状の連結化合物から誘導される「分子状の連結」リンカーを介して互いに連結されることになる。
本発明はまた、つぶれ可能な物質を安定化する上記方法によって、安定化された多孔質物質を調製する方法を提供する。かくして、本発明はまた、上記方法によって得られうる安定化された多孔質物質を提供する。安定化された多孔質物質は適切には、「分子状の連結」リンカーを介して相互連結された少なくとも1つの組(又は対)の異なる複数の反応性部分を含む。
安定化された多孔質物質を調製することの方法は、スキーム1において例として示されている通り、つぶれ可能な物質を形成することの工程を追加的に含みうる。
化学的安定化
(安定化されるべき)つぶれ可能な物質は、場合によっては、相対的に化学的に不安定な多孔質前駆体由来の化学的に安定化されたつぶれ可能な物質である。事実、該つぶれ可能な物質に関連付けられた物理安定化問題は、その多孔質前駆体の事前の化学的安定化処置の多分副生成物でありうる。例えば、イミンかご分子(多孔質前駆体の例)は典型的には、物理的に安定可能な、しかし化学的に不安定な多孔質構造(及び/又は分子の空洞)を含む。そのようなイミンかごの相対的に高い物理的安定性は、イミンカゴ分子が相対的に構造的に制限されたsp2炭素中心に豊富であることによる。そのようなイミンかごの(特に酸性及び/又は塩基性の条件下における特定の加水分解的不安定性)相対的に低い化学的安定性は、イミン結合形成の可逆性の結果であり-すなわちイミン結合は加水分解を受けそしてそれによってそれらの親のカルボニル(又は、カルボニル由来)化合物に戻りうる。
かくして、本発明の方法(特に、安定化された多孔性物質を調製する方法)は、(相対的に物理的に安定な可能な、しかし相対的に化学的に不安定な)多孔質前駆体からの(相対的に物理的に不安定な化学的に安定な)つぶれ可能な物質を形成する工程を含みうる。例えば、該方法は、相対的に化学的に不安定な多孔質前駆体を(相対的に化学的に安定な)つぶれ可能な物質に転化することによって該つぶれ可能な物質を形成することを含みうる。この転化は適切には、多孔質前駆体を、該多孔質前駆体をより加水分解的に安定である生成物をもたらす化学反応に付すことを含む。特定の実施態様において、多孔質前駆体がイミン部分を含む場合、該化学反応は、該多孔質前駆体の少なくとも幾つかの(好ましくは実質的に全ての)該イミン部分をそれらの対応するアミン部分に還元することを含む。結果として生じたアミン結合は前駆体イミン結合よりも加水分解的により安定である故に、該つぶれ可能な物質生成物は、該多孔質前駆体よりもより化学的に安定であると考えられる。
そのような化学的安定性(特に、加水分解的安定性おける)は適切には、広範囲のpH、適切にはpH1~pH13、適切にはpH1.5~pH12.5、適切にはpH2~12、適切にはpH4~10、適切にはpH6~8、にわたって保持されうる。そのような高度の化学的安定化は、該つぶれ可能な物質が、そうでなければ多孔質前駆体に対して敵対的であると考えられうる多種多様な条件下で、様々な状況において論理的に使用されることを許す。それ故に、そのような化学的安定は、有望な前進を表している。
しかしながら、この化学的安定プロセスから生じる物理的安定性の問題は、物理的に且つ化学的の両方で安定化されそしてそれ故に以前に実現不可能な状況において使用可能なる多孔質物質(例えば、アミンかご)を提供する本発明によって容易に対処される。
例として、プロトンNMRが、化学的安定性(例えば、pH1.7で12日間、酸性環境に付された場合に、プロトンNMRに決定される場合に、5%未満の分解)を決定する為に使用されうる。
物理的安定化
この明細書の背景技術の項において説明された通り、特に孔それ自体が(例えば、脱溶媒和中又は脱溶媒後に)空になった場合に、或る多孔質構造は孔つぶれし易い。そのような孔つぶれは典型的には、関連するつぶれ可能な物質の形状及び/又は外観における変化に通常気付くであろう観察者に(肉眼で、顕微鏡で、又は適切な顕微鏡技術、例えばSEM、でのいずれかで)見える。
孔つぶれはしばしば、該つぶれ可能な物質を構成する分子内の立体配座の自由度の相対的に高い程度の不可避的な結果である。例えば、sp2炭素中心において豊富であるがsp3炭素中心において相対的に不足している多孔性物質は、sp2炭素において不足しているがsp3炭素において豊富である対応するつぶれ可能な物質よりも(立体配座の自由度のより低い程度の為に)より高い硬度である可能性がある。例として、有機イミンかごは、それらの還元されたアミン対応物よりも物理的により安定である。全体的なシステムのエネルギーを低下させる配座変化(バルク物質の全体的な格子/結晶化エネルギーに関して、又は個々の分子の配座エネルギーに関して)は、熱力学的に有利であり且つ該配座変化が動力学的に実行可能である場合に自発的に起こる可能性がある(例えば、孔が空になった場合、及び/又は多孔質構造が十分な時間について或る条件に付された場合)。本発明の方法は適切には、(少なくともある程度)上記の孔つぶれを起こし易いつぶれ可能な物質を(相対的に)安定化された多孔質物質に転化する。そのような転化は一般的に、該つぶれ可能な物質(及び最終的に安定化された多孔質物質)を構成する該分子の配座の自由度を適切には制限することによって、関連するつぶれ可能な物質の速度論的及び/又は熱力学的安定的安定性のいずれか又はそれらの両方を増加させる。
該つぶれ可能な物質の安定化は適切にはそれらの物理的な安定化を含み、及び適切には該つぶれ可能な物質の(潜在的な)多孔質構造の物理的な安定化を含む(すなわち、多孔質構造、孔径、及び孔形状が、経時的に、特に或る条件下において、実質的に変化しないように)。適切には、物理的安定化は、高められた形状持続性を含む(すなわち、多孔質物質の物理的な形状及び構造が、所定セットの共通条件の下でより長い期間持続する場合)。最も適切には、そのような物理的安定化は、その予め安定化されたつぶれ可能な物質対応物よりも孔つぶれに対してより耐性である該安定化された多孔質物質を阻害し、防止し、さもなければ与える。
つぶれ可能な物質の多孔質構造及び/又は物理的形状のいずれか又はそれらの両方のそのような安定化は、当分野において周知の技術によって容易に認識される。例えば、安定化された多孔質物質とその予め安定化されたつぶれ可能な物質対応物との間の比較測定(すなわち、物理的安定性測定-ガス収着実験、単結晶及び/又は粉末X線回折)は、安定化の必要な証拠を提供するだろう。
しかしながら、本発明の文脈において、つぶれ可能な物質はつぶれ可能であるか(すなわち、経時的につぶれうる及び/又はつぶれる条件に対する曝露下で)又は既につぶれているかのいずれかでありうることが当業者に容易に明らかであろう。かくして、安定化された多孔質物質と比較してつぶれ可能な物質を検証することは、複数の試験、例えば下記の試験、を含みうる:
i) つぶれ可能な物質の第1のサンプル及び安定化された多孔質物質の第1のサンプルの為に試験であって、例えば下記のa.及びb.を通じて、該つぶれ可能な物質及び対応する安定化された多孔質物質の両方のグラム当たりの相対的な孔径/容積を検証する為の試験:
a. 同一の条件(例えば、77K又は298Kの温度、1バール圧力)下で、各サンプルについてガス吸着分析(例えば、N2、H2、及び/又はCO2ガスを使用して)を実行して、各物質/材料のグラム当たりの収着された気体状のモル量(例えば、試験された物質のグラム当たりの気体のmmol)を測定すること、孔つぶれ後、つぶれ可能な物質は適切には、対応する安定化された多孔質物質よりもより低いガス収着を示す;
b. ガス収着温線から(例えば、N2、H2、及び/又はCO2ガスを使用して)BET表面積(例えば、絶対又はモル)を計算すること。孔つぶれ後、つぶれ可能な物質は適切には、対応する安定化された多孔質物質よりもより狭いBET表面積(例えば、絶対又はモル)を示す;
ii) つぶれ可能な物質の第2のサンプル及び安定化された多孔質物質の第2のサンプルの為の試験であって、例えば下記のa.を通じて、該つぶれ可能な物質の初期のつぶれ状態及び2つのサンプルの相対的な物理的安定性を検証する為の試験:
a. 各サンプルを、一定時間(例えば12時間、適切には24時間、適切には48時間)、ストレス条件(例えば高い温度、例えば100oC以上、適切には200oC以上)に曝露し、及び、任意の物理的変化(例えば、肉眼で目に見える変化、顕微鏡的に目に見える変化、XRPD測定に対する変化、(i)の試験当たりの多孔性における変化)を試験すること、-該つぶれ可能な物質が変化しない場合には、それは既につぶれていると見なされ;該つぶれ可能な物質は変化する場合には、それは予めつぶれているか又は部分的につぶれており;予めつぶれたつぶれ可能な物質は適切には、該安定化された多孔質物質よりも変化する。
つぶれ可能な化合物間の比較可能なつぶれ性が決定されうる。
安定化された多孔質物質の安定性
本発明の方法から形成された該安定化された多孔質物質は適切には、対応する予め連結されたつぶれ可能な物質と比較して相対的に物理的に安定(形状持続性、孔つぶれ性の点において)であり、及び、必要に応じて、該つぶれ可能な物質が生成されうる任意の対応する多孔質前駆体と比較して相対的に化学的に安定(加水分解的安定性、特に酸性又は塩基性条件の点において)である。
適切には、少なくとも20℃、より適切には少なくとも50℃、より適切には少なくとも100℃、の温度で、同じ条件(例えば、空気の1バール雰囲気下、少なくとも20%、適切には少なくとも50%、の相対湿度で)下で保存される場合に、物理的形態/結晶、粒子の形状(例えば、特にはアモルファスである場合)及び/又は該安定化された多孔質物質のバルクは、実質的に変化しないか又は対応するつぶれ可能な物質よりも長い間、相対的に変化が少ない。適切には、同じ条件(例えば、高められた温度で真空下)下で、乾燥の間又は乾燥の後のいずれかで、物理的形態/結晶、粒子の形状(例えば、特にアモルファスである場合)及び/又は該安定化された多孔質物質のバルクは、該対応するつぶれ可能な物質よりも長い間残る(実質的に変化しないか、又は相対的に変化が少ない)。
適切には、同じストレス条件(例えば、pH3での水性酸において撹拌されるか、又はSATPでpH11での水性塩基において撹拌される)に付される場合に、該安定化された多孔質物質は、任意の対応する多孔質前駆体よりも大きな化学的安定性(例えば、加水分解的安定性)を有する。
適切には、該安定化された多孔質物質は、1日、適切には2日後、適切には5日後、適切には12日後、水性酸(pH1.5~pH4でのpHで、適切にはpH1.7で)中で撹拌後に、実質的に加水分解的に安定である(例えば、当分野において知られている標準の方法、例えばHPLC、GCなど、によって判定される場合に、5重量%未満の分解、適切には2重量%未満、を示す)。適切には、該安定化された多孔質物質は、1日、適切には2日後、適切には5日後、適切には12日後、水性塩基(pH10~pH12.5でのpHで、適切にはpH12.3で)中で撹拌後に、実質的に加水分解的に安定である。適切には、該安定化された多孔質物質は、該同じ条件に付される場合に、実質的に物理的に安定である(形状/形態、及び/又は孔形状/形態の点において)。対照的に、適切には、該つぶれ可能な物質は、同じ条件下で、加水分解的に安定であり及び/又は物理的に安定である。同様に、適切には、任意の多孔質前駆体が、同じ条件下で、加水分解的に安定でなく及び/又は物理的に安定でない。
反応性
該つぶれ可能な物質を「分子状の連結」化合物と反応させることは適切には、適切には溶媒系において、最も適切には該分子状の連結化合物が溶解される溶媒系において、適切には該分子状の連結化合物と該つぶれ可能な物質との両方が溶解される(又は少なくとも溶解性である)溶媒系において、該つぶれ可能な物質を適切な分子状の連結化合物(下記を参照)と接触されることを含む。
特定の実施態様において、該溶媒系は、該分子状の連結化合物それ自体であり又は該分子状の連結化合物を含む(すなわち、該化合物は、関連する温度及び圧力で液体状態にある)。他の実施態様において、該分子状の連結化合物は該溶媒系内に溶解されうるけれども、該溶媒系自体が該分子状の連結化合物を含まない。
適切には、該反応は、無水条件下で、又は水が反応混合物内に2重量%以下、適切には1重量%以下、適切には0.5重量%以下、適切には0.1重量%以下、の濃度でのみ存在する条件下で行われる。該反応は、酸性条件下、適切には弱酸性条件下で、又はpH4.5~6.9で、進行しうる。しかしながら、該反応は、(実質的に)中性条件下で、例えば、pH6.5~7.5で、進行しうる。
しかしながら、特に該分子状の連結化合物がムアルデヒドである場合に、該反応は、湿った、湿度の高い又はさらには水性条件下で生じうる。該反応は、水性溶媒系内で、又は代替的には、0.5重量%を超える水、適切には1重量%を超える水、適切には2重量%を超える水、を含む溶媒系内で、行われうる。
特定の実施態様において、該反応は、任意的に高められた温度(すなわち、30℃よりも高い温度、適切には40℃よりも高い温度、適切には60OCよりも高い温度であるが、適切には90℃未満の温度、適切には80℃未満の温度)で、該つぶれ可能な物質及び分子状の連結化合物の溶液、エマルジョン、分散液又は懸濁液(最も好ましくは、溶液)を撹拌することを含む。特定の実施態様において、該生成物(安定化された多孔質物質)は、該反応混合物から沈殿し又は結晶化し、その後それは濾過されうる。
適切には、該安定化された多孔質物質を該反応混合物から分離した後に、該安定化された多孔質物質は、乾燥され、及び/又は完全に若しくは部分的に脱溶媒される。適切には、該安定化された多孔質物質は、真空下で、及び/又は少なくとも50℃の温度、適切には少なくとも70℃の温度、適切には約80℃の温度、であるが、適切には150℃未満の温度、適切には100℃未満の温度、で乾燥される。
適切には、該反応は、該つぶれ可能な物質内の異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)、適切には少なくとも2つの組(又は、対)、より適切には少なくとも3つの組(又は、対)、最も適切には6つの(又は、対)、を相互に連結されるように生じさせる。最も適切には、該つぶれ可能な物質の同じ分子内の異なる複数の反応性部分は分子状の連結化合物と反応して、相互に連結される(すなわち、分子内結合を介して)。
適切には、該反応は、異なる複数の反応性部分の少なくとも10%の組(又は、対)、適切には少なくとも20%、適切には少なくとも50%、より適切には少なくとも80%、より適切には少なくとも95%、及び最も適切には実質的に全ての組(又は、対)、が相互に連結されるように生じさせる。
適切には、該反応は、異なる複数の反応性部分間の十分な連結(interlinking)(連結(tying))を生じさせて、問題である用途の為に適切には多孔性のままである(適切には、本明細書において定義された通りの)物理的に且つ化学的に安定な物質を提供する。例えば、適切には、該安定化された多孔質物質は、水素ガスに対して多孔性であり、適切には窒素ガスに対して多孔性であり、及び/又は適切には二酸化炭素に対して多孔性である。例えば、安定化多孔質物質は適切には、水素ガス、窒素ガス、及び/又は二酸化炭素に関する収着剤でありうる、又は特定のガス、例えば二酸化炭素、の選択的な収着剤でありうる。
適切には、分子状の連結反応は、ポリアミン化合物内の少なくとも2つの反応性アミン部分を分子状の連結リンカーを介して連結されるように生じさせる条件下で、ポリアミン化合物を分子状の連結化合物と反応させることを含む。適切には、該ポリアミン化合物は、ポリアミンかご(適切には、有機ポリアミンかご)、ポリアミン大員環(適切には、有機ポリアミン大員環)、及び/又はポリアミン骨格(適切には、有機骨格、例えば、共有結合の有機骨格)である。特定の実施態様において、該ポリアミン化合物は、有機ポリアミンかごである。
適切には、該つぶれ可能な物質内の異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)が、それ自体連結され、適切には1~6個の原子(適切には、炭素原子)、適切には1~4個の原子、より適切には2~3個の原子、最も適切には2~3個の(任意的に、置換された又は分岐された)炭素原子、によって連結される。適切には、少なくとも2つの反応性アミン部分は、「つぶれ可能な」ポリアミン化合物内にそれ自体連結され、適切には1~6個の原子(適切には、炭素原子)、適切には1~4個の原子、より適切には2~3個の原子、最も適切には2~3個の(任意的に置換又は分岐されていてもよい)炭素原子、によって連結される。かくして、該分子は、これら反応性部分(の組)間の架橋に適切にリンカーを連結する。
適切には、該つぶれ可能な物質及び分子状の連結化合物の両方の分子構造は、結果として生じた安定化された多孔質物質に関して記述された上記の構造を達成する為に互いに相補的であるように選択される。例えば、該反応物は、それぞれの環が異なる複数の反応性部分(例えば、近傍アミン部分の対)の個々の組及び対応する対応する分子状の連結リンカーを含む1以上の5~8員環の(ヘテロ環の)環の形成を可能にするように選択されうる。特定の実施態様において、該反応物は、1以上の5~6員環の(ヘテロ環の)環の形成を可能にするように選択される。
部分及び化合物の化学構造
つぶれ可能な物質は適切には、つぶれ可能な化合物であり又はつぶれ可能な化合物を含み、且つ安定化された多孔質物質は適切には、安定化された化合物であり又は安定化された化合物を含む。
つぶれ可能な化合物は適切には1以上の反応性単位を含み、それら単位のそれぞれは1つ以上の(好ましくは2つ以上、最も好ましくは2つ)の異なる複数の反応性部分(例えば、アミン部分)を含みうる。適切には、つぶれ可能な化合物が少なくとも6個の反応性部分(例えば、アミン基)、適切には少なくとも10個、適切にはせいぜい40個、適切にはせいぜい20個、最も適切には12個の反応性部分、を含むように、該つぶれ可能な化合物は適切には複数の該反応性単位を含む。該反応性単位それ自体は適切には、適切には連結するリンカー単位を介して、共有結合的に結合される。
該反応性単位は、下記を形成するように互いに結合されうる:
開鎖、場合によっては任意的に、任意的に該反応性単位、1以上のリンカー、又はそれらの任意の置換体のメンバーとしての1以上の環系(例えば、炭素環式、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール)を含む鎖;
上記されたと同様に1以上の環系を再び任意的に含む大員環式化合物;及び/又は
上記されたと同様に1以上の環系を再び任意的に含むかご。
該分子状の連結化合物は適切には、1以上の部分(例えば、カルボニル部分)を含む。単一の反応可能性部分は適切には該つぶれ可能な化合物の2つの反応性部分と反応して、該2つの反応性部分間の分子状の連結(又は、架橋)を生成しうるけれども、該分子状の連結化合物は適切には単一の反応可能性部分(例えば、カルボニル)を含む。
