JP7056675B2 - モノクローナル抗体の検出結果を向上する方法 - Google Patents

モノクローナル抗体の検出結果を向上する方法 Download PDF

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Description

本発明は、質量分析を利用したモノクローナル抗体の定量における検出結果を向上する方法に関する。より具体的には、本発明は、モノクローナル抗体の定量のために既に確立されたプロトコールの改良に関する。
近年、ELISA法に代わる定量法として、LC-MS/MS法を用いた抗体医薬のバイオアナリシスの開発が盛んに行われている。
本発明者等のグループは、測定対象のモノクローナル抗体と、これを基質として消化し得るプロテアーゼの両方を固相に固定化することで、位置選択的な固相-固相反応によるモノクローナル抗体のプロテアーゼ消化が可能であることを見出し、個々のモノクローナル抗体特有のペプチドを取得することに成功している(特許文献1~6及び非特許文献1~8)。この方法は、モノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行う質量分析の前処理方法であり、得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって効果的に検出及び定量することができる画期的な技術である。本発明者等は本方法を「ナノ表面及び分子配向制限的タンパク分解(nano-surface and molecular-orientation limited proteolysis)方法(nSMOL法)」と命名している。
nSMOL法による血中抗体医薬の定量は、抗体医薬の特異的配列を有するFab領域のみを限定的にトリプシン消化し、LC-MS/MS分析において最も問題視される、イオンサプレッション効果を抑制し、より安定した信頼性の高い定量値を提供することが可能な方法である。本発明者等は既に、nSMOL法及びLC-MS/MS法を組み合わせて用いたモノクローナル抗体の検出方法が、15種類以上にわたる抗体医薬の血中濃度測定において、日本、米国及び欧州における生物学的分析方法のバリデーションのためのガイドラインの基準を満たすものであることを確認している。
一方、生体高分子であるタンパク質には、非常に特徴的な硬い(リジッドな)構造および部位をもつタンパク質が存在することが知られている。例えば、アミロイドベータ、トランスフェリン、複数回膜貫通型タンパク質(ロドプシン、トランスポーター等)では、メカニズムは異なるものの、リジッドな構造をとることで、それぞれその作用が制御されていることが知られている。
タンパク質構造をリジッドに保つ構造の1つとして、SS結合により結び目のような構造が生じたシステインノット構造がある。システインノット構造を持ち、特異的なシグナル伝達に寄与する分子として、血管内皮増殖因子(VEGF)やインターロイキン等のサイトカイン類が挙げられる。腫瘍壊死因子(TNF, tumor necrosis factor)受容体に代表されるサイトカイン受容体の細胞外ドメインにも、同様なノット様構造が確認される。一方、チオレドキシンやラクトグロブリン、インシュリン、トリプシンインヒビター、ハプトグロビン、α1酸性糖タンパク質等では、非常に強いSS結合を持たなくとも、ある程度のプロテアーゼ耐性を持つことが知られている。
抗体分子は、重鎖2本および軽鎖2本からなる4量体高分子量タンパク質であり、それぞれの鎖に抗体特異的なアミノ酸配列を有し、抗体構造の多様性、機能を定義する可変領域、及び分子構造が同一である定常領域が存在する。可変領域の中でも特に変異の頻度が高く、抗原との結合性を決定する領域が相補性決定領域(CDR)であり、また、重鎖定常領域のCH1ドメインとCH2ドメインの間にはヒンジと呼ばれる非常にフレキシビリティの高い構造が存在する。
抗体分子中のヒンジの存在により、抗体結合部位(Fab, fragment antigen binding)の立体構造学的ゆらぎが確保されており、NMR分析等で分子動力学的解析を行うと、Fc部位はほぼ三次元的に固定されているにも関わらず、Fab部位は三次元的にアサインすることができないほど、おおきく揺らいでいることが解っている。抗原が結合するとそのゆらぎは収束し、リジッドな構造へと変化する。このことが三次元構造解析、複合体の結晶構造解析からも解明されている。
国際公開WO2015/033479号 国際公開 WO2016/194114号 国際公開 WO2016/143224号 国際公開 WO2016/143223号 国際公開 WO2016/143226号 国際公開 WO2016/143227号
Analyst. 2014 Feb 7; 139(3): 576-80. doi: 10.1039/c3an02104a Anal. Methods, 2015; 21: 9177-9183. doi:10.1039/c5ay01588j Drug Metabolism and Pharmacokinetics, 2016; 31: 46-50. doi:10.1016/j.dmpk.2015.11.004 Bioanalysis. 2016; 8(10):1009-20. doi: 10.4155. bio-2016-0018 Biol Pharm Bull, 2016;39(7):1187-94. doi: 10.1248/bpb.b16-00230 J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci; 2016; 1023-1024:9-16. doi: 10.1016/j.jchromb.2016.04.038 Clin Pharmacol Biopharm 2016; 5:164. doi:10.4172/2167-065X.1000164 J. Pharm Biomed Anal; 2017; 145:33-39. doi:10.1016/j.jpba.2017.06.032
nSMOL法は、直径約200 nmのナノ粒子表面に固相したプロテアーゼが、細孔径約100 nmの多孔質体に固定したイムノグロブリン分子に接触することで、制限された反応場において、イムノグロブリン分子のFabを選択的に切断する反応メカニズムを持っている。nSMOL法は精度・感度・再現性に優れており、nSMOL法の実施のために、LC/MS/MS用前処理キット「nSMOL Antibody BA Kit」(島津製作所)が既に市販されており、キットと合わせてプロトコールも提供されているが、本発明者等はnSMOL法の汎用性の更なる拡大のために、プロトコールの改良等の検討を行っている。