適切には、該つぶれ可能な化合物と分子状の連結化合物との間の該反応は下記を含む:
1以上の反応性単位を含む該つぶれ可能な化合物(又はその合成等価体)を1以上の反応可能性単位を含む分子状の連結化合物(又はその合成等価体)と反応させて、1以上の連結された単位を有する安定化された化合物(又は、その前駆体、例えば、その後の脱保護又は他の転化工程が最終産物を提供する為に必要とされる場合)を形成すること;
ここで、
該つぶれ可能な化合物の1以上の反応性単位は、1以上(好ましくは2以上、最も好ましくは2)の異なる複数の反応性部分(例えば、アミン)を含む;
該分子状の連結化合物の1以上の反応可能性単位は、1以上の反応可能性部分(例えば、カルボニル、保護されたカルボニル、ジハロ) を含む;及び、
該安定化された化合物の1以上の連結された単位は、該つぶれ可能な物質と該分子状の連結化合物との該反応性単位間の反応の生成物によって特徴付けられる1以上の部分を含む。
適切には、対応する反応性及び反応可能性部分は、(それらの間で共有結合を形成する為に)適切な条件下で一緒に反応する傾向がある。適切には、該反応性部分又は反応可能性部分のいずれか一方は求電子性であり、一方、該反応性部分又は反応可能性部分の他方は求核性である。適切には、単一の反応可能性部分は少なくとも2つ(好ましくは、2つ)の反応性部分と反応する。単一の連結された単位は適切には、つぶれ可能な物質の少なくとも2つ(好ましくは、2つのみ)の反応性部分と反応する単一の分子状の連結分子(又は、単一の分子状の連結分子の単一の反応可能性部分)によって形成される。
それ故に、該安定化された多孔質物質は適切には、1以上の連結された単位を含む化合物(「安定化された化合物」)を含み、ここで、各連結された単位は適切には、該つぶれ可能な化合物の所与の反応性単位の反応後形態と直接的に対応する。かくして、該連結された単位は適切には、適切には連結するリンカー単位(適切には、該つぶれ可能な化合物に関して定義された通りの同じリンカー)を介して、(対応するつぶれ可能な化合物ごとに)共有結合的に結合される。該安定化された化合物は適切には複数の連結された単位を含み、従って適切には、該安定化された化合物は少なくとも3個の連結された単位、適切には少なくとも5個、適切にはせいぜい20個、適切にはせいぜい10個、最も適切には6個、の連結された単位を含む。その上、該連結された単位は適切には、下記を形成する為に、元のつぶれ可能な化合物の該反応性単位と同じ様式において互いに結合される:
開鎖、場合によっては任意的に、任意的に該連結された単位、1以上のリンカー又はそれらの任意の置換体のメンバーとしての1以上の環系(例えば、炭素環式、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール)を含む鎖;
上記されたと同様に1以上の環系を再び任意的に含む大員環式化合物;及び/又は
上記されたと同様に1以上の環系を再び任意的に含むかご。
該つぶれ可能な化合物の該反応性単位及び/又は該安定化された化合物の該連結された単位の数及び化学構造は、適切な合成の改変を行うことによって当業者によって容易に変更されうる。そのようなパラメータは、孔径、孔選択性(特定のゲスト化合物の為の選択性の点において)及び/又は他の特性を変える為に望ましくは変化されうる。同様に、該分子状の連結化合物の化学構造(特に、サイズ又は分子量)は、最終的に安定化された化合物の孔径、孔選択性及び/又は他の特性に再び影響を与える為に、容易に変化されうる。従って、該つぶれ可能な化合物(及び関連する場合に、その多孔質前駆体)及び分子状の連結化合物は適切には、上記の反応後に、該つぶれ可能な化合物よりもより安定であり且つ所望の用途の為の多孔性の少なくとも十分な程度(例えば、該安定化された化合物が、選択されたゲスト化合物の為のホストとして役に立ちうるように十分な形状及びサイズの孔)を有する安定化された化合物(及び対応する安定化された多孔質物質)を提供する為に賢明に選択される。
適切には、「反応性部分」以外の該つぶれ可能な化合物の該部分は、(実質的に)不活性であり、適切には該分子状の連結化合物の任意の反応性部分に対して不活性であり、適切には特に優勢な反応条件下で、求電子剤及び求核剤の両方に対して不活性である。
適切には、「反応性部分」以外の該分子状の連結化合物の該部分は、(実質的に)不活性であり、適切には該つぶれ可能な化合物の任意の反応性部分に対して不活性であり、適切には特に優勢な反応条件下で、求電子剤及び求核剤の両方に対して不活性である。
適切には、該つぶれ可能な化合物の任意の1以上のリンカー又はそれらの置換基は、(実質的に)不活性であり、適切には該つぶれ可能な化合物の任意の反応性部分又は該分子状の連結化合物の任意の反応性部分に対して不活性であり、適切には特に優勢な反応条件下で、求電子剤及び求核剤の両方に対して不活性である。
特定の実施態様において、該反応は下記を含む:
下記の式Aによって定義される1以上の反応性単位を含むつぶれ可能な化合物(又はその合成等価体)を、
下記の式Bによって定義される分子状の連結化合物(又はその合成等価体)と反応させて、
ここで、
nは1~4の整数であり;
RA1及びRA2基はそれぞれ独立に、水素、又は任意的に置換されていてもよい置換基であり、ここで、RA1及びRA2基の任意の対は任意的に互いに結合されていてもよく、炭素環式、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環を形成し;
RB1及びRB2基はそれぞれ独立に、水素、又は任意的に置換されていてもよい置換基であり、ここで、RB1及びRB2基の任意の対は任意的に互いに結合されていてもよく、炭素環式、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環を形成し、
下記の式Cによって定義される1以上の連結された単位を有する安定化された多孔質物質を生成すること。
式A及び式Cの単位は、角括弧によって囲まれた結合によって供与される通りに、2価の形で表される(これらの結合は、ラジカル又は「結合可能な基」とみなされうる)。これらの単位は、関連のある化合物が2以上の上記単位を含む繰り返し単位とみなされうる(これは一般的に当てはまる)。以下に詳細に説明する通り、つぶれ可能な物質及びその対応する安定化された多孔質物質は適切には、それらの「結合可能な結合」を介して、適切には介在するリンカーを介して、(適切には、開鎖、大員環式、又はかご化された化合物/分子を形成する為に)互いに結合される式A及び式Cの複数の単位を繰り返し含む。そのようなリンカーは、式A及び/又は式Cの2以上の単位を一緒に連結してもよく、及び幾つかの実施態様において3つのそのような単位を連結する。かくして、該リンカーは適切には、多価(例えば、2価、3価)である。
本発明に従うと、式A、式B、及び式Cの上記位、並びにそれから、それらの対応する化合物(又はその合成等価体)、並びにまた、それらの間の任意のリンカーは、特に明記されない限り、本明細書において定義される任意の構造を有し、ここで、n、RA1、RA2、RB1、RB2のそれぞれは、上記において又は以下の段落において定義された意味のいずれかを有する:
(1)nは2~3の整数である;
(2)nは2である;
(3)RA1及びRA2はそれぞれ独立に、水素又は、任意の不活性基(例えば、求電子剤に対して不活性、適切にはカルボニルに対して不活性、適切には該分子状の連結化合物に関して不活性)、例えばRA1及びRA2が、それらが一緒になって炭素環式、アリール環、ヘテロ環、又はヘテロアリール環を形成するように結合されている不活性基、適切には各RA1/RA2対(すなわち、同じ炭素原子に結合されている)が200未満、適切には100未満、適切には70未満、の総分子量を有する不活性基、から選択される。;
(4)RA1及びRA2は独立に、水素、(1~2C)アルキルから選択され、又はRA1及びRA2は、それらが一緒に炭素環式環を形成するように結合される。;
(5)RA1及びRA2は、それらが一緒に(3~8C)シクロアルキル環を形成するように結合される。;
(6)RA1及びRA2は、それらが一緒にシクロヘキサン環を形成するように結合される。;
(7)RB1及びRB2はそれぞれ独立に、水素又は、任意の不活性基(例えば、求核剤に対して不活性、適切にはアミンに対して不活性、適切には該つぶれ可能な化合物に関して不活性)、例えば、RB1及びRB2が、一緒になって炭素環式、アリール環、ヘテロ環、又はヘテロアリール環を形成するように結合されている不活性基、適切にはRB1/RB2対すなわち、同じ炭素原子に結合されている)が100未満、適切には50未満、適切には31未満、適切には5未満、の総分子量を有する不活性基、から選択される。;
(8)RB1及びRB2は独立に、水素、(1~3C)アルキルから選択され、又はRB1及びRB2はそれらが一緒に炭素環式、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環を形成するように任意的に結合される。;
(9)RB1及びRB2は独立に、水素及びメチルからなる基からなる群から選択される;
(10)RB1及びRB2は、両方ともメチルである;
(11)RB1及びRB2は、両方とも水素である;
(12)該つぶれ可能な化合物及び/又は該安定化された化合物は、少なくとも3個の単位の式A及び/又は式Cをそれぞれ含む。;
(13)該つぶれ可能な化合物及び/又は該安定化された化合物は、少なくとも5個の単位の式A及び/又は式Cをそれぞれ含む。;
(14)該つぶれ可能な化合物及び/又は該安定化された化合物は、せいぜい20個の単位の式A及び/又は式Cをそれぞれ含み、より適切にはせいぜい10個の単位の式A及び/又は式Cをそれぞれ含む。;
(15)該つぶれ可能な化合物及び/又は該安定化された化合物は、6個の単位の式A及び/又は式Cをそれぞれ含む。;
(16)式A及び/又は式Cの単位は、直接的に又は間接的に、共有結合的に一緒に結合され(適切には、直列に及び/又は並列に、すなわち直鎖又は分岐)、開鎖、大員環式化合物、及び/又はかご構造を形成する。;
(17)式A及び/又は式Cの単位は、直接的に又は間接的に、共有結合的に一緒に結合され、大員環式化合物及び/又はかご構造を形成する。;
(18)式A及び/又は式Cの単位は、直接的に又は間接的に、共有結合的に一緒に結合され、かご構造(例えば、有機かご分子)を形成する。;
(19)式A及び/又は式Cの単位は、1~8個の介在する原子(適切には、炭素原子)、適切には4~6個の介在する原子(適切には、炭素)、最も適切には5個の介在する炭素原子を介して、共有結合的に一緒に結合される。;
(20)式A及び/又は式Cの単位は、式L1-の介在するリンカーを介して共有結合的に一緒に結合される。;
(21)-L1-は、式A及び/又は式Cの隣接する単位間の介在する原子の上記数を提供する多価の基である。;
(22)-L1-は、多価の炭化水素(直鎖又は分岐)、多価の炭素環式化合物、多価のヘテロ環、多価のアレーン、多価のヘテロアレーン、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-炭素環式化合物、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロ環、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-アレーン、及び多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロアレーンからなる群から選択される(ここで、モノ-/ポリ-は、関連する環系がそれぞれ1以上のヒドロカルビル置換基を含むことを示す)。;
(23)-L1-は、多価の(1~8C)アルカン、多価の(2~8C)アルケン、多価の(3~8C)シクロアルカン、多価のモノ/ポリ-[(1~8C)アルキル]-(3~8C)シクロアルカン、多価の(3~8C)シクロアルケン、多価のモノ/ポリ-[(1~8C)アルキル]-(3~8C)シクロアルケン、多価のヘテロ環、多価のモノ/ポリ-[(1~8C)アルキル]-ヘテロ環、多価のアレーン、多価のモノ/ポリ-[(1~8C)アルキル]-アレーン、多価のヘテロアレーン、及び多価のモノ/ポリ-[(1~8C)アルキル]-ヘテロアレーンからなる群から選択される。;
(24)-L1-は、多価の(4~6C)アルカン、多価の(4~6C)アルケン、多価の(5~6C)シクロアルカン、多価のモノ/ポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルカン、多価の(5~6C)シクロアルケン、多価のモノ/ポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルケン、多価のヘテロ環、多価のモノ/ポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロ環、多価のアレーン、多価のモノ/ポリ-[(1~2C)アルキル]-アレーン、多価のヘテロアレーン、及び多価のモノ/ポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロアレーンからなる群から選択される。;
(25)-L1-は、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルカン、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルケン、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロシクリル、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-アレーン、及び多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロアレーンからなる群から選択される。;
(26)-L1-は、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-アレーンである。;
(27)-L1-は、3価のトリ-[(1~2C)アルキル]-アレーンである。;
(28)-L1-は、ベンゼン-トリメチレンからなる群から選択される。;
(29)-L1-は、ベンゼン-1,3,5-トリメチレンからなる群から選択される。;
(30)該分子状の連結化合物は、ホルムアルデヒド及び/又はアセトンから選択される。;
(31)該分子状の連結化合物は、ホルムアルデヒドである;
(32)RA1、RA2、RB1、RB2、及び-L1-基のいずれかの1以上は、任意的に置換されていてもよい(適切には、関連するつぶれ可能な分子及び分子状の連結分子が一緒に反応して、物理的構造が該つぶれ可能な物質のそれよりもより安定であり且つ孔が1以上のゲスト化合物を収容する為に十分に使用可能である多孔質物質を生成する限り)。;
(33)上記のRA1、RA2、RB1、RB2、及び-L1-基のいずれか内の任意のCH、CH2、又はCH3基は任意的に、ハロゲノ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、ウレイド、(1~3C)アルキル、ヒドロキシ(1~3C)アルキル、(1~3C)アルコキシ、ハロ(1~3C)アルコキシ、(1~3C)アルキルチオ、(1~3C)アルキルアミノ、及びジ-[(1~3C)アルキル]アミノから選択される1以上の置換基を、上記の各CH、CH2、又はCH3基上に担持してもよい。;
(34)上記のRA1、RA2、RB1、RB2、及び-L1-基のいずれか内の任意のCH、CH2、又はCH3基は任意的に、ハロゲノ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、メチルチオ、メチルアミノ、及びジメチルアミノから選択される1以上の置換基を上記の各、CH、CH2、又はCH3基上に担持してもよい。;
(35)上記のRA1、RA2、RB1、RB2、及び-L1-のいずれかのうちの全てのCH、CH2、又はCH3基は置換されていない。;
特定の実施態様において、RA1、RA2、及び-L1-は、該つぶれ可能な化合物が下記の式A1の複数の反応性単位を含むように選択され、
ここで、環Aは、炭素環式、アリール環、ヘテロ環、又はヘテロアリール環であり;
各反応性単位は、(角括弧によって示されるそれらの結合可能な結合を通じて)下記の式A1Lの介在するリンカー単位を介して、隣接する異なる複数の反応性単位に(角括弧によって同じく示されるそれらの結合可能な結合を通じて)間接的に結合されており、
ここで、環Lは、多価の炭化水素(直鎖又は分岐)、多価の炭素環式、多価のヘテロ環、多価のアレーン、多価のヘテロアレーン、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-炭素環式、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロ環、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-アレーン、又は多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロアレーンであり(式A1Lのリンカーが両方の種について角括弧で式A1の反応性単位に結合することは、本明細書から明白であるべきであるが、リンカーに関しては、関連する結合可能な結合又は基がまたコア環構造から又は適用可能である場合、該コア環のヒドロカルビル置換基の一つから、生じることが出来ることがまた示唆されるべきである。);
ここで、式A1又は式A1Lの基のいずれかが任意的に、本明細書において定義された通りに置換されていてもよい。この実施態様において、該つぶれ可能な化合物は適切には、式A1及び式A1Lの単位を3:2のモル比でそれぞれを含む(例えば、A1Lの6単位及びA1LLの4単位)。この実施態様の適応において、環Aは、関連するアミン部分間の(2~3C)アルキレン基で置換されて、アルキレンジアミンを生成しうる。式A1の少なくとも1つ(適切には少なくとも2つ、適切には6つ、適切には全て)の1以上の反応性単位が下記の式C1の連結された単位になる以外は、対応する安定化された化合物は適切には、該つぶれ可能な化合物と同じ構造を有する。:
ここで、RB1及びRB2は、本明細書において与えられた全ての定義を有するが、最も適切には両方が水素であり又は両方がメチルである。適切には、RB1及びRB2の両方が水素である場合(すなわち、ホルムアルデヒドの分子状の連結化合物から誘導される)、該つぶれ可能な化合物の2以上の、好ましくは全ての反応性単位が連結された単位になる。適切には、RB1及びRB2がメチルである場合(すなわち、アセトンの分子状の連結化合物から誘導される)、該つぶれ可能な化合物の一つの反応性単位のみが連結された単位になる。
特定の実施態様において、RA1、RA2及び-L1-は、該つぶれ可能な化合物が式A1の少なくとも3個の反応性単位を含むように選択され、各反応性単位は、式A1Lの介在するリンカー単位を介して、隣接する異なる複数の反応性単位に間接的に結合されており、:
ここで:
環Aは、(5~6C)シクロアルカンであり;及び、
環Lは、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルカン、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-(5~6C)シクロアルケン、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロシクリル、多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-アレーン、又は多価のポリ-[(1~2C)アルキル]-ヘテロアレーンであり;
ここで、式A1又は式A1Lの基のいずれかは、本明細書において定義された通りに任意的に置換されていてもよい。
特定の実施態様において、RA1、RA2-L1-、環A、及び環Lは、該つぶれ可能な化合物が下記の式A2の複数の反応性単位を含むように選択され、
各反応性単位は、下記の式A2Lの介在するリンカー単位を介して、隣接する異なる複数の反応性単位に間接的に結合されており、:
ここで、式A2又は式A2Lの基のいずれかが、本明細書において定義された通りに任意的に置換されていてもよいが、最も適切にはそれらは置換されていない。この実施態様において、該つぶれ可能な化合物は適切には、式A2及び式A2Lの単位を3:2のモル比でそれぞれを含む(例えば、A2の6単位及びA2Lの4単位)。この実施態様の適応において、シクロヘキサン環は、関連するアミン部分間の(2~3C)アルキレン基で置換されて、アルキレンジアミンを生成しうる。そして任意的に、該リンカーのベンゼン環は、ヘテロアレーン環で置換されていてもよい。式A2の少なくとも1つ(適切には少なくとも2つ、適切には6つ、適切には全て)の1以上の反応性単位(s)が下記の式C2の連結された単位になる以外は、対応する安定化された化合物は適切には、上記のつぶれ可能な化合物と同じ構造を有する。:
ここで、RB1及びRB2は、本明細書において与えられた全ての定義を有するが、最も適切には両方が水素であり又は両方がメチルである。適切には、RB1及びRB2の両方が水素である場合(すなわち、ホルムアルデヒドの分子状の連結化合物から誘導される)、該つぶれ可能な化合物の2以上の、好ましくは全ての反応性単位が連結された単位になる。適切には、RB1及びRB2がメチルである場合(すなわち、アセトンの分子状の連結化合物から誘導される)、該つぶれ可能な化合物の一つの反応性単位のみが連結された単位になる。
特定の実施態様において、該つぶれ可能な化合物は、下記の式A3によって定義される:
適切には、本発明安定化された化合物は、該つぶれ可能な化合物に関連して本明細書内に与えられた実施態様及び/又は定義のいずれかと直接的に(又は、当該実施態様及び/又は定義のいずれかに直接的に基づいて)対応する構造を有し、該つぶれ可能な化合物の2以上の反応性部分が分子状の連結化合物と反応して、上記反応性部分間の対応する分子状の連結を形成する。これは、式Aの該反応性単位が、式Cの該連結された単位と直接的に対応する上記から自明である。安定化された化合物はまた適切には同じリンカーを含み、それは、適切にはそれらの対応するつぶれ可能な化合物と同様に、該同じ様式において反応性/連結された単位に適切に連結される。適切には、該つぶれ可能な化合物の各反応性単位は、2つの反応性部分を含む。適切には、反応性部分間の任意の、幾つかの、又は全ての分子状の連結は、同じ反応性単位内に2つの反応性部分の間にある。かくして、適切には、該安定化された化合物はその対応するつぶれ可能な化合物であり、1以上の反応性単位が連結された単位内に転化されている。該安定化された化合物は、少なくとも1つの連結された単位が存在する限り、反応性単位及び連結された単位の両方を含みうる。好ましい実施態様において、該安定化された化合物は、2以上の連結された単位を含む。特定の実施態様において、該安定化された化合物は、2以上、適切には3以上、適切には5以上、適切には6個、の連結された単位を含み、及び適切には、反応性単位を(実質的に)含まない(すなわち、全ての該反応性単位が反応して、連結された単位を生成する)。
一つの実施態様において、式A3の該つぶれ可能な化合物(それは、6つの反応性単位を有し、それぞれは2つの反応性アミン部分を有する)と対応する(該化合物から形成された)安定化された化合物は、一つの連結された部分及び5つの反応性部分を有し、ここでRB1及びRB2は、両方ともメチルである(すなわち、アセトンの分子状の連結化合物を使用して)。代替の実施態様において、式A3の同じつぶれ可能な化合物と対応する(該化合物から形成された)安定化された化合物は6つの連結された部分を有し、且つ反応性部分を有しない。ここで、RB1及びRB2は、両方とも水素である(すなわち、ホルムアルデヒドの分子状の連結化合物を使用して)。かくして、全ての6つのエチレンジアミン単位は、複数の連結された単位になる。特定の実施態様において、該安定化された化合物は下記の式C3によって定義される。:
全ての上記実施態様の点において、関連する1以上のつぶれ可能な化合物は任意的に、対応する多孔質前駆体化合物(すなわち、イミン化合物)の還元によって形成されていてもよく、例えば、反応性単位の各アミン部分は、それが結合しているリンカーの結合する炭素原子と直接のイミン結合を形成する窒素に転化する。例として、式A3のつぶれ可能な化合物は、下記の式D3の対応する多孔質イミン化合物から形成されうる:
ここで、太線は式A3のそれらと一致する。
つぶれ可能な物質(すなわち、予め安定化された前駆体)
本発明は、本明細書において定義された通りのつぶれ可能な物質を提供する。例えば、つぶれ可能な物質は、つぶれ可能な物質を安定化させる方法に関連して記載された通りのつぶれ可能な物質/化合物を含み又はそれに対応してもよく、及び、式Aの反応性単位(又は、その関連する下位定義)及び任意的に、例えば式L1のリンカー(又は、それらの下位の定義)を含んでいてもよい。適切には、該つぶれ可能な物質は、本明細書において定義された通りのつぶれ可能な化合物を含み、それは適切には、連結するリンカー単位を介して共有結合的に結合された1以上の反応性単位を含み、ここで、各反応性単位は、1以上の異なる複数の反応性部分(例えば、アミン部分)を含みうる。
該つぶれ可能な物質は、つぶれていない状態、部分的につぶれた状態、又は(実質的に)つぶれた状態でありうる。該つぶれ可能な物質は、その孔が十分な量のゲストに対するホストである場合に、例えば該つぶれ可能な物質が(例えば、メタノール又は水を用いて)溶媒和される場合に、つぶれていない状態を示しうる。同様に、部分的につぶれた状態は、同じ状況下ではあるが、より少ない量のゲストが存在する場合に示されうる。つぶれた状態は一般的に、該つぶれ可能な物質がゲストを(実質的に)有していないか又はつぶれていない構造を維持することが不十分である場合に示される。
つぶれ可能な物質は、当業者が本開示を考慮して容易に推論しうる適切な条件下で部分的につぶれた状態又はつぶれていない状態に転化されうる。適切には、該つぶれ可能な物質は、ストレス条件下で、例えば、十分な期間(例えば、12時間、24時間、48時間)につて高められた温度(例えば、100℃以上、200℃以上)で曝露される場合に、部分的につぶれた状態又はつぶれていない状態からつぶれた状態に転化される。そのような条件は一般に、任意の溶媒和物の孔を脱溶媒和し、及び該孔構造がつぶれることを許す。
そのつぶれた状態において、該つぶれ可能な物質は適切には、関連するストレス条件(例えば、1バールで、100℃の温度で)下で、任意の更なる物理的変化(例えば、その外観、多孔質構造、XRPD、ガス吸着の点において)を受けない。
そのつぶれた状態において、該つぶれ可能な物質は適切には、対応する安定化された多孔質物質(例えば、分子状の連結を有する)のそれよりも低いグラム当たり(及び/又はモル当たり)の孔容積(及び/又はBET表面積)を有する。かくして、つぶれ可能な物質は、「つぶされ」て(例えば、熱により、又は他の適切な方法、例えば、溶解/沈殿)、該つぶれ可能な物質としてのその役割を正式に決定しうる。
本発明の該つぶれ可能な化合物は、溶媒和された形態において多孔性であり及びさらに結晶性であってもよいが、適切には非多孔性、又は多孔性が少なく、及び適切には脱溶媒される場合に非結晶(またはアモルファス)であってもよい。それ故に、本発明は、孔が空である場合に長期間の多孔性を生じることを目指している(及びそれ故に、ホスト-ゲスト化学に参加する準備ができている)。
そのようなつぶれ可能な化合物に関連付けられた物理的不安定性問題は、本明細書の他の箇所に記載されており、及び、本発明の目的は、そのような化合物がホスト-ゲスト化学において使用されることを許す(例えば、収着物として)為に、該そのような化合物の安定化であることは確かである。
しかしながら、或る分子(例えば、アセトンが該分子状の連結化合物として使用される場合)の連結反応の可逆性は、そのようなつぶれ可能な化合物を精製する新しい手段を提供する。例えば、つぶれ可能な化合物は、本明細書において定義された通りに初期に安定化されて(例えば、分子状の連結を通じて)、(少なくとも脱溶媒された場合にアモルファスである傾向があり、従って結晶化を介して精製することが困難である該つぶれ可能な化合物とは対照的に)その固有の結晶化度の為に非常に純粋である対応する結晶の安定化された化合物を生成し、そしてその後に(例えば、分子状の連結の加水分解的切断によって)該つぶれ可能な化合物の精製された形態に戻される。そのような精製は、アセトン(又は、ホルムアルデヒドよりもより可逆的に結合する他の分子状の連結化合物)が該分子状の連結化合物として使用される場合に、特に成功する。
かくして、本発明はまた、つぶれ可能な物質を精製する方法であって、安定化された多孔質物質を調製し又は本明細書において定義された通りのつぶれ可能な物質を安定化して、該つぶれ可能な物質を安定化された多孔質物質に転化すること;該安定化された多孔質物質を精製して、精製された安定化された多孔質物質を用意すること;そしてその後に、該精製された安定化された多孔質物質からつぶれ可能な物質を再生することを含む該方法を提供する。
精製は適切には、溶液からの該安定化された多孔質物質の結晶化、それに続く、その後の濾過及び任意的な溶媒洗浄を含む。結晶化は適切には、該安定化された多孔質物質が形成される反応溶媒でありうる適切な溶媒系(例えば、アセトン)において実行される。適切には、結晶化溶媒系は実質的に無水である(水量についての上記定義を参照)。
該つぶれ可能な物質の再生は適切には、「湿って」いる又は分子状の連結の各モル当量について少なくとも1モル当量の水を含む溶媒系(任意的に、最初の結晶化に対して異なる溶媒系、及び適切には、該安定化された多孔質物質の形成中に使用されるものに対して異なる溶媒系)において実行される。適切には、再生は、該分子状の連結を加水分解して、該つぶれ可能な化合物及び分子状の連結化合物を再生することを含む。
分子状の連結化合物
該分子状の連結化合物は、つぶれ可能な物質を安定化する方法に関連して記載されている通りの分子状の連結化合物に対応してよく、及び、式Bの化合物(又は、その関連する下位の定義)でありうる。
該分子状の連結化合物は本明細書において定義された通りであり、及び適切には、該つぶれ可能な化合物の(潜在的に)多孔質の構造を安定化する為に、該つぶれ可能な化合物の2以上の反応性部分間の架橋を生成する。
該分子状の連結化合物のサイズは好ましくは、問題である該つぶれ可能な化合物を補うように選択される。例えば、分子状の連結化合物とつぶれ可能な化合物との組み合わせは適切には、孔径を犠牲にすること無しに、(必要とされる物理的安定化を提供する為に)十分な分子状の連結が生じることを許すように選択される。結果として生じた安定化された化合物は適切には、必要な「ゲスト」を収容する為の十分な孔を有する。
該分子状の連結化合物は適切には、対応するつぶれ可能な化合物における洞がそれ自体相対的に小さい場合に、相対的に小さい分子である。
適切には、該分子状の連結化合物は、アルデヒド、ケトン、又はその合成等価体(例えば、保護されたアルデヒド/ケトン、アセタール、ヘミアセタールなど)である。適切には、各分子状の連結化合物分子が該つぶれ可能な化合物の2つの異なる複数の反応性部分と反応して、2つの異なる複数の反応性部分間の分子状の連結(すなわち、架橋)を形成し、ここで、該分子状の連結は、該分子状の連結化合物の分子構造を保持し、(2つの異なる複数の反応性部分と反応する)反応可能なカルボニル酸素が2つの異なる複数の反応性部分のそれぞれに対して一つずつ、2つの単結合によって置換されることを省く。適切には、該分子状の連結化合物は2つの異なる複数の反応性部分と反応して、5-又は6-員環ヘテロ環を形成する。適切には、一つの分子状の連結化合物は、該つぶれ可能な化合物の反応性単位と反応し、ここで各反応性単位は2つの異なる複数の反応性部分を含む。
好ましい分子状の連結化合物は、ホルムアルデヒド(若しくはパラホルムアルデヒド)、又はアセトン、最も適切にはホルムアルデヒド、を含む。
安定化された多孔質物質
本発明は、「分子状の連結」リンカーを介して連結された少なくとも1つの組(又は対)の異なる複数の反応性部分を含む(又は当該反応性部分を含む化合物を含む)安定化された多孔質物質を提供する。
例えば、該安定化された多孔質物質(又は、安定化された化合物)は、つぶれ可能な物質を安定化させる方法に関連して記載された通りの安定化された多孔質物質(又は、安定化された化合物)を含み又はそれに対応してよく、及び、式Cの連結された単位(又は、その関連する下位定義)及び任意的に、例えば式L1のリンカー(又は、その関連する下位定義)を含んでいてもよい。
本明細書の他において説明されている通り、該安定化された多孔質物質は適切には、対応するつぶれ可能な化合物の直接的な誘導体であり、及びそれ故に、該分子状の連結を除いて実質的に同じ構造を継承する。かくして、該つぶれ可能な化合物の場合、該安定化された化合物は適切には、1以上の反応性単位(例えば、1以上の、好ましくは2以上の、反応性部分、例えばアミンを含む)を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つは、連結された単位(例えば、アミナール)に変換されており、ここで、1以上の上記反応性単位及び/又は1以上の連結された単位は、本明細書において定義された通りの連結するリンカー単位を介して共有結合されている。
最も好ましい実施態様において、安定化された化合物は複数の連結された単位(好ましくは少なくとも3つ、適切には6つ)を含み、及び任意の反応性単位を実質的に含まない(すなわち、全ての反応性単位が反応して連結された単位を生成する)。
適切には、該物質が脱溶媒和された場合(例えば、80℃で、少なくとも12時間)及び/又は孔の少なくとも50%(適切には、少なくとも90%)が空である場合にも、本発明の安定化された多孔質物質は適切には結晶性である。
本発明の安定化された多孔質物質は適切には、少なくとも50m2/g、適切には少なくとも100m2/g、適切には少なくとも200m2/g、適切には少なくとも300m2/g、適切には少なくとも350m2/g、のブルナウアー‐エメット‐テラー(BET:Brunauer-Emmett-Teller)表面積によって特徴付けられている。
本発明の安定化された多孔質物質は適切には、少なくとも50m2/mmol、適切には少なくとも100m2/mmol、適切には少なくとも200m2/mmol、適切には少なくとも300m2/mmol、適切には少なくとも400m2/mmol、の、モルのブルナウアー‐エメット‐テラー(BET:Brunauer-Emmett-Teller)表面積よって特徴付けられている。
本発明の安定化された多孔質物質は適切には、対応するつぶれ可能な物質/化合物が形成された対応するイミンのBET表面積の+/-30%以内、適切には+/-20%以内、適切には+/-10%以内、であるBET表面積を有する。本発明の安定化された多孔質物質は適切には、対応するつぶれ可能な物質/化合物が形成された対応するイミンのBET表面積の+/-10%以内、適切には+/-5%以内、適切には+/-2%以内、であるモルのBET表面積を有する。かくして、該安定化された多孔質物質において、多孔性は、元の親イミン構造を化学的に安定化させた結果として以前に失われた場合に、実質的に回復される。結果として、該安定化された多孔質物質は適切には、物理的に安定であり且つ化学的に安定である。
本発明の安定化された多孔質物質は、ホスト-ゲスト複合体中のホストとして、様々なゲスト化合物に役に立ってもよく、及び適切には、他の化合物よりも或るゲスト化合物に対して選択的である。適切には、(例えば、該安定化された多孔質物質によって収着されうる)1以上のゲスト化合物は、二酸化炭素、及びさらには気体でない化合物、例えば安息香酸、を含みうる。1以上のゲスト化合物は、(例えば、該つぶれ可能な化合物又は分子状の連結化合物のいずれかを適合させることによって疎水性、親水性、又は実質的に中性の孔環境を与えることによって、賢明に調整されうる)該安定化された多孔質物質の孔内に優勢な環境に応じて、疎水性又は親水性でありうる。本発明の安定化された多孔質物質は適切には、化学的安定性を改善する為の適切な前処理工程(例えば、ポリイミンを対応するポリアミンかごに還元する)の結果として、酸性条件及び塩基性条件の両方に耐性である故に、1以上の該ゲスト化合物は酸性化合物又は塩基性化合物でありうる。
特定の実施態様(例えば、特に、分子状の連結が、適切には式A3のつぶれ可能な化合物を用いてアセトンから誘導される場合)において、該安定化された多孔質物質は、窒素及び/又は酸素よりも二酸化炭素を適切に選択的に、ホストし/収着し且つ保持することが出来るという点で、「炭素捕捉」に適切である。適切には、そのような二酸化炭素収着(選択的にか或いはその逆で)特性が、SATPで一般的である。該安定化された多孔質物質が、ポリイミンかごからそれ自体誘導されるポリアミンかごに由来する場合、適切には、上記安定化された多孔質物質は、親のポリイミンかごよりも、CO2に対してより高い選択性を有する。
収着組成物
本発明は、収着組成物、適切には本明細書において定義された通りの収着組成物、を調製する方法を提供する。該収着組成物は適切には、固体組成物、適切には微多孔性固体組成物、である。同様に、該安定化された多孔質物質は適切には、固体物質、適切には微多孔性固体物質、である。