しかしながら、様々な抗体に対してnSMOL法による検出を実行する中で、プロテアーゼによる選択的な消化反応が進んでも、抗体特異的なペプチド(シグネチャーペプチド)を切断できない場合が認められた。実際に、nSMOL法による反応が進んでいるにもかかわらず、シグネチャーペプチドが検出できない例が存在する。
他のタンパク質と同様に、抗体タンパク質においても分子内に非常にリジッドな領域を有することがあり得る。このような抗体分子は、プロテアーゼに対する耐性を持つことが多く、その結果、nSMOL法による分解が限定的になる場合があると考えられる。
抗体分子は、クラススイッチおよび体細胞突然変異等によってランダムなアミノ酸配列が生じることが知られている。また、アミノ酸配列がわかっていても、特にその可変部位の構造予測は極めて困難である。従って、nSMOL法による抗体の検出において、どの抗体に対してどのような最適化条件を適用するかを予想することは現実的に不可能である。
本発明は、モノクローナル抗体医薬すべてにnSMOL法を適用させるため、上記のようなリジッドなモノクローナル抗体に対する分析条件を提案し、より汎用性を拡大することを目的とする。
理論に拘束されるものではないが、本発明者等は、検出結果が低くなる状況が、測定対象の抗体分子の硬さに由来するプロテアーゼ耐性から生じている可能性を予想した。すなわち、そのような抗体分子において、何らかのメカニズムで、非常にリジッドな領域が存在してプロテアーゼに対する耐性が生じ、その結果、nSMOL法において予測されるようなプロテアーゼ消化が進行しない可能性が考えられた。
nSMOL法は、原理的にはプロテアーゼと基質の接触部位を立体構造的に制御するため、すべての抗体のFab領域に対し、選択的にプロテアーゼ反応が進むことが想定される。抗体の多様性に依存しない反応が確実に進む事も既に証明されている。しかしながら、抗体分子そのものが非常にリジッドであった場合、基質には接触しても、抗体定量が可能な部位へのプロテアーゼによる加水分解が進まない可能性がある。
本発明者等は、あらゆるモノクローナル抗体医薬に対してnSMOL法を適用するため、上記のようなリジッドなモノクローナル抗体に対する分析条件を種々検討した結果、モノクローナル抗体とプロテアーゼとを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行う際に、カオトロピック試薬及び還元剤の共存下で、検出結果が顕著に向上することを見出した。この効果は、理論に拘束されるものではないが、抗体のリジッドな立体構造を緩和してプロテアーゼ消化反応を促進させると共に、プロテアーゼ消化によって遊離するペプチドの遊離効率を向上させることが想定される。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1.以下のステップ:
(a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
(b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
(c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
を含むサンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上方法であって、ステップ(b)の選択的プロテアーゼ消化を、カオトロピック試薬及び還元剤の存在下、pH8~9の条件下で実施する、上記方法。
2.カオトロピック試薬がグアニジン塩酸塩、ウレア、チオウレア、エチレングリコール、及び硫酸アンモニウムからなる群より選択される、上記1記載の方法。
3.カオトロピック試薬が0.5~3 Mの範囲の濃度のウレア又はチオウレアである、上記2記載の方法。
4.還元剤が、チジオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(Tris(2-carboxyethyl)phosphine, TCEP)又はその塩酸塩、トリブチルホスフィンからなる群より選択される、上記1~3のいずれか記載の方法。
5.還元剤が0.1~0.5 mMの範囲の濃度のTCEPである、上記4記載の方法。
6.以下のステップ:
(a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
(b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
(c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
を含む、サンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上のための、カオトロピック試薬及び還元剤の使用。
7.カオトロピック試薬がグアニジン塩酸塩、ウレア、チオウレア、エチレングリコール、及び硫酸アンモニウムからなる群より選択される、上記6記載の使用。
8.カオトロピック試薬が0.5~3 Mの範囲の濃度のウレア又はチオウレアである、上記7記載の使用。
9.還元剤が、チジオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)又はその塩酸塩、トリブチルホスフィンからなる群より選択される、上記6~8のいずれか記載の使用。
10.還元剤が0.1~0.5 mMの範囲の濃度のTCEPである、上記9記載の使用。
本発明により、構造化学的にリジッドであると考えられるモノクローナル抗体、例えばアダリムマブやトラスツズマブにおいて、分析バリデーションが可能な定量方法が確立され、従来よりさらに広い範囲の抗体に対して、nSMOL法の適用が可能となる。本発明の方法は、あらゆる抗体の検出において感度の向上効果をもたらすだけでなく、より低濃度まで検出可能であるため、汎用性が大いに向上したnSMOL法のプロトコールを提供することができる。