該方法は適切には、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質を、1以上の追加の多孔質物質又は非多孔質物質と混合して、それによって混合物を生成することを含む。そのような混合は、固体ブレンドを含んでもよく、及び任意的に、該混合物を顆粒化すること及び/又は圧縮することを含んでいてもよい。
かくして、本発明はまた、本明細書において定義された通りの収着組成物を調製する方法によって得られうる、該方法によって得られる、又は該方法によって直接的に得られる収着組成物を提供する。
その上、本発明は、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質、及び任意的に、1以上の追加の多孔質物質を含む収着組成物を提供する。
該収着組成物は該安定化された多孔質物質のみを含む必要もあるけれども、幾つかの実施態様において該組成物は、該収着組成物の意図された用途に依存して、追加の物質、適切には追加の固体物質を含む。かくして、該安定化された多孔質物質は、既存の収着組成物中の添加剤であってもよく、又は1以上の他の添加剤が混合されうる新しい収着組成物の基礎を形成しうる。例えば、1以上の追加の物質は、本発明の該安定化された多孔質物質と組み合わせて、該安定化された多孔質物質の有効性を増強し及び/又は該組成物の機能性を補う為に使用されうる。例えば、所望の機能(例えば、炭素捕捉、汚染物質捕捉、イオン交換など)を既に果たしうる既存の組成物は、本発明の安定化された多孔質物質と混合されて、収着組成物を提供しうる。
追加の多孔質物質は、当分野において知られている任意の多孔質物質、例えばゼオライト、多孔質粘土、及び/又は活性炭の多孔性形態、を含みうる。
追加の非多孔質物質は、当分野において知られている任意の適切な非多孔質物質(適切には、本発明の安定化された多孔質物質と一緒に作用するそれら、相乗的かあるいはその逆である)を含みうる。そのような非多孔質物質は、二酸化炭素を一過性に捕捉する化合物又は他の(例えば、有害な)物質を捕捉する化合物を含みうる。
(該安定化された多孔質物質を又はそれらの予め安定化された形態さえも含む)本発明の収着組成物及び収着物質は適切には、収着されうる。例えば、該安定化された多孔質物質及び/又は予め安定化された(すなわち、予め連結された)形態のいずれか又は両方は、水よりもホルムアルデヒドを選択的に収着しうる。その上、該安定化された多孔質物質は、ヘリウムよりもラドンを選択的に収着しうる。
安定化された多孔質物質及びその組成物の使用
本発明該安定化された多孔質物質及び吸着組成物は、様々な状況において使用されうる。例として、本発明の安定化された多孔質物質及び/又は吸着組成物は、下記において使用されうる:
・ 適切には、1以上の収着性の物質を含む混合物から、1以上の収着性の物質(例えば、汚染物質)の濾過、洗浄又は分離において;
・ 或る収着性の物質のリサイクル;
・ 触媒作用;
・ 分析化学において、例えば、多孔性媒体の外側で分析することがより困難でありうる或る化合物の分析を容易にする為;
・ 分子センシング(例えば、或る化合物が存在するか又は或る濃度を超えて存在するかを感知する為))において;
・ 選択的クロマトグラフィー(例えば、形状-選択的クロマトグラフィー又はキラルクロマトグラフィー)において;
・ 有機-有機混合マトリックス膜における分子添加剤として;
・ 石油エンジニアリング及び石油処理において;
・ 材料化学において。
かくして、本発明は、上記の用途の何れかの為に、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質の使用を提供する。
収着性の物質を収着すること
本発明は、本明細書において定義された通りの1以上の収着性の物質を収着する方法を提供する。該方法は適切には、1以上の収着性の物質を本明細書において定義された通りの収着組成物と接触させることを含む。
該収着性の物質は、本発明の収着組成物がそれに対してホストの役をしうる任意の適切なゲスト元素又はゲスト分子でありうる。該収着性の物質は適切には、流体(すなわち、非固体)であり、又は流体形態において、任意的に他の非収着性の物質若しくは収着性が少ない物質と一緒の混合物において提供されてもよい。(この様式において、該収着組成物は、相対的に収着性の物質の一部又は全てを相対的に非収着性の物質から分離する為に役立ちうる)。代替的に、収着性の物質がSATPでその純粋な形態において固体である場合、収着組成物と接触させる前に、該収着性の物質は適切にはエアロゾルに変換されるか、又はさもなければ、流体媒体中に移動され、最も好ましくは該吸着組成物と接触させる前に流体媒体中に溶解される。
収着性の物質は、SATPで気体、例えば二酸化炭素、でありうる。該収着性の物質は、SATPで液体又は、溶液、例えば安息香酸溶液、でありうる。ここで、安息香酸は、収着性の物質である。
適切には、収着性の物質は、元素、特に気体元素、例えば希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)、又は気体分子、例えばH2、N2、CO2、CO、HCN、でありうる。特定の実施態様において、該収着性の物質は、Kr、Xe、又はRnでありうる。
特定の実施態様において、収着性の物質はラドン、最も適切には気体状のラドン、である。そのような気体状のラドンは、合成の又は自然起源のラドン、最も適切には自然起源のラドン、でありうる。特には、本発明者等は、(添付の実施例の)FT-RCC3が、ラドンに対して驚くほど高いキャパシティ及び親和性を示し、及びそれらの非常に安定な収着複合体を形成することに注目した。FT-RCC3はまた、低濃度のラドンを含む雰囲気から気体状のラドンを選択的に収着した。かくして、ポリアミンかご、適切にはホルムアルデヒド由来の分子状の連結を含むポリアミンかご、を含む安定化された多孔質物質が、ラドン捕捉の為に特に良く適している。
該収着組成物と接触させる工程は適切には、該収着組成物を該収着性の物質(又は、それらの流体化された形態)と直接的に接触させることを含む。
適切には、該接触は、該収着組成物を該収着性の物質(又は、それらの流体化された形態)を用いて溶出することを含む。適切には、そのような溶出は、該収着性の物質を故意に流して、該収着組成物と接触させることを含む。適切には、該溶出は、該収着性の物質(又は、それらの流れ)を、収着組成物の局部的なバルクを横切って又は該バルクを超えて通過させることを含み、及び適切には、収着性の物質の少なくとも一部が、該収着組成物内に収着される。特定の実施態様において、該吸着組成物は、収着性の物質が通過するチャネル、導管、又はパイプライン内に配置されうる。そのようなチャネル、導管、又はパイプラインは、収着性の物質(又は、該収着性の物質を含む混合物)がそれを通じて通過しうる吸着組成物のプラグ又は充填カラムを含みうる。かくして、本発明は適切には、本明細書において定義された通りの吸着組成物を含む固定相(例えば、プラグ、充填カラム、移動床など)を含む収着装置(例えば、洗浄装置又は濾過装置)を提供する。例えば、二酸化炭素生成工業プロセスからの排気パイプは、排気流からの二酸化炭素を選択的に除去するために、そのような収着装置又は洗浄装置を備えられうる。
収着複合体
収着組成物を収着性の物質(又は、収着性の物質を含む混合物)と接触させることの結果は、収着複合体である。かくして、本発明は、安定化された多孔質物質内に及び/又はその上に収着された1以上の収着性の物質を含む収着複合体を提供する。
安定化された多孔質物質を再生すること/収着された物質を放出すること
収着複合体は、いったん形成されると、様々な方法で使用されうる。例えば、収着複合体がさもなければ貯蔵すること及び/又は輸送することが困難でありうる収着性の物質を貯蔵し及び/又は輸送する為のための媒体として役に立つ場合、この収着複合体が使用されて、その後の使用の為の該収着性の物質を遊離する(又は再生する)為に使用されうる。収着性の物質のそのような遊離は、イン・シチュー(in situ)で(例えば、試薬として該収着性の物質を利用する反応混合物において)又は使用される前に(例えば、ガスボンベなどを充填する為に)行われうる。収着複合体から該収着性の物質を除去することは、該収着性の物質の性質及び該吸着組成物の性質に依存して、様々な手段によって達成されうる。一つの実施態様において、これは、該収着複合体を、該収着組成物の孔内の該収着性の物質を優先的に置き換えること/代えることのいずれかである又はそうでなければ該収着性の物質を(例えば、適切な溶媒系内に)洗い流す放出物質を用いて溶出させることを含みうる。その後、該収着性の物質は、当該分野で知られている標準の技術(例えば、放出物質/溶媒を除く為の真空中における濃縮)によって回収されうる。代替的に、圧力又は熱の適用は、収着性の物質を放出する為に十分でありうる。
幾つかの実施態様において、該収着性の物質は、安全な処分を必要とする望ましくない化合物又は汚染物質でありうる。例えば、該収着性の物質が二酸化炭素である場合、該収着複合体それ自体を廃棄するか又は代替的に、そこに保持された二酸化炭素をより適切な長期保存/捕捉溶液に移すことが望ましい場合がある。該収着性の物質が汚染物質である場合、上記汚染物質を含む該収着複合体を単に廃棄するか又は代替的に、該収着複合体を処理して該汚染物質を中和するか若しくは該汚染物質を有害が少ないものに転化することが望ましい場合がある。これは、最初に該汚染物質を直接的に処理する前に該汚染物質を放出することを含みうる。
分子状の連結化合物をつぶれ可能な物質(予め安定化された)を用いて捕捉すること/収着すること
驚くべき展開において、発明者等は、収着性の物質の有効な吸着が、本発明によって製造された該安定化された多孔質物質(その多孔質構造は安定化されている)の唯一の保存物ではないことを発見した。該収着性の物質がそれ自体分子状の連結化合物(本明細書において定義された通りに適している)である場合、つぶれ可能な物質それ自体が有効な収着剤として役に立ちうる。
かくして、本発明は、本明細書において定義された通りのつぶれ可能な物質を含む代替又は追加の収着組成物を提供する。そのような収着組成物は、安定化された多孔質物質に関して本明細書の他で定義されている通りの収着組成物でありうる。ここで、「安定化された多孔質物質」への全ての言及が「つぶれ可能な物質」への言及によって置き換えられる。かくして、該吸着組成物は、つぶれ可能な物質、及び任意的に、1以上の追加の非多孔質物質及び/又は多孔質物質を含みうる。
適切には、そのような組成物は、それ自体が分子状の連結化合物として役に立つことが出来る収着性の物質を収着する際に使用する為のものである。
それ故に、本発明はさらに、1以上の(好ましくは、気体状の)「分子状の連結」化合物を捕捉する(及び/又は収着する)方法であって、該1以上の「分子状の連結」化合物を本明細書において定義された通りのつぶれ可能な物質又は上記つぶれ可能な物質を含む組成物(例えば、吸着組成物)と接触させることを含む該方法を提供する。
該収着性の物質が分子状の連結化合物である場合、該つぶれ可能な物質又は対応する吸着組成物は適切には、化学的吸着及び物理的吸着の両方を介して該収着性の物質を収着する。かくして、適切には、この二重収着方法の生成物は、本明細書の他で定義された通りの収着複合体であり、ここで、該分子状の連結化合物は、(化学収着に関与する)分子状の連結化合物及び(その後の物理収着に関与する)収着性の物質の両方である。
該化学的吸着は適切には、本明細書の他で定義された通りの安定化された多孔質物質を生成する為に、該つぶれ可能な物質と反応する該分子状の連結化合物の結果である。かくして、本明細書において定義される該安定化された多孔質物質を生成するために化学は、該収着方法それ自体において利用されている。
該物理的吸着は適切には、最初の化学収着によって生成された該安定化された多孔質物質の孔内の吸着を含む。
それ故に、安定化された多孔質物質(及び、他の既存の多孔質物質)が収着性の物質を収着することによる「単一の収着」方法ではなく、本発明の該つぶれ可能な物質は、本発明者等によって指摘された通り、(つぶれ可能な物質/収着組成物のグラム当たり)有意に多くの収着性の物質を収着する「二重収着」方法において役に立ちうる。その上、そのようなつぶれ可能な物質は、しばしば驚くほどより選択的であることができ、且つ時々、それらの対応する安定化された多孔質物質の対応物よりもより選択的であることができる。その上、結果として生じた収着複合体は典型的に、単一の吸着組成物、例えば活性炭、よりもより高い安定性を示す。
従って、安定化された多孔質物質を含む吸着組成物は単一の吸着組成物とみなされてもよく、一方、つぶれ可能な物質を含む吸着組成物は二重収着組成物(少なくとも分子状の連結化合物に関して)とみなされてもよい。
適切には、少なくとも幾つかの該分子状の連結化合物は該つぶれ可能な物質と反応して、該つぶれ可能な物質内に少なくとも1つの組(又は対)の異なる複数の反応性部分を生じさせて、該分子状の連結化合物から誘導される「分子状の連結」リンカーを介して相互に連結されるようになり、それによって安定化された多孔質物質(適切には、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質)を生成する。適切には、少なくとも幾つかの該分子状の連結化合物は、結果として生じた安定化された多孔質物質の孔内(すなわち、表面だけでなく)に、収着される(化学的に反応することなしに、例えば、物理的に吸着される)。適切には、該分子状の連結化合物の十分な供給が与えられると、該つぶれ可能な物質は、該分子状の連結化合物を収着する際に、その孔(又は、孔容積)の少なくとも20%、適切には少なくとも50%、適切には少なくとも80%を利用することができる。適切には、そのような方法は、「二重収着」(すなわち、気体状の分子状の連結化合物の化学的捕捉、その後の上記化学反応と、物理的捕捉の両方、その後の該分子状の連結化合物の安定化された孔内への通過を含む)を含む。
本発明のつぶれ可能な物質内の分子状の連結化合物、特にホルムアルデヒド、の化学収着は、該分子状の連結化合物に関して該つぶれ可能な物質の物理収着キャパシティ(及び/又は物理収着アフィニティ)を高める。この様式において、該つぶれ可能な物質は該分子状の連結化合物の共同的な結合の形態を示し、それによって該分子状の連結化合物の各連続した化学収着が該つぶれ可能な物質の(又は、益々安定化された多孔質物質の)、該分子状の連結化合物のアフィニティ及び/又はキャパシティを増加する。
特に明記されない限り、又はそれと明らかに相容れない限り、単一の吸着組成物、それらの誘導体(例えば、収着複合体)、及び関連する使用方法及び(収着性の物質を収着する)方法に関して本明細書において定義された任意の特徴はまた、本発明の二重収着組成物、それらの誘導体、並びに関連する使用方法及それらに関連する方法の特徴でありうる。
つぶれ可能な物質
二重収着組成物における該つぶれ可能な物質は、本明細書において定義された通りの任意のつぶれ可能な物質(又は、つぶれ可能な化合物)でありうる。適切には、この文脈における該つぶれ可能な物質は、収着の為に意図された該収着性の物質/分子状の連結化合物に適合するように選択される。かくして、適切には、該つぶれ可能な物質は、該収着性の物質と反応して、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質又は安定化された化合物を生成することができる。
しかしながら、好ましい実施態様において、該つぶれ可能な物質は、式A3の化合物である。
収着性の物質/分子状の連結化合物
本発明の二重収着組成物の1つを含む収着の方法において使用される該収着性の物質は、任意の適切な分子状の連結化合物、適切には本明細書において定義された通りの分子状の連結化合物、でありうる。
適切には、この文脈における該収着性の物質は、収着方法において使用される該つぶれ可能な物質に適合するように選択される。かくして、適切には、該収着性の物質は、該つぶれ可能な物質と反応して、本明細書において定義された通りの安定化された多孔質物質又安定化された化合物を生成することができる。
適切には、該収着性の物質は気体状の分子状の連結化合物であり、適切には該収着性の物質はSATPで気体である。本発明の重収着組成物は、気体状の分子状の連結化合物を収着する為に、(それらの固有の孔構造/物理的不安定性にかかわらず)特に有効である。
しかしながら、好ましい実施態様において、該収着性の物質は、式Bの化合物、最も適切にはホルムアルデヒド、である。好ましい実施態様において、該収着性の物質は、気体状のホルムアルデヒドである。
特定の実施態様において、式A3のつぶれ可能な物質を含む二重収着組成物は、気体状のホルムアルデヒドが該収着性の物質である場合に特に適している。
適切には、該二重収着組成物は、つぶれ可能な物質のグラム当たり少なくとも50cm3、適切には少なくとも100cm3/g、適切には少なくとも150cm3/g、適切には約200cm3/g、の気体状の収着性の物質(好ましくは、ホルムアルデヒド)を収着することができ、それはポリアクリロニトリル系の炭素繊維と比較して取り込みにおける有意な改善を示し、それは現在、ホルムアルデヒドについての最も優れた吸収剤である。
収着方法において、該収着性の物質は適切には、本明細書の他で定義されている通りの吸着組成物と接触されてもよく、任意的にここで、該吸着組成物が収着装置又は洗浄装置の一部であってもよい。
同様に、結果として生じた収着複合体は、上記に記載された様式において、例えば収着性の物質放出、吸着組成物の再生成などにおいて、同様に使用され及び/又は処理されうる。かくして、本発明は、後にホルムアルデヒドを安全な環境において放出する前に、大気又は廃棄物流/排気流のいずれかからの気体状のホルムアルデヒドを洗い流す有効な手段を提供する。次に、放出されたホルムアルデヒドは、使用されるか又はさもなければホルムアルデヒドのより安全な形態(例えば、パラホルムアルデヒドの溶液)に転化されうる。この様式において、関連する吸着組成物は、リサイクルされ且つ再使用しうる。
適切には、二重収着組成物内のホルムアルデヒドの収着によって形成される収着複合体は、100℃、適切には200℃、適切には290℃の温度(好ましくは、1バール圧力で)に15分曝露後(好ましくは、30分曝露後)に、実質的に全てのホルムアルデヒド(収着されたホルムアルデヒドの総量の、好ましくは少なくとも80重量%、適切には少なくとも90重量%、適切には少なくとも95重量%、適切には少なくとも99重量%)を保持するだろう。同様に、二重収着組成物内のホルムアルデヒドの収着によって形成される収着複合体は適切には、50%、適切には70%、適切には90%、の相対湿度に対して、SATPでの24時間暴露後に、実質的に全てのホルムアルデヒド(収着されたホルムアルデヒドの総量の、好ましくは少なくとも80重量%、適切には少なくとも90重量%、適切には少なくとも95重量%、適切には少なくとも99重量%)を保持するだろう。これは、既存の吸着マトリックス、例えば活性炭、の性能とは対照的であり、それは、標準の物理的吸着挙動の通り、高い温度及び/又は高い湿度でホルムアルデヒドを放出する。
最後に、本発明の二重収着組成物は、既存の吸着マトリックス、例えば活性炭、と比較して、特に湿度の高い条件下で、収着性の物質に対する特筆すべき選択性を示す。これは、水と比較して、対応する収着性の物質(例えば、ホルムアルデヒド)についての二重収着組成物の相対的に高いアフィニティの結果であると考えられる。事実、水の存在は、選択的なホルムアルデヒドの取り込みを阻害する(活性炭の場合の通り)のではなく、容易にすることができる。この効果は、ポリアミンかご、特に予め組まれた反応性ジアミン単位を含むそれら、を利用する場合に特に明白である。
二重収着組成物の使用
二重収着組成物は、それらの単一の吸着組成物の対応物と同じ方法において使用されうる。
特定の実施態様において、本発明の二重収着組成物は、大気から又は排気混合物から除去することが悪名高いほどに難しい非常に有毒な化合物である気体状のホルムアルデヒドを選択的に収着する為に使用される。ホルムアルデヒドが一連の工業的方法及び工業的生成物から放出されるので、本発明の二重収着組成物は、下記から生成されるホルムアルデヒドを収着する方法において特に有用である:
1.バイオ燃料、天然ガス、灯油、タバコ煙の燃焼
2.水圧破砕
3.紙製品、例えば、ペーパータオル、衛生製品及びティッシュ
4.木材製品、例えば、合板、パーティクルボード、装飾パネル
5.断熱製品、例えば、尿素ホルムアルデヒドフォーム断熱材(UFFI:urea formaldehyde foam insulation)
6.消費者製品、例えば、化粧品、脱臭剤、シャンプー、及び消毒剤
7.樹脂及び接着剤
8.植物肥料
9.布地染料
10.滅菌剤及び消毒剤としてのヘルスケアにおいて。
本発明の二重収着組成物は、ホルムアルデヒドについての検出限界がたとえ低い場合でも、ホルムアルデヒドを低濃度/分圧で選択的に収着することさえできる。例えば、本発明の二重収着組成物は適切には、100ppm以上の濃度、適切には50ppm以上の濃度、適切には10ppm以上の濃度、でホルムアルデヒドを収着しうる。かくして、本発明の組成物は、ホルムアルデヒドの捕捉/洗浄の新しい実行可能な方法によって当分野に貢献するだけでなく、以前はホルムアルデヒドの排出のレベルのために実行出来ず又は安全でないとみなされていたかもしれない工業的方法の使用を容易にするためにも使用される。ホルムアルデヒドが気体状のホルムアルデヒドである場合、該気体状のホルムアルデヒドが150ppm以下の濃度で存在する。
実施例
形状持続性多孔性有機かごの形成に関する多くの合成方法、分析方法及び結果が、Cooper等,J.Am.Chem.Soc.2014年,第136巻,第7583~7586頁及びその添付の補助情報に記載されており、それらの両方が参照によって本明細書に取り込まれる。
物質及び装置
1,3,5-トリホルミルベンゼンが、Manchester Organics(英国)から購入された。他の全ての化学薬品は、Sigma-Aldrichから購入され、そして受け取ったまま使用された。CC3(かご 3)は、以前にそのホモキラル形態、CC3-R(下記文献A1)、で報告されているように調製された。
命名法に関する注記:螺旋性又は軸方向キラリティーは、これらの分子のかごの固有の特性である。6つの全てのビスミノ頂点は同じエナンチオマーでなければならず、且つ頂点置換基は四面体分子構造を得るためにエキソ位を占有しなければならない。この研究において、CC3はホモキラル(1R,2R)-シクロヘキサンジアミンを使用して調製され、そしてホモキラルかご、CC3-R、を与えた。報告された全ての反応は、反対のエナンチオマー、CC3-S、と同じように進行する。該かごがCC3として言及される場合、簡潔にするために、これはラセミ体(CC3-R,S)ではなく、ホモキラルかご、CC3-R、と言及する。CC3をRCC3に還元し、そしてAT-RCC3およびFT-RCC3をさらに修飾することは、該かごのキラリティーを変化しない。
ソリューションNMR。ソリューション1H NMRスペクトルは、Bruker Avance 400NMRスペクトロメータを使用して、400.13MHzで記録された。13C NMRスペクトルは、100.6MHzで記録された。
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)。IRスペクトルは、Bruker Tensor 27 スペクトロメータ上で集められた。サンプルは、4cm-1の解像度で16回のスキャンでKBrディスクとして分析された。スペクトルが、透過モードで記録された。
熱重量分析。TGA分析が、自動垂直オーバーヘッド熱天秤を備えたQ5000IR解析器(TA instruments)を用いて行われた、該サンプルは、5℃/分の速度で加熱された。
粉末X線回折。実験室の粉末X線回折(PXRD)データが、Ni-濾過されたCu Kα放射線を使用して、高いスループットスクリーニング(HTS:high throughput screening)XYZステージ、X線集束ミラー、及びPIXcel検出器を備えたPanalytical X’Pert PRO MPD上のアルミニウムウェルプレートの薄いMylarフィルム上に保持されたサンプル上で、透過モードで収集された。データが、60分にわたり、約0.013°工程において、5~50°の範囲にわたって測定された。
電子顕微鏡。結晶形態の画像化は、走査モード及び透過モードの両方で動作する日立S-4800コールド・フィールド・エミッション走査型電子顕微鏡(FE-SEM:field emission scanning electron microscope)を用いて達成された。走査モードサンプルは、Emitech K550X自動スパッターコーター(automated sputter coater)を用いて、金の2nm層でコーティングする前に、15mm日立M4アルミニウムスタブ上に乾燥結晶を堆積させることによって調製された。画像化は、上部及び下部の二次電子検出器の組み合わせを用いて、8mmの作動距離及び3kVの作動電圧で行われた。透過モードサンプルは、かご粒子をメタノール懸濁液中に分散させ、そしてかご粒子をメタノール懸濁液に分散させ、30kVの作動電圧及び7mmの距離で画像化された炭素被覆銅グリッド(300メッシュ)上に付着させることによって調製された。
ガス収着分析。下記の純度の気体が使用された:水素(99.9995%-BOCガス)及び二酸化炭素(SCF等級-BOCガス)。表面積及び孔径分布が、Micromeritics ASAP 2020 容積吸着分析器を用いて、77.3Kでの窒素吸着及び脱着によって測定された。サンプルが、分析の前に、真空下(10~5バール)で、15時間、80℃で、オフラインで脱気され、その後、また80℃で、分析ポート上で脱気された。二酸化炭素等温線が、同じ脱気手順を用いたMicromeritics 2420容積吸着分析器を用いて、289Kで測定された。
単結晶X線回折。単結晶X線データが、igaku MicroMax-007 HF回転陽極回折計(Mo-Kα放射線、λ=0.71073Å,Kappa 4-circle goniometer,Rigaku Saturn724+検出器)上で測定された。または、ホルムアルデヒドについて、連結は、シリコン二重晶モノクロメータ化された放射線(λ=0.6889Å)を用いて、beamline I19,Diamond Light Source,Didcotで還元された(下記文献A2)。同等の反射を用いた経験的吸収補正が、プログラムSADABSを用いて実行された(下記文献A3)。構造がSHELXDを用いて解決され(下記文献A4)、又はSHELXSを用いた直説法によって解決され(下記文献A4)、及びOLEX2プログラムを介してインターフェースされた(下記文献A5)、SHELXL-97(下記文献A4)によってF2上のフルマトリックス最小二乗法によって再現された。他に言及されない限り、すべての非H原子は異方性的に精製され、且つH原子はライディングモデルを用いて幾何学的に推定された位置に固定された。重いスキャッターがない場合、フリーデル対が併合された。
実施例1 - RCC3の合成
該イミンかごCC3-R(926mg,0.83mmol)が、撹拌によってCHCl
3/メタノール混合物(1:1 v/v,50mL)中に溶解された。この溶液が透明になったときに、水素化ホウ素ナトリウム(1.00g,26.5mol)が添加され、そして該反応物が室温でさらに12時間撹拌された。次に、水(2mL)が添加され、そして該反応物がさらに12時間撹拌された。次に、該溶媒は真空下で除去された。結果として生じた白色固体がクロロホルム(2×50mL)で抽出され、次に合わされた有機相が水(2×100mL)によって洗われた。真空下で除去される前に、CHCl
3相が無水MgSO
4を用いて乾燥された。アミンかご1(粗収量=900mg,95.1%)が白色固体として得られた。
RCC3についての単結晶データ
RCC3・14.68(H2O)についての結晶データ。式C72H137.36N12O14.68;M=1406.21g・mol-1;立体空間群(立方晶 space group)F4132,無色結晶;a=25.71(1)Å;V=16999(13)Å3;ρ=1.092g・cm-3;μ=0.077mm-3;F(000)=6034;結晶サイズ=0.25×0.20×0.15mm3;T=100(2)K;(2.63<Θ <25.01°)で測定された33042反射,1274ユニーク(Rint=0.0466),1070(I>2σ(I);観察された反射についてR1=0.0759及び全ての反射についてR1=0.0863;全ての反射についてwR2=0.2324;最大/分 残留電子密度=0.493及び-0.275e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=1274/0/100;GOF=1.054。
RCC3・14.68(H2O)は、MeOH/H2O溶液から結晶化した。該構造は、キラル立体空間群F4132において、RCC3断片の1/12からなる非対称単位で解決され、そしてリファインされた。残留電子密度が極めて拡散され、そしてH2O溶媒として一時的に割り当てられ、その占有面積は、リファイン中にFVARを用いて決定された。該H2O溶媒分子は、プロトン原子を乗せずにリファインされたが。これらはリファインされた式単位に含まれていた。
CC3の脱溶媒和
その後の分析のための大量の結晶性RCC3を得る為に、CHCl3に溶解されたRCC3の溶液が2日間にわたってゆっくりと蒸発することが許された。粉末X線回折(PXRD)粉末X線回折(PXRD)は、この溶媒和物質が単結晶構造と同じ相であったことを確認した。RCC3溶媒和物の活性化のための異なる脱溶媒和方法、例えば高温/低温の真空、N2流、溶媒交換、及び超臨界CO2乾燥、が調べられた。
しかしながら、これらの活性化条件のいずれも、脱溶媒和時にRCC3の結晶化度を維持せず、代わりに、我々はPXRDパターンにおいてブラッグ(Bragg)反射を示さなかったすべての場合においてアモルファス固体を単離した。
実施例2 - AT-RCC3の合成
還元されたアミンかごRCC3(50mg,0.044mmol)が、10mLのバイアル中の3mLのアセトン中に溶解された。該バイアルは密封されて、そして放置された。AT-RCC3の単結晶が、約30分後に、該バイアルの壁及び底に徐々に現れた。該結晶が、12時間後に濾過によって回収され、そしてアセトン(2×100mL)によって洗われた。収量:39mg,75.4%。(注:該濾液は12時間を超えて(>12h)放置して、結晶の塊をさらに集め、従ってこの75%の収率を改善することができる)。
AT-RCC3についての単結晶データ
AT-RCC3・7.5(H2O)についての結晶データ。式C75H127N12O7.5;M=1301.77g・mol-1;立体空間群F4132,無色結晶;a=25.469(1)Å;V=16520(2)Å3;ρ=1.047g・cm-3;μ=0.068mm-3;F(000)=5648;結晶サイズ=0.18×0.18×0.12mm3;T=100(2)K;(1.38<Θ<23.24°)で測定された29022反射,993ユニーク(Rint=0.0508),955(I>2σ(I);観察された反射についR1=0.0848及び全ての反射についてR1=0.0868;全ての反射についてwR2=0.2534;最大/分 残留電子密度=0.485及び-0.250e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=993/17/92;GOF=1.166。
AT-RCC3・4.5(H2O)についての結晶データ。式C75H121N12O4.5;M=1262.84g・mol-1;立体空間群F4132,無色結晶;a=25.612(5)Å;V=16801(6)Å3;ρ=0.998g・cm-3;μ=0.063mm-3;F(000)=5528;結晶サイズ=0.18×0.18×0.12mm3;T=300(2)K;(1.38<Θ<20.88°)で測定された26066反射,759ユニーク(Rint=0.0767),708(I>2σ(I);観察された反射についてR1=0.0828及び全ての反射についてR1=0.0928;全ての反射についてwR2=0.2501;最大/分 残留電子密度=0.346及び-0.377e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=759/14/95;GOF=1.125。
AT-RCC3についての結晶データ。式C72H112N12;M=1181.76g・mol-1;立体空間群F4132,無色結晶;a=25.456(6)Å;V=16495(7)Å3;ρ=0.952g・cm-3;μ=0.057mm-3;F(000)=5168;結晶サイズ=0.18×0.18×0.12mm3;T=350(2)K;(2.26<Θ<20.82°)で測定された25340反射,730ユニーク(Rint=0.0940),570(I>2σ(I);観察された反射についてR1=0.1097及び全ての反射についてR1=0.1260;全ての反射についてwR2=0.3059;最大/分 残留電子密度=0.412及び-0.171e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=730/14/81;GOF=1.287。
AT-RCC3は、キラル立体空間群F4132におけるアセトン溶液から結晶化した。AT-RCC3についての非対称単位は、1/12のかご分子からなる。残留電子密度がH2Oとして仮に割り当てられ、プロトン原子は差分マップにおいて見つけられなかったが、リファインされた式単位において含まれていた。イミダゾリジン環が6個のジアミン部位にわたって不規則であり、追加の実験的証拠に従って100%の組み合わされた化学占有率でリファインされた。次に、アセトン溶液から最初に選択され且つ100Kで固定された単結晶が、乾燥窒素ガス流れ下で徐々に300Kまで加熱された。300Kで、第2のデータセットが記録された。第3の最終データセットが記録される前に、完了時に試料が350Kに加熱された。一般に、イミダゾリジン環の不規則な配置に適応させるために、窒素原子が、イミダゾリジン環の一部としてイミダゾリジン環又はR2NC(17%占有)の非存在下でR2NH(83%占有)として分離され且つリファインされる。N原子は、制約EADP及びEXYXを用いてリファインされた。不規則な部分についての原子変位パラメータは、リファインの間に、ISOR及び/又は剛性接合レストレイント(DELU)を用いてリファインされ、さらに、1,3 CH3-C-CH3距離がDANGレストレイントを用いてリファインされた。該単結晶は弱く回折し、且つ0.90Åの分解能限界が100Kデータ収集の為のリファインの間に適用された。300K及び350Kデータ収集において、1.00Åの分解能限界が適用された。
つぶれたAT-RCC3についての結晶データ。式C72H112N12;M=1181.77g・mol-1;斜方晶系空間群P212121,無色結晶;a=14.763(5),b=17.458(6),c=27.45(1)Å;V=7075(4)Å3;ρ=1.109g・cm-3;μ=0.066mm-3;F(000)=2584;結晶サイズ=0.28×0.09×0.05mm3;T=100(2)K;(1.38<Θ<24.71°)で測定された31603反射,11774ユニーク(Rint=0.1219),4629(I>2σ(I);観察された反射についてR1=0.0829及び全ての反射についてR1=0.2238;全ての反射についてwR2=0.2522;最大/分 残留電子密度=0.548及び-0.224e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=11774/27/795;GOF=0.967。
溶液中のAT-RCC3の動的特性
溶液中のアミナール-形成反応可逆性の故に、アミナール生成物は水の存在と共に分解しうることが予測された。実際には、AT-RCC3は、これらの溶媒に含まれる微量の水の助け及びおそらくはまたCDCl3の弱酸特性を伴って、NMR溶媒(CDCl3又はCD3OD;図S2及び図S3)中で保存された後に、徐々にRCC3に転化された。無水の、塩基で中和されたCDCl3が用いられた場合、AT-RCC3の分解プロセスは非常に遅くなった。
溶液中のAT-RCC3のアミナール可逆性を利用した、RCC3の更なる精製
アミナール形成の可逆性を利用して、RCC3を精製する方法が開発された。CC3のイミン還元において、その高い極性のために、対応するアミン生成物、RCC3、を精製することは面倒である。それ故に、我々は、上記のアセトンとの可逆的反応を用いてRCC3を精製するためのワークフローを開発した。25mLのフラスコにおいて、100mgの粗RCC3がアセトン(10mL)中に溶解された。該溶液は覆われ、そして放置された。結晶が、30分後に該フラスコの壁に現れ始めた。該結晶(AT-RCC3)は、濾過により1日後に集められ、次に撹拌によってCHCl3/CH3OH混合物(1:1 v/v)中に溶解された。数滴の蒸留水が該溶液に添加され、該混合物はさらに12時間撹拌された。該溶媒の除去後、純粋なRCC3(68mg,70.4%)が回収された。対応する1H NMRスペクトルから、不純物に対応するシグナルのみが濾液中に見出され、一方、該回収されたRCC3高純度であることが判った。
追加のアセトンは、RCC3の空洞で反応することができるか?