アダリムマブの重鎖Fabドメイン(左)及び軽鎖(右)のアミノ酸配列を示す。下線箇所はシグネチャーペプチドとして使用したペプチド(配列番号3)を示す。 pH8、pH8.5又はpH9でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及び内部標準として用いたP14Rのピーク強度に対する比率(ISTD ratio)を示す。sumはシグネチャーペプチドのピーク強度を示す。 還元剤として2 mM TCEPを用い、1M ウレアの存在下及び不存在下でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioをpH8、pH8.5及びpH9で比較した結果を示す。 カオトロピック試薬として1M ウレアを用い、0.5~3 mMのTCEPを共存させてnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioを示す。 カオトロピック試薬として2M ウレアを用い、TCEPの不存在下、及び0.1~0.3 mMのTCEPの存在下でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioを示す。 カオトロピック試薬として2M ウレアを用い、0.01~0.2 mMのTCEPの存在下でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioを示す。 還元剤として0.5 mM TCEPを用い、ウレアの不存在下、及び1 M又は2 Mウレアの存在下でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioをを示す。 カオトロピック試薬として0~3M ウレアを用い、還元剤として0.01~0.2 mMのTCEPを用いてnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioを示す。 カオトロピック試薬及び還元剤の不存在下、pH 8の条件(対照、左)と比較した、2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件(Urea/TCEP、右)でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度及びISTD ratioを示す。 サンプル中の2~250μg/mlの濃度のアダリムマブを2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件で検出した結果を、横軸を設定した濃度に対する検出された濃度の比、縦軸をシグネチャーペプチドのISTDに対するピーク強度(面積)比としてプロットした結果を示す。 トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、及びニボルマブについて、2M ウレア、pH8.5、0.1、0.2又は0.5 mMの濃度のTCEPの存在下で検出した場合のピーク強度を比較した結果を、3種のTCEP濃度において最も高いピーク強度を示したものを1とした相対強度で示す。 図12Aは、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、及びニボルマブについて、カオトロピック試薬及び還元剤の不存在下、pH 8の条件(対照、左)と比較した、2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件(右)でnSMOL法を行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度を、対照条件の結果を1とした相対強度で示す。図12Bは、セツキシマブ、リツキシマブ、及びニボルマブについての図12Aの結果を拡大して示す。 図13Aは、サンプル中の0.061~250μg/mlの濃度のトラスツズマブをカオトロピック試薬及び還元剤の不存在下、pH 8の条件(◆)及び2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件(■)で検出した結果を横軸を濃度、縦軸をピーク強度としてプロットした結果を示す。図13Bは、図13Aの低濃度領域(トラスツズマブ濃度2.5μg/ml以下)での結果を拡大して示す。
本発明は、以下のステップ:
(a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
(b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
(c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
を含むサンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上方法であって、ステップ(b)の選択的プロテアーゼ消化を、カオトロピック試薬及び還元剤の存在下、pH8~9の条件下で実施する、上記方法を提供する。
本発明はまた、以下のステップ:
(a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
(b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
(c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
を含む、サンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上のための、カオトロピック試薬及び還元剤の使用を提供する。
<ステップ(a)>
本発明の方法のステップ(a)は、サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップに相当する。
本明細書において、「サンプル」とは、モノクローナル抗体の存在を検出すべき液体サンプルであって、特に限定するものではないが、一般的にはマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウシ、ヒト等の哺乳動物、特にヒト被験者、主としてヒト患者由来の生物学的サンプルであり、好ましくは血漿または血清、もしくは組織ホモジネート抽出液である。あるいは、サンプルは、例えば発明の効果を実証するために、人為的に添加されたモノクローナル抗体と血漿とを含む液体サンプルであり得る。本発明の方法におけるモノクローナル抗体の検出のためには、サンプル中のモノクローナル抗体の濃度は、0.05~300μg/mlの範囲内であれば良い。
測定対象となり得るモノクローナル抗体としては、限定するものではないが、例えばパニツムマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ラムシルマブ、アダリムマブ等のヒト抗体;トシリズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ-DM1、ベバシズマブ、オマリズマブ、メポリズマブ、ゲムツズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、セルトリズマブ、オクレリズマブ、モガムリズマブ、エクリズマブ、トリシズマブ、メポリズマブ等のヒト化抗体;リツキシマブ、セツキシマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、等のキメラ抗体等が挙げられる。
また、モノクローナル抗体の特異性を維持しつつ更なる機能を付加した複合体、例えばFc融合タンパク質(エタネルセプト、アバタセプト等)、抗体-薬物複合体(例えばブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、トラスツズマブ-エムタンシン等)も測定対象のモノクローナル抗体となり得る。測定に先立って複合体の結合を解離させ、抗体部分のみを分析に供しても良いが、複合体の形態のままで分析に供することもできる。
モノクローナル抗体のアミノ酸配列の情報等は、例えば京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes, KEGG)から取得することができる。
本発明の方法に使用する多孔質体としては、多数の細孔を有し、抗体を部位特異的に結合可能なものを使用することができる。多孔質体の平均細孔径は、10nm~200nm程度の範囲で、かつナノ粒子の平均粒径よりも小さい範囲で適宜に設定される。
本発明のステップ(a)では、測定対象のモノクローナル抗体を多孔質体の細孔内に固定化する。この目的で、多孔質体の細孔内に、抗体と部位特異的に相互作用するリンカー分子が固定化されたものが好ましく用いられる。
リンカー分子としては、抗体のFcドメインと部位特異的に結合するProtein AやProtein G等が好ましく用いられる。細孔内にこれらのリンカー分子が固定化された多孔質体を用いることにより、細孔内に抗体のFcドメインが固定化され、Fabドメインが細孔の表層付近に位置するため、プロテアーゼによるFabドメインの位置選択的消化が可能となる。
本発明において好適に使用可能な多孔質体として、特に限定するものではないが、例えばProtein G Ultralink樹脂(Pierce社製)、トヨパール TSKgel(TOSOH社製)、トヨパール AF-rProtein A HC-650F resin(TOSOH社製)、Protein A Sepharose(GEヘルスケア)、KanCapA(KANEKA)等が挙げられる。
抗体を多孔質体の細孔内に固定化する方法は特に限定されず、例えば、細孔内にProtein AやProtein Gが固定化された多孔質体に抗体を固定化する場合は、多孔質体の懸濁液と抗体を含む溶液とを混合することにより、細孔内に抗体を容易に固定化できる。多孔質体と抗体の量比は、目的に応じて適宜に設定できる。
<ステップ(b)>
本発明の方法のステップ(b)は、上記ステップ(a)で得られたモノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップに相当する。
ナノ粒子に固定化させるプロテアーゼの種類は、質量分析による定量又は同定の対象となるモノクローナル抗体の種類に応じて適宜選択すればよく、限定はされないが、例えば、トリプシン、キモトリプシン、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ、AspNプロテアーゼ(Asp-N)、ArgCプロテアーゼ(Arg-C)、パパイン、ペプシン、ジペプチジルペプチダーゼを単独又は組み合わせて使用することができる。プロテアーゼとして、特にトリプシンが好ましく用いられる。本発明の方法において好適に使用できるプロテアーゼとして、例えばTrypsin Gold(プロメガ社製)、Trypsin TPCK-treated(シグマ社製)等が挙げられる。
ナノ粒子は、その平均粒径が、多孔質体の平均細孔径よりも大きいものであり、形状は特に限定されないが、多孔質体の細孔へのプロテアーゼのアクセスの均一化の観点から、球状のナノ粒子が好ましい。また、ナノ粒子は、分散性が高く、平均粒径が均一であることが好ましい。
ナノ粒子の種類としては、水性媒体に分散又は懸濁することができ、分散液又は懸濁液から磁気分離または磁性沈殿分離により容易に回収することができる磁気ナノ粒子が好ましい。また、凝集が起こりにくいという点において、その表面が有機ポリマーで被覆された磁気ナノ粒子がより好ましい。有機ポリマーで被覆された磁性ナノビーズの具体例としては、FGビーズ、SGビーズ、Adembeads、nanomag等が挙げられる。市販品としては、例えば、多摩川精機株式会社製のFG beads(フェライト粒子をポリグリシジルメタクリレート(ポリGMA)で被覆した粒径約200nmのポリマー磁性ナノ粒子)が好適に用いられる。
上記ナノ粒子は、非特異的なタンパク質の吸着抑制と、プロテアーゼの選択的な固定化のために、プロテアーゼと結合可能なスペーサ分子で修飾されていることが好ましい。スペーサ分子を介してプロテアーゼを固定化することにより、ナノ粒子表面からのプロテアーゼの脱離が抑制され、プロテアーゼ消化の位置選択性が高められる。また、スペーサの分子サイズを調整することにより、抗体の所望の位置にプロテアーゼを選択的にアクセスさせ、位置選択性を高めることもできる。
このようなスペーサ分子で表面修飾されたナノ粒子もまた市販されており、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドで活性化されたエステル基(活性エステル基)を有するスペーサ分子で修飾されたナノ粒子は、商品名「FG beads NHS」(多摩川精機株式会社)として市販されている。
プロテアーゼをナノ粒子の表面に固定化する方法は特に限定されず、プロテアーゼとナノ粒子(あるいはナノ粒子表面を修飾するスペーサ分子)の特性等に応じて適宜の方法を採用できる。尚、上記のLC/MS/MS用前処理キット「nSMOL Antibody BA Kit」(島津製作所)には、プロテアーゼとしてトリプシンが固定化されたナノ粒子であるFG beads Trypsin DART(登録商標)が含まれており、本発明の方法に好適に用いることができる。
上記モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させることにより、モノクローナル抗体が選択的にプロテアーゼ消化され、ペプチド断片が産生される。
プロテアーゼ消化は、例えば、プロテアーゼの至適pH近傍に調整された緩衝溶液中で実施することができるが、本発明の目的のためにはpH8~9の範囲、特にpH約8.5で実施することが好適である。プロテアーゼ消化のための反応温度は37℃程度であって良いが、飽和蒸気圧下、約50℃で行うことが好適である。反応時間は、30分間~20時間、例えば1時間~8時間、3~5時間の範囲とすることができる。限定するものではないが、反応液の蒸発を防ぐために、反応を飽和蒸気圧下で維持することが好ましい。