かご中に6個のジアミン基があるにもかかわらず、1個のアセトンのみがRCC3と反応する。理論的には、追加のジメチルイミダゾリジン基を収容する為の十分な空間がRCC3における空洞にある。これが可能かどうかを調べるために、さらなる再結晶様反応がより高い温度(最高50℃までで繰り返され、そして混合溶媒系がまた検討された(CHCl3/アセトン,1:1 v/v)。両方において、1つのアセトンのみが、質量分析、1H NMR、及び単結晶X線結晶学によって確認される通り、AT-RCC3生成物に組み込まれる。我々はまた、RCC3をアセトン中で12時間撹拌還流した:微量の2-アセトン反応生成物が質量分析によって示唆されるにもかかわらず、1つのアセトンのみがAT-RCC3生成物中に組み込まれ、それは単離され、そしてNMRによって特徴付けられる。この選択性について2つの説明があると信じられている。第一に、立体障害の影響が重要な役割を果たしており、これは、おそらく鍵となる中間体の形成を妨げることによって、第二のジメチルイミダゾリジン環の形成を嫌う。第二に、アセトン中のAT-RCC3の溶解度はRCC3よりも有意に低い;これは、生成物が形成されるにつれて、溶液から結晶化する該生成物を結果としてもたらす。これはまた、RCC3のAT-RCC3へのほぼ完全な転化を説明する。
つぶれたAT-RCC3
AT-RCC3ガス吸着後のサンプルに記録された粉末XRDデータは、追加の結晶相が存在することを示した。加えて、アモルファス物質からの寄与は、回折パターンにおいて明らかであった。このサンプルが偏光で照射されたときに、非立方晶の単結晶相が明瞭であった。この相の結晶が選択されて、そしてSC-XRDデータセットが記録された。構造決定は、これが斜方晶系空間群P212121において結晶化されているAT-RCC3のつぶれた構造であることを明らかにした。この段階について、該非対称単位は、結晶学的に異なる1つのつぶれたAT-RCC3分子から構成されていた。つぶれたAT-RCC3の1つのみの配座異性体が結晶格子において見つかった:すなわち、立方晶のAT-RCC3構造と異なり、イミダゾリジン環が6つのありうる頂点部位に亘って不規則であることが見出されなかった。
この理由は、単結晶構造から明らかである:AT-RCC3のつぶれた構造において、イミダゾリジン環のジメチル基が、かご空洞の中心に向かって内側に向けられており、四面体対称の損失及び固有のかご空きを結果としてもたらす。この構造について、単一の頂点について、内向きにつぶすための十分な空き空間のみがある-この場合において、反応したイミダゾリジン環。つぶれの間、該分子は、このつぶれた頂点が該構造において不規則でないように再配向される。
つぶれたAT-RCC3の単結晶は、弱く回折していた。解像限界0.85Åが、リファインの間適用された。1つのシクロヘキサン頂点(N11-C67>C72-N12)が位置不規則の徴候を示し、この基について、窒素原子の1つ(N11)が2つの位置にわたって分割され、そしてリファインされた。このシクロヘキサン頂点は、リファインの間、剛性接合レストレイント(DELU)を用いてリファインされた。最も高いq-ピーク(0.55)が、N11に近接していることが見出された。
アセトン溶液から調製された場合に、非立方晶単結晶相が明白でないAT-RCC3の単結晶を調べると、該結晶は、偏光で照射されたことに留意されるべきである。該つぶれた構造へのAT-RCC3の開裂した合成されたままの構造の転化の正確な性質は、将来の研究の対象に付される。
該つぶれた構造は、H2プローブであっても媒に触れることが可能な表面積を有していない。該つぶれた結晶は、収着実験からのガス(5バール)の圧力によって変形された可能性がある。構造検索は、AT-RCC3のつぶれた構造のみが「開裂した」多孔性構造よりもエネルギーにおいて低く、空きのつぶれがエネルギー的に有利であることが示唆された。これらの計算されたつぶれた構造は、単結晶構造からの非対称単位と同じ環境モチーフを示した。
実施例3 - FT-RCC3の合成
CH
3OH(10mL)中に溶解されたパラホルムアルデヒド(52mg,20当量)が、70℃で撹拌された。この透明な溶液に、CH
3OH(10mL)中に溶解されたRCC3(100mg)が添加された。白色沈殿物が、RCC3の添加に応じて現れた。該反応物は、70℃でさらに2時間撹拌された。該反応物は室温に冷やされ、そして沈殿物が濾過によって集められた。FT-RCC3(52mg,70%)が、CH
3OH(3×10mL)を用いて洗われ、そして真空下で乾燥された後に得られた。
C
78H
109N
12について計算された精密質量: 1213.8898. 実測値: 1213.8894.
FT-RCC3についての単結晶データ
FT-RCC3・4(MeOH)・2(CHCl3)についての結晶データ。式C84H126Cl6N12O4;M=1580.67g・mol-1;立体空間群F4132,無色結晶;a=25.370(3)Å;V=16329(3)Å3;ρ=1.286g・cm-3;μ=0.268mm-3;F(000)=6784;結晶サイズ=0.06×0.06×0.05mm3;T=30(2)K;(2.66<Θ<26.35°)で測定された11627反射,1382ユニーク(Rint=0.0740),1040(I>2σ(I);観察された反射についてR1=0.1455及び全ての反射についてR1=0.1720;全ての反射についてwR2=0.4196;最大/分 残留電子密度=0.819及び-0.465e・Å-3;データ/レストレイント/パラメータ=1382/0/85;GOF=1.769。
FT-RCC3の単結晶が、キラル立体空間群F4132におけるCHCl3/MeOH溶液から結晶化された。該結晶は、小さく且つ弱く回折した。適切な品質のX線回折データが、ビームラインI19(Diamond Light Source,英国)でのシンクロトロン放射源を使用して得られた。30Kの収集温度が用いられて、データ品質を大幅に改善した。2つの位置にわたって不規則な1つのCHCl3分子が、2つのかごウィンドウの間の格子間型空洞において見つけられた。追加の電子密度がMeOH溶媒としてモデル化された。レストレイントは、リファインの間に使用されなかった。CHCl3及びMeOH溶媒の正確な占有率は、緊密な接触の故に一時的に割り当てられたとみなされるべきである。FT-RCC3・4(MeOH)・2(CHCl3)の変位楕円体プロットについては、図S25を参照されたい。より高い収集温度(>275K)では、FT-RCC3の単結晶が弱く回折した。
合成されたままのFT-RCC3の形態学
図2は、(a)MeOH、(b)MeOH/H2O(10:1 v/v)の混合物、及び(c)MeOH/H2O(1:1 v/v)中で合成されたFT-RCC3についてのSEM画像を示す。MeOHのみが反応溶媒として使用された場合に、合成されたままのFT-RCC3結晶は約100μmの直径を有するクラスター内に凝集する傾向にある。MeOHと混合された水が上記溶媒として使用された場合に、FT-RCC3結晶は別々の均一な八面体として形成された。MeOH対H2O比は、結晶子サイズ(b及びcを参照)に影響を及ぼす。
図3は、溶媒としてMeOH又はMeOH/H2O(1:1 v/v)混合物を使用することによって合成されたFT-RCC3についての細孔径のグラフ比較を示す。
FT-RCC3の脱溶媒和
図4は、脱溶媒されたFT-RCC3のLe Bail リファインメント(refinement)(Rwp=4.81%、Rp=3.39%、χ2=1.22)についての最終観察されたプロフィール(赤丸)、計算されたプロフィール(黒線)及び種々のPXRDプロフィール(a=25.4857(6)Å、V=16554(1)Å3、F4132)を示す。反射位置がまたマーク付けされている。2θ=38.2及び44.5°でのアルミニウムサンプルホルダーによるピークが、緑色の目盛りによって示されている。
図5は、FT-RCC3のサンプル上に記録されたX線回折パターンを示す。動的真空下、80℃で脱溶媒された後に又は気体吸収解析後に、結晶性を失うFT-RCC3の兆候はない。溶媒のイン・シリコ(in silico)での除去後のFT-RCC3の溶媒和単結晶構造からのシミュレートされたパターンが比較の為に示されている。
FT-RCC3の最低エネルギーコンフォメーションを検索するコンフォーマー
図6は、(a)計算された最低エネルギー構造(赤色)及びFT-RCC3分子の単結晶X線回折構造(青色)のオーバーレイ;及び開放構造が如何なる補償的相互作用の少なくとも非存在下において、例えば溶媒中の溶媒を用いて、形成されることを確信する為のエネルギーにおいて十分に高いことを示す。
塩基性溶液で処理された後のFT-RCC3のPXRD
図7は、0.02MのNaOH(pH=12.3)中、室温で浸漬した後のFT-RCC3のPXRDを示す。12日後に、結晶化度の明らかな損失はない。
CHCl
3
中のFT-RCC3を結合する安息香酸
図8は、FT-RCC3(上段)、安息香酸(下段)、及びそれらの混合物(中段)の1H NMRを示す。
図9は、25℃での、CDCl3中の、安息香酸(20mM・L-1)を伴うFT-RCC3の1H NMRを示す。
図10は、ゲストのモル分率に対するH1のケミカルシフト変化をプロットすることによって、CHCl3中の複合体安息香酸∩FT-RCC3の1:1化学量論を示唆するグラフィカルなジョブプロットを示す。[H]0及び[G]0は、FT-RCC3及び安息香酸の初期濃度である。[H]0+[G]0=5.00mM
図11は、(a)FT-RCC3の添加による安息香酸(1.00mM)の部分1H NMR、及び(b)FT-RCC3の添加による安息香酸上のH1のケミカルシフト変化を示す。赤い実線は、非線形のカーブフィッティングによって得られた。
FT-RCC3は、CHCl3中のゲストとして安息香酸(pKa=4.2)を結合することが見出された。ホストであるFT-RCC3のプロトン信号及びゲスト分子である安息香酸のプロトン信号は、それらがCDCl3溶液中で混合された場合にシフトされることが見出された(図8)。1352.8の相対m/zピークが複合体のエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルにおいて見出され、それは三成分複合体[FT-RCC3+安息香酸+H3O]+についての計算されたm/zに対応する。これらの条件下で、1H NMRシグナルの積分から判断される通り、10日間の20Mの安息香酸の存在下でさえ、FT-RCC3分解の証拠はなかった(図9)。該ゲストのモル分率に対するH1のケミカルシフト変化をプロットすることによって、ジョブプロットは、FT-RCC3と安息香酸との間の1:1のホストゲスト化学量論を確認する(図10)。安息香酸⊃FT-RCC3の会合定数(Ka)は、CDCl3中で9.1×103M-1であると決定された(図11)。
実施例1~3についての結果及び議論
ここで、我々は、柔軟なアミンかごを安定化させ且つ固体状態において多孔性である形状持続性で化学的に安定なアミンを生成する為のプロトコルを報告する。親イミンかごの形状持続性は、かご頂点上の適切な「連結」分子との反応によって回復される。注目すべきことには、連結された多孔性結晶は、酸又は塩基中における長期間の処理でさえ、非常に安定である。
我々が検討したアミンかごは、RCC3(図1)、親のキラルイミンかごであるCC3の還元誘導体であり、それは、四面体対称(点群T)を有し且つ1,3,5-トリホルミルベンゼンと(1R,2R)-1,2-ジアミノシクロヘキサンとのシクロイミネーションによって形成される(下記文献3a)。CC3は、ワンポット凝縮反応において大規模(>100g)で容易に調製され、且つそれは高結晶性形態において、約400m2g-1の見掛けのブルナウアー‐エメット‐テラー (BET:Brunauer-Emmett-Teller)表面積を有する(下記文献17)。CC3は、100%に近い収率でNaBH4での処理によって、対応するドデカアミンかごであるRCC3に還元された。RCC3の溶媒和結晶の単結晶X線回折(SC-XRD)は、該分子が親イミンかごであるCC3の四面体形状を保持し、メタノール及びH2Oゲストが該構造中の孔を満たすことを明らかにした。
図12は、(a)赤色で示されたH2O/メタノール ゲストを伴うRCC3溶媒和物の単結晶構造;(b)つぶされ、脱溶媒されたRCC3アミンかごの代表的なエネルギー最小化モデルを示す。
RCC3におけるより柔軟なアミン結合は、CC3のように、隣接するベンゼン環とはもはや平面ではなく、ベンゼン面から10°の角度でかご空洞から離れている。RCC3は、イミンかごであるCC3のように、ウィンドウ-ツー-ウィンドウ(window-to-window)様式でパックされる。これは、理論的には、四面体の節として働くかご分子を有する等構造の相互接続されたダイアモンド孔ネットワークを生成することができる。しかしながら、緩慢な乾燥、溶媒交換、又は超臨界流体乾燥のいずれかによって、RCC3を脱溶媒和するための複数の試みは、すべてアモルファスの固体を結果として生じた(図13)。
図13は、RCC3のサンプルについての粉末X線回折パターンを示す:(下段)単結晶構造からシミュレートされた;(中段)CHCl3溶液から結晶化された場合のRCC3溶媒和物;(上段)(上記)活性化後の脱溶媒されたRCC3固体。
CC3とは異なり、脱溶媒されたRCC3は、77KでN2若しくはH2のいずれに対して又は298KでのCO2に対して何らの多孔性を示さなかった。対照的に、CC3はまた、アモルファス状態において多孔性であり:実際には、その結晶形態よりもより多孔性である(下記文献17)。それ故に、我々は、RCC3における多孔性の損失を、アモルファスではなく、脱溶媒和時のその柔軟なかご空洞のつぶれに帰する。
我々は、分子のイミンかごのサイズ及び構造を予測する為に予め計算的配座異性体検索を使用してきた(下記文献18)。ここで、我々は、このアプローチを使用して、様々なアミンかごの形状持続性を調べる。RCC3について、配座異性体検索は、数kJmol-1内の相互に複数のありうるつぶれた構造を有する分子構造のつぶれを確認した。RCC3溶媒和物中の溶媒によって安定化されている開裂の空き構造よりもエネルギーにおいて有意に低いエネルギー(>100kJmol-1)が存在する(図12a)。つぶれたRCC3構造の代表的な例が図12bにおいて示されており、ここで、アミンかごの柔軟性は、1つのアレーン面がかご空洞内に「折り重ねる」ことを許し、それ故に元の空き空間を占有する。
RCC3は、アセトン中に容易に可溶性である。驚くべきことに、我々は、約30分後に、RCC3のアセトン溶液からプリズム形状の単結晶の自発的形成を観察した。これらの結晶は回収され、そしてNMR分光法、質量分析、元素分析、及びSC-XRDによって特徴付けられた。全ての特徴付けデータは、各RCC3かご上の6個のジアミン頂点のうちの1つだけが5-員のイミダゾリジン(アミナール)環の形成によって、新しい分子であるAT-RCC3(ここで、AT(acetone tied)=「アセトンで連結された」)を与えた(図1)。RCC3中のキラル(1R,2R)-1,2-ジアミノシクロヘキサンジアミンの幾何学は、5-員のイミダゾリジン環の形成を促進する。これは、二級ジアミンとカルボニルからのアミナール形成の事前の報告と一致している(下記文献19)。AT-RCC3は、同等の細胞パラメータを有するCC3のように、キラル立体空間群F4132において結晶化された(下記文献3a)。SC-XRDは、AT-RCC3が四面体対称を有すること及び単一のイミダゾリジン環が6個のジアミン頂点にわたって不規則化されていることを明らかにする。これ以上ジアミン頂点が官能化されていないことを確認するために、この「反応性再結晶化」が、24時間、共溶媒(CHCl3/アセトン,1:1 v/v)を用いて、高温(50℃)で繰り返された;再び、反応がただ1つのジアミン頂点で生じた。我々は、最初のアセトン「連結」が、おそらくは中間体の立体阻害によって、第2のアセトン分子が該かご内で反応することを防止すると信じる。アセトン中のAT-RCC3の溶解度はまた、RCC3と比較して有意に低下し、及びAT-RCC3は形成時に溶液から沈殿した。これは、平衡からアミナール生成物を除去することによって可逆的なアミナール形成反応を推進し、RCC3のAT-RCC3へのほぼ100%の転化を説明する。副次的利点として、この可逆的アセトン/RCC3反応は、(i)アミナールを形成すること;(ii)濾過すること;(iii)再溶解すること、及び;(iv)アミナール反応を逆転させてアミンかごを再生することによって、RCC3を精製する単純且つ有効な方法を構成する。
AT-RCC3は上記の精製プロセスを許す溶液中で不安定であり、一方、AT-RCC3の溶媒和物は約300℃までの結晶固体として安定である。AT-RCC3溶媒和物の化学組成及び結晶化度はまた、48時間の水浸漬後に保持された。アモルファスになるRCC3と異なり、AT-RCC3は、PXRDによって示されるように、脱溶媒和されたときにその結晶化度の大部分を保持した(図S6)。単結晶がまた、サンプル温度を徐々に上昇させることによって、イン・シチュー(in situ)で脱溶媒された。350Kでの構造は、各かごにおいて単一のアセトン「連結」がつぶれを防止する形状持続性の無溶媒かごを示す。