ステップ(b)は、反応液を撹拌することで、多孔質体とナノ粒子との接触を促進することができるが、反応時間全体にわたって撹拌しても、反応時間の一部のみ、例えば反応初期のみに撹拌しても良く、特に限定するものではない。
本発明においては、ステップ(b)におけるプロテアーゼ消化を、カオトロピック試薬及び還元剤の存在下で実施する。
カオトロピック試薬は、限定するものではないが、例えばグアニジン塩酸塩、ウレア、チオウレア、エチレングリコール、及び硫酸アンモニウムからなる群より選択することができる。上記のなかでも、下記のステップ(c)のLC-MSにおいて使用するカラム内の樹脂を傷めるような悪影響をもたらさないものが好ましく、またpHに影響しないことから、カオトロピック試薬は、ウレア又はチオウレア、特にウレアとすることが好適である。
ウレア又はチオウレアを使用する場合、ステップ(b)の反応中の濃度は0.5~2 M、特に1~2 Mの範囲とすることが好適である。約6 Mを超えて使用すると、抗体タンパク質を変性させてしまい、検出効果が逆に低下してしまう。従って、上記範囲は、タンパク質の変性剤として使用するウレアの濃度よりもかなり低い濃度である。
還元剤は、限定するものではないが、例えばチジオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(Tris(2-carboxyethyl)phosphine, TCEP)又はその塩酸塩、トリブチルホスフィンからなる群より選択することができる。これらの還元剤は、シグマ・アルドリッチ、ナカライテスク株式会社、フナコシ株式会社等から入手することができる。好適には、還元剤は、広いpH範囲で良好な還元能を有するTCEPである。
TCEPを使用する場合、ステップ(b)の反応中のTCEP濃度は0.05~1 mM、特に0.1~0.5 mMの範囲の濃度、例えば0.1 mM、0.15 mM、0.2 mM、0.25 mM、0.3 mM、0.35 mM、0.4 mM、0.45 mM、又は0.5 mMとすることが好ましい。このような濃度範囲は、反応中に存在するSS結合を完全に切断できるように還元剤としてTCEPを使用する場合の通常の濃度と比較して、かなり低いものである。
上記のように、本発明において使用するカオトロピック試薬及び還元剤は、本発明の効果を達成するために最適となる濃度範囲が、いずれも当分野において通常使用される濃度と比較して顕著に低く、このことは非常に驚くべきことであった。このような低濃度のカオトロピック試薬及び還元剤が共存することで、ナノ粒子表面上のプロテアーゼに基質となる抗体が十分に接触できるようにすると共に、切断されて遊離したペプチドの安定性を向上させることができ、おそらくはペプチドの容器への吸着や空気との接触による酸化を防止し、検出感度の向上に寄与することができると考えられる。
上記のプロテアーゼ消化によって消化されたペプチドは、反応液中に溶解して放出される。従って、目的のペプチド断片を質量分析に供するためには、多孔質体及びナノ粒子を除去することが必要である。これは、プロテアーゼ消化後のサンプルに対して濾過、遠心分離、磁気分離、透析等の操作を行うことで達成できる。
例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)製のろ過膜(Low-binding hydrophilic PVDF、孔径0.2μm、ミリポア社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のろ過膜(Low-binding hydrophilic PTFE、孔径0.2μm、ミリポア社製)等を用いてろ過することにより、多孔質体及びナノ粒子を簡便に除去することができる。ろ過は、遠心ろ過とすると迅速かつ簡便なろ過が可能である。
上記の通り、還元剤としてTCEPを選択すると、ステップ(b)の終了時に微量に残存する還元剤によって後の操作に支障が出る可能性が低く、またペプチドの安定性を向上させることも期待されるため、好適である。
<ステップ(c)>
本発明の方法のステップ(c)は、選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップに相当する。
質量分析におけるイオン化法、及びイオン化された試料の分析方法は特に限定されない。また、三連四重極型質量分析装置等を用いて、MS/MS分析、あるいはMS3以上の多段階質量分析、多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring, MRM)を行うことができる。
本発明の方法において特に適した装置は、特に限定するものではないが、例えばLCMS-8030、LCMS-8040、LCMS-8050、LCMS-8060(いずれも島津製作所)、LCMS-IT-TOF(島津製作所)を挙げることができる。
質量分析等により、目的のモノクローナル抗体に特異的なFab領域、例えば重鎖及び/又は軽鎖のCDR1領域、CDR2領域、CDR3領域のアミノ酸配列を含むペプチド断片を検出することで、目的のモノクローナル抗体の同定・定量が可能である。
抗体医薬として使用することが意図されるモノクローナル抗体は、そのアミノ酸配列情報等が公開されており、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列、Fab及びFcドメイン、相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド結合等の情報を入手することが可能である。従って、nSMOL法によるプロテアーゼ消化で複数のペプチドが得られるが、それぞれのペプチドについてのアミノ酸配列情報が得られれば、そのペプチドがモノクローナル抗体のいずれの位置に存在するものであるかを容易に理解することができる。従って、Fab領域由来の複数のペプチドのうち、特に好適なペプチドを分析対象として選択することができる。このように選択されるペプチドは「シグネチャーペプチド」と呼ばれている。
nSMOL法の詳細は、例えばWO2015/033479号;WO2016/143223号;WO2016/143224号;WO2016/143226号;WO2016/143227号;WO2016/194114号;Analyst. 2014 Feb 7; 139(3): 576-80. doi: 10.1039/c3an02104a;Anal. Methods, 2015; 21: 9177-9183. doi:10.1039/c5ay01588j;Drug Metabolism and Pharmacokinetics, 2016; 31: 46-50. doi:10.1016/j.dmpk.2015.11.004;Bioanalysis. 2016; 8(10):1009-20. doi: 10.4155. bio-2016-0018;Biol Pharm Bull, 2016;39(7):1187-94. doi: 10.1248/bpb.b16-00230;J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci; 2016; 1023-1024:9-16. doi: 10.1016/j.jchromb.2016.04.038;Clin Pharmacol Biopharm 2016; 5:164. doi:10.4172/2167-065X.1000164;及びJ. Pharm Biomed Anal; 2017; 145:33-39. doi:10.1016/j.jpba.2017.06.032等に開示されている。これらの文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れるものとする。
従来のnSMOL法のプロトコールの例は以下のようなものである。
<ステップ(a)>
1.モノクローナル抗体が含まれる生物学的サンプル5-10μLを約10-20倍量のPBS+0.1% n-オクチルチオグリコシド (OTG)に希釈する。
2.多孔質体懸濁液 (TOYOPEARL AF-rProtein A HC-650F, 50% slurry)を25μL加える。
3.5分程度穏やかにボルテックス攪拌する。
4.ウルトラフリーlow-protein binding Durapore PFDF (0.22μm)に全量回収する。
5.上清を遠心除去する(10,000g x 1分間)。
6.PBS+0.1% OTGを300μL加え、上清を遠心除去する(10,000g x 1分間)。
7.ステップ6を繰り返す。
8.界面活性剤を除くため、PBSを300μL加え、上清を遠心除去する(10,000g x 1分間)。
9.ステップ8を繰り返す。
10.反応溶液(25mM Tris-HCl、pH8)を75-100μL加える。この溶液には10 fmol/μLのP14R合成ペプチドを添加しておく。
<ステップ(b)>
11.化学修飾トリプシンを固相したナノ粒子(0.5 mg/ml FGbeads懸濁液)を5-10μL加える。
12.飽和蒸気圧下50℃にて、穏やかに攪拌しながら4-6時間反応を行う。
13.反応液に10%ギ酸を10μL加えることで反応を停止する。
14.遠心ろ過(10,000g x 1分間)し、溶液を回収する。
15.磁気スタンドに立て、約1-2分間静置し、余剰樹脂を除去する。
<ステップ(c)>
16.LCMS分析に供する。
本発明の方法は、上記のプロトコールにおける「10.」における反応液として、Tris-HCl、pH8を用いる代わりに、カオトロピック試薬及び還元剤を含むTris-HClを用いることができる。尚、Tris-HClは当分野における慣用の緩衝剤であって、PBS、Bis-Tris、Tricine、Bicine、HEPES、CAPS、MES、MOPS、リン酸緩衝液等の他の緩衝剤を用いても同様の反応を行うことができるのであって、本発明において緩衝剤は特に限定されない。
リジッドな構造を有するモノクローナル抗体の一例として本明細書中に記載するアダリムマブは、TNF-αに対して特異的に結合し得るヒト型モノクローナル抗体であり、ヒュミラの商品名で入手することができる。
上記したように、本発明の方法は、リジッドな構造を有するモノクローナル抗体のnSMOL法による検出のために特に有利であるが、モノクローナル抗体全般に対して実施することができる。しかしながら、例えば、従来のnSMOL法での検出結果が想定される結果よりも顕著に低い場合、あるいは予めモノクローナル抗体のFab領域にリジッドな構造が含まれることが予想される場合に、本発明の方法を選択することが推奨される。
本発明の方法は、限定するものではないが、例えば従来のnSMOL法を用いた場合に、0.5μg/mL以下、1μg/mL以下、5μg/mL以下、又は10μg/mL以下の濃度で検出が困難であって、薬物動態試験の結果より予想される定量範囲よりも十分低い濃度範囲を検出できないモノクローナル抗体、あるいは検出できるモノクローナル抗体のいずれにも好適に適用することができる。
本発明の方法を好適に適用できる具体的なモノクローナル抗体としては、限定するものではないが、例えば以下の実施例にも記載する上記のアダリムマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、及びニボルマブが挙げられる。
本発明の方法により、nSMOL法における検出感度が、抗体の種類に依存して約2~100倍程度向上し、また、検出及び定量可能な下限値も約3~30倍程度向上させることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。以下のデータは数多くの実験によって得られたデータの一部を示すものであり、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1 アダリムマブ検出のpH依存性]
測定対象としてアダリムマブを用い、サンプル中のアダリムマブをnSMOL法で検出するためのプロトコールの改良を検討した。
図1に、アダリムマブの重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を示す(配列番号1及び2)。アダリムマブの検出のためにnSMOL法で検出可能な複数のペプチド候補が選定されたが、ヒト血漿中に存在し得る他の抗体由来のペプチドと同じ配列となるペプチドを除外する等の選定により、アダリムマブのFab領域に存在するシグネチャーペプチドとして下線で示す配列APYTFGQGTK(配列番号3)を有するペプチドを選択した。
多孔質体懸濁液 (TOYOPEARL AF-rProtein A HC-650F, 50% slurry) 12.5μLにPBSを90μL加え、これにアダリムマブ(アッヴィ合同会社)をヒト血漿(コージンバイオ株式会社製、5μmのフィルターで濾過後、0.8μmのフィルターで濾過したもの)に100μg/mLで添加したサンプルを5μL加え、5分程度軽く攪拌した。
得られた懸濁液をフィルターカップ(ミリポア社ウルトラフリーMC-GV)に移し、遠心分離(10,000 g x 1 分間)して上清を除去した。