図14は、(a)形状持続性AT-RCC3についての結晶充填;当該連結は赤色で示されており、そうでなければC(灰色)、N(青色)、及びH(省略)で示されている。上記連結は、この構造モデルにおいて、位置的に無秩序化されてる(ランダム化されている);(b)Zeo++を使用してN2についての1.82Åのプローブ半径を使用して生成されたAT-RCC3についての溶媒露出表面(下記文献20を参照)。単一のAT-RCC3分子が示されている。正式に切断された穴は、オレンジ色で示されている。アセトン連結は、各かごにおけるN2プローブの為のその2つの隣接ウィンドウをブロックする。
図15は、(a)FT-RCC3対AT-RCC3及びRCC3についての多孔性における実質的な増加を示す、77KでのN2吸着/脱着等温線。閉記号=吸着;開記号=脱着;(b)298Kでの、AT-RCC3についての二酸化炭素の吸着等温線(濃青の三角)、窒素の吸着等温線(黒色の四角)、及び水素の吸着等温線(青色の丸);(c)相互接続された3Dダイアモンド孔ネットワークを示す、H2についての1.42Åのプローブ半径を使用してのFT-RCC3についての溶媒露出表面;(d)FT-RCC3の溶媒和物についての計算された最低エネルギー構造(赤色)及び単結晶X線回折構造のオーバーレイ(青色;明確の為に溶媒分子は省略されている)、を示す。
CC3のように、脱溶媒されたAT-RCC3は、ウィンドウ-ツー-ウィンドウ様式でパックされる(図14)。脱溶媒されたAT-RCC3についてのガス吸着分析(図15a)は、該物質が77Kで、1時間、非常に適量のN2(1.11mmolg-1)及びH2(1.29mmolg-1)を吸着することを示した。見掛けのBET表面積は、N2等温線から計算される通り、丁度67m2g-1であった。この表面積及びガス取り込みは、等構造CCよりも実質的に低い(下記文献3a)。しかしながら、周囲温度に近く、1.77mmolg-1のCO2取り込みが、AT-RCC3について観察された:すなわち、RCC3よりも8倍高い(図15b)。CO2/N2についての理想気体選択性は、298K及び1バールで57として計算された。これは、Zhang等(下記文献15)によって報告された、[2+3]イミンかごのCO2/N2選択性に近いが、はるかに高い絶対CO2取り込みを有する(AT-RCC3について1.77mmolg-1 対 Zhangのかごについて0.1~0.25mmolg-1)。AT-RCC3において低温でのN2及びH2吸着の不足は、その結晶構造によって説明される。1.82ÅのN2プローブ半径を有する溶媒露出表面(下記文献21)は、形式的に切断された空きを示している(図14b)。これは、ジメチル基が各AT-RCC3かご上の4つのウィンドウのうちの2つをブロックするためである。従って、N2についての孔構造の相互接続性は、互いに関連するジメチルブロックされたウィンドウの空間的配置に依存する。
これは、特に分子運動および動的協調拡散があまり優勢でない低温で、孔容積を切断する(図14b)。より高温で、熱運動は、ガスがこれらのブロックされた経路をよりネゴシエートすることを許す可能性がある。かご分子当たり5つの残存する未反応ジアミン基がCO2吸着を促進し(下記文献13,22)、及びこれはAT-RCC3における高いCO2/N2選択性を部分的に説明することができる。
単一のアセトンでの反応はRCC3に比べてアンミンカゴが硬くなるが、AT-RCC3は依然として柔軟性があり、一定の日数にわたって永続的な多孔性を保持することができない。結晶の秩序におけるわずかな損失が脱溶媒和後に観察され、そして、結晶化度のさらなる損失がガス吸着分析後に明らかでなった。加えて、AT-RCC3をCO2(5バール)に暴露した後、我々は、合成されたままの物質では明らかではない第二の単結晶段階についての証拠を見つけた。この相は、イミダゾリジン環が優先的にかご空洞内につぶれるAT-RCC3のつぶれた構造を構成する。それ故に、RCC3分子におけるただ1つのジアミン頂点を連結することは、繰り返しの吸着/脱着工程を含む適用、例えばガス分離、を可能にする為の十分な剛性を与えないことは明らかである。我々が1つのジアミン頂点ではなく、6つのジアミン頂点すべてを連結した場合に、改善された形状持続性が予想されうるが、これは、かさばる連結分子を排除する。なぜならば、(i)それらは、空間制約の為に6つの全てのジアミン部位を反応させることができないこと、及び(ii)かさばる連結は、空き空間をはるかに占領してしまい、そのために多孔性を減少させる。
選択された候補「連結」は、ホルムアルデヒドであった。RCC3及びパラホルムアルデヒドがメタノール中70℃で一緒に混合された直後に、白色沈殿物が形成された。FT-RCC3(ここで、FT(formaldehyde tied)=ホルムアルデヒドで連結された)がメタノールでの洗浄そして乾燥後に70%の収率で回収された。生成物のNMR分光法は、SC-XRDによってもまた証明されているように、RCC3中の6つの全てのジアミン基がホルムアルデヒドと反応したことを示唆した(図15c、図15d)。
FT-RCC3は、イミンであるCC3の四面体対称を保持し、且つ類似のセルパラメータを用いてF4132において結晶化される(表1)。合成されたままの物質のSEM画像は、10μmの平均サイズを有する均一な結晶を示した(図2及び図3)。FT-RCC3物質は、80℃で、12時間、動的真空下で、完全に脱溶媒されることができる。AT-RCC3と異なり、脱溶媒和又はガス吸着のいずれか後に、増加した形状持続性の有力な指標であるFT-RCC3の結晶化度の如何なる損失も示唆されていなかった(図4及び図5)。次に、FT-RCC3の多孔性性質がN2、H2、及びCO2吸着によって調べられた。77Kでの窒素吸着測定は、1.0バールでの11.2mmolの総気体取り込み及び377m2g-1の見掛けのBET表面積を有するI型等温線を示した(図15a)。これは、親イミンかごであるCC3について測定された409m2g-1よりもわずかに低い(下記文献17)。しかしながら、両方の物質は、それらの分子量が考慮されるときに、457m2mmol-1の同じ「モルの」BET表面積を正確に有する。FT-RCC3は、77Kで且つ1.0バールで、4.3mmolg-1のH2を吸着し、298Kで且つ1バールで、1.42mmolg-1のCO2を吸着する。計算された溶媒露出表面から見られることができる通り(図15c)、FT-RCC3の孔は、1.42ÅのH2プローブの為に相互接続されている。この相互接続性は、より小さい1.55Åのプローブ(端と端とを合わせられたN2分子配向性と等価である)にとどまるが、1.82Åのファンデルワールス半径プローブに対して正式に切断されるようになる。我々は、CC3について観察されたた通り、分子の呼吸運動が孔構造を通じてN2の拡散を許すと仮定する(下記文献23)。
FT-RCC3についての構造検索は、最も低いエネルギーの配座異性体が永続的な空きを含む観測された形状持続性構造であったことを見出した(図15d)。部分的につぶれた構造(図6)がまた、OPLS-AA力場で計算される通り、エネルギーにおいて22kJmol-1高いことが見出された(下記文献24)。DFT計算は、開放構造が実際には14kJmol-1のエネルギーギャップを有する最も低いエネルギー分子構造であることを確認した。計算された分子構造の実験的構造とのオーバーレイ(図15d)は、0.079ÅのRMSD(水素を除く)を有する優れた一致を示す。
ほとんどのイミンベースの分子は酸性若しくは塩基性環境において、又は中性水の存在下でさえも不安定である。結晶の親イミンかごであるCC3は、中性水に対して驚くほど堅牢である(下記文献11)が、それは弱酸性溶液中に浸漬される場合に急速に分解される。
図16は、(a)12日間、0.02M HCl(pH=1.7)中に浸漬後のFT-RCC3についてのPXRDパターン;(b)合成されたときの77KでのN2等温線(黒色の丸)、及び12日間、塩基性溶液で処置された後のN2等温線(青色の四角)又は12日間、酸性溶液で処置された後のN2等温線(赤色の三角)、を示す。閉記号は吸着を示し、及び開記号は脱着を示す。
FT-RCC3は、水に対して並びに酸及び塩基の両方に対して優れた安定性を示した。固体FT-RCC3が酸性(pH=1.7;図16a)又は塩基性(pH=12.3;図7)のいずれかの溶液に12日間、浸漬された場合に、結晶化度の損失も何らかの化学的分解もなかった。同様に、これらの酸/塩基処理は、該処理後のN2等温線によって示されている通り、物質中の多孔性に影響しなかった(図16b)。この安定性はまた、溶液中のFT-RCC3に転化される。例えば、我々は、FT-RCC3が9.1×103M-1の会合定数を有するCHCl3溶液中で安息香酸を結合することができることを見出した。連結されたかごにおける分解の兆候は、この酸性溶液において、10日後に観察されなかった(図8~11)。酸性媒体におけるそのようなホスト-ゲスト結合は、イミンかごであるCC3について不可能である。FT-RCC3の内側空洞は6個のメチレン基を有する装飾の後にRCC3に比べてより疎水性になるが、FT-RCC3は依然として極性ゲスト、例えば水又は安息香酸、を結合し又は吸着することができる。それ故に、我々は、分子の孔からの酸又は塩基の種の単純な除外ではなく、FT-RCC3の高められた安定性をそのより堅牢な化学結合に帰する。
要約すると、我々は、柔軟なアミンかごを安定化させる為の新しいプロトコルを実証した。かご頂点を小さいカルボニル分子で連結することによって、該かごの形状持続性が大幅に改良されることができる。我々は、ジアミとケトン又はアルデヒドとの間の反応を使用して本明細書にこれを示し、及び、該反応が近接のジアミンビルディングブロックから調製される他のかごに潜在的に譲渡されることができる(下記文献7)。適切な上記連結を選択することによって、分子のつぶれが防止されることができ且つ永続的な固体状態の耐光性が保持されることができる。その上、ホルムアルデヒドが上記連結として使用される場合に、結果として生じた分子は、親イミンかごよりも、はるかにより良い物理的化学的安定性を有する。この戦略は、重要な実用的な応用を有することができる。幾つかのアモルファス多孔質物質、例えば活性炭及び多孔性有機ポリマー(下記文献25)、は、酸に対して及び塩基に対して両方に安定である。対照的に、結晶の多孔性固体は、そのような広いpH範囲ではほとんど安定でない:ほとんどのゼオライト、MOF、及びCOFは、酸若しくは塩基のいずれかによって又はその両方によって攻撃される。かくして、FT-RCC3は、他の結晶の分子の「有機ゼオライト」によって、これまでに比べるものがないほどの化学的及び結晶安定性を示す。
実施例4 - 実施例1のRCC3を伴うホルムアルデヒドの二重収着
RCC3が実施例1に記載された通りに調製され、続いて24時間、80℃、減圧下で脱溶媒和された。
一旦調製されると、該つぶれ可能な物質であるRCC3のサンプルは、24時間、25℃の温度、30%の湿度で、気体状のホルムアルデヒドの(100ppm)を含む空気の雰囲気(1バールで)において密封された。その後、該雰囲気の該組成物は、GCMS ヘッドスペース実験を用いて試験された。該雰囲気内の実質的に全てのホルムアルデヒドが除かれていたことが注目される。
ホルムアルデヒドと接触させられたつぶれ可能な物質のその後の試験(ソリューションNMRによって)に応じて、該つぶれ可能な物質は、ホルムアルデヒドと化学的収着され且つ物理的収着された収着複合体となっていた。本発明者等は、ホルムアルデヒドの全体的な取り込みが200cm3/gのつぶれ可能な物質であったことを計算していた。
次に、該収着複合体が熱収量分析に付されて、ホルムアルデヒドが該収着複合体が最終的に遊離される温度を決定した。実質的に、ホルムアルデヒドは300℃まで遊離されなかったことが注目された。300℃で長時間加熱した後、加熱後の収着複合体のその後の分析(熱重量分析及びソリューションNMR)は、化学収着されたホルムアルデヒドは保持され、一方物理収着されたホルムアルデヒドは除かれたことを明らかにした。かくして、本発明者等は、ホルムアルデヒドの化学収着が、予想された以上にホルムアルデヒドについての多孔質物質のアフィニティを効果的に増加させたことを結論した。
実施例5 - 実施例3のFT-RCC3を伴うラドンの吸着
FT-RCC3が実施例3に記載された通りに調製され、続いて24時間、80℃、減圧下で脱溶媒和された。
一旦調製されると、該安定化された多孔質物質であるFT-RCC3のサンプルは、それらのラドン-吸着能力を評価するために用いられた。
図17は、FT-RCC3上に吸着されたRn(N2中の高希釈で)についての飽和曲線を示す。
図18は、Rn吸着測定の為に使用される装置を示すスキームである。
FT-RCC3のラドン吸着能力が、今記載されるとおりに動的吸着技術を用いて評価された。ラドンの最も安定した自然発生同位体である222Rnは、相対的に短い半減期(約3.82日)をなお有し、従ってこれらの実験(及び最良のシミュレートされた大気ラドンに対して)の為に、非常に低い濃度にキャリヤーガスを用いて希釈されなければならない。次に、ラドンの固定された濃度を有するキャリヤーガスは、吸着剤トラップ内に注入された。吸着平衡が、破過曲線(図17を参照)が一定の値又は漸近線に達する場合に達成される。そのような状況下で、トラップされたラドンの原子数と気体中のラドン濃度との比(両方は、それぞれの個々の活性(メーターキューブ当たりのベクレル、Bq m-3))は、下記の平衡定数、K、によって与えられる:
ここで、{A}はFT-RCC3中のラドン活性であり、及び{C}は気体中のラドン活性である。
完全な実験的設定が、図18に示されている。窒素キャリヤーガスは、ニッケルガスは、薄いラジウム層で被覆され且つ一定の温度(12℃)で維持された金属板から放射されることによってラドン源でラドン化される。該キャリヤーガス中の平均ラドン濃度は、615±17Bqm-3(3.8±0.1×10-16molkg-1)である。該ガスは、ラドン濃度(C)、温度及び圧力が制御されるバッファタンク内に導入される。その後、ラドンの明確な量を有するキャリヤーガスが、低温実験の為に冷凍庫に配置されうるカラムトラップ内に導入される。該ラドントラップにおける平衡捕捉を定義する為に、出力ガスが、連続的な窒素フローに対して較正された市販のRAD7検出器で測定される。一旦平衡が達成されると、該トラップはガス回路から切り離され、及びFT-RCC3サンプルの222Rn活性がラドン子孫の主ガンマ線からのゲルマニウム検出器におけるガンマ分光測定によって測定される(214Pbからの352keV及び214Biからの609keV)。
更なる分析作業がラドン吸着実験に関して行われているべきであるが、本発明者等は、FT-RCC3が20℃で、少なくとも5,000の容量係数によって気相からの222Rnを吸着することを示唆する最初の発見によって驚かされた。同じ温度で、Rnに関するFT-RCC3の「K因子」がおよそ5~7kg/m3であること、FT-RCC3物質内のラドンの濃度がおよそ2.3~3.3x10-15mol/kgであること、及びFT-RCC3の活性がおよそ3~4x103Bq/kgであることを示唆する。これは、20℃で、N2に対するRnについての優れた選択性を表す。
それ故に、本発明の該吸着組成物及び安定化された多孔質物質は、空気又は水からでさえも有害な放射性ラドンを除くための有用な手段として役立ちうることを結論付けることは妥当である(それがそこに溶解していることがわかる)。その上、ラドン吸着を通じて生成された本発明の収着複合体はそれ自体、環境分析の為の分析ツールとして役立ちうる。
実施例6 - RCC3及びラドンによる並びにFT-RCC3複合体によるホルムアルのデヒドの化学的吸着、物理的吸着及び選択的収着の更なる例
RCCは、気体状のホルムアルデヒドを化学的に吸収する。
さらに、本発明者等によって実行された実験は、固体RCC3が気体状のホルムアルデヒドを化学的に吸収して、FT-RCC3を生成できることを確認した。図19によって示される通り、気体状のホルムアルデヒドに曝露される場合、RCC3の1H NMRシグナルが減少され、且つFT-RCC3に関連するピークが増加される。完全に転化されていない中間体に関連する新しいピークがまた現れる。これらのピークは、全てのRCC3及び中間体が約72時間後にFT-RCC3に転化される場合に消失するだろう。
粉末X線回折実験はまた、気体状のホルムアルデヒドに曝露された後に、「捕捉」の6個のホルムアルデヒド分子によってRCC3がFT-RCC3に転化されることを確認する(図20)。
図19は、気体状のホルムアルデヒドに曝露された後に、6個のホルムアルデヒド分子を化学的に吸着することによって、RCC3がFT-RCC3に徐々に転化されることを示す1H NMRスペクトルである。
図20は、気体状のホルムアルデヒドに曝露された後の、FT-RCC3に転化されたRCC3を確認する粉末X線回折パターンを示す。
形成された「連結されたかご」がさらに、気体状のホルムアルデヒドを物理的に吸収することができる。
6個のホルムアルデヒド分子を化学的に吸収した後に、結果物質であるFT-RCC3がN2等温線によって証明された通りかなり多孔性である(図21a)。TGA実験はさらに、FT-RCC3が物理的吸着によってホルムアルデヒドをさらに吸収することができたことを証明した(図21b)。
図21は、a)ホルムアルデヒド(FT-RCC3)を77Kで化学的に吸収した後のN2等温線;b)2時間、気体状のホルムアルデヒドに曝露された後の、FT-RCC3のTGAデータ、を示す。
我々は、Grand-canonical Monte Carloシミュレーションを用いて、ホルムアルデヒドの物理的吸着を予測した。周囲条件での結晶性のFT-RCC3について、1つの単位セルが24.7個のホルムアルデヒド分子を取り込むことができ、それはかご当たり約CH2Oを与えることが予測された。CH2Oの酸素原子とアミン窒素原子に結合されている炭素原子に結合された水素原子との間の水素結合の明確な証拠がある(すなわち、炭素原子は、ホルムアルデヒドの連結された単位からであることができ又はフェニルに結合されることができる)。両方のタイプの炭素に結合された水素原子がかごウィンドウに向けられており、従って水素結合がウィンドウの空洞でCH2Oの為にほとんど観察されていることに注目することが興味深いことである。かごの内部において、水素結合が形成されにくいようである(なぜならば潜在的にC-H-O角が好ましくないためである)。それにもかかわらず、連結された単位の原子(これらのH原子は、連結-単位炭素の電子欠損により強く正に荷電される)とO(CH2O)との間の強い静電相互作用がある。言い換えれば、かごの内側の範囲及び「外側の範囲」の両方が、CH2Oに対して強いアフィニティを有することが示唆される。計算された吸着熱は高い:単位セル当たり24個のCH2Oのロードについて約40kJ/mol;それは、約24kJ/mol及び約16kJ/molのホスト-ゲスト貢献及びゲスト-ゲスト貢献にそれぞれ分解されることができる。
図22は、結晶FT-RCC3のホルムアルデヒド吸着のシミュレーションを描く。
GCヘッドスペース実験は、RCC3が低濃度気体状のホルムアルデヒドを効率よく捕捉できることをさらに証明するために行われた。図23に示されている通り、一定量のRCC3が添加される場合に、GCトレース中のホルムアルデヒドのシグナルはほとんど消失した。類似のかご分子であるCC3(約400m2/gのBET表面積を有する)が同量添加された場合に、ホルムアルデヒドのシグナルがわずかに減少した(下記文献B1)。
図23は、a)RCC3が転化された場合に、ホルムアルデヒドに関連したピークが消失すること;b)一方、多孔性イミンかごCC3が使用された場合に、ホルムアルデヒドピーク強度のほんの僅かの減少のみが観察されたこと、を示すGCヘッドスペース実験からのGCトレースを示す。
RCC3は、H
2
Oよりもホルムアルデヒドを選択的に吸収する。
伝統的なホルムアルデヒド、例えば活性炭、の最大の問題の1つは、ホルムアルデヒド吸着能力が、この物質のホルムアルデヒド/H2Oの低い選択性の故に、湿度の高い条件下で劇的に減少したことである。一方、RCC3は、予め組織化されたジアミン基での反応を介してホルムアルデヒドを優先的に吸収する。水の存在は、アミナール形成の可逆性の故に、化学的吸収にさえも有用である。図24に示されている通り、水性溶液からのホルムアルデヒドを吸収することさえできる。固体RCC3がホルムアルデヒド水性溶液中に浸漬される場合に、そのプロトンNMRによって示唆された通り、固体RCC3が72時間でFT-RCC3に徐々になることが観察されることができる。RCC3がH2Oよりもホルムアルデヒドの圧倒的選択性を有することが明らかに示された。
図24は、ホルムアルデヒド水溶液内に浸漬された後に、RCC3がFT-RCC3に徐々に転化されたことを示す1H NMRスペクトルである。
ホルムアルデヒドを化学的に吸収した後に、該形成されたFT-RCC3は低濃度ラドンを吸収することができる。
放射性の形態(222Rn)において自然に生じるラドンガスは、建物に蓄積することができ、及び、肺がんの主要な原因であり、米国内だけで年間約21,000人の死亡を占めている。従って、ラドンは、世界中において室内空気の品質に影響を与える重大な汚染物質と考えられている。現在、木炭は家庭において、短期のラドン試験の吸着剤として使用されている、水蒸気に対する相対的に低い選択性が、湿度の変動による試験結果の変動につながる可能性がある。
RCC3の親のイミンかごであるCC3は、ラドンガスについての優れた吸着剤であることが証明されている(下記文献B2)。放射性同位体を用いての実験は、専門実験室に制限されているが、放射性同位体吸着はイン・シリコ(in silico)で容易に研究される。大標準のモンテカルロシミュレーション(Grand-canonical Monte Carlo simulations)は、ラドンの吸着等温線とガス混合物からの低濃度でのその除去を予測する為に使用された。我々は、CC3が、希少の、低エネルギー事象を探す宇宙粒子物理学に関連して、非常に高い選択性(Rn/He=2.5×106、図25a)で、0.01ppmvという低いヘリウム(heliumat)ラドン濃度から222Rnを捕捉することが出来ることを予測している。一方、FT-RCC3について、同じ条件において、該選択性(Rn/He)は2.6×108であり(図25b)、それはCC3よりも約100倍高い。
図25は、(a)CC3及び(b)193Kで、全圧1バールで、6FT-RCC3による2成分の(Rn-He)混合物の低濃度のRnのシミュレートされた除去を示す。
各場合において、多孔性吸着剤における希ガスをバルク気相中のその体積密度で割った容積密度比[ρ(捕捉された)/ρ(バルク)]が、吸着剤による対応する希少ガス取り込み(右,Y軸)とともに、ガス混合物中のその濃度(左,Y軸)に対してプロットされる。FT-RCC3は、Nature Materials 第13巻、第954~960頁(2014年) | doi:10.1038/nmat4035において示されていたCC3と比較して、低濃度Rnにおける同様に優れた性能を有することが予測される。
要約
該データは更に、本明細書に記載されているアミン有機かご分子による気体状のホルムアルデヒドの効率的な捕捉を示す。アミナール形成反応によりホルムアルデヒドを化学的に吸収すること、引き続きポスト化学的に吸収されたかごにおいて安定化された孔内でホルムアルデヒドを物理的に吸収することを通じて、アミンかご(RCC3)は、気体状のホルムアルデヒドについての「二重収着剤」として機能を果たすことができる(図26)。ホルムアルデヒドの全体的な取り込みは、およそ200cm3/gであり、それは、報告されている最良のホルムアルデヒド吸着剤よりも約20倍高い。
図26は、気体状のホルムアルデヒドを化学的に吸収するアミンかご(RCC3);及びホルムアルデヒドを物理的に更に吸収する(すなわち、二重収着剤として作用する)結果生成物FT-RCC3を示すスキームである。
その上、本発明の該物質は、比較可能な既存の物質、例えば活性炭物質、と比較して、有利な選択性及び安定性を示す。第1に、活性炭のホルムアルデヒド吸着能力が、この物質のホルムアルデヒド/H2Oの低い選択性の故に、湿度の高い条件下で劇的に減少する。対照的に、RCC3は、予め組織化されたジアミン基での反応を介してホルムアルデヒドを優先的に吸収する。水の存在は、アミナール形成の可逆性の故に、化学的吸収にさえも有用である。水の存在は、アミナール形成の可逆性の故に、化学的吸収についての有用ささえも提供する。ホルムアルデヒド吸収剤としての活性炭のもう一つの大きな欠点は、高い温度又は/及び高い湿度での吸収された汚染物質の放出であり、それは物理的吸着の典型的な挙動である。対照的に、化学的に吸収されたホルムアルデヒドは、堅牢的に保持される(FT-RCC3)。分解及びホルムアルデヒド放出は、TGA実験によって示唆された通り、300℃まで生じないようである。
最後に、FT-RCC3、すなわち後に化学的に吸収されたかご、は、空気から低濃度のラドンを捕捉することができる。
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更なる実施態様
本発明は、下記の番号付けられた項のうちのいずれかの1以上に従って定義されうる。
項1 安定化された多孔質物質を、つぶれ可能な物質から調製する方法であって、該つぶれ可能な物質は、対応する安定化された多孔質物質の1グラム当たり(及び/又は1モル当たり)の孔容積(及び/又はBET表面積)よりも低い孔容積(及び/又はBET表面積)を、つぶれた状態において有し、該方法は、
該つぶれ可能な物質を分子状の連結化合物と反応させて、該つぶれ可能な物質内に異なる複数の反応性部分の少なくとも1つの組(又は対)を生じさせて、該分子状の連結化合物から誘導される分子状の連結リンカーを介して相互に連結されるようになること
を含む、上記方法。
項2 上記方法は最初に該つぶれ可能な物質を形成することを含み、ここで、該つぶれ可能な物質形成することは、
加水分解的に不安定な多孔質前駆体を化学的な安定処置に付して、該多孔質前駆体よりも加水分解的により安定である化学的に安定化されたつぶれ可能な物質を用意すること
を含み、
ここで、該つぶれ可能な物質及び該安定化された多孔質物質の両方が、該加水分解的に不安定な多孔質前駆体よりも加水分解的により安定である、
項1に記載の方法。
項3 該つぶれ可能な物質がポリアミン化合物であり又はポリアミン化合物を含み、ここで、該ポリアミン化合物が、ポリアミンかご、ポリアミン大員環、及び/又はポリアミン骨格であり、及び該異なる複数の反応性部分が複数の反応性アミン部分であり;及び、
該安定化された多孔質物質が対応するポリアミン化合物であり、ここで、少なくとも2つの反応性アミン部分が、該少なくとも2つの反応性アミン部分間で分子架橋を形成する分子状の連結リンカーを介して連結されている、
項1に記載の方法。
項4 該安定化された多孔質物質が、つぶれ可能な化合物と分子状の連結化合物との間の反応によって形成され、ここで、該反応は、
1以上の反応性単位を含む該つぶれ可能な化合物(又はその合成等価体)を1以上の反応性単位を含む分子状の連結化合物(又はその合成等価体)と反応させて、1以上の連結された単位を有する安定化された化合物(又は、その前駆体、例えば、その後の脱保護又は他の転化工程が最終産物を提供する為に必要である場合に)を形成し;
ここで、
該つぶれ可能な化合物の1以上の反応性単位は、1以上の異なる複数の反応性部分(例えば、アミン)を含み;
該分子状の連結化合物の1以上の反応性単位は、1以上の反応性部分(例えば、カルボニル、保護されたカルボニル、ジハロ)を含み;及び、
該安定化された化合物の1以上の連結された単位は、該つぶれ可能な物質の1以上の該反応性単位と該分子状の連結化合物との間の反応の生成物によって特徴付けられる1以上の部分を含む、
項3に記載の方法。
項5 該反応は、下記の式Aによって定義される1以上の反応性単位を含むつぶれ可能な化合物(又はその合成等価体)を、
下記の式Bによって定義される分子状の連結化合物(又はその合成等価体)と反応さて、
ここで、
nは1~4の整数であり;
RA1及びRA2基はそれぞれ独立に、水素、又は任意的に置換されていてもよい置換基であり、ここで、RA1及びRA2基の任意の対は任意的に互いに結合されていてもよく、炭素環式、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環を形成し;
RB1及びRB2基はそれぞれ独立に、水素、又は任意的に置換されていてもよい置換基であり、ここで、RB1及びRB2基の任意の対は任意的に互いに結合されていてもよく、炭素環式、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環を形成する、
下記の式Cによって定義される1以上の連結された単位を有する安定化された多孔質物質を生成することを含む、
項4に記載の方法。
項6 該つぶれ可能な化合物は下記の式A1の複数の反応性単位を含み、
ここで、環Aは、炭素環式、アリール環、ヘテロ環、又はヘテロアリール環であり;
各反応性単位は、(角括弧によって示されるそれらの結合可能な結合を通じて)下記の式A1Lの介在するリンカー単位を介して、隣接する異なる複数の反応性単位に(角括弧によって同じく示されるそれらの結合可能な結合を通じて)間接的に結合されて、
ここで、環Lは、多価の炭化水素(直鎖又は分岐)、多価の炭素環式、多価のヘテロ環、多価のアレーン、多価のヘテロアレーン、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-炭素環式、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロ環、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-アレーン、又は多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロアレーンであり;
下記の式C1の、1以上の連結された単位を有する安定化された多孔質物質を生成する、
ここで、式C1Hの各連結された単位は、式A1Lの該介在するリンカー単位を介して、隣接する個々の連結された単位に(角括弧によって示されるそれらの結合可能な結合を通じて)間接的に結合されており;
ここで、式A1、式A1L、又は式C1の基のいずれかが任意的に置換されていてもよい、
項5に記載の方法。
項7 式A1の反応性単位が下記の式A2によってさらに定義され、
式A1Lの該介在するリンカー単位が下記の式A2Lによってさらに定義され、
及び式C1の該連結された単位が下記の式C2によってさらに定義され:
ここで、式A1、式A1L、又は式C1の基のいずれかが任意的に置換されていてもよい、
項6に記載の方法。
項8 該つぶれ可能な化合物が、下記の式A3によって定義される、項7に記載の方法。
項9 式A3の該つぶれ可能な化合物の6個全ての反応性単位(エチレンジアミン単位、又はアミン対)が、各エチレンジアミン単位での分子状の連結によって特徴付けられている対応する連結された単位に転化される、項8に記載の方法。
項10 式Bの分子状の連結化合物がホルムアルデヒド及び/又はアセトンである、項5に記載の方法。
項11 該分子状の連結化合物がホルムアルデヒドである、項10に記載の方法。
項12 該分子状の連結化合物が、該つぶれ可能な物質と気体状形態で反応される気体状のホルムアルデヒドである、項11に記載の方法。
項13 項1に記載の方法によって得られうる安定化された多孔質物質。
項14 項13に記載された安定化された多孔質物質、及び/又は項1に記載されたつぶれ可能な物質、及び任意的に、1以上の追加の多孔性及び/又は非多孔質物質を含む収着組成物。
項15 1以上の収着性の物質を収着する方法であって、
該1以上の収着性の物質を項14に記載の収着組成物と接触させること
を含み、
任意的に、該接触の前に、該方法は、つぶれ可能な物質を分子状の連結化合物としての気体状のホルムアルデヒドと反応させることによって、安定化された多孔質物質を項1に記載の方法に従い調製することを通じて安定化された多孔質物質を提供すること、
によって項14に記載の収着組成物を調製する工程を含む、上記方法。
項16 該1以上の収着性の物質が気体状のホルムアルデヒドを含み;該接触の前に、該方法は、気体状のホルムアルデヒドが収着性の物質及び分子状の連結化合物の両方であるように、項1に記載された収着組成物を調製することを含む、項15に記載の方法。
項17 該1以上の収着性の物質がラドンを含む、項15に記載の方法。
項18 該1以上の収着性の物質が二酸化炭素を含む、項15に記載の方法。
項19 1以上の分子状の連結化合物を収着する方法であって、1以上の分子状の連結化合物を、項1に記載のつぶれ可能な物質又は項14に記載のそれらの収着組成物と接触させることを含む、上記方法。
項20 該つぶれ可能な物質又はそれらの収着組成物が化学収着及び物理収着の両方を介して1以上の分子状の連結化合物を収着する、項19に記載の方法。
項21 該1以上の分子状の連結化合物が気体状のホルムアルデヒドを含む、項20に記載の方法。
項22 該気体状のホルムアルデヒドが150ppm以下の濃度で存在する、項21に記載の方法。
項23 項15又は19に記載された収着する方法によって得られた収着複合体。
項24 分子状の連結リンカーを介して連結された少なくとも1つの組(又は対)の異なる複数の反応性部分を有する安定化された化合物を含む安定化された多孔質物質。
項25 該安定化された多孔質物質が、少なくとも100m2/mmolのモルのBET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積を有する、項24に記載の安定化された多孔質物質。
項26 該安定化された化合物が下記の式Cの複数の連結された単位を含み、
ここで、各連結された単位は任意的に、介在するリンカー単位を介して1以上の隣接する連結された単位に間接的に結合されている、
項24に記載の安定化された多孔質物質。
項27 前記介在するリンカー単位又は各介在するリンカー単位は、下記の式A1L によって定義され:
ここで、環Lは、多価の炭化水素(直鎖又は分岐)、多価の炭素環式化合物、多価のヘテロ環、多価のアレーン、多価のヘテロアレーン、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-炭素環式化合物、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロ環、多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-アレーン、又は多価のモノ/ポリ-ヒドロカルビル-ヘテロアレーンである、
項26に記載の安定化された多孔質物質。
項28 該安定化された化合物は、下記の式C3によって定義される、項27に記載の安定化された多孔質物質。