遠心分離(10,000 g x 1 分間)して上清を除去した後、0.1%オクチルチオグリコシドを含むPBSを300μL加えて遠心分離する操作を3回繰り返した。次いで、PBSを300μL加えて遠心分離する操作を3回繰り返した。
反応溶液として、pH8、pH8.5及びpH9の溶液を調製し(25mM Tris-HCl)、サンプルにいずれかの反応溶液を80μL加え、更にプロテアーゼを固定化したナノ粒子(FG beads Trypsin DART)を5μL加えて、飽和蒸気圧下、50℃にて、5時間反応を行った。
反応停止溶液(10% ギ酸)を5μL加え、遠心ろ過をして、磁気分離によって溶液を回収した。
NexeraX2 システム(島津製作所)及びLCMS-8050(島津製作所)を使用してLCMS分析を行った。
測定は、上記の配列番号3のペプチドについて実施した。測定条件は以下に示す通りである。
溶媒A:0.1%ギ酸含有水溶液
溶媒B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
流速:0.4 ml/分又は1 ml/分
平衡化濃度:%B=1.0
カラム:Shimpack GISS C18, 2 mm x 50 mm(島津製作所)
カラム温度:50℃
HPLC条件:
1.50 分 ポンプ中溶媒B濃度 1%
4.70 分 ポンプ中溶媒B濃度 42%
4.71 分 ポンプ中流速 0.4 ml/分
4.72 分 ポンプ中溶媒B濃度 95%
4.73 分 ポンプ中流速 1 ml/分
5.65 分 ポンプ中溶媒B濃度 95%
5.66 分 ポンプ中溶媒B濃度 1%
6.05 分 ポンプ中流速 1 ml/分
6.06 分 ポンプ中流速 0.4 ml/分
インターフェイス条件:
ネブライザーガス 3 L/分
ヒーティングガス 10 L/分
ドライイングガス 10 L/分
インターフェイス温度 300℃
脱溶媒温度 240℃
ヒートブロック温度 400℃
衝突乖離誘起ガス条件:
使用ガス アルゴン
使用分圧 270 kPa
MRMトランジション条件:
Figure 0007056675000001
その結果、図2に示すように、pHが高い程高いシグナル強度が得られた。一方、内部標準として使用したP14Rとの比率は、pH8.5が最も高く、pH9では低下していた。高pH条件は、P14Rの分解をもたらし、また目的のタンパク質のランダムな加水分解を誘発するため、pH最適値はpH8.5とした。
[実施例2 カオトロピック試薬依存性]
還元剤として2 mM TCEP(シグマアルドリッチ社製)を用い、カオトロピック試薬として1M ウレア(シグマアルドリッチ社製)が共存した場合の効果を確認した。1M ウレアの存在下、及び不存在下、pH8、pH8.5及びpH9の条件で、実施例1と同様のnSMOL法を行った。その結果、図3に示すように、実施例1と同様に、カオトロピック試薬の存在下及び不存在下のいずれにおいてもpHが高い程高いシグナル強度が得られ、またカオトロピック試薬が共存した場合により収率が上がることが確認された。
カオトロピック試薬は高濃度では変性作用もあるため、濃度の最適化の検討が必要と考えられた。
[実施例3 還元剤濃度依存性1]
カオトロピック試薬として1M ウレアを用い、還元剤の濃度を変えて効果を検討した。具体的には、0.5~3 mMのTCEPを共存させて、pH8.5で実施例1と同様のnSMOL法を行った。その結果、図4に示すように、還元剤濃度が低い程、反応収率および内部標準比率が高いことが判明した。
従って、より低濃度の還元剤の使用を検討する必要があると考えられた。
[実施例4 還元剤濃度依存性2]
カオトロピック試薬として2M ウレアを用い、TCEPの不存在下、及び実施例3よりも低濃度である0.1~0.3 mMのTCEPの存在下で、pH8.5で実施例1と同様のnSMOL法を行った。
その結果、図5に示すように、還元剤の不存在下ではピーク強度は低く、0.1~0.3 mMの濃度では高いピーク強度が得られた。従って、2M ウレアを用いてpH8.5で反応させた場合、アダリムマブの検出においては0.1~0.2 mMのTCEPが存在することが最適であることが示された。
上記の結果は、還元剤の一般的な使用濃度が5~10 mMであることを考慮すると、本発明の方法では、その約1/50程度の低濃度で収率が上がることが確認されたことを示すものである。
[実施例5 還元剤濃度依存性3]
カオトロピック試薬として2M ウレアを用い、実施例4より更に低濃度の0.01~0.2 mMのTCEPの存在下で実施例1と同様のnSMOL法を行った(pH8.5)。
その結果、図6に示すように、アダリムマブの検出においては0.05~0.2 mMの濃度、特に0.1~0.2 mMのTCEPの使用が最適であることが確認された。
[実施例6 カオトロピック試薬濃度依存性]
還元剤として0.5 mM TCEPを用い、ウレアの不存在下、1 M又は2 Mウレアの存在下で実施例1と同様のnSMOL法を行った(pH8.5)。
その結果、図7に示すように、本発明で使用する低濃度還元剤の使用条件においては、カオトロピック試薬として2M ウレアが最適であることが確認された。一般的なタンパク質変性作用は約7 Mのウレアで生じるため、本濃度は変性作用やカオトロピック作用ではなく、例えば遊離ペプチドの安定化、遊離効率等に寄与するものではないかと考えられた。
[実施例7 カオトロピック試薬及び還元剤共存による効果]
低濃度還元剤の使用条件において、アダリムマブのnSMOL法による検出におけるカオトロピック試薬濃度依存性を検討した。具体的には、カオトロピック試薬として0~3M ウレアを用い、還元剤として0.01~0.2 mMのTCEPを用いて実施例1と同様のnSMOL法を行った(pH8.5)。
その結果、図8に示すように、3M ウレアを使用した場合、還元剤濃度依存的に収率が下がることが確認された。一方、添加ISTDは、遊離ペプチドに対し余剰に上昇していることがわかった。これらの結果から、カオトロピック試薬として2M ウレア、還元剤として0.1~0.2 mM TCEPが最適であると考えられた。
[実施例8 アダリムマブ検出感度向上効果]
上記の実施例に示す結果、及び他に検討した様々な結果から、nSMOL法によるアダリムマブの検出のために、カオトロピック試薬として2M ウレア、還元剤として0.2mM TCEPを使用し、pH8.5の条件で反応させた場合と、カオトロピック試薬及び還元剤の不存在下、pH 8の条件で反応させた場合とで、他の条件は同じとして検出されたピーク強度を比較した。
その結果、図9に示すように、本発明の方法(Urea/TCEP)において、従来の方法(対照)よりも約30倍も高い値が得られ、顕著な向上効果がもたらされた。
[実施例9 検量線の作成]
上記の実施例8で感度向上効果が確認された条件(2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5)を用いて2~250μg/mLの濃度範囲のアダリムマブを含有するサンプルをnSMOL法によって分析した。
その結果、図10に示すように、濃度に比例したほぼ直線状の定量結果(r=0.9967745)がもたらされ、かつ分析ガイドライン基準を達成した。すなわち、本発明の方法が、信頼性の高い分析方法であることが実証された。
[実施例10 複数の抗体を用いた還元剤濃度依存性の検討]
種々の抗体を用いて、アダリムマブと同様の検討を行った。トラスツズマブ(中外製薬株式会社)、セツキシマブ(ブリストル・マイヤーズスクイブ社)、リツキシマブ(全薬工業株式会社)、ニボルマブ(小野薬品工業株式会社)のそれぞれについて、アミノ酸配列情報等に基づいて表3に示すシグネチャーペプチドを選択し、0.1mM、0.2mM、0.5mM TCEPの存在下で検出結果を比較した(2M ウレア、pH8.5)。
Figure 0007056675000002
その結果、図11に示すように、抗体の種類によって、最大ピーク強度をもたらすTCEP濃度条件が異なることが示された。アダリムマブ、及び本実施例、およびこれまでに参照条件として使ってきたトラスツズマブにおいて検討した4種の抗体の検出のための汎用的条件としては、0.2mMのTCEP濃度が適切と考えられた。
[実施例11 複数の抗体における検出感度向上効果]
実施例10で検討した0.2mMのTCEP濃度を用い、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ニボルマブについて、カオトロピック試薬及び還元剤の不存在下、pH 8の条件(対照)と、2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件とでnSMOL法をそれぞれ行った場合のシグネチャーペプチドのピーク強度を比較した。
図12は、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ニボルマブについて、対照でのピーク強度を1とした場合の相対ピーク強度を示すものである。いずれの抗体の場合も、TCEPの存在下での反応において、明らかな感度向上効果が得られ、特にトラスツズマブの検出において、60倍を超える顕著な感度の増大がもたらされた。セツキシマブ、リツキシマブ、ニボルマブについても、約2~3倍の感度の上昇が認められた。
[実施例12 トラスツズマブ検出のための検量線範囲の拡大]
上記の実施例11で顕著な感度向上効果が得られた2M ウレア、0.2mM TCEP、pH8.5の条件を用いて、2~250μg/mLの濃度範囲のトラスツズマブを含有するサンプルをnSMOL法によって分析した。測定は、配列番号4のペプチドをシグネチャーペプチドとして行った。
その結果、図13に示すように、いずれの濃度においても、本発明の方法での感度の向上効果が認められた。また、還元剤及びカオトロピック試薬の不存在下、pH8での検出の場合には、信頼できる検出下限は1.95μg/mlであったのに対して、本発明の方法での検出下限は0.061μg/mlとなり、本発明の方法は、感度が増大するだけでなく、顕著に低い濃度での検出を可能にするものであることが実証された。
図13に示す結果は、本発明の方法において、還元剤及びカオトロピック試薬の不存在下での反応によって作成される検量線と比較して、より低濃度の抗体濃度が高い信頼性で検出できることを示すものである。
本発明により、nSMOL法のプロトコールが改良され、質量分析を用いたモノクローナル抗体の検出方法の汎用性が向上する。特に薬物動態試験、治療薬物モニタリング試験において、従来の方法では低い検出結果をもたらすことがあった抗体を含め、様々な抗体医薬に対して広くnSMOL法を適用することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (6)

  1. 以下のステップ:
    (a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
    (b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
    (c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
    を含むサンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上方法であって、ステップ(b)の選択的プロテアーゼ消化を、カオトロピック試薬及び還元剤の存在下、pH8~9の条件下で実施するものであり、プロテアーゼがトリプシンであり、かつカオトロピック試薬が0.5~3 Mの範囲の濃度のウレア又はチオウレアである、上記方法。
  2. 還元剤が、チジオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(Tris(2-carboxyethyl)phosphine, TCEP)又はその塩酸塩、トリブチルホスフィンからなる群より選択される、請求項記載の方法。
  3. 還元剤が0.1~0.5 mMの範囲の濃度のTCEPである、請求項記載の方法。
  4. 以下のステップ:
    (a)サンプル中のモノクローナル抗体を捕捉して多孔質体の細孔内に固定化するステップ、
    (b)該モノクローナル抗体を固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うステップ、及び
    (c)選択的プロテアーゼ消化によって得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出するステップ
    を含む、サンプル中のモノクローナル抗体の検出方法における検出感度の向上のための、カオトロピック試薬及び還元剤の使用であって、プロテアーゼがトリプシンであり、かつカオトロピック試薬が0.5~3 Mの範囲の濃度のウレア又はチオウレアである、上記使用
  5. 還元剤が、チジオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(Tris(2-carboxyethyl)phosphine, TCEP)又はその塩酸塩、トリブチルホスフィンからなる群より選択される、請求項記載の使用。
  6. 還元剤が0.1~0.5 mMの範囲の濃度のTCEPである、請求項記載の使用。
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